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▶ バイエル、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】製品のモニタリング
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0833 20230101AFI20240329BHJP
【FI】
G06Q10/0833
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021569113
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2020063750
(87)【国際公開番号】W WO2020234209
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】19175840.8
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20155772.5
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、バックハウス
(72)【発明者】
【氏名】カタリーナ、ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ、シェンケル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン、シュミット
(72)【発明者】
【氏名】バルター、スペス
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、グリスマン
(72)【発明者】
【氏名】エリック、ビルムス
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、ストルツ
(72)【発明者】
【氏名】アルネ、ベント
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、ディブル
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト、フュテンブッシュ
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-140146(JP,A)
【文献】特表2006-519563(JP,A)
【文献】特開2007-261664(JP,A)
【文献】国際公開第2008/117544(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/069772(WO,A1)
【文献】特表2018-501534(JP,A)
【文献】米国特許第08373562(US,B1)
【文献】国際公開第2012/131144(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0253769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ型無線タグであって、
前記無線タグは可撓性のある合わせフィルムとして設計され、
前記無線タグは固有識別子を含み、
前記無線タグは製品の梱包材に取り付けることができるように設計され、
前記無線タグは少なくとも1つのセンサを含み、前記少なくとも1つのセンサは梱包状態を検出し、
前記無線タグは、前記固有識別子と前記梱包状態についての状態情報とを、移動無線ネットワークを介して送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成され
制御部と、状態表示部とをさらに含み、前記制御部は、前記センサを介して前記梱包状態を特定し、前記状態表示部に前記梱包状態を表示させるよう構成される、
アクティブ型無線タグ。
【請求項2】
-少なくとも1つの請求項1に記載のアクティブ型無線タグと、
-少なくとも1つの送受信機と、
-コンピュータシステムと、
-データベースと、
を含むシステムであって、
前記少なくとも1つの無線タグは固有識別子を含み、
前記少なくとも1つの無線タグは製品の梱包材に取り付けることができるように設計され、
前記少なくとも1つの無線タグは少なくとも1つのセンサを含み、前記少なくとも1つのセンサは前記製品の前記梱包材に接続された場合に梱包状態を検出し、
前記少なくとも1つの無線タグは、前記固有識別子と前記梱包状態についての状態情報とを、前記少なくとも1つの送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成され、
前記少なくとも1つの無線タグは、制御部と、状態表示部とをさらに含み、前記制御部は、前記センサを介して前記梱包状態を特定し、前記状態表示部に前記梱包状態を表示させるよう構成され、
前記少なくとも1つの送受信機は、前記固有識別子と前記状態情報を前記少なくとも1つの無線タグから受信するよう構成され、
前記少なくとも1つの送受信機は、位置情報を特定するよう構成され、
前記少なくとも1つの送受信機は、前記固有識別子、前記状態情報、および前記位置情報をネットワークを介して前記コンピュータシステムへ送信するよう構成され、
前記コンピュータシステムは、前記固有識別子、前記状態情報、および前記位置情報を前記送受信機から受信するよう構成され、
前記コンピュータシステムは、前記固有識別子に基づいて前記製品を前記データベース内で特定するよう構成され、
前記コンピュータシステムは、前記特定された製品に対して、前記位置情報を前記製品の場所として保存するよう構成され、
前記コンピュータシステムは、前記特定された製品に対して、前記状態情報を梱包状態として保存するよう構成される、
システム。
【請求項3】
-請求項1に記載のアクティブ型無線タグから保護膜を除去するステップと、
-前記無線タグを前記接着剤層を介して製品の梱包材に貼付するステップと、
-前記無線タグが梱包状態を検出するステップと、
-前記無線タグが前記固有識別子と前記梱包状態についての状態情報とを、移動無線ネットワークを介して送受信機へ送信するステップと、
-前記送受信機が位置情報を特定するステップと、
-前記送受信機が前記固有識別子、前記状態情報、および前記位置情報をネットワークを介してコンピュータシステムへ送信するステップと、
-前記コンピュータシステムが前記固有識別子に基づいて製品を特定するステップと、
-前記特定された製品の場所として前記位置情報をデータベースに保存するステップと、
-前記特定された製品の梱包状態として前記状態情報を前記データベースに保存するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ型無線タグを用いた製品の追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造会社および/または販売業者にとって、製品を追跡することは有用でありうる、あるいは必要ですらありうる。医薬品および植物保護剤は、例えば数多くの公的規制の対象となり、これには、一部の国においては製品の追跡可能性(トラック&トレース)を保証するという必須要件が含まれる。この目的のため、個々の包装物には、後で包装物を明確に特定できるようにするために固有識別子(例えばシリアルナンバー)が与えられる(シリアライゼーション)。携帯型製品は固有識別子を用いて明確に割り当てを行うことが可能だが、発売済みの製品の場所やその状態を固有識別子のみに基づいて特定することは不可能である。
【0003】
また、製造を最適化するため、および/または物流目的で製品を追跡するのは有益でありうる。消耗製品のユーザまたは販売業者が高水準の在庫を有している場合、このユーザ/販売業者が近い将来に比較的大量の新しい製品を注文することは期待されない。この情報は、製造用機械の利用度、ならびに/または倉庫の利用度および/もしくは輸送手段の利用度の最適化を実現するために、製品の製造計画、ならびに/または既に製造された製品の流通および/もしくは保管の計画に組み込まれることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、発売済みの個々の製品がどこにあるかが分かることが望ましい。さらに、使用される前の製品が通常は含まれる包装物が既に開封されたか、それともまだ未開封であるかが分かることが望ましく、これは、包装物が開封されている場合、その中に含まれる製品が近い将来に使用されて、新しい製品が必要になると通常は想定されうるためである。
【0005】
また、製品がその目的地へ到達する前に損傷を受けたか、または開封されたか、を容易に識別できることは有利である。
【0006】
物流チェーン全体、すなわち製造から製品の消費/使用までを、例えば保管条件が順守されているかどうかを確認できるようにするために、モニタリングできることが望ましい。製品が輸送中および/または保管中に晒される条件が分かることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは本発明の主題によって実現される。
【0008】
本発明の第1の主題はアクティブ型無線タグであり、
無線タグは固有識別子を含み、
無線タグは製品の梱包材に取り付けることができるように設計され、
無線タグは少なくとも1つのセンサを含み、少なくとも1つのセンサは梱包状態を検出し、
