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特許7463102人の日常生活動作を監視するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】人の日常生活動作を監視するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240401BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240401BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240401BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20240401BHJP
【FI】
G08B25/04 K
A61B5/11 200
G08B21/02
G16H80/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019520713
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2017076465
(87)【国際公開番号】W WO2018073241
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】16194723.9
(32)【優先日】2016-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】レンセン カース‐ミシェル ヒュベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルト ムルタザ
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-274296(JP,A)
【文献】特開2014-236495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027278(US,A1)
【文献】国際公開第2016/113162(WO,A1)
【文献】特開2015-153156(JP,A)
【文献】特開2015-109044(JP,A)
【文献】特開2002-083387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/0538
5/06-5/398
9/00-10/06
G06Q50/22
G08B19/00-31/00
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境内の人物の日常生活動作(ADL)を監視するためのシステムであって、前記環境が、制御システムを介して前記人物によって制御可能な対象物を含み、前記対象物が、ADLの実行のために使用されるよう構成される、ライトを含み、前記システムは、
前記対象物を制御するために前記制御システムによって生成された1つ以上の制御信号から直接制御システム使用データを取得するよう構成されるデータ収集ユニットであって、前記制御システムが、照明制御システム又はスマートホーム制御システムであり、前記制御システム使用データは、前記制御システムによって生成及び発行された照明コマンドから取得される照明使用データを含む、データ収集ユニットと、
取得された前記制御システム使用データに基づいて、前記人物のADLイベントを判定するよう構成される、データ分析ユニットと、
を備え
前記データ分析ユニットは、取得された前記制御システム使用データを分析して、前記ライトの起動の順序又はシーケンスを検出し、前記環境を通る、前記人物の移動を推測し、該推測された移動から、前記人物の1つ以上の動作を演繹する、システム。
【請求項2】
環境内の人物の日常生活動作(ADL)を監視するためのシステムであって、前記環境が、制御システムを介して前記人物によって制御可能な対象物を含み、前記システムは、
前記対象物を制御するために前記制御システムによって生成された1つ以上の制御信号から直接制御システム使用データを取得するよう構成されるデータ収集ユニットであって、前記制御システムが、照明制御システム又はスマートホーム制御システムであり、前記制御システム使用データは、前記制御システムによって生成及び発行された照明コマンドから取得される照明使用データを含む、データ収集ユニットと、
取得された前記制御システム使用データに基づいて、前記人物のADLイベントを判定するよう構成される、データ分析ユニットと、
判定された前記ADLイベントと、前記人物の以前に判定されたADLイベントに関する履歴データとに基づいて、前記人物の能力又は動作の経時的な傾向を決定するよう構成される、監視ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項3】
前記監視ユニットが、決定された前記傾向における不規則性を検出するよう構成され、前記監視ユニットが、検出された前記不規則性に応答してアラート信号を生成するよう構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記監視ユニットが、前記決定された傾向と閾値との比較に基づいて、不規則性を検出するよう構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記閾値が、
前記人物の以前に判定された1つ以上のADLイベント、及び
前記人物のADLイベントにおける以前に決定された1つ以上の変化のうちの、少なくとも一方に基づいて決定される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記データ分析ユニットが、前記人物の前記判定されたADLを、動作データベース内に記憶するよう構成され、前記データ分析ユニットが、前記動作データベースにおける不規則性を検出し、検出された前記不規則性に応答して、警告信号を生成するよう構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記データ分析ユニットが、前記動作データベースにおけるADLの頻度を判定するよう構成され、前記検出された不規則性が、前記頻度の変化に依存している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記環境及び前記対象物のうちの少なくとも1つの特性の値を検出して、検出された前記値を表すセンサ出力信号を生成するよう構成される、センサを備え、
