(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】商品提供装置
(51)【国際特許分類】
A47F 3/08 20060101AFI20240401BHJP
A47F 3/06 20060101ALI20240401BHJP
G07F 11/46 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A47F3/08
A47F3/06
G07F11/46
(21)【出願番号】P 2020020792
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】角田 勝
(72)【発明者】
【氏名】大久保 勝
(72)【発明者】
【氏名】狩野 浩之
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-235031(JP,A)
【文献】特開2008-256302(JP,A)
【文献】実開昭49-086899(JP,U)
【文献】実公昭52-005679(JP,Y1)
【文献】特開2005-235030(JP,A)
【文献】特開2008-052482(JP,A)
【文献】特開平07-121765(JP,A)
【文献】国際公開第2020/024940(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00- 7/30
G07F11/00-11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔をあけて配置された複数の商品陳列部を有する前面開口の商品陳列ケースと、前記商品陳列ケースの前面側に設けられた搬送装置と、を含み、
前記商品陳列ケースにおいて、各商品陳列部は、左右方向に並べて配列された複数のトレイ連結体を有し、各トレイ連結体は、それぞれに商品が載置される複数のトレイが分離可能に前後方向に連結されており、
前記搬送装置は、各トレイ連結体の最前のトレイを残りのトレイから分離して前記最前のトレイ及びそこに載置された商品を前記商品陳列ケース外の所定位置に搬送し且つ前記残りのトレイ及びそこに載置された商品を前方に移動させるように構成され
、
前記搬送装置は、前記商品陳列ケースの前面側上部に設けられた上側ユニットと、前記商品陳列ケースの前面側下部に設けられた下側ユニットと、前記商品陳列ケースの開口の前方に位置するとともに上下方向に延在して前記上側ユニット及び前記下側ユニットに連結された連結ユニット、を含み、前記連結ユニットは、前記上側ユニット及び前記下側ユニットに着脱可能に構成されている、
商品提供装置。
【請求項2】
前記下側ユニットは、前後方向に移動可能であり、前記搬送装置の不使用時に前記商品陳列ケースの下部に形成された収容空間に収容され、前記搬送装置に使用時に前記収容空間から前方に引き出すことが可能に構成されている、請求項1に記載の商品提供装置。
【請求項3】
前記搬送装置によって前記最前のトレイ及びそこに載置された商品が搬送される分離搬送装置をさらに含み、
前記分離搬送装置は、前記最前のトレイとそこに載置された商品とを分離し、分離した商品を商品受取部に搬送するように構成されている、
請求項1
又は2に記載の商品提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商品を陳列可能な商品陳列ケースと、前記商品陳列ケースに陳列された商品を前記商品陳列ケース外の所定位置に搬送可能な搬送装置と、を含む商品提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでは、オープンショーケースと呼ばれる商品陳列ケースが利用されている。オープンショーケースは、複数の商品を陳列可能に構成され、また、購買者等が陳列された商品を取り出すことができるように、換言すれば、セルフサービス方式での商品提供が可能となるように、前面等に開口部を有している。オープンショーケースの一例として、特許文献1には、前面が開口し、かつ、上下方向に複数段の商品棚を有するオープンショーケースが記載されている。このようなオープンショーケース、すなわち、前面が開口し、かつ、上下方向に複数段の商品棚(商品陳列部)を有する商品陳列ケースは、多くの商品を購買者等が比較的見やすいように陳列することができ、また、設置面積も比較的小さくて済むという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、店員等が減少していることから、より多くの商品についてセルフサービス方式での提供を可能とすることが求められている。このような要求に対し、例えば、上述のようなオープンショーケースタイプの商品陳列ケースにおいて、商品陳列部の段数及び/又は商品陳列部の奥行寸法を増やすことで陳列できる商品数を増やすことが考えられる。しかし、単に商品陳列部の段数及び/又は各商品陳列部の奥行寸法を増やすと、一部の商品(例えば、上段側の商品陳列部に陳列された商品や商品陳列棚の奥側に陳列された商品)に購買者等の手が届かなくなってしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、より多くの商品についてセルフサービス方式での提供を可能とする商品提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、商品提供装置が提供される。この商品提供装置は、上下方向に複数段の商品陳列部を有する前面開口の商品陳列ケースと、前記商品陳列ケースの前面側に設けられた搬送装置と、を含む。前記商品陳列ケースにおいて、各商品陳列部は、左 右方向に並べて配列された複数のトレイ連結体を有し、各トレイ連結体は、それぞれに商品が載置される複数のトレイが分離可能に前後方向に連結されて構成されている。前記搬送装置は、各トレイ連結体の最前のトレイを残りのトレイから分離して前記最前のトレイ及びそこに載置された商品を前記商品陳列ケース外の所定位置に搬送し且つ前記残りのトレイ及びそこに載置された商品を前方に移動させるように構成されている。前記搬送装置は、前記商品陳列ケースの前面側上部に設けられた上側ユニットと、前記商品陳列ケースの前面側下部に設けられた下側ユニットと、前記商品陳列ケースの開口の前方に位置するとともに上下方向に延在して前記上側ユニット及び前記下側ユニットに連結された連結ユニット、を含み、前記連結ユニットは、前記上側ユニット及び前記下側ユニットに着脱可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より多くの商品についてセルフサービス方式での提供を可能とする商品提供装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る商品提供装置1の正面図である。
