(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】回転停止装置を有する外科用器具及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A61B17/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019066538
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-03-29
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マーク・シャンウォルド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ・エイ・マークス
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-047264(JP,A)
【文献】特開平06-269406(JP,A)
【文献】特表平07-504834(JP,A)
【文献】米国特許第06113556(US,A)
【文献】特表2016-512971(JP,A)
【文献】特開2013-006038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
近位ハンドルと、
前記近位ハンドルから延在し、かつ遠位に取り付けられた可視化装置を有するシャフトと、
前記可視化装置を移動させるために、回転軸を中心に前記近位ハンドルに対して回転するように構成されたノブと、
前記近位ハンドルに対する前記ノブの回転を360度を超える所定の限界まで可能にし、かつ前記所定の限界を超える前記近位ハンドルに対する前記ノブの回転を制限する回転停止部と、を備え、
前記回転停止部は、前記近位ハンドル内に少なくとも部分的に配置されており、前記回転停止部は、
第1の構成要素と、
第2の構成要素であって、停止部回転軸を中心として前記第1の構成要素に対して回転するように構成されている、第2の構成要素と、
前記第2の構成要素から延びる保持機構であって、前記保持機構が、前記第1の構成要素のおもて面を越えて延び、前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の軸方向の位置を維持するように、前記第1の構成要素を通って延びる、保持機構と、
前記第1の構成要素から前記停止部回転軸に沿って延びる停止部シャフトと、
開口部を有するナットであって、前記開口部の中に前記停止部シャフトが受容され、前記ナットは前記第2の構成要素に回転不能に連結されている、ナットと、
を更に備え、
前記第1の構成要素は、前記ノブと共に回転するように構成され、
前記第2の構成要素は、前記近位ハンドルに回転不能に連結されており、
前記停止部シャフトが雄ねじ山を含み、前記ナットの前記開口部が、前記停止部シャフトの前記雄ねじ山に螺合される雌ねじ山を含み、
前記ナットは、
前記ナットと前記停止部シャフトとが相対的に回転することによって、第1の回転限界と第2の回転限界との間で前記停止部シャフトに沿って移動し、
前記ナットは、前記停止部シャフトに沿って移動した結果、前記第1の回転限界または前記第2の回転限界に到達すると、前記停止部回転軸を中心とした前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の回転を制限
し、これにより前記回転軸を中心とした前記近位ハンドルに対する前記ノブの回転を制限する、外科用器具。
【請求項2】
前記ノブの回転位置を検出するように構成されたセンサと、
検出された前記
回転位置に基づいて前記可視化装置が捉えた画像の電子表示を補正するように構成された手段と、
を更に備える、請求項1に記載の
外科用器具。
【請求項3】
前記停止部シャフトに連結された又は前記停止部シャフトと一体に形成されたシャフトを有するポテンショメータを更に備える、請求項
1に記載の
外科用器具。
【請求項4】
前記第1の回転限界が前記ノブの前記近位ハンドルに面する表面であり、前記第2の回転限界が前記近位ハンドルの前記ノブに面する表面である、請求項
1に記載の
外科用器具。
【請求項5】
前記ノブが前記近位ハンドルに対して回転されるとき、前記第1の回転限界と前記第2の回転限界との間の距離が一定のままである、請求項
1に記載の
外科用器具。
【請求項6】
前記第1の回転限界と前記第2の回転限界との間の距離が、10mm以下である、請求項
1に記載の
外科用器具。
【請求項7】
前記ノブ及び前記停止部シャフトを通って延在する貫通孔を更に備える、請求項
1に記載の
外科用器具。
【請求項8】
前記ナット及び前記停止部シャフトが、前記近位ハンドルの空洞内に受容されている、請求項
