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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】クリーニング製品のための界面活性剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/30 20060101AFI20240329BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20240329BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20240329BHJP
   C11D 1/40 20060101ALI20240329BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20240329BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20240329BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240329BHJP
   C07F 7/18 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
C11D3/30
C11D1/04
C11D3/43
C11D1/40
C11D3/395
C11D3/386
C11D3/37
C07F7/18 X
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022538074
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2020064684
(87)【国際公開番号】W WO2021126714
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】62/951,942
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517213094
【氏名又は名称】アドバンシックス・レジンズ・アンド・ケミカルズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ADVANSIX RESINS & CHEMICALS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】アシルバサム,エドワード
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-102320(JP,A)
【文献】特表2015-501335(JP,A)
【文献】特開2002-188097(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107698615(CN,A)
【文献】特表2010-513991(JP,A)
【文献】特開平04-029994(JP,A)
【文献】特開昭53-087319(JP,A)
【文献】特表2009-521546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
C07F 7/00- 7/30
C08G77/00- 77/62
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
C09K23/00- 23/56
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含み、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく、
nは、1~12の整数であり、
末端窒素は、Rでさらに置換されていてもよく、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される少なくとも1種の界面活性剤化合物と、
前記界面活性剤化合物に会合していて、存在するならば塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択される、任意の対イオンと、
少なくとも1種の洗剤又は少なくとも1種の石鹸と、
を含む、クリーニングのための配合物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の洗剤又は石鹸が、陰イオン性洗剤、陽イオン性洗剤、非イオン性洗剤、及び双性イオン性洗剤からなる群から選択される、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記石鹸が、一般式:
(RCO n+
(式中、Rは、アルキル基を含み、Mは、金属であり、n+は、+1又は+2のどちらかである)で示される、請求項1に記載の配合物。
【請求項4】
少なくとも1種のビルダーをさらに含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のビルダーが、トリポリリン酸塩、ニトロ酢酸塩、ゼオライト、カルサイト/炭酸塩、クエン酸塩又はポリマー、ピロリン酸塩、オルトリン酸塩、アルミノケイ酸ナトリウム、アルカリ剤の無機塩、アルカリ金属の無機塩、硫酸塩、ケイ酸塩、及びメタケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項4に記載の配合物。
【請求項6】
少なくとも1種の漂白剤をさらに含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の漂白剤が、金属ホウ酸塩、過酸基塩、ペルオキシ酸、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、ペルオキシ酢酸、ベンゾイルペルオキシド、過硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、亜ジチオン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項6に記載の配合物。
【請求項8】
少なくとも1種の酵素をさらに含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、マンナナーゼ、ペルオキシダーゼ及びリパーゼからなる群から選択される、請求項8に記載の配合物。
【請求項10】
少なくとも1種のポリマーをさらに含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のポリマーが、メタクリルアミドのポリマー;エチレン性不飽和モノマー、N,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、ビニルアミン、ビニルイミダゾール、第四級ビニルイミダゾール、及びジアリルジアルキルアンモニウム塩のポリマー;ジアリルジメチルアンモニウム塩、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウム塩、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、及び第四級ビニルイミダゾールのポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項10に記載の配合物。
【請求項12】
式1
【化2】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含み、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく、
nは、1~12の整数であり、
末端窒素は、Rでさらに置換されていてもよく、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される少なくとも1種の界面活性剤化合物と;
前記界面活性剤化合物に会合していて、存在するならば塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択される、任意の対イオンと、
少なくとも1種の溶媒と、
を含む、ドライクリーニングのための配合物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の溶媒が、ペルクロロエチレン、炭化水素、トリクロロエチレン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジブトキシメタン、n-プロピルブロミドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項12に記載の配合物。
【請求項14】
少なくとも1種の共溶媒をさらに含む、請求項12に記載の配合物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の共溶媒が、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、アルカン、アルケン、直鎖状及び環状アミド、ペルフルオロ化第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、芳香族物質、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブチルアルコール、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、メチルt-ブチルエーテル、メチルt-アミルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トランス-1,2-ジクロロエチレン、デカリン、メチルデカノエート、t-ブチルアセテート、エチルアセテート、グリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ジエチルフタレート、2-ブタノン、N-アルキルピロリドン、メチルイソブチルケトン、ナフタレン、トルエン、トリフルオロトルエン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロ-2-ブチルオキサシクロペンタンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項14に記載の配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、開示が全体として参照により本明細書に取り込まれる、2019年12月20日出願の米国特許仮出願第62/951,942号の優先権を主張するものである。
【0002】
分野
本開示は、織物、硬質表面、及びプラスチック表面をクリーニング及びコンディショニングするために用いられるクリーニング製品をはじめとするクリーニング製品中での使用のための界面活性剤に関係する。そのような界面活性剤は、アミノ酸のシロキサン誘導体を含んでいてもよく、該シロキサン誘導体は、表面活性特性を有する。
【背景技術】
【0003】
界面活性剤(表面活性特性を有する分子)は、洗剤からヘアケア製品まで、そして化粧品までの範囲内の配合物中での商業的適用で広範に用いられる。表面活性特性を有する化合物は、中でも石鹸、洗剤、滑沢剤、湿潤剤、発泡剤、及び展着剤として用いられる。パーソナルケアのクリーニング製品(例えば、シャンプー、ボディーウォッシュ、洗顔料、液体ハンドソープほか)では、界面活性剤は、組成物のクリーニング属性の多くを提供するため、最も重要成分であることが多い。
【0004】
界面活性剤は、無電荷、双性イオン性、陽イオン性、又は陰イオン性であってもよい。原則として、任意の界面活性剤分類(例えば、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、両性)が、クリーニング又はクリーニング適用例に適するが、実際に多くのパーソナルケアクリーナ及び家庭用クリーニング製品は、2つ以上の界面活性剤分類からの2種以上の界面活性剤の組み合わせと共に配合される。
【0005】
多くの場合、界面活性剤は、相対的に非水溶性の疎水性「テール」基と、相対的に水溶性の親水性「ヘッド」基と、を有する両親媒性分子である。これらの化合物は、2種の液体の間、液体と気体の間、又は液体と固体の間の界面などの界面で吸着され得る。相対的に極性の成分と相対的に非極性の成分を含む系では、疎水性テールが、相対的に非極性の成分(複数可)と優先的に相互作用し、親水性ヘッドが、相対的に極性の成分(複数可)と優先的に相互作用する。水と油の間の界面の場合、親水性ヘッド基が、優先的に水中に広がり、疎水性テールが、優先的に油中に広がる。親水性ヘッド基は、水-気体のみの界面に添加されると、優先的に水中に広がり、疎水性テールは、優先的に空気中に広がる。界面活性剤の存在は、水分子の間の分子間相互作用の少なくとも一部を崩壊させて、水分子間の相互作用の少なくとも一部を、水分子の少なくとも一部と界面活性の間の一般により弱い相互作用と置き換える。このことが、低下された表面張力をもたらし、界面を安定化させることに役立ち得る。
【0006】
界面活性剤は、充分に高い濃度では、極性溶媒への疎水性テールの暴露を限定するのに役立つ凝集体を形成する場合がある。そのような凝集体の1つが、ミセルである。典型的なミセルでは、分子が球の中に配列されて、界面活性剤(複数可)の疎水性テールが、優先的に球の内側に配置され、界面活性剤(複数可)の親水性ヘッドが、優先的にミセルの外側に配置され、ヘッドがより極性の溶媒と優先的に相互作用する。所与の化合物が表面張力に及ぼす効果と、それがミセルを形成する濃度が、界面活性剤の特徴を定義するものとして役立ち得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、床、壁、シーリング、屋根、カウンタートップ、家具、板、カップ、硝子、カトラリー、食器、機械類、機械部品、並びに食品の調製及び/又は包装に用いられるデバイスなどの硬質及びプラスチック表面をクリーニング及び/又は脱脂するための組成物;洗濯洗剤、染み抜き剤、洗浄の前処理剤、織物柔軟剤、織物染料、及び漂白剤をはじめとする織物ケア配合物;並びに室内装飾品及びカーペットをクリーニングするために用いられる組成物を提供する。幾つかの本発明の組成物は、洗剤、乳化剤、分散剤、発泡剤及びそれらの組み合わせの形態であってもよい。本発明の製品は、1つ又は複数の界面活性剤分類からの1種又は複数の界面活性剤を含むように配合されてもよい。
