IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 無錫華潤上華科技有限公司の特許一覧

特許7462732横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法
<>
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図1
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図2
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図3a
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図3b
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図4a
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図4b
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図5
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図6
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図7
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図8
  • 特許-横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】横方向拡散金属酸化物半導体デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240329BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240329BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L29/06 301D
H01L29/78 301D
H01L29/78 301P
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022506184
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 CN2020092270
(87)【国際公開番号】W WO2021051856
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】201910874283.5
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 Xinzhou Road Wuxi New District,Jiangsu 214028 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジーリー
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ジンチュアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン セン
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0023855(US,A1)
【文献】米国特許第09153666(US,B1)
【文献】特開平09-321291(JP,A)
【文献】特開2013-069998(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0112822(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141369(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1909200(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0137229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスであって、
第二の導電型の基板と、
前記基板上に設けられ、第一の導電型を有するドリフト領域であって、前記第一の導電型及び前記第二の導電型が互いに反対である、ドリフト領域と、
異なる深さで前記ドリフト領域に配置された前記第二の導電型の複数の埋込み層と、
前記第二の導電型の前記埋込み層上に配置され、シンキング構造を備える複数の埋込み層注入補助構造であって、前記シンキング構造は、注入溝及び注入孔のうちの少なくとも1つを含み、前記埋込み層注入補助構造は、前記シンキング構造内に充填された電気特性改質材料をさらに含み、前記電気特性改質材料は、前記ドリフト領域の材料とは異なる、埋込み層注入補助構造と、
