(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】制御装置、サスペンション、および、それらの制御方法
(51)【国際特許分類】
B62K 25/08 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B62K25/08 C
(21)【出願番号】P 2019188892
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-06-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂川 優希
(72)【発明者】
【氏名】白井 豊土
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-244688(JP,A)
【文献】特開昭60-053479(JP,A)
【文献】特開昭62-106137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0079462(US,A1)
【文献】特開平02-182518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 25/00-27/16
F16F 9/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、前記第1部材に対して移動可能に設けられる第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との相対移動可能量を調整する調整装置と、を含む、サスペンションの制御装置であって、
制御部と、
前記第1部材と前記第2部材との相対位置に関する相対位置情報を検出する検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1部材と前記第2部材との所定相対位置情報と、前記検出部によって検出される前記相対位置情報
と、の比較結果に基づいて前記調整装置を電気的に制御し、
前記所定相対位置情報は、前記制御部が目標とする前記第2部材が前記第1部材に対して最大移動可能な量である所定相対移動可能量に応じて設定される、制御装置。
【請求項2】
前記サスペンションは、前記第1部材と前記第2部材とによって定義される第1チャンバと、前記第1部材と前記第2部材とによって定義される第2チャンバと、前記第1チャンバと前記第2チャンバとを流体的に連結する流路と、をさらに含み、
前記調整装置は、前記流路を開閉するバルブを含み、
前記制御部は、前記相対位置情報に基づいて前記バルブを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1部材と前記第2部材との所定相対位置情報と、前記相対位置情報と、の比較結果に基づいて前記バルブを制御
する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記所定相対位置情報と前記所定相対移動可能量との対応関係を示すテーブルデータを格納する記憶部をさらに備える、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記調整装置は、前記バルブを開閉する電動アクチュエータを含み、
前記制御部は、前記電動アクチュエータを制御する、請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記第1部材と、
前記第1部材に対して移動可能に設けられる第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との相対移動可能量を調整する調整装置と、備える、サスペンション。
【請求項7】
第1部材と、前記第1部材に対して移動可能に設けられる第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との相対移動可能量を調整する調整装置と、を含む、サスペンションの制御方法であって、
前記第1部材と前記第2部材との相対位置に関する相対位置情報を検出する検出部の出力に応じて前記相対位置情報を検出する検出ステップと、
前記相対位置情報と、目標とする前記第2部材が前記第1部材に対して最大移動可能な量である所定相対移動可能量に応じて設定される所定相対位置情報と、を比較する比較ステップと、
前記相対位置情報と前記所定相対位置情報との比較結果に基づいて調整装置を制御する制御ステップと、を備える、制御方法。
【請求項8】
前記調整装置の制御による前記相対移動可能量の調整結果を検証する検証ステップをさらに備える、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記検証ステップは、
前記制御ステップ前の第1所定期間に検出される前記相対位置情報に基づいて制御前相対位置情報を取得する第1検証ステップと、
前記制御ステップ後の第2所定期間に検出される前記相対位置情報に基づいて制御後相対位置情報を取得する第2検証ステップと、
