IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図1
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図2
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図3
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図4
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図5
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図6
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図7
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図8
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図9
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図10
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図11
  • 特許-データケーブル用のプラグコネクタ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】データケーブル用のプラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/56 20060101AFI20240329BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20240329BHJP
   H01R 24/64 20110101ALI20240329BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H04B3/56
H01R13/66
H01R24/64
H05K1/02 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022170969
(22)【出願日】2022-10-25
(65)【公開番号】P2023070102
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】A 50883/2021
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パトリック レツオ
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-522854(JP,A)
【文献】特表2018-536974(JP,A)
【文献】特開2001-284828(JP,A)
【文献】特開2005-252629(JP,A)
【文献】特開2017-028005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/56
H01R 13/66
H01R 24/64
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データケーブルのケーブルプラグに機械的および電気的に接続するためのプラグコネクタであって、
a) コンプリメンタリなプラグコネクタのための少なくとも1つのプラグイン開口部(1)を有するハウジング(2)と、
b) 前記ハウジング(2)の内部に保持され、前記プラグイン開口部(1)に突出し、その外側で前記ハウジング(2)の後側に導かれる複数の電気的なコンタクト要素(5)と、
c) 前記ハウジング(2)の裏側後端壁に縦向きに取り付けられた、プリント回路基板(6)と、を備え、当該プリント回路基板(6)が、
d) 電子回路と、さらなる電子機器のためのコネクション要素(7)と、を有し、
e) 前記コンタクト要素(5)が、前記電子回路に電気的に接続され、
f) 前記プリント回路基板(6)の前記電子回路が、ネットワーク信号のガルバニック絶縁のためのアセンブリを有し、
g) 前記アセンブリが、各データラインに対して前記プリント回路基板(6)上に実装されている少なくとも1つのチップ-LAN変圧器(13)を有している
プラグコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグコネクタにおいて、
前記プリント回路基板(6)に実装されたコモンモードチョーク(14)が、前記チップ-LAN変圧器(13)のそれぞれに割り当てられている
プラグコネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のプラグコネクタにおいて、
