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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】振動測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01H 1/00 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G01H1/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022577919
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2021003054
(87)【国際公開番号】W WO2022162837
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 照
(72)【発明者】
【氏名】谷原 勇樹
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187137(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105067111(CN,A)
【文献】特開2020-139752(JP,A)
【文献】特開2011-013176(JP,A)
【文献】特開2018-185212(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104049108(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の振動を検出するセンサと、
前記被測定物に対して前記センサを着脱可能に支持するアタッチメントと
前記アタッチメントにおいて前記ばねの伸縮方向に移動可能に支持され、一方の面が前記センサと当接し、他方の面が前記ばねと当接する中板とを備え、
前記中板は、
前記中板の左辺及び右辺からその幅方向外側に向けて突出するように形成される爪部を有し、
前記アタッチメントは、
前記センサを覆うように、当該センサを収納するアタッチメント本体と、
前記センサと前記アタッチメント本体との間に介在され、前記センサの受振面を前記被測定物の表面に押圧するばねと、
前記アタッチメントを前記被測定物の表面から取り外した場合であっても、前記ばねによって押圧された前記センサに形成されるセンサ側係止部と互いに係止するアタッチメント側係止部と
前記アタッチメント本体の左縦壁及び右縦壁にそれぞれに形成され、前記爪部を前記ばねの伸縮方向に移動可能に支持する組み付け用孔とを有する
ことを特徴とする振動測定装置。
【請求項2】
記アタッチメント本体及び前記中板のうちの少なくとも一方に設けられ、前記ばねを位置決めする位置決め部とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の振動測定装置。
【請求項3】
前記アタッチメント本体に設けられ、前記被測定物の表面を吸着する磁石を備え、
前記磁石は、前記アタッチメント本体の下面において、互いに向き合う1組の隅部に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の振動測定装置。
【請求項4】
前記センサに設けられる取付孔と、
前記左縦壁の下端及び前記右縦壁の下端にそれぞれ設けられ、前記被測定物の表面を吸着する磁石を有するフランジ部と、
前記取付孔と、前記被測定物の表面に設けられ、且つ、前記取付孔を貫通したボルトが締め込まれるボルト孔とを互いに対向させ、前記左縦壁の下部及び前記右縦壁の下部から各フランジ部の中央部に亘って形成される切り欠き部とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の振動測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物を伝搬する振動を検出する振動測定装置が提供されている。このような、従来の振動測定装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-24107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された振動測定装置は、センサを収容部材に収容する構造となっている。収容部材は、上蓋及び下蓋によって構成されている。センサは、上蓋に覆われると共に、下蓋に固定されている。このため、センサは、下蓋を介して、被測定物の振動を検出することになる。このような構造を採用した場合、センサが被測定物に直接的に接触していないため、当該センサの検出精度は、低下してしまう。