【
図3】トレイ連結体及びトレイホルダーを示す斜視図である。
【
図4】前記トレイ連結体を構成するトレイを示す図であり、(a)はトレイの正面図であり、(b)はトレイの右側面図であり、(c)はトレイの底面図である。
【
図6】保持体を右斜め前上方から見た斜視図である。
【
図7】前記保持体を右斜め後上方から見た斜視図である。
【
図9】前記保持体を構成する保持体本体の内部を示す図である。
【
図10】前記保持体本体が最も後方に移動した状態を示す図である。
【
図11】前記保持体を移動させる移動機構を構成する上側ユニットの要部構成を示す図である。
【
図13】前記移動機構を構成する下側ユニットの要部構成を示す図である。
【
図15】前記移動機構を構成する連結ユニットの上部プーリーユニットの正面図である。
【
図16】前記上部プーリーユニットの右側面図である。
【
図17】前記上部プーリーユニットが前記上側ユニット連結された状態を示す図である。
【
図18】前記連結ユニットの下部プーリーユニットの正面図である。
【
図19】前記下部プーリーユニットの右側面図である。
【
図20】前記下部プーリーユニットが前記下側ユニット連結された状態を示す図である。
【
図21】前記商品提供装置の制御系構成を示すブロック図である。
【
図22】前記商品提供装置の変形例を示す図である。
【
図23】前記商品提供装置の変形例を構成する分離搬送装置
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、添付図面及び以下の説明においては電源線や通信線などが省略されている。
【0010】
図1、
図2は、本発明の一実施形態に係る商品提供装置の概略構成を示す図である。
図1は、実施形態に係る商品提供装置1の正面図であり、
図2は、商品提供装置1の右側面図である。
図1、
図2に示されるように、商品提供装置1は、商品陳列ケース2と、商品陳列ケース2の前面側に設けられた搬送装置3と、を含む。なお、商品陳列ケースには、陳列された商品を冷却状態に保持するタイプ、陳列された商品を加温状態に保持するタイプ及び陳列された商品を常温状態のままで保持するタイプなどがあるが、実施形態に係る商品陳列ケース2は、いずれのタイプであってもよい。
【0011】
[商品陳列ケース2]
商品陳列ケース2は、筐体10を有する。筐体10は、前面が開口している。筐体10の内部には、上下方向に複数段(ここでは6段)の商品陳列部21が設けられている。すなわち、商品陳列ケース2は、いわゆる多段式(又は棚式)のオープンショーケースと同様、前面が開口するとともに内部に上下方向に複数段の商品陳列部21を有している。
【0012】
筐体10は、天板部11、左側壁12、右側壁13、後面(背面)壁14及び底板部15を有する。本実施形態において、底板部15は、商品陳列ケース2の設置面Sよりも上方に位置しており、底板部15の下方には、搬送装置3の一部(具体的には、後述する下側ユニット62)を収容可能な収容空間16が形成されている。
【0013】
各商品陳列部21には、複数のトレイ連結体30が左右方向に並べて配置されている。本実施形態において、各商品陳列部21は、左右方向に並べて配置された複数(ここでは4つ)のトレイホルダー4を有しており、各トレイホルダー4にトレイ連結体30が収容されている。トレイ連結体30は、それぞれに商品Pが載置された複数のトレイ31が分離可能に前後方向に連結されて構成されている。
【0014】
図3は、トレイ連結体30及びトレイホルダー4を示す斜視図である。本実施形態において、トレイ連結体30は、2つのトレイ31が分離可能に前後方向に連結されて構成されている。トレイ連結体30は、前方に移動可能な状態でトレイホルダー4の上面に形成された凹部41に収容されている。具体的には、本実施形態において、トレイ連結体30は、前部(すなわち、最前のトレイ31の前部)がトレイホルダー4から所定量だけ前方に突出した状態で前後方向に移動可能にトレイホルダー4の凹部41に収容されている。
【0015】
トレイ31は、平板上に形成されており、上面311に商品Pが載置されるように構成されている。
図4は、トレイ31を示す図である。
図4(a)は、トレイ31の正面図であり、
図4(b)は、トレイ31の右側面図であり、
図4(c)は、トレイ31の底面図である。
【0016】
トレイ31の前面の中央上部には、板状に前方に突出する突出部312が設けられている。突出部312には、連結孔313が形成されている。連結孔313は、突出部312の上面から下面までを貫通し且つ左右方向に延在する長孔状に形成されている。トレイ31の背面の中央部には、連結突起314が設けられている。連結突起314は、右側面視で逆L字状(左側面視でL字状)に形成されており、トレイ31の背面における上下方向の中間位置から後方に延在する横延在部314aと、横延在部314aの先端部から上方に延在する縦延在部314bと、を有する。縦延在部314bは、他のトレイ31の連結孔313に下方から嵌入可能に形成されている。
【0017】
したがって、本実施形態におけるトレイ連結体30は、トレイ31の連結突起314を後続のトレイ31の連結孔313に下方から嵌入させることによって、換言すれば、トレイ31の連結突起314に後続のトレイ31の連結孔313を上方から嵌め合わせることによって形成される。そして、例えば、トレイ連結体30における最前のトレイ31が残りのトレイ31に対して下方に相対的に移動することによって、当該最前のトレイ31が残りのトレイ31から分離され得る。
【0018】