無線タグは、固有識別子と梱包状態についての状態情報とを、移動無線ネットワークを介して送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成される。
【0009】
本発明の別の主題は梱包材を含む製品であり、梱包材はアクティブ型無線タグに取り付けられ、
無線タグは固有識別子を含み、
無線タグは少なくとも1つのセンサを含み、少なくとも1つのセンサは梱包状態を検出し、
無線タグは、固有識別子と梱包状態についての状態情報とを、移動無線ネットワークを介して送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成される。
【0010】
本発明の別の主題は、
少なくとも1つのアクティブ型無線タグと、
少なくとも1つの送受信機と、
コンピュータシステムと、
データベースと、を含むシステムであって、
少なくとも1つの無線タグは固有識別子を含み、
少なくとも1つの無線タグは製品の梱包材に取り付けることができるように設計され、
少なくとも1つの無線タグは少なくとも1つのセンサを含み、少なくとも1つのセンサは梱包状態を検出し、
少なくとも1つの無線タグは、固有識別子と梱包状態についての状態情報とを、少なくとも1つの送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成され、
少なくとも1つの送受信機は、固有識別子と状態情報を少なくとも1つの無線タグから受信するよう構成され、
少なくとも1つの送受信機は位置情報を特定するよう構成され、
少なくとも1つの送受信機は、固有識別子、状態情報、および位置情報をネットワークを介してコンピュータシステムへ送信するよう構成され、
コンピュータシステムは、固有識別子、状態情報、および位置情報を送受信機から受信するよう構成され、
コンピュータシステムは、固有識別子に基づいて製品をデータベース内で特定するよう構成され、
コンピュータシステムは、特定された製品に対して、位置情報を製品の場所として保存するよう構成され、
コンピュータシステムは、特定された製品に対して、状態情報を梱包状態として保存するよう構成される。
【0011】
本発明の別の主題は、
-固有識別子を有するアクティブ型無線タグを製品の梱包材に取り付けるステップと
-無線タグが梱包状態を検出するステップと、
-無線タグが固有識別子と梱包状態についての状態情報とを移動無線ネットワークを介して送受信機へ送信するステップと、
-送受信機が位置情報を特定するステップと、
-送受信機が固有識別子、状態情報、および位置情報をネットワークを介してコンピュータシステムへ送信するステップと、
-コンピュータシステムが固有識別子に基づいて製品を特定するステップと、
-特定された製品の場所として位置情報をデータベースに保存するステップと、
-特定された製品の梱包状態として状態情報をデータベースに保存するステップと、
を含む、方法である。
【0012】
本発明の別の主題はコンピュータプログラム製品であって、このコンピュータプログラム製品はデータ記憶媒体に記憶されるプログラムコードを含み、このプログラムコードはコンピュータシステムの作業メモリへロードされた場合にコンピュータシステムに、
-固有識別子、状態情報、および位置情報をネットワークを介して受信するステップと、
-固有識別子に基づいて製品を特定するステップと、
-特定された製品の場所として位置情報をデータベースに保存するステップと、
-特定された製品の梱包状態として状態情報をデータベースに保存するステップと、
を行わせる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、本発明の複数の主題を区別せずに、以下でより詳細に説明される。それどころか、以下の説明は、それらの説明が現れる文脈に関わらず、本発明のすべての主題に同様にあてはまるように意図されている。
【0014】
本明細書、または請求の範囲において、複数のステップが順番に述べられている場合、これは本発明が記載の順番に限定されることを必ずしも意味するわけではない。それどころか、これらのステップは、一つのステップが別のステップの上に成り立っている、これは当然ながら他のステップの上に成り立っているステップは後で実行されることを意味する、という場合以外は、異なる順番で、または互いに並行して実行することも可能である(ただし、これは個々の事例で明らかとなるであろう)。したがって、記載された順番は本発明の好ましい実施形態である。
【0015】
本発明によれば、製品の包装物にはアクティブ型無線タグが備えられている。
【0016】
製品は、商業的に提供および販売が可能な任意の品物(物理的製品)とすることができる。
【0017】
好ましくは、製品は、ユーザ(最終顧客)により規定の目的のために使用され、その過程で「消費される」、すなわち、当初の目的ではもはや使用できない状態に移行する消費可能な品物または消耗材料であり、これは、ユーザは新しい製品を購入する必要があることを意味する。好ましくは、ユーザにすぐに使用されることを意図した製品ではなく、むしろ使用されるまで一定の期間にわたり保管しておくことができる製品である。好ましくは、保管時間は少なくとも数週間から数年間(例えば、6カ月、9カ月、1年、18カ月、2年、3年、または同種のもの)である。
【0018】
本発明の意味における製品の例は、医薬品、植物保護剤、種子、化粧品、洗浄剤、および同種のものである。製品は、好ましくは植物保護剤(例えば、除草剤、殺虫剤、または殺菌剤)または種子である。
【0019】
製品は梱包材に含まれる。梱包材を使用して、製品を輸送可能な状態にする、および/または製品を損ないかねない環境の影響(例えば、湿気、酸素、光、および同種のもの)から製品を保護することができる。
【0020】
梱包材の例は、コンテナ、木箱、段ボール箱、箱、封筒、フィルム、ブリスター包装、筒形容器(canister)、瓶、樽、大型布袋(sack)、鞄、キャスク(cask)、および同種のものである。
【0021】
梱包材にはアクティブ型無線タグが搭載されている。「タグ」という用語は、無線タグが平坦な範囲を有することを示す。平坦な範囲は、無線タグが空間内で(例えば直交座標系で)3つの方向へ延びることを意味し、空間内の2つの方向における寸法は空間内の第3の方向における寸法の何倍も大きい。空間内の方向における寸法は、長さ、幅、および厚さと呼ばれることがあり、長さは空間内の第1方向における最大寸法を示し、幅は空間内の第2方向における最大寸法を示し、厚さは空間内の第3方向における最大寸法を示す。長さは好ましくは幅の0.1~10倍であり、厚さは、好ましくは長さまたは幅の少なくとも50倍、好ましくは長さまたは幅の少なくとも100倍である。また、長さと幅により規定される範囲は、本明細書ではベース領域と呼ばれる。ベース領域の大きさは、通常は10cm~200cmの範囲にある。
【0022】
「アクティブ型無線タグ」という用語は、無線タグが電気エネルギーを無線タグへ供給する手段を有していることを意味する。
【0023】
電気エネルギーは、無線タグが本発明に係るその機能を実行できるように、無線タグに電気を供給する役割を果たす。この場合、例えばバッテリまたは蓄電池とすることができる。好ましい一実施形態では、エネルギー供給手段は、米国特許出願公開2010021799A号明細書、欧州特許出願公開3104433A1号明細書、韓国特許出願公開20170085256A号明細書、韓国特許出願公開20170098004A号明細書、および米国特許出願公開2010081049A号明細書における例で説明されるような印刷可能電池である。本発明の一実施形態では、バッテリは生分解性である(例えば米国特許出願公開2016351936A号明細書を参照)。
【0024】
さらに、無線タグは電気エネルギーをその環境から得るように設計可能である。環境からのエネルギーは、例えば光、電界、磁場、電磁場、動き、圧力、および/もしくは熱、ならびに/または他の形態のエネルギーの形で供給することができて、無線タグにより使用する、または「収穫する」ことができる。この種類の電気エネルギーは、環境発電として知られている。電子工学の分野における環境発電は、非常に微量の自由に利用できるエネルギーを環境から得て貯蔵することができる方法を意味する。この技術により、無線タグへその全耐用年数にわたってエネルギーを供給することが可能となり、これは、設置後には無線タグを点検する必要がないことを意味する。環境発電システムは、通常はエネルギー変換器と、通常はコンデンサであるエネルギー貯蔵部を有するエネルギー管理部とを含む。エネルギー変換器はマイクロ発電機としても知られ、環境からのエネルギーを電気エネルギーへ変換する。例として、圧電効果、熱電効果、または光電効果を変換に使用可能である。更なる詳細は先行技術で記載されている(例えばhttp://www.harvesting-energy.de/およびそこで列挙されている出版物を参照)。
【0025】
通常、無線タグは、梱包材に製品が入れられて閉じられた後に梱包材に取り付けられる。しかし、製品が梱包材に入れられる、および/または梱包材が閉じられる前に無線タグが梱包材に取り付けられることも考えられる。
【0026】
また、無線タグが梱包材の一部であることも考えられる。
【0027】
無線タグは、例えば梱包材上に印刷される、または梱包材と結合されて(例えば積層されて)複合材料を作ることができる。
【0028】
