(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】構造継ぎ目を橋渡しするための移行構造体
(51)【国際特許分類】
E01D 19/06 20060101AFI20240329BHJP
E01C 11/02 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
E01D19/06
E01C11/02 A
(21)【出願番号】P 2022545433
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2021052078
(87)【国際公開番号】W WO2021152072
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】102020201076.5
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515269464
【氏名又は名称】マウレール エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン クリスティアン
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特許第3449661(JP,B2)
【文献】特開昭60-261808(JP,A)
【文献】実開昭55-081108(JP,U)
【文献】特表2008-542638(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1998406(KR,B1)
【文献】特開2000-213590(JP,A)
【文献】特表2016-514775(JP,A)
【文献】米国特許第05302050(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/06
E01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体(12)の2つの構造体部材(12a,12b)の間の構造継ぎ目(14)を橋渡しするための移行構造体(10B)であって、構造体縁に取り付けられた少なくとも2つのトラス(16)と、前記トラスに変位可能に取り付けられた少なくとも1つのスラット(20)とを有し、少なくとも1つのトラス(16)と少なくとも1つのスラット(20)との間に主要な滑り面(22)が配置されている、移行構造体(10B)において、
前記主要な滑り面(22)は、少なくとも2つの部分的な滑り面(22a,22b)を有し、前記部分的な滑り面はそれぞれ、相互に角度付けされた滑り平面(34a,34b)に配置されており、前記滑り平面(34a,34b)は、前記スラット(20)が前記トラス(16)に対して移動することができる運動軸線(A)を形成する共通の交差線(S)で交わっており、少なくとも1つの滑り平面(34a,34b)は、前記移行構造体(10B)の運動平面(B)に対して斜めの角度で配置されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項2】
請求項1記載の移行構造体(10B)において、
前記2つの滑り平面(34a,34b)は、前記移行構造体(10B)の使用状態において、前記主要な滑り面(22)の領域に隙間が生じないように選択された第1の角度(α)を成している、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項3】
請求項2記載の移行構造体(10B)において、
前記第1の角度(α)は、前記移行構造体(10)の最終限界状態において、前記主要な滑り面(22)の領域に隙間が生じないように選択されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項4】
請求項2または3記載の移行構造体(10B)において、
前記第1の角度(α)は、60度~160
度である、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項5】
請求項2または3記載の移行構造体(10B)において、
前記第1の角度(α)は90度である、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項6】
請求項1から
5までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記2つの滑り平面(34a,34b)は、前記交差線(S)が
1つのトラス(16)の長手方向軸線に対して平行であるように配置されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項7】
請求項1から
6までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
幾つかの主要な滑り面(22)が、
1つのトラス(16)に沿って配置されていて、共通の運動軸線(A)を形成している、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項8】
請求項1から
7までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記トラス(16)は、前記主要な滑り面(22)の領域に少なくとも1つの滑りプレート(38a,38b)を有する、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項9】
請求項1から
8までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記トラス(16)は
、滑り材料から製作されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項10】
請求項9に記載の移行構造体(10B)において、
前記滑り材料は金属である、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項11】
請求項1から
10までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記主要な滑り面(22)は
、永久潤滑された滑り材料(36)を備える、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項12】
請求項11に記載の移行構造体(10B)において、
前記主要な滑り面(22)の前記永久潤滑された滑り材料(36)は、PTFE、UHMWPE、POMおよび/またはPAを含む、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項13】
請求項1から
12までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
互いに角度付けされた少なくとも2つの部分的な滑り面(22a,22b)は、対応する前記滑り平面(34a,34b)
が勾配の屋根の形状を形成するように配置されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項14】
請求項1から
13までのいずれか1項記載の移行構造体(110)において、
互いに角度付けされた少なくとも2つの部分的な滑り面(122a,122b)は、対応する前記滑り平面(134a,134b)が上下逆さま
の勾配の屋根の形状を形成するように配置されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項15】
請求項1から1
4までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
互いに角度付けされた少なくとも2つの部分的な滑り面(22a,22b)は、前記運動平面(B)に対して鉛直方向に前記交差線(S)を通って延在する対称平面(E)に関して互いに対称に形成されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項16】
請求項1から1
5までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
少なくとも1つの滑り平面(34a,34b)は、前記運動平面(B)に対して10度~60