前記制御前相対位置情報と前記制御後相対位置情報との比較結果に基づいて前記調整結果を検証する第3検証ステップと、を含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記検出ステップを開始するか否かを判定する判定ステップをさらに備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記判定ステップにおいて、ユーザからのインプット情報、人力駆動車の走行情報、および、前記人力駆動車の走行環境情報の少なくともいずれか1つに基づいて、前記検出ステップを開始するか否かが判定される、請求項10に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、サスペンション、および、それらの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車のコンポーネントを制御する制御装置が知られている。特許文献1は、人力駆動車のサスペンションを制御する制御装置の構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2011/0012317号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より好適に人力駆動車のコンポーネントが制御されることが好ましい。
本発明の目的は、ユーザビリティの向上した制御装置、サスペンション、および、それらの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、第1部材と、前記第1部材に対して移動可能に設けられる第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との相対移動可能量を調整する調整装置と、を含むサスペンションの制御装置であって、前記第1部材と前記第2部材との相対位置に関する相対位置情報に基づいて前記調整装置を電気的に制御する制御部を備える。
上記第1側面の制御装置によれば、相対位置情報に基づいて調整装置を制御するため、人力駆動車のユーザビリティが向上する。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記相対位置情報を検出する検出部をさらに備える。
上記第2側面の制御装置によれば、検出部をさらに備えるため、相対位置情報をより好適に取得できる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記サスペンションは、前記第1部材と記第2部材とによって定義される第1チャンバと、前記第1部材と前記第2部材とによって定義される第2チャンバと、前記第1チャンバと前記第2チャンバとを流体的に連結する流路と、をさらに含み、前記調整装置は、前記流路を開閉するバルブを含み、前記制御部は、前記相対位置情報に基づいて前記バルブを制御する。
上記第3側面の制御装置によれば、バルブが相対位置情報に基づいて制御されるため、第1チャンバおよび第2チャンバにおける流体の量が好適に調整される。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1部材と前記第2部材との所定相対位置情報と、前記相対位置情報と、の比較結果に基づいて前記バルブを制御する。
上記第4側面の制御装置によれば、所定相対位置情報と相対位置情報との比較結果に基づいてバルブが制御されるため、バルブが好適に制御される。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記所定相対位置情報は、前記第1部材と前記第2部材との所定相対移動可能量に応じて設定される。
上記第5側面の制御装置によれば、所定相対位置情報が適切に設定されるため、調整装置がより好適に制御される。
【0010】
前記第5側面に従う第6側面の制御装置において、前記所定相対位置情報と前記所定相対移動可能量との対応関係を示すテーブルデータを格納する記憶部をさらに備える。
上記第6側面の制御装置によれば、記憶部に記憶されるテーブルデータに基づいて、制御部が調整装置を制御できる。
【0011】
前記第3から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記調整装置は、前記バルブを開閉する電動アクチュエータを含み、前記制御部は、前記電動アクチュエータを制御する。
上記第7側面の制御装置によれば、電動アクチュエータによりバルブが好適に制御される。
【0012】
本発明の第8側面に従うサスペンションは、前記第1側面から第7側面のいずれか1つの制御装置と、前記第1部材と、前記第1部材に対して移動可能に設けられる第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との相対移動可能量を調整する調整装置と、備える。
上記第8側面のサスペンションによれば、サスペンションの相対移動可能量が制御装置により調整されるため、人力駆動車のユーザビリティが向上する。
【0013】
本発明の第9側面に従う制御方法は、第1部材と、前記第1部材に対して移動可能に設けられる第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との相対移動可能量を調整する調整装置と、を含む、サスペンションの制御方法であって、前記第1部材と前記第2部材との相対位置に関する相対位置情報を検出する検出ステップと、前記相対位置情報と所定相対位置情報とを比較する比較ステップと、前記相対位置情報と前記所定相対位置情報との比較結果に基づいて調整装置を制御する制御ステップと、を備える。
上記第9側面の制御方法によれば、調整装置が好適に制御されるため、人力駆動車のユーザビリティが向上する。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の制御方法において、前記調整装置の制御による前記相対移動可能量の調整結果を検証する検証ステップをさらに備える。
