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特許7462866圧電水晶センサのパッケージング方法及び圧電水晶センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】圧電水晶センサのパッケージング方法及び圧電水晶センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/08 20060101AFI20240401BHJP
   G01L 19/14 20060101ALI20240401BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240401BHJP
   H10N 30/88 20230101ALI20240401BHJP
【FI】
G01L9/08
G01L19/14
H10N30/30
H10N30/88
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022130657
(22)【出願日】2022-08-18
(65)【公開番号】P2024008759
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202210799325.5
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516360775
【氏名又は名称】成都泰美克晶体技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU TIMEMAKER CRYSTAL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 103, Tianying Road, Hi-tech Zone(West Park)Chengdu, Sichuan 610041, China
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】陸旺
(72)【発明者】
【氏名】雷▲はん▼
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-258520(JP,A)
【文献】特開2015-99873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0163974(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108955963(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00-23/32
G01L27/00-27/02
H10N30/00-39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電水晶センサのパッケージング方法であって、
圧電センサウエハを形成するステップであって、前記圧電センサウエハは、方形を呈し、圧電センサウエハの正面に位置する第1ピン領域と、圧電センサウエハの裏面に位置する第2ピン領域とを含み、前記第1ピン領域と前記第2ピン領域が対角方向に設置されるステップと、
第1水晶ウエハを提供し、前記第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの正面の前記第1ピン領域に対応する位置に第1切り欠きを形成し、前記第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第2切り欠きを形成して、第1パッケージング側面部材を形成するステップと、
第2水晶ウエハを提供し、前記第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面の前記第2ピン領域に対応する位置に第3切り欠きを形成し、前記第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの正面の前記第1ピン領域に対応する位置に第4切り欠きを形成して、第2パッケージング側面部材を形成するステップと、
前記第1パッケージング側面部材を前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2パッケージング側面部材を前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップと、を含む、ことを特徴とする圧電水晶センサのパッケージング方法。
【請求項2】
圧電センサウエハを形成する前記ステップは、
第3水晶ウエハを提供するステップと、
前記第3水晶ウエハの正面と裏面における対向する位置に第1凹溝と第2凹溝を形成するステップであって、前記第1凹溝と前記第2凹溝の両方は円形の凹溝であるステップと、
