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特許7462824組み立て治具の撤去方法、及び、組み立て治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】組み立て治具の撤去方法、及び、組み立て治具
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/52 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
E02D27/52 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023193837
(22)【出願日】2023-11-14
【審査請求日】2023-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 三樹雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 政宏
(72)【発明者】
【氏名】能勢 哲郎
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-046721(JP,A)
【文献】特開2013-063767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つのレグと前記少なくとも3つのレグのうちの互いに隣り合うレグ同士を連結するブレースとを有する洋上風車用ジャケット構造体、の組立エリアの中央に立てられる支持塔と、
前記支持塔の上部から放射状に延びる少なくとも3つの支持アームと、
前記少なくとも3つの支持アームの先端にそれぞれ設けられ、前記組立エリアに立てられた状態の前記少なくとも3つのレグをそれぞれ支持する少なくとも3つのレグ支持部と、を備える洋上風車用ジャケット構造体の組み立て治具の撤去方法であって、
前記組み立て治具を、水平方向に沿う上端領域であって前記少なくとも3つのレグそれぞれの上端に囲まれる上端領域、又は、前記レグ同士と前記ブレースの下面と地面とに囲まれる側面領域、を通過可能な大きさに変形する変形ステップを含み、前記変形ステップの後に、前記上端領域又は前記側面領域を前記組み立て治具が通過する通過ステップ、
を備えることを特徴とする組み立て治具の撤去方法。
【請求項2】
少なくとも3つのレグと前記少なくとも3つのレグのうちの互いに隣り合うレグ同士を連結するブレースとを有する洋上風車用ジャケット構造体、の組立エリアの中央に立てられる支持塔と、
前記支持塔の上部から放射状に延びる少なくとも3つの支持アームと、
前記少なくとも3つの支持アームの先端にそれぞれ設けられ、前記組立エリアに立てられた状態の前記少なくとも3つのレグをそれぞれ支持する少なくとも3つのレグ支持部と、を備える洋上風車用ジャケット構造体の組み立て治具の撤去方法であって、
水平方向に沿う上端領域であって前記少なくとも3つのレグそれぞれの上端に囲まれる上端領域、又は、前記レグ同士と前記ブレースの下面と地面とに囲まれる側面領域、を前記組み立て治具が通過する通過ステップ、
を備え、
前記通過ステップは、
前記組み立て治具が、鉛直方向に沿って見て、前記上端領域に含まれるように、又は、
前記組み立て治具が、水平方向に沿って見て、前記側面領域に含まれるように、
前記組み立て治具を変形させる変形ステップ、
を更に含むことを特徴とする組み立て治具の撤去方法。
【請求項3】
前記変形ステップは、前記組み立て治具が、鉛直方向に沿って見て、前記上端領域に含まれるように前記組み立て治具を変形させ、
前記通過ステップは、
前記変形ステップの後、前記組み立て治具に吊り上げ索を取り付ける取り付けステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の組み立て治具の撤去方法。
【請求項4】
前記通過ステップは、
前記変形ステップの後で且つ前記取り付けステップの前に、前記吊り上げ索を前記上端領域に挿通させる挿通ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の組み立て治具の撤去方法。
【請求項5】
前記変形ステップは、
前記支持アームを折り曲げる折り曲げステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の組み立て治具の撤去方法。
【請求項6】
前記変形ステップは、
前記支持アームを収縮させる収縮ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の組み立て治具の撤去方法。
【請求項7】
前記変形ステップは、
前記支持アームの先端側の一部を前記支持アームから取り外す取り外しステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の組み立て治具の撤去方法。
【請求項8】
少なくとも3つのレグと、前記少なくとも3つのレグのうちの互いに隣り合うレグ同士を連結するブレースと、を有する洋上風車用ジャケット構造体、の組立エリアの中央に立てられる支持塔と、
前記支持塔の上部から放射状に延びる少なくとも3つの支持アームと、
