(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】レーザ加工方法、レーザ加工装置、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20240401BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20240401BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20240401BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/70
B23C3/00
B23Q3/155 K
(21)【出願番号】P 2023576387
(86)(22)【出願日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2023022217
【審査請求日】2023-12-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 計介
(72)【発明者】
【氏名】島本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】市野 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 徹也
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-157638(JP,A)
【文献】特開2020-163436(JP,A)
【文献】特開2016-112601(JP,A)
【文献】特開2006-102812(JP,A)
【文献】特開2022-15809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/38
B23K 26/70
B23C 3/00
B23Q 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に板材を載置する工程と、
前記支持部材に載置された前記板材にレーザを照射することにより、前記板材を加工する工程と、
前記支持部材から加工済み板材を取り外す工程と、
前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去する工程と
を具備
し、
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、回転指令を受信する回転駆動装置が、前記工具を回転軸まわりに回転させることと、移動指令を受信する移動装置が、回転状態の前記工具を移動経路に沿って移動させることを含む
レーザ加工方法。
【請求項2】
支持部材に板材を載置する工程と、
前記支持部材に載置された前記板材にレーザを照射することにより、前記板材を加工する工程と、
前記支持部材から加工済み板材を取り外す工程と、
前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去する工程と
を具備し、
前記板材を加工する工程は、複合加工機の第1ヘッドから前記板材に前記レーザを照射することを含み、
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、前記複合加工機の第2ヘッドに取り付けられた前記工具が回転軸まわりに回転している状態で、前記工具を前記支持部材に付着した前記ドロスに接触させることを含む
レーザ加工方法。
【請求項3】
前記レーザによる前記板材の加工と、前記支持部材からの前記ドロスの除去とが、平面視において同一の領域において行われる
請求項1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項4】
前記支持部材は、水平面に対して立ち姿勢となるように配置された複数の板部材を有し、
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、前記複数の板部材の少なくとも一つに付着した前記ドロスに、回転状態の前記工具を接触させることを含む
請求項
1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項5】
前記支持部材は、第1板部材を含み、
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、回転状態の前記工具が前記第1板部材に付着した前記ドロスに接触するよう、回転状態の前記工具を前記第1板部材の長手方向に沿って移動させることを含む
請求項
1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項6】
前記支持部材は、第1板部材および第2板部材を含み、
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、回転状態の前記工具が前記第1板部材に付着した前記ドロスに接触するよう、前記第1板部材と前記第2板部材との間に位置する第1経路に沿って、回転状態の前記工具を移動させることを含む
請求項
1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項7】
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、回転状態の前記工具が前記第2板部材に付着した前記ドロスに接触するよう、前記第1板部材と前記第2板部材との間に位置する第2経路に沿って、回転状態の前記工具を移動させることを含み、
前記第1経路は、前記第2経路と比較して、前記第1板部材に近い経路であり、
前記第2経路は、前記第1経路と比較して、前記第2板部材に近い経路である
請求項6に記載のレーザ加工方法。
【請求項8】
前記支持部材は、前記板材を支持する複数の頂部を有し、
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、回転状態の前記工具が前記複数の頂部のうちの少なくとも一つに付着した前記ドロスに接触するよう、回転状態の前記工具を、前記複数の頂部が位置する第1平面に沿って移動させることを含む
請求項
1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項9】
ヘッドに第2工具を取り付ける工程と、
前記支持部材に載置された前記板材に回転状態の前記第2工具を接触させることにより、前記ヘッドに取り付けられた前記第2工具によって前記板材を加工する工程と、
前記ヘッドから前記第2工具を取り外す工程と、
前記ヘッドに、ドロス除去用の前記工具を取り付ける工程と
を更に具備し、
前記支持部材から前記ドロスを除去する工程は、前記支持部材に付着した前記ドロスに、回転状態のドロス除去用の前記工具を接触させることを含む
請求項
1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項10】
前記工具は、軸部材と、前記軸部材に取付けられた少なくとも1つの線材とを含み、
前記少なくとも1つの線材を前記ドロスに接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去する
請求項
1または2に記載のレーザ加工方法。
【請求項11】
支持部材によって支持される板材にレーザを照射する第1ヘッドを含むレーザ照射装置と、
工具を回転可能に支持する第2ヘッドと、
前記工具を回転させる回転駆動装置と、
前記第2ヘッドを前記支持部材に対して相対移動させる移動装置と、
前記レーザ照射装置、前記回転駆動装置、および、前記移動装置を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、
前記第1ヘッドから前記板材に前記レーザを照射する第1加工モードと、
前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の前記工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去するドロス除去モードと
を選択的に実行可能であ
り、
前記第2ヘッドは、ドロス除去用の前記工具と、板材加工用の第2工具とを選択的に保持可能である
レーザ加工装置。
【請求項12】
支持部材によって支持される板材にレーザを照射する第1ヘッドを含むレーザ照射装置と、
工具を回転可能に支持する第2ヘッドと、
前記工具を回転させる回転駆動装置と、
前記第2ヘッドを前記支持部材に対して相対移動させる移動装置と、
前記レーザ照射装置、前記回転駆動装置、および、前記移動装置を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、
前記第1ヘッドから前記板材に前記レーザを照射する第1加工モードと、
前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の前記工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去するドロス除去モードと
を選択的に実行可能であり、
前記移動装置は、
前記第1ヘッドおよび前記第2ヘッドの両方を支持する移動体と、
前記移動体を移動させる駆動装置と
を有する
レーザ加工装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記第2ヘッドによって保持される
前記第2工具によって、前記板材を加工する第2加工モードを実行可能である
請求項
11に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記工具が、前記支持部材のうちのレーザ照射の非対象領域と比較して、前記支持部材のうちのレーザ照射の対象領域を集中して通過するように、前記工具の移動経路を導出し、
前記ドロス除去モードは、回転状態の前記工具を前記移動経路に沿って移動させることを含む
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
支持部材に載置された板材にレーザを照射することにより、前記板材を加工する工程と、
回転指令を受信する回転駆動装置が、工具を回転軸まわりに回転させ、且つ、移動指令を受信する移動装置が、回転状態の前記工具を移動経路に沿って移動させる工程と、
前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、
前記移動経路に沿って移動する回転状態の
前記工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去する工程と
を具備するレーザ加工方法をレーザ加工装置に実行させるためのプログラム。
【請求項16】
支持部材に板材を載置する工程と、
前記支持部材に載置された前記板材にレーザを照射することにより、前記板材を加工する工程と、
前記支持部材から加工済み板材を取り外す工程と、
前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去する工程と
を具備し、
前記レーザによる前記板材の加工と、前記支持部材からの前記ドロスの除去とが、平面視において同一の領域において行われる
レーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工方法、レーザ加工装置、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを用いて板材を加工するレーザ加工機が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、レーザ加工機が開示されている。特許文献1に記載のレーザ加工機は、ワークに対して相対移動されるヘッドを有する。ヘッドは、レーザ加工工具と機械加工工具とを交換自在に装着するクランプ装置を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、支持部材に付着したドロスを支持部材から除去することが可能なレーザ加工方法、レーザ加工装置、および、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態におけるレーザ加工方法は、支持部材に板材を載置する工程と、前記支持部材に載置された前記板材にレーザを照射することにより、前記板材を加工する工程と、前記支持部材から加工済み板材を取り外す工程と、前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去する工程と、を具備する。
【0007】
いくつかの実施形態におけるレーザ加工装置は、支持部材によって支持される板材にレーザを照射する第1ヘッドを含むレーザ照射装置と、工具を回転可能に支持する第2ヘッドと、前記工具を回転させる回転駆動装置と、前記第2ヘッドを前記支持部材に対して相対移動させる移動装置と、前記レーザ照射装置、前記回転駆動装置、および、前記移動装置を制御する制御装置と、を具備する。前記制御装置は、前記第1ヘッドから前記板材に前記レーザを照射する第1加工モードと、前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の前記工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去するドロス除去モードと、を選択的に実行可能である。
【0008】
いくつかの実施形態におけるプログラムは、支持部材に載置された板材にレーザを照射することにより、前記板材を加工する工程と、前記板材に前記レーザが照射されることに起因して前記支持部材に付着したドロスに、回転状態の工具を接触させることにより、前記支持部材から前記ドロスを除去する工程と、を具備するレーザ加工方法をレーザ加工装置に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、支持部材に付着したドロスを支持部材から除去することが可能なレーザ加工方法、レーザ加工装置、および、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、支持部材を模式的に示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、支持部材の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、支持部材に、板材が載置される様子を模式的に示す概略平面図である。
【
図4】
図4は、支持部材に板材が載置された後の状態を模式的に示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4において一点鎖線の円A1で示される領域の拡大図である。
【
図6】
図6は、レーザ加工が行われている様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6において一点鎖線の円A2で示される領域の拡大図である。
【
図8】
図8は、支持部材に載置された板材が加工された後の状態を模式的に示す概略斜視図である。
【
図9】
図9は、支持部材から加工済み板材が取り外された後の状態を模式的に示す概略平面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の第1変形例におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は、支持部材に複数片のドロスが付着している様子を拡大して示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、支持部材が取出領域から加工領域に移送された後の状態を模式的に示す概略斜視図である。
【
図13】
図13は、ドロス除去工程が実行されている様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図15】
図15は、第1の実施形態におけるレーザ加工方法を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、支持部材の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図17】
図17は、支持部材を模式的に示す概略斜視図である。
【
図18】
図18は、回転状態の工具を用いて、支持部材からドロスが除去される様子を模式的に示す概略側面図である。
【
図19】
図19は、回転状態の工具を用いて、支持部材からドロスが除去される様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図20】
図20は、回転状態の工具を用いて、支持部材からドロスが除去される様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図21】
図21は、回転状態の工具を用いて、支持部材からドロスが除去される様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図22】
図22は、回転状態の工具を用いて、支持部材からドロスが除去される様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図23】
図23は、変形例において、回転状態の工具を用いて、支持部材からドロスが除去される様子を模式的に示す概略側面図である。
【
図24】
図24は、変形例における支持部材の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図25】
図25は、第2ヘッドに取り付けられた第2工具を用いて、板材が加工されている様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図26】
図26は、第1の実施形態におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略側面図である。
【
図27】
図27は、第1の実施形態におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略正面図である。
【
図28】
図28は、第1の実施形態におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略平面図である。
【
図29】
図29は、ドロス除去工程が実行されている様子を模式的に示す概略側面図である。
【
図30】
図30は、第1の実施形態の第2変形例におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略側面図である。
【
図31】
図31は、第1の実施形態の第3変形例におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略斜視図である。
【
図32】
図32は、レーザ照射装置を模式的に示す概略斜視図である。
【
図33】
図33は、第1の実施形態の第4変形例におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略側面図である。
【
図34】
図34は、第1の実施形態の第4変形例におけるレーザ加工装置を模式的に示す概略側面図である。
【
図35】
図35は、制御対象機器が制御装置によって制御可能な様子を模式的に示す図である。
【
図36】
図36は、工具の移動経路の一例を模式的に示す概略平面図である。
【
図37】
図37は、第2ヘッドに取り付けられた第2工具を用いて、板材が加工されている様子を模式的に示す概略側面図である。
【
図38】
図38は、プログラムを記録した記憶媒体の一例を模式的に示す図である。
【
図39】
図39は、複数の線材が軸部材に取り付けられた工具を用いて、ドロスが除去される様子を模式的に示す概略斜視図である。
【
図40】
図40は、複数の線材が軸部材に取り付けられた工具を用いて、ドロスが除去される様子を模式的に示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態におけるレーザ加工方法、レーザ加工装置1、および、プログラム722について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至
図38を参照して、第1の実施形態におけるレーザ加工方法、レーザ加工装置1、および、プログラム722について説明する。
図1は、支持部材2を模式的に示す概略斜視図である。
図2は、支持部材2の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
図3は、支持部材2に、板材Wが載置される様子を模式的に示す概略平面図である。
図4は、支持部材2に板材Wが載置された後の状態を模式的に示す概略斜視図である。
図5は、
図4において一点鎖線の円A1で示される領域の拡大図である。
図6は、レーザ加工が行われている様子を模式的に示す概略斜視図である。
図7は、
図6において一点鎖線の円A2で示される領域の拡大図である。
図8は、支持部材2に載置された板材が加工された後の状態を模式的に示す概略斜視図である。
図9は、支持部材2から加工済み板材Wbが取り外された後の状態を模式的に示す概略平面図である。
図10は、第1の実施形態の第1変形例におけるレーザ加工装置1を模式的に示す概略斜視図である。
図11は、支持部材2に複数片のドロスDが付着している様子を拡大して示す概略斜視図である。
図12は、支持部材2が取出領域RG2から加工領域RG1に移送された後の状態を模式的に示す概略斜視図である、
図13は、ドロス除去工程が実行されている様子を模式的に示す概略斜視図である。
図14は、
図13において一点鎖線の円A3で示される領域の拡大図である。
図15は、第1の実施形態におけるレーザ加工方法を示すフローチャートである。
図16は、支持部材2の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
図17は、支持部材2を模式的に示す概略斜視図である。
図18は、回転状態の工具91を用いて、支持部材2からドロスDが除去される様子を模式的に示す概略側面図である。
図19および
図20は、回転状態の工具91を用いて、支持部材2からドロスDが除去される様子を模式的に示す概略斜視図である。なお、
図19および
図20は、支持部材2を斜め上方から見たときの図である。
図21および
図22は、回転状態の工具91を用いて、支持部材2からドロスDが除去される様子を模式的に示す概略斜視図である。
図23は、変形例において、回転状態の工具91を用いて、支持部材2からドロスDが除去される様子を模式的に示す概略側面図である。
図24は、変形例における支持部材2の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
図25は、第2ヘッド41に取り付けられた第2工具92を用いて、板材Wが加工されている様子を模式的に示す概略斜視図である。
図26は、第1の実施形態におけるレーザ加工装置1を模式的に示す概略側面図である。
図27は、第1の実施形態におけるレーザ加工装置1を模式的に示す概略正面図である。
図28は、第1の実施形態におけるレーザ加工装置1を模式的に示す概略平面図である。
図29は、ドロス除去工程が実行されている様子を模式的に示す概略側面図である。