度の第2の角度(β)だけ傾斜している、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項17】
請求項1から15までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
少なくとも1つの滑り面(34a,34b)は、前記運動平面(B)に対して45度の第2の角度(β)だけ傾斜している、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項18】
請求項1から1
7までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記移行構造体(10B)は、スラット(10)とトラス(16)との少なくとも1つの交差点(K)を有し、前記交差点において、前記トラス(16)と前記スラット(20)との間に
、支持プレート(28)を有する滑り支承体(24)が配置されており、前記主要な滑り面(22)は、前記トラス(16)と前記支持プレート(28)との間に延在している、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項19】
請求項18に記載の移行構造体(10B)において、
前記滑り支承体(24)は、前記運動平面(B)に対する鉛直軸線(V)を中心として回転可能である、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項20】
請求項1
8または19記載の移行構造体(10B)において、
前記支持プレート(28)は、前記主要な滑り面(22)が、加えられた荷重の大きさの関数として、前記運動平面(B)に対して水平である少なくとも1つの部分的な滑り面(22c)を有するように変形可能である、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項21】
請求項1
8から20までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記滑り支承体(24)は、基礎プレート(26)をさらに備え、前記基礎プレートを介して、前記滑り支承体(24)は、前記スラット(20)に取り付けられて
いる、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項22】
請求項21に記載の移行構造体(10B)において、
前記スラット(20)または前記基礎プレート(26)は、第1のトラニオン(32)を備え、前記第1のトラニオンを介して、前記滑り支承体(24)は、前記スラット(20)に回転可能に取り付けられている、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項23】
請求項
21または22記載の移行構造体(10B)において、
前記滑り支承体(24)は、前記支持プレート(28)と前記基礎プレート(26)との間に配置されたエラストマー層(30)をさらに備える、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項24】
請求項
21から23までのいずれか1項記載の移行構造体(210)において、
前記滑り支承体(224)は、前記支持プレート(228)と前記基礎プレート(226)との間の平面(258)に配置された少なくとも1つの剪断面(254)を有し、前記平面(258)は、互いに角度付けされた前記部分的な滑り面(122a,122b)の前記滑り平面(134a,134b)に対して斜めの角度で配置されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項25】
請求項1
8から
24までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記移行構造体(10B)は、少なくとも1つの交差点(K)の領域に、前記スラット(20)に配置されていて、滑り材料(46)を有する付勢ユニット(42
)を有するブラケット(40)を有し、前記ブラケット(40)および前記付勢ユニット(42)は、前記スラット(20)が前記トラス(16)に対して前記交差点(K)で付勢されて変位可能であり、かつ/または前記運動平面(B)に対する前記鉛直軸線(V)を中心として回転可能に取り付けられているように設計されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項26】
請求項25に記載の移行構造体(10B)において、
前記付勢ユニット(42)は、滑りばねである、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項27】
請求項
25または26および少なくとも請求項
22記載の移行構造体(10B)において、
前記ブラケット(40)は、第2のトラニオン(48B)を有し、前記第2のトラニオンを介して、前記付勢ユニット(42)は、前記ブラケット(40)に回転可能に取り付けられており、前記第1のトラニオン(32)および前記第2のトラニオン(48B)は、共通の回転軸線(D)を形成しており、前記スラット(20)は、前記交差点(K)において、前記トラス(16)に対して前記回転軸線(D)を中心として回転可能に取り付けられている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項28】
請求項
25または26記載の移行構造体(10B)において、
前記付勢ユニット(42)は、前記主要な滑り面(22)に沿った前記トラス(16)に対する前記スラット(20)の運動に対してガイドニュートラルであるように設計されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項29】
請求項
25から
28までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記付勢ユニット(42)の前記滑り材料(46)は
、永久潤滑された滑り材料を備える、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項30】
請求項29に記載の移行構造体(10B)において、
前記付勢ユニット(42)の前記永久潤滑された滑り材料(46)は、PTFE、UHMWPE、POMおよび/またはPAを含む、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項31】
請求項
25から
30までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記付勢ユニット(42)は、前記付勢ユニット(42)を設置された状態で付勢するためのねじを有する、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項32】
請求項
25から
31までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記付勢ユニット(42)は、設置された状態で所定の付勢寸法に付勢されかつ解放されて設置することができるように設計されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項33】
請求項1から
32までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記移行構造体(10B)は、少なくとも1つのトラスボックス(18)を有し、前記トラスボックス内に、前記トラス(16)の一方の端部が変位可能にかつ/または回転可能に取り付けられている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項34】
請求項
33記載の移行構造体(10B)において、
前記トラス(16)の前記端部は、少なくとも1つの孔を有し、前記トラスボックス(18)は、少なくとも1つのトラニオンを有し、前記トラニオンを介して、前記トラス(16)の前記端部は、前記トラスボックス(18)内に取り付けられている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項35】
請求項
33または
34記載の移行構造体(10B)において、
