IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ピカコーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図1
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図2
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図3
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図4
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図5
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図6
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図7
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図8
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図9
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図10
  • 特許-貨物自動車用の親綱架設支柱 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】貨物自動車用の親綱架設支柱
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240401BHJP
   B62D 33/023 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A62B35/00 H
B62D33/023 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020074554
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021171079
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 徹
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-244281(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191732(JP,U)
【文献】登録実用新案第3188609(JP,U)
【文献】特開2018-078932(JP,A)
【文献】特開2015-039527(JP,A)
【文献】特開2009-061192(JP,A)
【文献】特開2016-036507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
B62D 33/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物自動車の荷台に作業者の転落防止用の親綱を架設させるための親綱架設支柱であって、
前記親綱を掛合保持可能な綱掛部を有する支柱本体と、
前記支柱本体を前記荷台の側壁板に起立状態で連結支持させる支柱支持部とを備え、
前記支柱支持部は、前記側壁板の上縁部に掛合可能な上掛合部と、前記側壁板の下縁部に掛合可能な下掛合部とを有し、前記上掛合部および下掛合部によって前記側壁板を上下から挟み付けるようにして連結可能に構成され、
前記下掛合部は、前記支柱本体に沿って上下移動可能に設けられる下掛合部本体と、前記下掛合部本体を下方から支持する調整ナットと、前記調整ナットを上下移動可能に支持するガイドボルトとを有し、前記調整ナットを上下に移動させることで前記上掛合部との上下方向の離間距離を調整可能に構成された、親綱架設支柱。
【請求項2】
記支柱本体の短手方向の一方を前後方向として、
前記上掛合部および下掛合部はそれぞれ、前後方向へ移動可能に構成され、前記側壁板における支柱本体と反対側の側面部に前後方向から押接可能な押接部を有し、
