IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゲート サイエンティフィック,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7462980閉鎖環境のプロパティの無線感知およびその装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】閉鎖環境のプロパティの無線感知およびその装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/024 20210101AFI20240401BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240401BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20240401BHJP
   B01F 33/452 20220101ALI20240401BHJP
   B01F 35/212 20220101ALI20240401BHJP
   B01F 35/213 20220101ALI20240401BHJP
   B01F 35/221 20220101ALI20240401BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20240401BHJP
   B01F 35/92 20220101ALI20240401BHJP
【FI】
G01K1/024
G01K1/14 L
H05B3/00 310D
B01F33/452
B01F35/212
B01F35/213
B01F35/221
B01F35/71
B01F35/92
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022187856
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2019522637の分割
【原出願日】2017-07-17
(65)【公開番号】P2023039953
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】62/362,737
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519011658
【氏名又は名称】ゲート サイエンティフィック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スキャブー,クリスチャン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,モーテン ジュエル
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102012008611(DE,A1)
【文献】特開2011-020024(JP,A)
【文献】特開2004-003573(JP,A)
【文献】特表2019-531485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G08C 13/00-25/04
G01D 18/00-21/02
G05D 23/00-23/32
H05B 3/00
B01F 33/452
B01F 35/212
B01F 35/213
B01F 35/221
B01F 35/71
B01F 35/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の液体を加熱して攪拌するための方法であって、
加熱デバイス上に前記容器を位置決めすることであって、前記加熱デバイスは加熱要素および無線受信器を含むことと、
前記液体中に可沈デバイスを位置決めすることであって、前記可沈デバイスは第1の温度測定要素および無線送信器を含み、前記無線送信器は前記無線受信器と通信し、前記無線受信器は、前記加熱要素と前記可沈デバイスとの間にあることと、
前記第1の温度測定要素をもって前記液体の液体温度を測定することと、
前記第1の温度測定要素から加熱要素コントローラに前記液体温度を通信することと、
前記液体を加熱することであって、前記液体を加熱することは、前記加熱要素コントローラに通信された液体温度に基づいて前記加熱要素を前記加熱要素コントローラによってアクティブ化することを含むことと、
前記液体を攪拌することであって、前記可沈デバイスは第1の磁石を含み、前記加熱デバイスは磁界創出器を含み、前記磁界創出器は、前記第1の磁石に磁力を及ぼす磁界を創出して変更し、前記液体を攪拌することは、前記第1の磁石上で前記磁力をもって前記液体中で前記可沈デバイスを動かすことを含むことと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によってその全体が組み込まれている、2016年7月15日に出願した米国特許仮出願第62/362737号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、閉鎖環境の内容のプロパティの測定および調整に関する
【背景技術】
【0003】
多数のプロセスが、プロセスを監視し、制御するために閉鎖環境の内容の観察に頼る。たとえば、実験室セッティングでは、所望の化学反応または物理変化を容易にするために、物質が密閉容器内で加熱される場合がある。これらの密閉容器は、物質をある温度に保ちながら物質を混合しまたは物質を均一に保つことのできるホットプレート・スターラを使用して加熱され得る。物質が混合される時に物質の温度を維持することは、ホットプレートから物質への一貫しない熱伝達ならびに室温またはホットプレート電力の変動などの要因によって複雑になる可能性がある。したがって、ホットプレートのユーザが、物質の温度を監視するために外部温度プローブを使用する場合がある。一部のホットプレートは、加熱板表面の温度を測定できる、プレートに組み込まれた温度プローブを有する。しかし、プレートと容器との間の一貫しない熱接触ならびに容器内部の物質への一貫しない熱伝達に起因して、組込み温度プローブは、通常は低い精度を有する。温度を測定する他の方法は、物質の温度を直接に測定するために、容器の外部の支持構造を使用して、温度プローブをサンプル内に下ろすことを含む。しかし、プローブが物質と接触したままになることを保証することは、特に物質が混合されまたは攪拌される時に、難しくなる可能性がある。さらに、物質を保持する容器が、加熱および混合プロセス中に密閉される必要がある場合には、外部プローブを容器内に下ろすことが、プロセスの完全性を危険にさらす可能性がある。