前記トラスボックス(18)は、前記トラス(16)の上方に配置された上側の滑り支承体(50)を備え、前記上側の滑り支承体(50)と前記トラス(16)との間に、請求項1から
34までのいずれか1項に従って設計された主要な滑り面(22)が配置されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項36】
請求項
35記載の移行構造体(10B)において、
前記上側の滑り支承体(50)は、前記トラスボックス(18)に回転可能に取り付けられている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項37】
請求項
35または
36記載の移行構造体(10B)において、
前記上側の滑り支承体(50)は、滑りばねである、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項38】
請求項1から
37までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記移行構造体(10B)は、スイベルトラス設計である、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項39】
請求項1から
38までのいずれか1項記載の移行構造体(10B)において、
前記移行構造体(10B)は、鉄道橋建設のためのガイドまくらぎ設計である、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項40】
請求項1から
39までのいずれか1項記載の移行構造体(310)において、
運動軸線(A)が互いに異なる複数
の主要な滑り面(122)が、トラス(116)とスラット(120)との間に配置されている、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項41】
請求項1から39までのいずれか1項記載の移行構造体(310)において、
運動軸線(A)が互いに異なる2つの主要な滑り面(122)が、トラス(116)とスラット(120)との間に配置されている、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【請求項42】
請求項
40または41記載の移行構造体(310)において、
前記運動軸線(A)は互いに平行であ
る、
ことを特徴とする
移行構造
体(10B)。
【請求項43】
請求項42記載の移行構造体(310)において、
前記運動軸線(A)は、前記移行構造体(310)の前記運動平面(B)または前記運動平面(B)に対して平行な平面に配置されている、
ことを特徴とする移行構造体(10B)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の2つの構造体部材の間の構造継ぎ目を橋渡しするための移行構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの移行構造体は、通常、構造体縁に取り付けられた少なくとも2つのトラスと、トラスに変位可能に取り付けられた少なくとも1つのスラットとを有し、少なくとも1つのトラスと少なくとも1つのスラットとの間に主要な滑り面が配置されている。
【0003】
構造継ぎ目を橋渡しするためのこのような移行構造体は、原則として、先行技術から十分に公知である。
【0004】
このタイプの移行構造体は、必要な荷重移動に加えて、構造体部材の相対変位を可能にする場合、主に道路交差のために、特に道路および鉄道橋工事において使用される。基本原理は、トラスが構造継ぎ目を横切って配置され、このため、構造継ぎ目を橋渡しすることである。トラスを、構造体の少なくとも1つの部材に取り付けることができ、その結果、互いに構造体の2つの部材の対応する移動が、トラス内の応力なしに補償されるように、それらを移動または伸縮させることができる。1つ以上のスラットは、トラスに対して横方向に取り付けられ、車両および人が継ぎ目を安全に渡ることができる程度に、構造体の2つの部材間のギャップを閉鎖している。スラットは、制御システムにより互いにほぼ均等に水平に間隔を置いて配置され、下方のトラスに対して移動することができるように取り付けられている。これにより、移行構造体は、構造継ぎ目の様々な寸法に柔軟に適応することが可能となる。これにより、構造継ぎ目の安全な橋渡しが常に保証される。同時に、過大な応力および荷重による建物および移行構造体への損傷を回避することができる。
【0005】
トラスの長手方向軸線に沿ったスラットの精密なガイドを達成するために、これまで、滑り支承体が、その交差点に使用されてきた。この場合、滑り支承体は、好ましくは、滑り支承体とトラスとの間に両構成要素の主要な滑り面が存在するように、スラットに取り付けられる。この主要な滑り面は、滑り支承体を介してスラットからの鉛直荷重をトラスに伝達し、同時に、トラスに対するスラットの変位を可能にするために、水平に位置決めされる。好ましくは、滑り支承体は、水平で主要な滑り面に加えて、2つの鉛直ガイド面が滑り支承体とトラスとの間に形成されるように、トラスの両側の周りに上方から係合するかまたは対応する形状の溝内にある。水平荷重が、トラスの長手方向軸線に対して平行に加えられると、このため、スラットは、後者に沿ってトラスに対して移動することができる。一方、トラスの長手方向軸線に対して横方向に作用する任意の水平荷重は、スラットとトラスとの間の鉛直ガイド面の領域で伝達される。
【0006】
表面、軸線および荷重の任意の向きは、簡潔にするために、本明細書では水平または鉛直として説明されているが、それらは、厳密な意味で水平または鉛直の平面または方向に限定されない。本開示では、このような向きの表示は、移行構造体または橋渡しの運動平面のみを指す。運動平面は、例えば、トラスに沿ったスラットの運動軸線およびスラットの長手方向軸線または対応する平行線により、トラスとスラットとの交差点にわたって展開されている。これは、移行構造体が所定の角度を成して設置されている場合に特に当てはまる。このように、この場合、水平な主要な滑り面の向きは、狭義には水平面とは異なる場合があり、それに応じて、傾斜する場合がある。同じことが、それに対して鉛直に配置された鉛直ガイド面に適用され、それに対応して説明された荷重影響も適用される。
【0007】
スラットは、追加的に、各交差点におけるクロスバーに対して回転可能に取り付けることができる。運動学的な制御の原理により、鉛直軸線の周りに可能な限り少ない抵抗で回転させることが可能となる。このような運動学的な制御の原理は、例えば、道路橋のための道路交差のための「マウラースイベルジョイント」に使用されるかまたは鉄道橋の建設のための「マウラーガイドまくらぎ」にも使用される。好ましくは、2つの水平軸線の周りの弾性的な回転可能性により、許容差および膨張差ならびに活荷重の同時伝達による摩耗部品の互換性への適合が可能となる。
【0008】
例えば、制動および始動から路面に生じる水平荷重からのトルクの伝達は、通常、水平軸線を中心とする滑り支承体の前述のねじり抵抗により、トラスの下方の追加のガイド滑り要素によりまたはこれから独立した支持要素により行われる。
【0009】
したがって、公知の移行構造体では、スラットとトラスとの交差点における鉛直荷重伝達と水平荷重伝達との間に機能的な分離が存在する。垂直荷重は、水平な主要な滑り面を介してトラスに吸収されるが、トラスの長手方向軸線に対して横方向に作用する水平荷重は、スラットとトラスの間の鉛直ガイド面の領域で伝達される。構造用支承体についての規格であるDIN EN 1337-2:2004のポイント6.8では、主要な滑り面の寸法は、使用状態において隙間が生じないようにすべきであることが規定されている。橋梁支承体とは対照的に、移行構造体への影響はほとんど排他的に可変である。その結果、死荷重からの基本的な荷重が失われ、滑り要素の付勢にもかかわらず、通常、隙間がないことの確証を満たすことができない。このため、滑り材料が、主要な滑り面にも使用される。これは、通常、ガイドのみを目的としており、摩耗挙動の増加および滑り抵抗の増加を示す。
【0010】
