(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20240401BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240401BHJP
G09G 3/3266 20160101ALI20240401BHJP
G09G 3/3291 20160101ALI20240401BHJP
H10K 59/131 20230101ALN20240401BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 641C
G09G3/20 622K
G09G3/20 623U
G09G3/20 623C
G09G3/20 623D
G09G3/20 641P
G09G3/20 650M
G09G3/20 622D
G09G3/20 622R
G09G3/20 621A
G09G3/20 612U
G09G3/20 660U
G09G3/20 622Q
G09G3/3266
G09G3/3291
G09G3/20 660V
G09G3/20 621F
H10K59/131
(21)【出願番号】P 2019190198
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】高杉 親知
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0127896(KR,A)
【文献】特開2006-284959(JP,A)
【文献】特開2013-174813(JP,A)
【文献】特開2011-022462(JP,A)
【文献】特開2007-248588(JP,A)
【文献】特開2008-268886(JP,A)
【文献】特開2018-063351(JP,A)
【文献】特開2010-072618(JP,A)
【文献】特開2008-256947(JP,A)
【文献】特開2007-171367(JP,A)
【文献】特開2004-012872(JP,A)
【文献】特開2008-304573(JP,A)
【文献】特開2010-026528(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0213056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
H10K 59/00-59/95
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御装置であって、
前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1駆動部と、
前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2駆動部と、
を備え、
前記第1駆動部及び前記第2駆動部は、1フレーム期間内に、
前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に
対して、黒レベルの前記データ電圧が供給される所定期間を除いて、画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、
前記複数の画素のうちの他の一部の行を含
み、前記第1ブロックとは重複しない第2ブロックの画素に
前記黒レベルの前記データ電圧を供給し、
前記第2ブロックの画素に前記黒レベルの前記データ電圧が供給されるタイミングにおいて、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素にも前記黒レベルの前記データ電圧を供給する、
ように構成されている
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記第1駆動部は、前記第1ブロックの行の数と、前記第1ブロックのうちの前記黒レベルの前記データ電圧が供給される行の数とに応じて補正された前記画像表示用の前記データ電圧を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記第1ブロックの行の数をp、前記第1ブロックのうちの前記黒レベルの前記データ電圧が供給される行の数をqとするとき、前記画像表示用の前記データ電圧は、輝度をp/(p-q)倍にするように補正される、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御装置であって、
前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1駆動部と、
前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2駆動部と、
を備え、
前記第1駆動部及び前記第2駆動部は、1フレーム期間内に、
前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に
対して、黒レベルの前記データ電圧が供給される所定期間を除いて、画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、
前記複数の画素のうちの他の一部の行を含
み、前記第1ブロックとは重複しない第2ブロックの画素に
前記黒レベルの前記データ電圧を供給し、
前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、前記画像表示用の前記データ電圧及び前記黒レベルの前記データ電圧のいずれも供給しない、
ように構成されている
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
前記第1駆動部は、前記第1ブロックの行の数と、前記第1ブロックのうちの前記画像表示用の前記データ電圧及び前記黒レベルの前記データ電圧がいずれも供給されない行の数とに応じて補正された前記画像表示用の前記データ電圧を供給する、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記第1ブロックの行の数をp、前記第1ブロックのうちの前記画像表示用の前記データ電圧及び前記黒レベルの前記データ電圧がいずれも供給されない行の数をqとするとき、前記画像表示用の前記データ電圧は、輝度をp/(p-q)倍にするように補正される、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御装置であって、
前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1駆動部と、
前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2駆動部と、
を備え、
前記第1駆動部及び前記第2駆動部は、1フレーム期間内に、
前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に
対して、黒レベルの前記データ電圧が供給される所定期間を除いて、画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、