前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口される第1貫通孔と第2貫通孔を形成して、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との間に発振領域を形成するステップであって、前記第1貫通孔は、前記第1凹溝の底端の一方の側縁に沿った第1半円柱状穴であり、前記第2貫通孔は、前記第1凹溝の底端の他方の側縁に沿った第2半円柱状穴であるステップと、
前記発振領域の正面には前記第1凹溝の側壁に沿って前記第1凹溝の外側まで延在するように、端部が前記第1ピン領域に位置する第1電極を形成し、前記発振領域の裏面には前記第2凹溝の側壁に沿って前記第2凹溝の外側まで延在するように、端部が前記第2ピン領域に位置する第2電極を形成して、圧電センサウエハを形成するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口される第1貫通孔と第2貫通孔を形成する前記ステップは、
フォトリソグラフィプロセスを用いて、前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口して、第1貫通孔と第2貫通孔を形成するステップ、又は、
レーザー切断プロセスを用いて、前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口して、第1貫通孔と第2貫通孔を形成するステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの正面に対応し且つ前記第1ピン領域に正対する位置に第1切り欠きを形成する前記ステップの前に、
前記第1水晶ウエハの表面粗さが10nm未満になるように、前記第1水晶ウエハを研削及び研磨するステップをさらに含み、
第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面に対応し且つ前記第2ピン領域に正対する位置に第2切り欠きを形成する前記ステップの間に、
前記第2水晶ウエハの表面粗さが10nm未満になるように、前記第2水晶ウエハを研削及び研磨するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップの前に、
前記第1水晶ウエハの表面と前記第2水晶ウエハの表面の両方に結合層を形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1水晶ウエハの表面と前記第2水晶ウエハの表面の両方に結合層を形成する前記ステップは、具体的には、
塗布、PVD、CVD、PECVD及び焼結のいずれかの方式を用いる、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合する前記ステップは、
真空環境で、前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップの後に、
前記第1ピン領域の第1電極上に第1フィルムコーティング層を形成するステップと、
前記第2ピン領域の第2電極上に第2フィルムコーティング層を形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
圧電水晶センサであって、
圧電センサウエハと、第1水晶ウエハにより形成された第1パッケージング側面部材と、第2水晶ウエハにより形成された第2パッケージング側面部材とを含み、
前記圧電センサウエハは、方形を呈し、圧電センサウエハの正面に位置する第1ピン領域と、圧電センサウエハの裏面に位置する第2ピン領域とを含み、前記第1ピン領域と前記第2ピン領域が対角方向に設置され、
前記第1パッケージング側面部材は、前記第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの正面の前記第1ピン領域に対応する位置に第1切り欠きが形成され、前記第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第2切り欠きが形成されることにより形成されており、
前記第2パッケージング側面部材は、前記第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面の前記第2ピン領域に対応する位置に第3切り欠きが形成され、前記第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面の第1ピン領域に対応する位置に第4切り欠きが形成されることにより形成されており、
前記第1パッケージング側面部材及び前記第2パッケージング側面部材は、前記第1切り欠き及び第4切り欠きが前記第1ピン領域に正対し、前記第2切り欠き及び第3切り欠きが前記第2ピン領域に正対するように、前記圧電センサウエハの正面及び裏面にそれぞれ結合される、ことを特徴とする圧電水晶センサ。
【請求項10】