前記少なくとも3つの支持アームの先端にそれぞれ設けられ、前記組立エリアに立てられた状態の前記少なくとも3つのレグをそれぞれ支持する少なくとも3つのレグ支持部と、を備える洋上風車用ジャケット構造体の組み立て治具であって、
前記組み立て治具は、水平方向に沿う上端領域であって前記少なくとも3つのレグそれぞれの上端に囲まれる上端領域、又は、前記レグ同士と前記ブレースの下面と地面とに囲まれる側面領域、を通過可能な大きさに変形可能である、
ことを特徴とする組み立て治具。
【請求項9】
前記組み立て治具は、前記支持アームを折り曲げることで、前記上端領域又は前記側面領域を通過可能な大きさに変形可能である、
ことを特徴とする請求項8に記載の組み立て治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組み立て治具の撤去方法、及び、組み立て治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洋上風車用ジャケット構造体Jがヤードで建造されている。
特許文献1は、洋上風車用ジャケット構造体Jの組み立てに用いられる組立用治具、の少なくとも一部を作業者がクレーン等を利用して撤去すること、を開示する。また、特許文献1は、組立用治具の塔上部と塔中間部との連結を解除し、そして、この際、塔上部と支持アームとの接続を解除し、支持アームと塔上部とを撤去すること、を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-46721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、洋上風車用ジャケット構造体Jは、通常、少なくとも3つのレグと、これらレグのうちの互いに隣り合うレグ同士を連結するブレースと、を有する。洋上風車用ジャケット構造体Jの建造時において、組立用治具の少なくとも一部を撤去する際、これらのレグやブレースが干渉することが問題になる。そして、特許文献1は、このような問題への解決策に改善の余地がある。
【0005】
本開示は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、レグやブレースを洋上風車用ジャケット構造体Jから取り外すことなく、且つ、これらレグやブレースに干渉しないように撤去することが可能となる、組み立て治具の撤去方法、及び、組み立て治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本開示の態様1に係る組み立て治具の撤去方法は、少なくとも3つのレグと前記少なくとも3つのレグのうちの互いに隣り合うレグ同士を連結するブレースとを有する洋上風車用ジャケット構造体J、の組立エリアの中央に立てられる支持塔と、前記支持塔の上部から放射状に延びる少なくとも3つの支持アームと、前記少なくとも3つの支持アームの先端にそれぞれ設けられ、前記組立エリアに立てられた状態の前記少なくとも3つのレグをそれぞれ支持する少なくとも3つのレグ支持部と、を備える洋上風車用ジャケット構造体Jの組み立て治具の撤去方法であって、水平方向に沿う上端領域であって前記少なくとも3つのレグそれぞれの上端に囲まれる上端領域、又は、前記レグ同士と前記ブレースの下面と地面とに囲まれる側面領域、を前記組み立て治具が通過する通過ステップを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レグやブレースを洋上風車用ジャケット構造体Jから取り外すことなく、且つ、これらレグやブレースに干渉しないように撤去することが可能となる、組み立て治具の撤去方法、及び、組み立て治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造体の斜視図である。
図2】洋上風車用ジャケット構造体の組み立て途中の状態を示す正面図である。
図3】洋上風車用ジャケット構造体の組み立て途中の状態を示す平面図の第1例である。
図4】洋上風車用ジャケット構造体の組み立て途中の状態を示す平面図の第2例である。
図5】実施形態に係る組み立て治具の斜視図である。
図6】実施形態に係る組み立て治具の正面図である。
図7】上方から見た支持アームの一例である。
図8】組み立て治具の支持アームを折り曲げる途中の状態を示す正面図である。
図9】組み立て治具の支持アームが折り曲げられた状態を示す正面図である。
図10】組み立て治具が上下に分割された状態を示す正面図である。
図11】吊り上げステップを示す正面図である。
図12】移動ステップを示す正面図である。
図13】実施形態に係る組み立て治具1の撤去方法のフローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本開示の一実施形態に係る組み立て治具、及び、組み立て治具の撤去方法を説明する。
本実施形態に係る組み立て治具は、洋上風車用ジャケット構造体を建造する際に用いられる。まず、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造体について説明する。
【0010】
(洋上風車用ジャケット構造体の構成について)
図1は、実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造体Jの斜視図である。
図2は、洋上風車用ジャケット構造体Jの組み立て途中の状態を示す正面図である。