無線タグは梱包材の外側に設置することができて、これは、製品とは接触しないが外界(環境)と接触している領域である。ただし、無線タグは梱包材の内側に設置することもできて、これは、製品と接触している領域である。また、無線タグが2つの包装物の間に設置されることも考えられる。
【0029】
無線タグを梱包材の閉鎖機構の上、または閉鎖機構の中に(例えば、ネジ蓋の上、またはその中に)貼付/挿入することができる。
【0030】
本発明の一実施形態では、無線タグは、梱包材に取り付けられたらすぐに、梱包材に非可逆的に取り付けられる、すなわち、無線タグを梱包材から取り外そうとすると無線タグの破壊につながり、「無線タグの破壊」は無線タグがもはや本発明に従って使用することができないことを意味する。そのような非可逆的な取付けは、例えば、無線タグと梱包材の間の接着剤により実現することができて、接着剤に打ち勝って梱包材から無線タグを取り外すのに必要な力は無線タグの個々の構成要素を結び付けている力より大きく、これは、取り外そうとすることで無線タグの個々の構成要素が互いに分離されることを意味する。
【0031】
本発明の別の実施形態では、無線タグは再利用できるように設計される。そのため、無線タグは梱包材から再び取り外して、別の包装物に取り付けることができる。
【0032】
無線タグは固有識別子を有する。固有識別子は、数字、英数字コード、もしくは2進数符号、または同種のものとすることができる。固有識別子を使用して、無線タグを特定する、または無線タグが梱包材を介して取り付けられた製品を特定することができる。通常、製品データベースは本発明に係るシステムの一部を形成する。固有識別子を使用して、それぞれの製品についての情報(製品名、製品種類、製造会社、バッチ番号、製造日、組成、使用説明書、使用期限、推奨使用期限、および同種のもの)をデータベースに問い合わせることができる。
【0033】
識別子は無線タグのデータ記憶部に記憶される。このデータ記憶部は、好ましくは半導体メモリである。固有識別子用のデータ記憶部は、通常はWORMメモリ(WORMはwrite once, read many、追記型)である。無線タグは、梱包材への取付けより前に既に固有識別子を有していると考えられる。ただし、固有識別子は、無線タグが梱包材に取り付けられた後に初めてデータ記憶部へ書き込まれることも考えられる。無線タグの制御部はデータ記憶部へアクセスすることができて、固有識別子を読むことができる。制御部は、無線タグの送信部を介して固有識別子を送信することができる。
【0034】
固有識別子は無線タグのデータ記憶部および製品の別のデータ記憶部の両方に記憶され、その結果、固有識別子と製品が互いに関連し、固有識別子が既知である場合は製品に関する情報を製品データベースから得ることができる。
【0035】
無線タグは少なくとも1つのセンサを有する。「センサ」は、特定の物理的特性もしくは化学的特性、および/または、定性的もしくは定量的に測定された変数として周囲の材料の性質を検出することができる技術的要素である。特性は物理的または化学的な効果を介して検出され、さらに加工することが可能な、通常は電気信号へ変換される。電気信号は、無線により送受信機へ送信される前に、通常はデジタル化も行われる。
【0036】
少なくとも1つのセンサが、梱包材および/または製品の状態の特性を示す測定値を検出する。したがって、状態情報が少なくとも1つのセンサにより生成される。
【0037】
好ましい一実施形態では、無線タグは梱包材が未開封であるか、または梱包材が開いているか/開封されたかを検出するセンサを含む。
【0038】
センサは、梱包材が開封された、および/または開いている場合に変化する物理的特性に好ましくは基づいて、梱包状態(未開封/開封済み)を検出する。梱包材が開封されていることで変化する物理的特性は、例えば導電率(または電気抵抗)ならびに/または電気容量および/もしくはインダクタンス、または同種のものでありうる。
【0039】
梱包材が開封されているか、未開封かを規定の時間間隔で確認するようにセンサが設計されることが考えられる。
【0040】
本発明の一実施形態では、無線タグは、梱包材が開封されると少なくとも1つの導電体が非可逆的に遮断されてしまうように貼付された1つまたは複数の導電体(例えば、1つまたは複数の導電線および/または導電体トラック)を有し、その結果、電流はもはやこの導電体を通って流れることはできない。センサは、伝導度が変化したという事実により遮断された導電体を特定する。この原理は、例えば国際公開9604881A1号明細書またはドイツ特許出願公開19516076A1号明細書に記載されている。この場合、導電体が計器として振る舞い、梱包材を開封することが計器への不可逆的な変化をもたらす、すなわち導電体が遮断される。
【0041】
センサは梱包材を開封する過程を検出するように設計されることが考えられる。状態の変化(未開封→開封済み)は、例えば圧電効果に基づいてセンサにより検出することができて、梱包材の開封によりピエゾ素子に機械的応力がもたらされ、その結果、電圧が増大する。この電圧、またはそれによる効果はセンサにより記録することができる。
【0042】
無線タグは、梱包状態についての情報が記憶されるデータ記憶部を有することができる。センサが、規定された時間間隔で梱包材がいまだに未開封であるかを確認するよう設計されることが考えられ、開封されたらすぐに、該当する(新しい)梱包状態がデータ記憶部に記憶される。無線タグが梱包状態についての状態情報を送信する前に、無線タグの一部である制御部は、データ記憶部から梱包状態を読み出す。そのような場合、梱包状態の検出と状態情報の送信は分離される。無線タグは、梱包材が開いている/開封されていることをセンサが記録するまでは規定された時刻にセンサを介して梱包状態を問い合わせるように構成することができる。その後は、センサを介した更なる梱包状態の問い合わせは必要ない。
【0043】
「開封済み/未開封」という梱包状態に加えて、1つまたは複数のセンサにより検出される他の梱包状態に対して、例えば、梱包材が押しつぶされている/押しつぶされていない、梱包材が規定の最高温度値を上回る/規定の最低温度値を下回る温度に晒されている、梱包材が規定の最高湿度値を上回る/規定の最低湿度値を下回る(空気)湿度に晒されている、梱包材に規定の最大圧力値を上回る/規定の最小圧力値を下回る圧力がかかっている、梱包材に規定の最大加速度値を上回る加速力が加わっている、および同種のものが考えられる。そのような梱包状態により、各梱包状態が検出された時刻より前に梱包材が晒された環境条件が特定される。梱包状態を検出するために、通常は、規定の限界値(最大値/最小値)を上回る、および/または下回る環境条件によって内部で構成要素が非可逆的に変化するセンサが使用される。そのような構成要素は、本明細書では計器とも呼ばれる。したがって、計器は、計器が規定の環境条件に晒されたかどうかを示す。
【0044】
さらに、梱包材および/もしくは製品、ならびに/または無線タグが測定値の取得時点で晒されていた環境条件を検出する、1つまたは複数のセンサが存在しうる。そのような環境条件の例は、温度、(空気)圧力、(空気)湿度、加速力、規定の波長領域の電磁放射線への曝露、および/または同種のものである。
【0045】
環境条件および/または梱包状態を検出する目的は、流通網の中で、すなわち製造からエンドユーザまで、製品に対して要求される輸送条件および/または保管条件が常に順守されているかどうかを追跡するためでありうる。また、環境条件および/または梱包状態を検出する目的は、特定の製品の現在の場所、および/またはその製品の状態が常に分かるように、輸送条件および/または保管条件を追跡するためでもありうる。
【0046】
製品は、駄目にならないように冷却する必要があることが考えられる。そのような場合、温度センサは規定された時刻に温度を検出可能である。測定された温度値が規定の最高温度値を上回る場合、コールドチェーンが現在順守されていないことが明らかとなる。ただし、規定の最高温度値を上回る温度により非可逆的に変化する温度計を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、温度計が(過去の温度が規定の最高温度値を上回ったために)変化したか、または変化していないのかを確認する。
【0047】
製品が耐凍結性ではなく、それゆえ最低温度値を下回る温度に晒されるべきではないことが考えられる。そのような場合、温度センサは規定された時刻に温度を検出可能である。測定された温度値が規定の最低温度値を下回る場合、製品が過度に低い温度に晒されて、損傷を受けた可能性があることが明らかとなる。ただし、規定の最低温度値を下回る温度により非可逆的に変化する温度計を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、温度計が(過去の温度が規定の限界値を下回ったために)変化したか、または変化していないのかを確認する。
【0048】
製品は、そうでなければ損傷を受ける、または品質が損なわれる恐れがあるために湿ってはならないことが考えられ、そのような場合、湿度センサは規定された時刻に湿度(例えば空気湿度)を検出可能である。測定された湿度値が規定の最高湿度値を上回る場合、現在の湿度が過度に高いことが明らかとなり、湿度を減少させる手段が取られるべきである。ただし、規定の最高湿度値を上回る湿度により非可逆的に変化する湿度計を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、湿度計が(過去の湿度が規定の限界値を上回ったために)変化したか、または変化していないのかを確認する。
