(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】二次電池および電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/572 20210101AFI20240329BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240329BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240329BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20240329BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240329BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/54
H01M50/548 301
(21)【出願番号】P 2022544176
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2020016093
(87)【国際公開番号】W WO2021187717
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0033377
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ヨン・イ
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529209(JP,A)
【文献】特開2010-244844(JP,A)
【文献】特開平11-191436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極およびセパレータを交互に積層して形成される電極組立体と、
前記電極組立体を内部に収容する電池ケースと、
前記電極組立体から一側に突出した複数の電極タブと、
それぞれにおいて、一端が前記電極タブと連結され、他端が前記電池ケースの外部に突出する複数の電極リードと、
前記電池ケースにおいて前記電極組立体を収容するカップ部の外側に配置され、前記電池ケースの体積が膨張すると、圧力の印加を受けて短絡誘導部に電力を供給する圧電素子と、
を含み、
前記短絡誘導部は、
電力が印加されると形態が変形する導電性物質から製造され、ワイヤー形状を有し、両端がそれぞれ前記電池ケースにおいて前記電極リードをシールするシール部上に位置し
ており、
前記短絡誘導部は、前記圧電素子から電力が印加されると、前記両端
が前記電極リードとそれぞれ接触する
ように配置されている、二次電池。
【請求項2】
前記短絡誘導部は、
電気活性ポリマー(EAP)からなる、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記圧電素子は、
前記カップ部の外面に付着される、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記圧電素子は、
前記カップ部と形状が互いに対応する、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記圧電素子は、
前記カップ部の中心部に付着される、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項6】
前記短絡誘導部は、
前記電池ケースのシール部に密着形成される、請求項1~5の何れか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
複数の前記電極リードが、互いに前記電極組立体の反対方向に形成されており、
前記短絡誘導部は、
前記電池ケースにおいて周縁に沿って形成される前記シール部の一部にも密着形成される、請求項6に記載の二次電池。
【請求項8】
前記短絡誘導部は、
前記電池ケースにおいて前記電極組立体を収容する前記カップ部の外面に沿って形成される、請求項1~7の何れか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記短絡誘導部は、
前記両端が前記シール部から離脱して延びた後、それぞれの前記電極リードに向かって曲げられる、請求項1~8の何れか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
電極およびセパレータを交互に積層して形成される電極組立体、前記電極組立体を内部に収容する電池ケース、前記電極組立体から一側に突出した複数の電極タブ、それぞれにおいて、一端が前記電極タブと連結され、他端が前記電池ケースの外部に突出する複数の電極リード、および前記電池ケースにおいて前記電極組立体を収容するカップ部の外側に配置され、前記電池ケースの体積が膨張すると、圧力の印加を受けて短絡誘導部に電力を供給する圧電素子を含
む二次電池であって、
前記短絡誘導部は
、電力が印加されると形態が変形する導電性物質から製造され、ワイヤー形状を有し、両端がそれぞれ前記電池ケースにおいて前記電極リードをシールするシール部上に位置し