図3は、洋上風車用ジャケット構造体Jの組み立て途中の状態を示す平面図の第1例である。
図4は、洋上風車用ジャケット構造体Jの組み立て途中の状態を示す平面図の第2例である。
図1に示すように、洋上風車用ジャケット構造体Jは、レグJ1と、ブレースJ2と、トランジションピースJ3と、を含む。
【0011】
レグJ1は、上下方向に延びる。レグJ1は、例えば、鉛直方向に平行に伸びてもよいし、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。レグJ1には、例えば、鋼管が用いられる。また、レグJ1は、上下方向に延びる途中で傾斜角が変わっていてもよい。
レグJ1の下端は、海底地盤に打設された不図示の杭と接続される。レグJ1の上端は、トランジションピースJ3と接続される。このことで、レグJ1は、洋上においてトランジションピースJ3を支持する。洋上風車用ジャケット構造体Jにおいて、レグJ1は、少なくとも3つ設けられる。このことで、トランジションピースJ3を、少なくとも3つのレグJ1によって支持する。これにより、レグJ1によって、安定してトランジションピースJ3を支持できるようにする。
本実施形態において、レグJ1は、図1に示すように4つ設けられる。なお、これに限らず、レグJ1は、5つ以上設けられてもよい。
【0012】
ブレースJ2は、洋上風車用ジャケット構造体Jにおける上下方向を軸とした周方向において、互いに隣り合うレグJ1同士を連結する。このことで、ブレースJ2は、洋上風車用ジャケット構造体Jを補強する。ブレースJ2には、例えば、鋼管が用いられる。ブレースJ2とレグJ1とは、例えば、溶接により接合される。ブレースJ2は、例えば、図1に示すように、レグJ1同士の間においてX字状に配置される。前記X字状は、例えば、上下方向に2段設けられてもよい。
トランジションピースJ3は、洋上風車用ジャケット構造体Jにおいて複数設けられたレグJ1の上部に接続される。トランジションピースJ3には、洋上風車WMのタワーの下部が接続される。このことで、トランジションピースJ3は、洋上風車WMを支持する。
上記の各構成により、洋上風車用ジャケット構造体Jは構成される。
【0013】
(上端領域及び側面領域について)
本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造体Jは、建造中において、上端領域A1及び側面領域A2を有する。
上端領域A1は、図2及び図3に示すように、洋上風車用ジャケット構造体Jにおいて複数設けられたレグJ1のそれぞれの上端に囲まれる領域である。上端領域A1は、水平方向に沿う。上端領域A1は、レグJ1の上端にトランジションピースJ3が接合されることで閉じられる。
側面領域A2は、図2に示すように、ブレースJ2によるレグJ1同士の接続が完了した後に形成される領域である。すなわち、側面領域A2は、組立エリアBAに配置された建造中の洋上風車用ジャケット構造体Jにおける、レグJ1同士とブレースJ2の下面と地面とに囲まれる領域である。
本実施形態に係る組み立て治具1は、上端領域A1又は側面領域A2を通過することで、洋上風車用ジャケット構造体Jから撤去される(詳細は後述する)。
【0014】
(組み立て治具の構成について)
次に、本実施形態に係る組み立て治具1の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る組み立て治具1の斜視図である。
図6は、実施形態に係る組み立て治具1の正面図である。
図2図3図4に示すように、組み立て治具1は、洋上風車用ジャケット構造体Jを建造する際に用いられる。洋上風車用ジャケット構造体Jは、例えば、図2に示す組立エリアBAにおいて建造される。組立エリアBAは、例えば、ヤードに設けられる。組立エリアBAにおいては、例えば、複数のレグJ1が組み立て治具1によって地上に立てられた状態とされる。この状態で、レグJ1同士を接続するブレースJ2が溶接等により接合される。
図5に示すように、組み立て治具1は、支持塔10と、支持アーム20と、レグ支持部30と、を備える。
【0015】
支持塔10は、組立エリアBAの中央に立てられる。支持塔10は、脚部11と、軸部12と、を含む。
脚部11は、支持塔10のうち、組立エリアBAの地面と接する部位である。脚部11は、例えば、図5に示すように、十字状に形成される。脚部11は、組立エリアBAにおいて軸部12を安定して立設させるために設けられる。本実施形態において、十字状に形成された脚部11の内部には、例えば、中詰めコンクリートが充填されていてもよい。このことで、脚部11の重量を大きくすることで、軸部12を安定して立設させるようにしてもよい。
軸部12は、上下方向に延びる。軸部12の下部には、脚部11が接続される。軸部12の上部には、次に述べる支持アーム20が接続される。
【0016】
支持アーム20は、洋上風車用ジャケット構造体Jの建造中において、複数のレグJ1を支持する。レグJ1同士をブレースJ2によって接続する作業は、図2図3に示すように、レグJ1が支持アーム20によって支持された状態で行われる。
支持アーム20は、一方の端部が軸部12の上部に接続される棒状の部材である。より具体的には、支持アーム20の一方の端部は、軸部12の上部に設けられた基部12a1に接続される。支持アーム20は、図6に示すように、例えば、洋上風車用ジャケット構造体Jの建造時において水平方向に沿って延びる。支持アーム20は、洋上風車用ジャケット構造体Jの備えるレグJ1の1つに対して1つ設けられる。すなわち、支持アーム20は、洋上風車用ジャケット構造体Jの建造時において、レグJ1の数及び位置に合わせて支持塔10の上部から放射状に延びる。
