(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】橋梁検査装置
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
E01D22/00 A
(21)【出願番号】P 2019556715
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040600
(87)【国際公開番号】W WO2021074988
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-184710(JP,A)
【文献】特開昭63-206505(JP,A)
【文献】特開2016-160697(JP,A)
【文献】特開2015-007362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0165305(US,A1)
【文献】特開平02-202318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁を検査する橋梁検査装置であって、
所定方向に延伸する操作具と、
前記操作具に接続され、且つ、複数のリンク部材の端同士が互いに回動可能に順次連結されて構成され、互いに連結された前記リンク部材同士がなす角が調整されることにより軸方向に伸長する伸縮機構と、
前記操作具に接続され、且つ、前記伸縮機構の長さに応じて前記操作具に対する角度を変更可能なカウンターウェイトを有する姿勢制御手段と、
前記伸縮機構の先端部に設けられたカメラと、
を備え、
前記伸縮機構は、プロペラを備えない橋梁検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高所からの撮影などのために伸縮棒を用いることがある。たとえば特許文献1には、油圧により伸縮する伸縮ポールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の伸縮ポールでは油圧により伸長しており、圧油漏出のための機構等により重量が増えてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、構成が簡略化された軽量な伸縮棒を用いた橋梁検査装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による橋梁検査装置は、橋梁を検査する橋梁検査装置であって、複数のリンク部材の端同士が互いに回動可能に順次連結されて構成され、互いに連結された前記リンク部材同士がなす角が調整されることにより軸方向に伸長し、姿勢制御手段を備える伸縮機構と、前記伸縮機構の先端部に設けられたカメラと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、構成が簡略化された軽量な伸縮棒を用いた橋梁検査装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態による橋梁検査装置を橋梁の検査に適用する例を示す図である(その1)。
【
図2】本実施の形態による橋梁検査装置を橋梁の検査に適用する例を示す図である(その2)。
【
図3】本実施の形態による橋梁検査装置を橋梁の検査に適用する変形例を示す図である(その1)。
【
図4】本実施の形態による橋梁検査装置を橋梁の検査に適用する変形例を示す図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による橋梁検査装置は、以下のような構成を備える。
[項目1]
橋梁を検査する橋梁検査装置であって、
複数のリンク部材の端同士が互いに回動可能に順次連結されて構成され、互いに連結された前記リンク部材同士がなす角が調整されることにより軸方向に伸長し、姿勢制御手段を備える伸縮機構と、
前記伸縮機構の先端部に設けられたカメラと、
を備える橋梁検査装置。
[項目2]
項目1に記載の橋梁検査装置であって、
前記姿勢制御手段は、前記伸縮機構の長さに応じて水平方向に対する角度を変更可能なカウンターウェイトを有する、
橋梁検査装置。
[項目3]
項目1に記載の橋梁検査装置であって、
前記姿勢制御手段は、前記伸縮機構の長さに応じて水平方向に位置変更可能なカウンターウェイトを有する、
橋梁検査装置。
[項目4]
項目1乃至項目3の何れか一項に記載の橋梁検査装置であって、
前記伸縮機構が伸縮動作を行う平面が四角形である、
橋梁検査装置。
[項目5]
項目2に記載の橋梁検査装置であって、
操作位置に応じて前記水平方向に対する角度を変更する操作具を備える、
橋梁検査装置。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による橋梁検査装置について、図面を参照しながら説明する。橋梁20の検査に適用する橋梁検査装置の一例について
図1及び
図2を参照して説明する。
【0011】
図1及び
図2は、橋梁検査装置100の模式図である。操作位置に応じて水平方向に対する角度αを変更する操作具1と伸縮機構2とはボールジョイントなどを用いた任意の自由度の関節3により接続される。
【0012】
伸縮機構2は、一の方向に対して伸縮可能な1自由度の伸縮機構である。なお、以下では、伸縮機構2の伸縮方向をx軸方向とも呼称する。また、x軸方向と垂直な平面内における互いに直交する2方向を、それぞれ、y軸方向及びz軸方向とも呼称する。
【0013】