を備える、LDMOSデバイス。
【請求項2】
前記第一の導電型のソース領域と、
前記第一の導電型のドレイン領域と、
前記埋込み層注入補助構造上に設けられたフィールド酸化物層と、
前記ソース領域に隣接するフィールド酸化物層の側面から前記ソース領域に向かって延在するゲートと、
前記ゲートから離れた前記ソース領域の側面に設けられた前記第二の導電型の基板リードアウト領域であって、前記基板リードアウト領域が前記ソース領域と接触している、基板リードアウト領域と、
をさらに備える、請求項1に記載のLDMOSデバイス。
【請求項3】
前記電気特性改質材料が誘電体材料である、請求項1に記載のLDMOSデバイス。
【請求項4】
前記電気特性改質材料が、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、及び酸化ハフニウムのうちの少なくとも1つである、請求項3に記載のLDMOSデバイス。
【請求項5】
前記第二の導電型の埋込み層には、複数のシンキング構造が設けられている、請求項1に記載のLDMOSデバイス。
【請求項6】
前記シンキング構造は、1μmより深い深さを有する、請求項1に記載のLDMOSデバイス。
【請求項7】
前記第一の導電型のウェルと、前記第二の導電型のウェルとをさらに備え、前記ドレイン領域が前記第一の導電型のウェル内に設けられ、前記ソース領域及び前記基板リードアウト領域の両方が前記第二の導電型のウェル内に設けられる、請求項2に記載のLDMOSデバイス。
【請求項8】
前記第一の導電型はn型であり、前記第二の導電型はp型である、請求項1に記載のLDMOSデバイス。
【請求項9】
横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスを製造する方法であって、
ドリフト領域が形成された基板を取得するステップであって、前記ドリフト領域が第一の導電型を有し、第二の導電型の前記基板に配置される、ステップと、
前記ドリフト領域をエッチングして、注入溝及び注入孔のうちの少なくとも1つを含むシンキング構造をその中に形成するステップと、
前記シンキング構造の底部に前記第二の導電型のイオンを注入するステップと、
熱処理を用いて前記第二の導電型のイオンを拡散させることによって、前記第二の導電型の埋込み層を形成するステップと、
電気特性改質材料を前記シンキング構造に充填するステップであって、前記電気特性改質材料は前記ドリフト領域の材料とは異なる、ステップと、
を含み、
前記シンキング構造の前記底部に前記第二の導電型のイオンを注入するステップは、前記第二の導電型の複数の埋込み層が異なる深さで形成されるように、前記イオンを異なる深さにそれぞれ注入することを含む複数の注入サイクルを含む、方法。
【請求項10】
前記電気特性改質材料を前記シンキング構造に充填するステップの後に、
前記電気特性改質材料の上にフィールド酸化物層を形成するステップと、
ゲートを形成するステップと、
前記第一の導電型のソース領域と、前記第一の導電型のドレイン領域と、前記第二の導電型の基板リードアウト領域とを形成するステップと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電気特性改質材料が誘電体材料である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記電気特性改質材料を前記シンキング構造に充填するステップは、蒸着または熱酸化プロセスによって達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
複数のシンキング構造が形成され、前記熱処理を用いて前記第二の導電型のイオンを拡散させることによって、前記第二の導電型の前記埋込み層を形成するステップは、前記注入するステップから生じる前記第二の導電型のイオンの別々の領域を拡散接合して前記第二の導電型の前記埋込み層を形成するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記電気特性改質材料の上にフィールド酸化物層を形成するステップの前に、前記方法は、前記第一の導電型のウェル及び前記第二の導電型のウェルを形成するステップをさらに含み、前記第一の導電型の前記ソース領域、前記第一の導電型の前記ドレイン領域及び前記第二の導電型の前記基板リードアウト領域を形成するステップは、前記第二の導電型の前記ウェルに前記ソース領域及び前記基板リードアウト領域を形成するステップと、イオン注入プロセスを用いて前記第一の導電型のウェルに前記ドレイン領域を形成するステップと、を含み、前記第一の導電型の前記ソース領域、前記第一の導電型の前記ドレイン領域及び前記第二の導電型の前記基板リードアウト領域を形成するステップに続いて、前記方法は、
層間絶縁層を形成するステップと、
コンタクト注入孔を形成するステップと、