1に記載の
外科用器具。
【請求項9】
前記ノブと前記近位ハンドルとの間に画定された回転平面を横切る細長い部材を更に備え、前記ノブは前記近位ハンドルに対して前記回転平面上で回転するように構成されており、前記細長い部材は、前記器具の、前記回転平面に対して遠位の部分に固定された第1の端部と、前記器具の、前記回転平面に対して近位の部分に固定された第2の端部とを有する、請求項1に記載の
外科用器具。
【請求項10】
前記細長い部材が光ファイバを含み、前記細長い部材の前記第1の端部が、前記回転平面の近位の光源に連結され、前記細長い部材の前記第2の端部が、前記可視化装置に隣接する手術野内に光を方向付けるように構成されている、請求項
9に記載の
外科用器具。
【請求項11】
前記細長い部材が電気伝導体を含み、前記細長い部材の前記第1の端部が、前記回転平面の近位に配設されたコントローラに連結され、前記細長い部材の前記第2の端部が前記可視化装置に連結されている、請求項
9に記載の
外科用器具。
【請求項12】
前記細長い部材が、前記回転停止部の貫通孔を通って延在している、請求項
9に記載の
外科用器具。
【請求項13】
前記貫通孔が、
前記停止部シャフト内に形成されている、請求項
12に記載の
外科用器具。
【請求項14】
前記保持機構は、前記第1の構成要素に形成された貫通孔にスナップ嵌めするように構成さればねタブを含む、請求項1に記載の
外科用器具。
【請求項15】
前記ばねタブは、前記第2の構成要素からの前記第1の構成要素の離脱に抵抗する又は離脱を防止する一方で、前記第1の構成要素が前記第2の構成要素に対して回転するのを可能にするために、前記第1の構成要素の前記おもて面に係合する戻り止めを含む、請求項
14に記載の
外科用器具。
【請求項16】
前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素はそれぞれ、円板形状を有する、請求項1に記載の
外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
回転停止装置を有する外科用器具及び関連する方法が、例えば、外科用器具の第1の構成要素と第2の構成要素との間に360度を超える範囲に制限された回転を提供するために、本明細書において開示される。
【背景技術】
【0002】
第1の構成要素及び第2の構成要素が互いに対して回転することができる程度を制限することが望ましい場合が多い。例えば、ハンドルに対して回転可能なノブを有して外科用器具の遠位端を操作する外科用器具では、ノブがハンドルに対して回転することができる程度を制限することが望ましい場合がある。回転限界は、ワイヤ、光ファイバ、又は回転中に捻られる若しくは屈曲される他の構成要素の破断又は応力付加を回避するために望ましい場合がある。回転を制限するための既存のアプローチは、一般に、回転軸の周りの別個の角度位置に配置されて360度未満の限定された回転範囲を提供する、固定された機械的停止部を伴う。いくつかの用途では、第1の構成要素と第2の構成要素との間の回転が360度超の範囲で制限されることが望まれる場合がある。また、回転を制限するための既存のアプローチは、比較的大きく、器具又は装置内にパッケージ化することが困難な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された回転停止装置及び関連する方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
回転停止装置を有する外科用器具及び関連する方法が、例えば、外科用器具の第1の構成要素と第2の構成要素との間に360度を超える範囲に制限された回転を提供するために、本明細書において開示される。例示的な回転停止装置は、薄型とすることができ、かつ装置をより大きい器具内にパッケージ化するのを容易にするための様々な機構を含むことができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、外科用器具は近位ハンドルと、ハンドルから延在し、かつ遠位に取り付けられた可視化装置を有するシャフトと、回転軸を中心にハンドルに対して回転して可視化装置を移動させるように構成されたノブと、ハンドルに対するノブの回転を360度超の範囲に制限する回転停止部と、を備えてよい。
【0006】
