(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】疼痛治療を最適化するための睡眠及び同様の意識状態のマクロ/マイクロ構造
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240329BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240329BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20240329BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20240329BHJP
A61B 5/374 20210101ALI20240329BHJP
A61B 5/389 20210101ALI20240329BHJP
A61B 5/398 20210101ALI20240329BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20240329BHJP
【FI】
A61B10/00 X
A61B5/0245 100B
A61B5/0245 100D
A61B5/16 130
A61B5/352 100
A61B5/374
A61B5/389
A61B5/398
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2022555700
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2021055833
(87)【国際公開番号】W WO2021185625
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-08-03
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア モリナ ゲイリー ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】トリヴェディ ガウラヴ
(72)【発明者】
【氏名】イアセラ ジーノ
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0276549(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0229040(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0310660(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109009099(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人における疼痛治療
を最適化
する装置であって、プロセッサ及びストレージを含むプロセッサ装置と、前記プロセッサ装置にいくつかの入力信号を提供する入力装置と、前記プロセッサ装置からいくつかの出力信号を受信する出力装置と、制御アクチュエータと、前記プロセッサ上で実行されると、前記装置にいくつかの操作を実行させるいくつかの命令が保存された前記ストレージと、を含む装置の作動方法であって、前記
作動方法は、
前記プロセッサが、前記個人の意識が低下した期間の少なくとも一部分において、前記個人に取り付けられたいくつかのモニタリングデバイスからのいくつかの信号を検出するステップであって、
EEGモニタリングデバイスからのEEG信号と、ECGモニタリングデバイスからのECG信号及びPPGモニタリングデバイスからのPPG信号のうちの少なくとも1つに少なくとも基づいている心臓入力
とを受信するステップを含む、前記いくつかの信号を検出するステップと、
前記プロセッサが、前記いくつかの信号に少なくとも部分的に基づいて、前記個人の疼痛の指標を決定するステップであって、疼痛の前記指標は、(i)意識が低下した前記期間の前記少なくとも一部分における
EEG信号に基づくアルファパワー対
EEG信号に基づくデルタパワーのスペクトル比、(ii)前記心臓入力から少なくとも部分的に得られる心拍数変動(HRV)の指標、並びに(iii)睡眠潜時(SL)、睡眠効率(SE)、及びいくつかの睡眠発作の平均持続時間の一次結合を含む指標に少なくとも部分的に基づいている、前記個人の疼痛の指標を決定するステップと、
前記プロセッサが、制御アクチュエータに疼痛の前記指標に少なくとも部分的に基づいて前記個人の疼痛治療を適応させるステップと、
を含む、
作動方法。
【請求項2】
前記いくつかの信号を検出するステップは、
前記プロセッサが、睡眠脳波図(EEG)モニタリングデバイスからのEEG信号、心電図(ECG)モニタリングデバイスからのECG信号、フォトプレチスモグラム(PPG)モニタリングデバイスからのPPG信号、筋電図(EMG)モニタリングデバイスからのEMG信号、及び電気眼球図(EOG)モニタリングデバイスからのEOG信号のうちの1つ以上を検出するステップを含む、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項3】
前記いくつかの信号を検出するステップは、
前記プロセッサが、EEGモニタリングデバイスからのEEG信号を検出するステップを含み、