前記データ分析ユニットが、前記検出された値に基づいて、前記人物の前記ADLイベントを判定するよう構成される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記判定されたADLイベントに基づいて、前記対象物を制御するための制御信号を生成するよう構成される、制御ユニットを備える、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記対象物が、ADLの実行のために使用されるよう構成される、ライト又は家庭電化製品を含む、
請求項乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記人物の前記判定されたADLイベントに基づいて、グラフィック要素を修正するための表示制御信号を生成するよう構成され、
前記システムが、
生成された前記表示制御信号に従って前記グラフィック要素を表示するよう構成される、表示システムを備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記人物の前記判定されたADLが、飲食、調理、投薬、睡眠、排泄、入浴、及び洗濯を含む群から取得されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
環境内の人物の日常生活動作(ADL)を監視するための方法であって、前記環境が、制御システムを介して前記人物によって制御可能な対象物を含み、前記対象物が、ADLの実行のために使用されるよう構成される、ライトを含み、前記方法は、
前記対象物を制御するために前記制御システムによって生成された1つ以上の制御信号から直接制御システム使用データを取得するステップであって、前記制御システムが、照明制御システム又はスマートホーム制御システムであり、前記制御システム使用データは、前記制御システムによって生成及び発行された照明コマンドから取得される照明使用データを含む、ステップと、
取得された前記制御システム使用データに基づいて、前記人物のADLイベントを判定するステップであって、取得された前記制御システム使用データを分析して、前記ライトの起動の順序又はシーケンスを検出し、前記環境を通る、前記人物の移動を推測し、該推測された移動から、前記人物の1つ以上の動作を演繹する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
環境内の人物の日常生活動作(ADL)を監視するための方法であって、前記環境が、制御システムを介して前記人物によって制御可能な対象物を含み、前記方法は、
前記対象物を制御するために前記制御システムによって生成された1つ以上の制御信号から直接制御システム使用データを取得するステップであって、前記制御システムが、照明制御システム又はスマートホーム制御システムであり、前記制御システム使用データは、前記制御システムによって生成及び発行された照明コマンドから取得される照明使用データを含む、ステップと、
取得された前記制御システム使用データに基づいて、前記人物のADLイベントを判定するステップと、
判定された前記ADLイベントと、前記人物の以前に判定されたADLイベントに関する履歴データとに基づいて、前記人物の能力又は動作の経時的な傾向を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
環境内の人物の日常生活動作(ADL)を監視するための、コンピュータプログラムであって、前記環境が、制御システムを介して前記人物によって制御可能な対象物を含み、前記コンピュータプログラムは、コンピュータ可読プログラムコードが具現化されているコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードが、請求項13又は14に記載のステップの全てを実行するよう構成される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の日常生活動作を監視するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の健康状態、身体的能力、知的能力、あるいは、負傷、入院、及び治療後の回復の、機能的評価若しくは監視は、老年医学、リハビリテーション及び理学療法、神経学及び整形外科学、看護及び高齢者介護を含めた殆どの医療部門において、主要な関心事項である。
【0003】
個人の機能的能力は、実際には環境特異的であり、これは、慣れ親しんだ環境に被験者がいる場合、混乱が低減されることにより、機能が向上するためであることが、調査により見出されている。また、一回限りの機能の評価も、1日又は数日間にわたる機能的パフォーマンスの変動性の評価を可能にするものではなく、機能喪失の後の特定の臨床サービス及び治療(リハビリテーションなど)の妥当性を判定する際に重要な、変化の評価も可能にしない。
【0004】
それゆえ、自宅又は慣れ親しんだ環境内で人の自立機能を評価又は監視することが好ましいという、見解の一致が存在する。
【0005】
自立機能のレベルは、一般に、日常生活動作(Activities of Daily Living;ADL)が実行される際の質によって示される。ADLとは、人々が1日の間に実行する最も一般的な動作を指す。それゆえ、ADLにおける質の低下は、必要とされる介護に関する指標であり得る。例えば、1つ以上のADLの規則的パフォーマンスにおける異常は、特別な注意を促す警告としての機能を果たすことができる。
【0006】
個人が自分の家又は慣れ親しんだ環境内で自立して生活する際に、その個人のADLを監視するための、デバイス及びシステムが開発されてきた。例えば、人の日常生活動作を検出するための、1つのそのような既知のシステムは、(i)その人物の動作及び挙動についての情報を収集する、センサシステム、(ii)ADL挙動の判定のためにセンサ信号を解釈する、インテリジェンス(又は、情報処理)システム、及び(iii)解釈された(処理された)情報を介護者が検査することを可能にする、ユーザインタフェースシステムの、3つの主要構成要素を備える。インテリジェンスシステムは、典型的には、当該技術分野において人工知能として既知の、計算機技術を利用する。このシステムは、データの収集、伝送、及び記憶に関する、従来技術によってサポートされてもよい。