前記ゲート、前記ドレイン領域及び前記ソース領域のための金属電極を形成するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造に関し、より具体的には、横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイス及びLDMOSデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスは、それらの耐圧(BV)とオン抵抗の間にトレードオフ関係があるため、設計者は望ましい耐圧が確保した上で、オン抵抗を最小にすることを追求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この点を考慮すると、このようなLDMOSデバイスを製造する方法と同様に、望ましい耐圧を維持しながら、オン抵抗を低減した横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第二の導電型の基板と、前記基板上に設けられ、第一の導電型を有するドリフト領域であって、前記第一の導電型及び前記第二の導電型が互いに反対である、ドリフト領域と、前記ドリフト領域に配置された前記第二の導電型の埋込み層と、前記第二の導電型の前記埋込み層上に配置され、シンキング構造(sinking structure)を備える埋込み層注入補助構造であって、前記シンキング構造は、注入溝及び注入孔のうちの少なくとも1つを含み、前記埋込み層注入補助構造は、前記シンキング構造内に充填された電気特性改質材料をさらに含み、前記電気特性改質材料は、前記ドリフト領域の材料とは異なる、埋込み層注入補助構造と、を含む。
【0005】
LDMOSデバイスを製造する方法は、ドリフト領域が形成された基板を取得するステップであって、前記ドリフト領域が第一の導電型を有し、第二の導電型の前記基板に配置される、ステップと、前記ドリフト領域をエッチングして、注入溝及び注入孔のうちの少なくとも1つを含むシンキング構造をその中に形成するステップと、前記シンキング構造の底部に前記第二の導電型のイオンを注入するステップと、熱処理を用いて前記第二の導電型のイオンを拡散させることによって、前記第二の導電型の埋込み層を形成するステップと、電気特性改質材料を前記シンキング構造に充填するステップであって、前記電気特性改質材料は前記ドリフト領域の材料とは異なる、ステップと、を含む。
【0006】
本出願の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本出願の他の特徴、改良、及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に開示される発明の実施形態及び/または例をより良く説明し、例示するために、1つ以上の添付図面を参照することができる。添付の図面を説明するために使用される追加の詳細または例は、開示された発明、ここで説明される実施形態及び/または例、ならびにこれらの発明で現在理解されている最良の形態のいずれかの範囲に対する限定とみなされるべきではない。
【0008】
図1】例示的な実施形態に従って、ドリフト領域内にp型埋込み層を有する横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスの構造概略図である。
図2】一実施形態によるLDMOSデバイスの製造方法のフローチャートである。
図3a】一実施形態によるシンキング構造の上面図である。
図3b】別の実施形態によるシンキング構造の上面図である。
図4a図3aの実施形態における注入溝306aのレイアウトを概略的に示す。
図4b図3bの実施形態における注入孔306bのレイアウトを概略的に示す。
図5】一実施形態による注入孔に第二の導電型のイオンを注入した結果得られる構造の概略断面図を示す。
図6】熱処理を受けた図5の構造の概略図である。
図7】第二の導電型の注入イオンの熱処理を受けた図3bの構造の上面図を示す。
図8】一実施形態によるLDMOSデバイスの構造概略図である。
図9】別の実施形態によるLDMOSデバイスの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を容易に理解するために、本発明を実施するための好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、以下で本発明をより完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形式で実施されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分で完全になるように提供される。
【0010】
本明細書で使用される半導体の分野における用語は、当業者によって一般的に使用されるものである。例えば、p型及びn型ドーパントの異なるドーピング濃度を区別するために、高濃度、中濃度及び低濃度にドープされたp型領域は、単に、それぞれ、p+、p及びp領域と表記され、高濃度、中濃度及び低濃度にドープされたn型領域は、単に、n+、n及びn領域と表記される。
【0011】