前記電子回路が前記プリント回路基板(6)に搭載された電流制限用アセンブリを有している
プラグコネクタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプラグコネクタにおいて、
前記プリント回路基板(6)に搭載されている前記電子回路がネットワーク終端またはボブ・スミス終端(15)を有している
プラグコネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプラグコネクタにおいて、
前記プリント回路基板(6)が多層PCBプリント回路基板である
プラグコネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプラグコネクタにおいて、
前記多層PCBプリント回路基板が、最上位カッパーレイヤー(22)と、第1誘電性材料レイヤー(23)と、第1内側カッパーレイヤー(24)と、コア誘電性材料レイヤー(25)と、第2内側カッパーレイヤー(26)と、第2誘電性材料レイヤー(27)と、最下位カッパーレイヤー(28)と、が順に積層された構造を有している
プラグコネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のプラグコネクタにおいて、
前記コア誘電性材料レイヤー(25)が、前記第1誘電性材料レイヤー(23)および前記第2誘電性材料レイヤー(27)のうち少なくとも一方よりも厚く形成されている
プラグコネクタ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のプラグコネクタにおいて、
前記第1内側カッパーレイヤー(24)および前記第2内側カッパーレイヤー(26)が、前記最上位カッパーレイヤー(22)および前記最下位カッパーレイヤー(28)のうち少なくとも一方より厚く形成されている
プラグコネクタ。
【請求項9】
請求項に記載のプラグコネクタにおいて、
前記コネクション要素(7)の1つまたは前記コンタクト要素(5)の1つと、
前記第1内側カッパーレイヤー(24)および前記第2内側カッパーレイヤー(26)と、
前記最下位カッパーレイヤー(28)と、を介して接地されている
プラグコネクタ。
【請求項10】
請求項1に記載のプラグコネクタにおいて、
前記コンタクト要素(5)の1つを介した接地と前記コネクション要素(7)の1つを介した接地とは、キャパシタ(18)を介して相互に接続されている
プラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データケーブルのケーブルプラグ、特にRJ45ケーブルプラグに機械的および電気的に接続するためのプラグコネクタ、特にシャーシソケットに関する。
【0002】
本発明は、電子データを転送するためのコンパチブルケーブルプラグのためのプラグイン開口部を有するRJ45シャーシソケットとしての実施形態が好ましい。したがって、本発明は、当該好ましい実施形態に基づいて説明されるが、基本概念はプラグコネクタタイプの他のすべてのモデルに適用可能である。
【0003】
プラグイン開口部に突出するRJ45ピン等の電気コンタクト要素は、ハウジングの後方に導出され、プリント回路基板における電子回路が使用されてそこに電力が供給される。これは、ハウジングに対して機械的に接続されている。プリント回路基板に実装されているは、フラッシュ型のプラグコネクタが設置された装置のさらなる電子アセンブリのためのコネクション要素を備えている。
【背景技術】
【0004】
従来、RJ45シャーシソケットは、メインPCBボードに信号を渡すだけで、メインPCBボードの他の部分が高電圧絶縁および信号調整を担っていた。近年、高電圧絶縁のために手巻きのフェライトリングがRJ45シャーシソケットのハウジングに搭載されているが、さらなる信号調整はメインPCBボードにより担われている。完全に調整されたデータ信号だけが、メインPCBボードの低電圧領域でイーサネットPHYチップに渡され、そこで処理されうる。
【0005】
当該技術分野における先行技術は、手巻きのフェライトコアリングを一体化したモジュールで、メインPCBメインボードに個別に搭載され、通常はフラッシュ型のプラグコネクタから離間して搭載され、または、装置の電子回路に電気的に接続される前にフラッシュ型のプラグコネクタのプリント回路基板に設けられることもある。変圧器の振動をなくすため、別個のチャンバにポリマーを用いて埋設されることが好ましい。手巻きのフェライトリングのため、品質の均一性が確保できないので、ネットワーク信号の電圧品質に大きなばらつきがある。このようなフェライトコアリングの一例が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、チップ型変圧器が使用された、ネットワークデータ転送用の電気プラグコネクタが提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。
