(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】オルソ画像作成方法、地面モデル作成方法、オルソ画像作成システム及び地面モデル作成システム
(51)【国際特許分類】
G01C 7/02 20060101AFI20240401BHJP
G01C 15/06 20060101ALI20240401BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20240401BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20240401BHJP
E01C 23/01 20060101ALI20240401BHJP
G06T 7/521 20170101ALI20240401BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G01C7/02
G01C15/06 T
G01C15/00 103A
G01N21/88 J
E01C23/01
G06T7/521
G06T1/00 285
(21)【出願番号】P 2020125835
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】516225913
【氏名又は名称】株式会社エムアールサポート
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】草木 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】森 誉光
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-194625(JP,A)
【文献】森田 翔平 他,ドローンを用いた海岸漂着ごみ定量化手法の構築,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2019年10月17日,第119巻, 第202号,第51-54頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
G01N 21/84-21/958
E01C 23/01
G06T 1/00
G06T 7/521
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の特徴点についての3次元座標を取得する座標取得ステップと、
撮影装置により前記複数の特徴点について各特徴点が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように複数の撮影画像を撮影する撮影ステップと、
前記座標取得ステップにより取得された各特徴点の3次元座標と前記撮影ステップにより撮影された前記複数の撮影画像とに基づいて、所定領域について地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成するオルソ画像作成ステップと、
3次元走査装置から照射されるレーザ光により、所定領域における各点について3次元座標化された点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記点群データ取得ステップにより取得された点群データに対して、前記オルソ画像の色彩情報を補填して所定領域の地面モデルを作成する地面モデル作成ステップとを備えることを特徴とする地面モデル作成方法。
【請求項2】
前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度にある撮影装置であることを特徴とする請求項
1に記載の
地面モデル作成方法。
【請求項3】
前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度で飛行している無人航空機または模型航空機であることを特徴とする請求項
1に記載の
地面モデル作成方法。
【請求項4】
前記特徴点は、前記撮影ステップにおける撮影時において地上に設置された対空標識であり、
前記座標取得ステップでは、トータルステーション、衛星を用いた測位システム及び3次元走査装置のいずれかにより前記対空標識の3次元座標が取得されることを請求項1~3の何れかに記載の
地面モデル作成方法。
【請求項5】
複数の特徴点についての3次元座標を記憶する座標記憶手段と、
撮影装置により前記複数の特徴点について各特徴点が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように撮影された複数の撮影画像を記憶する撮影画像記憶手段と、
前記座標記憶手段に記憶された各特徴点の3次元座標と前記撮影画像記憶手段に記憶された前記複数の撮影画像に基づいて、所定領域について地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成するオルソ画像作成手段と、
3次元走査装置から照射されるレーザ光により、所定領域における各点について取得された3次元座標化された点群データを記憶する点群データ記憶手段と、
前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに対して、前記オルソ画像の色彩情報を補填して所定領域の地面モデルを作成する地面モデル作成手段とを備えることを特徴とする地面モデル作成システム。
【請求項6】
前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度にある撮影装置であることを特徴とする請求項
5に記載の
地面モデル作成システム。
【請求項7】
前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度で飛行している無人航空機または模型航空機であることを特徴とする請求項
5に記載の
地面モデル作成システム。
【請求項8】
前記特徴点は、前記撮影装置での撮影時において地上に設置された対空標識であり、
前記座標記憶手段は、トータルステーション、衛星を用いた測位システム及び3次元走査装置のいずれかにより取得された前記対空標識の3次元座標を記憶することを請求項
5~
7の何れかに記載の
地面モデル作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無人航空機により上空から撮影された撮影画像に基づいてオルソ画像を作成するオルソ画像作成方法及びオルソ画像作成システム、また、そのオルソ画像を使用して地面モデルを作成する地面モデル作成方法及び地面モデル作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の表層を構成するアスファルト舗装の表面にひび割れ(クラック)などの損傷が発生した場合、道路を補修する必要がある。
【0003】
道路の補修を行うためには、補修起工時における道路状態及び道路の端部や車線表示線などの区画線を含む平面要素の位置についての調査などの種々の調査が行われる。例えば道路においてひび割れが発生した箇所やひび割れ量についての調査が行われる。従来、ひび割れ状態の調査は、点検員の目視により行われていたが、各点検員により道路を点検し、ひび割れを検知する作業は非常に煩雑である。したがって、点検員がひび割れを検知する代わりに、専用の路面性状測定車を使用して、道路状態の調査が行われることがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
専用の路面性状測定車により道路状態の調査を行う場合、路面性状測定車を走行させる必要があるが、幅の小さい道路は、路面性状測定車が走行不可能であり、道路状態の調査を行うことが不可能である。
【0006】
また、補修が行われる補修領域における道路の端部や車線表示線などの区画線を含む平面要素の位置についての調査が行われる。従来、道路の端部や車線表示線上にある非常に多い平面位置について測量を行って、それぞれの平面位置に基づいて、道路の端部や車線表示線などの区画線を含む平面要素を図化していた。したがって、平面要素を図化するために、非常に多い平面位置について測量を行う必要があり、非常に煩雑である。
【0007】
