(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/43 20060101AFI20240401BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240401BHJP
C11D 1/12 20060101ALI20240401BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240401BHJP
D06L 1/04 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C11D3/43
C11D3/20
C11D1/12
C11D1/72
D06L1/04
(21)【出願番号】P 2019231872
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2018246573
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018246576
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】今井 真美
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】久米 敏正
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-181683(JP,A)
【文献】特開2003-105399(JP,A)
【文献】特開2010-195865(JP,A)
【文献】米国特許第05895504(US,A)
【文献】特開平08-060531(JP,A)
【文献】特開平06-179892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
D06L 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a1)成分を0.3質量%以上10質量%以下、下記(b)成分を0.1質量%以上、及び水を
70質量%以上含有し、(a1)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a1)/(b)が、0.6以上50以下である、繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
(a1)成分:
HLBが9以上16.0以下であり、エチレンオキシ基を含むノニオン界面活性剤、並びにスルホン酸基、硫酸エステル基、及びこれらの塩の何れかを含むアニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b)成分:ClogPが-2.0以上1.0未満である水酸基を有する有機溶剤
【請求項2】
さらにClogPが1.0以上2.2以下である水酸基を有する有機溶剤[以下(c)成分という]を0.1質量%以上5質量%以下含有する、請求項1に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【請求項3】
(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比(b)/(c)が、1以上である、請求項2に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【請求項4】
(b)成分が、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上である、請求項1~3の何れか1項に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記組成物中に含まれる全界面活性剤中、(a1)成分の含有量が20質量%以上100質量%以下である、請求項1~
4の何れか1項に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか1項に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物と、基材とを含んでなる、繊維製品用拭き取り洗浄シート。
【請求項7】
前記基材の質量に対する、前記洗浄剤組成物の質量割合が、100質量%以上700質量%以下である、請求項
6に記載の繊維製品用拭き取り洗浄シート。
【請求項8】
繊維製品の汚れが付着した部分に、請求項1~
5の何れか1項に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を含浸させた後、基材を用いて拭き取る、繊維製品に付着した汚れの除去方法。
【請求項9】
請求項1~
5の何れか1項に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を基材に含浸させた後、繊維製品の汚れが付着した部分に前記含浸させた基剤を用いて拭き取る、繊維製品に付着した汚れの除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物、並びに当該洗浄剤組成物を用いた洗浄シート、及び繊維製品に付着した汚れの除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯した後の衣料は着用中に食べ物などの汚れや、汗や皮脂汚れが付着して汚れていく。着用中の衣料に汚れが付着した場合は、着用後に脱衣し、脱衣した衣料を、洗濯機を用いて洗濯する場合が多い。しかしながら、外出中での着用中の衣料に食べ物汚れ等の汚れがスポットで付着した場合は、汚れが付着したまま行動することになり、人は不快感を持つ場合が多い。繊維製品に付着した食べ物由来の汚れを除去する為に、繊維製品用染み取り剤組成物が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定の沸点の有機溶剤、低級アルコール及び界面活性剤を含有し、染み残りや輪染みの発生頻度を著しく低減できる繊維製品用染み取り剤組成物が開示されている。特許文献2には、ポリアクリレート乳化剤、有機クリーニング溶剤、必要に応じて洗浄性界面活性剤及び水を含有し、布帛上のスポット上の汚れに直接適用することができる、ドライクリーニングおよびスポット除去用組成物が開示されている。特許文献3には、水溶性有機溶剤と界面活性剤とを含有するしみ除去剤組成物を利用して布帛のしみを除去する際に、特定の吸収パッドを布帛にあてるしみ除去方法が開示されている。これらの特許文献のいずれにおいても、染み除去成分として界面活性剤や有機溶剤が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-181683号公報
【文献】特表平11-502888号公報
【文献】特開2003-105399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記繊維製品用染み取り剤組成物の課題として、輪ジミが挙げられる。輪ジミは、洗浄成分として繊維製品に付着させた界面活性剤の汚れや、繊維製品に付着した食べ物汚れなどの汚れ成分を、洗浄液を用いて除去する際に、繊維製品上の該汚れ部分が洗浄液の最縁部により押し出され、繊維製品上で該汚れ部分を中心に同心円状にぬれ拡がって輪状になる現象をいう。しかしながら、既存の繊維製品用染み取り剤組成物では、前記輪ジミの問題を解決するには充分ではない。本発明者らは、繊維製品に付着した汚れを、洗浄液を用いて拭き取る際に、繊維製品に付着した該汚れ部分の汚れ度合を低減したとしても、前記輪ジミの現象により、該汚れ部分を中心に汚れが拡がることで、薄い汚れが繊維製品上に拡がり、汚れの面積が拡がったように見える課題があることを見出した。
【0006】
また前記繊維製品用染み取り剤組成物において、繊維製品に付着した汚れの洗浄性に優れることは従来から求められている。また洗浄剤組成物を含浸した洗浄シートを使用して、繊維製品に付着した汚れの清拭をする場合に、使用者は洗浄シートに含浸された洗浄剤組成物が手に触れることになる。この場合、使用者は洗浄シートの使用時に手がぬるぬるするといった、不快なぬめり感を持つ場合がある。
【0007】
本発明の一実施態様は、繊維製品に付着した食べ物などに由来した汚れを、洗浄液を用いて拭き取る際に、該汚れ部分の汚れ度合を低減できるだけでなく、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減できる繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物、当該洗浄剤組成物を用いた繊維製品用拭き取り洗浄シート、及び繊維製品に付着した汚れの除去方法に関する。
【0008】
また本発明の一実施態様は、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、洗浄剤組成物に手が触れた時のぬめり感を低減できる繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物、当該洗浄剤組成物を用いた繊維製品用拭き取り洗浄シート、及び繊維製品に付着した汚れの除去方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記(a1)成分を0.3質量%以上10質量%以下、下記(b)成分を0.1質量%以上、及び水を含有し、(a1)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a1)/(b)が、0.6以上50以下である、繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物に関する。以下、本発明の第1の態様とする。
(a1)成分:HLBが9以上16.0以下のノニオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b)成分:ClogPが-2.0以上1.0未満である水酸基を有する有機溶剤
【0010】
また本発明は、下記(a2)成分を0.1質量%以上10質量%以下、下記(b)成分を0.1質量%以上、下記(d)成分、及び水を含有し、(a2)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a2)/(b)が、0.6以上50以下である、繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物に関する。以下、本発明の第2の態様とする。
(a2)成分:界面活性剤
(b)成分:ClogPが-2.0以上1.0未満である水酸基を有する有機溶剤
(d)成分:ケイ素化合物
【0011】
また本発明は、前記繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物と、基材とを含んでなる、繊維製品用拭き取り洗浄シートに関する。
【0012】
また本発明は、繊維製品の汚れが付着した部分に、前記繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を含浸させた後、基材を用いて拭き取る、繊維製品に付着した汚れの除去方法に関する。
【0013】
また本発明は、前記繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を基材に含浸させた後、繊維製品の汚れが付着した部分に前記含浸させた基剤を用いて拭き取る、繊維製品に付着した汚れの除去方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、繊維製品に付着した食べ物などに由来した汚れを、洗浄液を用いて拭き取る際に、該汚れ部分の汚れ度合を低減できるだけでなく、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減できる繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物、当該洗浄剤組成物を用いた繊維製品用拭き取り洗浄シート、及び繊維製品に付着した汚れの除去方法が提供される。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、洗浄剤組成物に手が触れた時のぬめり感を低減できる繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物、当該洗浄剤組成物を用いた繊維製品用拭き取り洗浄シート、及び繊維製品に付着した汚れの除去方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物>