【0004】
他の閉鎖システムは、同様に、システムのプロパティの測定を複雑にする可能性がある。したがって、システムの完全性を危険にさらすことなく、閉鎖システムのプロパティを検出する方法の必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線センサが、物質のプロパティを測定し、そのプロパティをリモート無線受信器に送信する。無線センサを、物質を含む容器内に完全に封入することができ、閉鎖システムの完全性を危険にさらすことなく物質のプロパティのリモート監視を可能にする。
【0006】
無線センサを、攪拌子デバイス内に組み込むことができ、攪拌子デバイスは、容器内の流体を攪拌するために器具によって磁気的に操作され得る。器具は、容器内の流体を加熱することもできる。攪拌子デバイスが流体を攪拌する時に、デバイスは、流体のプロパティを測定し、そのプロパティを器具の制御システムに送信することができる。制御システムは、攪拌子デバイス内の無線センサから受信されたフィードバックに基づいて、熱量または攪拌子デバイスの回転速度など、器具の出力を調整することができる。攪拌子デバイスがデータを制御システムに無線で送信するので、容器を密閉することができる。
【0007】
無線センサは、物質のプロパティをリモートに監視し、制御するために、システム内で使用され得る。
【0008】
攪拌器、温度センサ、およびコントローラを有することができる器具が開示される。攪拌器は、容器内の液体を攪拌するように構成され得る。温度センサは、液体内に浸漬可能とすることができる。温度センサは、液体の温度を測定するように構成され得る。温度センサは、液体の温度を示すフィードバックを無線受信器に無線で送信するように構成され得る。コントローラは、フィードバックに基づいて液体の温度を調整するように構成され得る。
【0009】
無線センサおよび無線受信器を有することができる器具が開示される。無線センサは、物質を含む密閉容器内に封入され得る。無線センサは、無線送信器を有することができる。無線センサは、物質のプロパティを測定するように構成されたセンサを有することができる。無線受信器は、無線送信器と電子通信しているものとすることができる。無線送信器は、物質のプロパティを記述するデータを無線受信器に送信することができる。
【0010】
無線温度測定デバイスが開示される。無線温度測定デバイスは、液体内に落とされ得る攪拌器として働くように構成され得る。液体は、器具によって加熱されまたは冷却され得る。器具は、無線で測定デバイスと通信し、これに電力を供給することができる。デバイスは、液体の温度を測定することができる。
【0011】
無線温度測定デバイスは、無線通信を介して受信器と通信するように構成された無線温度センサ・デバイスを有することができる。センサ・デバイスは、a)センサ・デバイスが、無線エネルギを用いて電力を供給されるというプロパティ、b)センサ・デバイスが、磁気作用の使用によって液体を攪拌するというプロパティ、c)センサ・デバイスが、比較され得る少なくとも2つの異なる温度測定要素を有し、それらが一線になって走らない場合に、デバイスが、壊れているかその較正が外れていると考えられるというプロパティ、d)温度測定要素のうちの少なくとも1つが、サーミスタの抵抗変化を測定することによって動作するように構成されるというプロパティ、および/またはe)温度測定要素のうちの少なくとも1つが、半導体デバイスの電圧の変化を測定することによって動作するように構成されるというプロパティのうちの少なくとも1つを有することができる。
【0012】
デバイスは、液体内に完全に浸漬され得る。測定デバイスは、機能するためにワイヤを全く必要としないものとすることができる。無線温度測定デバイスは、a)測定デバイスが、無線信号を介して器具と通信し、測定デバイスが、無線エネルギを用いて電力を供給されるというプロパティ、b)加熱される液体が、器具上にまたは器具に配置され得る別々の容器内に含まれるというプロパティ、c)測定デバイスが、加熱される液体の攪拌器としても機能し、器具が、磁界を介して攪拌器機能をアクティブ化するというプロパティ、および/あるいはd)測定デバイスが、少なくとも1つの他の液体特性をも測定し、前記少なくとも1つの他の特性が、pH、比重、粘性、塩分、コンダクタンス、色、吸光度、蛍光、圧力、電気化学、導電率、化学ルミネッセンス、液位、回転、加速度、または速度のいずれかであるというプロパティのうちの少なくとも1つを有することができる。
【0013】
測定デバイスは、液体内に完全に浸漬され得る。測定デバイスは、液体の温度を測定することができる。無線測定デバイスは、a)測定デバイスが、電波を介して器具と通信し、測定デバイスが、電波を用いて電力を供給されるというプロパティと、b)攪拌される液体が、器具上にまたは器具に配置され得る別々の容器内に含まれるというプロパティと、c)測定デバイスが、加熱される液体の攪拌器としても機能し、器具が、磁界を介して攪拌器機能をアクティブ化できるというプロパティと、d)測定デバイスが、pHまたは流体速度のいずれかなどの他の液体特性をも測定するというプロパティと、e)測定デバイスが、流体の少なくとも1つの他の特性をも測定し、前記少なくとも1つの他の特性が、pH、比重、粘性、塩分、コンダクタンス、色、吸光度、蛍光、圧力、電気化学、導電率、化学ルミネッセンス、液位、回転、または速度のいずれかであるというプロパティとのうちの少なくとも1つを有することができる。
【0014】
密閉容器の内部に配置された流体が、直接電気接続なしで少なくとも1つの測定に関して自動的にリモートに測定されるシステムが開示される。システムは、a)少なくとも1つの測定が、無線通信およびセンサの無線電力供給を使用して行われ、少なくとも1つの測定が、温度、電気化学、pH、比重、粘性、コンダクタンス、塩分、色、吸光度、蛍光、圧力、導電率、化学ルミネッセンス、液位、回転、速度、および加速度のいずれかであり、かつ/または、b)少なくとも1つの測定が、無線電力供給されまたは光電力供給されるセンサへの無線通信または光通信を使用して行われ、前記少なくとも1つの測定が、温度、電気化学、pH、比重、粘性、コンダクタンス、塩分、色、吸光度、蛍光、圧力、導電率、化学ルミネッセンス、液位、回転、速度、および加速度のいずれかであるのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
