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特許7462674電気絶縁材料製のフレームを備える容量性ブロックおよび電気機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電気絶縁材料製のフレームを備える容量性ブロックおよび電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/224 20060101AFI20240329BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20240329BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20240329BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20240329BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20240329BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20240329BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20240329BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20240329BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01G4/224 200
H01G2/10 M
H01G2/02 101E
H01G2/08 A
H01G4/228 S
H01G4/32 301F
H01G4/32 540
H01G4/38 A
H01G4/40 A
H01G17/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021560449
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020059642
(87)【国際公開番号】W WO2020201543
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】1903711
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521442084
【氏名又は名称】ヴァレオ、シーメンス、イーオートモーティブ、フランス
【氏名又は名称原語表記】VALEO SIEMENS EAUTOMOTIVE FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、ジレ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー、ラマルシェ
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-270461(JP,A)
【文献】特開2014-229681(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125548(WO,A1)
【文献】特開2016-197676(JP,A)
【文献】特開2018-182066(JP,A)
【文献】特開2019-017220(JP,A)
【文献】国際公開第2015/182081(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0141850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/224
H01G 2/10
H01G 2/02
H01G 2/08
H01G 4/228
H01G 4/32
H01G 4/38
H01G 4/40
H01G 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性ブロック(100)であって、
少なくとも1つの容量性素子(105)と、
前記容量性素子(105)の第1端部(105a)に当接して、前記容量性素子(105)に電気的に接続された少なくとも1つの電気伝導性プレート(112)を備える第1電気伝導体(110)と、
電気絶縁材料から構成された第1フレーム(101)であって、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部に対応することにより前記電気伝導性プレート(112)を前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に絶縁する第1フレーム(101)と、
を備え
前記第1フレーム(101)は、前記電気伝導性プレート(112)の面に当接するように構成された第1部分(101a)と、前記第1部分(101a)から横方向に延びて前記電気伝導性プレート(112)の周囲にスカート(101b)を形成する第2部分(101b)と、を備える、