【0049】
製品が、例えば壊れやすいために加速力に敏感であることが考えられる。そのような場合、加速度センサは規定された時刻に加速力を検出可能である。現在センサに作用している加速力の測定値が規定の最大加速度値を上回る場合、製品が損傷を受けている危険性があることが明らかとなる。ただし、規定の最大加速度値を上回る加速力により非可逆的に変化する加速度計を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、加速度計が(過去の加速力が規定の限界値を上回ったために)変化したか、または変化していないのかを確認する。
【0050】
製品が光に反応することが考えられる。そのような場合、光強度センサは、規定の波長領域(例えば、可視光線領域(380nmから780nm)、ならびに/もしくは、紫外線領域(例えば、UV-A(380nmから315nm)および/もしくはUV-B(315nmから280nm)、または別の波長領域、もしくは多数の波長領域)の電磁放射線の強度を規定された時刻に検出可能である。現在センサに作用している光強度の測定値が規定の最大光強度値を上回る場合、製品が現在過度に高い光強度に晒されていることが明らかとなり、光強度を減少させる手段が取られるべきである。ただし、規定の最大光強度値を上回る光強度により非可逆的に変化する光測定器を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、光測定器が(過去の光強度が規定の限界値を上回ったために)変化したか、または変化していないのかを確認する。
【0051】
温度、湿度、圧力、加速度、光強度、および他の環境条件を計測するための多数の市販のセンサおよび計器が存在する。
【0052】
環境条件は、規定された時刻に1つまたは複数のセンサを使って検出可能である。「規定された時刻」は、測定値が取得される時刻が明確なルールに従っていることを意味する。例えば、測定値が、例えば1日に一度で正午12時、毎正時、または同種のものなどの所定の時刻に取得されると考えられる。ただし、「規定された時刻」は、測定値の取得を引き起こす規定の事象、例えば外部(電磁)パルス、振動の発生、および同種のものを意味すると理解されるべきである。
【0053】
アクティブ型無線タグは、さらにタイマーを持ちうる。無線タグは、測定値が取得される、および/または情報が送受信機へ送信される、それぞれの時刻を判定することができる。それぞれの時刻は、時間情報として送受信機へ同様に送信されうる。
【0054】
測定値の取得とネットワークを介した情報の送受信機への送信は互いに結合されていると考えられ、例えば、情報が送信される前に測定値の取得が開始されて、取得された1つまたは複数の測定値が送信される。ただし、分離することも考えられて、この場合、無線タグは測定値を記憶可能なデータ記憶部を有している。測定値は規定された時刻に取得され、データ記憶部に記憶される。情報が送信される前に、無線タグの一部である制御部が記憶された測定値を特定して、それら測定値または取得された情報を送受信機へ送信する。
【0055】
同じことが1つまたは複数の梱包状態の特定および送信にもあてはまる。梱包状態を特定するための測定値は規定された時刻に取得され、状態情報の送信と結合または分離することができる。測定値は送信される直前に取得されることが考えられ、測定値は送信される前に取得され、データ記憶部に記憶され、読み出されることが考えられる。
【0056】
無線タグは、情報(固有識別子、梱包状態についての状態情報、場合によっては環境条件についての情報、場合によっては時間情報)を移動無線ネットワークを介して送受信機へ送信できるように設計される。
【0057】
移動無線ネットワークという用語は、移動無線信号が送信される技術的インフラストラクチャを意味する。移動無線ネットワークは、移動無線装置が固定された送受信機へ無線で接続される通信ネットワークである。ネットワークはセルと呼ばれる複数の領域にわたって分布しており、セルのそれぞれは少なくとも1つの固定された送受信機により、ただし通常は3つのセルサイトまたは基地局により提供される。これらの基地局は、音声、データ、および他の種類のコンテンツを送信するのに使用されうるネットワークのカバー範囲をセルに提供する。
【0058】
情報は、通常はGSM、GPRS、2G、3G、LTE、4G、5Gの標準または別の標準に基づいて、移動無線ネットワークを介して無線タグから送受信機へ送信される。
【0059】
この目的のため、無線タグはGSM、GPRS、2G、3G、LTE、4G、5Gの移動無線ネットワークを介して、または別の移動無線ネットワークを介して情報を送信するためのモデムおよびアンテナを含む送信部を有する。
【0060】
無線タグおよび送受信機は、無線タグから送受信機へ情報を送信するのに最小限のエネルギーが消費されるように、好ましくは互いに同調される。無線タグは、好ましくは大部分の時間で待機モードにあるように構成される。無線タグは規定された時刻にアクティブとなり、無線タグの近くにある(領域内の)送受信機へ情報を送信する。
【0061】
情報は、例えば1時間に一度、もしくは1日に一度、または不規則に送信することができる。
【0062】
無線タグが決まった時刻に、または不規則な時刻に情報を送信することが考えられる。無線タグがある事象により作動して、情報を送信することが考えられる。この事象は環境条件により、ならびに/または送受信機および/もしくは人間により、引き起こされうる。最小限の明るさに達した場合に光により、および/または最低限の温度に到達した場合に熱により、無線タグが作動されることが考えられる。また、規定された熱の総和または規定された光の総和(エネルギー量)に達することで無線タグが作動されることも考えられる。
【0063】
送受信機は、移動無線ネットワークを介して1つまたは複数の無線タグにより送信された情報(固有識別子、梱包状態についての状態情報、場合によっては環境条件についての情報、場合によっては時間情報)を送受信機から受信できるように設計される。
【0064】
送受信機は、好ましくは自身の領域内で1つまたは複数の無線タグから情報を受信する、移動無線基地局である。
【0065】
送受信機はさらに、位置情報を特定するよう構成される。位置情報を特定することは、無線タグまたは無線タグが取り付けられた製品に場所を割り当てるのに役立つ。
【0066】
衛星ナビゲーションシステムは、場所判定を比較的良好な精度で提供する。既知の衛星ナビゲーションシステムは、例えばNAVSTAR GPS、GLONASS、Galileo、またはBeidouである。衛星ナビゲーションシステムを用いた場所判定のため、無線タグは、衛星ナビゲーションシステムの非常に多数の衛星からの信号を受信するセンサを備えうる。しかし、そのような場所判定のソリューションは比較的大量のエネルギーを必要とし、また、無線タグに対する追加の部品コストも意味する。さらに、多くの用途では正確な場所を特定する必要はなく、むしろ、製品が位置する領域が分かれば充分である。
【0067】
送受信機は、衛星ナビゲーションシステムの非常に多数の衛星からの信号を受信するセンサを備えうる。しかし、送受信機は概して固定的に設置され、それゆえ、その場所は変化しない。固定して配置された送受信機の場合、通常は場所が分かっている。
【0068】
それゆえ、位置情報は、送受信機が設置された(移動)無線セルから得ることができる。
【0069】
移動通信において、位置を判定する最も簡単な方法は、送信部が存在するセルが既知であるという事実に基づいている。例えば、電源の入った携帯電話は基地局に接続されるので、携帯電話の位置に少なくとも1つの移動無線セル(セルID)へ割り当てることができる。
【0070】
同様に、無線タグの位置は、送受信機が接続される移動無線セルと同じであると考えることができる。GSM(Global System for Mobile Communications)を用いて、無線タグの場所を数百メートルの精度で判定することができる。街中では場所を100~500mの精度で判定することができて、農村部においては半径は10km以上へ増加する。セルIDの情報をTAパラメータ(TAはTiming Advance)と組み合わせると、精度を向上させることができる。この値が高いほど、無線タグは基地局からさらに離れている。EOTD法(EOTDはEnhanced Observed Time Difference、強化観測時間差)を使用して、さらに良い精度で送信部の場所を特定することができる。この場合、無線タグと多数の受信部の間での信号の伝搬時間差が求められる。先行技術で、位置を判定するのに取り得る更なる方法が記載されている(例えば、ドイツ特許出願公開10029137A1号明細書、ドイツ特許出願公開102010041548A1号明細書、ドイツ特許出願公開102012214203A1号明細書、ドイツ特許出願公開102015121384A1号明細書、ドイツ特許出願公開102016225886A1号明細書、米国特許出願公開2015119086A1号明細書を参照)。
【0071】
一実施形態では、情報が送信され、場所が例えばSigfoxネットワークなどの低電力広域ネットワーク(LPWAN)を介して判定される。LPWANは、特に小さなデータパケットと超低エネルギー動作のために設計されている。LPWAN基地局は、干渉の影響を受けずに長距離にわたる通信を行うことができる。無線タグを100万個まで管理可能な一つの基地局の領域は、人口密度の高い地域で3km~5km、農村部で30km~70kmである。LPWANの場合、データパケットが送信範囲内のすべての基地局により受信される。このことを使って、無線タグの位置を判定することができる。