前記複数の画素のうちの他の一部の行を含
み、前記第1ブロックとは重複しない第2ブロックの画素に
前記黒レベルの前記データ電圧を供給し、
前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、
前記所定期間を除いて、前記第1ブロックのうちの他の1つの行と同一の
前記画像表示用の前記データ電圧を供給する、
ように構成されている
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
前記1フレーム期間の開始のタイミングと前記第2ブロックの画素に前記黒レベルの前記データ電圧を供給するタイミングとの間の間隔は、フレーム期間単位で変更可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記第1駆動部及び前記第2駆動部は、前記1フレーム期間内の前記所定期間において、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素に前記黒レベルの前記データ電圧を供給する、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記間隔は、フレーム期間単位で不規則に変化する、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記黒レベルの前記データ電圧を供給する処理を行うか否かをフレーム期間単位で変更可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項12】
静止画の表示時においては、前記黒レベルの前記データ電圧を供給する処理を行わない、
ことを特徴とする請求項
11に記載の表示制御装置。
【請求項13】
前記画素が前記画像表示用の前記データ電圧に基づく表示を行う期間のデューティー比をフレーム期間単位で変更可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項14】
請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の表示制御装置と、
前記表示部と、
を備える表示装置。
【請求項15】
複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御方法であって、
前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1ステップと、
前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2ステップと、
を備え、
前記第1ステップ及び前記第2ステップにおいて、1フレーム期間内に、
前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に
対して、黒レベルの前記データ電圧が供給される所定期間を除いて、画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、
前記複数の画素のうちの他の一部の行を含
み、前記第1ブロックとは重複しない第2ブロックの画素に
前記黒レベルの前記データ電圧を供給し、
前記第2ブロックの画素に前記黒レベルの前記データ電圧が供給されるタイミングにおいて、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素にも前記黒レベルの前記データ電圧を供給する、
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項16】
複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御方法であって、
前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1ステップと、
前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2ステップと、
を備え、
前記第1ステップ及び前記第2ステップにおいて、1フレーム期間内に、
前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に
対して、黒レベルの前記データ電圧が供給される所定期間を除いて、画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、
前記複数の画素のうちの他の一部の行を含
み、前記第1ブロックとは重複しない第2ブロックの画素に
前記黒レベルの前記データ電圧を供給し、
前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、前記画像表示用の前記データ電圧及び前記黒レベルの前記データ電圧のいずれも供給しない、
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項17】
複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御方法であって、
前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1ステップと、
前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2ステップと、
を備え、
前記第1ステップ及び前記第2ステップにおいて、1フレーム期間内に、
前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に
対して、黒レベルの前記データ電圧が供給される所定期間を除いて画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、
前記複数の画素のうちの他の一部の行を含
み、前記第1ブロックとは重複しない第2ブロックの画素に
前記黒レベルの前記データ電圧を供給し、
前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、
前記所定期間を除いて、前記第1ブロックのうちの他の1つの行と同一の
前記画像表示用の前記データ電圧を供給する、
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項18】
前記第1ステップ及び前記第2ステップでは、前記1フレーム期間内の前記所定期間において、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素に前記黒レベルの前記データ電圧を供給する、