液体化合物を、液体内で1つまたは複数のパラメータを測定できる無線センサ要素からのフィードバックに基づいて操作するシステムが開示される。液体操作は、加熱、攪拌、機械的均一化、電気分解、光、電波、またはX線のいずれかを含む電磁波に露出する別の化合物の追加、放射への露出、音波または超音波に露出する圧力または真空への露出、遠心力への露出、電界への露出、磁界への露出、ある種の化合物のろ過または密度分離による選択的な成分の除去、脱気のいずれかによるものとすることができ、前記フィードバックは、少なくとも1つの無線測定から入手され、前記少なくとも1つの無線測定は、温度、電気化学、pH、比重、粘性、コンダクタンス、塩分、色、吸光度、蛍光、圧力、導電率、化学ルミネッセンス、液位、回転、速度、加速度、およびその組合せのいずれかである。
【0016】
埋め込まれた無線温度センサを有する容器および無線温度センサと通信できる別々の通信デバイスを有することができるシステムが開示される。このシステムは、a)埋め込まれた無線温度センサが、無線電力を用いて電力供給もされ、b)通信デバイスが、容器を加熱するように構成され、c)通信デバイスが、無線で送信された温度フィードバックに基づいて容器を加熱するようにセットされ得、d)容器が、容器内の材料の均質化または加熱のための組込み機械式ブレードを有し、通信デバイスが、機械式ブレードをアクティブ化するように構成されたアクティブ化要素を有し、e)通信デバイスが、無線で送信された温度フィードバックに基づいて容器内のブレードをアクティブ化するようにセットされ得る、のいずれかを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】密閉容器の内容のプロパティを測定し、調整するシステムごとの斜視図である。
図2図1の横断面A-Aの変形形態を示す図である。
図3A】システム内の器具の変形形態を示す部分透視上面図である。
図3B】システム内の器具の変形形態を示す部分透視斜視図である。
図4】密閉容器の内容のプロパティを測定し、調整するシステムの電気構成例を示す概略図である。
図5図5A図5B。温度を測定するように構成された感知デバイスの構成例を示す図である。
図6図6A図6B。浮揚性感知デバイス例を示す図である。
図7】密閉容器の栓に結合された感知デバイス例を示す図である。
図8】無線電気化学センサとして構成された感知デバイス例を示す図である。
図9】無線pHセンサとして構成された感知デバイス例を示す図である。
図10】無線蛍光センサとして構成された感知デバイス例を示す図である。
図11】無線吸光度センサとして構成された感知デバイス例を示す図である。
図12】無線屈折計として構成された感知デバイス例を示す図である。
図13】無線比重計として構成された感知デバイス例を示す図である。
図14】無線感知デバイスから受信されたフィードバックに基づいて物質の温度を調整するプロセス例を示す流れ図である。
図15】無線感知デバイスから受信されたフィードバックに基づいて試薬供給を制御するシステム例を示す図である。
図16】複数の物質のプロパティを調整するホット・プレート・システム例を示す図である。
図17】無線感知デバイスを使用するブレンダ・システム例を示す図である。
図18図18A図18B。無線感知デバイスを使用するワイン監視システム例を示す図である。
図19】浮揚性レベル感知デバイス例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、密閉容器の内容のプロパティを測定し、調整するシステム100が、物質115および感知デバイス120を含む容器110を有することができることを示す。容器110は、閉鎖環境または部分的閉鎖環境とすることができる。たとえば、容器110は、物質115を含むことができ、気密環境を形成するために栓または蓋を介して閉鎖され得る、フラスコ、ガラス・ボトル、または壺とすることができる。容器110は、気密ではない環境を形成するために栓または蓋を介して閉鎖可能とすることができ、あるいは、周囲環境に開かれているものとすることができる。容器110の他の例は、ブレンダ・ピッチャ、発酵容器、ボトル、ウェル・プレートまたは物質115を含むのに適する任意の他の容器を含む。
【0019】
物質115は、任意の液体、固体、ゲル、気体、または材料の組合せを含むことができる。物質115のプロパティを、感知デバイス120によって検出されたデータに基づいてシステム100によって変更し、制御することができる。物質115のプロパティを記述するデータを、感知デバイス120によって容器110の外部の無線受信器に無線で送信することができる。
【0020】
感知デバイス120を、容器110内に完全に封入することができ、感知デバイス120のいくつかの構成を、物質115内に完全にまたは部分的に浸漬可能とすることができる。感知デバイス120を、容器110によって支持し、容器110内に完全に含めることができ、あるいは、感知デバイス120は、容器110内の閉鎖環境の完全性を危険にさらすことなく容器110を横断することができる。感知デバイス120に、外部無線受信器によって無線で電力を供給し、感知デバイス120がバッテリなしで機能することを可能にすることができる。バッテリは、周期的な充電を必要とし、ある回数の充電の後に使い古される可能性があり、通常は制限された温度範囲内で最も有効に動作するので、感知デバイス120からバッテリを省略することは、デバイスの寿命を改善し、デバイス120を極端な温度に露出する可能性がある応用例に使用され得る。感知デバイス120は、バッテリを含むことができる。
【0021】
図2は、図1に示された横断面A-Aに沿った、システム100の構成例200を示す。システム200は、容器110内の物質115を加熱し、攪拌するシステムとすることができ、器具210および感知デバイス120を含むことができる。
【0022】
器具210は、容器110を支持し、加熱要素216から容器110および物質115に熱を伝達する伝熱面212を含むことができる。無線受信器214を、伝熱面212の下に位置決めし、加熱要素216から電気的および熱的に絶縁することができ、あるいは、加熱要素216を、無線受信器214と組み合わせることができる。加熱要素216の下に、絶縁層218を設けることができる。器具210は、モータ220によって回転可能な磁石222を含むこともできる。
【0023】
磁石222は、磁石222がモータ220によって回転される時に、加熱された面212の上またはその付近に配置された磁性物体を回転させることができる。したがって、容器110内に配置された磁性物体は、磁石222によって回転される時に、物質115を攪拌しまたは混合することができる。感知デバイス120は、感知デバイス120が物質115の攪拌器として機能することを可能にする、対応する磁石を含むことができ、あるいは、感知デバイス120とは別々のまたはこれに結合された磁石を、容器110内に配置することができる。磁気作用を、伝熱面212の下またはその付近に配置された電磁石によって達成することもできる。