【0007】
環境内の人物の日常生活動作、すなわちADLを監視するための、システム及び方法が、国際公開第2016/113162(A1)号で説明されている。開示されるシステムは、人及び環境のうちの少なくとも一方の特性の検出値を表す、センサ出力信号を受信して、その人物の推測されたADLを表す推測ADL出力信号を生成するよう構成される、ADL推測ユニットを備える。受信されたセンサ出力信号及び推測ADL出力信号のうちの少なくとも一方に応じて、監視信号を生成するように、監視ユニットが構成されている。同様のシステム及び方法が、米国特許出願公開第2008/001735(A1)号、欧州特許第0 558 975(A1)号、及び米国特許出願公開第2004/030531(A1)号で開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、実際には、現実の介護事例で起こり得る広範な変動によって、大きな困難に直面する。日常生活で生じ得る非常に多くの可能な事態、状況、及び背景事情が存在しているため、特定の動作の識別を可能にするための、人の動作についての十分な情報を捕捉することを目的として、多数のセンサを採用することが一般的である。しかしながら、このことは、典型的にはコストを増大させるものであり、それゆえ望ましくない場合がある。
【0009】
また、監視対象の人物の身体的能力及び/又は知的能力は、経時的に変化する(例えば、減退又は低下する)場合もある。結果として、何らかの形態の支援、介助、管理が、いつ必要とされ得るかを決定することは、困難となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、請求項によって定義される。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、環境内の人物の日常生活動作、すなわちADLを監視するためのシステムであって、環境が、制御システムを介して人物によって制御可能な対象物を含み、本システムは、制御システムから制御データを取得するよう構成されるデータ収集ユニットであって、制御データが、対象物を制御するために制御システムによって生成された1つ以上の制御信号に基づく、データ収集ユニットと、取得された制御データに基づいて、人物のADLイベントを判定するよう構成される、データ分析ユニットとを備える、システムが提供される。
【0012】
実施形態は、人を監視するためのシステムが、環境制御システム(例えば、「スマートホーム」制御システムなど)によって生成された制御信号から、使用データを直接取得するよう構成されてもよいという洞察に基づき得る。それゆえ、多数のセンサを採用して、センサデータを使用することを試みるのではなく、提案される実施形態は、制御システムによって生成されたデータ(例えば、制御データ)を使用してもよい。制御システムから直接データを使用することによって、実施形態は、複雑かつ/又は高価なセンサ構成に依存することなく、人物のADLについての情報を判定(例えば、推測)してもよく、それによりコストを削減してもよい。また、実施形態は、監視対象の環境内にセンサを設置、コミッショニング、及び/又は保全する必要性を回避してもよい。
【0013】
それゆえ、或る人物のADLは、1つ以上の対象物を制御するために人物によって使用される制御システムから取得される、使用データから推測されてもよい。例えば、「スマートホーム」制御システムは、監視対象の住居環境内の照明及び/又は電化製品を制御するよう構成されてもよく、スマートホーム制御システムによって生成された実際の制御信号に基づく制御データが、制御システムを使用する人物の1つ以上のADLを判定するために分析されてもよい。例えば、制御システムによって生成及び発行された照明コマンドから、照明使用データが取得されてもよく、そのような照明使用データは、人物のADLを推測するために分析されてもよい。このようにして、ADLを判定及び監視するために、追加的なセンサ及び/又はモニタ(光スイッチモニタ又は光センサなど)は必要とされなくてもよい。
【0014】
更なる説明として、ADLは、人が定期的に実行する基本的動作に関係している。日常生活動作の例としては、飲食、調理、投薬、睡眠、排泄、入浴、洗濯、ウォーキングなどの任意の種類の運動、読書若しくはTV視聴などの余暇活動、及び他の多くのものなどが挙げられる。
【0015】
それゆえ、実施形態は、或る人物のADLについての情報を、非侵入的な方式で(例えば、人物が、センサを着用、操作、又は他の方式で採用することを必要とせずに)提供してもよい。実施形態はまた、例えば新規又は追加的なセンサが設置されることを必要とせずに、単純かつ実装が容易な方式でADL(調理、摂食、運動、ドアを開けることなど)を監視するための、方法を提供してもよい。
【0016】
一部の実施形態は、判定されたADLイベントと、人物の以前に判定されたADLイベントに関する履歴データとに基づいて、人物の能力又は動作の傾向を決定するよう構成される、監視ユニットを更に備えてもよい。
【0017】
それゆえ、或る人物の検出又は判定されたADLを使用して、身体的能力又は知的能力の傾向を特定することによって、人物の身体的能力又は知的能力を監視する構想が提案されてもよい。現在感知又は判定されているADLを、以前に判定された1つ以上のADLと共に使用することによって、ADL(又は、ADLの特性)の傾向、変化、又は推移が特定されてもよい。例えば、検出されたADL(又は、ADLパラメータ値)の一貫した変化又はパターンを経時的に検出することによって、人物の(身体的若しくは知的)能力又は動作の傾向が推測されてもよく、このことから、現在及び/又は将来の介護/介助/支援の要件が決定されてもよい。それゆえ、制御システムから(センサからではなく)直接取得された制御データから判定される、現在のADL及び履歴ADLに基づいて、人物の能力又は動作の傾向を決定する構想が提案されてもよい。例えば、人の身体的能力又は知的能力を推測するために、人物の推測ADL(又は、ADL特性の値)が使用されてもよく、このことは、人物の身体的能力又は知的能力の経時的な監視を可能にするために、長期間(数時間、数日、数週間、数ヶ月、又は数年など)にわたって、多くの回数で実施されてもよい。更には、現在の時間枠、後続の時間枠、及び/又は先行の時間枠にわたる、人物の身体的能力若しくは知的能力の傾向を推定するために、所定の時間枠(例えば、1週間又は1ヶ月)にわたる検出ADLパラメータ値(例えば、反応時間、移動速度など)が使用されてもよい。