ており、
前記短絡誘導部は、前記圧電素子から電力が印加されると、前記両端
が前記電極リードとそれぞれ接触する
ように配置されている二次電池と、
前記二次電池を内部に収容するハウジングと、
を含む、電池モジュール。
【請求項11】
前記短絡誘導部は、
電気活性ポリマー(EAP)からなる、請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記圧電素子は、
前記ハウジングの内面に付着される、請求項10または11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記短絡誘導部は、
前記ハウジングの内部空間の端に沿って密着形成される、請求項10~12の何れか一項に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記短絡誘導部は、
前記両端が前記シール部から離脱して延びた後、それぞれの前記電極リードに向かって曲げられる、請求項10~12の何れか一項に記載の電池モジュール。
【請求項15】
請求項10~14の何れか一項に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【請求項16】
請求項15に記載の電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月18日付けの韓国特許出願第10-2020-0033377号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、二次電池および電池モジュールに関し、より詳しくは、異常作動の際に、電極リード間の短絡を誘導して内部短絡による爆発を防止し、安定性を確保することができる、二次電池および電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などが挙げられる。かかる二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、携帯ゲーム機(Portable Game Device)、パワーツール(Power Tool)、およびE-バイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が求められる大型製品と、余剰の発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
電極組立体を製造するために、正極(Cathode)、セパレータ(Separator)、および負極(Anode)を製造し、これらを積層する。具体的に、正極活物質スラリーを正極集電体に塗布し、負極活物質スラリーを負極集電体に塗布し、正極(Cathode)および負極(Anode)を製造する。そして、前記製造された正極と負極との間にセパレータ(Separator)が介在されて積層されると、単位セル(Unit Cell)が形成され、単位セルが互いに積層されることで、電極組立体が形成される。そして、かかる電極組立体が特定のケースに収容され、電解液を注入すると、二次電池が製造される。
【0005】
従来は、二次電池が高温にさらされるか、または過充電または過放電されるなどのように異常作動する場合、発熱によりセパレータが収縮して正極と負極が互いに直接接触し、短絡(ショート、Short)が発生する可能性が高くなる。このような短絡により電池の内部に急激な電子移動が発生し、それにより発熱および副反応が発生すると、二次電池が爆発して安全性に問題が発生し得た。特に、過充電、過放電、外部短絡などの電気的な誤作動の発生時、高い電流が流れ、集電体の熱伝導率が低いため、集電体の温度が活物質層よりも高い熱が発生する。その後、熱が拡散して活物質、電解液などの構成要素の熱的、化学的、電気化学的反応が加わって熱暴走までつながり得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国特許公開第2007-0056494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、異常作動の際に、電極リード間の短絡を誘導して内部短絡による爆発を防止し、安定性を確保することができる、二次電池および電池モジュールを提供することにある。
【0008】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る二次電池は、電極およびセパレータを交互に積層して形成される電極組立体と、前記電極組立体を内部に収容する電池ケースと、前記電極組立体から一側に突出した複数の電極タブと、それぞれにおいて、一端が前記電極タブと連結され、他端が前記電池ケースの外部に突出する複数の電極リードと、前記電池ケースにおいて前記電極組立体を収容するカップ部の外側に配置され、前記電池ケースの体積が膨張すると、圧力の印加を受けて短絡誘導部に電力を供給する圧電素子と、を含み、前記短絡誘導部は、ワイヤー形状を有し、両端がそれぞれ前記電池ケースにおいて前記電極リードをシールするシール部上に位置し、前記圧電素子から電力が印加されると、前記両端が前記電極リードに向かって延びて前記電極リードとそれぞれ接触する短絡誘導部と、を含む。
