(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】エレクトロクロミック素子、レンズユニット、撮像装置及び調光窓
(51)【国際特許分類】
G02F 1/155 20060101AFI20240401BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20240401BHJP
【FI】
G02F1/155
G02F1/15 504
(21)【出願番号】P 2019187966
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 和也
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0278988(US,A1)
【文献】特表2018-523170(JP,A)
【文献】特開2014-139653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0021481(US,A1)
【文献】特開平10-253995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/163
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極と、第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置されているエレクトロクロミック層と、前記第一電極及び前記第二電極にそれぞれ電気的に接続されている導電部材と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第一電極の主面から垂直な方向から見た、前記第一電極及び前記第二電極の形状が、少なくとも一つの角を有する形状であり、
前記第一電極の形状と前記第二電極の形状とが同一であり、
前記導電部材が、前記角を除いた領域であって、
前記角を形成するそれぞれの辺に1つのみ設けられており、
前記第一電極に前記導電部材が設けられた位置が、前記第二電極に前記導電部材が設けられた位置と同じであ
り、前記第一電極における導電部材と、前記第二電極における導電部材とが同じ形状であり、前記第一電極における前記導電部材が、前記第二電極における前記導電部材と平面視で重畳することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
【請求項2】
前記導電部材の長さが、前記角を形成する1辺に対する長さに対して、30%以上90%以下であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項3】
前記導電部材の長さが、前記角を形成する1辺に対する長さに対して、40%以上80%以下であることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項4】
前記導電部材の長さが、前記角を形成する1辺に対する長さに対して、60%であることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項5】
前記角を形成する辺において、前記導電部材と前記第一電極とが接続されていない部分は、前記導電部材が配置されていない部分であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項6】
前記第一電極、前記第二電極の前記第一電極の主面から垂直な方向から見た形状は、多角形であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項7】
前記多角形は、長方形または正方形であることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項8】
前記角を形成する辺と平行な方向における、前記導電部材の中点が、前記角を形成する辺の中点と重なって配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項9】
前記第一電極の端における、前記第一電極と前記第二電極との距離が、前記第一電極の中心部における、前記第一電極と前記第二電極との距離よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項10】
前記第一電極の前記中心部は、前記第一電極が有する角のうちの2つを通る直線が、前記第一電極が有する角のうちの2つを通る他の直線と交差する点であることを特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項11】
光学濃度ΔODの変調範囲が0≦ΔOD≦Dであるエレクトロクロミック素子であって、前記一対の電極の電極間隔を一定とした場合の着色領域面内の最大光学濃度をΔODmax、最小光学濃度をΔODminとしたときに、前記一対の電極の電極間隔d’は、前記最小光学濃度ΔODminを示す位置において下記式で表され、
d’=d+δd
