(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ケーブル接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/58 20060101AFI20240401BHJP
H01R 12/77 20110101ALI20240401BHJP
【FI】
H01R13/58
H01R12/77
(21)【出願番号】P 2019157799
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-07-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏史
(72)【発明者】
【氏名】渡井 省一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 久哉
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】実公平08-009901(JP,Y2)
【文献】特開2001-135390(JP,A)
【文献】実開平01-134380(JP,U)
【文献】実開昭51-153446(JP,U)
【文献】特開2015-084288(JP,A)
【文献】特開2008-186706(JP,A)
【文献】特開2005-302671(JP,A)
【文献】特開昭50-047189(JP,A)
【文献】実開昭62-161769(JP,U)
【文献】特開平07-006801(JP,A)
【文献】特開2001-210409(JP,A)
【文献】特開2019-009067(JP,A)
【文献】特開2002-078143(JP,A)
【文献】実開平03-052897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R4/00-4/22
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状に形成され、その長手方向の一端部に所定の被接続部と電気的に接続される電気接続部が設けられた可撓性ケーブルと、
前記可撓性ケーブルの前記一端部が前記電気接続部を含めて載置される面であって、当該面上に前記被接続部が形成され、当該面上で前記電気接続部が前記被接続部に接続される載置面を有するハウジングと、
前記一端部が載置された前記載置面を
、前記一端部における前記電気接続部から先端に掛けての部分と前記被接続部との両方から、前記載置面に対する直交方向に離れて覆うように
前記載置面と天井壁との間に間隙を開けた状態で前記ハウジングに被せられるカバーと、
前記電気接続部が接続された前記被接続部からの前記可撓性ケーブルの延出方向について前記被接続部から離れた離隔位置において前記載置面に対する凹形状又は凸形状で前記ハウジングに設けられたハウジング側部分、及び前記離隔位置において前記ハウジング側部分に嵌合する嵌合形状で前記カバーに設けられたカバー側部分、を有し、前記ハウジング側部分と前記カバー側部分とで前記可撓性ケーブルを面外方向に屈曲させた状態で挟み込んで
前記間隙における前記延出方向の前方側を塞ぎつつ保持する保持部と、
を備え
、
前記被接続部が、前記載置面から一端が突出するように設けられた少なくとも1本のピン端子であり、
前記電気接続部が、前記ピン端子が嵌入してはんだ付けされるように設けられた少なくとも1つのスルーホールであって、
前記ハウジング側部分と前記カバー側部分とによる前記可撓性ケーブルの前記長手方向の挟持幅が、前記ピン端子の先端から前記天井壁までの距離よりも広く、前記載置面における前記延出方向と反対側の端縁から前記ピン端子までの距離よりも狭いことを特徴とするケーブル接続構造。
【請求項2】
前記ハウジング側部分が、前記延出方向について、前記載置面における外周縁と前記被接続部との間の中途位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル接続構造。
【請求項3】
前記ハウジング側部分が、前記載置面の前記中途位置において前記延出方向と直交する前記可撓性ケーブルの幅方向に延びるように形成された少なくとも1本の凹溝であり、
前記カバー側部分が、前記カバーにおいて前記載置面と対面する天井壁から垂下して先端部が前記凹溝と嵌合する形状に形成された少なくとも1枚のリブ壁であることを特徴とする請求項2に記載のケーブル接続構造。
【請求項4】