構造設計の基礎についての規格であるDIN EN 1990:2010-12によれば、使用状態は、保守性限界状態まで及んでいて、それを含んでいる。保守性限界状態を超えると、構造体または構成要素の保守性について指定された条件がもはや満たされなくなる。このため、通常の使用状態またはユーザの幸福または構造体の外観について、構造体またはその部材のうちの1つの機能に影響を及ぼす限界状態も保守性限界状態として分類されるべきである。
【0011】
したがって、地震等の極端な事例のために設計された特別な移行構造体の場合には、極端な事例が生じたときでも、使用状態が依然として存在し得る。これは、特に、極端な事例にのみ使用される任意の緊急および緩衝機能がトリガされた後の状態にも適用される。ここでは、例えば、中間支承部材からの滑りプレートの計算された持ち上がりが、使用状態中に意図されている。
【0012】
荷重伝達のこの証明された原理にもかかわらず、特に、このような移行構造体の長期使用中に多量の粉塵、泥または他の異物が滑り面の領域に蓄積する場合があることが判っている。移行構造体の定期的なメンテナンスが行われない場合、これにより、滑り材料の摩耗の増加または移行構造体の滑り挙動の障害がもたらされる場合がある。これは、主に、鉛直荷重伝達と水平荷重伝達との間のこのような機能的な分離により、ガイドの各構成要素の間にある程度の遊びが存在するという事実によるものであり、これは、原則として回避することができない。このように、移行構造体が使用されているときに、鉛直ガイド面の領域に隙間が生じる。この遊びまたは隙間により、ガイド面の領域に縁圧縮も生じる。その結果、移行構造体内での偏った荷重伝達が生じ、これにより、滑り材料の摩耗の増加および偏りが生じる場合がある。加えて、ガイド面に間隙があるため、初期潤滑しかできず、潤滑剤の永久的な供給を保証することができない。加えて、高い局所圧縮を吸収することができる滑り材料を使用しなければならない。このため、比較的高い摩擦係数のために、比較的貧弱な滑り挙動を示す滑り材料がここで最終的に使用される。これにより、対応する移行設計の最適制御挙動よりも少ない結果がもたらされる。
【0013】
主要な水平滑り面は遊びを有していないが、荷重の組み合わせと、初期に最良に潤滑される適切な滑り材料とにより生じる隙間のため、前述の欠点はここにも適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の課題は、一方では、可能な限り単純であり、他方では、メンテナンスなしに可能な限り長く動作しかつ荷重が増加しても確実に動作し、その結果、製造中および動作中のコストおよび労力を低減することができる改善された移行設計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の課題の解決は、本発明によれば、請求項1記載の移行構造体により達成される。本発明の有利な更なる実施形態は、従属請求項2~31から得られる。
【0016】
このため、本発明による移行構造体は、主要な滑り面が、少なくとも2つの部分的な滑り面を有し、部分的な滑り面がそれぞれ、相互に角度付けされた滑り平面に配置されており、滑り平面は、スラットがトラスに対して移動することができる運動軸線を形成する共通の交差線で交わっていることを特徴とする。これに関して、少なくとも1つの滑り平面は、移行構造体の運動平面に対して斜めの角度で配置されている。本開示では、互いに斜めの配置は、対応する要素同士の互いに平行でなくかつ直交しない配置を意味すると理解される。
【0017】
主要な滑り面の2つの角度付けされた滑り面は、スラットとクロスバーとの間の鉛直荷重伝達および水平荷重伝達の機能を併せ持つ。このため、任意の鉛直荷重および運動軸線に対して横方向に作用する水平荷重を移行構造体の主要な滑り面により吸収することができる。したがって、従来から使用されていた鉛直ガイド面は、その機能が主要な滑り面により完全に果たされるため、もはや不要となる。これにより、移行構造体の設計が極めて単純化される。したがって、製造コストを下げることができる。場合によっては、限られた範囲でしか利用できない設置スペースも大幅に小さくすることができる。加えて、横方向鉛直ガイド面の省略により、ガイド間隙を設ける必要がなくなる。これにより、滑り面に侵入する汚れおよび異物の量が大幅に減る。この設計は、従来の滑り材料を橋梁支承体ための主要な滑り面に使用することができることを意味する。
【0018】
主要な滑り面の領域における連続的かつ均一な圧縮により、特に、永久潤滑された滑り材料は、ここでは、例えば、構造用支承体についての規格であるDIN EN 1337-2:2004から公知であるように、ガイドにも適している。これらは、摩擦係数が低く、特に摩耗が少ない。出願人により行われた試験では、すでに、現在の主要な滑り面における累積滑り距離において、以前では別個のガイド面よりも最大25倍高い対応する滑り材料との抵抗を確立することが可能であった。
【0019】
加えて、互いに傾斜している2つの部分的な滑り面により、運動軸線を基準としてトラスに対するスラットの連続的な自己センタリングが可能となる。このため、スラットは、常にトラスに対して最適に配置され、運動軸線に沿った生じる可能性のある縁圧縮を回避することができる。鉛直に並んだガイド面のために、支承体の遊びはもはや存在しない。
【0020】
有利には、2つの滑り平面は、移行構造体の使用状態において、主要な滑り面の領域に隙間が生じないように選択された第1の角度を含む。すなわち、移行構造体は、使用状態中の交差点の領域において、トラスとスラットとの間の全ての滑り面に隙間なしに提供される。
【0021】
移行構造体のこの領域における生じる可能性のある最大鉛直荷重と水平荷重との比は、2つの部分滑り面の互いの傾斜または第1の角度の選択により最適に調整することができる。このように、2つの部分的な滑り面の互いの傾斜を適切に選択することにより、移行構造体を使用しているときに、対応する最少鉛直荷重と組み合わされて最大水平荷重が加えられても、主要な滑り面の領域における隙間を回避することができる。同時に、主要な滑り面の領域には、可能な限り摩擦の少ない滑り材料を使用することができる。
【0022】
好ましくは、主要な滑り面は、正確に2つ、最も好ましくは、2つだけの部分的な滑り面を有する。こうして、本発明による移行構造体は、可能な限り単純である。2つの部分的な滑り面は、例えば、運動軸線の領域において1回だけ曲げられた連続した主要な滑り面を形成することができる。ここで、互いに角度付けされた2つの滑り平面に加えて、このように、2つの部分的な滑り面も運動軸線に沿って交差する。代替的には、2つの部分的な滑り面を各滑り平面において互いに分離して形成することもできる。
【0023】
好ましくは、2つの滑り平面は、交差線がトラスの長手方向軸線に対して平行に延在するように配置されている。このため、運動軸線もトラスの長手方向軸線に対して平行である。この構成により、移行構造体全体に荷重伝達に関して可能な限り均一に荷重がかけられる。さらに、スラットは、運動軸線の両方向に同一の抵抗で均一に移動することができる。
【0024】
有利には、幾つかの主要な滑り面が、トラスに沿って配置されていて、共通の運動軸線を形成している。全ての主要な滑り面の共通の運動軸線により、スラットがトラスに沿って可能な限り少ない抵抗で移動することが可能となる。加えて、トラスは、可能な限り単純な構造を有し、これにより、製造の労力およびコストを低減することができる。好ましくは、複数の主要な滑り面も共通の滑り平面を有する。こうして、トラスをその長手方向軸線に沿って均一に形成することができる。トラスの設計はさらに単純化され、製造コストが低減される。
【0025】
第1の角度は、移行構造体の最終限界状態において、主要な滑り面の領域に隙間が生じないように選択されている。移行構造体への荷重が使用状態からさらに増加すると、最終限界状態が生じる。構造設計の基礎についての規格であるDIN EN 1990:2010-12によれば、この状態は、崩壊または他の形態の構造破壊に該当する。このため、人間の安全性および/または構造体の安全性に関するこれらの限界状態も最終限界状態として分類されるべきである。このことは、この状態においても、主要な滑り面の領域に隙間が生じないことが依然として保証されるという利点を有する。
【0026】
好ましくは、トラスは、主要な滑り面の領域に少なくとも1つの滑りプレートを有する。滑りプレートは、好ましくは金属、例えば銅、鋼、アルミニウムまたはステンレス鋼から製作されている。主要な滑り面の領域に滑りプレートを取り付けることにより、トラスとスラットとの間の摩擦を低減することができる。同様に、トラスのこの領域における材料摩耗が防止される。一方、適切な摩耗後に滑りプレートを新しいものと容易に交換することができる。