【0024】
器具210は、ユーザ入力を受け取り、ユーザに情報を表示するように構成された制御パネル224をも含むことができる。たとえば、制御パネル224は、加熱要素216の温度を増減し、磁石222の回転速度を増減するためのユーザ入力を受け取ることができる。制御パネル224は、LCDスクリーン、電子インク(E Ink)スクリーン、または1つもしくは複数のLEDなど、温度、磁石の回転、または他の情報をユーザに表示することのできるディスプレイを含むことができる。制御パネル224は、それに加えてまたはその代わりに、ユーザが器具210に入力を供給することを可能にする、ボタン、ノブ、または他の入力デバイスを含むことができる。
【0025】
器具210内のコントローラ226は、器具210を制御し、ユーザから受け取られた入力および無線受信器214から受け取られたフィードバックを処理することができる。加熱要素216によって放たれる熱エネルギおよびモータ220の回転速度などの器具210の出力を、感知デバイス120および/または器具210内の他の感知デバイスから受け取られたフィードバックに基づいてコントローラ226によって制御することができる。
【0026】
無線受信器214を、感知デバイス120から無線で送信されたデータを受信するように構成することができる。無線受信器214は、たとえば、radio frequency identification(RFID)受信器、近接場通信(NFC)受信器、BLUETOOTH(登録商標)受信器、またはWi-Fi受信器とすることができる。無線受信器214によって受信されたデータを、メモリ内に記憶するか、受信データに基づいて器具210の出力を制御するためにプロセッサによって受け取ることができる。無線受信器214は、無線信号または電磁誘導充電を介して感知デバイス120に無線で電力を供給することもできる。温度、pH、比重、粘性、塩分、コンダクタンス、吸光度、蛍光、または圧力などの物質115のプロパティを、感知デバイス120によって測定し、無線受信器214に送信することができる。
【0027】
図3Aは、伝熱面212を除去された器具210の上面図例を示す。図3Aに示されているように、無線受信器214を、加熱要素216と伝熱面212との間に配置することができる。1つまたは複数の温度センサ306が、加熱要素216または伝熱面212の温度を測定することができる。温度センサ306は、較正を検証しまたは温度測定の精度を保証するために、複数の異なるセンサ・タイプを使用することができる。たとえば、1つの温度センサ306を、白金測温抵抗体(RTD)とすることができ、他の温度センサ306を、熱電対とすることができる。
【0028】
図3Bは、無線受信器214が、感知デバイス120からデータを受信し、オプションで感知デバイス120にデータを送信するように構成された第1のアンテナ302および第2のアンテナ304を含むことができることを示す。第1のアンテナ302および第2のアンテナ304は、感知デバイス120のすべての回転方向位置で感知デバイス120からの信号を検出するために、異なる方位を有することができる。追加のまたはより少数のアンテナを、器具210内に含めることができる。アンテナを、高温Ceramawireから作ることができる。
【0029】
図4は、感知デバイス120が、センサ404から出力データを読み取り、アンテナ406を用いて通信できる集積回路402を含むことができることを示す概略図である。集積回路402は、内部温度センサを含むことができる。磁石408が、たとえば磁石408および集積回路402を封入するハウジングによって、集積回路402に機械的に結合され得る。
【0030】
器具210は、制御パネル224、WiFiモジュール414、マイクロプロセッサ・システム416、電源418、ヒータ・ドライバ回路420、モータ・ドライバ回路422、および通信回路424を含むことができる。他の変形形態は、追加の、より少数の、または異なる構成要素を含むことができる。マイクロプロセッサ・システム416、WiFiモジュール414、ヒータ・ドライバ回路420、モータ・ドライバ回路422、おおびRFID通信回路424は、集合的に、図2に関して説明したコントローラ226を形成することができる。
【0031】
電源418は、交流電源などの入力から電力を受け取り、器具210の他の構成要素に電力を供給する。
【0032】
器具210の機能を、マイクロプロセッサ・システム416によって制御することができる。マイクロプロセッサ・システム416は、たとえば、ランダム・アクセス・メモリ、フラッシュ・メモリ、ならびにクロック・ソースとマイクロプロセッサ・システムを作成するのに必要な他の回路とを有するARMベースのマイクロプロセッサ・システムとすることができ、マイクロプロセッサならびに揮発性メモリまたは不揮発性メモリを含むことができる。マイクロプロセッサ・システム416は、情報を表示しまたはユーザ入力を受け取るために制御パネル224と通信することができ、ヒータ・ドライバ回路420およびモータ・ドライバ回路422を制御することができる。マイクロプロセッサ・システム416は、WiFiモジュール414またはRFID通信回路424に送信されたデータを受け取るか、WiFiモジュール414またはRFID通信回路424からのデータを送信するために、RFID通信回路424およびWiFiモジュール414と通信することもできる。
【0033】
ヒータ・ドライバ回路420は、伝熱面212に熱を供給するために加熱要素216を駆動する。ヒータ・ドライバ回路420は、1つまたは複数の温度センサ306から受け取られた入力に基づいて加熱要素216の温度を調整することができる。ヒータ・ドライバ回路420は、感知デバイス120によって検出された物質115の温度など、マイクロプロセッサ・システム416から受け取られたデータに基づいて加熱要素216の温度を調整することもできる。
【0034】
モータ・ドライバ回路422は、モータ220を駆動し、モータ220は、様々な速度で両方の方向に磁石222を回転させる。磁石222の回転速度は、制御パネル224で受け取られたユーザ入力に基づいて、マイクロプロセッサ・システム416によってモータ・ドライバ回路222に通信され得る。
【0035】