前記プロセッサが、意識が低下した前記期間の前記少なくとも一部分においてアルファ侵入を検出するステップをさらに含み、疼痛の前記指標は、前記アルファ侵入に少なくとも部分的に基づいている、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項4】
前記制御アクチュエータは、前記個人の薬理学ベースの疼痛治療を制御し、前記制御アクチュエータに前記疼痛治療を適応させるステップは、
前記プロセッサが、前記薬理学ベースの疼痛治療の投与量を、少なくとも疼痛の前記指標に応じて適応させるステップを含む、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項5】
前記制御アクチュエータに前記疼痛治療を適応させるステップは、
前記プロセッサが、前記個人の神経刺激ベースの疼痛治療、前記個人の行動ベースの疼痛治療、及び前記個人の理学療法ベースの疼痛治療のうちの少なくとも1つを適応させるステップを含む、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項6】
個人における疼痛治療を最適化する装置であって、
プロセッサ及びストレージを含むプロセッサ装置と、
前記プロセッサ装置にいくつかの入力信号を提供する入力装置と、
前記プロセッサ装置からいくつかの出力信号を受信する出力装置と、
制御アクチュエータと、
前記プロセッサ上で実行されると、前記装置にいくつかの操作を実行させるいくつかの命令が保存された前記ストレージと、
を含み、
前記いくつかの操作は、
前記個人の意識が低下した期間の少なくとも一部分において、前記個人に取り付けられたいくつかのモニタリングデバイスからのいくつかの信号を検出することであって、
EEGモニタリングデバイスからのEEG信号と、ECGモニタリングデバイスからのECG信号及びPPGモニタリングデバイスからのPPG信号のうちの少なくとも1つに少なくとも基づいている心臓入力
とを受信することを含む、前記いくつかの信号を検出することと、
前記いくつかの信号に少なくとも部分的に基づいて、前記個人の疼痛の指標を決定することであって、疼痛の前記指標は、(i)意識が低下した前記期間の前記少なくとも一部分における
EEG信号に基づくアルファパワー対
EEG信号に基づくデルタパワーのスペクトル比、(ii)前記心臓入力から少なくとも部分的に得られる心拍数変動(HRV)の指標、並びに(iii)睡眠潜時(SL)、睡眠効率(SE)、及びいくつかの睡眠発作の平均持続時間の一次結合を含む指標に少なくとも部分的に基づいている、前記個人の疼痛の指標を決定することと、
前記制御アクチュエータに疼痛の前記指標に少なくとも部分的に基づいて前記個人の疼痛治療を適応させることと、
を含む、装置。
【請求項7】
前記いくつかの信号を検出することは、睡眠脳波図(EEG)モニタリングデバイスからのEEG信号、心電図(ECG)モニタリングデバイスからのECG信号、フォトプレチスモグラム(PPG)モニタリングデバイスからのPPG信号、筋電図(EMG)モニタリングデバイスからのEMG信号、及び電気眼球図(EOG)モニタリングデバイスからのEOG信号のうちの1つ以上を検出することを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記いくつかの信号を検出することは、EEGモニタリングデバイスからのEEG信号を検出することを含み、前記操作は、意識が低下した前記期間の前記少なくとも一部分においてアルファ侵入を検出することをさらに含み、疼痛の前記指標は、前記アルファ侵入に少なくとも部分的に基づいている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記制御アクチュエータは、前記個人の薬理学ベースの疼痛治療を制御し、前記制御アクチュエータに前記疼痛治療を適応させることは、前記薬理学ベースの疼痛治療の投与量を、少なくとも疼痛の前記指標に応じて適応させることを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記制御アクチュエータに前記疼痛治療を適応させることは、前記個人の神経刺激ベースの疼痛治療、前記個人の行動ベースの疼痛治療、及び前記個人の理学療法ベースの疼痛治療のうちの少なくとも1つを適応させることを含む、請求項6に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願への相互参照
本出願は、2020年3月16日に出願された米国仮出願第62/990110号の利益を主張する。この出願は、本明細書において、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
[01] 本発明は、疼痛治療の最適化に関し、特に、疼痛治療を最適化するために睡眠(及び同様の意識状態)のマクロ構造及び/又はマイクロ構造を採用する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[02] 慢性疼痛は、一般集団の成人4人のうち約1人に現れ、そのうちの3分の2が睡眠の質の低下を訴えている。多くの患者では、疼痛と睡眠不足との関係が悪循環に陥り、睡眠不足が疼痛を悪化させ、その逆も同様になる。
【0004】
[03] 急性疼痛が睡眠に及ぼす影響(例えば、睡眠開始の遅れ、睡眠覚醒、睡眠の質の低下、回復効果の低下)は通常、短期的で改善可能である。しかし、慢性疼痛の存在は、悪循環パターンに関連付けられる可能性がある。すなわち、激しい痛みのあった日中の後に睡眠の質の悪い夜が続き、睡眠の質の悪い夜は翌日の痛みの訴えを増加させる。慢性疼痛は、一般集団の成人4人のうち約1人に現れ、そのうちの3分の2が睡眠の質の低下を訴えている。G.Lavigne、M.T.Smith、R.Denis、及びM.Zucconiによる「PrincIples and Practice of Sleep Medicine」の「Pain and Sleep」2011年、1442~1451頁を参照。
