(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ブレスレット用の留め金
(51)【国際特許分類】
A44C 5/24 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A44C5/24
(21)【出願番号】P 2021556392
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2020057283
(87)【国際公開番号】W WO2020187907
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-13
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】515188350
【氏名又は名称】ブルガリ オロジェリー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カミーリ, アレッサンドロ
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-107018(JP,U)
【文献】特表2001-509408(JP,A)
【文献】国際公開第00/001269(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0351503(US,A1)
【文献】中国実用新案第203279935(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00 - 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央ブレード(2)と二つの可動ブレ―ド(12)を含む、ブレスレット用の留め金(1)であって、各可動ブレード(12)は前記中央ブレード(2)の長手端に連接され、各可動ブレード(12)は
、閉鎖構成において前記中央ブレード(2)の側面の外側に嵌まるよう意図される二つの横アーム(13)を有し、当該二つの横アーム(13)は、第1ピン(10)によって前記中央ブレード(2)の長手端に連結される第1自由端と、ブレスレット鎖(40)に連結するための第2
の連結ピン(30)を受けることが可能な第2端と、を含み、
各可動ブレード(12)はU字型を含み、前記二つの横アーム(13)をそれらの第2端で連結する前記U字型の基部を形成する横断ロッド(14)を有し、
前記中央ブレード(2)は、前記留め金(1)の前記閉鎖構成において、
各可動ブレード(12)の前記横アーム(13)の前記第2端に配置された
前記横断ロッド(14)を受ける目的で、その中央上面に凹部(4)を含
み、
前記凹部(4)は、中央部に、より高い表面を有する、
ブレスレット用の留め金(1)。
【請求項2】
前記横断ロッド(14)は、ブレスレット鎖(40)に連結するための、
前記第2
の連結ピン(30)を受けることが可能な横断開口(18)を含む、
請求項1に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【請求項3】
前記中央ブレード(2)の下面(3)は、平らである、またはその上面(5)に対して逆の凸状を有する、
請求項1または2に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【請求項4】
前記留め金は、前記可動ブレード(12)を前記留め金の前記閉鎖構成における位置に保持するため、前記中央ブレード(2)に配置された各可動ブレード(12)を係止するための少なくとも一つの係止装置(20)を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【請求項5】
前記係止装置(20)はボール/ばね組立体または弾性ブレードである、
請求項4に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【請求項6】
前記中央ブレード(2)は、その凹部(4)の両側のそれぞれに少なくとも一つの横断開口(6)を含み、各横断開口(6)はその中に、二つのボール/ばね組立体を含む係止装置(20)を受ける、
請求項5に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【請求項7】
前記留め金の前記閉鎖構成において係止装置(20)と協働する少なくとも一つの横アーム(13)の表面に配置された凹状領域(15)と止め部(16)とを含む、
請求項4から6のいずれか一項に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【請求項8】
前記留め金の前記閉鎖構成において前記中央ブレード(2)の上面(5)からも下面(3)からも鉛直方向に突出しないよう、前記可動ブレード(12)の前記横アーム(13)の形状は中央ブレード(2)の形状に適合される、
請求項1から7のいずれか一項に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の留め金(1)によって連結される二つのブレスレット鎖(40)を含む、ブレスレット。
【請求項10】