[第1の態様]
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、前記(a1)成分を0.3質量%以上10質量%以下、前記(b)成分を0.1質量%以上、及び水を含有し、(a1)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a1)/(b)が、0.60以上50以下である、洗浄剤組成物であり、繊維製品に付着した汚れの拭き取り用洗浄剤組成物として好適である。
【0017】
〔(a1)成分〕
本発明の(a1)成分は、(a11)HLBが9以上16.0以下のノニオン界面活性剤(以下、(a11)成分ともいう)、及び(a12)アニオン界面活性剤(以下、(a12)成分ともいう)から選ばれる1種以上の界面活性剤である。(a1)成分は繊維製品に付着した汚れの洗浄作用を有する。
【0018】
本発明において、(a11)成分のHLBは、ポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤の場合には、下記一般式(1)で表されるグリフィン(Griffin)法により求められる。
HLB値=〔((a11)成分のポリオキシエチレン基部分の分子量)/((a11)成分の分子量)〕×20 (1)
尚、(a11)成分のポリオキシエチレン基部分の分子量は、ポリオキシエチレン基の平均付加モル数の値を用いて算出するものとする。
また、ポリオキシエチレン基を有さないノニオン界面活性剤の場合には、デービス法により求めることができる。ここで、デービス法によるHLBの算出方法は、「界面活性剤物性・応用・化学生態学」(北原文雄ら著講談社サイエンティフィック1990年5月20日第7刷発行)の24頁~25頁に記載されている方法を用いることにより算出することができる。
【0019】
(a11)成分のHLBは、繊維製品に付着した汚れの洗浄性に優れる観点(以下、洗浄性の観点ともいう)から、9以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上、より更に好ましくは10.5以上、より更に好ましくは11以上、そして、16.0以下、好ましくは15.0以下、より好ましくは14.5以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下である。
【0020】
(a11)成分としては、洗浄性の向上と汚れの拡散の低減の観点から、HLBが9以上16.0以下であり、エチレンオキシ基を含むノニオン界面活性剤が好ましい。HLBが9以上16.0以下であり、エチレンオキシ基を含むノニオン界面活性剤としては、洗浄性の向上の観点から、下記一般式(a11)で表されるノニオン界面活性剤であって、HLBが9以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上、より更に好ましくは10.5以上、より更に好ましくは11以上、そして、16.0以下、好ましくは15.0以下、より好ましくは14.5以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下であるノニオン界面活性剤が好ましい。
R11a(CO)m1O-(A11aO)n1-R12a (a11)
〔式中、R11aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R12aは水素原子又はメチル基である。COはカルボニル基であり、m1は0又は1の数である。A11aO基はエチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。n1は平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。〕
【0021】
一般式(a11)中、R11aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基である。一般式(a11)中、R11a以外の他の化学構造が同じであれば、R11aの炭素数が大きくなる程HLBの値は低くなる。R11aの炭素数は、HLBの値を制御し、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは14以下である。
R11aは、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、脂肪族炭化水素基であり、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である。
【0022】
一般式(a11)中、A11aO基は、エチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、好ましくはエチレンオキシ基を含む炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基であり、より好ましくはエチレンオキシ基である。A11aO基は、エチレンオキシ基と他のアルキレンオキシ基、例えばプロピレンオキシ基とを含むアルキレンオキシ基でもよい。他のアルキレンオキシ基は、プロピレンオキシ基が好ましい。A11aO基が、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。エチレンオキシ基はプロピレンオキシ基よりもHLBの値を高くさせる。
【0023】
一般式(a11)中、n1は、A11aO基の数平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。一般式(a11)中、n1以外の他の化学構造が同じであれば、n1の数が大きくなる程HLBの値は高くなり、小さくなる程HLBの値は低くなる。nは、HLBの値を制御し、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上で、そして、50以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは15以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは7以下である。
【0024】
ポリオキシエチレン基を有さないノニオン界面活性剤の場合の具体例としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、及びグリセリルモノエーテルから選ばれる1種以上が挙げられる。但し、前記ポリオキシエチレン基を有さないノニオン界面活性剤は、デービス法によるHLBが9以上15以下である。
【0025】
本発明の(a12)成分の具体例としては、下記(a121)成分、(a122)成分、(a123)成分及び(a124)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(a121)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a122)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a123)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤
(a124)成分:炭素数が10以上20以下の脂肪酸又はその塩(但し、(a123)成分を除く)
【0026】
(a121)成分として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。(a121)成分は、洗浄性の向上の観点から、アルキル基の炭素数が12以上14以下のアルキル硫酸エステル塩が好ましく、アルキル基の炭素数が12以上14以下のアルキル硫酸エステルナトリウムがより好ましい。
【0027】
(a122)成分として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下、アルキレンオキシ基の平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、並びにアルケニル基の炭素数が10以上18以下、及びアルキレンオキシ基の平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。(a122)成分は、洗浄性の向上の観点から、エチレンオキシ基の平均付加モル数が1以上2.2以下であるポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が好ましく、アルキル基の炭素数が12以上14以下でかつ、エチレンオキシ基の平均付加モル数が1以上2.2以下であるポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩がより好ましく、これらのナトリウム塩が更に好ましい。
【0028】
(a123)成分であるスルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤とは、親水基としてスルホン酸塩を有するアニオン界面活性剤である。
(a123)成分として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルカンスルホン酸塩、α-オレフィン部分の炭素数が10以上18以下のα-オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下のα-スルホ脂肪酸塩、及び脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα-スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。(a123)成分は、洗浄性の向上の観点から、アルキル基の炭素数が11以上14以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上14以下のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0029】
(a124)成分である炭素数10以上20以下の脂肪酸又はその塩とは、カルボキシル基及びカルボキシル基が結合した炭化水素基の合計の炭素数が10以上20以下の脂肪酸又はその塩であるであることを意味する。(a124)成分の炭素数は、10以上、好ましくは12以上、そして、20以下、好ましくは18以下である。
【0030】
(a121)成分~(a124)成分であるアニオン界面活性剤の塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0031】
(a1)成分は、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、HLBが9以上16.0以下であり、エチレンオキシ基を含むノニオン界面活性剤、並びにスルホン酸基、硫酸エステル基、及びこれらの塩の何れかを含むアニオン界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましく、前記一般式(a11)で表されるHLBが9以上16.0以下のノニオン界面活性剤、(a121)成分、(a122)成分、及び(a123)成分から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0032】
〔(b)成分〕
本発明の(b)成分はClogPが-2.0以上1.0未満の水酸基を有する有機溶剤である。(b)成分は(a1)成分と特定の比率で用いることで、(a1)成分による繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用を有する。本発明においてCLogPはPerkin Elmer社のChemBioDraw Ultraver.14.0のChemPropertyを用いて算出した計算値を用いる。なお、ClogPの値が大きい程、疎水性が高いことを表す。
