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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240401BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240401BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 S
B41J29/393 107
B41J29/393 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019209887
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021081623
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】横手 暁仁
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-158504(JP,A)
【文献】特開2014-107648(JP,A)
【文献】特開2009-150963(JP,A)
【文献】特開2011-164603(JP,A)
【文献】特開2010-026210(JP,A)
【文献】特開2018-197775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0050133(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00-15/01
G03G 21/00
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段から前記用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により前記用紙を搬送しながら、前記用紙に形成された画像を読み取る読取手段と、
前記画像形成手段により1より多い所定枚数の用紙にリファレンス画像を形成し、前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果に基づいてリファレンスデータを決定する目標階調決定処理、及び前記画像形成手段が複数の用紙に画像を形成する印刷ジョブにおいて前記画像形成手段により用にテスト画像を形成し、前記読取手段による前記テスト画像の読取結果に基づいてテストデータを決定し、前記画像形成手段により形成される画像の階調特性を前記リファレンスデータと前記テストデータとに基づいて調整する調整処理、を実行する制御手段と、を備え、
前記目標階調決定処理において前記読取手段により読み取られ所定色且つ所定階調値のリファレンス画像の読取結果のデータ数が、前記調整処理において前記読取手段により読み取られる前記所定色且つ前記所定階調値のテスト画像の読取結果のデータ数よりも多いことを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果から上下限の値を除き、上下限を除いた前記読取結果の平均値に基づいて前記リファレンスデータを決定することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、複数の色の画像を前記用紙に形成することができ、1枚目の用紙と2枚目の用紙とに異なる色の前記リファレンス画像を形成することを特徴とする、
請求項記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定枚数の用紙に含まれる1枚の用紙に、同じ色且つ同じ階調値のリファレンス画像が複数形成されることを特徴とする、
請求項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定枚数の用紙に含まれる第1の用紙に形成されるリファレンス画像、前記所定枚数の用紙に含まれる第2の用紙に形成されるリファレンス画像とは、同じ画像であることを特徴とする、
請求項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記リファレンス画像は用の外縁領域に形成された、複数の階調を有する画像であり、
前記テスト画像は用紙の外縁領域に形成された、前記複数の階調を有する画像であることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段から前記用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により前記用紙を搬送しながら、前記用紙に形成された画像を読み取る読取手段と、
前記画像形成手段により用紙にリファレンス画像を形成し、前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果に基づいてリファレンスデータを決定する目標階調決定処理、及び前記画像形成手段が複数の用紙に画像を形成する印刷ジョブにおいて前記画像形成手段により用紙にテスト画像を形成し、前記読取手段による前記テスト画像の読取結果に基づいてテストデータを決定し、前記画像形成手段により形成される画像の階調特性を前記リファレンスデータと前記テストデータとに基づいて調整する調整処理、を実行する制御手段と、を備え、
前記リファレンス画像と前記テスト画像とは、同じ色で同じ階調値の複数の画像を含み、
前記用紙が搬送される搬送方向において前記リファレンス画像に含まれる前記複数の画像の各々の長さが前記テスト画像に含まれる前記複数の画像の各々の長さよりも長く、
前記リファレンスデータを決定するために用いる前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果のデータ数が前記テストデータを決定するために用いる前記テスト画像の読取結果のデータ数よりも多いことを特徴とする、
像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果から上下限の値を除き、上下限を除いた前記読取結果の平均値に基づいて前記リファレンスデータを決定することを特徴とする、
