(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】果菜載せ体と果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20240401BHJP
B07C 5/36 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65G47/46 H
B07C5/36
(21)【出願番号】P 2020069849
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-03-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 日本協同企画株式会社が、熊本県経済農業協同組合連合会第一園芸集送センター 鹿央選果場に、宮田和男が発明した果菜載せ体と果菜自動選別装置を販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-091734(JP,A)
【文献】特開平05-254645(JP,A)
【文献】特開2016-179895(JP,A)
【文献】特開2011-173122(JP,A)
【文献】特開2001-240229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0189861(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
B07C 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端走行回転体に回転可能に取り付けられる果菜載せ体であり、
果菜載せ体は無端走行回転体に取り付けるフレームにベルトが回転可能に巻かれており、
ベルトの回転により果菜を送り出すことができ、
ベルトの果菜送り出し方向先端よりも先方に中継具があり、
中継具は、フレームを無端走行回転体に取り付けると
、果菜載せ体の先のプールベルトとの間に配置されて、果菜載せ体のベルトから送り出される果菜を支持することがで
き、
中継具が回転ローラであり、回転ローラが果菜載せ体のベルトの果菜送り出し方向先端部の先端面と平行又は略平行である、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項2】
請求項1記載の果菜載せ体において、
中継具が、果菜送り出し方向に回転する回転ローラである、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2記載の果菜載せ体において、
ベルトに果菜載せ部があり、果菜載せ部には透光孔があり、
透光孔は計測器からの測定光が透過できるように、ベルトの上面からフレームの底面まで上下に貫通している、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項4】
請求項
3記載の果菜載せ体において、
透光孔の周囲に、測定光の漏出を阻止できる遮光体がある、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項5】
無端走行回転体に果菜載せ体が多数取り付けられ、個々の果菜載せ体に果菜を載せて搬送でき、搬送中に果菜の計測、等級判別を行って、等級別にプールコンベアに送り出す果菜自動選別装置において、
果菜載せ体が請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の果菜載せ体であり、
前記果菜載せ体はベルトの果菜送り出し方向先端部が斜め後方向きになって無端走行回転体に取り付けられ、中継具がプールコンベアの手前に配置されて、果菜載せ体のベルトの回転により送り出される果菜が当該中継具で支持されてプールコンベアに引き継がれるようにした、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果菜を搬送しながら果菜の形状、大きさ、糖度等を計測し、計測結果に基づいて果菜を等級別に判別し、判別された果菜を等級別に仕分ける(等級別にプールコンベアに送り出す)までの一連の作業を、連続して自動的に行う果菜自動選別に使用できる果菜載せ体と、この果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トマト、みかん、オレンジ、タマネギ、キウイ、柿等の丸玉系の果菜(丸物果菜)、ナス、胡瓜等の長尺系の果菜(長物果菜)、メロン、西瓜等の大きなサイズの果菜、桃、イチゴのように傷み易い果菜等々の各種果菜は、収穫後に選果場に持ち込まれ、選果場で傷の有無、色付き具合、変形等を作業者が目視で選別し、形状、サイズ、糖度等を計測器で計測して等級別に判別し、判別後の果菜を等級別に仕分けし、仕分けされた果菜を箱詰めして出荷している。以下の説明では前記計測、計測に基づく等級判別及び等級別の送り出し(仕分け)までをまとめて「選別」という。