前記下掛合部は、前記押接部として、前記支柱本体を挟んで左右側方位置に設けられ、前記支柱支持部を前記側壁板に連結させたときにそれぞれ、前記側面部に当接掛合される一対の下部押さえ板を有する、請求項1に記載の親綱架設支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車の荷台に転落防止用の親綱を架設させるための親綱架設支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックなど貨物自動車の荷台上で作業者が積荷の積み下ろしなどの作業を行う際に、作業者の安全帯を連結させておくための転落防止用の親綱を、荷台に架設させる親綱架設支柱において、支柱本体の下端部に支柱支持部が設けられ、上記支柱支持部を荷台の側壁板、所謂アオリ板の上縁部に連結させることによって、支柱本体を荷台に立設させるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1~4)。
【0003】
特許文献1~3の親綱架設支柱は、支柱本体の下端部に、下向きに開口する略コ字状の支柱支持部が設けられ、支柱支持部をアオリ板の上縁部に上方から掛合させ、支柱支持部の側面部に設けられた固定部材(ボルト)をアオリ板の側面部に押接させることによって、支柱支持部をアオリ板の上縁部に連結させるように構成されている。
特許文献4の親綱架設支柱は、支柱本体の下端部に、下向きに開口する略コ字状の支柱支持部が設けられ、支柱支持部をアオリ板の上縁部に上方から掛合させ、その両側板部(第1部材および第2部材)相互の間隔を調整することによって、支柱支持部をアオリ板の上縁部に連結させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-61192号
【文献】特開2016-36507号
【文献】特開2018-78932号
【文献】特開2015-39527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~4の親綱架設支柱では、支柱支持部は、アオリ板に対する固定部材や側板部の押接摩擦力によって連結されているに過ぎない。そのため、作業中に親綱が引っ張られて、支柱本体に対して上下方向や周方向から荷重が加わったときに、支柱本体が上方にずれたり傾いたりして、親綱を適切な張力で保持できなくなる虞があった。
【0006】
なお、特許文献2の親綱架設支柱では、一端を支柱支持部の側板部に係合させ、他端をアオリ板の下端面に係合させることで、支柱支持部をアオリ板側に引っ張ることが可能な引っ張り具を備えており、支柱支持部に上向きの力が生じても、支柱支持部がアオリ板から外れるのを防止できる、とされている。ところが、このものでは、引っ張り具の一端のフック部をアオリ板の下端面に引掛けているだけであるため、支柱本体に加わる荷重の向きや大きさによっては、上記フック部がアオリ板の下端面からずれたり外れたりして、支柱本体のずれや傾きを確実に防止できない問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、貨物自動車用の親綱架設支柱において、荷台上に親綱を安定して架設可能な、設置安定性の高い親綱架設支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の親綱架設支柱は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の親綱架設支柱は、貨物自動車の荷台に作業者の転落防止用の親綱を架設させるための親綱架設支柱であって、前記親綱を掛合保持可能な綱掛部を有する支柱本体と、前記支柱本体を前記荷台の側壁板に起立状態で連結支持させる支柱支持部とを備え、前記支柱支持部は、前記側壁板の上縁部に掛合可能な上掛合部と、前記側壁板の下縁部に掛合可能な下掛合部とを有し、前記上掛合部および下掛合部によって前記側壁板を上下から挟み付けるようにして連結可能に構成され、前記下掛合部は、前記支柱本体に沿って上下移動可能に設けられる下掛合部本体と、前記下掛合部本体を下方から支持する調整ナットと、前記調整ナットを上下移動可能に支持するガイドボルトとを有し、前記調整ナットを上下に移動させることで前記上掛合部との上下方向の離間距離を調整可能に構成されている。
【0009】
記支柱本体の短手方向の一方を前後方向として、前記上掛合部および下掛合部はそれぞれ、前後方向へ移動可能に構成され、前記側壁板における支柱本体と反対側の側面部に前後方向から押接可能な押接部を有し、前記下掛合部は、前記押接部として、前記支柱本体を挟んで左右側方位置に設けられ、前記支柱支持部を前記側壁板に連結させたときにそれぞれ、前記側面部に当接掛合される一対の下部押さえ板を有してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の親綱架設支柱によれば、支柱支持部を荷台の側壁板(アオリ板)に上下から挟み付けるようにして連結固定させることができるから、綱掛部に上下方向や周方向から荷重が加わっても、支柱本体が上方にずれたり傾いたりし難い。よって、設置安定性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の親綱架設支柱の使用状態の一例を示す図である。