d:前記一対の電極の電極間隔を一定とした場合の電極間隔
δd:電極間隔の補正量
光学濃度ΔODにおいて、前記最大光学濃度ΔODmaxと前記最小光学濃度ΔODminの光学濃度差を完全に相殺できる、前記最小光学濃度ΔODminを示す位置における前記電極間隔の補正量δdを最適電極間隔の補正量δd0として、δd0(ΔOD)=d×(ΔODmax/ΔODmin-1)と定義したとき、
前記最小光学濃度ΔODminを示す位置における電極間隔補正量δdを、0<ΔOD<Dにおける前記最適電極間隔の補正量δd0の最大値δd0,MAX(0<ΔOD<D)以下、ΔOD=Dにおける前記最適電極間隔の補正量δd0(ΔOD=D)以上とすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項12】
複数のレンズを有する撮像光学系と、該撮像光学系を通過した光の光量を制御する調光素子と、を有するレンズユニットであって、前記調光素子は請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子であることを特徴とするレンズユニット。
【請求項13】
複数のレンズを有する撮像光学系と、該撮像光学系を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像光学系と該撮像素子との間に配置されている光学フィルタと、を有する撮像装置であって、前記光学フィルタは請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子であることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレクトロクロミック素子、レンズユニット、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロクロミック(以下、「EC」と表記する場合がある)素子は、一対の電極と、その電極間に配置されたEC層と、を有する調光素子である。一対の電極間に電圧を印加してEC層内の化合物を酸化若しくは還元することによって可視光領域の色相や光量を調整する光学素子である。
【0003】
近年、動画撮影装置において、光学濃度を段階的に調整できる可変NDフィルタを搭載する要望が高まっている。EC素子には、有機EC素子と無機EC素子があり、有機EC素子は光量調整範囲が広く、また分光透過率設計が比較的容易なことから、動画撮影装置に搭載する可変NDフィルタとして特に有望である。
【0004】
しかし、有機EC素子、特にEC層が有機EC材料を溶液に溶解させた溶液層である場合は、比較的大きな電流が流れるため、電極面内に不均一な電位分布を生じやすく、これに起因する電極面内の着色の不均一性が知られていた。着色の均一性を考慮して、様々な有機EC素子が盛んに創出されている。
【0005】
特許文献1には、長方形の一対の電極を有し、各電極の各辺に複数のバスバーを設けたエレクトロクロミック素子が記載されている。均一な着色を与えるために、一対の電極のうちの一方にアノードバスバーを設け、他方にカソードバスバーを設けることが記載されている。アノードバスバーが設けられていない領域に対応する他方の電極の領域にカソードバスバーを設けることが記載されており、これによって、透過率分布や光学応答の均一性を向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成は、電極に複数のバスバーを設けるため、電極面内の光透過率分布の均一性が十分ではなく、改善の余地があった。また、電極の辺全体にバスバーを設ける場合、四角形の電極の頂点近傍においては電界の集中が発生し、電極面内の電位差の不均一を起こす場合があり改善が求められていた。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされてものであり、エレクトロクロミック素子が有する第一電極と第二電極との面内における電位差の不均一性を低減することで、透過率の不均一性が低減されたエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、第一電極と、第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置されているエレクトロクロミック層と、前記第一電極及び前記第二電極にそれぞれ電気的に接続されている導電部材と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第一電極の主面から垂直な方向から見た、前記第一電極及び前記第二電極の形状が、少なくとも一つの角を有する形状であり、前記第一電極の形状と前記第二電極の形状とが同一であり、前記第一電極に前記導電部材が設けられた位置が、前記第二電極に前記導電部材が設けられた位置と同じであり、前記第一電極における導電部材と、前記第二電極における導電部材とが同じ形状であり、前記第一電極における前記導電部材が、前記第二電極における前記導電部材と平面視で重畳することを特徴とするエレクトロクロミック素子を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エレクトロクロミック素子が有する第一電極の面内における電位差の不均一性を低減することで、透過率の不均一性を低減されたエレクトロクロミック素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子の電極基板を示した平面模式図である。