請求項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成手段は、複数の色の画像を前記用紙に形成し、
前記画像形成手段は、前記目標階調決定処理において、1枚目の用紙と2枚の用紙異なる色の前記リファレンス画像を形成することを特徴とする、
請求項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記リファレンス画像は用紙の外縁領域に形成された、異なる階調の画像であり、
前記テスト画像は用紙の外縁領域に形成された、異なる階調の画像であることを特徴とする、
請求項7乃至9のいずれか項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オンデマンド画像形成装置の市場が拡大している。例えば、オフセット印刷市場には、電子写真方式の画像形成装置が広がりつつある。また、ラージフォーマット、低イニシャルコスト、超高速等の理由で幅広い市場開拓に成功したインクジェット方式の画像形成装置がある。しかし市場拡大は容易なものではなく、その市場を担ってきた先行の画像形成装置の画像品質(以下、「画質」と呼ぶ。)を維持しなければならない。
【0003】
画質には、階調性、粒状性、面内一様性、文字品位、色再現性(色安定性を含む)等がある。この中で最も重要なのは色再現性であるといわれている。人間は、経験に基づいた期待する色(特に人肌、空、金属等)についての記憶があり、この記憶の許容範囲を超えた色については違和感をおぼえる。このような記憶された色は「記憶色」と呼ばれる。記憶色は、写真等への出力時にその再現性が重要になる。この他にも、印刷されたビジネス文書とモニタとの色の差に違和感を覚えてしまうオフィスユーザ層、コンピュータグラフィックスを扱うグラフィックアーツユーザ層等は、オンデマンド画像形成装置に対する安定性を含んだ色再現性への要求度が高い。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置は、一般的に、形成する画像の階調特性が目標の階調特性に一致するように階調特性の補正を行っている。階調特性の補正には、各階調値に対して補正後の階調値が設定された階調補正デーブルが用いられる。画像の階調特性は、画像形成装置の設置環境の変化や経時変化により変動する。そのために画像形成装置は、定期的に階調特性の調整(キャリブレーション)を行って、階調補正テーブルを最適化している。キャリブレーションは、用紙に階調調整用画像を形成することで行われる。用紙に形成された階調調整用画像はスキャナ等の読取装置で読み取られる。読み取られた階調調整用画像から得られる階調特性と目標の階調特性との誤差に応じて、階調補正テーブルが更新される。
【0005】
階調調整用画像は、例えば、用紙上に、印刷ジョブに応じた画像が形成される画像領域を除いた非画像領域に形成される(特許文献1)。これにより、ユーザが所望する画像とは別紙に階調調整用画像を形成する必要がなくなり、印刷ジョブを中断する必要がなく、ヤレ紙の発生が回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-107648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
目標となる階調特性(以下、「目標階調」という。)は、ジョブの一枚目の用紙に形成される階調調整用画像の読取結果に基づいて決定される場合がある。目標階調を決定する際の階調調整用画像の読取結果は、読取装置による読取処理の繰り返しによるバラツキや、用紙の表面性(表面の凹凸)等が原因で変動することがある。この場合、正しい目標階調を決定することができない可能性がある。そのために、階調特性の監視及び調整を行った結果が正しく得られなくなり、継続して適切な色の画像を出力できない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑み、目標階調を高精度に決定することができる画像形成装置を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段から前記用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により前記用紙を搬送しながら、前記用紙に形成された画像を読み取る読取手段と、前記画像形成手段により1より多い所定枚数の用紙にリファレンス画像を形成し、前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果に基づいてリファレンスデータを決定する目標階調決定処理、及び前記画像形成手段が複数の用紙に画像を形成する印刷ジョブにおいて前記画像形成手段により用にテスト画像を形成し、前記読取手段による前記テスト画像の読取結果に基づいてテストデータを決定し、前記画像形成手段により形成される画像の階調特性を前記リファレンスデータと前記テストデータとに基づいて調整する調整処理、を実行する制御手段と、を備え、前記目標階調決定処理において前記読取手段により読み取られ所定色且つ所定階調値のリファレンス画像の読取結果のデータ数が、前記調整処理において前記読取手段により読み取られる前記所定色且つ前記所定階調値のテスト画像の読取結果のデータ数よりも多いことを特徴とする。
本発明の他の画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段から前記用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により前記用紙を搬送しながら、前記用紙に形成された画像を読み取る読取手段と、前記画像形成手段により用紙にリファレンス画像を形成し、前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果に基づいてリファレンスデータを決定する目標階調決定処理、及び前記画像形成手段が複数の用紙に画像を形成する印刷ジョブにおいて前記画像形成手段により用紙にテスト画像を形成し、前記読取手段による前記テスト画像の読取結果に基づいてテストデータを決定し、前記画像形成手段により形成される画像の階調特性を前記リファレンスデータと前記テストデータとに基づいて調整する調整処理、を実行する制御手段と、を備え、前記リファレンス画像と前記テスト画像とは、同じ色で同じ階調値の複数の画像を含み、前記用紙が搬送される搬送方向において前記リファレンス画像に含まれる前記複数の画像の各々の長さが前記テスト画像に含まれる前記複数の画像の各々の長さよりも長く、前記リファレンスデータを決定するために用いる前記読取手段による前記リファレンス画像の読取結果のデータ数が前記テストデータを決定するために用いる前記テスト画像の読取結果のデータ数よりも多いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、目標階調を高精度に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成システムの構成図。