トレイ31の底面には、前側突起315及び後側突起316が形成されている。前側突起315は、トレイ31の底面における前端部中央に形成され、左右方向に所定の長さを有し且つ鉛直下方に突出している。後側突起316は、トレイ31の底面における後端部中央に形成され、左右方向に前側突起315と同じ長さを有し且つ鉛直下方に突出している。また、トレイ31の底面の所定位置には、左右一対のストッパーリブ317、317が設けられている。
【0019】
図5は、トレイホルダー4を示す斜視図である。トレイホルダー4において、トレイ連結体30を収容する凹部41を構成する左側面及び右側面の前側の上部には、内方に突出する複数の規制突起42が形成されている。複数の規制突起42は、凹部41に収容されたトレイ連結体30が上方へ移動する(浮き上がる)ことを規制する。
【0020】
凹部41の底面の中央には、前後方向に延在する溝43が形成されている。溝43は、トレイ31の前側突起315及び後側突起316の左右方向の長さよりも長い幅と、トレイ31の前側突起315及び後側突起316のトレイ31の底面からの突出長さよりも深い深さと、を有している。したがって、トレイ連結体30は、各トレイ31の底面がトレイホルダー4の凹部41の底面に接触した状態でトレイホルダー4の凹部41に収容され且つ凹部41内を移動可能である。
【0021】
また、トレイホルダー4には、凹部41の底面から上方に突出する左右一対のストッパー部材44、44が設けられている。一対のストッパー部材44、44は、前方に突出する左右一対の被押圧部45、45に連動して動作するように構成されている。本実施形態において、一対の被押圧部45、45は、図示省略のばね部材などの付勢部材によって
図5(及び
図3)に示される位置に保持(付勢)されている。そして、一対のストッパー部材44、44は、一対の被押圧部45、45が
図5(及び
図3)に示される位置にあるときに凹部41の底面から上方に突出しており、一対の被押圧部45、45が前方から押圧されて後方に移動すると、下方に引き込まれて凹部41の底面から突出しなくなるように構成されている。
【0022】
トレイホルダー4の一対のストッパー部材44、44が凹部41の底面から上方に突出していると、トレイ連結体30の最前のトレイ31の一対のストッパーリブ317、317が一対のストッパー部材44、44に当たる。このため、トレイ連結体30の前方への移動が規制される。
【0023】
一方、一対の被押圧部45、45が押圧されて一対のストッパー部材44、44が下方に引き込まれると、最前のトレイ31の一対のストッパーリブ317、317が一対のストッパー部材44、44に当たらなくなる。すなわち、一対のストッパー部材44、44によるトレイ連結体30に対する前方への移動規制が解除される。このため、トレイ連結体30の前方への移動が可能になる。
【0024】
なお、一対の被押圧部45、45への押圧が解除されると、一対の被押圧部45、45は、前記付勢部材の付勢力によって
図5(及び
図3)に示される位置に戻り、一対のストッパー部材44、44は、凹部41の底面から上方に突出する元の状態に戻る。
【0025】
[搬送装置3]
図1、
図2に戻り、搬送装置3は、商品が載置されたトレイ31を保持して運搬することのできる保持体5と、商品陳列ケース2の前面で保持体5を上下方向(より正確には後述するように斜め上下方向)及び左右方向に移動させることのできる移動機構6と、を含む。
【0026】
[保持体5]
図6~
図8は、保持体5を示す図である。
図6は、保持体5を右斜め前上方から見た斜視図であり、
図7は、保持体5を右斜め後上方からみた斜視図であり、
図8は、保持体5の左側面図である。
【0027】
保持体5は、基盤部7と基盤部7上に配置された保持体本体8とを含む。基盤部7は、断面が上向き「コ」字状(又は断面「U」字状)に形成され、保持体本体8は、基盤部7の内底面上に配置されている。保持体本体8は、上方への移動が規制された状態で前後方向の移動が可能に基盤部7に保持されている。保持体本体8は、筐体81と、筐体81に収容された無端状の搬送ベルト82と、を有する。
【0028】
筐体81は、左側筐体81aと右側筐体81bとで構成されている。筐体81の上部には、トレイ31が載置される左右一対のトレイ受け面(左側トレイ受け面811a及び右側トレイ受け面811b)と、トレイ31の左右方向の位置ずれを抑える左右一対のガイド部(左側ガイド部812a及び右側ガイド部812b)とが設けられている。左側トレイ受け面811a及び右側トレイ受け面811bは、左右方向に間隔をあけて設けられ、前後方向に略水平に延在している。左側トレイ受け面811a及び右側トレイ受け面811bは、トレイ31の前後方向の長さに相当する長さを有し、前端部及び後端部が下向きに僅かに傾斜している。なお、左側トレイ受け面811a及び右側トレイ受け面811bは、トレイ31の前後方向の長さに相当する長さ(好ましくは、トレイ31の前後方向の長さよりも長い長さ)を有していればよく、例えば、2分の1の長さのトレイや3分の1の長さのトレイも運搬可能である。
【0029】
搬送ベルト82は、前後方向に略水平に延在する上側走行部82aを有する。搬送ベルト82は、上側走行部82aが左側トレイ受け面811aと右側トレイ受け面811bとの間にあり且つ左側トレイ受け面811a及び右側トレイ受け面811bよりも僅かに下方に位置するように、筐体81に収容されている。本実施形態において、搬送ベルト82は、主に上側走行部82aが前方に向かって走行するように駆動される(矢印A参照)。
【0030】
また、搬送ベルト82の表面には、一対の第1押圧凸部821、821及び一対の第2押圧凸部822、822が設けられている。一対の第1押圧凸部821、821は、搬送ベルト82上において、トレイ31の前後方向の長さに相当する距離だけ離れて設けられており、同様に、一対の第2押圧凸部822、822は、搬送ベルト82上において、トレイ31の前後方向の長さに相当する距離だけ離れて設けられている。
【0031】
また、保持体本体8の左側後下部には、保持体本体8を基盤部7に対して移動させるための移動用ギヤ83が設けられている。移動用ギヤ83は、基盤部7に形成されて前後方向に延在するラックギヤ部71と噛み合っている。
【0032】
図9は、保持体本体8の内部を示す図であり、
