(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】加熱可能なガラスパネル
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20240401BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240401BHJP
B60S 1/02 20060101ALI20240401BHJP
H05B 3/86 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H05B3/20 392B
B60J1/00 H
B60S1/02 300
H05B3/86
(21)【出願番号】P 2021519796
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2019076822
(87)【国際公開番号】W WO2020074362
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】スマッジ, マテュー
(72)【発明者】
【氏名】ラッジニ, チャーリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴザリ, サラ, エディン
(72)【発明者】
【氏名】デフォイ, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ダカン, ロマン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535025(JP,A)
【文献】特表2017-533534(JP,A)
【文献】特表2018-524254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
B60J 1/00
B60S 1/02
H05B 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1種のポリマーを含む中間層によって互いに積層される、内面及び外面をそれぞれ備える第1の外側基材及び第2の内側基材(1);
- 前記外側基材と前記内側基材との間に設けられた少なくとも1つの加熱可能な導電層を含むコーティング(2)であって、前記コーティング(2)は、少なくとも1つの
電気的に加熱可能なコーティングゾーン(31)と少なくとも1つの非加熱可能なコーティングゾーン(42、43)とに分割され、前記
少なくとも1つの電気的に加熱可能な
コーティングゾーン(31)は、コーティング削除領域によって絶縁されている少なくとも2つのゾーン境界(6、7)によって区切られる、コーティング(2);
- 少なくとも第1及び第2の導電性バスバー(21、22)であって、離間した前記第1及び第2のバスバー(21、22)のそれぞれは、前記少なくとも1つの電気的に加熱可能なコーティングゾーン(31)を横切って電圧を供給するように適合され、且つ電流が前記第1及び第2のバスバー(21、22)を通して流されるとき、前記少なくとも1つの電気的に加熱可能なコーティングゾーン(31)のみが加熱され、及び前記バスバー(21、22)間に導電路が規定される、第1及び第2の導電性バスバー(21、22)
を含む、積層された電気的に加熱可能なガラスパネル
であって、
前記ゾーン境界(6、7)の幅は300μm以上である、電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項2】
前記導電路の少なくとも一部分は、前記ガラスパネルの下縁(35)から前記ガラスパネルの上縁(36)まで実質的に延在する、請求項1に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電気的に加熱可能な
コーティングゾーン(31)は
、板ガラスの主要な面である、請求項1又は2に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項4】
前記第1及び前記第2のバスバー(21、22)は、前記ガラスパネルの前記下縁(35)及び前記上縁(36)の長さに沿って設けられる、請求項
2に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項5】
前記
少なくとも1つの電気的に加熱可能な
コーティングゾーン(31)は、前記ガラスパネルの非コーティング部分によって絶縁され
るゾーン境界(6、7)によって区切られる、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項6】