【0003】
果菜の選別作業には果菜自動選別装置が使用されている。果菜自動選別装置として、本件出願人が開発した果菜自動選別装置がある(例えば、特許文献1~5)。
【0004】
従来の果菜自動選別装置は、
図6(a)のように、無端走行回転体(例えば、チェーン)Aに多数の果菜載せ体Bが取り付けられている。果菜載せ体BはチェーンAの走行回転に伴って走行して、走行中の果菜載せ体Bに載せた果菜Cを自動的に搬送する。搬送中に果菜Cの形状、大きさ、糖度等が計測器Z(
図6(a))で計測され、その計測データに基づいて等級判別される。更に搬送されて、判別済み果菜が等級別に果菜搬送方向側方のプールコンベアDに送り出されて、等級別に仕分けできるようにしてある。プールコンベアDの上にプールされた果菜Cは等級別に箱詰めされる。
【0005】
果菜載せ体Bは、
図6(b)のように、果菜Cを一個載せることのできる小型のベルトコンベアであり、等級判別後にベルトEが回転して、ベルトEの上の判別済み果菜を果菜搬送方向側方のプールコンベアDの上に送り出し(仕分けし)、送り出し後(仕分け後)に、ベルトが逆回転して元の位置に戻るようにしてある。
【0006】
果菜載せ体Bは果菜搬送中にベルトEが回転して等級判別後の果菜CをプールコンベアDの上に送り出すため、果菜Cには搬送方向の慣性が作用する。このため、ベルトEの上の果菜Cを搬送方向真横に送り出すと、果菜Cが慣性のために搬送方向に位置ずれしてプールコンベアDにスムースに載り移りにくいとか、プールコンベアDから転がり落ちたりすることがある。慣性を低減するため、従来は、
図6(a)のように、果菜載せ体BをプールコンベアDに対して斜めに取り付けている。斜めにすると、果菜載せ体Bの果菜送り出し方向先端部FとプールコンベアDの間に隙間Gが生ずる。この隙間Gが大きいと果菜Cが落ち込んでプールコンベアDに載り移りにくくなる。そこで従来は、果菜載せ体Bの果菜送り出し方向先端部Fを階段状の段差にし、各段に幅の細いベルトEを巻くことにより、果菜載せ体BをプールコンベアDに対して斜めに配置しても隙間Gが小さくなるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-173122号公報
【文献】特開2011-102175号公報
【文献】特開2011-037550号公報
【文献】特開2010-115654号公報
【文献】特開2008-285328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の果菜載せ体は、果菜送り出し方向先端部Fを階段状にしてあるため構造が複雑であり、各段に幅の細いベルトEを巻くためベルトEの本数が多くなり、ベルトEを巻く作業が面倒であり、故障の原因にもなる。
【0009】
本発明の課題は、シンプルな構造であってもプールコンベアとの間に大きな隙間ができにくい果菜載せ体と、その果菜載せ体を備えた果菜自動選別装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の果菜載せ体は、フレームに、果菜を載せることができるベルトが回転自在に巻かれており、ベルトの回転により果菜を送り出すことができる。ベルトの果菜送り出し方向先端部よりも先方に中継具があり、中継具はフレームを無端走行回転体に取り付けるとプールコンベアとの間に配置されて、果菜載せ体のベルトから送り出される果菜を支持するものである。中継具には回転ローラが適する。回転ローラは二本以上であってもよい。前記ベルトには果菜載せ部があり、果菜載せ部には透光孔がある。透光孔は非破壊式(非接触式)計測器からの測定光(例えば、近赤外線)が透過できるように、ベルトの上面からフレームの底面まで上下に貫通している。透過孔の周囲には測定光の漏出を阻止できる遮光体がある。
【0011】