前記第1切り欠きの断面、第2切り欠きの断面、第3切り欠きの断面及び第4切り欠きの断面はいずれも半円形又は矩形である、ことを特徴とする請求項に記載の圧電水晶センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの技術分野に関し、特に圧電水晶センサのパッケージング方法及び圧電水晶センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電センサにはピエゾ抵抗型、圧電型及び共振型があり、ピエゾ抵抗型圧力センサの高感度ユニットはピエゾ抵抗器であり、その特徴は、外部圧力の作用下でピエゾ抵抗器の抵抗値が変化すると、出力電圧値の変化を測定することにより外部圧力の大きさを算出することであり、このようなセンサの欠陥は、温度ドリフトが深刻であり、長時間使用するとクリープ効果が発生しやすいことであり、従って、適用精度の低い静的な力のテストに向く。
【0003】
圧電型センサは、圧電水晶又はセラミック材料を用い、該当センサの最大の特徴は、圧電係数が高く、Q値が高いためテスト精度が高くなるが、動的な力をテストできることである。近年、共振型圧力センサはますます注目されており、圧電共振部品で製造されており、共振部品の周波数変化に伴って外部力の大きさを感知し、その特徴はデジタル周波数信号を直接出力することであり、且つ精度が上記2種よりも高く、また、該当センサは、静的な力をテストできるとともに動的な力をテストでき、高精度の力テストの場合に注目されている。
【0004】
しかし、上記種類のセンサを製造する際に直面した最大の問題は、高感度素子と構造との間の取り付け問題であり、現在、両者を貼り付けて共に接続するが、以下の問題が存在する。
【0005】
貼り付けに使用される接着剤は外部の温度の影響に伴って老化するため、高感度素子と構造との間の接着力に問題が発生する。
【0006】
接着剤の接続では、高感度素子と構造との間の接着力を制御できず、各デバイスにおける高感度デバイスのプリストレスの大きさが不一致になり、必然的に最終製品の一貫性が非常に低くなり、量産をできなくなる。
【0007】
ディスペンシング過程では、高感度デバイスと構造との間の位置決め関係を確保することは困難である。
【0008】
また、ディスペンシングを用いるため、接着剤、高感度デバイス及び構造の三者の間の材料が異なり、その熱膨張係数も異なり、外部温度が変化すると、そのセンサの温度ドリフトを制御できなくなる。
【0009】
金属溶接、プラスチックパッケージングを使用する方式と水晶センサ本体との間には、シール面の温度膨張係数が不一致になり、長時間の高低温環境下で動作するとパッケージングの亀裂が発生するなどが存在する。水蒸気が亀裂を通って水晶センサの内部に入ると、力-周波数特性が変化し、力の測定に大きな偏差が発生し、センサの測定に偏差又は故障が発生してしまう。
【0010】
従って、如何にセンサの性能を向上させるかは、現在緊急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記問題に鑑みて、本発明は、上記問題を解消するか又は上記問題を少なくとも部分的に解決する圧電水晶センサのパッケージング方法及び圧電水晶センサを提供するために提案されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様では、圧電水晶センサのパッケージング方法を提供し、
圧電センサウエハを形成するステップであって、前記圧電センサウエハは、方形を呈し、圧電センサウエハの正面に位置する第1ピン領域と、圧電センサウエハの裏面に位置する第2ピン領域とを含み、前記第1ピン領域と前記第2ピン領域が対角方向に設置されるステップと、
第1水晶ウエハを提供し、前記第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの正面の前記第1ピン領域に対応する位置に第1切り欠きを形成し、前記第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第2切り欠きを形成して、第1パッケージング側面部材を形成するステップと、
第2水晶ウエハを提供し、前記第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面の前記第2ピン領域に対応する位置に第3切り欠きを形成し、前記第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの正面の前記第1ピン領域に対応する位置に第4切り欠きを形成して、第2パッケージング側面部材を形成するステップと、
前記第1パッケージング側面部材を前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2パッケージング側面部材を前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップと、を含む。
【0013】
好ましくは、圧電センサウエハを形成する前記ステップは、
第3水晶ウエハを提供するステップと、
前記第3水晶ウエハの正面と裏面における対向する位置に第1凹溝と第2凹溝を形成するステップであって、前記第1凹溝と前記第2凹溝の両方は円形の凹溝であるステップと、
前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口される第1貫通孔と第2貫通孔を形成して、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との間に発振領域を形成するステップであって、前記第1貫通孔は、前記第1凹溝の底端の一方の側縁に沿った第1半円柱状穴であり、前記第2貫通孔は、前記第1凹溝の底端の他方の側縁に沿った第2半円柱状穴であるステップと、