【0007】
特許文献1には、信号経路におけるガルバニック絶縁のためにSMD変圧器またはチップ変圧器およびチョークコイルが使用されたネットワーク通信アセンブリが開示されている。特許文献1には、さらに、変圧器と関連するチョークコイルとの間、またはm電子回路の異なる構成要素の間の電気的接続長さを、既存の要件および空間的な制約に適合させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許公開公報 US2014/016289A1
【文献】中国特許公開公報 CN105337086A
【文献】中国特許公開公報 CN105680230A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、コンパクトな構造および最適な信号品質で、デバイス回路のPHYチップへの直接的な接続を可能にするフラッシュ型のプラグコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、特許請求の範囲に記載された装置および方法によって達成される。
【0011】
この目的を達成するために、高電圧絶縁、インピーダンス調整、ノイズ抑制および/または信号伝送などの重要な機能を確保するために、各チャネルの信号経路における入力とデバイスの電子回路との間に少なくとも1つのイーサネットトランスミッタが設けられている、前述のフラッシュ型のプラグコネクタは、電子回路がプリント回路基板にネットワーク信号のガルバニック絶縁のためのアセンブリを有し、当該アセンブリが各データラインに対してプリント回路基板に搭載されている少なくとも1つのチップLAN変圧器を備えている、ことを特徴としている。当該特徴は、単一のコンパクトなコンポーネントでネットワーク信号のガルバニック絶縁機構を有する直接的に集積されたイーサネットトランスミッタを有するフラッシュ型のプラグコネクタを特徴付けている。この目的のため、専ら自動SMT技術により組み立てられた自動生産のチップLAN変圧器およびチップチョークを使用することが望ましいとされている。これにより、ネットワーク信号の品質がより均一になり、かつ、コンパクトな構造および集積が可能になる。
【0012】
プリント回路基板に実装されたコモンモードチョークが、各チップ-LAN変圧器に割り当てられていることが好ましい。
【0013】
電子回路が、プリント回路基板に実装された電流制限用アセンブリを有していることが好ましい。
【0014】
本発明に係るプラグコネクタの1つの有利な実施形態は、プリント回路基板に実装されている電子回路が、ネットワーク終端、好ましくはボブ・スミス終端を有しているという事実によって特徴付けられている。したがって、適当なネットワーク終端は、デバイスまたはその電子回路の構造とは無関係に、本発明に係るシャーシソケットの設置によって確保される。もちろん、抵抗値が標準的な75Ωから他の最適化された値に調整されてもよい。
【0015】
本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタの電子回路は、イーサネットネットワークプラグ接続に必要な機能性を保証し、またボブ・スミス終端および電流制限を、好ましくは標準的なサイズの単一コンポーネントにおける共通機能として有している。本発明によれば、ネットワーク信号が、RJ45シャーシの後部において小型PCBボードを介してイーサネットPHYチップに対して伝送される。この際、例えば、メインPCBメインボードにおける付加的かつ個別に封止された高電圧領域を伴わないフラットバンドケーブルが使用される。フラットバンドケーブルは、メインPCBメインボードは直接的な信号伝送機能を有し、または、ピンコネクタを用いてメインPCBメインボードに直接的に接続される。
【0016】
プリント回路基板として多層、特に4層のPCBプリントが好ましくはここで使用され、好ましくは専らSMTを備えている機械を有し、プリント回路基板のサイズは一辺が25mmの長さを有する正方形状に維持される。これにより、規格IEEE802.3afへの準拠も保証され、本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタは、その標準構造において、市場にあるイーサネットPHYの約80%に対して適用可能である。
【0017】
抵抗器、キャパシタおよびダイオードは、電子信号の電圧の整合性と電子回路の電流制限を確保するために、小型PCB基板に付加的に実装されている。イーサネットPHYチップの選択およびその内部構造に応じて、電子回路もそれに合わせて別途対応する必要がある。これは、前記電子コンポーネントが搭載されているより集積度が高いチップ、または、初めて市場に投入される新たなコンポーネントによって実現可能である。
【0018】