【0017】
上述のように、洋上風車用ジャケット構造体Jにおいて、レグJ1は少なくとも3つ設けられる。したがって、組み立て治具1において、支持アーム20は少なくとも3つ設けられる。本実施形態において、組み立て治具1は、図5に示すように、4つの支持アーム20を備える。なお、これに限らず、支持アーム20は、洋上風車用ジャケット構造体JのレグJ1の数に合わせて5つ以上備えられてもよい。
【0018】
本実施形態に係る組み立て治具1は、レグJ1の長さ、レグJ1の径、レグJ1同士の間隔、レグJ1の鉛直方向に対する相対角度等の異なる複数種類の洋上風車用ジャケット構造体Jの建造に用いられる。このため、支持アーム20は、建造される洋上風車用ジャケット構造体Jの大きさ又は形状に応じて、長さの延長又は収縮が可能である。
【0019】
図7は、上方から見た支持アームの一例である。
支持アーム20は、例えば、図7に示すように、支持アーム20の長さを調節可能とするための長さ調節部21を有していてもよい。この場合、支持アーム20は、第1アーム20aと、第2アーム20bと、長さ調節部21と、を有する。第1アーム20aは、支持塔10の上端部に固定されている。第2アーム20bは、長さ調節部21を介して第1アーム20aに接続されており、その一端がレグ支持部30に固定されている。
【0020】
長さ調節部21は、支持アーム20の長さを調節可能とする部材である。長さ調節部21は、例えば、アーム中間部21aと、第1連結部21bと、第2連結部21cとを備える。アーム中間部21aは、第1アーム20aと第2アーム20bとの間に介在する。第1連結部21bは、第1アーム20aとアーム中間部21aとの間を着脱可能に連結する。第2連結部21cは、アーム中間部21aと第2アーム20bとの間を着脱可能に連結する。第1連結部21b、第2連結部21cが着脱可能とされているので、長さが異なる2種類以上のアーム中間部21aを予め準備しておくことで、アーム中間部21aを入れ替えることができる。これにより支持アーム20の長さが調節される。なお、長さ調節部21は、長さが伸縮可能なアーム中間部21aを含んでいてもよく、アーム中間部21a自身の伸縮により、支持アーム20の長さが調節されてもよい。
【0021】
レグ支持部30は、図3図5に示すように、組み立て治具1において複数設けられた支持アーム20の先端にそれぞれ設けられる。レグ支持部30は、支持アーム20の他方の端部、すなわち、支持塔10の軸部12の基部12a1に取り付けられた端部の反対の端部に設けられる。
レグ支持部30は、組立エリアBAに立てられた状態の複数のレグJ1をそれぞれ支持する。レグ支持部30は、例えば、レグJ1を支持しやすくするための開口部31を備える。レグJ1がレグ支持部30によって支持される時、レグJ1は、この開口部31に配置される。開口部31を形成するために、レグ支持部30は、例えば、U字状あるいはV字状に形成されることが好ましい。あるいはこれに限らず、レグ支持部30は、レグJ1を支持しやすい形状であれば、その他任意の形状であってもよい。
上記の各構成により、組み立て治具1は構成される。
【0022】
(組み立て治具の変形について)
本実施形態において、組み立て治具1は、変形可能である。
ここで、洋上風車用ジャケット構造体Jの建造時にレグJ1を支持する組み立て治具1は、洋上風車用ジャケット構造体Jの建造が完了した後、洋上風車用ジャケット構造体Jから撤去される。この時、組み立て治具1がレグJ1を支持していた際の形状のままであると、組み立て治具1を撤去する際、洋上風車用ジャケット構造体JのレグJ1又はブレースJ2と干渉する。
そこで、組み立て治具1を変形可能とすることで、洋上風車用ジャケット構造体Jから組み立て治具1を撤去する際、レグJ1又はブレースJ2と干渉しないようにすることができる。
【0023】
本実施形態において、組み立て治具1は、変形した後、建造中の洋上風車用ジャケット構造体Jにおける上端領域A1又は側面領域A2を通過するようにして、洋上風車用ジャケット構造体Jから撤去される。すなわち、本実施形態において、組み立て治具1は、建造中の洋上風車用ジャケット構造体Jにおいて形成される上端領域A1又は側面領域A2を通過可能な大きさに変形可能である。
なお、上述のように、上端領域A1は、レグJ1の上端にトランジションピースJ3が接合されることで閉じられる。このため、組み立て治具1は、例えば、レグJ1とブレースJ2との接合が完了した後、少なくともレグJ1の上端にトランジションピースJ3を接合する前に撤去されることが好ましい。
【0024】
以下、組み立て治具1の変形について、4例説明する。
図8は、組み立て治具1の支持アーム20を折り曲げる途中の状態を示す正面図である。
図9は、組み立て治具1の支持アーム20が折り曲げられた状態を示す正面図である。
図10は、組み立て治具1が上下に分割された状態を示す正面図である。
図11は、吊り上げステップS4を示す正面図である。
図12は、移動ステップS5を示す正面図である。
【0025】