【0005】
そこで、特許文献1に開示された振動測定装置において、検出精度を向上させようとする場合、下蓋を削除することが考えられる。このとき、センサを上蓋に固定する必要があるが、センサを適切に上蓋に取り付けないと、当該センサを被測定物から取り外したときに、センサが上蓋から脱落するおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、アタッチメントを被測定物から取り外したときに、センサのアタッチメントからの脱落を防止することができる振動測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る振動測定装置は、被測定物の振動を検出するセンサと、被測定物に対してセンサを着脱可能に支持するアタッチメントと、アタッチメントにおいてばねの伸縮方向に移動可能に支持され、一方の面がセンサと当接し、他方の面がばねと当接する中板とを備え、中板は、中板の左辺及び右辺からその幅方向外側に向けて突出するように形成される爪部を有し、アタッチメントは、センサを覆うように、当該センサを収納するアタッチメント本体と、センサとアタッチメント本体との間に介在され、センサの受振面を被測定物の表面に押圧するばねと、アタッチメントを被測定物の表面から取り外した場合であっても、ばねによって押圧されたセンサに形成されるセンサ側係止部と互いに係止するアタッチメント側係止部と、アタッチメント本体の左縦壁及び右縦壁にそれぞれに形成され、爪部をばねの伸縮方法に移動可能に支持する組み付け用孔とを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、アタッチメントを被測定物から取り外したときに、センサのアタッチメントからの脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る振動測定装置の構成を示す正面図である。
図2】実施の形態1に係るセンサの構成を示す図である。図2Aは、センサの構成を示す正面図である。図2Bは、センサの構成を示す右側面図である。
図3】実施の形態1に係るアタッチメントの構成を示す図である。図3Aは、アタッチメントの構成を示す平面図である。図3Bは、アタッチメントの構成を示す正面図である。
図4】実施の形態1に係るアタッチメント本体の構成を示す右側面図である。
図5】実施の形態1に係る中板の構成を示す図である。図5Aは、中板の構成を示す正面図である。図5Bは、中板の構成を示す平面図である。
図6】実施の形態1に係るアタッチメントカバーの構成を示す図である。図6Aは、アタッチメントカバーの構成を示す平面図である。図6Bは、アタッチメントカバーの構成を示す正面図である。
図7】センサが組み付けられる前のアタッチメントの構成を示す正面図である。
図8】センサが組み付けられた後のアタッチメントの構成を示す正面図である。
図9】実施の形態1に係る振動測定装置の被測定物への取り付け状態を示す図である。
図10】センサからアタッチメントを取り外す動作を示す図である。
図11】実施の形態1に係る振動測定装置の構成を示す下面図である。
図12】実施の形態1に係る振動測定装置による非測定領域を示す図である。
図13】実施の形態1に係る振動測定装置による別の非測定領域を示す図である。
図14】実施の形態1に係る振動測定装置による最終的な非測定領域を示す図である。
図15】実施の形態2に係る振動測定装置におけるアタッチメント本体の構成を示す図である。図15Aは、アタッチメント本体の構成を示す正面図である。図15Bは、アタッチメント本体の構成を示す平面図である。
図16】実施の形態2に係る振動測定装置における中板の構成を示す図である。図16Aは、中板の構成を示す正面図である。図16Bは、中板の構成を示す平面図である。
図17】実施の形態2に係る振動測定装置におけるアタッチメントの構成を示す正面図である。
図18】実施の形態3に係る振動測定装置におけるアタッチメントの構成を示す下面図である。
図19】実施の形態4に係る振動測定装置におけるセンサの構成を示す図である。図19Aは、センサの構成を示す平面図である。図19Bは、センサの構成を示す右側面図である。
図20】実施の形態4に係る振動測定装置におけるアタッチメントの構成を示す図である。図20Aは、アタッチメントの構成を示す平面図である。図20Bは、アタッチメントの構成を示す右側面図である。