【0027】
有利には、トラス自体は、対向面として滑り材料から製作されていて、好ましくは金属製である。このため、任意の滑りプレート等を主要な滑り面の領域においてトラスから省略することができる。
【0028】
好ましくは、主要な滑り面は、好ましくはPTFE、UHMWPE、POMおよび/またはPAを含む永久潤滑された滑り材料を有する。一実施形態では、滑り材料は、例えば、潤滑された滑りディスクの形態で提供され、滑りディスクは、好ましくは、潤滑剤を貯留し、均等に分配することができる少なくとも1つの潤滑ポケットを有する。このため、特に低い摩擦係数を有する滑り材料を提供することができる。滑り材料の摩耗も大幅に低減することができる。また、スラットに取り付けられた滑りパッドの形態にある滑り材料を有することも考えられるであろう。
【0029】
有利には、互いに角度付けされた少なくとも2つの部分的な滑り面は、対応する滑り平面が急勾配の屋根の形状を形成するように配置されている。急勾配の屋根は、交差線または運動軸線が急勾配の屋根の棟部を形成するように設計されている。急勾配の屋根の形状は、互いに角度付けされた少なくとも2つの部分的な滑り面の領域へのいかなる汚れおよび異物の蓄積も可能な限り回避することができるという特別な利点を有する。これは、特に、交差線または運動軸線の領域に適用される。これは、急勾配の屋根の最上点を屋根の棟部として表すためである。
【0030】
好ましくは、互いに角度付けされた少なくとも2つの部分的な滑り面は、対応する滑り平面が上下逆さまの急勾配の屋根の形状を形成するように配置されている。ここでも、急勾配の屋根は、交差線または運動軸線が急勾配の屋根の棟部を形成するように設計されている。屋根の形状が上下逆さまになっているため、スラットまたは対応する接続構成要素を、鉛直方向にさらに設置スペースを必要とせずに、運動軸線付近の最も高い荷重点でより強くすることが可能となる。このため、荷重が増加するにもかかわらず、再度設置スペースを節約することができる。
【0031】
好ましくは、互いに角度付けされた少なくとも2つの部分的な滑り面は、運動平面に対して鉛直方向に交差線を通って延在する対称平面に関して対称に形成されている。少なくとも2つの部分的な滑り面の対称配置により、運動軸線に沿ったトラスに対するスラットの自己センタリングが改善される。加えて、特に、バランスのとれた荷重印加または全ての側からの荷重伝達の場合、トラスに対するスラットの変位のための条件が、運動軸線に沿った両方向において可能な限り等しいと有利である。加えて、移行構造体は、設計が単純であり、このため、製造がコスト的に有利である。代替的には、第1の角度および予想される荷重比に応じて、摩擦および耐久性のために最適な表面圧力が確立されるように、2つの部分的な滑り面の断面積を異なるサイズに設計することもできる。
【0032】
有利には、少なくとも1つの滑り平面は、運動平面に対して10度~60度、好ましくは45度の第2の角度だけさらに傾斜している。特に、第2の角度がより急であるほど、それに応じて、各角度付けされた部分的な滑り面により、高い水平荷重を運動軸線に対して横方向に吸収することができる。同時に、それにもかかわらず、主要な滑り面の領域に摩擦値の低い滑り材料を使用することが可能となる。これにより、一方では、主要な滑り面の領域に隙間が生じることが防止される。他方では、運動軸線に沿ったトラスに対するスラットの移動が可能な限り少ない抵抗で保証される。異なる滑り平面は、同一の第2の角度を有することができる。また、移行構造体を異なる荷重効果に適合させるために、異なる第2の角度を使用することも可能である。
【0033】
好ましくは、第1の角度は、60度~160度、好ましくは90度である。特に、第1の角度がより鋭角であるほど、それに応じて、各角度付けされた部分的な滑り面により、高い水平荷重を運動軸線に対して横方向に吸収することができる。同時に、それにもかかわらず、主要な滑り面の領域に摩擦値の低い滑り材料を使用することが可能となる。これにより、一方では、主要な滑り面の領域に隙間が生じることが防止される。他方では、それにより、スラットが可能な限り少ない抵抗で運動軸線に沿ってトラスに対して移動することが保証される。
【0034】
好ましくは、移行構造体は、スラットとトラスとの少なくとも1つの交差点を有し、交差点において、トラスとスラットとの間に、好ましくは運動平面に対する鉛直軸線を中心として回転可能である、支持プレートを有する滑り支承体が配置されており、主要な滑り面は、トラスと支持プレートとの間に延在している。スラットとトラスとの間の滑り支承体を介して、鉛直荷重と水平荷重とを支持プレートを介して選択的に伝達することができる。滑り支承体が、回転可能な滑り支承体であれば、スラットは、交差点でトラスに対するねじり運動および滑り運動の両方を行うことができる。この場合、可能な限り少ない抵抗で、鉛直軸線を中心とする回転可能性により、運動学的な制御の原理が可能となる。
【0035】
好ましくは、支持プレートは、主要な滑り面が、加えられた荷重の大きさに応じて、運動平面に対して水平である少なくとも1つの部分的な滑り面を有するように変形可能であるように設計されている。滑り平面が急勾配の屋根の形状を形成する場合、高い曲げ応力が支持プレートに発生する。系の耐荷力は、支持プレートがそれに応じて変形させられるときにのみ適用されるかまたは形成される更なる水平な部分的な滑り面を追加することにより向上させることができる。
【0036】
有利には、支承体は、基礎プレートを有し、基礎プレートを介して、滑り支承体は、スラットに固定されている。好ましくは、スラットまたは基礎プレートは、第1のトラニオンを有し、第1のトラニオンにより、滑り支承体は、スラットに回転可能に取り付けられる。基礎プレートにより、滑り支承体を可能な限り安定であるように設計することができる。一方、第1のトラニオンにより、その鉛直軸線を中心とする滑り支承体の適切な回転が可能となる。
【0037】
有利には、滑り支承体は、支持プレートと基礎プレートとの間に配置されたエラストマー層をさらに有する。エラストマー層により、基礎プレートと支持プレートとの間に柔軟な緩衝機能が提供される。このため、例えば、エラストマー層により、基礎プレートが支持プレートに対して変位し、傾斜しかつ/またはねじじれることも可能となる。こうして、トラスとスラットとの間の小さな移動を補償することができる。加えて、エラストマー層は減衰特性を有する。
【0038】
好ましくは、滑り支承体は、支持プレートと基礎プレートとの間の平面に配置された少なくとも1つの剪断面を有し、平面は、互いに角度付けされた部分的な滑り面の滑り平面に対して斜めの角度で配置されている。好ましくは、滑り支承体は、交差点における互いに角度付けされた部分的な滑り面の数と同じ数の滑り平面を有する。エラストマー層が使用される場合、これは、少なくとも剪断面の領域に配置される。部分的な滑り面とスラスト面との異なる傾斜により、適応挙動の最適調整が可能となる。これは、特に、エラストマー層と、互いに角度付けされた部分的な滑り面の滑り平面とを上下逆さまの急勾配の屋根の形状で配置する場合である。
【0039】
有利には、移行構造体は、少なくとも1つの交差点の領域に、スラットに配置されていて、滑り材料を有する付勢ユニット、好ましくは、滑りばねを有するブラケットを備える。ブラケットおよび付勢ユニットは、スラットがトラスに対して交差点で付勢されて変位可能であり、かつ/または運動平面に対する鉛直軸線を中心として回転可能に取り付けられているように設計されている。主に、付勢ユニットにより、滑り平面の領域で浮き上がりを生じさせることなく、水平荷重を吸収するのに十分な鉛直荷重を形成することができることが保証される。さらに、付勢ユニットを、トラスに対するスラットの移動を調整するために使用することができる。最後に、スラットは、スラットとトラスとの間の更なる接続点により、トラスに対してさらに正確に位置決めすることができる。
【0040】