【0072】
送受信機はさらに、時間情報を特定するよう構成することができる。時間情報は、情報を無線タグから受信した時刻、および/もしくは位置情報が特定された時刻、ならびに/または情報がコンピュータシステムへ送信された時刻でありうる。
【0073】
送受信機は、受信した情報(固有識別子、梱包状態についての状態情報、場合によっては環境条件についての情報、場合によっては時間情報)を特定された位置情報と、場合によっては時間情報と関連付けて、別の無線ネットワークおよび/または有線ネットワークを介してデータのすべてをコンピュータシステムへ送信する。
【0074】
「コンピュータシステム」は、プログラム可能な演算規則を介してデータを処理する、電子データ処理システムである。そのようなシステムは、通常は論理演算を実行するプロセッサを含む機器である「コンピュータ」を含み、周辺機器も含む。
【0075】
コンピュータ技術では、「周辺機器」はコンピュータに接続されてコンピュータを制御するために、および/または入出力装置として使用されるすべての機器を意味する。これらの例は、モニター(画面)、プリンタ、スキャナ、マウス、キーボード、駆動装置、カメラ、マイク、スピーカなどである。内部ポートおよび拡張カードも、コンピュータ技術では周辺機器とみなされる。
【0076】
現代のコンピュータシステムは、しばしばデスクトップPC、ポータブルPC、ラップトップ、ノートパソコン、ネットブックおよびタブレットPC、ならびに携帯機器と呼ばれるもの(例えばスマートフォン)に分類され、これらのシステムのすべてを本発明を実施するのに使用することができる。
【0077】
コンピュータシステムへの入力は、例えばキーボード、マウス、マイク、および/または同種のものなどの入力手段を介して行われる。また、入力とは、仮想のメニューから、または仮想のリストから項目を選ぶこと、あるいは、チェックボックスおよび同種のものをクリックすることを意味すると理解されるべきである。
【0078】
コンピュータシステムからの出力は、通常は画面やプリンタを介して、またはデータ記憶部に保存することで提供される。
【0079】
コンピュータシステムを使用して、非常に多数の無線タグのデータを管理することができる。例えば異なる国および/または地理的領域にわたって分散される複数のコンピュータシステムが存在することが考えられる。
【0080】
コンピュータシステムは情報(固有識別子、梱包状態についての状態情報、場合によっては環境条件についての情報、位置情報、場合によっては時間情報)を受信する。
【0081】
コンピュータシステムは、時間情報を特定するよう構成することができる。時間情報は、例えば、情報が送受信機により受信された時刻でありうる。
【0082】
コンピュータシステムは、1つまたは複数の製品データベースに(例えばネットワークを介して)接続される。また、そのようなデータベースは、コンピュータシステムの(不可欠な)一部でありうる。固有識別子に基づいて、コンピュータシステムは、固有識別子が割り当てられている製品をデータベースへ問い合わせることで特定する。
【0083】
コンピュータシステムは、特定された製品の場所として位置情報をデータベースに保存するよう構成される。
【0084】
コンピュータシステムは、製品の梱包状態として状態情報をデータベースに保存するよう構成される。
【0085】
好ましい一実施形態では、コンピュータシステムはさらに、特定された製品に対して製品が晒された環境条件を保存するよう構成される。
【0086】
コンピュータシステムによりデータベースに保存される特定された製品に対する任意の情報は、時間情報と共に提供されうる。時間情報は、情報が基づいている測定値が無線タグのセンサにより取得された時刻でありうる。時間情報は、無線タグが情報を送受信機へ送信した時刻でありうる。時間情報は、情報が送受信機により受信された時刻でありうる。時間情報は、送受信機がコンピュータシステムへ情報を送信した時刻でありうる。時間情報は、コンピュータシステムが情報を受信した時刻でありうる。
【0087】
コンピュータシステムが例えば製品の場所に関するそのような時間情報を保存する場合、製品が様々な時刻にどこに位置したかを特定すること(追跡)が可能である。
【0088】
コンピュータシステムが例えば製品の梱包状態に関するそのような時間情報を保存する場合、梱包状態に変化が生じた1つまたは複数の時刻を特定することが可能である。
【0089】
コンピュータシステムが例えば製品の環境条件に関するそのような時間情報を保存する場合、製品が様々な時刻に晒された環境条件を特定することが可能である。
【0090】
コンピュータシステムは、特定された製品に対する場所をデータベースから特定して、この場所を位置情報と比較するよう構成することができる。不一致である場合、コンピュータシステムは人へ、例えば製品の製造会社または製品の販売業者へメッセージを送信することができる。そのようなメッセージは位置情報を含むことがあり、それゆえ製品の場所が変わったことを人に通知することができる。
【0091】
コンピュータシステムは、特定された製品の梱包状態をデータベースから特定して、この梱包状態を状態情報と比較するよう構成することができる。不一致である場合、コンピュータシステムは人へ、例えば製品の製造会社または製品の販売業者へメッセージを送信することができる。そのようなメッセージは梱包状態が変わったという情報を含むことがあり、更新された梱包状態を人に通知することができる。
【0092】
コンピュータシステムは、特定された製品に対する(許容されうる)最大値をデータベースから特定して、これを製品が晒された環境条件と比較するよう構成することができる。環境条件が(許容されうる)最大値を上回る場合、コンピュータシステムは人へ、例えば製品の製造会社または製品の販売業者へメッセージを送信することができる。そのようなメッセージは、製品が(許容されうる)最大値を上回る環境条件に晒されている/晒されたという情報を含むことがあり、製品が損傷を受けた可能性があり、更なる損傷を防ぐ手段を取る、または製品を市場から回収することが考えられる。
【0093】
コンピュータシステムは、特定された製品に対する(許容されうる)最小値をデータベースから特定して、これを製品が晒された環境条件と比較するよう構成することができる。環境条件が(許容されうる)最小値を下回る場合、コンピュータシステムは人へ、例えば製品の製造会社または製品の販売業者へメッセージを送信することができる。そのようなメッセージは、製品が(許容されうる)最小値を下回る環境条件に晒されている/晒されたという情報を含むことがあり、製品が損傷を受けた可能性があり、更なる損傷を防ぐ手段を取る、または製品を市場から回収することが考えられる。
【0094】
好ましくは、多数の製品単位に対してそれらが位置する場所およびどのような状態にあるかが分かるように、多数の無線タグおよび送受信機が本発明に係るシステムの一部を成す。製造工程ならびに/または物流および/もしくは保管をこの情報に基づいて最適化することができる
【0095】
本発明の一実施形態では、製品の製造会社はコンピュータシステムへアクセスすることができて、例えば、最終顧客が所有する未開封の包装物の個数が規定の閾値を下回る場合に製品の製造を開始することで製品の製造を最適化するために、この情報を使用する。
【0096】
本発明の一実施形態では、製品の販売業者はサーバへアクセスすることができて、最終顧客が所有する未開封の包装物の個数が規定の閾値を下回る場合に新しい製品を注文する、および/またはそれらの製品を規定の倉庫へ輸送するために、この情報を使用する。
【0097】
好ましい一実施形態では、無線タグは光学的に読み取り可能な符号、例えばバーコードやマトリックス型コード(例えばQRコードやデータマトリックスコード)を有する。光学的に読み取り可能な符号は固有識別子を含み、固有識別子に基づいて、無線タグならびに/もしくは製品および/もしくは製品のバッチ、ならびに/または同種のものを明確に特定することができる。この固有識別子は、無線タグの制御部がアクセスできるものと同一の固有識別子とすることができる。ただし、異なる(追加の)固有識別子とすることもできる。光学的符号はさらにインターネットアドレスを含むことができる。光学的に読み取り可能な符号は、例えば、無線タグ上に印刷される、刻印される、もしくはエッチングされる、ステッカー形式で無線タグに貼付される、または何らかの他の方法で無線タグに取り付けられる、もしくは無線タグに組み込まれる。
【0098】
光学的符号は、製品の購入者/ユーザへ製品についての更なる情報を提供するのに使用される。これは、例えば、購入者/ユーザが例えばスマートフォンやタブレットコンピュータなどのモバイルコンピュータシステムを用いて光学的に読み取り可能な符号をモバイルコンピュータシステムへ読み込むことで実現される。通常、モバイルコンピュータシステムは、それを介して光学的符号を読むことができるカメラを有する。モバイルコンピュータシステムは、好ましくは、走査された光学的符号に基づいて製品についての情報が購入者/ユーザへ提示されるウェブサイトを開くように(インストールされたソフトウェアプログラム(「アプリ」)を介して)構成される。この情報は、特にこの製品の購入者/ユーザを対象とした情報とすることができる。例として、製品の回収に関するメッセージ、または、品質低下を意味しうる、製品が規定の環境条件に晒された場合に何をすべきかについての情報を提示することが考えられる。