図21】実施の形態4に係る振動測定装置の構成を示す下面図である。
図22】実施の形態5に係る振動測定装置におけるセンサの構成を示す図である。図22Aは、センサの構成を示す正面図である。図22Bは、センサの構成を示す右側面図である。
図23】実施の形態5に係る振動測定装置の構成を示す図である。図23Aは、振動測定装置の構成を示す正面図である。図23Bは、振動測定装置の構成を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る振動測定装置について、図1から図14を用いて説明する。
【0012】
先ず、実施の形態1に係る振動測定装置の構成について、図1から図6を用いて説明する。
【0013】
図1は、実施の形態1に係る振動測定装置の構成を示す正面図である。図2は、実施の形態1に係るセンサ10の構成を示す図である。図3は、実施の形態1に係るアタッチメント20の構成を示す図である。図4は、実施の形態1に係るアタッチメント本体21の構成を示す右側面図である。図5は、実施の形態1に係る中板22の構成を示す図である。図6は、実施の形態1に係るカバー23の構成を示す図である。なお、右側面とは、図1に示す振動測定装置を正面から見て、右側に位置する側面である。また、左側面とは、図1に示す振動測定装置を正面から見て、左側に位置する側面である。
【0014】
図1に示す実施の形態1に係る振動測定装置は、被測定物W(図9参照)に発生する振動を検出するものである。この振動測定装置は、センサ10及びアタッチメント20を備えている。センサ10は、被測定物Wの振動を検出するものである。アタッチメント20は、センサ10を被測定物Wに対して着脱させるものである。なお、被測定物Wは、金属材で形成されている。
【0015】
図2に示すセンサ10は、例えば、圧電式の振動センサである。このセンサ10には、ケーブル14がコネクタ15を介して接続されている。センサ10は、振動の検出に応じて、所定の信号をケーブル14を介して出力する。
【0016】
センサ10の下面は、受振面10aを形成している。この受振面10aは、被測定物Wの表面に当接し、当該被測定物Wの振動を受ける。また、センサ10は、センサ側係止部となる係止凹部11を有している。この係止凹部11は、センサ10の左側面及び右側面に、それぞれ2つずつ形成されている。各側面に形成される2つの係止凹部11は、センサ10の前後方向において並んで配置される。
【0017】
図1及び図3に示すように、アタッチメント20は、センサ10をその上方から覆い被さることで、被測定物Wに対して、センサ10を着脱可能に支持する。
【0018】
図3から図6に示すように、アタッチメント20は、アタッチメント本体21、中板22、カバー23、ばね24、及び、磁石25を備えている。アタッチメント本体21、中板22、及び、カバー23は、例えば、プレス加工等によって製造された板金部品である。
【0019】
図3及び図4に示すように、アタッチメント本体21は、アタッチメント20の前後方向に延びる内部空間を有するような、形状をなしている。このため、アタッチメント本体21は、センサ10をその上方から覆い被さるように、当該センサ10をその内部空間内に収納することができる。このようなアタッチメント本体21は、フランジ部21a及び組み付け用孔21b,21cを有いている。
【0020】
フランジ部21aは、アタッチメント本体21における左縦壁の下端及び右縦壁の下端に、それぞれ設けられている。各フランジ部21aの下面には、磁石25が2つずつ設けられている。これらの磁石25は、被測定物Wを吸着する。各フランジ部21aに設けられる2つの磁石25は、アタッチメント20の前後方向において並んで配置されている。このため、振動測定装置の下面は、四角形をなしており、当該振動測定装置は、その下面の四隅に、磁石25が1つずつ配置された構造となる。
【0021】
組み付け用孔21bは、後述する中板22をアタッチメント本体21に組み付けるための孔である。この組み付け用孔21bは、アタッチメント本体21の左縦壁及び右縦壁に、それぞれ1つずつ形成されている。各組み付け用孔21bは、互いに向き合って対向している。また、組み付け用孔21bの縦方向(高さ方向)の長さは、L1となっている。
【0022】
組み付け用孔21cは、後述するカバー23をアタッチメント本体21に組み付けるための孔である。この組み付け用孔21cは、アタッチメント本体21の左縦壁及び右縦壁に、それぞれ2つずつ形成されている。左縦壁に形成される2つの組み付け用孔21cと、右縦壁に形成される2つの組み付け用孔21cとは、それぞれ互いに向き合って対向している。