容量性ブロック(100)。
【請求項2】
前記スカート(101b)は、前記第1フレーム(101)の前記第1部分(101a)から所定距離に亘って延び、前記電気伝導性プレート(112)と前記容量性ブロック(100)の周囲環境との間で空気を介して電流が流れることを防止する、
請求項に記載の容量性ブロック(100)。
【請求項3】
前記第1電気伝導体(110)は、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部から前記電気伝導性プレート(112)に対して横方向に延びる少なくとも1つの接続部(113、114)を含み、
前記第1フレーム(101)は、前記接続部(113、114)の面に向かい合うように延びてこれを前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に保護する保護部(103、104)を備える、
請求項1または2に記載の容量性ブロック(100)。
【請求項4】
容量性ブロック(100)であって、
少なくとも1つの容量性素子(105)と、
前記容量性素子(105)の第1端部(105a)に当接して、前記容量性素子(105)に電気的に接続された少なくとも1つの電気伝導性プレート(112)を備える第1電気伝導体(110)と、
電気絶縁材料から構成された第1フレーム(101)であって、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部に対応することにより前記電気伝導性プレート(112)を前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に絶縁する第1フレーム(101)と、
を備え、
前記第1電気伝導体(110)は、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部から前記電気伝導性プレート(112)に対して横方向に延びる少なくとも1つの接続部(113、114)を含み、
前記第1フレーム(101)は、前記接続部(113、114)の面に向かい合うように延びてこれを前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に保護する保護部(103、104)を備える、
容量性ブロック(100)。
【請求項5】
前記第1電気伝導体(110)は、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部から前記電気伝導性プレート(112)に対して横方向に延びる第1接続部(113)であって、前記容量性素子(105)から遠ざかるように延びる第1接続部(113)を備え、
前記第1フレーム(101)は、前記第1接続部(113)の面に向かい合うように延びてこれを前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に保護する第1保護部(103)であって、前記第1フレーム(101)の前記第1部分(101a)から前記第1フレーム(101)の前記第2部分(101b)により形成された前記スカートの方向と反対方向に延びる第1保護部(103)を備える、
請求項1または2に記載の容量性ブロック(100)。
【請求項6】
前記第1電気伝導体(110)は、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部から前記電気伝導性プレート(112)に対して横方向に延びる第2接続部(114)であって、前記電気伝導性プレート(112)から前記容量性素子(105)に向かい合うように延びる第2接続部(114)を備え、
前記第1フレーム(101)は、前記第2接続部(114)の面に向かい合うように延びてこれを前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に保護する第2保護部(104)であって、前記スカート(101b)の少なくとも一部により形成された第2保護部(104)を備える、
請求項1または2に記載の容量性ブロック(100)。
【請求項7】
前記第1フレーム(101)は、少なくとも1つの第2電気伝導体(120)を支持し、
少なくとも1つの前記第2電気伝導体(120)は、前記第1電気伝導体(110)を覆うことにより、前記第1電気伝導体(110)を、前記容量性素子(105)以外の電気部品に接続するように構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の容量性ブロック(100)。
【請求項8】
前記第1フレーム(101)の内側縁部沿って全体的に連続的に広がるとともに、前記第1フレーム(101)の内側に向かって径方向に延びるフレーム形状の電気絶縁フィルム(108)をさらに備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の容量性ブロック(100)。
【請求項9】
容量性ブロック(100)であって、
少なくとも1つの容量性素子(105)と、
前記容量性素子(105)の第1端部(105a)に当接して、前記容量性素子(105)に電気的に接続された少なくとも1つの電気伝導性プレート(112)を備える第1電気伝導体(110)と、
