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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】機能化及び封止された部品
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/68 20060101AFI20240329BHJP
   B62D 29/04 20060101ALI20240329BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20240329BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240329BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B29C70/68
B62D29/04 A
B62D25/08 D
B62D25/20 N
B29C45/14
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022554662
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021056033
(87)【国際公開番号】W WO2021180778
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102020106868.9
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ヒュッツェン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・シギア
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/211866(WO,A1)
【文献】特開2003-260720(JP,A)
【文献】特表2020-516492(JP,A)
【文献】特表2023-503106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29C 45/00-45/84
B29C 65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントエンドモジュールキャリア、シート構造、ドアシステム、燃料タンクハウジング、車両下部構造、アンダーライドガード、バッテリシステムの構造部品、又はバッテリハウジングに適した部品(1)であって、前記部品が第1の剛性を有する平形補強コンポーネント(2)と、第2の剛性を有するアタッチメント材料からなる少なくとも1つの平形アタッチメント(3)と、を備え、前記第1の剛性が前記第2の剛性よりも高く、前記平形補強コンポーネントが上面と下面とを有し、前記アタッチメント(3)は、前記平形補強コンポーネント(2)の第1の部分領域において少なくとも前記平形補強コンポーネント(2)の前記上面又は下面と接続されており、
前記部品(1)が平形縁材(300)を備え、前記平形縁材(300)の組成が前記アタッチメント材料の組成に相当し、
前記補強コンポーネント(2)は、第1の短辺側面(500a)に第1の端(400)を有し、前記縁材(300)は、第2の短辺側面(700a)に、2つのストリップ(800、900)に分割された第2の端(600)を有し、前記第2の端(600)の2つの前記ストリップ(800、900)は、取り囲み領域(U)において前記第1の端(400)を両側から取り囲む
部品。
【請求項2】
前記補強コンポーネント(2)がプラスチック、熱可塑性又は熱硬化性の種類の繊維複合材、金属板、あるいは木板であることを特徴とする、請求項1に記載の部品(1)。
【請求項3】
前記アタッチメント材料が射出成形材料、特に熱可塑性の種類の射出成形材料、又は衝撃押出成形材料、特に熱可塑性又は熱硬化性の種類の衝撃押出成形材料であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の部品(1)。
【請求項4】
前記平形補強コンポーネント(2)は、前記平形補強コンポーネント(2)の前記上面から前記下面への少なくとも1つの穿孔(4)を有し、少なくとも1つの前記平形アタッチメント(3)が少なくとも1つの前記穿孔(4)を覆うことを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記平形アタッチメント(3)が、少なくとも1つの前記穿孔(4)を充填する素材結合的に接続された延長部(5)を有することを特徴とする、請求項4に記載の部品(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記平形アタッチメントと前記平形補強コンポーネント(2)との重なり領域の長さが、前記平形補強コンポーネント(2)の肉厚の少なくとも2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、又は4.0倍であることを特徴とする、請求項4又は請求項5のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記平形アタッチメント(3)と前記平形補強コンポーネント(2)との前記重なり領域の前記長さが、少なくとも1つの前記穿孔(4)の直径の2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、又は4.5倍であることを特徴とする、請求項6のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記アタッチメント(3)が、素材結合的に接続されたチャネル(6)を有し、前記チャネルが、前記アタッチメントを前記平形補強コンポーネント(2)の縁と接続するとともに、前記平形補強コンポーネント(2)の第2の部分領域に設けられていることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項9】
前記チャネル(6)は、少なくとも1回枝分かれされ、各枝分かれの部分チャネルがそれぞれ1つの別のアタッチメント(3)と接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の部品(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記アタッチメント(3)の高さが、前記平形補強コンポーネント(2)の肉厚の0.5倍~1.5倍であることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項11】