前記発振領域の正面には前記第1凹溝の側壁に沿って前記第1凹溝の外側まで延在するように、端部が前記第1ピン領域に位置する第1電極を形成し、前記発振領域の裏面には前記第2凹溝の側壁に沿って前記第2凹溝の外側まで延在するように、端部が前記第2ピン領域に位置する第2電極を形成して、圧電センサウエハを形成するステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口される第1貫通孔と第2貫通孔を形成する前記ステップは、
フォトリソグラフィプロセスを用いて、前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口して、第1貫通孔と第2貫通孔を形成するステップ、又は、
レーザー切断プロセスを用いて、前記第1凹溝から前記第2凹溝まで開口して、第1貫通孔と第2貫通孔を形成するステップを含む。
【0015】
好ましくは、第1水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの正面に対応し且つ前記第1ピン領域に正対する位置に第1切り欠きを形成する前記ステップの前に、
前記第1水晶ウエハの表面粗さが10nm未満になるように、前記第1水晶ウエハを研削及び研磨するステップをさらに含み、
第2水晶ウエハにおける、前記圧電センサウエハの裏面に対応し且つ前記第2ピン領域に正対する位置に第2切り欠きを形成する前記ステップの間に、
前記第2水晶ウエハの表面粗さが10nm未満になるように、前記第2水晶ウエハを研削及び研磨するステップをさらに含む。
【0016】
好ましくは、前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップの前に、
前記第1水晶ウエハの表面と前記第2水晶ウエハの表面の両方に結合層を形成するステップをさらに含む。
【0017】
好ましくは、前記第1水晶ウエハの表面と前記第2水晶ウエハの表面の両方に結合層を形成する前記ステップは、具体的には、
塗布、PVD、CVD、PECVD及び焼結のいずれかの方式を用いる。
【0018】
好ましくは、前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合する前記ステップは、
真空環境で、前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップを含む。
【0019】
好ましくは、前記第1水晶ウエハを前記圧電センサウエハの正面に結合し、前記第2水晶ウエハを前記圧電センサウエハの裏面に結合するステップの後に、
前記第1ピン領域の第1電極上に第1フィルムコーティング層を形成するステップと、
前記第2ピン領域の第2電極上に第2フィルムコーティング層を形成するステップと、をさらに含む。
【0020】
第2態様では、本発明は、圧電水晶センサをさらに提供し、
圧電センサウエハと、第1パッケージング側面部材と、第2パッケージング側面部材とを含み、
前記圧電センサウエハは、正面縁での第1ピン領域と、裏面縁での第2ピン領域とを含み、前記第1ピン領域と前記第2ピン領域は対角方向に設置され、
前記第1水晶ウエハは第1切り欠きと、第2切り欠きとを含み、
前記第2水晶ウエハは第3切り欠きと、第4切り欠きとを含み、
前記第1パッケージング側面部材及び前記第2パッケージング側面部材は、前記第1切り欠き及び第4切り欠きが前記第1ピン領域に正対し、前記第2切り欠き及び第3切り欠きが前記第2ピン領域に正対するように、前記圧電センサウエハの正面及び裏面にそれぞれ結合される。
【0021】
好ましくは、前記第1切り欠きの断面、第2切り欠きの断面、第3切り欠きの断面及び第4切り欠きの断面はいずれも半円形又は矩形である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の技術的解決手段は、少なくとも以下の技術的効果又は利点を有する。
【0023】
本発明は、圧電水晶センサのパッケージング方法を提供し、圧電センサウエハを形成するステップであって、該圧電センサウエハは、方形を呈し、圧電センサウエハの正面に位置する第1ピン領域と、裏面に位置する第2ピン領域とを含み、第1ピン領域と第2ピン領域が対角方向に設置されるステップと、第1水晶ウエハを提供し、第1水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域に対応する位置に第1切り欠きを形成し、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第2切り欠きを形成して、第1パッケージング側面部材を形成するステップと、第2水晶ウエハを提供し、第2水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第3切り欠きを形成し、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域に対応する位置に第4切り欠きを形成して、第2パッケージング側面部材を形成するステップと、第1パッケージング側面部材を圧電センサウエハの正面に結合し、第2パッケージング側面部材を圧電センサウエハの裏面に結合するステップと、を含み、結合方式を用いることにより、貼り付け方式に起因するデバイスの性能低下の問題を回避し、さらにデバイスの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例に係る圧電水晶センサのパッケージング方法のステッププロセスの概略図を示す。