前記ハウジング側部分が、前記載置面の外周縁において、前記被接続部に前記電気接続部が接続された前記可撓性ケーブルと重なる縁部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル接続構造。
【請求項5】
前記ハウジング側部分が、前記縁部分において前記載置面から少なくとも一段下がった段差形状に形成されており、
前記カバー側部分が、前記カバーにおいて前記載置面と対面する天井壁から垂下して先端部が前記段差形状と嵌合する形状に形成された外壁であることを特徴とする請求項4に記載のケーブル接続構造。
【請求項6】
前記ハウジング側部分及び前記カバー側部分のそれぞれが、前記延出方向と直交する前記可撓性ケーブルの幅方向について、当該可撓性ケーブルの幅寸法よりも長く延在し、前記ハウジング側部分と前記カバー側部分との間に前記可撓性ケーブルを全幅に亘って挟むように設けられていることを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載のケーブル接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯板状の可撓性ケーブルを接続対象に電気的に接続するためのケーブル接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)やフラットケーブル等の可撓性ケーブルを、コネクタ等の接続対象に電気的に接続するためのケーブル接続構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載のケーブル接続構造では、可撓性ケーブルにおいて電気接続部が設けられた一端部が、コネクタにおいて被接続部が内部に配置されたハウジングの差込口に挿入される構造となっている。
【0003】
さらに、上記のケーブル接続構造では、挿入された可撓性ケーブルの一端部をハウジングの内部に留めるために、可撓性ケーブルの一端部に形成された切欠き状の係合部に係止するロック片がハウジングの内部に配置されている。可撓性ケーブルに引っ張り力等の外力が加わった際には、その外力が可撓性ケーブルの係合部とハウジングのロック片とで受け止められ、可撓性ケーブルの電気接続部及びハウジングの被接続部への外力による負荷が抑えられる。これにより、電気接続部と被接続部との接続不良や可撓性ケーブルの抜け等が抑えられることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、可撓性ケーブルの係合部とハウジングのロック片とで外力を受け止めて負荷を抑制する上記のケーブル接続構造では、係合部を構成する可撓性ケーブル自体の強度に依る部分が大きい。他方で、可撓性ケーブルは、その可撓性を担保するべく多くの場合は柔軟な素材で構成されており、外力による負荷を十分に抑制しきれない場合がある。
【0006】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、可撓性ケーブルの電気接続部及びハウジングの被接続部への外力による負荷を十分に抑えることができるケーブル接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、ケーブル接続構造は、帯板状に形成され、その長手方向の一端部に所定の被接続部と電気的に接続される電気接続部が設けられた可撓性ケーブルと、前記可撓性ケーブルの前記一端部が前記電気接続部を含めて載置される面であって、当該面上に前記被接続部が形成され、当該面上で前記電気接続部が前記被接続部に接続される載置面を有するハウジングと、前記一端部が載置された前記載置面を、前記一端部における前記電気接続部から先端に掛けての部分と前記被接続部との両方から、前記載置面に対する直交方向に離れて覆うように前記載置面と天井壁との間に間隙を開けた状態で前記ハウジングに被せられるカバーと、前記電気接続部が接続された前記被接続部からの前記可撓性ケーブルの延出方向について前記被接続部から離れた離隔位置において前記載置面に対する凹形状又は凸形状で前記ハウジングに設けられたハウジング側部分、及び前記離隔位置において前記ハウジング側部分に嵌合する嵌合形状で前記カバーに設けられたカバー側部分、を有し、前記ハウジング側部分と前記カバー側部分とで前記可撓性ケーブルを面外方向に屈曲させた状態で挟み込んで前記間隙における前記延出方向の前方側を塞ぎつつ保持する保持部と、を備え、前記被接続部が、前記載置面から一端が突出するように設けられた少なくとも1本のピン端子であり、前記電気接続部が、前記ピン端子が嵌入してはんだ付けされるように設けられた少なくとも1つのスルーホールであって、前記ハウジング側部分と前記カバー側部分とによる前記可撓性ケーブルの前記長手方向の挟持幅が、前記ピン端子の先端から前記天井壁までの距離よりも広く、前記載置面における前記延出方向と反対側の端縁から前記ピン端子までの距離よりも狭いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述のケーブル接続構造によれば、保持部が、被接続部から離れた離隔位置で、ハウジング側部分とカバー側部分とで可撓性ケーブルを屈曲させた状態で挟み込んで保持する。