図2】実施形態の親綱架設支柱の正面斜視図である。
図3】実施形態の親綱架設支柱の背面斜視図である。
図4】実施形態の親綱架設支柱の正面図である。
図5】実施形態の親綱架設支柱の背面図である。
図6】実施形態の親綱架設支柱の左側面図である。
図7】実施形態の親綱架設支柱の右側面図である。
図8】実施形態の親綱架設支柱の平面拡大図である。
図9】実施形態の親綱架設支柱の底面拡大図である。
図10】支柱支持部周辺の正面斜視図である。
図11】支柱支持部周辺の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の親綱架設支柱の実施形態を、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態の親綱架設支柱1は、トラックなどの貨物自動車の荷台上に作業者の転落防止用の親綱Sを架設させるための支柱であって、荷台の側壁板(以下、「アオリ板」という)Pに複数横並びに立設して使用される。
【0013】
なお、図1は、2つの親綱架設支柱1をアオリ板Pの長手方向(荷台の前後方向)に所定距離離して立設させ、それら親綱架設支柱1相互間に親綱Sを横架させた状態を示しているが、3つ以上の親綱架設支柱1をアオリ板Pの長手方向に所定の間隔で立設させ、それら各親綱架設支柱1間に親綱Sを横架させて使用することもできる。また、図1は、親綱架設支柱1を荷台右側面のアオリ板Pに立設させた状態を示しているが、親綱架設支柱1は、荷台後面のアオリ板Pに立設して使用することもできる。
【0014】
図2図9に示すように、親綱架設支柱1は、親綱Sを掛合保持可能な綱掛部12を有する支柱本体10と、支柱本体10をアオリ板Pに起立状態で連結支持させる支柱支持部11とを備えている。
なお、以降の説明においては、図4の正面図における上下方向を親綱架設支柱1の上下方向、同正面図における左右方向を親綱架設支柱1の左右方向、同正面図に対して垂直な方向を親綱架設支柱1の前後方向とする。
【0015】
支柱本体10は、上下方向に長い断面略矩形状の中空の角材であり、その上端部に綱掛部12が設けられている。支柱支持部11は、支柱本体10の外周部における下端寄りの位置に設けられている。また、支柱本体10の外周部には、後述する上部フック14の連結部周辺を補強する補強板13が設けられている。
綱掛部12は、側方視略逆L字状の2つの鉤部120,120相互を、前後に所定の間隙を存して向かい合わせの状態で並べて構成されたものであり、これら鉤部120,120相互の内側の間隙に親綱Sが挿通される。これにより、親綱Sは、綱掛部12に対して上方や前後方向に容易に外れないように保持される。
【0016】
補強板13は、1枚の縦長矩形状の板体を短手方向に略コ字状に折曲して形成されたものであり、その前板131が支柱本体10の前面部(以下、「支柱前面部」という)101に面合わせの状態で対向して設けられ、左右の側端板133,134が支柱本体10の
左右の側面部103,104に対してそれぞれ、面合わせの状態で固定される。なお、本実施形態では、補強板13の側端板133,134は、支柱本体10の側面部103,104に対してリベット留めにより固定されるが、ネジ留めや溶接などにより固定されてもよい。
【0017】
このように、支柱本体10の外周部における上部フック14の連結部周辺に補強板13を設けて二重壁構造としたことで、上記連結部周辺の曲げ剛性が高められるから、親綱Sが引っ張られ、支柱本体10の上端部に対して前後方向や左右方向に所定以上の荷重が加わっても、上記連結部周辺は塑性変形し難い。
図2図11に示すように、支柱支持部11は、支柱本体10の外周部における上下間の中央より下方の定位置に設けられ、アオリ板Pの上縁部P1に上方から掛合可能な上掛合部としての上部フック14と、支柱本体10の外周部における上部フック14の配設部より下方位置に設けられ、アオリ板Pの下縁部P2に下方から掛合可能な下掛合部としての下部フック15とを備えており、これら上部フック14と下部フック15とでアオリ板Pを上下から挟み付けることによって、支柱本体10をアオリ板Pに起立状態で連結支持させるように構成されている。
【0018】