上記第10側面の制御方法によれば、調整装置がより好適に制御されるため、人力駆動車のユーザビリティが向上する。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面の制御方法において、前記検証ステップは、前記制御ステップ前の第1所定期間に検出される前記相対位置情報に基づいて制御前相対位置情報を取得する第1検証ステップと、前記制御ステップ後の第2所定期間に検出される前記相対位置情報に基づいて制御後相対位置情報を取得する第2検証ステップと、前記制御前相対位置情報と前記制御後相対位置情報との比較結果に基づいて前記調整結果を検証する第3検証ステップと、を含む。
上記第11側面の制御方法によれば、調整装置がより好適に制御されるため、人力駆動車のユーザビリティが向上する。
【0016】
前記第9から第11側面のいずれか1つに従う第12側面の制御方法において、前記検出ステップを開始するか否かを判定する判定ステップをさらに備える。
上記第12側面の制御方法によれば、調整装置がより好適に制御されるため、人力駆動車のユーザビリティが向上する。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の制御方法において、前記判定ステップにおいて、ユーザからのインプット情報、人力駆動車の走行情報、および、前記人力駆動車の走行環境情報の少なくともいずれか1つに基づいて、前記検出ステップを開始するか否かが判定される。
上記第13側面の制御方法によれば、ユーザからのインプット情報、人力駆動車の走行情報、および、前記人力駆動車の走行環境情報の少なくともいずれか1つに基づいて検出ステップを開始するか否かが判定されるため、人力駆動車のユーザビリティが向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の制御装置、サスペンション、および、それらの制御方法によれば、ユーザビリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態の制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図3】
図1のフロントサスペンションの構成を示す拡大図。
【
図5】第1実施形態の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図6】第1実施形態の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図7】第2実施形態の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図8】第3実施形態の制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1から
図4を参照して、人力駆動車用の制御装置50が搭載される人力駆動車10について説明する。なお、以下では人力駆動車用の制御装置50を単に制御装置50と記載する場合がある。
図1に示される人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0021】
人力駆動車10は、第1車輪12Aと第2車輪12Bと、を含む。本実施形態では、第1車輪12Aは前輪を含み、第2車輪12Bは後輪を含む。以下では、第1車輪12Aを前輪12Aと称し、第2車輪12Bを後輪12Bと称する場合がある。人力駆動車10は、クランク14をさらに備える。人力駆動車10は、フレーム16をさらに備える。クランク14には、人力駆動力が入力される。クランク14は、フレーム16に対して回転可能なクランク軸14Aと、クランク軸14Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム14Bとを含む。各クランクアーム14Bには、ペダル18がそれぞれ連結される。本実施形態では、後輪が、駆動輪である。駆動輪は、クランク14が回転することによって駆動される。駆動輪は、フレーム16に支持される。クランク14と駆動輪とは、駆動機構20によって連結される。駆動機構20は、クランク軸14Aに結合される第1回転体22を含む。クランク軸14Aと第1回転体22とは、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク14が前転した場合に、第1回転体22を前転させ、クランク14が後転した場合に、クランク14と第1回転体22との相対回転を許容するように構成される。第1回転体22は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構20は、第2回転体24と、連結部材26とをさらに含む。連結部材26は、第1回転体22の回転力を第2回転体24に伝達するように構成される。連結部材26は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0022】
第2回転体24は、駆動輪に連結される。第2回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体24と駆動輪との間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体24が前転した場合に、駆動輪を前転させ、第2回転体24が後転した場合に、第2回転体24と駆動輪との相対回転を許容するように構成される。
【0023】
第2車輪12Bが前輪を含み、第1車輪12Aが後輪を含んでいてもよい。フレーム16には、フロントフォーク28を介して前輪が取り付けられている。フロントフォーク28には、ハンドルバー30がステム32を介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪として説明するが、前輪が駆動輪であってもよく、前輪および後輪の両方が駆動輪であってもよい。