電気絶縁材料から構成された第1フレーム(101)であって、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部に対応することにより前記電気伝導性プレート(112)を前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に絶縁する第1フレーム(101)と、
前記第1フレーム(101)の内側縁部に沿って全体的に連続的に広がるとともに、前記第1フレーム(101)の内側に向かって径方向に延びるフレーム形状の電気絶縁フィルム(108)と、
を備える容量性ブロック(100)。
【請求項10】
前記電気伝導性プレート(112)は、前記容量性素子(105)の少なくとも1つの電極に当接し、
前記電極は、前記容量性素子(105)の前記第1端部(105a)に配置されて、これに電気的に接続されている、
請求項1~のいずれか一項に記載の容量性ブロック(100)。
【請求項11】
両に搭載されるように構成された電気機器(200)であって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の容量性ブロック(100)と、
パワーエレクトロニクスモジュール(210)と、
冷却回路(220)と、
を備え、
前記容量性ブロック(100)の前記電気伝導性プレート(112)は、前記冷却回路(220)の一面に当接し、
前記パワーエレクトロニクスモジュール(210)は、前記冷却回路(220)の反対側の面に当接している、
電気機器(200)。
【請求項12】
車両に搭載されるように構成された電気機器(200)であって、
容量性ブロック(100)と、
パワーエレクトロニクスモジュール(210)と、
冷却回路(220)と、
を備え、
前記容量性ブロック(100)は、
少なくとも1つの容量性素子(105)と、
前記容量性素子(105)の第1端部(105a)に当接して、前記容量性素子(105)に電気的に接続された少なくとも1つの電気伝導性プレート(112)を備える第1電気伝導体(110)と、
電気絶縁材料から構成された第1フレーム(101)であって、前記電気伝導性プレート(112)の周縁部に対応することにより前記電気伝導性プレート(112)を前記容量性ブロック(100)の周囲環境から電気的に絶縁する第1フレーム(101)と、
を備え、
前記容量性ブロック(100)の前記電気伝導性プレート(112)は、前記冷却回路(220)の一面に当接し、
前記パワーエレクトロニクスモジュール(210)は、前記冷却回路(220)の反対側の面に当接している、
電気機器(200)。
【請求項13】
請求項5に記載の容量性ブロック(100)を備える電気機器(200)であって、
前記第1接続部(113)は、前記冷却回路(220)の縁部により少なくとも部分的に形成された通路を通過して、前記パワーエレクトロニクスモジュール(210の電気端子(211)に直接接続され、
前記第1フレーム(101)の前記第1保護部(103)は、前記通路において、前記第1接続部(113)と前記冷却回路(220)との間で延びている、
請求項11または12に記載の電気機器(200)。
【請求項14】
前記冷却回路(220)と前記電気伝導性プレート(112)との間に、電気絶縁性であるが熱伝導性である材料の層(230)を備え、
前記材料の層(230)は、前記第1フレーム(101)の中央開口に入り込んでいる、
請求項11~13のいずれか一項に記載の電気機器(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車、特に電気自動車やハイブリッド車等の自動車に搭載される特に電気機器用の容量性ブロックに関する。このような電気機器は、インバータ、電圧変換器、または電気バッテリー充電器であってもよい。
【背景技術】
【0002】
既知のように、容量性ブロックにおいて、容量性素子がケーシングに配置され得るとともに、主として容量性素子を支持しつつこれを湿気から保護する機能を果たす充填材料に埋設され得る。このような充填材料は、一般的に樹脂の形態を有する。容量性素子は、例えば、コンデンサの端子に巻回されたフィルムから構成される。典型的に、容量性ブロックの外面がケーシングの外壁および樹脂で形成された面により形成されるように、容量性素子は、樹脂に完全に埋設されている。電気端子のみが前記面から樹脂の外側に延び出ている。しかしながら、特定の用途において、特に電気自動車やハイブリッド車において、電子部品の体積を低減させることが求められている。現在、この容量性ブロック構造では、ケーシングおよび樹脂が少なからぬスペースを占めている。さらに、樹脂がその硬化前に流れ得るように、容量性素子とケーシングの側壁との間にスペースを残す必要がある。
【0003】
ケーシングが容量性素子の高さより短い高さに亘って延びている容量性ブロックが、知られている。ケーシングは、容量性ブロックの電気端子と容量性素子の電極との電気的接続部を備える容量性ブロックの第1端部に、樹脂を受容するのに十分な大きさの凹部を形成している。