また、補修領域にマンホールがある場合、マンホール調整高さについての調査が行われる。マンホール調整高さについての調査としては、マンホールの縦断方向及び横断方向の各位置についての調整高さ(補修起工時の標高と補修計画面の標高との標高差)が調査される。
【0008】
従来、マンホール周辺部の各平面位置を通過する道路縦断面及び道路横断面に基づいて各平面位置の標高を検知し、その標高と補修計画面の標高との標高差により、調整高さを導出していた。したがって、マンホールごとに、それぞれ道路縦断面及び道路横断面に基づいて各平面位置の標高を検知する必要があり、非常に煩雑である。
【0009】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、道路の補修を行う際に、補修起工時における道路状態を容易に調査することを可能としたオルソ画像作成方法、地面モデル作成方法、オルソ画像作成システム及び地面モデル作成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明に係る地面モデル作成方法は、複数の特徴点についての3次元座標を取得する座標取得ステップと、撮影装置により前記複数の特徴点について各特徴点が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように複数の撮影画像を撮影する撮影ステップと、前記座標取得ステップにより取得された各特徴点の3次元座標と前記撮影ステップにより撮影された前記複数の撮影画像とに基づいて、所定領域について地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成するオルソ画像作成ステップと、3次元走査装置から照射されるレーザ光により、所定領域における各点について3次元座標化された点群データを取得する点群データ取得ステップと、前記点群データ取得ステップにより取得された点群データに対して、前記オルソ画像の色彩情報を補填して所定領域の地面モデルを作成する地面モデル作成ステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る地面モデル作成システムは、複数の特徴点についての3次元座標を記憶する座標記憶手段と、撮影装置により前記複数の特徴点について各特徴点が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように撮影された複数の撮影画像を記憶する撮影画像記憶手段と、前記座標記憶手段に記憶された各特徴点の3次元座標と前記撮影画像記憶手段に記憶された前記複数の撮影画像に基づいて、所定領域について地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成するオルソ画像作成手段と、3次元走査装置から照射されるレーザ光により、所定領域における各点について取得された3次元座標化された点群データを記憶する点群データ記憶手段と、前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに対して、前記オルソ画像の色彩情報を補填して所定領域の地面モデルを作成する地面モデル作成手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、本発明に係る地面モデル作成方法及び地面モデル作成システムでは、地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成することにより、道路表面の状態や道路周辺の平面要素の位置を明確に判別可能なオルソ画像を作成することが可能である。本発明で作成されたオルソ画像では、道路においてひび割れが発生した箇所やパッチングがある箇所を明確に判別可能である。したがって、道路表面のひび割れ状態を調査するために、専用の路面性状測定車を走行させる必要がないことから、道路幅にかかわらず、道路状態の調査を行うことが可能である。
また、本発明に係る地面モデル作成方法及び地面モデル作成システムでは、オルソ画像に含まれる所定領域の3次元形状を明確に検知することが可能である。そのため、例えば、道路表面の凹凸高さ、道路周辺の段差、マンホール高さなどの高さ情報を明確に検知することが可能である。
【0014】
また、本発明で作成されたオルソ画像では、道路の端部や車線表示線などの区画線を含む平面要素の位置を明確に判別可能である。したがって、道路の端部や車線表示線などの区画線を含む平面要素を図化するために、非常に多い平面位置について測量を行う必要がないことから、オルソ画像に基づいて平面要素を容易に図化することが可能である。
【0015】
また、本発明で作成されたオルソ画像では、マンホール周辺部の縦断方向及び横断方向の各平面位置を検知可能である。したがって、マンホール周辺部の縦断方向及び横断方向の各平面位置を特定した後、各平面位置の標高を、3次元走査装置により取得された点群データから取り出すことが可能である。そのため、マンホール周辺部の縦断方向及び横断方向の各平面位置の標高を検知するために、マンホールごとに、それぞれ道路縦断面及び道路横断面を作成する必要がない。よって、マンホール調整高さを容易に検知することが可能である。
【0016】
本発明に係る地面モデル作成方法において、前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度にある撮影装置であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る地面モデル作成システムにおいて、前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度にある撮影装置であることを特徴とする。
【0018】
これにより、本発明に係る地面モデル作成方法及び地面モデル作成システムでは、地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を容易に作成することが可能である。
【0019】
本発明に係る地面モデル作成方法において、前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度で飛行している無人航空機または模型航空機であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る地面モデル作成システムにおいて、前記撮影装置は、地上20メートル以下の高度で飛行している無人航空機または模型航空機であることを特徴とする。
【0021】
これにより、本発明に係る地面モデル作成方法及び地面モデル作成システムでは、比較的広い範囲において、地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を容易に作成することが可能である。
【0022】
本発明に係る地面モデル作成方法において、前記特徴点は、前記撮影ステップにおける撮影時において地上に設置された対空標識であり、前記座標取得ステップでは、トータルステーション、衛星を用いた測位システム及び3次元走査装置のいずれかにより前記対空標識の3次元座標が取得されることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る地面モデル作成システムにおいて、前記特徴点は、前記撮影装置での撮影時において地上に設置された対空標識であり、前記座標記憶手段は、トータルステーション、衛星を用いた測位システム及び3次元走査装置のいずれかにより取得された前記対空標識の3次元座標を記憶することを特徴とする。
【0024】
これにより、本発明に係る地面モデル作成方法及び地面モデル作成システムでは、道路表面の状態や道路周辺の平面要素の位置を明確に判別可能なオルソ画像を容易に作成することが可能である。
【発明の効果】
【0028】
以上、本発明によれば、道路表面の状態や道路周辺の平面要素の位置を明確に判別可能なオルソ画像を作成することが可能である。また、オルソ画像に含まれる所定領域の3次元形状を明確に検知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係るオルソ画像作成システムの概略構成を示した図である。
【
図2】上空から道路を撮影する際に、道路の両端部近傍に複数の対空標識が設置された状態を示す図である。