この構成により、可撓性ケーブルに加わる外力が、可撓性ケーブルの電気接続部及びハウジングの被接続部へと及ぶ前に、可撓性ケーブル自体の強度に依ることなく保持部によって受け止められる。つまり、上述のケーブル接続構造によれば、可撓性ケーブルの電気接続部及びハウジングの被接続部への外力による負荷を十分に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のケーブル接続構造を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されているケーブル接続構造の分解斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されているケーブル接続構造においてFPCを挟み込んで保持する保持部を示す図である。
【
図4】
図3に示されている保持部がFPCを挟み込んで保持している様子を、ケーブル接続構造における
図1中のV11-V11線に沿った断面で示す図である。
【
図5】第2実施形態のケーブル接続構造を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示されているケーブル接続構造の分解斜視図である。
【
図7】
図5及び
図6に示されているケーブル接続構造においてFPCを挟み込んで保持する保持部を示す図である。
【
図8】
図7に示されている保持部がFPCを挟み込んで保持している様子を、ケーブル接続構造における
図5中のV21-V21線に沿った断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ケーブル接続構造の一実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態のケーブル接続構造を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示されているケーブル接続構造の分解斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示されているケーブル接続構造1は、帯板状の可撓性ケーブルとしてのFPC(Flexible Printed Circuits)11をコネクタ12に接続するための接続構造である。このケーブル接続構造1は、FPC11及びコネクタ12を備え、コネクタ12が、ハウジング121と、カバー122と、ピン端子123と、保持部124と、を備えている。
【0013】
FPC11は、帯板状に形成され、その長手方向D11の一端部11aに、被接続部としてのコネクタ12のピン端子123に電気的に接続される電気接続部としてのスルーホール113が設けられた可撓性ケーブルである。FPC11は、樹脂シート111と、導体パターン112と、スルーホール113と、を備えている。樹脂シート111は、FPC11の長手方向D11に長辺が延びる長方形の帯板状に形成された樹脂製のシート材である。この樹脂シート111における、FPC11の一端部11a側の一対の角部には、FPC11をハウジング121に対して位置決めするために、ハウジング121の位置決めピン121bが嵌入する一対の位置決め孔111aが設けられている。
【0014】
導体パターン112は、FPC11の長手方向D11に沿って一端部11aまで延びた直線状の金属パターンであり、複数本が幅方向D12に互いに平行に配列されている。また、複数本の導体パターン112は、FPC11の端縁近傍まで延びた長尺パターンと、長尺パターンの端部よりもFPC11の端縁から離れた位置まで延びた短尺パターンと、を有している。長尺パターン及び短尺パターンは幅方向D12に交互に配列され、この配列により、一端部11aでは、複数の導体パターン112の端部が、長手方向D11に互い違いとなるように、2列に並ぶこととなっている。スルーホール113は、コネクタ12のピン端子123が嵌入してはんだ付けされるように設けられた部位であり、FPC11の一端部11aにおいて各導体パターン112の端部に接続形成されている。一端部11aにおいて導体パターン112の端部が上記のように互い違いの2列に並ぶことから、スルーホール113も、同様に、一端部11aにおいて互い違いの2列に並ぶこととなる。
