(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】パレット及び荷役用具
(51)【国際特許分類】
B65D 19/32 20060101AFI20240401BHJP
B65D 19/22 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65D19/32 G
B65D19/22 A
(21)【出願番号】P 2019023257
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】590000477
【氏名又は名称】日本プラパレット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木村 聡
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-107727(JP,A)
【文献】特開平05-042942(JP,A)
【文献】実開平05-013938(JP,U)
【文献】特開2010-116194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/32
B65D 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面を有する載置部と、
前記載置部から前記載置面と反対側に延びる複数の桁部と、
前記複数の桁部の間に設定されフォーク手段が挿入されるフォーク挿入孔と、
前記載置面よりも上方に突出し、前記フォーク挿入孔の挿通方向と平行
に延びる細長い帯状の複数の滑り止め部材と、
前記複数の滑り止め部材の間のフォーク手段回避部と、
を備え、
前記フォーク手段回避部は、前記載置面よりも上方に突出するものがない領域であり、前記載置面の上に載置されるシートパレットを掬うフォーク手段の幅よりも前記複数の滑り止め部材の間隔を広くするように設けられ、
前記フォーク挿入孔の幅は、前記シートパレットを掬うフォーク手段の幅よりも広く、
前記複数の桁部は、前記載置部において互いに平行な一対の側辺に沿った一対の側桁部と、前記一対の側桁部の間の中央に位置する中間桁部とを備え、
前記一対の側桁部と前記中間桁部との間には、前記フォーク挿入孔がそれぞれ形成されており、
前記一対の側桁部は、前記フォーク挿入孔のうちの一方のフォーク挿入孔の周壁を構成する第1桁リブと、前記フォーク挿入孔のうちの他方のフォーク挿入孔の周壁を構成する第2桁リブとを備え、
前記中間桁部は、前記一方のフォーク挿入孔の周壁を構成する第3桁リブと、前記他方のフォーク挿入孔の周壁を構成する第4桁リブとを備え、
前記複数の滑り止め部材は、前記載置面において前記載置部の側辺又は側辺よりの位置
に配置される滑り止め部材と、前記第3桁リブ及び前記第4桁リブの間の位置であって且つ前記フォーク挿入孔が並ぶ方向の前記載置面の中央に
1本のみ配置され
る滑り止め部材とから構成され、
前記第1桁リブと前記第3桁リブとの間隔、及び、前記第2桁リブと前記第4桁リブとの間隔は、前記シートパレットを掬うフォーク手段の幅よりも広く、
前記第1~4桁リブはそれぞれ、前記フォーク挿入孔が開口に向かうほどに拡開するように湾曲する傾斜桁リブを備え、
前記第1及び第2桁リブを構成する前記傾斜桁リブの端縁は、前記滑り止め部材よりも前記側辺よりに位置している、パレット。
【請求項2】
前記第1~4桁リブはそれぞれ、前記側辺と平行な平行桁リブを有し、
前記滑り止め部材における前記載置部の中央側の端部は、
前記第3及び第4桁リブを構成する前記平行桁リブの前記フォーク挿入孔側の端部と上下方向で同じ位置よりも前記載置部の中央側に位置している、
請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記フォーク手段回避部に対応する領域には、側辺に向けて載置部が薄くなるように傾斜する第1傾斜部と、前記第1傾斜部の外側に向かうにつれて上がるように傾斜する第2傾斜部と、を有する、請求項1
又は請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記フォーク挿入孔には、前記フォーク挿入孔内に挿入された前記フォーク手段に当接する第2滑り止め部材が前記フォーク挿入孔内に突出するように設けられている請求項1~請求項
3の何れか一項に記載のパレット。