【
図2】(a)本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子を示した平面模式図である。(b)(a)のA-A’の断面を表す断面模式図である。
【
図3】バス配線-透明電極接続長さl/Lに対して、(a)着色領域面内における電位ムラΔEを示したグラフ、(b)同じく透過率ムラδT/T
μを示したグラフである。
【
図4】
図3(b)の計算結果をEC素子の着色領域面内の透過率分布として表現したコンター図である。
【
図5】第一の実施形態におけるEC素子の1乃至6段着色時における透過率分布である。
【
図6】第二の実施形態におけるEC素子の1乃至6段着色時における透過率分布である。
【
図7】第三の実施形態におけるEC素子の1乃至6段着色時における透過率分布である。
【
図8】比較例におけるEC素子の1乃至6段着色時における透過率分布である。
【
図9】第一乃至第三の実施形態及び比較例におけるEC素子の1乃至6段着色時における透過率ムラを示したグラフである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子は、第一電極、第二電極を有する。第一電極の主面から垂直な方向から見た、第一電極及び第二電極の形状が、少なくとも一つの角を有する形状である。この角は2つの辺が交わった点であり、角とその近傍の2辺とを合わせて角部と呼ぶ。角から延びる辺には、導電部材が設けられているが、角部には、導電部材または電極の少なくともいずれかが設けられていない。辺全体に導電部材を設ける場合、角部に電界が集中するため、面内における電位差の原因になる場合がある。そのため、角部には導電部材から直接の電圧が印加されないことが好ましい。角には、角部の周辺における電界の影響があるので、角においても、ECの着色を起こすことができる。角を有していれば、電極形状は曲線形状であってもよい。曲線形状の場合は、辺とは、角から曲線部分の中点までを第一の辺、中点から角までを第二の辺としてよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子の導電部材は、導電部材の長さが、前記角を形成する1辺に対する長さに対して、30%以上90%以下の以上の長さで設けられている。そのため、第一電極の面内における電位差の不均一性を低減でき、透過率の不均一性を低減できる。
【0014】
[EC素子]
〈EC素子の構成〉
本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子は、第一電極、第二電極、これらの電極の間に配置されているエレクトロクロミック層を有する。
【0015】
図1は本発明に係るEC素子の電極および基板の一実施形態を示した平面模式図である。本実施形態に係るEC素子の電極基板は、ガラス基板と、第一電極と、バス配線等の導電部材とで構成される。第一電極と第二電極の形状は、同じであることが好ましく、第一電極及び第二電極におけるバス配線の形状は同じであることが好ましい。
【0016】
図1において、ガラス基板1aの上に、透明電極2aが配置されており、透明電極2aと不図示の透明電極2bとを接着するシール3が透明電極2aの周囲を囲むように配されている。シール3を囲むようにバス配線4aが配置されている。
【0017】
本実施形態において電極の形状は四角形であり、四角形の2辺が交わる点が角6である。当該角においては、透明電極2aが除去されており、この部分で前記バス配線4aと前記透明電極2aとが電気的非接続状態となっている。非接続状態の態様としては、透明電極2aまたはバス配線4aの少なくともいずれか一方が除去された構成をとることが可能である。バス配線4aは、1つの辺において、1つのみ配置されており、その長さは辺の長さの30%以上90%以下である。また、バス配線4aは、給電部5aを有し、給電部はバス配線4aの片側の端にのみ配置されている。バス配線の片側とは、
図1における紙面上側を指している。ここで、給電部5aを設置する位置及びその数は、透明電極2a面内において均一な電位分布が形成されるように適宜設定することが可能である。また、第一電極の主面に垂直な方向から観察した場合の電極の形状は、多角形であってよく、具体的には、長方形または正方形であってよい。
【0018】
また
図1においては、透明電極2aの上層にバス配線4aを形成した例を示したが、バス配線4aの上層に透明電極2aを形成した逆の構成をとってもよい。すなわち、透明電極2aと透明電極2bとの間にバス配線を構成する例を示しているが、透明電極2bと逆側の透明電極2aの面にバス配線を設けてもよい。透明電極をスパッタリング法等で形成する場合は、バス配線の表面に酸化被膜が形成されないように、透明電極を形成後にバス配線を形成することが好ましい。バス配線の表面に酸化被膜が形成された場合、バス配線の電気抵抗に影響がある場合がある。
