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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】炎検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/12 20060101AFI20240329BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240329BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20240329BHJP
   G01J 1/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G08B17/12 A
G08B17/00 D
G01J1/42 C
G01J1/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022185605
(22)【出願日】2022-11-21
(62)【分割の表示】P 2018124378の分割
【原出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2023016853
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】松熊 秀成
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-314376(JP,A)
【文献】特開平6-325268(JP,A)
【文献】特開昭61-032195(JP,A)
【文献】特開平6-084077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
G01J 1/00- 1/60
11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域から放射される赤外線エネルギーを観測し、燃焼炎の有無を検出して火災を判断する炎検出装置であって、
前記監視領域から放射される前記赤外線エネルギーを、透光性窓を介して受光して受光信号を出力する複数の検出ユニットと、
試験光源から前記透光性窓を介して前記複数の検出ユニットに試験光を照射し、全ての前記検出ユニット毎に、前記試験光による受光信号を初期状態と比較して前記透光性窓の各検出ユニットに対応した部分を透過する前記赤外線エネルギーの初期状態に対する減光率を求める試験制御部と、
前記検出ユニット毎に求められた前記減光率に基づき、全ての前記検出ユニット毎の前記受光信号を補正し、当該補正後の各受光信号に基づいて燃焼炎の有無を検出して火災を判断する火災判断部と、
を備え、
前記複数の検出ユニットは、炎から放射される赤外線を検出する炎検出ユニットと、炎以外から放射される赤外線を検出する非炎検出ユニットとを各々1以上含み、
前記火災判断部は、前記複数の検出ユニットの何れかの受光信号が所定の補正限界に達したときに、当該補正限界に達した受光信号を火災判断要素から除外すると共に、少なくとも前記補正限界に達していない前記炎検出ユニットからの受光信号を火災判断要素として火災判断を行うことを特徴とする炎検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の炎検出装置に於いて、
前記火災判断部は、前記炎検出ユニット及び前記非炎検出ユニットの何れであるかに関わらず、少なくとも1以上の前記検出ユニットからの受光信号が前記補正限界に達した場合に、受信装置に所定の障害警報を出力させることを特徴とする炎検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有炎燃焼時のCO2共鳴により発生する赤外線放射を検出して、炎の有無を判定する炎検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有炎燃焼により発生する赤外線エネルギーを検出して、炎の有無を検出する炎検出装置にあっては、有炎燃焼時に発生するCO2の共鳴放射波長帯域における赤外線強度を検出して、炎の有無を検出する炎検出装置や炎検出方法がよく知られている。
【0003】
ここで、従来技術における2波長式の炎検出装置について、簡単に説明する。図16は、燃焼炎と、その他の代表的な放射体の赤外波長域における赤外線スペクトルを示す概念図であり、横軸は赤外線の波長、縦軸は赤外線の相対強度を示す。
【0004】
図16に示すように、燃焼炎のスペクトル特性100においては、4.5μm付近の波長帯域にCO2の共鳴放射に伴う赤外線相対強度のピークがあり、また、このピーク波長の近傍に存在する特徴的な波長としては、例えば、長波長側の5.0μm付近に、赤外線相対強度が低い波長帯域が存在する。以下では、特に断らない限り、CO2共鳴放射帯とは、4.5μm帯を指すものとする。
【0005】
2波長式の炎検出装置にあっては例えば、4.5μm付近の波長帯域と、5.0μm付近の波長帯域における各々の赤外線エネルギーを狭帯域の光学波長バンドパスフィルタにより選択透過させて、各々について検出センサにより該赤外線エネルギーを検出し、これを光電変換したうえで増幅等所定の処理を施して、エネルギー量に対応する電気信号(以下、「受光信号」という)とし、上記各々の波長帯域の受光信号レベルの相対比をとり、所定の閾値と比較することにより炎の有無を判定する。
【0006】
これにより、炎以外の赤外線放射体、例えば、スペクトル特性102に示す太陽光等の高温放射体や、スペクトル特性10.5に示す比較的低温の放射体、またスペクトル特性106に示す人体などの低温放射体等と炎との識別が可能となる。
【0007】
また、炎検出装置は透光性窓を介して有炎燃焼により発生する赤外線エネルギーを検出して、炎の有無を監視しており、炎の監視機能を維持するために、透光性窓の汚れを監視するための自己試験として、汚れ試験を行っている。
【0008】
汚れ試験は、火災受信盤から定期的に送信される試験信号を受信した場合に、炎検知器の外側に設けられた試験光源から炎模擬光となる試験光を透光性窓に入射し、検出部で受光して、このときの受光信号を汚れていない初期状態と比較演算して減光率を求め、減光率が所定の汚れ閾値を超えた場合に汚れ警報信号を火災受信盤に送信して汚れ警報を出力させている。
【0009】
また、(1-減光率)の逆数を受光信号に乗ずることにより、汚れがない場合に相当する受光信号を求める汚れ補正を行っており、汚れ補正された受光信号に基づいて炎の有無を判断している。
【0010】
更に、透光性窓の汚れが進んで減光率が例えば0.7以上となった場合には、汚損障害を検出して受信装置から汚損警報を出力させて清掃計画の立案を促し、受光信号の補正が限界に達していることから、受光信号に基づく炎有無の判断は行わないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平06325268号公報
【文献】特許第4817285号公報
【文献】特許第3357330号公報
【文献】特開2002-42263号公報