ことを特徴とする請求項17に記載の表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode;OLED)を用いた表示装置が開示されている。特許文献1の表示装置は、動画応答時間(Motion Picture Response Time;MPRT)を短縮して動画の表示品質を向上させるため、1フレーム期間内の一部の時間に黒画像を表示する駆動方法を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0127896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような黒データ挿入を行う表示装置においては、1フレーム期間内に黒データの書き込みの期間と画像用データの書き込みの期間とが設けられているため、1行あたりの書き込み時間が短い。そのため、画像表示用のデータ電圧の書き込み時間を十分に確保することが難しい場合があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、黒データ挿入によって動画の表示品質を向上しつつ、画像表示用のデータ電圧の書き込み時間を十分に確保することができる表示制御装置、表示装置及び表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御装置であって、前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1駆動部と、前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2駆動部と、を備え、前記第1駆動部及び前記第2駆動部は、1フレーム期間内に、前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、前記複数の画素のうちの他の一部の行を含む第2ブロックの画素に黒レベルの前記データ電圧を供給し、前記第2ブロックの画素に前記黒レベルの前記データ電圧が供給されるタイミングにおいて、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素にも前記黒レベルの前記データ電圧を供給する、ように構成されていることを特徴とする表示制御装置が提供される。
【0007】
本発明の他の一観点によれば、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御装置であって、前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1駆動部と、前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2駆動部と、を備え、前記第1駆動部及び前記第2駆動部は、1フレーム期間内に、前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、前記複数の画素のうちの他の一部の行を含む第2ブロックの画素に黒レベルの前記データ電圧を供給し、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、前記画像表示用の前記データ電圧及び前記黒レベルの前記データ電圧のいずれも供給しない、ように構成されていることを特徴とする表示制御装置が提供される。
【0008】
本発明の他の一観点によれば、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御装置であって、前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1駆動部と、前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2駆動部と、を備え、前記第1駆動部及び前記第2駆動部は、1フレーム期間内に、前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、前記複数の画素のうちの他の一部の行を含む第2ブロックの画素に黒レベルの前記データ電圧を供給し、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、前記第1ブロックのうちの他の1つの行と同一の前記データ電圧を供給する、ように構成されていることを特徴とする表示制御装置が提供される。
【0009】
本発明の他の一観点によれば、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御方法であって、前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1ステップと、前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2ステップと、を備え、前記第1ステップ及び前記第2ステップにおいて、1フレーム期間内に、前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、前記複数の画素のうちの他の一部の行を含む第2ブロックの画素に黒レベルの前記データ電圧を供給し、前記第2ブロックの画素に前記黒レベルの前記データ電圧が供給されるタイミングにおいて、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素にも前記黒レベルの前記データ電圧を供給する、ことを特徴とする表示制御方法が提供される。
【0010】
本発明の他の一観点によれば、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御方法であって、前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1ステップと、前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2ステップと、を備え、前記第1ステップ及び前記第2ステップにおいて、1フレーム期間内に、前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、前記複数の画素のうちの他の一部の行を含む第2ブロックの画素に黒レベルの前記データ電圧を供給し、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、前記画像表示用の前記データ電圧及び前記黒レベルの前記データ電圧のいずれも供給しない、ことを特徴とする表示制御方法が提供される。
【0011】
本発明の他の一観点によれば、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素を含む表示部を備える表示装置を制御する表示制御方法であって、前記複数の画素に対して、前記画素の輝度を示すデータ電圧を列ごとに供給する第1ステップと、前記データ電圧が供給される前記複数の画素を、行ごとに選択する第2ステップと、を備え、前記第1ステップ及び前記第2ステップにおいて、1フレーム期間内に、前記複数の画素のうちの一部の行を含む第1ブロックの画素に画像表示用の前記データ電圧を順次供給し、前記複数の画素のうちの他の一部の行を含む第2ブロックの画素に黒レベルの前記データ電圧を供給し、前記第1ブロックのうちの少なくとも1つの行の画素には、前記第1ブロックのうちの他の1つの行と同一の前記データ電圧を供給する、ことを特徴とする表示制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、黒データ挿入によって動画の表示品質を向上しつつ、画像表示用のデータ電圧の書き込み時間を十分に確保することができる表示制御装置、表示装置及び表示制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る画素の構成の概略を示す回路図である。