前記部品(1)は、少なくとも2つのアタッチメント(3)を備え、少なくとも2つの前記アタッチメント(3)のうちの少なくとも1つが前記第1の部分領域において前記平形補強コンポーネント(2)の前記上面と接続され、少なくとも2つの前記アタッチメント(3)のうちの少なくとも1つが前記第1の部分領域、又はさらに別の部分領域において前記平形補強コンポーネント(2)の前記下面と接続されていることを特徴とする、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項12】
請求項4~請求項7のいずれか1項に記載の部品(1)と機能コンポーネント(7、8)とを備える機能部品であって、前記機能コンポーネント(7、8)又は機能コンポーネント(7、8)の一部が穿孔(4)に設けられ、前記アタッチメント(3)の前記アタッチメント材料によって前記穿孔(4)の壁に対して封止されている、機能部品。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の部品(1)と少なくとも1つの機能コンポーネント(7、8)とを備える機能部品であって、少なくとも1つの前記機能コンポーネント(7、8)が少なくとも1つのアタッチメント(3)と接続されている、機能部品。
【請求項14】
前記機能部品が、少なくとも2つの機能コンポーネント(7、8)と請求項12に記載の少なくとも2つのアタッチメントとを備え、少なくとも2つの前記機能コンポーネント(7、8)のうちの少なくとも1つが、前記平形補強コンポーネント(2)の上面で少なくとも1つの前記アタッチメントと接続され、少なくとも2つの前記機能コンポーネント(7、8)のうちの少なくとも1つが前記平形補強コンポーネント(2)の下面で前記アタッチメントと接続されている、請求項13に記載の機能部品。
【請求項15】
前記機能コンポーネント(7、8)との接触箇所での少なくとも1つの前記アタッチメント(3)の半径が、前記接触箇所での前記機能コンポーネント(7、8)の半径より少なくとも5mm大きい、請求項13又は請求項14に記載の機能部品。
【請求項16】
請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の部品(1)、又は請求項12請求項15のいずれか1項に記載の機能部品を備える、フロントエンドモジュールキャリア、シート構造、ドアシステム、燃料タンクハウジング、車両下部構造、アンダーライドガード、バッテリシステムの構造部品、又はバッテリハウジング。
【請求項17】
請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の部品(1)を製造する方法であって、
a.補強コンポーネント(2)を少なくとも2分割の型内に提供することと、
b.前記型にアタッチメント材料を導入することと、
c.前記型内で射出成形又は衝撃押出成形によって部品を形成することと、
d.開いた前記型から得られた前記部品(1)を取り出すことと、を包含する方法。
【請求項18】
請求項12請求項15のいずれか1項に記載の機能部品を製造する方法であって、
a.請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の部品(1)を提供することと、
b.アタッチメントが塑性範囲になるまで前記アタッチメントを加熱することと、
c.前記アタッチメントに機能コンポーネントを接合することと、を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自動車分野において、繊維複合材料は、部品の重量を減らし、部品の性能を向上させるためにますます使用されている。射出成形法で製造される高負荷の部品のためのアプローチの1つは、熱可塑性エンドレス繊維強化半製品(いわゆるオルガノシート)を1段で成形して背面射出成形(いわゆる「インモールド成形」)することである。衝撃押出成形法(Fliesspressverfahren)でも相応の措置が可能である。これらの技術は、エンドレス繊維強化繊維複合プラスチック(FVK)の優れた機械的特性を、高い経済性と射出成形法若しくは衝撃押出法による機能化の可能性とを組み合わせるものである。既存の製品用途は、とりわけフロントエンドモジュールキャリア、シート構造、ドアシステム、車両下部構造、又はアンダーライドガード、そしてさらに燃料タンクシステム及びバッテリハウジングシステムである。
【0002】
補強コンポーネントとして機能するこのような半製品を使用する場合に2つの問題が発生する子脳性があることが発明者らによって確認された。
【0003】
一方では、補強コンポーネントが溶接の可能性を提供しないか、若しくはオルガノシートが通常、例えば熱板溶接などの直接溶接法では良好な結合性を示さない、低マトリックスの縁層(及び縁層における繊維割合が高い)を有するということである。
【0004】
他方では、部品の製造時にオルガノシートに保持穴が生じるか、又はオルガノシートの輸送/取り扱い時に、ニードルグリッパなどの把持工具によってオルガノシートに穿孔(Durchbrueche)が生じる可能性があるということである。このことは、オルガノシートが後から、例えばシステムの密閉性が必要な燃料システム又はバッテリハウジングなどのシステムの構成要素となる場合、オルガノシートを使用する際に不利になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決するために、添付の特許請求の範囲に定義された部品、及びこの部品を製造する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の剛性を有する平形補強コンポーネント(2)と、第2の剛性を有するアタッチメント材料からなる少なくとも1つの平形アタッチメント(3)と、を備える部品であって、第1の剛性が第2の剛性よりも高く、平形補強コンポーネントが上面と下面とを有し、少なくとも1つのアタッチメント(3)は、第1の部分領域において少なくとも平形補強コンポーネント(2)の上面又は下面で平形補強コンポーネント(2)と接続されている部品に向けられている。
【0007】
アタッチメントは、その上に機能コンポーネントなどの追加のコンポーネントを載置若しくは溶接できるという利点を提供する。さらに、アタッチメントは、平形補強コンポーネントにおける止まり孔、及び非止まり孔などの穿孔がある場合に、補強コンポーネントを封止するため、又は補強コンポーネントにおけるアタッチメントの固着をさらに改善するために使用できるという利点を提供する。
【0008】
本発明の意味における「平形」とは、物体が一面に延在し、その垂直方向の広がりがその水平方向の広がりに比べてかなり小さいことを意味する。平形の物体は、その水平方向の広がりの端に1つ又は複数の短辺側面(Schmalseite)を有し、これらの短辺側面は、水平方向に延在する上面と下面とによって囲まれる。