【文献】特許第4623608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来の透光性窓の減光率を測定して受光信号を汚れ補正する汚れ試験にあっては、例えば4.5μm付近の炎波長帯域の赤外線エネルギーを受光する受光素子からの炎受光信号に基づいて透光性窓による減光率を代表値として求め、炎受光信号の汚れ補正を行うと共に、5.0μm付近の非炎波長帯域の赤外線エネルギーを受光する非炎受光素子からの非炎受光信号の汚れ補正も行っているが、透光性窓の汚れにはムラがあり、受光素子毎に減光率が異なる場合があり、それにも関わらず、特定の受光素子の減光率を代表値として他の受光素子からの受光信号の汚れ補正を行った場合には正確な汚れ補正ができておらず、汚れ補正された受光信号による正確な火災判断ができなくなる可能性がある。
【0013】
本発明は、透光性窓の汚れにムラがあっても、受光素子毎の減光率に基づく汚れ補正を行って正確な火災判断を可能とする炎検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(炎検出装置)
本発明は、監視領域から放射される赤外線エネルギーを観測し、燃焼炎の有無を検出して火災を判断する炎検出装置であって、
監視領域から放射される赤外線エネルギーを、透光性窓を介して受光して受光信号を出力する複数の検出ユニットと、
試験光源から透光性窓を介して複数の検出ユニットに試験光を照射し、全ての検出ユニット毎に、試験光による受光信号を初期状態と比較して透光性窓の各検出ユニットに対応した部分を透過する赤外線エネルギーの初期状態に対する減光率を求める試験制御部と、
検出ユニット毎に求められた減光率に基づき、全ての検出ユニット毎の受光信号を補正し、当該補正後の各受光信号に基づいて燃焼炎の有無を検出して火災を判断する火災判断部と、
を備え、
複数の検出ユニットは、炎から放射される赤外線を検出する炎検出ユニットと、炎以外から放射される赤外線を検出する非炎検出ユニットとを各々1以上含み、
火災判断部は、複数の検出ユニットの何れかの受光信号が所定の補正限界に達したときに、当該補正限界に達した受光信号を火災判断要素から除外すると共に、少なくとも補正限界に達していない炎検出ユニットからの受光信号を火災判断要素として火災判断を行うことを特徴とする。
【0015】
(汚損警報又は汚損予告警報)
火災判断部は、炎検出ユニット及び非炎検出ユニットの何れであるかに関わらず、少なくとも1以上の検出ユニットからの受光信号が補正限界に達した場合に、受信装置に所定の障害警報を出力させる。
【発明の効果】
【0016】
(基本的な効果)
本発明は、燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測して燃焼炎の有無を判断し検出する炎検出装置であって、燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを、透光性窓を介して受光して受光信号を出力する複数の検出ユニットと、試験光源から透光性窓を介して試験光を照射して検出ユニット毎に初期状態に対する減光率を求める試験制御部と、検出ユニット毎に求められた減光率に基づき、検出ユニット毎の受光信号を補正し、当該補正後の各受光信号に基づいて燃焼炎の有無を検出して火災を判断する火災判断部とが設けられたため、検出ユニット毎に減光率を求めて受光信号の汚れ補正を行うことで、透光性窓の汚れにムラがあっても、各受光信号の汚れ補正を正しく行うことができ、補正された受光信号により正確な火災判断を行うことができる。
【0017】
(補正状態に応じた火災判断の効果)
火災判断部は、受光信号の補正の状態に応じて火災の判断を異ならせ、例えば火災判断部は、各検出ユニットの何れかの受光信号が所定の補正限界に達した場合に、補正限界に達していない他の受光信号に基づいて火災判断を行うようにしたため、例えば2波長方式の場合には、透光性窓の部分的な汚れにより非炎検出ユニットの受光信号が補正限界に達した場合には、補正限界に達していない炎検出ユニットの受光信号のみによる1波長の火災判断に切り替えることで、補正限界に基づき汚損障害又は汚損予告障害を検出していても限定的な火災判断により炎検出を継続することができ、炎検出装置の信頼性を高めることができる。
【0018】
(汚損警報又は汚損予告警報の効果)
また、火災判断部は、受光信号の補正の状態に応じて所定の障害を検出して受信装置に警報を出力させるようにしたため、各検出ユニットからの受光信号の何れかが所定の補正限界に達した場合に受信装置から、例えば汚損警報又は汚損予告警報が出力され、透光性窓の部分的な汚れが進んで局部的に補正限界に達したことが、受信装置からの汚損警報又は汚損予告警報により報知され、管理者等に炎検出装置の清掃計画の策定等を促すことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】炎検出装置に組み込まれる炎検出ユニットの実施形態を示したブロック図
図2】炎検出装置の外観を示した説明図
図3図2の炎検出装置を正面から示した説明図
図4図2の炎検出装置を下側から見て中央凸部に配置された試験光源及び試験 窓と透光性窓内側の炎検出部を一部断面で示した説明図
図5図1の炎検出装置に組み込まれる検出ユニットを組立分解状態で示した説明図
図6】炎検出センサの概略構成を示した説明図
図7図6の炎検出センサの等価回路を示した回路図
図8図1の実施形態に適用される光学波長フィルタ及び透光性窓の各波長における赤外線透過率を示した特性図
図9】燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測した場合に図1の炎検出ユニットから出力される炎受光信号を示した信号波形図
図10】燃焼炎から放射される赤外線を観測した場合に図1の炎検出部から得られる炎受光信号E3の周波数分布を示した説明図
図11】試験光源をパルス駆動する駆動信号を示したタイムチャート
図12図1の実施形態における汚損状態に対する有効受光信号、火災判断、警報の関係を一覧形式で示した説明図
図13図1の実施形態における汚れ試験制御を示したフローチャート
図14】炎検出装置に組み込まれる3波長方式による炎検出ユニットの実施形態を示したブロック図
図15図14の実施形態における汚損状態に対する有効受光信号、火災判断、警報の関係を一覧形式で示した説明図
図16】燃焼炎と、その他の代表的な放射体の赤外波長域における赤外線スペクトルを示した特性図
【発明を実施するための形態】
【0020】
[炎検出装置]
(装置概要)
図1は炎検出装置に組み込まれる炎検出ユニットの実施形態を示したブロック図であり、2波長式の炎検出装置を例にとっている。本実施形態の炎検出装置は、監視領域の炎の有無を検出する火災検出装置であるものとする。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の炎検出装置10の検出部は、炎検出部11-1と、同じ構成の別の炎検出部11-2(図示省略)の2組が組み込まれている。
【0022】
炎検出部11-1は、炎検出ユニット12a,12b、非炎検出ユニット12c、MPU(マイクロプロセッサユニット)15に設けられた火災判断部36と試験制御部38で構成される。
【0023】