【0005】
[04] 製薬及び神経刺激業界では、睡眠中の疼痛の問題について考慮している。疼痛に関連する睡眠障害は、原因となる疼痛が治療されたならば解決できる側面と考えられており(米国特許第8,088,057号、欧州特許第1,363,608号)、睡眠が改善されたならば成功した疼痛治療がわかり(米国特許第7,801,619号)、睡眠/覚醒検出により疼痛治療のタイプが決定される(米国特許第10,279,179号)。睡眠に大きな影響を与える線維筋痛(有病率1%)を治療することが知られている(国際特許公開WO2003053426)。また、エストロゲン作用薬/拮抗薬を用いて関節痛を治療し、睡眠を改善することも知られている(欧州特許第1,599,199号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[05] しかしながら、疼痛に関連する睡眠障害の評価の改善が望ましい。
【0007】
[06] したがって、本発明は、疼痛治療を提供する従来のシステム及び方法の欠点を克服する、疼痛治療を最適化するために、睡眠及び/又は同様の意識状態のマクロ構造及びマイクロ構造を採用する改良された装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[07] この目的は、本発明の一実施形態によれば、疼痛関連の睡眠障害の客観的バイオマーカが、睡眠の観点から疼痛治療を誘導する装置及び方法を提供することによって達成される。さらに、この概念は、昏睡又は鎮静状態などの意識が低下した状態にまで拡張できる。さらに、負傷、疾患、言語問題、及び/又は幼児であることからコミュニケーションが取れない個人にも応用できる。
【0009】
[08] 疼痛管理の現在の臨床的アプローチでは、睡眠に関する訴えは、疼痛が治療されると解決する可能性のある二次的な問題として考えられている。しかしながら、疼痛が睡眠アーキテクチャ及び睡眠のマイクロ構造にもたらす深刻な変化(時に患者の知らないうちに)や、これらの変化を評価することで治療計画に関する指針が得られる可能性について十分な注意が払われていない。
【0010】
[09] 疼痛が睡眠に与える可能性のある深刻で長期にわたる影響にもかかわらず、疼痛治療における製薬及び神経刺激業界では、疼痛によって悪影響を受ける睡眠に特異的な側面を考慮していない。疼痛の影響は、主観的な睡眠の質を超え、通常は、非急速眼球運動(NREM)及び急速眼球運動(REM)睡眠を寸断することによって睡眠アーキテクチャに影響を与え、睡眠(主に、深NREM睡眠)に覚醒のような活動パターン及び(深睡眠中の心拍変動を減少させることによって)睡眠中に自律神経活動を投入することによって睡眠のマイクロ構造に影響を与える。開示されかつ特許請求される概念は、睡眠への疼痛の悪影響を有利に、総合的に考慮して、巨視的及び微視的レベルで疼痛関連の睡眠障害の指標を構築する。この指標は後に、睡眠への疼痛治療の効果を定量化し、睡眠に特異的な訴えに対する治療の有効性を追跡するために利用される。この指標はまた、疼痛治療を修正し、かつ、疼痛治療を最適化するために、修正した疼痛治療の有効性を追跡するためにも使用できる。
【0011】
[10] 開示されかつ特許請求される概念は、1)睡眠脳波図(EEG)(深睡眠におけるアルファ侵入度)、2)睡眠時心臓信号又は心臓入力(心電図(ECG又はEKG)又はフォトプレチスモグラム(PPG))、及び3)睡眠アーキテクチャ(徐波睡眠断片化)、といったいくつかの信号における疼痛インジケータの組み合わせを有利に利用して、睡眠への疼痛の影響を反映する指標を構築する。本明細書で使用される場合、「いくつかの」との表現及びその変形は、1の数量を含むゼロ以外の数量を広く参照するものとする。アルファ波は通常、8~12Hz以上の周波数帯にある。デルタ波は通常、0.5~4Hz以下の周波数帯にある。この指標は、少なくとも次の2つの主要な役割を果たす:1)睡眠を補助するために疼痛治療の投薬量を最適化し、2)睡眠への疼痛治療の効果を定量化し、追跡する。疼痛治療は、薬理学的介入、理学療法、作業療法、睡眠衛生問題、神経刺激などに基づくものであってよい。
【0012】
[11] したがって、開示されかつ特許請求される概念の態様は、個人における疼痛治療を最適化する改良された方法により提供される。その性質は、個人の意識が低下した期間の少なくとも一部分において、個人に取り付けられたいくつかのモニタリングデバイスからのいくつかの信号を検出し、そのいくつかの信号に少なくとも部分的に基づいて個人における疼痛の指標を決定し、疼痛の指標及び個人の疼痛治療の適応のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に表す出力を生成することを含むものと、大まかに述べることができる。
【0013】
