(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】土壌分析の前処理装置及び土壌分析の前処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20240401BHJP
G01N 1/04 20060101ALI20240401BHJP
G01N 33/24 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G01N1/28 E
G01N1/28 L
G01N1/04 M
G01N33/24 Z
(21)【出願番号】P 2018208326
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2020-12-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】志摩 秀和
(72)【発明者】
【氏名】平田 光喜
(72)【発明者】
【氏名】大西 健司
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】石井 哲
【審判官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-51949(JP,A)
【文献】特開2007-209894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/28
A01C21/00
A01D91/00
A01G 7/00
G06F17/60
G06Q50/02
G06Q50/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場において採取した土壌を土壌分析装置で分析を行う前に、前記分析を行う土壌のサンプルを前処理する前処理装置による土壌分析の前処理方法において、
前記圃場を複数の区画に分け、前記分けられた区画毎に複数の採取位置を設定したうえで、
前記採取位置毎に採取した複数の土壌のサンプルをトレーに入れて乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程後に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルを、前記区画に対応したサンプルを作成するため前記区画毎に別のトレーに分ける区画整理工程と、
前記別のトレーに分けられた前記区画に対応したサンプルを、混合サンプルとするため前記区画毎に混合する混合工程と、
前記複数のサンプルを混合した混合サンプルに含まれる異物を除去する異物除去工程と、
を備えている土壌分析の前処理方法。
【請求項2】
圃場において採取した土壌を土壌分析装置で分析を行う前に、前記分析を行う土壌のサンプルを前処理する前処理装置による土壌分析の前処理方法において、
前記圃場を複数の区画に分け、前記分けられた区画毎に複数の採取位置を設定したうえで、
前記採取位置毎に採取した複数の土壌のサンプルをトレーに入れて乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程後に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルに含まれる異物を除去する異物除去工程と、
前記異物除去後に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルを、前記区画に対応したサンプルを作成するため前記区画毎に別のトレーに分ける区画整理工程と、
前記別のトレーに分けられた前記区画に対応したサンプルを、混合サンプルとするため前記区画毎に混合する混合工程と、
を備えている土壌分析の前処理方法。。
【請求項3】
前記乾燥工程では、前記採取位置毎に採取されると共に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルを、風によって前記トレー毎に乾燥機で乾燥を行う請求項1又は2に記載の土壌分析の前処理方法。。
【請求項4】
前記混合工程では、所定の区画に対応する2以上のサンプルをドラム式の混合機で混合を行う請求項1~3のいずれかに記載の土壌分析の前処理方法。
【請求項5】
前記異物除去工程では、前記サンプルに含まれる異物を篩によって分離する分離機に投入して異物の除去を行う請求項1~4のいずれかに記載の土壌分析の前処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌分析の前処理装置及び土壌分析の前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場の土壌を分析する方法として特許文献1が知られている。特許文献1の土壌分析方法は、塩の水溶液に土壌を加えて振とうし該土壌中の複数の成分を抽出する抽出工程と、該振とう・抽出後の液を濾過して抽出液を取り出す抽出液取出し工程と、抽出液に前記他のイオンを生成する物質を加えて塩を析出させ、該析出物を除去する析出・除去工程と、分析計により析出物除去後の抽出液から土壌中の複数の成分を測定する分析工程とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の土壌分析方法では、土壌の分析を行うための適正な土壌のサンプルが用意されていることを前提として、抽出工程、抽出液取出し工程、析出・除去工程、分析工程を行っている。しかしながら、抽出工程等を行う前の実際の土壌のサンプルは、石、虫等が混在していて、土壌のサンプルの水分量も異なっており、理想的な土壌のサンプルでないのが実情である。即ち、複数の土壌のサンプルがあった場合に、土壌のサンプルの状態が不均一(バラバラ)であるのが実情である。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、土壌分析装置で分析を行う前に、土壌のサンプルを分析に適正な土壌のサンプルとして用意することができる土壌分析の前処理装置及び土壌分析の前処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示し点を特徴とする。
土壌分析の前処理方法は、圃場において採取した土壌を土壌分析装置で分析を行う前に、前記分析を行う土壌のサンプルを前処理する前処理装置による土壌分析の前処理方法において、前記圃場を複数の区画に分け、前記分けられた区画毎に複数の採取位置を設定したうえで、前記採取位置毎に採取した複数の土壌のサンプルをトレーに入れて乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程後に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルを、前記区画に対応したサンプルを作成するため前記区画毎に別のトレーに分ける区画整理工程と、前記別のトレーに分けられた前記区画に対応したサンプルを、混合サンプルとするため前記区画毎に混合する混合工程と、前記複数のサンプルを混合した混合サンプルに含まれる異物を除去する異物除去工程と、を備えている。
また、土壌分析の前処理方法は、圃場において採取した土壌を土壌分析装置で分析を行う前に、前記分析を行う土壌のサンプルを前処理する前処理装置による土壌分析の前処理方法において、前記圃場を複数の区画に分け、前記分けられた区画毎に複数の採取位置を設定したうえで、前記採取位置毎に採取した複数の土壌のサンプルをトレーに入れて乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程後に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルに含まれる異物を除去する異物除去工程と、前記異物除去後に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルを、前記区画に対応したサンプルを作成するため前記区画毎に別のトレーに分ける区画整理工程と、前記別のトレーに分けられた前記区画に対応したサンプルを、混合サンプルとするため前記区画毎に混合する混合工程と、を備えている。