炎検出ユニット12a,12bは、監視エリアに存在する燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測するものであり、燃焼炎からCO2共鳴に伴って放射される4.5μmを中心とする所定の波長帯域の赤外線を受光して光電変換し、炎受光信号E1,E2を出力する。
【0024】
炎検出ユニット12a,12bには、炎検出センサ16a,16b、前置フィルタ24a,24b、プリアンプ26a,26b、メインアンプ28a,28bが設けられ、メインアンプ28a,28bから出力された炎受光信号E1,E2は終段アンプ30a,30bで更に増幅されて炎受光信号E1’,E2’となり、MPU(マイクロプロセッサユニット)15のA/D変換ポート35a,35bでデジタル受光信号に変換して取り込まれる。なお、説明の便宜上、各受光信号はA/D変換前後で同一の符号を使用する。後述する受光信号E4’,E5’についても同様である。
【0025】
また、炎検出ユニット12a,12bから出力され、A/D変換ポート35a,35bから読み込まれた炎受光信号E1’,E2’はMPU15の火災判断部36で加算されて加算受光信号(加算炎受光信号)E3として火災判断に使用される。
【0026】
非炎検出ユニット12cは、監視エリアに存在する燃焼炎以外の発熱体等から放射される赤外線エネルギーを観測するものであり、概ね5.0μm~7.0μmの波長帯域の赤外線エネルギーを受光して電気信号に変換した非炎受光信号E4を出力する。
【0027】
非炎検出ユニット12cには、非炎検出センサ16c、前置フィルタ24c、プリアンプ26c、メインアンプ28cが設けられ、メインアンプ28cから出力された非炎受光信号E4は終段アンプ30cで更に増幅されて非炎受光信号E4’となり、MPU15のA/D変換ポート35cでデジタル受光信号に変換して取り込まれる。炎検出ユニット12a,12b、非炎検出ユニット12cの前面側(監視エリア側)には、例えばサファイアガラスを用いた透光性窓18が配置され、所定波長帯域の赤外線を透過する。
【0028】
火災判断部36は、炎受光信号E1’、E2’を加算した加算受光信号E3の信号レベル、例えば加算受光信号E3の所定期間の積分値ΣE3が所定閾値以上又は所定閾値を上回った場合に、加算受光信号E3と非炎受光信号E4’の、同じ期間の積分値の比ΣE3/Σ4’を算出し、これが別の閾値以上であるか又はそれを超えた場合に炎有り(後述する第1要件の充足)と判断する。
【0029】
なお、以下の説明で、炎受光信号と非炎受光信号を区別する必要がない場合、また総称する場合は、単に受光信号という場合がある。
【0030】
(汚れ試験の概要)
炎検出部11-1の透光性窓18に対しては試験光源として機能する試験光源60-1が設けられる。試験光源60-1は後の説明で明らかにする炎検出装置10の筐体(ケース本体)50の前面の中央凸部54に配置され、自己試験の一項目である汚れ試験の際、試験光源60-1の駆動による炎模擬光となる試験光を透光性の試験窓56-1から出力し、この試験光を透光性窓18内に配置された炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cに受光させる。
【0031】
中央凸部54には別の炎検出部11-2の透光性窓18の汚れ試験に用いる試験光源60-2と試験窓56-2も同様に配置されている。
【0032】
試験光源60-1,60-2には例えばクリプトンランプが使用される。また、試験光源60-1には試験光を試験窓56-1側、すなわち各検出センサに向けて反射する反射板として機能する反射フード70が設けられる。一方で、反射フード70は試験光源60-1の試験光を試験窓56-1からのみ出力させ、試験窓56-2側には透過しないようになっている。また、試験光源60-2にも同様に反射フード70が設けられ、試験光を試験窓56-2からのみ出力させる。試験光源60-1,60-2に対応する2つの反射フード70は一体としても良い。
【0033】
透光性窓18の汚れ試験は、炎検出ユニット12a,12bからの炎受光信号E1’,E2’及び非炎検出ユニット12cからの非炎受光信号E4’の各々に基づいて個別に行われる。MPU15に設けられた試験制御部38は、図示しない受信装置である火災受信盤から定期的に送信された試験信号を受信すると、試験光源60-1,60-2を順次駆動して試験光を出力させ(図1の炎検出部11-1側については試験光源60-1の駆動によって試験が実施されることになる)、終段アンプ30a,30b,30cから出力される炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’を読み込み、それぞれ初期状態(汚れのない状態)との比較演算により減光率D1,D2,D4を算出し、火災判断部36へ出力する。
【0034】
火災判断部36は、1/(1-D1),1/(1-D2),1/(1-D4)を炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’の各々に乗じて補正(汚れ補正)する。同時に、加算受光信号E3は、補正後の炎受光信号E1’とE2’を加算することで補正されており、これが補正後のE4’と共に火災判断に用いられる。なお、説明の便宜上、ここでは補正前後の信号について同符号を使用している。
【0035】
また、火災判断部36は、試験制御部38により算出された減光率D1,D2,D4が所定の閾値、例えば閾値Dth=0.7以上となった場合又は閾値Dth=0.7を超えた場合に、受光信号は補正限界に達したと判断し、汚損障害又は汚損予告障害を検出し、火災受信盤から汚損警報又は汚損予告警報を出力させ、これら警報により管理者に炎検出装置10の清掃計画等の策定を促す。
【0036】
また、火災判断部36は、炎受光信号E1’,E2’が補正限界に達していないが非炎受光信号E4’が補正限界に達したと判断した場合、可能な範囲で限定的な火災判断を行う。
【0037】
(装置外観とセンサユニット)
図2は炎検出装置の外観を示した説明図、図3図2の炎検出装置を正面から示した説明図、図4図2の炎検出装置を下側から見て中央凸部の試験光源及び試験窓と透光性窓内側の炎検出部を一部断面で示した説明図である。
【0038】
図2乃至図4に示すように、炎検出装置10は、筐体50の前面に配置された前面カバーのセンサ収納部52に、図1の炎検出部11-1を含む2組の炎検出ユニットに対応して、赤外線の透光性窓18が設けられる。
【0039】
なお、以下の説明で試験窓56-1,56-2についても試験窓56ということがある。
【0040】
透光性窓18内の各々には、図1に示した炎検出部11-1、及び他の炎検出部11-2における炎検出ユニット12a,12bの炎検出センサ16a,16b及び非炎検出ユニット12cの非炎検出センサ16cが配置されている。
【0041】
また、センサ収納部52に設けられた透光性窓18の間には、中央凸部54が張出し形成される。中央凸部54には試験光源60-1,60-2が内蔵され、左右の側壁には試験窓56-1,56-2が配置される。
【0042】
試験光源60-1は試験光を試験窓56-1から透光性窓18に向けて出力する。また、試験光源60-2は試験光を試験窓56-2から透光性窓18に向けて出力する。
【0043】
図2及び図3に示した一対の透光性窓18の内部には図5に示すようにセンサユニットが組み込まれている。センサユニットはユニット本体62とユニットカバー64で構成され、内部に回路基板48をビス68により固定して収納している。