図2】本発明の実施例に係る圧電センサウエハを形成する概略図を示す。
図3】本発明の実施例に係る圧電センサウエハを形成する概略図を示す。
図4】本発明の実施例に係る圧電センサウエハを形成する概略図を示す。
図5】本発明の実施例に係る圧電センサウエハを形成する概略図を示す。
図6】本発明の実施例に係る第1パッケージング側面部材及び第2パッケージング側面部材を形成する概略図を示す。
図7】本発明の実施例に係る第1パッケージング側面部材及び第2パッケージング側面部材を形成する概略図を示す。
図8】本発明の実施例に係る第1パッケージング側面部材及び第2パッケージング側面部材を形成する概略図を示す。
図9】本発明の実施例に係る第1パッケージング側面部材、第2パッケージング側面部材を圧電センサウエハに結合する概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の好ましい実施形態についての詳細な説明を閲読することにより、様々な他の利点及びメリットは、当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を示すためのものに過ぎず、本発明を制限するものと見なされるべきではない。また、図面全体を通して、同じ参照符号は、同じ部材を表すように使用されている。
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施例をより詳細に説明する。図面では本開示の例示的な実施例が示されているが、本開示は、本明細書に記載される実施例により制限されるべきではなく、様々な形態で実現され得ることを理解されたい。対照的に、これらの実施例は、本開示をより完全に理解し、本開示の範囲を当業者に完全に伝えることができるように提供されている。
【実施例1】
【0026】
本発明の第1実施例は、圧電水晶センサのパッケージング方法を提供し、図1に示すように、
圧電センサウエハを形成するステップS101であって、該圧電センサウエハは、方形を呈し、圧電センサウエハの正面に位置する第1ピン領域と、裏面に位置する第2ピン領域とを含み、第1ピン領域と第2ピン領域は対角方向に設置されるステップS101と、
第1水晶ウエハを提供し、第1水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域に対応する位置に第1切り欠きを形成し、第1水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第2切り欠きを形成して、第1パッケージング側面部材を形成するステップS102と、
第2水晶ウエハを提供し、第2水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第3切り欠きを形成し、第2水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域に対応する位置に第4切り欠きを形成するステップS103と、
第1パッケージング側面部材を圧電センサウエハの正面に結合し、第2パッケージング側面部材を圧電センサウエハの裏面に結合するステップS104と、を含む。
【0027】
以下、S101における圧電センサウエハの形成ステップについて詳細に説明する。
【0028】
図2図5に示すように、第3水晶ウエハ201を提供し、第3水晶ウエハ201の正面と裏面における対向する位置に第1凹溝202と第2凹溝203を形成し、該第1凹溝202と第2凹溝203の両方は円形の凹溝である。
【0029】
第1凹溝202から第2凹溝203まで開口される第1貫通孔204と第2貫通孔205を形成して、第1貫通孔204と第2貫通孔205との間に発振領域206を形成し、第1貫通孔204は、第1凹溝202の底端の一方の側縁に沿った第1半円柱状穴であり、第2貫通孔205は、第1凹溝202の底端の他方の側縁に沿った第2半円柱状穴である。
【0030】
発振領域206の正面には第1凹溝202の側壁に沿って第1凹溝202の外側まで延在して第1電極208を形成し、第1電極208の端部は第1ピン領域211に位置し、発振領域206の裏面には第2凹溝203の側壁に沿って第2凹溝203の外側まで延在して第2電極209を形成し、第2電極209の端部は第2ピン領域212に位置する。
【0031】
該第1ピン領域211は第3水晶ウエハ201の正面に位置し、第2ピン領域212は第3水晶ウエハ201の裏面に位置し、第1ピン領域211と第2ピン領域212は対角方向に設置される。