【0007】
土壌分析の前処理方法は、前記乾燥工程では、前記採取位置毎に採取されると共に前記トレーに入れられた複数の土壌のサンプルを、風によって前記トレー毎に乾燥機で乾燥を行う。
【0008】
土壌分析の前処理方法は、前記混合工程では、所定の区画に対応する2以上のサンプルをドラム式の混合機で混合を行う。
【0009】
土壌分析の前処理方法は、前記異物除去工程では、前記サンプルに含まれる異物を篩によって分離する分離機に投入して異物の除去を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、土壌分析装置で分析を行う前に、土壌のサンプルを分析に適正な土壌のサンプルとして用意することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】土壌採取支援装置、農業支援装置を示す図である。
【
図2B】採取管理画面M1の他の図を示す図である。
【
図5B】全ての採取が完了した場合の採取画面M2を示す図である。
【
図6】土壌の採取からサンプル識別情報を発行するまでの流れを示す図である。
【
図7A】土壌成分情報W1と、2つのサンプルとの関係を示す図である。
【
図7B】土壌成分情報W1と、3つのサンプルとの関係を示す図である。
【
図8】区画採取データ(関連表)の一例を示す図である。
【
図9】土壌を採取する深さを設定することができる採取管理画面M1を示す図である。
【
図14】農作業管理画面M5の一例を示す図である。
【
図15】農作業と採取時間との関係を示す図である。
【
図17】複数の圃場に対応する作業計画を示す図である。
【
図18A】採取時期を提供する農業支援方法を示す図である。
【
図18B】作付けエリアに対応する土壌分析を提供する農業支援方法を示す図である。
【
図20】採取圃場H2の区画Qnと作付エリアHG1との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、土壌採取支援装置1、農業支援装置110を示すブロック図である。土壌採取支援装置1は、例えば、作物を作付けする圃場等の土壌の採取に関する支援を行う装置である。
土壌採取支援装置1は、パーソナルコンピュータ(PC)等の固定端末、スマートフォン、タブレット、PDA等の携帯端末、固定端末及び携帯端末等が接続可能なサーバ等の管理コンピュータ等である。この実施形態では、土壌採取支援装置1は、携帯端末であるとして説明を進める。
【0014】
土壌採取支援装置1は、表示部51と、制御部52と、記憶部53とを備えている。表示部51は、様々な情報を表示する部分であって、例えば、液晶パネル等で構成されている。制御部52は、CPU、電気・電子回路等で構成されている。記憶部53は、不揮発性のメモリ等から構成されている。
土壌採取支援装置1は、区画取得部61と、位置設定部62とを備えている。区画取得部61、位置設定部62は、制御部52を構成する電気・電子回路、当該CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。区画取得部61は、土壌を採取する圃場(採取圃場という)において、当該採取圃場を所定のエリアに分けた区画に関する情報を取得する。また、位置設定部62は、区画取得部61で取得した区画において、当該区画における土壌の採取位置を設定する。
【0015】
以下、区画取得部61、位置設定部62について詳しく説明する。
図2Aに示すように、土壌採取支援装置1に対して所定の操作を行うと、制御部52は表示部51に採取管理画面M1を表示する。採取管理画面M1は、圃場を示す圃場マップH1を表示する圃場表示部71と、区画に関する設定を行う区画設定部72と、採取に関する設定を行う採取設定部73とを含んでいる。圃場表示部71には、予め土壌採取支援装置1に登録された圃場マップH1が表示される。
【0016】
採取管理画面M1において、圃場表示部71に表示された圃場マップH1の中から、所定の圃場をポインタ部41によって指定すると、当該ポインタ部41によって指定された圃場が採取圃場H2に設定される。
図3に示すように、区画設定部72は、設定された採取圃場H2を複数の区画に分ける場合の区画の大きさ、即ち、区画1つ当たりの縦の長さL1と横の長さL2とを設定する部分である。区画設定部72は、区画の縦の長さ(縦サイズ)L1を入力する縦サイズ入力部72aと、区画の横の長さ(横サイズ)L2を入力する横サイズ入力部72bとを含んでいる。縦サイズ入力部72aに縦長さL1、横長さL2が入力されると、制御部52は、採取圃場H2に対して、縦長さL1及び横長さL2の大きさの複数の区画を作成する。即ち、制御部52は、採取圃場H2に対して、縦長さL1及び横長さL2の複数のエリアQn(n=1,2,3・・・n)に区分したメッシュ型のマップを作成する。
【0017】
つまり、採取管理画面M1において、複数の圃場の中から採取圃場H2が設定され、且つ、採取圃場H2を複数の区画に分けるための縦長さL1及び横長さL2が設定されると、区画取得部61は、縦長さL1及び横長さL2によって設定された複数のエリアQnを示す区画の座標系データを取得する。区画データは、例えば、複数のエリアQn毎の輪郭の位置(緯度、経度)、又は、複数のエリアQn毎の中心の位置(緯度、経度)Pnである。
【0018】
図2Aに示すように、採取設定部73は、位置設定部62による処理によって採取管理画面M1に表示される部分であって、採取設定部73には、採取する数(採取数)が入力可能である。例えば、採取設定部73に入力された採取数が「2」である場合、
図4Aに示すように、位置設定部62は、エリアQnの中心位置Pnを通る採取ラインLnを3等分した場合の2か所の位置Rnj(j:採取数、n:区画(エリア)、j=1,2)を採取予定位置に設定する。また、採取設定部73に入力された採取数が「3」である場合、
図4Bに示すように、位置設定部62は、採取ラインLnを4等分した場合の3か所の位置Rnj(j:採取数、n:区画(エリア)、j=1,2,3)を採取予定位置に設定する。つまり、位置設定部62は、複数のエリアQn毎において、採取数に対応した採取予定位置Rnjを設定する。
【0019】
なお、上述した実施形態では、エリアQnにおいて、中心位置Pnを通る採取ラインLnを設定し、採取ラインLnを等分した場合の位置を採取予定位置Rnjにしているが、採取予定位置Rnjの決定方法は、上述した例に限定されない。
図2Bに示すように、採取設定部73において採取数が入力されると、圃場表示部71には、採取圃場H2における採取予定位置Rnj(R11,R12・・・Rnj)が表示される。採取予定位置Rnjは、記憶部53に記憶される。
【0020】
土壌採取支援装置1は、採取報知部64を備えている。採取報知部64は、制御部52を構成する電気・電子回路、当該CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。採取報知部64は、土壌の採取を行う際に位置設定部62で設定された採取予定位置Rnjに作業者又は採取機が位置した場合に、土壌の採取を促す報知を行う。
図5Aに示すように、採取予定位置Rnjの設定後、土壌採取支援装置1に対して所定の操作を行うと、制御部52は表示部51に採取画面M2を表示する。採取画面M2に表示された読込ボタン74が選択されると、採取報知部64は、記憶部53に記憶された採取予定位置Rnjを参照する。採取画面M2は、参照した採取予定位置Rnj(R11,R12・・・Rnj)及び採取予定位置Rnjの採取圃場H2を表示する。
【0021】
採取報知部64は、土壌を採取する作業者又は土壌を採取する採取機が、採取予定位置Rnjに位置すると、採取画面M2のメッセージ部77に「採取位置に到達しましたので採取して下さい」と表示させ、土壌の採取を促す。
また、採取報知部64は、作業者又は採取機が採取予定位置Rnjに位置すると、土壌採取支援装置1に設けられたスピーカ等により、採取を促す音又は音声を出力する。採取報知部64は、作業者又は採取機が採取予定位置Rnjに近づいた場合、即ち、作業者又は採取機の現在位置と、採取予定位置Rnjとが予め定められた距離よりも短い場合に、採取を促す報知を行ってもよい。