RFID通信回路424は、感知デバイス120などのリモート無線デバイスから信号を受信し、これに信号を送信することができる。RFID通信回路424は、感知デバイス120に電力を供給するために感知デバイス120に電子信号を供給することができる。RFID通信回路424によって出力された信号は、スプリッタ432を通過することができ、スプリッタ432は、分割された信号を第1のアンテナ434、90度位相シフタ436、および第2のアンテナ438に渡す。90度位相シフトは、感知デバイス120が任意の回転方向位置にある時にRFID通信回路424が感知デバイス120と通信することを可能にすることができる。代替案では、システム内に1つだけアンテナがある場合に、RFID通信回路424からの出力は、その1つのアンテナに直接に進むことができ、スプリッタ432、90度位相シフタ436、および第2のアンテナ438の必要をなくす。
【0036】
感知デバイス
図5A図5Bは、物質115の温度を測定するように構成された感知デバイス120の例を示す。感知デバイス120は、集積回路402を支持する回路基板502と、集積回路402によって読取可能なサーミスタ504とを含むことができる。サーミスタ504の抵抗は、物質115の温度に応答して変化することができ、集積回路402は、抵抗を測定することによって物質115の温度を判定することができる。集積回路402は、内部温度センサを有する場合もあり、この内部温度センサに対して、サーミスタ504によって測定された温度を比較することができる。温度を2つの異なる温度センサ・タイプによって測定することによって、老化、較正、および他の信頼性問題を判定することができる。というのは、これらの信頼性問題の影響が、2つの異なる温度センサ・タイプ上で異なる可能性が高いからである。たとえば40AWG銅ワイヤを含む内部コイル510が、感知デバイス120のアンテナを形成することができる。図5Aに示されているように、内部コイル510を、感知デバイス120内で縦に巻くことができる。図5Bは、内部コイル510を、感知デバイス120の縦軸と同軸のフェライト・チューブ512の回りに巻くことができることを示す。
【0037】
感知デバイス120は、感知デバイス120が容器110内の物質115を攪拌しまたは混合することを可能にする磁石408をさらに含むことができる。ケーシング530は、回路基板502、内部コイル510、および磁石408をカプセル化することができる。プラスティック、ガラス、ゴム、または物質115と感知デバイス120の内部のエレクトロニクスとの間の障壁をもたらすことのできる他の材料など、多数のタイプのカプセル化をケーシング530のために使用することができる。たとえば、ケーシング530は、約230℃の相対的に低い処理温度点を有するフッ素重合体である、Daikon(商標)社のEFEPから構成され得る。
【0038】
図5Bに示された感知デバイス120を、温度の測定に加えて、物質115の粘性を測定するのに使用することができる。器具210のアンテナ302およびアンテナ304などの無線受信器を、内部コイル510に垂直の方位にすることができる。感知デバイス120が磁石408を介して回転される時に、無線受信器は、内部コイル510の方位を検出することができる。感知デバイスの回転の速度を、方位に基づいて計算することができ、モータ220でのトルクを測定することができる。回転速度およびモータ220でのトルクに基づいて、物質115の粘性を判定することができる。感知デバイス120の回転速度を、ジャイロスコープまたは加速度計を用いるなど、他の形で測定することができる。
【0039】
図6Aは、物質115上に浮くように構成された、感知デバイス120の別の例を示す。磁気攪拌子など、感知デバイス120とは別々の攪拌器602を使用して、上で説明したように物質115を攪拌することができる。図6Bは、物質115の温度を感知するように構成された浮揚性感知デバイス120の構成要素を示す。図6Bに示されているように、浮揚性感知デバイス120は、アンテナ・コイル510、回路基板502、サーミスタ504、および集積回路402を含むことができる。アンテナ・ワイヤ604が、アンテナ・コイル510を集積回路402に結合することができる。バラスト606が、感知デバイス120を安定化し、プラスティック・オーバーモールド608が、エレクトロニクスおよびバラスト606をカプセル化する。浮揚性感知デバイス120は、物質115の温度を測定し、アンテナ・コイル510を介して検出された温度を無線受信器に送信することができる。図6Bに示された浮揚性感知デバイス120は温度センサであるが、温度感知構成要素の代わりにまたはそれに加えて、浮揚性感知デバイス120内に、物質115の他のプロパティを測定するセンサを設けることができる。
【0040】
図7は、容器110の上部開口を閉鎖しまたは密閉する栓702に結合された感知デバイス例120を示す。無線回路およびアンテナ704を、栓702内に収容することができ、シャフト708によって物質115と接触するセンサ706に結合することができる。センサ706は、物質115のプロパティを測定し、無線回路およびアンテナ704にプロパティを通信することができ、無線回路およびアンテナ704は、プロパティを記述するデータを外部受信器に送信することができる。感知デバイス120の同様の構成を、栓702内ではなく、蓋、他のエンクロージャ、または容器110自体の中に設けることができる。
【0041】
図8は、無線電気化学センサとして構成された感知デバイス例120を示す。図8に示されているように、電気化学センサは、無線通信回路802、測定電極804、対電極806、および基準電極808を含むことができる。無線通信回路802は、測定電極804と対電極806との間の電圧差を受け取り、アンテナ・コイル510を介して電圧差を無線受信器に報告することができる。電圧データに基づいて、無線通信回路802またはリモート・システムは、物質115の電気化学的プロパティを判定することができ、この電気化学的プロパティは、物質内のグルコースまたはアルコールの濃度などのプロパティを示すことができる。無線通信回路802は、基準電極808および無線通信回路802内に埋め込まれたポテンショスタット(図8には図示せず)を使用して、測定電極804で安定した電圧を維持することもできる。感知デバイス120は、感知デバイス120が攪拌器として機能することを可能にし、かつ/または感知デバイス120を安定化する、磁石および/またはバラスト810をさらに含むことができる。図8内のデバイスは、特定の電圧が2つの電極にまたがって印加される時に、その2つの電極の間の導電率を測定することによって、物質115の導電率測定にも使用され得る。
【0042】