【0032】
第1凹溝202と第2凹溝203を形成する際に、具体的には、第3水晶ウエハ201の正面及び裏面にマグネトロンスパッタリング方式でフィルムをコーティングして、2層の金属膜層を形成し、底層がクロム膜層であり、上層が金膜層であり、クロム膜層の厚さは5~50nmであり、金膜層の厚さは100nmよりも大きい。
【0033】
2層の金属膜層上にフォトレジスト層を形成し、露光、現像した後、予め設定した領域をエッチングすることにより、第1凹溝202と第2凹溝203を形成する。
【0034】
エッチング過程としては、具体的には、金エッチング液、クロムエッチング液及びBOEエッチング液を含むエッチング液を用いてエッチングし、金エッチング液は予め設定した領域の金フィルムをエッチングし、クロムエッチング液は予め設定した領域のクロムフィルムをエッチングし、その後、BOEエッチング液は予め設定した領域の水晶ウエハをエッチングする。フォトレジスト層は、プラズマストリッピング、化学ストリッピング方法により除去される。
【0035】
金エッチング液は、ヨウ素、ヨウ化カリウムを所定の割合で配合した水溶液を含み、クロムエッチング液は、硝酸、硝酸セリウムアンモニウムを所定の割合で配合した水溶液を含み、BOEエッチング液は、フッ化水素酸、フッ化水素アンモニウム、腐食防止剤の水溶液を含み、それにより粗さに影響することなく腐食を実現する。
【0036】
該エッチング液中の金エッチング液及びクロムエッチング液を用いて残りの2層のフィルム層を除去する。
【0037】
第1貫通孔204と第2貫通孔205を、同様に上記エッチング方式により形成し、それにより第1貫通孔204と第2貫通孔205との間に発振領域206を形成し、ここで詳細な説明を省略する。
【0038】
第1凹溝202から第2凹溝203まで開口される第1貫通孔204と第2貫通孔205を形成する際に、エッチングプロセスを用いるか又はレーザー切断プロセスを用いてもよく、ここで限定されない。
【0039】
レーザー切断プロセスのレーザーは短いパルスレーザーを用い、それにより熱効果を低減させて圧電水晶材料の双晶状況の発生を回避する。
【0040】
次に、第1電極208と第2電極209を形成するステップとしては、具体的には、第1貫通孔204と第2貫通孔205を形成する第3水晶ウエハ201の正面と裏面に先ず金属層を形成し、その後、エッチング方式により、余分な領域の金属層を除去して、第1電極208と第2電極209を得る。
【0041】
具体的には、図5に示すように、該第1電極208は、発振領域206の正面に形成され、第1凹溝202の側壁に沿って第1凹溝202の外側まで延在し、該第1電極208の端部は第1ピン領域211に位置し、第2電極209は、発振領域206の裏面に形成され、第2凹溝203の側壁に沿って第2凹溝203の外側まで延在し、該第2電極209の端部は第2ピン領域212に位置し、それにより圧電センサウエハ210が形成される。
【0042】
次に、パッケージング側面部材の形成プロセスについて説明する。
【0043】
S202とS203を実行し、第1水晶ウエハを提供し、第1水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域に対応する位置に第1切り欠きを形成し、第1水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第2切り欠きを形成して、第1パッケージング側面部材を形成し、第2水晶ウエハを提供し、第2水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第3切り欠きを形成し、第2水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの正面の第2ピン領域に対応する位置に第4切り欠きを形成して、第2パッケージング側面部材を形成する。
【0044】
図6図7図8に示すように、第1水晶ウエハを例にとると、第1水晶ウエハ601を提供し、続いて、第1水晶ウエハ601の表面粗さが10nm未満になるように、第1水晶ウエハ601を研削及び研磨し、その後、第1水晶ウエハ601における、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域211に対応する位置に第1切り欠き602を形成し、第1水晶ウエハ601における、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域212に対応する位置に第2切り欠き603を形成して、第1パッケージング側面部材604を形成する。
【0045】
該第1切り欠き602と第2切り欠き603の断面は半円形又は矩形である。
【0046】
図8に示すように、第1水晶ウエハ601の表面に第1結合層605を形成する。
【0047】