【0022】
なお、作業者又は採取機の位置(現在位置)は、土壌採取支援装置1又は採取機に設けた位置検出装置55(
図1参照)により取得する。位置検出装置55は、GPS等の測位衛星のデータに基づいて現在の位置(緯度、経度)を検出する装置である。また、位置検出装置55は、慣性装置(IMU)によって現在の位置を補正する装置であってもよい。また、採取画面M2において、採取圃場H2を表示したフィールド上に、現在位置NC1を表示してもよい。また、採取機は、筒体を圃場の地面に押し付けることによって圃場の土壌を採取するハンドサンプラーであっても、スコップであっても、その他の構造であってもよい。
【0023】
図5Aに示すように、採取報知部64によって採取を促す報知が行われている状態で、採取画面M2に表示された採取ボタン75が選択されると、制御部52は、採取が実行されたと判断し、所定の採取予定位置Rnjにおける採取の促進を終了する。
図6に示すように、採取ボタン75が選択される(S1)と、制御部52は、採取予定位置Rnjを実際の採取位置Znjに設定(S2)し、採取位置Znjの設定後は、採取位置Znj(採取予定位置Rnj)に対応する土壌のサンプルGnjのサンプル識別情報Knjを発行する(S3)。また、制御部52は、サンプル識別情報Knjを発行すると、土壌採取支援装置1は、サンプル識別情報Knjが印字された識別シール59(
図11参照)を出力する(S4)。
【0024】
例えば、採取予定位置R11(n=1、j=1)[採取位置Z11、n=1、j=1]において採取が完了したとする(採取ボタン75の選択)と、制御部52は、採取位置Z11に対応するサンプルG11のサンプル識別情報K11の発行を行う。制御部52は、制御部52がサンプル識別情報K11を発行した場合、例えば、土壌採取支援装置1は、サンプル識別情報K11が印字された識別シール59を出力する。なお、識別シール59のサンプル識別情報K11は、バーコード、QRコード(登録商標)で表されていて、リーダ(読み取り機)によって読み取ることができる。
【0025】
このように、土壌採取支援装置1は、サンプル識別情報Knjを発行する毎に識別シール59を出力すると共に、採取位置Znjとサンプル識別情報Knjとの関係は、記憶部53に採取情報として記憶する。
また、
図5Aに示すように、土壌の採取が実行された場合(採取ボタン75が選択された場合)、採取画面M2には、土壌の採取が完了した採取予定位置Rnj(採取済)と、土壌の採取が完了していない採取予定位置Rnj(未採取)とが図形等により区別して表示される。
図5Bに示すように、採取予定位置Rnjにおいて、全ての土壌の採取が完了すると、採取画面M2のメッセージ部77には、全ての土壌の採取が完了したことが表示される。
【0026】
図1に示すように、土壌採取支援装置1は、採取情報取得部63と、区画土壌作成部66と、出力部(対応関係出力部)67とを備えている。採取情報取得部63、区画土壌作成部66及び出力部67は、制御部52を構成する電気・電子回路、当該CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。採取情報取得部63は、圃場において土壌を採取する採取位置Znjと、採取位置Znjで採取した土壌のサンプルGnjとの関係を含む採取情報を取得する。区画土壌作成部66は、採取位置Znjと、土壌のサンプルGnjとに基づいて、区画(エリア)Qn毎の土壌分析の結果(土壌成分情報Wn)を識別する土壌識別情報Vnとサンプル識別情報Knjとの対応関係を把握するためのデータを作成する。
【0027】
土壌採取支援装置1に対して所定の操作を行うと、制御部52は表示部51に区画管理画面を表示する。区画管理画面において、例えば、採取情報の取得ボタンが選択されると、採取情報取得部63が記憶部53を参照し、採取位置Znjと、サンプル識別情報Knjとの関係を取得する。また、制御部52は区画取得部61によって取得した区画(エリア)Qnを呼び出す。
【0028】
区画土壌作成部66は、呼び出した区画(エリア)Qn、即ち、区画取得部61によって取得した区画(エリア)Qnにおいて、区画(エリア)Qnに対応する土壌成分情報Wnと、採取位置Znj及び土壌のサンプルGnj(サンプル識別情報Knj)との関係を整理する。
図7Aに示すように、例えば、区画土壌作成部66は、1番目の区画Q1に対応する採取位置Z1j及び土壌のサンプルG1j(サンプル識別情報K1j)で示されたjの最大数が「2」である場合、即ち、1番目の区画Q1において採取位置が2か所である場合、1番目の区画Q1の土壌成分情報W1は、土壌のサンプルG11及び土壌のサンプルG12の土壌の成分の結果が含まれると判断して、土壌成分情報W1を識別する土壌識別情報V1に、土壌のサンプルG11のサンプル識別情報K11及び土壌のサンプルG12のサンプル識別情報K12を割り当て、土壌識別情報V1、サンプル識別情報K11及びサンプル識別情報K12の対応関係を示す区画採取データ(関連表)を作成する。
【0029】
また、
図7Bに示すように、例えば、区画土壌作成部66は、1番目の区画Q1に対応する採取位置Z1j及び土壌のサンプルG1j(サンプル識別情報K1j)で示されたjの最大数が「3」である場合、即ち、1番目の区画Q1において採取位置が3か所である場合、1番目の区画Q1の土壌成分情報W1は、土壌のサンプルG11、土壌のサンプルG12及び土壌のサンプルG13の土壌の成分の結果が含まれると判断して、土壌成分情報W1に、サンプル識別情報K11、サンプル識別情報K12及びサンプル識別情報K13の対応関係を示す区画採取データ(関連表)を作成する。
【0030】
つまり、区画土壌作成部66は、区画(エリア)Qn毎において、土壌を採取した採取数(jの数)を参照し、
図8に示すように、土壌成分情報Wnとサンプル識別情報Knjとの対応関係を示す区画採取データ(関連表)を作成する。区画採取データ(関連表)は、記憶部53に記憶される。出力部67は、土壌のサンプルGnjの分析を行う場合に、土壌分析装置100、又は、前処理装置150等に区画採取データを出力する。例えば、土壌分析装置100又は前処理装置150から区画採取データの要求が行われると、記憶部53を参照し、区画採取データの要求を行った土壌分析装置100又は前処理装置150に区画採取データを送信する。
【0031】
上述した実施形態では、採取情報取得部63は、採取予定位置Rnjとサンプル識別情報Knjとの関係を取得していたが、採取予定位置Rnjにおいて土壌を採取した採取深さFnjを取得してもよい。
図9に示すように、採取管理画面M1の採取設定部73には、採取数の他に土壌を採取する深さが入力可能である。例えば、採取設定部73に入力された採取数が「2」で且つ採取深さが入力された場合、採取予定位置Rnjの他に、採取深さFnjが設定される。採取深さFnjが設定されると、採取深さFnjと、採取予定位置Rnjとの関係が記憶部53に記憶される。
【0032】
そして、採取管理画面M1において土壌の採取予定位置Rnj及び採取深さFnjが設定された後、採取画面M2を表示しながら土壌の採取が実行された場合、制御部52は、採取が実行された時点で、採取予定位置Rnjを採取位置Znjに設定し、設定された採取位置Znj、サンプル識別情報Knj及び採取深さFnjが記憶部(第3記憶部)53に採取情報として記憶される。
【0033】
図10は、土壌採取方法の流れを示している。
図10に基づいて土壌採取方法について説明をする。
土壌採取支援装置1に採取管理画面M1を表示して、当該採取管理画面M1に表示された圃場マップH1の中から採取圃場H2を選択する(S10)。採取圃場H2を選択後、縦長さL1及び横長さL2を設定することによって、採取圃場H2における区画(エリア)Qnを取得する(S11)。区画(エリア)Qnの設定後、採取設定部73に採取数(jの数)及び採取深さFnjを入力することにより、採取予定位置Rnj及び採取深さFnjを決定する(S12)。
【0034】