好ましくは、付勢ユニットは、主要な滑り面に沿ったトラスに対するスラットの運動に対してガイドニュートラルであるように設計されている。好ましくは、付勢ユニットは鉛直ガイド面を有していない。したがって、この場合、トラス長手方向軸線に対して横方向に向いた付勢ユニットに作用する水平荷重も存在しない。この場合、スラットは、互いに角度付けされた主要な滑り面の部分的な滑り面によってのみ運動軸線に沿ってトラスに対してガイドされる。ガイド面の省略により、鉛直軸線を中心としたトラスの回転運動が、付勢ユニットの滑り面を介して可能となる。また、付勢荷重と、滑り支承体上の2つの角度付けられた部分的な滑り面の間の第1の角度とを適切に選択することにより、使用状態において、滑り支承体に隙間が生じることを防止することも可能である。これにより、滑り抵抗が低減され、付勢ユニットを低コストで製造することができる。
【0041】
有利には、ブラケットは、第2のトラニオンを有し、第2のトラニオンを介して、付勢ユニットは、ブラケットに回転可能に取り付けられている。第1のトラニオンおよび第2のトラニオンは、共通の回転軸線を形成しており、その結果、スラットは、交差点において、トラスに対して回転軸線を中心として回転可能に取り付けられている。第1のトラニオンと第2のトラニオンとの相互作用により、スラットが、交差点において、トラスに対して正確に回転することが可能となる。第2のトラニオンは、特に、付勢ユニットが任意のガイド面を有する場合に使用される。
【0042】
好ましくは、付勢ユニットの滑り材料は、好ましくはPTFE、UHMWPE、POMおよび/またはPAを含む永久潤滑された滑り材料を備える。一実施形態では、滑り材料は、例えば、潤滑された滑りディスクの形態で提供され、滑りディスクは、好ましくは、潤滑剤を貯留し、均等に分配することができる少なくとも1つの潤滑ポケットを有する。これにより、特に低い摩擦係数を有する滑り材料が提供される。滑り材料の摩耗も大幅に低減することができる。
【0043】
好ましくは、付勢ユニットは、付勢ユニットを設置された状態で付勢するためのねじを有する。例えば、この目的で、ねじは、ブラケットに係合する。代替的には、付勢ユニットは、設置された状態で所定の付勢寸法に付勢されかつ解放されて設置することができるように設計されている。これにより、望ましい付勢寸法を可能な限り単純かつ柔軟に設定することが可能となる。
【0044】
有利には、移行構造体は、少なくとも1つのトラスボックスを有し、トラスボックス内に、トラスの一方の端部が変位可能にかつ/または回転可能に取り付けられている。原則として、このようなトラスボックスは、構造体部材の領域において、トラスの各取付け点に配置されていて、特に、トラスのいかなる種類の運動に対しても緩衝空間を提供している。こうして、構造体の2つの部材の互いのあらゆる運動を補償することができる。
【0045】
好ましくは、トラスの端部は、少なくとも1つの孔を有し、トラスボックスは、少なくとも1つのトラニオンを有し、トラニオンを介して、トラスの端部は、トラスボックス内に回転可能に取り付けられている。また、トラスボックスが、少なくとも1つの孔を有し、トラスの端部が、それに応じてトラスを支持するために、少なくとも1つのトラニオンを有することも可能であろう。両方の場合において、トラスは、トラスボックス内で可能な限り単純かつ効率的に支持される。
【0046】
好ましくは、トラスボックスは、トラスの上方に配置された上側の滑り支承体を有し、上側の滑り支承体とトラスとの間に、上記されたように設計された主要な滑り面が配置されている。上側の滑り支承体の助けを借りて、トラスの運動をトラスボックス内で正確にガイドすることができる。有利には、上側の滑り支承体は、滑りばねである。滑りばねは、下側の滑り支承体に対してトラスを付勢し、こうして、トラスボックス内のトラスの運動の自由度を調整するための付勢ユニットとして機能する。下側の滑り支承体は、いかなるガイド機能も果たさない。滑りばねは、トラスがトラスボックス内で浮き上がることを防ぐ。上記された本発明による主要な滑り面の利点は、それに応じて適用される。
【0047】
有利には、上側の滑り支承体は、トラスボックスにさらに回転可能に取り付けられている。この目的で、上側の滑り支承体または対応する滑りばねは、好ましくは、トラスボックス内に固定されるトラニオンを備える。このため、トラスの支持点において、トラスの変位と回転との両方を可能にすることができる。また、トラスは、回転運動のみが可能であり、一方で、滑り運動が防止されるように、下方にある構造支承体に対して付勢されることも考えられるであろう。
【0048】
有利には、移行構造体は、一般的な道路移行のためのスイベルトラス設計である。この場合、スラットは、スイベル道路トラスに対して変位させかつ回転させることができるように取り付けられ、そのうちの幾つかは、所定の角度で配置されている。これにより、移行構造体が構造継ぎ目の異なる寸法および変動する荷重効果に特に柔軟に適応することができるように、有利な運動学的な制御の原理が発生させられる。
【0049】
代替的には、移行構造体は、鉄道橋建設におけるガイドまくらぎ設計として設計することもできる。ガイドまくらぎ設計は、本質的には、スイベルトラス設計の運動学的な制御の原理に基づいている。加えて、構造継ぎ目を横切る鉄道軌道をガイドするように設計されている。この場合、例えば、スラットを変位可能なまくらぎとして設計することができる。代替的には、まくらぎをスラットに配置することも考えられるであろう。
【0050】
有利には、複数の、好ましくは、2つの主要な滑り面が、トラスとスラットとの間に配置されており、その運動軸線は互いに異なる。これにより、スラットとトラスとの間の主要な滑り面全体を非常に容易な方法で増加させることが可能となる。このため、主要な滑り面全体が、移行構造体に作用するさらに高い荷重に対して設計されている。隙間のリスクはさらに低減される。加えて、複数の運動軸線により、スラットをトラスに対してさらに正確にガイドすることができる。
【0051】
運動軸線が互いに平行に延在していて、好ましくは、移行構造体の運動平面または運動平面に対して平行な平面に配置されていると有用である場合がある。運動軸線の互いの平行度は、主要な滑り面における摩擦または縁圧縮の増加を回避することができることを意味する。その結果、スラットをトラスに対して可能な限り少ない抵抗で移動させることができる。同じことが、移行構造体の運動平面に対する運動軸線の有利な配置に適用される。加えて、移行構造体は、特に単純な設計を有する。
【0052】
ここで、以下に本発明の有利な実施形態を図面を参照しながら概略的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の第1の実施形態による移行構造体の側面図である。
【
図2】第2の実施形態による移行構造体の部分の斜視図である。
【
図3】
図2に示した移行構造体の概略的な下面図である。
【
図4】図に示した移行構造体のトラスとのスラットの交差点の側面図および分解図である。1および2。
【
図6】本発明の第3の実施例による移行構造体のトラスとのスラット交差部の側面図および分解図である。
【
図8】第4の実施形態による移行構造体の交差点Kの一部である。
【
図9】第5の実施形態による移行構造体の交差点Kの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
様々な実施形態における同一の構成要素には、同一の参照符号が付してある。
【0055】
図1に、特に有利な実施形態による移行構造体10Aの概略構造を示す。移行構造体10Aは、構造体12の2つの構造体部材12aと12bとの間に配置され、このため、2つの構造体部材12aと12bとの間の構造継ぎ目14を橋渡しする3つのトラス16を有する。これに関して、トラス16はそれぞれ、その端部において、移行構造体10Aのトラスボックス18内に支持されている。このため、移行構造体10Aは、構造体12の対応する構造体部材12aおよび12bの構造体縁に形成された、合計6つのこのようなトラスボックス18を有する。図示の移行構造体10Aは、旋回トラス構造体として形成されている。このため、トラス16は全て、ここでは、各トラスボックス18内に回転可能かつ長手方向に滑り可能に支持されている。このような支持点は、例えば、トラス16の下方に配置された下側の滑り支承体52と、トラス16の上方に配置された上側の滑り支承体50とにより実現することができる。上側の滑り支承体50は、その鉛直軸線を中心として回転することができる滑りばねとして設計されている。トラス16は、構造体部材12a上のトラスボックス18内に、小さな遊びのみでその長手方向に変位可能となるように取り付けられている。これにより、トラス16の回転運動を補償することが可能となる。また、トラス16の一方の端部は、単純に回転可能であるが、トラスボックス18内に位置不変に保持されることも可能であろう。例えば、トラス16は、孔を有する場合があり、それに応じて、トラスボックス18は、トラス16の端部を支持するトラニオンを有する場合がある(図示せず)。