【0010】
また、前記短絡誘導部は、電気活性ポリマー(EAP)から形成されてもよい。また、前記圧電素子は、前記カップ部の外面に付着されてもよい。また、前記圧電素子は、前記カップ部と形状が互いに対応してもよい。
【0011】
また、前記圧電素子は、前記カップ部の中心部に付着されてもよい。また、前記短絡誘導部は、前記電池ケースのシール部に密着形成されてもよい。
【0012】
また、複数の前記電極リードが、互いに前記電極組立体の反対方向に形成されており、前記短絡誘導部は、前記電池ケースにおいて周縁に沿って形成されるシール部の一部にも密着形成されてもよい。
【0013】
また、前記短絡誘導部は、前記電池ケースにおいて前記電極組立体を収容するカップ部の外面に沿って形成されてもよい。また、前記短絡誘導部は、前記両端が前記シール部から離脱して延びた後、それぞれの前記電極リードに向かって曲げられてもよい。
【0014】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る電池モジュールは、電極およびセパレータを交互に積層して形成される電極組立体、前記電極組立体を内部に収容する電池ケース、前記電極組立体から一側に突出した複数の電極タブ、それぞれにおいて、一端が前記電極タブと連結され、他端が前記電池ケースの外部に突出する複数の電極リード、および前記電池ケースにおいて前記電極組立体を収容するカップ部の外側に配置され、前記電池ケースの体積が膨張すると、圧力の印加を受けて短絡誘導部はに電力を供給する圧電素子を含み、前記短絡誘導部はワイヤー形状を有し、両端がそれぞれ前記電池ケースにおいて前記電極リードをシールするシール部上に位置し、前記圧電素子から電力が印加されると、前記両端が前記電極リードに向かって延びて前記電極リードとそれぞれ接触する二次電池と、前記二次電池を内部に収容するハウジングと、を含む。
【0015】
また、前記短絡誘導部は、電気活性ポリマー(EAP)から形成されてもよい。また、前記圧電素子は、前記ハウジングの内面に付着されてもよい。
【0016】
また、前記短絡誘導部は、前記ハウジングの内部空間の端に沿って密着形成されてもよい。また、前記短絡誘導部は、前記両端が前記シール部から離脱して延びた後、それぞれの前記電極リードに向かって曲げられてもよい。
【0017】
また、本発明は、前記電池モジュールを含む電池パックを提供し、前記電池パックを含むデバイスを提供する。前記デバイスとしては、コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、ウェアラブル電子機器、パワーツール(power tool)、電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグ-インハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)、または電力貯蔵装置などが挙げられるが、これに限定されない。
【0018】
前記電池パックおよびデバイスの構造およびそれらの作製方法は当業界で公知のものであるため、本明細書では詳しい説明を省略する。本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によると、少なくとも次のような効果がある。異常作動の際に、電池ケースの体積が膨張して圧電素子から電力が生産されると、短絡誘導部の両端が電極リードにそれぞれ接触することで、電極リード間の短絡を誘導して内部短絡による爆発を防止し、安定性を確保することができる。
【0020】
本発明に係る効果は以上で例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る二次電池の組立図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る二次電池の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る二次電池の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る二次電池の断面拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る短絡誘導部の両端が延びた際の二次電池の平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る短絡誘導部の両端が延びた際の二次電池の断面拡大図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る電池モジュールの組立図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る短絡誘導部の両端が延びた際の電池モジュールの組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。ただし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によって定義されるのみである。明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0023】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味として用いられてもよい。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義していない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0024】