【0033】
(a1)成分と特定の比率で用いることで、(a1)成分による繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散をより低減する観点から、(b)成分のClogPは、好ましくは-1.6以上、より好ましくは-1.3以上、そして、同じ観点から、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.2以下、より更に好ましくは0.1以下である。
【0034】
(a1)成分と特定の比率で用いることで、(a1)成分による繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用をより有する点で、(b)成分は、下記(b1)~(b3)成分から選ばれる1種以上の水酸基を有する有機溶剤が好ましい。
(b1)成分:炭素数2以上6以下の1価のアルコールであって、ClogPが-2.0以上1.0未満の水酸基を有する有機溶剤
(b2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコールであって、ClogPが-2.0以上1.0未満の水酸基を有する水酸基を有する有機溶剤
(b3)成分:炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有し、ClogPが-2.0以上1.0未満である有機溶剤(但し、炭化水素基は芳香族基を除く。)
以下に(b1)成分~(b3)成分の具体例を示す。尚( )内の数字は、Perkin Elmer社のChemBio Draw Ultraver.14.0のChemPropertyを用いて算出した各成分の計算値(CLogP)である。
【0035】
(b1)成分としては、エタノール(-0.24)、1-プロパノール(0.29)、2-プロパノール(0.07)が挙げられる。
【0036】
(b2)成分としては、エチレングリコール(-1.4)、プロピレングリコール(-1.1)、ブチレングリコール(-0.73)、ヘキシレングリコール(-0.02)、ジエチレングリコール(-1.3)、トリエチレングリコール(-1.5)、テトラエチレングリコール(-1.66)、ジプロピレングリコール(-0.69)、トリプロピレングリコール(-0.55)、グリセリン(-1.5)が挙げられる。
【0037】
(b3)成分としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(-0.78)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(-0.26)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(-0.96)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(-0.39)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(0.52)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.67)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(-0.16)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(0.23)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(-0.03)、1-メトキシ-2-プロパノール(-0.30)、1-エトキシ-2-プロパノール(0.09)、1-メチルグリセリンエーテル(-1.43)、2-メチルグリセリンエーテル(-0.73)、1,3-ジメチルグリセリンエーテル(-0.67)、1-エチルグリセリンエーテル(-1.04)、1,3-ジエチルグリセリンエーテル(0.11)、トリエチルグリセリンエーテル(0.83)、1-ペンチルグリセリルエーテル(0.54)が挙げられる。
【0038】
(b)成分は、汚れが付着した中心部の洗浄性の向上と汚れの中心部からの拡がりを低減できる観点から、前記(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上が好ましく、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、前記(b1)成分と(b2)成分を含有する場合、(b1)成分の含有量と(b2)成分の含有量の質量比(b1)/(b2)は、使用感の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは1以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下である。
本発明では、(b1)成分と(b2)成分を併用する場合は、(b)成分中、(b1)成分と(b2)成分合計の割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってもよい。
【0039】
本発明で用いる(b1)成分としては、使用感の観点から、エタノールが好ましく、(b2)成分としては、液安定性の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種以上が好ましい。
【0040】
〔(c)成分〕
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(c)成分として、ClogPが1.0以上2.2以下の水酸基を有する有機溶剤を含有することができる。本発明において、(c)成分は(b)成分と特定の比率で用いることで、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用を有する。該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用を有する点で、(c)成分は、炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有し、ClogPが1.0以上2.2以下である有機溶剤が好ましい。
下記に(c)成分の具体例を示す。尚( )内の数字は、Perkin Elmer社のChemBio Draw Ultraver.14.0のChemPropertyを用いて算出した各成分の計算値(CLogP)である。
(c)成分のClogPは、(b)成分と特定の比率で用いることで、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散をより低減する観点で、好ましくは1.1以上、そして、同じ観点から、好ましくは2以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.4以下である。
【0041】
(c)成分としては、2-ペンチルグリセリルエーテル(1.25)、1-オクチルグリセリルエーテル(2.1)、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(2.0)、2-フェノキシエタノール(1.2)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(1.25)、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル(1.08)、2-ベンジルオキシエタノール(1.1)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(1.0)が挙げられる。
【0042】
〔組成等〕
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(a1)成分を、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、0.3質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、繊維製品に適用した洗浄剤組成物の手触りがよりべたつかない観点から、10質量%以下、好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下含有する。
【0043】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、前記組成物中に含まれる全界面活性剤中、(a1)成分の含有量は、洗浄性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、また100質量%であってもよい。
【0044】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(b)成分を、繊維製品に付着した汚れの洗浄性と、該汚れ部分を中心とした汚れ拡散の低減を両立する観点から、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下含有する。
【0045】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、(a1)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a1)/(b)は、繊維製品に付着した汚れの洗浄性がより高まる観点から、0.60以上、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.80以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは2.0以上、より更に好ましくは3.0以上、そして、繊維製品に付着した汚れ部分を中心とした汚れ拡散を低減する観点から、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下である。
【0046】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(c)成分を、繊維製品に付着した汚れの洗浄性と、該汚れ部分を中心とした汚れ拡散の低減を両立する観点から、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、そして、同じ観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0047】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比(b)/(c)は、該汚れ部分を中心とした汚れ拡散の低減を両立する観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上、そして、同じ観点から、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下、より更に好ましくは4以下である。
【0048】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、任意成分として、下記(e1)成分~(e3)成分を含有することができる。
(e1)成分:アミノ基及びヒドロキシル基を含む炭素数1以上8以下のヒドロキシルアミン化合物
(e2)成分:炭素数1以上9以下のカルボン酸又はその塩
(e3)成分:香料化合物、酸化防止剤、防腐剤、色素又はpH調整剤(但し、前記(a1)成分、(b)成分、(c)成分、(e1)成分~(e2)成分を除く)
【0049】
(e1)成分において、アミノ基は、1級アミノ基及び2級アミノ基から選ばれる1種以上のアミノ基が好ましい。(e1)成分の具体例としては、モノエタノールアミン、モノ低級アルキル(炭素数1以上3以下)アミノモノエタノールアミン、モノ低級アルキル(炭素数1以上3以下)アミノジエタノールアミン、ジ低級アルキル(炭素数1以上3以下)アミノモノエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。(e1)成分は、本発明の第1の態様の洗浄剤組成物中のpHによりアンモニウムイオンとして含有してもよい。本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(e1)成分を、0.1質量%以上2質量%以下の範囲で含有することができる。