器具は、ノブの回転位置を検出し、かつ検出された位置に基づいて可視化装置が捉えた画像の電子表示を補正するように構成されたセンサを更に備えることができる。回転停止部は、ねじ付きナットに嵌合されたねじ付きシャフトを含むことができ、ねじ付きシャフトは、ノブと共に回転するように構成され、ナットはハンドルによって回転不能に捕捉される。器具は、ねじ付きシャフトに連結された又はねじ付きシャフトと一体に形成されたシャフトを有するポテンショメータを更に備えることができる。回転停止装置は、ノブと共に回転するように構成されたねじ付きシャフトと、ねじ付きシャフトが受容される開口部を有するナットであって、ハンドルに回転不能に連結されている、ナットと、を備えることができる。ナットは、回転軸を中心としたハンドルに対するノブの回転を制限するために、第1の回転限界と第2の回転限界との間でねじ付きシャフトに沿って移動することができる。第1の回転限界は、ノブの、ハンドルに面する表面であり得る。第2の回転限界は、ハンドルの、ノブに面する表面であり得る。ノブがハンドルに対して回転されるとき、第1の回転限界と第2の回転限界との間の距離は一定のままであり得る。第1の回転限界と第2の回転限界との間の距離は、10mm以下であり得る。器具は、ノブ及びねじ付きシャフトを通って延在する貫通孔を更に備えることができる。ナット及びねじ付きシャフトは、ハンドルの空洞内に受容されることができる。器具は、ノブとハンドルとの間に画定された回転平面を横切る細長い部材を備えることができ、細長い部材は、器具の、回転平面に対して遠位の部分に固定された第1の端部と、器具の、回転平面に対して近位の部分に固定された第2の端部とを有する。細長い部材は、光ファイバを含み、細長い部材の第1の端部は、回転平面の近位の光源に連結されることができ、細長い部材の第2の端部は、可視化装置に隣接する手術野内に光を方向付けるように構成され得る。細長い部材は電気伝導体を含むことができ、細長い部材の第1の端部は、回転平面の近位に配設されたコントローラに連結されることができ、細長い部材の第2の端部は、可視化装置に連結されることができる。細長い部材は、回転停止部の貫通孔を通って延在することができる。貫通孔は、回転停止部のねじ付きシャフト内に形成されることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、回転停止装置は、第1の構成要素と、第2の構成要素であって、回転軸を中心に第1の構成要素に対して回転するように構成されている、第2の構成要素と、第1の構成要素から回転軸に沿って延在するシャフトと、シャフトが受容される開口部を有するナットであって、第2の構成要素に回転不能に連結されている、ナットと、を備えてよく、ナットは、回転軸を中心とした第2の構成要素に対する第1の構成要素の回転を制限するために、第1の回転限界と第2の回転限界との間でシャフトに沿って移動する。
【0008】
第1及び第2の回転限界は、回転軸を中心とした第2の構成要素に対する第1の構成要素の回転を、360度を超える範囲に制限することができる。第1の回転限界は、第1の構成要素の、第2の構成要素に面する表面であり得る。記第2の回転限界は、第2の構成要素の、第1の構成要素に面する表面であり得る。第1の構成要素が第2の構成要素に対して回転するとき、第1の回転限界と第2の回転限界との間の距離は一定のままであり得る。第1の回転限界と第2の回転限界との間の距離は、10mm以下であり得る。装置は、第1の構成要素及びシャフトを通って延在する貫通孔を備えることができる。貫通孔は、第2の構成要素を通って延在することができる。第1の構成要素は、第2の構成要素から貫通孔を通って延在する1つ又は複数のばねタブによって第2の構成要素に対して保持されることができる。装置は、貫通孔内に受容されたシャフトを有するポテンショメータを含むことができる。ナット及びシャフトは、第2の構成要素の空洞内に受容されることができる。ナットは、シャフトの外側ねじに嵌合された内側ねじを含むことができる。ナットは、シャフトの螺旋溝に入るピンを含むことができる。装置は、第1の構成要素と第2の構成要素との相対回転位置を検出するセンサを備えることができる。センサは、ポテンショメータ、ホール効果センサ、及び光学エンコーダのうちの少なくとも1つであり得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、外科的方法は、その遠位端にカメラを有する器具を患者に挿入することと、器具の第1の部分を器具の第2の部分に対して回転させてカメラの位置を調整することであって、当該回転が、回転停止部によって360度を超える範囲に制限されている、ことと、第2の部分に対する第1の部分の回転位置を検出することと、検出された回転位置に基づいて、カメラが捉えた画像の電子表示を調整することと、を含むことができる。
【0010】
第1の部分はノブを含むことができ、第2の部分はハンドルを含むことができ、ノブは、カメラをハンドルに対して回転させるためにハンドルに対して回転可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図9A】回転停止装置を含む外科用器具の側面図である。
【
図9B】明確にするためにハンドルカバーが取り外されて示されている、