【0099】
好ましい一実施形態では、購入者/ユーザは、光学的符号を走査することで購入者/ユーザへ提供されている情報を含むウェブサイトへアクセスするべきであるというメッセージを無線タグを介して受信する。例えば、製品の梱包材が閉じられている(例えば、封止されている)か、梱包材が開いていて使用可能か、または購入者/ユーザが製品を使用する前に光学的符号を介してアクセス可能なウェブサイトから追加の情報を取得するべきであるか、を購入者/ユーザへ伝える状態表示部を無線タグが有していることが考えられる。状態表示部は、例えば、1つもしくは複数の発光ダイオード(LED)または液晶ディスプレイ(LCD)とすることができる。無線タグの制御部が、1つまたは複数のセンサを介して取得された測定値が規定値をとる、または規定値に達した場合に、状態表示部を介して表示される情報を変更するよう構成されることが考えられる。例として、梱包状態センサが梱包材は閉じられていると記録する場合は、状態表示部は梱包材が適切に閉じられていると表示することができる。梱包状態センサが梱包材は開いている(開封されている)と記録する場合は、状態表示部は梱包材が開いていると表示することができる。限界値(温度、空気湿度、圧力、加速力など)を下回っている(下回った)、または超過している(超過した)とセンサが記録する場合は、状態表示部は製品が有害な環境条件(過度に高い温度、過度に低い温度、過度に高い空気湿度、過度に高い圧力、過度に大きな加速度、および同種のもの)に晒されたこと(警告信号)を表示することができる。そのような警告信号は、製品に何か問題があるかもしれないこと、および購入者/ユーザが製品を使用する前にウェブサイトを介して情報を取得するべきであることを購入者/ユーザへ警告する。また、無線タグが受信部を有し、この受信部を介して無線タグが信号を受信できることも考えられる。それゆえ、例えば製品を回収するために、例えば外部信号を介して状態表示部を変更することが可能である。
【0100】
特に好ましい一実施形態では、無線タグは合わせフィルムの形態で電気エネルギー供給部と共に存在する。合わせフィルムは、可撓性があり(曲げやすい)、それゆえ包装物の平面および曲面のいずれにも貼ることができるので、有利である。合わせフィルムは、ロールツーロール方式で安価で大量に製造することができる(例えば、Zheng Cui et al.: Printed Electronics, Wiley 2016, ISBN: 9781118920923、S. Lanceros-Mendez et al.: Printed Batteries, Wiley 2018、ISBN: 9781119287896を参照)。
【0101】
合わせフィルムは少なくとも1つのキャリア層を含む。アンテナおよび導電体トラックが少なくとも1つのキャリア層(の上面)に貼付される。アンテナおよび/または導電体トラックは、例えば印刷工程を介して少なくとも1つのキャリア層に貼付することができる(例えば、欧州特許出願公開0787371A1、国際公開2010/068469A1、国際公開2013/180399A1を参照)。少なくとも1つの集積回路(IC)が少なくとも1つのキャリア層(の上面)に貼付され、少なくとも1つの集積回路は、制御部と、梱包状態を検出する少なくとも1つのセンサと、送信部と、データ記憶部とを含む。電気化学セルが少なくとも1つのキャリア層(の上面)に貼付される。電磁セルという用語は、ただ一つのアノードと一つのカソードとを有する独立したセルと、多数の独立したセルの結合体(バッテリ)の両方を含む。電磁セルは、好ましくは印刷工程において少なくとも1つのキャリアに貼付された。
【0102】
導電体トラックは、集積回路を電気化学セルおよびアンテナに接続する。
【0103】
少なくとも1つのキャリア層の下に(底面に)は、合わせフィルムを包装物に接続する接着剤層がある。接着剤層は、好ましくは無線タグが梱包材へ貼り付けられる前に残留物を残すことなく除去可能な保護層(剥離フィルム)と共に提供される。
【0104】
好ましくは、例えば、PI、PP、MOPP、PE、PPS、PEEK、PEK、PEI、PSU、PAEK、LCP1 PEN、PBT、PET、PA、PC、COC、POM1 ABS、PVC、テフロンなどのフッ素重合体、または同種のもので出来た、可撓性のあるプラスチックフィルムがキャリアフィルムとして使用される。
【0105】
少なくとも1つのキャリアフィルムは、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、BOPP(二軸延伸ポリプロピレン)、ポリエチレン、またはポリアミドで出来ている。
【0106】
キャリアフィルムは、好ましくは5μm~700μmの厚さを持ち、好ましくは5μm~200μm、特に好ましくは30μm~100μmの厚さを持つ。
【0107】
さらに、紙、または紙を含む複合材料、例えば、単位面積当たり20g/m~500g/m、好ましくは40g/m~200g/mの重量を有するプラスチックを含む複合材料をキャリアフィルムとして使用することができる。さらに、任意選択で縫われる、またはカレンダー仕上げされることがある、織物、連続繊維不織布などの不織布、ステープル繊維不織布、および同種のものをキャリアフィルムとして使用することができる。そのような織物または不織布は、好ましくはPP、PET、PA、PPS、および同種のものなどのプラスチックからなるが、天然繊維、場合によっては処理された繊維、例えばビスコース繊維不織布などで出来た織物または不織布を使用することもできる。使用される織物または不織布は、単位面積当たり20~500g/m程度の重量を有する。これらの織物または不織布は、場合によっては表面処理されることがある。
【0108】
もちろん、少なくとも1つのキャリアフィルムは、2つ以上の異なる層、例えばプラスチック層、紙層、金属層などで形成することもできて、それらの層が例えば接着接合される、または互いに積層される。
【0109】
Au、Ag、Cu、Al、Zn、およびCuを、アンテナおよび/または導電体トラックの金属層として使用することができる。取り得るコーティング方法として、例えばスクリーン印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷が挙げられる。さらに、導電性ポリマー、AgやCuの導電性ペーストや導電性カーボンペーストなどの印刷された導電層も検討されうる。アンテナおよび/または導電体トラックを形成する金属層の厚さは、好ましくは0.5μm~50μmである。
【0110】
少なくとも1つのキャリアフィルム(の上面)に貼付される構成要素は、保護膜、ラッカー、またはコーティングと共に提供されることがある。
【0111】
比較可能な合わせフィルム、およびそれらを製造する工程が先行技術で記載されている(例えば、国際公開2007/101688A1号明細書、国際公開2009/000446A1号明細書、国際公開2018223171A2号明細書、国際公開2008/067830A1号明細書を参照)。
【0112】
平坦な合わせフィルムは、好ましくは10cm~200cmの範囲(長さ×幅)の平坦な範囲を有する。厚さは、好ましくは0.5mm~5mmである。平坦な合わせフィルムは任意の形状を持つことができて、合わせフィルムが包装物に接続される面は、好ましくは4辺を持つ(例えば矩形、正方形、または台形の)形状、5辺を持つ形状、または6辺を持つ形状を有する。
【0113】
(例えば、導線または導電性導体トラックの形態の)導電体は、好ましくは合わせフィルムの2つの層の間に挿入される。センサは、導電体内の遮断を、例えば導電体の電気伝導性の関連する変化に基づいて検出するよう構成される。導電体は、好ましくはU字形状を有する。また、「U字形状」という用語は、文字Uの形状に似た形状、例えばV字形状、馬蹄形状、一辺が欠けた矩形形状、一辺が欠けた台形形状、ループ形状、および同種のものなどを含む。U字形状は、好ましくは無線タグのベース領域に沿って延びる。
【0114】
特に好ましい一実施形態では、無線タグは、無線タグの一方の側で一方向に延びる分枝(突出部)を有する。そのような分枝は、それゆえ、無線タグの一方の側で無線タグのベース領域と平行に延びる方向の無線タグの延長部である。分枝は、この場合、無線タグの分枝が外側へと延びる側よりも狭い。導電体は、好ましくは分枝の上に、もしくは分枝の下に、または分枝の中(例えば2つの層またはフィルムの間)に設置される。この実施形態においても、導電体は好ましくは分枝に沿ってU字形に延びる。無線タグが包装物に貼付される場合、分枝が梱包材の開口および/または梱包材へのアクセスポイントの上に貼付されるように、梱包材に貼付されることがある。梱包材が開封されると、分枝は切断され、導電体はその過程で遮断される。
【0115】
分枝は少なくとも1つのキャリアフィルムの一部であってもよいが、少なくとも1つのキャリアフィルムに貼付することもできる。
【0116】