【
図3】第1実施形態に係る表示装置の1行分の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図4】第1実施形態に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
【
図5】第1実施形態に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。
【
図6】比較例に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
【
図7】比較例に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。
【
図8】第2実施形態に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
【
図9】第2実施形態に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。
【
図10】第3実施形態に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
【
図11】第3実施形態に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。
【
図12】第4実施形態に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
【
図13】第4実施形態に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面を通じて共通する機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略又は簡略化することがある。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。本実施形態の表示装置1の用途は、例えば、コンピュータの画像出力装置、テレビジョン受像機、スマートフォン、ゲーム機等であり得るが、特に限定されるものではない。
【0016】
図1に示されているように表示装置1は、表示部10、データ駆動回路20、ゲート駆動回路30及びタイミングコントローラ40を有する。表示装置1は、入力されたRGBデータ等に基づいて表示部10に画像を表示する装置である。表示部10は、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素Pを含む。表示装置1は、例えば、画素Pの発光素子としてOLEDを用いたOLEDディスプレイであり得る。表示装置1がカラー画像を表示可能である場合には、画素Pは、カラー画像を構成する複数の色(例えばRGB)のいずれかを表示する副画素であり得る。
【0017】
ホストシステム50は、画像データ(例えばRGBデータ)及びタイミング信号(垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号等)を供給することにより表示装置1を制御する装置又は複数の装置を含むシステムである。ホストシステム50は、例えば、テレビシステム、セットトップボックス、ナビゲーションシステム、光ディスクプレーヤー、コンピュータ、ホームシアターシステム、ビデオ電話システム等であり得る。なお、表示装置1とホストシステム50は一体の装置であってもよく、別の装置であってもよい。
【0018】
タイミングコントローラ40は、ホストシステム50から入力された画像データ及びタイミング信号に基づいてデータ駆動回路20及びゲート駆動回路30を制御する。データ駆動回路20は、複数の画素Pの列ごとに配されたデータ線21及び基準電圧線22を介して複数の画素Pにデータ電圧及び基準電圧を供給する。ゲート駆動回路30は、複数の画素Pの行ごとに配された第1ゲート線31及び第2ゲート線32を介して複数の画素Pに制御信号を供給する。
【0019】
データ駆動回路20、ゲート駆動回路30及びタイミングコントローラ40の各々は、1又は複数の半導体集積回路によって構成され得る。データ駆動回路20、ゲート駆動回路30及びタイミングコントローラ40は、表示装置1を制御する表示制御装置として機能する。また、データ駆動回路20は、複数の画素Pに対してデータ電圧を列ごとに供給する第1駆動部として機能する。また、ゲート駆動回路30は、データ電圧が供給される複数の画素Pを列ごとに選択する第2駆動部として機能する。
【0020】
図2は、第1実施形態に係る画素Pの構成の概略を示す回路図である。なお、
図2においては1つの画素P及びこれに接続される配線のみが例示されているが、他の画素も同様の構成を有する。
【0021】
画素Pは、ダイオードD、ストレージキャパシタCst、スキャントランジスタM1、駆動トランジスタM2及びセンストランジスタM3を備える。ダイオードDは、表示装置1の発光素子であり、例えばOLEDである。スキャントランジスタM1、駆動トランジスタM2及びセンストランジスタM3は、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)である。本実施形態では、スキャントランジスタM1、駆動トランジスタM2及びセンストランジスタM3は、nチャネル型であるものとする。しかしながら、スキャントランジスタM1、駆動トランジスタM2及びセンストランジスタM3は、pチャネル型であってもよい。なお、駆動トランジスタM2がpチャネル型である場合には、画素Pの回路構成は、
図2に示したものとは異なるものであり得る。スキャントランジスタM1及びセンストランジスタM3は、主電極としてソース及びドレインを有するが、電流が流れる方向によってソースとドレインが反転し得る。そのため、以下の説明では、スキャントランジスタM1及びセンストランジスタM3のソース及びドレインを総称して、第1主電極及び第2主電極と呼ぶ。
【0022】
ダイオードDのカソードは低電位駆動電圧EVSSを供給する配線に接続されている。ダイオードDのアノードは、駆動トランジスタM2のソース、センストランジスタM3の第1主電極及びストレージキャパシタCstの第1端子に接続されている。駆動トランジスタM2のドレインは、高電位駆動電圧EVDDを供給する配線に接続されている。駆動トランジスタM2のゲートは、スキャントランジスタM1の第1主電極及びストレージキャパシタCstの第2端子に接続されている。駆動トランジスタM2のゲート、スキャントランジスタM1の第1主電極及びストレージキャパシタCstの第2端子の接続ノードを第1ノードNgと呼ぶ。また、ダイオードDのアノード、駆動トランジスタM2のソース、センストランジスタM3の第1主電極及びストレージキャパシタCstの第1端子の接続ノードを第2ノードNsと呼ぶ。