図1は、例示的な実施形態に従って、ドリフト領域内にp型埋込み層を有する横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスの構造概略図である。p型埋込み(p埋込み)層204は、イオン注入プロセスを使用して、ドリフト領域202(nウェル)にp型イオン(例えば、ホウ素イオン)を直接注入することによって形成される。この構造では、p型埋込み層204の上方のドリフト領域202内に導電性チャネルが存在し、p型埋込み層204の下方のドリフト領域202内に別の導電性チャネルが存在する(例えば、図中の2つの矢印で示されるように)。LDMOSデバイスがオフにされ、逆電圧抵抗の下で、p型埋込み層204は、ドリフト領域202内のn型ドーパントの空乏化を効率的に促進し、ドリフト領域内のn型ドーパント濃度を上昇させ、そのオン抵抗を下げることができる。
【0012】
本発明者らは、p型埋込み層204の上方のn型導電性チャネルが最短のソース・ドレイン間導電経路であり、それが深いほど、LDMOSデバイスの全体的なオン抵抗が小さくなると考えている。しかしながら、既存のイオン注入装置の最大送達可能エネルギー及び他の要因によって制限され、p型イオンは、限られた深さまでしか到達することができず、p型埋込み層204の上方のn型導電性チャネルを狭くし、したがって、その電気伝導パワーが弱くなる。その結果、LDMOSデバイスのオン抵抗を著しく低減することはできなかった。
【0013】
図2は、一実施形態による横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスの製造方法のフローチャートである。この方法のステップは、以下の通りである。
【0014】
S310:ドリフト領域が形成された基板を取得する。
【0015】
第一の導電型のドリフト領域は、第二の導電型の基板上に形成されてもよい。この実施形態では、LDMOSデバイスは、第一の導電型がn型であり、第二の導電型がp型であるn型LDMOS(NLDMOS)デバイスである。代替の実施形態では、第一の導電型はp型であってもよく、第二の導電型はn型であってもよい。
【0016】
S320:エッチングによりドリフト領域にシンキング構造を形成する。
【0017】
本実施形態では、ドリフト領域の一部に、イオン注入に対応するための注入溝及び/または注入孔が形成されている。注入溝/注入孔内に埋込み層を形成するために後に注入されるイオンは、より深い深さに達することができる。注入溝/注入孔の深さは、埋込み層が形成されるべき所望の深さに依存し得ることが理解されるであろう。一実施形態では、注入溝/注入孔の深さは、1マイクロメートルより大きい。図3aは、一実施形態によるシンキング構造の上面図であり、図3bは、別の実施形態によるシンキング構造の上面図である。図3aの実施形態では、シンキング構造は、形成されるべき結果としての導電性チャネルの長手方向に延びる複数の平行な注入溝306aである。図3bに示す実施形態では、シンキング構造は、マトリックス状に配列された複数の注入孔306bである。このようにして、デバイスの動作中、注入溝306a間または注入孔306bの列の間のドリフト領域の部分は、図3a及び3bの矢印で示されるように、n型導電性チャネルを構成する。図4aは、図3aの実施形態における注入溝306aのレイアウトを概略的に示し、図4bは、図3bの実施形態における注入孔306bのレイアウトを概略的に示す。図から分かるように、注入溝306a及び注入孔306bのレイアウトは、滑走路形状(runway-shaped)である。
【0018】
S330:シンキング構造の底部に第二の導電型のイオンを注入する。
【0019】
一実施形態では、イオン注入は、ステップS320で実行されるフォトリソグラフィ処理から残っているフォトレジストパターンを用いて実行することができ、その結果、シンキング構造の底部にドープ領域が形成される。図5は、一実施形態による、注入孔内に第二の導電型のイオンを注入した結果得られる構造の概略断面図を示す。図5の実施形態では、ステップS330で、各注入サイクルでイオンを異なる深さに注入することを含め、複数の注入サイクルを実施した結果として、異なる深さの層に位置するドープ領域104aが形成される。図5の楕円は、ドープ領域104aの複数の層を表しており、その図示は省略されている。一実施形態では、第二の導電型のイオンは、ホウ素イオンなどのp型イオンである。
【0020】
S340:第二の導電型のイオンを熱的に拡散させ、それによって第二の導電型の埋込み層を形成する。
【0021】
ステップS330から生じる構造は、注入溝306a/注入孔306bを介して注入されたイオンが拡散し、各層のドープ領域104aが膨張して単一層を形成するように、熱処理(熱拡散)を受ける。ステップS330で複数の注入サイクルが実行される前述の実施形態では、熱処理の結果として、図6及び図7に示すように、第二の導電型の複数の埋め込み層が異なる深さに形成される。ステップS340における熱処理は、例えば、アニーリングまたはウェルドライブインであってもよい。ステップS340は、S350に先行しても、あるいはS350に後続してもよいことが理解される。
【0022】