図9Aの器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、回転停止装置を有する外科用器具及び関連する方法は、例えば、外科用器具の第1の構成要素と第2の構成要素との間に360度を超える範囲に制限された回転を提供するために開示される。例示的な装置は、薄型とすることができ、装置をより大きい器具内にパッケージ化するのを容易にするための様々な機構を含むことができる。
【0013】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明され、添付の図面に示される装置及び方法は、非限定的で例示的な実施形態である点を理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【0014】
図1~
図8は、例示的な回転停止装置100を示している。装置100は、第1の構成要素102が回転軸A1を中心に第2の構成要素104に対して回転することを可能にすることができる。装置100は、第1の構成要素102が軸A1を中心に第2の構成要素104に対して回転することが可能な程度を制限するように構成されることができる。第1の構成要素102は、第2の構成要素104に対して、所定の限界まで自由に回転することができる。限界は、360度を超えることができる。限界は、約0度~約720度の範囲であり得る。限界は、約360度~約720度の範囲であり得る。限界は、約420度~約500度の範囲であり得る。限界は、720度を超えることができる。限界は、360度以下であり得る。以下で更に説明するように、回転停止装置100は、外科用器具の構成要素間の回転を制限するために、内視鏡、関節鏡、外科用カメラなどの外科用器具に組み込むことができる。
【0015】
第1の構成要素102は、ねじ付きシャフト106を含むことができる。ねじ付きシャフト106は、自由端108と支持端110との間で回転軸A1に沿って延在することができる。ナット112をシャフト106に嵌合させることができる。例えば、ナット112は、シャフト106の雄ねじに螺着された雌ねじ付き開口部114を含むことができる。ねじ係合が示されているが、ナット112は、他の方法でシャフト106に嵌合されてもよいことが理解されるであろう。例えば、ナットは、ナットの開口部内に突出するピンを含むことができる。ピンは、シャフトの外面の螺旋溝内に受容されて、ナットをシャフトに嵌合させることができる。
【0016】
第2の構成要素104は、ナット112が軸A1を中心に第2の構成要素104に対して回転するのを防止する一方で、ナットが軸線A1に沿って第2の構成要素に対して並進するのを可能にするための機構を含むことができる。例えば、第2の構成要素104は、ナット112を内部に受容するように構成された空洞116を含むことができる。空洞116は、側壁118によって画定され得る。側壁118の少なくとも一部分及びナット112の少なくとも一部分は、平面又は非円筒形であってもよく、ナットと第2の構成要素104との間の相対回転を防止するために互いに当接するように構成され得る。空洞116は、ナットが軸A1に沿って空洞内を移動することができるように、ナット112の高さH2よりも大きい高さH1を有することができる。ねじ付きシャフト106は、空洞116の高さH1と実質的に一致する又は高さH1よりわずかに小さい高さH3を有することができる。ねじ付きシャフト106は、ナット112の高さH2より大きい高さH3を有することができる。
【0017】
空洞116が示されているが、ナット112が軸A1を中心に第2の構成要素104に対して回転するのを防止する一方で、ナットが軸A1に沿って第2の構成要素に対して並進することを可能にする他の機構が、代わりに又は追加的に使用され得ることが理解されるであろう。例えば、第2の構成要素104は、第2の構成要素104から突出しかつ回転軸A1から横方向にオフセットされているピンを含むことができる。ピンは、ナット112に形成された孔内に摺動可能に受容され得る。別の例として、第2の構成要素104は、ナット112の対応する平坦な外側表面部分に接触する1つ又は複数の平坦な壁を含むことができる。
【0018】