【0019】
図1中のシール線分長さLは、シール太さをゼロとした場合のシール辺の長さである。角を形成する辺の長さといってもよい。透明電極2aとバス配線4aとの接続長さlは、これらが電気的に接続している領域の導電方向に対する幅、端的に言えば透明電極の導電方向に対する幅である。
図1においては、長方形の短辺においても、長辺においてもl/L=0.6となっている。本実施形態においては、辺の中点と、電極の中点とが重なっているが、中点は重なっていなくてもよい。透明電極2aとバス配線4aとの接続長さlは、導電部材と第一電極とが接続されている部分の長さということができ、その長さは、角を形成する1辺の長さ対して50%以上であることが好ましく、50%以上70%以下であってよく、60%であってよい。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係るEC素子の一実施形態を示した模式図である。
図2(a)は、EC素子の第一電極に対して垂直な方向から観察した平面模式図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA-A’における断面模式図である。
【0021】
図2において、EC素子7は、一対の透明電極である第一電極2a、第二電極2bと一対のバス配線4a、4bとがそれぞれ形成された一対のガラス基板1a、1bと、この一対の透明電極2a、2bとシール3とで画定にされた空間に配置されたEC層6とから構成されている。バス配線に設けられている給電部5a,5bは重ならないよう、逆向きに配置されている。つまり、第一電極に設けられている給電部5aは、紙面上側に設けられ、第二電極に設けられている給電部5bは、紙面下側に設けられている。
【0022】
シール3の各頂点近傍部分、すなわち角部、において、バス配線4aと透明電極2aとを電気的非接続状態とする理由並びにバス配線4bと透明電極2bとを電気的非接続状態とする理由について説明する。
【0023】
透明電極2a、2b間に配置されるEC層6は、印加電圧に依存して可視光透過率が変化する特性を有している。一方、従来のEC素子構成では、シール3を囲繞する形で形成されたバス配線4a、4bを有するので、角部においては電界が集中する場合がある。つまり、角に近い位置ほど、透明電極2a、2b間の電位差が大きくなる場合がある。そのため、ノーマリーオフ(ホワイト)のEC層6を用いた場合、角に近い位置ほど透過率が低く、逆に素子中心で最も透過率が高くなる分布が発生してしまうことになる。そこで、本発明の一実施形態に係るEC素子では、透明電極2a、2b間の電位差が最も大きくなる部分とその近傍において透明電極2a、2bへの給電を遮断して電位分布の均一化を図っている。
【0024】
また、特に電極形状が矩形の場合、バス配線4aの中点と透明電極2aの中点とが一致してよい。バス配線4aの中点と透明電極2aの中点とについても同様である。バス配線の中点は、電極の辺と平行な方向における中点である。
【0025】
図3(a)は、導電部材と電極とが接続されている部分の長さと、角を形成する1辺の長さとの比、l/Lに対して、着色領域の面内における電位ムラΔEの計算結果を示したグラフである。
図3(b)は同じく、l/Lに対して、透過率ムラδT/T
μの計算結果を示したグラフである。T
μは面内の透過率の平均値、δTは、面内の透過率と平均値との差の最大値(絶対値)である。面内の最大透過率または最小透過率のうち、平均との差異が大きい値を算出に用いた。ここで、EC素子は5段着色状態として計算している。5段着色とは、電圧を印加していない定常状態における透過率に対して、1/2
5の透過率の状態を表す。つまり。n段着色時には、透過率は1/2
nの透過率になる。
【0026】
横軸l/L=1.0は電極の辺の全体にわたって、導電部材を配してそれと接続している。すなわち従来の構成を示す。一方、l/L<1.0は、電極と導電部材との少なくともいずれかを除去するなどして、非接続部分を有する構成であり、0.3≦l/L≦0.9は、その中でも電位ムラを低減する本実施形態に係るEC素子の構成である。電位ムラΔE、透過率ムラδT/Tμともl/Lに関して同様の変化を示し、l/L=0.6で極小値をとることがわかる。また、0.4≦l/L≦0.8において電位ムラが20mV以下と、小さくなるので好ましい。すなわち、導電部材と、電極の辺の長さの比は、40%以上80%以下であってよい。
【0027】
図4は、
図3(b)の計算結果をEC素子の着色領域面内の透過率分布として表現したコンター図である。l/L=0.6で透過率ムラが最も小さくなっている。さらに、l/L≧0.5では透過率ムラが小さいことに加えて、透過率分布の形状が対称形である。したがって、
図3及び
図4から、l/Lのさらに好適な範囲は50%以上80%以下である。
【0028】