【0018】
それゆえ、人の身体的能力又は知的能力の傾向は、監視対象の環境内で複雑かつ/又は高価なセンサ構成を採用することなく、推測されてもよい。このことは、ADL監視システムの、関連コスト及び/又は複雑性を低減するために役立ち得る。例えば、従来のADL監視システムは、冷蔵庫上に設置されたセンサ(例えば、開閉センサ)、食卓用刃物類/食品を保持する戸棚/引き出し内に設置されたセンサ、調理機器上の電力センサ、台所内のユーザの存在を検出するための存在センサ、食卓の座席内に設置された圧力センサなどを採用することによって、飲食を検出又は監視するよう構成される場合がある。逆に、実施形態は、複数のセンサ(及び、それらの対応の信号の複合的な信号処理)の必要性を回避してもよく、その代わりに、監視対象の環境内の1つ以上の対象物を制御するよう構成される制御システムから直接取得される制御データを、単純に採用してもよい。
【0019】
例えば、(照明制御システムによって発行される特定の制御信号/コマンド間のタイミングから推測されるような)人物の移動の速さ又は速度の減退/減少の傾向は、人物の身体的な力若しくは速度を推測及び監視するために使用されてもよく、また更に、支援又は介助が必要とされることになる段階まで、人物の身体的な力若しくは速度が減退する、将来の時点を特定してもよい。別の例として、(プロンプト又は信号と、人物からの応答との間の、経過時間に基づいて検出されるような)人物の反応時間の増大の傾向は、コマンドに応答する際の、人物の身体的能力若しくは知的能力を、識別及び監視するために使用されてもよく、また更に、追加的な支援又は介助が必要とされることになるレベルまで、人物の能力が低下する、将来の時点を特定してもよい。例えば、望ましくない事例若しくは最悪の事例の結果を試行及び特定する(またそれゆえ、防止又は回避する)ために、予測分析が採用されてもよい。このことは、適切なタイミングで介入を可能にすることによって、(例えば、健康管理システムにおける)コスト削減をもたらすために役立ち得る。それゆえ、実施形態は、監視対象の人物の将来の要件を特定するために有用であってもよく、このことは、提案される実施形態によって決定される傾向の外挿を介して達成されてもよい。
【0020】
それゆえ、実施形態は、対象物に関する制御システムによって発行された制御信号/コマンドに基づいて、対象物の動作(例えば、照明、電化製品、又は制御可能な家具、暖房、空調の使用)を分析して、対象物の使用の頻度、速度、パターン、又は容易性における変化などの、検出された動作の変化から、傾向を推測することによって、人の身体的能力又は知的能力の監視を可能にしてもよい。
【0021】
一部の実施形態では、監視ユニットは、決定された傾向における不規則性を検出するよう更に構成されてもよい。例えば、監視ユニットは、決定された傾向と閾値との比較に基づいて、不規則性を検出するよう構成されてもよい。例えば、このことは、人物が、熱いシャワーが流れている状態の浴室内に過度に長く滞在している場合には、例えば、浴室内で人物が具合が悪くなっていることを示す、警報が発せられてもよいという利点をもたらし得る。例として、一部の実施形態では、閾値は、人物の以前に決定された1つ以上のADLイベント、及び、人物のADLイベントにおける以前に決定された1つ以上の変化のうちの、少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。
【0022】
不規則性を検出するために、監視ユニットは、決定された傾向と閾値との比較を実施してもよい。例えば、監視ユニットは、決定された傾向を閾値と比較し、次いで、決定された傾向が閾値を超える場合にはアラート信号を生成する、データ処理ユニットを採用してもよい。閾値は、予めプログラムされ、固定されてもよいが、ユーザ選好によって閾値が設定されることを可能にすることが、好ましい場合もある。また、閾値は、将来の値に関連してもよく、傾向は、将来の閾値と外挿値との比較のために外挿されてもよい。このことは、例えば、将来いつ閾値が超えられ得るかを、特定し得る。
【0023】
一実施形態では、監視ユニットは、決定された傾向に基づいて、推定される将来の特性の値を算出するように更に構成されてもよく、監視ユニットは、推定された将来の特性の値と閾値との比較に基づいて不規則性を検出し、検出された不規則性に応答してアラート出力信号を生成するように更に構成されてもよい。
【0024】
実施形態は、1つ以上のアラート条件を定義又は修正するためのユーザ入力を受信するよう構成される、ユーザ入力インタフェースを更に備えてもよく、監視ユニットは、決定された傾向及び1つ以上のアラート条件に基づいて、アラート出力信号を生成するよう構成されてもよい。
【0025】
更には、閾値は、以前に検出されたADL(又は、そのパラメータ値)、及び/又は、人物のADLの以前に決定された傾向に基づいてもよい。例えば、閾値は、その特性の1つ以上の以前の検出値、及び、その特性の値における以前に決定された1つ以上の変化のうちの、少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。換言すれば、閾値は、外れ値又は異常を識別するために使用されることができるように、検出値の履歴、及び/又は、特性の値における変化の履歴を考慮することによって、定義されてもよい。
【0026】
本システムの更なる実施形態では、データ分析ユニットは、人物の決定されたADLを、動作データベース内に記憶するよう更に構成されてもよい。それゆえ、以前に判定されたADL(又は、ADLの特性の値)は、例えば履歴データベース内に記憶され、次いで、その後の計算に使用されてもよい。更には、現在検出されているADL又は値は、以前に決定された傾向を再計算又は精緻化するために使用されてもよい。
【0027】