図30は、第1の実施形態の第2変形例におけるレーザ加工装置1を模式的に示す概略側面図である。
図31は、第1の実施形態の第3変形例におけるレーザ加工装置1を模式的に示す概略斜視図である。
図32は、レーザ照射装置3を模式的に示す概略斜視図である。
図33および
図34は、第1の実施形態の第4変形例におけるレーザ加工装置1を模式的に示す概略側面図である。
図35は、制御対象機器が制御装置7によって制御可能な様子を模式的に示す図である。
図36は、工具91の移動経路の一例を模式的に示す概略平面図である。
図37は、第2ヘッド41に取り付けられた第2工具92を用いて、板材Wが加工されている様子を模式的に示す概略側面図である。
図38は、プログラム722を記録した記憶媒体72Mの一例を模式的に示す図である。
【0013】
図1に例示されるように、第1ステップST1において、支持部材2が準備される。第1ステップST1は、準備工程である。支持部材2は、板材がレーザ加工される際に、当該板材を支持する。
図2に例示されるように、支持部材2は、板材を支持する複数の頂部TPを有していてもよい。支持部材2が、板材を支持する剣山を含む場合には、当該剣山は、板材を支持する複数の頂部TPを有する。
【0014】
図3および
図4に例示されるように、第2ステップST2において、支持部材2に板材Wが載置される。第2ステップST2は、載置工程である。載置工程(第2ステップST2)は、板材移送装置6(例えば、ロボットハンド60)を用いて行われてもよい。ロボットハンド60は、例えば、板材Wを吸着する複数の吸盤61、または、板材Wを下方から支持するフォークを有する。代替的に、載置工程(第2ステップST2)は、人手によって行われてもよい。
【0015】
図5に例示されるように、載置工程(第2ステップST2)の実行後、板材Wは、支持部材2の複数の頂部TPによって支持される。複数の頂部TPは、水平面に平行な第1平面上に位置することが好ましい。換言すれば、複数の頂部TPは、水平面に平行な仮想平面上に位置することが好ましい。この場合、複数の頂部TPによって支持される板材Wは、水平面に平行に配置されることとなる。なお、支持部材2に載置された板材Wがレーザ加工されることに伴い、複数の頂部TPの少なくとも一部は劣化し得る。よって、第1の実施形態において、支持部材2のうちの劣化した頂部TPは、第1平面上に位置している必要はない。
【0016】
図6に例示されるように、第3ステップST3において、支持部材2に載置された板材Wが加工される。第3ステップST3は、板材加工工程である。
図7に記載の例では、板材加工工程は、支持部材2に載置された板材WにレーザB(すなわち、レーザビーム)を照射することにより、板材Wを加工することを含む。より具体的には、板材加工工程は、支持部材2に載置された板材WにレーザBを照射することにより、板材Wをカットすることを含む。付加的に、板材加工工程は、後述の第2工具(例えば、穴あけ工具)を用いて、板材Wを加工することを含んでいてもよい。
【0017】
本明細書において、板材加工工程(第3ステップST3)の実行により、板材Wから形成される物品を総称して加工済み板材Wbと呼ぶ。板材加工工程(第3ステップST3)の実行により、加工前の板材Waが、加工済み板材Wbとなる。
【0018】
図8に記載の例では、加工済み板材Wbは、部品W1と、端材W2とを含む。板材加工工程の実行により、板材Wから1個の部品W1が形成されてもよいし、板材Wから複数の部品W1が形成されてもよい。
【0019】
図8における破線矢印によって示されるように、第4ステップST4において、支持部材2から加工済み板材Wbが取り外される。第4ステップST4は、取り外し工程である。
【0020】
取り外し工程(第4ステップST4)は、支持部材2から、加工済み板材Wbの一部である部品W1と、加工済み板材Wbの他の一部である端材W2とを取り外すことを含む。部品W1と端材W2とは、シーケンシャルに、支持部材2から取り外されてもよい。代替的に、部品W1と端材W2とは、同時に、支持部材2から取り外されてもよい。加工済み板材Wbは、加工済み板材Wbを吸着可能な吸盤を用いて支持部材2から取り外されてもよいし、加工済み板材Wbを掬い上げることが可能なフォークを用いて支持部材2から取り外されてもよい。
【0021】
図9に例示されるように、取り外し工程(第4ステップST4)は、板材移送装置6(例えば、ロボットハンド60)を用いて行われてもよい。代替的に、取り外し工程(第4ステップST4)は、人手によって行われてもよい。
【0022】
図9に記載の例では、レーザ加工装置1の加工領域RG1に配置された支持部材2から加工済み板材Wbが取り外される。
【0023】
代替的に、
図10における破線矢印によって示されるように、支持部材2が取出領域RG2に移動された後、取出領域RG2に配置された支持部材2から加工済み板材Wbが取り外されてもよい。
図10に記載の例では、移送装置15が、支持部材2を加工領域RG1から取出領域RG2に移送する。その後、取出領域RG2に配置された支持部材2から加工済み板材Wbが取り外される。当該取り外しは、加工済み板材Wbを吸着可能な吸盤を用いて行われてもよいし、加工済み板材Wbを掬い上げることが可能なフォークを用いて行われてもよい。
【0024】
図11には、取り外し工程(第4ステップST4)を実行後の支持部材2の一部分が示されている(換言すれば、加工済み板材Wbが取り外された後の支持部材2の一部分が示されている。)。支持部材2には、板材WにレーザBが照射されることにより形成されたドロスDが付着している。より具体的には、板材WにレーザBが照射されることにより板材Wの一部が溶融物となり、当該溶融物が固化することにより形成されるドロスDが支持部材2に付着する。なお、本明細書において、ドロスとは、レーザBが照射されることにより溶解された材料(より具体的には、金属材料)の固化によって形成される任意形状の塊を意味するものとする。
【0025】
第5ステップST5において、支持部材2からドロスDが除去される。第5ステップST5は、ドロス除去工程である。
【0026】
図12に例示されるように、ドロス除去工程(第5ステップST5)は、加工済み板材Wbが取り外された後の支持部材2を、移送装置15を用いて、取出領域RG2から加工領域RG1に移送することを含んでいてもよい。代替的に、当該移送装置15を用いて行われる支持部材2の移送は省略されてもよい。例えば、
図9に例示されるように、レーザ加工装置1の加工領域RG1に配置された支持部材2から加工済み板材Wbが取り外される場合、支持部材2は、加工領域RG1から移動しない。この場合、移送装置15を用いて、支持部材2を、取出領域RG2から加工領域RG1に移送する必要はない。
【0027】
図13および
図14に例示されるように、ドロス除去工程(第5ステップST5)は、板材WにレーザBが照射されることに起因して支持部材2に付着したドロスDに、回転状態の工具91(例えば、切削工具91m)を接触させることを含む。回転状態の工具91がドロスDに接触することにより、支持部材2からドロスDが除去される。
【0028】
第1の実施形態におけるレーザ加工方法は、ドロス除去工程を含み、ドロス除去工程では、ドロスDに、回転状態の工具91を接触させることにより、支持部材2からドロスDが除去される。第1の実施形態におけるレーザ加工方法では、回転状態の工具91を用いてドロスDが除去されるため、作業者がブラシを用いてドロスを除去する場合と比較して、ドロスDの除去がより確実に行われる。また、作業者の負担が低減される。
【0029】
また、支持部材2からのドロスDの除去がより確実に行われることにより、支持部材2の交換頻度が少なくなり、支持部材2をより長期間使用することができる。こうして、環境に対する負荷が低減される。
【0030】
更に、支持部材2の複数の頂部TPからドロスDが除去されることにより、複数の頂部TPと、次にレーザ加工される板材とが、ドロスDを介して溶着することが防止または抑制される。また、支持部材2の複数の頂部TPからドロスDが除去されることにより、支持部材2に載置される板材Wの歪みが抑制される。よって、板材Wの加工精度の低下が抑制される。
【0031】
なお、第1の実施形態において、ドロス除去工程(第5ステップST5)が実行される頻度は、板材加工工程(第3ステップST3)が実行される頻度よりも低くてもよい。換言すれば、複数の板材WがレーザBの照射によって加工された後、支持部材2に付着したドロスDに回転状態の工具91を接触させることにより、支持部材2からドロスDが除去されてもよい。例えば、日中に、上述の第2ステップST2乃至上述の第4ステップST4が繰り返し実行されることにより、複数の板材Wが加工され、夜間に、上述の第5ステップST5が実行されることにより、支持部材2からドロスDが除去されてもよい。
【0032】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図25を参照して、第1の実施形態におけるレーザ加工方法、あるいは、後述の第1の実施形態におけるレーザ加工装置1において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0033】
(支持部材2)
図16に記載の例では、支持部材2は、水平面(例えば、
図16におけるX-Y平面)に対して立ち姿勢となるように配置された複数の板部材21を有する。より具体的には、支持部材2は、水平面に対して立ち姿勢となるように配置された第1板部材21-1、および、第2板部材21-2を含む。支持部材2は、水平面に対して立ち姿勢となるように配置された第3板部材21-3、および、第4板部材21-4を含んでいてもよい。支持部材2は、水平面に対して立ち姿勢となるように配置された10枚以上の板部材21を有していてもよいし、水平面に対して立ち姿勢となるように配置された20枚以上の板部材21を有していてもよい。各板部材21は、例えば、金属製である。
【0034】
図16に記載の例では、各板部材21の長手方向は、水平面に略平行である。各板部材21の幅方向は、鉛直方向に略平行である。また、各板部材21の厚さ方向は、水平面に略平行である。
【0035】
図17に記載の例では、第1板部材21-1は、支持部材2の一端部(より具体的には、+X方向側の端部)に配置された板部材21Eと、支持部材2の他端部(より具体的には、-X方向側の端部)に配置された板部材21Fとの間の領域に配置されている。代替的に、第1板部材21-1は、支持部材2の一端部に配置された板部材21Eであってもよいし、支持部材2の他端部に配置された板部材21Fであってもよい。
【0036】
図17に記載の例では、第2板部材21-2は、第1板部材21-1に隣接配置された板部材である。また、第1板部材21-1と第2板部材21-2とは略平行に配置されている。第1板部材21-1および第2板部材21-2の各々の長さは、例えば、50cm以上あるいは100cm以上である。
【0037】
本明細書において、「K」を2以上の任意の自然数と定義し(より具体的には、「K」は、2、3、4、5、6、7、・・・である。)、「N」を「K」に「1」を加算した数と定義する。
図17に記載の例では、支持部材2は、第「K」板部材21-K(例えば、第2板部材21-2)、および、第「K」板部材21-Kに隣接配置される第「N」板部材21-N(例えば、第3板部材21-3)を含む。第「K」板部材21-K(例えば、第2板部材21-2)と、第「N」板部材21-N(例えば、第3板部材21-3)とは、略平行に配置されていてもよい。
【0038】
図16に例示されるように、複数の板部材21の各々は、鋸刃状のエッジ部EGを有する。各板部材21の鋸刃状のエッジ部EGは、複数の頂部TP、および、複数の底部BPを有する。また、鋸刃状のエッジ部EGにおいて、頂部TPと底部BPとが、各板部材21の長手方向に交互に配置されている。