本実施形態に係るEC素子は、第一電極の端における、第一電極と第二電極との距離が、第一電極の中心部における、第一電極と第二電極との距離よりも小さい構成であってよい。
図2(b)の断面模式図で示したように透明電極間距離の制御による透過率ムラ補正を好ましく適用できる。つまり、透過率の高い位置(
図2(a)のEC素子構成では素子中心O)の電極間隔を大きくすることによってEC素子の可視光吸収を増大せしめて透過率の均一化を図ることが可能である。
【0029】
第一電極の中心部とは、第一電極が有する角のうちの2つを通る直線が、交差する点であってよい。具体的には、多角形の対角線であってよい。
【0030】
透過率ムラをさらに低減する形態として、光学濃度ΔODの変調範囲が0≦ΔOD≦Dであるエレクトロクロミック素子を用いた実施形態を示す。本実施形態に係るEC素子の一対の透明電極の電極間隔d’は、一対の電極の電極間隔を一定とした場合の着色領域面内の最大光学濃度をΔODmax、最小光学濃度をΔODminとしたときに、一対の電極の電極間隔d’は、最小光学濃度ΔODminを示す位置において下記式(a)で表される。
【0031】
ここで、最小光学濃度ΔODminとは一対の透明電極2a,2bの電極間隔を一定とした場合の着色領域面内の最小光学濃度である。
d’=d+δd・・・(a)
d:一対の透明電極2a,2bの電極間隔を一定とした場合の電極間隔
δd:電極間隔補正量
【0032】
電極間隔の制御については、一対のガラス基板を貼り合わせる際の荷重制御等によって好ましく実現することが可能である。
【0033】
ここで光学濃度は光路長(電極間隔に相当)に比例するというLambert-Beer則を用い、位置(x,y)における電極間隔d’(x,y)が下記式(b)を満たす様にすれば、電位分布に起因する透過率ムラを完全に相殺することが可能である。
d’(x,y)=d×(ΔOD
max/ΔOD(x,y))・・・(b)
d:一対の透明電極2a,2bの電極間隔を一定とした場合の電極間隔
ΔOD(x,y):電極間隔を一定とした場合の位置(x,y)における光学濃度
ΔOD
max:電極間隔を一定とした場合の着色領域面内の最大光学濃度(
図2(a)のEC素子構成では着色領域面内の四隅における光学濃度)
【0034】
光学濃度ΔODにおいて、最大光学濃度ΔODmaxと最小光学濃度ΔODminの光学濃度差を完全に相殺できる、最小光学濃度ΔODminを示す位置における電極間隔の補正量δdを最適電極間隔の補正量δd0として、δd0(ΔOD)=d×(ΔODmax/ΔODmin-1)と定義したとき、最小光学濃度ΔODminを示す位置における電極間隔補正量δdを、0<ΔOD<Dにおける最適電極間隔の補正量δd0の最大値δd0,MAX(0<ΔOD<D)以下、ΔOD=Dにおける最適電極間隔の補正量δd0(ΔOD=D)以上とすることで透過率ムラを低減することができる。
【0035】
以上述べたように、電極間隔が一定であるEC素子の光学濃度分布に基づいて電極間隔d’(x,y)を新たに決定することにより、透過率ムラを大きく改善することが可能である。
【0036】
[第一の実施形態]
本実施形態はバス配線-透明電極接続長さl/L=0.6で透明電極を除去したEC素子の例である。
図5は本実施形態のEC素子の1~6段着色時における透過率分布(コンター図)を示している。このとき、着色領域面内における電位ムラの最大値ΔEは5.7段着色時の21mV、同じく透過率ムラδT/T
μは4.5段着色時の18.6%であった。
【0037】
[第二の実施形態]
本実施形態はバス配線-透明電極接続長さl/L=0.6でバス配線を除去したEC素子の例である。
【0038】
図6は本実施形態のEC素子の1~6段着色時における透過率分布(コンター図)を示している。このとき、着色領域面内における電位ムラの最大値ΔEは5.7段着色時の23mV、同じく透過率ムラδT/T
μは4.6段着色時の19.6%であった。導電部と、電極と、の非接続領域を設けるには、導電部材を除去する方が好ましい。
【0039】
[第三の実施形態]
本実施形態はバス配線-透明電極接続長さl/L=0.6で透明電極を除去し、且つ素子中心における電極間隔補正量δdO=3.0μmとしたEC素子の例である。
【0040】
図7は本実施形態のEC素子の1~6段着色時における透過率分布(コンター図)を示している。このとき、着色領域面内における電位ムラの最大値ΔEは5.9段着色時の21mV、同じく透過率ムラδT/T
μは5.9段着色時の6.2%であった。ガラス基板を湾曲させる本実施形態は、電位ムラ、透過率ムラをさらに低減させる構成であった。
【0041】
[比較例]
本比較例はシール頂点部分においてバス配線と透明電極とを非接続状態としない従来のEC素子の例である。
【0042】
図8は、本比較例のEC素子の1~6段着色時における透過率分布(コンター図)を示している。このとき、着色領域面内における電位ムラの最大値ΔEは5.7段着色時の27mV、同じく透過率ムラδT/T
μは4.6段着色時の22.6%であった。
【0043】
図9は、第一乃至第三の実施形態及び比較例のEC素子の着色領域面内における光学段数の平均値N