【請求項5】
請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載のパレットと、
前記パレットの前記滑り止め部材の上に載置されたシートパレットと、
を備えた荷役用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の運搬等に使用されるパレット及び荷役用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役機械で荷物を搬送する等の際に用いられる各種のパレットが知られている。例えば、特許文献1には、フォークリフト等のフォークを挿入可能としたフォーク差し込み孔が開口されたパレットが開示されている。また、特許文献2には、プッシュプル装置付きフォークリフトで掬い目的地に運ぶシートパレットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-008574号公報
【文献】特開平11-255237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷物を搭載したシートパレットをパレットの上に載置する、又は荷物を搭載したシートパレットをパレットから掬い目的地に運ぶ作業を行う場合がある。このような作業では、シートパレットを安定して支持するために、比較的幅の広いプラテンが用いられる。パレットには、その載置部に荷物の滑りを防止する滑り止め部材が設けられているものがあり、この滑り止め部材によって作業性が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するパレットは、載置面を有する載置部と、前記載置部から前記載置面と反対側に延びる複数の桁部と、前記複数の桁部の間に設定されフォーク手段が挿入されるフォーク差込口と、前記載置面において前記載置部の側辺又は側辺よりの位置に配置され、前記載置面よりも上方に突出し、前記フォーク差込口の挿通方向と平行である複数の滑り止め部材と、前記複数の滑り止め部材の間のフォーク手段回避部と、を備え、前記フォーク手段回避部は、前記載置面よりも上方に突出するものがない領域であり、前記載置面の上に載置されるシートパレットを掬うフォーク手段の幅よりも前記複数の滑り止め部材の間隔を広くするように設けられ、前記フォーク挿入孔の幅は、前記シートパレットを掬うフォーク手段の幅よりも広い。
【0007】
上記のパレットにおいて、前記複数の桁部は、前記側辺と平行な平行桁リブを有し、前記滑り止め部材における前記載置部の中央側の端部は、前記平行桁リブの前記フォーク挿入孔側の端部と上下方向で同じ位置、又は前記平行桁リブの前記フォーク挿入孔側の端部より上下方向で内側に位置していることが好ましい。
【0008】
上記のパレットにおいて、前記複数の桁部は、前記載置部において互いに平行な一対の側辺に沿った一対の側桁部を備え、前記側桁部は、前記フォーク挿入孔の周壁を構成する桁リブを備え、前記滑り止め部材は、前記桁リブの上方に位置することが好ましい。
【0009】
上記のパレットにおいて、前記フォーク手段回避部に対応する領域には、側辺に向けて載置部が薄くなるように傾斜する第1傾斜部と、前記第1傾斜部の外側に向かうにつれて上がるように傾斜する第2傾斜部と、を有することが好ましい。
上記のパレットにおいて、前記フォーク挿入孔には、前記フォーク挿入孔内に挿入された前記フォーク手段に当接する第2滑り止め部材が前記フォーク挿入孔内に突出するように設けられていることが好ましい。
【0010】
上記課題を解決する荷役用具は、上記のパレットと、前記パレットの前記滑り止め部材の上に載置されたシートパレットと、を備えた。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパレットによれば、作業性の低下を抑制できるパレット及び荷役用具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】パレットに対するプラテン、シートパレットと物品の搭載を示す概略斜視図。
【
図7】パレットに対するプラテン、シートパレットと物品の搭載を示す概略斜視図。
【
図8】(a),(b)はパレット及びシートパレットとプラテンとの関係を示す説明図。
【