【0023】
また、左縦壁に形成される2つの組み付け用孔21cは、センサ10の左側面に形成される2つの係止凹部11と、それぞれ対応している。一方、右縦壁に形成される2つの組み付け用孔21cは、センサ10の右側面に形成される2つの係止凹部11と、それぞれ対応している。
【0024】
図5に示すように、中板22は、平板状に形成されている。この中板22は、爪部22aを有している。爪部22aは、中板22の左辺及び右辺からその幅方向外側に向けて突出するように形成されている。この爪部22aは、アタッチメント本体21の組み付け用孔21bに挿入可能となっている。爪部22aの厚さは、組み付け用孔21bの長さL1よりも薄い。
【0025】
また、図1及び図3Bに示すように、中板22は、アタッチメント本体21の左右縦壁間に組み付けられるものである。中板22の一方の面は、アタッチメント本体21の内部に配置されたセンサ10の上面と当接可能となっている。このとき、爪部22aは、組み付け用孔21bに挿入されている。
【0026】
更に、アタッチメント本体21の内部に組み付けられた中板22の他方の面と、当該アタッチメント本体21の天井面との間には、ばね24が介在されている。このばね24は、それらの間に圧縮状態で介在されており、中板22を介して、センサ10をアタッチメント本体21の外側(被測定物側)に向けて常に押圧している。即ち、中板22は、ばね24の伸縮方向に移動可能に支持されている。センサ10の縦方向の移動量は、カバー23を取り付けていないとき、(長さL1-爪部22aの厚さ)となる。
【0027】
図1及び図3Bに示すように、カバー23は、アタッチメント本体21を上方から抱え込むような、形状をなしている。また、図6に示すように、カバー23は、平板部23a、及び、アタッチメント側係止部となる係止凸部23bを有している。
【0028】
平板部23aは、カバー23をアタッチメント本体21に組み付けたときに、当該アタッチメント本体21の上面と対向する部位である。
【0029】
係止凸部23bは、平板部23aの左側部及び右側部に、それぞれ2つずつ形成されている。この係止凸部23bは、平板部23aの左側部及び右側部からその幅方向外側に向けて延び、更に、その幅方向内側に向けて複数回に亘って折り曲げられた部位である。即ち、係止凸部23bは、カバー23の側部をその内側に向けて複数回に亘って折り曲げられたときの最先端折り曲げ部である。なお、図6は、係止凸部23bを、カバー23の側部をその内側に向けて2回に亘って折り曲げられたときの最先端折り曲げ部としたときの例である。
【0030】
また、平板部23aの左側部に形成される2つの係止凸部23bは、アタッチメント本体21の左縦壁に形成される2つの組み付け用孔21c、及び、センサ10の左側面に形成される2つの係止凹部11と、それぞれ対応している。一方、平板部23aの右側部に形成される2つの係止凸部23bは、アタッチメント本体21の右縦壁に形成される2つの組み付け用孔21c、及び、センサ10の右側面に形成される2つの係止凹部11と、それぞれ対応している。即ち、係止凹部11と係止凸部23bとは、互いに係止して、引っ掛かる。
【0031】
次に、センサ10とアタッチメント20との組み付け方法について、図7及び図8を用いて説明する。
【0032】
図7は、センサ10が組み付けられる前のアタッチメント20の構成を示す正面図である。図8は、センサ10が組み付けられた後のアタッチメント20の構成を示す正面図である。
【0033】
先ず、図7に示すように、センサ10が組み付けられる前においては、アタッチメント20は、アタッチメント本体21、中板22、ばね24、及び、磁石25が組み付けられた状態となっている。
【0034】
次いで、図8に示すように、アタッチメント20が、センサ10に被せられる。このとき、センサ10は、アタッチメント本体21の内部に収納され、当該アタッチメント本体21の内部に組み付けられている中板22に当接する。
【0035】
そして、図3に示すように、カバー23が、アタッチメント20のアタッチメント本体21に被せられる。このとき、カバー23の係止凸部23bが、アタッチメント本体21の組み付け用孔21cを介して、センサ10の係止凹部11に係止する。このため、センサ10とアタッチメント20との間の組み付けは、完了する。
【0036】
次に、実施の形態1に係る振動測定装置の被測定物Wへの取り付け方法について、図9を用いて説明する。
【0037】
図9は、実施の形態1に係る振動測定装置の被測定物Wへの取り付け状態を示す図である。