【0008】
本開示は、表面活性特性を有するアミノ酸のシロキサン誘導体を提供する。アミノ酸は、天然由来若しくは合成のアミノ酸であってもよく、又はそれらは、ラクタム、例えばカプロラクタムなどの分子の開環反応を介して得られてもよい。アミノ酸は、異なるタイプのシロキサン基で官能基化されて、表面活性特性を有する化合物を形成してもよい。特徴としてこれらの化合物は、低い臨界ミセル濃度(CMC)及び/又は液体の表面張力を低減する能力を有してもよい。
【0009】
本開示は、以下の式1
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;nは、1~12の整数であり;末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される化合物であって、任意の対イオンが該化合物に会合していてもよく、存在するならば対イオンが塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択されてもよい、化合物と、それ自体は界面活性剤として特徴づけられてもよい1種又は複数の石鹸と、を提供し、石鹸は、脂肪酸、塩、を含んでいてもよく、幾つかの石鹸は、水溶性部分と脂肪溶解性部分の両方を含んでいてもよい。
【0012】
本開示により提供されるさらなる化合物は、式1a
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;mは、1~6の整数であり;末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、及びC~Cアルキルからなる群から選択され、アルキル鎖は、カルボキシル、カルボキシレート、及びスルホネートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されている)で示される化合物であり、任意の対イオンが、化合物に会合していてもよく、存在するならば対イオンは、塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択されてもよく、少なくとも1種のビルダーが、水性環境中でのクリーニング作用の有効性を促す分子を含んでいてもよく、幾つかの有用なビルダーとしては、特定のポリマー、リン酸塩、及びアルミノケイ酸塩、クエン酸カルシウム、アルカリ金属塩、ナトリウム塩、幾つかの等級のゼオライトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本開示により提供される追加的化合物は、式1
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;pは、5であり;末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、及びC~Cアルキルからなる群から選択され、アルキル鎖は、カルボキシル、カルボキシレート、及びスルホネートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されている)で示される化合物であり、任意の対イオンが、化合物に会合していてもよく、存在するならば対イオンは、塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択されてもよく、ペルオキシ系漂白剤などの漂白剤としては、無機過酸基塩、有機ペルオキシ酸、金属ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、及び過硫酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本開示は、以下の式1
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;nは、1~12の整数であり;末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される化合物であって、任意の対イオンが化合物に会合していてもよく、存在するならば対イオンが塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択されてもよい、化合物と、家庭用又は商業用ドライクリーニング工程のどちらか、又は両方での使用のための溶媒、そして場合により共溶媒に好ましい不燃性油浸性組成物と、を提供する。
【0021】
本開示により提供されるさらに別の化合物は、R及びRがメチルである、それらの式1で示される化合物である。
本開示により提供される別の化合物は、nが5である、式1で示される化合物である。
【0022】
本開示により提供されるさらに別の化合物は、R及びRがメチルである、式1bで示される化合物である。
本開示により提供されるさらに別の化合物は、Rが水素である、式1で示される化合物である。
【0023】
本開示により提供される別の化合物は、対イオンが塩化物、臭化物及びヨウ化物からなる群から選択される、式1で示される化合物である。
本開示により提供される追加的化合物は、対イオンが塩化物である、式1bで示される化合物である。
【0024】
本開示により提供される別の化合物は、Rがメチルである、式1で示される化合物である。
本開示により提供される別の化合物は、対イオンがヨウ化物である、式1で示される化合物である。
【0025】
本開示により提供されるさらに別の化合物は、Rが酸素である、式1で示される化合物である。
本開示により提供される追加的化合物は、Rがスルホネートで置換されたC~Cアルキルである、式1で示される化合物である。
【0026】
本開示により提供される1つの具体的化合物は、以下の式:
【0027】
【化5】
【0028】
を有する6-(ジメチルアミノ)-N-(3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)ヘキサンアミドである。
【0029】
本開示により提供される第二の具体的化合物は、以下の式:
【0030】
【化6】
【0031】
を有する6-(ジメチルアミノ)-N-(3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)ヘキサミニウムクロリドである。
【0032】
本開示により提供される第三の具体的化合物は、以下の式:
【0033】
【化7】
【0034】
を有する36-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである。
【0035】
本開示により提供される第四の具体的化合物は、以下の式:
【0036】
【化8】
【0037】
を有する6-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミンオキシドである。
【0038】
本開示により提供される第五の具体的化合物は、以下の式:
【0039】
【化9】
【0040】
を有する4-((6-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである。
【0041】
本開示により提供される第六の具体的化合物は、以下の式:
【0042】
【化10】
【0043】
を有する5-((6-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ペンタン-1-スルホネートである。
【0044】
本開示の上述及び他の特色、並びにそれらを実現する手法は、以下の態様の記載を添付の図面と合わせて参照することによってより明白となり、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、実施例1bに記載された通りの、pH=7で測定された塩素対イオンを有する、界面活性剤2での表面張力と濃度を対比したプロットを示す。
図2図2は、実施例2bに記載された通りの、界面活性剤3での表面張力と濃度を対比したプロットを示す。
図3図3は、実施例2bに記載された通りの、界面活性剤3での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示す。
図4図4は、実施例3bに記載された通りの、界面活性剤4での表面張力と濃度を対比したプロットを示す。
図5図5は、実施例3bに記載された通りの、界面活性剤4での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示す。
図6図6は、実施例4bに記載された通りの、界面活性剤5での表面張力と濃度を対比したプロットを示す。
図7図7は、実施例4bに記載された通りの、界面活性剤5での表面張力の変化としての動的表面張力と時間を対比したプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書で用いられる語句「前述の値の任意の2つの間で定義された任意の範囲内」は、値が列挙のより低い部分であるか、又は列挙のより高い部分であるかにかかわらず、任意の範囲がそのような語句の前に列挙された値の任意の2つから選択され得ることを文字通り意味する。例えば一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値とより高い値から選択されてもよい。
【0047】
本明細書で用いられる言語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖であり得る任意の飽和炭素鎖を意味する。
本明細書で用いられる語句「表面活性」は、会合された化合物が少なくとも部分的に溶解された媒体の表面張力、及び/又は他の相との界面張力を低下させることが可能であり、したがって液体/蒸気及び/又は他の界面で少なくとも部分的に吸着され得ることを意味する。用語「界面活性剤」は、そのような化合物に適用されてもよい。
【0048】
不正確さの用語法に関係して、用語「約」及び「およそ」は、述べられた測定を包含し、述べられた測定に適度に近い任意の測定も包含する、測定をいうために互換的に用いられてもよい。述べられた測定に適度に近い測定は、関連の技術分野の当業者により理解され、即座に確認される通り、述べられた測定から適度に小さな量だけ逸脱する。そのような逸脱は例えば、測定誤差、又は性能を最適化するために行われた微細な調整に起因され得る。関連の技術分野の当業者がそのような適度に小さな差異についての値を即座に確認しないことが決定された場合には、用語「約」及び「およそ」は、述べられた値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解され得る。
【0049】
他に明確に定義されない限り、又は他に暗示的に用いられない限り、本明細書で用いられる用語「泡」は、相対的により小さな容量の液体中の気泡の非平衡的分散を示す。「泡」、「泡沫」及び「沫」のような用語は、本発明の意味では互換的に用いられ得る。
【0050】
他に明確に定義されない限り、又は他に暗示的に用いられない限り、本明細書で用いられる用語「泡立ちプロファイル」は、洗浄及びすすぎサイクルの間の泡の特徴に関係する洗剤組成物の特性をいう。洗剤組成物の泡立ちプロファイルとしては、洗濯液への溶解の際の泡発生の速度、洗浄サイクルでの泡の体積及び保持力、並びにすすぎサイクルでの泡の体積及び消失が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは泡立ちプロファイルとしては、本明細書の以後の実施例に開示されたテスト方法により具体的に定義された洗浄泡指数(Wash Suds Index)及びすすぎ泡指数(Rinse Suds Index)が挙げられる。それは、洗浄サイクルの間に測定された泡安定性などの追加的な泡関連パラメータ、及び同様のものをさらに含んでいてもよい。
【0051】
他に明確に定義されない限り、又は他に暗示的に用いられない限り、本明細書で用いられる用語「流体」は、液体、ゲル、ペースト及び気体製品の形態を包含する。
他に明確に定義されない限り、又は他に暗示的に用いられない限り、本明細書で用いられる用語「液体」は、25℃で約1~約2000mPasの粘度及び20秒-1の剪断速度を有する液体を有する流体をいう。
【0052】
他に明確に断りがなければ、又は他に暗示的に用いられなければ、本明細書で用いられる用語「ドライクリーニング組成物」は、クリーニングされる洗濯物を除く、ドライクリーニング溶媒、任意の界面活性剤、クリーニング剤をはじめとするドライクリーニング工程で用いられる組成物を意味するものとする。
【0053】
他に明確に定義されない限り、又は他に暗示的に用いられない限り、本明細書で用いられる用語「有機ドライクリーニング溶媒」は、好ましくは20℃及び標準圧で液相を有する任意の非水性溶媒を意味するものとする。有機という用語は、通常の意味、即ち少なくとも1種の炭素・水素結合を有する化合物を有する。
【0054】
本開示は、床、壁、シーリング、屋根、カウンタートップ、家具、板、カップ、硝子、カトラリー、食器、機械類、機械部品、並びに食品の調製及び/又は包装に用いられるデバイスなどの硬質及びプラスチック表面をクリーニング及び/又は脱脂するための組成物;洗濯洗剤、染み抜き剤、洗浄の前処理剤、織物柔軟剤、織物染料、及び漂白剤をはじめとする織物ケア配合物;並びに室内装飾品及びカーペットをクリーニングするために用いられる組成物を提供する。