【0009】
本発明の意味における剛性は、伸び剛性、せん断剛性、曲げ剛性及び/又はねじり剛性である。第1の剛性が第2の剛性よりも高いということは、平形補強コンポーネントの伸び剛性、せん断剛性、曲げ剛性、及び/又はねじり剛性が、平形縁材の相応の伸び剛性、せん断剛性、曲げ剛性及び/又はねじり剛性よりも高いことを意味する。特に伸び剛性(弾性率)と表現される第1の剛性は、特に伸び剛性(弾性率)と表現される第2の剛性の少なくとも2倍の高さ、2倍~250倍、3倍~200倍、又は20倍~100倍の高さであり得る。
【0010】
補強コンポーネント(2)は、プラスチック、熱可塑性又は熱硬化性の種類の繊維複合材、金属板、あるいは木板であり得る。
【0011】
繊維複合プラスチックは、マトリックスと強化繊維とからなる。
【0012】
マトリックスは、熱可塑性マトリックス(ポリエーテルエーテルケトン、PEEK;ポリフェニレンスルフィド、PPS;ポリスルホン、PSU;ポリエーテルイミド、PEI;ポリテトラフルオロエテン、PTFE;例えばPA6、PA66、PA612などのポリアミド、又はポリフタルアミド、PPA;ポリオレフィン、例えばポリエチレン、PE、又はポリプロピレン、PP;あるいは/ならびにポリカーボネート、PC)、あるいは熱硬化性マトリックス(エポキシ樹脂、EP、例えば2%;不飽和ポリエステル樹脂、UP、例えば8%;ビニルエステル樹脂、VE;フェノールホルムアルデヒド樹脂、PF、例えば38%;ジアリルフタレート樹脂、DAP;メタクリレート樹脂、MMA;ポリウレタン、PUR;又は/及びアミノ樹脂)であり得る。
【0013】
強化繊維は、無機の非金属強化繊維(玄武岩繊維、ホウ素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、シリカ繊維、炭素繊維、及び/又は石英繊維)、有機強化繊維(アラミド繊維、PBO繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、及び/又はポリメチルメタクリレート繊維)及び/又は金属強化繊維(鋼繊維)であり得る。
【0014】
強化繊維は、それらの長さに関して、短繊維(0.1mm~1mm)、長繊維(1mm~50mm)、又はエンドレス繊維(>50mm)であり得る。後者は、それらが付与する剛性が非常に高いことから好ましい。強化繊維の配置は、織られていてもよいし、又は組まれていてもよい。強化繊維の配置を単層又は多層にすることもできる。
【0015】
アタッチメント材料は、射出成形材料、特に熱可塑性の種類の射出成形材料、又は衝撃押出成形材料、特に熱可塑性又は熱硬化性の種類の衝撃押出成形材料であり得る。特に、アタッチメント材料は、溶接可能な縁材であり得る。
【0016】
熱可塑性の種類の射出成形材料は、ポリオレフィン(ポリプロピレン、PP、ポリエチレン、PE)、プレキシガラス、PMMA、ポリカーボネート、PC、ポリスチレン、PS、及びその共重合体(例えばABS=アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリアミド、PA、又はポリオキシメチレンであり得る。
【0017】
熱可塑性衝撃押出成形材料は、長繊維熱可塑性樹脂(ガラス繊維又は炭素繊維を含むLFT)、直接長繊維熱可塑性樹脂(D-LFT)、ガラスマット熱可塑性樹脂、GMT、又は炭素繊維強化ポリマー(CFRP)であり得る。熱硬化性衝撃押出成形材料は、シートモールディングコンパウンド(ガラス繊維又は炭素繊維を含むSMC)、ダイレクトシートモールディングコンパウンド(D-SMC)、又はバルクモールディングコンパウンド、BMCであり得る。
【0018】
部品は、殊に、繊維強化プラスチックから製作された平形補強コンポーネントと、射出成形材料又は衝撃押出成形材料から作られたアタッチメント材料から製作されたアタッチメントと、からなる。
【0019】
この組み合わせは、補強コンポーネント上に追加のコンポーネントを設けるのに特に良く適するか、若しくは非常に良好な封止結果をもたらす。
【0020】
平形補強コンポーネントは、平形補強コンポーネント(2)の上面から下面への少なくとも1つの穿孔を有することができ、少なくとも1つの平形アタッチメント(3)が少なくとも1つの穿孔を覆う。
【0021】
部品の製造プロセス中に、ニードルグリッパなどの、製造条件による特定の把持工具が補強コンポーネントに穴又は穿孔を生ぜしめる可能性がある。流体が穿孔を通り抜けることを防ぐために、射出成形又は衝撃押出成形によって補強コンポーネントに設けられるアタッチメントによって、これらの穿孔を封止することができる。一方で、アタッチメントが補強コンポーネントとの重なり領域において穿孔の縁を越えて突出することによって、及び/又は穿孔をアタッチメント材料で充填することによってこれを達成することができる。
【0022】
したがって、(連続する)アタッチメントが1つよりも多い穿孔、殊に2、3、4、5、又は6つの穿孔を覆うこともできる。アタッチメントは、平面図で円形、四角形、又は十字形にすることができる。
【0023】
少なくとも1つの平形アタッチメントは、少なくとも1つの穿孔を充填する素材結合的に接続された延長部を有することができる。この延長部は、栓として穿孔を封止することができる。
【0024】
平形アタッチメントと平形補強コンポーネントとの重なり領域の長さは、平形補強コンポーネントの肉厚の少なくとも2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、又は4.0倍であり得る。
【0025】
重なり領域のこれらの長さは、平形補強コンポーネントへのアタッチメントの特に良好な付着、したがって、特に良好な封止をももたらす。
【0026】
少なくとも1つの平形アタッチメントと平形補強コンポーネントとの重なり領域の長さは、少なくとも1つの穿孔の直径の少なくとも2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、又は4.5倍であり得る。
【0027】
重なり領域のこれらの長さはまた、平形補強コンポーネントへのアタッチメントの特に良好な付着、したがって特に良好な封止をももたらす。
【0028】
少なくとも1つのアタッチメントは、少なくとも1つのアタッチメントと素材結合的に接続されたチャネル(Kanal)を有することができ、チャネルは、少なくとも1つのアタッチメントを平形補強コンポーネントの縁と接続する。チャネルは、少なくとも1つのアタッチメントが設けられる部分領域と同じでない平形補強コンポーネント(2)の第2の部分領域に設けられる。
【0029】