図2】コントローラの説明図。
図3】階調調整用画像の説明図。
図4】目標階調決定用画像の例示図。
図5】目標階調決定用画像の例示図。
図6】画像形成処理を表すフローチャート。
図7】(a)、(b)は、読取結果のデータ数の影響の説明図。
図8】目標階調決定用画像の例示図。
図9】目標階調決定用画像の例示図。
図10】画像形成処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
(画像形成システム)
図1は、本実施形態の画像形成装置を含む画像形成システムの構成図である。画像形成システム1は、画像形成装置10、読取装置50、及び操作部180を備える。画像形成装置10は、用紙への画像形成を行う。読取装置50は、用紙に形成された階調調整用のテスト画像である階調調整用画像を読み取る。操作部180は、入力装置と出力装置とを有するユーザインタフェースである。入力装置は各種キーボタンやタッチパネルである。出力装置はディスプレイやスピーカである。
【0014】
画像形成装置10は、4つの作像ユニット181Y、181M、181C、181K、中間転写ベルト182、二次転写ローラ183、定着器184、2つの給紙トレイ185、及び反転機構186を備えている。各作像ユニット181Y、181M、181C、181Kは、中間転写ベルト182のベルト面に沿って配置される。中間転写ベルト182は、複数のローラにより巻き回されて所定方向(本実施形態では図中時計回り方向)に回転する無端状の転写体である。二次転写ローラ183及び定着器184は、給紙トレイ185から搬送される用紙の搬送経路上に配置される。給紙トレイ185には所定サイズの用紙が収容される。本実施形態では、給紙トレイ185が2つ設けられており、各給紙トレイ185に収容される用紙は、同じ種類であってもよいが異なる種類であってもよい。
【0015】
各作像ユニット181Y、181M、181C、181Kは同じ構成であり、形成する画像の色が異なるのみである。作像ユニット181Yは、イエロー(Y)の色の画像を形成する。作像ユニット181Mは、マゼンタ(M)の色の画像を形成する。作像ユニット181Cは、シアン(C)の色の画像を形成する。作像ユニット181Kは、ブラック(K)の色の画像を形成する。ここでは、作像ユニット181Yの構成について説明し、他の作像ユニット181M、181C、181Kの構成の説明を省略する。
【0016】
作像ユニット181Yは、露光器18a、感光体18b、現像器18c、帯電器18d、及びクリーニング部18eを備える。感光体18bは、表面に感光層を有したドラム形状の像担持体である。感光体18bは、ドラム軸を中心にして図中反時計回りに回転する。帯電器18dは、回転する感光体18bの感光層に電圧を印加して感光体18bの表面を一様に帯電させる。露光器18aは、イエローの画像の各画素の階調値に応じたレーザビームを、帯電された感光体18bの表面に照射する。レーザビームの照射により、感光体18bの表面に静電潜像が形成される。なお、他の色の作像ユニットの露光器18aは、対応する色の画像の各画素の階調値に応じたレーザビームを照射する。これにより他の色の作像ユニットの感光体18bは、対応する色の静電潜像が形成される。
【0017】
現像器18cは、イエローのトナー等の色材により感光体18bに形成された静電潜像を現像する。静電潜像の現像により、感光体18bにイエローの画像が形成される。他の色の作像ユニットの現像器18cは、対応する色の色材により静電潜像を現像する。これにより他の色の作像ユニットの感光体18bは、対応する色の画像が形成される。
各作像ユニット181Y、181M、181C、181Kのそれぞれの感光体18bに形成された画像は、中間転写ベルト182に順次重畳するように転写される。各色の画像が転写された中間転写ベルト182上には、フルカラーの画像が形成される。転写後に感光体18bに残留する色材は、クリーニング部18eにより除去される。
【0018】
用紙は、中間転写ベルト182に形成された画像が中間転写ベルト182の回転により二次転写ローラ183に搬送されるタイミングに応じて、給紙トレイ185から二次転写ローラ183まで搬送される。二次転写ローラ183は、中間転写ベルト182から用紙にフルカラーの画像を転写する転写部として機能する。画像が転写された用紙は、定着器184へ搬送される。定着器184は、画像が転写された用紙を加熱及び加圧することで、用紙に画像を定着させる。用紙の片面へ画像を形成する場合には、以上により画像形成処理が終了する。用紙の両面へ画像を形成する場合には、片面に画像が形成された用紙は、定着器184から反転機構186へ搬送されて表裏面を反転される。表裏面が反転した用紙は、再度二次転写ローラ183へ搬送され、同様の手順で画像が形成される。
【0019】
画像形成装置10は、印刷ジョブに応じて上記のような画像形成処理を行う。印刷ジョブには、形成する画像を表すデータや、使用する用紙サイズ等の画像形成条件が含まれる。露光器18aは、印刷ジョブに応じたレーザビームを感光体18bに照射することになる。
後述するように、画像形成装置10は、印刷ジョブに応じて用紙上に形成される画像の画像領域に重複して、階調調整用画像を形成するか否かを判断する。画像領域に重複して階調調整用画像を形成する場合、画像データに階調調整用画像の画像データ(以下、「テスト画像データ」という。)が付加される。画像データは、各色の画像の各画素の階調値を含むデータである。階調調整用画像が形成された用紙は、読取装置50により読み取られる。階調調整用画像の読取結果に基づいて階調特性の監視及び調整が行われる。