それゆえ、人物の動作の挙動パターンが記憶されてもよい。このパターンの変移は、人物が介助を必要としていることを示し得る。例えば、人は、定期的なシャワーを浴びることを忘れ始める場合があり、このことは、その家の照明制御システムによって、監視対象の家のシャワー室に発行される、照明コマンド信号の頻度の傾向から推測されてもよい。
【0028】
データ分析ユニットは、動作データベースにおける不規則性を検出するよう更に構成されてもよい。例えば、判定されたADLに時間情報を追加することによって、それらの動作の合間に費やされた時間が決定されてもよい。この時間情報を使用して、その動作の頻度が決定されてもよい。例えば、判定された動作「温かい食事を用意すること」の頻度は、「1日に1回」又は「週に5回」であってもよい。その場合、動作データベースにおける不規則性は、例えば、判定された「温かい食事を用意すること」の動作の合間に費やされた時間が、増大していることであってもよい。例えば、費やされた平均時間が、動作プロファイルからのデータを使用して決定されてもよい。判定された2つの連続的な「温かい食事を用意すること」の動作の合間に費やされた時間が、例えば、費やされた平均時間の1.5倍よりも大きい場合、このことは、不規則性を示すものである。
【0029】
更なる実施形態では、データ分析ユニットは、検出された不規則性に応答して、警告信号を生成するように更に構成されてもよい。この不規則性は、人物が介助を必要としていることを示し得る。更なる実施例では、医師、介護者、家族、又は近親者は、その人物を訪問するように、本システムによって(アラート信号を使用して)勧告されてもよい。更なる実施形態では、警告信号は、その人物自身に提供されてもよい。例えば、警告信号は、その人物に特定の薬剤を服用するように勧告する、フィードバック信号であってもよい。
【0030】
実施形態は、生成されたアラート又は警告信号を、人物、医師、及び介護者のうちの、少なくとも1人に提供するよう構成されてもよい。
【0031】
実施形態は、判定されたADLイベントに基づいて、対象物を制御するための制御信号を生成するよう構成される、制御ユニットを更に備えてもよい。このようにして、実施形態は、制御システムによって使用されるために好適な制御信号を提供するよう構成されてもよく、それにより、実施形態は、制御システム(またそれゆえ、制御システムによって制御される対象物)の動作を修正又は制御することが可能となる。例えば、監視の域を超えて、実施形態はまた、取得された制御データに基づいて、(制御システムによって通常制御されている)対象物/デバイスを制御してもよい。このことは、対象物に対して制御信号を生成及び通信することにより、対象物の動作を制御する(例えば、変更する、修正する、又は適合させる)ことによって、直接行われてもよく、あるいは、制御システムに信号を通信することにより、それに応答して制御システムに対象物を制御させることによって、間接的に行われてもよい。このようにして、(ライトなどの)対象物の動作は、取得された制御データに基づいて、(例えば、照明条件を変更するように)構成されてもよい。
【0032】
例として、対象物は、ADLの実行のために使用されるよう構成される、照明デバイス又は家庭電化製品を含み得る。また、制御システムは、スマートホーム内のライト及び/家庭電化製品の1つ以上の動作を制御するよう構成される、スマートホーム制御システムであってもよい。
【0033】
一実施形態は、人物の判定されたADLイベントに基づいて、グラフィック要素を修正するための表示制御信号を生成するよう更に構成されてもよく、本システムは、生成された表示制御信号に従ってグラフィック要素を表示するよう構成される、表示システムを更に備えてもよい。このようにして、ユーザ(介護者など)は、判定されたADLについての情報を受信及び表示することが可能な、適切に構成された表示システムを有してもよく、人物は、ユーザからリモートに配置されてもよい。それゆえ、実施形態は、ユーザが、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯電話、PDAなどのポータブル表示デバイスを使用して、リモートで人を監視することを可能にしてもよい。
【0034】
一実施形態によるシステムの全て又は一部は、1つ以上のデータ処理ユニットを含み得ることが理解されるであろう。例えば、データ分析ユニットは、人物のADLを(制御システムから取得された使用データに基づいて)判定するためにデータ処理を実施するよう構成される、単一のプロセッサを使用して実装されてもよい。データ分析ユニットは、制御システムからリモートに配置されてもよく、制御システムによって発行された制御信号を表す制御データは、通信リンクを介してデータ分析ユニットに通信されてもよい。
【0035】
本システムは、データ分析ユニットを含むサーバデバイスと、データ収集ユニットを含むクライアントデバイスとを更に備えてもよい。それゆえ、専用のデータ処理手段が、人物のADLを判定する目的のために採用されてもよく、それにより、本システムの他の構成要素又はデバイスの、処理要件若しくは処理能力を低減してもよい。
【0036】
本システムは、クライアントデバイスを更に備えてもよく、このクライアントデバイスは、データ分析ユニット及び表示システムを含む。換言すれば、ユーザ(介護者など)は、人物のADLを判定するために、受信された制御システム使用データを処理する、適切に構成されたクライアントデバイス(ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯電話、PDAなど)を有してもよい。
【0037】
それゆえ、制御信号が生成又は発行される場所とは異なる場所で、処理がホストされてもよい。例えば、電力効率の理由のために(例えば、バッテリ寿命を向上させるため)、処理の一部を制御システムの場所で実行し、それにより、関連コスト、処理電力、送信要件などを低減することが有利であり得る。
【0038】