【0056】
さらに、移行構造体10Aは、9つのスラット20および2つの縁スラット20aを有し、2つの縁スラット20aは、対応するトラスボックス18に固定的に接続されている。スラット20および縁スラット20aは、間隔を置いて配置されており、トラス16上に滑り可能に取り付けられている。このため、スラット20とトラス16との各交差点Kにおいて、主要な滑り面22は、2つの構成要素の間に位置する。この実施形態では、主要な滑り面22は、交差点Kにおいて、スラット20がトラス16の長手方向軸線に沿ってそれに対して移動することが可能となるように構成されている。加えて、スラット20は、交差点Kにおいて、トラス16に対して鉛直軸線Vを中心として回転可能に取り付けられている。この目的で、回転可能な滑り支承体24は、各交差点Kにおいて、スラット20とトラス16との間に配置されている。滑り支承体24は、スラット20の上側に回転可能に取り付けられ、トラス16の下側に載置されている。このため、主要な滑り面22は、ここでは、滑り支承体24とトラス16との間に延在する。
【0057】
図2および
図3に、第2の実施形態による移行構造体10Bの一部の斜視図を示す。移行構造体10Bは、第1の実施形態の移行構造体10Aと実質的に同じである。同一の構成要素については、以下ではさらには検討しないものとする。
【0058】
移行構造体10Bは、3つのスラット20と2つの縁スラット20aとのみを有する点でのみ異なる。特に、
図3の下面図から分かるように、この実施形態では、中央のトラス16は、構造継ぎ目軸線に対して直角に取り付けられ、このため、スラット20および縁スラット20aに対しても直角に取り付けられている。一方、2つの外側のトラス16は、スラット20および縁スラット20aに対して所定の角度で位置合わせされている。
【0059】
図4および
図5では、スラット20とトラス16との交差点Kを例としてより詳細に示す。特に
図5から分かるように、滑り支承体24は、基礎プレート26と、支持プレート28と、それらの間のエラストマー層30とを含む。基礎プレート26は、第1のトラニオン32を含み、それにより、滑り支承体24は、スラット20に取り付けられて、回転の鉛直軸線Vを中心として回転可能となっている。代替的には、スラット20が、トラニオン32(図示せず)を含んでもよい。一方、支持プレート28は、実際の主要な滑り面22が支持プレート28とトラス16との間に位置するように横断部材16上に載置されている。
【0060】
主要な滑り面22は、2つの部分的な滑り面22aおよび22bを含み、それぞれ、互いに角度付けされた滑り平面34aおよび34bに配置されている。これに関して、2つの滑り平面34aおよび34bは、スラット20がトラス16に対して移動することができる運動軸線Aを形成する共通の交差線Sで交わっている。この2つの滑り平面34a,34bは、移行構造体10A,10Bの運動平面Bに対して斜めの角度で配置されている。交差点Kにおいて、運動平面Bは、運動軸線Aと、スラット20の長手方向軸線Lに対して平行な線とによって展開されている。この実施形態では、運動平面Bは、水平に対応する。したがって、ここに記載された構成要素の水平整列および鉛直整列ならびに荷重作用は全て、運動平面Bにも関係する。2つの滑り平面34aおよび34bは、交差線Sがトラス16の長手方向軸線に対して平行になるように配置されている。これにより、スラット20は、運動軸線Aの両方向に沿ってトラス16に対して均一に移動することが可能となる。
【0061】
2つの部分的な滑り面22aおよび22bは、対応する滑り平面34aおよび34bが急勾配の屋根の形状を形成するように配置されている。ここで、運動軸線Aは、急勾配の屋根の棟部と理解されたい。さらに、2つの部分的な滑り面22aおよび22bは、同じサイズのものであり、鉛直方向に交差線Sを通る対称平面Eに対して互いに対称に形成されている。また、2つの部分的な滑り面22aおよび22bを、それぞれの場合で異なる荷重に対して設計するために、異なった寸法にすること(図示せず)も考えられるであろう。
【0062】
加えて、主要な滑り面22は、スラット20とトラス16との間の摩擦を減少させるための滑り材料36を含む。本事例では、支持プレート28は、この目的で、2つの部分的な滑り面22aおよび22bそれぞれの領域に滑りパッド36aおよび36bを含む。滑りパッド36aおよび36bは両方とも、永久潤滑された滑り材料、例えば、PTFEを含む。また、ここでは、UHMWPE、POMおよび/またはPAを使用することも可能である。加えて、トラス16は、2つの部分的な滑り面22aおよび22bそれぞれの領域にステンレス鋼製の滑りプレート38aおよび38bを含む。このため、2つの滑りパッド36aおよび36bは、滑りプレート38aおよび38b上に載置されていて、それらに沿って滑る。これにより、支持プレート28とトラス16との間の摩擦および滑り材料36の摩耗を低減することができる。代替的には、予め作製された潤滑ポケットを有する潤滑されたポリマー滑りディスクをここで使用することができる。例えば、トラス16は、金属製の滑り材料から製作されていてもよい。この場合、2つの滑りプレート38aおよび38bを省略することもできる。
【0063】
主要な滑り面22または2つの部分的な滑り面22aおよび22bの特別な配置により、鉛直荷重伝達および水平荷重伝達の機能的な組み合わせが可能となる。一方、鉛直荷重を、2つの部分的な滑り面22aおよび22bを介して吸収し、スラット20からトラス16に伝達することができる。同じことが、運動軸線Aに横方向に方向づけられた水平荷重に適用される。このため、一方で、これらを、2つの部分的な滑り面22aおよび22bにより吸収し、それに応じて、スラット20とトラス16との間で伝達させることもできる。
【0064】
吸収可能な鉛直荷重と運動軸線Aに対して横方向の水平荷重との比を、2つの部分的な滑り面22aおよび22bまたは対応する2つの滑り平面34aおよび34bの傾斜により調整することができる。このため、両方の滑り平面34aおよび34bは、移行構造体10A,10Bの使用状態において、主要な滑り面22の領域に隙間が生じないように選択された第1の角度αを含む。第1の角度αは、移行構造体10A,10Bの最終限界状態にあっても、主要な滑り面22の領域に隙間が生じないようにすら選択される。この実施形態では、第1の角度αは、90度である。ただし、移行構造体10A,10Bが、より小さい大きさの水平荷重で設計されるべきである場合には、より鈍角の第1の角度αを使用することもできる。
【0065】
代替的にまたは付加的に、2つの滑り平面34aおよび34bの傾斜は、移行構造体10A,10Bの運動平面Bに対するそれらの交差角によっても示すことができる。このため、両方の滑り平面34aおよび34bは、運動平面Bに対して第2の角度βだけ下方に角度付けられるかまたは傾斜している。本実施形態では、両方の滑り平面34aおよび34bは、ここでは、45度である同じ第2の角度βを有する。ただし、より小さい大きさの水平荷重の場合には、幾らか平坦な第2の角度βも選択することができる。
【0066】
さらに、移行構造体10A,10Bは、交差点Kの領域に付勢ユニット42を有するブラケット40を有する。このブラケット40は、スラット20に取り付けられている。さらに、ブラケット40および付勢ユニット42は、スラット20が交差点Kにおいてトラス16に対して付勢ユニット42により付勢され、変位可能でありかつ鉛直軸線Vを中心として回転可能であるように構成されている。この実施形態では、付勢ユニット42は、滑りばねとして設計されている。滑りばねは、トラス16の下側に取り付けられており、その結果、水平な滑り面44が、滑りばねとトラス16との間に位置する。ただし、滑りばねは、ガイド面を何ら有さない。これにより、鉛直軸線Vを中心とした回転運動が可能となる。