チャネルは、アタッチメントと同じ縁材からなり得る。殊に、チャネル及びアタッチメントは、一作業工程で補強コンポーネントに設けられる。
【0030】
このようなチャネルは、製造プロセス中、補強コンポーネントの縁領域にある工具の孔を通してアタッチメント材料を補強コンポーネントへ供給することを可能にする。それによって、同様に補強コンポーネントに、例えば縁領域において取り付けられるコンポーネントを製造するためにアタッチメント材料が使用される場合、アタッチメントが補強コンポーネントの縁領域から距離をおいているにもかかわらず、工具における孔の数を減らすことができる。これに代えて、工具がそれぞれのアタッチメントのための孔を有し、孔は、アタッチメントが設けられるべき補強コンポーネントの箇所の真上に位置決めされる。
【0031】
チャネルは、平面図で、平面図でアタッチメントの直径よりも小さい直径を有することができる。
【0032】
それによって、アタッチメント材料の使用量を減じることができる。これに代えて、アタッチメントを補強コンポーネントの縁領域に取り付けることもでき、チャネルなしでも、補強コンポーネントの縁領域に取り付けることができるコンポーネントと素材結合的に接続することができる。
【0033】
アタッチメントが補強コンポーネントの縁領域に取り付けられ、かつ補強コンポーネントの縁領域に取り付けることができるコンポーネントに直接隣接する場合にこの配置がふさわしい。
【0034】
チャネルは、少なくとも1回枝分かれされることができ、それによりチャネルは、分岐箇所から少なくとも2つの部分チャネルに分かれ、各枝分かれの部分チャネルをそれぞれ1つのアタッチメントと接続することができる。
【0035】
それによって、製造時にアタッチメント材料の使用量を減らすことができる。複数の枝分かれを連続して相次いで設けることもでき、それによりチャネルのいくつかの分岐が生じる。
【0036】
少なくとも1つのアタッチメントの高さは、平形補強コンポーネント(2)の肉厚の0.5倍~1.5倍であり得る。
【0037】
この高さは、機能コンポーネントを後から溶接によって設けるため、若しくは穿孔を封止するために有利であるとわかった。
【0038】
部品は、少なくとも2つのアタッチメントを備えることができ、少なくとも2つのアタッチメントのうちの少なくとも1つは、第1の部分領域において平形補強コンポーネントの上面と接続され、少なくとも2つのアタッチメントのうちの少なくとも1つは、第1の又は別の部分領域において平形補強コンポーネントの下面と接続されている。
【0039】
本発明は、上記の説明による部品と少なくとも1つの機能コンポーネントとを備える機能部品であって、少なくとも1つの機能コンポーネントが少なくとも1つのアタッチメントと接続されている、機能部品にも関する。
【0040】
機能部品は、少なくとも2つの機能コンポーネントと、上述のような少なくとも2つのアタッチメントと、を備えることができ、少なくとも2つの機能コンポーネントのうちの少なくとも1つは、平形補強コンポーネントの上面で少なくとも1つのアタッチメントと接続され、少なくとも2つの機能コンポーネントのうちの少なくとも1つは、平形補強コンポーネントの下面でアタッチメントと接続されている。
【0041】
機能コンポーネントは、溶接、リベット留め、又は接着によってアタッチメントと接続することができる。殊に、機能コンポーネントは、溶接によってアタッチメントと接続される。
【0042】
機能コンポーネントは、クリップ、ポンプ、弁装置、ニップルなど、タンクの他の部品のための、あるいは燃料タンクシステム又はバッテリハウジングのために企図され得るあらゆる機能コンポーネントのための保持装置であり得る。
【0043】
本発明は、上記のような少なくとも1つの穿孔を有する部品と、少なくとも1つの第2の機能コンポーネントと、を備える別の機能部品であって、第2の機能コンポーネント又は第2の機能コンポーネントの一部が穿孔に設けられ、アタッチメントのアタッチメント材料によって穿孔の壁に対して封止されている、別の機能部品にも関する。
【0044】
第2の機能コンポーネントは、ホース、ブッシング、又はバルブであり得る。第2の機能コンポーネントを、第1の機能コンポーネントと同じアタッチメントに設けることもできる。
【0045】
第2の機能コンポーネントを穿孔のみならずアタッチメントの表面にも取り付けることができ、したがって第1の機能コンポーネントの特徴も有することができる。
【0046】
機能コンポーネントとの接触箇所でのアタッチメントの半径を、接触箇所での機能コンポーネントの半径よりも少なくとも5mm大きくすることができる。
【0047】
さらに、本発明は、上記の部品を備えるフロントエンドモジュールキャリア、シート構造、ドアシステム、車両下部構造、アンダーライドガード、燃料タンクハウジング、バッテリシステム又はバッテリ用の平形(構造)部品(例えばセルモジュールエンドプレート)又はバッテリハウジングに向けられる。
【0048】
本発明は、上記の部品を製造する方法であって、
a.補強コンポーネントを少なくとも2分割の型内に提供することと、
b.型にアタッチメント材料を導入することと、
c.型内で射出成形又は衝撃押出成形によって部品を形成することと、
d.開いた型から得られた部品を取り出すことと、を包含する方法に関する。
【0049】
本発明は、上記の機能部品を製造する方法であって、
a.上記の部品を提供することと、
b.アタッチメントが塑性範囲になるまでアタッチメントを加熱することと、
c.アタッチメントに機能コンポーネントを接合することと、を包含する方法にも関する。
【0050】
これに代えて、ステップbで接着剤を塗布することもでき、又はステップbでアタッチメントを機能コンポーネントと接触させ、続いて機能部品をアタッチメントにリベット留めすることもできる。
【0051】
この場合、型とは、平形補強コンポーネントを収容でき、閉じた状態で、補強コンポーネントの周りにキャビティを提供し、その中にアタッチメント材料をチャネルを通して注入する(射出成形)、又はプレス成形のためにアタッチメント材料を提供する(衝撃押出成形)ことができるあらゆる適切な型若しくはツールと解される。射出成形では、アタッチメント材料が凝固点に達した後に部品の取出しを行うことができる。キャビティは、上記の部品によって定義される形態を縁材に付与できるように形成されている。
【0052】
さらに、部品は、第2の剛性を有する平形縁材も備えることができ、縁材の組成は、アタッチメント材料のものに相当し、補強コンポーネントは、第1の短辺側面に第1の端を有し、縁材は、第2の短辺側面に2つのストリップに分割された第2の端を有し、第2の端の2つのストリップは、取り囲み領域において第1の端を両側から取り囲む。これに代えて、第2の端は、第1の端と重なるストリップを1つだけ有する。この場合、第1の端は少なくとも1つの湾入部を有することができ、これは第1の端と第2の端との境界面を、湾入部なしの場合と比べて大きくすること、したがって結合の安定性を高めることを可能にする。