装置100は、第1の構成要素102を第2の構成要素104に対して保持する一方で、第1の構成要素102と第2の構成要素104との間の回転を可能にする機構を含むことができる。例えば、第2の構成要素104は、そこから突出する1つ又は複数のばねタブ120を含むことができる。ばねタブ120は、第1の構成要素102に形成された貫通孔122にスナップ嵌めするように構成され得る。各ばねタブ120は、第2の構成要素104からの第1の構成要素の離脱に抵抗する又は離脱を防止する一方で、第1の構成要素が第2の構成要素に対して回転するのを可能にするために、第1の構成要素102の溝又は表面に係合する戻り止め124を含むことができる。嵌合されると、第1の構成要素102は、空洞116の側壁118の上面に接触することができ、それによって、ナット112が回転不能に捕捉される密閉空間を形成する。第1の構成要素102及び第2の構成要素104は、第1及び第2の構成要素が許容される回転範囲にわたって回転されるときに、軸A1に沿って互いに一定の距離に留まるように構成され得る。ばねタブ120が示されているが、代わりに又は加えて、様々な他の保持機構を用いてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、保持機構は省略されてもよく、第1の構成要素102及び第2の構成要素104を軸A1に沿って一定の距離に維持するのに、装置100が内部にパッケージ化される器具又はシステムの機構に依存してもよい。
【0019】
装置100は、ナット112を第1の構成要素102のシャフト106上に螺合させ、次いでシャフト及びナットを第2の構成要素104の空洞116内に挿入することによって組み立てることができる。組み立て中、第2構成要素104のばねタブ120は、第1構成要素102の貫通孔122を通過し、定位置にスナップ嵌めして、構成要素を一緒にロックすることができる。
【0020】
使用中、ナット112は、第1及び第2の構成要素102、104と相互作用して、軸A1を中心とする第1の構成要素102と第2の構成要素104との間の相対回転を制限することができる。第1の構成要素102が、軸A1を中心にして第2の構成要素104に対して第1の方向に回転すると、シャフト106はナット112内で下方に前進させられ、ナットが空洞116内を上方に移動することができる。回転は、ナット112が上部停止部、例えば、第1構成要素102の下面126に接触するまで継続され得る。ナット112は、第2構成要素104に対する回転が制約されるため、第1の方向における第1の構成要素と第2の構成要素との間の更なる相対回転が防止され、それによって第1の回転限界が形成される。第1の構成要素102が、軸A1を中心にして第2の構成要素104に対して第2の反対方向に回転すると、シャフト106がナット112内で上向きに後退して、ナットを空洞116内で下方に移動させることができる。回転は、ナット112が下部停止部、例えば、第2の構成要素104の上側128又は空洞116の床に接触するまで継続され得る。ナット112は、第2構成要素104に対する回転が制約され、第2の構成要素は第1の構成要素102に対して保持されるため、第1の方向における第1の構成要素と第2の構成要素との間の更なる相対回転が防止され、それによって第2の回転限界が形成される。したがって、装置100は、軸A1を中心とした第1の構成要素102と第2の構成要素104との相対回転を、第1及び第2の回転限界によって規定される範囲に制限することができることが理解されるであろう。装置100の様々な構成要素の幾何学的形状は、許容される回転の所望の範囲を達成するように選択することができる。例えば、許容される回転範囲を低減するためにナット112の高さH2を増加させることができ、又は許容される回転範囲を延ばすために減少させることができる。別の例として、許容される回転範囲を増加させるためにシャフト106の高さH3を増加させることができ、又は許容される回転範囲を低減するために減少させることができる。代わりに又は加えて、側壁118の高さ、シャフト106及びナット112上のねじ山のピッチ及び/又はリードなどを含む他のパラメータを調節することができる。
【0021】
装置100は、第1の構成要素102と第2の構成要素104との間の回転度を検出するためのセンサ130を含み得る。センサ130の出力は、コントローラ、プロセッサ、又は回路によって受信されて、装置100が構成部品であるシステム又は器具を制御するために使用され得る。例えば、外科用器具の検出された回転度を使用して、外科用ナビゲーションシステム又は外科用ロボットに器具の位置又は向きを知らせることができる。別の例として、可視化器具又はカメラ器具の検出された回転度を使用して、例えば、センサ130によって検出された回転に従ってスクリーン上の表示された画像を回転させるか、又は別の方法で補正することによって、カメラが捉えた画像の表示を調整することができる。例示的なセンサ130は、ポテンショメータ、ホール効果センサ、光学エンコーダなどを含むことができる。
【0022】