本明細書で用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、語句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池1の組立図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る二次電池1の斜視図である。
【0026】
本発明の一実施形態によると、異常作動の際に、電池ケースの体積が膨張して圧電素子から電力が生産されると、短絡誘導部136の両端1361が電極リード12にそれぞれ接触することで、電極リード12間の短絡を誘導して内部短絡による爆発を防止し、安定性を確保することができる。
【0027】
このために、本発明の一実施形態に係る二次電池1は、電極およびセパレータを交互に積層して形成される電極組立体10と、前記電極組立体10を内部に収容する電池ケース13と、前記電極組立体10から一側に突出した複数の電極タブ11と、一端が前記電極タブ11と連結され、他端が前記電池ケース13の外部にそれぞれ突出する複数の電極リード12と、前記電池ケース13において前記電極組立体10を収容するカップ部133の外側に配置され、前記電池ケース13の体積が膨張すると、圧力の印加を受けて外部(短絡誘導部136)に電力を供給する圧電素子135と、ワイヤー形状を有し、両端1361がそれぞれ前記電池ケース13において前記電極リード12をシールするシール部1341上に位置し、前記圧電素子から電力が印加されると、前記両端1361が前記電極リード12に向かって延びて前記電極リード12とそれぞれ接触する短絡誘導部136と、を含む。
【0028】
電極組立体10は、電極およびセパレータを交互に積層して形成する。先ず、電極活物質とバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを正極集電体および負極集電体に塗布し、正極および負極を製造する。それをセパレータ(Separator)の両側に積層することで所定の形状の電極組立体10を形成した後、電極組立体10を電池ケース13に挿入して電解液の注入後にシールする。
【0029】
具体的に、電極組立体(Electrode Assembly)10は、正極および負極の2種類の電極と、前記電極を互いに絶縁させるために電極の間に介在されるセパレータと、を含む。かかる電極組立体10には、スタック型、ゼリーロール型、スタック&フォールディング型などがある。2種類の電極、すなわち、正極と負極は、それぞれアルミニウムと銅を含む金属箔または金属メッシュ状の電極集電体に活物質スラリーが塗布された構造である。スラリーは、通常、粒状の活物質、補助導体、バインダー、および可塑剤などが、溶媒が添加された状態で撹拌されて形成されてもよい。溶媒は、後続工程において除去される。
【0030】
電極組立体10は、
図1に示されたように、電極タブ(Electrode Tab)11を含む。電極タブ11は、電極組立体10の正極および負極とそれぞれ連結され、電極組立体10から一側の外部に突出しており、電極組立体10の内部と外部との間に電子が移動可能な経路となる。電極組立体10の集電体は、電極活物質が塗布された部分と、電極活物質が塗布されていない末端部分、すなわち、無地部とから構成される。そして、電極タブ11は、無地部を裁断して形成されるか、または無地部に別の導電部材を超音波溶接などにより連結して形成されてもよい。かかる電極タブ11は、
図1に示されたように、電極組立体10の一側から同一の方向に並んで突出してもよいが、これに制限されず、それぞれ異なる方向に突出してもよい。
【0031】
電極組立体10の電極タブ11には、電極リード(Electrode Lead)12がスポット(Spot)溶接などにより連結される。そして、電極リード12の一部は、絶縁部14により周りが取り囲まれる。絶縁部14は、電池ケース13の上部ケース131と下部ケース132が熱融着されるシール部134に限定されて位置し、電極リード12を電池ケース13に接着させる。そして、電極組立体10から生成される電気が電極リード12を通して電池ケース13に流れるのを防止し、電池ケース13のシールを維持する。したがって、かかる絶縁部14は、電気がよく通じない非導電性を有する不導体から製造される。一般的に、絶縁部14としては、電極リード12に付着しやすく、厚さが比較的に薄い絶縁テープを多く用いるが、これに制限されず、電極リード12を絶縁可能であれば多様な部材を用いてもよい。
【0032】