【0053】
平形縁材により平形補強コンポーネントを両側から取り囲むことによって、部品は、複合体に強い力が作用した場合でも平形補強コンポーネントと縁材とからなる複合体の安定性が維持されるという利点を提供する。部品は、特に、部品の面に対して垂直に作用する力に良好に耐えることができる。平形補強コンポーネントを両側から取り囲む部品は、どちらの側か、若しくはどの方向かに関係なく、垂直方向に作用する力(例えば、内部から、又は外部から、あるいは正圧及び負圧で部品の対向する両側で)に対して機械的に同じように安定し、したがって力の方向に応じて安定する。
【0054】
本発明では、平形縁材の短辺側面は、平形縁材の短辺側面の長さにわたって互いに平行に延在する2つのストリップによって形成される。したがって、2つのストリップは、平形補強コンポーネントの端をその間に(例えば、隙間なしに、形状結合的に、及び/又は素材結合的に)収容することができる。平形補強コンポーネント及び平形縁材の上面若しくは下面は、平面の延在全体又は延在の一部にわたって互いに平行である一平面上又は複数平面上に延びる。その場合、平形補強コンポーネントのみならず平形縁材も、上面若しくは下面が湾曲した部分を含むことができる。
【0055】
水平配置では、部品は、a)平形補強コンポーネントの一領域、b)取り囲み領域、及びc)平形縁材の基材領域をこの順序で有することができる。
【0056】
本発明の意味における取り囲み領域は、水平配置で、i)重なり領域、すなわち、平形強化コンポーネントを有するストリップ同士が面に重なる領域と、ii)重なり領域に隣接し、重なりが生じないランプ領域と、からなる。ランプ領域において、平形縁材は、基材領域における平形縁材の肉厚よりも大きい肉厚を有することができる。ランプ領域は、重なり領域と底領域との間に配置されている。
【0057】
平形縁材のストリップの肉厚が重なり領域における縁材の肉厚と解される。
【0058】
重なり領域の外側の縁材の肉厚は、この領域における平形縁材の肉厚に全く相当する。
【0059】
平形縁材の両方のストリップは、互いに非対称又は対称の構造を有することができ、平形補強コンポーネントの水平方向中心を通る仮想平面が鏡平面を形成する。殊に、構造は対称である。第1及び第2のストリップの端面は、平形補強コンポーネントの短辺側面に対して同じ距離を有することができる。これは、ストリップの端面が正確に上下に配置されているか、又は20%~0%又は10%~0%のわずかな程度だけ互いにずれていることを意味する。
【0060】
平形縁材は、取り囲み領域全体にわたって(断面で、すなわち縁材の表面の広がりに対して横向きに)円弧状に延びることができる。
【0061】
それによって、負荷がかかった場合に最も強い力が生じる重なり領域における縁材が特に厚く形作られるという利点が達成される。さらに、円弧状の輪郭形状は、縁材の肉厚が円弧の始点から、縁材の底領域に向かう側で、平形補強コンポーネントに隣接する円弧の終点まで、まずゆっくりと最大値まで増加し、次いで再び連続的に減少することを可能にする。このようにして、平形補強コンポーネントと平形縁材との間の急激な段差のある移行が回避され、部品が負荷を受けて外れるのを回避する追加の安定性が部品に与えられる。
【0062】
本発明の意味における円弧状とは、移行領域における縁材の肉厚の連続した定常的な増加/減少、すなわち実際の円弧形状を指すことができる。しかし、円弧状は、いくつかの直線部分からなる形状が存在し、いくつかの直線部分の間の移行部が角によって形作られる、及び/又は円弧によって形成されることを意味し得る。
【0063】
縁材の肉厚は、第1の端が平形補強コンポーネントの短辺側面を形成する位置で最大となることができ、すなわち、縁材の表面は、第1の端が平形補強コンポーネントの短辺側面を形成する位置で、向かい側に位置する補強コンポーネントの表面との距離が最大であるということである。この位置で、一方のストリップ又はそれぞれ両方のストリップの縁材の肉厚は、基材厚さの半分以上であり得る。すなわち、全体として、ストリップにおける縁材の肉厚は、この位置で基材厚さ以上であり得る。第1の端が平形補強コンポーネントの短辺側面を形成する縁材の肉厚の位置によって、縁材の表面上の位置が示され、この位置から、平形補強コンポーネントの短辺側面の取り囲まれた第1の端に、すなわち、平形補強コンポーネントの短辺側面が平形縁材の第2の端とぶつかる点に垂線を下すことができる。
【0064】
それによって、この位置で縁材が形成する縁材の、若しくは1つのストリップ、両方のストリップの肉厚が、平形補強コンポーネントと平形縁材との間の移行領域において最大である。この位置は、負荷がかかった場合に部品が最も早く破損する可能性のある位置である。したがって、この位置での縁材の肉厚によって部品の破損が防止される。
【0065】
さらに、最小肉厚は、基材肉厚以上、すなわち、取り囲み領域の外側の縁材の肉厚以上であり得る。
【0066】
したがって、この位置での縁材の肉厚によって、部品の破損が特に有利に防止される。
【0067】
基材の肉厚は、0.8mm以上10mm以下、1mm以上5mm以下、1.5mm以上4.5mm以下、2.0mm以上3.5mm以下、2.0mm以上3mm以下、又は2.25mm以上2.75mm以下であり得る。
【0068】
ランプ領域は、長さが1.5mm以上15mm以下、1.5mm以上5.0mm以下、2.0mm以上4.5mm以下、2.5mm以上4.0mm以下、又は3.00mm以上3.50mm以下であり得る。ランプ領域の長さは、円弧の始点(縁材の底領域に向かう側)と、円弧において縁材の肉厚が最大である位置から底領域における平形縁材の表面の仮想延長線上に垂線が下される点との間の距離として定義される。
【0069】
重なり領域は、長さが1.5mm以上15mm以下、5.0mm以上15.0mm以下、7.0mm以上12.0mm以下、8.0mm以上11.0mm以下、又は9.00mm以上10.00mm以下であり得る。
【0070】
最大肉厚は、基材肉厚の0.5倍~2倍、1倍~2倍、1倍~1.75倍、1倍~1.5倍、又は1倍~1.25倍であり得る。
【0071】
補強コンポーネントと縁材との間の重なり領域の長さは、基材肉厚の0.5倍~10倍、1.5倍~8倍、1.7倍~6倍、又は2倍~4倍であり得る。
【0072】
重なり領域の長さと縁材とのこの比率が部品の特に高い安定性を確保することが明らかになった。
【0073】
ストリップのうちの少なくとも1つの端面に湾入部(すなわち凹所又は空所)を設けることができる。
【0074】