【0004】
このような構造では、ケーシングの高さが低いため、容量性ブロックの体積が制限される。しかしながら、このような容量性ブロック構造においては、樹脂の外側にある容量性素子の部分が、容量性ブロックの外部環境から保護されていない。特に、容量性素子の第1端部の反対側の第2端部に電気伝導性プレートが取り付けられる場合、電気プレートは、隣接する環境から先験的に絶縁されない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、樹脂によって保護されていない容量性ブロックの素子を電気的に保護することが必要である。
【0006】
この目的のために、本発明は、
容量性ブロックであって、
少なくとも1つの容量性素子と、
前記容量性素子の第1端部に当接することにより前記容量性素子に電気的に接続された少なくとも1つの電気伝導性プレートを備える第1電気伝導体と、
電気絶縁材料から構成された第1フレームであって、前記伝導性プレートの周縁部に対応することにより前記プレートを前記容量性ブロックの周囲環境から電気的に絶縁する第1フレームと、
を備える容量性ブロックに関する。
【0007】
伝導性プレートの縁部に当接することにより、第1フレームは、容量性ブロックの付近の電気伝導性素子との間に、空気を介して、またはリーク経路に沿って、電流が流れることを防止する。
【0008】
一実施形態によれば、前記第1フレームは、前記電気伝導性プレートの面に当接するように構成された第1部分と、前記第1部分から横方向に延びて前記伝導性プレートの周囲にスカートを形成する第2部分と、を備える。したがって、スカートは、伝導性プレートの近傍に位置する素子に対する電気絶縁バリアを形成する。特に、スカートは、前記伝導性プレートの縁部に面している。具体的には、第1部分が当接する面は、容量性素子の第1端部の反対側である。
【0009】
一変形例によれば、前記スカートは、第1端部からの容量性素子の高さの2分の1、さらには3分の1または4分の1より小さい高さで終了する。したがって、スカートは、容量性素子の全高に亘って延びていないため、容量性ブロックの体積が制限される。
【0010】
一変形例によれば、前記スカートは、前記第1フレームの前記第1部分から所定距離に亘って延び、前記伝導性プレートと前記容量性ブロックの周囲環境との間で空気を介して電流が流れることを防止する。
【0011】
一実施形態によれば、前記第1電気伝導体は、前記伝導性プレートの周縁部から前記伝導性プレートに対して横方向に延びる少なくとも1つの接続部を含み、前記第1フレームは、前記接続部の面に向かい合うように延びてこれを前記容量性ブロックの周囲環境から電気的に保護する保護部を備える。具体的には、前記保護部は、前記接続部の前記面に対して平行に延びる。
【0012】
一変形例によれば、前記第1電気伝導体は、前記容量性素子から遠ざかるように延びる第1接続部を備え、前記第1フレームは、前記第1フレームの前記部分から前記第1フレームの前記第2部分により形成された前記スカートの方向と反対方向に延びる第1保護部を備える。
【0013】
一変形例によれば、前記第1電気伝導体は、前記伝導性プレートから前記容量性素子に向かい合うように延びる第2接続部を備え、前記第1フレームは、前記スカートの少なくとも一部により形成された第2保護部を備える。
【0014】
一実施形態によれば、前記第1フレームは、少なくとも1つの第2電気伝導体を支持し、少なくとも1つの前記電気伝導体は、前記第1電気伝導体を覆うことにより、前記第1電気伝導体を、前記容量性素子以外の電気部品に、特に電力供給源をフィルタリングするためのフィルタリング素子に接続するように構成される。したがって、第2電気伝導体は、第1フレームに一体化されている。このため、第1フレームは、伝導性プレートを電気的に絶縁する機能だけでなく、第2電気伝導体により、第1伝導体と容量性ブロックの別の素子を電気的に接続する機能も有している。
【0015】
特定の一変形例によれば、一方の接続部、特に第2接続部の一端部は、第1フレームの第2電気伝導体の一端部を覆って電気的接続をなすように構成されている。
【0016】
一実施形態によれば、前記容量性ブロックは、前記第1フレームの前記内側縁部沿って全体的に連続的に広がるとともに、前記第1フレームの内側に向かって径方向に延びるフレーム形状の電気絶縁フィルムをさらに備える。絶縁フィルムにより、特に、伝導性プレートと、容量性ブロックの近傍の素子、特に伝導性プレートに面して配置された素子との間におけるリーク経路を拡大することができる。
【0017】
一実施形態によれば、前記伝導性プレートは、前記容量性素子の少なくとも1つの電極に当接し、前記電極は、前記容量性素子の前記第1端部に配置されて、これに電気的に接続されている。
【0018】
具体的には、伝導性プレートと容量性素子の電極との接続部は、ワニスにより保護される。
【0019】
本発明は、本発明による容量性ブロックと、パワーエレクトロニクスモジュールと、冷却回路と、を備える、特に車両に搭載されるように構成された電気機器にさらに関する。前記容量性ブロックの前記伝導性プレートは、前記冷却回路の一面に当接し、前記パワーエレクトロニクスモジュールは、前記冷却回路の反対側の面に当接している。