図8から基盤部7及び左側筐体81aなどが取り外された状態を示している。移動用ギヤ83は、保持体本体8の内部に配置された移動用モータ84の出力軸に取り付けられている。保持体本体8は、移動用モータ84が回転すると、その回転方向に応じて移動用ギヤ83が噛み合っているラックギヤ部71の延在方向である前後方向に、すなわち、基盤部7に対して前方又は後方に移動する。
【0033】
搬送ベルト82は、駆動ローラ85、従動ローラ86及びテンションローラ87に巻き掛けられている。また、ベルト駆動用モータ88が搬送ベルト82の内側に設けられている。そして、ベルト駆動用モータ88が回転すると、その回転がベルト駆動用モータ88の出力軸に取り付けられた駆動ギヤ89、アイドラギヤ90及び駆動ローラ85に取り付けられた従動ギヤ91を介して駆動ローラ85に伝達され、これにより、搬送ベルト82が駆動される(矢印A方向に走行する)。
【0034】
なお、
図6~
図8は、保持体本体8が最も前方に移動した状態を示している。これに対し、
図10は、保持体本体8が最も後方に移動したときの保持体5を示す図(左側面図)である。つまり、保持体本体8は、左側面視において、
図8に示される状態から
図10に示される状態の間で基盤部7に対して前後方向に移動可能に構成されている。また、本実施形態においては、保持体本体8が基盤部7に対して最も前方に移動した状態、すなわち、
図6~
図8に示される状態を保持体5の待機状態とする。
【0035】
[移動機構6]
移動機構6は、上側ユニット61と、下側ユニット62と、鉛直方向に対して上部が後方側に僅かに傾斜した斜め上下方向(以下単に「上下方向」という)に延在して上側ユニット61及び下側ユニット62に着脱可能に連結される連結ユニット63と、を含む(
図1、
図2参照)。
【0036】
[上側ユニット61]
上側ユニット61は、商品陳列ケース2の前面側上部に設けられている。本実施形態において、上側ユニット61は、商品陳列ケース2の天板部11の下面の前部に取り付けられている(
図1参照)。
図11は、上側ユニット61の要部構成を示す図であり、
図12は、
図11のA-A断面拡大図である。
図11、
図12に示されるように、上側ユニット61は、第1ガイドレール611と、第1モータ612と、左右一対の第1プーリー613、613と、第1タイミングベルト614と、第1移動体615と、を有する。
【0037】
第1ガイドレール611は、商品陳列ケース2の天板部11の下面に固定されている。第1ガイドレール611は、左右方向に延在している。
【0038】
第1モータ612は、第1ガイドレール611の左側方に配置されている。第1モータ612は、図示省略のモータブラケットを介して商品陳列ケース2の天板部11及び/又は左側壁12に取り付けられている。本実施形態において、第1モータ612は、出力軸が上を向いた状態で取り付けられている。
【0039】
一対の第1プーリー613、613の一方(以下「一方の第1プーリー613」という)は、第1モータ612の出力軸に取り付けられている。一対の第1プーリー613、613の他方(以下「他方の第1プーリー613」という)は、第1ガイドレール611の右側方に配置されている。他方の第1プーリー613は、図示省略のプーリーブラケットに回転自在に支持され、当該プーリーブラケットを介して商品陳列ケース2の天板部11及び/又は右側壁13に取り付けられている。すなわち、一対の第1プーリー613、613は、第1ガイドレール611を挟んで対向配置されている。
【0040】
第1タイミングベルト614は、一対の第1プーリー613、613に巻き掛けられている。第1タイミングベルト614は、左右方向に延在し、互いに走行方向が逆になる前面側走行部614aと背面側走行部614bとを有する。なお、本実施形態において、第1ガイドレール611は、第1タイミングベルト614の内側、すなわち、前面側走行部614aと背面側走行部614bとの間に配置されている(
図12参照)。
【0041】
第1移動体615は、左右方向に移動可能に第1ガイドレール611に支持されているとともに第1タイミングベルト614の背面側走行部614bに固定されている。したがって、第1移動体615は、第1ガイドレール611に沿って第1タイミングベルト614の背面側走行部614bの走行方向と同じ方向に移動する。具体的には、本実施形態において、第1移動体615は、複数のコロ部材(又はローラ)615aを有しており、当該複数のコロ部材615aを介して第1ガイドレール611の支持面611aに支持されている。また、第1移動体615は、背面側に固定部615bを有し、当該固定部615bが第1タイミングベルト614の背面側走行部614bに固定されている。なお、第1移動体615の底面の一部は、連結ユニット63の上端部が着脱可能に連結される上側連結部615cを構成している。
【0042】
上側ユニット61においては、第1モータ612が一方の第1プーリー613を回転駆動すると、第1タイミングベルト614が一方の第1プーリー613の回転方向に応じた方向に走行する。すなわち、第1タイミングベルト614の背面側走行部614bが左方に向かって又は右方に向かって走行する。すると、第1移動体615は、複数のコロ部材615aが第1ガイドレール611の支持面611a上を転動しながら、第1タイミングベルト614の背面側走行部614bの走行方向と同じ方向に移動する。
【0043】
[下側ユニット62]
下側ユニット62は、商品陳列ケース2の前面側下部に設けられている。
図13は、下側ユニット62の要部構成を示す図であり、
図14は、
図13のB-B断面図である。
図13、
図14に示されるように、下側ユニット62は、第2ガイドレール621と、第2モータ622と、左右一対の第2プーリー623、623と、第2タイミングベルト624と、第2移動体625と、ユニットハウジング626と、を有する。
【0044】