これらの湾入部は、部品を製造するために使用される型若しくは工具に設けられた押さえ装置によって作製することができる。押さえ装置は、流れて来る(プラスチック)溶融物による補強コンポーネントの変位又は「剥離(Aufspleissen)」(例えば、オルガノシートの場合、織物層間の結合の解消)を低減若しくは回避することができ、平形補強コンポーネントを溶融物流又は押しつけられる縁材に対して平形の補強コンポーネントを安定させることができるので、この押さえ装置は理想的には肉厚の中心に保持される(若しくはこれは壁の縁領域の一方の側に押されない)。
【0075】
ストリップの端面とは、平形補強コンポーネントの方に向いた、かつ重なり領域に位置するストリップの面のことである。したがって、湾入部は、ストリップの端面から80°~100°、殊に90°の角度でストリップ内に突出する。
【0076】
両方のストリップに湾入部を設けることができる。
【0077】
これは、製造プロセス中に、溶融物流又は押し付けられる縁材に対して平形補強コンポーネントを十分に対称的に安定させるという利点を提供する。
【0078】
第1のストリップの湾入部を、第2のストリップの湾入部の向かい側に位置するように配置することができる。
【0079】
したがって、2つのストリップにおいてそれぞれの湾入部が直接上下に位置する。
【0080】
これは、製造プロセス中に、溶融物流又は押し付けられる縁材に対して平形補強コンポーネントを非常に対称的に安定させるという利点を提供する。
【0081】
湾入部は、2つの異なる長さを有することができ、2つの異なる長さを有する湾入部が交互に配置される。
【0082】
特に、ストリップのうちの1つに、ある長さの湾入部の第1群と第2の長さの湾入部の第2の群とが存在することができ、第1の長さは第2の長さよりも大きい。
【0083】
第1のストリップのみならず第2のストリップにも湾入部の第1の群と第2の群とが存在することができる。
【0084】
第1のストリップにおける湾入部の第2の群の湾入部は、第2のストリップにおける第1の群の湾入部の向かい側に位置することができ、第1のストリップにおける湾入部の第1の群の湾入部は、第2のストリップにおける第2の群の湾入部の向かい側に位置することができる。それによって、1つのストリップ内のみならずそれぞれのストリップ間でも湾入部の長さが交互になる。
【0085】
この配置には、完成した部品を、例えば流体容器内で使用する場合に流体に対して特に密するという利点がある。さらに、目に見える継目が回避される。
【0086】
これに代えて、第1のストリップにおける湾入部の第2の群の湾入部は、第2のストリップにおける第2の群の湾入部の向かい側に位置することができ、第1のストリップにおける湾入部の第1の群の湾入部は、第2のストリップにおける第1の群の湾入部の向かい側に位置することができる。それによって、湾入部の長さがそれぞれのストリップ内のみで交互になる。
【0087】
これは、流体に対する封止の改善が達成されるが、この実施形態の製造のために必要とされる比較的単純な形であるため、製造プロセスが比較的簡単であるという利点を有することができる。
【0088】
湾入部は、重なり領域の長さの100%~25%の長さを有することができる。殊に、湾入部を重なり領域の長さの95%~70%の長さで設けることができ、及び/又は重なり領域の長さの25%~50%の長さを有する湾入部を設けることができる(特に、異なる長さを有する2つの群の湾入部が設けられる場合、これらの異なる長さを組み合わせることができる)。
【0089】
さらに、1つのストリップ内、又は2つのストリップ内の湾入部を互いにほぼ等距離とすることができる(ほぼとは、すべての湾入部間の距離と距離の平均値との偏差が25%までであることを意味する)。特に、2つのストリップにおける湾入部間の距離をほぼ同じにすることができる。しかし、設計上の制約条件によっては、1つ又は両方のストリップ内の湾入部間の距離をそれぞれのストリップの少なくとも部分領域において(例えば30%まで)自由に適応させることができるか、若しくは可変であることも開示される。
【0090】
等距離によって、負荷がかかった場合の圧力分布をさらに改善することができる。
【0091】
補強コンポーネントは、平形縁材のプラスチックと適合するプラスチックからなることができ、それにより補強コンポーネントと平形縁材との間の素材結合的な接続を行うことができる。さらに、補強コンポーネントは、平形プラスチックと適合する縁材からなり得るが、少なくとも、補強コンポーネントが平形縁材と接触する箇所で、又は全部をプラスチックでコーティングすることができ、それによっても、補強コンポーネントと平形縁材との間の素材結合的接続を生じさせることができる(この場合、コーティングされた補強コンポーネントの剛性はコーティングされない補強コンポーネントの剛性に相当する)。しかしこれに加えて、形状結合を生じさせることもできる。
【0092】
さらに、補強コンポーネントは、平形縁材のプラスチックと適合しない縁材からなることができ、それにより補強コンポーネントと平形縁材との間に形状結合的接続は生じ得ない。
【0093】
縁材及び補強コンポーネントの選択は、所望の適用分野に依存し、当業者は材料及び補強コンポーネントを適用領域に応じて選定することができる。重要なのは、補強コンポーネントの剛性を縁材の剛性よりも高くすることのみである。
【0094】
平形縁材のストリップは、補強コンポーネントの第1の短辺側面の全体が含まれる縁を完全に取り囲むことができる。これに代えて、平形縁材は、この縁を部分的にのみ、すなわち、例えば補強コンポーネントの端面のみを取り囲むこともでき、それにより縁/補強コンポーネントの短辺側面の領域は覆われないままである。
【0095】
したがって、補強コンポーネントの周回縁全体が平形縁材によって安定する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】本発明による部品を断面図で示す。
図2】本発明による部品を断面図で示す。
図3】本発明による部品を断面図で示す。
図4】本発明による部品を断面図で示す。
図5】追加の参照記号を記載した図4からの本発明による部品を示す。
図6】本発明による部品を平面図で示す。
図7】本発明による部品を平面図で示す。
図8】本発明による機能部品を断面図で示す。
図9】本発明による機能部品を断面図で示す。
図10】本発明による機能部品を平面図で示す。
図11】本発明による機能部品を平面図で示す。
図12】本発明による部品の補強コンポーネントを平面図で示す。
図13】本発明による部品を図12からの補強コンポーネントと共に平面図で示す。
図14】本発明による部品の縁領域を断面図で示す。
図15】本発明による部品の縁領域を平面図で示す。