また、支柱本体10の後面部(以下、「支柱後面部」という)102には、アオリ板Pの前面部(支柱本体10側の側面部)P3に当接し、アオリ板Pに対する支柱本体10のずれを抑制するリブ状突起(以下、「ビード」という)16が設けられている。
ビード16は、ポリ塩化ビニルやポリプロピレン、天然ゴムなどの樹脂材料により形成された細長帯状の板体であって、支柱後面部102に沿って、上部フック14の連結位置から支柱本体10の下端部に至る範囲に延設されている。従って、支柱支持部11をアオリ板Pに連結させた際、ビード16は、アオリ板Pの前面部P3に対して上下帯状に当接される。従って、支柱本体10の上端部に対して左右方向や上下方向に荷重が加わっても、支柱本体10は、アオリ板Pの前面部P3から上方にずれたり、左右にずれたりし難い。
【0019】
上部フック14は、支柱後面部102の後方に突出した状態で設けられる上部支軸21と、上部支軸21の後端部に設けられ、アオリ板Pの上縁部P1に上方および後方から押接可能な押接部としての上部押さえ板22と、上部押さえ板22から前方へ突出した状態で設けられ、支柱本体10の側面部(ここでは、補強板13の右側端板133)に当接可能な回り止め片23とを備えている。
【0020】
上部支軸21は、1本の略円柱状の軸体を略L字状に折曲して形成されたものであり、その折曲部から前方に延びる前延部21Aは、支柱前面部101、支柱後面部102、および補強板13の前板131にそれぞれ開設された軸挿通孔41に、前後方向から貫挿されている。即ち、上部支軸21の前延部21Aは、支柱本体10に対して前後移動可能な状態で連結支持され、且つ支柱本体10の後方に延設されている。一方、折曲部から下方に延びる下延部21Bは、支柱後面部102の後方位置にて支柱本体10と略平行に配設されている。
【0021】
前延部21Aの外周面には、ネジ山が形成されており、前延部21Aの前端部には、支柱前面部101の前方側から蝶ナット(以下、「上部締付ナット」という)17が螺合接続されている。これにより、上部支軸21は、支柱本体10に対して抜け止め状態で保持される。また、上部締付ナット17を周方向へ回転させれば、上部支軸21が前後に移動する。その結果、下延部21Bと支柱後面部102との前後方向の離間距離が調整される。
【0022】
上部押さえ板22は、1枚の横長略矩形状の板体を短手方向へ略L字状に折曲して形成されたものであり、上部支軸21における折曲部の内側コーナー部に連結固定されている。即ち、上部押さえ板22は、上記折曲部から前方に延設される上板部22Aが上部支軸21の前延部21Aに沿って設けられ、折曲部から下方に延設される後板部22Bが上部支軸21の下延部21Bに沿って設けられている。従って、支柱支持部11をアオリ板Pに連結させた際、上部押さえ板22の上板部22Aがアオリ板Pの上縁部P1の上面に面接触し、後板部22Bがアオリ板Pの上縁部P1の後面(支柱本体10と反対側の側面部
P4)に面接触する。
【0023】
上部押さえ板22の左右間の幅寸法は、支柱本体10の左右間の幅寸法より大きく設定されており、支柱支持部11をアオリ板Pに連結させた際、上部押さえ板22は、アオリ板Pの上縁部P1の上面および後面に対して、支柱後面部102の後方対向位置よりさらに左右外側までの広範囲に亘って押接される。従って、支柱本体10の上端部に対して前後方向や左右方向に荷重が加わっても、支柱本体10は、左右に傾いたり、周方向に回転したりし難い。
【0024】
回り止め片23は、1本の略角柱状の軸体により形成されたものであり、後端部が上部押さえ板22の上板部22Aの上面に支持固定され、上部支軸21の前延部21Aと略平行に、補強板13の右側端板133に沿って延設されている。従って、上部支軸21に対して前延部21Aの周方向への回転応力が加わっても、上部支軸21は、回り止め片23が補強板13の右側端板133に当接することで、その回転が阻止される。
【0025】
下部フック15は、支柱本体10の外周部に環設される下部フック本体24と、下部フック本体24を上下移動させる調整ナット25と、調整ナット25を上下移動可能に支持するガイドボルト26と、下部フック本体24の後方に突出した状態で設けられる下部支軸27と、下部支軸27を前後移動可能に支持するインサートナット28と、下部支軸27の後端部に設けられ、アオリ板Pの下縁部P2に後方から押接可能な押接部としての下部押さえ板29とを備えている。
【0026】
ガイドボルト26は、1本の略円柱状の軸体であり、支柱前面部101に上下に離間して立設された一対のブラケット18,18相互間に、支柱前面部101に沿って上下に延設されている。