本発明の果菜自動選別装置は、前記果菜載せ体が無端走行回転体に一列に並べて多数取り付けられた果菜搬送体と、個々の果菜載せ体に載せて搬送中の果菜の形状、大きさ、糖度等を測定する計測器と、計測器での計測データに基づいて果菜を等級別に判別する判別手段を備え、果菜載せ体のベルトの回転により送り出される判別後の果菜を引き継いで二以上の果菜をプールできるプールコンベアを備えている。無端走行回転体に取り付けられた個々の果菜載せ体は、ベルトの果菜送り出し方向先端部が無端走行回転体の走行方向に対して斜め後方向きになり、中継具がベルトの果菜送り出し方向先端部とプールコンベアの間に配置されており、ベルトの果菜送り出し方向先端部からプールコンベア側に送り出される果菜が当該中継具により支持されるようにしてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の果菜載せ体は次のような効果がある。
(1)果菜載せ体のベルトから送り出される果菜が、プールコンベアとの間で中継具により支持されるので、果菜が果菜載せ体とプールコンベアとの間の隙間に落ち込むことがなく、プールコンベアにスムースに且つ確実に送り出される。
(2)中継具があるため、幅の広いベルトを使用しても、果菜載せ体とプールコンベアとの間にできる隙間を狭くすることができる。このため、果菜載せ体の果菜送り出し方向先端部を階段状の段差にする必要も、幅の細いベルトを巻く必要もなく、果菜載せ体の構造がシンプルになる。
【0013】
本発明の果菜自動選別装置は次のような効果がある。
(1)個々の果菜載せ体に果菜を一個ずつ載せるだけで、果菜を等級判別して等級別に送り出すことができるので、自動選別できる。
(2)果菜載せ体から送り出される果菜が、果菜載せ体とプールコンベアの間の隙間に落ち込むことがなく、プールコンベアへの引継ぎがスムースに行われ、果菜が傷付きにくくなる。
(3)果菜載せ体からプールコンベアに送り出される果菜の、搬送方向への慣性が低減されるので、プールコンベアに送り出される果菜の転倒、落下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の果菜自動選別装置で果菜を搬送し、判別済み果菜を搬送方向斜め後方に送り出す場合の平面図。
【
図5】(a)は本発明の果菜載せ体の断面図、(b)はベルト回転途上の果菜載せ体の断面図。
【
図6】(a)は従来の果菜自動選別装置の説明図、(b)は従来の果菜載せ体の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(果菜載せ体の実施形態)
本発明の果菜載せ体1は、
図2のように、一つのフレーム2の長手方向先端側と後端側に回転ローラ3、4があり、両回転ローラ3、4にベルト5が回転可能に巻かれているベトコンベア式であり、ベルト5の回転方向先方に中継具6がある。
【0016】
[フレーム]
フレーム2は底板7(
図4)と、底板7の横幅方向両側から上向きに立ち上がる二枚の側板8を備えており、正面視が角形U字状である。底板7は長方形であり、底板7には円形の透光孔9(
図4、
図5(a)(b))が上下方向に貫通されており、その前方と後方に細長のガイド溝10が開口されている。フレーム2は金属、硬質樹脂、FRPといった材質製である。
【0017】
底板7の先端側と後端側には二つの取付け治具11(
図4)がある。取付け治具11は底板7の長手方向の軸線に対して斜め内側向きに取り付けられて互いに対向している。二つの取付け治具11を
図1のように二本の無端走行回転体(例えば、チェーン)12に取り付けると、果菜載せ体1がチェーン12に対して斜め向きになり、ベルト5の果菜送り出し方向先端部13(
図1)が、チェーン12の走行方向(
図1の矢印X方向:果菜搬送方向)に対して斜め後方向きになるようにしてある。
【0018】
[中継具]
前記中継具6はフレーム2に取り付けられたアーム14(
図2、
図3)の先に回転自在に取り付けられて、ベルト5の果菜送り出し方向先端部13(
図2)の先方に突出しており、果菜載せ体1を
図1のようにチェーン12に対して斜め向きに取り付けると、ベルト5の果菜送り出し方向先端部13とプールコンベア15の間に配置されるものである。図示した中継具6は回転ローラが一本であるが、回転ローラは並行に二本以上設けることもできる。図示した回転ローラはベルト5の果菜送り出し方向先端部13の先端面と平行に設けてあるが、回転ローラはベルト5から送り出される果菜を中継してプールコンベアにスムースに送り出すことができれば多少斜めであってもよい。斜めにする場合、果菜搬送方向斜め後方向きのベルト5よりも更に後方向きの斜めにすることもできる。このようにすると、ベルト5の斜め後方への回転により低減される果菜の慣性が、斜め後方向きの中継具により更に低減されてプールコンベア15に載り移り易くなる。中継具6はベルト5の回転によりプールコンベア15に送り出される果菜Cを支持して、果菜Cがベルト5の果菜送り出し方向先端部13とプールコンベア15の間の隙間に落ち込まないようにすることができるものであれば、回転ローラ以外のもの、例えば、果菜Cが滑り易く、傷付きにくいものであれば板、シート、小型の回転ベルト、その他のものであってもよい。