図16】本発明による部品の平形縁材を、湾入部が見える斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
次に以下の記載において、同じ参照記号は同じコンポーネント若しくは同じコンポーネントを示し、それにより図を参照して行われる部品の説明が他の図にも適用され、それにより繰り返しの説明が回避される。さらに、一実施形態との関連で説明された個々の特徴を、他の実施形態で別々に使用することもできる。
【0098】
図1は、本発明による部品1を断面図で示す。
【0099】
アタッチメント3は、部分領域において補強コンポーネント2上に位置し、これと堅固に接続されている。
【0100】
図2は、本発明による部品を断面図で示す。
【0101】
図2に示されるように、補強コンポーネント2は穿孔4を有することができ、アタッチメント3は穿孔4を封止するように充填する延長部5を有することができ、したがって上面9から下面10へ(又はその逆に)通り抜ける可能性のある流体を封止する。アタッチメント3は、上面9との接触面でも封止するように作用する。これに代えて、アタッチメント3が延長部を含まず、上面9の接触面との結合によってのみ同様に封止するように作用することを企図することもできる。
【0102】
図3は、本発明による部品を、チャネル6が追加的に設けられた断面図で示す。
【0103】
チャネル6は、アタッチメント3を補強コンポーネント2の縁領域に、若しくは選択的に平形縁材と接続し、その構造については後から説明する。
【0104】
図4は、本発明による部品を、チャネル6及び穿孔4が設けられた断面図で示す。
【0105】
図5は、図4からの本発明による部品を、追加の要素を記載して示す。簡略化するために、図4の参照番号は省略された。
【0106】
X1は穿孔の幅、X2はアタッチメントと補強コンポーネントの重なり長さ、X3はアタッチメントの高さ、aは補強コンポーネントの高さ/厚さ(基材厚さともいう)である。
【0107】
穿孔4の幅X1は、その最も広い箇所での穿孔の幅X1に相当する。アタッチメント3と補強コンポーネントとの重なり長さX2は、補強コンポーネントの上面に対して平行の直線上にあって、穿孔の中心点からアタッチメント3の縁までであり、かつ直線とアタッチメント3の縁及び穿孔の縁との交差点によって画定される最短区間と解される。
【0108】
アタッチメントの高さX3は、強化要素の上面10に対して直交に測定され、アタッチメント3の中心点における高さが決定される。
【0109】
補強コンポーネントの高さ/厚さaは、補強コンポーネントの厚さ若しくは平均厚さに相当する。チャネルの高さX4は、補強コンポーネントの高さaの30%~100%、50%~100%、又は80%~100%に相当する。
【0110】
図6は、本発明による部品を平面図で示す。
【0111】
アタッチメント3を、チャネル6を介して平形壁材300に接続することができる。チャネル6は、アタッチメント3の最も広い箇所でのその直径よりも狭くすることができる。
【0112】
図7は、本発明による部品を平面図及び断面図で示す。
【0113】
アタッチメント3の延長部5は、穿孔4を充填する。
【0114】
図8は、本発明による機能部品を断面図で示す。
【0115】
この図8は、アタッチメント3に機能コンポーネント7が設けられた点でのみ図3と異なる。アタッチメント3は、補強コンポーネントよりも多くの溶接可能部品を含むので、補強コンポーネント2への機能部品7の接続を改善する。
【0116】
図9は、本発明による機能部品を断面図で示す。図8とは対照的に、ここでは補強コンポーネント2が穿孔4も有する。図9において、穿孔は、機能コンポーネントを上面9から下面10へ通すために使用される。例えば延長部5にチャネルを通すことができ、チャネル自体は、穿孔4の縁に対して封止されている。
【0117】
図10は、機能コンポーネント7、8を取り付ける前の本発明による部品を平面図で示す。認識できるように、部品を、チャネル6を介して平形縁材300と接続することができる(図10の下半分及び中半分のアタッチメント3)。これらのチャネル6は部分チャネルに枝分かれすることができ、部分チャネル自体は、アタッチメント3と接続されている(図10の中央のアタッチメント3)。これに代えて、アタッチメント3をチャネルなしで縁材300と接続でき、したがってこれに直接隣接することができる(図10の右上半分のアタッチメント3)。
【0118】
図11は、本発明による機能部品を平面図で示し、機能コンポーネント7、8が取り付けられている点で図10の図とは異なる。
【0119】
図12は、本発明による部品の補強コンポーネントを平面図で示す。
【0120】
補強コンポーネント2に、例えばニードルグリッパなどの把持工具によって作製されたいくつかの穿孔4が見て取れる。
【0121】
図13は、図の上部に4つのアタッチメント3を有する、図12からの補強コンポーネント2を示す。さらに、補強コンポーネント2の縁は、アタッチメント3と接続された縁材300で取り囲まれている。これらのアタッチメントによって、穿孔4の閉鎖、したがって封止が達成される。この場合、穿孔は、十字の脚が穿孔を封止する十字形のアタッチメントによって封止された。
【0122】
図14は、本発明による部品1の縁領域を断面図で示す。
【0123】
部品1は、平形に形作られ、かつ高剛性を有する補強コンポーネント2を備える。ここでは、熱可塑性又は熱硬化性の種類の繊維複合材が考慮の対象になるが、金属板やその他のプレートも可能である。
【0124】
補強コンポーネント2は、第1の端400(図1の右側に示される)に、上面500bと下面500cとによって画定される短辺側面500aを有する。補強コンポーネントの反対側の端は図に示されていない。
【0125】
この補強コンポーネント2は、長さuを有する取り囲み領域Uにおいて、より剛性の低い(射出成形)縁材300で両側が射出成形により覆われる(ueberspritzt)。この縁材300もほぼ平形に形作られている。両側が射出成形により覆われることで、縁材300は、第2の端600(図14において縁材300の左側)に、縁材300からなる2つのストリップ800、900を形成し、これらは、重なり領域Lにおいて補強コンポーネント2に(直接、すなわち中空空間を形成せずに)当接する。縁材300の反対側の端は図に示されていない。補強コンポーネント2のない2つのストリップ800、900を有する縁材300の図が図16に見いだされる。図15及び図16において、2つのストリップが縁材300の短辺側面の上下に位置し、補強コンポーネント2の上方にほぼ等しく突出することが見て取れる。
【0126】
取り囲み領域Uは、縁材300がランプ領域Rにおいて基材領域Aに比べて、かつこの領域から、まず厚くなるが、まだ補強プレートと重ならない領域と、縁材300が補強プレートと重なる重なり領域Lと、を含む。