【0015】
コネクタ12のハウジング121は、コネクタ12において、FPC11のスルーホール113が電気的に接続される被接続部としてのピン端子123が配置される矩形箱状の樹脂筐体である。本実施形態では、ハウジング121における
図1及び
図2の下方側が開口して、不図示の相手側コネクタと嵌合するようになっている。このハウジング121における図中の上面は、各々の一端が突出するように複数本のピン端子123が配置されてFPC11の一端部11aが載置される長方形状の載置面121aとなっている。
【0016】
FPC11の一端部11aは、FPC11の長手方向D11が載置面121aの短辺に沿い、幅方向D12が長辺に沿うように載置される。載置面121aにおける図中手前側の一対の角部には一対の位置決めピン121bが立設されており、これら一対の位置決めピン121bが位置決めのためにFPC11の一端部11aにおける一対の位置決め孔111aに嵌入する。また、載置面121aでは、FPC11の一端部11aにおける複数のスルーホール113に合せて、複数本のピン端子123において載置面121aから突出した一端が、短辺方向に互い違いとなるように、長辺方向に2列に並ぶこととなっている。また、ハウジング121における、載置面121aの一対の短辺に繋がる一対の側面121cそれぞれには、カバー122をハウジング121に係止固定するための係止爪121dが立設されている。
【0017】
カバー122は、FPC11の一端部11aが載置された載置面121aを覆うようにハウジング121に被せられる矩形キャップ状の樹脂部材である。このカバー122においてハウジング121の載置面121aと対面する長方形状の天井壁122aからは、その一対の短辺に繋がった片持ち梁状の可撓アーム122bが延出している。そして、各可撓アーム122bの先端寄りに、ハウジング121の係止爪121dが嵌入して係止する係止孔122cが設けられている。
【0018】
ピン端子123は、コネクタ12の端子であり、上述したように一端がハウジング121の載置面121aから突出してFPC11のスルーホール113に嵌入してはんだ付けされる。尚、ここにいう「ピン」とは、コネクタ12において、不図示の相手側コネクタの端子と嵌合する端子形状を示す文言ではなく、あくまでFPC11のスルーホール113に接続される部位の形状を示している。相手側コネクタの端子との嵌合側については、ここでは特定しないが、ピン状のオス型であってもよくソケット状のメス型であってもよい。
【0019】
保持部124は、ハウジング121とカバー122とのそれぞれに一部位が設けられ、ハウジング121にカバー122が被せられたときにFPC11を挟み込んで保持するものである。
【0020】
図3は、
図1及び
図2に示されているケーブル接続構造においてFPCを挟み込んで保持する保持部を示す図である。また、
図4は、
図3に示されている保持部がFPCを挟み込んで保持している様子を、ケーブル接続構造における
図1中のV11-V11線に沿った断面で示す図である。
【0021】
尚、
図4の断面図では、コネクタ12におけるハウジング121の内部構造について、図示の簡略化のために省略されている。実際には、このハウジング121の内部には、ピン端子123における相手側コネクタの端子との嵌合部等を含む、相手側コネクタとの嵌合構造が設けられている。
【0022】
保持部124は、FPC11を挟み込んで保持する部位として、ハウジング側部分124aと、カバー側部分124bと、を有している。
【0023】
ハウジング側部分124aは、スルーホール113が接続されたピン端子123からのFPC11の延出方向D111についてピン端子123から離れた離隔位置において、載置面121aに対する凹形状でハウジング121に設けられている。本実施形態では、ハウジング側部分124aは、FPC11の延出方向D111について、載置面121aの外周縁121a-1とピン端子123との間の中途位置で延出方向D111に交差する幅方向D12に延びるように形成された1本の凹溝となっている。また、この凹溝は、延出方向D111に沿った断面形状が円弧状の丸溝となっている。また、ハウジング側部分124aは、FPC11の延出方向D111と直交する幅方向D12について、FPC11の幅寸法よりも長く延在するように形成されている。即ち、ハウジング側部分124aは、ハウジング121における一方の側面121cから他方の側面121cまで載置面121aを横断して形成されている。