【0020】
読取装置50は、第1搬送部51、第2搬送部52、第1読取センサ53、第2読取センサ54、及び測色部55を備える。第1搬送部51は、画像形成装置10から供給された画像形成後の用紙を搬送する複数の搬送ローラ対511を備えている。第2搬送部52は、読取後の用紙を搬送する複数の搬送ローラ対521を備えている。第1読取センサ53と第2読取センサ54とは、用紙が搬送される搬送経路を挟んだ位置に配置される。そのために読取装置50は、第1読取センサ53及び第2読取センサ54により、用紙の両面の画像を一度の搬送動作で読み取ることができる。
【0021】
第1読取センサ53は、第1搬送部51に配置され、第1搬送部51を通過する用紙の一方の面に形成された画像を読み取る。第1読取センサ53は、読取結果としてR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の読取信号を出力する。第1読取センサ53は、例えば光学式センサである。第1読取センサ53は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ラインセンサやCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等のラインセンサが用いられる。第1読取センサ53にラインセンサを用いることで、用紙の搬送方向に直交する方向について、用紙の全体を読み取ることができる。
第2読取センサ54は、第2搬送部52に配置され、第2搬送部52を通過する用紙の他方の面に形成された画像を読み取る。第2読取センサ54は、第1読取センサ53と同様の構成であり、読取結果としてR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の読取信号を出力する。
ラインセンサは、用紙の搬送方向(通紙方向)に直交する方向を1ラインとして画像を読み取る。そのために用紙の搬送方向に直交する方向が主走査方向となる。用紙の搬送方向が副走査方向となる。
【0022】
測色部55は、第2読取センサ54よりも用紙の搬送方向の下流側に配置される。測色部55は、第2搬送部52を通過する用紙の他方の面の画像を読み取る。測色部55は、用紙上に形成された階調調整用画像の色を分光的に測定して、測色データを取得する。測色データは、XYZ等の表色系で表される。
【0023】
(コントローラ)
図2は、画像形成システム1の動作を制御するコントローラの説明図である。コントローラは、制御部70、記憶部12、通信部15、画像生成部16、画像処理部17、画像形成部18、階調調整用画像付加部30、及び表裏調整用画像付加部40を備える。制御部70には、上記した操作部180及び読取装置50も接続される。操作部180は、入力装置13及び出力装置14を含む。
【0024】
制御部70は、画像形成システム1を構成する各部の動作を制御する。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)71、RAM(Random Access Memory)72、及びROM(Read Only Memory)73を備える。CPU71は、ROM73や記憶部12に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、画像形成システム1の各部の動作を制御する。RAM72は、CPU71が処理を実行する際のワークエリアを提供し、各種のプログラムやデータ等を一時的に記憶する。
【0025】
記憶部12は、制御部70(CPU71)により実行されるコンピュータプログラムや、処理に用いられるデータ等を記憶する。記憶部12は、後述する階調特性の監視、調整、及び表裏調整に用いられる値を記憶する。記憶部12には、ハードディスク等の大容量記憶装置を用いることができる。
【0026】
通信部15は、画像形成システム1の外部に設けられるコンピュータ等の外部装置との間の通信制御を行う通信インタフェースである。例えば、通信部15は、外部装置からネットワークを介してページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータ(以下、「PDLデータ」という)を受信する。PDLデータは、例えば画像形成を指示する印刷ジョブに含まれる。
【0027】
画像生成部16は、通信部15を介して取得したPDLデータに対してラスタライズ処理を行い、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、ビットマップ形式の画像データを生成する。画像データは、画素毎の階調値を含む。階調値は画像の濃淡を表すデータ値である。例えばデータ値が8ビットの場合、階調値は0~255階調の濃淡を表すことができる。
【0028】
画像処理部17は、画像生成部16により生成された画像データに対して、階調補正処理、中間調処理等の画像処理を行う。画像処理部17は、読取装置50による画像の読取結果であるR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の読取信号を色変換して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像データを生成することもできる。
【0029】
階調補正処理は、画像データに含まれる各色の階調値を、用紙上に形成された画像の色を目標の色に一致するように補正された各色の階調値に変換する処理である。階調補正処理には、入力階調値に対応する出力階調値が定められた階調補正テーブルが用いられる。また、画像処理部17は、後述するように、制御部70により補正が有効に設定された場合に階調調整用画像による階調特性の調整処理を行い、補正が無効に設定された場合に階調調整用画像による階調特性の調整処理を行わずに、中間調処理を行う。中間調処理は、例えば誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。
【0030】