【0044】
回路基板48には炎検出センサ16a,16bが隣接配置されている。ユニットカバー64の、炎検出センサ16a,16bに対向する位置には受光開口66a,66bが形成され、監視エリア側から透光性窓18を通った光を炎検出センサ16a,16bで受光できるようにしている。
【0045】
また、回路基板48には非炎検出センサ16cが配置され、ユニットカバー64の、非炎検出センサ16cに対向する位置には受光開口66cが形成され、監視エリア側から透光性窓18を通った光を非炎検出センサ16cで受光できるようにしている。
【0046】
(炎検出ユニット12a,12bの構成)
図1に示した炎検出ユニット12a,12bにおいて、炎検出センサ16a,16bは燃焼炎からCO2共鳴に伴って放射される、概ね4.5μmを中心波長とする赤外線波長帯域を有する赤外線エネルギーを電気信号に変換して受光信号として出力し、前置フィルタ24a,24bは炎検出センサ16a,16bから出力される受光信号から、炎の揺らぎ周波数に対応した所定の周波数帯域の信号成分のみを選択通過させ、プリアンプ26a,26bは前置フィルタ24a,24bを通過した信号成分を初段増幅し、メインアンプ28a,28bでさらに増幅して炎受光信号E1,E2を出力する。そして、終段アンプ30a,30bはこれを炎判断処理に適した信号レベルに増幅して炎受光信号E1’,E2’を出力する。
【0047】
ここで、炎検出センサ16a,16bは、光学波長フィルタ20a,20b、及び受光素子部22a,22bを備えている。
【0048】
炎検出ユニット12a,12bから終段アンプ30a,30bを介して出力された炎受光信号E1’,E2’は、MPU15に設けたA/D変換ポート35a,35bによりデジタル受光信号E1’,E2’に変換して読み込まれる。
【0049】
また、炎検出ユニット12a,12bから出力され、A/D変換ポート35a,35bから読み込まれた炎受光信号E1’及びE2’はMPU15の火災判断部36で加算され、この加算受光信号E3に基づく炎の有無の判断が実行される。以下、各構成について具体的に説明する。
【0050】
なお、本実施形態においては炎受光信号E1’,E2’を炎の有無判断に使用していないが、これを適宜使用して判断するようにしても良い。
【0051】
(炎検出センサ16a,16b)
図6は炎検出センサの概略構成を示した説明図、図7図6の炎検出センサの等価回路を示した回路図である。
【0052】
図6に示すように、炎検出センサ16aは、基板40の表面に支持配置された焦電体45を備え、これに受光電極25を設け、基板40の裏面側に配置されたFET27、高抵抗(図示省略)を備えてなる受光素子部22aと、基板40を基部37上に支持しつつ基部37を貫通して設けられた端子42と、受光素子部22aの前方(図示上方)に光学波長フィルタ20aを備えたカバー部材44とからなるパッケージ構成を有している。
【0053】
また、受光素子部22aの等価回路は、図7に示すように、FET27のゲートから例えば焦電体45と高抵抗29の並列回路を介してゲート端子Gに接続し、またFET27のドレインとソースをそれぞれドレイン端子Dとソース端子Sに接続している。
【0054】
ここで、光学波長フィルタ20aは、4.5μmを中心とする所定の波長帯域を選択透過させるもので、例えば、シリコン、サファイア等の基板上に、公知の方法でそれぞれ形成することができる。また、炎検出ユニット12bの炎検出センサ16bも、炎検出センサ16aと同じ構造となる。
【0055】
更に、非炎検出ユニット12cの非炎検出センサ16cも、炎検出センサ16aと同じ構造となるが、光学波長フィルタ20cとして、概ね5.0μmを超える所定の波長帯域の赤外線を良好に透過するカットオンフィルタ(ロングウェーブパスフィルタ)を使用した点で相違する。
【0056】
(透光性窓18)
透光性窓18は、図2及び図3に示したように、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cが収納された図6のセンサユニットの監視エリア側に相当する上面側であって、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cの前面側に設けた、センサ収納部52の所定の開口部に配置され、上述のように、例えば、サファイアガラス等の赤外線透光性の部材により形成している。
【0057】
このため炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cは、受光限界視野が透光性窓18の縁辺部で規制されることにより、所定の拡がり角度を有する視野範囲の検知エリアが設定される。
【0058】
ここで、透光性窓18を構成するサファイアガラスは、概ね7.0μm付近以下の波長帯域の赤外線を良好に透過するショートウェーブパス特性、換言すれば、概ね7.0μm付近より長波長の赤外線を遮断するロングウェーブカット特性を有するフィルタ部材として機能する。また、本実施形態にあっては、透光性窓18は、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cで共用する。
【0059】
(前置フィルタ24a,24b,24c)
図1の炎検出ユニット12a,12bの前置フィルタ24a,24bは、周波数選択部として機能し、炎検出センサ16a,16bの受光素子部22a,22bから出力される受光信号から、炎判断処理に用いられる特定の周波数帯域の信号成分のみを通過させる例えばアクティブフィルタであり、後段のプリアンプ26a,26bに特定の周波数帯域の信号成分からなる受光信号を出力する。
【0060】
同様に、前置フィルタ24cは、非炎検出センサ16cの受光素子部22cから出力された受光信号から、炎判断処理に用いられる特定の周波数帯域の信号成分のみを通過させる例えばアクティブフィルタであり、後段のプリアンプ26cに特定の周波数帯域の信号成分からなる受光信号を出力する。
【0061】
このような周波数選択フィルタは、前置フィルタとしてだけでなくプリアンプから終段アンプまで適宜に配置され、周波数選択(抽出)しつつ信号増幅されるようになっている。
【0062】
(プリアンプ26a,26b,26cとメインアンプ28a,28b,28c)
プリアンプ26a,26bは、前置フィルタ24a,24bを介して入力される受光信号を所定の増幅率で初段増幅し、メインアンプ28a,28bは、プリアンプ26a,26bからの各炎受光信号を増幅し、炎受光信号E1,E2として出力する。
【0063】
終段アンプ30a,30bは、炎受光信号E1,E2を最終的に炎判断処理に適した信号レベルに調整増幅し、炎受光信号E1',E2'としてMPU15のA/D変換ポート35a,35bへ出力する。
【0064】
同様に、プリアンプ26cは、前置フィルタ24cを介して出力される非炎受光信号を所定の増幅率で初段増幅し、メインアンプ28c、終段アンプ30cは、プリアンプ26cからの非炎受光信号を、後述する炎判断処理に適した信号レベルに増幅し、非炎受光信号E4、非炎受光信号E4’として出力する。
【0065】
(A/D変換ポート35a,35b)