組み立て治具1の変形の第1例について説明する。すなわち、組み立て治具1は、例えば、図6図8図9に示すように、支持アーム20を折り曲げることで、上端領域A1又は側面領域A2を通過可能な大きさに変形可能である。
支持アーム20の折り曲げを可能とするため、本実施形態において、支持アーム20は、図6に示すように、例えば、支持塔10の軸部12の基部12a1にピン接合される。このことで、支持アーム20は、図6図8図9に示すように、軸部12との接続部におけるピンPを回転中心として回転可能である。これにより、支持塔10の軸部12に接続された支持アーム20は、図6に示すように水平方向に延びた状態から、図10に示すように、支持アーム20と軸部12との接続部において折り曲げることが可能となる。
【0026】
本実施形態において、支持アーム20は、添接板SPによって固定されることで、水平に延びた状態を保たれる。すなわち、支持アーム20の一方の端部と、軸部12の基部12a1とは、図6に示すように、添接板SPによって接続されている。添接板SPは、ボルト孔を有する板状の部材である。添接板SPは、支持アーム20の一方の端部及び軸部12の基部12a1に、それぞれ不図示のボルトにより固定される。このことで、支持アーム20を水平に保つ。
【0027】
支持アーム20を折り曲げる際は、添接板SPを取りはずす。このことで、支持アーム20の他方の端部が下方に移動し、支持アーム20の折り曲げが完了する。なお、支持アーム20を折り曲げる際は、支持アーム20の他方の端部が急激に落下することを抑えるため、図8に示すように、支持アーム20の他方の端部を、吊り上げ索Rを介して不図示の起重機によって支持しつつ、支持アーム20の他方の端部を下方に移動させることが好ましい。
【0028】
折り曲げられた後の支持アーム20の位置を安定させるために、軸部12の基部12a1と支持アーム20との接続部の付近には、例えば、図6に示すように、それぞれ当接部12a2が形成されることが好ましい。軸部12の基部12a1及び支持アーム20のそれぞれに設けられた当接部12a2は、支持アーム20が折り曲げられた後、図9に示すように、互いに接する。このことで、折り曲げられた後の支持アーム20が、意図せず揺動すること等を抑え、支持アーム20を安定させる。
支持アーム20が折り曲げられた後、軸部12の基部12a1及び支持アーム20のそれぞれに設けられた当接部12a2は、例えば、互いにボルト締結等によって固定されてもよい。
【0029】
このように支持アーム20が折り曲げられることで、組み立て治具1のうち、後述する軸上部12aは、図4に示すように、鉛直方向に沿って見て、上端領域A1に含まれる程度の大きさに変形する。すなわち、軸上部12aは、不図示の起重機等によって持ち上げることで図11に示すように、上端領域A1を通過可能な程度の大きさに変形する。
【0030】
組み立て治具1の変形の第2例について説明する。すなわち、組み立て治具1は、例えば、図9に示す支持アーム20の長さL1を収縮させることで、上端領域A1又は側面領域A2を通過可能な大きさに変形可能であってもよい。
支持アーム20の収縮は、支持アーム20が備える上述した機能を流用可能である。すなわち、上述したように、支持アーム20は、建造される洋上風車用ジャケット構造体Jの大きさ又は形状に応じて、図7に示す長さ調節部21によって長さL1の延長又は収縮が可能である。この機能を利用して支持アーム20を収縮させることで、軸上部12aを、上端領域A1を通過可能な程度の大きさに変形させてもよい。
軸上部12aを、上端領域A1を通過可能な程度の大きさに変形させる際は、支持アーム20を折り曲げることのみ行われてもよいし、支持アーム20の折り曲げと、支持アーム20の収縮と、の両方が行われてもよい。あるいは、支持アーム20の収縮のみによって、軸上部12aを上端領域A1を通過可能な程度の大きさに変形可能である場合は、支持アーム20の収縮のみ行われてもよい。
【0031】
組み立て治具1の変形の第3例について説明する。すなわち、組み立て治具1は、例えば、支持アーム20の先端側の一部を支持アーム20から取り外すことで、上端領域A1又は側面領域A2を通過可能な大きさに変形可能であってもよい。すなわち、組み立て治具1は、レグ支持部30を支持アーム20から取り外し可能であってもよい。レグ支持部30を支持アーム20から取り外し可能とするために、例えば、レグ支持部30と支持アーム20とは、不図示のボルトにより接合されることが好ましい。
このように、支持アーム20からレグ支持部30を取り外すことで、軸上部12aを、上端領域A1を通過可能な程度の大きさに変形させてもよい。
【0032】
組み立て治具1の変形の第4例について説明する。すなわち、組み立て治具1は、例えば、図10に示すように、上下方向に分割されることで、上端領域A1又は側面領域A2を通過可能な大きさに変形可能であってもよい。
より具体的には、組み立て治具1における支持塔10の軸部12が上下方向に分割可能である。すなわち、軸部12は、脚部11との接続部を含む軸下部12bと、支持アーム20との接続部を含む軸上部12aと、に分割可能である。このことで、組み立て治具1は、上下方向に分割可能となる。本実施形態において、軸下部12bの内部には、例えば、中詰めコンクリートが充填されていてもよい。このことで、軸部12の重心を下げることで、軸部12を安定して立設させるようにしてもよい。
【0033】