電極リード12は、一端が前記電極タブ11と連結され、他端が前記電池ケース13の外部にそれぞれ突出する。すなわち、電極リード12は、正極タブ111に一端が連結され、正極タブ111が突出した方向に延びる正極リード121と、負極タブ112に一端が連結され、負極タブ112が突出した方向に延びる負極リード122と、を含む。一方、正極リード121および負極リード122は、
図1に示されたように、何れも他端が電池ケース13の外部に突出する。それにより、電極組立体10の内部で生成された電気を外部に供給することができる。また、正極タブ111および負極タブ112がそれぞれ多様な方向に向かって突出形成されるため、正極リード121および負極リード122もそれぞれ多様な方向に向かって延びることができる。
【0033】
正極リード121および負極リード122は、その材質が互いに異なってもよい。すなわち、正極リード121は、正極集電体と同一のアルミニウム(Al)材質であり、負極リード122は、負極集電体と同一の銅(Cu)材質またはニッケル(Ni)がコーティングされた銅材質であってもよい。そして、電池ケース13の外部に突出した電極リード12の一部分は、端子部となり、外部端子と電気的に連結される。
【0034】
電池ケース13は、軟性の材質から製造されたパウチである。以下、電池ケース13は、パウチであるものとして説明する。電池ケース13は、電極リード12の一部、すなわち、端子部が露出するように電極組立体10を収容しシールされる。かかる電池ケース13は、
図1に示されたように、上部ケース131および下部ケース132を含む。下部ケース132には、カップ部133が形成され、電極組立体10を収容可能な収容空間1331が備えられ、上部ケース131は、前記電極組立体10が電池ケース13の外部に離脱しないように、前記収容空間1331を上部からカバーする。この際、
図1に示されたように、上部ケース131にも収容空間1331が備えられたカップ部133が形成され、電極組立体10を上部から収容してもよい。上部ケース131および下部ケース132は、
図1に示されたように一側を互いに連結して製造してもよいが、これに制限されず、互いに分離して別に製造するなど、多様に製造してもよい。
【0035】
圧電素子(Piezoelectric Element)135は、前記カップ部133の外側に配置され、電池ケース13の体積が膨張すると、圧力の印加を受けて外部に電力を供給する。そして、短絡誘導部136は、両端1361がそれぞれ電池ケース13において電極リード12をシールするシール部1341上に位置し、圧電素子135から電力が印加されると、前記両端1361が電極リード12に向かって延びて前記電極リード12とそれぞれ接触する。圧電素子135および短絡誘導部136に関する詳しい説明は後述する。
【0036】
電極組立体10の電極タブ11に電極リード12が連結され、電極リード12の一部分に絶縁部14が形成されると、下部ケース132のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10が収容され、上部ケース131が前記空間を上部からカバーする。そして、内部に電解液を注入し、上部ケース131および下部ケース132の縁に形成されたシール部134をシールする。電解液は、二次電池1の充放電時、電極の電気化学的反応により生成されるリチウムイオンを移動させるためのものであり、リチウム塩と高純度の有機溶媒類との混合物である非水系有機電解液または高分子電解質を用いたポリマーを含んでもよい。このような方法により、
図2に示されたように、パウチ型二次電池1を製造することができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る二次電池1の平面図であり、
図4は、本発明の一実施形態に係る二次電池1の断面拡大図である。
図3に示されたように、本発明の一実施形態に係る二次電池1は、圧電素子135および短絡誘導部136を含む。圧電素子135とは、圧力、応力などの物理的外力の印加を受けると、それにより電圧が発生し、その逆に電圧の印加を受けると、形態が変形する素子である。代表的な圧電素子135には、チタン酸バリウム(Barium Titanate)、ロッシェル塩(Rochelle salt)などがある。
【0038】
圧電素子135は、電池ケース13のカップ部133の外側に配置される。したがって、電池ケース13の内部にガスが発生して電池ケース13の体積が膨張すると、圧力の印加を受ける。それにより、圧電素子135で電圧が発生し、外部に電力を供給することができる。特に、本発明の一実施形態によると、圧電素子135は、カップ部133の外面に直接付着されてもよい。それにより、電池ケース13の体積の膨張に敏感に反応することができる。すなわち、電池ケース13の体積が少しだけ膨張するとしても、直ちに電圧を発生させて外部に電力を供給することができる。
【0039】
圧電素子135は、
図3に示されたように、カップ部133と形状が互いに対応してもよい。例えば、カップ部133が四角形の形状を有すれば、圧電素子135も四角形の形状を有し、カップ部133が円形の形状を有すれば、圧電素子135も円形の形状を有してもよい。それにより、カップ部133が変形する際に、変形する程度に比例して、圧電素子135が圧力の印加を受けることができる。
【0040】