ガイドボルト26の外周面には、ネジ山が形成されており、その外周部に調整ナット25が螺合接続されている。従って、調整ナット25を周方向へ回転させれば、調整ナット25がガイドボルト26に沿って上下に移動する。
【0027】
図8図11に示すように、下部フック本体24は、上方視略T字状に形成されたブロック体であって、その左右間の中央部には、下部フック本体24の上端部から下端部に亘って上方視略矩形状の支柱挿通孔50が形成されている。支柱本体10は、支柱挿通孔50に回り止め状態で且つ上下移動可能な状態で遊挿される。即ち、下部フック本体24は、一定の向きに保たれたまま、支柱本体10に沿って上下摺動可能に構成されている。また、下部フック本体24は、調整ナット25に上方から当接支持されている。従って、調整ナット25を周方向へ回転させて、ガイドボルト26に沿って上下に移動させれば、それに連動して下部フック本体24も支柱本体10に沿って上下に移動する。これにより、下部フック15と上部フック14との上下方向の離間距離が調整される。
【0028】
下部フック本体24の後面部242における左右間の中央部には、支柱挿通孔50の内側空間に連通する切欠51が形成されている。切欠51は、下部フック本体24の上端部から下端部に亘って延設されており、支柱挿通孔50に挿通された支柱本体10のビード16を下部フック本体24の後方に臨ませている。
下部フック本体24の前端中央部には、ガイドボルト26を挿通させる上方視略U字状のガイド溝52が形成されている。ガイド溝52は、下部フック本体24の上端部から下端部に亘って延設されており、ガイドボルト26は、ガイド溝52の内側に沿って遊挿される。調整ナット25は、ガイド溝52の下端周縁部に下方から当接する。
【0029】
下部フック本体24における支柱挿通孔50の左右外側には、下部支軸27を支持する張り出し部240が設けられている。張り出し部240は、支柱本体10の左右の側面部103,104より外側へ突出形成されている。張り出し部240には、下部フック本体24の後面部242側に開口する上方視略コ字状のナット収容溝52が形成されており、その内底部にインサートナット28が抜け止め状態で埋設保持される。また、張り出し部240の前面部241には、ナット収容溝52に連通する軸挿通孔42が開設されている。
【0030】
下部支軸27は、1本の略円柱状の軸体であり、張り出し部240の軸挿通孔42に前後方向から貫挿され、ナット収容溝52を通じて張り出し部240の後方に延出されてい
る。即ち、下部支軸27は、張り出し部240に対して前後移動可能な状態で連結支持され、且つ張り出し部240の後方に延設されている。下部支軸27の外周部には、ネジ山が形成されており、下部支軸27は、ナット収容溝52に収容保持されたインサートナット28に螺合接続されている。
【0031】
下部支軸27の前端部には、蝶ナット(以下、「下部締付ナット」という)19が連結固定されている。一方、下部支軸27の後端部には、下部押さえ板29が連結支持されている。従って、下部締付ナット19を回転させれば、下部支軸27が前後方向に移動する。その結果、下部押さえ板29と下部フック本体24の後面部242との前後方向の離間距離が調整される。
【0032】
上記のように、下部支軸27は、支柱本体10を挟んでその左右側方位置にそれぞれ並設されており、支柱支持部11をアオリ板Pに連結させた際、下部支軸27はそれぞれ、支柱本体10の左右外側にてアオリ板Pの下縁部P2の下面に当接掛合される。また、各下部支軸27は、アオリ板Pの下縁部P2の下面に対してその長手方向(左右方向)と直交する向きで当接掛合される。さらに、下部支軸27の後端部に連結された下部押さえ板29は、アオリ板Pの下縁部P2の後面に対して、支柱後面部102の後方対向位置よりさらに左右外側に押接される。従って、支柱本体10の上端部に対して前後方向や左右方向に荷重が加わっても、支柱本体10は、左右に傾いたり、周方向に回転したりし難い。
【0033】
また、支柱支持部11は、上記のように、支柱本体10の左右間の中央位置に設けられる1つの上部支軸21と、支柱本体10の左右側方位置に並設される2つの下部支軸27とでアオリ板Pを上下から挟持するように構成されている。即ち、支柱支持部11は、アオリ板Pに対して上1点、下2点の計3点で掛合支持される。従って、支柱本体10は、左右により傾き難い。
【0034】