【0050】
(e2)成分の具体例としては、ギ酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、サリチル酸、安息香酸、及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。塩としてはナトリウム塩等のアルキル金属塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(e2)成分を、0.1質量%以上3質量%以下の範囲で含有することができる。
【0051】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、水を含有する。水としては、イオン交換水、蒸留水、滅菌精製水、水道水又は次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩を0.1mg/kg以上5mg/kg以下含む水を使用することができる。
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、水を、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下含有する。
【0052】
本発明の第1の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、25℃におけるpHは、洗浄性能及び手肌感触の観点から、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、更に好ましくは7.0以上、より更に好ましくは7.5以上、そして、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下である。本発明の洗浄剤組成物のpHは、ガラス電極を用いて、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0053】
[第2の態様]
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、前記(a2)成分を0.1質量%以上10質量%以下、前記(b)成分を0.1質量%以上、前記(d)成分、及び水を含有し、(a2)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a2)/(b)が、0.6以上50以下である、洗浄剤組成物であり、繊維製品に付着した汚れの拭き取り用洗浄剤組成物として好適である。
【0054】
〔(a2)成分〕
本発明の(a2)成分は界面活性剤である。(a2)成分は繊維製品に付着した汚れの洗浄作用を有する。(a2)成分は、(a21)ノニオン界面活性剤(以下、(a21)成分ともいう)、及び(a22)アニオン界面活性剤(以下、(a22)成分ともいう)から選ばれる1種以上の界面活性剤が好ましい。
【0055】
(a21)成分としては、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより向上できる観点から、HLBが9以上15以下のノニオン界面活性剤が好ましい。(a21)成分のHLBは、ポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤の場合には、下記一般式(1)で表されるグリフィン(Griffin)法により求められる。
HLB値=〔((a21)成分のポリオキシエチレン基部分の分子量)/((a21)成分の分子量)〕×20 (1)
尚、(a21)成分のポリオキシエチレン基部分の分子量は、ポリオキシエチレン基の平均付加モル数の値を用いて算出するものとする。
また、ポリオキシエチレン基を有さないノニオン界面活性剤の場合には、デービス法により求めることができる。ここで、デービス法によるHLBの算出方法は、「界面活性剤物性・応用・化学生態学」(北原文雄ら著講談社サイエンティフィック1990年5月20日第7刷発行)の24頁~25頁に記載されている方法を用いることにより算出することができる。
【0056】
(a21)成分のHLBは、繊維製品に付着した汚れの洗浄性に優れる観点(以下、洗浄性の観点ともいう)から、9以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上、より更に好ましくは10.5以上、より更に好ましくは11.0、そして、15以下、好ましくは14.5以下、より好ましくは14以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下である。
【0057】
(a21)成分としては、洗浄性と汚れ拡散防止の観点から、HLBが9以上15以下であり、エチレンオキシ基を含むノニオン界面活性剤が好ましい。HLBが9以上15以下であり、エチレンオキシ基を含むノニオン界面活性剤としては、洗浄性の観点から、下記一般式(a21)で表されるノニオン界面活性剤であって、HLBが9以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上、より更に好ましくは10.5以上、より更に好ましくは11以上、そして、15以下、好ましくは14.5以下、より好ましくは14以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下であるノニオン界面活性剤が好ましい。
R21a(CO)m2O-(A21aO)n2-R22a (a1)
〔式中、R21aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R22aは水素原子又はメチル基である。COはカルボニル基であり、m2は0又は1の数である。A21aO基はエチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。n2は平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。〕
【0058】
一般式(a21)中、R21aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基である。一般式(a21)中、R21a以外の他の化学構造が同じであれば、R21aの炭素数が大きくなる程HLBの値は低くなる。R21aの炭素数は、HLBの値を制御し、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは14以下である。
R21aは、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、脂肪族炭化水素基であり、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である。
【0059】
一般式(a21)中、A21aO基は、エチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、好ましくはエチレンオキシ基を含む炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基であり、より好ましくはエチレンオキシ基である。A21aO基は、エチレンオキシ基と他のアルキレンオキシ基、例えばプロピレンオキシ基とを含むアルキレンオキシ基でも良い。他のアルキレンオキシ基は、プロピレンオキシ基が好ましい。A21aO基が、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。エチレンオキシ基はプロピレンオキシ基よりもHLBの値を高くさせる。
【0060】
一般式(a21)中、n2は、A21aO基の数平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。一般式(a21)中、n2以外の他の化学構造が同じであれば、n2の数が大きくなる程HLBの値は高くなり、小さくなる程HLBの値は低くなる。n2は、HLBの値を制御し、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上で、そして、50以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは15以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは7以下である。
【0061】
ポリオキシエチレン基を有さないノニオン界面活性剤の場合の具体例としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、及びグリセリルモノエーテルから選ばれる1種以上が挙げられる。前記ポリオキシエチレン基を有さないノニオン界面活性剤は、デービス法によるHLBが9以上15以下であることが好ましい。
【0062】
本発明の(a22)成分の具体例としては、下記(a221)成分、(a222)成分、(a223)成分及び(a224)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(a221)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a222)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a223)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤
(a224)成分:炭素数が10以上20以下の脂肪酸又はその塩(但し、(a223)成分を除く)
【0063】
(a221)成分の具体例、及び好ましい態様は、本発明の第1の態様において、上記した(a121)成分と同じである。
(a222)成分の具体例、及び好ましい態様は、本発明の第1の態様において、上記した(a122)成分と同じである。
(a223)成分の具体例、及び好ましい態様は、本発明の第1の態様において、上記した(a123)成分と同じである。
(a224)成分の具体例、及び好ましい態様は、本発明の第1の態様において、上記した(a124)成分と同じである。
【0064】
(a221)成分~(a224)成分であるアニオン界面活性剤の塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0065】
(a2)成分は、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、HLBが9以上15以下であり、エチレンオキシ基を含むノニオン界面活性剤、並びにスルホン酸基、硫酸エステル基、及びこれらの塩の何れかを含むアニオン界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましく、前記一般式(a21)で表されるHLBが9以上15以下のノニオン界面活性剤、(a221)成分、(a222)成分、及び(a223)成分から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0066】
前記(a21)成分、(a22)成分以外の界面活性剤としては、両性界面活性剤やカチオン界面活性剤を選択することができる。
両性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば炭素数8以上18以下のアルキル基を有するアルキルアミンオキシド、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、第4級アンモニウム型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤が好ましく、更にはエーテル結合、オキシアルキレン基、エステル基、若しくはアミド基で分断されていてもよい炭素数6以上22以下の炭化水素基を1つ有する第4級アンモニウム型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤がより好ましい。
【0067】
〔(b)成分〕
本発明の(b)成分はClogPが-2.0以上1.0未満の水酸基を有する有機溶剤である。(b)成分は(a2)成分と特定の比率で用いることで、(a2)成分による繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用を有する。本発明においてCLogPはPerkin Elmer社のChemBioDraw Ultraver.14.0のChemPropertyを用いて算出した計算値を用いる。なお、ClogPの値が大きい程、疎水性が高いことを表す。
【0068】
(a2)成分と併用することで、(a2)成分による繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散をより低減する観点から、(b)成分のClogPは、好ましくは-1.6以上、より好ましくは-1.3以上、そして同じ観点から、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.2以下、より更に好ましくは0.1以下である。
【0069】
(a2)成分と併用することで、(a2)成分による繊維製品に付着した汚れの洗浄性を維持しつつ、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用をより有する点から、(b)成分は、下記(b1)~(b3)成分から選ばれる1種以上の水酸基を有する有機溶剤が好ましい。
(b1)成分:炭素数2以上6以下の1価のアルコールであって、ClogPが-2.0以上1.0未満の水酸基を有する有機溶剤
(b2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコールであって、ClogPが-2.0以上1.0未満の水酸基を有する水酸基を有する有機溶剤
(b3)成分:炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有し、ClogPが-2.0以上1.0未満である有機溶剤(但し、炭化水素基は芳香族基を除く。)
(b1)成分~(b3)成分の具体例は、本発明の第1の態様において、上記した(b1)成分~(b3)成分と同じである。
【0070】
(b)成分は、汚れが付着した中心部の洗浄性の向上と汚れの中心部からの拡がりを低減できる観点から、前記(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上が好ましく、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、前記(b1)成分と(b2)成分を含有する場合、(b1)成分の含有量と(b2)成分の含有量の質量比(b1)/(b2)は、使用感の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは1以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下である。
本発明では、(b1)成分と(b2)成分を併用する場合は、(b)成分中、(b1)成分と(b2)成分の合計の割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってもよい。
【0071】
本発明で用いる(b1)成分としては、使用感の観点から、エタノールが好ましく、(b2)成分としては、液安定性の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種以上が好ましい。
【0072】
〔(c)成分〕
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り用洗浄剤組成物は、(c)成分として、ClogPが1.0以上2.2以下の水酸基を有する有機溶剤を含有することができる。本発明において、(c)成分は(b)成分と特定の比率で用いることで、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用を有する。該汚れ部分を中心とした汚れの拡散を低減する作用を有する点で、(c)成分は、炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有し、ClogPが1.0以上2.2以下の有機溶剤が好ましい。(c)成分の具体例は、本発明の第1の態様において、上記した(c)成分と同じである。
(c)成分のClogPは、(b)成分と特定の比率で用いることで、該汚れ部分を中心とした汚れの拡散をより低減する観点で、好ましくは1.1以上、そして、同じ観点から、好ましくは2以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.4以下である。
【0073】
〔(d)成分〕
本発明の(d)成分はケイ素化合物である。(d)成分は、洗浄剤組成物が手に触れた時のぬめり感を抑制することができる。(d)成分には、(a2)成分、(b)成分、又は(c)成分に該当する化合物は含まれない。
(d)成分としては、(d1)シリコーン化合物(以下、(d1)成分ともいう)及び(d2)無機ケイ素化合物(以下、(d2)成分ともいう)から選ばれる1種以上のケイ素化合物が好ましい。
【0074】
(d1)成分としては、ジアルキルポリシロキサン(アルキル基の炭素数は1以上18以下)、ポリオキシアルキレン変性シリコーン(アルキレンオキシ基の炭素数は2以上3以下)、及びアミノ変性シリコーン(アミノ基は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基から選ばれる基)から選ばれる1種以上が挙げられる。
(d2)成分としては、二酸化ケイ素が挙げられる。
【0075】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り用洗浄剤組成物は、(d)成分として、前記(d1)成分と(d2)成分の両方を含有することが好ましい。
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、前記(d1)成分と(d2)成分を含有する場合、(d1)成分の含有量と(d2)成分の含有量の質量比(d1)/(d2)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは1以下である。
【0076】
〔組成等〕
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(a2)成分を、繊維製品に付着した汚れの洗浄性をより高める観点から、0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上、そして、繊維製品に適用した洗浄剤組成物の手触りがよりべたつかない観点から、10質量%以下、好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4.5質量%以下含有する。
【0077】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、(a21)成分を含有する場合、前記組成物中に含まれる全界面活性剤中、(a21)成分の含有量は、洗浄性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、また100質量%であってもよい。
【0078】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(b)成分を、繊維製品に付着した汚れの洗浄性と、該汚れ部分を中心とした汚れ拡散の低減を両立する観点から、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下含有する。
【0079】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、(a2)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a2)/(b)は、繊維製品に付着した汚れの洗浄性がより高まる観点から、0.60以上、好ましくは0.70以上、そして、繊維製品に付着した汚れ部分を中心とした汚れ拡散を低減する観点から、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1.5以下、より更に好ましくは1.0以下である。
【0080】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(c)成分を、洗浄剤組成物が手に触れた時のぬめり感を抑制することができる観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2量%以下、より更に好ましくは1質量%以下、そして、洗浄性をより高める観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上含有する。
【0081】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比(b)/(c)は、洗浄剤組成物が手に触れた時のぬめり感を抑制することができる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上、より更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは3以上、より更に好ましくは3.5以上、より更に好ましくは4以上、より更に好ましくは4.5以上、より更に好ましくは5以上、そして、同じ観点から、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下である。
【0082】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(d)成分を、ぬめり感をより低減できる観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上、より更に好ましくは0.007質量%以上、より更に好ましくは0.01質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下含有する。
【0083】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、(a2)成分の含有量と(d)成分の含有量との質量比(d)/(a2)は、洗浄剤組成物が手に触れた時のぬめり感を抑制することができる観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、より更に好ましくは0.03以上、そして、同じ観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下、より更に好ましくは0.05以下である。
【0084】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、任意成分として、下記(e1)成分~(e3)成分を含有することができる。
(e1)成分:アミノ基及びヒドロキシル基を含む炭素数1以上8以下のヒドロキシルアミン化合物
(e2)成分:炭素数1以上9以下のカルボン酸又はその塩
(e3)成分:香料化合物、酸化防止剤、防腐剤、色素又はpH調整剤(但し、前記(a2)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e1)成分~(e2)成分を除く)
【0085】
(e1)成分において、アミノ基は、1級アミノ基及び2級アミノ基から選ばれる1種以上のアミノ基が好ましい。(e1)成分の具体例としては、モノエタノールアミン、モノ低級アルキル(炭素数1以上3以下)アミノモノエタノールアミン、モノ低級アルキル(炭素数1以上3以下)アミノジエタノールアミン、ジ低級アルキル(炭素数1以上3以下)アミノモノエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。(e1)成分は、本発明の第2の態様の洗浄剤組成物中のpHによりアンモニウムイオンとして含有しても良い。本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(e1)成分を、0.1質量%以上2質量%以下の範囲で含有することができる。