【
図4】対空標識が2枚の撮影画像に含まれる状態を説明する図である。
【
図5】オルソ画像作成装置においてオルソ画像が作成される作成方法を説明する図である。
【
図6】オルソ画像が表示部に表示された状態を示す図である。
【
図7】ひび割れが形成された道路表面を拡大した図である。
【
図8】ひび割れが形成された道路表面を拡大した図である。
【
図9】ひび割れが形成された道路表面を拡大した図である
【
図10】マンホールがある道路表面を拡大した図である。
【
図11】道路表面に形成されたひび割れの検知評価に使用したテープを説明する図である。
【
図12】
図11のテープを道路表面に貼り付けた状態を示した図である。
【
図14】道路表面のひび割れ状態についての調査方法を説明する図である。
【
図15】表示部に表示されたオルソ画像における調査領域を示す図である。
【
図16】
図15に示した調査領域内にある部分Aを拡大した図である。
【
図17】調査領域全体の調査範囲ごとの道路表面の状態を調査した結果を示す図である。
【
図18】道路周辺の平面要素の位置についての調査方法を説明する図である。
【
図19】表示部に表示されたオルソ画像における調査領域を示す図である。
【
図21】
図20のオルソCAD平面図に対して道路周辺の平面要素のトレース処理を行った図である。
【
図22】調査範囲全体の平面要素が図化された図である。
【
図23】マンホール周辺を補修するための調査方法を説明する図である。
【
図24】表示部に表示されたオルソ画像における調査領域を示す図である。
【
図27】マンホール周辺部の所定位置の標高が表示された状態を示す図である。
【
図28】マンホール周辺部の各位置の調整高さを示す図である。
【
図29】道路表面の指定点間の距離についての調査方法を説明する図である。
【
図30】道路表面の指定点間の距離が表示された状態を示す図である。
【
図31】道路表面の指定範囲の面積についての調査方法を説明する図である。
【
図32】道路表面の指定範囲の面積が表示された状態を示す図である。
【
図33】本発明の変形例に係るオルソ画像作成システムの概略構成を示した図である。
【
図34】対空標識が2枚の撮影画像に含まれる状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
本発明の実施形態に係るオルソ画像作成システム1(地面モデル作成システム)は、既知点(例えば基準点)に設置されたトータルステーション2と、撮影装置としてのカメラ3と、既知点に設置された3Dスキャナ4(3次元走査装置)と、トータルステーション2、カメラ3及び3Dスキャナ4が無線接続されたオルソ画像作成装置10(地面モデル作成装置)とを有している。
【0032】
トータルステーション2は、道路の路面における各点に向けて測距光を出射し、各点において反射した反射光を受光し、出射から受光までに光波が発振した回数に基づいて、既知点に対する各点の3次元座標を取得し、その3次元座標をオルソ画像作成システム10に供給する。本実施形態において、トータルステーション2は、複数の対空標識6の3次元座標を取得するために使用される。
【0033】
カメラ3(撮影装置)は、例えば道路の点検員が操作して道路の路面を撮影し、撮影データを取得するものであり、撮影データをオルソ画像作成装置10に供給する。
【0034】
3Dスキャナ4は、レーザ光を照射することにより道路の路面における各点を3次元座標化された点群データ(平面位置座標を有する標高の集合)として取得し、点群データをオルソ画像作成システム10に供給する。3Dスキャナ4は、測定対象物(道路の路面)に対して、例えば垂直方向及び水平方向にラインレーザ光を出射し、測定対象物の測定点とセンサの間をレーザパルスが往復する時間を計測することで、測定点までの距離を求めることができる。本実施形態において、3Dスキャナ4は、道路補修が行われる補修箇所を含む領域にある各点の補修起工時における3次元座標(点群データ)を取得するために使用される。3Dスキャナ4により取得される点群データは、例えば25cm以下の間隔おきの位置におけるデータであり、本実施形態において、3Dスキャナ4は、例えば5ミリメートルの間隔おきの位置における点群データを取得する。
【0035】
オルソ画像作成装置10は、
図1に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、オルソ画像作成装置10の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。
【0036】
オルソ画像作成装置10は、座標記憶部11と、撮影画像記憶部12と、点群データ記憶部13と、オルソ画像作成部14と、地面モデル作成部15と、表示制御部16とを有している。また、オルソ画像作成装置10は、表示画面などの表示部5を有している。
【0037】
座標記憶部11は、別途、トータルステーション2により取得された複数の対空標識6などの特徴点の3次元座標を記憶する。
【0038】
撮影画像記憶部12は、道路近傍にいる点検員が持って操作するカメラ3により、道路を撮影した複数の画像を記憶する。カメラ3は、撮影時、例えば地上20メートル以下の高度に配置され、例えば1~5メートルの高度、好ましくは、1~3メートルの高度に配置される。
【0039】
カメラ3により道路を撮影する場合、
図2に示すように、例えば道路の両端部近傍には、複数の特徴点として、複数の対空標識6が設置される。複数の対空標識6は、道路の端部(道路の長手方向)に沿って例えば1~20メートル間隔、好ましくは、1~10メートル間隔、好ましくは、1~5メートル間隔で設置される。複数の対空標識6は、カメラ3により撮影した複数の撮影画像を接続して、オルソ画像を作成することを考慮して設置される。対空標識6は、3次元座標が供給される特徴点であり、評定点として使用される。なお、複数の撮影画像を接続してオルソ画像を作成する場合に、対空標識6以外に、複数の撮影画像に含まれた特徴点であり且つ3次元座標が供給されない特徴点が使用されてよい。
【0040】
対空標識6は、
図3に示すように正方形状の板状部材である。対空標識6は、その中心位置が明確となる模様が付けられている。対空標識6は、その裏面に粘着層が形成されており、粘着層を覆うように裏紙が取り付けられたシール状になっており、裏紙を取り外して道路に貼り付けることにより、設置個所に容易に固定することが可能である。したがって、対空標識6を使用する際には、粘着層を覆う裏紙を取り外して、対空標識6の裏面を、道路表面に貼り付けて使用される。本実施形態の対空標識6は、例えば9cm×9cmの正方形状であるが、対空標識6の種類、形状、大きさ、模様などは、それに限られない。
【0041】
本実施形態において、道路を撮影する点検員は、
図4に示すように、道路端部の外側から道路の中央に向かって、ほぼ一定の高さから撮影を行う。そのとき、点検員は、道路表面を隙間なく撮影するように、道路端部に沿って移動しながら撮影を行う。カメラ3により撮影される複数の画像は、
図4に示すように、隣り合う2枚の撮影画像には、少なくとも1つの共通の対空標識6が撮影されるように撮影される。なお、
図4では、全ての撮影画像に対空標識6が含まれる場合が図示されているが、カメラ3により撮影される複数の画像は、対空標識6及び対空標識6以外の特徴点のいずれかが少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように撮影されてよい。
【0042】
点群データ記憶部13は、別途、3Dスキャナ4により取得された所定領域における各点について3次元座標化された点群データを記憶する。所定領域は、オルソ画像作成部14において作成されるオルソ画像に含まれる領域の少なくとも一部の領域である。なお、本実施形態では、所定領域は、オルソ画像作成部14において作成されるオルソ画像に含まれる全体領域である。
【0043】