図9は、無線pHセンサとして構成された感知デバイス例120を示す。図9に示されているように、pHセンサは、無線通信回路802、第1の電極902、第2の電極904、基準電解質906、H+選択性ガラス908、および多孔質接合部910を含むことができる。H+選択性ガラス908は、物質115内の水素イオンに対して選択性であり、第1の電極902上に電荷を生じる。基準電解質906は、第2の電極904上に電荷を生じる。無線通信回路802は、第1の電極902と第2の電極904との間の電圧差を測定し、電圧差に基づいて物質115のpHを判定し、アンテナ510を介してpHを無線受信器に報告することができる。多孔質接合部910は、物質115内への基準電解質906の低速の浸透を容易にし、基準電解質906と物質115との間の電気接触を作成することができる。基準電解質906は、感知デバイス120内の充填穴912を介して周期的に再充填され得る。感知デバイス120は、感知デバイス120が攪拌器として機能することを可能にし、かつ/または感知デバイス120を安定化する、磁石および/またはバラスト810をさらに含むことができる。
【0043】
図10は、無線蛍光センサとして構成された感知デバイス例120を示す。図10に示されているように、蛍光センサは、無線通信回路802、LED光源1006、吸収フィルタ1008、光センサ1002、検出フィルタ1004、および光学基板1010を含むことができる。光信号は、LED光源1006から吸収フィルタ1008を介して物質115内に進む。物質115は、物質115内の様々な化合物の濃度に比例して蛍光を発することができる。蛍光によって放たれた光信号は、検出フィルタ1004を介して光センサ1002上へおよび光学基板1010に進み、ここで、蛍光を測定することができる。光学基板1010は、蛍光に関する信号を無線通信回路802に通信することができ、無線通信回路802は、アンテナ510を介してそのデータを無線受信器に送信することができる。測定された蛍光に基づいて、無線通信回路802または外部デバイスは、物質115内の検体の濃度を判定することができる。周囲光からの干渉を低減するために、LED光源1006を変調することができる。感知デバイス120は、感知デバイス120が攪拌器として機能することを可能にし、かつ/または感知デバイス120を安定化する、磁石および/またはバラスト810をさらに含むことができる。あるバージョンの感知デバイス120は、光センサ1002および検出フィルタ1004を使用して物質115からのルミネッセンスを感知することと、アンテナ510を介して化学ルミネッセンス値を無線通信回路802に通信することとによって、化学ルミネッセンス・センサとして機能することができる。
【0044】
図11は、無線吸光度センサとして構成された感知デバイス例120を示す。図11に示されているように、吸光度センサは、無線通信回路802、第1のレンズ1102、第2のレンズ1104、第1の光学基板1106、第2の光学基板1108、およびリニア・バリアブル・フィルタ1110を含むことができる。第1の光学基板1106は、白色LEDエミッタ1112を含むことができ、白色LEDエミッタ1112は、光経路1114に沿って第1のレンズ1102を通って第2のレンズ1104に進む白色光を放つ。この光は、第2のレンズ1104を通ってリニア・バリアブル・フィルタ1110に進むことができる。光をフィルタリングするリニア・バリアブル・フィルタ1110を通過した後に、第2の光学基板1108は、フォト・ダイオード・アレイまたはリニアCMOS光センサを組み込むことによって、信号の大きさを検出し、検出された光に基づいて物質115の吸光度の量を判定することができる。第2の光学基板1108は、吸光度に関する信号を無線通信回路802に通信することができ、無線通信回路802は、アンテナ510を介してそのデータを無線受信器に送信することができる。測定された吸光度に基づいて、無線通信回路802または外部デバイスは、物質115内の検体の濃度を判定することができる。周囲光からの干渉を低減するために、LEDエミッタ1112を変調することができる。感知デバイス120は、感知デバイス120が攪拌器として機能することを可能にし、かつ/または感知デバイス120を安定化する、磁石および/またはバラスト810をさらに含むことができる。
【0045】
図12は、無線屈折計として構成された感知デバイス例120を示す。図12に示されているように、屈折計は、無線通信回路802、LED光源1202、測定窓1204、リニア・アレイ・センサ1206、および回路基板1208を含むことができる。LED光源1202は、測定窓1204に向かって光信号を放つことができ、測定窓1204は、光信号が物質115に達することを可能にする透明な窓とすることができる。光信号は、物質115によって屈折され、リニア・アレイ・センサ1206に向かって反射され得る。反射光がリニア・アレイ・センサ1206のどこに当たるのかに基づいて、回路基板1208は、物質115の屈折率を判定することができる。回路基板1208は、屈折率に関する信号を無線通信回路802に通信することができ、無線通信回路802は、アンテナ510を介して屈折率信号を無線受信器に送信することができる。周囲光からの干渉を低減するために、LED光源1202を変調することができる。測定窓1204に投影される波長を制限された波長範囲に縮小するために、LED光源1202の後に光フィルタを設けることができる。感知デバイス120は、感知デバイス120が攪拌器として機能することを可能にし、かつ/または感知デバイス120を安定化する、磁石および/またはバラスト810をさらに含むことができる。
【0046】
図13は、無線比重計として構成された感知デバイス例120を示す。図13に示されているように、比重計は、無線通信回路802および超音波センサ1302を含むことができる。図13に示された感知デバイス120は、物質115の比重に比例する高さで物質115に浮かぶことができる。超音波センサ1302は、物質115の表面に向かって超音波を放ち、放たれた波の反射を検出することができる。無線通信回路802は、検出された反射に基づいて超音波センサ1302と物質115の表面との間の距離1304を判定し、判定された距離に基づいて物質115の比重を計算することができる。無線通信回路802は、比重を、アンテナ510を介して無線受信器に送信することができる。感知デバイス120は、感知デバイス120を安定化するためにバラスト1310をさらに含むことができる。液体までの距離を、光学的に測定することもできる。
【0047】
フィードバックに基づくプロパティの調整