【0055】
I.水系のクリーニング配合物
洗濯洗剤、脱脂剤、染み抜き剤、及び洗濯前処理組成物は、洗剤界面活性剤と、バインダーと、酵素と、コンディショニング剤との組み合わせを含んでいてもよい。洗濯洗剤配合物は、固体、液体、粉末、棒状物、スティック状物、さや状物、エアロゾル、及び/又はゲルを包含する。
【0056】
本発明の洗濯洗剤組成物は、自動洗浄機洗濯、半自動機器洗濯(即ち、少なくとも1つ又は2つの手動ステップを必要とする機械洗浄)、手洗いほかの適用例で用いられ得る。幾つかの形態において、洗剤組成物は、手洗い用洗濯洗剤製品に指定される。
【0057】
洗濯洗剤組成物は、任意の形態、即ち液体;エマルジョン;ペースト:ゲル:スプレー又は泡沫;粉末、顆粒、集塊、錠剤、ポーチ及び棒状物などの固体;二区画又は多区画コンテナ又はポーチに送達されるタイプ;消費者により水で活性化され得る予備加湿又は乾燥ワイプ(即ち、不織材料と組み合わせた液体洗剤組成物、又は不織材料と組み合わせた粉末洗剤組成物);並びに他の均質又は多層の消費者用クリーニング製品形態の形態であり得る。
【0058】
本発明の織物ケア配合物の幾つかは、界面活性剤系とも称される1種又は複数の界面活性剤を含む。界面活性剤系は、組成物にクリーニング性能を提供するために含まれる。界面活性剤系は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であり得る少なくとも1種の界面活性剤、そして場合により両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であり得る少なくとも1種の他の界面活性剤、又はそれらの組み合わせを含む。そのような界面活性剤は、本明細書に記載された本質的成分と物理的及び化学的に適合性がなければならない、又はその他に過度の製品安定性、美容性、若しくは性能を付与してはならない。
【0059】
本発明の組成物は、任意の適切な物理的形態、例えば微粒子(粉末、顆粒、錠剤)、液体、ペースト、ゲル又は棒状物であってもよい。好ましくは洗剤組成物は、顆粒形態である。該組成物は、手洗い又は機械洗い洗剤としての使用のために配合され得る。
【0060】
代表的で非限定的な洗濯洗剤配合物は、石鹸と、イオン性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤と、場合によりビルダー系と、場合により他の洗剤原料と、の組み合わせを含んでいてもよい。その場合、石鹸の設定量が、他の成分と乾燥混合される顆粒の形態で存在し、石鹸顆粒が、所定の濃度の石鹸を有する。
【0061】
本発明による幾つかの好ましい洗剤組成物は、水の硬度の範囲内で改善された溶解特性を示す。
1.洗剤及び/又は石鹸
洗剤としては、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、及び双性イオン性の洗剤が挙げられる。石鹸は、一般式:(RCO n+(式中、Rは、アルキル基であり、Mは、金属であり、n+は、+1又は+2のどちらかである)で示される化合物を含み、共通としてアルキル基は、脂肪酸の一部であってもよく、Mは、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム及び同様のものであってもよい。
【0062】
本発明による石鹸は、配合物の約5~85wt%、好ましくは7~60wt%、より好ましくは10~35wt%を構成してもよい。石鹸は一部として、石鹸の約20~50wt%を構成する界面活性剤系を含んでいてもよい。好ましくは界面活性剤系は、石鹸の30~40wt%を構成する。本発明の好ましい態様において、石鹸の80wt%~100wt%、好ましくは85~95wt%が、顆粒の形態で存在する。
【0063】
本発明の洗濯洗剤組成物は、組成物の重量に基づき少なくとも75wt%の石鹸濃度を有する石鹸顆粒を含んでいてもよい。
本発明の幾つかの態様において、石鹸顆粒は、80~95wt%、好ましくは85~90wt%の石鹸濃度を有する。好ましくは石鹸顆粒は、90wt%を超える石鹸、10wt%未満の水分、及び1wt%未満の水酸化ナトリウムを含む。
【0064】
有用な石鹸化合物は、非限定的に、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム及び置換されたアンモニウム(例えば、モノエタノールアミン)の塩又はこれの任意の組み合わせなどのアルカリ金属石鹸を含む。
【0065】
本発明の幾つかの態様において、脂肪酸石鹸は、C10~C22、より好ましくはC12~C20の炭素鎖長を有する。適切な脂肪酸は、植物又は動物性エステル、例えばパーム油、ココナッツ油、ババスオイル、大豆油、ひまし油、菜種油、ひまわり油、綿実油、獣脂、魚油、グリースラード及びそれらの混合物などの天然供給源から得ることができる。同じく脂肪酸は、石油の酸化、又はフィッシャートロプシュ工程による一酸化炭素の水素化などの合成手段により生成され得る。トール油中のロジン及びそれらの樹脂酸などの樹脂酸が、適する。ナフタレン酸も、適する。ナトリウム及びカリウム石鹸は、脂肪及び油の直接鹸化により、又は別の製造工程で調製された遊離脂肪酸の中和により作製され得る。特に有用なのは、ココナッツ油及び獣脂に由来する脂肪酸のナトリウム及びカリウム塩、並びに混合物、即ちナトリウム獣脂石鹸、ナトリウムココナッツ石鹸、カリウム獣脂石鹸、カリウムココナッツ石鹸である。
【0066】
本発明の幾つかの態様において、脂肪酸石鹸は、ラウリン酸石鹸である。例えば苛性ソーダで中和されたUniqemaからのPrifac 5908脂肪酸。この石鹸は、一般にココナッツ又はパーム核油を基にした完全硬化又は飽和されたラウリン酸石鹸の例である。
【0067】
必ずではないが、好ましくは石鹸は、残りの原料から突出していない。それゆえ、白っぽい色で幾分か丸い、即ち2未満のアスペクト比を有することが必要となる。これにより、最終形状の洗濯粉末の流動性が確実に良くなり、石鹸顆粒を含有すれば、組成物の残りのものと調和することになる。
【0068】
1つの好ましい態様において、石鹸は、400~1400μm、好ましくは500~1200μmの粒子径を有する。
1つの好ましい態様において、石鹸顆粒は、400~650g/リットルの嵩密度を有し、完全に配合された粉末の嵩密度は、400~900g/リットルである。多量の石鹸を含有する織物洗浄粉末は、良好な洗浄力、及び合成洗剤活性化合物を基にした粉末で洗浄されたものより柔らかい生地触感を残す傾向があるため、一部の消費者に好まれる。石鹸はまた、完全に生分解性であり、再生可能な原料に由来する天然材料であるという点で、環境への利点を有する。飽和ナトリウム石鹸は、高いクラフト温度を有し、その結果、一部の消費者に適用される低温では極わずかしか溶解しない。飽和石鹸と不飽和石鹸の特定の混合物がかなり低いクラフト温度を有することは、周知である。しかし不飽和石鹸は、貯蔵の際に安定性が低く、悪臭を放つ傾向がある。それゆえ顆粒中で用いられる石鹸混合物は、溶解特性と安定特性の間で注意深く均衡を保つ必要がある。複合体顆粒に低濃度で組み込まれた石鹸に比較して、石鹸が顆粒に濃縮されると、石鹸の安定性が増強される。石鹸は、適切な抗酸化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸及び/又はエタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸と組み合わせて用いられてもよい。石鹸の分解を予防するために存在し得る防腐剤、例えばヒドロキシエチリデン(hydroxyethlidene)ジホスホン酸ナトリウムもまた、悪臭を放つ可能性、又は変色する可能性がある。
【0069】
2.界面活性剤
本発明の形態を実践するために用いられ得る界面活性剤は、以下の式1:
【0070】
【化11】
【0071】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;nは、1~12の整数であり;末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される化合物を含み、任意の対イオンが、化合物に会合していてもよく、存在するならば対イオンが、塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択されてもよい。
【0072】
陰イオン性界面活性剤は、当業者に周知である。例としては、アルキルベンゼンスルホネート、特にCs~Csのアルキル鎖を有する直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、第一級及び第二級アルキルスルホネート、特にCs~Co第一級アルキル硫酸;アルキルエーテル硫酸塩;オレフィンスルホネート;アルキルキシレンスルホネート;ジアルキルスルホスクシネート;並びに脂肪酸エステルスルホネートが挙げられる。ナトリウム塩は、概ね好ましい。本発明の好ましい態様によれば、顆粒洗濯洗剤組成物は、スルホネート陰イオン性界面活性剤である陰イオン性界面活性剤を含む。特に好ましい態様によれば、スルホン酸陰イオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)を含む。好ましい態様において、陰イオン性界面活性剤は、15~50wt%の量で存在する。好ましい態様において、陰イオン性界面活性剤と石鹸と重量比は、0.5:1~5:1、好ましくは1:1~2:1である。
【0073】
洗剤配合物中での使用に充分に適する幾つかの非イオン性界面活性剤(iii)
幾つかの態様において、非イオン性界面活性剤は、20~60wt%の量で存在する。用いられ得る非イオン性界面活性剤としては、第一級及び第二級アルコールエトキシレート、特にアルコール1モルあたり平均1~20モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC8~C20脂肪族アルコール、より特にはアルコール1モルあたり平均1~10モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC10~C15第一級及び第二級脂肪族アルコールが挙げられる。非エトキシル化非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル及びポリヒドロキシアミド(グルカミド)が挙げられる。
【0074】
適切な非イオン性界面活性剤の例としては、平均エトキシル化度5であるC12~C15ポリ(1~6)エトキシレートであるShellからのNeodol 255Eが挙げられる。同じく適切なものは、平均エトキシル化度7であるBASFからのC13~C15エトキシレートであるLutensol A7である。HLB値は、Griffin, J. Soc. Cosmetic Chemists, 5 (1954) 249 258に与えられた方法に従って計算され得る。
【0075】
3.ビルダー
ビルダーは、洗剤のクリーニング特性を上昇させるために洗剤配合物に添加されてもよい。そのような化合物は、以下の作用の少なくとも1つにより機能し得る:共通して水中にCa2+及び/又はMg2+として存在する二価陽イオンを除去又は封鎖すること;アルカリ環境を作製する、又はその作製に寄与すること;界面活性剤の性能を増強すること;並びに洗浄液への汚れの分散を安定化させること。
【0076】
共通で用いられるビルダーとしては、トリポリリン酸ナトリウム、ニトリロ酢酸塩、及びゼオライトが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の組成物は、洗剤用ビルダーを含有してもよい。好ましくはビルダーは、総組成物の重量に基づき0~15wt%の量で存在する。或いは該組成物は、洗剤用ビルダーを本質的に含まなくてもよい。
【0077】
ビルダーは、リン酸塩ビルダー、アルミノケイ酸塩ビルダー、及びそれらの混合物などの強力なビルダーから選択されてもよい。カルサイト/炭酸塩、クエン酸塩、又はポリマービルダーなどの1種又は複数の弱いビルダーが、追加又は代わりとして存在してもよい。
【0078】
リン酸塩ビルダー(存在するなら)は、例えばアルカリ金属、好ましくはナトリウム、ピロリン酸塩、オルトリン酸塩及びトリポリリン酸塩、並びにそれらの混合物から選択されてもよい。
【0079】
アルミノケイ酸塩(存在するなら)は、例えば1種又は複数の結晶性及び非晶質アルミノケイ酸塩、例えば英国特許第1473201号明細書(Henkel)に開示されたゼオライト、英国特許第1473202号明細書(Henkel)に開示された非晶質アルミノケイ酸塩、及び英国特許第1470250号明細書(Procter & Gamble)に開示された結晶/非晶質アルミノケイ酸塩混合物;並びに欧州特許第164514号明細書(Hoechst)に開示された層状ケイ酸塩から選択されてもよい。
【0080】
アルカリ金属アルミノケイ酸塩は、一般式:0.8~1.5NaO・Al・0.8~6SiOを有する結晶若しくは非晶質のどちらか、又はそれらの混合であってもよい。
【0081】
これらの材料は一般に、幾つかの結合した水を含有してもよく、少なくとも50mgのCaO/gのカルシウムイオン交換能を有する必要がある。好ましいアルミノケイ酸ナトリウムは、1.5~3.5SiO単位(上記の式中)を含有する。非晶質及び結晶材料は両者とも、文献に広く記載される通り、ケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの反応により容易に調製され得る。適切な結晶アルミノケイ酸ナトリウムのイオン交換洗剤用ビルダーは、例えば英国特許第1429143号明細書(Procter & Gamble)に記載される。このタイプの好ましいアルミノケイ酸ナトリウムは、周知の市販されるゼオライトA及びX、並びにそれらの混合物である。