【0039】
上述の載置工程(第2ステップST2)において、板材Wは、複数の鋸刃状のエッジ部EGに載置される(より具体的には、板材Wは、複数のエッジ部EGの複数の頂部TPに載置される。)。また、上述の板材加工工程(第3ステップST3)において、複数の鋸刃状のエッジ部EGに載置された板材Wに、レーザBが照射される。
【0040】
図17に記載の例では、支持部材2は、移送可能なパレットPTである。パレットPTは、複数の板部材21と、複数の板部材21が取り付けられる枠体23とを有する。パレットPTは、ドロスDがパレットPTの下方に落下するのを防止する底板25を含んでいてもよい。底板25は、枠体23の底部開口を塞ぐように配置されていてもよい。代替的に、底板25が省略され、枠体23の底部は開放されていてもよい。この場合、レーザ加工装置1において、ドロスD等の不要物を搬送するコンベヤが、枠体23の下方に配置されるようにしてもよい。
【0041】
(ドロス除去工程)
図14に記載の例では、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、複数の板部材21からドロスDを除去することを含む。より具体的には、
図14に記載の例では、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、複数の板部材21の少なくとも一つに付着したドロスDに、回転状態の工具91を接触させることを含む。こうして、複数の板部材21に付着したドロスDが、工具91によって除去される。例えば、板材WにレーザBが照射されることに起因して第1板部材21-1に付着したドロスDに、回転状態の工具91を接触させることにより、第1板部材21-1からドロスDが除去される。また、板材WにレーザBが照射されることに起因して第2板部材21-2に付着したドロスDに、回転状態の工具91を接触させることにより、第2板部材21-2からドロスDが除去される。
【0042】
図6、
図13に記載の例では、レーザによる板材Wの加工と、支持部材2からのドロスDの除去(換言すれば、回転状態の工具91をドロスDに接触させることにより、支持部材2からドロスDを除去する工程)とが、平面視において同一の領域において行われる。より具体的には、レーザによって板材Wの加工が行われる加工領域RG1と同一の領域において、支持部材2からのドロスDの除去が行われる。よって、ドロスDの除去のための専用スペースが不要である。
【0043】
図18に記載の例では、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91(より具体的には、切削工具91m)がドロスDに接触するよう、回転状態の工具91(より具体的には、切削工具91m)を第1板部材21-1の長手方向LDに沿って移動させることを含む。回転状態の工具91が、第1板部材21-1の長手方向LDに沿って移動することにより、第1板部材21-1に付着した複数片のドロスDが、第1板部材21-1から効率的に除去される。
図18に例示されるように、工具91の回転軸AXは、水平面に略垂直であってもよい。
【0044】
上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、例えば、回転状態の工具91が第1板部材21-1の第1側面21a-1に接触するか、あるいは、回転状態の工具91が第1板部材21-1の第1側面21a-1から僅かに離間した状態で、回転状態の工具91を、第1板部材21-1の長手方向LDに沿って移動させることを含む。第1板部材21-1は、湾曲した状態(換言すれば、撓んだ状態)で、枠体23に取り付けられている場合がある。この場合、回転状態の工具91が、第1板部材21-1の長手方向LDに沿って移動する際に、工具91と第1板部材21-1の第1側面21a-1との間の距離は、第1板部材21-1の湾曲に応じて変動してもよい。
【0045】
図19に例示されるように、第1板部材21-1は、第1側面21a-1と、第2側面21b-1とを有する。第1側面21a-1と第2側面21b-1との間の距離が、第1板部材21-1の厚さに対応する。第1板部材21-1は、第1端部21cと第2端部21dとを有する。第1端部21cから第2端部21dに向かう方向(あるいは、第2端部21dから第1端部21cに向かう方向)が、第1板部材21-1の長手方向に対応する。本明細書において、第1板部材21-1の第1端部21cから第1板部材21-1の第2端部21dに向かう方向を「第1方向DR1」と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を「第2方向DR2」と定義する。
【0046】
図19に例示されるように、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91を、第1板部材21-1の第1側面21a-1に沿って、第1方向DR1に移動させることを含んでいてもよい。回転状態の工具91が、第1側面21a-1に沿って、第1方向DR1に移動されることにより、第1側面21a-1に付着した複数片のドロスDが第1側面21a-1から効率的に除去される。
【0047】
図20に例示されるように、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91を、第1板部材21-1の第2側面21b-1に沿って、第2方向DR2(または、第1方向DR1)に移動させることを含んでいてもよい。回転状態の工具91が、第2側面21b-1に沿って、第2方向DR2(または、第1方向DR1)に移動されることにより、第2側面21b-1に付着した複数片のドロスDが第2側面21b-1から効率的に除去される。
【0048】
図21に記載の例では、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91が第1板部材21-1に付着したドロスDに接触するよう、第1板部材21-1と第2板部材21-2との間に位置する第1経路PA1に沿って、回転状態の工具91を移動させることを含む。
図21に記載の例では、工具91の移動経路として、第1板部材21-1と第2板部材21-2との間のスペースが利用される。また、回転状態の工具91が、第1経路PA1に沿って移動されることにより、第1板部材21-1の第2側面21b-1に付着した複数片のドロスDが第2側面21b-1から効率的に除去される。
【0049】
図22に記載の例では、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91が第2板部材21-2に付着したドロスDに接触するよう、第1板部材21-1と第2板部材21-2との間に位置する第2経路PA2に沿って、回転状態の工具91を移動させることを含む。
図21および
図22から把握されるように、第1経路PA1は、第2経路PA2と比較して、第1板部材21-1に近い経路である。また、第2経路PA2は、第1経路PA1と比較して、第2板部材21-2に近い経路である。
【0050】
図21および
図22に記載の例では、第1板部材21-1と第2板部材21-2との間に位置する2つの経路(PA1、PA2)に沿って、回転状態の工具91が移動することにより、第1板部材21-1のうちの第2板部材21-2に対向する側面(21b-1)から複数片のドロスDが効率的に除去され(
図21を参照。)、第2板部材21-2のうちの第1板部材21-1に対向する側面21a-2から複数片のドロスDが効率的に除去される(
図22を参照。)。
【0051】
図18に記載の例では、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、工具91の先端Teが、鋸刃状のエッジ部EGの複数の底部BPよりも低くされた状態で、回転状態の工具91を、第1板部材21-1に付着したドロスDに接触させることを含む。
【0052】
工具91の先端Teが、鋸刃状のエッジ部EGの複数の底部BPよりも低くされることにより、鋸刃状のエッジ部EGからドロスDを効果的に除去することができる。工具91の先端Teが、鋸刃状のエッジ部EGの複数の底部BPよりも低くされた状態で、回転状態の工具91が、第1板部材21-1の長手方向LDに沿って移動されることが好ましい。この場合、鋸刃状のエッジ部EGの全体から、複数片のドロスDを、効率的且つ効果的に除去することができる。
【0053】
(ドロス除去工程の変形例)
図18乃至
図22には、ドロス除去工程が、回転状態の工具91を、支持部材2を構成する板部材21の側面に沿って移動させることにより実行される例が示されている。代替的に、
図23に例示されるように、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91(より具体的には、切削工具91m)が支持部材2の複数の頂部TPのうちの少なくとも一つに付着したドロスDに接触するよう、回転状態の工具91を、複数の頂部TPが位置する第1平面PL1に沿って移動させることを含んでいてもよい。
【0054】
図23に記載の変形例において、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91を、上述の第1平面PL1において、第1板部材21-1の長手方向LDに沿って移動させることを含む。代替的に、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、回転状態の工具91を、上述の第1平面PL1において、第1板部材21-1の長手方向とは無関係に移動させることにより、ドロスDを支持部材2の複数の頂部TPから除去することを含んでいてもよい。
【0055】
図23に記載の変形例では、
図18乃至
図22に記載の例と比較して、板部材21の低い位置に付着したドロスDを除去しにくい。他方、
図23に記載の変形例では、板部材21の撓みが大きい場合でも、複数の頂部TPに付着したドロスDを効率的に除去することができる。また、
図23に記載の変形例では、複数の板部材21が格子状に配置されているときに(
図24を参照。)、工具91を頻繁に上下動させることなく、複数の頂部TPに付着したドロスDを効率的に除去することができる。なお、
図23に記載の変形例において、切削工具91mは、フライス工具であってもよい。外径の大きなフライス工具が用いられる場合、当該フライス工具は、2つ以上の頂部TPから同時にドロスDを除去してもよい。
【0056】
(複合加工機1A)
図6に記載の例では、上述の板材加工工程(第3ステップST3)は、複合加工機1Aを用いて行われる。複合加工機1Aは、レーザBを照射する第1ヘッド31と、工具91が取り付けられる第2ヘッド41とを備える。
【0057】
図6に記載の例では、上述の板材加工工程(すなわち、板材Wを加工する工程)は、複合加工機1Aの第1ヘッド31から板材WにレーザBを照射することを含む。第1ヘッド31から板材WにレーザBが照射されることにより、板材Wがカットされる。
【0058】
図13に記載の例では、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、複合加工機1Aを用いて行われる。
【0059】
図14に例示されるように、上述のドロス除去工程(すなわち、支持部材2からドロスDを除去する工程)は、複合加工機1Aの第2ヘッド41に取り付けられた工具91(より具体的には、切削工具91m)を回転軸AXまわりに回転させることを含む。また、上述のドロス除去工程(すなわち、支持部材2からドロスDを除去する工程)は、当該工具91が回転軸AXまわりに回転している状態で、当該工具91を、支持部材2(例えば、第1板部材21-1)に付着したドロスDに接触させることを含む。