A/D変換ポート35a、35bはMPU15の入力ポートとして設けたA/D変換器であり、炎受光信号E1’,E2’を火災判断部36のデジタル処理に適したデジタル信号に変換して読み込む。
【0066】
(非炎検出ユニット12c)
非炎検出ユニット12cは、炎検出センサ16a,16bとは異なる所定の波長帯域の赤外線エネルギーを電気信号に変換して出力する非炎検出センサ16cを備える。即ち、炎検出ユニット12a,12bは、燃焼炎からCO2共鳴により放射される、概ね4.5μmを中心波長とする波長帯の赤外線エネルギーを電気信号に変換した炎受光信号E1,E2を出力するのに対し、非炎検出ユニット12cは、概ね5.0μm~7.0μmの波長帯域の赤外線エネルギーを電気信号に変換した非炎受光信号E4を出力する。
【0067】
また、非炎検出ユニット12cは、非炎検出センサ16cに続いて、非炎検出センサ16cから出力される受光信号から、所定の周波数帯域の信号成分のみを通過させる前置フィルタ24cと、前置フィルタ24cを通過した信号成分を初段増幅するプリアンプ26cと、プリアンプ26cからの出力を増幅するメインアンプ28cとで構成される。
【0068】
非炎検出ユニット12cのメインアンプ28cから出力された非炎受光信号E4は、終段アンプ30cによりさらに調整増幅されて非炎受光信号E4’となり、MPU15のA/D変換ポート35cによりデジタル信号に変換して非炎受光信号E4’として読み込まれ、火災判断部36で炎の判断処理に用いられる。
【0069】
(非炎検出センサ16cの構成)
非炎検出センサ16cは、概ね5.0μmを超える所定の波長帯域の赤外線を良好に透過するカットオンフィルタで構成されるロングパスフィルタである光学波長フィルタ20cと、光学波長フィルタ20cを透過した光を受光して電気信号に変換して出力する図7と同様の等価回路でなる受光素子部22cを備え、図6に示したと同様な構造により、パッケージ化された構成とする。
【0070】
(非炎検出センサ16cの波長透過特性)
図8は、図1の実施形態に適用される光学波長フィルタ及び透光性窓の各波長における透過率を示した特性図である。
【0071】
図8に示すように、図1の透光性窓18であるサファイアガラスにより、概ね7.0μm付近以下の赤外線が良好に透過するショートウェーブパス特性(又は、ロングウェーブカット特性)を有する透過率特性80が得られる。
【0072】
また、光学波長フィルタ20a,20bを構成する、概ね4.5μm付近を中心波長とするバンドパスフィルタにより、当該中心波長近傍の波長帯域の赤外線エネルギーを選択透過する透過率特性82が得られる。これらの組合せにより、概ね4.5μm付近を中心波長とする合成透過率特性84をもつバンドパスフィルタが構成される。
【0073】
一方、光学波長フィルタ20cを構成するロングパスフィルタにより、概ね5.0μm付近を超える所定の波長帯域の赤外線を選択透過するカットオンフィルタ特性を有する透過率特性86が得られる。これとサファイアガラスの透過率特性80との組合せにより、概ね5.0μm~7.0μmの波長帯域の赤外線を選択透過する合成透過率特性88をもつ広帯域バンドパスフィルタが構成される。
【0074】
(火災判断部36)
図9は燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測した場合に図1の炎検出ユニットから出力される炎受光信号を示した信号波形図であり、図9(A)はA/D変換ポート35aからの、炎受光信号E1'の信号波形を示し、図9(B)はA/D変換ポート35bからの、炎受光信号E2'の信号波形を示す。
【0075】
図9(A)と(B)は、同じ構成の炎検出ユニット12a,12b経由で同時に得られたもので、相似性を有する。また、終段アンプ30aと30bの増幅率が同じであれば、ほぼ同じ波形となる。加算受光信号E3は、図9(A)と図9(B)を加算合成した波形となる。
【0076】
また、炎受光信号E1’,E2’は、試験制御部38により検出された炎検出ユニット12a,12bの減光率D1,D2に基づいて、火災判断部36で補正(汚れ補正)される。加算受光信号E3は、補正後の炎受光信号E1’,E2’を加算することで補正される。
【0077】
なお、本実施形態にあっては、A/D変換は64Hzで受光信号をサンプリングして行うものとし、すなわち各信号につき1秒間に64点のデジタルデータが得られるものとする。
【0078】
火災判断部36は、図9に示す炎受光信号について、T=2秒(128データ)単位で基準電位からの差分の絶対値の和となる炎積分値ΣE3を求め、炎積分値ΣE3が所定の閾値以上又はこれを上回った場合に、次に説明する相対比判断へ進む。
【0079】
火災判断部36は、炎積分値ΣE3が所定の閾値以上又はこれを上回った場合、この時と同じ2秒間について、炎積分値ΣE3を求めたと同様にして非炎積分値ΣE4’を求める。
【0080】
次いで、火災判断部36は、炎積分値ΣE3と、非炎積分値ΣE4’との相対比(ΣE3/ΣE4’)を算出し、相対比(ΣE3/ΣE4’)が、予め設定された閾値を超えた場合は、炎と判定して炎有り判断の第1要件を充足したとする。
【0081】
また、火災判断部36は加算受光信号E3について、炎積分値ΣE3の算出に使用したのと同じ2秒間分(128データ)を高速フーリエ変換して結果を分析し、たとえば8Hz以下の周波数帯域に主成分がある場合に炎有り判断の第2要件を充足したとし、第1要件と第2要件の両方を充足した場合に、炎有りと判断する。
【0082】
図10は、燃焼炎から放射される赤外線を観測した場合に図1の炎検出部から得られる加算受光信号E3の周波数分布を示した説明図である。火災判断部36は、前述のとおり加算受光信号E3のT=2秒間(128データ)分を高速フーリエ変換して、例えば図10に示す周波数分布を得る。
【0083】
図10に示すように、燃焼炎から放射される赤外線を周波数軸で観測すると、概ね8Hzよりも低周波側の周波数帯域FLに高い強度を示す周波数分布が得られることから、加算受光信号E3の周波数の主要な成分が8Hzまでの周波数帯域FLに存在することがわ
かる。一方、8Hzを超え、16Hzまでの高周波側の周波数帯域FHでは比較的強度の低い分布を示す。このような分布特性は、炎を観測した場合の信号の特徴である。
【0084】
このため、加算受光信号E3の周波数分布に基づく炎判断は、例えば8Hzまでの範囲となる低周波側の相対強度積分値ΣFLおよび8Hzを超え16Hzまでの範囲
となる高周波側の相対強度積分値ΣFHを求め、両値の比ΣFL/ΣFHが、予め設定された閾値以下の場合には、炎に相当する受光出力が検出されなかったものと判断し、炎有り判断の第2要件を充足しなかったとする。一方、ΣFL/ΣFHが閾値を超えた場合には、炎有り判断の第2要件を充足したとする。火災判断部36は、上記各判断をT=2秒ごとに繰り返す。
【0085】
(試験制御部38)
図11は試験光源をパルス駆動する駆動信号を示したタイムチャートであり、図11(A)は試験光源60-1の駆動信号E11を示し、図11(B)は試験光源60-2の駆動信号E12を示す。
【0086】
試験制御部38は、火災受信盤が定期的に送信する試験信号を受信すると、図11に示す駆動信号E11,E12を試験光源60-1,60-2に出力して発光駆動し、透光性窓18に試験光を出力して汚れ試験を行う。
【0087】