オルソ画像作成部14は、座標記憶部11に記憶された対空標識6の3次元座標と、撮影画像記憶部12に記憶された複数の撮影画像に基づいて、オルソ画像を作成する。具体的には、オルソ画像作成部14は、複数の撮影画像についてのデータに対してSfM(Structure from Motion)解析などを行うことにより、隣り合う2枚の撮影画像を、それらに撮影された共通の対空標識6に基づいて接続して、オルソ画像を作成する。オルソ画像作成部14により作成されるオルソ画像の地上画素寸法は、5ミリメートル以下である。なお、オルソ画像を作成するための撮影画像の道路上に車両がある場合において、車両を自動的に認識して(自動画像認識により)、道路上の車両周辺の領域を、別の撮影画像における車両がない道路の画像に置き換えることにより、道路上に車両がないオルソ画像を作成することが可能である。
【0044】
地面モデル作成部15は、オルソ画像作成部14により作成されたオルソ画像と、点群データ記憶部13に記憶された点群データとに基づいて、オルソ画像に含まれる所定領域の地面モデルを作成する。具体的には、地面モデル作成部15は、点群データ記憶部13に記憶された点群データに対して、オルソ画像作成部14により作成されたオルソ画像の色彩情報を補填して、地面モデルを作成する。すなわち、地面モデルは、色彩補填された点群データである。所定領域は、オルソ画像作成部14において作成されるオルソ画像に含まれる領域の少なくとも一部の領域である。なお、本実施形態の地面モデル作成部15は、オルソ画像の領域全体の地面モデルを作成する。
【0045】
表示制御部16は、オルソ画像作成部14により作成されたオルソ画像を表示部5に表示する。使用者は、表示部5の表示面5aを押すことにより、表示部5に表示された画像内の所定位置を指定する操作を行うことが可能である。例えば、オルソ画像作成部14により作成されたオルソ画像が表示部5に表示された状態において、使用者が、表示部5の表示面5aに表示されたオルソ画像内にある所定位置を押すことにより所定位置を指定する操作を行うことが可能である。
【0046】
(オルソ画像の作成、及び、地面モデルの作成)
オルソ画像作成装置10においてオルソ画像及び地面モデルの作成が作成される作成方法について、
図5に基づいて説明する。
【0047】
ステップS1(座標取得ステップ)において、道路補修が行われる補修箇所周辺において、複数の所定位置、すなわち、複数の対空標識6が設置される所定位置について、トータルステーション2により、3次元座標、すなわち、平面位置(緯度、経度)及び標高(高さ)が取得される。
【0048】
ステップS2(撮影ステップ)において、カメラ3により道路が撮影される。カメラ3は、例えば道路近傍にいる道路の点検員が操作して、地上20メートル以下の高度に配置された状態で道路を撮影する。なお、撮影が行われる際、ステップS1により測量が行われた複数の所定位置に、複数の対空標識6があらかじめ設置されている。したがって、複数の対空標識6について、各対空標識6が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように、複数の撮影画像が撮影される。
【0049】
ステップS3(点群データ取得ステップ)において、ステップS2により撮影画像が撮影されてオルソ画像が作成される領域における各点について3次元座標化された点群データを3Dスキャナ4により取得する。
【0050】
ステップS4(オルソ画像作成ステップ)において、ステップS1により取得された3次元座標と、ステップS2により撮影された複数の撮影画像とに基づいて、オルソ画像が作成される。
【0051】
ステップS5(地面モデル作成ステップ)において、ステップS4により作成されたオルソ画像と、ステップS3により取得された点群データとに基づいて、地面モデルが作成される。
【0052】
ステップS6(表示ステップ)において、ステップS4により作成されたオルソ画像、または、ステップS5により作成された地面モデルが表示される。
【0053】
図6は、ステップS4により作成されたオルソ画像が表示部5に表示された状態を示している。本実施形態において、オルソ画像の地上画素寸法は、5ミリメートル以下である。
【0054】
図7~
図9は、ひび割れが形成された道路表面を拡大した図である。
図10は、マンホールがある道路表面を拡大した図である。このように、本実施形態のオルソ画像作成装置10により作成されるオルソ画像では、道路表面に形成されたひび割れを明確に判別可能であると共に、マンホールの蓋に記載された文字や記号などに基づいてマンホールの種類を明確に判別可能である。
【0055】
なお、道路表面のひび割れ状態についての調査について、従来、専用の路面性状測定車により道路状態の調査を行う場合、道路表面に形成された1mm幅程度のひび割れ(クラック)を検知可能である。そのため、本発明で作成されるオルソ画像により、専用の路面性状測定車と同様に、道路表面に形成された1mm幅程度のひび割れを検知可能であるか否かについての評価を行った。
【0056】
上述の評価としては、
図11及び
図12に示すように、1mm幅、2mm幅、3mm幅のテープを使用して、そのテープを道路表面に貼り付けて、模擬的に、道路表面に形成された1mm幅、2mm幅、3mm幅のひび割れを形成した。その後、その模擬的なひび割れが形成された道路を、地上20メートル以下の高度で飛行するUAVにより上空から道路を撮影してオルソ画像を作成した。
【0057】
図13は、模擬的なひび割れが形成された道路のオルソ画像であるが、本発明で作成されるオルソ画像により、道路表面に形成された1mm幅、2mm幅、3mm幅の模擬的なひび割れがいずれも検知可能であることが分かった。よって、本発明で作成されるオルソ画像では、道路表面に形成された1mm幅程度のひび割れを検知可能である。なお、地上20メートル以下の高度に配置されたカメラ3により道路を撮影してオルソ画像を作成した場合も同様と考えられる。
【0058】
図6~
図13に示すように、ステップS4により作成されたオルソ画像では、例えば、道路端部の位置、道路表面のひび割れ(クラック)の位置、道路周辺の平面要素の位置、マンホールの位置などは明確に検知することが可能である。
【0059】
しかしながら、ステップS4により作成されたオルソ画像では、例えば、道路表面の凹凸などの3次元形状は明確に検知するのが不可能な場合がある。
【0060】
そこで、本実施形態では、ステップS4により作成されたオルソ画像に含まれる所定領域において、道路表面の3次元形状を明確に検知する必要がある場合に、オルソ画像の座標系と、ステップS3により取得された点群データの座標系とを同一にして貼り合わせて、その所定領域の地面モデルを作成する。
【0061】
具体的には、オルソ画像の各点における色彩情報を、その点に対応する位置の点群データに対して補填する。すると、色彩補填された点群データでは、各点が、x座標、y座標及びz座標と、色彩情報とを有するようになり、オルソ画像において明確に検知するのが困難であった道路表面の凹凸などの3次元形状を明確に検知可能になる。
【0062】
このように、本実施形態では、例えば、道路の表面に形成されたクラックの位置、道路表面の凹凸位置、マンホールの位置などの平面位置を明確に検知する必要がある場合は、オルソ画像を拡大するなどして明確に検知することが可能である。
【0063】
これに対して、例えば、道路表面の凹凸高さ、マンホール高さなどの高さ情報を明確に検知する必要がある場合は、地面モデルに基づいて明確に検知することが可能である。
【0064】
すなわち、ステップS5により作成される地面モデルは、オルソ画像に含まれる各点について、適正なx座標、y座標及びz座標を有しており、地面モデルに基づいて、例えば、地面モデルの任意の位置の断面形状を表示部5に表示することにより、オルソ画像に含まれる地面の3次元形状(例えば、道路表面の凹凸、道路表面のクラックなど)を表示可能である。よって、オルソ画像に含まれる地面の3次元形状を明確に検知可能である。
【0065】
(オルソ画像を使用した道路調査方法)
上述のようにしてオルソ画像作成装置10により作成されたオルソ画像は、道路の補修が行われる際に行われる種々の調査に使用される。
【0066】
本実施形態では、オルソ画像作成装置10により作成されたオルソ画像を使用して、(1)道路表面のひび割れ(クラック)状態についての調査、(2)補修が行われる箇所を含む道路周辺の平面要素の位置についての調査、(3)マンホール周辺部を補修するための調査、(4)道路表面の2つの指定点間の距離についての調査、(5)道路表面の指定範囲の面積についての調査が行われる際の道路調査方法について説明する。