【0024】
カバー側部分124bは、ピン端子123から離れた離隔位置においてハウジング側部分124aに嵌合する嵌合形状でカバー122に設けられている。本実施形態では、カバー側部分124bは、カバー122において載置面121aと対面する天井壁122aから垂下した1枚のリブ壁となっている。そして、このカバー側部分124bとしてのリブ壁の先端部124b-1が、ハウジング側部分124aとしての凹溝と嵌合するように、延出方向D111に沿った断面形状が円弧状の丸凸形状に形成されている。また、カバー側部分124bも、ハウジング側部分124aと同様に、FPC11の幅方向D12について、FPC11の幅寸法よりも長く延在するように形成されている。即ち、カバー側部分124bは、カバー122において長方形状の天井壁122aの一対の短辺に繋がる一対の側壁122dの一方の内面から他方の内面まで天井壁122aの内面を横断して形成されている。
【0025】
保持部124は、以上に説明したハウジング側部分124aとカバー側部分124bとの間に、FPC11を、その全幅に亘って面外方向D13に屈曲させた状態で挟み込んで保持する。
【0026】
また、本実施形態では、ハウジング121の載置面121aと、カバー122の天井壁122aとの間にはFPC11を延出させるために間隙SP11が開いている。そして、カバー側部分124bが、この間隙SP11におけるFPC11の延出方向D111の前方側を塞ぐ壁形状に設けられている。
【0027】
以上に説明した第1実施形態のケーブル接続構造1によれば、保持部124が、ピン端子123から離れた離隔位置で、ハウジング側部分124aとカバー側部分124bとでFPC11を屈曲させた状態で挟み込んで保持する。この構成により、FPC11に外力F11が加わったとき、その外力F11が、FPC11のスルーホール113及びハウジング121のピン端子123へと及ぶ前に、FPC11自体の強度に依ることなく保持部124によって受け止められる。つまり、上述のケーブル接続構造1によれば、FPC11のスルーホール113及びハウジング121のピン端子123への外力F11による負荷を十分に抑えることができる。
【0028】
ここで、本実施形態では、ハウジング側部分124aが、載置面121aにおける外周縁121a-1とピン端子123との間の中途位置に設けられている。
【0029】
この構成によれば、例えばハウジング121の載置面121aの広さに余裕がある等といった場合に、設計時においてハウジング121の形状変更等を抑えてハウジング側部分124aを設けることができる。即ち、ハウジング側部分124aの位置として載置面121aの中途位置を採用することで、ハウジング121の形状変更等を抑えてハウジング側部分124aを設けることができる。
【0030】
また、本実施形態では、ハウジング側部分124aが、FPC11の幅方向D12に延びるように形成された1本の凹溝であり、カバー側部分124bが、カバー122の天井壁122aから垂下して先端部124b-1が凹溝と嵌合する1枚のリブ壁である。
【0031】
この構成によれば、リブ壁の先端部124b-1によって凹溝の中へと押し込まれるようにFPC11が挟まれて保持されるので、高い保持強度を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態では、ハウジング側部分124a及びカバー側部分124bのそれぞれがFPC11の幅寸法よりも長く延在し、相互間にFPC11を全幅に亘って挟むように設けられている。
【0033】
この構成によれば、FPC11が全幅に亘って挟まれて保持されるので、高い保持強度を得ることができる。
【0034】
また、本実施形態では、ハウジング121の載置面121aと、カバー122の天井壁122aとの間にはFPC11を延出させるために間隙SP11が開いている。そして、カバー側部分124bがこの間隙SP11における延出方向D111の前方側を塞ぐ形状に設けられている。
【0035】
この構成によれば、上記の間隙SP11への異物の侵入を、カバー側部分124bによって抑えることができる。
【0036】
また、本実施形態では、ハウジング121における被接続部が複数本のピン端子123であり、FPC11における電気接続部が複数のスルーホール113となっている。
【0037】
この構成によれば、過剰な負荷によるはんだの剥がれやピン端子123とスルーホール113との摩耗等に起因した接続不良を抑えて、FPC11のスルーホール113とハウジング121のピン端子123とをはんだ付けによって強固に接続することができる。