試験制御部38は、駆動信号E11,E12を期間T1、例えばT1=2秒に亘り出力し、駆動信号E11,E12の周期はT2であり、更に駆動信号E11,E12は(T2/2)の位相ずれをもっている。
【0088】
これにより駆動信号E11がHレベルとなって試験光源60-1を発光しているとき駆動信号E12がLレベルとなって試験光源60-2を消灯しており、また、駆動信号E11がLレベルとなって試験光源60-1を消灯しているとき駆動信号E12がHレベルとなって試験光源60-2を点灯しており、試験窓56-1,56-2からは交互に試験光が透光性窓18に向けて出力される。
【0089】
このため試験制御部38による透光性窓18の両方の汚れ試験のための試験時間は、駆動期間T1に位相ずれ(T2/2)を加えたT1+(T2/2)となる。
【0090】
これに対し2組の透光性窓18の試験を順番に行った場合には、例えば、図11(A)の駆動をおこなって透光性窓18の汚れを試験した後に、続いて図11(B)の駆動をおこなって透光性窓18の汚れを試験することになり、1台の炎検出装置10について全体の試験時間は例えばT=4秒となるが、本実施形態にあっては、従来の略半分の2秒強の時間で済む。
【0091】
このため多数の炎検出装置10の汚れ試験を火災受信盤からの試験信号の送信で順番に行う場合、火災受信盤に汚れ試験による制御負荷が加わる時間を従来に比べて半減程度に短縮することができ、火災受信盤に制御負担が加わる時間を可能な限り短縮して本来の火災監視機能を維持することを可能とする。
【0092】
なお、試験光源のパルス駆動は図11の駆動信号によらず、駆動信号E11,E12を周期Tで順番に出力するようにしても良い。
【0093】
[汚れ試験制御]
図1のMPU15に設けられた試験制御部38は、火災受信盤から試験信号を受信した場合、試験光源60-1,60-2を、図11に示した駆動信号により発光駆動し、それぞれに対応する透光性窓18を介して炎検出部11-1,11-2に試験光を照射して汚れ試験を行う。
【0094】
例えば試験制御部38は試験光源60-1を図11の駆動信号E11で発光駆動することにより、火災炎に相当する炎模擬光を、試験窓56-1を通して出力させ、対応する透光性窓18を介して炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cに入射させる。試験光源60-1からの炎模擬光は、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサで受光する波長帯を含み、且つ、前置フィルタ24a,24b,24cで抽出される周波数帯として例えば炎に固有な2~8Hzのゆらぎ周波数をもつ光としている。
【0095】
透光性窓18は工場出荷時に汚れはなく、その際に汚れ試験で得られた炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’の受光レベルがそれぞれ基準受光レベルとしてMPU15のメモリに記憶されており、減光率D1,D2,D4の演算に利用される。
【0096】
すなわち、試験制御部38は、試験光源60-1の発光駆動により読み込まれた炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’とメモリに記憶されたそれぞれの基準受光レベルから減光率D1,D2,D4を求める。減光率D1,D2,D4は、出荷時は0となっているが、設置環境で運用期間が経過していくと、透光性窓18に汚れが付着し、減光率は徐々に増加し、また、汚れにはムラがあることから、部分的な汚れ度合いの相違により各減光率は異なった値となり得る。
【0097】
続いて、火災判断部36は、試験制御部38の汚れ試験により求めた減光率D1,D2,D4により補正後の炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’を
補正後のE1’=E1’/(1-D1)
補正後のE2’=E2’/(1-D2)
補正後のE4’=E4’/(1-D4)
とする汚れ補正を行い、汚れ補正された炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’の受光値により火災を判断する。ここで、汚れ補正された炎受光信号E1’とE2’は加算され、E1’+E2’=E3としても火災判断に使用される。
【0098】
なお、加算受光信号E3について減光率D3を検出し、補正後のE3=E3/(1-D3)とする汚れ補正を行わせるようにしても良い。
【0099】
[汚損障害処理]
火災判断部36には、汚れ補正限界に対応した減光率となる閾値Dth、例えば閾値Dth=0.7が予め設定されており、試験制御部38の汚れ試験で求められた減光率D1,D2,D4が閾値以上となるか又は閾値を上回った場合に汚れ補正限界(例えば補正をしても所定の監視エリア全体を監視できない状態)として汚損障害又は汚損予告障害と判断し、火災受信盤に汚損警報信号又は汚損予告警報信号を送信して汚損警報又は汚損予告警報を出力させる制御を行う。
【0100】
図12図1の実施形態における汚損状態に対する有効受光信号、火災判断、警報の関係を一覧形式で示した説明図である。
【0101】
図12はセンサ汚損状態(透光性窓18の、各センサに対応する部分の汚損状態)として炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cを示し、補正状態として、○印は補正限界に達していないことを示し、×印は補正限界に達したことを示す。
【0102】
また、炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’について、〇印は減光率が補正限界に達せずに有効な信号であることを示し、×印は減光率が補正限界に達して無効であることを示す。
【0103】
また、火災判断は、炎受光信号E1’,E2’を加算したE3及び非炎受光信号E4’による火災判断を(加算・2波長)で示し、炎受光信号E1’,E2’ を加算したE3のみによる限定的な火災判断を(加算・1波長)で示している。更に、警報は、汚損警報又は汚損予告警報の何れかとなる。図12はセンサ汚損状態としてモード1,2に分けており、次のようになる。
【0104】
(モード1)
モード1は、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cの受光信号が何れも補正限界に達しておらず、炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’全て有効に得られており、従って、火災判断は炎受光信号E1’,E2’の加算受光信号E3を用いた(加算・2波長)による本来の火災判断となり、汚損障害は発生しておらず、警報はない。
【0105】
(モード2)
モード2は、非炎検出センサ16cの非炎受光信号E4’のみが補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E4’が無効であり、炎受光信号E1’,E2’が有効であることから、火災判断は炎受光信号E1’,E2’の加算受光信号E3を用いた(加算・1波長)による限定的な((加算・2波長)に対して縮退した)火災判断となる。
【0106】
この場合、炎積分値ΣE3が所定の閾値以上又はこれを上回った場合に炎有り判断の第1要件を充足したとし、炎積分値ΣE3と、非炎積分値ΣE4’との相対比(ΣE3/ΣE4’)による判断は行わない。