前記第1及び第2のバスバー(21、22)の一方は前記
少なくとも1つの電気的に加熱可能なコーティングゾーン(31)に沿って延在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項7】
前記コーティン
グ(2)は太陽光制御コーティング層である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項8】
前記コーティン
グ(2)は、2~25Ω/平方の抵抗を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項9】
前記基材(1)はガラス板である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項10】
第1及び第2の線形のコーティング削除領域(6、7)は、前記少なくとも1つの電気的に加熱可能なコーティングゾーン(31)を区切る、請求項1~
9のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項11】
前記ガラスパネルは自動車のフロントガラスである、請求項1~
10のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項12】
前記ガラスパネルは、サンルーフまで延在するフロントガラスのワンピースに形成された、自動車の板ガラスである、請求項1~
11のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項13】
前記ガラスパネルは後部窓であり、前記
ゾーン境界(6、7)は、平面図において
、板ガラスの前記上縁及び下縁(36、35)に対して直交する、請求項
2に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【請求項14】
前記
少なくとも1つの電気的に加熱可能なコーティングゾーン(31)は、自動車の乗員の視野にわたって延在する、請求項1~
13のいずれか1項に記載の電気的に加熱可能なガラスパネル(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に加熱可能なガラスパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
導電性コーティング層を含み、且つ実質的に規則的な形状、例えば長方形である、加熱可能なガラスパネルの場合、電流は、例えば、互いに実質的に平行である金属製のバスバーを通して導電性コーティング層にもたらされる。この特定の場合には、バスバー間のそれらの全長に沿った距離は、実質的に同じままである。それゆえ、バスバーの長さに沿った電流路の電気抵抗は、実質的に同じである。そのようなガラスパネルが所与の電圧を受けるときに、生成される熱量は、導電性コーティング層で覆われたガラスパネルの全面のいたるところで実質的に均一となる。
【0003】
実質的に不規則な形状の加熱可能なガラスパネル、例えば自動車、鉄道又は航空業界の適用例におけるガラスパネルの場合には、それらの長さに沿った少なくとも一部分において広がる、離間した複数のバスバーが使用されることができる。それゆえ、バスバー間の距離は変化し、結果的に、電流路の電気抵抗も変化する。それゆえ、そのようなガラスパネルが所与の電圧を受けるときに、生成される熱量は、バスバーの長さに沿って変化し、それにより、局所的な領域が過熱となるリスクを生じ、これにより、導電性コーティング層を損傷又は破壊することがある。さらに、そのような加熱可能なガラスパネルが防曇又は解氷目的に使用されるとき、いくつかの領域は、他の領域よりも速く曇りが取れたり又は解氷されたりする。これは、そのようなガラスパネルを通して見る観察者の可視性の問題を生じることがある。
【0004】
加熱可能な窓が当技術分野において公知である。車両用の従来の加熱可能な窓は、一般に、導電層を含む導電性コーティングと電気的に接続する第1及び第2の導電性バスバーを含む。通常、第1のバスバーは窓の上部に、及び第2のバスバーは窓の底部に設けられる。バスバー間の箇所にある導電層は、電流がバスバーを経由してそこを通ると熱を発生させる。そのような方法で、車両の窓、例えばフロントガラス、後部窓、サイドウィンドウ(sidelite)などから雪や氷が溶かされることができる。窓はまた、そのような方法で曇りを取り除かれることができる。
【0005】