【0038】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、FPC11を保持する保持部が、上述の第1実施形態と異なっている。以下、この第1実施形態との相違点に注目して第2実施形態を説明する。
【0039】
図5は、第2実施形態のケーブル接続構造を示す斜視図であり、
図6は、
図5に示されているケーブル接続構造の分解斜視図である。また、
図7は、
図5及び
図6に示されているケーブル接続構造においてFPCを挟み込んで保持する保持部を示す図である。また、
図8は、
図7に示されている保持部がFPCを挟み込んで保持している様子を、ケーブル接続構造における
図5中のV21-V21線に沿った断面で示す図である。
【0040】
尚、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、
図8の断面図では、ハウジング221の内部構造についての図示が省略されている。また、
図5~
図8では、
図1~
図4に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については、
図1~
図4と同じ符号が付されており、以下ではそれら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0041】
本実施形態のケーブル接続構造2も、FPC11をコネクタ22に接続するための接続構造であり、FPC11及びコネクタ22を備え、コネクタ22が、ハウジング221と、カバー222と、ピン端子123と、保持部224と、を備えている。FPC11における長手方向D11の一端部11aは、位置決め孔111aに位置決めピン121bが嵌入され、ピン端子123が導体パターン112の端部のスルーホール113に嵌入した状態でハウジング221の載置面121aに載置される。そして、ピン端子123がスルーホール113にはんだ付けされる。カバー222は、載置面121aを覆うようにハウジング221に被せられ、ハウジング221の一対の側面121cにおける係止爪121dが、カバー222の可撓アーム122bにおける係止孔122cに係止することで、ハウジング221に係止固定される。
【0042】
ここで、本実施形態でも、保持部224は、ハウジング側部分224aと、カバー側部分224bと、を備えているが、各部分の設置場所や形状等が第1実施形態と異なっている。
【0043】
ハウジング側部分224aは、FPC11の長手方向D11に沿った延出方向D111についてピン端子123から離れた離隔位置において載置面121aに対する凹形状でハウジング221に設けられている。ただし、本実施形態では、第1実施形態と異なり、ハウジング側部分224aは、載置面121aの外周縁121a-1において、ピン端子123にスルーホール113が接続されたFPC11と重なる縁部分121a-2に設けられている。この縁部分121a-2は、即ち、長方形状の載置面121aの外周縁121a-1において延出方向D111の前方側に位置する長辺に相当する。ハウジング側部分224aは、この縁部分121a-2において載置面121aから一段下がった段差形状に形成されている。また、ハウジング側部分224aは、FPC11の幅方向D12について、FPC11の幅寸法よりも長く延在するように形成されている。即ち、ハウジング側部分224aは、ハウジング221における一方の側面121cから他方の側面121cまで段差形状に形成されている。
【0044】
カバー側部分224bは、ピン端子123から離れた離隔位置においてハウジング側部分224aに嵌合する嵌合形状でカバー222に設けられている。ただし、本実施形態では、第1実施形態と異なり、カバー側部分224bは、カバー222の天井壁122aから垂下して先端部224b-1がハウジング側部分224aの段差形状と嵌合する庇状に張り出した形状に形成された外壁となっている。また、カバー側部分224bも、FPC11の幅方向D12について、FPC11の幅寸法よりも長く延在するように形成されている。即ち、カバー側部分224bは、カバー222の一方の側壁122dから他方の側壁122dまで延在した、FPC11の延出方向D111の前方側の外壁となっている。
【0045】
保持部224は、以上に説明したハウジング側部分224aとカバー側部分224bとの間に、FPC11を、その全幅に亘って面外方向D13にZ字状に屈曲させた状態で挟み込んで保持する。
【0046】