【0086】
(e2)成分の具体例としては、ギ酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、サリチル酸、安息香酸、及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。塩としてはナトリウム塩等のアルキル金属塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、(e2)成分を、0.1質量%以上3質量%以下の範囲で含有することができる。
【0087】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、水を含有する。水としては、イオン交換水、蒸留水、滅菌精製水、水道水又は次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩を0.1mg/kg以上5mg/kg以下含む水を使用することができる。
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物は、水を、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下含有する。
【0088】
本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物において、25℃におけるpHは、洗浄性能及び手肌感触の観点から、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、更に好ましくは7.0以上、より更に好ましくは7.5以上、そして、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下である。本発明の洗浄剤組成物のpHは、ガラス電極を用いて、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0089】
以下、本発明の第1の態様、第2の態様に共通して記載する。
【0090】
<繊維製品に付着した汚れの除去方法>
本発明の繊維製品に付着した汚れの除去方法は、本発明の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を繊維製品の汚れが付着した部分に含浸させた後、基材を用いて拭き取る方法、または本発明の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を基材に含浸させた後、繊維製品の汚れが付着した部分に前記含浸させた基材を用いて拭き取る方法である。
【0091】
本発明が対象とする繊維製品に付着した汚れは、例えば、食べ物、血液、化粧品に由来する染み汚れであり、食べ物に由来する染み汚れを対象とするのがより好ましい。基材を用いて拭き取る方法は、繊維製品に付着した染み汚れに基材を押し当てて、繊維製品に損傷を与えない範囲で外力を加えて、繊維製品に付着した染み汚れを基材に移し取ればよく、擦る、揉む、叩く、のいずれであってもよい。
【0092】
本発明の繊維製品に付着した汚れの除去方法に用いる基材は、不織布、織布、紙、スポンジなどをシート状に加工したものが挙げられるが、使い勝手の観点から、不織布をシート状に加工したものを用いるのが好ましい。
不織布を構成する繊維は、親水性繊維、及び疎水性繊維から選ばれる1種以上の繊維から構成されるものが好ましい。
本発明において、親水性繊維とは、標準状態の水分率(20℃、65%RH)が5%を超える繊維を指している。なお標準状態の水分率は、JISL 1013、JISL1015に規定される方法により測定される。また疎水性繊維とは、標準状態の水分率(20℃、65%RH)が5質量%以下の繊維を指す。
【0093】
疎水性繊維である化学繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0094】
親水性繊維としては、種子毛繊維(綿、もめん、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0095】
本発明に用いる不織布は、親水性繊維を含むことが好ましい。本発明に用いる不織布は、親水性繊維を、洗浄性をより高める観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下含む不織布が好適である。
【0096】
本発明に用いる不織布の曲げ剛性値(B値)は、洗浄性をより高める観点から、好ましくは0.10gf・cm2/cm以上、より好ましくは0.12gf・cm2/cm以上、更に好ましくは0.13gf・cm2/cm以上、より更に好ましくは0.15gf・cm2/cm以上、より更に好ましくは0.2gf・cm2/cm以上、そして、好ましくは3gf・cm2/cm以下、より好ましくは2gf・cm2/cm以下、更に好ましくは1gf・cm2/cm以下である。本発明において、曲げ剛性値は以下の方法により測定することができる。純曲げ試験機(例えば、KES-FB2(カトーテック株式会社製))を使用し、20cm×20cmの大きさに裁断した不織布を、曲率K=±2.5cm-1の範囲で等速度(変形速度0.5cm-1/sec.)の曲げ試験を行い、単位長さあたりの曲げ剛性B値(gf・cm2/cm)を算出する。曲げ試験は、縦方向と横方向で3か所ずつ実施し、縦方向と横方向のそれぞれの平均値を算出し、縦方向と横方向で、値の大きい方を曲げ剛性値(B値)とする。
【0097】
本発明に用いる不織布の坪量は、繊維製品に付着した汚れ部分を中心とした汚れ拡散を低減する観点から、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上、そして、好ましくは100g/m2以下、より好ましくは80g/m2以下、更に好ましくは60g/m2以下ある。
【0098】
<繊維製品用拭き取り洗浄シート>
本発明の繊維製品に付着した汚れの除去方法において、本発明の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を基材に含浸させた後、繊維製品の汚れが付着した部分に前記含浸させた基材を用いて拭き取る場合、前記洗浄剤組成物を基材、好ましくは不織布に含浸させた洗浄シートを用いて拭き取るのが好ましい。
すなわち、本発明の繊維製品用拭き取り洗浄シートは、本発明の洗浄剤組成物と、基材、好ましくは不織布とを含んでなる、洗浄シートである。本発明の洗浄シートは、繊維製品に付着した汚れの拭き取り用洗浄シートとして好適である。不織布は前記した態様のものを用いることができる。
前記洗浄剤組成物を基材、好ましくは不織布に含浸させる場合、基材、好ましくは不織布の質量に対する前記洗浄剤組成物の質量割合(含浸率(質量%))は、洗浄性をより高める観点から、好ましくは100質量%以上、より好ましくは200質量%以上、更に好ましくは250質量%以上、より更に好ましくは300質量%以上、より更に好ましくは350質量%以上、そして、繊維製品に付着した汚れ周辺部の残留性をより低くする観点から、好ましくは700質量%以下、より好ましくは600質量%以下、更に好ましくは550質量%以下、より更に好ましくは500質量%以下である。含浸率は、以下の式より算出する。
含浸率(質量%)=((洗浄剤組成物を含浸させた基材の質量)/(乾燥した基材の質量)-1)×100
【0099】
本発明の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物及びそれを用いた繊維製品用拭き取り洗浄シートは、繊維製品の食べ物などに由来した汚れが付着した部分を本発明の洗浄シートを用いて拭き取ることで、該汚れ部分の汚れ度合を低減させることができる。また本発明の第2の態様の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を用いた洗浄シートは、拭き取る際に、該洗浄シートに含浸された洗浄剤組成物に手が触れた時のぬめり感を低減することができる。
【0100】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を開示する。
【0101】
<1x>
下記(a1)成分を0.3質量%以上10質量%以下、下記(b)成分を0.1質量%以上、及び水を含有し、(a1)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a1)/(b)が、0.6以上50以下である、繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
(a1)成分:HLBが9以上16.0以下のノニオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b)成分:ClogPが-2.0以上1.0未満である水酸基を有する有機溶剤
【0102】
<2x>
(a1)成分が、(a11)HLBが9以上16.0以下のノニオン界面活性剤(以下、(a11)成分という)である、前記<1x>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0103】
<3x>
(a11)成分が、下記一般式(a11)で表されるノニオン界面活性剤であって、HLBが9以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上、より更に好ましくは10.5以上、より更に好ましくは11以上、そして、16.0以下、好ましくは15.0以下、より好ましくは14.5以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下であるノニオン界面活性剤である、前記<2x>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
R11a(CO)m1O-(A11aO)n1-R12a (a11)
〔式中、R11aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R12aは水素原子又はメチル基である。COはカルボニル基であり、m1は0又は1の数である。A11aO基はエチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。n1は平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。〕
【0104】
<4x>
一般式(a11)中、R11aが、炭素数9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは14以下である脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である、前記<3x>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0105】
<5x>
(a1)成分が、(a12)アニオン界面活性剤(以下、(a12)成分という)である、前記<1x>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0106】
<6x>
(a12)成分が、下記(a121)成分、(a122)成分、(a123)成分及び(a124)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、前記<5x>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
(a121)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a122)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a123)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤
(a124)成分:炭素数が10以上20以下の脂肪酸又はその塩(但し、(a123)成分を除く)