図10】変更例のパレットに対するプラテン、シートパレットと物品の搭載を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態を説明する。
図1に示すように、パレット10は、載置部としての上面デッキボード11及び下面デッキボード12を備えている。上面デッキボード11及び下面デッキボード12は、それぞれ矩形状である。上面デッキボード11の外形と下面デッキボード12の外形は、互いに等しい。上面デッキボード11は、物品を載置する載置面11aを有している。下面デッキボード12は、パレット10の接地面を有している。
【0014】
なお、
図1には、上面デッキボード11において、互いに平行な側辺11d,11eの延伸方向をX方向として示し、側辺11d,11eと直交する方向の側辺11b,11cの延伸方向をY方向として示している。また、下面デッキボード12と上面デッキボード11とが並ぶ方向であって且つ上面デッキボード11の載置面11aに対する垂直方向をZ方向として示している。
【0015】
パレット10は、上面デッキボード11と下面デッキボード12との間にZ方向に延びて上面デッキボード11と下面デッキボード12とを結合する桁部13,14,15を有している。桁部13,14は、X方向におけるパレット10の両端に位置する側桁部である。これらの桁部13,14を側桁部13,14とする。側桁部13,14は、上面デッキボード11の一対の側辺11b,11cに沿って延びている。桁部15は、X方向において側桁部13と側桁部14との間の中央に位置する中間桁部である。この桁部15を中間桁部15とする。側桁部13,14及び中間桁部15は、Y方向におけるパレット10の全幅に設けられている。
【0016】
桁部13,14,15の間、つまり側桁部13と中間桁部15との間、及び側桁部14と中間桁部15との間には、フォークリフトのフォーク手段を挿入可能なフォーク挿入孔16,17がそれぞれ形成されている。これらのフォーク挿入孔16,17は、Y方向においてパレット10を貫通している。2つのフォーク挿入孔16,17の開口は、X方向に並んでいる。
【0017】
パレット10は合成樹脂製パレットであり、上面構成部20と下面構成部50とを桁部で溶着することで構成されている。本実施形態において、下面構成部50は上面構成部20を上下逆にしたものである。このため、本明細書において、上面構成部20について説明し、下面構成部50についての説明を省略する。なお、上面構成部20と下面構成部50とをそれぞれ単面形パレットとして用いることもできる。また、上面構成部20又は下面構成部50を他の構造の構成部材と溶着してパレットとすることもできる。
【0018】
上面構成部20は、載置部としての上面デッキボード11と、側桁部13,14及び中間桁部15のうちの上面デッキボード11に接続されている部分を含む。下面構成部50は、下面デッキボード12と、側桁部13,14及び中間桁部15のうちの下面デッキボード12に接続されている部分を含む。即ち、側桁部13,14及び中間桁部15の各々は、上面構成部20の構成部分と下面構成部50の構成部分とからなる。
【0019】
図2、
図3及び
図4に示すように、側桁部13,14及び中間桁部15は、上面デッキボード11からその上面デッキボード11の載置面11aとは反対方向に延びている。
側桁部13は、パレット10の側壁として機能する外壁21と、フォーク挿入孔16の周壁として機能する桁リブ22とを有している。同様に、側桁部14は、パレット10の側壁として機能する外壁23と、フォーク挿入孔17の周壁として機能する桁リブ24とを有している。
【0020】
中間桁部15は、フォーク挿入孔16の周壁として機能する桁リブ25と、フォーク挿入孔17の周壁として機能する桁リブ26とを有している。桁リブ25と桁リブ26との間には、補強のための補強リブ27が設けられている。なお、側桁部13の外壁21と桁リブ22との間、及び側桁部14の外壁23と桁リブ24との間にも同様の補強リブ27が設けられている。
【0021】
側桁部13,14の桁リブ22,24、及び中間桁部15の桁リブ25,26は、フォーク手段として
図6及び
図7に示すプラテン71,72をフォーク挿入孔16,17に挿入可能に形成されている。詳述すると、側桁部13の桁リブ22と中間桁部15の桁リブ25との間隔は、
図6及び
図7に示すプラテン71,72の幅よりも広く設定され、側桁部14の桁リブ24と中間桁部15の桁リブ26との間隔は、
図6及び