ユニットハウジング626は、左右方向に延在するとともに上面が開口した箱型に形成されており、第2ガイドレール621、第2モータ622、一対の第2プーリー623、623、第2タイミングベルト624及び第2移動体625を収容している。本実施形態において、ユニットハウジング626は、左右一対のスライドレール9、9を介して商品陳列ケース2の左側壁12の下部及び右側壁13の下部に取り付けられている。したがって、下側ユニット62は、前後方向に移動可能であり、不使用時には商品陳列ケース2の底板部15の下方(すなわち、商品陳列ケース2の下部)に形成された収容空間16に収容され、使用時に収容空間16から前方に引き出すことが可能に構成されている。
【0045】
第2ガイドレール621は、ユニットハウジング626の内底面に固定されている。第2ガイドレール621は、上側ユニット61の第1ガイドレール611に対応するように左右方向に延在している。
【0046】
第2モータ622は、第2ガイドレール621の左側方に配置されている。第2モータ622は、図示省略のモータブラケットを介してユニットハウジング626の内側面及び/又は内底面に取り付けられている。本実施形態において、第2モータ622は、出力軸が下を向いた状態で取り付けられている。
【0047】
一対の第2プーリー623、623の一方(以下「一方の第2プーリー623」という)は、第2モータ622の出力軸に取り付けられている。一対の第2プーリー623、623の他方(以下「他方の第2プーリー623」という)は、第2ガイドレール621の右側方に配置されている。他方の第2プーリー623は、図示省略のプーリーブラケットに回転自在に支持され、当該プーリーブラケットを介してユニットハウジング626の内底面に取り付けられている。すなわち、一対の第2プーリー623、623は、ユニットハウジング626内において、第2ガイドレール621を挟んで対向配置されている。
【0048】
第2タイミングベルト624は、一対の第2プーリー623、623に巻き掛けられている。第2タイミングベルト624は、上側ユニット61の第1タイミングベルト614と同様、左右方向に延在し、互いに走行方向が逆になる前面側走行部624aと背面側走行部624bとを有する。なお、第1ガイドレール611と同様、第2ガイドレール621は、第2タイミングベルト624の内側、すなわち、前面側走行部624aと背面側走行部624bとの間に配置されている。
【0049】
第2移動体625は、左右方向に移動可能に第2ガイドレール621に支持されているとともに第2タイミングベルト624の背面側走行部624bに固定されている。したがって、第2移動体625は、第2ガイドレール621に沿って第2タイミングベルト624の背面側走行部624bの走行方向と同じ方向に移動する。
【0050】
具体的には、第2移動体625は、第1移動体615と同様、複数のコロ部材(又はローラ)625aを有しており、当該複数のコロ部材625aが第2ガイドレール621の支持面621aに載置されている。また、第2移動体625は、背面側下部に固定部625bを有し、当該固定部625bが第2タイミングベルト624の背面側走行部624bに固定されている。
【0051】
第2移動体625の上面の一部は、連結ユニット63の下端部が着脱可能に連結される下側連結部625cを構成している。また、第2移動体625の上面における下側連結部625cの後方には、連結ユニット63を支えるサポート部材627が取り付けられ、第2移動体625の上面における下側連結部625cの左側方には、図示省略のモータブラケットを介して第3モータ628が取り付けられている。第3モータ628は、出力軸が右を向いた状態で取り付けられている。第3モータ628は、連結ユニット63の後述する下部プーリー6333を回転駆動するために設けられている。第3モータ628の出力軸には、マグネットカップリングなどの非接触式のカップリング629が取り付けられている。
【0052】
下側ユニット62においては、第2モータ622が一方の第2プーリー623を回転駆動すると、第2タイミングベルト624が一方の第2プーリー623の回転方向に応じた方向に走行する。すなわち、第2タイミングベルト624の背面側走行部624bが左方に向かって又は右方に向かって走行する。すると、第2移動体625は、複数のコロ部材625aが第2ガイドレール621の支持面621a上を転動しながら、第2タイミングベルト624の背面側走行部624bの走行方向と同じ方向に移動する。
【0053】
ここで、上述のように、上側ユニット61の第1移動体615には、連結ユニット63の上端部が連結され、下側ユニット62の第2移動体625には、連結ユニット63の下端部が連結される。したがって、移動機構6において、第1移動体615の左右方向の位置と第2移動体625の左右方向の位置とは一致しており、上側ユニット61の第1モータ612と下側ユニット62の第2モータ622とは互いに同期して動作する。
【0054】
[連結ユニット63]
上述のように、連結ユニット63は、上端部が上側ユニット61の第1移動体615に着脱可能に連結され、下端部が下側ユニット62の第2移動体625に着脱可能に連結される。連結ユニット63は、上下方向に延在するレール部材631と、レール部材631の上端に固定されて連結ユニット63の前記上端部を構成する上部プーリーユニット632と、レール部材631の下端に固定された連結ユニット63の前記下端部を構成する下部プーリーユニット633と、第3タイミングベルト634と、第3移動体635と、を有する(
図1、2参照)。
【0055】
図15、
図16は、上部プーリーユニット632の概略構成を示している。
図15は、上部プーリーユニット632の正面図であり、
図16は、上部プーリーユニット632の右側面図である。
図15、
図16に示されるように、上部プーリーユニット632は、第1支持プレート6321と、第1ホルダー部材6322と、上部プーリー6323と、を有する。
【0056】
第1支持プレート6321は、鉛直方向に延在する第1鉛直延在部6321aと、第1鉛直延在部6321aの上端から斜め上方に延在する第1傾斜延在部6321bと、を有する。
【0057】
第1ホルダー部材6322は、断面が「コ」字状(「U」字状)に形成され、底部が図示省略のボルトなどによって第1支持プレート6321の第1鉛直延在部6321aに固定されている。
【0058】
上部プーリー6323は、図示省略の軸受を有する左右一対の第1支持部材6324、6324に回転自在に支持されている第1回転軸6325に固定されている。つまり、上部プーリー6323は、回転自在に設けられている。一対の第1支持部材6324、6324は、第1ホルダー部材6322の内底面上に図示省略のボルトなどによって固定されている。