【0067】
(道路調査方法1)
道路表面のひび割れ状態についての調査方法について、
図14に基づいて説明する。
【0068】
道路表面のひび割れ状態についての調査では、道路補修が行われる補修箇所を含む道路表面においてひび割れが形成された箇所や、その部分のひび割れ率及びパッチング率がどの程度であるかが調査される。
【0069】
上述したステップS1~ステップS4によりオルソ画像を表示した後、ステップS7において、表示部5に表示されたオルソ画像に基づいて道路表面のひび割れ状態の調査が行われる。具体的には、表示部5に表示された道路における調査領域を、複数の調査範囲に区分して、その調査範囲ごとに、道路表面のひび割れ率及びパッチング率の調査が行われる。
【0070】
図15では、表示部5に表示されたオルソ画像における調査領域が図示されている。本実施形態において、調査領域は、50cm×50cmの調査範囲に区分されて、調査範囲ごとに、ひび割れ状態についての調査として、ひび割れ率の調査と、パッチング率の調査が行われる。本実施形態では、ひび割れ率の調査として、調査範囲ごとのひび割れ量(ひび割れの数量)の調査が行われる。
【0071】
図16は、
図15に示した調査領域内にある部分Aを拡大した図であり、複数の調査範囲に区分された状態を示している。
図16では、調査範囲ごとに、ひび割れなし且つパッチング率25%以下の状態、線状ひび割れ状態(ひび割れが1本ある状態)、面状ひび割れ状態(ひび割れが2本以上ある状態)、パッチング率が25~75%の状態、パッチング率が75%以上の状態を区別して図示している。
図16は、調査範囲ごとの道路表面の状態を異なる模様により区別しているが、調査範囲ごとの道路表面の状態を異なる色により区別して表示してよい。
【0072】
ステップS8(道路状態表示ステップ)において、
図17に示すように、調査領域全体において、調査範囲ごとの道路表面のひび割れ状態を調査した結果が表示部5に表示される。
図17において、線状ひび割れ状態、面状ひび割れ状態、パッチング率が25~75%の状態及びパッチング率が75%以上の状態の調査範囲を、例えば、それぞれ異なる色などで区別して表示してよい。また、線状ひび割れ状態及び面状ひび割れ状態の調査範囲と、パッチング率が25~75%の状態及びパッチング率が75%以上の状態の調査範囲とを、例えば、それぞれ異なる色などで区別して表示してよい。
【0073】
(道路調査方法2)
道路周辺の平面要素の位置についての調査方法について、
図18に基づいて説明する。
【0074】
道路周辺の平面要素の位置についての調査では、道路補修が行われる補修箇所を含む道路の端部、道路変形、道路表面の車線を示す線などの白色でペイントされた部分などの区画線、マンホールなどの位置を示す線を含む平面要素の位置が調査される。
【0075】
上述したステップS1~ステップS4によりオルソ画像を作成した後、ステップS9(平面要素図化ステップ)において、表示部5に表示されたオルソ画像に基づいて道路周辺の平面要素のトレース処理が手動または自動(オートトレース処理)で行われる。具体的には、表示部5に表示された道路において、例えば、道路の端部、道路変形、道路表面の車線を示す線などの白色でペイントされた部分などの区画線、マンホールなどの位置を示す線を含む平面要素のトレース処理が行われる。
【0076】
図19では、表示部5に表示されたオルソ画像における調査領域が図示されている。
図20は、
図6に示したオルソ画像のオルソCAD平面図であり、
図21は、
図20のオルソCAD平面図に対して道路周辺の平面要素のトレース処理を行った図を示している。オルソCAD平面図とは、オルソ画像を2DCAD化して平面図にしたものである。したがって、
図21では、
図20のオルソ画像に対応したオルソCAD平面図に、道路周辺の平面要素の位置を示す線などが追加されている。
【0077】
ステップS10において、
図22に示すように、調査範囲全体において、道路周辺の平面要素のトレース処理が行われて図化された平面要素が表示部5に表示される。
【0078】
(道路調査方法3)
マンホール周辺部を補修するための調査方法について、
図23に基づいて説明する。
【0079】
マンホール周辺部を補修するための調査では、道路補修においてマンホール周辺部の標高を補修計画面の標高と一致するように調整する高さ(調整高さ)が調査される。したがって、マンホール周辺部の調整高さとは、マンホール周辺部の補修起工時の標高と補修計画面の標高との標高差である。マンホール周辺部の調整高さとしては、マンホールの縦断方向上流側及び下流側の2箇所の標高差と、マンホールの横断方向上流側及び下流側の2箇所の標高差とが調査される。
【0080】
図24では、表示部5に表示されたオルソ画像における調査領域が図示されている。
図24の調査領域には、1つのマンホールがあり、そのマンホール周辺部である。
【0081】
上述したステップS1~ステップS4によりオルソ画像を表示した後、ステップS11において、縦横断計画が行われることにより、道路を補修する際の補修計画面を示す計画面データが取得される。
【0082】
補修計画は、縦横断計画を含んでおり、道路の縦断方向に沿った縦断計画が行われた後、道路の複数個所における横断方向に沿った横断計画が行われることにより、補修する際に使用される補修計画面が取得される。したがって、補修計画面には、縦断計画面を示す計画面データと、複数の横断計画面を示す計画面データとが含まれる。
【0083】
縦断計画は、道路の中央部において、道路の縦断方向に沿った線上の各点の標高についての計画を含んでいる。例えば、
図25は、道路の中央部に沿った線上の各点の標高についての縦断計画面を示している。
図25では、補修計画が必要である補修箇所が、左側の補修がされない箇所と右側の補修されない箇所との間にある。
図25の補修箇所には、点群データに基づいた標高の変化が図示されると共に、縦断計画面が図示されている。
【0084】
図25の縦断計画面は、道路の中央部に沿った線上の各位置における標高が、道路の平坦性などを考慮して計画された後、それらの標高を接続することにより得られる。道路の中央部に沿った線上の位置は、例えば10mおきの位置や20mおきの位置である。
【0085】
縦断計画において、道路の中央部に沿った線上の各位置での標高について計画された後で横断計画が行われる。横断計画は、道路の中央部に沿った線上の各位置での道路の横断方向に沿った線上にある各点の標高についての計画である。例えば、
図26は、
図25のa点での道路の横断方向に沿った線上にある各点の標高についての横断計画面を示している。
図26では、補修計画が必要である補修箇所が、道路の左側端部と道路の右側端部との間にある。補修箇所には、点群データに基づいた標高の変化が図示されると共に、横断計画面が図示されている。
図26では、道路の傾斜を分かりやすいように図示している。
【0086】
横断計画面は、
図25に示した道路の中央部に沿った線上の各位置について、道路中央の標高から道路の両端に向かって下方に傾斜する傾斜面の傾斜度などを考慮して計画されることにより得られる。例えば道路の横断計画を行う場合、通常、道路中央から道路の端に向かって所定の傾斜度で下方に傾斜するように設計されるのが一般的である。
【0087】
例えば、
図26の横断計画面では、
図25の縦断計画面におけるa点の道路中央の標高から、道路の両端に向かって所定の傾斜度で下方に傾斜する傾斜面に沿って、a1点まで標高が低下し、その後、a1点と道路の左側端部及び道路の右側端部とを接続する接続面に沿って、道路の左側端部及び道路の右側端部まで標高が低下する。したがって、横断計画面に基づいて補修されると、補修箇所に形成されるアスファルト舗装の表層部と、道路の左側端部及び道路の右側端部のコンクリート部とは、段差がない状態で接続される。なお、
図26の横断計画面は、横断計画面の例であり、横断計画の方法は、それに限られない。したがって、横断計画面は、例えば、道路中央から道路の端に向かって異なる複数の傾斜度で下方に傾斜する傾斜面が接続されるように設計されてよい。
【0088】
上述のようにして得られた道路の中央部に沿った線上の各位置における横断計画面を縦断方向に接続することにより、路面を補修する際の補修計画面が取得される。