図7に示すプラテン71,72の幅よりも広く設定されている。また、
図4に示すように、桁リブ22,24,25,26は、側辺11b,11cと平行な平行桁リブ22a,24a,25a,26aと、パレット10の内部から外部に向かうほどフォーク挿入孔16,17が拡開するように形成される湾曲した傾斜桁リブ22b,24b,25b,26bを備える。
【0022】
なお、上面構成部20における側桁部13と中間桁部15との間、及び側桁部14と中間桁部15との間には、上面デッキボード11から載置面11aと反対方向に延びる複数の補強リブ28を備えている。補強リブ28は、載置面11aと反対側の面において、格子状を成している。なお、補強リブ28は、側辺11d,11e側において、パレット10の内部から外部に向かうほどフォーク挿入孔16,17が拡開するように形成される。また、
図2及び
図4に示すように、フォーク挿入孔16,17の開口において、X方向に配列された補強リブ28の間隔は、パレット10の内部における間隔よりも狭い。つまり、補強リブ28は、フォーク挿入孔16,17の開口において、パレット10の内部よりも密に形成されている。これにより、フォーク挿入孔16,17の上方及び下方の部分を補強する。
【0023】
図1及び
図3に示すように、上面デッキボード11の載置面11aには、滑り止め部材31,32が配設されている。滑り止め部材31,32は、載置面11aにおいて、フォーク挿入孔16,17の開口が並ぶX方向に並んで配設されている。また、各滑り止め部材31,32は、フォーク挿入孔16,17が延びるY方向に沿って延びている。本実施形態において、滑り止め部材31は、上面デッキボード11の側辺11bまたは側辺11bよりの位置に設けられ、滑り止め部材32は、上面デッキボード11の側辺11cまたは側辺11cよりの位置に設けられている。
【0024】
また、上面デッキボード11の載置面11aにおいて、フォーク挿入孔16,17の開口が並ぶX方向の中央には滑り止め部材33が配設されている。滑り止め部材33は、他の滑り止め部材31,32と同様に、フォーク挿入孔16,17が延びるY方向に沿って延びている。つまり、滑り止め部材31,32,33は、互いに平行である。
【0025】
滑り止め部材31,32,33は、上面デッキボード11に対して、載置面11aに載置された物品や後述するシートパレット61(
図6,
図7,
図8(a)参照)を滑り止めする。このような滑り止め部材31,32,33としては、例えばオレフィン系エラストマー等の高分子材料からなる樹脂製テープを用いることができる。
【0026】
滑り止め部材31,32,33の間には、フォーク手段回避部41,42が設けられている。フォーク手段回避部41,42は、フォーク手段として
図6及び
図7に示すプラテン71,72の幅よりも、滑り止め部材31と滑り止め部材33の間隔、滑り止め部材32と滑り止め部材33の間隔を広くするように設けられている。なお、本明細書において、フォーク手段回避部41,42とは、載置部である上面デッキボード11の載置面11aよりも上方に突出するものがない領域である。
【0027】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、プラテン71の幅をWAとする。フォーク挿入孔16の幅をWBとする。この幅WBは、フォーク挿入孔16を構成する側桁部13の桁リブ22と中間桁部15の桁リブ25の間隔である。そして、滑り止め部材31と滑り止め部材33との間のフォーク手段回避部41の幅をWCとする。この幅WCは、滑り止め部材31と滑り止め部材33の間隔である。プラテン71の幅WAに対して、フォーク挿入孔16の幅WBとフォーク手段回避部41の幅WCは大きく設定される。
図8(a)では、フォーク挿入孔16の幅WBに対してフォーク手段回避部41の幅WCが大きく設定されているが、幅WBと幅WCとを同じとしてもよい。また、滑り止め部材31における上面デッキボード11の中央側の縁部は、桁リブ22を構成する平行桁リブ22aのフォーク挿入孔16側の縁部と上下方向で略同じ位置となっている。滑り止め部材31における上面デッキボード11の中央側の縁部は、桁リブ22のフォーク挿入孔16側の縁部と上下方向において同じ位置、又は桁リブ22のフォーク挿入孔16側の縁部と上下方向で同じ位置よりも上面デッキボード11の中央側に位置していることが好ましい。なお、図示しないが、