下部押さえ板29は、前方視略正方形状の板体であり、下部支軸27の後端部に連結固定されている。従って、支柱支持部11をアオリ板Pに連結させた際、下部押さえ板29がアオリ板Pの下縁部P2の後面に面接触する。なお、下部押さえ板29は、アオリ板Pの下縁部P2に対して十分な接触面積を確保可能であれば、前方視略三角形状に形成されていてもよいし、五角以上の前方視略多角形状に形成されていてもよいし、前方視略円形状に形成されていてもよい。また、下部押さえ板29は、アオリ板Pの下縁部P2に対して確実に押接可能であれば、下部支軸27の後端部に周方向へ回転可能に連結支持されていてもよい。
【0035】
上記親綱架設支柱1をアオリ板Pに連結する手順を説明する。まず、支柱本体10をアオリ板Pの前面部P3側にて起立させた姿勢で、支柱支持部11の上部フック14をアオリ板Pの上縁部P1に上方から掛合させる。具体的には、上部フック14の上部押さえ板22をアオリ板Pの上縁部P1の後コーナー部に沿って引っ掛ける。これにより、支柱本体10は、アオリ板Pに起立状態で支持される。
【0036】
そしてこの状態で、上部フック14の上部支軸21に螺合接続された上部締付ナット17を一方向(右回り)に回転させて締め付ける。これにより、上部押さえ板22(上部支軸21の下延部21B)と支柱後面部102との前後方向の離間距離が縮まり、上部押さえ板22がアオリ板Pの後面部P4に後方から押接されるとともに、支柱後面部102のビード16がアオリ板Pの前面部P3に押接される。即ち、上部押さえ板22と支柱本体10とでアオリ板Pの上縁部P1が前後方向から挟持される。その結果、支柱本体10は、アオリ板Pに対して前後左右、および上下方向への移動が阻止された状態で保持される。
【0037】
次に、支柱前面部101のガイドボルト26に螺合接続された調整ナット25を一方向(右回り)に回転させ、ガイドボルト26に沿って上方へ移動させる。これにより、支柱本体10に環設された下部フック本体24が調整ナット25によって上方へ押し上げられ、下部フック本体24の後部に延設された2つの下部支軸27がそれぞれ、アオリ板Pの下縁部P2に下方から当接掛合される。即ち、下部フック15の下部支軸27と上部フック14の上部押さえ板22とでアオリ板Pを上下方向から挟持させる。その結果、アオリ板Pに対する支柱本体10の上下方向への移動がより強固に阻止される。
【0038】
そしてこの状態で、各下部支軸27の前端部に設けられた下部締め付けナット19をそれぞれ一方向(右回り)に回転させて締め付ける。これにより、各下部支軸27の後端部に設けられた下部押さえ板29と下部フック本体24との前後方向の離間距離がそれぞれ縮まり、下部押さえ板29がアオリ板Pの後面部P4に後方から押接されるとともに、支柱後面部102のビード16がアオリ板Pの前面部P3に押接される。即ち、2つの下部押さえ板29と支柱本体10とでアオリ板Pの下縁部P2が前後方向から挟持される。その結果、アオリ板Pに対する支柱本体10の前後左右、および上下方向への移動がより強固に阻止される。
【0039】
このように、上記親綱架設支柱1によれば、支柱支持部11をアオリ板Pに上下から挟み付けるようにして連結固定させることができるから、作業中に親綱Sが引っ張られて、綱掛部12に上下方向や周方向から荷重が加わっても、支柱本体11が上方にずれたり傾いたりし難く、設置安定性が高い。従って、荷台上に親綱Sを安定して架設することができる。
【0040】
しかも、上部フック14が支柱本体10における上下間の定位置に設けられ、下部フック15が支柱本体10における上部フック14の下方位置に上下移動可能に設けられていることで、アオリ板Pに取り付ける際に、予め支柱本体10をアオリ板Pの上縁部P1に掛合させた状態で、支柱支持部11をアオリ板Pに固定させることができるから、取り付け作業も容易である。
【0041】
さらに、このものでは、上部フック14の上部押さえ板22と下部フック15の下部押さえ板29とがそれぞれ、支柱本体10の前後方向へ移動可能に構成されており、それら押さえ板22,29と支柱本体10とでアオリ板Pを前後から挟み付けるようにして連結固定させることができるから、支柱本体11のずれや傾きをより確実に防止できる。従って、荷台上に親綱Sをより安定して架設することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 親綱架設支柱
10 支柱本体
11 支柱支持部
12 綱掛部
14 上部フック(上掛合部)
15 下部フック(下掛合部)
22 上部押さえ板(押接部)
29 下部押さえ板(押接部)
P アオリ板(側壁板)
P1 上縁部
P2 下縁部
S 親綱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11