近年、積層後部窓、及びサンルーフまで延在して「単一のワンピース型」を形成する非常に大きなフロントガラスが、車両、例えば自動車、トラック、スポーツ用多目的車などで望まれるようになってきている。
【0006】
残念ながら、バスバーの従来の位置及び霜取り/曇り取りのためのゾーンでは、板ガラス、特にそのようなガラスパネルを通して見る監視者の視界のゾーンに対応する板ガラスの主ゾーンを均一に及び効率的に加熱することは、一般的に困難である。ガラスパネルをより効率的に加熱するために、従来の加熱可能なフロントガラスの上方バスバーの形状を単に修正した場合、フロントガラスが加熱されるにつれて、上方バスバーの隅/湾曲領域にホットスポットが発生する傾向がある(すなわち、電流フローがほぼ均一に分布されない)。
【0007】
上記を考慮して、当業者には、過熱の可能性を低下させ且つ窓を効率的に加熱できるようにするために、電流フローをほぼ均一に分布させることができる加熱可能な窓設計に対するニーズが当技術分野において存在することが明白である。
【発明の概要】
【0008】
一態様によれば、本発明は、請求項1による加熱可能なガラスパネルを提供する。他の請求項は、本発明の代替形態及び/又は好ましい態様を定義する。
【0009】
本発明の目的は:
- 少なくとも1種のポリマーを含む中間層を介して互いに積層された、内面及び外面をそれぞれ備える第1の外側基材及び第2の内側基材;
- 外側基材と内側基材との間に設けられた少なくとも1つの加熱可能な導電層を含むコーティングであって、前記コーティングは、少なくとも1つの加熱可能なコーティングゾーンと少なくとも1つの非加熱可能なコーティングゾーンとに分割され、第1の加熱可能なゾーンは、コーティング削除領域によって絶縁されている少なくとも2つのゾーン境界によって区切られる、コーティング;
- 少なくとも第1及び第2の導電性バスバーであって、前記第1及び第2のバスバーの互いに離間したバスバーのそれぞれは、少なくとも1つの電気的に加熱可能なコーティングゾーンを横切って電圧を供給するように適合される、第1及び第2の導電性バスバー
を含む、積層された電気的に加熱可能なガラスパネルを含む、加熱可能な車両の窓を提供することにある。
【0010】
本発明によれば、電流が前記第1及び第2のバスバーを通して流されるとき、少なくとも1つの電気的に加熱可能なコーティングゾーンのみが加熱され、及びバスバー間に導電路が規定される。
【0011】
本発明の別の目的は、過熱の高い可能性に影響を受けることなく、少なくとも第1の加熱可能なゾーンを均一に加熱する、加熱可能な窓設計を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、上述の目的の1つ以上を満たすことにある。
【0013】
離間した複数のバスバーの両端子間に電圧を印加したときに生成される熱は、ガラスパネルの全面にわたって実質的に同じとすることができる。一実施形態では、それゆえ、ガラスパネルは、実質的に均一に解氷又は防曇される。
【0014】
好都合にも、導電路の少なくとも一部分は、実質的にガラスパネルの下縁からガラスパネルの上縁まで延在する。この実施形態では、熱は、ガラスパネルの上縁及び下縁で実質的に同時に生成されることができ、ガラスパネルのこれら両縁部の双方での均一な加熱を可能にする。
【0015】
本発明の実施形態によれば、導電路の少なくとも一部分は、ガラスパネルの側縁からガラスパネルの対向する側縁及びガラスパネルの下縁まで実質的に延在する。これは、特に、例えばガラス製サンルーフまで延在して、フロントガラスとガラス製サンルーフとによって形成されたワンピース型板ガラスを形成するフロントガラス(キャノピーとも呼ばれる)など、自動車のフロントガラスが大きい場合である。このタイプの板ガラスは、視覚的な利点を提供するものの、ホットスポットを生じさせないで均一に加熱することが困難であり、それゆえ、板ガラスに損傷が形成されることができる。
【0016】
それゆえ、本発明の1つの目的は、そのようなガラスパネルを通して見る監視者用の視界ゾーンを、均一に、迅速に、且つ効率的に加熱するための解決法を提案することにある。これは、デコーティング領域によって、迅速且つ効率的に加熱されるべきゾーンを区切ったことのおかげで可能である。
【0017】
好ましくは、ガラスパネルは、導電性コーティング層で実質的に覆われている;例えば、ガラスパネルの少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%は、コーティング層で覆われることができる。これは、ガラスパネルに光学特性(例えば反射、反射色、全可視光透過率、全エネルギー透過率)を提供することができ、光学特性は、各ゾーンで実質的に同じであり、好ましくは板ガラスの全可視表面にわたって実質的に同じである。