【0082】
ゼオライトは、現在、洗濯洗剤粉末中で広く用いられる市販のゼオライト4Aであってもよい。しかし、本発明の好ましい態様によれば、本発明の組成物中に組み込まれるゼオライトビルダーは、欧州特許出願公開第384070号明細書(Unilever)に記載及び請求された通り最大アルミニウムゼオライトP(ゼオライトMAP)である。ゼオライトMAPは、1.33を超えない、好ましくは0.90~1.33の範囲内、より好ましくは0.90~1.20の範囲内のケイ素対アルミニウム比を有するゼオライトP型のアルカリ金属アルミノケイ酸塩として定義される。
【0083】
適切な無機塩としては、独立した塩又は複塩としての、アルカリ金属、好ましくはナトリウム、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩などのアルカリ剤が挙げられる。無機塩は、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、バーカイト及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0084】
4.表面活性原料
該組成物は、先に議論された界面活性剤及びビルダーだけでなく、性能及び特性を増強する他の有効成分を場合により含有していてもよい。
【0085】
追加的な洗剤活性化合物(界面活性剤)は、石鹸及び非石鹸の陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性及び双性イオン性洗剤活性化合物及びそれらの混合物から選択されてもよい。多くの適切な洗剤活性化合物は、入手可能であり、文献に、例えばSchwartz、Perry及びBerch によるSurface-Active Agents and Detergents”, Volumes I and IIに完全に記載される。
【0086】
用いられ得る陽イオン性界面活性剤としては、一般式RRRRNX(式中、R基は、長鎖又は短鎖ヒドロカルビル鎖、典型的にはアルキル、ヒドロキシアルキル又はエトキシル化アルキル基であり、Xは、可溶化陰イオン(例えば、RがC8~C22アルキル基、好ましくはC8~C10又はC12~C14アルキル基であり、Rがメチル基であり、R及びRが同一又は異なっていてもよく、メチル又はヒドロキシエチル基である、化合物)及び陽イオン性エステル(例えば、コリンエステル)である)で示される第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0087】
両性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤もまた、存在してよい。本発明を実践するために用いられ得る幾つかの両性界面活性剤としては、アミンオキシドが挙げられる。
【0088】
本発明を実践するために用いられ得る幾つかの双性イオン性界面活性剤としては、アミドベタインなどのベタインが挙げられる。
5.漂白剤
本発明による洗剤組成物は、適切には漂白剤系を含有してもよい。漂白剤系は、好ましくはペルオキシ漂白化合物、例えば水溶液中で過酸化水素を生じることが可能な無機過酸基塩又は有機ペルオキシ酸に基づく。適切なペルオキシ漂白化合物としては、過酸化尿素などの有機ペルオキシド、及びアルカリ金属過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩及び過硫酸塩などの無機過酸基塩が挙げられる。好ましい無機過酸基塩は、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに過炭酸ナトリウムである。特に好ましいのは、水分による不安定化に対抗する保護コーティングを有する過炭酸ナトリウムである。メタホウ酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムを含む保護コーティングを有する過炭酸ナトリウムが、英国特許第2123044号明細書(Kao)に開示される。
【0089】
ペルオキシ漂白化合物は、適切には5~35wt%、好ましくは10~25wt%の量で存在する。
ペルオキシ漂白化合物は、低水温での漂白作用を改善する漂白剤活性化剤(漂白剤前駆体)と合わせて用いられてもよい。漂白剤前駆体は、適切には1~8wt%、好ましくは2~5wt%の量で存在する。
【0090】
好ましい漂白剤前駆体は、ペルオキシカルボン酸前駆体、より特別には過酢酸前駆体及びペルオキシ安息香酸前駆体;並びにペルオキシ炭酸前駆体である。本発明での使用に適した特に好ましい漂白剤前駆体 は、N,N,N’,N’-テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)である。同じく該当するは、ペルオキシ安息香酸前駆体、詳細にはN,N,N-トリメチルアンモニウムトルオイルオキシゼンベンスルホネートである。
【0091】
漂白剤安定化剤(重金属封鎖剤)もまた、存在してよい。適切な漂白剤安定化剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)及びDequest(商標)、EDTMPなどのポリホスホン酸塩が挙げられる。
【0092】
6.酵素
洗剤組成物はまた、1種又は複数の酵素を含有してよい。適切な酵素としては、例えば、洗剤組成物中への組み込みに利用可能な、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、マンナナーゼ、ペルオキシダーゼ及びリパーゼが挙げられる。微粒子洗剤組成物において、洗剤酵素は共通して、約0.1~約3.0wt%の量の顆粒形態で用いられる。しかし酵素の任意の適切な物理的形態が、任意の有効量で用いられてもよい。
【0093】
7.ポリマー
幾つかの洗剤は、陽イオン性ポリマーを含んでいてもよい。以下に記載されるものなどの陽イオン性ポリマーは、約0.01wt%~約15wt%の範囲内の量で洗濯洗剤組成物中で用いられる場合に、そのような洗濯洗剤組成物の泡立ちプロファイルを、類似の配合であるがそのような陽イオン性ポリマーを有さない組成物に比較して改善するのに効果的である。
【0094】
洗濯洗剤などの洗剤中で有用性のある陽イオン性ポリマーとしては、以下のものが挙げられる。本発明で用いられる陽イオン性ポリマーは、3つの異なるタイプの構造単位を含有するターポリマーである。それは、任意の他の構造成分が実質的に不含であり、好ましくは本質的に不含である。構造単位又はモノマーは、ランダム形式で、又はブロック形式で陽イオン性ポリマー中に組み込まれ得る。
【0095】
本発明の陽イオン性ポリマー中の第一の構造単位は、(メタ)アクリルアミド(AAm)に由来する非イオン性構造単位である。陽イオン性ポリマーは、約35mol%~約85mol%、好ましくは約55mol%~約85mol%、より好ましくは約65mol%~約80mol%のAAm由来の構造単位を含有する。
【0096】
陽イオン性ポリマー中の第二の構造単位は、例えばN,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、ビニルアミン、ビニルイミダゾール、第四級ビニルイミダゾール、及びジアリルジアルキルアンモニウム塩などの任意の適切な水溶性陽イオン性エチレン性不飽和モノマーに由来する陽イオン性構造単位である。
【0097】
例えば第二の陽イオン性構造単位は、ジアリルジメチルアンモニウム塩(DADMAS)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAM)、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウム塩、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩(APTAS)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩(MAPTAS)、及び第四級ビニルイミダゾール(PVi)、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーに由来してもよい。
【0098】
幾つかの態様において、第二の陽イオン性構造単位は、例えばジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムフルオリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムヨージド、ジアリルジメチルアンモニウムビスルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムアルキルスルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロゲンアルキルホスフェート、ジアリルジメチルアンモニウムジアルキルホスフェート、及びそれらの組み合わせなどのジアリルジメチルアンモニウム塩(DADMAS)に由来する。或いは第二の陽イオン構造単位は、例えば[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムフルオリド、[2(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムブロミド、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムヨージド、[2-メタクリロイルアミノ]エチル]トリメチルアンモニウムビスルフェート、[ -(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムアルキルスルフェート、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムヒドロゲンアルキルホスフェート、[2(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムジアルキルホスフェート、及びそれらの組み合わせなどの[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウム塩に由来し得る。さらに、第二の陽イオン性構造単位は、例えば、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムフルオリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムビスルフェート、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムアルキルスルフェーエト、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロゲンアルキルホスフェート、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムジアルキルホスフェート、及びそれらの組み合わせなどのAPTASに由来し得る。さらに、第二の陽イオン構造単位は、例えばメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムフルオリド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヨージン、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムビスルフェート、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムアルキルスルフェート、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロゲンアルキルホスフェート、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムジアルキルホスフェート、及びそれらの組み合わせなどのMAPTASに由来し得る。
【0099】
第二の陽イオン構造単位は、約10mol%~約65mol%、好ましくは約15mol%~約60mol%、より好ましくは約15mol%~約30mol%の範囲内の量で陽イオン性ポリマー中に存在する。
【0100】
相対的に多量(例えば、約65mol%~約80mol%)の第一の非イオン性構造単位、及び中等度の量(例えば、約15mol%~約30mol%)の第二の陽イオン構造単位の存在は、良好な泡立ち利点と、良好な最終産物の外観を確保する。第一の非イオン性構造単位が、65mol%未満で存在し、第二の陽イオン構造単位が、30mol%より多く存在すると、泡立ち利点又は最終産物の外観が、悪化し始め、例えばリンスの泡の体積が、有意に増加し得るか、又は最終産物が、もはや透明でなくなり濁って見える。同様に、第一の非イオン性構造単位が、85mol%より多く存在し、第二の陽イオン性構造単位が、10mol%未満で存在すれば、リンスの泡の体積が、本発明の目的にとってもはや許容できないレベルまで増加する。
【0101】
陽イオン性ポリマー中の第三の構造単位は、(メタ)アクリル酸(AA)又はその無水物に由来する陰イオン性構造単位である。陽イオン性ポリマーは、約0.1mol%~約35mol%、好ましくは0.2mol%~約20mol%、より好ましくは約0.5mol%~約10mol%、最も好ましくは約1mol%~約5mol%の第三の陰イオン構造単位を含有してもよい。
【0102】
相対的に少量(例えば、1mol%~5mol%)の第三の陰イオン性構造単位の存在は、得られたポリマーの親水性の上昇を支援し、それがまたより良好なクリーニング、特により良好な粘土除去につながり得る。過度に多くの第三の陰イオン性構造単位(例えば、30mol%より多い)は、得られたポリマーの泡立ち利点を損ない得る。
【0103】
II.ドライクリーニング