画像形成部18は、制御部70の制御により、作像ユニット181Y、181M、181C、181K、中間転写ベルト182、二次転写ローラ183、定着器184、給紙トレイ185、及び反転機構186の動作を制御する。画像形成部18により、用紙への画像形成処理が行われる。画像形成部18は、画像処理部17により画像処理された画像データの各画素の階調値に基づいて、複数の色からなる画像を用紙に形成する。本実施形態では、画像形成部18は、画像処理部17により画像処理された画像データに、テスト画像データ及び表裏調整用画像の画像データ(以下、「表裏調整用画像データ」という。)が付加された画像データを用いて画像形成処理を行う。画像は用紙の中央寄せで形成されるものとする。
【0031】
階調調整用画像付加部30は、階調調整用画像が形成されるように、画像データにテスト画像データを付加する。また、階調調整用画像付加部30は、後述の目標階調決定用画像が形成されるように、画像データに目標階調決定用画像の画像データ(以下、「目標階調画像データ」という。)を付加する。目標階調決定用画像は、目標となる階調特性を決定するためのテスト画像である。このように階調調整用画像付加部30は、階調調整用画像が形成されるように、画像データに階調調整用画像データを付加する。表裏調整用画像付加部40は、表裏調整用画像が形成されるように、画像データに表裏調整用画像の画像データを付加する。
【0032】
(階調調整用画像)
図3は、画像形成部18により用紙に形成される階調調整用画像の説明図である。図3は、用紙80の一方の面に形成される画像を例示する。用紙80には、中央に画像領域81が設けられ、画像領域81の周囲と用紙80のエッジとの間に非画像領域82が設けられる。画像領域81には、画像処理部17により画像処理された画像データに基づく画像(印刷ジョブで指示された画像)が形成される。用紙80には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎の階調調整用画像851Y、851M、851C、851K、表裏調整用画像841、842、及び断裁用マーク83が形成される。色を区別しない場合、階調調整用画像851Y、851M、851C、851Kを「階調調整用画像851」と記載する。断裁用マーク83は、ユーザにより予め付与される。断裁用マーク83は、L字形状のマークが2つ重なって構成され、画像領域81の四隅近傍に形成される。4つの断裁用マーク83により囲まれた部分(破線で囲まれた領域)が用紙80の断裁位置を形成する。なお、画像領域81を示す斜線は説明のために示したものであり、実際に用紙80上に形成されるものではない。また用紙80は、長手方向に搬送(通紙)される。
【0033】
階調調整用画像851は、用紙80の周縁部のいずれに形成してもよいが、図3に示すように、用紙80の通紙方向(用紙80の長手方向)に直交する方向(用紙80の短手方向)の用紙80の両端部に形成されることが好ましい。すなわち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれか2色の階調調整用画像851が用紙80の短手方向の一端部に形成され、残りの2色の階調調整用画像851が用紙80の短手方向の他端部に形成される。本実施形態では、階調調整用画像851C及び階調調整用画像851Mが用紙80の短手方向の一端部に形成され、階調調整用画像851Y及び階調調整用画像851Kが用紙80の短手方向の他端部に形成される。用紙80の通紙方向の先端部に階調調整用画像851が形成されないため、定着処理時の用紙80の巻き付きの発生を抑制することができる。
【0034】
階調調整用画像851Y、851M、851C、851Kは、それぞれ階調値を段階的に異ならせた複数の階調のパッチ画像により構成される。図3では、階調調整用画像851は、10階調のパッチ画像により構成される。各パッチ画像は、例えば主走査方向の長さが8[mm]、副走査方向の長さが12[mm]である。主走査方向は通紙方向に直交する方向であり、副走査方向は通紙方向である。複数のパッチ画像は、用紙80の通紙方向に一列に配列される。
【0035】
階調値が255階調で表される場合、階調調整用画像851の一列に配列される複数のパッチ画像の階調値は、隣接するパッチ画像間の階調値の差が均等になるように、0~255のいずれかの値に設定される。また、両端のパッチ画像の階調値はそれぞれ0、255に設定される。なお、階調調整用画像851を構成するパッチ画像は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに限られるものではなく、R、G、BやプロセスBk等で形成されてもよい。
本実施形態では、A3サイズの用紙を縦送り(主走査方向297[mm]×副走査方向420[mm])したときの1枚に、4色すべての階調調整用画像851Y、851M、851C、851Kが収まる範囲で階調調整用画像851のサイズが決定される。
【0036】
用紙80は、読取装置50により読み取られる。読取装置50による階調調整用画像851Y、851M、851C、851K及び表裏調整用画像841、842の読取結果は、記憶部12或いは制御部70のRAM72に記憶される。記憶された読取結果は制御部70により解析される。
【0037】
制御部70は、画像形成部18により形成された画像の階調特性の監視及び調整を行う。制御部70は、画像処理部17による補正処理の初期調整を行った後、画像形成部18に、所定枚数n枚(nは1以上の整数)の用紙80に対して印刷ジョブに応じた画像と階調調整用画像851とを形成させる。制御部70は、n枚目の用紙80に形成された階調調整用画像851を読取装置50により読み取らせ、その読取結果に基づいて階調特性の調整値を算出する。
【0038】
制御部70は、n+1枚目以降の用紙80に対して、画像形成部18により画像を形成しつつ、算出した調整値に基づく階調補正テーブルによる階調補正の有効/無効を切り替えながら階調調整用画像851を形成する。制御部70は、用紙80の1枚毎に、階調特性の監視と調整とを交互に行う。印刷ジョブの画像データに関しては、制御部70は、上記階調補正テーブルによる補正を常に有効として、画像処理部17により階調補正を行う。
【0039】