【0020】
具体的には、パワーエレクトロニクスモジュールは、電気回路を形成する複数の半導体チップを備えるアセンブリである。前記チップは、同一のパッケージに封入されている。より具体的には、パワーエレクトロニクスモジュールは、インバータを形成していてもよく、車両を駆動するように構成された電気モータ等の電気機械に供給される電力が流れる部品を備えている。前記部品は、直流を交流に、また逆に交流を直流に変換することが意図されている。このようなパワーエレクトロニクスモジュールは、特に、高電圧電源のバッテリーと電気機械との間で、電力が制御された態様で流れることを可能にするように構成されている。
【0021】
一実施形態によれば、電気機器は、第1接続部と第1保護部とを備えた容量性ブロックを備えている。前記第1接続部は、前記冷却回路の縁部により少なくとも部分的に形成された通路を通過して、前記パワーエレクトロニクスモジュールの前記電気端子に直接接続されている。また、前記第1フレームの前記第1保護部は、前記通路において、前記第1接続部と前記冷却回路との間で延びている。したがって、第1フレームの第1保護部は、第1電気伝導体の第1接続部を、冷却回路から電気的に絶縁する。第1接続部は、特に、第1接続部と冷却回路との間において空気中で電気アークが形成されることを防止する。
【0022】
一実施形態によれば、前記電気機器は、電気絶縁性であるが熱伝導性である材料の層を、前記冷却回路と前記伝導性プレートとの間に備え、前記材料の層は、前記第1フレームの前記中央開口に入り込んでいる。この材料は、伝導性プレートを、伝導性プレートの外面に面して配置された周囲環境の素子から絶縁することにより、伝導性プレートの電気絶縁性を高いものとする。具体的には、この材料は、伝導性プレートを冷却回路から電気的に絶縁する。しかしながら、この材料は、伝導性プレートと冷却回路との熱交換に寄与する。
【0023】
一実施形態によれば、電気機器は、インバータ、または電圧変換器、または電気バッテリー充電器を形成する。
【0024】
添付図面を参照して非限定的な例としてなされる以下の説明を読むことにより、本発明はより良く理解されるとともに、本発明の他の詳細、特徴および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による容量性ブロックの例を示す図。
図2図1の容量性ブロックの容量性素子を示す図。
図3図1の容量性ブロックを、フレームを省略して示す図。
図4図1の容量性ブロックのフレームを示す図。
図5】フレームに追加の絶縁フィルムを有する一変形例を示す図。
図6】フレームの平面図。
図7】本発明の一実施形態による電気機器の例を示す図。
図8図7の電気機器において防止される電気アークの例を示す図。
図9図7の電気機器において防止されるリーク経路の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面は、本発明による例を、これが実施されるように詳細な態様で開示していることに留意されたい。当然ながら、これらの図面は、必要に応じて、本発明をより良好に定義する役割を果たし得る。
【0027】
図1は、本発明の一例による容量性ブロック100を示す。容量性ブロック100は、複数の容量性素子105を備えている。このような容量性素子105を、図2に示す。容量性素子105は、特に、容量性素子105の第1端部105aに形成された電極を備えている。電極は、第1端部105a全体に亘って延びていてもよい。容量性素子105は、特に、容量性素子105を保護する本体107を備えている。具体的には、本体107は、電気絶縁性を有し得る。第1端部105aの反対側の第2端部105bは、第1端部105aの電極と逆の極性の電極を備えている。電極は、第2端部105b全体に亘って延びていてもよい。あるいは、容量性素子105は、単一の端部105a、105bにおいて一体にまとめられた電極を有していてもよい。容量性素子105は、例えばフィルムコンデンサである。また、容量性ブロック100は、単一の容量性素子105のみを備えていてもよい。
【0028】
容量性ブロック100は、さらに、電気伝導性プレート112を含む第1電気伝導体110を備えている。電気伝導性プレート112は、容量性素子105の第1端部105aに当接して、これに電気的に接続されている。特に、伝導性プレート112は、第1端部105aの電極に当接して、接続している。この目的のために、プレート112は、図3により明瞭に示されるタブ112Lを備えていてもよい。これらのタブ112Lは、プレート112に規定されて、第1端部105aに接合されている。ラッカー、特にシリコーンラッカーが、タブ112Lと第1端部105aとの接続部に、さらには、湿気からの保護を目的として第1端部105aの全域に亘って塗布されていてもよい。しかしながら、第1端部105aに電極がない場合、伝導性プレートは第1端部105aに当接して、容量性素子105の本体107を接地させてもよい。
【0029】