また、圧電素子135は、カップ部133の概して中心部に付着されることが好ましい。仮に電池ケース13の内部にガスが発生すれば、最も柔軟性の大きいカップ部133が最も大きく変形する。この際、圧電素子135がカップ部133の中心部に付着されることで、カップ部133が変形する際に、圧電素子135が全体的に均一に圧力の印加を受けることができる。
【0041】
短絡誘導部136は、細長いワイヤー形状を有してもよく、圧電素子135から電力が印加されると、形態が変形し、両端1361が前記電極リード12とそれぞれ接触する。かかる短絡誘導部136は、電気活性ポリマー(ElectroActive Polymers、EAP)から製造されてもよい。電気活性ポリマーとは、電気的刺激により膨張、収縮、および曲げ(bending)などの変形可能なポリマーである。代表的な電気活性ポリマーとしては、強誘電性ポリマー(Ferroelectric Polymer)および誘電性エラストマー(Dielectric Elastomer)などが挙げられる。特に強誘電性ポリマーとしては、相対的に圧電性の大きいポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene Fluoride、以下、PVDF)系ポリマーが広く用いられる。
【0042】
短絡誘導部136は、
図4に示されたように、電池ケース13のシール部134に密着形成されてもよい。それにより、短絡誘導部136が二次電池1のサイズおよび形態を大きく変更させず、且つ、短絡誘導部136が外部摩擦により損傷するのを防止することができる。仮に複数の電極リード12が互いに電極組立体10の反対方向に形成されるのであれば、
図3に示されたように、短絡誘導部136は、電池ケース13において周縁に沿って形成されるシール部134の一部にも密着形成されてもよい。ただし、これに制限されず、短絡誘導部136は、電池ケース13において電極組立体10を収容するカップ部133の外面に沿って形成されてもよい。それにより、複数の電極リード12間の最短経路に沿って短絡誘導部136が形成されることができるため、短絡誘導部136の長さを最小化して経済性を確保することもできる。
【0043】
ところで、仮に複数の電極リード12が互いに電極組立体10の同一の方向に形成されるのであれば、短絡誘導部136は、電池ケース13において複数の電極リード12の間に形成されるシール部134の一部にも密着形成されてもよい。すなわち、短絡誘導部136は、制限されずに電池ケース13に多様な方法で密着形成されてもよい。
【0044】
短絡誘導部136の両端1361は、
図4に示されたように、電池ケース13において電極リード12をシールするシール部1341上に位置する。それにより、電極リード12に最も近く位置することになり、その後に短絡誘導部136の両端1361が電極リード12に向かって延びると、前記電極リード12とそれぞれ容易に接触することができる。そして、圧電素子135と連結された導線1351は、短絡誘導部136において、カップ部133の端の中心部ではなく、カップ部133の頂点付近に位置した地点に連結される。それにより、圧電素子135と連結された導線1351が外部の障害物により断線または破損するのを最小化することができる。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態に係る短絡誘導部136の両端1361が延びた際の二次電池1の平面図であり、
図6は、本発明の一実施形態に係る短絡誘導部136の両端1361が延びた際の二次電池1の断面拡大図である。
【0046】
圧電素子135は、圧力の印加を受けると、電圧が発生して電力を外部に供給する。すなわち、電池ケース13の内部にガスが発生して電池ケース13の体積が膨張すると、圧電素子135は、圧力の印加を受けて電力を外部に供給する。そして、短絡誘導部136は、圧電素子135から電力が印加されると、形状が変化する。特に、短絡誘導部136の両端1361が電極リード12に向かって延び、
図5に示されたように、電極リード12とそれぞれ接触する。
【0047】
短絡誘導部136は、導電性物質から製造される。したがって、短絡誘導部136の両端1361が電極リード12にそれぞれ接触すると、電極リード12同士で短絡(ショート、Short)が発生する。それにより、二次電池1の内部で短絡が発生しても、大きい爆発までつながるのを防止し、安定性を確保することができる。
【0048】
短絡誘導部136は、両端1361が前記電極リード12に向かって延びると、電極リード12とそれぞれ接触する。この際、電極リード12は、シール部134と或る程度の段差を形成してもよい。したがって、
図6に示されたように、短絡誘導部136は、両端1361がシール部134から離脱して延びた後、それぞれの電極リード12に向かって曲げられることで、電極リード12とそれぞれ接触することができる。ただし、これに制限されず、単に両端1361がシール部134から離脱して次第に延びると、前記両端1361が重力で垂れることで、電極リード12とそれぞれ接触してもよい。
【0049】