【0127】
図14に示されるように、平形縁材300は、取り囲み領域U全体にわたって(断面において、すなわち縁材300の表面の広がりに対して横方向に)円弧状に延びることができる。
【0128】
本発明の意味における円弧状とは、移行領域Uにおける縁材300の肉厚の連続した定常的な増加/減少、すなわち実際の円弧形状を指すことができる。しかし、円弧状は、いくつかの直線部分からなる形状が存在し、いくつかの直線部分の間の移行部が角ばる、及び/又は図14に示されるように円弧によって形成されることを意味し得る。
【0129】
特に、縁材300若しくはストリップ800、900の最大肉厚h1、h2は、補強コンポーネント2と縁材300との間の境界面上の領域にあり得る。したがって、縁材300の肉厚h1、h2は、第1の端400が平形補強コンポーネント2の短辺側面500aを形成する位置で最大となり得る。第1の端400が平形補強コンポーネント2の短辺側面500aを形成するこの位置において、縁材300の表面(上面700b又は下面700c)は、補強コンポーネント2の反対側の表面(上面500b又は下面500c)に対して最大の距離を有する。
【0130】
それによって、この位置で縁材300が形成する縁材300若しくはストリップ800、900のうちのストリップ800、900の肉厚h1、h2は、平形補強コンポーネント2と平形縁材300との間の移行領域において最大(「最大肉厚」)である。この位置は、負荷がかかった場合に部品1が最も早く破損する可能性のある位置である。したがって、この位置での縁材300の肉厚によって、部品1の破損が特に効果的に防止される。
【0131】
さらに、この最大肉厚h1、h2は、基材肉厚a、すなわち取り囲み領域Uの外側の縁材300の肉厚に等しいか、又はそれより大きい。
【0132】
したがって、この位置での縁材300の肉厚h1、h2によって、部品1の破損が特に有利に防止される。さらに、それによって、移行領域、すなわち補強コンポーネントの短辺側面500aの領域においても肉厚が平形縁材300にぶつかり、少なくとも基材領域Aにおける肉厚Uaに相当し、したがって、この領域の強度が残りの部品1において見いだされるものにほぼ相当することが確保される。
【0133】
重なり領域Lの長さは、例えば基材肉厚aの2倍~4倍である。
【0134】
重なり領域Lの長さと縁材300とのこの比率が、部品1の特に高い安定性を確保し、それと同時に縁材300の過度の使用が回避されることがわかった。
【0135】
図15は、本発明による部品1を平面図で示し、図16は、図15からの縁材300の斜視詳細図を示す。
【0136】
図15及び図16から分かるように、重なり領域からのストリップ800、900の端面1100に湾入部1200、1300(すなわち空所、凹所)を設けることができる。
【0137】
これらの湾入部1200、1300は、部品1を製造するために使用される型若しくは工具に設けられた押さえ装置によって作製することができる。押さえ装置は、流れて来る(プラスチック)溶融物又は押し付けられる縁材による補強コンポーネント2の変位又は「剥離(Aufspleissen)」(例えば、オルガノシートの場合、織物層間の結合の解消)を低減若しくは回避することができ、平形補強コンポーネント2を溶融物流に対して安定させることができるので、これは理想的には縁材の肉厚の中心に保持される(若しくはこれは壁の縁領域の一方の側に押されない)。
【0138】
図300において、両方のストリップ800、900に湾入部1200、1300が設けられている。
【0139】
これは、製造プロセス中に、溶融物流に対して平形補強コンポーネント2をほぼ対称的に安定させるという利点を提供する。
【0140】
図16に例示的に示されるように、第1のストリップ800の湾入部1200、1300を第2のストリップ900の湾入部の向かい側に位置するように配置することができる。
【0141】
したがって、2つのストリップ800、900において、それぞれの湾入部1200、1300が直接上下に位置する。
【0142】
これは、製造プロセス中に、溶融物流又は押し付けられる縁材に対して平形補強コンポーネント2を非常に対称的に安定させるという利点を提供する。
【0143】
図15及び図16に示されるように、湾入部1200、1300は2つの異なる長さを有することができ、2つの異なる長さを有する湾入部1200、1300を交互に配置することができる。図300において左右に配置されている湾入部の場合のように、この場合上ストリップ800における長さが長いほうの湾入部1300は、その下に位置するストリップ900における長さが短いほうの湾入部1200の向かい側に位置することができる。それに応じて、図300の中央に配置されている湾入部1200の場合のように、上ストリップ800における短い長さの湾入部1200の向かい側に、その下に位置するストリップ900における長い長さの湾入部1300が位置する。
【0144】
この配置には、完成した部品1が、例えば流体容器内で使用される場合に、流体に対して特に密であるという利点がある。さらに、目に見える継目が回避される。
【0145】
図15に示されるように、縁材300は、平形補強コンポーネント2の短辺側面500aを完全に取り囲むことができる。しかしながら、縁材300が平形補強コンポーネント2の1つ以上の部分領域にのみ取り付けられることも考えられる。
【符号の説明】
【0146】
1:部品
2:(平形)補強コンポーネント
3:アタッチメント
4:穿孔
5:延長部
6:チャネル
7,8:機能コンポーネント
9:補強コンポーネントの上面
10:補強コンポーネントの下面
11:機能部品
X1:穿孔の幅
X2:アタッチメントと補強コンポーネントの重なり長さ
X3:アタッチメントの高さ
a:補強コンポーネントの高さ/厚さ/基材厚さ
300:(平形)縁材
400:平形補強コンポーネントの第1の端
500a:平形補強コンポーネントの短辺側面
500b:平形補強コンポーネントの上面
500c:平形補強コンポーネントの下面
600:平形縁材の第2の端
700a:平形縁材の短辺側面
700b:平形縁材の上面
700c:平形縁材の下面
800:第1のストリップ
900:第2のストリップ
1000:縁材の最大肉厚の位置
1100:重なり領域の端面
1200:湾入部、短
1300:湾入部、長
U,u:取り囲み領域、取り囲み領域R、rの長さ ランプ領域
A:基材領域
L,l:重なり領域、重なり領域の長さ
:第1のストリップの肉厚
:第2のストリップの肉厚
図1
図2
図3
図4
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