【0060】
板材加工工程(第3ステップST3)、および、ドロス除去工程(第5ステップST5)の両方が複合加工機1Aを用いて行われることにより、板材加工とドロス除去との間の切り替えを容易に実行することができる。また、ドロスDの除去のための専用スペースが不要である。
【0061】
図13に記載の例では、上述のドロス除去工程(すなわち、支持部材2からドロスDを除去する工程)は、工具91(より具体的には、切削工具91m)が取り付けられた第2ヘッド41を、第1ヘッド31とともに移動させることを含む。
【0062】
ドロス除去工程(第5ステップST5)において、第2ヘッド41が第1ヘッド31とともに移動する場合、第2ヘッド41を移動させる機構の少なくとも一部と、第1ヘッド31を移動させる機構の少なくとも一部とが共通化される。よって、第2ヘッド41の移動機構と、第1ヘッド31の移動機構とが完全に別々に設けられる場合と比較して、移動機構の全体サイズをコンパクトにすることができる。
【0063】
(第2工具92)
図25に記載の例では、板材加工工程(第3ステップST3)は、支持部材2(より具体的には、複数の板部材21)に載置された板材Wに回転状態の第2工具92を接触させることにより、板材Wを加工することを含む。例えば、板材加工工程(第3ステップST3)は、支持部材2に載置された板材Wに回転状態の第2工具92を接触させることに、板材Wに貫通穴Whを形成することを含む。第2工具92は、ドリルであってもよいし、ネジ切り工具(例えば、タップ工具)であってもよい。
【0064】
図25に記載の例では、第2工具92は、ヘッド40(より具体的には、複合加工機1Aの第2ヘッド41)に取り付けられている。この場合、板材加工工程(第3ステップST3)は、支持部材2に載置された板材Wに回転状態の第2工具92が接触するよう、ヘッド40(より具体的には、第2ヘッド41)を移動させることにより、板材Wを加工することを含む。こうして、第2工具92によって、板材Wが加工される(例えば、板材Wに貫通穴が形成される。)。
【0065】
(工具91)
ドロス除去工程において、ドロスに接触する工具91は、例えば、切削工具91mである。回転状態の切削工具91mは、板部材21からドロスDを削り取ることができる。工具91は、第2工具92よりも頑強な工具であってもよい。例えば、工具91の外径は、第2工具92の外径より大きくてもよい。また、支持部材2に載置された板材Wよりも低い位置のドロスDを削りとるために、工具91の外径は、第2工具92の外径より大きく、工具91の工具長は、第2工具92の工具長より長くてもよい。
【0066】
(工具の交換)
ヘッド40(より具体的には、複合加工機1Aの第2ヘッド41)は、板材加工用の第2工具92(
図25を参照。)と、ドロス除去用の工具91(
図14を参照。)と、を選択的に保持可能であってもよい。換言すれば、ヘッド40に取り付けられる第2工具92を、ドロス除去用の工具91に交換可能であってもよい。また、ヘッド40に取り付けられる工具91を、板材加工用の第2工具92に交換可能であってもよい。
【0067】
第1の実施形態におけるレーザ加工方法は、(1)支持部材2に載置された板材WにレーザBを照射することにより板材Wを加工する工程(
図6を参照。)に加えて、(2)ヘッド40(より具体的には、第2ヘッド41)に第2工具92を取り付ける工程と、(3)支持部材2に載置された板材Wに回転状態の第2工具92を接触させることにより、ヘッド40(より具体的には、第2ヘッド41)に取り付けられた第2工具92によって板材Wを加工する工程(
図25を参照。)と、を有していてもよい。また、第1の実施形態におけるレーザ加工方法は、(4)ヘッド40(より具体的には、第2ヘッド41)から第2工具92を取り外す工程と、(5)ヘッド40(より具体的には、第2ヘッド41)に、工具91(より具体的には、ドロス除去用の工具)を取り付ける工程と、(6)支持部材2に付着したドロスDに回転状態の工具91を接触させることにより、支持部材2からドロスDを除去する工程(
図14を参照。)と、を有していてもよい。
【0068】
板材加工用の第2工具92と、ドロス除去用の工具91とが別々であることにより、板材加工用の第2工具92をドロスに接触させることなく、ドロス除去用の工具91をドロスに接触させることにより、支持部材2からドロスが除去される。よって、ドロスとの接触に起因する第2工具92の破損が防止される。
【0069】
(レーザ加工装置1)
図26に例示されるように、第1の実施形態におけるレーザ加工装置1は、(1)支持部材2によって支持される板材Wにレーザを照射する第1ヘッド31を含むレーザ照射装置3と、(2)工具91(より具体的には、切削工具91m)を回転可能に支持する第2ヘッド41と、(3)工具91を回転させる回転駆動装置44と、(4)第2ヘッド41を支持部材2に対して相対移動させる移動装置5と、(5)レーザ照射装置3、回転駆動装置44、および、移動装置5を制御する制御装置7と、を具備する。制御装置7は、(6)第1ヘッド31から板材WにレーザBを照射する第1加工モードM1(
図6を参照。)と、(7)板材WにレーザBが照射されることに起因して支持部材2に付着したドロスDに、回転状態の工具91を接触させることにより、支持部材2からドロスDを除去するドロス除去モードM2(
図13を参照。)と、を選択的に実行可能である。
【0070】
第1の実施形態におけるレーザ加工装置1では、回転状態の工具91を用いてドロスDを除去可能である。よって、作業者がブラシを用いてドロスを除去する場合と比較して、ドロスDの除去がより確実に行われる。また、作業者の負担が低減される。
【0071】
また、支持部材2からのドロスDの除去がより確実に行われることにより、支持部材2の交換頻度が少なくなり、支持部材2をより長期間使用することができる。こうして、環境に対する負荷が低減される。
【0072】
更に、支持部材2の複数の頂部TPからドロスDが除去されることにより、複数の頂部TPと、次にレーザ加工される板材とが、ドロスDを介して溶着することが防止または抑制される。また、支持部材2の複数の頂部TPからドロスDが除去されることにより、支持部材2に載置される板材Wの歪みが抑制される。よって、板材Wの加工精度の低下が抑制される。
【0073】
また、レーザ加工装置1が、レーザ加工と、ドロスの除去との両方を実行可能であるため、レーザ加工装置1外に、ドロス除去のための専用スペースを設ける必要がない。レーザ加工装置1は、レーザによる板材Wの加工と、工具による板材Wの加工との両方を実行可能な複合加工機1Aであってもよい。
【0074】
なお、第1ヘッド31を移動させる機構の少なくとも一部と、第2ヘッド41を移動させる機構の少なくとも一部とが共通化されていてもよい。代替的に、レーザ加工装置1において、第1ヘッド31を移動させる機構と、第2ヘッド41を移動させる機構とが、完全に別々に設けられていてもよい。
【0075】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図37を参照して、第1の実施形態におけるレーザ加工装置1、あるいは、上述の第1の実施形態におけるレーザ加工方法において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0076】
(支持部材2)
図26に記載の例では、支持部材2は、レーザ加工装置1(例えば、レーザ加工装置1のベース50)によって支持されている。上述の板材加工工程(第3ステップST3)の実行時に、支持部材2が加工領域RG1において位置決めされた状態が維持されるよう、支持部材2はレーザ加工装置1に固定されることが好ましい。また、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)の実行時に、支持部材2が加工領域RG1において位置決めされた状態が維持されるよう、支持部材2はレーザ加工装置1に固定されることが好ましい。
【0077】
(移動装置5)
図26に記載の例では、移動装置5は、第2ヘッド41を、支持部材2に対して、相対移動させる。また、移動装置5は、第1ヘッド31を、支持部材2に支持された板材Wに対して、相対移動させる。
【0078】
図26に記載の例では、移動装置5は、第1ヘッド31および第2ヘッド41の両方を支持する移動体(51a;53a)と、移動体(51a;53a)を移動させる駆動装置(51b;53b)と、を有する。第1ヘッド31を移動させる機構の少なくとも一部と、第2ヘッド41を移動させる機構の少なくとも一部とが共通化されることにより、レーザ加工装置における部品点数の低減と、省スペース化とが実現される。
【0079】
図27に記載の例では、移動装置5は、第1移動装置51を有する。第1移動装置51は、第1移動体51aと、第1移動体51aを移動させる第1駆動装置51b(例えば、第1モータ)とを有する。
【0080】
図26に記載の例では、第1移動体51aは、第1ヘッド31および第2ヘッド41の両方を支持する。
【0081】
図26に記載の例において、第1移動体51aは、Zサドルとして機能し、第1駆動装置51bは、Z軸駆動部として機能する。第1駆動装置51bは、第1移動体51aを、鉛直方向に平行な方向(換言すれば、Z軸方向)に移動させる。より具体的には、第1駆動装置51bは、第1移動体51aが支持部材2に近づくように、第1移動体51aを下方に移動させることができる。また、第1駆動装置51bは、第1移動体51aが支持部材2から遠ざかるように、第1移動体51aを上方に移動させることができる。
【0082】
図26に記載の例では、第1駆動装置51b(Z軸駆動部)は、第1ヘッド31および第2ヘッド41の両方を、Z軸方向に移動させることができる。
【0083】
図28に記載の例では、移動装置5は、第2移動装置53を有する。第2移動装置53は、第2移動体53aと、第2移動体53aを移動させる第2駆動装置53b(例えば、第2モータ)とを有する。第2移動体53aは、第1移動体51aを、鉛直方向に平行な方向に移動可能なように支持する。
【0084】
図28に記載の例において、第2移動体53aは、Yサドルとして機能し、第2駆動装置53bは、Y軸駆動部として機能する。第2駆動装置53bは、第2移動体53aを、水平面に平行な方向(より具体的には、Y軸方向)に移動させる。
図28に記載の例では、Y軸方向は、第1板部材21-1の長手方向に平行である。
【0085】
図28に記載の例では、移動装置5は、第3移動装置55を有する。第3移動装置55は、第3移動体55aと、第3移動体55aを移動させる第3駆動装置55b(例えば、第3モータ)とを有する。第3移動体55aは、第2移動体53aを、Y軸方向に平行な方向に移動可能なように支持する。
【0086】
図28に記載の例において、第3移動体55aは、Xサドルとして機能し、第3駆動装置55bは、X軸駆動部として機能する。第3駆動装置55bは、第3移動体55aを、水平面に平行な方向(より具体的には、Z軸およびY軸に垂直なX軸方向)に移動させる。
図28に記載の例では、X軸方向は、第1板部材21-1の長手方向に垂直である。
【0087】
図13に例示されるように、第3移動体55aは、門型構造体によって構成されていてもよい。
図13に記載の例では、平面視において、第3移動体55aは、加工領域RG1(より具体的には、レーザ加工領域)を横切るように移動可能である。第3移動体55aは、ベース50によって、X軸方向に平行な方向に移動可能なように支持されている。
【0088】
図26に記載の例では、移動装置5は、第4移動装置57を有する。第4移動装置57は、第4移動体57aと、第4移動体57aを移動させる第4駆動装置57b(例えば、モータまたはアクチュエータ)とを有する。
