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  • 特許-コレステリック液晶表示装置の駆動方法 図1
  • 特許-コレステリック液晶表示装置の駆動方法 図2
  • 特許-コレステリック液晶表示装置の駆動方法 図3
  • 特許-コレステリック液晶表示装置の駆動方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】コレステリック液晶表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240401BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240401BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 545
G02F1/133 560
G09G3/20 621D
G09G3/20 621K
G09G3/20 622D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023076150
(22)【出願日】2023-05-02
(65)【公開番号】P2023174549
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】111119412
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522436558
【氏名又は名称】アイリス オプトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IRIS OPTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】3F.-3, No. 160, Sec. 1, Guiren 13th Rd., Guiren Dist., Tainan City 711010, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ミン-リャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ウ-チャン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,チ-チャン
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-117406(JP,A)
【文献】特開2011-085918(JP,A)
【文献】特開2014-089305(JP,A)
【文献】国際公開第2007/116447(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0295875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0133625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
G09G3/00-G09G5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線を含むコレステリック液晶表示装置に適用されるコレステリック液晶表示装置の駆動方法であって、
ダイナミック駆動方式で各走査線を駆動し、前記ダイナミック駆動方式には画像成形段階を含むステップと、
全画面モードで前記コレステリック液晶表示装置のフレーム画面を更新し、前記フレーム画面を更新する際に前記画像成形段階で各走査線を駆動する必要な回数はNであるステップと、
非全画面モードで前記フレーム画面の一部を更新し、前記フレーム画面の一部を更新する際に前記画像成形段階で各走査線を駆動する必要な回数はMであるステップと、を含み、
MはNより大きいことを特徴とするコレステリック液晶表示装置の駆動方法。
【請求項2】
Nは6であり、Mは7~30である、請求項1に記載のコレステリック液晶表示装置の駆動方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の分野に関し、特にコレステリック液晶表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶は、双安定性を有し、すなわち自然に存在する状態には二つの安定な状態があり、そのうちの一つは反射状態(Planar State)であり、もう一つは透過状態(Focal-Conic State)である。反射状態の液晶は整然と配列し、特定の波長の光を反射でき、一般的に明状態と呼ばれる。透過状態の液晶は無秩序に配列し、入射光を散乱させ、一般的に暗状態と呼ばれる。従来、コレステリック液晶表示装置は、ダイナミック駆動方式(dynamic driving scheme、DDS)で液晶パネルの全画面を更新する。一つのフレーム画面を更新するときは、走査線を行(row)ごとに更新する必要がある。一本の走査線の更新を例にとると、準備(preparation)、選択(selection)、画像成形(evolution)および非選択状態(non-select)の四つの段階(phase)を経る必要があり、準備段階では液晶状態をクリアし、選択段階では液晶のオンオフを選択し、画像成形段階では液晶に電界を印加して透過状態と反射状態の混合比を変えることによって、異なる反射率で輝度レベル(gray level)を表示し、非選択段階では非選択電圧を維持して液晶の安定状態を保つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画面の更新をより速くするためには、画面の必要な部分だけを更新すればよい場合があるが、画面の一部を更新する際に、色収差が発生しやすくなる(図1を参照)。例えば、液晶パネルにM本(例えば、1080本)の走査線があると仮定する場合、DDSで全画面を更新すると、各走査線は、液晶が相転移エネルギーを得るのに合計Tselect+(M-1)*Tnon-select以内の時間を必要とし、また、Tselectは選択走査時間と呼ばれ、前述した準備段階、選択段階、画像成形段階の時系列を含み、Tnon-selectは非選択時間と呼ばれる。DDSで画面の一部を更新する場合、M本の走査線のうちP本(例えば、512本)だけを更新すると、各走査線は、液晶が相転移エネルギーを得るのに合計Tselect+(P-1)*Tnon-select以内の時間を必要とする。PがMより小さいため、液晶が画面の一部を更新するときに得られる相転移エネルギーは、全画面を更新するときより少なく、画面の一部を更新するときの画面表示領域が全画面を更新するときより明るくなり、色収差が発生することがわかる。
【0004】
したがって、本発明の主な目的は、前述した問題を解決するためのコレステリック液晶表示装置の駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、画面の一部だけを更新するときに発生する色収差を改善し、ユーザーの使用体験を向上させることができるコレステリック液晶表示装置の駆動方法を提供することである。
【0006】
本発明の一実施形態は、上述の利点の少なくとも1つまたは他の利点を達成するために、複数の走査線を含むコレステリック液晶表示装置に適用されるコレステリック液晶表示装置の駆動方法を提供する。前記駆動方法は、ダイナミック駆動方式で各走査線を駆動し、前記ダイナミック駆動方式には画像成形段階を含むステップと、全画面モードで前記コレステリック液晶表示装置のフレーム画面を更新し、前記フレームの画面を更新する際に前記画像成形段階で各走査線を駆動する必要な回数はNであるステップと、非全画面モードで前記フレーム画面の一部を更新し、前記フレーム画面の一部を更新する際に前記画像成形段階で各走査線を駆動する必要な回数はMであるステップとを含み、MはNより大きい。