【0024】
人力駆動車10は、人力駆動車用のバッテリ34を含む。バッテリ34は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ34は、制御装置50およびコンポーネント36に電力を供給するように構成される。バッテリ34は、好ましくは、制御装置50と電線または無線通信ユニットを介して通信可能に接続される。
【0025】
人力駆動車10は、コンポーネント36をさらに備える。コンポーネント36は、変速装置38、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータを含むドライブユニット40、アジャスタブルシートポスト42、および、サスペンション44の少なくとも1つを含む。本実施形態では、コンポーネント36は、変速装置38、ドライブユニット40、アジャスタブルシートポスト42、および、サスペンション44を含む。
【0026】
変速装置38は、クランク軸14Aの回転速度に対する駆動輪の回転速度の変速比率を変更するように構成される。変速装置38は、好ましくは、変速比率を段階的に変更するように構成される。変速装置38は、例えば、内装ハブ変速装置および外装変速装置の少なくとも1つを含む。変速装置38は、例えば、ドライブユニット40のハウジング内に設けられてもよい。
【0027】
ドライブユニット40は、モータを含む。モータは、例えば制御部により制御されるように構成される。モータは、電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータを含む。モータは、ペダル18から後輪12Bまでの人力駆動力の動力伝達経路、または、前輪12Aに回転を伝達するように設けられる。ペダル18から後輪12Bまでの人力駆動力の動力伝達経路は、後輪12Bを含む。本実施形態では、モータは、第1回転体22に回転を伝達するように設けられる。モータとクランク軸14Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、クランク軸14Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク14の回転力によってモータが回転しないように第3ワンウェイクラッチが設けられる。後輪12Bおよび前輪12Aの少なくとも1つにモータを設ける場合、モータは、ハブモータを含んでもよい。モータは、後輪12Bおよび前輪12Aの少なくとも1つを直接または間接的に駆動することができるように構成されれば、どのような構成であってもよい。ドライブユニット40は、減速機をさらに含んでいてもよい。モータは、例えば、減速機を介して、ペダル18から後輪12Bまでの人力駆動力の動力伝達経路、および、前輪12Aの少なくとも1つに回転を伝達するように構成されてもよい。減速機は、例えば、ドライブユニット40のハウジング内に設けられる。
【0028】
アジャスタブルシートポスト42は、シートチューブ16Aに設けられ、サドルの高さを変更するように構成される。アジャスタブルシートポスト42は、電気式シートポストおよび機械式シートポストを含む。電気式シートポストは、電動アクチュエータの力でシートポストが伸縮するように構成される。機械式シートポストは、電動アクチュエータの力でバルブを制御することによって、シートポストがばねおよび空気の少なくとも1つの力で伸び、人力を加えることによって縮むように構成される。機械式シートポストは、油圧式シートポスト、または、油圧および空気圧式シートポストを含む。
【0029】
サスペンション44は、人力駆動車10が走行中の路面から人力駆動車10に係る衝撃の吸収、および、ストローク量の調整を行う。ストローク量の調節は、サスペンション44の全長を調節することと同義である。ストローク量を調節することで、サスペンション44のフレーム16に対する相対的な位置が調節される。サスペンション44の全長は、例えば
図4に示される距離L1の範囲で調節される。サスペンション44は、フロントサスペンション46およびリアサスペンション48の少なくとも1つを含む。フロントサスペンション46は、人力駆動車10のフレーム16と前輪12Aとの間に設けられるように構成される。フロントサスペンション46は、前輪12Aに加えられる衝撃を吸収する。リアサスペンション48は、人力駆動車10のスイングアームと後輪12Bとの間に設けられるように構成される。リアサスペンション48は、後輪12Bに加えられる衝撃を吸収する。
【0030】
サスペンション44は、第1部材44Aと、第1部材44Aに対して移動可能に設けられる第2部材44Bと、第1部材44Aと第2部材44Bとの相対移動可能量を調整する調整装置60とを含む。サスペンション44の全長は、第1部材44Aに対する第2部材44Bの相対移動によって調節される。第1部材44Aは、一例では、第2部材44Bの外側に設けられるアウターチューブである。第2部材44Bは、一例では、第1部材44Aの内側に設けられるインナーチューブである。相対移動可能量は、第2部材44Bが第1部材44Aに対して最大限移動できる量である。サスペンション44は、第1部材44Aと第2部材44Bとによって定義される第1チャンバC1と、第1部材44Aと第2部材44Bとによって定義される第2チャンバC2と、第1チャンバC1と第2チャンバC2とを流体的に連結する流路R1と、をさらに含む。流体は、一例では空気および油である。流路R1は、流体の逆流を抑制するため逆流抑制機構をさらに備えていてもよい。逆流抑制機構の一例は、弁またはバルブである。