軸下部12bと軸上部12aとは、次に述べる構造により接続される。すなわち、図6に示すように、軸下部12bの上端及び軸上部12aの下端には、それぞれリングプレートR1と、リブプレートR2と、が設けられる。軸下部12bと軸上部12aとは、軸下部12bと軸上部12aとにそれぞれ設けられたリブプレートR2を、添接板R3によって接合することで接合される。
リングプレートR1は、軸下部12bの上端及び軸上部12aの下端の周方向に亘って設けられる環状の部材である。リングプレートR1は、次に述べるリブプレートR2と、軸下部12bの上端及び軸上部12aの下端と、の接続を補強するために設けられる。
リブプレートR2は、上下方向に沿って設けられる板状の部材である。リブプレートR2は、軸下部12bの上端及び軸上部12aの下端の周方向に沿って、間隔をあけて複数設けられる。
本実施形態において、軸下部12bの上端及び軸上部12aの下端と、リングプレートR1と、リブプレートR2と、は、例えば、互いに溶接により固定される。
本実施形態において、軸下部12bと軸上部12aとは、次のようにして接続される。すなわち、まず、軸下部12bの上端及び軸上部12aにそれぞれ設けられたリブプレートR2同士が、互いに突き合わされるように配置される。その状態で、一対の添接板R3を、互いに突き合わされたリブプレートR2同士を挟むように配置する。そして、一対の添接板R3と、軸下部12bのリブプレートR2及び軸上部12aのリブプレートR2とを、ボルトBとナットNとによって固定する。このことで、軸下部12bと軸上部12aとが接続される。この時、ボルトBには、高力ボルトが好適に用いられる。
軸下部12bと軸上部12aとの分割は、例えば、前述のようにリブプレートR2同士を締結するボルトBとナットN、及び添接板R3とを取り外した後、不図示の起重機等によって軸上部12aを持ち上げることによって行われることが好ましい。
【0034】
このように組み立て治具1が分割されることで、組み立て治具1のうち、軸下部12bは、図12に示すように、水平方向に沿って見て、側面領域A2に含まれる程度の大きさに変形する。すなわち、軸下部12bは、洋上風車用ジャケット構造体Jと軸下部12bとが水平方向に相対移動することで側面領域A2を通過可能な程度の大きさに変形する。
【0035】
(組み立て治具の撤去方法)
次に、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造体Jの建造工程における、組み立て治具1の撤去方法について説明する。
図13は、実施形態に係る組み立て治具1の撤去方法のフローである。
本実施形態に係る撤去方法は、通過ステップSを含む。通過ステップSにおいては、上述した形態に沿って変形した組み立て治具1を、建造中の洋上風車用ジャケット構造体Jにおける、上端領域A1又は側面領域A2を通過させる。
本実施形態において、通過ステップSは、変形ステップS1と、挿通ステップS2と、取り付けステップS3と、吊り上げステップS4と、移動ステップS5と、を含む。
【0036】
変形ステップS1は、組み立て治具1を変形させる工程である。すなわち、組み立て治具1は、変形ステップS1において、上述の4例に係る形態に沿って変形される。このことで、組み立て治具1は、吊り上げステップS4又は移動ステップS5において、建造中の洋上風車用ジャケット構造体Jにおける上端領域A1又は側面領域A2を通過可能な大きさに変形される。
【0037】
変形ステップS1は、例えば、組み立て治具1が、図4に示すように、鉛直方向に沿って見て上端領域A1に含まれるように組み立て治具1を変形させる。変形ステップS1は、あるいは、組み立て治具1が、図12に示すように、水平方向に沿って見て側面領域A2に含まれるように組み立て治具1を変形させる。
変形ステップS1は、例えば、折り曲げステップS1Aと、収縮ステップS1Bと、取り外しステップS1Cと、分割ステップS1Dと、を含む。
【0038】
折り曲げステップS1Aは、上述した組み立て治具1の変形の第1例に沿って、支持アーム20を折り曲げる工程である。このことで、少なくとも軸上部12aが、上端領域A1を通過可能となるようにする。
収縮ステップS1Bは、上述した組み立て治具1の変形の第2例に沿って、支持アーム20を収縮させる工程である。このことで、軸上部12aを、より確実に上端領域A1を通過可能となるようにする。なお、収縮ステップS1Bは、軸上部12aが確実に上端領域A1を通過可能である場合には、行われなくてもよい。
取り外しステップS1Cは、上述した組み立て治具1の変形の第3例に沿って、支持アーム20の先端側の一部を支持アーム20から取り外す工程である。すなわち、取り外しステップS1Cは、支持アーム20からレグ支持部30を取り外す工程である。なお、取り外しステップS1Cは、軸上部12aが確実に上端領域A1を通過可能である場合には、行われなくてもよい。
分割ステップS1Dは、上述した組み立て治具1の変形の第4例に沿って、支持塔10の軸部12を軸上部12aと軸下部12bとに分割するステップである。すなわち、分割ステップS1Dにおいては、軸上部12aと軸下部12bとを接続するボルトB及びナットNを、リブプレートR2から取りはずす工程である。このことで、後述する吊り上げステップS4において、不図示の起重機によって軸上部12aのみを吊り上げ可能とする。
【0039】