ネットワーク信号の2つ(100MB/s)または4つ(1GB/s)の信号対は、信号長および信号伝送時間を一定に維持するために、新規の小型PCBボードにおいて異なる設計および実装が実行される。
【0019】
PCBプリント回路基板の導電層は、本発明によれば、順に積層された最上位カッパーレイヤー(銅層)、第1誘電性材料レイヤー、第1内側カッパーレイヤー、コア誘電性材料レイヤー、第2内側カッパーレイヤー、第2誘電性材料レイヤーおよび最下位カッパーレイヤーを備えている。
【0020】
ここで、コア誘電性材料レイヤーが、第1誘電性材料レイヤーおよび/または第2誘電性材料レイヤーよりも厚く形成され、好ましくは10倍だけ厚く形成されている。
【0021】
付加的または代替的に、第1内側カッパーレイヤーおよび第2内側カッパーレイヤーが、最上位カッパーレイヤーおよび/または最下位カッパーレイヤーよりも厚く形成され、好ましくは2倍だけ厚く形成されている。
【0022】
本発明のさらなる有利な実施形態は、複数のコネクション要素の1つと、第1内側カッパーレイヤーおよび第2内側カッパーレイヤーと、最下位カッパーレイヤーと、を介して接地されるという事実によって区別される。
【0023】
代替案として、特に高帯域幅用のフラッシュ型のプラグコネクタの場合、コンタクト要素の1つ、第1内側カッパーレイヤーおよび第2内側カッパーレイヤー、ならびに、最下位カッパーレイヤーを介した接地も可能である。
【0024】
コンタクト要素の1つを介した接地線およびコネクション要素の1つを介した接地線は、本発明の代替実施形態において、キャパシタを介して相互に接続されうる。
【0025】
本発明のさらなる理解のために、次の図面に基づいて本発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】1GB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタの1つの実施形態の正面図。
図2図1のフラッシュ型のプラグコネクタの側面図。
図3図1のフラッシュ型のプラグコネクタの背面図。
図4】100MB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタのさらなる実施形態の背面透視図。
図5】100MB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタの例示的な回路図である。
図6】1GB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタのプリント回路基板の後方に対向する側面図。
図7】1GB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタのプリント回路基板のハウジングに対向する側面図。
図8】1GB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタの例示的な回路図。
図9】プリント回路基板の好ましい例示的な実施形態の分解図。
図10図9のプリント回路基板を通る垂直断面図。
図11】100MB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタのプリント回路基板の好ましいPCBレイアウトのためのガーバーファイルの表現図。
図12】1GB/sの応用実施例における本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタのプリント回路基板の好ましいPCBレイアウトのためのガーバーファイルの表現図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
異なる実施形態の説明において、同一のコンポーネントは、同一の参照符号または同一の名称が付与され、発明の詳細な説明に含まれる開示事項は、同一の参照符号または同一の名称を有する同一のコンポーネントに適宜援用される。発明の詳細な説明において選択された、上方、下方、横方向などの位置の指定は、該当説明箇所および該当図面に関連付けられ、当該位置の指定は、変位に応じた新たな位置に適宜変更される。そして、構造の理解のために、構成要素は部分的に縮尺を変えることなく、かつ/または、拡大および/または縮小されずに開示されていることに留意されたい。
【0028】
図1は、コンプリメンタリケーブルプラグコネクタ用のプラグイン開口部1を臨んだ際の、本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタの第1実施形態の正面図である。当該プラグコネクタは、好ましい実施形態では、ネットワーク対応装置、配電盤または同等機器に設けられるRJ45シャーシソケットである。フラッシュ型のプラグコネクタのハウジング2は、好ましくは、ケーブルプラグ用のプラグイン開口部1と同心の環状レセプタクル3であって、当該ケーブルプラグの保護ハウジングの円筒ソケット形状のプラグイン延長部のための環状レセプタクル3を有する。ハウジング2は、好ましくは、ケーブルプラグまたはそのプラグイン延長部のための固定アセンブリを備え、当該固定は、前方に突出した駆動要素4により手動で解除されうる。