【0019】
[ガイド突起]
図5(a)(b)のようにベルト5の下走行部16にはガイド突起17が取り付けられている。ガイド突起17はフレーム2の底板7のガイド溝10より下方まで突出しており、ガイド溝10に沿って往復スライド可能であり、その往復スライドに伴ってベルト5の上走行部18がガイド突起17のスライド方向と逆方向に回転する。ガイド突起17はベルト5の上走行部18に取り付けることもできる。この場合は上走行部18がガイド突起17のスライド方向と同方向に回転する。
【0020】
[ベルト]
ベルト5は
図5(a)のように、ガイド突起17が前方ストッパー19に当たって停止している箇所から、
図5(b)のようにガイド突起17が矢印A方向にスライドして後方ストッパー20に当たって停止する箇所まで往復回転可能である。
【0021】
図5(a)(b)のように、ベルト5の上走行部18には上透光孔21が、下走行部16には下透光孔22が開口されており、上透光孔21の内側にリング状の上遮光体23が取り付けられ、下透光孔22の内側にリング状の下遮光体24が取り付けられている。上透光孔21、下透光孔22、上遮光体23、下遮光体24はガイド突起17が前方ストッパー19に当たると上下に重なって上下に貫通し、ガイド突起17がガイド溝10内を
図5(b)の矢印A方向にスライドすると上下の重なりがずれ、矢印B方向に戻りスライドすると上下に重なるようにしてある。上透光孔21と下透光孔22が重なった状態で計測手段Z(
図1)から測定光が投光されると、測定光は両透光孔21、22内を透過し、透過中に上遮光体23、下遮光体24により側方に漏れないように遮光される。このため、測定光の強度が低下せず、測定精度が劣化しない。
【0022】
[果菜載せ部]
ベルト5の上走行部18に果菜載せ部25(
図2、
図3、
図5(a)(b))がある。果菜載せ部25はベルト5の上走行部18の上に設けてあり、上走行部18の上にリング状の受け材26を取り付け、その後方に支持具27をハ字状に取り付けてある。受け材26は中央部に受け孔28(
図2)があり、受け孔28が
図5(a)のようにベルト5の上透光孔21-下透光孔22と重なるように取り付けて、ベルト5の往復移動に伴って往復移動するようにしてある。
【0023】
受け材26は果菜を載せるものであり、支持具27は受け材26の上に載せた果菜の後方を支持したり、果菜をプールコンベア15に送り出すときに、果菜を後方から押したりするものである。この実施形態では、受け材26をスポンジ、ゴム等の弾性材製にし、受け孔28を設けることにより、受け材26の上に載せた果菜が滑らず、安定するようにしてある。支持具27もスポンジ、ゴム等の弾性材製にして、果菜に当たっても果菜が傷まないようにしてある。受け材26、支持具27は不要なこともある。この場合は、ベルト5の上走行部18の上透光孔21の上が果菜載せ部25となる。
【0024】
(果菜自動選別装置の実施形態)
本発明の果菜自動選別装置の実施形態は
図1のように、チェーン、タイミングベルト等の無端走行回転体12の走行方向に、前記果菜載せ体1が一列に多数取り付けられて、果菜搬送体30が形成されている。
図1では果菜載せ体1を無端走行回転体12の走行方向に対して斜め後方向きに取り付けて、中継具6をベルト5の果菜送り出し方向先端部13とプールコンベア15の間に配置してある。
【0025】
[無端走行回転体]
図示した無端走行回転体12はチェーンであり、駆動ホイールH1、従動ホイールH2の外周に巻かれており、駆動ホイールH1をモータMで回転させると水平移動し、手前の折り返し箇所で駆動ホイールH1の外側を下から上に廻り込んで
図1の矢印X方向に走行し、走行方向先方の折り返し箇所で従動ホイールH2の外側を上から下に廻り込んで矢印Y方向に走行して循環回転する。
【0026】
[果菜搬送体]
果菜搬送体30の長さは選果場の広さによっても異なるが、通常は数10メートル、場合によっては100m以上のものもある。
図1の右側(搬送方向手前側)から左側(搬送方向先方)に、順に、果菜Cを載せる果菜載せエリア31、搬送中の果菜Cの形状、大きさ、糖度等を計測して等級別に判別する判別エリア32、判別された果菜Cを等級別にプールコンベア15に送り出して仕分けする仕分けエリア33がある。
【0027】
[果菜載せエリア]
前記果菜載せエリア31は、作業者が果菜Cを一個ずつ手作業で果菜載せ体1に載せる領域であり、果菜搬送体30の長さ方向に数人の作業者を配置できる広さにしてある。