μに対する透過率ムラδT/T
μを示したグラフである。
【0044】
第一の実施形態においては、比較例に対して電位ムラの最大値が6.1mV小さくなり、透過率ムラの最大値として約4%改善している。また、
図5及び
図8から、第一の実施形態は比較例に対してシール頂点部分の透過率が大きくなっており、撮像装置の可変ND用途としての使用に好ましい透過率分布形状に改善していることが分かる。
【0045】
第二の実施形態においては、比較例に対して電位ムラの最大値が4.5mV小さくなり、透過率ムラの最大値として約3%改善している。また、
図6及び
図8から、第二の実施形態は比較例に対してシール頂点部分の透過率が大きくなっており、撮像装置の可変ND用途としての使用に好ましい透過率分布形状に改善していることが分かる。また、第一の実施形態及び第二の実施形態から、バス配線と透明電極との電気的非接続部はバス配線を除去しても或いは透明電極を除去しても略同様の効果があることが分かる。実施上の点からは、第二の実施形態は給電部の構造がやや複雑になり素子も大型化するため、第一の実施形態をより好ましく適用することができる。
【0046】
第三の実施形態においては、比較例に対して電位ムラの最大値は第一の実施形態と同じく6.1mV小さくなり、透過率ムラの最大値としては約16%と大きく改善している。また、
図7及び
図8から、第三の実施形態は撮像装置の可変ND用途としての使用により好ましい透過率分布形状に改善していることが分かる。
【0047】
〈EC素子の構成部材〉
次に、本発明の一実施形態に係るEC素子を構成する部材について詳細に説明する。EC層は蒸着法等で形成された固体層であっても、電解質溶液にEC化合物を溶解させた溶液層であってもよい。EC層の形成方法は、一対の透明電極の間に設けた間隙に、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって予め調製したEC化合物を含有する液体を注入する方法が挙げられる。
【0048】
EC化合物は有機化合物であっても無機化合物であってもよく、またEC化合物は透明状態から酸化反応によって着色するアノード性化合物であっても、透明状態から還元反応によって着色するカソード性化合物のいずれであってもよい。また、アノード性化合物とカソード性化合物の双方を用いても構わない。特に有機化合物を用いる場合は、アノード性有機化合物とカソード性有機化合物とを共に用いると、電流に対する着色効率が高くなり好ましい。本明細書においては、アノード性化合物とカソード性化合物の双方を有する素子を相補型EC素子と呼び、アノード性化合物とカソード性化合物のいずれか一方を有する素子を単極型EC素子と呼ぶ。アノード性化合物は、アノード材料、カソード性化合物はカソード材料とも呼ばれる。
【0049】
相補型EC素子を駆動させた場合、一方の電極では酸化反応によってEC化合物から電子が引き抜かれ、他方の電極では還元反応によってEC化合物が電子を受け取っている。酸化反応によって中性分子からラジカルカチオンを生成してもよい。また、還元反応によって中性分子からラジカルアニオンを生成しても、ジカチオン分子からラジカルカチオンを生成してもよい。一対の透明電極2a,2bの双方においてEC化合物が着色するため、着色時に大きな光学濃度変化を必要とする場合には相補型EC素子が好ましい。一方、単極型EC素子は、相補型EC素子に比べて消費電力を抑えることができるため好ましい。これは、相補型EC素子では着色したアノード性化合物と着色したカソード性化合物が電子をやり取りする自己消去反応があり、着色状態を維持するために大きな電流が必要となるためである。
【0050】
EC化合物が無機化合物である場合は、EC層と、一対の透明電極の内の少なくとも一方と、の間に電解質層を有してよい。一方、EC化合物が有機化合物である場合は、無機化合物の場合と同様に電解質層を有しても、有機化合物とともに電解質溶液を有してもよい。
【0051】
有機EC化合物は、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性高分子、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、オリゴチオフェン誘導体、フェナジン誘導体等の有機低分子化合物等が挙げられる。無機EC化合物としては、NiOxやWO3等の金属酸化物材料が挙げられる。
【0052】
EC層は、電解質を含む電解質層とEC化合物を含む層との積層構成であってもよい。EC層は、EC化合物を1種類のみ有していても、複数種類のEC化合物を有していてもよい。EC層が複数種のEC化合物を含有する場合は、EC化合物の酸化還元電位の差が小さいことが好ましい。複数種類のEC化合物を有する場合は、アノード性化合物とカソード性化合物とを合わせて4種類以上のEC化合物を有してよい。本発明のEC素子は5種類以上のEC化合物を有してもよい。複数種類のEC化合物を有する場合、複数のアノード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよく、複数のカソード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよい。複数種類のEC化合物を有する場合、複数種類のEC化合物は、400nm以上500nm以下に吸収ピークを有する化合物と、500nm以上650nm以下に吸収ピークを有する化合物と、650nm以上に吸収ピークを有する化合物を含んでよい。吸収ピークは半値幅が20nm以上のものを指す。また、光を吸収する場合の材料の状態は酸化状態であっても、還元状態であっても、中性状態であってもよい。