実施形態はまた、処理負荷の一部が、システム全体にわたって分散されることを可能にしてもよい。例えば、前処理は、制御システムにおいて実施されてもよい。あるいは、又は更に、通信ゲートウェイにおいて処理が実施されることも可能である。一部の実施形態では、リモートのゲートウェイ又はサーバで処理が実施されてもよく、それにより、エンドユーザ又は出力デバイスから処理要件を譲渡してもよい。そのような処理及び/又はハードウェアの分散は、(例えば、複雑又は高価なハードウェアを好適な場所に集中化することによって)保全能力の向上を可能にし得る。また、計算負荷及び/又はトラフィックが、ネットワーク化されたシステム内で、利用可能な処理能力に従って設計又は配置されることも可能にし得る。好ましい手法は、制御信号をローカルで処理して、抽出された制御データを、リモートサーバにおける完全な処理のために送信することであってもよい。
【0039】
それゆえ、処理能力は、処理リソースの所定の制約及び/又は可用性に従って、システム全体にわたって種々の方式で分散されてもよい点が理解されるであろう。
【0040】
本発明の別の態様によれば、環境内の人物の日常生活動作、すなわちADLを監視するための方法であって、環境が、制御システムを介して人物によって制御可能な対象物を含み、この方法は、制御システムから制御データを取得するステップであって、制御データが、対象物を制御するために制御システムによって生成された1つ以上の制御信号に基づく、ステップと、取得された制御データに基づいて、人物のADLイベントを判定するステップとを含む、方法が提供される。
【0041】
この監視の非侵入的な特徴は、センサによる感知又は監視によってはなく、制御システムの制御データ(例えば、使用)を分析することによって実現される。
【0042】
更なる実施形態では、この方法は、判定されたADLイベントと、人物の以前に判定されたADLイベントに関する履歴データとに基づいて、人物の能力又は動作の傾向を決定するステップを更に含んでもよい。
【0043】
本発明の更に別の態様によれば、環境内の人物の日常生活動作、すなわちADLを監視するための、コンピュータプログラム製品であって、環境が、制御システムを介して人物によって制御可能な対象物を含み、このコンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化されているコンピュータ可読記憶媒体を含み、このコンピュータ可読プログラムコードが、環境内の人物の日常生活動作、すなわちADLを監視するための方法の実施形態のステップの全てを実行するようにコンフィギュレーションされている、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0044】
一実施形態では、一実施形態によるコンピュータプログラム製品と、コンピュータプログラム製品のコンピュータ可読プログラムコードの実行によって、一実施形態による方法を実行するようにコンフィギュレーションされている、1つ以上のプロセッサとを備える、コンピュータシステムが提供されてもよい。
【0045】
更なる態様では、本発明は、命令を含むコンピュータ可読非一時的記憶媒体であって、この命令が、処理デバイスによって実行されると、一実施形態による環境内の人物の日常生活動作、すなわちADLを監視するための方法のステップを実行する、コンピュータ可読非一時的記憶媒体に関する。
【0046】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以降で説明される実施形態から明らかとなり、それらの実施形態を参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
次に、本発明の諸態様による実施例が、添付図面を参照して詳細に説明される。
図1】一実施形態による、環境内の人物のADLを監視するためのシステムの簡略ブロック図である。
図2】別の実施形態による、環境内の人物のADLを監視するためのシステムの簡略ブロック図である。
図3】一実施形態による、環境内の人物のADLを監視するための方法のフロー図である。
図4】一実施形態の1つ以上の部分が採用されてもよい、コンピュータの簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
環境内の人物の日常生活動作、すなわちADLを監視するための構想が提案され、この構想は、例えば、その人物のウェルビーイング(well-being)を目立たないように監視する目的のために有用であり得る。そのような人物としては、例えば、身体障碍者、高齢者、負傷者、医療患者などを挙げることができる。高齢者とは、50歳超、65歳超、70歳超、又は80歳超の人物を意味することができる。
【0049】
例示的実施形態は、病院、病室、介護施設、自宅などの、多くの異なるタイプの監視環境において利用されてもよい。例示的実施形態の要素及び機能性の説明に関する文脈を提供するために、以降では、それら例示的実施形態の諸態様が、どのように実装されてもよいかの例として、図が提供される。それゆえ、これらの図は単なる実施例であり、本発明の諸態様又は実施形態が実装されてもよい環境、システム、若しくは方法に関して、いかなる制限も主張又は暗示することを意図するものではない点を理解されたい。
【0050】
多くの介護状況では、或る人物が実行しているADLについて、通知される必要がある点が認識されている。また異常が発生した場合に、アラートが発せられる必要があってもよい。異常のタイプは、事例ごとに異なり得る。大きいクラスの異常は、その人物のADLルーチンにおける逸脱に関する。例えば、平均回数を上回る夜間のトイレ訪問。より重大な事件、例えば、その人物による転倒は、別のクラスを形成する。動作の(減退)傾向が検出されるべき場合には、更に精緻化されたアルゴリズムもまた必要とされ得る。
【0051】
例として、ADLは、以下を含んでもよい:
(i)投薬
a.その高齢者は、適切な時点に適切な方式で自身の薬を服用しているか?
(ii)睡眠
a.その高齢者は、十分かつ安らかに睡眠しているか?
(iii)飲食
a.その高齢者は、十分かつ規則的に摂食しているか?
b.自分で食事を用意しているか?
(iv)身体活動
a.その高齢者は、日中は活動的であるか?
b.座ったままの挙動は殆どないか?
(v)排泄
a.その高齢者は、通常の方式で排泄しているか?
b.夜間にトイレを頻繁に訪問しているか?
(vi)入浴
a.その高齢者は、適切に入浴しているか?
(vii)在宅/外出
a.その高齢者は、外出しているか?
(viii)周囲の気候
a.環境は「清浄」であるか?
b.例えば、温度は適切であるか、CO2レベルは健全であるか?