また、本実施形態でも、ハウジング221の載置面121aと、カバー222の天井壁122aとの間にはFPC11を延出させるために間隙SP21が開いている。そして、カバー側部分224bが、この間隙SP21におけるFPC11の延出方向D111の前方側を塞ぐ壁形状に設けられている。
【0047】
以上に説明した第2実施形態のケーブル接続構造2によっても、第1実施形態と同様、保持部224が、ピン端子123から離れた離隔位置で、ハウジング側部分224aとカバー側部分224bとでFPC11を屈曲させた状態で挟み込んで保持する。この構成により、FPC11に加わる外力F21が、FPC11のスルーホール113及びハウジング221のピン端子123へと及ぶ前に、FPC11自体の強度に依ることなく保持部224によって受け止められる。つまり、上述のケーブル接続構造2によれば、FPC11のスルーホール113及びハウジング221のピン端子123への外力F21による負荷を十分に抑えることができる。
【0048】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様、幅方向D12に長く延在したハウジング側部分224aとカバー側部分224bとの間にFPC11を全幅に亘って挟むことで、高い保持強度を得ることができる。また、載置面121aと天井壁122aとの間の間隙SP21における延出方向D111の前方側を塞ぐ形状にカバー側部分224bが設けられていることで、その間隙SP21への異物の侵入を抑えることができる。また、本実施形態でも、はんだの剥がれや摩耗等に起因した接続不良を抑えて、FPC11のスルーホール113とハウジング221のピン端子123とをはんだ付けによって強固に接続することができる。
【0049】
ここで、本実施形態では、ハウジング側部分224bが、載置面121aの外周縁121a-1においてFPC11と重なる縁部分121a-2に設けられている。
【0050】
この構成によれば、載置面121aの外周縁121a-1の、延出方向D111の前方側の縁部分121a-2という、ピン端子123からの遠隔位置でFPC11が保持されることとなるので、外力F21による負荷を効果的に抑えることができる。
【0051】
また、本実施形態では、ハウジング側部分224aが段差形状に形成され、カバー側部分224bが、カバー222において天井壁122aから垂下して先端部224b-1が上記の段差形状と嵌合する形状に形成された外壁となっている。
【0052】
この構成によれば、カバー側部分224bとしてカバー222の外壁を利用することで、設計時にカバー222の形状変更等を抑えてカバー側部分224bを設けることができる。
【0053】
尚、以上に説明した実施形態はケーブル接続構造の代表的な形態を示したに過ぎず、ケーブル接続構造は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0054】
例えば、上述した第1及び第2実施形態では、可撓性ケーブルとしてのFPC11における電気接続部としてのスルーホール113が、被接続部としてのコネクタ12,22のピン端子123にはんだ付けされるケーブル接続構造1,2が例示されている。しかしながら、可撓性ケーブルはFPCに限るものではなく、被接続部もコネクタの端子に限るものではない。可撓性ケーブルは、例えばフラットケーブル等といったFPC以外のケーブル部材であってもよく、被接続部も、例えばコネクタ以外の任意の機器筐体の外壁面に設置された端子等であってもよい。
【0055】
また、上述した第1及び第2実施形態では、矩形箱状の樹脂筐体であるハウジング121,221と、矩形キャップ状の樹脂部材であるカバー122,222と、が例示されている。しかしながら、ハウジングやカバーはこれらに限るものではなく、絶縁性等の電気的な機能を満たすものであれば、その具体的な材質や形状を問うものではない。
【0056】
また、上述した第1及び第2実施形態では、ハウジング側部分124a,224aが凹形状に設けられ、カバー側部分124a,224bがその凹形状に対する嵌合形状に設けられた保持部124,224が例示されている。しかしながら、保持部は、このような形態に限るものではなく、例えば、ハウジング側部分が凸形状に設けられ、カバー側部分がその凸形状に対する嵌合形状に設けられたもの等であってもよい。
【0057】