【0089】
第4駆動装置57bは、第2ヘッド41を、第1ヘッド31に対して相対移動させる。より具体的には、第4駆動装置57bは、第2ヘッド41を、第1ヘッド31に対して鉛直方向に相対移動させる。
【0090】
図26および
図29に記載の例では、第4駆動装置57bは、第2ヘッド41を、進出位置P1(
図29を参照。)と退避位置P2(
図26を参照。)との間で、第1ヘッド31に対して相対移動させることができる。
図29に例示されるように、第2ヘッド41が進出位置P1に位置するとき、第2ヘッド41に取り付けられた工具91の先端は、第1ヘッド31(換言すれば、レーザヘッド)の先端と比較して、支持部材2に近い。よって、工具91によるドロスDの除去に際して、第1ヘッド31が邪魔になることがない。また、
図26に例示されるように、第2ヘッド41が退避位置P2に位置するとき、第1ヘッド31(換言すれば、レーザヘッド)の先端は、第2ヘッド41の先端(あるいは、第2ヘッド41に取り付けられた工具91の先端)と比較して、支持部材2に近い。よって、支持部材2に載置された板材Wのレーザ加工に際して、第2ヘッド41が邪魔になることがない。
【0091】
図29に記載の例では、第4移動体57aは、第1移動体51aによって、鉛直方向に移動可能なように支持され、第1移動体51aは、第2移動体53aによって、鉛直方向に移動可能なように支持されている。代替的に、
図30に例示されるように、第1ヘッド31を支持する第1移動体51aと、第2ヘッド41を支持する第4移動体57aとが、互いに独立して、第2移動体53aによって、鉛直方向に移動可能なように支持されていてもよい。
【0092】
図29に記載の例では、第2駆動装置53b(Y軸駆動部)は、第1ヘッド31および第2ヘッド41の両方を、Y軸方向に移動させることができる。第1ヘッド31をY軸方向に移動させる機構と、第2ヘッド41をY軸方向に移動させる機構とが共通化されることにより、移動機構の全体サイズをコンパクトにすることができる。
【0093】
代替的に、
図31に例示されるように、移動装置5は、第1ヘッド31を水平面に平行な方向(より具体的には、Y軸方向)に移動させる第2駆動装置53bと、第2ヘッド41を水平面に平行な方向(より具体的には、Y軸方向)に移動させる第5駆動装置58bとを有していてもよい。
【0094】
図31に記載の例では、第1ヘッド31は、第1移動体51aを介して第2移動体53aによって支持されている。第2駆動装置53bは、第2移動体53aを、第3移動体55aに対して、Y軸方向に相対移動させる。
【0095】
図31に記載の例では、第2ヘッド41は、第4移動体57aを介して第5移動体58aによって支持されている。第5駆動装置58bは、第5移動体58aを、第3移動体55aに対して、Y軸方向に相対移動させる。また、第4駆動装置(
図31には図示されず。)は、第4移動体57aおよび第2ヘッド41をZ軸方向(換言すれば、鉛直方向)に移動させる。
【0096】
図28に記載の例では、第3駆動装置55b(X軸駆動部)は、第1ヘッド31および第2ヘッド41の両方を、X軸方向に移動させることができる。第1ヘッド31をX軸方向に移動させる機構と、第2ヘッド41をX軸方向に移動させる機構とが共通化されることにより、移動機構の全体サイズをコンパクトにすることができる。
【0097】
(レーザ照射装置3)
図32に例示されるように、レーザ照射装置3は、第1ヘッド31と、レーザ光源33と、レーザ光源33から第1ヘッド31にレーザを伝達する光学部品35(例えば、光ファイバ等)と、を有する。
【0098】
なお、第1ヘッド31は、ヘッド本体31aとアタッチメント31bとを有していてもよい。第2ヘッド41に取り付けられた工具91を用いてドロスDが除去される際に、第1ヘッド31のアタッチメント31b(例えば、レンズおよびレーザ射出口OPを含むアタッチメント)は、ヘッド本体31aから取り外されてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、第2ヘッド41に取り付けられた工具91を用いてドロスDが除去される際に、ヘッド本体31aには、光学部品を保護するカバーが取り付けられてもよい。
【0099】
(第2ヘッド41)
図29に記載の例において、第2ヘッド41は、工具91を回転軸AXまわりに回転可能に支持する。第2ヘッド41は、回転体42と、回転体42を回転可能に支持するフレーム43とを有する。回転体42には、工具91を取り付け可能である。
【0100】
(回転駆動装置44)
図29に記載の例では、レーザ加工装置1は、工具91(例えば、切削工具91m)を回転軸AXまわりに回転させる回転駆動装置44(例えば、モータ44m)を有する。回転駆動装置44は、回転体42を第1軸AX1まわりに回転させることにより、工具91を回転軸AXまわりに回転させる。
【0101】
図29に記載の例では、第4移動体57aは、回転駆動装置44と、第2ヘッド41との両方を支持する。より具体的には、第4移動体57aと、回転駆動装置44と、第2ヘッド41とは、一体的に、鉛直方向に移動可能である。
【0102】
(工具交換装置8)
図33に記載の例では、レーザ加工装置1は、工具交換装置8を備える。工具交換装置8は、第2ヘッド41に保持される工具を、他の工具に交換する。例えば、工具交換装置8は、第2ヘッド41(より具体的には、第2ヘッド41の回転体42)に保持される板材加工用の第2工具92を、ドロス除去用の工具91に交換する。
【0103】
図34に例示されるように、工具交換装置8は、第2ヘッド41(より具体的には、第2ヘッド41の回転体42)に保持されるダミー工具93を、ドロス除去用の工具91に交換してもよい。なお、ダミー工具93は、第2ヘッド41の不使用時に、回転体42の工具取り付け部を保護する。
【0104】
また、工具交換装置8は、第2ヘッド41に保持されるドロス除去用の工具91を、他の工具(例えば、板材加工用の第2工具92、あるいは、ダミー工具93)に交換可能である。
【0105】
工具交換装置8は、第2軸AX2まわりに回転可能な工具交換アーム81を有していてもよい。工具交換アーム81は、交換対象の2つの工具を同時に把持可能である。
【0106】
(制御装置7)
図26に記載の例において、制御装置7は、レーザ照射装置3、回転駆動装置44、移動装置5(例えば、第1駆動装置51b、第2駆動装置53b、第3駆動装置55b、第4駆動装置57b等)を制御する。制御装置7は、板材移送装置6(
図3を参照。)を制御してもよい。また、制御装置7は、工具交換装置8を制御してもよい。
【0107】
図26に記載の例において、制御装置7は、レーザ照射装置3(例えば、レーザ光源33)に射出指令E1を送信することにより、第1ヘッド31からレーザBを射出させる。より具体的には、制御装置7は、レーザ照射装置3(例えば、レーザ光源33)に射出指令E1を送信し、射出指令E1を受信するレーザ照射装置3は、第1ヘッド31(より具体的には、第1ヘッド31のレーザ射出口)からレーザBを射出する。
【0108】
図29に記載の例において、制御装置7は、回転駆動装置44(例えば、モータ44m)に回転指令R1を送信することにより、工具91(より具体的には、切削工具91m)を回転させる。より具体的には、制御装置7は、回転駆動装置44に回転指令R1を送信し、回転指令R1を受信する回転駆動装置44は、工具91を、工具91の長手方向に沿う回転軸AXまわりに回転させる。
【0109】
図26(あるいは、
図29)に記載の例において、制御装置7は、移動装置5に移動指令Sを送信することにより、第1ヘッド31、および/または、第2ヘッド41を移動させる。より具体的には、制御装置7は、移動装置5に移動指令Sを送信し、移動指令Sを受信する移動装置5は、第1ヘッド31、および/または、第2ヘッド41を移動させる。
【0110】
図35に例示されるように、制御装置7は、ハードウェアプロセッサ70(以下、単に、「プロセッサ70」という。)と、メモリ72と、通信回路74と、入力装置76(例えば、タッチパネル付きディスプレイ762)と、を備える。プロセッサ70と、メモリ72と、通信回路74と、入力装置76とは、バス78を介して互いに接続されている。
【0111】
メモリ72は、データ、および、プログラム722を記憶する。メモリ72に記憶されるプログラム722は、上述の第1加工モードM1を実行する第1プログラム722aを含んでいてもよく、上述のドロス除去モードM2を実行する第2プログラム722bを含んでいてもよい。また、プログラム722は、後述の第2加工モードM3を実行する第3プログラム722cを含んでいてもよい。更に、プログラム722は、後述の工具交換モードM4を実行する第4プログラム722dを含んでいてもよい。また、プログラム722は、後述の板材移送モードM5を実行する第5プログラム722eを含んでいてもよい。
【0112】
メモリ72は、制御装置7のプロセッサ70によって読み取り可能な記憶媒体である。メモリ72は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性または揮発性の半導体メモリであってもよいし、磁気ディスクであってもよいし、その他の形式のメモリであってもよい。
【0113】
レーザ加工に必要なデータは、入力装置76を介して制御装置7に入力されてもよいし、他のコンピュータから通信回路74を介して制御装置7に入力されてもよい。レーザ加工に必要なデータ(例えば、板材Wの形状データ、部品W1の形状データ、第1ヘッド31が移動すべき第1移動経路を規定する第1経路データ726a等)は、メモリ72に記憶される。
【0114】
ドロス除去に必要なデータ(例えば、工具91が移動すべき第2移動経路を規定する第2経路データ726b等)は、メモリ72に記憶される。
【0115】
第2工具92を用いた板材の加工に必要なデータは、入力装置76を介して制御装置7に入力されてもよいし、他のコンピュータから通信回路74を介して制御装置7に入力されてもよい。第2工具92を用いた板材の加工に必要なデータ(例えば、板材Wの形状データ、部品W1の形状データ、第2工具92が移動すべき第3移動経路を規定する第3経路データ726c等)は、メモリ72に記憶される。
【0116】
入力装置76は、タッチパネル付きディスプレイ762に限定されない。例えば、制御装置7は、ボタン、スイッチ、レバー、ポインティングデバイス、キーボード等の入力装置76と、当該入力装置76に入力されたデータ、あるいは、その他の情報を表示するディスプレイと、を備えていてもよい。また、複数のコンピュータが協働して、制御装置7として機能してもよい。また、メモリ72は、複数箇所に分散配置されていてもよい。例えば、メモリ72の一部は、クラウドストレージに含まれていてもよい。
【0117】
制御装置7のプロセッサ70がメモリ72に記憶されたプログラム722を実行することにより、制御装置7は制御指令を生成する。また、通信回路74は、当該制御指令を、制御対象機器(より具体的には、レーザ照射装置3、回転駆動装置44、移動装置5、板材移送装置6、工具交換装置8等)に送信する。こうして、プロセッサ70がプログラム722を実行することにより、制御装置7は、レーザ照射装置3、回転駆動装置44、移動装置5、板材移送装置6、および、工具交換装置8を制御することができる。
【0118】
(第1加工モードM1)
制御装置7は、レーザ照射装置3、および、移動装置5を制御することにより、第1加工モードM1を実行可能である。第1加工モードM1は、
図6および
図7に例示されるように、板材Wが加工されるよう(より具体的には、板材Wから部品W1が形成されるよう)、第1ヘッド31からレーザBを射出させつつ、第1ヘッド31を移動させるモードである。