【0053】
電解質としては、イオン解離性の塩であり、かつ溶媒に対して良好な溶解性、固体電解質においては高い相溶性を示すものであれば限定されない。なかでも電子供与性を有する電解質が好ましい。これら電解質は、支持電解質と呼ぶこともできる。電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。具体的にはLiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n-C4H9)4NBF4、(n-C4H9)4NPF6、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n-C4H9)4NClO4等の4級アンモニウム塩及び環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0054】
EC化合物及び電解質を溶かす溶媒としては、EC化合物や電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有するものが好ましい。具体的には水や、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、3-メトキシプロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
【0055】
EC層は、さらにポリマーマトリックスやゲル化剤を含有させてもよい。この場合、EC層6は粘稠性が高い液体となり、場合によってはゲル状となる。ポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、プルラン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)等が挙げられ、PMMAが好ましく用いられる。
【0056】
ガラス基板は、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等が用いられる。これらガラス材としては、Corning#7059やBK-7等の光学ガラス基板を好適に使用することができる。さらに、ガラス基板1a,1bは剛性が高く歪みを生じることが少ない材料が好ましい。なお、本実施形態において、透明とは可視光透過率が50%以上の透過率である状態を示している。
【0057】
透明電極としては、例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、グラフェン等を挙げることができる。また、ドーピング処理等で導電率を向上させた導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。
【0058】
本発明の一実施形態に係るEC素子は、消色状態で高い透過率を有することが好ましいため、透明電極は、例えば、ITO、IZO、NESA、PEDOT:PSS、グラフェン等の透明材料が特に好ましい。これらはバルク状、微粒子状等様々な形態で使用できる。尚、これらの電極は、単独で使用してもよく、あるいは複数組み合わせて使用してもよい。
【0059】
シールとしては、化学的に安定で、気体及び液体を透過せず、EC化合物の酸化還元反応を阻害しない材料であることが好ましい。シールとして、例えば、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ樹脂等の有機材料、金属材料等が挙げられる。
【0060】
本発明の一実施形態に係るEC素子は、スペーサーを有してもよい。スペーサーは透明電極の間の距離を規定する機能を有する。スペーサーの機能は、シールが有してもよい。スペーサーは、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリジビニルベンゼン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料で構成されてよい。
【0061】
[EC素子の用途等]
本実施形態に係るEC素子は素子を通過する可視光線の光量を調整することが可能であり、撮像装置等に適用することができる。
【0062】
<レンズユニット及び撮像装置>
本実施形態に係るレンズユニットは、本実施形態に係るEC素子と、複数のレンズを有する撮像光学系とを有する。本実施形態に係るレンズユニットでは、本実施形態に係るEC素子を通過した光が撮像光学系を通過するように配置されていてもよいし、撮像光学系を通過した光が本実施形態に係る光学フィルタを通過するように配置されていてもよい。