また、上述した第1実施形態では、ハウジング側部分124aとして、載置面121aにおける中途位置に1本の丸溝状の凹溝が設けられ、カバー側部分124bとして、凹溝に嵌合するリブ壁が設けられた保持部124が例示されている。また、第2実施形態では、ハウジング側部分224aとして、載置面121aの縁部分121a-2に1段の段差形状が設けられ、カバー側部分224bとして、この段差形状に嵌合する外壁が設けられた保持部224が例示されている。しかしながら、保持部は、このような形態に限るものではなく、例えば、ハウジング側部分として任意の凹凸形状を設け、カバー側部分としてこの凹凸形状に嵌合する凹凸形状を設けたもの等であってもよい。また、ハウジング側部分として凹溝や段差形状を設ける場合であっても、その本数や溝形状や段数等は任意に設定し得る。即ち、保持部におけるハウジング側部分とカバー側部分は、互いに嵌合して相互間に可撓性ケーブルを屈曲状態で挟むことができるのであれば、その具体的な形状を問うものではない。
【0058】
ただし、ハウジング側部分124aとして凹溝を設け、カバー側部分124bとしてリブ壁を設けることで、ハウジング121の形状変更等を抑えることができる点は上述した通りである。また、ハウジング側部分224aとして段差形状を設け、カバー側部分224bとしてカバー222の外壁を利用することで、カバー222の形状変更等を抑えることができる点も上述した通りである。
【0059】
また、上述した第1及び第2実施形態では、FPC11の幅寸法よりも長く延在したハウジング側部分124a,224a及びカバー側部分124b,224bでFPC11を全幅に亘って挟む保持部124,224が例示されている。しかしながら、ハウジング側部分やカバー側部分を可撓性ケーブルの幅寸法よりも短く設けて、幅方向について可撓性ケーブルを部分的に挟むこととしてもよい。また、ハウジング側部分やカバー側部分を、幅方向に断続的に設けて、幅方向について可撓性ケーブルを断続的に挟むこととしてもよい。ただし、上記のように長く延在したハウジング側部分124a,224a及びカバー側部分124b,224bでFPC11を全幅に亘って挟むことで、保持部124,224による高い保持強度を得ることができる点は上述した通りである。
【0060】
また、上述した第1及び第2実施形態では、カバー側部分124b,224bが、載置面121aと天井壁122aとの間の間隙SP11,SP21における延出方向D111の前方側を塞ぐ形状に設けられた保持部124,224が例示されている。しかしながら、保持部はこのような形態に限るものではなく、上記の間隙における延出方向の前方側を塞がずに部分的又は全体的に開放することとしてもよい。ただし、間隙の前方側を塞ぐことで間隙への異物の侵入を抑えることができる点は上述した通りである。尚、間隙の前方側を塞ぐにしても、ハウジング側部分とカバー側部分との少なくとも一方が間隙の前方側を塞ぐ形状に設けられているのであれば、ハウジング側部分で塞いでもよく、あるいはハウジング側部分とカバー側部分とで協働して塞いでもよい。
【0061】
また、上述した第1及び第2実施形態では、ハウジング121,221に設けられる被接続部がピン端子123で、FPC11における電気接続部がスルーホール113となって両者がはんだ付けされるケーブル接続構造1,2が例示されている。しかしながら、ケーブル接続構造は、このような形態に限るものではなく、例えば可撓性ケーブルとしてのFPCの端部に接続端子の端子パターンを形成し、ハウジングにFPCの端部が挿入されて端子パターンに圧接するコンタクトを配置することとしてもよい。このように、可撓性ケーブルにおける電気接続部、及びハウジングにおける被接続部については、その具体的な接続形態を問うものではなく、任意の接続形態を採用し得る。ただし、互いにはんだ付けされるピン端子123とスルーホール113とを有した接続形態を採用することで、強固に接続することができる点は上述した通りである。尚、このような接続形態を採用するにしても、ピン端子123やスルーホール113の数や配列形態等は任意に設定し得るものである。
【符号の説明】
【0062】
1,2 ケーブル接続構造
11 FPC(可撓性ケーブル)
11a 一端部
12,22 コネクタ
111 樹脂シート
111a 位置決め孔
112 導体パターン
113 スルーホール(電気接続部)
121,221 ハウジング
121a 載置面
121a-1 外周縁
121a-2 縁部分
121b 位置決めピン
121c 側面
121d 係止爪
122,222 カバー
122a 天井壁
122b 可撓アーム
122c 係止孔
122d 側壁
123 ピン端子(被接続部)
124,224 保持部
124a,224a ハウジング側部分
124b,224b カバー側部分
124b-1,224b-1 先端部
D11 長手方向
D12 幅方向
D13 面外方向
D111 延出方向
SP11,SP21 間隙
F11,F21 外力