【0038】
図9に示すように、振動測定装置が被測定物Wの表面に当接すると、磁石25が当該被測定物Wの表面を吸着する。このとき、センサ10の受振面10aは、ばね24の押圧力によって磁石25の吸着面の位置から長さL1の分だけ外側に飛び出していたが、被測定物Wの表面に接触する。このため、センサ10は、中板22を介して、ばね24の押圧力に抗して、アタッチメント本体21の内部に収納される。そして、ばね24に押圧されるセンサ10の受振面10aは、被測定物Wの表面に押圧される。この結果、振動測定装置は、センサ10の受振面10aを介して、被測定物Wの振動を検出することができる。
【0039】
また、振動測定が終了し、アタッチメント20を被測定物Wから取り外した場合であっても、ばね24がセンサ10を押圧しているため、当該センサ10の係止凹部11が、カバー23の係止凸部23bに強く引っ掛かる。このため、センサ10は、アタッチメント20を被測定物Wから離しても、当該アタッチメント20から脱落することはない。即ち、振動測定装置は、センサ10とアタッチメント20とを一体とした状態で、それらを被測定物Wから取り外すことができる。
【0040】
次に、センサ10からアタッチメント20を取り外す方法について、図10を用いて説明する。
【0041】
図10は、センサ10からアタッチメント20を取り外す動作を示す図である。
【0042】
図10に示すように、振動測定装置は、被測定物Wから取り外された後、水平な床面に置かれる。次いで、カバー23の係止凸部23bが左右両側に広げられ、係止凹部11から取り外されることにより、当該カバー23は、センサ10から取り外されたことになる。そして、アタッチメント本体21、中板22、及び、ばね24の組み付けが解除されことで、アタッチメント20は、センサ10から取り外されたことになる。
【0043】
次に、実施の形態1に係る振動測定装置の非測定領域R1,R2,R3について、図11から図14を用いて説明する。
【0044】
図11は、実施の形態1に係る振動測定装置の構成を示す下面図である。図12は、実施の形態1に係る振動測定装置による非測定領域R1を示す図である。図13は、実施の形態1に係る振動測定装置による別の非測定領域R2を示す図である。図14は、実施の形態1に係る振動測定装置による最終的な非測定領域R3を示す図である。
【0045】
先ず、振動測定装置の測定領域とは、被測定物Wにおける測定対象範囲内において、センサ10が振動を適切に検出することができる領域である。また、振動測定装置の非測定領域とは、被測定物Wにおける測定対象範囲内において、センサ10が振動を適切に検出することができない領域である。
【0046】
ここで、図11に示すように、振動測定装置においては、センサ10における受振面10aの形状、及び、アタッチメント20の下面形状は、共に、四角形状となっている。このとき、受振面10aの長さを、L2とし、アタッチメント20の下面の長さを、L3とする場合、長さL2は、長さL3よりも長くなるように設定されている。振動測定装置は、上述した長さ設定が行われることにより、非測定領域R3を最小にすることができる。
【0047】
図12に示すように、振動測定装置が、被測定物Wにおける測定対象範囲において、測定を実施しようとする場合、その測定対象範囲には、振動測定装置の非測定領域R1が発生する。また、図13に示すように、振動測定装置が、被測定物Wにおける測定対象範囲において、測定を実施しようとする場合、その測定対象範囲には、振動測定装置の非測定領域R2が発生する。
【0048】
即ち、図14に示すように、振動測定装置は、1つの測定対象範囲内において、向きを変えて測定を実施することで、その測定対象範囲内の隅部のみを、非測定領域R3とすることができる。非測定領域R3は、非測定領域R1と非測定領域R2とが重なり合った領域である。
【0049】
以上、実施の形態1に係る振動測定装置は、被測定物Wの振動を検出するセンサ10と、被測定物Wに対してセンサ10を着脱可能に支持するアタッチメント20とを備える。このアタッチメント20は、センサ10を覆うように、当該センサ10を収納するアタッチメント本体21と、センサ10とアタッチメント本体21との間に介在され、センサ10を被測定物側に向けて押圧するばね24と、ばね24によって押圧されたセンサ10に形成される係止凹部11と互いに係止する係止凸部23bとを有する。このため、振動測定装置は、アタッチメント20を被測定物Wから取り外したときに、センサ10のアタッチメント20からの脱落を防止することができる。
【0050】
実施の形態2.