S350:シンキング構造に電気特性改質材料を充填する。
【0023】
充填された電気特性改質材料は、デバイスによって要求されるように電気特性を改質することができる。一実施形態では、材料は、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、及び酸化ハフニウムのうちの少なくとも1つを含む誘電体材料とすることができる。誘電体材料の充填は、物理蒸着(PVD)、気相成長法(CVD)、熱酸化物成長等によって行うことができる。シンキング構造内に充填されたこの誘電体材料によって、逆電圧抵抗下で、LDMOSデバイスの破壊電圧をより高くし、その安定性を強化することができる。別の実施形態では、材料はポリシリコンであってもよい。
【0024】
S360:LDMOSデバイスの他の必要な構成要素を形成する。
【0025】
一実施形態では、ステップS360における形成は、従来のプロセスによって達成することができる。
【0026】
この方法では、注入溝及び/または注入孔に行われるイオン注入によって、使用される注入装置の最大送達可能エネルギーによって制限されることなく、注入溝/注入孔の深さに応じて、第二の導電型の埋込み層をより深く形成することが可能になる。このようにして、埋込み層の上方のドリフト領域内に結果として生じる導電性チャネルは、十分な深さを有することができ、それによって、LDMOSデバイスがオフにされたときに、逆電圧抵抗の下で、第二の導電型の埋込み層は、ドリフト領域内の第一の導電型のドーパントの空乏化(depletion)を効率的に促進することが可能になり、したがって、ドリフト領域内の第一の導電型のドーパントの濃度を上昇させ、そのオン抵抗を低下させる。さらに、注入溝/注入孔内に充填された材料は、デバイスの電気特性を最適化することができる。イオン注入と、それに続くエピタキシャル成長による埋込み層の形成を含む解決策と比較して、本発明の方法は、コスト及びプロセス時間の両方を節約する。さらに、局所的成長に適用できないエピタキシーとは対照的に、本発明の方法は、埋込み層の局所的形成を必要とする用途にさらに使用することもできる。
【0027】
一実施形態では、ステップS360は、以下に詳述するステップを含むことができる。
【0028】
第一の導電型のウェルと第二の導電型のウェルとが形成される。第一の導電型のウェルは、ドリフト領域のためのドレイン側バッファとしての役割を果たすことができ、これにより、LDMOSデバイスは、順方向導電性であるときに、オン状態耐圧を増加させることができる。第二の導電型のウェルは、デバイスのチャネル領域としての役割を果たすことができ、そのドーパント濃度は、デバイスのドリフト領域の空乏化及びターンオン電圧にも影響を与えることがある。この実施形態では、第一の導電型のウェルはnウェルであり、第二の導電型のウェルはpウェルである。
【0029】
フィールド酸化物層は、ドリフト領域上に形成される。
【0030】
ゲートが形成される。この実施形態では、ゲートは、ポリシリコンで形成され、フィールド酸化物層のエッジを越えて、第二の導電型のウェル上に延在してもよい。
【0031】
ソース領域、ドレイン領域及び基板リードアウト領域が形成される。イオン注入を用いて、ソース領域及び基板リードアウト領域は、第二の導電型のウェル内及び第一の導電型のウェル内のドレイン領域内に形成されてもよい。この実施形態では、ソース及びドレイン領域はn+領域であり、基板リードアウト領域はp+領域である。
【0032】
層間誘電体(ILD)層が形成される。ILD層は、最後のステップから生じるウェーハの表面上に形成することができる。
【0033】
接触注入孔が形成される。各接触注入孔は、ILD層内でエッチングすることによって、デバイスの表面にそれぞれの構造を導くように形成されてもよい。
【0034】
ゲート、ドレイン、ソース用の金属電極が形成される。
【0035】
本明細書では、対応する横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスも提供する。図8は、一実施形態によるLDMOSデバイスの構造概略図である。示されるように、LDMOSデバイスは、基板101と、ドリフト領域102と、第二の導電型の1つ以上の埋込み層104と、埋込み層を形成するためのイオン注入を支援する補助構造106とを含む。補助構造は、注入溝及び注入孔のうちの少なくとも1つを含むシンキング構造を含む。この実施形態では、それらは注入孔である。さらに、LDMOSデバイスは、n型LDMOS(NLDMOS)デバイスであり、その基板101はp型基板であり、ドリフト領域102は基板101上に設けられたn型ドリフト領域(またはn-ドリフト領域)であり、埋込み層104はp型埋込み層(またはp-埋込み層)である埋込み層104は、ドリフト領域102内に位置し、補助構造106は、埋込み層104の上方に位置する。第二の導電型の埋込み層104が1つしかない場合、注入溝/注入孔は、埋込み層104内に部分的に下方に延在してもよい。第二の導電型の埋込み層104が複数存在する場合、注入溝/注入孔は、複数の層のうちの最上層に部分的に下方に延在してもよい。埋込み層104は、注入溝及び/または注入孔内で実施されるイオン注入によって形成されるので、使用される注入装置の最大送達可能エネルギーによって制限されることなく、注入溝/注入孔の深さに応じて、より深い深さに配置される。所望に応じて、ドリフト領域102の材料とは異なるデバイスの電気特性改質材料が、注入溝/注入孔内に充填される。