挿通ステップS2は、変形ステップS1の後で且つ取り付けステップS3の前に、吊り上げ索Rを上端領域A1に挿通させる工程である。吊り上げ索Rは、不図示の起重機と軸上部12aとを接続するロープである。挿通ステップS2において吊り上げ索Rを上端領域A1に挿通させることで、吊り上げ索Rを軸上部12aに接続可能とする。
【0040】
取り付けステップS3は、少なくとも変形ステップS1の後、図9に示すように、組み立て治具1に吊り上げ索Rを取り付ける工程である。本実施形態において、取り付けステップS3は、挿通ステップS2の後に行われる。すなわち、取り付けステップS3は、挿通ステップS2において上端領域A1を挿通された吊り上げ索Rを、軸上部12aに接続する工程である。取り付けステップS3において吊り上げ索Rを軸上部12aに接続することで、図10に示すように、軸上部12aを不図示の起重機によって吊り上げ可能とする。
吊り上げ索Rは、図9に示すように、吊りピースHPに取り付けられる。吊りピースHPは、例えば、軸部12の上端に設けられた基部12a1の上面に4か所形成される。吊り上げ索Rは、4か所形成された吊りピースHPに対して1つずつ取り付けられることで、吊り上げ時の軸上部12aの姿勢を安定させることが好ましい。
【0041】
吊り上げステップS4は、軸上部12aに接続された吊り上げ索Rを用いて、図11に示すように、軸上部12aを上方に吊り上げる工程である。すなわち、吊り上げステップS4においては、吊り上げ索Rを不図示の起重機によって上方に引き上げることで、軸上部12aを上方に移動させる。このことで、軸上部12aを、上端領域A1を通過させることで、洋上風車用ジャケット構造体Jから撤去する。
【0042】
移動ステップS5は、図12に示すように、軸下部12bと洋上風車用ジャケット構造体Jとを水平方向に相対移動させる工程である。このことで、軸下部12bを、側面領域A2をくぐるようにして通過させる。このことで、軸下部12bを洋上風車用ジャケット構造体Jから撤去する。
移動ステップS5においては、例えば、洋上風車用ジャケット構造体Jを不図示のドーリーによって支持し、ドーリーによって洋上風車用ジャケット構造体Jを移動させてもよい。あるいは、移動ステップS5においては、組み立て治具1を不図示のドーリーによって支持し、ドーリーによって組み立て治具1を移動させてもよい。
以上の各工程により、本実施形態に係る組み立て治具1の撤去は行われる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る組み立て治具1の撤去方法によれば、洋上風車用ジャケット構造体Jの組み立ての際に用いられる組み立て治具1を撤去するための通過ステップSを備える。通過ステップSでは、少なくとも3つのレグJ1それぞれの上端に囲まれる上端領域A1、又は、レグJ1同士とブレースJ2の下面と地面とに囲まれる側面領域A2、を組み立て治具1が通過する。すなわち、組み立て治具1を、ブレースJ2を避けるようにしつつ、レグJ1とレグJ1との間を通り抜けさせることで、洋上風車用ジャケット構造体Jから撤去する。これにより、例えば、洋上風車用ジャケット構造体Jから組み立て治具1を撤去する際、レグJ1、及び、レグJ1とレグJ1とを連結するブレースJ2に、組み立て治具1が干渉することを抑えることができる。よって、組み立て治具1を撤去する際、レグJ1やブレースJ2を洋上風車用ジャケット構造体Jから取り外すことを不要とすることができる。
【0044】
また、通過ステップSは、組み立て治具1を変形させる変形ステップS1を備える。変形ステップS1では、組み立て治具1を、鉛直方向に沿って見て上端領域A1に含まれるように、又は、組み立て治具1が、水平方向に沿って見て側面領域A2に含まれるように変形させる。これにより、洋上風車用ジャケット構造体Jから組み立て治具1を撤去する際、レグJ1、及び、レグJ1とレグJ1とを連結するブレースJ2に、組み立て治具1が干渉することをより確実に抑えることができる。
【0045】
また、変形ステップS1では、例えば、組み立て治具1が、鉛直方向に沿って見て、上端領域A1に含まれるように組み立て治具1を変形させる。そして、通過ステップSは、変形ステップS1の後、組み立て治具1に吊り上げ索Rを取り付ける取り付けステップS3を更に含む。
ここで、例えば、組み立て治具1を変形させる前に、組み立て治具1を吊り上げるための吊り上げ索Rを取り付けると、組み立て治具1を変形させる作業である変形ステップS1の間、組み立て治具1を吊り上げる起重機を拘束することとなる。
前述のように、変形ステップS1の後に取り付けステップS3を行うことで、起重機を拘束する時間を短くすることができる。
【0046】
また、通過ステップSは、変形ステップS1の後で且つ取り付けステップS3の前に、吊り上げ索Rを上端領域A1に挿通させる挿通ステップS2を更に含む。すなわち、吊り上げ索Rは、挿通ステップS2において、洋上風車用ジャケット構造体Jの上方から、洋上風車用ジャケット構造体Jが備える少なくとも3つのレグJ1それぞれの上端に囲まれる上端領域A1を通過し、組み立て治具1に取り付けられる。
このように、変形ステップS1の後に取り付けステップS3を行うことで、起重機を拘束する時間を短くすることができるとともに、挿通ステップS2において、吊り上げ索Rが上端領域A1を通過して組み立て治具1に取り付けられることで、変形後の組み立て治具1を、より確実に上端領域A1に通過させることができる。