【0107】
また、障害処理は、非炎検出センサ16cが補正限界に達していることで、汚損障害又は汚損予告障害を検出し、火災受信盤に通知して汚損警報又は汚損予告警報を出力させる。汚損警報と汚損予告警報とは、例えば炎検出センサ16a,16bの補正度合い、即ち減光率に応じて選択するようにする。具体的には、各減光率を所定の閾値、例えばDth1(例えば0.5)と比較して、両方又は一方の減光率がDth1以上又はこれを超えた場合には、補正限界には達していないものの、間もなく補正限界に達すると判断して汚損警報とし、同様に別の閾値Dth2(例えば0.3)と比較して、減光率がDth2未満又はこれ以下である場合には汚損予告警報とする。
【0108】
また、例えば受光信号E1’とE2’の差分に応じて選択するようにしても良く、この場合は差分が所定の閾値以上又はこれよりも大きいときは汚損警報とし、所定の閾値未満又はこれ以下であるときには汚損予告警報とする。もちろん、各減光率と受光信号の差分の両方を組み合わせて判断して選択するようにしても良い。
【0109】
なお、炎受光信号E1’,E2’の何れか一方又は両方が補正限界に達している場合には、火災判断部36は、汚損障害を検出して火災受信盤へ通知し、汚損警報を出力させる。
【0110】
[汚れ試験制御]
図13図1の実施形態における汚れ試験制御を示したフローチャートであり、MPU15による制御動作となる。
【0111】
図13に示すように、MPU15はステップS1で火災受信盤からの試験信号の受信を判別するとステップS2に進み、試験ランプを発光駆動して試験窓及び透光性窓を介して各検出センサに試験光を照射する。
【0112】
続いて、MPU15はステップS3で各検出センサ(検出ユニット)からの受光信号に基づき個別に減光率を算出し、ステップS4で所定の閾値Dth以上となって補正限界に達した検出センサ(検出ユニット)があるか否か判定し、補正限界に達した検出センサ(検出ユニット)があれば、ステップS5に進み、汚損又は汚損予告を検出して火災受信盤から汚損警報又は汚損予告警報を出力させ、更に、ステップS6に進み、図12のモード2における炎受光信号E1’,E2’の加算受光信号E3を用いた(加算・1波長)による限定的な火災判断を行わせる。
【0113】
[3波長方式の炎検出装置]
図14は炎検出装置に組み込まれる3波長方式による炎検出ユニットの実施形態を示したブロック図である。
【0114】
図14に示すように、本実施形態の炎検出装置10の検出ユニットは、炎検出部11-1と、同じ構成の別の炎検出部11-2(図示省略)の2組が組み込まれている。
【0115】
炎検出部11-1は、炎検出ユニット12a、非炎検出ユニット12c,12d、MPU15に設けられた火災判断部36と試験制御部38で構成される。
【0116】
炎検出ユニット12aは、図1の非炎検出ユニット12aと同じであり、監視エリアに存在する燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測するものであり、燃焼炎からCO2共鳴に伴って放射される4.5μmを中心とする所定の波長帯域の赤外線エネルギーを受光して光電変換し、炎受光信号E1を出力する。
【0117】
非炎検出ユニット12cは、図1の炎検出ユニット12cと同じであり、監視エリアに存在する燃焼炎以外の発熱体等から放射される赤外線エネルギーを観測するものであり、概ね5.0μm~7.0μmの波長帯域の赤外線エネルギーを受光して電気信号に変換した非炎受光信号E4を出力する。
【0118】
これに対し、非炎検出ユニット12dは、光学波長フィルタ20dが非炎検出ユニット12cと異なり、他は基本的に同じである(ただし、各アンプの増幅率等は適宜異なる)。非炎検出ユニット12dの光学波長フィルタ20dは、非炎検出ユニット12cの光学波長フィルタ20cとは異なる例えば2.3μm付近(例えば2.1~2.5μm)の波長帯域における赤外線エネルギーを受光して電気信号に変換した非炎受光信号E5を出力する。非炎検出センサ16dの他の構造は図6に示した炎検出センサ16aと同様になる。受光素子部22dの等価回路も図7に示した受光素子部22aと同じである。
【0119】
非炎受光信号E5’は、終段アンプ30dで調整増幅されて非炎受光信号E5’となり、これがA/D変換ポート35dへ入力される。
【0120】
炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’,E5’はMPU15のA/D変換ポート35a,35c,35dでデジタル受光信号に変換して取り込まれる。
【0121】
MPU15に設けられた試験制御部38は、火災受信盤から定期的に送信された試験信号を受信すると、試験光源60-1,60-2を順次駆動して試験光を出力させ、終段アンプ30a,30c,30dから出力される炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’,E5’を読み込み、それぞれ初期状態(汚れのない状態)との比較演算により減光率D1,D4,D5を算出する。
【0122】
また、MPU15に設けられた火災判断部36は、試験制御部38で算出された減光率D1,D4,D5の逆数1/(1-D1)、1/(1-D4)、1/(1-D5)を炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’,E5’の各々に乗じて汚れ補正し、汚れ補正された炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’,E5’により3波長方式の火災判断を行う。
【0123】
火災判断部36による3波長の火災判断は、炎積分値ΣE1’が所定の閾値以上又はそれを超えたとき、炎積分値ΣE1’と、非炎積分値ΣE4’との相対比(ΣE1’/ΣE4’)を算出し、相対比(ΣE1’/ΣE4’)が閾値以上又はそれを超えた場合に炎有りとする第1要件と、続いて、炎積分値ΣE1’と、非炎積分値ΣE5’との相対比(ΣE1’/ΣE5’)を算出し、相対比(ΣE1’/ΣE5’)が閾値以上又はそれを超えた場合に炎有りとする第3要件と、更に、炎受光信号E1’の周波数分布による炎有り判断の第2要件の3つを全て充足し、且つ、これが所定回数連続した場合に炎との判断を確定して火災検出信号を外部に出力する。
【0124】
また、火災判断部36は、試験制御部38により算出した減光率D1,D4,D5のうち何れかが所定の閾値以上となるか、又は所定の閾値以上又はそれを超えて補正限界に達した場合、例えば閾値0.7以上となった場合又は閾値0.7を超えた場合に、汚損障害又は汚損予告障害を検出し、汚損警報信号又は汚損予告警報信号を火災受信盤に送信して汚損警報又は汚損予告警報を出力させ、管理者に炎検出装置10の清掃計画等の策定を促す。
【0125】
また、火災判断部36は、試験制御部38で炎受光信号E1’が補正限界に達していない状態で非炎受光信号E4’,E5’の何れか一方又は両方が補正限界に達したことが判断された場合、炎受光信号E1’に基づき、又は、炎受光信号E1’と、補正限界に達していない非炎受光信号E4’又はE5’とに基づき、限定的な火災判断を行う。
【0126】