図4は、本実施形態の目標階調決定用の画像(以下、「目標階調決定用画像」という。)の例示図である。階調調整用画像851と比較して、目標階調決定用画像は、パッチ画像のサイズが大きく形成される。用紙80には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎の目標階調決定用画像852Y、852M、852C、852Kが形成される。色を区別しない場合、目標階調決定用画像852Y、852M、852C、852Kを「目標階調決定用画像852」と記載する。目標階調決定用画像852は、10階調のパッチ画像により構成される。各パッチ画像は、例えば主走査方向の長さが8[mm]、副走査方向の長さが20[mm]である。複数のパッチ画像は、用紙80の通紙方向に一列に配列される。
【0040】
本実施形態では、読取装置50が600dpiの解像度で4[mm]×4[mm]の範囲を1単位の読取結果として出力する場合について説明する。読取装置50は、光学的フレアやトナーエッジ効果の影響を考慮して、パッチ画像の副走査方向(通紙方向)の先端及び後端の2[mm]幅を読み取らない。そのために、階調調整用画像851の各パッチ画像のサイズが、主走査方向の長さが8[mm]、副走査方向の長さが12[mm]の場合(図3参照)、1階調のパッチ画像の読取結果は、2データとなる。階調調整時には、この2データの平均値が該パッチ画像の輝度値として採用される。なお、輝度値には、平均値ではなく、最大値や最小値を採用してもよい。輝度値に平均値、最大値、最小値のいずれを採用するかは、読取装置50の構成や画像形成装置10の特徴に基づいて決定される。
【0041】
目標階調決定用画像852のパッチ画像のサイズを階調調整用画像のパッチ画像のサイズと同じにする場合、目標階調決定用画像852のパッチ画像の輝度値が2データから決定される。しかし、2データでは、読取装置50の読取誤差、搬送中の用紙のばたつき、用紙表面の凹凸がパッチ画像の読取結果に影響して、高精度の目標階調の設定には好ましくない。目標階調の不正確な決定は、階調補正の過大もしくは過小につながり、画質の低下として現れる。
【0042】
そのために本実施形態の目標階調決定用画像852のパッチ画像のサイズは、階調調整用画像のパッチ画像のサイズよりも副走査方向(通紙方向)に延長されている。これにより、読取装置50が600dpiの解像度で4[mm]×4[mm]の範囲を1単位の読取結果として出力する場合に、1階調のパッチ画像の読取結果が4データとなる。そのために、上記のような読取結果への影響を低減することができる。
【0043】
図4では、A3サイズの用紙80を縦送りしたときの1枚に、4色すべての目標階調決定用画像852Y、852M、852C、852Kが収まる範囲で目標階調決定用画像852のサイズが決定される。より高精度に目標階調を決定する必要がある場合、図5に例示する目標階調決定用画像が用いられてもよい。図5の例では、1枚の用紙80に対してそれぞれ異なる2色の目標階調決定用画像が形成されており、2枚の用紙80で4色の目標階調決定用画像が形成される。
【0044】
1枚目の用紙80には、イエロー、シアンの色毎の目標階調決定用画像853Y、853Cが形成される。2枚目の用紙80には、マゼンタ、ブラックの色毎の目標階調決定用画像853M、853Kが形成される。色を区別しない場合、目標階調決定用画像853Y、853M、853C、853Kを「目標階調決定用画像853」と記載する。目標階調決定用画像853は、10階調のパッチ画像により構成される。各パッチ画像は、例えば主走査方向の長さが8[mm]、副走査方向の長さが40[mm]である。複数のパッチ画像は、用紙80の通紙方向に一列に配列される。このようなサイズのパッチ画像を読取装置50が600dpiの解像度で4[mm]×4[mm]の範囲を1単位の読取結果として出力する場合に、1階調のパッチ画像の読取結果が9データとなる。そのために、図4の目標階調決定用画像852の場合よりもさらに読取結果への影響を低減することができる。以降、図5の目標階調決定用画像853を用いた場合について説明する。
【0045】
目標階調決定用画像853を階調調整用画像として用いることも可能である。しかしこの場合、トナー消費量の増大や複数枚の用紙80への画像形成による階調補正のタイムラグの発生等の弊害が発生する。そのために、通常の階調補正時には最低限のパッチ画像のサイズに収めることが好ましい。通常の階調調整用画像851のパッチ画像は1枚毎に印字され、その読取結果が目標階調との差分として補正され続ける。そのために、一度の読取誤差による影響が実際の階調へ及ぼす影響は小さい。よって、通常の階調調整用画像851のパッチ画像のサイズは、目標階調決定用画像852、853のパッチ画像のサイズよりも小さくてもよい。
【0046】
図6は、本実施形態の画像形成処理を表すフローチャートである。この画像形成処理は、印刷ジョブ毎に行われてもよく、また、給紙トレイ185毎に行われてもよい。この処理では、目標階調決定処理時に図5の目標階調決定用画像853が用いられ、階調補正処理時に図3の階調調整用画像851が用いられる。
【0047】
制御部70のCPU71は、画像生成部16により、用紙に形成する画像の画像データを生成する(S101)。CPU71は、階調調整を行うか否かを判断する(S102)。階調調整を行うか否かは、ユーザにより入力装置13を用いて予め設定されている。設定内容はRAM72に格納されており、CPU71はRAM72を参照してこの判断を行う。
【0048】
階調調整を行う場合(S102:Y)、CPU71は、目標階調決定処置を行う。目標階調決定処理を開始すると、CPU71は、まず、画像生成部16により生成された1枚目用の画像データに、階調調整用画像付加部30により、該印刷ジョブの目標階調を決定するための目標階調画像データを付加する(S103)。CPU71は、画像形成部18により、目標階調画像データが付加された画像データに基づいて、用紙上への画像形成処理を行う(S104)。これにより、図5に例示するように、用紙80に目標階調決定用画像853と画像領域81に印刷ジョブで指示された画像とが形成された印刷物が生成される。印刷物は、読取装置50へ搬送されて読み取られる。CPU71は、読取装置50による目標階調決定用画像853の読取結果から輝度値を取得する。CPU71は、取得した輝度値を目標階調として決定し、RAM72に登録する(S105)。
【0049】