各ブレスレット鎖(40)
の第1リンク(42)は、前記留め金の前記閉鎖構成において前記留め金(1)の少なくとも一部が嵌まる凹状領域(45)を含む、
請求項9に記載のブレスレット。
【請求項11】
請求項9及び10のいずれか一項に記載のブレスレットを含む、宝飾品または時計。
【請求項12】
中央ブレード(2)と二つの可動ブレ―ド(12)を含む、ブレスレット用の留め金(1)であって、各可動ブレード(12)は前記中央ブレード(2)の長手端に連接され、各可動ブレード(12)は、閉鎖構成において前記中央ブレード(2)の側面の外側に嵌まるよう意図される二つの横アーム(13)を有し、当該二つの横アーム(13)は、第1ピン(10)によって前記中央ブレード(2)の長手端に連結される第1自由端と、ブレスレット鎖(40)に連結するための第2の連結ピン(30)を受けることが可能な第2端と、を含み、
各可動ブレード(12)はU字型を含み、前記二つの横アーム(13)をそれらの第2端で連結する前記U字型の基部を形成する横断ロッド(14)を有し、
前記中央ブレード(2)は、各可動ブレード(12)の前記横アーム(13)の前記第2端に配置された前記横断ロッド(14)を受ける目的で、その中央上面に凹部(4)を含み、
前記二つの横断ロッド(14)は、前記留め金(1)の前記閉鎖構成において、前記中央ブレード(2)の前記凹部(4)に嵌められるように、前記凹部(4)の形状に適合される、
ブレスレット用の留め金(1)。
【請求項13】
前記留め金の前記閉鎖構成において、各可動ブレードの前記横アームは、前記可動ブレードと前記中央ブレードが同一の水平面内に配置されるように、前記中央ブレードの右側及び左側の側面に対して、前記中央ブレード周りに配置される、
請求項12に記載のブレスレット用の留め金(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宝飾品または時計のブレスレット用の留め金に関する。本発明はまた、このような留め金を含むブレスレット、及びこのような留め金を含む宝飾品または時計に関する。
【背景技術】
【0002】
装着者の手首の周りにブレスレットの二本の鎖を取り付けるための複数の解決策が存在する。第一の解決策はシンプルであり、それぞれの鎖の端部に、例えば一端に設置されたバックルとタングが他端に配置された穴と協働するというシンプルな形を取る、協働手段を設けることからなる。このような解決策は、協働手段を開いた際に、ブレスレットの二本の鎖が直ちに分離され、ブレスレットが落下する恐れを呈するという欠点を有する。
【0003】
この欠点を解決するため、別の解決策は、二本のブレスレット鎖の間に配置され、常にこれら二本の鎖の端部に固定されたままである、留め金型の中間要素を設けることからなる。このような留め金は、ブレスレットが装着された状態を意図され、ブレスレットが位置に留まることを可能とする全体長さを有することによりブレスレットと留め金が手首の周囲を囲むよう延びる、閉鎖構成と、ブレスレットの二本の鎖の二つの端部を、留め金から取り外すことなく分離することにより、留め金の、ひいてはブレスレットの長さを増加させ、手を通過させてブレスレットを取り外すことを可能とする、開放または展開構成という、二つの構成を取る。この留め金の開放構成において、ブレスレットの二本の鎖は分離されず、そのためブレスレットの落下の恐れを最小限とするため、例えば腕時計の場合に有利である。
【0004】
留め金を有する解決策の場合、第一の目的は、ブレスレットが装着されている際の最高の快適さ、及びその留め金を採用するブレスレットの良好な審美的効果の追求である。そのためには、留め金が閉鎖構成にある際に、どんな小さな手首であれ、手首の外形に留め金がぴったりと合うことが有利である。平行して、第二の目的は、手の通過を容易にするため、留め金の展開構成におけるブレスレットが大きな開放表面積を達成することである。それゆえに、留め金の製造における難しさのひとつは、腕時計の装着者の手首に密着して快適にぴったりはまること、美的で魅力的な効果を得ること、及び装着者の手が通過するのに十分な大きさを有する開口を提供することの間の妥協点を定めることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、最高の審美的効果、及びその開閉機能の面において最大の信頼性及び操作性を達成することを可能とする、ブレスレット用の留め金を提供するという全体的な目標を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は中央ブレードと二つの可動ブレ―ドを含む、ブレスレット用の留め金に関し、各可動ブレードは中央ブレードの長手端に連接され、各可動ブレードは、閉鎖構成において中央ブレードの両側面の外側に嵌まるよう意図される二つの横アームを有し、当該二つの横アームは、第1ピンによって中央ブレードの長手端に連結される第1自由端と、ブレスレット鎖に連結するための第2の連結ピンを受けることが可能な第2端と、を含み、中央ブレードは、留め金の閉鎖構成において、横アームの第2端に配置された当該第2ピンを受ける目的で、その中央上面に凹部を含む。
【0007】