実施の形態2に係る振動測定装置について、図15から図17を用いて説明する。
【0051】
図15は、実施の形態2に係る振動測定装置におけるアタッチメント本体21の構成を示す図である。図16は、実施の形態2に係る振動測定装置における中板22の構成を示す図である。図17は、実施の形態2に係る振動測定装置におけるアタッチメント20の構成を示す正面図である。
【0052】
実施の形態2に係る振動測定装置は、実施の形態1に係る振動測定装置の構成に加えて、位置決め部21d,22bを備えたものである。
【0053】
図15に示すように、アタッチメント本体21は、位置決め部21dを有している。この位置決め部21dは、ばね24を位置決めするためのものである。位置決め部21dは、アタッチメント本体21と中板22との間に介在されたばね24の一端に対応した位置に設けられている。位置決め部21dは、アタッチメント本体21の天井面から内側に向けて突出するように形成されている。このため、位置決め部21dは、ばね24の一端側の内部に挿入可能となる。
【0054】
図16に示すように、中板22は、位置決め部22bを有している。この位置決め部22bは、ばね24を位置決めするためのものである。位置決め部22bは、アタッチメント本体21と中板22との間に介在されたばね24の他端に対応した位置に設けられている。位置決め部22bは、中板22の略中央部から外側に向けて突出するように形成されている。このため、位置決め部22bは、ばね24の他端側の内部に挿入可能となる。
【0055】
図17に示すように、ばね24をアタッチメント本体21と中板22との間に介在する場合、ばね24の一端側に位置決め部21dが挿入し、ばね24の他端側に位置決め部22bが挿入される。このため、ばね24は、位置決め部21d,22bによって位置決めされ、位置ずれが防止される。
【0056】
なお、振動測定装置は、位置決め部21d,22bのうち、少なくとも一方の位置決め部21d,22bを有していれば良い。位置決め部21d,22bは、例えば、バーリング加工によって得られるものである。
【0057】
以上、実施の形態2に係る振動測定装置は、アタッチメント本体21においてばね24の伸縮方向に移動可能に支持され、一方の面がセンサ10と当接し、他方の面がばね24と当接する中板22と、アタッチメント本体21及び中板22のうちの少なくとも一方に設けられ、ばね24を位置決めする位置決め部21d,22bとを備える。このため、振動測定装置は、ばね24の位置ずれを防止することができるため、アタッチメント20を被測定物Wから取り外したときに、係止凹部11と係止凸部23bとを確実に係止させることができる。
【0058】
実施の形態3.
実施の形態3に係る振動測定装置について、図18を用いて説明する。
【0059】
図18は、実施の形態3に係る振動測定装置におけるアタッチメント20の構成を示す下面図である。
【0060】
実施の形態1に係る振動測定装置は、4つの磁石25を備えているのに対して、実施の形態3に係る振動測定装置は、2つの磁石25を備えている。
【0061】
図18に示すように、2つの磁石25は、アタッチメント20の下面において、互いに向き合う1組みの隅部にそれぞれ設けられている。アタッチメント20に取り付けられる磁石25の数量は、取り付けた磁石25の総吸着力が、ばね24の押圧力よりも大きければ良い。ばね24の押圧力が総吸着力よりも大きくなる場合、ばね24がセンサ10を押圧すると、磁石25が被測定物Wから離れてしまうおそれがある。このため、振動測定装置は、位置ずれが生じ、被測定物Wの振動を適切に測定できないという問題を有することになる。
【0062】
以上、実施の形態3に係る振動測定装置は、アタッチメント本体21に設けられ、被測定物Wを吸着する磁石25を備え、磁石25は、アタッチメント本体21の下面において、互いに向き合う1組の隅部に設けられる。このため、振動測定装置は、磁石25の設置数量を少なくすることができる。
【0063】
実施の形態4.