【0089】
ステップS12(点群データ取得ステップ)において、3Dスキャナ4により道路の路面における各点の点群データを取得する。3Dスキャナ4により取得された点群データを頂点として連結された3角形平面の集合体である三次元TINモデル(不定形三角網)に変換して、道路の路面における各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出可能であり、調査領域における各点の点群データが、3Dスキャナ4により取得されてない場合でも、各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出することが可能である。
【0090】
ステップS13(地面モデル作成ステップ)において、ステップS4により作成されたオルソ画像と、ステップS12により取得した調査領域における各点の点群データとに基づいて、地面モデルが作成される。地面モデルは、調査領域における各点の適正なx座標、y座標及びz座標を有している。
【0091】
ステップS14(標高差導出ステップ)において、表示部5の表示面5aに表示された地面モデル(オルソ画像)に基づいて、マンホール周辺部の所定位置を押して指定することにより、
図27に示すように、その所定位置の平面位置(緯度、経度)が表示される。したがって、表示部5の表示面5aに表示されたオルソ画像において、マンホール周辺部において指定する位置を変えることにより、マンホールの縦断方向上流側及び下流側の2箇所の平面位置と、マンホールの横断方向上流側及び下流側の2箇所の平面位置とが検知される。
【0092】
補修起工時におけるマンホール周辺部の各位置の標高は、マンホール周辺部の各位置の平面位置が検知されたことから、その平面位置の標高が、3Dスキャナ4により取得された点群データに基づいて導出される。本実施形態では、オルソ画像と、3Dスキャナ4により取得された点群データとにより、オルソ画像内にある全ての平面位置について標高を3Dスキャナ4により取得された点群データに基づいて導出可能である。補修計画面における各位置の標高は、ステップS9において取得された補修計画面を示す計画面データから取り出される。
【0093】
その後、調整高さとして、補修起工時におけるマンホール周辺部の各位置の標高と補修計画面における各位置の標高との標高差が導出される。したがって、マンホールの縦断方向上流側及び下流側の2箇所の調整高さと、マンホールの横断方向上流側及び下流側の2箇所の調整高さとが導出される。
図28では、マンホール周辺部の各位置の調整高さが、それぞれ、a
1cm、a
2cm、a
3cm、a
4cmであることを示している。したがって、a
1cmは、マンホールの横断方向上流側の調整高さであり、a
2cmは、マンホールの縦断方向上流側の調整高さであり、a
3cmは、マンホールの横断方向下流側の調整高さであり、a
4cmは、マンホールの縦断方向下流側の調整高さである。
【0094】
(道路調査方法4)
道路表面の2つの指定点間の距離についての調査方法について、
図29に基づいて説明する。
【0095】
道路表面の2つの指定点間の距離についての調査では、道路補修において種々の距離が必要となる場合に、表示部5に表示されたオルソ画像に基づいて、その距離が調査される。道路補修に必要となる距離としては、例えば、道路補修部分の長さ、道路の幅、道路表面の所定領域の長さなどがある。
【0096】
ステップS101(点群データ取得ステップ)において、3Dスキャナ4により、道路補修が行われる補修箇所周辺の道路路面における各点の点群データを取得する。3Dスキャナ4により取得された点群データを頂点として連結された3角形平面の集合体である三次元TINモデル(不定形三角網)に変換して、道路の路面における各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出可能であり、調査領域における各点の点群データが、3Dスキャナ4により取得されてない場合でも、各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出することが可能である。
【0097】
ステップS102(座標取得ステップ)において、道路補修が行われる補修箇所周辺において、ステップS101で取得された点群データに基づいて、複数の所定位置、すなわち、複数の対空標識6が設置される所定位置について、3次元座標、すなわち、平面位置(緯度、経度)及び標高(高さ)が取得される。なお、複数の所定位置の3次元座標は、トータルステーション2により取得してよい。
【0098】
ステップS103(撮影ステップ)において、道路近傍からカメラ3により道路が撮影される。なお、撮影が行われる際、ステップS102により3次元座標が取得された複数の所定位置に、複数の対空標識6があらかじめ設置されている。したがって、複数の対空標識6について、各対空標識6が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように、複数の撮影画像が撮影される。
【0099】
ステップS104(オルソ画像作成ステップ)において、ステップS102により取得された3次元座標と、ステップS103により撮影された複数の撮影画像とに基づいて、オルソ画像が作成される。そのとき、ステップS104により作成されるオルソ画像は、ステップS101により取得された点群データと関連付けられる。すなわち、オルソ画像における各点は、点群データの3次元座標と関連付けられており、オルソ画像上の各点は、それぞれ、平面位置(緯度、経度)及び標高(高さ)と対応している。
【0100】
ステップS105(表示ステップ)において、
図6に示すように、オルソ画像が表示部5に表示される。ステップS106(距離表示ステップ)において、表示部5の表示面5aに表示されたオルソ画像上において、道路表面の2つの指定点を押して指定することにより、その指定点間の距離が表示される。例えば、
図30に示すように、交差点の2つの指定点A1及び指定点A2が指定されると、その指定点A1-A2間の距離が表示される。そのため、ステップS103(撮影ステップ)において、道路近傍からカメラ3により道路を撮影するときに、仮に、道路補修に必要となる種々の距離の測定を行わなかった場合でも、表示部5の表示面5aに表示されたオルソ画像において、道路表面の2つの指定点の位置を変えることにより、オルソ画像の範囲内における種々の指定点間の距離が検知される。
【0101】
(道路調査方法5)
道路表面の指定範囲の面積についての調査方法について、
図31に基づいて説明する。
【0102】
道路表面の指定範囲の面積についての調査では、道路補修において種々の領域の面積が必要となる場合に、表示部5に表示されたオルソ画像に基づいて、その領域の面積が調査される。道路補修に必要となる領域の面積としては、例えば、道路補修部分の面積などがある。
【0103】
ステップS101(点群データ取得ステップ)において、3Dスキャナ4により、道路補修が行われる補修箇所周辺の道路路面における各点の点群データを取得する。3Dスキャナ4により取得された点群データを頂点として連結された3角形平面の集合体である三次元TINモデル(不定形三角網)に変換して、道路の路面における各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出可能であり、調査領域における各点の点群データが、3Dスキャナ4により取得されてない場合でも、各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出することが可能である。
【0104】
ステップS102(座標取得ステップ)において、道路補修が行われる補修箇所周辺において、ステップS101で取得された点群データに基づいて、複数の所定位置、すなわち、複数の対空標識6が設置される所定位置について、3次元座標、すなわち、平面位置(緯度、経度)及び標高(高さ)が取得される。なお、複数の所定位置の3次元座標は、トータルステーション2により取得してよい。
【0105】