伸縮機構2は、複数のリンク部材5の端同士がピン6によって回動可能に順次連結されて構成される。複数のリンク部材5は、全て略同一の長尺な板状形状を有する。隣り合う2つのリンク部材5(説明の便宜のため、それぞれ、第1のリンク部材5及び第2のリンク部材5ともいう)の板面の端同士が重ね合わされた状態で、その重ね合わされた部位がピン6で留められることにより、第1のリンク部材5及び第2のリンク部材5が互いに回動可能に連結される。
【0014】
連結されたこれら第1のリンク部材5及び第2のリンク部材5のうちの一方(例えば第2のリンク部材5)の、他方のリンク部材5(すなわち第1のリンク部材5)が連結されていない方の端の板面に、更に他のリンク部材5(説明の便宜のため、第3のリンク部材5ともいう)の端の板面が重ね合わされ、その重ね合わされた部位がピン6で留められる。このようにして、リンク部材5が順次連結されることにより、伸縮機構2が構成される。
【0015】
この際、第3のリンク部材5が第2のリンク部材5に対して重ね合わされる面は、第1のリンク部材5が第2のリンク部材5に対して重ね合わされる面と同じ面になるように、リンク部材5の連結がなされる。つまり、第2のリンク部材5の同一の板面に対して、第1のリンク部材5及び第3のリンク部材5が重ね合わされて連結される。
【0016】
このリンク部材5が順次連結された構成により、伸縮部材110は、あたかもマジックハンド構造のように、伸縮動作を行うことができる。具体的には、複数のリンク部材5の延伸方向がx軸方向と略垂直な方向に近付くように(すなわち、互いに連結されたリンク部材5同士がなす角θが0度に近付くように)、伸縮部材5を折り畳むように動作させることにより、当該伸縮機構2が縮むこととなる(
図1参照)。一方、複数のリンク部材5の延伸方向がx軸方向と略平行な方向に近付くように(すなわち、リンク部材5の連結角θが180度に近付くように)、伸縮機構2を広げるように動作させることにより、当該伸縮機構2が伸びることとなる(
図2参照)。
【0017】
ここで、上記の伸縮動作において、伸縮機構2を構成する複数のリンク部材5は、略1つの平面上で動作することとなる。この平面は、一のリンク部材5に対して他のリンク部材5をピン6を介して回動させる際の回転軸方向(すなわち、ピン6の挿通方向)と直交する平面に対応する。例えば、伸縮機構2を構成する4つのリンク部材5は、x-z平面内において四角形を構成する。
【0018】
図1及び
図2の例では、カウンターウェイト8を関節3にアーム9を介して接続している。アーム9は、伸縮機構2の伸長に応じて水平方向に対する角度αを変更可能に構成される。これにより、伸縮機構2の姿勢を安定させる。カウンターウェイト8およびアーム9は、本発明の姿勢制御手段を構成する。れにより、カメラ7の姿勢が安定し、高精度の撮影を行うことが可能となり、カメラ7が撮影した高精細な画像を用いて橋梁20の点検を高精度に行うことができる。
【0019】
伸縮機構2の姿勢は、ジャイロセンサなどの傾きセンサ(不図示)により検出することができる。また、カメラやその他のセンサにより、外部から伸縮機構2の姿勢を検出するようにしてもよい。たとえば、カメラにより伸縮機構2を撮影し、撮影した画像を解析することにより伸縮機構2の傾きを検出することができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の橋梁検査装置によれば、リンク部材5同士が重ね合わされる方向の厚みは、リンク部材5が2つ重なり合った分の厚みと同じになるため、伸縮機構2を薄く形成することが可能になる。すなわち、これらリンク部材5が組み合わされて構成される伸縮機構2も小型化することができる。油圧等を用いた場合には、内部の油が漏洩しないように密閉性を高める必要があり、また油圧に耐えうる強度が必要になることから、伸縮棒6の重量が増えてしまうところ、本実施形態のようにリンク部材5を用いることにより、いわゆる玩具のマジックハンドのような使用態様で軽量化を容易に図ることが可能となる。これにより、例えば10メートル程度を超える長さであっても、伸縮可能とすることができる。
【0021】
また、本実施形態の橋梁検査装置によれば、撮影等を行う際に、伸縮機構2の先端部または伸縮機構2に取り付けた延伸棒の先端にカメラ7を装着することができる。したがって、回転翼機などの飛行体にカメラを取り付けて空撮を行う場合に比べて、落下の危険を低減し、長時間の連続運用を可能とし、撮影位置を安定させることができる。また、飛行体に比べて、接地されている伸縮機構2により安全な運用をイメージさせることができる。
【0022】
伸縮機構2の素材は用途に合わせて柔軟に選択することができる。たとえば、避雷針として動作させる場合には、金属等の導電性の高い材料を用いる、旗や軽量のカメラを高所にリフトする場合には、炭素繊維強化プラスチックや竹材などの軽量の材料を用いることもできる。
【0023】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0024】
また、たとえば、本実施形態では、アーム9は、伸縮機構2の伸長に応じて水平方向に対する角度αを変更可能に構成したが、これに限らず、
図3及び
図4に示すように、アーム9を筒状の操作具1の内部に摺動可能に嵌合して、伸縮機構2の長さに応じて水平方向に位置変更可能に構成してもよい。
【符号の説明】
【0025】
2 伸縮機構
5 リンク部材
7 カメラ
8 カウンターウェイト
9 アーム
20 橋梁
100 橋梁検査装置