[12] 開示され及び特許請求される概念の他の態様は、個人における疼痛治療を最適化する改良された装置によって提供される。その性質は、プロセッサ及びストレージを含むものと大まかに述べることができるプロセッサ装置と、プロセッサ装置にいくつかの入力信号を提供する入力装置と、プロセッサ装置からいくつかの出力信号を受信する出力装置と、プロセッサ上で実行されると、装置にいくつかの操作を実行させるいくつかの命令を保存したストレージとを含むものと、大まかに述べることができる。これらの操作の性質は、個人の意識が低下した期間の少なくとも一部分において、個人に取り付けられたいくつかのモニタリングデバイスからのいくつかの信号を検出し、そのいくつかの信号に少なくとも部分的に基づいて個人における疼痛の指標(Ip)を決定し、疼痛の指標及び個人の疼痛治療の適応のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に表す出力を生成することを含むと、大まかに述べることができる。これらは、任意選択で、薬剤の滴定を閉ループで影響を及ぼすようにリアルタイムであってもよく、及び/又は、薬剤、理学療法、作業療法、睡眠衛生問題、神経刺激などの治療プロトコルを調整する臨床医に対して、オフラインでの処理や報告が伴う場合もある。
【0014】
[13] 本発明のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、並びに、構造体の関連要素及び部品の組み合わせの操作方法及び機能及び製造の経済は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を、添付の図面を参照して検討することにより、より明らかとなろう。以下の説明、特許請求の範囲、及び添付の図面はすべて、本明細書の一部を形成する。様々な図において、同様の参照符号が、対応する部分を指定する。しかしながら、図面は、例示及び説明を目的としているに過ぎず、本発明の限定を定義することを意図していないことを明白に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[14]
図1は、開示されかつ特許請求される概念の一態様による、疼痛関連の睡眠障害を検出し、かつ治療の有効性を追跡するための睡眠障害の指標の概略図である。
【
図2】[15]
図2は、
図2A及び
図2Bを含む概略図であり、
図2Aは、深睡眠におけるアルファ侵入を示すスペクトル解析であり、深睡眠徐波が、アルファ(8~14Hz)帯域の振幅が重ねられた状態でEEGにおいて可視であり、また、スペクトル解析によって確認され、
図2Bは、アルファ侵入のない深睡眠EEG信号の例を示す別のスペクトル解析である。
【
図3】[16]
図3は、深睡眠におけるアルファ侵入の指標の定量化である催眠経過図(hypnogram)である。
【
図4】[17]
図4は、開示されかつ特許請求される概念による装置を示す。
【
図5】[18]
図5は、開示されかつ特許請求された概念による改良された方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[19] 本明細書で使用される場合、コンテキストに明確に指示されていない限り、単数形の形式には複数の参照が含まれてもよい。本明細書で使用される場合、2つ以上の部品又は構成要素が「結合」されているという記述は、リンクが発生している限り、部品が直接的又は間接的に(すなわち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して)接合される又は一緒に動作することを意味する。本明細書で使用される場合、「直接結合」とは、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書で使用される場合、「固定結合」又は「固定」とは、相互に相対的に一定の向きを維持しながら1つの構成要素として動くように2つの構成要素が結合されていることを意味する。
【0017】
[20] 本明細書で使用される場合、「単位の」という単語は、構成要素が単一の要素又は単位として作成されることを意味する。つまり、個別に作成され、ユニットとして一緒に結合された要素を含む構成要素は、「単位の」構成要素又は本体ではない。本明細書で使用される場合、2つ以上の部品又は構成部品が互いに「係合」するという記述は、部品が直接的に又は1つ以上の中間部品若しくは構成部品を介して互いに力を及ぼすことを意味する。本明細書で使用される場合、「数」という用語は、1又は1よりも大きい整数(すなわち、複数)を意味する。
【0018】
[21] 例えば、次に制限されないが、上、下、左、右、上方、下方、前、後、及びこれらの派生語などの本明細書で使用される方向に関する語句は、図面に示されている要素の向きに関連し、明示的に記載されていない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0019】
[22]
図1は、本発明の基本的なブロック図を示している。任意の持続期間であってもよいが、理想的には完全な睡眠サイクルを含むスリープ期間から、次の2種類の情報が抽出される:1)生理学信号(例えば、EEG、PPG)を使用した睡眠マイクロ構造、及び2)開示されかつ特許請求される概念では、睡眠経過図を含む睡眠マクロ構造。睡眠障害の指標「Ip」(本明細書の他の場所でより詳細に説明し、また、本明細書では、疼痛の指標とも呼ぶ)は、両方の情報源、すなわち、マイクロ構造及びマクロ構造を利用する。しかしながら、本明細書の他の場所に説明で説明するように、Ipは、2つの情報源、すなわち、マイクロ構造及びマクロ構造のうちのいずれかを単独で使用して決定することもできる。
【0020】