【0023】
スキャントランジスタM1の第2主電極には、データ線21が接続されている。データ駆動回路20は、データ線21を介してスキャントランジスタM1の第2主電極にデータ電圧DATAを供給する。スキャントランジスタM1のゲートには、第1ゲート線31が接続されている。ゲート駆動回路30は、第1ゲート線31を介してスキャントランジスタM1のゲートにスキャン信号SCANを供給する。スキャントランジスタM1は、ゲートに入力されるスキャン信号SCANのレベルに応じてオン又はオフに制御される。
【0024】
センストランジスタM3の第2主電極には、基準電圧線22が接続されている。データ駆動回路20は、基準電圧線22を介してセンストランジスタM3の第2主電極に基準電圧Vrefを供給する。センストランジスタM3のゲートには、第2ゲート線32が接続されている。ゲート駆動回路30は、第2ゲート線32を介してセンストランジスタM3のゲートにセンシング信号SENを供給する。センストランジスタM3は、ゲートに入力されるセンシング信号SENのレベルに応じてオン又はオフに制御される。
【0025】
図3は、表示装置1の1行分の駆動方法を示すタイミング図である。
図3には、表示部10のうちのk行目の画素Pに供給されるスキャン信号SCAN(k)及びセンシング信号SEN(k)のレベルと、複数の画素Pに列ごとに供給されるデータ電圧DATAとが1フレーム期間分だけ示されている。
【0026】
スキャン信号SCAN(k)及びセンシング信号SEN(k)に付されている引数は行番号を示している。スキャン信号SCAN(k)及びセンシング信号SEN(k)がハイレベルのときに対応するトランジスタがオンになり、スキャン信号SCAN(k)及びセンシング信号SEN(k)がローレベルのときに対応するトランジスタがオフになるものとする。
【0027】
データ電圧DATAの枠内に付されている「k-1」、「k」、「k+1」は、対応する番号の行の各画素Pの輝度に対応する画像表示用のデータ電圧がデータ駆動回路20から出力されることを示している。また、データ電圧DATAの枠内に付されている「BLK」は、ダイオードDが点灯せず輝度がゼロになるように駆動トランジスタM2が制御される電圧(黒レベルの電圧)がデータ駆動回路20から出力されることを示している。
図3の「1 FRAME」は1フレームの期間を示している。
【0028】
時刻t1において、スキャン信号SCAN(k)及びセンシング信号SEN(k)がハイレベルになり、スキャントランジスタM1及びセンストランジスタM3がオンになる。この時点でのデータ電圧DATAは、k-1行目に対応する電圧である。このとき、第1ノードNgは、k-1行目のデータ電圧に対応する電位を有し、第2ノードNsは、基準電圧Vrefに対応する電位を有する。このようにして、ストレージキャパシタCstの電極間にk-1行目に対応するデータ電圧が印加される。
【0029】
時刻t2において、データ電圧DATAは、k行目に対応する電圧に変化し、第1ノードNgの電位が、k行目のデータ電圧に対応する電位に変化する。これにより、ストレージキャパシタCstの電極間にk行目に対応するデータ電圧が印加される。
【0030】
時刻t3において、スキャン信号SCAN(k)及びセンシング信号SEN(k)がローレベルになり、スキャントランジスタM1及びセンストランジスタM3がオフになる。これにより、ストレージキャパシタCstの電極間にはk行目に対応するデータ電圧が保持される。
【0031】
時刻t1から時刻t2までの期間はプリチャージ期間PCであり、時刻t2から時刻t3までの期間は書き込み期間WRである。書き込み期間WRは、ストレージキャパシタCstにk行目のデータ電圧を保持させるための期間である。プリチャージ期間PCは、書き込み期間WRに先立って、前の行のデータ電圧をストレージキャパシタCstに印加させることにより、あらかじめストレージキャパシタCstに電荷を充電させておく期間である。ストレージキャパシタCstに電圧を保持させる際に電荷の移動のための時間が十分でないと電圧の精度が十分に得られないことがある。そのため、本実施形態では、プリチャージ期間PCを書き込み期間WRの前に設けており、これにより、ストレージキャパシタCstに保持される電圧の精度が向上する。
【0032】
時刻t3以降、時刻t4までの期間は、ダイオードDがストレージキャパシタCstに保持されているデータ電圧に応じた輝度で発光する発光期間TEである。発光期間TEにおいては、ストレージキャパシタCstに保持されているデータ電圧が駆動トランジスタM2のゲートソース間に印加される。これにより、ダイオードDに駆動電流が流れ、ダイオードDは、ストレージキャパシタCstに保持されているデータ電圧に応じた輝度で発光する。
【0033】
時刻t4において、スキャン信号SCAN(k)がハイレベルになり、スキャントランジスタM1がオンになる。この時点でのデータ電圧DATAは、黒レベルの電圧である。このとき、第1ノードNgは、黒レベルのデータ電圧に対応する電位になり、駆動トランジスタM2がオフになる。
【0034】
時刻t5において、スキャン信号SCAN(k)がローレベルになり、スキャントランジスタM1がオフになる。これにより、ストレージキャパシタCstの電極間には黒レベルの電圧が保持される。時刻t4から時刻t5までの期間は黒レベルの電圧をストレージキャパシタCstに保持させる黒データ挿入期間BDIである。
【0035】
時刻t5以降の期間は、ダイオードDがストレージキャパシタCstに保持されているデータ電圧に応じた輝度で発光する非発光期間TBである。非発光期間TBにおいては、ストレージキャパシタCstに保持されている黒レベルの電圧が駆動トランジスタM2のゲートソース間に印加される。これにより、ダイオードDには駆動電流が流れず、ダイオードDは、非発光状態となる。この状態は、次のフレーム期間の時刻t1まで継続される。
【0036】
本実施形態では、1フレーム期間内に発光期間TEと非発光期間TBを有する。言い換えると、本実施形態のダイオードDは、発光と非発光とを繰り返す点滅動作を行う。このように1フレーム期間内の一部の期間を非発光とすることにより、MPRTが短縮され、動画の表示品質が向上する。なお、この点滅動作における発光のデューティー比は、1フレーム期間の長さに対する発光期間TEの割合に概ね一致する。
【0037】
図4は、表示装置1の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
図4を参照して、表示装置1の各行の駆動方法を説明する。
図4には、表示部10のうちの1行目から16行目、n+1行目からn+16行目の画素Pに供給されるスキャン信号SCAN(1)、・・・、SCAN(16)、SCAN(n+1)、・・・、SCAN(n+16)が20水平期間分だけ示されている。
【0038】
また、本実施形態では8行ごとに同様の動作が繰り返される駆動方法が採用されているため、1行目から8行目、9行目から16行目のように8行の画素群をまとめてブロック(BLOCK)と呼ぶ。