採取画面M2に採取予定位置Rnjを表示しながら実際に所定の位置、即ち、採取報知部64によって採取が促された位置にて採取を行う(S13)。採取が促された位置にて採取を行った場合、採取予定位置Rnjが実際の採取位置Znjに設定される(S14)。また、採取位置Znj、サンプル識別情報Knj及び採取深さFnjが採取情報として記憶部53に記憶される(S15)。
【0035】
土壌採取支援装置1は、採取終了後、採取情報(採取位置Znj、サンプル識別情報Knj及び採取深さFnj)を取得する(S16)。また、区画取得部61によって取得した区画(エリア)Qnが呼び出される(S17)。区画(エリア)Qn、採取情報(採取位置Znj、サンプル識別情報Knj及び採取深さFnj)に基づいて、区画(エリア)Qnに設定される土壌分析の結果を識別する土壌識別情報Vnと土壌のサンプルGnjとの対応関係(区画採取データ)を作成する(S18)。区画採取データを作成後は、当該区画採取データを記憶する(S19)。土壌分析装置100、前処理装置150等から区画採取データの要求があった場合、区画採取データの要求を行った土壌分析装置100又は前処理装置150に区画採取データを送信する(S20)。
【0036】
土壌採取支援装置1は、圃場において土壌を採取する採取位置Znjと採取位置Znjで採取した土壌のサンプルGnjとの関係を含む採取情報を取得する採取情報取得部63と、圃場を所定のエリアに分けた区画Qnを取得する区画取得部61と、採取情報の採取位置Znj及びサンプルGnjに基づいて、区画取得部61が取得した区画Qn毎に設定される土壌分析の結果を識別する土壌識別情報VnとサンプルGnjとの対応関係を作成する区画土壌作成部66と、区画土壌作成部66によって作成された土壌識別情報VnとサンプルGnjとの対応関係を出力する出力部67と、を備えている。
【0037】
土壌採取方法は、圃場において土壌を採取する採取位置Znjと、採取位置Znjで採取したサンプルGnjとの関係を含む採取情報を取得するステップと、圃場を所定のエリアに分けた区画Qnを取得するステップと、採取情報の採取位置Znj及びサンプルGnjに基づいて、区画Qnに含まれるサンプルGnjと区画Qnとの対応関係を示す区画情報を演算するステップと、所定の区画Qnに対応するサンプルGnjの成分分析結果を出力するステップとを備えている。
【0038】
土壌採取支援装置1及び土壌採取方法によれば、圃場を複数のエリアに分けた区画Qnが複数存在する場合において、区画毎Qnに対応した土壌識別情報VnとサンプルGnjとの対応関係を把握することができるため、圃場を複数の区画Qnに分けた場合でも各区画Qnの土壌成分を把握することができる。特に、1つの区画Qnに複数の土壌を採取した場合であっても、区画Qnに対して複数のサンプルGnjとの関係が把握できることから、複数のサンプルGnjの土壌分析の結果を、区画Qn毎に反映することができる。
【0039】
土壌採取支援装置1は、区画取得部61で取得した区画Qnにおいて、区画Qnにおける土壌の採取予定位置Rnjを設定する位置設定部62を備えている。土壌採取方法は、区画Qnにおける土壌の採取位置Znjを設定するステップを備えている。土壌採取支援装置1及び土壌採取方法によれば、区画Qn毎に簡単に採取予定位置Rnjを設定することができる。
【0040】
土壌採取支援装置1は、土壌の採取を行う際に位置設定部62で設定された採取予定位置Rnjに位置する場合に、土壌の採取を促す報知を行う採取報知部64を備えている。土壌採取方法は、土壌の採取を行う際に採取位置Znjに位置する場合に、土壌の採取を促す報知を行うステップを備えている。土壌採取支援装置1及び土壌採取方法によれば、作業者等が採取予定位置Rnjにある場合に報知が促されるため、簡単に採取予定位置Rnjで土壌の採取を行うことができる。
【0041】
採取情報取得部63は、採取位置Znjにおいて土壌を採取した採取深さFnjを取得する。これによれば、採取深さを土壌分析の結果に反映して把握することができる。
土壌採取支援装置1は、採取情報取得部63が取得した採取位置Znj、採取深さFnj及びサンプルGnjを識別するサンプル識別情報Vnを採取情報として記憶する第3記憶部53を備えている。これによれば、採取位置Znj、採取深さFnj及びサンプル識別情報Vnを第3記憶部53にデータベースとして保存することができる。
【0042】
図11は、土壌分析の前処理装置150を示した図である。前処理装置150は、圃場において採取した土壌のサンプルGnjを土壌分析装置100で分析を行う前に、分析を行う土壌のサンプルGnjの前処理を行う装置である。土壌分析装置100は、土壌に含まれる化学成分を分析(計測)することが可能な装置であって、例えば、作物の成長に重要な要素である窒素、リン酸、カリウムの含有量を計測することが可能である。また、土壌分析装置100は、カルシウム、マグネシウム、pH、石灰、加里等も分析(計測)することが可能である。なお、土壌分析装置100で分析可能な化学成分は一例であり限定されない。
【0043】
土壌分析装置100における分析を行うにあたっては、前処理を行った土壌と成分抽出液(成分を抽出させる液体)とを抽出容器に入れて、抽出容器を振とうさせる。振とうさせた後の液体(土壌液)を濾過して、濾過後の土壌液をカードリッジに入れる。カードリッジ内には、分析対象の成分に対応した試薬が入っており、カードリッジ内で試薬と土壌液とが混ざりあうことによって、試薬が反応する。土壌分析装置100では、土壌液と反応した試薬の色の変化によって化学成分を測定する。なお、上述した土壌分析装置100は、一例であり、限定されない。
【0044】
前処理装置150は、管理装置149(
図1参照)と、乾燥機151と、混合機161と、分離機171とを有している。管理装置149は、固定端末又は携帯端末である。管理装置149は、外部との接続を行う接続部149aと、様々な表示を行う表示部149bとを有している。接続部149aは、有線又は無線によって外部との接続を行う部分であって、当該接続部149aには土壌採取支援装置1が接続可能である。例えば、前処理装置150の接続部149aに土壌採取支援装置1を有線又は無線によって接続した場合、前処理装置150は、土壌採取支援装置1によって作成された区画採取データを取得することができる。表示部149bは、液晶パネル等で構成されている。なお、前処理装置150は、管理装置149を有しているとしているが、上述した土壌採取支援装置1を管理装置149としてもよい。即ち、管理装置149と土壌採取支援装置1とが一体化されていてもよい。
【0045】
乾燥機151は、複数の土壌のサンプルGnjを乾燥する機械である。乾燥機151は、例えば、定温送風乾燥機等であって、筐体152と、筐体152に開閉自在に設けられた蓋体153と、筐体152内に設けられ且つサンプルGnjを入れたトレー154を置く台座(載置部)155と、筐体152に風を送るファン156と、ファン156を回転させる駆動部157を有している。
【0046】
トレー154は、複数に縦板部154a及び横板部154bによって複数の区画部154cに分けられていて、それぞれの区画部154cにサンプルGnjが入れられている。トレー154の区画部154cのそれぞれには、識別シール59が貼られている。即ち、区画部154cの1つ1つに識別シール59が貼られていて、当該区画部154cには、識別シール59に示されたサンプル識別情報Knjに対応する土壌のサンプルGnjが入れられている。
【0047】
乾燥機151において、土壌のサンプルGnjを乾燥するには、まず、複数のサンプルGnjを入れたトレー154を筐体152の載置部155に置いた後、蓋体153を閉鎖する。そして、筐体152に設けた操作盤のスイッチ等を操作して、電動モータ等の駆動部157の駆動を開始する。駆動部157の駆動が開始すると、ファン156が所定の回転数で回転して、筐体152内に常温の空気が送り込まれ、送り込まれた空気によってトレー154の複数のサンプルGnjを乾燥することができる。乾燥機151は、制御装置が設けられていて、制御装置の制御によってファン156の回転数、ファン156を回転する回転時間(乾燥時間)等を設定することができる。
【0048】