【0028】
[判別エリア]
判別エリア32は、搬送中の果菜Cの形状、大きさ、糖度等を計測する領域であり、計測器Zが設けられている。計測器Zは搬送中の果菜Cの形状、大きさ、糖度等を測定するものである。計測器Zは判別エリア32の上方に配置して、搬送中の果菜Cを上方から計測できるようにすることも、側方に配置して側方から計測できるようにすることも、下方に配置して下方から計測することもできる。その他の位置に配置して配置方向から計測できるようにすることもできる。計測器Zには光学式計測器をはじめとして、各種計測方式の計測器を使用することができる。
図1では光学式計測器を使用し、それから投射される測定光(通常は、近赤外光)を、果菜Cの上方から下方に投射して果菜Cを透過し、果菜載せ体1のベルト5の上透光孔21、下透光孔22を透過するようにしてある。光学式計測器は反射式とか他の方式であってもよい。
【0029】
計測器Zで計測された果菜Cは、計測データに基づいて判別手段で等級判別される。判別手段は計測器Zが備えることも、計測器Zとは別に設けることもできる。
【0030】
[仕分けエリア]
仕分けエリア33は判別手段で等級判別された果菜Cを、等級別にプールコンベア15に送り出して等級別に仕分け(振り分ける)領域である。この仕分けエリア33であって果菜搬送体30の下方には往ガイド(図示せず)が配置されている。
【0031】
[往ガイド]
往ガイドは果菜搬送方向に対して斜め後方向きに配置されており、走行中の果菜載せ体1のガイド突起17を斜め後方向きにガイドするものである。往ガイドの近くには、切替えレバー(図示せず)が配置されている。切替えレバーは通常位置と進路変更位置とに切り替え可能であり、通常位置にあるときは、果菜載せ体1のガイド突起17が果菜搬送方向にそのまま通過(直進)して果菜載せ体1のベルト5が回転せず、ベルト5に載せてある果菜Cは側方に送り出されない。果菜載せ体1が本来の仕分け位置に到来すると、判別結果に基づいて切替えレバーが進路変更位置に切り替えられて、ガイド突起17が往ガイドに沿って移動し、その移動に伴って果菜載せ体1のベルト5が果菜搬送方向斜め後方に往回転して、ベルト5の上の果菜Cが前記斜め後方に送り出されてプールコンベア15に引き継がれるようにしてある。搬送方向斜め後方に送り出された果菜Cは搬送方向への慣性が低減し、プールコンベア15に引き継がれるときに転倒し難くなる。
【0032】
[戻りガイド]
果菜搬送体30の下方には戻りガイド(図示せず)もある。戻りガイドは往ガイドと反対向きの斜めに配置されており、移動中の果菜載せ体1のガイド突起17を果菜送り出し時とは逆方向にスライドさせ、ベルト5を果菜送り出し時の往回転とは逆回転させて、多数の果菜載せ体1のベルト5の果菜載せ部25を一列に揃えるものである。
【0033】
[プールコンベア]
プールコンベア15(
図1)もベルトコンベア式であり、果菜Cを多数個貯める(プールできる)ことが可能な長さと横幅にしてある。プールコンベア15は常時回転させておくことも可能であるが、果菜Cが送り込まれないときは一時停止させ、果菜Cが送り込まれる度に回転する(間欠回転する)ようにすることもできる。このときは果菜一個分だけ回転して、果菜Cが載るスペースが確保されるようにすることもできる。果菜Cが送り込まれないときは停止させておき、多数の果菜Cがプールされてから回転するようにすることもできる。プールコンベア15の回転制御は前記判別エリア32での判別結果に基づいて制御装置によって行うことができる。
【0034】
プールコンベア15は判別される等級の数だけ果菜搬送体30の側方に配置して、夫々のプールコンベア15に果菜Cを等級別に送り出すことできるようにしてある。プールコンベア15は果菜搬送体30に対して多少斜め後方又は斜め前方に向けて配置することもできる。
【0035】
全てのプールコンベア15はベルトの本数、幅、長さ等を同じにする必要はなく、数の多い等級の果菜Cを引き継ぐプールコンベア15は本数を多くしたり、横幅を広くしたり、長さを長くしたりすると、多くの果菜Cをプールすることができる。数の少ない等級の果菜Cを引き継ぐプールコンベア15は本数を少なくしたり、横幅を狭くしたり、長さを短くしたりすることもできる。プールコンベア15の横幅、長さ、配置の向き等がどのような場合であっても、果菜載せ体1-中継具6-プールコンベア15は水平又は略水平に配置して、果菜載せ体1から送り出され、中継具6で中継されてプールコンベア15に送り出される果菜Cが水平移動できるようにするのがよい。また、プールコンベア15が間欠回転する場合、その回転始動のタイミングを、果菜Cが中継具6を経てプールコンベア15に到達する少し前からにして、果菜Cがプールコンベア15の回転でプールコンベア15の上に引き込まれるようにするのが望ましい。このタイミングとすることにより、果菜Cがプールコンベア15の上にスムースに且つ確実に引き継がれる。