【0059】
なお、レール部材631の上端は、上部プーリー6323の下方において第1ホルダー部材6322に収容され、図示省略のボルトなどによって第1ホルダー部材6322の両側面に固定されている。また、本実施形態において、連結ユニット63の上端部、すなわち、上部プーリーユニット632は、
図17に示されるように、第1支持プレート6321の第1傾斜延在部6321bが図示省略のボルトなどによって上側ユニット61の第1移動体615の上側連結部615cに着脱可能に連結される。
【0060】
図18、
図19は、下部プーリーユニット633の概略構成を示している。
図18は、下部プーリーユニット633の正面図であり、
図19は、下部プーリーユニット633の右側面図である。
図18、
図19に示されるように、下部プーリーユニット633は、第2支持プレート6331と、第2ホルダー部材6332と、下部プーリー6333と、を有する。
【0061】
第2支持プレート6331は、鉛直方向に延在する第2鉛直延在部6331aと、第2鉛直延在部6331aの下端から斜め下方に延在する第2傾斜延在部6331bと、を有する。
【0062】
第2ホルダー部材6332は、第1ホルダー部材6322と同様、断面が「コ」字状(又は「U」字状)に形成され、底部が図示省略のボルトなどによって第2支持プレート6331の第2鉛直延在部6331aに固定されている。
【0063】
下部プーリー6333は、図示省略の軸受を有する左右一対の第2支持部材6334、6334に回転自在に支持されている第2回転軸6335に固定されている。つまり、下部プーリー6333は、上部プーリー6323と同様、回転自在に設けられている。一対の第2支持部材6334、6334は、第2ホルダー部材6332の内底面上に図示省略のボルトなどによって固定されている。
【0064】
また、第2回転軸6335の左端部には、下側ユニット62の第3モータ628の出力軸に取り付けられた非接触式のカップリング629に対応する非接触式のカップリング6336が取り付けられている。
【0065】
なお、レール部材631の下端は、下部プーリー6333の上方において第2ホルダー部材6332に収容され、図示省略のボルトなどによって第2ホルダー部材6332の両側面に固定されている。また、本実施形態において、連結ユニット63の下端部、すなわち、下部プーリーユニット633は、
図20に示されるように、第2支持プレート6331の第2傾斜延在部6331bが図示省略のボルトなどによって下側ユニット62の第2移動体625の下側連結部625cに着脱可能に連結される。このとき、下側ユニット62の第3モータ628の出力軸に取り付けられた非接触式のカップリング629と、第2回転軸6335の左端部に取り付けられた非接触式のカップリング6336と、が所定の隙間を有して対向する。
【0066】
第3タイミングベルト634は、上部プーリー6323及び下部プーリー6333に巻き掛けられている。第3タイミングベルト634は、上下方向に延在し、互いに走行方向が逆になる前面側走行部634aと背面側走行部634bとを有する。なお、レール部材631は、第3タイミングベルト634の内側、すなわち、前面側走行部634aと背面側走行部634bとの間に配置されている。
【0067】
第3移動体635は、レール部材631に上下方向に移動可能に保持されているとともに第3タイミングベルト634の背面側走行部634bに固定されている。また、第3移動体635には、保持体5の基盤部7が固定されている。したがって、第3移動体635及び保持体5は、レール部材631に沿って第3タイミングベルト634の背面側走行部634bの走行方向と同じ方向に移動する。すなわち、保持体5は、レール部材631に沿って上下方向に移動する。
【0068】
連結ユニット63においては、下側ユニット62の第3モータ628が回転すると、第3モータ628の回転がカップリング629及びカップリング6336を介して第2回転軸6335に伝達されて下部プーリー6333が回転する。これにより、第3タイミングベルト634が下部プーリー6333の回転方向に応じた方向に走行する。すなわち、第3タイミングベルト634の背面側走行部634bが上方に向かって又は下方に向かって走行する。すると、第3移動体635及び第3移動体635に固定された保持体5は、レール部材631に沿って第3タイミングベルト634の背面側走行部634bの走行方向と同じ方向に移動する。
【0069】
[搬送装置3の動作]
搬送装置3の動作の一例を説明する。なお、以下の説明における「トレイ31」という表現は、「トレイ31及びそこに載置された商品P」を意味するものとする。
【0070】
まず、移動機構6が保持体5を所定のトレイ連結体30の前方まで移動させる。具体的には、移動機構6は、左右方向における前記所定のトレイ連結体30の位置に応じて上側ユニット61の第1モータ612及び下側ユニット62の第2モータ622を同期して回転させる。これにより、第1移動体615及び第2移動体625が同じ方向に同じ距離だけ移動し、連結ユニット63が左右方向における前記所定のトレイ連結体30に対応する位置まで移動する。その後、移動機構6は、上下方向における前記所定のトレイ連結体30の位置に応じて下側ユニット62の第3モータ628を回転させて第3移動体635を上下方向に移動させる。これにより、保持体5が前記所定のトレイ連結体30の前方の位置まで移動する。
【0071】
保持体5は、前記所定のトレイ連結体30の前方まで移動すると、前記所定のトレイ連結体30の最前のトレイ31、すなわち、商品陳列部21の最前部に位置するトレイ31を保持体本体8上に載置する。
【0072】
具体的には、保持体5は、移動用モータ84を第1回転方向に回転させて保持体本体8を後方に移動させる。これにより、保持体本体8が前記所定のトレイ連結体30を収容するトレイホルダー4の一対の被押圧部45、45を押圧し、一対のストッパー部材44、44による前記所定のトレイ連結体30に対する前方への移動規制が解除される。
【0073】