(ix)その他
【0052】
上記の例示的なADLに基づいて、以下の実施例の警告及びアラートは、以下のものであってもよい:
A.活動のサイン、又は無活動のサイン
B.危険と見なされる部屋内にいる(例えば、高齢者が認知症を患っている場合に、台所内に独りでいる)こと
C.夜間などの予想外の時点に外出すること
D.トイレ訪問の異例な頻度又は異例な持続時間
E.入浴の異例な持続時間
F.睡眠の短縮化
G.活動の低下
H.その他
【0053】
それゆえ、本発明の実施形態は、或る人物のADLが検出及び/又は監視されることを、可能にすることを対象とする。このことは、例えば、その人物が介助を必要としていることを示すことが可能な、アラートシステム又は警告システムに関するアラート信号を生成するために使用されてもよい。
【0054】
実施形態は、環境制御システム(例えば、「スマートホーム」制御システムなど)によって生成された制御信号が、ADLを推測するために使用されることができるという洞察に基づく。それゆえ、センサを採用して、そのセンサデータを使用することを試みる代わりに、提案される実施形態は、或る人物のADLイベントを判定するために、制御システムからデータ(例えば、制御データ)を直接取得して、次いで、そのようなデータを分析してもよい。制御システムから直接取得されたデータを使用することによって、実施形態は、複雑かつ/又は高価なセンサ構成に依存することなく、或る人物のADLについての情報を判定(例えば、推測)してもよく、それにより、コストを削減してもよい。それゆえ、監視環境内のセンサの設置、コミッショニング、及び保全は、一部の実施形態によって回避されてもよい。
【0055】
1つ以上の対象物又はデバイスを制御するために或る人物によって使用される制御システムから取得された、使用データから、その人物のADLを推測する構想が、提案されている。例えば、「スマートホーム」制御システムは、監視対象のスマートホーム環境内の照明及び/又は電化製品を制御するよう構成されてもよく、そのスマートホーム制御システムによって生成された制御信号は、監視対象のスマートホーム環境内の人物の1つ以上のADLを判定するために分析されてもよい。例として、制御システムによって生成された照明コマンド/信号から、照明使用データが取得されてもよく、そのような照明使用データは、その人物のADLを推測するために分析されてもよい。
【0056】
それゆえ、実施形態は、制御システムからの制御/使用データの使用を提案する(この制御システムは、監視対象の人物の要件/指示に従って、監視対象の環境の1つ以上の対象物を制御するよう構成される)。それゆえ、そのような提案されるADL推測システム/方法は、環境内の対象物/アイテム/デバイスを制御するための、制御システムにおいて採用されてもよい。
【0057】
図1は、環境内の人物のADLを監視するためのシステム1の実施形態を示す。この実施例では、環境は、照明制御システム10を介してその人物によって制御されてもよい、複数のライト5を含み、複数のライト5のそれぞれは、この環境の異なる部屋又は領域内に位置決めされている。
【0058】
この場合、照明制御システム10は、有線又は無線接続を介して、ライト5に制御信号を通信する。例として、無線接続は、短中距離通信リンクを含んでもよい。誤解を避けるために、短中距離通信リンクとは、最大で約100メートルの範囲を有する、短距離又は中距離通信リンクを意味するものと解釈されたい。極めて短い通信距離用に設計されている短距離通信リンクでは、信号は、典型的には、数センチメートル~数メートル移動するが、その一方で、短中通信距離用に設計されている中距離通信リンクでは、信号は、典型的には、最大で100メートル移動する。近距離無線通信リンクの例は、ANT+、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) low energy、IEEE 802.15.4、ISA 100a、赤外線(IrDA)、ISMバンド、近距離無線通信(Near Field Communication;NFC)、RFID、6LoWPAN、UWB、無線HART、無線HD、無線USB、ZigBeeである。中距離通信リンクの例としては、Wi-Fi、Z-Waveが挙げられる。
【0059】
照明制御システム10は、それゆえ、監視対象の人物の指示及び/又は要件に従って、複数のライト5のそれぞれを制御するよう構成される。
【0060】
システム1は、照明制御システム10から制御データ20を取得するよう構成される、データ収集ユニット15を備える。この場合、制御データ20は、ライト5を制御するために照明制御システム10によって生成された、1つ以上の制御信号に基づく。例えば、制御データ20は、照明制御システム10によってライト5に発行された制御信号の、パラメータ及び/又は特性に関する情報を含んでもよい。そのようなパラメータ及び/又は特性についての情報としては、例えば、制御信号のタイミング、ターゲット/アドレス指定されたライト5、照明パラメータ値(ライトの輝度/光度、照明の色、調光値など)、制御手段についての情報(例えば、無線ボタン、スマートフォン、運動センサなどの、制御信号を提供するためにユーザによって使用されるアイテムの説明)、ユーザによってプログラムされた規則、及び、信号の発信元(例えば、信号の生成/発行を引き起こした人物/ユーザの識別詳細)を挙げることができる。
【0061】
システム1は、取得された制御データ20に基づいて、その人物のADLイベントを判定するよう構成される、データ分析ユニット25を更に備える。この目的のために、データ分析ユニット25は、インターネット又は「クラウド」50内で利用可能な、1つ以上のデータ処理リソースと通信してもよい。そのようなデータ処理リソースは、取得された制御データ20に基づいて、その人物のADLイベントを推測又は判定するために必要とされる、処理の一部又は全てを実施してもよい。それゆえ、この実施形態は、分散処理の原理を採用してもよい。