図14は、無線感知デバイス120から受信されたフィードバックに基づいて物質115の温度を調整するプロセス例1400を示す流れ図である。プロセス1400は、ホット・プレート・システム200に関して説明されるが、同様のプロセスを使用して、任意の他のシステム内で温度を調整することができる。プロセス1400を、コントローラ226によって実行することができる。
【0048】
図14に示されているように、コントローラ226は、サーミスタ504および集積回路402内の温度センサなど、感知デバイス120内の2つのセンサから温度を読み取る1402ことができる。コントローラ226は、2つのセンサによって検出された温度の間の差がしきい差(たとえば、±2℃)以内であるかどうかを判定する1404ことができる。差がしきい差より大きい場合には、コントローラ226は、加熱要素216をシャット・ダウンし1406、制御パネル224にエラーを表示する1408ことができる。差がしきい差より小さい場合には、コントローラ226は、2つの温度の平均値を計算し、平均値が設定点未満であるかどうかを判定する1410ことができる。コントローラ226は、2つのセンサの一方によって出力された温度など、異なる温度を設定点と比較することができる。
【0049】
平均温度が設定点未満である場合には、コントローラ226は、加熱要素216温度を上げる1412ことができる。コントローラ226が、平均温度が設定点より高いと判定する1414場合には、コントローラ226は、加熱要素216温度を下げる1416ことができる。コントローラ226は、平均温度を複数の異なる設定点と比較することができる。たとえば、コントローラ226は、ステップ1410で、平均温度が下側設定点未満であるかどうかを判定することができ、ステップ1414で、平均温度が上側設定点を超えるかどうかを判定することができる。その後、コントローラ226は、物質115の温度の調整を継続するためにプロセス1400を繰り返す前に、1分など、指定された長さの時間を待つ1418ことができる。待ち時間1418は、1分未満とすることができる。
【0050】
図15は、感知デバイス120から受信されたフィードバックに基づいて試薬供給を制御するシステム1500を示す。図15に示されているように、システム1500は、制御ユニット1510と、分注ノズル1524を介して容器110内に指定された量の試薬1522をポンプで注入するように構成されたシリンジ・ディスペンサ・ポンプ(syringe dispenser pump)1520とを含むことができる。物質115内に位置決めされた感知デバイス120は、蛍光、吸光度、屈折率、pH、電気化学信号、液面レベル、または比重など、物質の1つまたは複数のプロパティを測定し、測定されたプロパティを記述するデータを制御ユニット1510に無線で送信することができる。制御ユニット1510は、測定されたプロパティの所望の設定点を用いてプログラムされ得、所望の設定点を達成するために容器110に試薬1522を供給するようにシリンジ・ディスペンサ・ポンプ1520を制御するように構成され得る。
【0051】
たとえば、設定点は、物質115の所望のpHとすることができ、試薬1522は、酸または塩基とすることができる。制御ユニット1510は、感知デバイス120によって測定されたpHを受け取り、測定されたpHを所望のpHと比較する。測定されたpHが所望のpHとは異なる場合に、制御ユニット1510は、シリンジ・ディスペンサ・ポンプ1520に、所望のpHが達成されるまで、容器110内に指定された体積の試薬1522を分注させることができる。別の例として、設定点は、試薬1522を追加することによって変更できる物質115内の特定の化合物の所望の濃度に対応する、所望の吸光度、所望の蛍光、または所望の電気化学信号とすることができる。制御ユニット1510は、感知デバイス120によって測定された吸光度、蛍光、または電気化学信号を受け取り、受け取られたデータを設定点と比較する。受け取られたデータが設定点とは異なる場合には、制御ユニット1510は、シリンジ・ディスペンサ・ポンプ1520に、所望のプロパティが達成されるまで、容器110内に指定された体積の試薬1522を分注させることができる。
【0052】
制御ユニット1510およびシリンジ・ディスペンサ・ポンプ1520を、図15に示された2つのデバイスではなく、単一のデバイスに組み込むことができる。さらに、制御ユニット1510は、複数の試薬1522を物質115に供給するために複数のシリンジ・ディスペンサ・ポンプ1520を制御することができる。たとえば物質115の特定のプロパティが達成された時に容器110から物質115の一部またはすべてを除去するように、または物質115のレベルを制御するように、このシステムを構成することもできる。
【0053】
使用方法
図16は、複数の容器110Aおよび110Bならびに複数の感知デバイス120Aおよび120Bを含むホット・プレート・システム例1600を示す。第1の感知デバイス120Aは、第1の磁石1622Aによって回転され、回転される時に第1の容器110A内の第1の物質115Aを攪拌し、そのプロパティを測定することができる。第2の感知デバイス120Bは、第2の磁石1622Bによって回転され、回転される時に第2の容器110B内の第2の物質115Bを攪拌し、そのプロパティを測定することができる。第1の物質115Aは、第1の伝熱面1612Aによって加熱され得、第2の物質115Bは、第2の伝熱面1612Bによって加熱され得る。無線受信器214は、感知デバイス120からデータを受信し、そのデータから、ホット・プレート・システム1600の出力が制御され得る。たとえば、感知デバイス120Aから受信されたデータに基づいて、ホット・プレート・システム1600は、第1の伝熱面1612Aの温度を増減することができ、あるいは、第1の磁石1622Aの回転速度を増減することができる。
【0054】
図17は、無線感知デバイス120を含むブレンダ・システム例1700を示す。図17の例では、ブレンダ・ピッチャ1710が、ブレンドされる物質(図示せず)を含むことができる。ブレード1720は、物質を粉砕し、ブレンドするために、ブレンダ・ピッチャ1710内で回転することができる。物質がブレンドされる時に物質のプロパティを測定するために、感知デバイス120をブレード1720内に組み込むことができる。制御ユニット1730は、ブレード1720の回転速度を増減するためのユーザ入力を受け取ることができ、ブレンダ・ピッチャ1710内の物質の検出されたプロパティに基づいてブレード1720の回転速度を自動的に増減するために感知デバイス120からフィードバックを受信することができる。代替案では、ブレンダ・ピッチャ1710内に組み込まれた温度センサ1740が、ブレンドされる物質の温度を検出し、ブレンダ・ピッチャ1710内のアンテナ1750を介して、制御ユニット1730内の受信器アンテナ1760を介して温度情報を送信することができる。