本発明の幾つかの態様によれば、ドライクリーニング工程のための配合物が、微粒子の汚れが染み付いた洗濯物を、溶液対布比(liquor to cloth ratio)(w/w)(LCR)が多くとも20であるドライクリーニング組成物と接触させるドライクリーニングステップを含み、前記組成物が、
a)不燃性非塩素含有有機ドライクリーニング溶媒と;b)クリーニング有効量の酸性界面活性剤と、を含む、
家庭内ドライクリーニングのために提供される。
【0104】
幾つかの態様において、ドライクリーニングステップは、低水性ドライクリーニングステップであり、前記組成物は、0.01~10wt%の水を含む低水性ドライクリーニング組成物である。
【0105】
本発明のさらに別の形態によれば、1つのドライクリーニング工程は、洗濯物が非水性ドライクリーニング組成物と接触した非水性ドライクリーニングステップをさらに含み、前記非水性ドライクリーニング組成物は、0.001~10wt%の界面活性剤と;0~0.01wt%の水と;0~50wt%の共溶媒及び不燃性非塩素含有有機ドライクリーニング溶媒と、を含む。本発明の別の形態によれば、a)前記物品が、0.001~10wt%の界面活性剤と;0~0.01wt%の水と;0~50wt%の共溶媒及び不燃性非塩素含有有機ドライクリーニング溶媒と、を含む非水性ドライクリーニング組成物と接触される、非水性ドライクリーニングステップと;b)前記物品が、0.001~10wt%のクリーニング有効量の酸性界面活性剤と;0.01~50wt%の水と;0~50wt%の共溶媒と;不燃性非塩素含有有機ドライクリーニング溶媒と、を含む低水性ドライクリーニング組成物と接触される、少なくとも1つの低水性ドライクリーニングステップと、場合により、前記物品が、0~0.0001wt%の界面活性剤と;0~10wt%の水と;0~50wt%の共溶媒及び不燃性非塩素含有有機ドライクリーニング溶媒と、を含むすすぎ組成物と接触される、少なくとも1つのすすぎステップと、を含む、連続ドライクリーニング工程が提供される。
【0106】
所望のクリーニングに応じて、低水性及び非水性組成物が、任意の順序で用いられてもよい。しかし幾つかの例では、該物品を低水性ドライクリーニング組成物の前に非水性組成物と接触させることが、好ましいであろう。事実、低水性ドライクリーニングステップが、再生、衣類ケア処理及び/又はすすぎステップなどの様々な他のステップ、そして実際に当業者に知られる任意の他のステップに先行しても、又は後続してもよい。
【0107】
本発明の幾つかの形態は、食用油、微粒子汚れ、及びそれらの混合物を含む群から選択される家庭内の染色材料が染み付いた洗濯物をクリーニングするのに特に適し得る。それゆえ、一態様によれば、該ドライクリーニング工程は、好ましくは、食用油、微粒子汚れ、及びそれらの混合物から選択される家庭内の染色材料が染み付いた洗濯物を、ドライクリーニング組成物と接触させるステップを含む。典型的には微粒子汚れの染色は、垢、泥、砂、炭、化粧品、防臭剤、歯磨き粉だけでなく腐食鉄粒子及びそれらの混合物などの衣類に染み付く可能性がある任意の微粒子物質を含む。食用油は通常、ラード、ひまわり油、大豆油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油及びそれらの混合物などの動物又は植物起源の可食の油脂を含む。
【0108】
一般に、衣服などの物品は、本発明の一形態によるドライクリーニング組成物のクリーニング有効量を、物品をクリーニングするのに、又はその他の方法で染色を除去するのに効果的な期間、物品と接触させることによりクリーニングされる。好ましくは洗濯物は、ドライクリーニング組成物中に浸漬される。用いられるドライクリーニング組成物の量及び組成物が物品と接触する時間の量は、器具及びクリーニングされる物品の数に基づいて変動し得る。正常にはドライクリーニング工程は、物品を本発明の第一の形態によるドライクリーニング組成物と接触させる少なくとも1つのステップと、物品を新たに充填されたドライクリーニング溶媒ですすぐ少なくとも1つのステップと、を含むであろう。すすぎ組成物は通常、主に溶媒で構成されるであろうが、所望なら、クリーニング剤が添加されてもよい。
【0109】
本発明の幾つかの形態において、ドライクリーニング組成物の現場(in situ)配合物が、前処理組成物中に含まれてもよい。洗濯物を前処理組成物で前処理した後、前処理された洗濯物をドライクリーニング組成物の残りの原料と接触させ、それによりドライクリーニング組成物を現場で配合させる。前処理ステップは、手動でクリーニング機のドラムの外側で、又は前処理ステップの一部として機械的にドラムの内側で行われてもよい。洗濯物が最終的なドライクリーニング組成物を構成する原料全てと接触される場合に、洗濯物が前記ドライクリーニング組成物に浸漬されるのであれば、前処理ステップ自体は、浸漬の必要はなく、即ち、それは、染色エリアのみを処理することに限定されてもよい。例えばドライクリーニング組成物が、ドライクリーニング溶媒、水及び界面活性剤を含む場合、洗濯物の染色エリアが、水と界面活性剤のプレミックスで手動又は自動化工程により前処理されてもよい。効果的前処理時間が、経過した後、洗濯物が、ドラム内で残りの原料と接触されてもよい。残りのドライクリーニング原料は、本発明のこの形態による少なくとも1種のドライクリーニング組成物を現場で作製するために、ドライクリーニング溶媒(そして場合により追加の水及び/又はクリーニング剤)を含んでいてもよい。典型的には前処理時間は、少なくとも5秒であろうが、1日未満、好ましくは1時間未満、より好ましくは30分未満であり得る。前処理組成物は、特有の染色を処理するために配合されてもよい。例えばクリーニング有効量のプロテアーゼ及び他の酵素が、タンパク質性染色を処理するために含まれていてもよい。別の態様において、完全なドライクリーニング組成物が、別のプレミックス区画でプレミックスされる。例えばドライクリーニング組成物が、ドライクリーニング溶媒、界面活性剤及び水を含む場合、これらは、ドライクリーニング組成物が洗濯物と接触される前に、別の区画でプレミックスされてもよい。幾つかの態様において、そのようなプレミックスは、エマルジョン又はマイクロエマルジョンの形態である。例えば油中水エマルジョンの、プレミックスを形成させることは、任意の数の適切な手順によりもたらされ得る。例えば、クリーニング有効量の界面活性剤を含有する水相が、混合デバイスにこれらの成分を入れる直前に定量注入することにより、溶媒相と接触され得る。好ましくは、定量が維持されることで、所望の溶媒/水比が、相対的に一定を維持する。この実践に適した混合デバイスとしては、例えばポンプアッセンブリ又はインライン静止型混合器、遠心分離ポンプ又は他のタイプのポンプ、コロイドミル又は他のタイプのミル、ロータリーミキサー、超音波ミキサー、及び一方の液体を他方に分散させる別の手段が挙げられる。幾つかの態様において、非混和性液体が、エマルジョン又はシュードエマルジョンを形成させるのに充分な撹拌を提供するのに用いられ得る。
【0110】
これらの静止型混合器としては、エマルジョンが高速で通過して、前記エマルジョンがミキサーの内部を構成する溝の方向及び/又は径の急激な変動を受けるデバイスが挙げられる。これにより、液滴サイズ及び安定性に関して正しいエマルジョンを得る際の因子である圧力損失がもたらされる。
【0111】
本発明の方法の一変形例において、混合ステップは、例えば連続である。その手順は、第一段階で溶媒及び乳化剤を混合すること、及び第二段階でそのプレミックスを水と混合及び乳化することからなる。本発明の方法の別の変形例において、上記のステップを連続様式で実行するための準備が、なされる。
【0112】
プレミックスは、用いられる流体及び原材料の温度でもある室温で行われてもよい。
オーバーヘッドミキサーなどのバッチ工程、又は二液共押出ノズル、インラインインジェクター、インラインミキサー若しくはインラインスクリーンなどの連続工程が、エマルジョンを作製するために用いられ得る。最終組成物中のエマルジョン組成物のサイズは、水溶液の混合速度、混合時間、混合デバイス及び粘度を変化させることにより調整され得る。一般に、混合速度を低減すること、混合時間を減少させること、水溶液の粘度を低下させること、又は混合の間により低いせん断力を生じる混合デバイスを用いることによって、より大きな液滴サイズのエマルジョンを生じることができる。特に好ましいのは、超音波ミキサーである。先の記載は、界面活性剤の添加に言及しているが、それがクリーニング剤の添加にも適用され得ることが、理解される。
【0113】
1.溶媒
一般にドライクリーニング溶媒は通常、不燃性非塩素含有有機ドライクリーニング溶媒である。ドライクリーニング溶媒という用語は、単数で用いられているが、溶媒の混合物も用いられ得ることが、留意されなければならない。したがって単数は、複数を包含し、その逆もあると解釈されなければならない。塩素含有溶媒に関連する典型的な環境問題のせいで、溶媒は、好ましくはCl原子を含有しない。加えて溶媒が、20℃以下のような低い典型的引火点を有するほとんどの石油又はミネラルスピリットのように可燃性であってはならない。不燃性という用語は、少なくとも37.8℃、より好ましくは少なくとも45℃、最も好ましくは少なくとも50℃の引火点を有するドライクリーニング溶媒を記載するものとする。不燃性液体での少なくとも37.8℃という引火点の限界は、米国マサチューセッツ州の全米防火協会1996年版により議論されたNFPA30のflammable and combustible Liquids Codeに定義されている。溶媒の引火点を決定するための好ましいテスト方法は、NFPA30に記載された通りの標準的テストである。溶媒の一分類は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)及びハイドロフルオロエーテル(HFE)をはじめとするフッ素化有機ドライクリーニング溶媒である。しかしより好ましいのは、シロキサンなどの不燃性非ハロゲン化溶媒である(以下参照)。異なるドライクリーニング溶媒の混合物もまた用いられ得ることが、留意されなければならない。
【0114】
幾つかの溶媒は、非オゾン層破壊性であり、オゾン層破壊係数についての有用な共通定義は、米国の環境保護庁により定義され:オゾン層破壊係数は、化学物質のオゾンへの影響を同様の質量のCFC-11の影響と比較した比である。したがってCFC-11のODPは、1.0と定義される。
【0115】
ハイドロフルオロカーボンは、溶媒として用いられてもよく、1つの適切なハイドロフルオロカーボン溶媒は、式C,H,F(2x+2-y)(式中、xは、3~8であり、yは、1~6である)により表され、ハイドロフルオロカーボン溶媒中のF/Hのモル比は、1.6より大きい。好ましくはxは、4~6であり、最も好ましくはxは、5であり、yは2である。特に適切なものは、デカフルオロペンタンの異性体及びその混合物から選択されるハイドロフルオロカーボン溶媒である。特に有用なのは、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタンである。E.I.Du Pont De Nemours and Companyは、この化合物をVertrel XF(商標)という名称で販売している。
【0116】
本発明における使用に適したハイドロフルオロエーテル(HFE)は、炭素、フッ素、水素、及びカテナリー(即ち連鎖状の)酸素原子を最小限に含有する概ね低極性の化合物である。HFEは、窒素及び硫黄などの追加的カテナリーヘテロ原子を場合により含有し得る。HFEは、直鎖状、分枝状若しくは環状、又はそれらの組み合わせ(アルキル環状脂肪族など)であり得る分子構造を有し、好ましくはエチレン不飽和が不含で、合計で約4~約20個の炭素原子を有する。そのようなHFEは、公知であり、本質的に純粋な化合物又は混合物のどちらかとして即座に利用可能である。好ましいハイドロフルオロエーテルは、約40℃~約275℃、好ましくは約50℃~約200℃、より好ましくは約50℃~約121℃の範囲内の沸点を有し得る。ハイドロフルオロエーテルが引火点を有さないことが、非常に望ましい。一般に、HFEが、引火点を有する場合、F/H比を低下させること、又は炭素-炭素結合の数を減少させることがそれぞれ、HFEの引火点を低下させる(国際公開第0026206号パンフレット参照)。
【0117】
有用なハイドロフルオロエーテルとしては、2種の変種:分離型ハイドロフルオロエーテル及びオメガ-ハイドロフルオロアルキルエーテルが挙げられる。構造的に、分離型ハイドロフルオロエーテルは、少なくとも1つのモノ-、ジ-、又はトリアルコキシ置換されたペルフルオロアルカン、ペルフルオロシクロアルカン、ペルフルオロシクロアルキル含有ペルフルオロアルカン、又はペルフルオロシクロアルキレン含有ペルフルオロアルカン化合物を含む。
【0118】
幾つかのシロキサン溶媒もまた、本発明において有利に用いられ得る。シロキサンは、直鎖状、分枝状、環状、又はそれらの組み合わせであってもよい。1つの好ましい分枝状シロキサンは、トリス(トリメチルシロキシル)シランである。同じく好ましいのは、直鎖状及び環状オリゴジメチルシロキサンである。シロキサン溶媒の1つの好ましい分類は、式:
R3-Si(-O-SiR2)w-R
(式中、各Rは独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、wは、1から30の整数である)により表されるアルキルシロキサンである。好ましくはRは、メチルであり、wは、1~4であるか、又はより好ましくはwは、3若しくは4である。
【0119】
環状シロキサンのうち、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンが、特に効果的である。非常に有用なシロキサンは、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンンタシロキサン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0120】