[23] 開示されかつ特許請求される概念のコンテキストにおいて考慮される睡眠マイクロ構造は、EEG信号及び/又は心臓信号(すなわち、PPG又はECGからの信号)に依存する。しかしながら、他の実施形態では、睡眠マイクロ構造値は、顎などの電極を使用したりなどする筋電図(EMG)デバイス及び技法から、又は、眼の動きを検出する電気眼球図(EOG)デバイス及び技法の使用を通じて、又は、他の検出機構及び技法の使用によって得ることができる。これらのモニタリングデバイスはすべて、睡眠アーキテクチャ情報を提供する。したがって、開示されかつ特許請求される概念では、睡眠マイクロ構造は、EEG、PPG、ECG、EMG、及びEOGを例として含む様々なモニタリングデバイス、及び睡眠アーキテクチャ情報を提供する他の検出デバイスのうちの任意の1つ以上から求めることができる。
【0021】
[24]
図1に示すように、疼痛は、EEGにおいて、深い徐波睡眠における高周波振動(例えば、アルファ波、8~12Hz)として現れる。疼痛がない場合など、普通の状況では、徐波睡眠中のスペクトルEEG成分は、非常に強い低周波(<4Hz)優位性を有する。したがって、徐波睡眠中のアルファ振動の存在は、
図1のように、自動方式で検出される明確な異常である。例えば、EEG信号における正弦波の1Hzの50マイクロボルトのピーク・トゥ・ピーク成分は、深睡眠を示すものと言える。さらなる例として、EEG信号における10Hzの20マイクロボルトのピーク・トゥ・ピーク正弦波成分は、
図1の数字68に示すように、深睡眠のアルファ侵入を示すものと言える。これは同様に、深睡眠中の疼痛状態を示すものである。
【0022】
[25] 心拍変動(HRV)及び心拍数(HR)などの心臓信号(ECG、PPG)の特性は、疼痛を反映する。つまり、HRVの低下は疼痛を反映する。さらに、高いHR自体も疼痛を反映することが知られている。しかしながら、疼痛を検出するためにHRVメトリックが計算される必要のある時間ウィンドウは、従来の1分間の分析ウィンドウと比較して短くする必要がある(すなわち、例として、30秒)。M.Jiang、R.Mieronkoski、A.Rahmani、N.Hagelberg、S.Salantera、及びP.Liljeberg、「2017 IEEE International Conference on Bioinformatics and Biomedicine(BIBM)Ultra-Short-Term」(2017、1025~32頁)の「Ultra-Short-Term Analysis of Heart Rate Variability for Real-time Acute Pain Monitoring with Wearable Electronics」。At the macroscopic level pain influences sleep.同書
【0023】
[26] 以下のこれらの指標は、睡眠経過図から推定できる:
[27] -睡眠開始の遅れ、
[28] -睡眠有効性の低下(<90%)、及び
[29] -多数の睡眠段階シフト(NREM睡眠段階N3、N2、及びN1)。
【0024】
[30] 指標Ipの一般的な形式を、以下の式1に示す。「t」パラメータは、時間依存性を示し、睡眠セッション全体又はその一部の期間にわたって指標を計算できることを示している。ただし、望ましくは、しかし、任意選択で、完全な睡眠周期である。また、時間依存性により、例えば、疼痛治療の有効性を評価するために、指標の時間的な追跡が可能になる。
[32] Ip(t)=a0+a1×EEGα/δ(t)+a2×HRV-1(t)+a3×Fhyp(t) 式1
[34] ここで、ai=0、・・・、3は正の実数であり、EEGα/δは深睡眠中のアルファ(8~12Hz)パワー対デルタ(0.5~4Hz)パワーのスペクトル比であり、HRVは比較的短いウィンドウ(例えば、30秒)にわたって計算された心拍数変動の指標であり(例えば、SDNN、PNN50、又はHF/LF、F.Shaffer及びJ.P.Ginsberg、「An Overview of Heart Rate Variability Metrics and Norms」、Front.Public Heal.、第5巻、号、9月、1~17頁、2017)、Fhypは睡眠アーキテクチャにおける疼痛の特定の影響を特徴付けている睡眠経過図から推定される指標である。
【0025】
[35] 式2は、Fhypを睡眠潜時(SL)(すなわち、完全に覚醒した状態から睡眠までにかかる時間)、睡眠効率(SE)(すなわち、寝ている時間とベッドに入っている時間との比率)、及びいくつかのN3又は他の睡眠発作の平均持続時間の一次結合として定義する。
[37] Fhyp(t)=b0+b1×SL(t)+b2×SE(t)+b3×N3bout(t) 式2
[39] ここで、bj=0、・・・、3は正の実数である。
【0026】
[40] 係数ai=0、・・・、3及びbj=0、・・・、3の値は、疼痛レベルについての患者の注釈付きデータとともに統計学的手法(回帰モデルなど)を使用することによってカスタマイズできる。
【0027】
[41]
徐波睡眠におけるアルファ侵入のEEGベースの検出:
[43] 深睡眠におけるアルファ侵入(アルファ/デルタパターン)は、慢性疼痛による体力の回復が見られない睡眠のマーカ(R.M.Wittig、F.J.Zorick、D.Blumer、M.Heilbronn、及びT.Rothによる「Disturbed sleep in patients complaining of chronic pain」、J.Nerv.Ment.Dis.、第170巻、第7号、429~31頁、1982年)であり、