ステップS103(撮影ステップ)において、道路近傍からカメラ3により道路が撮影される。なお、撮影が行われる際、ステップS102により3次元座標が取得された複数の所定位置に、複数の対空標識6があらかじめ設置されている。したがって、複数の対空標識6について、各対空標識6が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように、複数の撮影画像が撮影される。
【0106】
ステップS104(オルソ画像作成ステップ)において、ステップS102により取得された3次元座標と、ステップS103により撮影された複数の撮影画像とに基づいて、オルソ画像が作成される。そのとき、ステップS104により作成されるオルソ画像は、ステップS101により取得された点群データと関連付けられる。すなわち、オルソ画像における各点は、点群データの3次元座標と関連付けられており、オルソ画像上の各点は、それぞれ、平面位置(緯度、経度)及び標高(高さ)と対応している。
【0107】
ステップS105(表示ステップ)において、
図6に示すように、オルソ画像が表示部5に表示される。ステップS108(面積表示ステップ)において、表示部5の表示面5aに表示されたオルソ画像上において、道路表面の指定範囲を指定することにより、
図32に示すように、その指定範囲の面積が表示される。例えば、
図32に示すように、交差点の上側部分を示す指定範囲(斜線部分)が指定されると、その指定範囲の面積が表示される。そのため、ステップS103(撮影ステップ)において、道路近傍からカメラ3により道路を撮影するときに、仮に、道路補修に必要となる種々の面積の測定を行わなかった場合でも、表示部5の表示面5aに表示されたオルソ画像において、道路表面の指定範囲の位置を変えることにより、オルソ画像の範囲内における種々の領域の面積が検知される。
【0108】
本実施形態のオルソ画像作成方法は、複数の特徴点についての3次元座標を取得する座標取得ステップと、カメラ3(撮影装置)により複数の特徴点について各特徴点が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように複数の撮影画像を撮影する撮影ステップと、座標取得ステップにより取得された各特徴点の3次元座標と撮影ステップにより撮影された複数の撮影画像とに基づいて、地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成するオルソ画像作成ステップとを備える。
【0109】
本実施形態のオルソ画像作成システム1は、複数の特徴点についての3次元座標を記憶する座標記憶部11(座標記憶手段)と、カメラ3(撮影装置)により複数の特徴点について各特徴点が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように撮影された複数の撮影画像を記憶する撮影画像記憶部12(撮影画像記憶手段)と、座標記憶部11に記憶された各特徴点の3次元座標と撮影画像記憶部12に記憶された複数の撮影画像に基づいて、地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成するオルソ画像作成部14(オルソ画像作成手段)とを備える。
【0110】
これにより、本実施形態のオルソ画像作成方法及びオルソ画像作成システム1では、地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を作成することにより、道路表面の状態や道路周辺の平面要素の位置を明確に判別可能なオルソ画像を作成することが可能である。本発明で作成されたオルソ画像では、道路においてひび割れが発生した箇所やパッチングがある箇所を明確に判別可能である。したがって、道路表面のひび割れ状態を調査するために、専用の路面性状測定車を走行させる必要がないことから、道路幅にかかわらず、道路状態の調査を行うことが可能である。
【0111】
また、本実施形態で作成されたオルソ画像では、道路の端部や車線表示線などの区画線を含む平面要素の位置を明確に判別可能である。したがって、道路の端部や車線表示線などの区画線を含む平面要素を図化するために、非常に多い平面位置について測量を行う必要がないことから、オルソ画像に基づいて平面要素を容易に図化することが可能である。
【0112】
また、本実施形態で作成されたオルソ画像では、マンホール周辺部の縦断方向及び横断方向の各平面位置を検知可能である。したがって、マンホール周辺部の縦断方向及び横断方向の各平面位置を特定した後、各平面位置の標高を、3次元走査装置により取得された点群データから取り出すことが可能である。そのため、マンホール周辺部の縦断方向及び横断方向の各平面位置の標高を検知するために、マンホールごとに、それぞれ道路縦断面及び道路横断面を作成する必要がない。よって、マンホール調整高さを容易に検知することが可能である。
【0113】
本実施形態のオルソ画像作成方法において、カメラ3(撮影装置)は、地上20メートル以下の高度にある撮影装置である。
【0114】
本実施形態のオルソ画像作成システム1において、カメラ3(撮影装置)は、地上20メートル以下の高度にある撮影装置である。
【0115】
これにより、本実施形態のオルソ画像作成方法及びオルソ画像作成システム1では、地上画素寸法が5ミリメートル以下のオルソ画像を容易に作成することが可能である。
【0116】
本実施形態のオルソ画像作成方法において、特徴点は、撮影ステップにおける撮影時において地上に設置された対空標識6であり、座標取得ステップでは、トータルステーション2により対空標識6の3次元座標が取得される。
【0117】
本実施形態のオルソ画像作成システム1において、特徴点は、カメラ3(撮影装置)での撮影時において地上に設置された対空標識6であり、座標記憶部11(座標記憶手段)は、トータルステーション2により取得された対空標識6の3次元座標を記憶する。
【0118】
これにより、本実施形態のオルソ画像作成方法及びオルソ画像作成システム1では、道路表面の状態や道路周辺の平面要素の位置を明確に判別可能なオルソ画像を容易に作成することが可能である。
【0119】
本実施形態の地面モデル作成方法は、既知点に設置された3Dスキャナ3(3次元走査装置)から照射されるレーザ光により、上述した何れかのオルソ画像作成方法により作成されたオルソ画像に含まれる所定領域における各点について3次元座標化された点群データを取得する点群データ取得ステップと、オルソ画像作成方法により作成されたオルソ画像と点群データ取得ステップにより取得された点群データとに基づいて、所定領域の地面モデルを作成する地面モデル作成ステップとを備える。
【0120】
本実施形態の地面モデル作成システムは、既知点に設置された3Dスキャナ3(3次元走査装置)から照射されるレーザ光により、上述した何れかのオルソ画像作成システムにより作成されたオルソ画像に含まれる所定領域における各点について3次元座標化された点群データを記憶する点群データ記憶部13(点群データ記憶手段)と、オルソ画像と点群データ記憶部13に記憶された点群データとに基づいて、所定領域の地面モデルを作成する地面モデル作成部15(地面モデル作成手段)とを備える。
【0121】
これにより、本実施形態の地面モデル作成方法及び地面モデル作成システムでは、オルソ画像に含まれる所定領域の3次元形状を明確に検知することが可能である。そのため、例えば、道路表面の凹凸高さ、道路周辺の段差、マンホール高さなどの高さ情報を明確に検知することが可能である。
【0122】
以上、本発明の実施形態を説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0123】
上記実施形態では、道路近傍にいる点検員がカメラ3を操作して道路の路面を撮影する場合を説明しているが、道路の上空を飛行する無人航空機であるUAV103(Unmanned Aerial Vehicle)が、撮影装置を有しており、上空から道路の路面を撮影し、撮影データを取得し、撮影データをオルソ画像作成装置10に供給してもよい。
【0124】
その場合、
図33に示すように、本変形例に係るオルソ画像作成システム1(地面モデル作成システム)は、例えば、既知点(例えば基準点)に設置されたトータルステーション2と、撮影装置としての無人航空機であるUAV103(Unmanned Aerial Vehicle)と、既知点に設置された3Dスキャナ4(3次元走査装置)と、トータルステーション2、UAV103及び3Dスキャナ4が無線接続されたオルソ画像作成装置10(地面モデル作成装置)とを有していてよい。