【0018】
好ましくは、本発明によるガラスパネルは、自動車の板ガラス、より詳細には、フロントガラス又は合わせ後部窓である。
【0019】
導電性コーティング層内の少なくとも所望のゾーンを均一に且つ効果的に加熱するための、本発明による電気的に加熱可能なゾーンの導電路の配置は、導電路の表面を、ガラスパネルのサイズ、形状又は形態とは無関係に設計することができるようにすることができる。これにより、対象となる部分のガラスパネルの高さ、形状又は構成を直接制限せずに、導電路の電気抵抗をガラスパネルの異なる部分において選択できるようにする。いくつかの実施形態では、これは、特に導電性の加熱可能な各ゾーンにわたって実質的に同じ電圧が加えられている場合、ガラスパネルの全面にわたって実質的に同じ加熱を達成するために使用されることができる。
【0020】
好都合にも、バスバーは、ガラスパネルの同じ縁の長さに沿って、例えば、ガラスパネルの下縁に沿って置かれる;これにより、例えば、バスバーをエナメル若しくは他のマスキング剤で被覆することによって、又は、バスバーが例えば車両の車体の一部により使用中に隠されるように配置することによって、バスバーを視界から容易に隠すことができる。
【0021】
電気加熱可能なゾーンは、絶縁性である少なくとも2つのゾーン境界によって区切られる。本明細書では、表現「絶縁性である」は、コーティング層よりも導電性が劣るか又は電流に対し実質的に非導電性であるゾーン境界を指す。
【0022】
導電性コーティング層上に、コーティング層よりも導電性の劣る材料をパターン状に設けることによって、ゾーン境界が提供されることができる。好ましくは、ゾーン境界は、ガラスパネルの1つ以上の非コーティング部分によって提供される。1つ以上の非コーティング部分は、電圧がバスバー間に印加されるとき、それを通って実質的に電流が流れないような電気抵抗を有することができるため、実質的に導電性ではない可能性がある。1つ以上の非コーティング部分は、導電層を堆積する前に、パターン状に基材にマスキング剤を塗布し、及びその後、コーティング層で覆われたマスキング剤を除去することによって、提供されることができる。或いは、1つ以上の非コーティング部分は、堆積後に導電性コーティング層を除去することによって、提供されることができる。好都合なことに、コーティング層は、レーザ、例えばレーザダイオードを用いて除去されることができる。ゾーン境界は、特にコーティング層の一部のレーザ除去によって形成されている場合、実質的に裸眼では見えないようにすることができる。好都合なことに、ゾーン境界の幅は、300μm以上である。ゾーン境界は、1つの電気加熱可能なゾーンを別の電気加熱可能なゾーンから区切るか又は実質的に区切ることができる。
【0023】
バスバーは、貴金属ペースト、例えば銀ペーストの堆積によって、又は金属リボンの堆積によって、形成されることができる。
【0024】
導電性コーティング層を太陽光制御コーティング層となるように配置することによって、太陽光エネルギーが板ガラスを過度に通過して、ガラスパネルの加熱性と組み合わせられることを防止する機能を可能にすることができる。本明細書では、用語「太陽光制御」は、基材の選択性を高める、すなわち、基材を透過した入射可視光対基材を透過した入射太陽光エネルギーの比を高めるコーティング層に帰する。或いは、導電性コーティング層は、低放射率コーティングとすることができる。
【0025】
導電性コーティング層は、真空蒸着技術によって、例えばマグネトロンスパッタリングによって堆積されることができるか、又は例えば化学蒸着によって熱分解形成されることができる。コーティング層は、好ましくは全面にわたって又は基材の表面の大部分にわたって適用されることができる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、塗膜は、少なくとも1つの金属の赤外線反射層を含む。塗膜は、以下のような一連の層を含むことができる:誘電体層/銀/誘電体層、又は誘電体層/銀/誘電体層/銀/誘電体層。誘電体層は、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、窒化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、又はこれらの1種以上の混合物を含むことができる。
【0027】
導電性コーティング層は、好ましくは、0.5~100オーム/平方(ohms per square)、好ましくは0.5~25オーム/平方、例えば、0.8、2.5、又は10オーム/平方の抵抗を有する。