図2Aの番号68Aに示すように、EEGにおいて観察できる。深睡眠におけるアルファ侵入の指標「EEGα/δ(t)」(式1を参照)は、検出された深睡眠中の平均アルファパワーを使用して計算できる。EEGにおける深睡眠は、コンシューマデバイス(その一例はPhilipsのSmartSleep深睡眠ヘッドバンドである)を使用して自動検出できるが、他のデバイスを使用することもできる。G.Garcia-Molinaらによる「Hybrid in-phase and continuous auditory stimulation significantly enhances slow wave activity during sleep」、2019年 41st Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society(EMBC)、2019年、4052~55頁;G.Garcia-Molinaらによる「Closed-loop system to enhance slow-wave activity」、J.Neural Eng.、第15巻、第6号、1~11頁、2018年;E.Bresch、U. Grossekathofer、及びG.Garcia-Molinaによる「Recurrent deep neural networks for real-time sleep stage classification from single channel EEG」、Front.Comput.Neurosci.、第12巻、第2018号、1~12頁、2018年を参照。
図3にこの方法の図が示される。
【0028】
[44][45] 徐波睡眠におけるHRVメトリック:
[46] 開示されかつ特許請求される概念では、検出された徐波睡眠中に心拍数変動(HRV)が推定される。HRVは、事前定義された時間ウィンドウ内で、隣接する心拍間の間隔、RR間隔の時間における変動の尺度である。開示されかつ特許請求される概念では、ウィンドウの持続時間は比較的短く、例として、≦30秒である。典型的に、HRV計算は、NN間隔、すなわち、アーチファクトが除去されたRR間隔で実行される。Rajendra Acharya,U.、Paul Joseph,K.、Kannathal,N.らによる「Heart rate variability:a review」、Med.Bio.Eng.Comput.44、1031~51(2006年);https://doi.org/10.1007/s11517-006-0119-0。
【0029】
[47] 徐波睡眠は、比較的長い時間ウィンドウ(すなわち、≧30秒)を使用して、心臓信号を使用して直接検出される(P.Fonsecaらによる「Validation of Photoplethysmography-Based Sleep Staging Compared With Polysomnography in Healthy Middle Aged Adults」、Sleep、第3巻、2017年)。いくつかの実施形態では、心臓信号とEEG信号が同時に検出及び記録され、このような状況では、EEG信号を使用して徐波睡眠を検出できる。「Hybrid in-phase and continuous auditory stimulation significantly enhances slow wave activity during sleep」、上記参照;「Closed-loop system to enhance slow-wave activity」、上記参照;「Recurrent deep neural networks for real-time sleep stage classification from single channel EEG」、上記参照。
【0030】
[48] HRVの時間領域指標は、NNを直接定量化する。周波数領域測定は、NN間隔の絶対パワー又は相対パワーの4つの周波数帯域:超低周波数(ULF≦0.003Hz)、超長波(VLF;0.0033~0.04Hz)、低周波数(LF;0.04~0.15Hz)、及び高周波数(HF;0.15~0.40Hz)への分布を推定する。「An Overview of Heart Rate Variability Metrics and Norms」、上記参照。
【0031】
[49] 短い時間ウィンドウを使用する開示されかつ特許請求される概念では、HRVメトリックは、HF/LFとみなされる。
【0032】
[50] 睡眠経過図ベースの睡眠障害計算:
[52] 睡眠アーキテクチャ(睡眠経過図)障害の指標は、式2の一般的定式化を使用して計算される。好ましい実施形態では、b0=0、b1=1、b2=1、及びb3=1である。
【0033】
[53] 疼痛による睡眠障害の指標の推定:
[55] 指標の分析的な説明は、式1に示されている。好ましい実施形態では、係数ai=0、・・・、3は、疼痛レベル及び予測因子値EEGα/δ、HRV-1、及びFhypが既知である注釈付きデータを使用して推定される。しかしながら、いくつかの実施形態では、初期値a0=0、a1=1/3、a2=1/3、a3=1/3から開始し、それらを患者の疼痛経験に応じて繰り返し調整することが想定されている。さらに、これらの係数だけでなく、bj係数、及び疼痛自体の指標だけでなく、睡眠障害の指標はすべて、例えば閉ループシステムを使用してリアルタイムデータに基づいて調整できることにも留意されたい。
【0034】
[56] 他の実施形態では、例えば心臓信号のみが記録され、EEGがない場合など、モニタリングが制限されていることから、式1に記載されている要素を使用できない場合がある。指標は引き続き計算できるが、欠落した信号に関連する係数は0に設定される。