実施の形態4に係る振動測定装置について、図19から図21を用いて説明する。
【0064】
図19は、実施の形態4に係る振動測定装置におけるセンサ10の構成を示す図である。図20は、実施の形態4に係る振動測定装置におけるアタッチメント20の構成を示す図である。図21は、実施の形態4に係る振動測定装置の構成を示す下面図である。
【0065】
実施の形態3に係る振動測定装置は、実施の形態1に係る振動測定装置の構成に加えて、取付孔12及び切り欠き部21eを備えたものである。
【0066】
図19に示すように、センサ10は、取付孔12を有している。この取付孔12は、ボルト(図示省略)が貫通する貫通孔であり、被測定物Wに設けられたボルト孔(図示省略)に対応している。取付孔12は、センサ10の左側部及び右側部にそれぞれ設けられている。
【0067】
図20に示すように、アタッチメント本体21は、切り欠き部21eを有している。この切り欠き部21eは、取付孔12に対応して設けられている。即ち、左側の取付孔12に対応した切り欠き部21eは、左縦壁の下部から左側のフランジ部21aの中央部に亘って、形成されている。また、右側の取付孔12に対応した切り欠き部21eは、右縦壁の下部から右側のフランジ部21aの中央部に亘って、形成されている。
【0068】
図21に示すように、取付孔12は、切り欠き部21eを介して、被測定物Wのボルト孔に対向することができる。このため、振動測定装置は、ボルトを取付孔12を介して被測定物Wのボルト孔に締め込むことにより、当該被測定物Wに固定される。この結果、振動測定装置は、被測定物Wへの固定を強固にすることができ、位置ずれを防止することができる。
【0069】
以上、実施の形態4に係る振動測定装置は、センサ10に設けられる取付孔12と、取付孔12と被測定物Wのボルト孔とを互いに対向させ、アタッチメント本体21に形成される切り欠き部21eとを備える。このため、振動測定装置は、位置ずれを防止することができるので、検出精度の低下を抑制することができる。
【0070】
実施の形態5.
実施の形態5に係る振動測定装置について、図22及び図23を用いて説明する。
【0071】
図22は、実施の形態5に係る振動測定装置におけるセンサ10の構成を示す図である。図23は、実施の形態5に係る振動測定装置の構成を示す図である。
【0072】
実施の形態5に係る振動測定装置は、係止凹部11に替えて、突起部13を備えると共に、係止凸部23bに替えて、組み付け用孔21fを備えている。また、その振動測定装置は、カバー23を備えてはいない。即ち、突起部13は、センサ側係止部である。組み付け用孔21fは、アタッチメント側係止部である。
【0073】
図22に示すように、センサ10は、突起部13を有している。この突起部13は、センサ10をアタッチメント本体21に組み付けるためのものである。突起部13は、センサ10の左側面及び右側面に、それぞれ2つずつ形成されている。突起部13は、センサ10の左側面又は右側面から外側に向けて突出している。
【0074】
図23に示すように、アタッチメント本体21は、組み付け用孔21fを有している。この組み付け用孔21fには、突起部13が挿入可能となっている。組み付け用孔21fは、左縦壁及び右縦壁に、それぞれ2つずつ形成されている。組み付け用孔21fは、縦方向に長径を有する長孔である。このため、突起部13が組み付け用孔21fに挿入されても、センサ10は、ばね24の押圧力によって移動可能であり、また、ばね24の押圧力に抗して移動可能となる。
【0075】
以上、実施の形態5に係る振動測定装置は、被測定物Wの振動を検出するセンサ10と、被測定物Wに対してセンサ10を着脱可能に支持するアタッチメント20とを備える。アタッチメント20は、センサ10を覆うように、当該センサ10を収納するアタッチメント本体21と、センサ10とアタッチメント本体21との間に介在され、センサ10を被測定物側に向けて押圧するばね24と、ばね24によって押圧されたセンサ10に形成される突起部13と互いに係止する組み付け用孔21fとを有する。このため、振動測定装置は、アタッチメント20を被測定物Wから取り外したときに、センサ10のアタッチメント20からの脱落を防止することができる。
【0076】
なお、本開示はその開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示に係る振動測定装置は、センサ側係止部とアタッチメント側係止部とが互いに係止するため、センサのアタッチメントからの脱落を防止することができ、振動測定装置等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0078】
10 センサ、10a 受振面、11 係止凹部、12 取付孔、13 突起部、14 ケーブル、15 コネクタ、20 アタッチメント、21 アタッチメント本体、21a フランジ部、21b 組み付け用孔、21c 組み付け用孔、21d 位置決め部、21e 切り欠き部、21f 組み付け用孔、22 中板、22a 爪部、22b 位置決め部、23 カバー、23a 平板部、23b 係止凸部、24 ばね、25 磁石、W 被測定物、R1~R3 非測定領域、L1~L3 長さ。
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