ドライクリーニングに適した有機溶媒としては、ノナフルオロメトキシブタン、ノナフルオロエトキシブタン、及びデカフルオロペンタン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物の異性体からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒が挙げられる。幾つかの好ましい有機ドライクリーニング溶媒としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0121】
本発明のドライクリーニング組成物は一般に、総ドライクリーニング組成物の重量の約50重量%より多くの有機ドライクリーニング溶媒、好ましくは約75重量%より多くの、より好ましくは約80重量%より多くの、より好ましくは約85重量%より多くの、より好ましくは約95重量%より多くの、しかし好ましくは100重量%未満の有機ドライクリーニング溶媒を含む。そのような量は、乾燥時間の改善及び高い引火点又は引火点を全く有さないことの維持を支援し得る。すすぎステップ又はコンディショニングステップのために、ドライクリーニング組成物は、総ドライクリーニング組成物の重量の少なくとも99重量%の有機ドライクリーニング溶媒、そして時には100重量%の有機ドライクリーニング溶媒を含んでいてもよい。
【0122】
幾つかの例では、水が、ドライクリーニング工程で用いられてもよく、水の量は、重要である。それらの例では、ドライクリーニング工程の任意のステップに存在する水の量は、洗濯物が安全にクリーニングされ得るようなレベルである。これは、ドライクリーニングのみが可能な洗濯物を含む。低水性ドライクリーニング組成物中に存在する水の量は、好ましくはドライクリーニング組成物の重量の0.01~50wt%の水、より好ましくは0.01~10wt%、より好ましくは0.01~0.9wt%の水、又はより好ましくは0.05~0.8wt%、又は最も好ましくは0.1~0.7wt%である。非水性ドライクリーニング組成物中に存在する水の量は、好ましくはドライクリーニング組成物の重量の0~0.1wt%の水、又はより好ましくは0~0.01wt%、又はより好ましくは0~0.001wt%、最も好ましくは0wt%である。
【0123】
ドライクリーニング組成物が、水を含む場合、好ましくは水対布比(water to cloth ratio)(w/w)(WCR)は、0.45未満、より好ましくは0.35未満、より好ましくは0.25未満、より好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.15未満であるが、通常は0.0001より大きく、好ましくは0.001より大きく、より好ましくは0.01より大きい。
【0124】
ドライクリーニング工程が、1つより多くのステップを含む場合、特にドライクリーニング組成物が水及び溶媒を含む場合には、このWCRは、好ましくはドライクリーニング工程の全てのステップに適用される。しかしWCRは、各ステップで異なっていても、又は異なっていなくてもよい。LCRが1を超えるドライクリーニング工程の各ステップにこのWCRが適用されることも、好ましい。
【0125】
2.共溶媒
本発明の組成物は、1種又は複数の共溶媒を含有していてもよい。本発明のドライクリーニング組成物中の共溶媒の目的は多くの場合、種々の汚れへのドライクリーニング組成物の溶解力を上昇させることである。共溶媒はまた、共溶媒、ドライクリーニング溶媒及び汚れ;又は共溶媒、ドライクリーニング溶媒及び任意のクリーニング剤、を含有する均質溶液の形成を可能にする。本明細書で用いられる「均質組成物」は、単一相の組成物、又は単一相のみを有するように見える組成物、例えばマクロエマルジョン、マイクロエマルジョン、又は共沸混合物である。しかし、共沸混合物はロバスト性が低くなり得るため、共溶媒が用いられるなら、ドライクリーニング組成物は、好ましくは非共沸混合物である。
【0126】
本発明の有用な共溶媒は、ドライクリーニング溶媒又は水に可溶性であり、典型的なクリーニング剤と相溶性があり、植物油、鉱物油又は動物油などの衣服の染色に典型的に見出される親水性複合染色及び油の可溶性を増強し得る。上記の基準に適う任意の共溶媒又は共溶媒混合物が、用いられ得る。
【0127】
有用な共溶媒としては、例えばアルコール、エーテル、グリコールエーテル、アルカン、アルケン、直鎖状及び環状アミド、ペルフルオロ化第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、芳香族物質、それらの完全又は部分ハロゲン化誘導体及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは共溶媒は、アルコール、アルカン、アルケン、シクロアルカン、エーテル、エステル、環状アミド、芳香族物質、ケトン、それらの完全又は部分ハロゲン化誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明のドライクリーニング組成物中で用いられ得る共溶媒の代表的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブチルアルコール、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、メチルt-ブチルエーテル、メチルt-アミルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トランス-1,2-ジクロロエチレン、デカリン、メチルデカノエート、t-ブチルアセテート、エチルアセテート、グリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ジエチルフタレート、2-ブタノン、N-アルキルピロリドン(N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンなど)、メチルイソブチルケトン、ナフタレン、トルエン、トリフルオロトルエン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロ-2-ブチルオキサシクロペンタンが挙げられる。
【0128】
好ましくは共溶媒は、HFEなどの他のドライクリーニング溶媒(複数可)を有する均質組成物を形成するために、重量による有効量で本発明の組成物中に存在する。共溶媒の有効量は、どの共溶媒又は共溶媒ブレンドが用いられるか、及び組成物中で用いられる他のドライクリーニング溶媒(複数可)に応じて変動するであろう。しかし、ドライクリーニング組成物中に存在する任意の個々の共溶媒の好ましい最大量は、先に定義された通りドライクリーニング組成物を不燃性に保持するのに充分低くなければならない。
【0129】
一般に共溶媒は、約1~50重量%、好ましくは約5~約40重量%、より好ましくは約10~約25重量%の量で本発明の組成物中に存在してもよい。幾つかの例において、共溶媒は、総ドライクリーニング組成物の約0.01重量%の量で存在してもよい。
【0130】
3.界面活性剤
本発明の形態は、式1:
【0131】
【化12】
【0132】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;nは、1~12の整数であり;末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される化合物の少なくとも1つを用いて実践されてもよく、任意の対イオンが、化合物に会合していてもよく、存在するならば対イオンは、塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択されてもよい。
【0133】
本発明のドライクリーニング組成物は、フッ素化及び非フッ素化の両方の当該技術分野で公知の多くの型の環状、直鎖状、又は分枝状界面活性剤を利用し得る。好ましい溶媒相溶性界面活性剤としては、以下に記載される通り、少なくとも4個の炭素原子を有するが、好ましくは200個未満の炭素原子、又はより好ましくは90個未満の炭素原子を有する非イオン性、陰イオン性、陽イオン性及び双性イオン性界面活性剤が挙げられる。溶媒相溶性界面活性剤は通常、ドライクリーニング溶媒/組成物中の界面活性剤の溶解度を上昇させる溶媒親和性部分を有する。効果的な界面活性剤は、1種又は複数の極性親水性基と、1種又は複数のドライクリーニング溶媒親和性部分と、を含み、少なくとも4個の炭素原子を有し得るため、該界面活性剤は、前記ドライクリーニング溶媒/組成物に可溶性である。界面活性剤がドライクリーニング組成物に、即ち20℃で少なくともドライクリーニング組成物中で用いられる界面活性剤の量まで、可溶性であることが、好ましい。組成物は、所望のクリーニング及び衣類ケアに応じて1種の界面活性剤又は界面活性剤混合物を含んでいてもよい。1つの好ましい界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤である。別の好ましい界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤である。
【0134】
極性親水性基Zは、非イオン性、イオン性(即ち、陰イオン性、陽イオン性、又は両性)、又はそれらの組み合わせであり得る。典型的な非イオン性部分としては、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン部分が挙げられる。典型的な陰イオン性部分としては、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、又はホスフェート部分が挙げられる。典型的な陽イオン性部分としては、第四級アンモニウム、プロトン化アンモニウム、イミダゾリン、アミン、ジアミン、スルホニウム、及びホスホニウム部分が挙げられる。典型的な両性部分としては、ベタイン、スルホベタインア、アミノカルボキシル、アミンオキシド、及び陰イオン性部分と陽イオン性部分の様々な他の組み合わせが挙げられる。特に適切な界面活性剤は、陰イオン部分である少なくとも1つの極性親水性基Zを含み、対イオンが以下に記載された通りであり得る。
【0135】
極性親水性基Zは、好ましくは-SOM、-SOM、-POM、-POM、-COM及びそれらの混合物(ここで各Mは、独立してH、NR、Na、K及びLiをはじめとする基から選択され得、各Rは、独立してH及びCアルキルラジカルから選択されるが、好ましくはHである)を含む群から選択される。好ましくはMは、Hであるが、幾つかの例では塩が、用いられてもよい。
【0136】
界面活性剤は、フッ素化されていてもよく、又はより好ましくはフッ素化された酸であってもよい。適切なフルオロ界面活性剤は、ほとんどの例で、式(1):
(Xf)n(Y)m(Z)p
に従うものであり、1、2又はより多くのフッ素化ラジカル(Xf)及び1つ又は複数の極性親水性基(Z)を含有し、ここでラジカル及び極性親水性基は通常(しかし必ずではない)互いに1つ又は複数の適切な結合基(Y)により連結されている。好ましくはn及びpは、独立して1~4から選択される整数であり、mは、0~4から選択される。界面活性剤が、1より多くのXf、Y又はZを含む場合、Xf、Y及びZのそれぞれは、同一又は異なっていてもよい。極性親水性基は、共有結合によりYに、又はYの非存在下でXfに連結されていてもよい。
【0137】
フッ素化ラジカルXfは一般に、好ましくは少なくとも3個の炭素原子を有する、直鎖状又は環状で飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族ラジカルであり得る。炭素鎖は、直鎖状又は分枝状であってもよく、酸素又は硫黄などのヘテロ原子を含んでいてもよいが、好ましくは窒素を含まなくてよい。Xfは、脂肪族で飽和されている。完全にフッ素化されたXfラジカルが好ましいが、水素又は塩素が、置換基として存在してもよく、但し、最大1個のどちらかの原子が炭素原子2個ごとに存在し、好ましくはラジカルが少なくとも末端ペルフルオロメチル基を含有することを条件とする。炭素原子を約20個以下だけ含有するラジカルが好ましく、それはより大きなラジカルは通常、効率性の低いフッ素有効利用を意味するためである。特に適切なXf基は、ペルフルオロ化炭素:CFに基づくことができ、nは、1~40、好ましくは2~26、最も好ましくは2~18であるか、又はヘキサフルオロプロピレンオキシドのオリゴマー:ICF(CF)-CF.O(ここでnは、1~30である)に基づくことができる。後者の適切な例は、KrytoxI(商標)157、特にKrytoxI(商標)157 FSLの名称でE.l DuPont de Nemours and Co.により販売されている。
【0138】
結合基Yは、アルキル、アルキレン、アルキレンオキシド、アリーレン、カルボニル、エステル、アミド、エーテル酸素、第二級又は第三級アミン、スルホンアミドアルキレン、カルボキサミドアルキレン、アルキレンスルホンアミドアルキレン、アルキレンオキシアルキレン若しくはアルキレンチオアルキレン、又はそれらの混合物などの基から選択される。1つの好ましい態様において、Yは、(CH)又は(CH)Oであり、ここでtは、1~10、好ましくは1~6、最も好ましくは2~4である。或いはYは、存在しなくてもよく、その場合Xf及びZは、共有結合により直接連結されている。
【0139】
界面活性剤の別の適切な分類は、式(2):
(Xh)n(Y)m(Z)p