【0007】
本発明の一実施形態において、Nは6であり、Mは7~30である。
【0008】
したがって、本発明が提供するコレステリック液晶表示装置の駆動方法は、画面の一部を更新するときの画像成形段階における各走査線の走査回数を増やすことによって、液晶はより多くエネルギーを得てFocal-conicとPlanarの混合比を変えることができるため、色収差の問題を改善することができる。
【0009】
上記の説明は、本発明の技術的解決策の概要に過ぎない。本発明の技術的手段をより明確に理解し、本明細書の内容に従って実施できるようにするため、また、本発明の上記およびその他の目的、特徴、利点をより明確にするために、好ましい実施形態を図面と併せて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
含まれる図面は、明細書の一部として本願の実施形態のさらなる理解のために提供され、本願の実施態様の説明に使用され、書面による説明と合わせて本願の原理を説明する。明らかに、以下の説明の図面は、本出願のいくつかの実施形態にすぎない。当業者が創造的な労働なしにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】は、本発明の先行技術の概略図である。
図2】は、本発明の一実施形態におけるコレステリック液晶表示装置の駆動方法のフローチャートである。
図3】は、本発明の一実施形態における全画面および非全画面更新モードの時系列図である。
図4】は、本発明の一実施形態に係るコレステリック液晶表示装置において、非全画面更新モードの画像成形段階中の各走査線が異なる回数で走査するときの輝度の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、代表的なものにすぎず、本発明の例示的な実施形態を説明する目的で使用される。しかしながら、本発明は、多くの代替の形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0012】
本発明の説明において、“中心”、 “横方向”、“上”、“下”、“左”、“右”、“垂直”、“水平”、“頂”、“底”、“内”、“外”などの用語で示される向きまたは位置関係は、図面に示された向きまたは位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜と簡略化するためのものであって、言及される装置または構成要素が、特定の方向を有し、特定の方向で構築および操作されなければならいと示唆するものではなく、したがって、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。また、“第1”及び“第2”という用語は目的の説明でのみ使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものとして理解してはならない。したがって、“第1”及び“第2”で定義された特徴は、これらの特徴のうちの1つまたは複数を明示的または暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明記しない限り、「複数」は2つ以上を意味する。 さらに、“含む”という用語およびその変形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。
【0013】
本発明の説明において、“設置”、“連結”、および“接続”などの用語は、他に明確に指定および限定されない限り、広く解釈されるべきである。例えば、固定の接続、脱着可能の接続、一体化の接続、機械的接続、電機的接続、直接接続、間接的接続、二つの部品内部の接続など。当業者にとって、本発明における上記の用語の特定の意味は、具体的に理解することができる。
【0014】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。明確に指示をしない限り、本明細書で使用される単数形“一個”および“一項”は複数形を含むことを意図している。また、本明細書に使用された“含む”および/または“含有”は、記述された特徴、整数、ステップ、操作、ユニットおよび/または部品の存在を規定するものであって、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、ユニット、部品および/またはその組み合わせの存在や追加を排除するものではない。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態におけるコレステリック液晶表示装置の駆動方法のフローチャートである。図2に示すように、駆動方法は、ステップ201~203を含む。ステップ201:ダイナミック駆動方式で各走査線を駆動し、前記ダイナミック駆動方式には画像成形段階を含む。ステップ202:全画面モードで前記コレステリック液晶表示装置のフレーム画面を更新し、前記フレーム画面を更新する際に前記画像成形段階で各走査線を駆動する必要な回数はNである。ステップ203:非全画面モードで前記フレーム画面の一部を更新し、前記フレーム画面の一部を更新する際に前記画像成形段階で各走査線を駆動する必要な回数はMであり、MはNより大きい。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態における全画面および非全画面更新モードの時系列図である。図3に示すように、全画面および非全画面更新モードにおいて、ダイナミック駆動モードは、準備、選択、画像成形および非選択状態など四つの段階を有する。本発明の一実施形態では、全画面および非全画面更新モードにおいて、各走査線は、準備段階で4回駆動され、選択段階で1回駆動され、非選択状態で60回走査されるが、全画面更新モードにおいて、各走査線は、画像成形段階で6回(すなわち、図2のN)走査され、非全画面更新モードにおいて、各走査線は、画像成形段階で8回(すなわち、図2のM)走査される。
【0017】
図4は、本発明の一実施形態に係るコレステリック液晶表示装置において、非全画面更新モードの画像成形段階中の各走査線が異なる回数で走査するときの輝度の概略図である。図4に示すように、上から下の曲線は各走査線が6回、30回、60回走査されることを示し、縦軸は反射率(輝度)、横軸は画面を10等分された領域で測定されたデータを示す。図4から分かるように、非全画面更新モードの画像成形段階での各走査線の走査回数が全画面更新モードより多い(例えば、30回および60回)場合は、反射率が低下する。全黒画面で説明すると、反射率が低いほど画面表示が黒くなり、コントラストが高くなり、画面を10等分した各領域の反射率も相対的に近くなり、色収差の改善に役立つ。また、走査回数が30回を超えると(例えば、60回)、反射率の低下幅が鈍化する。非全画面更新モードの画像成形段階での各走査線の走査回数が全画面更新モードの画像成形段階での走査回数より多いため、非全画面更新モードで画面の一部だけを更新するとき、液晶がFocal-conicとPlanarの混合比を変えるエネルギーを得る時間は全画面更新モードより長いから、コントラストを向上させ、色収差を改善することができる。
【0018】
要約すると、本発明が提供するコレステリック液晶表示装置の駆動方法は、画面の一部を更新するときの画像成形段階における各走査線の走査回数を増やすことによって、液晶はより多くエネルギーを得てFocal-conicとPlanarの混合比を変えることができるため、色収差の問題を改善し、ユーザーの使用体験を向上させることができる。
【0019】
上記の好ましい実施形態は、本発明の特徴および精神をより明確に説明されるためのものであって、本発明はこれらの実施形態によって何ら限定されるものではない。その目的は、本発明の特許出願の範囲内での様々な変更を網羅することである。
【符号の説明】
【0020】
201、202、203:ステップ

図1
図2
図3
図4