【0047】
また、変形ステップS1は、例えば、支持アーム20を折り曲げる折り曲げステップS1Aを更に含む。このように、支持アーム20を折り曲げることのみによって組み立て治具1を変形させることで、組み立て治具1の変形を容易な作業とするとともに、作業時間を短くすることができる。よって、変形ステップS1を効率的に行うことができる。
【0048】
また、変形ステップS1は、支持アーム20を収縮させる収縮ステップS1Bを更に含んでいてもよい。
ここで、組み立て治具1の支持アーム20は、建造される洋上風車用ジャケット構造体Jの大きさ又は形状に応じて、長さの延長又は収縮が可能である。したがって、収縮ステップS1Bは、支持アーム20が有する既存の機能を利用して実施可能である。このように、既存の機能を利用して変形ステップS1の一部の工程を行うことができるようにすることで、組み立て治具1に特別な機能等を追加することなく、効率的な組み立て治具1の撤去に寄与することができる。
【0049】
また、変形ステップS1は、支持アーム20の先端側の一部を支持アーム20から取り外す取り外しステップS1Cを更に備えていてもよい。これにより、組み立て治具1を洋上風車用ジャケット構造体Jから撤去する際の大きさをより小さくすることができる。よって、例えば、洋上風車用ジャケット構造体Jの上端領域A1あるいは側面領域A2が小さい場合であっても、組み立て治具1を撤去しやすくすることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る組み立て治具1によれば、洋上風車用ジャケット構造体Jの、水平方向に沿う上端領域A1であって少なくとも3つのレグJ1それぞれの上端に囲まれる上端領域A1、又は、レグJ1同士とブレースJ2の下面と地面とに囲まれる側面領域A2、を通過可能な大きさに変形可能である。これにより、例えば、洋上風車用ジャケット構造体Jから組み立て治具1を撤去する際、レグJ1、及び、レグJ1とレグJ1とを連結するブレースJ2に、組み立て治具1が干渉することを抑えることができる。よって、組み立て治具1を撤去する際、レグJ1やブレースJ2を洋上風車用ジャケット構造体Jから取り外すことを不要とすることができる。
【0051】
また、組み立て治具1は、支持アーム20を折り曲げることで、上端領域A1又は側面領域A2を通過可能な大きさに変形可能である。このように、支持アーム20を折り曲げることのみによって組み立て治具1を変形させることで、組み立て治具1の変形を容易な作業とするとともに、作業時間を短くすることができる。よって、組み立て治具1の変形を効率的に行うことができる。
【0052】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、組み立て治具1を撤去する際、支持塔10の軸部12から支持アーム20を取り外し、支持アーム20を起重機によって個別に取り外してもよい。
また、軸上部12aは、例えば、上下2段に設けられたX字状のブレースJ2の隙間から、吊り天秤等を用いて水平方向に移動させることで撤去されてもよい。
また、図8において説明したように、支持アーム20を折り曲げる際は、支持アーム20を起重機によって支持した状態とすることが好ましいが、これに代えて、支持アーム20の回転移動を減速可能な油圧シリンダを設けてもよい。
【0053】
その他、本開示の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 組み立て治具
10 支持塔
11 脚部
12 軸部
12a 軸上部
12a1 基部
12a2 当接部
12b 軸下部
20 支持アーム
20a 第1アーム
20b 第2アーム
21 調節部
21a アーム中間部
21b 第1連結部
21c 第2連結部
30 レグ支持部
31 開口部
A1 上端領域
A2 側面領域
B ボルト
BA 組立エリア
HP 吊りピース
J 洋上風車用ジャケット構造体
J1 レグ
J2 ブレース
J3 トランジションピース
N ナット
P ピン
R 吊り上げ索
R1 リングプレート
R2 リブプレート
R3 添接板
S 通過ステップ
S1 変形ステップ
S1A ステップ
S1B 収縮ステップ
S1C ステップ
S1D 分割ステップ
S2 挿通ステップ
S3 ステップ
S4 ステップ
S5 移動ステップ
SP 添接板
WM 洋上風車
【要約】
【課題】レグやブレースを洋上風車用ジャケット構造体から取り外すことなく、これらレグやブレースが干渉しないように撤去することが可能となる、組み立て治具の撤去方法、及び、組み立て治具を提供することを目的とする。
【解決手段】洋上風車用ジャケット構造体Jの組立エリアBAの中央に立てられる支持塔10と、支持塔10の上部から放射状に延びる支持アーム20と、支持アーム20の先端にそれぞれ設けられ、組立エリアBAに立てられたレグJ1を支持するレグ支持部30と、を備える組み立て治具1の撤去方法であって、水平方向に沿う上端領域A1であってレグJ1それぞれの上端に囲まれる上端領域A1、又は、レグJ1同士とブレースJ2の下面と地面とに囲まれる側面領域A2、を組み立て治具1が通過する通過ステップを備えることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13