各可動ブレードはU字型を含んでもよく、二つのアームをそれらの第2端で連結する横断ロッドを有し、横断ロッドは、ブレスレット鎖に連結するための第2の、連結ピンを受けることが可能な横断開口を含む。
【0008】
中央ブレードの下面は、平らである、またはその上面に対して逆の凸状を有してよい。
【0009】
ブレスレット用の留め金は、可動ブレードを留め金の閉鎖構成における位置に保持するため、中央ブレードに配置された各可動ブレードを係止するための少なくとも一つの係止装置を含んでもよい。
【0010】
係止装置はボール/ばね組立体または弾性ブレードであってよい。
【0011】
中央ブレードは、その凹部の両側のそれぞれに少なくとも一つの横断開口を含んでよく、各横断開口はその中に、二つのボール/ばね組立体を含む係止装置を受ける。
【0012】
ブレスレット用の留め金は、留め金の閉鎖構成において係止装置と協働する、少なくとも一つの横アームの表面に配置された凹状領域と止め部とを含んでもよい。
【0013】
留め金の閉鎖構成において中央ブレードの上面からも下面からも鉛直方向に突出しないよう、可動ブレードの横アームの形状は中央ブレードの形状に適合される。鉛直方向は、下面と上面とに直角であると理解される。
【0014】
本発明はまた、上述した留め金によって連結される二つのブレスレット鎖を含む、ブレスレットに関する。
【0015】
各ブレスレット鎖の第1リンクは、留め金の閉鎖構成において留め金の少なくとも一部が嵌まる凹状領域を含んでもよい。
【0016】
本発明はまた、上述されたブレスレットを含む、宝飾品または時計に関する。
【0017】
本発明のその他の利点及び特徴は、添付の図面に関して非限定的態様で与えられる、本発明の特定の実施形態についての、以下の説明において詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るブレスレット用の留め金を上から見た分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る、閉鎖構成にある留め金を上から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る、閉鎖構成にある留め金を下から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る、閉鎖構成にある留め金を上から見た図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る、閉鎖構成にある留め金を側面から見た縦断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る、閉鎖構成にある留め金を側面から見た横断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る留め金の中央ブレードを上から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る留め金の中央ブレードの側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る留め金の可動ブレードを上から見た斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る留め金を係止するための係止装置を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る留め金を係止するための係止装置を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る、開放構成にある留め金を具備したブレスレットの側面図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る、開放構成にある留め金を具備したブレスレットを下から見た図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る留め金を具備したブレスレットの閉鎖段階の際の側面斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る、閉鎖構成にある留め金を具備したブレスレットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
説明を簡略化するため、慣習に基づく使用として、「長手方向」の語は、ブレスレットの留め金または鎖の長さに沿った方向を指し、「横断方向」の語は、ブレスレットの留め金または鎖の面における、(幅に沿った)直角方向を指す。鉛直方向は、前記二つの方向に対して直角な方向であり、ブレスレットのまたは留め金の面に対して直角に配置される。加えて、「リンク」の語は、ブレスレットの個々の構成要素を指すのに使われる。「ブレスレット」は、留め金の有無にかかわらずブレスレットを全体として、またはブレスレットの二つの鎖の一方または他方、を指すのに使われる。「上」及び「下」の形容詞は、留め金及びブレスレットが手首の周りに位置される状況を考慮して、もしくはそれらが手首の周りを周るよう伸びた状態で、それぞれ、手首と反対の側、及び手首側、に位置された表面または要素を指すのに使われる。「横」の形容詞は、横断方向から見た留め金の及びブレスレットの端部に向かって位置する表面または要素を指すのに使われる。留め金の横端部は、有利には、長手かつ鉛直な側面によって形成される。