【0036】
このLDMOSデバイスでは、第二の導電型の埋込み層は、注入溝及び/または注入孔内で実施されるイオン注入によって形成されるので、使用される注入装置の最大送達可能エネルギーによって制限されることなく、注入溝/注入孔の深さに応じて、より深い深さに配置される。このようにして、埋込み層の上方のドリフト領域内に結果として生じる導電性チャネルは、十分な深さを有することができ、それによって、LDMOSデバイスがオフにされたときに、逆電圧抵抗の下で、第二の導電型の埋込み層は、ドリフト領域内の第一の導電型のドーパントの空乏化を効率的に促進することが可能になり、したがって、ドリフト領域内の第一の導電型のドーパントの濃度を上昇させ、そのオン抵抗を低下させる。さらに、注入溝/注入孔内に充填された材料は、デバイスの電気特性を最適化することができる。
【0037】
図8の実施形態では、LDMOSデバイスは、ソース領域109と、ドレイン領域107と、フィールド酸化物層112と、ゲート108と、基板リードアウト領域110と、をさらに含む。補助構造106は、n型ソース領域109とn型ドレイン領域107との間に配置される(いずれも図8の実施形態ではn+領域である)。フィールド酸化物層112は、ドリフト領域102上に配置される。注入孔はフィールド酸化物層112の下にあり、フィールド酸化物層112によって遮蔽されているので、図8では破線のボックスで示されている。ゲート108は、ポリシリコンから形成され、フィールド酸化物層112からソース領域109に向かって延在する。基板リードアウト領域110は、p領域(またはp+領域)であり、これは、ゲート108から離れてソース領域109の側に配置され、ソース領域109と接触させられる。
【0038】
図8の実施形態では、ソース領域109及び基板リードアウト領域110の両方が、第二の導電型のウェル111内に形成され、一方、ドレイン領域107は、第一の導電型のウェル103内に形成される。図8の実施形態では、第一の導電型のウェル103はnウェルであり、第二の導電型のウェル111はpウェルである。第一の導電型のウェル103は、ドリフト領域のためのドレイン側バッファとしての役割を果たすことができ、これにより、LDMOSデバイスは、順方向導電性であるときに、オン状態耐圧を増加させることができる。第二の導電型のウェル111は、チャネル領域の長さを短くすることができ、その結果、デバイスのサイズを小さくすることができる。ソース側領域105のドーパント濃度は、ドリフト領域の空乏化及び閾値電圧に影響を与えることがある。
【0039】
一実施形態では、耐圧を高くするために、基板101は、基板の空乏化を容易にする抵抗率の高い材料として選択されてもよい。
【0040】
一実施形態では、ドリフト領域102は、イオン注入と、それに続く高温での接合ドライブインによって形成することができる。別の実施形態では、ドリフト領域102は、エピタキシャル成長によって形成することができる。ドリフト領域102は、確実に、デバイス基板を空乏化し、電流伝導経路を望ましいものとするために、指定された深さを有していなければならない。
【0041】
一実施形態では、電気特性改質材料は、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、及び酸化ハフニウムのうちの少なくとも1つを含む誘電体材料とすることができる。シンキング構造内に充填されたこの誘電体材料によって、逆電圧抵抗下で、LDMOSデバイスの破壊電圧をより高くし、その安定性を強化することができる。別の実施形態では、材料はポリシリコンである。
【0042】
一実施形態では、注入溝及び/または注入孔は、1マイクロメートルを超える深さを有してもよい。
【0043】
図9は、別の実施形態による、横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)デバイスの構造概略図であり、これは、主に、補助構造106が注入溝(図8の注入孔ではなく)を含む点で、図8のLDMOSデバイスと異なる。
【0044】
上述の実施形態は、本発明を実施するいくつかの形態を表すに過ぎない。これらの実施形態を具体的かつ詳細に説明してきたが、それらは、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができるが、これらのすべては、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に入ることに留意されたい。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9