【0031】
サスペンション44による衝撃吸収は、ダンパー調節ユニットによって実行される。ダンパー調節ユニットは、流体チャンバと貯蔵チャンバ、流体チャンバと貯蔵チャンバとをつなぐ流路、および、流路の開閉を実行する調整装置を備えていてもよい。調整装置は、電動アクチュエータおよびバルブを含む。
【0032】
制御装置50は、少なくともサスペンション44の全長を制御するように構成される。制御装置50は、調整装置60を制御する。制御装置50は、調整装置60を有線または無線通信により制御する。制御装置50は、サスペンション44に設けられる。制御装置50は、制御部52を備える。制御部52は、第1部材44Aと第2部材44Bとの相対位置に関する相対位置情報に基づいて調整装置60を電気的に制御する。制御部52は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部52は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0033】
制御装置50は、所定相対位置情報と所定相対移動可能量との対応関係を示すテーブルデータを格納する記憶部54をさらに備える。記憶部54は、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部54は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えばROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。制御部52は、記憶部54に記憶されるテーブルデータを参照して、制御を実行する。
【0034】
所定相対位置情報は、第1チャンバC1と第2チャンバC2との内圧差がつりあう場合の相対位置情報である。一例では、内圧差がつりあう場合、内圧差の絶対値が所定値未満である。所定相対位置情報は、第1部材44Aと第2部材44Bとの所定相対移動可能量に応じて設定される。所定相対移動可能量は、制御部52が目標とする第2部材44Bが第1部材44Aに対して最大移動可能の量を表す。
【0035】
制御装置50は、相対位置情報を検出する検出部56をさらに備える。検出部56は、一例では、超音波センサおよび光学センサにより構成される。別の例では、検出部56は、エンコーダまたはポテンショメータにより構成される。検出部56は、検出された相対位置情報を制御部52に出力する。相対位置情報は、例えば第1チャンバC1における第1部材44Aを構成する面P1と第2部材44Bを構成する面P2との距離L1の長さに関する情報を含む。検出部56は、例えば第1チャンバC1における第1部材44Aを構成する面P3に設けられる、センサを読み取ることにより第1部材44Aに対する第2部材44Bの相対的な位置を検出するように構成されていてもよい。一例では、相対位置情報は、面P1と面P3に設けられるセンサとの距離に関する情報を含む。検出部56が読み取るセンサは、第1部材44Aの内面を構成するP3以外の面に設けられていてもよく、第2部材44Bの外側を構成する面に設けられていてもよい。
【0036】
調整装置60は、流路R1を開閉するバルブ62を含む。調整装置60は、バルブ62を開閉する電動アクチュエータ64を含む。制御部52は、電動アクチュエータ64を制御する。電動アクチュエータ64の一例は、モータである。別の例では電動アクチュエータ64は、ソレノイドである。調整装置60は、例えば、流体ポンプを含み、第1チャンバC1および第2チャンバC2の流体の容積を調節可能に構成されていてもよい。制御部52は、第1部材44Aと第2部材44Bとの所定相対位置情報と、相対位置情報と、の比較結果に基づいてバルブを制御する。
【0037】
人力駆動車10は、ユーザからのインプットを受け付ける操作装置70をさらに含む。操作装置70は、少なくともサスペンション44の操作が可能となるように構成される。操作装置70は、ユーザからのインプット情報を制御装置50に出力する。インプット情報は、ロック状態およびロック解除状態の切り替えおよび第2部材44Bの相対位置の変更に関する情報を含む。操作装置70は、他のコンポーネント36を制御可能に構成されていてもよい。
【0038】
人力駆動車10は、人力駆動車10に関する走行情報および走行環境情報を取得する検出装置80をさらに含む。走行情報は、例えば、人力駆動車10のピッチ方向の傾き、ケイデンス、トルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む。パワーは、ケイデンスとトルクとの積である。走行環境情報は、路面に関する路面情報を含む。路面情報は、人力駆動車10が走行する路面の傾斜角度に関する情報および走行路面に存在する障害物に関する情報を含む。検出装置80は、走行情報および走行環境情報を検出するセンサおよび外部から情報を取得する受信機の少なくとも1つにより構成される。
【0039】
制御部52が実行するサスペンション44の制御方法について説明する。
制御部52が制御を実行するサスペンション44は、制御装置50と、第1部材44Aと、第1部材44Aに対して移動可能に設けられる第2部材44Bと、第1部材44Aと第2部材44Bとの相対移動可能量を調整する調整装置60とを含む。
【0040】
サスペンション44の制御方法は、第1部材44Aと第2部材44Bとの相対位置に関する相対位置情報を検出する検出ステップと、相対位置情報と所定相対位置情報とを比較する比較ステップと、相対位置情報と所定相対位置情報との比較結果に基づいて調整装置60を制御する制御ステップと、を備える。