また、容量性ブロック100は、プラスチック等の電気絶縁材料から構成された第1フレーム101を備えている。フレーム101は、伝導性プレート112の周縁部に対応することにより、プレート112を容量性ブロック100の周囲環境から電気的に絶縁する。例えば、図7(後述)に示すように、容量性ブロック100が電気機器200に組み込まれる場合、フレーム101によって、伝導性プレート112を、容量性ブロック100の近傍にある冷却回路220から、電気的に絶縁することが可能となる。
【0030】
図4は、容量性ブロック100のフレーム101を示す。したがって、フレーム101は、内側縁部により画定された中央開口を備えている。フレーム101は、特に、電気伝導性プレート112の面に当接するように構成された第1部分101aを備えている。第1部分101aは、具体的には、伝導性プレート112の面であって、容量性素子105の反対側の面に当接する。具体的には、第1部分101aは、フレーム101の内側縁部を備えている。
【0031】
さらに、フレーム101は、第1部分101aから横方向に延びて、伝導性プレート112の周囲にスカート101bを形成する第2部分101bを備えていてもよい。スカート101bは、伝導性プレート112をその周囲環境から電気的に絶縁することに寄与する。特に、スカート101bは、伝導性プレート112の縁部に面し、伝導性プレート112の縁部を越えて容量性素子105の第2端部105bに向かっている。しかしながら、スカート101bは、容量性素子105の第2端部105bに達していない。したがって、容量性ブロック100の体積は、特にスカート101bに対して垂直な方向において制限されている。図面において、スカート101bの高さ、すなわち、スカート101bの縁部であって第1部分101aに連結された縁部と、スカート101bの最遠端縁部との間の距離は、容量性素子105の高さの2分の1より小さい。容量性素子105の高さは、特に、第1端部105aと第2端部105bとの間の距離である。
【0032】
例えば図3に示すように、容量性ブロック100は、第1伝導体110の接続部113、114により形成された電気端子を備えていてもよい。接続部113、114は、伝導性プレート112の周縁部から、前記伝導性プレート112に対して横方向に延びている。具体的には、第1伝導体110は、伝導性プレート112から、容量性素子105から遠ざかるように延びる第1接続部113を備えている。第1接続部113は、例えば、特に電気機器200(後述)におけるパワーエレクトロニクスモジュールの端子に当接するように構成されている。第1電気伝導体110は、伝導性プレート112から容量性素子105に向かい合うように延びる第1接続部114を備えていてもよい。第2部分114は、例えば、電気伝導体に当接することにより容量性ブロックを電力供給源に接続するように構成されている。
【0033】
接続部113、114を保護するために、フレーム101は、接続部113、114に沿って延びて、これらを容量性ブロック100の周囲環境から電気的に保護するための保護部103、104を備えていてもよい。具体的には、フレーム101は、フレーム101の第1部分101aからフレーム101の第2部分101bにより形成されたスカートの方向と反対方向に延びる第1保護部103を備えている。第1保護部103は、第1接続部113の面に向かい合うように延びて、第1接続部113を少なくとも部分的に覆っている。具体的には、第1保護部113と第1接続部103とは、第1接続部113の前記面に対して垂直な方向において重なっている。フレーム101は、スカート101bにより形成された第2保護部104を備えている。保護部103、104により、特に、接続部113、114を、近傍の素子200から電気的に絶縁することができ、特に、空気を介して電気アークが発生したり、リーク経路に沿って電流が流れたりすることが防止される。
【0034】
図6を参照すると、フレーム101は、少なくとも1つの第2電気伝導体120を備えていてもよい。第2電気伝導体120は、第1電気伝導体110を覆うことにより、第1電気伝導体110を、容量性素子105以外の電気部品、例えば電力供給源をフィルタリングするためのフィルタリング素子に接続するように構成されている。
【0035】
具体的には、容量性ブロック100は、正の第1伝導体110pと負の第1伝導体110nとを備えている。第1伝導体110p、110nは、特に、容量性素子105の第1端部105aが存在する容量性ブロック100の面において同一平面にある。フレーム101は、正の第1伝導体110pと負の第1伝導体110nにそれぞれ接続された正の第2電気伝導体120pと負の第2電気伝導体120nとを備えている。したがって、第2電気伝導体120は、フレーム101に一体化されている。第2電気伝導体120は、例えば、クリップを用いて、または圧力嵌めにより、またはオーバーモールドにより、フレーム101の材料によって支持されている。したがって、第1フレーム101は、第1伝導体110を、容量性素子105以外の電気部品、例えば電力供給源をフィルタリングするためのフィルタリング素子に接続する役割をさらに果たす。具体的には、第2接続部114の一端部115は、フレーム101の第2電気伝導体120の一端部121を覆って電気的接続をなすように構成されている。特に、端部115と端部121との間の接続領域は、特に電気的保護を提供するように、フレーム101の絶縁材料と一体化した壁106により囲まれている。