図4では、1行目から8行目をBLOCK(1)、9行目から16行目をBLOCK(2)、n+1行目からn+8行目をBLOCK(n/8+1)、n+9行目からn+16行目をBLOCK(n/8+2)として示している。
【0039】
例えば、BLOCK(1)のスキャン信号SCAN(2)に着目すると、スキャン信号SCAN(2)は、1行目のデータ電圧が入力される期間と2行目のデータ電圧が入力される期間にハイレベルになっている。すなわち、2行目の画素Pにおいては、1行目のデータ電圧が入力される期間が
図3におけるプリチャージ期間PCに相当する。また、2行目の画素Pにおいては、2行目のデータ電圧DATAが入力される期間が
図3における書き込み期間WRに相当する。
【0040】
次にスキャン信号SCAN(3)に着目すると、スキャン信号SCAN(3)は、スキャン信号SCAN(2)から1水平期間分だけ遅れてハイレベルとなっている。このように、BLOCK(1)(第1ブロック)においては、スキャン信号SCAN(1)からスキャン信号SCAN(8)は1水平期間ずつ遅れながら順次ハイレベルになる。このようにして、各行の画素Pに順次データ電圧が書き込まれる。
【0041】
ここで、3行目のデータ電圧が入力される期間と5行目のデータ電圧が入力される期間の間の期間には4行目のデータ電圧ではなく、黒レベルの電圧(BLK)が入力されている。この期間には、BLOCK(n/8+1)(第2ブロック)のスキャン信号SCAN(n+1)、・・・、SCAN(n+8)がハイレベルになっている。したがって、BLOCK(n/8+1)に着目すると、この期間は
図3における黒データ挿入期間BDIに相当する。
【0042】
この黒レベルの電圧(BLK)が入力される期間において、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)はハイレベルであり、4行目の画素Pにおいては、この期間が書き込み期間WRに相当する。したがって、4行目の画素PのストレージキャパシタCstの電極間には4行目のデータ電圧ではなく、黒レベルの電圧が保持される。
【0043】
このようにして、1行目から3行目及び5行目から8行目の画素Pには、対応する行のデータ電圧が書き込まれ、4行目の画素Pには、黒レベルの電圧が書き込まれる。BLOCK(2)においても同様に、9行目から11行目及び13行目から16行目の画素Pには、対応する行のデータ電圧が書き込まれ、12行目の画素Pには、黒レベルの電圧が書き込まれる。このように、あるブロック(本例ではBLOCK(n/8+1))の黒データ挿入期間BDIのタイミングが、他のブロック(本例ではBLOCK(1))の画像表示用のデータ電圧の書き込み期間WRのタイミングと重複する場合がある。この場合には、該当する行の画素Pには画像表示用のデータ電圧の書き込みは行われず、黒レベルの電圧が保持される。
【0044】
図5は、本実施形態に係る表示装置1の各行における表示処理を示す模式図である。
図5の縦方向は行番号を示しており、横方向は水平期間の番号を示している。すなわち、縦方向の番号は表示部10の縦方向の位置を示しており、横方向の番号は時間の経過を示している。
【0045】
図5の例では、図示の便宜のため、黒レベルの電圧が供給される第2ブロックは、データ電圧が順次供給される第1ブロックの次のブロックであるものとする。言い換えると、
図5の例では、
図4においてnの値を8とした場合のタイミングチャートによって表示装置1が駆動されているものとする。
【0046】
行列状に配されている各ボックスの中のパターンは、各画素Pの状態を示している。各パターンの示す状態は、
図5の下方に示す凡例のとおりである。凡例中の「PC」は、対応する行番号の画素Pがプリチャージ期間PCであることを示している。凡例中の「WR」は、対応する行番号の画素Pが書き込み期間WRであることを示している。凡例中の「BDI」は、対応する行番号の画素Pが黒データ挿入期間BDIであることを示している。凡例中の「TB」は、対応する行番号の画素Pが非発光期間TBであることを示している。凡例中の「TE1」は、対応する行番号の画素Pがあるフレームの発光期間TEであることを示しており、「TE2」は、対応する行番号の画素Pが「TE1」の次のフレームの発光期間TEであることを示している。
【0047】
水平期間4に着目すると、BLOCK(2)の9行目から16行目の画素Pに黒レベルの電圧の書き込みが行われるとともに、BLOCK(1)の4行目の画素Pにも黒レベルの電圧の書き込みが行われる。BLOCK(1)の1行目から3行目と5行目から8行目の画素Pには、各行に対応するデータ電圧が書き込まれ、データ電圧に応じて発光が生じるが、BLOCK(1)の4行目の画素Pは黒レベルの電圧が書き込まれたことにより、非発光状態のままとなる。したがって、表示部10の4行目には暗線が生じる。このように、1ブロックごとに1行ずつ暗線が生じる。しかしながら、大部分の行についてはデータ電圧に応じた通常の画像が表示されており、この暗線は動画表示時にはさほど目立たない。したがって、本実施形態の手法により、黒データ挿入を実現することができる。
【0048】
本実施形態の効果について、比較例を示しつつ説明する。
図6は比較例に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
図4に示す本実施形態の駆動方法では、BLOCK(1)のスキャン信号が順次ハイレベルになる際に、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)がハイレベルになる期間と黒レベルの電圧が入力される期間とが重複している。これに対し、比較例では、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)がハイレベルになる。そして、4行目のデータ電圧の書き込みが完了した後の黒データ挿入期間BDIにBLOCK(n/8+1)の黒データの書き込みが行われ、その後にスキャン信号SCAN(5)がハイレベルになり5行目のデータ電圧の書き込みが行われる。このように、比較例では、BLOCK(1)の各目の画素Pのスキャン信号SCAN(1)からSCAN(8)がハイレベルになる期間と黒データ挿入期間BDIとが重複しないような駆動が行われる。
【0049】
図7は、比較例に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。比較例では、BLOCK(1)の各行の画素Pのスキャン信号SCAN(1)からSCAN(8)がハイレベルになる期間と黒データ挿入期間BDIとが重複しない。したがって、すべての行の画素Pにデータ電圧が書き込まれるため、暗線が生じない。
【0050】
しかしながら、比較例では、1ブロック内の8行分の書き込みを行うためには、8行分の書き込み用の期間だけでなく、黒データ挿入期間BDIとプリチャージ期間PCが必要であるため、10水平期間分の時間を要する。1フレーム期間の長さは仕様により決まっているため、比較例の駆動を実現するためには、1水平期間を短縮する必要がある。したがって、1行分のデータ電圧の書き込みに割り当てることができる時間が短くなる。例えば、比較例では、書き込み時間が8/10=0.8倍となる。これにより、データ電圧の書き込み時間を十分に確保できなくなり、表示品質が確保できなくなる場合があり得る。特に、画素の行数が多い高解像度の表示装置においては、1行あたりの書き込み用に確保されている時間が短いため、この問題が顕著になり得る。