【0041】
検出ステップでは、制御部52は、検出部56が検出した相対位置情報を取得する。比較ステップでは、制御部52は、記憶部54に記憶されるテーブルデータを参照し、検出ステップで取得した相対位置情報と所定相対移動可能量に対応する所定相対位置情報とが一致するか否かを判断する。制御ステップでは、制御部52は、電動アクチュエータ64を制御し、所定の期間にバルブ62を開き、流路R1を流体が通過できる状態に構成する。所定の期間は、相対移動可能量と所定相対移動可能量との関係から予めテーブルデータとして記憶部54に記憶される。
【0042】
サスペンション44の制御方法は、調整装置60の制御による相対移動可能量の調整結果を検証する検証ステップをさらに備える。検証ステップは、制御ステップ前の第1所定期間に検出される相対位置情報に基づいて制御前相対位置情報を取得する第1検証ステップと、制御ステップ後の第2所定期間に検出される相対位置情報に基づいて制御後相対位置情報を取得する第2検証ステップと、制御前相対位置情報と制御後相対位置情報との比較結果に基づいて調整結果を検証する第3検証ステップと、を含む。
【0043】
検証ステップにおいて、制御部52は、相対位置情報の取得および制御ステップによる制御実行の判断を行う。第1検証ステップでは、制御部52は、検出部56が第1所定期間に検出した相対位置情報から、制御前相対位置情報を取得する。制御前相対位置情報は、制御部52による調整装置60の制御実行前の相対位置情報である。制御前相対位置情報は、第1所定期間に検出した相対位置情報の平均値または中央値である。第2検証ステップでは、制御部52は、検出部56が第2所定期間に検出した相対位置情報から、制御後相対位置情報を取得する。制御後相対位置情報は、第2所定期間に検出した相対位置情報の平均値または中央値である。第1所定期間および第2所定期間は、任意の時間が設定される。制御後相対位置情報は、制御部52による調整装置60の制御実行後の相対位置情報である。第3検証ステップでは、制御部52は、制御前相対位置情報と制御後相対位置情報との差と所定相対移動可能量と相対移動可能量との差との絶対値が所定値未満であるか否かによって、制御を継続しないか否かを判断する。絶対値が所定値未満である場合、肯定判断を行い、制御を終了する。絶対値が所定値以上である場合、否定判断を行い、制御を継続する。なお以下において、制御前相対位置情報と制御後相対位置情報との差を位置情報差と記載し、所定相対移動可能量と相対移動可能量との差を移動可能量差と記載する場合がある。
【0044】
サスペンション44の制御方法は、検出ステップを開始するか否かを判定する判定ステップをさらに備える。判定ステップにおいて、ユーザからのインプット情報、人力駆動車10の走行情報、および、人力駆動車10の走行環境情報の少なくともいずれか1つに基づいて、検出ステップを開始するか否かが判定される。
【0045】
判定ステップにおいて、制御部52は、検出ステップを含む制御方法を実行するか否かを判断する。制御部52は、検出ステップを開始する肯定判断を行った場合には、少なくとも検出ステップ、比較ステップ、および、制御ステップを実行する。好ましくは、制御部52は、検証ステップをさらに実行する。
【0046】
図5を参照して、制御部52が実行する制御方法の一例について説明する。なお、相対移動可能量が所定相対移動可能量よりも大きい場合を例に説明する。一例では、相対移動可能量は、150mmである。所定相対移動可能量は、130mmである。
【0047】
制御部52は、ステップS11において、判断ステップにより肯定判断がされたか否かを判断する。肯定判断がされた場合、制御部52は、ステップS12の処理を実行する。否定判断がされた場合、制御部52は、ステップS11の処理を再度実行する。
制御部52は、ステップS12において、第1検証ステップを実行する。制御部52は、第1所定時間における制御前相対位置情報を取得する。
【0048】
制御部52は、ステップS13において、検出ステップを実行する。制御部52は、現在の相対位置情報を取得する。制御部52は、ステップS14において、比較ステップを実行する。制御部52は、現在の相対位置情報と記憶部54に記憶されるテーブルデータとを比較し、現在の相対位置情報と所定相対移動可能量に対応する所定相対位置情報と一致するか否かを判断する。肯定判断の場合、制御部52は、ステップS15の処理を実行する。否定判断の場合、制御部52は、ステップS14の処理を再度実行する。
【0049】
制御部52は、ステップS15において、制御ステップを実行する。制御部52は、電動アクチュエータ64を制御して、バルブ62を所定期間の間開く。所定期間の経過後、制御部52は、電動アクチュエータ64を制御してバルブ62を閉じ、ステップS16の処理を実行する。
【0050】
制御部52は、ステップS16において、第2所定時間における制御後相対位置情報を取得する。制御部52は、ステップS17において、第3検証ステップを実行する。第3検証ステップにおいて、肯定判断を行った場合、制御部52は制御を終了する。否定判断を行った場合、制御部52は、ステップS14の処理を再度実行する。
【0051】
人力駆動車10の走行中において、バッテリ34からの電力が供給されている場合に、制御部52はステップS11からステップS17の処理を所定の間隔ごとに実行するように構成される。
【0052】
図6を参照して、制御部52が実行する判定ステップの制御方法の一例について説明する。