【0029】
プラグイン開口部1に突出する電気的なコンタクト要素5、例えばRJ45ピンは、ハウジング2の後方に導出され、そこでハウジング2の後側に縦向きに取り付けられたプリント回路基板6の電子回路または電気回路に電気的に接続されている。プリント回路基板6の電子回路は、以下に詳細に説明されるように、他の電子回路に接続するためのコンタクトピンの形態のコネクション要素7を備え、当該コネクション要素7はピンヘッダ8に組み付けられている。低帯域幅の実施形態における9個の標準コンタクト要素5のうち、100Mbit/sの応用実施例のように、2対のデータラインのみが使用され、コンタクト要素5のうち1つが接地のために使用されるので、5個のコネクション要素7が設けられている。ケーブルプラグのネットワーク信号は、通常、コンタクト要素5、プリント回路基板6の電子回路およびコネクション要素7を介して、イーサネットPHYチップを有するネットワーク対応機器の電子回路に導通される。
【0030】
ハウジング2に対するプリント回路基板6の取り付け手段は、ハウジング2の取り付けピン9の配列からなり、対応する取り付け穴10がプリント回路基板6に設けられている。プリント回路基板6は、ハウジング2が金属からなる場合、ハウジング2の背面にはんだ付けされ、ハウジング2がプラスチックからなる場合、ハウジング2に接着剤で接合されまたは超音波で溶着される。
【0031】
ハウジング2それ自体は、装置、配電盤または同等物に取り付けるための取り付け穴12を有する取り付けタブ11を有している。他の実施形態において、ハウジング2の前方に突出した矩形状または正方形状の取り付けフランジが設けられ、その中に取り付け穴12が形成されている。プリント回路基板6のサイズは、実質的に、その縦軸線に対して横方向におけるハウジング2のサイズに対応し、典型的には25mm×25mmの範囲であるため、装置または配電盤の標準的な開口部に前方から簡単に取り付け可能であり、その後、フラッシュ型のプラグコネクタが当該装置の前プレートと同一高さまたは配電盤にネジ止めされうる。
【0032】
プリント回路基板6に搭載されている電子回路は、通常の構成要素に加えて、入力電子回路およびPHYチップなどの下流への通過電子回路の間のネットワーク信号のガルバニ絶縁のためにプリント回路基板6に直接的に搭載されているアセンブリを備えている。当該アセンブリは、2対のデータラインのそれぞれについてプリント回路基板6に直接的に搭載されている少なくとも1つのチップ-LAN変圧器13を有している。好ましくはチップチョークの形態のコモンモードチョーク14が、当該LAN変圧器のそれぞれに対して割り当てられている。両方の変圧器、両方のチップ-LAN変圧器13および両方のコモンモードチョーク14は、専ら自動SMT技術により組み立てられる自動生産コンポーネントである。プリント回路基板6における電子回路は、好ましくは、電流制限用アセンブリを備えていてもよい。コンパクトな構造および最適な信号品質を有する、前述のように設計されたプリント回路基板を有する本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタは、例えばデバイス回路のPHYチップへの直接的な接続が可能である。
【0033】
ネットワーク終端は、そこで実装される電子回路においてプリント回路基板6に集積され、好ましくは、その75Ωの抵抗器15および好ましくはそれに直列接続されたキャパシタ16を有するボブ・スミス終端である。75Ωを有する標準的な抵抗の代わりに、それぞれの条件に適合した電子回路の最適な設計のために、他の抵抗値が選択可能である。コンタクト要素5の1つを介したフラッシュ型のプラグコネクタの入力は、ボブ・スミス終端15、16および干渉抑制キャパシタ17を介して接地されている。所望により、入力の接地線は、さらなるキャパシタ18を介してプリント回路基板6の接地線に接続されてもよい。付加的なキャパシタ18は、プリント回路基板6またはその電子回路の基本的な応用実施例において、対応して準備されたはんだパッドだけが設けられ、付加的なの過電圧保護が実現される。プリント回路基板6の接地線には、干渉抑制キャパシタ19も接続されている。
【0034】
図5は、図1図4に示されている、本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタのプリント回路基板6の電子回路の100MB/sの応用実施例の電子回路図であり、前述した機器の特定の相互接続を有するものである。
【0035】