混合機161は、ドラム型の混合機であって、縦又は横に回転自在に支持されたドラム162と、ドラム162を回転する駆動部163と、攪拌部材164と、制御装置165とを有している。ドラム162には、蓋体166が開閉自在に取り付けられていて、蓋体166を開放した後に土壌のサンプルGnjをドラム162内に入れることができる。
混合機161において、土壌のサンプルGnjを混合するには、1つの区画Qnに対応する土壌のサンプルGnjをドラム162に投入する。例えば、区画Q1に対応する土壌のサンプルがサンプルG11及びサンプルG12である場合、サンプルG11及びサンプルG12をドラム162に投入する。1つの区画Qnに対応する土壌のサンプルGnjを投入後、操作盤のスイッチ等を操作して、電動モータ等の駆動部163の駆動を開始する。駆動部163の駆動が開始すると、ドラム162が所定の回転数で回転して、攪拌部材164による攪拌又はドラム162の回転によるサンプルの移動によって、サンプルG11とサンプルG12とを混合することができる。なお、制御装置165の制御によってドラム162の回転数、ドラム162を回転する回転時間(混合時間)等を設定することができる。
【0049】
分離機171は、異物を篩によって分離する機械であって、網目状の篩部172を有する本体173と、本体173によって分離されたサンプルGnjを受ける受け部174と、本体173を縦方向又は横方向に振動させる振動機構(図示省略)とを有している。
分離機171において、土壌のサンプルGnjを篩に掛ける場合、当該土壌のサンプルGnjを本体173に入れて振動機構によって本体173を振動させることにより、土壌のサンプルGnjから異物を除去することができる。篩部172を通過したサンプルGnj、即ち、異物除去後のサンプルGnjは、本体173から受け部174へ向けて落下する。受け部174に入ったサンプルGnjが土壌分析装置100で分析されるサンプルである。
【0050】
図12Aは、土壌分析装置100によって土壌の分析を行う前に、土壌のサンプルGnjを前処理する土壌分析の前処理方法を示している。
図12Aに示すように、前処理方法は、乾燥工程200と、区画整理工程201と、混合工程202と、異物除去工程203とを備えている。
乾燥工程200は、採取した複数のサンプルGnjを乾燥させる工程である。乾燥工程200においては、複数のサンプルGnjを入れたトレー154を乾燥機151の筐体152内に入れて、ファン156を回転させることによって、トレー154内の複数のサンプルGnjを乾燥させる。
【0051】
区画整理工程201は、乾燥工程200後の複数のサンプルGnjを、圃場を所定のエリアに分けた区画Qn毎に分ける工程である。具体的には、管理装置149と土壌採取支援装置1とが別体の場合は、管理装置149の接続部149aを介して土壌採取支援装置1を接続し、管理装置149から土壌採取支援装置1に対して区画採取データを要求することにより、区画採取データを取得する。管理装置149の表示部149bに区画採取データを表示することにより、土壌成分情報Wnとサンプル識別情報Knjとの関係を把握する。
【0052】
区画整理工程201において、区画Qn毎、即ち、土壌成分情報Wn毎に、複数のサンプルGnjを入れるトレー210(別のトレー210)を用意する。トレー210は、複数に縦板部210a及び横板部210bによって複数の区画部210cに分けられていて、それぞれの区画部210cに区画Qn毎に対応するサンプルGnを入れることができる。トレー210の複数の区画部210cは、縦及び横に並んでいて、複数の区画部210cには、例えば、左端の上から右端の上に行くにしたがって順番に識別番号n(区画番号No1、No2・・・)が割り当てられている。即ち、トレー210の複数の区画部210cには、区画番号nが付されていて、区画番号nの箇所に、区画Qnに対応する複数のサンプルGnjを入れることによって、複数のサンプルGnjで構成されるサンプルGnと区画Qnとを対応させることができる。
【0053】
例えば、区画Q1(土壌成分情報W1)に、サンプルG11、サンプルG12及びサンプルG13が対応している場合、トレー154からサンプルG11、サンプルG12及びサンプルG13を取り出して、区画番号1の区画部210cにサンプルG11、サンプルG12及びサンプルG13を入れる。なお、トレー154において、サンプルG11、サンプルG12及びサンプルG13が入っている場所は、当該トレー154に張り付けられた識別シール59のサンプル識別情報Knjをリーダ等で読み込むことによって把握することができる。これにより、区画Q1に対応したサンプルG1を作成することができる。
【0054】
上述したように、区画整理工程201において、全ての複数のサンプルGnjを区画Qn毎に分けて、区画Qnに対応したサンプルGnを作成する。
混合工程202は、区画Qn毎に分けられたサンプルGnを混合する工程である。トレー210(別のトレー210)において、所定の区画部210cに入っているサンプルGnを混合機161によって1つ1つ混合する。混合工程202において、トレー210から1つの区画部210cに入っているサンプルGnを取り出して、取り出したサンプルGnを混合機161のドラム162に入れて、所定時間、サンプルGnの混合を行う。
【0055】
異物除去工程203は、複数のサンプルGnjを混合したサンプル(混合工程202において混合処理を行った混合サンプル)Gnに含まれる異物を除去する工程である。異物除去工程203では、混合機161のドラム162から取り出した混合サンプルGnを、分離機171の本体173に投入し、本体173を振動機構によって振動させることにより、
分離機171によって異物を除去した混合サンプルGnを作成する。
【0056】
異物を除去した混合サンプルGn、即ち、受け部174に落下した混合サンプルGnは、トレー210とは別のトレー211に入れる。トレー211は、異物を除去した混合サンプルGnを入れることができるトレーであって、トレー210と同様に、縦板部211a及び横板部211bとによって複数の区画部211cに分けられていて、それぞれの区画部211cに区画Qn毎に対応する混合サンプルGnを入れることができる。
【0057】
図12Bは、
図12Aとは異なる土壌分析の前処理方法を示している。
土壌分析の前処理方法は、乾燥工程200と、異物除去工程303と、区画整理工程301と、混合工程302とを備えている。
図12Bにおける乾燥工程200は、
図12Aにおける乾燥工程200と同様であるため説明を省略する。
異物除去工程303は、乾燥工程200後の複数のサンプルGnjに含まれる異物を除去する工程であって、
図12Aとは異なり混合サンプルGnを作成する前に異物を除去する工程である。異物除去工程303において、トレー154に入っている複数のサンプルGnjのうち1つを取り出して、取り出した1つのサンプルGnjを分離機171の本体173に投入する。そして、1つのサンプルGnjが入った本体173を振動機構によって振動させることにより、分離機171によって異物を除去したサンプルGnjを作成する。異物を除去したサンプルGnjは、トレー154において、元の位置(場所)に戻す。トレー154において、全てのサンプルGnjに対して異物除去工程303を行う。異物除去工程303が終了したトレー154は、異物が除去されたサンプルGnjが入ることになる。
【0058】
異物除去工程303が終了すると、区画整理工程301において、上述したようにトレー210(別のトレー210)を用意して、複数の区画部210c毎に対応して異物が除去されたサンプルGnjを入れることで、区画Qnに対応したサンプルGn(異物の除去されたサンプルGn)を作成する。
区画整理工程301が終了すると、混合工程302を行う。混合工程302では、区画Qnに対応したサンプルGn(異物の除去されたサンプルGn)の1つをトレー210の区画部210cから取り出して、取り出した1つのサンプルGnを混合機161に投入して、混合を行う。混合機161で混合した混合後のサンプルGn(混合サンプルGn)は、トレー210において、元の位置(場所)に戻す。
【0059】