図1に示す滑り止め部材32と滑り止め部材33との間のフォーク手段回避部42、フォーク挿入孔17、プラテン72、滑り止め部材32と桁リブ24を構成する平行桁リブ24aとの上下方向の位置関係についても同様である。
【0028】
本実施形態において、滑り止め部材31,32は、側桁部13,14に対応する位置に配設されている。滑り止め部材33は、中間桁部15に対応する位置に配設されている。
図4には、滑り止め部材31,32,33が破線で示されている。
図4及び
図5に示すように、滑り止め部材31は、側桁部13の桁リブ22の上方に位置している。滑り止め部材31は、載置面11aよりも上方に突出している。
図4に示すように、滑り止め部材32は、側桁部14の桁リブ24の上方に位置している。図示しないが、滑り止め部材32は載置面11aよりも上方に突出している。
図4及び
図5に示すように、滑り止め部材33は、中間桁部15の桁リブ25,26の間であって、補強リブ27の上方に位置している。滑り止め部材33は、載置面11aよりも上方に突出している。
【0029】
図4に示すように、上面デッキボード11において、フォーク挿入孔16,17と直交するX方向に延びる補強リブ28aには、グロメット35が装着されている。グロメット35は、フォーク挿入孔16,17内に突出するように設けられている。グロメット35は、例えばオレフィン系エラストマー等の樹脂からなる。グロメット35は、フォーク挿入孔16,17内に挿入されたフォーク手段としてのプラテン71,72(
図6及び
図7参照)に当接し、プラテン71,72の上でパレット10が滑るのを防止する滑り止め部材として機能する。なお、グロメット35の数を適宜変更してもよく、例えばフォーク挿入孔16,17のそれぞれの中央に1つのグロメットを設けてもよい。
【0030】
(作用)
次に、上記のパレット10の作用を説明する。
図6及び
図7に示すように、パレット10の載置面11aにはシートパレット61が載置され、そのシートパレット61の上面に物品62が載置される。パレット10とシートパレット61は荷役用具を構成する。フォークリフトのプラテン71,72をパレット10とシートパレット61との間に挿入し、プッシュプル機構によってシートパレット61及び物品62をプラテン71,72により掬い、他の場所へ移動する、またはシートパレット61及び物品62をパレット10の上に載置する。また、プッシュプル機構により、シートパレット61上の物品62をパレット10上に移載する。
【0031】
このとき、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、滑り止め部材31と滑り止め部材33との間にはフォーク手段回避部41が設定されている。このフォーク手段回避部41の幅WCは、プラテン71の幅WAよりも広い。したがって、プラテン71を滑り止め部材31と滑り止め部材33との間に配置することにより、プラテン71が滑り止め部材31,33に接触しないので、パレット10に対してプラテン71を容易に移動させることができ、作業性の低下が抑制される。また、プラテン71が滑り止め部材31,33に接触しないので、滑り止め部材31,33がプラテン71により傷ついたり滑り止め部材31,33が載置面11aから剥がれたりすることが抑制される。
【0032】
図1,
図3に示すように、パレット10の上面デッキボード11の載置面11aにおいて、一対の側辺11b,11cに沿って滑り止め部材31,32が設けられている。これらの滑り止め部材31,32を目標として、2つのプラテン71,72を2つの滑り止め部材31,32の間に配設するようにフォークリフトを操作することで、プラテン71,72をフォーク手段回避部41,42に容易に配置できる。同様の操作により、プラテン71,72をパレット10の桁部13,14,15に当てることなく、プラテン71,72をパレット10のフォーク挿入孔16,17に容易に挿入できる。
【0033】
図1、
図3に示すように、パレット10の上面デッキボード11の載置面11aの中央には滑り止め部材33が配設されている。中央の滑り止め部材33を目標として、2つのプラテン71,72の中央がパレット10の滑り止め部材33と一致するようにフォークリフトを操作することで、プラテン71,72をフォーク手段回避部41,42に容易に配置できる。同様の操作により、プラテン71,72をパレット10の桁部13,14,15に当てることなく、プラテン71,72をパレット10のフォーク挿入孔16,17に容易に挿入できる。