【0107】
<7x>
(b)成分のClogPが、好ましくは-1.6以上、より好ましくは-1.3以上、そして、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.2以下、より更に好ましくは0.1以下である、前記<1x>~<6x>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0108】
<8x>
(b)成分が、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上である、前記<1x>~<7x>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0109】
<9x>
前記組成物中に含まれる全界面活性剤中の(a1)成分の含有量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である、前記<1x>~<8x>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0110】
<10x>
(b)成分を、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下含有する、前記<1x>~<9x>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0111】
<11x>
(a1)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a1)/(b)が、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.80以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは2.0以上、より更に好ましくは3.0以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下である、前記<1x>~<10x>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0112】
<12x>
さらにClogPが1.0以上2.2以下である水酸基を有する有機溶剤[以下(c)成分という]を0.1質量%以上5質量%以下含有する、前記<1x>~<11x>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0113】
<13x>
(c)成分のClogPが、好ましくは1.1以上、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.4以下である、前記<12x>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0114】
<14x>
(c)成分を、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する、前記<12x>又は<13x>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0115】
<15x>
(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比(b)/(c)が、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下、より更に好ましくは4以下である、前記<12x>~<14x>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0116】
<1y>
下記(a2)成分を0.1質量%以上10質量%以下、下記(b)成分を0.1質量%以上、下記(d)成分、及び水を含有し、(a2)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a2)/(b)が、0.6以上50以下である、繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
(a2)成分:界面活性剤
(b)成分:ClogPが-2.0以上1.0未満である水酸基を有する有機溶剤
(d)成分:ケイ素化合物
【0117】
<2y>
(a2)成分が、(a21)ノニオン界面活性剤(以下、(a21)成分という)である、前記<1y>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0118】
<3y>
(a21)成分が、下記一般式(a21)で表されるノニオン界面活性剤であって、HLBが9以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上、より更に好ましくは10.5以上、より更に好ましくは11以上、そして、15以下、好ましくは14.5以下、より好ましくは14以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下であるノニオン界面活性剤である、前記<2y>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
R21a(CO)m2O-(A21aO)n2-R22a (a1)
〔式中、R21aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R22aは水素原子又はメチル基である。COはカルボニル基であり、m2は0又は1の数である。A21aO基はエチレンオキシ基を含む炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。n2は平均付加モル数であって、3以上50以下の数である。〕
【0119】
<4y>
一般式(a21)中、R21aが炭素数9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは14以下である脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である、前記<3y>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0120】
<5y>
前記組成物中に含まれる全界面活性剤中、(a21)成分の含有量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である、前記<2y>~<4y>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0121】
<6y>
(a2)成分が、(a22)アニオン界面活性剤(以下、(a22)成分という)である、前記<1y>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0122】
<7y>
(a22)成分が、下記(a221)成分、(a222)成分、(a223)成分及び(a224)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、前記<6y>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
(a221)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a222)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a223)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤
(a224)成分:炭素数が10以上20以下の脂肪酸又はその塩(但し、(a223)成分を除く)
【0123】
<8y>
(a2)成分を、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上、そして、好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4.5質量%以下含有する、前記<1y>~<7y>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0124】
<9y>
(b)成分が、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上である、前記<1y>~<8y>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0125】
<10y>
(a2)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a2)/(b)が、好ましくは0.70以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1.5以下、より更に好ましくは1.0以下である、前記<1y>~<9y>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0126】
<11y>
さらにClogPが1.0以上2.2以下である水酸基を有する有機溶剤[以下、(c)成分という]を0.1質量%以上5質量%以下含有する、前記<1y>~<10y>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0127】
<12y>
(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比(b)/(c)が、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上、より更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは3以上、より更に好ましくは3.5以上、より更に好ましくは4以上、より更に好ましくは4.5以上、より更に好ましくは5以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下である、前記<11y>に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【0128】
<13y>
(d)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上、より更に好ましくは0.007質量%以上、より更に好ましくは0.01質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下含有する、前記<1y>~<12y>の何れかに記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物。
【実施例】
【0129】
[試験例1]
洗浄剤組成物に配合した成分を以下に示す。
<(a1)成分>
(a1-1):ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:5、HLB:10.8、花王(株)製)
(a1-2):ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:6、HLB:11.7、花王(株)製)
(a1-3):ポリオキシエチレン(14)ラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:14.1、HLB:15.4、花王(株)製)
(a1-4):ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:12、HLB:14.8、花王(株)製)
(a1-5):アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル基:ラウリル基、関東化学(株)製)
(a1-6):アルキル硫酸エステルナトリウム(アルキル基:ラウリル基、和光純薬(株)製)
(a1-7):ポリオキシエチレン(2)アルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基:ラウリル基、オキシエチレン基の平均付加モル数:2、花王(株)製)