【0028】
本発明によるガラスパネルでは、基材は、ガラス、例えば平板ガラス、ソーダ石灰ガラス、又はフロートガラスのシート、特に建築上の又は車両のガラスパネルとして後で使用される又はそれに組み込まれることを目的としたガラス板とすることができる。コーティング層がその表面の少なくとも一部に堆積される前又は堆積された後に、熱強化処理又は曲げ処理を受けることができる。或いは、基材は、同じく建築上の又は車両のガラスパネルとして後で使用される又はそれに組み込まれることを目的とした硬質又は軟質プラスチックシート材料とすることができる。
【0029】
導電性コーティング層は、基材の表面に直接提供されても、或いは、ガラスパネルに組み込まれた、膜、例えば、PET又は他のプラスチックシート材料によって保持されてもよい。
【0030】
ガラスパネルは、車両又は列車のフロントガラス又は後部窓、航空機の風防、又は航海分野での適用例のガラスパネルとすることができる。
【0031】
ガラスパネルは、バスバーにわたって印加される10~100ボルト、好ましくは30~55ボルトの電圧を有するように適合されることができる。自動車の適用例では、32ボルト、一層好ましくは36ボルト、最も好ましくは42ボルトの電圧が印加される。或いは、ガラスパネルは、バスバーにわたって印加される10~14ボルト、例えば約12ボルトの電圧を有するように適合されることができる。電気加熱可能なゾーンによって生成された熱は、好ましくは1平方メートル当たり250~1500ワットに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の別の例示的な実施形態による加熱可能な車両の後部窓の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここで、本発明を、例示としてのみ、ガラスパネルの概略図である
図1を参照して説明する。
【0034】
本発明の特定の実施形態は、加熱可能な車両の窓、より詳細には、少なくとも第1の加熱ゾーンを含む後部窓に関する。加熱可能なコーティング(1つ以上の層を含み、そのうちの少なくとも1つは、導電性であって加熱可能である)が、窓の基材に元々設けられている。元々のコーティングは、元々のコーティングを少なくとも2つの異なる離間した加熱可能なコーティング部分と加熱ゾーンとに分割するために、部分的に削除されている。第1及び第2の離間した導電性バスバーが、加熱可能なコーティング部分の上側に設けられ、両バスバーは、少なくとも2つの異なる加熱可能なコーティング部分のそれぞれと電気的につながっている。2つのバスバーを使用して、電流を、加熱可能なコーティング部分(バスバーには接続されていないが)から離間された少なくとも1つの加熱ゾーンを通して流すようにして、そのようなガラスパネルを通して見る監視者用の視界のゾーンに対応する主ゾーンを均一に且つ効率的に加熱するようにし、それにより、窓を加熱できるようにする。
【0035】
コーティングが少なくとも2つの異なるコーティング部分に分割されているため、上部バスバーに沿ってほぼ均一な電流分布が可能にされて、窓が加熱されているときに過熱の可能性を低下させる。
【0036】
図1を参照して説明すると、車両の後部窓は、第1のガラス基材と第2のガラス基材との間に挟まれたコーティングを含む。コーティングは、本発明のいくつかの実施形態では、単層コーティング(例えば、導電性のAg又はITOの)としても、又はその代わりに、本発明の他の実施形態においては多層low-Eコーティングとしてもよい。コーティングは、コーティングを少なくとも2つの異なる離間した加熱可能なコーティング部分、すなわち、第1の加熱可能なコーティング部分、加熱専用ではない第2の又は/第3の中間コーティング部分に分割するために、削除線を媒介して少なくとも部分的に削除されている。元々のコーティングのそのような削除は、レーザ削除、サンドブラスト削除、削除用の研削砥石若しくは研磨ディスク、又は任意の他の好適なコーティング削除技術/機器によって行われることができる。
【0037】
加熱可能なコーティング部分は、コーティング削除によって形成された絶縁領域によって加熱されない互いの部分から離間される(すなわち、複数の加熱可能なコーティング部分間の削除/絶縁領域、及び削除/絶縁領域を参照されたい)。
【0038】