図7は、本発明の他の実施形態に係る電池モジュール2の組立図である。本発明の一実施形態によると、圧電素子135は、電池ケース13のカップ部133の外面に直接付着され、短絡誘導部136は、電池ケース13のシール部134に密着形成される。それにより、圧電素子135は、電池ケース13の体積の膨張に敏感に反応することができ、短絡誘導部136が二次電池1のサイズおよび形態を大きく変更させず、且つ、短絡誘導部136が外部摩擦により損傷するのを防止することができる。
【0050】
ところで、本発明の他の実施形態によると、二次電池1aが電池モジュール2に組み立てられる場合には、圧電素子135aおよび短絡誘導部136aが二次電池1aの電池ケース13ではなく、電池モジュール2のハウジング20に形成されてもよい。それにより、柔軟性を有するパウチ型電池ケース13よりは、剛性を有するハウジング20に圧電素子135aおよび短絡誘導部136aを固定させることがさらに容易である。
【0051】
本発明の他の実施形態に係る電池モジュール2は、電極およびセパレータを交互に積層して形成される電極組立体10、前記電極組立体10を内部に収容する電池ケース13、前記電極組立体10から一側に突出した複数の電極タブ11、一端が前記電極タブ11と連結され、他端が前記電池ケース13の外部にそれぞれ突出する複数の電極リード12、前記電池ケース13において前記電極組立体10を収容するカップ部133の外側に配置され、前記電池ケース13の体積が膨張すると、圧力の印加を受けて外部に電力を供給する圧電素子135、およびワイヤー形状を有し、両端がそれぞれ前記電池ケースにおいて前記電極リード12をシールするシール部134上に位置し、前記圧電素子135から電力が印加されると、前記両端1361aが前記電極リード12に向かって延びて電極リード12とそれぞれ接触する短絡誘導部136aを含む二次電池1aと、前記二次電池1aを内部に収容するハウジング20と、を含む。
【0052】
ハウジング20は、二次電池1を内部に収容し、
図7に示されたように、上部および下部ハウジング20が二次電池1の両側から互いに結合されることで、二次電池1を収容することができる。かかるハウジング20は、内部に二次電池1を1つのみ収容してもよいが、これに制限されず、複数の二次電池1を収容してもよい。
【0053】
本発明の他の実施形態に係る圧電素子135aおよび短絡誘導部136aは、電池モジュール2のハウジング20の内部に形成される。特に、圧電素子135aは、電池ケース13のカップ部133の外側に配置されるが、カップ部133の外面に直接付着されず、ハウジング20の内面に付着される。ただし、ハウジング20の内面と電池ケース13のカップ部133が非常に近接して位置しており、電池ケース13の内部にガスが発生して電池ケース13の体積が膨張すると、圧電素子135aは、直ちに電力を外部に供給する。
【0054】
短絡誘導部136aは、複数の電極リード12が互いに電極組立体10の反対方向に形成されるのであれば、ハウジング20の内部空間の端に沿って密着形成されてもよい。そして、短絡誘導部136aの両端1361aは、電極リード12をシールするシール部1341上に位置する。それにより、電極リード12に最も近く位置することになり、その後に短絡誘導部136aの両端1361aが電極リード12に向かって延びると、前記電極リード12とそれぞれ容易に接触することができる。
【0055】
図8は、本発明の他の実施形態に係る短絡誘導部136aの両端1361aが延びた際の電池モジュール2の組立図である。電池ケース13の内部にガスが発生して電池ケース13の体積が膨張すると、圧電素子135aは、圧力の印加を受けて電力を外部に供給する。そして、圧電素子135aから電力が印加されると、
図8に示されたように、短絡誘導部136aの両端1361aが電極リード12に向かって延びて電極リード12とそれぞれ接触する。この際、短絡誘導部136aは、両端1361aがシール部134から離脱して延びた後、それぞれの電極リード12に向かって曲げられることで、電極リード12とそれぞれ接触することができる。ただし、これに制限されず、単に両端1361aがシール部134から離脱して次第に延びると、前記両端1361aが重力で垂れることで、電極リード12とそれぞれ接触してもよい。
【0056】
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。したがって、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は上記の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導き出される多様な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0057】
1,1a:二次電池
2:電池モジュール
10:電極組立体
11:電極タブ
12:電極リード
13:電池ケース
14:絶縁部
20:ハウジング
111:正極タブ
112:負極タブ
121:正極リード
122:負極リード
131:上部ケース
132:下部ケース
133:カップ部
134:シール部
135,135a:圧電素子
136,136a:短絡誘導部
1331:収容空間
1361,1361a:両端