【0036】
[使用例]
本発明の果菜自動選別装置の使用例を以下に説明する。
(1)果菜載せエリア31において、走行中の果菜載せ体1のベルト5の果菜載せ部25に、作業員が果菜Cを一個ずつ載せる。この場合、作業員が果菜Cを目視して傷の有無、変形、色付き具合等を判別して果菜載せ体1に載せ、判別結果に応じてトラッキングスイッチ40(
図1)を押す。例えば、載せた果菜Cに少しの傷がある場合はいずれかのトラッキングスイッチ40を押し、色付きに難点がある場合は他のトラッキングスイッチ40を押すなどする。極度の傷があるとか極端に変形したりして、商品として販売できないような果菜Cは果菜載せ体1に載せない。
(2)果菜載せエリア31で載せた果菜Cは、判別エリア32に到達すると計測器Zで大きさ、形状、糖度等が自動的に計測され、判別手段で等級判別される。
(3)等級判別された果菜Cは仕分けエリア33に搬送される。仕分けエリア33において、判別結果に基づいて、切替えレバーが進路変更位置に切り替えられ、果菜Cが載っているベルト5が回転して、果菜Cが搬送方向斜め後方に送り出されて、プールコンベア15に引き継がれる(等級別に仕分けされる)。果菜Cは果菜載せ体1の中継具6の上を通過して、果菜載せ体1の果菜送り出し方向先端部13とプールコンベア15の間の隙間に落ち込むことなく、プールコンベア15にスムースに載り移る(引き継がれる)。また、ベルト5が搬送方向斜め後方に回転して果菜Cの慣性を低減させるため、果菜Cが転倒するとかプールコンベア15に載り移りにくくなるといったことがなく、果菜Cに傷が付かない。プールコンベア15は回転して後から引き継ぐ果菜Cを載せるスペースが確保される。
(4)前記(3)において、果菜Cを送り出さないときは、前記切替えレバーが作動せずに通常位置に停止したままとなり、果菜を載せた果菜載せ体1のガイド突起17が往ガイドを通過する。通過して本来の仕分け位置まで搬送されると、判別結果に基づいて切替えレバーが進路変更位置に切り替えられ、その果菜載せ体1のガイド突起17が前記往ガイドに案内されて、ベルト5が前記(3)の場合と同様に回転して、果菜Cが果菜搬送側方のプールコンベア15の上に送り出される。ベルト5から送り出される果菜Cはいずれも、果菜載せ体1の中継具6の上を通過して、果菜載せ体1の果菜送り出し方向先端部13とプールコンベア15の間の隙間に落ち込まない。
(5)前記送り出しの繰り返しにより、判別済み果菜は等級別にプールコンベア15に送り込まれる。プールコンベア15の上にプールされた果菜Cは箱詰め、パック詰めすることができる。
(6)果菜Cを送り出した果菜載せ体1は無端走行回転体12の走行回転によってそのまま走行を継続して果菜載せエリア31に戻る。戻る前に、ガイド突起17が果菜搬送体30の下方に配置されている前記戻りガイドに案内されて、果菜Cを送り出す前の元の位置まで自動的に戻される。この戻しに伴って果菜載せ体1のベルト5も果菜Cを送り出す前の元の位置まで戻って、多数の果菜載せ体1のベルト5の果菜載せ部25(
図1、
図3)が一列に揃う。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は前記実施形態に例示した果菜以外の果菜の選別に利用することができる。可能であれば、壊れやすい、形が崩れやすい物品、例えば、食品等の製造ラインに利用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 果菜載せ体
2 フレーム
3、4 回転ローラ
5 ベルト
6 中継具
7 底板
8 側板
9 透光孔
10 ガイド溝
11 取付け治具
12 無端走行回転体(チェーン)
13 (ベルトの)果菜送り出し方向先端部
14 アーム
15 プールコンベア
16 (ベルトの)下走行部
17 ガイド突起
18 (ベルトの)上走行部
19 前方ストッパー
20 後方ストッパー
21 上透光孔
22 下透光孔
23 上遮光体
24 下遮光体
25 果菜載せ部
26 受け材
27 支持具
28 受け孔
30 果菜搬送体
31 果菜載せエリア
32 判別エリア
33 仕分けエリア
40 トラッキンググスイッチ
A 無端走行回転体
B 果菜載せ体
C 果菜
D プールコンベア
E ベルト
F 果菜送り出し方向先端部
G 隙間
H1 駆動ホイール
H2 従動ホイール
M モータ
Z 計測器