【0119】
例えば、
図26に記載の例において、プログラム722(より具体的には、第1プログラム722a)を実行する制御装置7は、レーザ照射装置3に射出指令E1を送信する。また、プログラム722(より具体的には、第1プログラム722a)を実行する制御装置7は、メモリ72に記憶された第1経路データ726aに基づいて、移動装置5に移動指令Sを送信する。射出指令E1を受信するレーザ照射装置3は、板材Wに向けてレーザBを照射する。また、移動指令Sを受信する移動装置5は、第1ヘッド31を第1移動経路に沿って移動させる。こうして、板材Wから部品W1が形成されるよう、支持部材2(より具体的には、複数の板部材21)に支持された板材WにレーザBが照射される。
【0120】
(ドロス除去モードM2)
制御装置7は、回転駆動装置44、および、移動装置5を制御することにより、ドロス除去モードM2を実行可能である。ドロス除去モードは、
図13~
図14、
図18~
図23に例示されるように、支持部材2(より具体的には、複数の板部材21)からドロスDが除去されるよう、工具91(より具体的には、切削工具91m)を回転させつつ、工具91を支持する第2ヘッド41を移動させるモードである。
【0121】
例えば、
図29に記載の例において、プログラム722(より具体的には、第2プログラム722b)を実行する制御装置7は、回転駆動装置44に回転指令R1を送信する。また、プログラム722(より具体的には、第2プログラム722b)を実行する制御装置7は、メモリ72に記憶された第2経路データ726bに基づいて、移動装置5に移動指令Sを送信する。回転指令R1を受信する回転駆動装置44は、工具91を回転軸AXまわりに回転させる。また、移動指令Sを受信する移動装置5は、工具91を第2移動経路に沿って移動させる。例えば、移動指令Sを受信する第2駆動装置53bは、工具91を、板部材21の長手方向LDに平行な方向に移動させる。こうして、支持部材2(より具体的には、複数の板部材21)からドロスDが除去されるよう、回転状態の工具91がドロスDに接触する。
【0122】
なお、上述の第2経路データ726bは、工具91が複数の板部材21の側面近傍を順次通過する第2移動経路(
図19乃至
図22を参照。)を定義していてもよいし、工具91が支持部材2の複数の頂部TPの近傍を順次通過する第2移動経路(
図23を参照。)を定義していてもよい。当該第2経路データ726bは、予め、メモリ72に記憶されていてもよい。
【0123】
代替的に、板材Wの形状データ等のデータに基づいて制御装置7が移動経路を導出し、導出された移動経路を定義する第2経路データ726bがメモリ72に記憶されてもよい。例えば、
図36に例示されるように、制御装置7は、工具91が、支持部材2のうちのレーザ照射の非対象領域AR1(例えば、板材Wが載置されない領域)と比較して、支持部材2のうちのレーザ照射の対象領域AR2(例えば、板材Wが載置される領域)を集中して通過するように、工具91の移動経路PCを導出し、導出された移動経路PCを定義する第2経路データ726bがメモリ72に記憶されてもよい。なお、
図36において、ドットによるハッチングが付与されている領域が、レーザ照射の対象領域AR2(より具体的には、板材Wが載置される領域)に対応する。
【0124】
回転状態の工具91が、制御装置7によって導出された移動経路PCに沿って移動することにより、レーザ照射の対象領域AR2において、支持部材2からドロスDが重点的に除去される。
【0125】
図18に例示されるように、ドロス除去モードM2は、回転状態の工具91(例えば、切削工具91m)を、第1板部材21-1の長手方向LDに沿って移動させることにより、第1板部材21-1からドロスDを除去することを含むモードであってもよい。
【0126】
図19および
図20に例示されるように、ドロス除去モードM2(あるいは、上述の第5ステップST5としてのドロス除去工程)は、回転状態の工具91を、第1板部材21-1の第1側面21a-1に沿って移動させ、その後、回転状態の工具91を、第1板部材21-1の第2側面21b-1に沿って移動させることを含んでいてもよい。
【0127】
図21および
図22に例示されるように、ドロス除去モードM2(あるいは、上述の第5ステップST5としてのドロス除去工程)は、回転状態の工具91を、第1経路PA1に沿って移動させることと、第2経路PA2に沿って移動させることとを含んでいてもよい。第1経路PA1は、第1板部材21-1に隣接し、第1板部材21-1と第2板部材21-2との間に位置し、第1板部材21-1の長手方向に沿って延在する経路である。また、第2経路PA2は、第2板部材21-2に隣接し、第1板部材21-1と第2板部材21-2との間に位置し、第2板部材21-2の長手方向に沿って延在する経路である。
【0128】
回転状態の工具91が、第1経路PA1と第2経路PA2との両方を通ることにより、第1板部材21-1のうちの第2板部材21-2側の側面から複数片のドロスDが効率的に除去され、第2板部材21-2のうちの第1板部材21-1側の側面から複数片のドロスDが効率的に除去される。
【0129】
図36に例示されるように、ドロス除去モードM2(あるいは、上述の第5ステップST5としてのドロス除去工程)は、回転状態の工具91を、第3経路PA3に沿って移動させることと、第4経路PA4に沿って移動させることとを含んでいてもよい。第3経路PA3は、第2板部材21-2に隣接し、第2板部材21-2と第3板部材21-3との間に位置し、第2板部材21-2の長手方向に沿って延在する経路である。また、第4経路PA4は、第3板部材21-3に隣接し、第2板部材21-2と第3板部材21-3との間に位置し、第3板部材21-3の長手方向に沿って延在する経路である。
【0130】
回転状態の工具91が、第3経路PA3と第4経路PA4との両方を通ることにより、第2板部材21-2のうちの第3板部材21-3側の側面から複数片のドロスDが効率的に除去され、第3板部材21-3のうちの第2板部材21-2側の側面から複数片のドロスDが効率的に除去される。
【0131】
図36に例示されるように、ドロス除去モードM2(あるいは、上述の第5ステップST5としてのドロス除去工程)は、複数の板部材21から複数片のドロスDが順次除去されるよう、平面視において、矩形波を第1方向DR1に平行な方向に引き延ばした形状に対応する経路PAに沿って、回転状態の工具91を移動させることを含んでいてもよい。
【0132】
なお、
図36に記載の例において、工具91が第1板部材21-1を横切って移動する際に(矢印F3を参照。)、制御装置7は、移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)に、上昇指令を送信し、その後、下降指令を送信してもよい。当該上昇指令を受信する移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)は、工具91を一時的に上昇させる。こうして、工具91が第1板部材21-1を横切って移動する際に、工具91と第1板部材21-1との干渉が防止される。また、当該下降指令を受信する移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)は、工具91を下降させる。こうして、工具91によるドロスの除去が継続される。
【0133】
代替的に、あるいは、付加的に、
図23に例示されるように、ドロス除去モードM2は、回転状態の工具91(例えば、切削工具91m)を、支持部材2の複数の頂部TPが位置する第1平面PL1に沿って移動させることにより、支持部材2の複数の頂部TPからドロスDを除去することを含むモードであってもよい。
【0134】
ドロス除去モードM2の実行中(あるいは、上述の第5ステップST5としてのドロス除去工程の実行中)、制御装置7は、回転状態の工具91の位置制御を全自動で行うことが好ましい。この場合、作業者が、ドロス除去作業に拘束されることがない。例えば、無人で、ドロス除去作業を行うことができる。ドロス除去モードの所要時間(換言すれば、支持部材2からのドロスの除去が開始されてから、支持部材2からのドロスの除去が終了されるまでの時間)は、例えば、30分以上、45分以上、あるいは、60分以上である。時間のかかるドロス除去作業が自動化されることにより、作業者の負担が低減される。
【0135】
(第2加工モードM3)
制御装置7は、第2ヘッド41によって保持される第2工具92によって、板材Wを加工する第2加工モードM3を実行可能であってもよい。制御装置7は、回転駆動装置44、および、移動装置5を制御することにより、第2加工モードM3を実行する。第2加工モードM3は、
図25に例示されるように、支持部材2によって支持された板材Wが加工されるよう(例えば、支持部材2によって支持された板材Wが穿孔されるよう)、第2工具92を回転させつつ、第2工具92を支持する第2ヘッド41を移動させるモードである。
【0136】
例えば、
図37に記載の例において、プログラム722(より具体的には、第3プログラム722c)を実行する制御装置7は、回転駆動装置44に回転指令R1を送信する。また、プログラム722(より具体的には、第3プログラム722c)を実行する制御装置7は、メモリ72に記憶された第3経路データ726cに基づいて、移動装置5に移動指令Sを送信する。回転指令R1を受信する回転駆動装置44は、第2工具92を回転軸AXまわりに回転させる。また、移動指令Sを受信する移動装置5は、第2工具92を第3移動経路に沿って移動させる。例えば、移動指令Sを受信する第1駆動装置51bは、第2工具92を、板材Wに垂直な方向に移動させる。こうして、支持部材2(より具体的には、複数の板部材21)に載置された板材Wが加工されるよう、回転状態の第2工具92が板材Wに接触する。第2工具92は、ドリルであってもよいし、ネジ切り工具(例えば、タップ工具)であってもよい。
【0137】
(工具交換モードM4)
制御装置7は、第2ヘッド41によって支持された工具を他の工具に交換する工具交換モードM4を実行可能であってもよい。制御装置7は、移動装置5、および、工具交換装置8を制御することにより、工具交換モードM4を実行する。
【0138】
図33または
図34に記載の例では、工具交換モードM4は、第2ヘッド41に保持された第2工具92またはダミー工具93を、ドロス除去用の工具91に交換することを含んでいてもよい。
【0139】
例えば、プログラム722(より具体的には、第4プログラム722d)を実行する制御装置7は、移動装置5に移動指令Sを送信する。また、プログラム722(より具体的には、第4プログラム722d)を実行する制御装置7は、工具交換装置8に工具交換指令C1を送信する。移動指令Sを受信する移動装置5は、第2ヘッド41を、工具交換位置P3に移動させる。また、工具交換指令C1を受信する工具交換装置8は、第2ヘッド41に保持された第2工具92またはダミー工具93を、ドロス除去用の工具91に交換する。
【0140】
(板材移送モードM5)
制御装置7は、板材Wを移送する板材移送モードM5を実行可能であってもよい。制御装置7は、板材移送装置6(
図3、
図9を参照。)を制御することにより、板材移送モードM5を実行する。
【0141】
例えば、プログラム722(より具体的には、第5プログラム722e)を実行する制御装置7は、板材移送装置6に第1移送指令を送信する。第1移送指令を受信する板材移送装置6は、支持部材2の上に、板材Wを載置する(
図3における矢印F1を参照。)。
【0142】
また、プログラム722(より具体的には、第5プログラム722e)を実行する制御装置7は、板材移送装置6に第2移送指令を送信する。第2移送指令を受信する板材移送装置6は、支持部材2から、加工済み板材Wbを取り外す(