目標階調決定用画像853の読取結果は、パッチ画像毎、つまり1色の1階調毎に9データである。CPU71は、9データから上下限の値を除いた7データの平均値を当該パッチ画像の輝度値とする。これにより、パッチ画像の輝度値を正確に判断することが可能となり、目標階調が高精度に決定される。目標階調決定用画像853は、2枚の用紙に形成されるため、S103~S105の処理は、2回繰り返される。1枚目用の画像データには、イエロー及びシアンの目標階調決定用画像853Y、853Cの目標階調画像データが付加され、2枚目用の画像データには、マゼンタ及びブラックの目標階調決定用画像853M、853Kの目標階調画像データが付加される。このように目標階調決定処理が行われる。
【0050】
目標階調決定処理が終了すると、CPU71は、通常の階調補正処理を開始する。通常の階調補正処理を開始すると、CPU71は、まず、画像生成部16により生成された画像データに、階調調整用画像付加部30により、テスト画像データを付加する。(S106)。CPU71は、画像形成部18により、テスト画像データが付加された画像データに基づいて、用紙上への画像形成処理を行う(S107)。これにより、図3に例示するように、用紙80に階調調整用画像851と画像領域81に印刷ジョブで指示された画像とが形成された印刷物が生成される。印刷物は、読取装置50へ搬送されて読み取られる。CPU71は、読取装置50による階調調整用画像851の読取結果から輝度値を取得する。CPU71は、取得した輝度値と目標階調との差分に基づいて、階調補正テーブルを更新する(S108)。
【0051】
CPU71は、印刷ジョブが継続される間(S109:Y)、階調補正処理を繰り返し行う。印刷ジョブが終了すると(S109:N)、CPU71は、画像形成処理を終了する。なお、階調調整を行わない場合(S102:N)、CPU71は、画像形成部18により、画像生成部16により生成された画像データに基づいて、用紙上への画像形成処理を行い(S110)、画像形成処理を終了する。
【0052】
以上のように、用紙上に階調調整用画像を形成して階調補正を行うジョブの場合、目標階調を決定する際の目標階調決定用画像のパッチ画像の読取結果のデータ数が、階調調整用画像のパッチ画像の読取結果のデータ数よりも多くなる。これにより、読取装置50による測定誤差や、用紙表面の凹凸ムラ、搬送による用紙のばたつきによる読取結果への影響が低減され、目標階調を正確に設定することが可能となる。
【0053】
図7は、読取結果のデータ数の影響の説明図である。図7(a)は、目標階調を決定するための1つのパッチ画像の読み取り数(データ数)が2の場合と9の場合との輝度値を例示する。データ数が2の場合、読み取られるパッチ画像のサイズが階調調整用画像851のパッチ画像のサイズ(8[mm]×12[mm])である。データ数が9の場合、読み取られるパッチ画像のサイズが目標階調決定用画像853のパッチ画像のサイズ(8[mm]×40[mm])である。
【0054】
実際のパッチ画像の輝度値の平均値を「112」とする。データ数が9の場合、9データから上下限の値を除いた7データの平均値が読み取った輝度値として用いられる。図7(a)に示すように、2データから算出される輝度値の平均値よりも、9データから上下限の値を除いた7データから算出される輝度値の平均値の方が、実際のパッチ画像の輝度値の平均値に近い値となる。このように、目標階調決定用画像853のパッチ画像の読取結果から得られる輝度値は、読取結果への外乱の影響を抑制することができる。
【0055】
図7(b)は、目標階調を決定するために1つのパッチ画像を50回読み取った結果の平均値を破線で表す。50回読み取ることで実際のパッチ画像の輝度値とほぼ同値の輝度値が検出される。しかし、読取装置50で1つのパッチ画像を50回読み取るためには、パッチ画像のサイズは、主走査方向の長さが8[mm]×副走査方向の長さが204[mm]となる。これは現実的ではない。そのために、図7(b)に示すように、50回の読取結果とほぼ同じ輝度値が得られるように、本実施形態の目標階調決定用画像853のパッチ画像のサイズは、主走査方向の長さが8[mm]×副走査方向の長さが40[mm]とされる。
【0056】
このように本実施形態では、目標階調を正確に決定し、その後の階調調整用画像から検出される輝度値と目標階調との差分を補正する。目標階調は、目標階調決定用画像による同じ色のパッチ画像の読取結果が、階調調整用画像851によるパッチ画像の読取結果よりも多いために、正確に決定される。これにより画像形成装置10は、過大や過小の階調補正を防止して、長時間の適切な画質の画像形成を可能とする。
【0057】
(変形例)
図4図5の目標階調決定用画像852、853は、パッチ画像のサイズが階調調整用画像851のパッチ画像のサイズよりも大きく形成される。目標階調決定用画像の各階調のパッチ画像は、階調調整用画像851の各階調のパッチ画像よりも、読取結果数(データ数)が多ければよい。読取結果数は、パッチ画像のサイズを大きくする他に、同じ階調値のパッチ画像の数を増やすことでも多くすることができる。そこで、図8図9では、階調調整用画像851よりもパッチ画像数を多くした目標階調決定用画像について説明する。
【0058】
図8は、目標階調決定用画像の例示図である。図8の例では、1枚の用紙80に対して2色の目標階調決定用画像が形成されており、2枚の用紙80で4色の目標階調決定用画像が形成される。1枚目の用紙80には、イエロー、シアンの色毎の目標階調決定用画像854Y、854Cが形成される。2枚目の用紙80には、マゼンタ、ブラックの色毎の目標階調決定用画像854M、854Kが形成される。色を区別しない場合、目標階調決定用画像854Y、854M、854C、854Kを「目標階調決定用画像854」と記載する。目標階調決定用画像854は、10階調のパッチ画像により構成される。各パッチ画像は、例えば主走査方向の長さが8[mm]、副走査方向の長さが12[mm]である。複数のパッチ画像は、用紙80の通紙方向に一列に配列される。
【0059】
目標階調決定用画像854のパッチ画像は、目標階調決定用画像852、853とは異なり、階調調整用画像851のパッチ画像と同じサイズ、形状である。ただし、目標階調決定用画像854は、各色が同一の用紙80に2カ所形成されている。例えば、目標階調決定用画像854Yは、用紙80の右辺側の通紙方向の2カ所に形成される。このような目標階調決定用画像854ついても、同じ階調のパッチ画像から読み取るデータ数を階調調整用画像851のパッチ画像よりも多く確保できるために、目標階調決定用画像852、853と同様の効果を得ることができる。