装置100は、内部に形成された貫通孔122を含むことができる。貫通孔122は、例えば、第1の構成要素102を通って、シャフト106を通り、ナット112を通り、第2の構成要素104を通って、装置100を完全に貫通して延在することができ、又は装置を部分的にのみ貫通して延在することができる。貫通孔122は、回転軸A1と同軸であってもよく、回転軸A1からオフセットされていてもよく、又は回転軸A1に対して斜めに角度付けされていてもよい。貫通孔122は、上記のばねタブ120を受容して、第1の構成要素102を第2の構成要素104に嵌合させることができる。あるいは、又は加えて、貫通孔122は、装置100が構成部品であるシステム又は器具の別の構成要素の少なくとも一部分を受容することができる。例えば、貫通孔122は、ポテンショメータのノブ又はシャフトをその中に受容することができる。これにより、別のやり方で可能であるよりも装置100に近接してポテンショメータを位置付けることが可能となり、その結果設置面積が低減されることで、より大きいシステム又は器具内に装置100がより効率的にパッケージ化される。貫通孔122はまた、部品間の接続を可能にする、ワイヤ又は光ファイバの経路を設定するなどのために使用することができる。
【0023】
装置100は、より大きい器具又はシステム内への装置のパッケージ化を容易にすることができる薄型であることができる。装置100の停止面126と停止面128との間の距離H4は、可能な限り小さくすることができる。例えば、距離H4は、約20mm未満、約10mm未満、約9mm未満、約7mm未満、及び/又は約5mm未満であり得る。
【0024】
図9A~
図9Cは、本明細書に記載されるタイプの回転停止装置200を含む例示的な器具10を示す。装置200は、上述の装置100の特徴のうちのいずれかを含むことができる。器具10は、外科用カメラシステム、光学システム、内視鏡、関節鏡などの外科用器具であり得る。器具10は、近位ハンドルハウジング204と前方ノブ202とを含むことができる。ノブ202は、軸A2を中心にハンドルハウジング204に対して回転可能であり得る。軸A2を中心としたハウジング204に対するノブ202の回転は、例えば、手術部位内のカメラ又はエンドエフェクタ240を再配置するために、器具の遠位シャフト238を回転させるのに有効であり得る。回転停止装置200は、ノブ202とハンドル204との間の回転を制限するように構成され得る。具体的には、ノブ202は、軸A2に沿って延在するねじ付きシャフト206を含む、装置200の「第1の構成要素」として機能することができる。ノブ202は、シャフト206を含むモノリシック構成要素であってもよく、又は、示されるように、シャフトは、ノブ202の主部202Bに取り付けられた別個の構成要素202Aであってもよい。ハウジング204は、ナットが軸A2に沿って並進することができるが、軸A2を中心としたハウジングに対する回転が制約されるようにナット212が捕捉される空洞216を含む、装置200の「第2の構成要素」として機能することができる。ハウジング204及びノブ202は、例えば、ハウジングのジャーナル又は突起232とノブの溝234との間の係合によって、軸A2に沿って互いに対して一定の距離に維持されることができる。シャフト206は、上述のように、装置200が回転を制限することを可能にするために、拘束されたナット212に螺入することができる。
【0025】
シャフト206は、ポテンショメータ230のシャフト236に連結されるか、又はシャフト236と一体に形成されてもよい。したがって、ノブ202の回転及び延長によって、シャフト206は、ポテンショメータシャフト236を回転させてポテンショメータ230にわたって電位を変化させるのに有効であり得る。電位、又は電位の変化は、ハウジング204に対するノブ202の回転度を判定するために感知され得る。カメラ器具の場合、感知された回転度を使用して、カメラシステムが捉えた画像の電子表示を、感知された回転度に等しい、比例する、相応する量だけ、又は別の方法で回転度に基づいて、回転させるか、又は別の方法で補正することができる。回転停止装置200は、ポテンショメータシャフト236の回転を360度を超える角度に制限するのに有効であり得る。
【0026】
図9Cに示すように、器具10は、ノブ202とハウジング204との間に画定された回転平面を横切る1つ又は複数の細長い部材を含むことができる。細長い部材の第1の端部は、器具の、回転平面に対して遠位の部分に固定されることができ、細長い部材の第2の端部は、器具の、回転平面に対して近位の部分に固定されることができる。例えば、器具10は、回転平面に対して近位の位置(例えば、器具の近位側ケーブル246)から、回転平面にわたって、回転平面に対して遠位の位置(例えば、器具の遠位シャフト238又はカメラアセンブリ240)まで延びる1つ又は複数の光ファイバ242及び/又は1つ又は複数の電気伝導体若しくはワイヤ244を含むことができる。いくつかの実施形態では、器具10は、ハンドル204に対して近位の光源からシャフト238の遠位端に隣接する位置に光を方向付ける光ファイバ242を含むことができる。いくつかの実施形態では、器具10は電気伝導体244を含むことができ、電気伝導体は、シャフト238の遠位端又はその近くに配置された画像センサが捕捉した画像データを符号化するデジタル信号又はアナログ信号を、画像センサからハンドル204に対して近位のコントローラ又はプロセッサに通信する。回転停止装置200は、回転を、ファイバ242又は導体244を損傷させる、破断する、又はこれらに応力を加える可能性のある量未満に制限しながら、ノブ202がハンドル204に対して回転することを可能にし得ることが理解されるであろう。