【0036】
図5に示す変形例において、フレームの形態で追加の電気絶縁フィルム108が、フレーム101の内側縁部沿って全体的に連続的に広がるとともに、フレーム101の内側に向かって、すなわちフレーム101の中央開口に、径方向に延びている。絶縁フィルム108により、特に、フレーム101の第1部分101aに沿って、伝導性プレート112から容量性ブロック100の近傍の素子、特に伝導性プレートに面して配置された冷却回路220まで延びるリーク経路を拡大することができる。冷却回路220については後述する。例えば、絶縁フィルム108は、ポリエステル(PET)製であり、および/または厚さが200ミクロン、または厚さが180~220ミクロンである。
【0037】
図7は、容量性ブロック100を備える電気機器200の一例を示す。電気機器200は、パワーエレクトロニクスモジュール210と冷却回路220とをさらに備えている。容量性ブロック100の伝導性プレート112は、冷却回路220の一面に当接し、パワーエレクトロニクスモジュール210は、冷却回路220の反対側の面に当接している。冷却回路は、特に、パワーエレクトロニクスモジュール210と容量性ブロック100との間に配置された、冷却液が流れるチャネル221を備えている。具体的には、部品105、200、220は、ケーシング225に収容されている。図7にはケーシング225の一部のみが示されている。
【0038】
具体的には、第1伝導体110の第1接続部113は、パワーエレクトロニクスモジュール210の電気端子211に直接接続されている。この目的のために、第1接続部113は、冷却回路220の縁部とケーシング225の壁とにより形成された通路に広がっている。フレーム101の第1保護部103も、この通路において、第1接続部113と冷却回路220との間で延びている。したがって、第1保護部103は、第1接続部103を冷却回路220から電気的に絶縁している。第1接続部は、特に、第1接続部113と冷却回路220との間において空気中で電気アークが形成されることを防止する。
【0039】
特に、電気機器200は、図8および9により明瞭に示す、電気絶縁性であるが熱伝導性である材料の層230を備えている。この層230は、冷却回路220と伝導性プレート112との間に配置されている。具体的には、層230は、ギャップパッド(登録商標)である。材料の層230は、特に、材料230と伝導性プレート112との接触を向上させ、これにより伝導性プレート112と冷却回路220との間での放熱を向上させるように、フレーム101の中央開口に対して調整されている。
【0040】
フレーム101の第1部分101aは、材料の層230の圧縮を制限する機能をさらに有している。例えば、この第1部分101aは、材料の層230が、層230の初期厚さの30%を超えて圧縮することを防止する。具体的には、フレーム101の第1部分101aの厚さは、層230がこのように圧縮するのを防止するように構成されている。フレーム101の第1部分101aは、例えば厚さが0.8mmである。
【0041】
図8に概略的に示すように、フレーム101、具体的にはスカート101bは、伝導性プレート112と冷却回路220との間の空気を介して電気アークA1が形成されることを防止しつつ、伝導性プレート112の冷却回路220からの電気絶縁性を向上させている。
【0042】
図9に概略的に示すように、絶縁フィルム108は、伝導性プレート112と冷却回路220との間のリーク経路F2を拡大することにより、電気絶縁性を向上させている。このようなリーク経路F2は、伝導性プレート112を起点として、材料の層230とフレーム101の第1部分101aとの境界、そして材料の層230と絶縁フィルム108との境界を通って冷却回路220に至る。絶縁フィルム108は、フレーム101よりも良好な放熱を可能とするため、絶縁フィルム108を追加することは、フレーム101の第1部分101aとの重なりを大きくすることよりも有利である。
【0043】
図1および図3を参照する一実施形態によれば、ハウジング150は、第2端部150bをシールするための充填材料を受容するように、容量性素子100の第2端部105bを収容していてもよい。充填材料は、特に、樹脂等の電気絶縁性を有する材料である。具体的には、第1端部105aは、前記ハウジング150の外部に配置されている。ハウジング150を充填材料で、特に液状樹脂で充填する前に、容量性素子105が前記ハウジング150に配置される。次いで、前記ハウジング150の底部から延びるスペーサ151が、ストッパを形成する伝導性プレート112に当接する。そして、スペーサ151は、容量性素子105の第1端部105aと前記ハウジング105の底部との間の距離を確定する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9