【0020】
図1から5は、本発明の一実施形態に係る留め金1を示す。このような留め金は、中央ブレード2と、中央ブレード2の各長手端部に配置される第1ピン10の周りを回転移動可能な連結を介して対称に配置される、中央ブレードを覆う二つの可動ブレード12の、三つのブレードを含む。各可動ブレード12は、中央ブレード2にリンクされた長手端とは反対の長手端に配置される第2ピン30を含み、
図12から15を参照して後述される通り、当該第2ピン30を介して可動ブレードがブレスレット鎖にリンク可能である。
【0021】
図2から4は閉鎖構成にある留め金を示し、ここで各可動ブレード12は中央ブレード2の上に折られる。この閉鎖構成において、ブレスレット鎖の係止手段を受けることを意図される各可動ブレード12の端部は、互いに近寄り、中央ブレード2の中央部分において、当接するかほぼ当接する。後述の通り、係止装置20が留め金の当該閉鎖構成をその位置に安定状態で保持する。
【0022】
図7及び8は、本発明の実施形態に係る留め金1の中央ブレード2をより詳細に示す。下記に詳細に記すとおり、この中央ブレード2は、可動ブレード12の各アームによって側面から覆われることを意図しているため、横断方向に狭い。この横断方向の幅は、留め金の全幅の実質的に半分を構成する。
図5に特に示されるように、中央ブレード2の上面5の中央部分に、各可動ブレード12の横断ロッド14を受けるよう意図された、凹部4が配置される。この凹部4を除いて、当該上面は、実質的に手首の形状に従う、丸みを帯びた凸形状を有する。これに対して、手首と直接当接することを意図される中央ブレード2の下面3は、実質的に平らな中央部分を有し、または、驚くことに、手首との関係においてわずかに逆の凸状である。この形状は、中央部分における中央ブレード2の高さ(つまり厚み)を最大化することを可能とし、この高さは鉛直方向に測定され、横断ロッド14を受けるのに十分な大きさを有する凹部4を形成することを可能とする。このように、上面5と下面3の二つの面の凸形状は、中央ブレードの中央部分における高さを増加させるために適合される。この増加はまた、十分な機械強度を有する形状を達成することを可能とするため、中央ブレードのために選択された材料に適合される。下記に詳述する通り、有利には可動ブレードを係止するための係止装置20を受けるのに十分な高さを有する中央ブレード2の領域において、凹部4の周りに複数の横断貫通開口6が配置される。より正確には、凹部4の両側にそれぞれ、二つの横断開口6が配置される。最後に、中央ブレード2の各長手端にはそれぞれ横断開口9が配置され、横断開口9は可動ブレード12の旋回のための第1ピン10を受けるよう設計される。
【0023】
図9は、本発明の実施形態に係る留め金の可動ブレード12を示す。このような可動ブレードはU字型を有し、閉鎖構成において、
図2から4に示す通り、中央ブレード2の側面の外側に嵌まることを意図される二つの横アーム13を含む。この二つの横アーム13は、中央ブレード2の一端に枢着連結するための第1枢着連結ピン10を受けることを意図される開口19を有する、第1の、連結自由端を含む。可動ブレード12はさらに、U字型の基部を形成する横断ロッド14を含み、横断ロッド14は二つの横アーム13をそれらの第二端で連結する。当該横断ロッド14はブレスレット鎖に連結するための第2の、連結ピン30を受けることを意図される横断貫通開口18を含む。最後に、各アーム13は、その内側面に、後述の通り、係止装置と協働することを意図される凹状領域15を含む。
【0024】
留め金の閉鎖構成において、二つの可動ブレード12の二つの横断ロッド14は、それぞれ、中央ブレード2の凹部4に嵌まるようになり、各可動ブレードの横アーム13は中央ブレード周りに、中央ブレードの右側面及び左側面に面し、ほぼ当接するよう、配置される。各可動ブレードと中央ブレードとはこのように、実質的に同じ水平面上に位置される。
図4に示す正中縦断面AAを通る、
図5の断面図に示す通り、凹部4の形状は横断ロッド14に適合されるため、これらのロッドは完全に凹部内に位置され、特に中央ブレード2の上面5から突出しないか、またはわずかにしか突出しない。凹部4は、中央部により高い表面を有する、凸形状の丸みを帯びた基部を含み、それにより、円形の部分の形状を有する壁によって実質的に範囲を定められる二つの凹みを形成し、円形の曲率半径は円筒状の横断ロッド14に適合される。加えて、横アーム13が留め金の閉鎖構成にあって鉛直方向に中央ブレード2から突出しないように、横アーム13は中央ブレード2に対応する高さ及び形状を有する。この構成により、以下に説明する通り、閉鎖構成にある留め金の大きさを最小化することによりブレスレット全体に対するその影響を最小にする。
【0025】
加えて留め金1は、
図10及び
図11に示すいくつかの係止装置20を具備しており、その機能は、留め金が意図せず偶然に開いてしまうことを防ぐため、可動ブレード12を留め金の閉鎖構成における位置へ保持することに加わることである。各係止装置20は実質的に円筒状の本体21を含み、その開口端のそれぞれに、予荷重構成において、つる巻ばね23の荷重にさらされる、ボール22を含む。静止状態では、