【0125】
UAV103は、道路の上空をほぼ一定の高度で飛行し、上空から道路を撮影する。UAV103は、撮影時、地上20メートル以下の高度で飛行しており、例えば5~20メートルの高度、好ましくは、5~15メートルの高度で飛行している。
【0126】
UAV103により上空から道路を撮影する場合、例えば道路の両端部近傍には、複数の特徴点として、複数の対空標識6が設置される。複数の対空標識6は、道路の端部(道路の長手方向)に沿って例えば5~15メートル間隔で設置される。複数の対空標識6は、上空から撮影した複数の撮影画像を接続して、オルソ画像を作成することを考慮して設置される。
【0127】
UAV103により撮影される複数の画像は、
図34に示すように、各対空標識6が少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように撮影される。したがって、隣り合う2枚の撮影画像には、少なくとも1つの共通の対空標識6が撮影されている。なお、
図34では、全ての撮影画像に対空標識6が含まれる場合が図示されているが、UAV103により撮影される複数の画像は、対空標識6及び対空標識6以外の特徴点のいずれかが少なくとも2枚の撮影画像に含まれるように撮影されてよい。
【0128】
また、本発明に係るオルソ画像作成システム(地面モデル作成システム)は、撮影装置として、カメラと、UAVとを有しており、道路周辺にいる点検員がカメラを操作して道路の路面を撮影した撮影画像と、道路の上空を飛行するUAVが上空から道路の路面を撮影した撮影画像とを併用して、オルソ画像または地面モデルを作成してもよい。
【0129】
上記実施形態では、ほぼ一定の高さからカメラ3により道路を撮影した撮影画像に基づいてオルソ画像を作成し、上記変形例では、ほぼ一定の高度で飛行しているUAV103により道路の上空から撮影した撮影画像に基づいてオルソ画像を作成しているが、本発明は、異なる高さからカメラ3により道路を撮影した撮影画像に基づいてオルソ画像を作成するものや、地上20メートル以下において異なる高度で飛行しているUAV103により道路の上空から撮影した撮影画像に基づいてオルソ画像を作成するものを含む。上記実施形態では、道路周辺に設置された対空標識6の3次元座標をトータルステーション2により取得しているが、道路周辺に設置された対空標識6の3次元座標を、例えばGPSなどの衛星を用いた測位システムであるGNSS(全球測位衛星システム)により取得してよい。道路周辺に設置された対空標識6の3次元座標を3Dスキャナ4のスキャニングにより取得してよい。上記実施形態の対空標識6は、評定点と使用される中心位置が明確となる模様を有しているが、対空標識6の中心位置以外の位置が特定される模様を有しており、その中心位置以外の位置が評定点と使用されてよい。また、上記実施形態では、複数の対空標識6が、道路の端部(道路の長手方向)に沿って例えば1~3メートル間隔で設置され、上記の変形例では、複数の対空標識6が、例えば5~15メートル間隔で設置されているが、複数の対空標識6の配置は任意である。したがって、複数の対空標識6が、道路の幅方向に沿って例えば1メートル以下の間隔で設置されてよい。また、ステップS1(座標取得ステップ)において、複数の対空標識6が設置された所定位置について、トータルステーション2により3次元座標を取得しているが、所定位置についての3次元座標が既に取得されている場合、その3次元座標を取得してよい。また、上記実施形態では、板状の対空標識6を道路表面に設置しているが、板状の対空標識6を使用する代わりに、対空標識6と同様の模様を塗料などの任意の材料により道路表面に形成してよい。例えば、道路のアスファルト表面に対して、
図3の対空標識6における白色の部分と同一形状の模様を、アスファルト表面と異なる色の塗料を吹き付けて、対空標識6と同様の模様を形成してよい。対空標識を塗料などの任意の材料により道路表面に形成する場合も、対空標識の種類、形状、大きさ、模様などは任意である。
【0130】
上記変形例では、地上20メートル以下の高度で飛行している無人航空機(撮影装置を含む)により道路を撮影したが、地上20メートル以下の高度で飛行している模型航空機(撮影装置を含む)により道路を撮影してもよい。本発明において、無人航空機とは、人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、飛行船、等で、遠隔操作又は自動操縦により飛行可能なものであり、例えばドローン(マルチコプター)、ラジコン機、等である。また、模型航空機とは、例えばマルチコプター、ラジコン機、等であり、機体本体重量とバッテリー重量との合計である重量200グラム未満のものである。
【0131】
上記実施形態及び上記変形例では、複数の撮影画像を接続するための特徴点として、撮影時において地上に設置された対空標識6が使用され、対空標識6の3次元座標は、トータルステーション2によりそれぞれ取得されているが、複数の撮影画像を接続するための特徴点として、カメラ3(UAV103)での撮影画像内にある所定点が使用され、所定点を含む撮影画像内にある各点についての3次元座標化された点群データが、既に3Dスキャナ4のスキャニングにより取得されている場合、所定点の3次元座標は、その点群データから取得されてよい。
【0132】
上記実施形態において、オルソ画像の作成方法及び地面モデルの作成方法の例について説明したが、各ステップの順序は適宜変えてよい。
図5、
図14、
図18及び
図23において、ステップS1とステップS2とステップS3の順は変化してよい。例えば、対空標識6の3次元座標の取得した後で、撮影画像の撮影を行うことが可能であると共に、撮影画像の撮影を行った後で、対空標識6の3次元座標の取得することが可能であり、撮影画像の撮影と対空標識6の3次元座標の取得とが同時に行われてもよい。
図5、
図14、
図18及び
図23において、ステップS3とステップS4の順は反対であってよい。例えば、点群データを取得した後で、オルソ画像を作成することが可能であると共に、オルソ画像を作成後で、点群データを取得することが可能であり、オルソ画像の作成と点群データの取得とが同時に行われてもよい。
【0133】
上記実施形態において、オルソ画像の作成方法及び地面モデルの作成方法の例について説明したが、
図29及び
図31において、ステップS102とステップS103との順は反対であってよい。したがって、対空標識6の3次元座標の取得した後で、撮影画像の撮影を行うことが可能であると共に、撮影画像の撮影を行った後で、対空標識6の3次元座標の取得することが可能であり、撮影画像の撮影と対空標識6の3次元座標の取得とが同時に行われてもよい。また、
図29及び
図31において、ステップS101とステップS103との順は反対であってよい。したがって、複数の対空標識6を含む領域の点群データを取得した後で、複数の対空標識6を含む領域の撮影画像の撮影を行っているが、複数の対空標識6を含む領域の撮影画像の撮影を行った後で、複数の対空標識6を含む領域の点群データを取得してよい。
【0134】
上記実施形態では、オルソ画像作成装置10により作成されたオルソ画像を使用して行われる調査として、道路表面のひび割れ状態についての調査と、道路周辺の平面要素の位置についての調査と、マンホール周辺部を補修するための調査と、道路表面の2つの指定点間の距離についての調査と、道路表面の指定範囲の面積についての調査とについて説明したが、それ以外の調査に、オルソ画像作成装置10により作成されたオルソ画像が使用されてよい。
【符号の説明】
【0135】
1 オルソ画像作成システム(地面モデル作成システム)
2 トータルステーション
3 カメラ(撮影装置)
4 3Dスキャナ(3次元走査装置)
5 表示部
6 対空標識
10 オルソ画像作成装置(地面モデル作成装置)
11 座標記憶部(座標記憶手段)
12 撮影画像記憶部(撮影画像記憶手段)
13 点群データ記憶部(点群データ記憶手段)
14 オルソ画像作成部(オルソ画像作成手段)
15 地面モデル作成部(地面モデル作成手段)
16 表示制御部
103 UAV(無人航空機)