【0051】
これに対し、本実施形態では、BLOCK(n/8+1)の黒データ挿入期間BDIがBLOCK(1)の1つのスキャン信号がハイレベルになる期間と重複している。そのため、BLOCK(1)のスキャンにおいて、黒データ挿入期間BDIとプリチャージ期間PCを追加する必要がない。これにより、データ電圧の書き込み時間を比較例の駆動方法よりも長く確保することができる。したがって、本実施形態によれば、黒画像挿入によって動画の表示品質を向上しつつ、画像用データの書き込み時間を十分に確保することができる。
【0052】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態とは別の駆動方法により、書き込み時間を十分に確保することができる表示装置の例を説明する。表示装置の基本構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0053】
図8は本実施形態に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
図4に示す第1実施形態の駆動方法では、BLOCK(1)のスキャン信号が順次ハイレベルになる際に、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)がハイレベルになる期間と黒レベルの電圧が入力される期間とが重複している。これに対し、本実施形態では、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)がハイレベルにならず、スキャンがスキップされることにより、黒レベルの電圧が入力される期間にはデータ電圧が書き込まれないような駆動が行われる。
【0054】
図9は、本実施形態に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。水平期間4に着目すると、BLOCK(2)の9行目から16行目の画素Pに黒レベルの電圧の書き込みが行われるタイミングでは、BLOCK(1)の4行目の画素Pには電圧表示用、黒レベルのいずれのデータ電圧の書き込みも行われない。BLOCK(1)の4行目の画素Pは、このタイミングよりも前の黒データ挿入期間BDIにおいて書き込まれた黒レベルの電圧が維持され、非発光状態のままとなる。したがって、表示部10の4行目には暗線が生じる。このように、1ブロックごとに1行ずつ暗線が生じる。しかしながら、大部分の行についてはデータ電圧に応じた通常の画像が表示されており、この暗線は動画表示時にはさほど目立たない。したがって、本実施形態の手法により、黒データ挿入を実現することができる。
【0055】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、黒画像挿入によって動画の表示品質を向上しつつ、画像用データの書き込み時間を十分に確保することができる。なお、第1実施形態及び第2実施形態の駆動方法の、後述する第3実施形態及び第4実施形態の駆動方法に対する利点は、処理が単純であることである。
【0056】
[第3実施形態]
本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態とは別の駆動方法により、書き込み時間を十分に確保することができる表示装置の例を説明する。表示装置の基本構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0057】
図10は本実施形態に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
図4に示す第1実施形態の駆動方法では、BLOCK(1)のスキャン信号が順次ハイレベルになる際に、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)がハイレベルになる期間と黒レベルの電圧が入力される期間とが重複している。これに対し、本実施形態では、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)が1つ前の水平期間にハイレベルになる。すなわち、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)は、3行目の画素Pのスキャン信号SCAN(3)と同一のタイミングでハイレベルになる。これにより、黒レベルの電圧が入力される期間にはデータ電圧が書き込まれないような駆動が行われる。
【0058】
図11は、本実施形態に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。水平期間3に着目すると、BLOCK(1)の3行目と4行目の画素Pに対して同一のデータ電圧の書き込みが行われている。水平期間4に着目すると、BLOCK(2)の9行目から16行目の画素Pに黒レベルの電圧の書き込みが行われるタイミングでは、BLOCK(1)の4行目の画素Pにはデータ電圧の書き込みが行われない。BLOCK(1)の4行目の画素Pは、3行目用のデータ電圧に応じた輝度で発光する。したがって、表示部10では3行目及び4行目に同じ輝度の表示が行われる。他のブロックについても同様に、8行のうちの2行が同じ表示となる。したがって、厳密には本来表示されるべき画像とは異なる画像が表示されることになるが、大部分の行についてはデータ電圧に応じた通常の画像が表示されており、2行が同じ表示になっていることはさほど目立たない。したがって、本実施形態の手法により、黒画像挿入を実現することができる。
【0059】
本実施形態においても第1実施形態及び第2実施形態と同様に、黒画像挿入によって動画の表示品質を向上しつつ、画像用データの書き込み時間を十分に確保することができる。また、本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態のような暗線が表示されないため、表示品質がより向上され、かつ、暗線による輝度低下の影響も軽減される。
【0060】
[第4実施形態]
本実施形態では、第1実施形態乃至第3実施形態とは別の駆動方法により、書き込み時間を十分に確保することができる表示装置の例を説明する。表示装置の基本構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0061】
図12は本実施形態に係る表示装置の一部のブロックの駆動方法を示すタイミング図である。
図4に示す第1実施形態の駆動方法では、BLOCK(1)のスキャン信号が順次ハイレベルになる際に、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)がハイレベルになる期間と黒レベルの電圧が入力される期間とが重複している。これに対し、本実施形態では、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)が1つ後の水平期間にハイレベルになる。すなわち、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)は、5行目の画素Pのスキャン信号SCAN(5)と同じタイミングでハイレベルになる。これにより、黒レベルの電圧が入力される期間にはデータ電圧が書き込まれないような駆動が行われる。