図6は、より高い帯域幅(例えば1GB/sの応用実施例)のための本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタのプリント回路基板6の側面図であって、フラッシュ型のプラグコネクタの(ハウジング2の反対側にある)後方に対向する側面図を示している。この場合、フラッシュ型のプラグコネクタの8個のコンタクト要素5が4対のデータラインに対して使用され、コンタクト要素5の1つが接地のために使用されている。4対のデータラインのためにプリント回路基板6に必要とされるより多数の構成コンポーネントが、ここではプリント回路基板6の両側に分散配置されている。適応して設計された構成コンポーネントを使用して、さらに高い帯域幅にも対応可能であり、その場合、フラッシュ型のプラグコネクタは、2.5GB/s、5GB/s、さらには10GB/sの応用実施例において実装可能である。
【0036】
ハウジング2におけるプリント回路基板6の適当な位置合わせおよび固定のために、取り付け穴20が使用される。ピンヘッダ8は、9個のコネクション要素7を備えている。入力電子回路および下流への通過電子回路の間のネットワーク信号のガルバニ絶縁のための、ここでもプリント回路基板6に集積されているアセンブリが、プリント回路基板6に直接的に搭載された4つのチップ-LAN変圧器13を備えている。それぞれのチップ-LAN変圧器13が、好ましくはチップチョークの形態で割り当てられたコモンモードチョーク14を有している。当該構成要素はすべて、専ら自動SMT技術により組み立てられる自動生産品からなることが好ましい。当該構成要素には、電流制限用アセンブリが含まれていてもよい。
【0037】
図7に示されている、ハウジング2に対向するプリント回路基板6の他方の側面には、ネットワーク終端用の構成要素が、その75Ωの抵抗器15および好ましくはそれに直列接続されたキャパシタ16を有するボブ・スミス終端が集積されている。ボブ・スミス終端15、16およびフラッシュ型のプラグコネクタの入力の接地線との間に相互接続された干渉抑制キャパシタ17は、ハウジング2およびプリント回路基板6の間の空間的な制約のために、ハウジング2の反対側に、はんだパッドおよび必要に応じて過電圧保護およびフラッシュ型のプラグコネクタの入力の接地線をプリント回路基板6の接地線に接続するための任意のキャパシタ18が設けられている。付加的な干渉抑制キャパシタ19が配置されていることが好ましい。
【0038】
高帯域化のためにフラッシュ型のプラグコネクタにはより多くの電子コンポーネントが設けられているので、それに応じてより集中的な接地が必要であり、図6および図7においてはプリント回路基板6の両側の銅領域21を備えている。一方の銅領域21はプリント回路基板6の電子回路のグラウンドであり、他方の銅領域21はフラッシュ型のプラグコネクタの入力のグラウンドである。
【0039】
プリント回路基板6は、電子回路全体のインピーダンスが調和するように、誘電性材料レイヤーおよびカッパーレイヤーが積層された構造を有するPCBプリント回路基板として設計・構成されている。プリント回路基板6には、好ましくはSMTによる機械的装備のみを有する4層のPCBプリント回路基板が使用されている。プリント回路基板6のサイズは、機器および配電盤のレセプタクル開口部への容易な設置を可能にするため、約25mmの辺長を有する正方形状であることが好ましい。したがって、規格IEEE 802.3afに準拠することが保証され、本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタは、その標準構造において、市販のイーサネットPHYの約80%に対して適用可能である。
【0040】
図9および図10に示されているように、好ましい例示的な実施形態は、最上位カッパーレイヤー22、第1誘電性材料レイヤー23、第1内側カッパーレイヤー24、コア誘電性材料レイヤー25、第2内側カッパーレイヤー26、第2誘電性材料レイヤー27および最下位カッパーレイヤー28の順で積層された構造に関する。コア誘電性材料レイヤー25が、第1誘電性材料レイヤー23および/または第2誘電性材料レイヤー27よりも厚く形成されていることが好ましい。第1誘電性材料レイヤー23および/または第2誘電性材料レイヤー27と比較してコア誘電性材料レイヤー25が10倍の厚さであることが特に有利であることが証明されている。また、第1内側カッパーレイヤー24および第2内側カッパーレイヤー26が、最上位カッパーレイヤー22および/または最下位カッパーレイヤー28よりも厚く形成されていることが好ましい。ここでは、第1内側カッパーレイヤー24および第2内側カッパーレイヤー26が、最上位カッパーレイヤー22および/または最下位カッパーレイヤー28よりも2倍で毛厚く形成されていることが要求される。
【0041】