図9における矢印F2を参照。)。
【0143】
(レーザ加工方法)
上述の載置工程(第2ステップST2)は、制御装置7が、板材移送装置6に第1移送指令を送信することと、第1移送指令を受信する板材移送装置6が支持部材2の上に板材Wを載置することとを含んでいてもよい。
【0144】
図26に例示されるように、上述の板材加工工程(第3ステップST3)は、制御装置7が、レーザ照射装置3に射出指令E1を送信することと、射出指令E1を受信するレーザ照射装置3がレーザ射出口からレーザを射出することと、制御装置7が、移動装置5に移動指令Sを送信することと、移動指令Sを受信する移動装置5が、第1ヘッド31を第1移動経路に沿って移動させることとを含んでいてもよい。
【0145】
図37に例示されるように、上述の板材加工工程(第3ステップST3)は、制御装置7が、回転駆動装置44に回転指令R1を送信することと、回転指令R1を受信する回転駆動装置44が第2工具92を回転軸AXまわりに回転させることと、制御装置7が、移動装置5に移動指令Sを送信することと、移動指令Sを受信する移動装置5が、第2工具92を第3移動経路に沿って移動させることとを含んでいてもよい。
【0146】
上述の取り外し工程(第4ステップST4)は、制御装置7が、板材移送装置6に第2移送指令を送信することと、第2移送指令を受信する板材移送装置6が支持部材2から加工済み板材Wbを取り外すこととを含んでいてもよい。
【0147】
レーザ加工方法は、第2ヘッド41に保持された工具を他の工具に交換する工程(換言すれば、工具交換工程)を有していてもよい。工具交換工程は、取り外し工程(第4ステップST4)と、ドロス除去工程(第5ステップST5)との間に実行されてもよい。
【0148】
図33に記載の例では、工具交換工程は、第2ヘッド41に保持された第2工具92を、工具91に交換することを含む。
図34に記載の例では、工具交換工程は、第2ヘッド41に保持されたダミー工具93を、工具91に交換することを含む。
【0149】
上述の工具交換工程は、制御装置7が、移動装置5に移動指令Sを送信することと、移動指令Sを受信する移動装置5が、第2ヘッド41を工具交換位置P3に移動させることと、制御装置7が、工具交換装置8に工具交換指令C1を送信することと、工具交換指令C1を受信する工具交換装置8が、第2ヘッド41に保持された第2工具92またはダミー工具93を、工具91に交換することを含んでいてもよい。
【0150】
図29に例示されるように、上述のドロス除去工程(第5ステップST5)は、制御装置7が、回転駆動装置44に回転指令R1を送信することと、回転指令R1を受信する回転駆動装置44が工具91を回転軸AXまわりに回転させることと、制御装置7が、移動装置5に移動指令Sを送信することと、移動指令Sを受信する移動装置5が、工具91を第2移動経路に沿って移動させることとを含んでいてもよい。
【0151】
(プログラム722)
実施形態におけるプログラム722(より具体的には、第1プログラム722a、第2プログラム722b、第3プログラム722c、第4プログラム722d、および、第5プログラム722eを含むプログラム722)は、上述のレーザ加工方法のうちの少なくとも板材加工工程(第3ステップST3)、および、ドロス除去工程(第5ステップST5)を、レーザ加工装置1(より具体的には、レーザ加工装置1の制御装置7)に実行させるためのプログラムである。
【0152】
より具体的には、実施形態におけるプログラム722は、(1)支持部材2に載置された板材Wにレーザを照射することにより、板材Wを加工する工程(第3ステップST3)と、(2)板材Wにレーザが照射されることに起因して支持部材2に付着したドロスDに、回転状態の工具91を接触させることにより、支持部材2からドロスDを除去する工程(第5ステップST5)と、を具備するレーザ加工方法をレーザ加工装置1(より具体的には、レーザ加工装置1の制御装置7)に実行させるためのプログラムである。
【0153】
実施形態におけるプログラム722は、(1)支持部材2に板材Wを載置する工程(第2ステップST2)と、(2)支持部材2に載置された板材Wにレーザを照射することにより、板材Wを加工する工程(第3ステップST3)と、(3)支持部材2から加工済み板材Wbを取り外す工程(第4ステップST4)と、(4)板材Wにレーザが照射されることに起因して支持部材2に付着したドロスDに、回転状態の工具91を接触させることにより、支持部材2からドロスDを除去する工程(第5ステップST5)と、を具備するレーザ加工方法をレーザ加工装置1(より具体的には、レーザ加工装置1の制御装置7)に実行させるためのプログラムであってもよい。
【0154】
また、実施形態におけるプログラム722は、(1)支持部材2に板材Wを載置する工程(載置工程)と、(2)支持部材2に載置された板材Wにレーザを照射することにより、板材Wを加工する工程(板材加工工程)と、(3)第2ヘッド41によって保持される第2工具92によって、支持部材2に載置された板材Wを加工する工程(板材加工工程)と、(4)支持部材2から加工済み板材Wbを取り外す工程(取り外し工程)と、(5)第2工具92を第2ヘッド41から取り外す工程(工具交換工程)と、(6)工具91を第2ヘッド41に取り付ける工程(工具交換工程)と、(7)板材Wにレーザが照射されることに起因して支持部材2に付着したドロスDに、第2ヘッド41に保持された回転状態の工具91を接触させることにより、支持部材2からドロスDを除去する工程(ドロス除去工程)と、を具備するレーザ加工方法をレーザ加工装置1(より具体的には、レーザ加工装置1の制御装置7)に実行させるためのプログラムであってもよい。
【0155】
載置工程(第2ステップST2)、板材加工工程(第3ステップST3)、取り外し工程(第4ステップST4)、工具交換工程、および、ドロス除去工程(第5ステップST5)の各々の詳細については、上述の第1の実施形態において説明済みであるため、これらの工程の詳細についての説明は省略する。
【0156】
実施形態におけるメモリ72は、上述のプログラム722(より具体的には、第1プログラム722a、第2プログラム722b、第3プログラム722c、第4プログラム722d、第5プログラム722eを含むプログラム722)を記録した不揮発性記憶媒体であってもよい。上述のプログラム722を記録した不揮発性記憶媒体は、
図38に例示されるように、可搬式の記憶媒体72Mであってもよい。
【0157】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【0158】
例えば、上述の実施形態では、ヘッド40(より具体的には、第2ヘッド41)に取り付けられる工具91が切削工具91mであり、切削工具91mは、ドロスDに接触するカッティングエッジ910m(必要であれば、
図18、
図23を参照。)を有する。代替的に、
図39、
図40に例示されるように、ヘッド40(より具体的には、第2ヘッド41)に取り付けられる工具91は、軸部材911と、軸部材911に取付けられた少なくとも1つの線材913とを含んでいてもよい。線材913は、例えば、金属製である。
【0159】
図39、
図40に記載の例では、軸部材911および少なくとも1つの線材913が回転軸AXまわりに回転される。また、工具91が回転軸AXまわりに回転している状態で(より具体的には、軸部材911および少なくとも1つの線材913が回転軸AXまわりに回転している状態で)、少なくとも1つの線材913がドロスDに接触することにより、支持部材2(より具体的には、板部材21)からドロスDが除去される。
【0160】
図39に例示されるように、ドロス除去工程(第5ステップST5)において、回転軸AXまわりに回転状態の工具91が、第1板部材21-1の第1側面21a-1の長手方向に沿って移動することにより、第1側面21a-1に付着した複数片のドロスDが、少なくとも1つの線材913を用いて第1側面21a-1から除去されてもよい。
【0161】
代替的に、あるいは、付加的に、
図40に例示されるように、ドロス除去工程(第5ステップST5)において、回転軸AXまわりに回転状態の工具91が、支持部材2の複数の頂部TPが位置する第1平面PL1に沿って移動することにより、複数の頂部TPに付着した複数片のドロスDが、少なくとも1つの線材913を用いて複数の頂部TPから除去されてもよい。
【0162】
図18、
図23、
図39、
図40に記載の例では、工具91は、回転軸AXまわりに回転するドロス除去工具である。この場合、本明細書における「工具91」の記載は、「ドロス除去工具」に読み替えられてもよい。
【0163】
図39、
図40に記載の例では、軸部材911に、複数の毛状の線材913が取り付けられている。代替的に、あるいは、付加的に、線材913は、軸部材911に取り付けられたコイル状のワイヤを含んでいてもよい。
図39、
図40に記載の例では、線材913の基端部が軸部材911に取り付けられている。代替的に、あるいは、付加的に、線材913は、軸部材911に巻き付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0164】
1…レーザ加工装置、1A…複合加工機、2…支持部材、3…レーザ照射装置、5…移動装置、6…板材移送装置、7…制御装置、8…工具交換装置、15…移送装置、21、21E、21F…板部材、21-1…第1板部材、21-2…第2板部材、21-3…第3板部材、21-4…第4板部材、21a-1…第1側面、21a-2…側面、21b-1…第2側面、21c…第1端部、21d…第2端部、23…枠体、25…底板、31…第1ヘッド、31a…ヘッド本体、31b…アタッチメント、33…レーザ光源、35…光学部品、40…ヘッド、41…第2ヘッド、42…回転体、43…フレーム、44…回転駆動装置、44m…モータ、50…ベース、51…第1移動装置、51a…第1移動体、51b…第1駆動装置、53…第2移動装置、53a…第2移動体、53b…第2駆動装置、55…第3移動装置、55a…第3移動体、55b…第3駆動装置、57…第4移動装置、57a…第4移動体、57b…第4駆動装置、58a…第5移動体、58b…第5駆動装置、60…ロボットハンド、61…吸盤、70…ハードウェアプロセッサ、72…メモリ、72M…記憶媒体、74…通信回路、76…入力装置、78…バス、81…工具交換アーム、91…工具、91m…切削工具、92…第2工具、93…ダミー工具、722…プログラム、722a…第1プログラム、722b…第2プログラム、722c…第3プログラム、722d…第4プログラム、722e…第5プログラム、726a…第1経路データ、726b…第2経路データ、726c…第3経路データ、762…タッチパネル付きディスプレイ、910m…カッティングエッジ、911…軸部材、913…線材、AR1…レーザ照射の非対象領域、AR2…レーザ照射の対象領域、AX…回転軸、AX1…第1軸、AX2…第2軸、B…レーザ、BP…底部、C1…工具交換指令、D…ドロス、E1…射出指令、EG…エッジ部、OP…レーザ射出口、PT…パレット、R1…回転指令、RG1…加工領域、RG2…取出領域、S…移動指令、TP…頂部、Te…先端、W…板材、W1…部品、W2…端材、Wa…加工前の板材、Wb…加工済み板材、Wh…貫通穴
【要約】
レーザ加工方法は、支持部材に板材を載置する工程と、支持部材に載置された板材にレーザを照射することにより、板材を加工する工程と、支持部材から加工済み板材を取り外す工程と、板材にレーザが照射されることに起因して支持部材に付着したドロスに、回転状態の工具を接触させることにより、支持部材からドロスを除去する工程と、を具備する。