(式中、Xhは、非フッ素化ラジカルであり、(Y)、(Z)、n、m及びPは、式1に記載された通りである)に従う非フッ素化界面活性剤である。Xhは、好ましくは少なくとも4個の炭素原子を有する、直鎖状、分枝状、又は環状で飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族ラジカルであってもよい。Xhは、好ましくは炭化水素ラジカルを包含する。Xhが、炭化水素である場合、炭素鎖は、直鎖状、分枝状又は環状であってもよく、酸素、窒素又は硫黄などのヘテロ原子を含んでいてもよいが、幾つかの例では窒素は、好ましくない。幾つかの態様において、Xhは、脂肪族で飽和されている。炭素原子を約24個以下だけ含有するラジカルが、好ましい。
【0140】
1つの好ましい界面活性剤は、酸性界面活性剤である。幾つかの界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤を包含する。陰イオン性界面活性剤は、当該技術分野で概ね知られており、例えばアルキルアリールスルホネート(例えば、アルキルベンゼンスルホネートなど)、アルキルアリールスルホン酸(例えば、トルエン-、キシレン-及びイソプロピルベンゼンスルホン酸のナトリウム及びアンモニウム塩など)、スルホン化アミン及びスルホン化アミド (例えば、アミドスルホネートなど)、カルボキシル化アルコール及びカルボキシル化アルキルフェノールエトキシレート、ジフェニルスルホネート、脂肪エステル、イセチオネート、リグニン系界面活性剤、オレフィンスルホネート(例えば、RCHCHSONa(ここでRは、C10~C16である)など)、リン系界面活性剤、タンパク質系界面活性剤、サルコシン系界面活性剤(例えば、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウムなどのN-アシルサルコシネートなど)、油及び/又は脂肪酸のスルフェート及びスルホネート、エトキシル化アルキルフェノールのスルフェート及びスルホネート、アルコールのスルフェート、エトキシル化アルコールのスルフェート、脂肪エステルスルフェート、芳香族又はフッ素含有化合物のスルフェート、スルホスクシナメート、スルホスクシネート(例えば、ジアミル-、ジオクチル-、及びジイソブチルスルホスクシネートなど)、タウレート及びスルホン酸が挙げられる。適切な非フッ素化陰イオン性界面活性剤の例としては、Crodafos(商標)810A(ex Croda)が挙げられる。
【0141】
酸性界面活性剤に加え、他の分類の界面活性剤が、用いられてもよい。適切な界面活性剤としては、非イオン性及び陽イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の非イオン性界面活性剤としての使用に適した化合物は、水性媒体に溶解された場合に孤立電荷を担わないそれらのものである。非イオン性界面活性剤は、当該技術分野で概ね知られており、例えばアルカノールアミド(例えば、ココナッツ、ラウリン酸、オレイン酸及びステアリン酸モノエタノールアミド、ジエタノールアミド及びモノイソプパノールアミドなど)、アミンオキシド(例えば、ポリオキシエチレンエタノールアミド及びポリオキシエチレンプロパノールアミドなど)、ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー(例えば、ポリ(オキシエチレン-co-オキシプロピレン)など)、エトキシル化アルコール(例えば、イソステアリルポリオキシエチレンアルコール、ラウリル、セチル、ステアリル、オレイル、トリデシル、トリメチルノニル、イソデシル、トリデシルなど)、エトキシル化アルキルフェノール(例えば、ノニルフェニルエトキシル化アミン及びエトキシル化アミドなど、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪エステル及びエトキシル化脂肪油(例えば、ラウリン酸、イソステアリン酸、ペラルゴン酸、オレイン酸、ココナッツ、ステアリン酸、及びリシノール酸のモノ-及びジエステル、並びにひまし油及びトール油などの油など)、脂肪エステル、フルオロカーボン含有材料、グリセロールエステル(例えば、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールジラウレート、グリセロールモノリシノレート、及びグリセロールオレエートなど)、グリコールエステル(例えば、プロピレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールモノオレエート、及びジエチレングリコールステアレートなど)、ラノリン系界面活性剤、モノグリセリド、リン酸エステル、多糖エーテル、プロポキシル化脂肪酸、プロポキシル化アルコール、及びプロポキシル化アルキルフェノール、タンパク質系有機界面活性剤、ソルビタン系界面活性剤(例えば、ソルビタンオレエート、ソルビタンモノラウレート、及びソルビタンパルミテートなど)、スクロースエステル及びグルコースエステル、並びにチオ及びメルカプト系界面活性剤が挙げられる。
【0142】
幾つかの他の適切な非イオン性界面活性剤としては、ノニルフェノール及びミリスチルアルコールのポリエチレンオキシド縮合体が挙げられる。Kasprzakの米国特許第4,685,930号明細書など、そしてb)脂肪アルコールエトキシレートR-(OCHCH)OH(ここでa-1~100、典型的には1~30であり、R=炭素原子8~20個の炭化水素残基、典型的には直鎖状アルキル)。例として、4~10個のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンラウリルエーテル;2、6又は10個のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンセチルエーテル;2、5、15、20、25、又は100個のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンステアリルエーテル;2又は10個のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレン(2),(10)オレイルエーテル。市販の例としては、BRIJ(登録商標)及びNEODOLが挙げられるが、これらに限定されない。Hillらの米国特許第6,013,683号明細書も参照されたい。他の適切な非イオン性界面活性剤としては、Tween(商標)が挙げられる。
【0143】
適切な陽イオン性界面活性剤としては、式R’’R’’N’’(CH)X(R’及びR’’は、それぞれ独立して、1~30個の炭素原子を含有する部分を含有する炭化水素から成る基、又は獣脂、ココナッツ油若しくは大豆に由来する炭化水素から成る基から選択され、X-Cl、I又はBr)を有するジアルキルジメチルアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。例としては、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジエイコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジココナッツジメチルアンモニウムクロリド、ジタロウジメチルアンモニウムブロミド(DTAB)が挙げられる。市販の例としては、ADOGEN、ARQUAD、TOMAH、VARIOUATが挙げられるが、これらに限定されない。Hillらの米国特許第6,013,683号明細書も参照されたい。
【0144】
アジュバントとしての有機ドライクリーニング溶媒と合わせた使用に適するこれら及び他の界面活性剤は、当該技術分野で周知であり、本明細書に参照により取り込まれるKirk OthmerのEncyclopaedia of Chemical Technology, 3rd Ed., Vol. 22, pp. 360-379,“Surfactants and Detersive Systems”により詳細に記載される。さらに適切な非イオン性洗剤界面活性剤は、参照により本明細書に取り込まれる、1975年12月20日に出願されたLaughlinらの米国特許第3,929,678号明細書の13段14行目~16段6行目に概ね開示される。他の適切な洗剤界面活性剤は、国際公開第A-0246517号パンフレット(WO-A-0246517)に概ね開示される。
【0145】
界面活性剤又は界面活性剤混合物は、クリーニング有効量で存在する。クリーニング有効量は、所望のクリーニングに必要となる量である。これは、例えば物品の数、汚れ付着のレベル、及び用いられるドライクリーニング組成物の容量に依存するであろう。効果的なクリーニングは、界面活性剤が、ドライクリーニング組成物の重量の少なくとも0.001wt%~10wt%で存在した場合に、観察された。より好ましくは界面活性剤は、ドライクリーニング組成物の重量の0.01~3wt%、又はより好ましくは0.05~0.9wt%で存在する。より好ましくは界面活性剤は、ドライクリーニング組成物の重量の0.1~0.8wt%、より好ましくは0.3~0.7wt%で存在する。
【0146】
ドライクリーニング組成物は、1種又は複数の任意のクリーニング剤を含有してもよい。クリーニング剤は、クリーニング、外観、状態及び/又は衣類ケアを増強するのに適した任意の薬剤を含む。一般にクリーニング剤は、総ドライクリーニング組成物の重量の約0~20wt%、好ましくは0.001wt%~10wt%、より好ましくは0.01wt%~2wt%の量で本発明の組成物中に存在してもよい。
【0147】
幾つかの適切なクリーニング剤としては、以下の化合物:ビルダー、酵素、漂白剤活性化剤、漂白剤触媒、漂白増強剤、漂白剤、アルカリ度供給源、抗菌剤、着色剤、香料、プロパフューム(pro-perfume)、仕上げ助剤、ライムソープ分散剤、組成物の悪臭抑制剤、臭気中和剤、ポリマー移染阻害剤、結晶成長阻害剤、光漂白剤、重金属イオン封鎖剤、変色防止剤、抗微生物剤、抗酸化剤、再付着防止剤、防汚性ポリマー、電解質、pH調整剤、増粘剤、研磨剤、二価若しくは三価イオン、金属イオン塩、酵素安定化剤、腐食阻害剤、ジアミン若しくはポリアミン、及び/又はそれらのアルコキシレート、泡安定化ポリマー、加工助剤、織物柔軟剤、蛍光増拍剤、ハイドロトロープ、泡又は泡沫抑制剤、泡又は泡沫増幅剤、織物柔軟剤、静電防止剤、染料固定剤、染料摩耗阻害剤(dye abrasion inhibitors)、色落ち防止剤、しわ取り剤、防しわ剤、汚れ忌避剤、日焼け防止剤、退色防止剤、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの適切なクリーニング剤として、挙げられる。
【0148】
実施例
核磁気共鳴(NMR)分光法は、Bruker500MHz分光装置で実施された。臨界ミセル濃度(CMC)は、ウィルヘルミープレート法によりPt-Irプレートを具備した張力計(DCAT11、DataPhysics Instruments GmbH)を用いて23℃で測定された。動的表面張力は、バブルプレッシャー式表面張力計(Kruss BP100、Kruss GmbH)を用いて23℃で決定された。接触角は、デジタルカメラを具備した光学接触角ゴニオメーター(OCA15 Pro、DataPhysics GmbH)で決定された。
【0149】
実施例1a:
6-(ジメチルアミノ)-N-(3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)ヘキサンアミド(界面活性剤1)及び6-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-N,N- ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウム塩(界面活性剤2)の合成
【0150】
【化13】
【0151】
実施例1b:
界面活性剤2の臨界ミセル濃度(CMC)の決定
界面活性剤2の臨界ミセル濃度(CMC)が、塩化物対イオンでテストされ、約2mmolであると決定された。この界面活性剤により達成され得る最小表面張力のプラトー値は、約23mN/mである。図1は、これらの結果のプロットであり、表面張力と濃度の対比を示す。
【0152】
実施例2a:
6-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド(界面活性剤3)の合成
【0153】
【化14】
【0154】
界面活性剤1(1.00g、2.02mmol、1当量)が、100ml丸底フラスコ内でアセトニトリル(10ml)に溶解された。次に、NaCO(0.26g、2.42mmol、1.2当量)が添加され、混合物が10分間撹拌された。ヨウ化メチル(0.377ml、6.06mmol、3当量)が添加され、反応物が40℃で24時間加熱された。冷却された反応混合物が濾過され、溶媒が真空下で除去されて、界面活性剤3をわずかに黄色の固体として定量的収率で与えた。H NMR(500MHz,DMSO)δ 0.09(s,27H),0.38-0.42(m,2H),1.23-1.26(m,2H),1.37-1.40(m,2H),1.52-1.55(m,2H),1.65-1.69(m,2H),2.08(t,J=7.4Hz,2H),2.99(dd,J=13,6.9Hz,2H),3.04(s,9H),),3.24-3.33(m,2H)。
【0155】
純粋な生成物は、水に可溶性であり、界面活性剤特性を有する。ハロゲン陰イオンが直接、N-アルキル化反応から得られてもよく、他の所望の陰性対イオンが、陰イオン交換により得られてもよい。
【0156】
実施例2b:
界面活性剤3の物理的特性の決定
界面活性剤3の臨界ミセル濃度(CMC)が、測定された。表面張力変化と水中の濃度から、CMCが約1.6mmolであると決定された。この界面活性剤により達成され得る最小表面張力のプラトー値は、約20mN/mであり、この界面活性剤が傑出した界面活性を有することが示される。これらの結果は、図2において表面張力と濃度の対比としてプロットされている。
【0157】