以上のように、土壌分析の前処理によって、区画Qnに対して複数(少なくとも2以上)のサンプルGnjがある場合に、複数のサンプルGnjを区画Qn毎に整理した後、複数のサンプルGnjを区画Qn毎に分けたサンプルGnを用意することができる。また、サンプルGnは、既に乾燥処理、混合処理及び異物除去処理を経たサンプルであるため、土壌分析装置100側で精度良い成分分析を行うことができる。
【0060】
即ち、所定の区画Qnに対して複数のサンプルGnjが対応している場合には、所定の区画Qnに対応する複数のサンプルGnjを1つにまとめて土壌成分情報Wnとして表すことができる。言い換えれば、土壌分析支の前処理によって、複数のサンプルGnjを所定の区画Qnにおける代表の土壌成分とした土壌成分情報Wnとして整理することが可能となる。
【0061】
土壌分析の前処理方法は、圃場において採取した土壌を土壌分析装置100で分析を行う前に、分析を行う土壌のサンプルGnjを前処理する土壌分析の前処理方法において、採取した複数のサンプルGnjを乾燥させる乾燥工程200と、乾燥工程200後の複数のサンプルGnjを、圃場を所定のエリアに分けた区画毎に分ける区画整理工程201と、所定の区画毎に分けられた複数のサンプルGnjを混合する混合工程202と、複数のサンプルGnjを混合した混合サンプルGnに含まれる異物を除去する異物除去工程203と、を備えている。これによれば、乾燥工程200において、複数のサンプルGnjを同じ条件で同時に乾燥することができ、区画整理工程201において、乾燥後の複数のサンプルGnjを区画Qn毎に対応付けることができる。また、混合工程202において、所定の区画Qn毎に分けた複数のサンプルGnjを均一化することができ、異物除去工程203において、均一化された混合サンプルGnから異物を除去することができる。つまり、複数のサンプルGnjを区画Qn毎に分ける一方で、サンプルGnjに対して乾燥、混合、異物除去を行うことで適正な土壌のサンプルを土壌分析装置100で分析する前に用意することができる。
【0062】
土壌分析の前処理方法は、採取した複数のサンプルGnjを乾燥させる乾燥工程200と、乾燥工程200後の複数のサンプルGnjに含まれる異物を除去する異物除去工程303と、異物除去後の複数のサンプルGnjを、圃場を所定のエリアに分けた区画毎に分ける区画整理工程301と、所定の区画毎に分けられた複数のサンプルGnjを混合する混合工程302と、を備えている。これによれば、乾燥工程200において、複数のサンプルGnjを同じ条件で同時に乾燥することができ、異物除去工程303において、乾燥後の複数のサンプルGnjから異物を除去した後に、区画整理工程301において、乾燥後の複数のサンプルGnjを区画Qn毎に対応付けることができる。また、混合工程302において、所定の区画Qn毎に分けた複数のサンプルGnjを均一化することができる。つまり、複数のサンプルGnjを区画Qn毎に分ける一方で、サンプルGnjに対して乾燥、混合、異物除去を行うことで適正な土壌のサンプルを土壌分析装置100で分析する前に用意することができる。
【0063】
乾燥工程200では、風によってサンプルGnjを乾燥する乾燥機151で乾燥を行う。これによれば、乾燥機151がサンプルGnjに風を当てながら徐々に乾燥を行うことができる。
混合工程202、302では、所定の区画に対応する2以上のサンプルGnjを混合機161で混合を行う。これによれば、所定の区画に2以上のサンプルGnjが存在する場合には、混合機161によって2以上のサンプルGnjを適正に均一化することができる。
【0064】
異物除去工程203、303では、サンプルGnjに含まれる異物を篩によって分離する分離機171に投入して異物の除去を行う。これによれば、分離機171によって、サンプルGnjの異物を適正に除去することができる。
圃場において採取した土壌を土壌分析装置100で分析を行う前に、分析を行う土壌のサンプルGnjを前処理する土壌分析の前処理装置において、採取した複数のサンプルGnjを乾燥させる乾燥機151と、複数のサンプルGnjを、圃場を所定のエリアに分けた所定の区画に含まれる複数のサンプルGnjを混合する混合機161と、複数のサンプルGnjに含まれる異物を篩によって分離する分離機171と、を備えている。これによれば、複数のサンプルGnjを区画Qn毎に分ける一方で、サンプルGnjに対して乾燥、混合、異物除去を行うことで適正な土壌のサンプルを土壌分析装置100で分析する前に用意することができる。
【0065】
さて、土壌分析の前処理が完了すると、上述したように、サンプルGn毎に土壌分析装置100における土壌分析を行う。土壌分析装置100の記憶部108は、土壌分析の結果である土壌成分情報Wn、即ち、区画Qn毎(サンプルGn毎)に得られた土壌の化学成分(土壌成分)を土壌識別情報Vnに対応させて、
図13に示すように記憶する。
土壌分析装置100によって得られた土壌成分情報Wnを農業支援装置110に送信して、当該農業支援装置110の記憶部114が土壌識別情報Vnを記憶してもよい。また、土壌分析装置100によって得られた土壌成分情報Wnを土壌採取支援装置1に送信して、当該土壌採取支援装置1の第4記憶部54が土壌識別情報Vnを記憶してもよい。なお、記憶部108、記憶部114及び第4記憶部54は、例えば、不揮発性のメモリ等である。つまり、土壌成分情報Wnは、土壌分析装置100の記憶部108、農業支援装置110の記憶部114、土壌採取支援装置1の第4記憶部54の少なくとも1つに記憶される。土壌採取支援装置1の第3記憶部53と第4記憶部54とを一体化してもよい。
【0066】
図1に示すように、農業支援装置110は、固定端末、携帯端末、サーバ等である。この実施形態では、農業支援装置110は、サーバであるとして説明を進める。農業支援装置110と土壌採取支援装置1とは接続可能である。
農業支援装置110は、農作業取得部111と、土壌採取時期演算部112と、第2出力部113とを備えている。農作業取得部111、土壌採取時期演算部112及び第2出力部113は、農業支援装置110を構成する電気・電子回路、農業支援装置110に格納されたプログラム等から構成されている。
【0067】
農作業取得部111は、農作業を取得する。農作業は、圃場における作業であって、稲作、畑作に関する作業である。より詳しくは、農作業は、床土作り、畦塗り、耕耘、播種、畝立、苗の移植、田植え、代掻き、溝切り、除草、施肥、収穫等である。
土壌採取時期演算部112は、農作業取得部111で取得した農作業に基づいて、所定の圃場で土壌を採取する採取時期を演算する。第2出力部113は、土壌採取時期演算部112で演算された採取時期を出力する。
【0068】
以下、農作業取得部111、土壌採取時期演算部112及び第2出力部113について詳しく説明する。
農作業取得部111は、農作業を行う農作業者等が所持する携帯端末115から送信された農作業を取得する。なお、携帯端末115は、土壌採取支援装置1と別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0069】
図14に示すように、例えば、農作業者が農作業を完了すると、当該農作業者は、携帯端末115に対して所定の動作を行って当該携帯端末115の表示装置116に農作業管理画面M5を表示する。農作業管理画面M5に、農作業を行った圃場、農作業、実施日が入力されると、圃場、農作業及び実施日は、農業実績として農業支援装置110に送信される。農作業取得部111は、携帯端末115から送信された農業実績を農業支援装置110が受信後、少なくとも農業実績に含まれる農作業を取得する。
【0070】
土壌採取時期演算部112は、農作業と採取時間との関係に基づいて、採取時期を演算する。農作業と採取時間との関係は、農業支援装置110に設けられた不揮発性のメモリ等から構成された第2記憶部117に記憶されている。
図15に示すように、第2記憶部117には、農作業毎に採取時間が記憶されている。採取時間とは、所定の農作業を開始してから土壌の採取までの時間の長さを示しており、農作業毎に採取時間が設定されている。例えば、採取時間は、所定の農作業を起点として、大凡、作物の収穫が行える収穫時期に所定時間を加算した長さであり、収穫後に土壌の採取を行うことができる採取期間が定められるように設定されている。