同様に、第2水晶ウエハ607を提供した後、第2水晶ウエハ607の表面粗さが10nm未満になるように、第2水晶ウエハ607を研削及び研磨し、その後、第2水晶ウエハ607における、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域212に対応する位置に第3切り欠き608を形成し、第2水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域211に対応する位置に第4切り欠き609を形成して、第2パッケージング側面部材606を形成する。
【0048】
同様に、第2パッケージング側面部材606の表面に第2結合層610を形成する。
【0049】
具体的な実施形態では、該第1結合層605と第2結合層610は具体的に、塗布、PVC(物理蒸着)、CVD(化学蒸着)、PECVD(プラズマ強化化学蒸着法)及び焼結のいずれかの方式により形成される。
【0050】
最後に、図9に示すように、S104を実行して、第1パッケージング側面部材604を圧電センサウエハ210の正面に結合し、第2パッケージング側面部材606を圧電センサウエハ210の裏面に結合する。結合方式を用いることにより、デバイスの性能を向上させることができる。
【0051】
上記結合操作は具体的に、真空環境で行われて、気密パッケージングを実現する。
【0052】
S104の後に、第1ピン領域211の第1電極208上に第1フィルムコーティング層を形成し、第2ピン領域212の第2電極209上に第2フィルムコーティング層を形成してもよい。リード溶接を容易にするために、第1フィルムコーティング層と第2フィルムコーティング層の厚さを増加させることにより、溶接強度を増加させる。
【0053】
本発明の実施例の1つ又は複数の技術的解決手段は、少なくとも以下の技術的効果又は利点を有する。
【0054】
本発明は、圧電水晶センサのパッケージング方法を提供し、圧電センサウエハを形成するステップであって、該圧電センサウエハは、方形を呈し、圧電センサウエハの正面に位置する第1ピン領域と、裏面に位置する第2ピン領域とを含み、第1ピン領域と第2ピン領域が対角方向に設置されるステップと、第1水晶ウエハを提供し、第1水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域に対応する位置に第1切り欠きを形成し、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第2切り欠きを形成して、第1パッケージング側面部材を形成するステップと、第2水晶ウエハを提供し、第2水晶ウエハにおける、圧電センサウエハの裏面の第2ピン領域に対応する位置に第3切り欠きを形成し、圧電センサウエハの正面の第1ピン領域に対応する位置に第4切り欠きを形成して、第2パッケージング側面部材を形成するステップと、第1パッケージング側面部材を圧電センサウエハの正面に結合し、第2パッケージング側面部材を圧電センサウエハの裏面に結合するステップと、を含み、結合方式を用いることにより、貼り付け方式に起因するデバイスの性能低下の問題を回避し、さらにデバイスの性能を向上させることができる。
【実施例2】
【0055】
同じ発明思想に基づき、本発明の第2実施例は、圧電水晶センサをさらに提供し、図9に示すように、
圧電センサウエハ210と、第1パッケージング側面部材604と、第2パッケージング側面部材606とを含み、
該圧電センサウエハ210は、正面縁での第1ピン領域と、裏面縁での第2ピン領域とを含み、該第1ピン領域と第2ピン領域は対角方向に設置され、
第1パッケージング側面部材604は第1切り欠き602と、第2切り欠き603とを含み、
第2パッケージング側面部材606は第3切り欠き608と、第4切り欠き609とを含み、
第1パッケージング側面部材604及び第2パッケージング側面部材606は、第1切り欠き602及び第4切り欠き609が第1ピン領域に正対し、第2切り欠き603及び第3切り欠き608が第2ピン領域に正対するように、圧電センサウエハ210の正面及び裏面にそれぞれ結合される。
【0056】
1つの代替の実施形態では、該第1切り欠き602、第2切り欠き603、第3切り欠き608、第4切り欠き609の断面はいずれも半円形又は矩形である。
【0057】
1つの代替の実施形態では、第1フィルムコーティング層と、第2フィルムコーティング層とをさらに含み、第1フィルムコーティング層は第1ピン領域の第1電極208上に位置し、第2フィルムコーティング層は第2ピン領域の第2電極209上に位置する。
【0058】
本発明の好ましい実施例を説明したが、当業者は、基本的な創造的概念を把握すると、これらの実施例に対して追加の変更及び修正を行うことができる。従って、添付の特許請求の範囲は、好ましい実施例及び本発明の範囲にある全ての変更及び修正を含むと解釈されることを意図する。
【0059】
明らかに、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な修正や変形を行うことができる。このように、本発明のこれらの修正や変形が本発明の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内に属する場合、本発明は、これらの修正や変形を含むことも意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9