図11および図12におけるプリント構造に示されている特定の例示的な実施形態では、各サイズは以下のとおりである。最上位カッパーレイヤー22の厚さは0.018mmであり、これに0.12mmの厚さを有する誘電性材料レイヤー23が続いている。0.035mmの厚さを有する第1内側カッパーレイヤー24の後に、1.2mmのコア誘電性材料レイヤー25が続き、さらに0.035mmの厚さを有する第2内側カッパーレイヤー26が続いている。0.12mmの誘電性材料レイヤー27の後、0.018mmの厚さを有する最下位カッパーレイヤー28が続いている。
【0042】
さらに、図9および図10には、スルーコンタクト29(またはビア)が例示されている。スルーコンタクト29は、プリント回路基板6の導体トラックレベルまたはカッパーレイヤー22、24、26、28の間の垂直方向の導通を実現し、プリント回路基板6の導電性材料における内側のメタライズされた穴によってそれぞれの状況に適応的に実装されている。ここに開示されている連続的なスルーコンタクト29に加えて、ブラインドビア(ポケットホール)または埋設ビア(内部コンタクト)が、必要に応じて付加的に設けられていてもよい。
【0043】
図11の複数の画像は、本発明に係るフラッシュ型のプラグコネクタの本発明に係るプリント回路基板6のための予め定められたPCBレイアウトのためのガーバーファイル(Gerber files)を表現している。PCB設計プログラムによって作成されるガーバーファイルは、PCB基板を自動的に製造するために必要なすべての情報項目を含んでいる。図11の黒色領域としての画像11.5~11.8は導電性カッパーレイヤーを表わしている。白色領域は銅が存在しないため、絶縁体または誘電体を表わしている。
【0044】
さらに、PCB回路基板に搭載されている個々の電子コンポーネントの位置は、送信信号の形態に影響を及ぼす可能性があるため、電子回路全体の機能に関して決定的な重要性を有している。
【0045】
図11および図12の画像により表わされている異なる層は積層され、層における電子コンポーネントの配置および各層の配置/積層が決定的な役割を果たす。図11の低帯域用(100MB/s)と図12の高帯域用(1GB/s)の2つの実施例は、各層における電子コンポーネントが的確に配置され、かつ、各層が的確に積層されることにより、最適態様で機能するように構成されている。
【0046】
図11の基板レイアウトでは、信号伝送および接地に使用される個々のPCB層が示されている。この特別な設計レイアウトは、EMC互換性を確保するためにも使用される。これは、電磁波の放射が別途導入された接地層(図11図12の11.6と11.7参照)によって著しく低減され、周囲の電子機器の機能が損なわれないためである。
【0047】
複数の層の積層順序に関して、多数の連続した描写のそれぞれにおいて、各層を背面/裏面から臨む図が示されている。最上位の画像は積層構造の最上位の層に対応し、最下位の画像は積層構造の最下位の層に対応している。単一層の厚さが当該2つの実施例において等しいのと同様に、複数の層の全体のサイズ/全体の面積は等しい。
【0048】
画像11.1は、サイズ、切り欠き(カットアウト)および穴(ボア)に関するPCBプリント回路基板の全サイズを示している。PCBプリント回路基板の全体サイズは25mm×25mmであり、PCBプリント回路基板の総厚さは、一方側の銅最外層導体トラックからPCBプリント回路基板の他方側の銅最外層導体トラックまで1.55mmである。
【0049】
画像11.2は、RJ45コンタクト用のスルーホール、ピンヘッダ用のスルーホール、RJ45シャーシの独立した接地ライン用のスルーホール、および、PCBプリント回路基板の上部の端にあるプッシュボタン用の切り欠きを示している。
【0050】
画像11.3は、変圧器、キャパシタ、抵抗器およびコモンモードチョークなど、すべての電子コンポーネントの位置が定義されたボトムアセンブリを示している。
【0051】
画像11.4は、すべてのスルーホールの直径および位置を示している。スルーホールの直径は0.25、0.80、1.00、1.20~1.70mmである。
【0052】
画像11.5において、最上位層の銅導電トラックが、RJ45シャーシ接点、ピンヘッダコンタクト、RJ45シャーシ用接地線のスルーホールにおける銅境界線とともに示されている。
【0053】
画像11.6は、RJ45コンタクト、ピンヘッダのコンタクトおよびビアの間の遮断構造を有する内側カッパーレイヤー2を示している。さらに、ピンヘッダの上方で横方向および鉛直方向に延在するカッパーレイヤーにおける凹部を有する領域が存在している。
【0054】
画像11.7は、RJ45コンタクト、ピンヘッダのコンタクトおよびビアの間の遮断構造を有する内側カッパーレイヤー3を示している。さらに、ピンヘッダの上方で横方向および鉛直方向に延在するカッパーレイヤーにおける凹部を有する領域が存在している。
【0055】
画像11.8には、最下位層の銅電電トラック、キャパシタ搭載用の銅領域、はんだデポの塗布、および、取り付けボルト用のスルーホールが示されている。