【0130】
<(a1’)成分:(a1)成分の比較化合物>
(a1’-1):ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:3、HLB:8.3、花王(株)製)
(a1’-2):ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:21、HLB:16.6、花王(株)製)
(a1’-3):ポリオキシエチレン(19)アルキルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:19、HLB:16.4、花王(株)製)
(a1’-4):ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド
【0131】
<(b)成分>
( )内の値は、Perkin Elmer社のChem Bio DrawUltra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出したClogPの計算値である。
(b1-1):エタノール(-0.24)
(b2-1):プロピレングリコール(-1.1)
【0132】
<(c)成分>
( )内の値は、Perkin Elmer社のChem Bio DrawUltra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出したClogPの計算値である。
(c-1):2-フェノキシエタノール(1.2)
【0133】
<任意成分>
(e-1):トリスヒドロキシメチルアミノメタン
(e-2):クエン酸
(e-3):苛性ソーダ(1質量%水溶液、pH調整剤として使用)
【0134】
<繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物の調製>
上記配合成分を使用して、表1、表2に記載の繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物を以下の通り調製した。100mLのガラス製ビーカーに(a1)成分、(a1’)成分、(b)成分、(c)成分、pH調整剤以外の任意成分を投入し、必要量の90質量%のイオン交換水(50℃)を入れ、スターラーピース(テフロン(登録商標)製、長さ3cm)を入れ、サランラップ(登録商標)で封をして10分間撹拌した。10分撹拌後に5℃の水が入ったウォーターバスに移し、内容物の温度が25℃になるまで撹拌しながら冷却した。ガラス製pH電極を備えたpHメーターを用いて、pH調整剤を添加し、所定のpHに調整した。内容物が100質量%となるようにイオン交換水を投入した。最終組成物のpHを測定し表1、表2に記載した。pHの測定方法は以下の通りである。なお表1、表2中、各配合成分の含有量は有効分量である。
【0135】
<pHの測定法>
pHメーター(HORIBA製pH/イオンメーター F-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入した。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用した。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬させた。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。測定対象となるサンプルを25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定した。
【0136】
<洗浄試験>
(1)試験布の前洗浄
市販のTCブロード(木綿/ポリエステル比=65/35、染色試材株式会社谷頭商店より購入)を1m×1mの大きさに裁断し、約1.5kgの質量となる枚数を用意した。市水にエマルゲン108(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、花王(株)製)を500mg/kgとなるように溶解し、全自動洗濯機(東芝製、型番AW-8D3M)で3回洗浄操作を行った。浴比は20、水温は15℃であった。その後、泡が出なくなるまで流水濯ぎを行い、乾燥させたものを使用した。
【0137】
(2)カレー汚染布の調製
前洗浄を行ったTCブロードを6cm×6cmに裁断し、3枚重ねたものに対し、50℃の恒温槽にて加温したカレー(SootThai Red Curry、カルディにて購入)50μlを直径1cmの円状に塗布し、23℃、50%RHの環境下で20分間静置した。3枚重ねたものの一番上の1枚をカレー汚染布として使用した。
【0138】
(3)洗浄試験方法
シート状のスパンレース不織布(レーヨン/ポリプロピレン/ポリエステル比=80/10/10、坪量60g/m2、150mm×100mm)に、不織布の質量に対し含浸率が350質量%となるように、表1、表2に記載の洗浄剤組成物を含浸させた湿式不織布を調製した。湿式不織布を用いて、カレー汚染布の汚れを付着させた面を50回拭き取り試験を行った。尚、湿式不織布による拭き取り試験において、繊維製品に付着した汚れと接触する一つの面で10回拭き取る毎に、湿式不織布の面を替えて拭き取る洗浄操作を行った。清拭後、カレー汚染布を25℃、60%RHの環境下で12時間静置した。
【0139】
(4)洗浄力評価方法
(4-1)汚れ除去率の評価方法
静置後のカレー汚染布について、汚れを付着させた面の反射率測定(日本電色工場(株)製、NF777、測定対象範囲:汚れ中心部の直径5mmの円)を行った。汚れ除去率は下式より算出し、異なるカレー汚染布3枚の測定の平均値を表1、表2に示した。なお、清拭前の反射率(Z値)をZa、清拭後のZ値をZb、白布のZ値をZoとする。
汚れ除去率(%)=(Zb-Za)/(Zo-Za)×100
汚れ除去率の値が高い程、洗浄力に優れることを意味し、汚れ除去率が70%以上のものが好ましい。
【0140】
(4-2)汚れ拡散率の評価方法
(3)の洗浄試験前後の布をスキャナー機(セイコーエプソン(株)製、型式GT-X820)を用いて画像解析を行った。汚れが付着した範囲の面積を求め、洗浄試験前の汚れの面積との比較を行い、汚れ拡散率を下式より算出した。異なるカレー汚染布3枚の汚れ拡散率の平均値を表1、2に示した。
汚れ拡散率(%)=(洗浄後の汚れ面積)/(初期の汚れ面積)×100
汚れ拡散率の値が小さい程、清拭により汚れが拡散していないことを意味し、汚れ拡散率が150%以下のものが好ましい。
【0141】
【0142】
【0143】
[試験例2]
洗浄剤組成物に配合した成分を以下に示す。
<(a2)成分>
(a2-1):ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数:5、HLB:10.8、花王(株)製)
(a2-2):アルキルトリメチルアンモニウムクロリド(アルキル基はラウリル基/ミリスチル基=70/30(質量比)の混合アルキル基)
【0144】
<(b)成分>
( )内の値は、Perkin Elmer社のChem Bio DrawUltra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出したClogPの計算値である。
(b1-1):エタノール(-0.24)
(b2-1):プロピレングリコール(-1.1)
【0145】
<(c)成分>
( )内の値は、Perkin Elmer社のChem Bio DrawUltra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出したClogPの計算値である。
(c-1):2-フェノキシエタノール(1.2)
【0146】
<(d)成分>
(d1-1):ジメチルポリシロキサンエマルション(有効分15質量%、DK Q1-1247、東レ・ダウコーニング(株)製)
(d1-2):シリコーン(KF-96 1万cs、信越化学(株)製)
(d2-1):シリカ粒子(AEROSIL200、日本アエロジル(株)製)
【0147】
<任意成分>
(e-1):トリスヒドロキシメチルアミノメタン
(e-2):クエン酸
(e-3):苛性ソーダ(1質量%水溶液、pH調整剤として使用)
【0148】
<繊維製品用拭き取り洗浄剤組成物の調製>
上記配合成分を使用して、表3、4に記載の洗浄剤組成物を以下の通り調製した。100mLのガラス製ビーカーに(a2)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、pH調整剤以外の任意成分を投入し、必要量の90質量%のイオン交換水(50℃)を入れ、スターラーピース(テフロン(登録商標)製、長さ3cm)を入れ、サランラップ(登録商標)で封をして10分間撹拌した。10分撹拌後に5℃の水が入ったウォーターバスに移し、内容物の温度が25℃になるまで撹拌しながら冷却した。ガラス製pH電極を備えたpHメーターを用いて、pH調整剤を添加し、所定のpHに調整した。内容物が100質量%となるようにイオン交換水を投入した。最終組成物のpHを測定し表3、4に記載した。pHの測定方法は試験例1と同じである。なお表3、4中、各配合成分の含有量は有効分量である。
【0149】
<洗浄試験>
(1)試験布の前洗浄
市販のTCブロード(木綿/ポリエステル比=65/35、染色試材株式会社谷頭商店より購入)を1m×1mの大きさに裁断し、約1.5kgの質量となる枚数を用意した。市水にエマルゲン108(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、花王(株)製)を500mg/kgとなるように溶解し、全自動洗濯機(東芝製、型番AW-8D3M)で3回洗浄操作を行った。浴比は20、水温は15℃であった。その後、泡が出なくなるまで流水濯ぎを行い、乾燥させたものを使用した。
【0150】
(2)カレー汚染布の調製
前洗浄を行ったTCブロードを6cm×6cmに裁断し、3枚重ねたものに対し、50℃の恒温槽にて加温したカレー(SootThai Red Curry、カルディにて購入)50μlを直径1cmの円状に塗布し、23℃、50%RHの環境下で20分間静置した。3枚重ねたものの一番上の1枚をカレー汚染布として使用した。
【0151】
(3)洗浄試験方法
シート状のスパンレース不織布(レーヨン/ポリプロピレン/ポリエステル比=80/10/10、坪量60g/m2、150mm×100mm)に、不織布に対して表3に記載の含浸率となるように、表3、4に記載の洗浄剤組成物を含浸させて、繊維製品用拭き取り洗浄シートを調製した。該洗浄シートを用いて、カレー汚染布の汚れを付着させた面を50回拭き取り試験を行った。尚、該洗浄シートによる拭き取り試験において、繊維製品に付着した汚れと接触する一つの面で10回拭き取る毎に、該洗浄シートの面を替えて拭き取る洗浄操作を行った。清拭後、カレー汚染布を25℃、60%RHの環境下で12時間静置した。
【0152】
(4)洗浄力評価方法
静置後のカレー汚染布について、汚れを付着させた面の反射率測定(日本電色工場(株)製、NF777、測定対象範囲:汚れ中心部の直径5mmの円)を行った。汚れ除去率は下式より算出し、異なるカレー汚染布3枚の測定の平均値を表3、4に示した。なお、清拭前の反射率(Z値)をZa、清拭後のZ値をZb、白布のZ値をZoとする。
汚れ除去率(%)=(Zb-Za)/(Zo-Za)×100
汚れ除去率の値が高い程、洗浄力に優れることを意味し、汚れ除去率が70%以上のものが好ましい。
【0153】
(5)ぬめり性評価方法
調製した各繊維製品用拭き取り洗浄シートを親指と人差し指で摘まみ、10回指を左右にずらして、該洗浄シートを擦った。シートを離した直後と、10秒後の親指と人差し指のぬめり度合を下記の基準で点数をつけ、ぬめり性を評価した。3人で評価を行い、3人の評価点の平均値を表3、4に示した。評価点が小さい程、ぬめり感が低減できていることを意味する。
評価基準(点数)
5:直後も10秒後も強くヌメリを感じる
4:直後は強くヌメリを感じ、10秒後は僅かにヌメリを感じる
3:直後は僅かにヌメリを感じ、10秒後も僅かにヌメリを感じる
2:直後は僅かにヌメリを感じるが、10秒後は全くヌメリを感じない
1:直後から全くヌメリを感じない
【0154】
【0155】