特に好ましい一実施形態では、所定の破壊点(引き裂かれる端部、破断する端部、弱い箇所)が分枝と(分枝がキャリアフィルムの一部であるか、独立した部品であるかに応じて)キャリアフィルムもしくはキャリアフィルムの残りの部分との間に、および/または分枝の中に存在する。分枝へ機械的応力がかかる場合、特に分枝が引っ張られる場合(例えば梱包材を開封する際)は、分枝は所定の破壊点において(残りの)キャリアフィルムから分離される、または切断される。また、この分離/切断には分枝に含まれる導電体も含まれ、この導電体が遮断される。所定の破壊点は、一方では導電体の遮断を容易にするが、他方では、主に規定された方法で遮断を進め、導電体はほとんどどこでも切断されるというのではなく、むしろ所定の破壊点に沿って切断される。所定の破壊点は、例えば穿孔、切り欠き、先細部、溝、切れ目、接着接合部、および/または同種のものとして設計されうる。
【0117】
本発明のさらに好ましい実施形態は以下である。
1.アクティブ型無線タグであって、無線タグは固有識別子を含み、無線タグは製品の梱包材に取り付けることができるように設計され、無線タグは少なくとも1つのセンサを含み、少なくとも1つのセンサは梱包状態を検出し、少なくとも1つのセンサは梱包材が開いている/未開封、または梱包材が開封済み/開封されていない、という梱包状態を検出し、無線タグは固有識別子と梱包状態についての状態情報とを移動無線ネットワークを介して送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成される、アクティブ型無線タグ。
【0118】
2.少なくとも1つのセンサは梱包材が開封された場合に遮断される導電体を含む、実施形態1に記載のアクティブ型無線タグ。
【0119】
3.少なくとも1つのセンサは、以下の梱包状態のうちの1つまたは複数を検出する少なくとも1つの計器である、実施形態1または2のいずれかに記載のアクティブ型無線タグ:
-梱包材が開封されている、
-梱包材が押しつぶされている、
-梱包材が規定の最高温度値を上回る/規定の最低温度値を下回る温度に晒されている、
-梱包材が規定の最高湿度値を上回る/規定の最低湿度値を下回る(空気)湿度に晒されている、
-梱包材に規定の最大圧力値を上回る/規定の最小圧力値を下回る圧力がかかっている、
-梱包材に規定の最大加速度値を上回る加速力が加わっている、
-梱包材が、規定の波長領域で規定の最大強度値を上回る強度の電磁放射線 に曝露されている。
【0120】
4.環境条件の測定値を検出する少なくとも1つの更なるセンサを含み、製品ならびに/または梱包材および/もしくは無線タグは測定値を取得した時点の環境条件に晒されていて、無線タグは固有識別子と梱包状態についての状態情報と環境条件についての環境情報とを、移動無線ネットワークを介して送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成される、実施形態1~3のいずれか一つに記載のアクティブ型無線タグ。
【0121】
5.環境条件は、以下の環境条件、すなわち、温度、大気圧、空気湿度、加速力、規定の波長領域の電磁放射線の強度、のうちの1つまたは複数である、実施形態4に記載のアクティブ型無線タグ。
【0122】
6.制御部と、梱包状態を検出する少なくとも1つのセンサと、送信部と、データ記憶部とを含み、固有識別子がデータ記憶部に記憶される、実施形態1~5のいずれか一つに記載のアクティブ型無線タグ。
【0123】
7.状態表示部を含み、制御部は、センサを介して梱包状態を特定して、状態表示部に梱包状態を表示させるよう構成される、実施形態6に記載のアクティブ型無線タグ。
【0124】
8.環境条件を検出するセンサと状態表示部とを含み、制御部は、センサから少なくとも1つの測定値を受信して、少なくとも1つの測定値を規定の限界値と比較し、測定値が規定の限界値を下回るまたは上回る場合に、状態表示部に警告信号を表示させるよう構成される、実施形態6に記載のアクティブ型無線タグ。
【0125】
9.移動無線ネットワークを介して信号を受信する受信部と状態表示部とを含み、制御部は、受信部を介して信号を受信して状態表示部に警告信号を表示させるよう構成される、実施形態1~8のいずれか一つに記載のアクティブ型無線タグ。
【0126】
10.少なくとも1つの導電体と、上面と底面がある平坦な範囲を有する少なくとも1つのキャリアフィルムを含み、以下の構成要素、すなわち、送信部と、センサと、エネルギー供給部とが少なくとも1つのキャリアフィルムの上面に貼付され、接着剤層が少なくとも1つのキャリアフィルムの底面に貼付され、接着剤層を介して無線タグを製品の梱包材に取り付けることができて、センサは梱包状態を検出するよう構成され、センサは、導電体が遮断されていない場合には「未開封の梱包材」という梱包状態を検出し、導電体が遮断されている場合には「開封されている梱包材」という梱包状態を検出するよう構成され、送信部は、固有識別子と梱包状態とを移動無線ネットワークを介して送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成される、アクティブ型無線タグ。
【0127】
11.梱包材と、実施形態1~10のいずれか一つに記載のアクティブ型無線タグを含む、製品。
【0128】
12.アクティブ型無線タグは梱包材の中の開口および/または梱包材へのアクセスポイントの上に貼付される、実施形態11に記載の製品。
【0129】
13.アクティブ型無線タグは、製品が開封される際に遮断されるように貼付されている導体を有する、実施形態12に記載の製品。
【0130】
14.センサは、導電体が遮断されていない場合には「未開封の梱包材」という梱包状態を検出し、導電体が遮断されている場合には「開封されている梱包材」という梱包状態を検出するよう構成される、実施形態11~13のいずれか一つに記載の製品。
【0131】
15.少なくとも1つのアクティブ型無線タグと、少なくとも1つの送受信機と、コンピュータシステムと、データベースと、を含むシステムであって、少なくとも1つの無線タグは固有識別子を含み、少なくとも1つの無線タグは製品の梱包材に取り付けることができるように設計され、少なくとも1つの無線タグは少なくとも1つのセンサを含み、少なくとも1つのセンサは製品の梱包材に取り付けられた場合に梱包状態を検出し、少なくとも1つの無線タグは固有識別子と梱包状態についての状態情報とを少なくとも1つの送受信機へ時間間隔をおいて送信するよう構成され、少なくとも1つの送受信機は固有識別子と状態情報を少なくとも1つの無線タグから受信するよう構成され、少なくとも1つの送受信機は位置情報を特定するよう構成され、少なくとも1つの送受信機は固有識別子、状態情報、および位置情報をネットワークを介してコンピュータシステムへ送信するよう構成され、コンピュータシステムは固有識別子、状態情報、および位置情報を送受信機から受信するよう構成され、コンピュータシステムは固有識別子に基づいて製品をデータベース内で特定するよう構成され、コンピュータシステムは特定された製品に対して位置情報を製品の場所として保存するよう構成され、コンピュータシステムは特定された製品に対して状態情報を梱包状態として保存するよう構成される、システム。
【0132】
16.少なくとも1つの無線タグは、少なくとも1つの実施形態1~10のいずれか一つに記載の無線タグである、実施形態15に記載のシステム。
【0133】
17.少なくとも1つの実施形態4に記載の無線タグを含み、送受信機は固有識別子と環境条件についての環境情報とをコンピュータシステムへ送信するよう構成され、コンピュータシステムは固有識別子に基づいて固有識別子が割り当てられた製品をデータベース内で特定するよう構成され、コンピュータシステムは特定された製品に対する最小値または最大値をデータベースから特定して、環境情報を最小値または最大値と比較して、環境条件が最小値を下回る場合、または環境条件が最大値を上回る場合に、下回っていることまたは上回っていることについてのメッセージを人へ送信するよう構成される、実施形態15または16に記載のシステム。
【0134】
18.
-固有識別子を有するアクティブ型無線タグを製品の梱包材に取り付けるステップと
-無線タグが梱包状態を検出するステップと、
-無線タグが固有識別子と梱包状態についての状態情報とを、移動無線ネットワークを介して送受信機へ送信するステップと、
-送受信機が位置情報を特定するステップと、
-送受信機が固有識別子、状態情報、および位置情報をネットワークを介してコンピュータシステムへ送信するステップと、
-コンピュータシステムが固有識別子に基づいて製品を特定するステップと、
-特定された製品の場所として位置情報をデータベースに保存するステップと、
-特定された製品の梱包状態として状態情報をデータベースに保存するステップと、
を含む方法。
【0135】
19.
-無線タグが環境条件を検出するステップと、
-無線タグが環境条件についての環境情報を移動無線ネットワークを介して送受信機へ送信するステップと、
-送受信機が環境条件についての環境情報をネットワークを介してコンピュータシステムへ送信するステップと、
-コンピュータシステムが、特定された製品が晒された環境条件として環境情報をデータベースに保存するステップと、
をさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0136】
20.
-コンピュータシステムが特定された製品に対する最小値または最大値をデータベースから特定するステップと、
-コンピュータシステムが環境情報を最小値または最大値と比較するステップと、
-環境情報が最小値を下回る場合、または環境情報が最大値を上回る場合に、コンピュータシステムが下回っていることまたは上回っていることについてのメッセージを人へ送信するステップと、
をさらに含む、実施形態19に記載の方法。
【0137】
21.