コーティングが削除線を媒介して削除されるため、第1の加熱可能なゾーンは、コーティングされている部分から互いに電気的に絶縁されている(完全に又は少なくとも部分的に)。例示のためにすぎないが、絶縁/削除領域は、細い線の形状に形成されることができる(例えば、約0.5mm以下の間隙をもたらす)。任意選択的に、いくつかの実施形態では、コーティングはまた、バスバーリード、1つ又は複数の延長部などに適応するために、窓の少なくとも1つの縁に沿って削除されることができる(例えば、窓の1つ又は複数の縁に沿ったコーティング削除領域4cを参照)。
【0039】
依然として
図1を参照して説明すると、従来の積層のために、基材間に、ポリビニルブチラール(PVB)含有中間層(図示せず)が設けられている。本発明のいくつかの実施形態によれば、基材の一方の内面にコーティングは設けられるため、コーティングは、後部窓又はフロントガラスの第2又は第3の面として従来公知のものに設けられる。
図1は、自動車の後部窓の合わせガラスの形態のガラスパネル(10)、板ガラスの実質的に全面にわたる実質的に透明の導電性コーティング層(2)、バスバー(21、22)、及び1つの電気的に加熱可能なゾーン(31)を区切る絶縁性ゾーン境界(6)、(7)を示す。電気的に加熱可能なゾーン(31)は、そのようなガラスパネルを通して見る監視者用の視界のゾーンである。導電性コーティングを備える第1の加熱可能なゾーンに隣接する2つのゾーン(42、43)は、バスバー(21、22)に電気的に接続されていないため、加熱されない。各バスバーは、厚さ40μm及び幅15mmの銀ペーストの層を例えばスクリーン印刷することによって形成される。
【0040】
バスバーは、加熱可能な導電性コーティングと接触して合わせガラスに配置される。
【0041】
この実施形態では、離間したバスバー21、22が、板ガラスの上縁35及び下縁36に配置される。この実施形態では、バスバー21、22は、板ガラスの側縁を越えて部分的に延在する。好ましくは線の形態の絶縁性ゾーン境界7は、加熱されるゾーン31を区切る。
【0042】
バスバーは銅製とすることができるため、バスバーは、接着性があるおかげで、板ガラスにくっつく。
【0043】
第1の電気的に加熱可能なゾーン31の導電路は、この電気的に加熱可能なゾーンを横切って電圧を印加するように適合されるバスバー21と22との間に規定される。
【0044】
絶縁性ゾーン境界6、7は、コーティングの削除によって作製される。コーティングの削除は、板ガラスの上縁及び下縁35、36に対して実質的に直交するように行われる。
【0045】
好都合なことに、コーティング層は、レーザ、例えばレーザダイオードによって除去されることができる。ゾーン境界は、特にコーティング層の一部のレーザ除去によって形成される場合、実質的に裸眼では見えないことがある。好都合なことに、ゾーン境界の幅は、300μm以上である。ゾーン境界は、1つの電気的に加熱可能なゾーンを別の電気的に加熱可能なゾーンから区切ることができる又は実質的に区切ることができる。
【0046】
バスバーは、ガラスパネルが取り付けられるように適合される車体のガラスパネルの下縁及び側縁に隠されることによって、使用中、見えなくされることができる。
【0047】
本発明の別の実施形態によれば、ガラスパネル10は、合わせガラス、板ガラスの実質的に全面にわたる実質的に透明の導電性コーティング層、バスバー、及び1つの電気的に加熱可能なゾーンを区切る絶縁性ゾーン境界を含む、自動車のキャノピー、すなわちサンルーフまで延在するフロントガラスとすることができる。電気的に加熱可能なゾーンは、そのようなガラスパネルを通して見る監視者用の視界のゾーンである。導電性コーティングを備える第1の加熱可能なゾーンに隣接する2つのゾーンは、バスバーに電気的に接続されていないため、加熱されない。各バスバーは、厚さ40μm及び幅15mmの銀ペーストの層を例えばスクリーン印刷することによって形成される。
【0048】
バスバーは、加熱可能な導電性コーティングと接触する合わせガラスに配置される。
【0049】
この実施形態では、離間したバスバーは、板ガラスの側縁の近くに、及び加熱可能な導電性コーティングと接触する板ガラスの下縁に、横方向に離間される。この特定の実施形態では、バスバーはワンピースに作製される。バスバーは銅製とすることができるため、バスバーは、接着性があるおかげで、板ガラスにくっつく。この特定の実施形態では、第1の境界は板ガラスの下方部分に設けられ、及び第2の境界は板ガラスの上方部分に、より詳細には「フロントガラス部分」において、設けられて、そのようなガラスパネルを通して見る監視者用の視界ゾーンを区切る。この場合、キャノピーは、電流を印加することによって加熱されない。バスバーはワンピースに作製されることができる。
【0050】
バスバーは銅製とすることができるため、バスバーは、接着性があるおかげで、板ガラスにくっつく。