制御部52は、ステップS21において、操作装置70が操作されていないかどうかを判断する。具体的には、制御部52は、操作装置70からのインプット情報が存在するか否かを判断する。操作されていると判断した場合、制御部52は、ステップS25の処理を実行する。操作されていないと判断した場合、制御部52は、ステップS22の処理を実行する。
【0053】
制御部52は、ステップS22において、検出ステップを実行するか否かを判定する。一例では、制御部52は、走行情報および走行環境情報の少なくとも1つに基づいて検出ステップを実行するか否かを判定する。制御部52が参照する走行情報の一例は、人力駆動車10が傾斜しているか否かである。制御部52が参照する走行環境情報の一例は、人力駆動車10が走行する路面が所定以上傾斜しているかである。別の例では、人力駆動車10が走行する路面に障害物が存在するか否かである。検出ステップを実行すると判断した場合、制御部52は、ステップS23の処理を実行する。検出ステップを実行しないと判断した場合、制御部52は、ステップS26の処理を実行する。
【0054】
制御部52は、ステップS23において、検出ステップを実行し、相対位置情報を取得する。制御部52は、ステップS24において、肯定判断か否かを判断する。制御部52は、ステップS22の判断に利用した走行情報および走行環境情報の少なくとも1つと相対位置情報とが一致しているか否かを判断する。走行情報と相対位置情報との一致とは、例えば第2部材44Bの位置が傾斜状態に適合していることを含む。一例では、人力駆動車10が上り坂を走行中である場合に、相対位置情報が短い場合に適合していると判断される。走行環境情報と相対位置情報との一致とは、例えば、第2部材44Bの位置が、走行環境に適合していることを含む。一例では、人力駆動車10が上り坂を走行中または上り坂を走行する前である場合に、相対位置情報が短い場合に適合していると判断する。走行情報および走行環境情報の少なくとも1つと相対位置情報の対応関係を示すテーブルデータは、記憶部54に記憶される。制御部52は、記憶部54に記憶されるテーブルデータを参照して、一致しているか否かを判断する。
【0055】
制御部52は、ステップS25において、肯定判断を行う。肯定判断を行った後、制御部52は、例えば
図5に示されるステップS12以降の処理を実行する。制御部52は、ステップS26において、否定判断を行う。否定判断を行った後、制御部52は、例えばステップS21の処理を再度実行する。人力駆動車10の走行中において、バッテリ34からの電力が供給されている場合に、制御部52はステップS21からステップS26の処理を所定の間隔ごとに実行するように構成される。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態の制御装置50、サスペンション44、および、それらの制御方法は、制御装置50が実行する制御方法における制御ステップの実行の順番および制御ステップにおける制御部52が実行する制御の内容以外は第1実施形態の制御装置50、サスペンション44、および、それらの制御方法と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
図7を参照して、第2実施形態の制御部52が実行する制御方法の一例について説明する。
制御部52は、ステップS31において、判断ステップにより肯定判断がされたか否かを判断する。肯定判断がされた場合、制御部52は、ステップS32の処理を実行する。否定判断がされた場合、制御部52は、ステップS31の処理を再度実行する。制御部52は、ステップS32において、第1検証ステップを実行する。制御部52は、第1所定時間における制御前相対位置情報を取得する。
【0058】
制御部52は、ステップS33において、制御ステップを実行する。第2実施形態の制御ステップでは、制御部52は電動アクチュエータ64を制御し、バルブ62を開き、流路R1を流体が通過できる状態に構成する。
【0059】
制御部52は、ステップS34において、検出ステップを実行する。制御部52は、現在の相対位置情報を取得する。制御部52は、ステップS35において、比較ステップを実行する。制御部52は、現在の相対位置情報と記憶部54に記憶されるテーブルデータとを比較し、現在の相対位置情報と所定相対移動可能量に対応する所定相対位置情報と一致するか否かを判断する。肯定判断の場合、制御部52は、ステップS36の処理を実行する。否定判断の場合、制御部52は、ステップS34の処理を再度実行する。
【0060】
制御部52は、ステップS36において、制御ステップを実行する。第2実施形態の制御ステップでは、制御部52は電動アクチュエータ64を制御し、バルブ62を閉じ、流路R1を流体が通過できない状態に構成する。
【0061】
制御部52は、ステップS37において、第2検証ステップを実行し、第2所定時間における制御後相対位置情報を取得する。制御部52は、ステップS38において、第3検証ステップを実行する。第3検証ステップにおいて、肯定判断を行った場合、制御部52は制御を終了する。否定判断を行った場合、制御部52は、ステップS35の処理を再度実行する。
【0062】
人力駆動車10の走行中において、バッテリ34からの電力が供給されている場合に、制御部52はステップS31からステップS37の処理を所定の間隔ごとに実行するように構成される。
【0063】
<第3実施形態>