図10及び
図11に示す通り、各つる巻ばね23は対応するボール22に力を作用させ、その力は係止装置20の外側に向かうものである。各ボールはこのように、係止装置の内側壁に当接状態に保持され、係止装置の二つの端部から突出する。係止装置20が中央ブレード2の横断開口6内に位置されるよう構成され、それにより二つのボール22はそれぞれ、中央ブレードの左右の各側壁の外側に突出する。
【0026】
留め金を閉じる作業の際、可動ブレード12の各アーム13は突出するボール22を圧迫する状態になり、対応するばね23によって作用する力に対抗して、ボール22を一時的に係止装置20の内部に引っ込ませる。これらのアーム13がその動きを最終の閉鎖位置まで継続すると、ボール22はこれらのアーム13の内側面に配置された凹状領域15に隣接して位置され、それによりボール22は、対応するばねの影響の下で、突出する静止位置を再び取る。ボール22はこのように、可動ブレード12のアーム13にある凹状領域15内に嵌まるようになる。各凹状領域15は、その境界を画定する水平の、または面取りされた、表面を含み、この水平面は留め金の閉鎖構成において低い部分に位置され、
図6に示す通り、上述のようにボール22を圧迫するように位置されることにより止め部16を形成し、可動ブレード12が上向きに開く動きを防ぎ、それにより位置に保持する機能を保証する。この配置、特にばね23によって作用する力、は留め金1の意図しない開放を防止しつつ、使用者の意図的な試みにより開放可能なよう設計される。
【0027】
図12は、上述の通り、二つの可動ブレード12の第2ピン30を介して二つのブレスレット鎖40に結合された留め金を示す。留め金はその展開構成にあり、その全長は中央ブレード2の長さと二つの可動ブレード12の長さとの合計であり、これにより手が通過するためのブレスレットの全長を大きく増加させる。
【0028】
図13は、同じブレスレットの留め金が開放位置にある状態を下から見た図である。この図は、可動ブレードに近い各ブレスレット鎖の第1リンク42が、その下面に凹状領域45を有し、凹状領域45の形状は、留め金を隠し、留め金の閉鎖構成における審美的な影響を最小とするため、閉鎖構成にある留め金の半分が少なくとも部分的に嵌まることを可能とすることを示す。
【0029】
図14は、
図12及び
図13に示されるブレスレットの留め金を閉じる中間段階を示す。そのため、
図15に示す閉鎖構成に達するまで、二つのブレードはそれらの各第1ピン10の周りを回転される。この閉鎖位置において、二つの横断ロッド14及び従って第2ピン30は留め金の中央ブレード2の凹部に挿入され、それによりブレスレット鎖40の各端部の上面はほぼ当接状態となり、上から見たときに、留め金は見えず、連続したブレスレットの印象を与える。この印象は、留め金がブレスレット鎖の第1リンク42の凹状領域45に完全にまたは部分的に嵌まることにより、強められる。このようにして、
図15の側面図においてさえ、留め金1は閉鎖構成において、ほぼ見えない。このように、当該構成によると、閉鎖構成において留め金は隠れ、ブレスレットは連続しているように見えるため、最高の美観を得るという有利点を有する。
【0030】
ブレスレットのリンクはこのように、留め金の幅よりも大きい幅を有することを注記する。リンクの幅は、留め金の幅の30%以上、または50%以上、または2倍の幅であってよい。
【0031】
留め金の様々なブレードは、例えばチタンなどの金属または金属合金製であってよく、またはセラミック製であってよい。変形例として、ブレードは、例えばPEEKなどのプラスチック材料製、または例えば炭素系複合材などの複合材料製であってよい。
【0032】
上述した通り、本発明はさらに部品に関し、部品はブレスレットであってよい。本発明はまた、例えば腕時計などの時計に関し、それはこのようなブレスレットを含んでもよい。より一般的には、本発明はさらに、このようなブレスレットを含む宝飾品または時計に関する。
【0033】
言うまでもなく、本発明は上述した実施例に制限されるものではない。特に、係止装置20は異なってよい。ボール/ばね組立体におけるボールの数は異なってよい。変形例として、係止装置は、例えば弾性的に移動可能な係止要素を含む他の装置などの、ボール/ばね組立体以外の手段によって形成されてもよい。この係止要素は、留め金の中央ブレード材に形成された切込みにより直接得られた側面弾性ブレードによって形成されてもよい。
【0034】
留め金の各要素の形状は異なってもよい。特に、可動ブレードは常に、中央ブレードの横側面に当接するに至る二つの横アームを含む。しかしながら、可動ブレードはU字型である必要はなく、横断ロッド14を第2の、連結ピン30によって置き換えることが可能である。
【0035】
本発明はさらに、中央ブレードと二つの可動ブレードを含むブレスレット用の留め金に関し、各可動ブレードは中央ブレードの長手端において連接されており、中央ブレードは、可動ブレードを留め金の閉鎖構成における位置に保持するための係止装置を受ける目的のため、少なくとも一つの横断開口を含む。当該係止装置は二つのボール/ばね組立体を含んでもよい。