【0060】
図9は、目標階調決定用画像の例示図である。図9の例では、2枚の用紙80に4色の目標階調決定用画像が形成される。1枚目と2枚目の用紙80には、図3の階調調整用画像851と同様の画像が形成される。即ち、1枚目と2枚目の用紙80には、いずれもイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎の目標階調決定用画像855Y、855M、855C、855Kが形成される。色を区別しない場合、目標階調決定用画像855Y、855M、855C、855Kを「目標階調決定用画像855」と記載する。目標階調決定用画像855は、10階調のパッチ画像により構成される。各パッチ画像は、例えば主走査方向の長さが8[mm]、副走査方向の長さが12[mm]である。複数のパッチ画像は、用紙80の通紙方向に一列に配列される。
【0061】
つまり、図3の階調調整用画像851が形成された用紙80を2枚用いることで、本実施形態の目標階調決定用画像855となる。このような目標階調決定用画像855の読取装置50による読取結果を平均化或いは異常値の除外により、読み取り誤差を低減することができる。このような目標階調決定用画像855ついても、同じ階調のパッチ画像から読み取るデータ数を階調調整用画像851のパッチ画像よりも多く確保できるために、目標階調決定用画像852、853と同様の効果を得ることができる。
【0062】
このように目標階調を決定するための演算に利用するパッチ画像数、また印字する用紙の枚数は任意に変更可能である。ただし、平均化するデータ数を増やすことでより正確な目標階調を設定することは可能となるが、増やしすぎることで階調補正を開始するタイミングが遅れることになる。そのために、適正枚数を予め設定もしくはアナウンスしておく必要がある。
【0063】
図10は、画像形成処理を表すフローチャートである。この画像形成処理は、印刷ジョブ毎に行われてもよく、また、給紙トレイ185毎に行われてもよい。この処理では、目標階調決定処理時に図5の目標階調決定用画像853が用いられ、階調補正処理時に図3の階調調整用画像851が用いられる。
【0064】
制御部70のCPU71は、図6のS101、S102の処理と同様に画像データを生成し、階調調整を行うか否かを判断する(S201、S202)。階調調整を行わない場合(S202:N)、CPU71は、図6のS210の処理と同様に用紙上への画像形成処理を行い(S210)、画像形成処理を終了する。
【0065】
階調調整を行う場合(S202:Y)、CPU71は、目標階調決定処置を行う。目標階調決定処理を開始すると、CPU71は、まず、画像生成部16により生成された1枚目用及び2枚目用の画像データのそれぞれに、階調調整用画像付加部30により、印刷ジョブの目標階調を決定するための目標階調画像データを付加する(S203)。CPU71は、画像形成部18により、目標階調画像データが付加された画像データに基づいて、2枚の用紙上への画像形成処理を続けて行う(S204)。これにより、図8又は図9に例示するように、用紙80に目標階調決定用画像と画像領域81に印刷ジョブで指示された画像とが形成された印刷物が生成される。印刷物は、読取装置50へ搬送されて読み取られる。CPU71は、読取装置50による目標階調決定用画像853の読取結果から輝度値を取得する。CPU71は、取得した輝度値を目標階調として決定し、RAM72に登録する(S205)。同じ色の複数個のパッチ画像の読取結果は平均化或いは異常値を除去する処理が行われるために、目標階調の精度が向上する。このように目標階調決定処理が行われる。
【0066】
目標階調決定処理が終了すると、CPU71は、図6のS106~S109の処理と同様に通常の階調補正処理を行う(S206~S209)。CPU71は、印刷ジョブが終了すると(S109:N)、CPU71は、画像形成処理を終了する。
【0067】
図8図9の目標階調決定用画像854、855は、複数枚の用紙に形成される。このような目標階調決定用画像854、855を用いることにより、読取装置50による測定誤差や、用紙表面の凹凸ムラ、搬送による用紙のばたつきによる読取結果への影響が低減され、目標階調を正確に設定することが可能となる。
【0068】
画像形成装置10は、目標階調を正確に決定し、その後の階調調整用画像から検出される輝度値と目標階調との差分を補正する。目標階調は、目標階調決定用画像による同じ色のパッチ画像の読取結果が、階調調整用画像851によるパッチ画像の読取結果よりも多いために、正確に決定される。これにより画像形成装置10は、過大や過小の階調補正を防止して、長時間の適切な画質の画像形成を可能とする。
【0069】
なお、上記した実施形態及び変形例は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、読取装置50は、画像形成装置10の外部ではなく、画像形成装置10の内部に設けられる構成であってもよい。
【0070】
画像形成システム1は、読取装置50の用紙搬送方向下流側に、ステイプル処理、パンチ穴開け処理、折り処理、製本処理等の用紙処理を行う用紙処理装置が設けられた構成であってもよい。用紙処理装置は、制御部70から指示された場合にのみ用紙処理を実行してもよい。制御部70からの指示がなく用紙処理を行わない場合、当該用紙処理装置は搬送された用紙をそのまま排紙する。
【0071】
また、第1読取センサ53は下方から用紙の画像を読み取り、第2読取センサ54及び測色部55は上方から用紙の画像を読み取るものとしたが、これは逆であってもよい。また、画像データに基づいて形成される画像に断裁用マーク83が含まれるものとしたが、断裁用マーク83が含まれないものとしてもよい。そのような場合、画像形成装置10は、画像データに基づいて画像が形成される用紙の断裁位置に断裁用マーク83が形成されるように、画像データに断裁用マーク情報を付加できるように構成されていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10