【0055】
図18A図18Bは、ワイン監視システム例1800を示す。図18Aの例では、無線感知デバイス120は、ボトルが密閉される前にワイン・ボトル1810内に配置され得、ボトル1810内のワインのプロパティを監視することができる。感知デバイス120は、測定されたプロパティを外部無線受信器に送信することができ、外部無線受信器は、小売業者または消費者にそのプロパティを報告することができる。たとえば、感知デバイス120は、ワイン内のチオール、酢酸、または酸素の濃度を報告することができる。小売業者または消費者は、報告された情報を使用して、ボトル1810を開封する前にワインの品質を判定することができる。
【0056】
図18Bは、ワインの品質を示すことができるワインのプロパティを感知する検出するように構成された感知デバイス120の例を示す。図18Bに示された感知デバイス120の構成は、露出された電気化学感知エリア1822をその表面上に有するプラスティック・オーバーモールド1820を含むことができる。電気化学感知エリア1822は、図8に関して説明した測定電極804、対電極806、および基準電極808を含むことができ、ワインのチオール、酢酸、酸素、または他の関連する成分を検出するように構成され得る。感知デバイス120は、動作を制御するための回路基板502と、外部デバイスとの無線通信用のアンテナ510とをも含むことができる。
【0057】
図19は、容器110内の物質115の液面レベルを感知するように構成された感知デバイス120の例を示す。感知デバイス120は、無線通信回路およびアンテナ1910に結合された超音波センサ1930を使用する。感知デバイス120は、感知デバイス120の方位を定めるためのバラスト1920をも含む。
【0058】
本明細書で説明した無線感知デバイス120を、多数の他の応用例に使用することができる。たとえば、感知デバイス120は、ビールの比重をリモート監視するためにビール・メーカによって使用され得る。比重が指定された量に達する時に、警報を生成してビール・メーカに通知することができる。別の例として、感知デバイス120は、病院または研究所の従業員によって、滅菌されまたは加圧滅菌器で処理される物質が所望の滅菌温度に達したかどうかを検証するのに使用され得る。感知デバイス120は、物質が加圧滅菌器で処理される時にその物質の温度を監視し、物質内部の温度が滅菌温度に達したかどうかを従業員に通知することができる。別の例として、料理人は、感知デバイス120を使用して密閉容器内の食品のプロパティを監視して、食品が所望の温度、粘性、比重、またはその組合せに達した時を正確に判定することができる。別の例では、異なる時間期間の間に化合物を異なる温度ステップおよび攪拌速度にさらすように器具がプログラムされる場合に反応化合物内の温度センサとしておよび攪拌器として感知デバイス120を使用することと、様々なステップで正しい温度をセットするために感知デバイス120からのフィードバックを使用することとによって、複数のステップを有する化学反応を処理することができる。別の例では、生産加工ステーションは、洗浄液の導電率を監視し、導電率が特定の値を超える場合に洗浄液を交換することができる。
【0059】
本明細書で説明され、図示された個々の変形形態および実施形態のそれぞれは、他の変形形態または実施形態のいずれかの特徴から簡単に分離しまたはこれと組み合わせることのできる別個の構成要素および特徴を有する。特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセス行為(1つまたは複数)、またはステップ(1つまたは複数)を本開示の目的(1つまたは複数)、趣旨、または範囲に適合させるために、変更を行うことができる。
【0060】
本明細書で列挙された方法を、論理的に可能である列挙された事象の任意の順序ならびに事象の列挙された順序で実行することができる。さらに、所望の結果を達成するために、追加のステップまたは動作を提供することができ、あるいは、ステップまたは動作を除去することができる。
【0061】
さらに、値の範囲が提供される場合に、その範囲の上限と下限との間のすべての介在する値およびその述べられた範囲内のすべての他の述べられた値または介在する値が、本開示に含まれる。また、説明された変数のすべてのオプションの特徴は、独立に、または本明細書で説明した特徴のうちの任意の1つもしくは複数と組み合わせて、示され、請求され得る。
【0062】
本明細書で言及したすべての既存の主題(たとえば、刊行物、特許、特許出願、およびハードウェア)は、その主題が本開示の主題と矛盾しない限り(矛盾する場合には、本明細書に存在するものが優先されなければならない)、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている。参照された項目は、本願の出願日以前のその項目の開示のみに関して提供される。本明細書のいかなる部分をも、本開示が以前の開示のおかげでそのような材料に先行する資格を有しないことの容認と解釈してはならない。
【0063】
単数形の項目への参照は、それと同一の要素が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される時に、単数形「a」、「an」、「said(前記)」、および「the」は、文脈がそうではないと明瞭に規定しない限り、複数の指示対象を含む。さらに、特許請求の範囲が、すべてのオプションの要素を除外するように起草される場合があることに留意されたい。したがって、この陳述は、要素の列挙に関連する「solely(単独で)」、「only(唯一の)」、および類似物などの排他的用語法の使用または「否定的」限定の使用に関する優先する基礎として働くことが意図されている。そうではないと定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術における通常の技量を有する者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。
【0064】
本開示は、示された特定の形態の範囲に限定されることを意図されたものではなく、本明細書で説明した変形形態の代替形態、修正形態、および同等物を包含することを意図されたものである。さらに、本開示の範囲は、本開示に鑑みて当業者に明白になり得る他の変形形態を完全に包含する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19