次に、保持体5は、ベルト駆動用モータ88を回転させて搬送ベルト82を駆動する(矢印A方向に走行させる)。ここで、上述のように、トレイ連結体30の最前のトレイ31の前部はトレイホルダー4から前方に突出している。このため、搬送ベルト82の表面に設けられた一対の第1押圧凸部821、821の一方(又は一対の第2押圧凸部822、822の一方)が前記所定のトレイ連結体30の最前のトレイ31の前側突起315の後面に当たって前側突起315の後面を押圧する。これにより、前記所定のトレイ連結体30がトレイホルダー4から前方に引き出されて、前記所定のトレイ連結体30の最前のトレイ31がトレイホルダー4から保持体本体8の左側トレイ受け面112a及び右側トレイ受け面112bへと移動する。そして、保持体5は、予め設定された所定時間が経過すると、ベルト駆動用モータ88を停止させる。前記所定時間は、例えば搬送ベルト82がトレイ31の前後方向における長さに相当する距離を走行するのに要する時間である。これにより、前記所定のトレイ連結体30の最前のトレイ31が保持体本体8上に載置される。また、前記所定のトレイ連結体30における最前のトレイ31に続くトレイ31(すなわち、前から二番目のトレイ31)が新たな最前のトレイ31となって商品陳列部21の最前部に位置する。
【0074】
前記所定のトレイ連結体30の最前のトレイ31が保持体本体8上に載置されると、移動機構6は、下側ユニット62の第3モータ628を回転させて第3移動体635及び保持体5を下方に移動させる。これにより、前記所定のトレイ連結体30の最前のトレイ31が前記所定のトレイ連結体30の残りのトレイ31から分離され、最前のトレイ31のみを搬送可能な状態となる。
【0075】
次に、移動機構6は、上側ユニット61の第1モータ612、下側ユニット62の第2モータ622及び第3モータ628を適宜回転させることによって、保持体5を商品陳列ケース2外の所定位置まで移動させる。ここで、前記所定位置は、保持体5の可動範囲であればよく、特に制限されないが、ここでは、搬送装置3の前面側に設けられて購買者等が商品Pを受け取るための商品受取部の後方の位置とする。
【0076】
保持体5は、前記商品受取部の後方の位置まで移動すると、保持体本体8上に載置されているトレイ31を前記商品受取部に移動させる。具体的には、保持体5は、移動用モータ84を前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させて保持体本体8を前方に移動させる。
【0077】
次に、保持体5は、ベルト駆動用モータ88を回転させて搬送ベルト82を駆動する(矢印A方向に走行させる)。ここで、上述のように、一対の第1押圧凸部821、821及び一対の第2押圧凸部822、822は、搬送ベルト82上において、それぞれトレイ31の前後方向の長さに相当する距離だけ離れて設けられている。このため、一対の第1押圧凸部821、821の他方(又は一対の第2押圧凸部822、822の他方)が、保持体本体8上に載置されているトレイ31の後側突起316の後面に当たって後側突起316の後面を押圧する。これにより、保持体本体8上に載置されているトレイ31が保持体本体8上から押し出されて前記商品受取部へと移動する。そして、保持体5は、前記所定時間が経過すると、ベルト駆動用モータ88を停止させる。
【0078】
搬送装置3は、以上のようにして、商品陳列部21から所定のトレイ31(及びそこに載置されている商品P)を商品受取部へと搬送することができる。
【0079】
[商品提供装置1の動作]
図21は、商品提供装置1の制御系構成を示すブロック図である。
図21に示されるように、商品提供装置1は、商品陳列ケース2及び搬送装置3に加えて情報入力部100及び制御装置150を有している。情報入力部100は、商品陳列ケース2の筐体10に一体的に設けられた操作部及び商品陳列ケース2から離隔して設けられた操作部(操作タブレットなど)を含む。店員又は商品Pの購買者などが情報入力部100に対して所定の入力操作を行うことにより、商品陳列ケース2(の商品陳列部21)に陳列された複数の商品Pの中から購買者が購買する商品Pを指定(選択)することが可能である。情報入力部100に対する入力操作によって商品Pが指定(選択)されると、情報入力部100は、商品指定(選択)指令を制御装置150に出力する。
【0080】
制御装置150は、各種プログラムやデータなどが格納されたメモリMを有する。本実施形態において、メモリMには、商品陳列ケース2の商品陳列部21に陳列された複数の商品Pのそれぞれに関する情報(商品Pが載置されたトレイ連結体30の位置情報を含む)が格納されている。制御装置150は、商品提供装置1の動作、本実施形態においては主に搬送装置3の動作を制御する。
【0081】
例えば、制御装置150は、情報入力部100から商品指定(選択)指令が入力されると、指定(選択)された商品Pが載置されたトレイ31を商品陳列部21から前記商品受取部に移動させるように搬送装置3を制御する。具体的には、制御装置150は、指定(選択)された商品Pが載置されたトレイ31(トレイ連結体30)の位置を特定し、特定された位置に基づき保持体5及び移動機構6に制御信号を出力し、保持体5の移動用モータ84及びベルト駆動用モータ88と、移動機構6の上側ユニット61の第1モータ612と、下側ユニット62の第2モータ622及び第3モータ628と、の動作を適宜制御する。これにより、保持体5及び移動機構6が上述したように動作し、指定(選択)された商品Pがトレイ31とともに商品受取部に搬送される。
【0082】
本実施形態に係る商品提供装置1において、商品陳列ケース2は、上下方向に複数段の商品陳列部21を有し、各商品陳列部21は、左右方向に並べて配列された複数のトレイ連結体30を有し、各トレイ連結体30は、それぞれに商品Pが載置された複数のトレイ31が分離可能に前後方向に連結されて構成されている。搬送装置3は、各トレイ連結体30の最前のトレイ31を残りのトレイ31から分離し、分離した最前のトレイ31及びそこに載置された商品Pを商品陳列ケース2外の前記商品受取部に搬送するように構成されている。また、搬送装置3は、前記残りのトレイ31及びそこに載置された商品Pを前方に移動させるように構成されている。
【0083】