【0035】
[57] 意識が低下した状態への拡張:
[59] 昏睡後の反応のない状態又は麻酔鎮静時に、深睡眠時のものと同様の脳活動及び自律活動のパターンが報告されている。R.D.Sanders、G.Tononi、S.Laureys、及びJ.W.Sleighによる「Unresponsiveness versus unconsciousness」、Anesthesiology、第116巻、第4号、946~59頁、2012年11月を参照。したがって、本発明で提案される指標は、これらの状態での疼痛経験についても有利に知らせることができる。したがって、また、本明細書で使用される場合、「低下した意識」という表現は、植物性状態、麻酔鎮静、及び睡眠を含むことができる個人の1つ以上の状態を広く指しているものとする。
【0036】
[60] 急性疼痛への拡張:
[62] 開示されかつ特許請求される概念において提案される指標は、急性疼痛による睡眠障害の指標として有利に使用できる。これは、認知障害のある患者やコミュニケーションを取ることが難しい患者に特に有用である。これは、多くのコミュニケーションが取れない患者や、例えば、ALS患者、子ども、言語の問題がある患者、戦場での負傷者など、コミュニケーションが限られている患者の誰にでも、さらに拡張できる。例えば、本明細書に記載する装置及び/又は方法を、コミュニケーションが取れない患者やコミュニケーションが限られている患者に応用することは非常に有利である。これは、改良された装置及び方法が、その有効性について、患者からのコミュニケーションに依存しておらず、むしろ、患者から得られたデータ及び信号に基づいているからである。
【0037】
[63] 応用:
[65] Ipを計算するための信号は、治療装置、麻酔深度モニタリング用のアップグレードされたバイスペクトル(BIS)デバイス、及び/又はSmartSleep深睡眠ヘッドバンドなどのコンシューマ向けデバイス及び同様のデバイスなど、様々な信号源から得ることができる。あるいは、これらの信号の効率的な収集を最適化するために、目的に合わせて設計されたデバイスを開発することもできる。
【0038】
[66] 慢性及び急性疼痛を患う個人:
[68] 指標Ipを使用して、疼痛を患う個人の介入の定期的な調整を計算及び/又は決定できる。介入が薬剤に関するものである場合、薬剤の投与量及びタイミングを、個人のごく最近の全体的な状態を状況的に認識したレベルに、Ipに基づいて調整できる。このように有利に調整された疼痛治療薬では、急性疼痛は改善されるが、より弱い疼痛は過剰治療されない。この解決策は、個人が経験する疼痛の客観的な尺度を提供する。これはさらに、オピオイド及び関連する危機(追加や乱用のシナリオなど)にも有益な影響を与える可能性がある。
【0039】
[69] 特殊ケースの使用、介護者に疼痛を伝える能力がない個人:
[71] 疼痛を患う個人が介護者とコミュニケーションを取ることができないシナリオは数多く存在する。いくつかのシナリオには、疾患に関連するもの(ALS、脳卒中など)が含まれ、他は負傷に関連し(戦場、事故)、他は医療に関連する状態に関連し(昏睡、麻酔など)、他は外国語の問題に関連し、さらに他の例としては乳児や発話前の子どもが挙げられる。このような特殊なケースでは、上記の解決策は、治療計画を個人及びごく最近の状況に合わせて調整するのに、特に有用である。
【0040】
[72]
図4に、開示されかつ特許請求される概念による改良された装置4を概略的に示す。装置4は、改良された方法100を実行する際に使用される。改良された方法100も、開示されかつ特許請求される概念によるものであり、少なくともその一部を
図5に概略的に示している。装置4は、互いに接続されているプロセッサ12とストレージ16とを含むと言うことができるプロセッサ装置8を含むことを特徴とする。ストレージ16は、いくつかのルーチン20を保存した非一時的なストレージ媒体の形式である。これらのルーチンも、非一時的なストレージ媒体の形式であり、プロセッサ12上で実行されると、装置4に、本明細書の他の場所で説明するように特定の操作を実行させる命令を含む。
【0041】
[73] 装置4には、プロセッサ12に入力信号を提供する入力装置24と、プロセッサ12から出力信号を受信する出力装置28が含まれているとさらに言うことができる。入力装置24には、様々な入力コンポーネントのうちのいずれかが含まれていると言うことができ、出力装置28にも、同様に、様々な出力コンポーネントのうちのいずれかが含まれていると言うことができる。例えば、装置4にタッチスクリーンが含まれる場合、出力装置28には、タッチスクリーンの視覚的ディスプレイが含まれていると言うことができ、入力装置24には、視覚的ディスプレイ上にあるタッチ感応オーバーレイが含まれていると言うことができる。
【0042】
[74] 入力装置24には、(例としてかつ限定なく)EEGモニタリングデバイス32、ECGモニタリングデバイス36、PPGモニタリングデバイス40、EMGモニタリングデバイス44、及びEOGモニタリングデバイス48などの様々なモニタリングデバイスが含まれていると言うことができ、各モニタリングデバイスは、睡眠アーキテクチャ情報を表し、プロセッサ12への入力信号として入力装置24から入力される信号を提供する。
【0043】
[75] 出力装置28には、視覚的ディスプレイ52及び制御アクチュエータ56を含むいくつかの出力デバイスが含まれている。視覚的ディスプレイ52は、例えば、疼痛指標が生成される信号が視覚的に出力できるように、