【0071】
土壌採取時期演算部112は、農作業取得部111が農業実績(圃場、農作業、実施日)を取得すると、第2記憶部117を参照し、農作業取得部111が取得した農作業と同じ農作業における採取時間を第2記憶部117から抽出し、抽出した採取時間に農作業を行った実施日を加算した時期を、採取時期として算出する。例えば、農作業が田植えであり実施日が5/12である場合、土壌採取時期演算部112は、田植えに対応する採取時間(130日~154日)に実施日を加算した9/19~10/13が採取時期として演算する。
【0072】
第2出力部113は、土壌採取時期演算部112によって採取時期が演算されると、農作業を通知した携帯端末115に、採取時期に対応する所定の圃場(携帯端末115から通知された農業実績に含まれる圃場)と採取時期とを出力(送信)する。携帯端末115が採取時期を取得すると、所定の圃場及び採取時期の表示、記憶等を行う。又は、第2出力部113は、土壌採取支援装置1に、所定の圃場(携帯端末115から通知された農業実績に含まれる圃場)と採取時期とを出力(送信)する。土壌採取支援装置1が採取時期を取得すると、所定の圃場及び採取時期の表示、記憶等を行う。例えば、土壌採取支援装置1は、採取管理画面M1に採取時期及び採取時期に対応する所定の圃場を表示する。なお、採取管理画面M1に採取時期に対応する所定の圃場を表示する場合に、当該所定の圃場を採取圃場H2として自動的に設定できるようにしてもよい。
【0073】
なお、農業支援装置110は、第2出力部113が出力した採取時期と、採取時期に対応する所定の圃場とを表示する第2表示部118を備えていてもよい。第2表示部118は、液晶パネル等であって、所定の操作が行われると、採取時期に対応する所定の圃場と、採取時期とが第2表示部118の画面に表示される。
次に、作業計画から農作業を取得して採取時期を演算する構成について説明する。
【0074】
図1に示すように、農業支援装置110は、作業作成部119と、第1記憶部120とを備えている。作業作成部119は、農業支援装置110を構成する電気・電子回路、農業支援装置110に格納されたプログラム等から構成されている。第1記憶部120は、不揮発性のメモリ等から構成されている。
作業作成部119は、農作業を行う圃場と、農作業を行う作業時間との関係を含む作業計画を作成する。第1記憶部120は、作業作成部119で作成された作業計画を記憶する。
【0075】
図16に示すように、農業支援装置110と携帯端末115とを接続後、農作業者が当該携帯端末115に対して所定の動作を行うと、作業作成部119は、携帯端末115の表示装置116に作業計画画面M6を表示する。作業計画画面M6は、農作業を行った圃場を入力する圃場入力部81と、農作業を入力する作業入力部82と、農作業を行った作業時間を入力する時間入力部83とを含んでいる。作業時間とは、農作業を行う予定の時間であり、時刻、日付(実施予定日)、曜日等を含んでいる。即ち、作業時間には、農作業を行う実施予定日が含まれている。
【0076】
圃場入力部81に圃場が入力され、作業入力部82に農作業が入力され、時間入力部83に作業時間が入力されると、それぞれに入力された事項(圃場、農作業、作業時間)が作業計画として第1記憶部120に記憶される。
農作業者が携帯端末115に対して所定の操作を行うことによって、複数の圃場の中から所定の圃場に対応する作業計画の要求(個別計画の要求)があると、個別計画の要求があったことが携帯端末115から農業支援装置110に通知される。農業支援装置110の農作業取得部111は、個別計画の要求に対応して、第1記憶部120を参照し、複数の作業計画の中から所定の圃場に対応する作業計画(個別計画)を抽出する。即ち、農作業取得部111は、複数の作業計画の中から個別計画に示された所定の圃場、農作業、作業時間を取得する。
【0077】
農作業取得部111が個別計画を取得すると、取得した個別計画を携帯端末115の表示装置116に表示させる。また、携帯端末115の表示装置116において、個別計画を表示した状態で、例えば、携帯端末115を操作することによって、採取時期の要求を当該携帯端末115に要求すると、当該携帯端末115は、農業支援装置110に採取時期の要求があったことを通知する。農業支援装置110の土壌採取時期演算部112は、農作業取得部111が作業計画の取得の際に取得した個別計画の中から、当該個別計画に示されている農作業を抽出し、抽出した農作業に対応する採取時間を第2記憶部117から抽出する。また、土壌採取時期演算部112は、採取時間と作業時間の実施予定日とに基づいて、採取時期を求める。
【0078】
例えば、
図17に示すように、複数の圃場(例えば、圃場A、圃場B、圃場C)に対応する作業計画が記憶されていたとする。複数の圃場A、圃場B、圃場Cのうち、圃場Cに対する個別計画の要求が携帯端末115にあると、携帯端末115は、圃場Cの個別計画の要求があったことを農業支援装置110に通知する。農業支援装置110の農作業取得部111は、第1記憶部120に記憶された複数の作業計画の中から圃場Cに対応する個別計画を抽出する。農業支援装置110は、圃場Cに対応する個別計画を携帯端末115に送信する。携帯端末115において、例えば、圃場Cに対応する個別計画で示された複数の農作業(耕耘、代掻き、田植え)のうち、田植えの農作業に対応する採取時期を得たい場合、当該携帯端末115は、田植えに対応する採取時期の要求を農業支援装置110に行う。土壌採取時期演算部112は、圃場Cに対応する個別計画で示された複数の農作業の中から、田植えに対応する採取時間を第2記憶部117から抽出し、田植えの実施予定日に採取時間を加算することによって採取時期を求める。
【0079】
図18Aは、採取時期を提供することができる上述した農業支援方法をまとめた図である。
図18Aに示すように、農業支援方法では、上述したように、農作業管理画面M5に所定の圃場における農作業及び実施日等の農業実績を入力したり、作業計画画面M6に所定の圃場における農作業、作業時間等の作業計画を入力することによって、農業実績又は作業計画に入力された農作業を取得する(S30)。
【0080】
農業実績(農作業及び実施日)を取得した場合は、農業実績に示された農作業及び実施日に基づいて、作業計画(農作業及び実施予定日)を取得した場合は、作業計画に示された農作業及び実施予定日に基づいて、採取時期を演算する(S31:時期ステップ)。即ち、時期演算ステップでは、農業実績の実施日に農作業に対応する採取時間を加算することで採取時期を演算したり、作業計画の実施予定日に農作業に対応する採取時間を加算することで採取時期を演算する。採取時期を演算した後は、携帯端末115に採取時期を出力する(S32)。採取時期は、携帯端末115等で表示することが可能である。
【0081】
さて、農業支援装置110は、作物を作付する作付エリアHG1に土壌成分を示すことが可能である。農業支援装置110は、作付エリア取得部130と、土壌成分取得部131と、作付成分抽出部132、第1出力部133とを備えている。作付エリア取得部130、土壌成分取得部131、作付成分抽出部132及び第1出力部133は、農業支援装置110を構成する電気・電子回路、当該農業支援装置110に格納されたプログラム等から構成されている。
【0082】
作付エリア取得部130は、マップ表示制御部130aと、エリア設定部130bとを含み、マップ表示制御部130a及びエリア設定部130bによって、作付エリアHG1を取得する。土壌成分取得部131は、圃場の複数の位置で採取した土壌の土壌成分、即ち、土壌成分情報Wnを取得する。作付成分抽出部132は、土壌成分取得部131が取得した複数の土壌成分(土壌成分情報Wn)のうち、作付エリア取得部130が取得した作付エリアHG1に対応する土壌成分である作付土壌成分WPn(n=1,2,3・・・)を抽出する。第1出力部133は、作付成分抽出部132で抽出した作付土壌成分WPnを出力する。
【0083】