【0062】
図13は、本実施形態に係る表示装置の各行における表示処理を示す模式図である。水平期間5に着目すると、BLOCK(1)の4行目と5行目の画素Pに同一のデータ電圧の書き込みが行われている。水平期間4に着目すると、BLOCK(2)の9行目から16行目の画素Pに黒レベルの電圧の書き込みが行われるタイミングでは、BLOCK(1)の4行目の画素Pにはデータ電圧の書き込みが行われない。BLOCK(1)の4行目の画素Pは、5行目用のデータ電圧に応じた輝度で発光する。したがって、表示部10では4行目と5行目に同じ輝度で表示が行われる。他のブロックについても同様に、8行のうちの2行が同じ表示となる。したがって、厳密には本来表示されるべき画像とは異なる画像が表示されることになるが、大部分の行についてはデータ電圧に応じた通常の画像が表示されており、2行が同じ表示になっていることはさほど目立たない。したがって、本実施形態の手法により、黒画像挿入を実現することができる。
【0063】
本実施形態においても第1実施形態及び第2実施形態と同様に、黒画像挿入によって動画の表示品質を向上しつつ、画像用データの書き込み時間を十分に確保することができる。また、本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態のような暗線が表示されないため、表示品質がより向上され、かつ、暗線による輝度低下の影響も軽減される。
【0064】
なお、第3実施形態及び第4実施形態では、4行目の画素Pのスキャン信号SCAN(4)は、4行目の前後の隣接行と同じタイミングでハイレベルとなっているがこれは特に限定されるものではない。すなわち、少なくとも1つの行のスキャン信号が同じブロックの他の1つの行と同じタイミングでハイレベルになり、これらの行の画素Pに同一のデータ電圧が供給されるような駆動方法であればよい。
【0065】
[その他の実施形態]
上述の実施形態は、本発明を適用しうるいくつかの態様を例示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲は、上述の実施形態によって限定的に解釈されてならない。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜修正や変形を行って様々な態様で実施可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本発明を適用し得る実施形態であると理解されるべきである。
【0066】
上述の実施形態において、表示装置1等の装置構成は一例であり、図示したものに限定されるものではない。例えば、表示部10、データ駆動回路20、ゲート駆動回路30及びタイミングコントローラ40の機能の一部又は全部が1つのユニットとして一体化されていてもよい。
【0067】
第1実施形態の
図4の例においては、BLOCK(1)の4行目の画素Pの書き込みのタイミングがBLOCK(n/8+1)の黒データ挿入期間BDIと重複しているが、この重複のタイミングは適宜設定可能であり、4行目以外と重複していてもよい。また、重複させるタイミングがフレーム期間単位で変更可能であってもよい。重複のタイミングをフレーム期間単位で変化させることにより、暗線の生じる位置をフレーム期間単位で変化させることができるため、暗線がユーザに視認されにくくなる。これにより、動画の見かけ上の画質がより向上する。
【0068】
重複のタイミングを変化させる手法は特に限定されないが、暗線の生じる位置がフレーム期間の経過に従って上から又は下から順番に変化するような手法よりも不規則に変化する手法の方が望ましい。暗線の生じる位置が上下方向に順番に変化すると、暗線がユーザに視認されやすくなるためである。暗線の生じる位置を不規則に変化させるための順序の設定は、あらかじめ設定されている順序をメモリから読み出すことにより決定されてもよく、画像の表示時に乱数等を用いて決定されてもよい。
【0069】
第2実施形態の
図8、第3実施形態の
図10及び第4実施形態の
図12の例においても黒データ挿入期間BDIのタイミングは適宜設定可能である。また、上述の第1実施形態の変形例と同様の理由により、このタイミングをフレーム期間単位で変化させることにより、動画の見かけ上の画質がより向上する。黒データ挿入期間BDIのタイミングが不規則に変化する方が望ましいことは上述の第1実施形態の変形例の場合と同様である。
【0070】
このように、上述の実施形態において、黒データ挿入期間BDIの相対的なタイミング、すなわち、フレーム期間の開始のタイミングと黒データ挿入期間BDIのタイミングとの間隔をフレーム期間単位で変化させることが望ましい。これにより、黒データ挿入による画質の変化が視認されにくくなり、動画の見かけ上の画質がより向上する。
【0071】
また、フレームに応じて上述の実施形態の駆動方法と黒データ挿入を行わない駆動方法とを変更可能であってもよい。例えば、動画が表示されているときには本実施形態の駆動方法を行い、静止画が表示されているときには黒画像挿入を行わない駆動方法を行うように切り替えてもよい。静止画の表示時には、黒画像挿入によりMPRTを向上させる必要性が少ないことに加え、静止画の表示時に暗線が表示されるとユーザに視認されやすいためである。
【0072】
また、フレームに応じて発光期間TEの長さ、言い換えるとデューティー比を変更可能であってもよい。表示させる動画の内容によって適切な黒画像の表示時間の長さが異なる等の理由により、フレームに応じてデューティー比を変えることでより高品質に動画を表示できる場合があるためである。なお、黒データ挿入期間BDIのタイミングと書き込み期間WRとの間隔を変えることでデューティー比を変えることができる。
【0073】
第1実施形態及び第2実施形態のように暗線が生じ得る駆動方法においては、8行のうちの1行が暗線になるため、見かけ上の表示輝度が7/8倍になり、画像の見た目が暗くなる。そこで、この場合には、暗線以外の7行の輝度を明るくするようにデータ電圧を補正することが望ましい。これにより、本来表示すべき明るさを適切に表現することができる。より望ましくは、輝度が7/8の逆数、すなわち8/7倍になるようにデータ電圧を補正することで、暗線による表示輝度の変動を正確に補償することができる。より一般的には、1ブロックの行数がpであり、この1ブロック内で黒データが書き込まれることにより暗線が生じる行数がqである場合には、輝度がp/(p-q)倍になるようにデータ電圧を補正することで表示輝度の変動を正確に補償することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 表示装置
10 表示部
20 データ駆動回路
30 ゲート駆動回路
40 タイミングコントローラ
P 画素