【0027】
上記の説明若しくは添付図面において表現された又は示唆された方法工程の任意の順序は、その順序でステップ工程を実施することに開示された方法を限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。むしろ、本明細書で開示された方法のそれぞれの様々なステップは、任意の様々な順序で行うことができる。更に、説明された方法は、例示的な実施形態に過ぎず、追加の工程を含む、又はより少ない工程を含む、様々な他の方法も本開示の範囲内である。
【0028】
本明細書に開示する装置は、様々な既知の材料のうちのいずれかから構成されることができる。例示的な材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、コバルトクロム、又はそれらの合金及び組み合わせのような金属、PEEKなどのポリマー、セラミックス、炭素繊維を含む、外科用途で使用するのに適した材料が挙げられる。本明細書で開示された装置の様々な構成要素は、剛性又は可撓性であり得る。装置の1つ又は複数の構成要素又は部分は、蛍光透視法及び他の画像処理技法の下での視覚化を容易にするために、放射線不透過性材料から形成することができ、あるいは他の構造物の可視化を干渉しないように放射線透過性材料から形成することができる。例示的な放射線透過性の材料としては、炭素繊維及び高強度のポリマーが挙げられる。
【0029】
本明細書で開示された装置及び方法は、最小侵襲性手術及び/又は切開手術で用いることができる。本明細書で開示された装置及び方法は、一般に、ヒト患者の手術との関連において説明されているが、本明細書で開示された装置及び方法は、ヒト対象又は動物対象の任意の種類の手術において、手術以外の用途において、無生物に対してなどで用いることができることが理解されるであろう。
【0030】
以上、特定の実施形態を記載したが、記載された概念の趣旨及び範囲内で多くの変更がなされ得る点を理解されたい。
【0031】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
近位ハンドルと、
前記ハンドルから延在し、かつ遠位に取り付けられた可視化装置を有するシャフトと、
前記可視化装置を移動させるために、回転軸を中心に前記ハンドルに対して回転するように構成されたノブと、
前記ハンドルに対する前記ノブの回転を360度を超える範囲に制限する回転停止部と、を備える、外科用器具。
(2) 前記ノブの回転位置を検出し、かつ前記検出された位置に基づいて前記可視化装置が捉えた画像の電子表示を補正するように構成されたセンサを更に備える、実施態様1に記載の器具。
(3) 前記回転停止部が、ねじ付きナットに嵌合されたねじ付きシャフトを含み、前記ねじ付きシャフトは前記ノブと共に回転するように構成され、前記ナットは前記ハンドルによって回転不能に捕捉されている、実施態様1に記載の器具。
(4) 前記ねじ付きシャフトに連結された又は前記ねじ付きシャフトと一体に形成されたシャフトを有するポテンショメータを更に備える、実施態様3に記載の器具。
(5) 前記回転停止装置が、
前記ノブと共に回転するように構成されたねじ付きシャフトと、
前記ねじ付きシャフトが受容される開口部を有するナットであって、前記ハンドルに回転不能に連結されているナットと、を備え、
前記ナットが、前記回転軸を中心とした前記ハンドルに対する前記ノブの回転を制限するように、第1の回転限界と第2の回転限界との間で前記ねじ付きシャフトに沿って移動する、実施態様1に記載の器具。
【0032】
(6) 前記第1の回転限界が前記ノブの前記ハンドルに面する表面であり、前記第2の回転限界が前記ハンドルの前記ノブに面する表面である、実施態様5に記載の器具。
(7) 前記ノブが前記ハンドルに対して回転されるとき、前記第1の回転限界と前記第2の回転限界との間の距離が一定のままである、実施態様5に記載の器具。
(8) 前記第1の回転限界と前記第2の回転限界との間の距離が、10mm以下である、実施態様5に記載の器具。
(9) 前記ノブ及び前記ねじ付きシャフトを通って延在する貫通孔を更に備える、実施態様5に記載の器具。