本実施形態によれば、商品陳列ケース2に陳列された各商品Pは、当該商品Pが載置されているトレイ31とともに搬送装置3によって前記商品受取部へと搬送され得る。このため、陳列された商品Pに購買者等が手の届かない商品Pが含まれる場合であっても、購買者等は、陳列された全ての商品Pを取り出すことができる。換言すれば、購買者等が手の届かない高所などのこれまで商品Pの陳列に利用されていなかったスペースにも商品Pを陳列することができる。したがって、より多くの商品Pをセルフサービス方式で提供することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態において、搬送装置3の一部、具体的には、搬送装置3の構成要素のうち商品陳列ケース2の開口の前方に位置する要素である移動機構6の連結ユニット63(連結ユニット63の第3移動体635に固定されている保持体5を含む)は、移動機構6の他のユニット(上側ユニット61及び下側ユニット62)に対して、ひいては商品陳列ケース2に対して着脱可能に構成されている。
【0085】
さらに、本実施形態において、搬送装置3の下部を構成する下部構成部、具体的には、搬送装置3の構成要素のうち商品陳列ケース2の開口の前方下部に位置する要素である移動機構6の下側ユニット62は、不使用時には商品陳列ケース2の下部に形成された収容空間16に収容され、使用時に収容空間16から前方に引き出すことが可能に構成されている。
【0086】
このため、本実施形態に係る商品提供装置1は、搬送装置3を使用しない場合、オープンショーケースとして問題なく機能し得る。したがって、本実施形態に係る商品提供装置1を、例えば、昼間においては搬送装置3を使用しない態様で利用し、夜間においては搬送装置3を使用する態様で利用するようなことも可能である。
【0087】
なお、上述の実施形態においては、搬送装置3を構成する要素のうち連結ユニット63が商品陳列ケース2に対して着脱可能に構成されている。しかし、これに限られるものではない。搬送装置3を構成する要素のうち、少なくとも商品陳列ケース2の開口の前方に位置する要素が着脱可能に構成されていればよく、搬送装置3全体が商品陳列ケース2に対して着脱可能に構成されてもよい。但し、商品陳列ケース2から取り外された搬送装置3の保管場所や上述のような2態様での利用を考慮すると、上述の実施形態のように、商品陳列ケース2の開口の前方に位置する要素が着脱可能であるのが好ましい。
【0088】
また、上述の実施形態において、商品提供装置1は、商品Pを当該商品Pが載置されているトレイ31とともに前記商品受取部に搬送するようにしている。しかし、これに限られるものではない。商品提供装置1は、商品Pのみを前記商品受取部に搬送するように構成されてもよい。この場合、商品提供装置1は、
図22に破線で示されるように、分離搬送装置50をさらに含む。分離搬送装置50は、例えば搬送装置3の前面側の所定位置に設けられる。搬送装置3は、トレイ31及びそこに載置された商品P(以下単に「トレイ31及び商品P」という)を前記商品受取部に代えて分離搬送装置50に搬送するように構成される。好ましくは、分離搬送装置50は、移動可能に構成され、使用時に他の場所から例えば搬送装置3の前面側の所定位置に移動される。
【0089】
図23は、分離搬送装置50の要部構成を示す図である。
図23(a)は、分離搬送装置の要部構成を正面から見た図であり、
図23(b)は、分離搬送装置の要部構成を右側方から見た図である。
図23(a)、(b)に示されるように、分離搬送装置50は、駆動ローラ51と、従動ローラ52と、駆動ローラ51及び従動ローラ52に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト53と、駆動ローラ51を回転駆動するモータ54と、トレイ31と商品Pとを分離する分離部材55と、を含む。
【0090】
駆動ローラ51と従動ローラ52とは左右方向に離隔して設けられており、分離搬送装置50は、搬送ベルト53の上側走行部53a上に載置された載置物を左右両方向に搬送可能に構成されている。分離部材55は、搬送ベルト53の上側走行部53aの一端側(ここでは左端側)に設けられている。分離部材55は、搬送ベルト53の幅方向に延在して搬送ベルト53の上側走行部53aの表面との間にトレイ31が通過可能なトレイ通過部56を形成する。トレイ通過部56は、上下方向の寸法がトレイ31の高さより僅かに大きい隙間(すなわち、トレイ31は通過できるが商品Pは通過できない隙間)として形成されている。
【0091】
搬送装置3は、トレイ31及び商品Pを搬送ベルト53の上側走行部53a上の所定位置に載置するように構成される。分離搬送装置50は、トレイ31及び商品Pが搬送ベルト53の上側走行部53a上に載置されると、モータ54を所定方向に回転させて搬送ベルト53の上側走行部53aを矢印B方向に走行させる。すると、トレイ31に載置された商品Pは、分離部材55に衝突してトレイ31から落下するとともに分離部材55によって通過が阻止されて搬送ベルト53の上側走行部53a上に残る。一方、トレイ31は、トレイ通過部56を通過し、搬送ベルト53の上側走行部53aの前記一端から落下して図示省略の回収容器などに回収される。その後、分離搬送装置50は、モータ54を前記所定方向とは逆方向に回転させて搬送ベルト53の上側走行部53aを矢印Bとは逆方向に走行させる。これにより、搬送ベルト53の上側走行部53a上に残っている商品Pが図示省略の商品受取部に搬送される。なお、このような搬送装置3の動作及び分離搬送装置50の動作も制御装置150によって制御される。
【0092】
このようにすると、購買者等への商品Pの提供とトレイ31の回収とが行われるので、利便性が向上する。
【0093】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形及び変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0094】
1…商品提供装置、2…商品陳列ケース、3…搬送装置、4…トレイホルダー、5…保持体、6…移動機構、16…収容空間、21…商品陳列部、30…トレイ連結体、31…トレイ、50…分離搬送装置、P…商品