界面活性剤3の動的表面張力は、時間による、新たに作製された空気-水界面の表面張力の変化を測定するバブルプレッシャー式表面張力計で決定された。図3は、表面張力と時間の対比の結果のプロットを示し、界面活性剤3が500ms未満で界面を完全に飽和し、界面吸着に関して並外れて急速であったことが実証される。
【0158】
界面活性剤のみを含有する配合物は、界面張力及び表面張力の両方を低下させる界面活性剤3の能力に加え、並外れた濡れ特性を有する。例えばポリエチレン及びポリプロピレンなどの疎水性基板は、接触角0°で全体的な表面湿潤を呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基板では、測定された接触角は、極めて低い10.5°であった (表2)。
【0159】
【表1】
【0160】
実施例3a:
6-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミンオキシド(界面活性剤4)の合成
【0161】
【化15】
【0162】
界面活性剤1(1.00g、2.02mmol、1当量)が、100mL丸底フラスコ内で蒸留水(80mL)に添加された後、50%過酸化水素水(1.15ml、20.2mmol、10当量)が添加された。反応物が12時間還流され、その後、真空下で濃縮された。残渣がアセトンで3回洗浄され、界面活性剤4を99%の収率で与えた。H NMR(500MHz,DMSO)δ0.09(s, 27H),0.38-0.44(m,2H),1.21-1.25(m,2H),1.35-1.42(m,2H),1.50-1.55(m,2H),1.71-1.75(m,2H),2.05-2.08(m,2H),2.97-3.00(m,2H),3.01(s,9H),3.11-3.14(m,2H)。
【0163】
実施例3b:
界面活性剤4の物理的特性の決定
界面活性剤4の臨界ミセル濃度(CMC)が、測定された。表面張力変化と水中の濃度から、CMCが約0.49mmolであると決定された。この界面活性剤により達成され得る最小表面張力のプラトー値は、約20mN/mであり、この界面活性剤が傑出した界面活性を有することが示される。これらの結果は、図4において表面張力と濃度の対比としてプロットされている。
【0164】
界面活性剤4の動的表面張力が、バブルプレッシャー式表面張力計で決定された。図5は、表面張力と時間の対比の結果のプロットを示し、界面活性剤4が新たに作製された空気-水界面を1秒以内で完全に飽和し、界面吸着に関して急速であったことが実証される。
【0165】
1~100×CMCの濃度の界面活性剤4のみを含有する配合物は、界面張力と表面張力の両方を低下させる界面活性剤4の能力に加えて、並外れた濡れ特性を有する。例えば10×CMCの濃度での水中の界面活性剤4の溶液は、ポリエチレン及びポリプロピレンなどの疎水性基板上で0°の接触角を呈し、テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基板では10.6°を呈する。これらの接触角は、同じ基板上の水の接触角と比較して極めて低い(表3)。
【0166】
【表2】
【0167】
実施例4a:
4-((6-((3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロピル)アミノ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート(界面活性剤5)の合成
【0168】
【化16】
【0169】
界面活性剤1(1.00g、2.02mmol、1当量)が、100mL丸底フラスコ内でエチルアセテート(EtOAc)(30mL)に添加された後、1,2-ブタンスルトン(0.27mL、2.2mmol、1.1当量)が添加された。反応物が12時間還流され、その後、溶媒が除去されて、得られた白色ロウ状固体がアセトンで洗浄されて、界面活性剤5を50%の収率で与えた。H NMR(500MHz,DMSO)δ0.10(s,27H),0.38-0.46(m,2H),1.23-1.27(m,2H),1.37-1.68(m,10H),1.73-1.78(m,2H),2.45-2.48(m,2H),2.97-3.01(m,8H),3.18-3.21(m,2H),3.23-3.27(m,2H)。
【0170】
実施例4b:
界面活性剤5の物理的特性の決定
界面活性剤5の臨界ミセル濃度(CMC)が、測定された。表面張力変化と水中の濃度から、CMCが約0.39mmolであると決定された。この界面活性剤により達成され得る最小表面張力のプラトー値は、約21mN/mであり、この界面活性剤が傑出した界面活性を有することが示される。これらの結果は、図6において表面張力と濃度の対比としてプロットされている。
【0171】
界面活性剤5の動的表面張力が、バブルプレッシャー式表面張力計で決定された。図7は、表面張力と時間の対比の結果のプロットを示し、界面活性剤5が新たに作製された空気-水界面を1秒以内で完全に飽和し、界面吸着に関して急速であったことが実証される。
【0172】
最後に、10×CMCの濃度での水中の界面活性剤5の溶液は、ポリエチレン及びポリプロピレンなどの疎水性基板上で0°の接触角を呈し、テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基板では10.2°を呈する。これらの接触角は、同じ基板上の水の接触角と比較して極めて低い(表4)。
【0173】
【表3】
【0174】
実施例5:
2種以上の本発明の界面活性剤を含む石鹸
石鹸と、UniqemaからのPrifac5808を基にした完全に飽和されたラウリン酸石鹸顆粒と、第一の本発明の界面活性剤と、非イオン性の本発明の界面活性剤と、を含む洗剤配合物。全ての配合物が、1.008g/lの界面活性剤と、0.25~0.67の石鹸と、を含む。カルシウムとマグネシウムの比になるように、水が、CaCl・2HOとMgCl・HOの混合物でコンディショニングされた。
【0175】
実施例6
ドライクリーニング配合物
洗濯物が、液体対布比13を利用して、以下の低水性ドライクリーニング組成物A(表1参照)と接触され、20℃で15分間撹拌される。次にドライクリーニング組成物が、除去され、洗濯物が、清浄なドライクリーニング溶媒を含むすすぎ組成物ですすがれる。実験は、液体対布比5を利用して、以下の低水性ドライクリーニング組成物B~F(表1参照)で繰り返される。
【0176】
【表4】
【0177】
形態
本発明の第一の形態は、式1
【0178】
【化17】
【0179】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;nは、1~12の整数であり;末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;該化合物に会合していて、存在するならば塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択される、任意の対イオンと;少なくとも1種の洗剤及び/又は少なくとも1種の石鹸と;を含む、クリーニングのための配合物を含む。
【0180】
本発明の第二の形態は、少なくとも1種の洗剤又は石鹸が、陰イオン性洗剤、陽イオン性洗剤、非イオン性洗剤、及び双性イオン性洗剤からなる群から選択される、本発明の第一の形態を含む。
【0181】
本発明の第三の形態は、石鹸が一般式:(RCO n+(式中、Rは、アルキル基を含み、Mは、金属であり、n+は、+1又は+2のどちらかである)で示される、本発明の第一の形態及び第二の形態を含む。
【0182】
本発明の第四の形態は、少なくとも1種のビルダーをさらに含む、本発明の第一~第三の形態を含む。
本発明の第五の形態は、少なくとも1種のビルダーが、トリポリリン酸塩、ニトロ酢酸塩、ゼオライト、カルサイト/炭酸塩、クエン酸塩又はポリマー、ナトリウム、ピロリン酸塩、オルトリン酸塩、アルミノケイ酸ナトリウム、アルカリ剤の無機塩、アルカリ金属の無機塩、硫酸塩、ケイ酸塩、及びメタケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、本発明の第一~第四の形態を含む。
【0183】
本発明の第六の形態は、少なくとも1種の漂白剤をさらに含む、本発明の第一~第五の形態を含む。
本発明の第七の形態は、少なくとも1種の漂白剤が、金属ホウ酸塩、過酸基塩、ペルオキシ酸、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、ペルオキシ酢酸、ベンゾイルペルオキシド、過硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、亜ジチオン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、本発明の第六の形態を含む。
【0184】
本発明の第八の形態は、少なくとも1種の酵素をさらに含む、本発明の第一~第七の形態を含む。
本発明の第九の形態は、少なくとも1種の酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、マンナナーゼ、ペルオキシダーゼ及びリパーゼからなる群から選択される、本発明の第八の形態を含む。
【0185】
本発明の第十の形態は、少なくとも1種のポリマーをさらに含む、本発明の第一~第九の形態を含む。
本発明の第十一の形態は、少なくとも1種のポリマーが、メタクリルアミド(methacrylamidem)のポリマー;エチレン性不飽和モノマー、N,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、ビニルアミン、ビニルイミダゾール、第四級ビニルイミダゾール、及びジアリルジアルキルアンモニウム塩のポリマー;ジアリルジメチルアンモニウム塩、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、[2-(メタクリロイルアミノ)エチル]トリメチルアンモニウム塩、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、及び第四級ビニルイミダゾールのポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、本発明の第十の形態を含む。
【0186】
本発明の第十二の形態は、式1
【0187】
【化18】
【0188】
(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、C~Cアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよく、場合によりC~Cアルキルは、酸素、窒素、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子の少なくとも1つを含む基のうちの1つ又は複数を含んでいてもよく、アルキル鎖は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく;
nは、1~12の整数であり;
末端窒素は、Rで場合によりさらに置換されており、ここでRは、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC~Cアルキルからなる群から選択される)で示される少なくとも1種の界面活性剤と;
該化合物に会合していて、存在するならば塩化物、臭化物、及びヨウ化物からなる群から選択される、任意の対イオンと;
少なくとも1種の溶媒と、
を含む、ドライクリーニングのための少なくとも1種の配合物を含む。
【0189】
本発明の第十三の形態は、少なくとも1種の溶媒が、ペルクロロエチレン、炭化水素、トリクロロエチレン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジブトキシメタン、n-プロピルブロミドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、本発明の十二の形態を含む。
【0190】
本発明の第十四の形態は、少なくとも1種の共溶媒をさらに含む、本発明の第十二及び第十三の形態を含む。
本発明の第十五の形態は、少なくとも1種の共溶媒が、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、アルカン、アルケン、直鎖状及び環状アミド、ペルフルオロ化第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、芳香族物質、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブチルアルコール、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、メチルt-ブチルエーテル、メチルt-アミルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トランス-1,2-ジクロロエチレン、デカリン、メチルデカノエート、t-ブチルアセテート、エチルアセテート、グリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ジエチルフタレート、2-ブタノン、N-アルキルピロリドン(N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンなど)、メチルイソブチルケトン、ナフタレン、トルエン、トリフルオロトルエン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロ-2-ブチルオキサシクロペンタンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、本発明の第十四の形態を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7