【0034】
パレット10のフォーク挿入孔16,17の幅WBは、プラテン71,72の幅WAよりも広い。したがって、プラテン71,72を用いることにより、シートパレット61及び物品62を載置したパレット10を移動させることができる。フォーク挿入孔16,17の幅WBがプラテン71,72の幅WAより狭いと、プラテン71,72を用いてシートパレット61及び物品62をパレットに載置した後、通常の幅のフォークを有するフォークリフトを用いてパレットを移動させる必要がある。このような場合、1人の作業者がフォークリフトを乗り換えたり、それぞれのフォークリフトを別々の作業者が操作したりすることになる。この点、プラテン71,72を有するフォークリフトでパレット10に対するシートパレット61及び物品62の載置、掬いと、シートパレット61及び物品62を載置したパレット10の移動とを行うことができ、作業効率が向上する。
【0035】
滑り止め部材31,32における上面デッキボード11の中央側の縁部は、桁リブ22,24を構成する平行桁リブ22a,24aのフォーク挿入孔16側の縁部と上下方向で同じ位置又は滑り止め部材31における上面デッキボード11の中央側の縁部が桁リブ22のフォーク挿入孔16側の縁部より上下方向で内側に位置している。したがって、これらの滑り止め部材31,32を目標として、プラテン71,72をパレット10の桁部13,14に当てることなく、プラテン71,72をパレット10のフォーク挿入孔16,17に容易に挿入できる。
【0036】
図4に示すように、滑り止め部材31,32は、桁リブ22,24の上方に位置している。滑り止め部材31,32は、例えば熱溶着により上面デッキボード11に取り付けるときに、滑り止め部材31,32を上面デッキボード11に押し付けられる。このとき、桁リブ22,24が押圧力を受け止めるため、滑り止め部材31,32を上面デッキボード11に対して安定して取り付けることができる。
【0037】
パレット10の中央の滑り止め部材33は、
図5に示すように、桁リブ25,26の間の補強リブ27の上方に位置している。滑り止め部材33を熱溶着により上面デッキボード11に取り付けるとき、滑り止め部材33に対する押圧力を、補強リブ27及びその補強リブ27の両側の桁リブ25,26が受け止めるため、滑り止め部材33を上面デッキボード11に対して安定して取り付けることができる。
【0038】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)パレット10の上面構成部20は、載置部としての上面デッキボード11と、側桁部13,14及び中間桁部15のうちの上面デッキボード11に接続されている部分を含む。側桁部13,14及び中間桁部15は、上面デッキボード11からその上面デッキボード11の載置面11aとは反対方向に延びている。上面デッキボード11の載置面11aには、滑り止め部材31,32が配設されている。滑り止め部材31は、上面デッキボード11の側辺11bまたは側辺11bよりの位置に設けられ、滑り止め部材32は、上面デッキボード11の側辺11cまたは側辺11cよりの位置に設けられている。滑り止め部材31,32,33の間には、フォーク手段回避部41,42が設けられている。
【0039】
フォーク手段回避部41,42は、フォーク手段として
図6及び
図7に示すプラテン71,72の幅よりも、滑り止め部材31と滑り止め部材33の間隔、滑り止め部材32と滑り止め部材33の間隔を広くするように設けられている。プラテン71,72が滑り止め部材31,32,33に接触しないので、パレット10に対してプラテン71,72を容易に移動させることができ、作業性の低下を抑制できる。
【0040】
(2)パレット10の上面デッキボード11の載置面11aにおいて、一対の側辺11b,11cに沿って滑り止め部材31,32が設けられている。これらの滑り止め部材31,32を目標として、2つのプラテン71,72を2つの滑り止め部材31,32の間に配設するようにフォークリフトを操作することで、プラテン71,72をフォーク手段回避部41,42に容易に配置できる。同様の操作により、プラテン71,72をパレット10の桁部13,14,15に当てることなく、プラテン71,72をパレット10のフォーク挿入孔16,17に容易に挿入でき、作業性を向上できる。