【0056】
図11.5に示されている最上位層はフラッシュ型のプラグコネクタのハウジングに対向し、最下位層は反対側、つまりピンヘッダが搭載されている後側に対向している。
【0057】
図12は、1GB/sの応用実施例における本発明に係るPCBレイアウトのための信号伝送および接地のための個々の層のガーバーファイルに基づくグラフィック表現を個々の画像により示している。この特別な設計レイアウトは、EMC互換性を確保するためにも使用される。これは、電磁波の放射が著しく低減され、別途導入された接地層によって周囲の電子機器の機能が損なわれないためである(画像12.5、12.6、12.7および12.8参照)。
【0058】
PCBプリント回路基板のサイズ、実装用の切り欠きおよび穴に関するすべてのサイズが、画像12.1に示されている。PCBプリント回路基板の全体的なサイズは、図11の実施形態と同様に25mm×25mmであり、RJ45シャーシにおいて後部からボルトに鉛直に挿入されてはんだ付けされている。このようにPCBプリント回路基板は、当該位置に機械的に固定されているので、ハウジングにおいて該当する開口部への容易な設置が保証され、ハウジングの前プレートと同一高さの装置において前方から挿入されてねじ止めされうる。
【0059】
画像12.2は、計12個のキャパシタを有するPCBプリント回路基板の外側におけるいわゆるトップアセンブリの電子構造、ならびに、PCBプリント回路基板の最上部における押しボタン用の切り欠き、RJ45コンタクト用のスルーホールおよびピンヘッダコンタクト用のスルーホールを示している。
【0060】
図12.3は、変圧器、キャパシタ、抵抗器およびコモンモードチョークなど、すべての電子コンポーネントの位置が定義された、いわゆるボトムアセンブリの電子構造を示している。
【0061】
画像12.4は、直径0.25、0.60、0.80、1.20および1.70mmを有するスルーホールのすべての定義された位置を示している。
【0062】
図12の画像12.5~12.8は、図6および図7において符号21が付され、ここでは黒色領域により示されている導電性カッパーレイヤーを含んでいる。白色領域は、銅が存在しない絶縁体または誘電性材料レイヤーを表わしている。
【0063】
画像12.5では、導電性カッパーレイヤーおよび銅導体トラックを有し、RJ45シャーシの通過コンタクト穴に銅ボーダーを有する最上位層が示されている。さらに、ピンヘッダ用の通過コンタクト穴およびRJ45シャーシの接地線用の通過穴がPCBプリント回路基板の方向に示されている。
【0064】
画像12.6は、RJ45コンタクト、ピンヘッダにおける複数のコンタクトおよびビアの間の遮断構造を有する第1内側カッパーレイヤーを示している。さらに、ピンヘッダの上方で横方向および鉛直方向に延在するカッパーレイヤーの凹部を有する領域が存在している。
【0065】
画像12.7は、RJ45コンタクト、ピンヘッダにおける福栖のコンタクトおよびビアの間の遮断構造を有する第2内側カッパーレイヤーを示している。さらに、ピンヘッダの上方で横方向および鉛直方向に延在しているカッパーレイヤーの凹部を有する領域が存在している。
【0066】
画像12.8には、銅導体トラック、キャパシタの実装およびはんだデポの塗布のための銅領域、および実装ピンのためのスルーホールが示されている。
【0067】
高帯域幅用のフラッシュ型のプラグコネクタ用のプリント回路基板6には多数の電子コンポーネントが設けられているので、それに応じてより集中的な接地が実現される必要があり、これは図11および図12の画像において個々の層における黒色領域により表わされている。図11の100MB/sの実施例では、接地のためには2枚のプレートで足りるものの、図12の1GB/sの実施例では、接地には4枚のプレートが使用されていることが好ましい。PCBプリント回路基板それ自体の総厚さは、PCBプリント回路基板の一方側の第1銅最外層から他方側の第2銅最外層まで正確には1.55mmである。
【符号の説明】
【0068】
1‥プラグイン開口部
2‥ハウジング
3‥レセプタクル
4‥駆動要素
5‥コンタクト要素
6‥プリント回路基板
7‥コネクション要素
8‥ピンヘッダ
9‥取り付けピン
10‥取り付け穴
11‥取り付けタブ
12‥取り付け穴
13‥チップ-LAN変圧器
14‥コモンモードチョーク
15‥抵抗器
16‥キャパシタ
17‥干渉抑制キャパシタ
18‥キャパシタ
19‥干渉抑圧キャパシタ
20‥取り付け穴
21‥カッパーレイヤー
22‥カッパーレイヤー
23‥誘電性材料レイヤー
24‥カッパーレイヤー
25‥コア誘電性材料レイヤー
26‥カッパーレイヤー
27‥誘電性材料レイヤー
28‥カッパーレイヤー
29‥スルーコンタクト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12