-時刻を取得するステップと、
-コンピュータシステムが、特定された製品がその時点で有していた場所として位置情報および時間をデータベースに保存するステップ、および/もしくは
-コンピュータシステムが、特定された製品がその時点で有していた梱包状態として状態情報をデータベースに保存するステップ、ならびに/または
-コンピュータシステムが、特定された製品がその時点で晒された環境条件として環境情報をデータベースに保存するステップと、
をさらに含む、実施形態18~20のいずれか一つに記載の方法。
【0138】
22.
-特定された製品に対する場所をデータベースから特定するステップと、
-位置情報を特定された場所と比較して、不一致である場合は不一致に関するメッセージを人へ送信するステップ、
または、
-特定された製品の梱包状態をデータベースから判定するステップと、
-状態情報を特定された梱包状態と比較して、不一致である場合は不一致に関するメッセージを人へ送信するステップと、
をさらに含む、実施形態18~21のいずれか一つに記載の方法。
【0139】
23.データ記憶媒体に記憶されるプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムコードはコンピュータシステムの作業メモリへロードされた場合にコンピュータシステムに、
-固有識別子、状態情報、および位置情報をネットワークを介して受信することと、
-固有識別子に基づいて製品を特定することと、
-特定された製品の場所として位置情報をデータベースに保存することと、
-特定された製品の梱包状態として状態情報をデータベースに保存することと、
を行わせる、コンピュータプログラム製品。
【0140】
24.プログラムコードは、コンピュータシステムの作業メモリへロードされた場合にコンピュータシステムに実施形態18~22のいずれか一つに記載の方法のステップの1つまたは複数を行わせる、実施形態23に記載のコンピュータプログラム。
【0141】
25.製品の製造の最適化のため、ならびに/または、製品の保管の最適化および/もしくは製品の流通の最適化のための、実施形態1から10のいずれか一つに記載の無線タグ、および/もしくは実施形態11から14のいずれか一つに記載の製品、ならびに/または実施形態15および17のいずれか一つに記載のシステムの使用。
【図面の簡単な説明】
【0142】
本発明は以下で図および例を参照して詳細に説明されるが、本発明を図および例で明確化された特徴および特徴の組み合わせに制限する意図はない。
【0143】
以下の図において、
図1】本発明に係る、非常の多数の無線タグ(1a、1b、1c、1d)、送受信機(2)、およびコンピュータシステム(3)を含むシステムの一例を模式的に示す。無線タグ(1a、1b、1c、1d)は、製品の梱包材(Pa、Pb、Pc、Pd)に貼付される。3つの製品の梱包材(Pa、Pb、Pc)は未開封の状態であり、1つの製品の梱包材(Pd)は開封された状態である。図において、無線の記号は2つの無線タグ(1b、1d)がそれぞれ情報を送信するという事実を示す。情報には、無線タグの固有識別子と、梱包状態についての状態情報と、場合によっては更なる情報を含むことができる。送信される情報は、送受信機(2)により受信することができる。送受信機は、受信した情報に少なくとも位置情報を追加して、この情報のすべてをネットワーク(5)を介してコンピュータシステム(3)へ送信する。コンピュータシステム(3)はデータベース(4)に接続される。図1では、コンピュータシステム(3)はデータベース(4)に直接接続される。また、コンピュータシステム(3)を、ネットワーク(5)を介してデータベース(4)に接続することも可能である。受信した無線タグの固有識別子に基づいて、コンピュータシステム(3)は、固有識別子が割り当てられた各製品をデータベース(4)内で特定して、各製品に対して受信した位置情報と受信した状態情報を保存することができる。
図2】製品の梱包材(P)に貼付される無線タグ(1)の一例を模式的に示す。梱包材は粘着性ストリップ(8)により閉じられる。粘着性ストリップ(8)が剥がされる場合、または線(7)に沿って切断される場合、無線タグ(1)の一部である導電体(6)(例えば導電線)は遮断されることになる。無線タグ(1)は、導電体(6)の遮断を識別することで梱包材が未開封であるか、開封されているかを区別できるように構成することができる。
図3】無線タグ(1)の一例を模式的に示す。無線タグ(1)は、梱包状態(例えば、開封済み/未開封)を検出するセンサ(10)を有する。制御部(11)は、個々の構成要素を制御して、データおよび信号の流れを調整するのに使用される。情報は、送信部(12、13)を介して無線により送信することができる。固有識別子はデータ記憶部(14)に記憶される。
図4】送受信機(2)の一例を模式的に示す。送受信機(2)は受信部(21、22)を有し、この受信部を介して移動無線により情報を受信することができる。制御部(20)は、個々の構成要素を制御して、データおよび信号の流れを調整するのに使用される。送受信機(2)または無線タグ(図示せず)の場所(位置情報)は、場所特定部(25)を介して特定することができる。情報は、ネットワーク(図示せず)を介して、送信部(23、24)によりコンピュータシステム(図示せず)へ送信することができる。
図5】例として、異なる状態にある3つの無線タグ(1a、1b、1c)を示す。無線タグ(1a、1b、1c)のそれぞれは、導線(6a、6b、6c)、状態表示部(9a、9b、9c)、および光学的に読み取り可能な符号(QR)を有する。無線タグ(1a)の場合、導線(6a)は損傷していない。無線タグの制御部(図示せず)がセンサ(図示せず)を介して電線(6a)の伝導度を検出して、電線(6a)が損傷していないことを識別する。制御部は、状態表示部(9a)に梱包材が閉じられている(「封止されている」)ことを表示させる。この表示は、例えば発光ダイオードまたは液晶ディスプレイを介して実現される。無線タグ(1b)の場合、導線(6b)は遮断されている。制御部は伝導度センサを介して電線(6b)が遮断されていることを検出し、状態表示部(9b)に梱包材が開いている(「封止されていない」)ことを表示させる。無線タグ(1c)の場合、導線(6c)は損傷していない。制御部は伝導度センサを介して電線(6c)が損傷していないことを検出し、状態表示部(9c)に梱包材が閉じられている(「封止されている」)ことを表示させる。それに加えて、状態表示部(9c)は、購入者/ユーザは製品を使用するのではなく、むしろまず光学的符号(QR)を走査すべきであると表示する。購入者/ユーザは光学的符号を使用して、購入者/ユーザへ更なる情報を提供するウェブサイトへアクセスする。
図6】本発明に係る無線タグの好ましい一実施形態を、(a)(上方からの)平面図および(b)(前方からの)側面図で模式的に示す。無線タグ(1)は平坦な範囲を有し、長さLおよび幅Bは同じオーダーの大きさであるが、これらは厚さDの何倍も大きい。無線タグ(1)の基本的形状は六角形である、あるいは基本的形状は2つの相互接続された四角形からなる。無線タグ(1)は、合わせフィルムとして設計される。無線タグ(1)は、キャリアフィルム(30)を有する。以下の構成要素がキャリアフィルム(30)(の上面)に貼付される:アンテナ(13)、例えば電気化学セルの形態のエネルギー供給部(16)、導電体(6)、導電体トラック(17)、および、センサ(10)と制御部(11)と送信部(12)とデータ記憶部(14)を結合する集積回路。無線タグ(1)は、無線タグ(1)の一方の側から出発して一方向に延びる分枝(31)を有する。導電体(6)は、分枝(31)上にU字形に配置される。分枝(31)は、所定の破壊点(33)により無線タグ(1)の残りの部分から分離される。所定の破壊点(33)は、穿孔として設計される。接着剤層(32)がキャリアフィルム(30)の下に貼付され、この接着剤層(32)を介して、無線タグ(1)を製品の梱包材に取り付けることができる。
図7】本発明に係る無線タグの好ましい実施形態を、側面図で模式的に示す。無線タグ(1)は、合わせフィルムとして設計される。無線タグ(1)は、キャリアフィルム(30)を有する。キャリアフィルム(30)に貼付される以下の構成要素が確認できる:アンテナ(13)、集積回路(15)、およびエネルギー供給部(16)。接着剤層(32)は、キャリアフィルム(30)の下に貼付される。接着剤層(32)は、保護膜(34)により保護される。実施形態(b)では、保護膜(35)がキャリアフィルム(30)の上に貼付されて、キャリアフィルム(30)上の構成要素(13、15、16)を環境の影響から保護する。実施形態(c)では、コーティング(36)がキャリアフィルム(30)へ塗布されて、キャリアフィルム(30)上の構成要素(13、15、16)を環境の影響から保護する。実施形態(a)は、キャリアフィルム(30)の上に保護層を持たない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】