図15図14の実施形態における汚損状態に対する有効受光信号、火災判断、警報の関係を一覧形式で示した説明図であり、汚損状態(透光性窓18の、各センサに対応する部分の汚損状態)として、炎検出センサ16aと非炎検出センサ16c,16dを示し、有効受光信号として炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’,E5’を示し、火災判断は、3波長、2波長、1波長を示し、更に、警報は、汚損警報又は汚損予告警報となり、汚損状態としてモード1~4に分けられており、次のようになる。
【0127】
(モード1)
モード1は、炎検出センサ16a及び非炎検出センサ16c,16dの受光信号が何れも補正限界に達しておらず、炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’,E5’全て有効に得られており、従って、火災判断は(3波長)による本来の火災判断となり、汚損障害は発生しておらず、警報はない。
【0128】
(モード2)
モード2は、非炎検出センサ16dの受光信号のみが補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E5’が無効であり、炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’が有効であることから、火災判断は(2波長)による限定的な((3波長)に対して縮退した)火災判断となる。
【0129】
(2波長)の火災判断は、炎積分値ΣE1’が所定の閾値以上又はそれを超えたとき、炎積分値ΣE1’と、非炎積分値ΣE4’との相対比(ΣE2’/ΣE4’)を算出し、相対比(ΣE1’/ΣE4’)が閾値以上又はそれを超えた場合に炎炎有りとする第1要件と、炎受光信号E1’の周波数分布による炎有り判断の第2要件の両方を充足し(2つの条件が成立し)、且つ、これが所定回数連続した場合に炎との判断を確定して火災検出信号を外部に出力する。
【0130】
また、障害処理は、非炎検出センサ16dが補正限界に達していることで、汚損障害又は汚損予告障害を検出し、火災受信盤に通知して汚損警報又は汚損予告警報を出力させる。
【0131】
汚損警報と汚損予告警報とは、例えば炎検出センサ16aの補正度合い、即ち減光率に応じて選択するようにする。具体的には、減光率を所定の閾値、例えばDth1(例えば0.5)と比較して、減光率がDth1以上又はこれを超えた場合には、補正限界には達していないものの、間もなく補正限界に達すると判断して汚損警報とし、同様に別の閾値Dth2(例えば0.3)と比較して、減光率がDth2未満又はこれ以下である場合には汚損予告警報とする。モード3,モード4の場合についても同様である。
【0132】
(モード3)
モード3は、非炎検出センサ16cの受光信号のみが補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E4’が無効であり、炎受光信号E1’及び非炎受光信号E5’が有効であることから、火災判断は(2波長)による限定的な火災判断となる。
【0133】
(2波長)の火災判断は、炎積分値ΣE1’が所定の閾値以上又はそれを超えたとき、炎積分値ΣE1’と、非炎積分値ΣE5’との相対比(ΣE1’/ΣE5’)を算出し、相対比(ΣE1’/ΣE5’)が閾値以上又はそれを超えた場合に炎有りとする第3要件と、炎受光信号E1’の周波数分布による炎有り判断の第2要件の両方を充足し、且つ、これが所定回数連続した場合に炎との判断を確定して火災検出信号を外部に出力する。
【0134】
また、障害処理は、非炎検出センサ16cの受光信号が補正限界に達していることで、汚損障害又は汚損予告障害を検出し、火災受信盤に通知して汚損警報又は汚損予告警報を出力させる。
【0135】
(モード4)
モード4は、非炎検出センサ16c,16dの受光信号が補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E4’,E5’が無効であり、炎受光信号E1’のみが有効であることから、火災判断は(1波長)による限定的な火災判断となる。
【0136】
(1波長)の火災判断は、炎積分値ΣE1’が閾値以上又はそれを超えたとき、炎有り判断の第1要件を充足したとし、炎受光信号E1’の周波数分布による炎有り判断の第2要件の両方を充足し、且つ、これが所定回数連続した場合に炎との判断を確定して火災検出信号を外部に出力する。
【0137】
また、障害処理は、非炎検出センサ16c,16dの受光信号が補正限界に達していることで、汚損障害又は汚損予告障害を検出し、火災受信盤に通知して汚損警報又は汚損予告警報を出力させる。
【0138】
なお、炎検出センサ16aの受光信号(炎受光信号E1’)が補正限界に達している場合には、火災判断部36は、汚損障害を検出して火災受信盤へ通知し、汚損警報を出力させる。
【0139】
[本発明の変形例]
(受光信号の平均)
上記図1の実施形態は、炎検出ユニット12a,12bからの炎受光信号E1’,E2’を加算した加算受光信号E3を用いて火災判断部36により炎の有無の判断を行っているが、これに限定されず、例えば、炎検出ユニット12a,12bからの炎受光信号E1’,E2’の平均を求め、平均受光信号を取り込んで火災判断部36により炎の有無の判断を行うようにしても良い。
【0140】
(波長方式)
また、上記の実施形態は、1波長方式(検出ユニット複数)、2波長方式、3波長方式を例にとっているが、他の方式の炎検出装置としても良い。また、赤外線以外の放射線エネルギーを観測する炎検出装置に適用しても良い。
【0141】
(汚損以外の要因に対する受光信号の補正)
また、本発明の作用、効果は上記しないものも含まれる。例えば、透光性窓18に汚れや汚れムラがある場合だけでなく、検出ユニットの検出センサの故障や劣化に起因して受光信号が低下した場合にも、同様に検出ユニット毎に減光率に基づいて受光信号を補正することになり、信号低下の度合いに応じて火災受信盤へ汚損警報信号や汚損予告警報信号を送信して報知させることになる。管理者は、これを受けて透光性窓18の清掃を実施し、これによって汚損、汚損予告状態が解消されない場合に、検出ユニットの検出センサ等の異常であることを推定できる。
【0142】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0143】
10:炎検出装置
11-1:炎検出部
12a,12b:炎検出ユニット
12c,12d:非炎検出ユニット
15:MPU
16a,16b:炎検出センサ
16c,16d:非炎検出センサ
18:透光性窓
20a,20b,20c,20d:光学波長フィルタ
22a,22b,22c,22d:受光素子部
24a,24b,24c,24d:前置フィルタ
25:受光電極
26a,26b,26c,26d:プリアンプ
27:FET
28a,28b,28c,28d:メインアンプ
30a,30b,30c,30d:終段アンプ
35a,35b,35c,35d:A/D変換ポート
36:火災判断部
38:試験制御部
45:焦電体
50:筐体
52:センサ収納部
54:中央凸部
56-1,56-2:試験窓
60,60-1,60-2:試験光源
70:反射フード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16