(10) 前記ナット及び前記ねじ付きシャフトが、前記ハンドルの空洞内に受容されている、実施態様5に記載の器具。
【0033】
(11) 前記ノブと前記ハンドルとの間に画定された回転平面を横切る細長い部材を更に備え、前記細長い部材は、前記器具の、前記回転平面に対して遠位の部分に固定された第1の端部と、前記器具の、前記回転平面に対して近位の部分に固定された第2の端部とを有する、実施態様1に記載の器具。
(12) 前記細長い部材が光ファイバを含み、前記細長い部材の前記第1の端部が、前記回転平面の近位の光源に連結され、前記細長い部材の前記第2の端部が、前記可視化装置に隣接する手術野内に光を方向付けるように構成されている、実施態様11に記載の器具。
(13) 前記細長い部材が電気伝導体を含み、前記細長い部材の前記第1の端部が、前記回転平面の近位に配設されたコントローラに連結され、前記細長い部材の前記第2の端部が前記可視化装置に連結されている、実施態様11に記載の器具。
(14) 前記細長い部材が、前記回転停止部の貫通孔を通って延在している、実施態様11に記載の器具。
(15) 前記貫通孔が、前記回転停止部のねじ付きシャフト内に形成されている、実施態様11に記載の器具。
【0034】
(16) 回転停止装置であって、
第1の構成要素と、
第2の構成要素であって、回転軸を中心に前記第1の構成要素に対して回転するように構成されている、第2の構成要素と、
前記第1の構成要素から前記回転軸に沿って延在するシャフトと、
前記シャフトが受容される開口部を有するナットであって、前記第2の構成要素に回転不能に連結されている、ナットと、を備え、
前記ナットが、前記回転軸を中心とした前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の回転を制限するように、第1の回転限界と第2の回転限界との間で前記シャフトに沿って移動する、回転停止装置。
(17) 前記第1及び第2の回転限界が、前記回転軸を中心とした前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の回転を、360度を超える範囲に制限する、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記第1の回転限界が、前記第1の構成要素の、前記第2の構成要素に面する表面であり、前記第2の回転限界が、前記第2の構成要素の、前記第1の構成要素に面する表面である、実施態様16に記載の装置。
(19) 前記第1の構成要素が前記第2の構成要素に対して回転するとき、前記第1の回転限界と前記第2の回転限界との間の距離が一定のままである、実施態様16に記載の装置。
(20) 前記第1の回転限界と前記第2の回転限界との間の距離が、10mm以下である、実施態様16に記載の装置。
【0035】
(21) 前記第1の構成要素及び前記シャフトを通って延在する貫通孔を更に備える、実施態様16に記載の装置。
(22) 前記貫通孔が、前記第2の構成要素を通って延在している、実施態様16に記載の装置。
(23) 前記第1の構成要素が、前記第2の構成要素から前記貫通孔を通って延在する1つ又は複数のばねタブによって前記第2の構成要素に対して保持されている、実施態様16に記載の装置。
(24) 前記貫通孔内に受容されたシャフトを有するポテンショメータを更に備える、実施態様16に記載の装置。
(25) 前記ナット及び前記シャフトが、前記第2の構成要素の空洞内に受容されている、実施態様16に記載の装置。
【0036】
(26) 前記ナットが、前記シャフトの外側ねじに嵌合される内側ねじを備える、実施態様16に記載の装置。
(27) 前記ナットが、前記シャフトの螺旋溝に入るピンを含む、実施態様16に記載の装置。
(28) 前記第1の構成要素と第2の構成要素との相対回転位置を検出するセンサを更に備える、実施態様16に記載の装置。
(29) 前記センサが、ポテンショメータ、ホール効果センサ、及び光学式エンコーダのうちの少なくとも1つである、実施態様16に記載の装置。
(30) 外科的方法であって、
器具の遠位端にカメラを有する器具を患者に挿入することと、
前記器具の第1の部分を前記器具の第2の部分に対して回転させて前記カメラの位置を調整することであって、前記回転が、回転停止部によって360度を超える範囲に制限されている、ことと、
前記第2の部分に対する前記第1の部分の回転位置を検出することと、
前記検出された回転位置に基づいて、前記カメラが捉えた画像の電子表示を調整することと、を含む、外科的方法。
【0037】
(31) 前記第1の部分がノブを備え、前記第2の部分がハンドルを備え、前記ノブは、前記ハンドルに対して前記カメラを回転させるように前記ハンドルに対して回転可能である、実施態様30に記載の方法。