図1~
図3の主題を視覚的に示すことができる。あるいは又はさらに、視覚的ディスプレイ52は、時間の関数としてのグラフ形式であるかどうかに関わらず、数値の形式で、又は、例えば、色などを含む他のタイプの値としてなど、疼痛指標自体を示すこともできる。
【0044】
[76] 制御アクチュエータ56は、個人に薬理学的疼痛治療を提供する、又は神経刺激ベース、行動ベース、理学療法ベースなどでの疼痛治療を提供するなど、様々なやり方のうちのいずれかで使用できる。この点において、制御アクチュエータ56及び入力装置24は、プロセッサ装置8及びルーチン20と協力して、疼痛指標の変化に応じて、個人に適用される疼痛治療レジメンに適応させる閉ループ制御システムを形成できることが理解できる。例えば、
図1は、数字60において、疼痛指標60が時間の経過とともに有意に減少しないことから、不成功とみなされる疼痛治療の疼痛指標を示している。例として、このような疼痛は、EEG波のスペクトル解析におけるアルファ侵入を示す
図2Aの数字68Aで確認できる。これに対応して、制御アクチュエータ56は、例えば、疼痛治療が薬理学ベースである場合に、薬剤の投与量を増加させることによってなど、疼痛治療を増加させたり、又は他の方法で調整したりすることができる。疼痛治療における他の変化の例としては、病院環境で患者にモルヒネボタンが与えられている場合に、患者は自己投与できるが、臨床医が設定した上限値までしか投与できない場合など、自己投与される疼痛治療薬の上限値を上げることが挙げられる。疼痛治療プログラムの他の調整の例としては、システムによって指示される、又は、システムからの出力を通じて臨床医に提案される理学療法及び作業療法の調整が挙げられる。
【0045】
[77] この例を続けると、薬剤の投与量が適切なレベルに達すると、
図1にあるように、数字64において疼痛指標が出力され、時間の経過とともに減少して、許容可能な疼痛レベルになる。したがって、疼痛指標64は、個人における疼痛治療の成功を表していることが理解できる。これは、例えば、EEG信号のスペクトル解析において、
図2Bの数字68Bにおいて、アルファ侵入がないことでも示されている。他のバリエーションは、例えば、疼痛治療レジメン、使用されている睡眠アーキテクチャを表す入力信号などに応じて明らかであろう。
【0046】
[78]
図5に、概して、開示されかつ特許請求される概念による改良された方法100が示されている。処理は、110から開始し、個人の意識が低下した期間のうちの少なくとも一部分において、個人に取り付けられたいくつかのモニタリングデバイスからのいくつかの信号が検出される(110)。本明細書で説明したように、いくつかのモニタリングデバイスには、例えば、EEG32、ECG36、PPG40、EMG44、及びEOG48のうちの1つ以上が含まれている。
【0047】
[79] 処理は、120に進み、いくつかの信号に少なくとも部分的に基づいて、個人の疼痛の指標が決定される。疼痛の指標は、例えば、式1から、また、睡眠経過図が使用される場合は、任意選択で、式2を追加的に使用して決定できる。
【0048】
[80] 処理は、130に進み、i)疼痛の指標、及びii)個人の疼痛治療の適応のうちの少なくとも1つを少なくも部分的に表す出力が生成される。前述のように、疼痛の指標は、疼痛治療の適応のために使用できる。このような出力は、時間の経過とともに疼痛の指標を継続的に微調整することと組み合わせて使用できる。
【0049】
[81] 特許請求の範囲では、括弧内の任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。「含む」又は「含んでいる」という語は、請求項に列挙されている要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。いくつかの手段を列挙するデバイス請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、まったく同一のハードウェアアイテムによって具体化されてもよい。単数形の要素は、当該要素が複数存在することを除外するものではない。いくつかの手段を列挙する任意のデバイス請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、まったく同一のハードウェアアイテムによって具体化されてもよい。特定の要素が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの要素の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。
【0050】
[82] 本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態と考えられているものに基づく例示のために詳細に説明されているが、このような詳細は、その目的のみを対象としており、本発明は開示された実施形態に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある修正配置及び同等配置を対象とすることを意図していることを理解されたい。例えば、本発明では、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴を任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができることが企図されていることを理解されたい。