【0041】
(3)パレット10の上面デッキボード11の載置面11aの中央には滑り止め部材33が配設されている。中央の滑り止め部材33を目標として、2つのプラテン71,72の中央がパレット10の滑り止め部材33と一致するようにフォークリフトを操作することで、プラテン71,72をフォーク手段回避部41,42に容易に配置できる。同様の操作により、プラテン71,72をパレット10の桁部13,14,15に当てることなく、プラテン71,72をパレット10のフォーク挿入孔16,17に容易に挿入でき、作業性を向上できる。
【0042】
(4)パレット10のフォーク挿入孔16,17の幅WBは、プラテン71,72の幅WAよりも広い。したがって、プラテン71,72を用いることにより、シートパレット61及び物品62を載置したパレット10を移動させることができる。フォーク挿入孔16,17の幅WBがプラテン71,72の幅WAより狭いと、プラテン71,72を用いてシートパレット61及び物品62をパレットに載置した後、通常の幅のフォークを有するフォークリフトを用いてパレットを移動させる必要がある。このような場合、1人の作業者がフォークリフトを乗り換えたり、それぞれのフォークリフトを別々の作業者が操作したりすることになる。この点、プラテン71,72を有するフォークリフトでパレット10に対するシートパレット61及び物品62の載置、掬いと、シートパレット61及び物品62を載置したパレット10の移動とを行うことができ、作業効率が向上する。
【0043】
(5)滑り止め部材31,32は、桁リブ22,24の上方に位置している。滑り止め部材31,32は、例えば熱溶着により上面デッキボード11に取り付けるときに、滑り止め部材31,32を上面デッキボード11に押し付けられる。このとき、桁リブ22,24が押圧力を受け止めるため、滑り止め部材31,32を上面デッキボード11に対して安定して取り付けることができる。
【0044】
(6)パレット10の中央の滑り止め部材33は、
図5に示すように、桁リブ25,26の間の補強リブ27の上方に位置している。滑り止め部材33を熱溶着により上面デッキボード11に取り付けるとき、滑り止め部材33に対する押圧力を、補強リブ27及びその補強リブ27の両側の桁リブ25,26が受け止めるため、滑り止め部材33を上面デッキボード11に対して安定して取り付けることができる。
【0045】
(変更例)
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態における滑り止め部材33を省略してもよい。
【0046】
・
図9に示すように、パレット10の中央部分に2つの滑り止め部材33a,33bを配置してもよい。これらの滑り止め部材33a,33bは、
図4及び
図5に示す桁リブ25,26の上方に配設される。このように、2つの滑り止め部材33a,33bを配設することで、パレット10上の部材を滑り止めできる。
【0047】
・
図9に示すように、パレット10の側辺11d,11eにおいて、フォーク手段回避部41,42に対応する領域に第1傾斜部11f,11g及び第2傾斜部11h,11iを形成してもよい。第1傾斜部11f,11gは、上面デッキボード11の厚さが側辺11d,11eに向かうほど薄くなるように形成される。なお、第1傾斜部11f,11gは、X方向に延びている。また、第1傾斜部11f,11gにおけるX方向の両端部に、第1傾斜部11f,11gの外側に向かうにつれて上るように傾斜する第2傾斜部11h,11iを設けても良い。
図10に示すように、第1傾斜部11f,11gと第2傾斜部によってプラテン71,72をパレット10とシートパレット61との間に容易に挿入でき、作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0048】
10…パレット、11…上面デッキボード(載置部)、11a…載置面、11b,11c…側辺、11f,11g…第1傾斜部、11h,11i…第2傾斜部、13,14…桁部(側桁部)、15…桁部(中間桁部)、16,17…フォーク挿入孔、22,24,25,26…桁リブ、22a,24a,25a,26a…平行桁リブ、31,32,33,33a,33b…滑り止め部材、41,42…フォーク手段回避部、61…シートパレット、62…物品、71,72…プラテン(フォーク手段)。