図19に示すように、農作業者が携帯端末115に対して所定の動作を行うと、マップ表示制御部130aは、農業支援装置110に記憶された圃場マップH1の採取圃場H2のデータを読み込み、携帯端末115の表示装置116の作付管理画面M7に採取圃場H2を表示させる。また、作付管理画面M7には、ポインタ部136が表示される。
作付管理画面M7において、採取圃場H2の任意の位置を選択すると、エリア設定部130bは、ポインタ部136によって選択された任意の位置を選択点SP1に決定する。また、選択点SP1の決定後において、採取圃場H2に対して選択点SP1とは異なる選択点SP2をポインタ部136で選択すると、エリア設定部130bは、ポインタ部136によって選択された任意の位置を選択点SP2に決定し、採取圃場H2上には、選択点SP1と選択点SP2とを通る矩形状のエリアA10を表示する。作付管理画面M7において、エリアA10が表示された状態で作付管理画面M7に表示されたエリア決定ボタン137を選択すると、エリア設定部130bは、エリアA10を作付エリアHG1に決定する。
【0084】
土壌成分取得部131は、作付エリアHG1が決定すると、作付管理画面M7において表示された圃場マップH1(採取圃場H2)により示された圃場の土壌成分情報Wnを取得する。即ち、土壌成分取得部131は、土壌分析装置100の記憶部108、農業支援装置110の記憶部114、土壌採取支援装置1の記憶部(第4記憶部)54に記憶された土壌成分情報Wnを取得する。
【0085】
作付成分抽出部132は、土壌成分情報Wnのうち、作付エリアHG1に対応する土壌成分である作付土壌成分WPnを抽出する。例えば、
図20に示すように、採取圃場H2の区画Qnと作付エリアHG1とを比較した場合、区画Q7~Q12に作付エリアHG1が含まれているとすると、作付成分抽出部132は、作付エリアHG1が含まれる区画Q7~Q12に対応する土壌成分情報W7~W12を、土壌成分情報Wnから抽出して、抽出した土壌成分情報W7~W12を作付土壌成分WPn(n=7~12)として抽出する。
【0086】
第1出力部133は、携帯端末115に作付成分抽出部132が抽出した作付土壌成分WPn(n=7~12)を出力する。携帯端末115は、第1出力部133が出力した作付土壌成分WPn(n=7~12)を取得すると、
図21に示すように、採取圃場H2と共に、作付エリアHG1における作付土壌成分WPn(n=7~12)を表示する。なお、上述した実施形態では、携帯端末115に作付土壌成分WPn(n=7~12)を表示していたが、農業支援装置110は、第1出力部133が出力した作付土壌成分WPn(n=7~12)を表示する第1表示部121を備えていてもよい。第1表示部121は、液晶パネル等であって、所定の操作が行われると、所定の圃場と、作付土壌成分WPn(n=7~12)とを表示する。なお、第1表示部121と第2表示部118とを一体化してもよい。
【0087】
図18Bは、作付エリアに対応する土壌成分を提供することができる上述した農業支援方法をまとめた図である。
図18Bに示すように、農業支援方法では、上述したように、作付管理画面M7に採取圃場H2等の圃場マップH1を表示し、圃場マップH1における採取圃場H2において、ポインタ部136によって所定のエリアを指定することにより、作付エリアHG1を取得する(S40)。携帯端末115が土壌分析装置100の記憶部108、農業支援装置110の記憶部114、土壌採取支援装置1の記憶部(第4記憶部)54のいずれかに接続することによって、所定の圃場において複数の位置で採取した土壌の土壌成分(土壌成分情報Wn)を取得する(S41)。
【0088】
土壌成分情報Wnの取得後は、作付成分抽出部132によって、複数の土壌成分(土壌成分情報Wn)のうち、作付エリアHG1に対応する土壌成分である作付土壌成分WPnを抽出する(S42)。
作付土壌成分WPnを抽出した後は、携帯端末115に作付土壌成分WPnを出力する(S43)。
【0089】
農業支援装置110は、圃場において作物を作付する作付エリアHG1を取得する作付エリア取得部130と、圃場の複数の位置で採取した土壌の土壌成分を取得する土壌成分取得部131と、土壌成分取得部131が取得した複数の土壌成分のうち、作付エリア取得部130が取得した作付エリアHG1に対応する土壌成分である作付土壌成分WPnを抽出する作付成分抽出部132と、作付成分抽出部132で抽出した作付土壌成分WPnを出力する第1出力部133と、を備えている。また、農業支援方法は、圃場において作物を作付する作付エリアHG1を取得するステップと、圃場の複数の位置で採取した土壌の土壌成分を取得するステップと、複数の土壌成分のうち、作付エリアHG1に対応する土壌成分である作付土壌成分WPnを抽出するステップと、作付エリアHG1に対応する作付土壌成分WPnを出力するステップと、を備えている。
【0090】
農業支援装置110及び農業支援方法によれば、作物が作付けされる作付エリアHG1における作付土壌成分WPnを簡単に把握することができる。即ち、作物の生育(成長)に影響の与える作付エリアHG1の作付土壌成分WPnを得ることができる。
農業支援装置110は、所定の圃場における農作業を取得する農作業取得部111と、農作業取得部111で取得した農作業に基づいて、所定の圃場で土壌を採取する採取時期を演算する土壌採取時期演算部112と、土壌採取時期演算部112で演算された採取時期を出力する第2出力部113と、を備えている。また、農業支援方法は、所定の圃場における農作業を取得するステップと、取得した農作業に基づいて、所定の圃場で土壌を採取する採取時期を演算するステップと、演算された採取時期を出力するステップと、を備えている。
【0091】
農業支援装置110及び農業支援方法によれば、農作業を起点とした採取時期で土壌を採取することができるため、即ち、作物の生育(成長)に影響を与える土壌成分を得ることができる。
作付エリア取得部130は、圃場を示す圃場マップを表示させるマップ表示制御部130aと、マップ表示制御部130aによって表示された圃場マップから所定の圃場における作付エリアHG1を指定するエリア設定部130bと、を含み、作付エリア取得部130は、エリア設定部130bにおいて設定された所定の圃場における作付エリアHG1を取得する。これによれば、簡単に作付エリアHG1を設定することができ、設定された作付エリアHG1を取得することができる。
【0092】
農業支援装置110は、農作業を行う圃場と、農作業を行う作業時間との関係を作成する作業作成部119と、作業作成部119で作成された圃場と作業時間との関係を含む作業計画を記憶する第1記憶部120と、農作業に対応する採取時間を記憶する第2記憶部117と、を備え、農作業取得部111は、第1記憶部120に記憶された作業計画の中から所定の圃場における農作業と、農作業を行う作業時間とを取得し、土壌採取時期演算部112は、農作業取得部111が取得した農作業に対応する採取時間を第2記憶部117から抽出し、抽出した採取時間と農作業取得部111が取得した農作業に対応する作業時間とに基づいて採取時期を演算する。これによれば、作業計画から簡単に農作業に対応する採取時間を得ることができ、得られた採取時間と作業計画で示された作業時間とに基づいて簡単に採取時期を求めることができる。
【0093】
農業支援装置110は、第1出力部133が出力した作付土壌成分WPnを所定の圃場に表示する第1表示部121を備えている。これによれば、第1表示部121によって、作付エリアHG1の作付土壌成分WPnを簡単に把握することができる。
農業支援装置110は、第2出力部113が出力した採取時期と、所定の圃場とを表示する第2表示部118を備えている。これによれば、第2出力部113によって、簡単に採取時期と所定の圃場とを把握することができる。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1 土壌採取支援装置
100 土壌分析装置
151 乾燥機
161 混合機
171 分離機
200 乾燥工程
201、301 区画整理工程
202、302 混合工程
203、303 異物除去工程
Gnj サンプル