第3実施形態の制御装置50、サスペンション44、および、それらの制御方法は、制御方法における各ステップの実行の順番およびその内容以外は第1実施形態および第2実施形態の制御装置50、サスペンション44、および、それらの制御方法と同様であるので、第1実施形態および第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態および第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0064】
図8を参照して、第3実施形態の制御部52が実行する制御方法の一例について説明する。
制御部52は、ステップS41において、判断ステップにより肯定判断がされたか否かを判断する。肯定判断がされた場合、制御部52は、ステップS42の処理を実行する。否定判断がされた場合、制御部52は、ステップS41の処理を再度実行する。制御部52は、ステップS42において、第1検証ステップを実行する。制御部52は、第1所定時間における制御前相対位置情報を取得する。制御部52は、ステップS43において、検出ステップを実行する。制御部52は、現在の相対位置情報を取得する。
【0065】
制御部52は、ステップS44において、比較ステップを実行する。第3実施形態の比較ステップにおいて、制御部52は、現在の相対位置情報と、現在の相対移動可能量において内圧差がつりあう相対位置とを比較し、現在の相対位置情報の距離の方が短い場合にステップS45の処理を実行する。現在の相対移動可能量において内圧差がつりあう相対位置の距離の方が短い場合は、ステップS44の処理を再度実行する。
【0066】
制御部52は、ステップS45において、制御ステップを実行する。制御部52は、電動アクチュエータ64を制御して、バルブ62を所定期間開く。所定期間の経過後、制御部52は、電動アクチュエータ64を制御してバルブ62を閉じ、ステップS46の処理を実行する。制御部52は、ステップS46において第2所定時間における制御後相対位置情報を取得する。
【0067】
制御部52は、ステップS47において、第3検証ステップを実行する。第3検証ステップにおいて、肯定判断を行った場合、制御部52は制御を終了する。否定判断を行った場合、制御部52は、ステップS48の処理を実行する。制御部52は、ステップS48において、移動可能差と位置情報差の大小を比較する。移動可能差の方が小さい場合、制御部52は、ステップS44の処理をそのまま再度実行する。移動可能差の方が大きい場合、制御部52は、ステップS44の処理において、現在の相対位置情報の方が長い場合にステップS45の処理を実行するように変更する。
【0068】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本発明に従う制御装置、サスペンション、および、それらの制御方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う制御装置、サスペンション、および、それらの制御方法は、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
・制御装置50を構成する要素の少なくとも1つが人力駆動車10の任意の場所に設けられていてもよい。一例では、人力駆動車10のフレーム16に制御部52および記憶部54の少なくとも1つが設けられる。制御部52および記憶部54は、有線または無線通信により、検出部56および調整装置60と通信する。操作装置70および検出装置80の少なくとも一方と無線通信するように構成されてもよい。
【0070】
・制御装置50に供給される電力は、バッテリ34に代えてまたは加えて人力駆動車に設けられる発電機であってもよい。発電機は、例えばハブダイナモ、ブロックダイナモ、アシスト回生機構、および、振動発電素子のうちの少なくとも1つを含む。
【0071】
・テーブルデータは、ユーザにより任意の値が入力されてもよく学習モデルにより構成されていてもよい。学習モデルは、例えば予め得られている相対位置情報と相対移動可能量とから作成される。制御部52は、検出部56から取得した相対位置情報を学習モデルに入力する。制御部52は、学習モデルから所定相対移動可能量に関する情報を取得する。
【0072】
制御部52は、
図6に示される判定ステップにおいて、ステップS21およびステップS22のいずれか1つを実行しないように構成されていてもよい。
【0073】
各実施形態において、制御部52は、第1検証ステップ、第2検証ステップ、および、第3検証ステップの少なくとも1つを実行しないように構成されていてもよい。第1実施形態において、制御部52は、ステップS12、ステップS16、および、ステップS17の処理の少なくとも1つを省略してもよい。第2実施形態において、制御部52は、ステップS32、ステップS37、および、ステップS38の処理の少なくとも1つを省略してもよい。第3実施形態において、制御部52は、ステップS42、ステップS46、および、ステップS47の処理の少なくとも1つを省略してもよい。
【0074】
各実施形態において、流路R1に逆流抑制機構が設けられる場合、制御部52は、制御ステップの実行前、実行中、および、実行後の少なくとも1つにおいて、逆流抑制機構を制御するように構成されていてもよい。制御部52は、逆流抑制機構により流体の逆流が抑制されているかを確認する、確認ステップをさらに実行するように構成されてもよい。
【0075】
・本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0076】
10…人力駆動車、44…サスペンション、44A…第1部材、44B…第2部材、50…制御装置、52…制御部、54…記憶部、56…検出部、60…調整装置、62…バルブ、64…電動アクチュエータ、R1…流路、C1…第1チャンバ、C2…第2チャンバ。