【0063】
また本実施形態に係る撮像装置は、本実施形態に係るEC素子とこのEC素子を通過した光を受光する撮像素子とを有する。
【0064】
図10(a)は本実施形態に係るEC素子7を用いたレンズユニット102を有する撮像装置、(b)は本実施形態に係るEC素子7を有する撮像装置である。レンズユニット102はマウント部材を介して撮像ユニット103に着脱可能に接続されている。
【0065】
レンズユニット102は、複数のレンズあるいはレンズ群を有するユニットである。例えば、
図10(a)において、レンズユニット102は、絞りより後でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズを表している。被写体側(紙面向かって左側)より順に正の屈折力の第1のレンズ群104、負の屈折力の第2のレンズ群105、正の屈折力の第3のレンズ群106、正の屈折力の第4のレンズ群107の4つのレンズ群を有する。第2のレンズ群105と第3のレンズ群106の間隔を変化させて変倍を行い、第4のレンズ群107の一部のレンズ群を移動させてフォーカスを行う。レンズユニット102は、例えば、第2のレンズ群105と第3のレンズ群106の間に開口絞り108を有し、また、第3のレンズ群106と第4のレンズ群107の間に本発明のEC素子7を有する。レンズユニット102を通過する光は、各レンズ群104乃至107、開口絞り108及び本発明のEC素子7を通過するよう配置されており、開口絞り108及び本発明のEC素子7を用いて光量の調整を行うことができる。
【0066】
また、レンズユニット102内の構成は適宜変更可能である。例えば、本実施形態に係るEC素子7は開口絞り108の前(被写体側)あるいは後(撮像ユニット103側)に配置でき、また、第1のレンズ群104よりも前に配置しても良く、第4のレンズ群107よりも後に配置しても良い。光が収斂する位置に配置すれば、本実施形態に係るEC素子7の面積を小さくできる等の利点がある。また、レンズユニット102の形態も適宜選択可能であり、リアフォーカス式の他、絞りより前でフォーカシングを行うインナーフォーカス式であっても良く、その他の方式であっても構わない。また、ズームレンズ以外にも魚眼レンズやマクロレンズ等の特殊レンズも適宜選択可能である。
【0067】
撮像ユニット103が有するガラスブロック109は、ローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。また、撮像素子110は、レンズユニット102を通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等が使用できる。また、フォトダイオードのような光センサであっても良く、光の強度あるいは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用可能である。
【0068】
図10(a)のように、本実施形態に係るEC素子7がレンズユニット102に組み込まれている場合、駆動手段はレンズユニット102内に配置されても良く、例えば撮像ユニット103内等、レンズユニット102外に配置されても良い。レンズユニット102外に配置される場合は、配線を通してレンズユニット102内外のEC素子と駆動手段を接続し、駆動制御する。
【0069】
図10(b)に示す様に、撮像ユニット103がEC素子7を有していても良い。本発明のEC素子7は撮像ユニット103内部の適当な箇所に配置され、撮像素子110は本実施形態に係るEC素子7を通過した光を受光するよう配置されていれば良い。
図10(b)においては、例えば本発明のEC素子7は撮像素子110の直前に配置されている。撮像ユニット103が本発明のEC素子7を内蔵する場合、接続されるレンズユニット102自体が本発明のEC素子7を持たなくても良いため、既存のレンズユニットを用いた調光可能な撮像装置を構成することが可能となる。
【0070】
このような撮像装置は、光量調整と撮像素子の組合せを有する製品に適用可能である。例えばカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラに使用可能であり、また、携帯電話やスマートフォン、PC、タブレット等撮像装置を内蔵する製品にも適用できる。
【0071】
本実施形態に係るEC素子7を調光部材として用いることで、調光量を一つのフィルタで適宜可変させることが可能となり、部材点数の削減や省スペース化といった利点も挙げられる。
【符号の説明】
【0072】
1a,1b ガラス基板
2a,2b 透明電極
3 シール
4a,4b バス配線
5a,5b 給電部
6 角
7 エレクトロクロミック層
8 エレクトロクロミック素子
101 撮像装置
102 レンズユニット
103 撮像ユニット
104 第一のレンズ群
105 第二のレンズ群
106 第三のレンズ群
107 第四のレンズ群
108 開口絞り
109 ガラスブロック
110 撮像素子