【0067】
水平な滑り面44の領域では、滑りばねは、PTFEを有する潤滑された滑りディスクの形態にある滑り材料46を含む。ただし、UHMWPE、POMおよび/またはPAの使用も考えられるであろう。さらに、滑りディスクは、潤滑剤を貯留し、水平な滑り面44の領域に均等に分布させることができる幾つかの予め作製された潤滑ポケットを有する。
【0068】
さらに、ブラケット40は、剛性の接続要素48Aを含む。接続要素48Aは、代替的には、第2のトラニオン48Bとして形成されてもよく、それを介して、滑りばねは、ブラケット40に回転可能に取り付けられている。これは、例えば、付勢ユニット42が水平な滑り面44に隣接する任意のガイド面を有する場合に有利である。この場合、滑り支承体24の第1のトラニオン32とブラケット40の第2トラニオン48Bとが、共通の回転軸線Dを形成する。その結果、スラット20は、回転軸線Dを中心として、ひいては、鉛直軸線Vを中心として、トラス16に対して交差点Kにおいて回転可能となるように取り付けられている。このため、予荷重もかかわらず、滑り支承体24により提供されるスラット20とトラス16との自由度は、これ以上制限されない。
【0069】
本実施形態では、主要な滑り面22は、トラス16に沿った全ての交差点Kにおいて、共通の運動軸線Aを形成している。加えて、対応する部分的な滑り面22aおよび22bは、同じ滑り平面34aおよび34bに存在する。このため、トラス16はその長手方向軸線に沿って滑り領域において一定の断面を有する。これにより、移行構造体10A,10Bの構造を単純にし、製造コストを低減することができる。
【0070】
支持プレート28は、高い荷重が加えられた場合に変形可能なように設計されている。このため、十分に高い荷重が支持プレート28に加えられると、その水平区分が、トラス16の水平区分に接触する。その結果、主要な滑り面22は、支持プレート28とトラス16との間に更なる水平で部分的な滑り面22cを有する。
【0071】
また、本発明による主要な滑り面22の利点をトラスボックス18内のトラス16の支承体にも適用することができる。さらに上記言及されたように、トラス16は、上側の滑り支承体50または対応する滑りばねおよび下側の滑り支承体52を介して、各トラスボックス18内に受容される。このため、トラス16を滑りばねにより下側の滑り支承体に対して付勢することができる。滑りばねをトラスボックス18の天井にトラニオンを介して回転可能に取り付けることができる。ただし、この実施形態では、トラニオンは、トラスボックス18の天井に隣接する縁スラット20aの下側に取り付けられている。加えて、滑りばねはトラス16上に載置されている。このため、滑りばねとトラス16との間に、前述のような別の主要な滑り面が存在する。
【0072】
図6および
図7に、本発明の第3の実施形態による移行構造体110のスラット120とトラス116との交差点Kを示す。移行構造体110は、第2の実施形態の移行構造体10Bと実質的に同じである。同一の構成要素については、以下ではさらには検討しないものとする。
【0073】
ただし、移行構造体110は、スラット120または滑り支承体124とトラス116との間の主要な滑り面122が異なって構成されている点で、第2の実施形態の移行構造体10Bとは異なる。ここで、互いに角度付けられた2つの部分的な滑り面122aおよび122bは、対応する滑り平面134aおよび134bが上下逆さまの急勾配の屋根の形状を形成するように配置されている。ここでも、運動軸線Aは、急勾配の屋根の棟部を形成する。主要な滑り面122の領域に配置された構成要素、例えば、滑りプレート138aおよび138bならびに滑りパッド136aおよび136bの設計は、それに応じて適応させられている。同じことが、滑り支承体124の構成要素、例えば、基礎プレート126、エラストマー層130および支持プレート128に適用される。ただし、それらの基本的な機能は、上記されたとおりである。
【0074】
この実施形態の利点は、本質的には、第2の実施形態の利点に対応する。加えて、滑り支承体124を、鉛直方向にさらに設置スペースを必要とせずに、回転軸線Dの領域における最も応力の大きい中心で周辺領域よりも強くなるように設計することができる。さらに、この実施形態では、ゼロトルク点、すなわち、付勢ユニット42または滑りばねおよび滑り支承体124における滑り面に対して直角の3つの荷重の交差点が、スラット120の高さまで上方にシフトされる。これにより、交差点Kにおけるねじり剛性が改善される。
【0075】
図8に、本発明の第4の実施形態による移行構造体210のスラット120とトラス116との交差点Kの一部を示す。移行構造体210は、第3の実施形態の移行構造体110と実質的に同じである。同一の構成要素については、以下ではさらには検討しないものとする。
【0076】
ただし、移行構造体210は、異なる滑り支承体224を有する点で異なる。ここでは、支持プレート228は、2つの部材で形成されている。加えて、滑り支承体224は、2つの剪断面254および256を有し、それぞれ、支持プレート228と基礎プレート226との間の平面258および260に配置されている。これに関して、2つの平面258および260は、互いに角度付けられた部分的な滑り面122aおよび122bの滑り平面134aおよび134bに対して斜めの角度で配置されている。
【0077】
図9に、本発明の第5の実施形態による移行構造体310のスラット120とトラス116との交差点Kの一部を示す。移行構造体310は、第3の実施形態の移行構造体110と実質的に同じである。同じ構成の構成要素については、以下ではさらには検討しないものとする。さらに、明瞭にするために、図中の滑り支承体、トラスおよび関連する滑り面の全ての詳細が記載されているわけではない。
【0078】
移行構造体310は、上記された2つの主要な滑り面122がトラス116とスラット120との間に並んで配置されている点で、第3の実施形態の移行構造体110と異なる。特に、2つの主要な滑り面122は、同一に形成されている。このため、2つの主要な滑り面122の各部分的な滑り面122aおよび122bは、各滑り平面134aおよび134bが上下逆さまの急勾配の屋根の形状を形成するように配置されている。この場合、2つの主要な滑り面122の2つの交差線Sと2つの運動軸線Aとは、それぞれ互いに異なる。この実施形態では、2つの運動軸線Aは、互いに平行である。さらに、2つの運動軸線Aは、移行構造体310の運動平面Bに配置されている。更なる主要な滑り面122により、移行構造体310の交差点Kにおける主要な滑り面全体の間隙のリスクがさらに低減される。同時に、スラット120は、運動平面Bにおける2つの運動軸線A相互の平行配置に起因して、トラス116に対して可能な限り少ない抵抗で交差点Kにおいて移動することができる。
【0079】
本発明による移行構造体は、代替的には、鉄道橋建設のためのガイドまくらぎ設計として設計することができる。ここでも、記載されたスイベルトラス設計の基本原理が適用される。
【符号の説明】
【0080】
10A,10B,110,210,310 移行構造体、12 構造体、12a 第1の構造体部材、12b 第2の構造体部材、14 構造継ぎ目、16,116 トラス、18 トラスボックス、20,120 スラット、20a 縁スラット、22,122 主要な滑り面、22a,122a 部分的な滑り面、22b,122b 部分的な滑り面、22c 部分的な滑り面、24,124,224 滑り支承体、26,126,226 基礎プレート、28,128,228 支持プレート、30,130 エラストマー層、32 第1のトラニオン、34a,134a 滑り平面、34b,134b 滑り平面、36 滑り材料、36a,136a 滑りパッド、36b,136b 滑りパッド、38a,138a 滑りプレート、38b,138b 滑りプレート、40 ブラケット、42 付勢ユニット、44 水平な滑り面、46 滑り材料、48A 接続要素、48B 第2のトラニオン、50 上側の滑り支承体、52 下側の滑り支承体、254 剪断面、256 剪断面、258 平面、260 平面、A 運動軸線、B 運動平面、D 回転軸線、E 対称平面、S 交差線、K 交差点、L 長手方向軸線、V 鉛直軸線、α 第1の角度、β 第2の角度。