【0062】
データ分析ユニット25は、監視対象の人物の推測又は判定されたADLイベントを表す出力信号75を生成するように、更に構成されている。換言すれば、監視対象の人物のADLイベントを(インターネット又は「クラウド」を介してデータ処理リソースと通信しているか否かに関わらず、照明制御システム10からの取得された制御データに基づいて)判定した後に、その人物の判定されたADLイベントを表す出力信号75が生成される。
【0063】
本システムは、1人以上のユーザに情報を提供するための、グラフィカルユーザインタフェース(graphical user interface;GUI)100を更に備える。出力信号75は、有線又は無線接続を介して、GUI100に提供される。例として、無線接続は、短中距離通信リンクを含んでもよい。図1に示されるように、出力信号75は、データ分析ユニット25からGUI100に提供される。しかしながら、本システムが、インターネット又はクラウド50を介してデータ処理リソースを利用している場合、出力信号は、インターネット又はクラウド50を介してGUI100に利用可能にされてもよい。
【0064】
GUI100は、出力信号75に基づいて、GUI100の表示領域内に1つ以上のグラフィック要素を表示することによって、情報を通信するよう構成される。このようにして、本システムは、監視対象の人物のADLについての情報を通信してもよく、この情報は、その人物が注意を必要としていることを示すために、又は、その人物が、いつ支援若しくは注意を必要とすることが予想され得るかを推定するために、有用であり得る。例えば、GUI100は、医師、介護者、家族、又は近親者に、グラフィック要素を表示するために使用されてもよい。あるいは、又は更に、GUI100は、監視対象の人物にグラフィック要素を表示するよう構成されてもよい。
【0065】
それゆえ、監視対象の人物のADLは、照明制御システム10によって生成及び発行された照明コマンドから取得される、制御データ20(例えば、照明使用データ)から推測されてもよい。換言すれば、照明制御の使用についての(スマートホーム照明制御システムから直接収集された)データを、取得及び分析することが提案されている。制御可能な照明デバイスは、監視対象の環境の全ての部屋内に存在してもよいため、実施形態は、完全に目立たないものであってもよく、ADLを判定及び監視するために、追加的なセンサ及び/又はモニタ(光スイッチモニタ、又は光センサなど)は必要とされなくてもよい。監視対象の人物は、照明制御システム10を使用する際に、自身の通常の動作を実施することのみが必要とされ、自身の照明の使用が監視されていることに、気付きさえしない場合もある。
【0066】
そのような照明制御システム10からの制御データの使用は、照明の使用が検出されるための、いずれかの特別な動作又は追加的な動作を、その人物が忘れずに実施することを必要とせずに、全ての照明の使用に関して、監視対象の人物の動作が、自動的かつ正確に取得されることができる点を確実にし得る。例えば、動作を示すか又はログ記録するために、特定の追加的アクション(例えば、ボタンを押すこと)を人が実行する必要性を、取り除くことができる。
【0067】
例として、データ分析ユニット25は、取得された制御データ20を分析して、ライトの起動の順序又はシーケンスを検出し、監視対象の環境(例えば、スマートホーム)を通る、その人物の移動を推測してもよい。この推測された移動から、その人物の1つ以上の動作(例えば、トイレ訪問、シャワーなど)が演繹されてもよい。
【0068】
更には、その人物の動作を推測するために、(家庭用)電化製品又はデバイスのオン/オフの切り替えが、データ分析ユニット25によって分析されてもよい。データ分析ユニット25はまた、照明及び/又は電化製品の使用から、反復的なユーザ動作(例えば、起床及び歯磨き)を認識して、このことを指導及び長期監視のために使用してもよい。例えば、環境(例えば、家)を通る人物の移動の指標を提供して、動作を演繹するために、検出されたライトの起動/切り替えの順序が使用されてもよい。
【0069】
図1の実施形態の上記の説明から、監視対象の人物のADLイベントを判定するために、制御システムからのデバイス使用データを分析するシステムが、提案されている点が理解されるであろう。このシステムは、短期間の時間スケールで(例えば、リアルタイムで)、ADLの検出及び/又は監視を提供すると考えられてもよい。そのような実装形態は、例えば、現在のADLを検出して、推奨されるアクションを潜在的に識別してもよい。例えば、監視対象の人物が、過度に長い間、いわゆる「危険な部屋」内にいると(トイレのライトが、所定の閾値時間よりも長い時間、オンに切り替えられていることから(例えば、30分、又は代替的に、以前の5回の平均の2倍の長さである場合に)推測され得るように)判定された場合には、アラート信号が介護者に提供されてもよい。
【0070】
しかしながら、他の実施形態は、長期間の時間スケールで(例えば、パターン認識及び傾向決定のために)、ADLの検出及び/又は監視を提供してもよい。そのような実装形態は、例えば、その人物の動作、例えば睡眠又は摂食についての、情報を取得してもよい。また、通常のパターン又は傾向からの逸脱も検出され、アラート又は警報に変換されてもよい。そのような逸脱は、偶発的な逸脱に関するものであってもよく(例えば、ユーザが夜間に就寝しなかった)、又は、徐々に増大する逸脱を示してもよい(例えば、認知低下、徘徊、睡眠障害、錯乱、視力劣化の指標)。
【0071】
それゆえ、一部の実施形態は、判定されたADLイベントと、その人物の以前に判定されたADLイベントに関する履歴データとに基づいて、その人物の能力又は動作の傾向を決定するよう構成される、監視ユニットを更に備えてもよい。
【0072】
したがって、人の身体的能力又は知的能力の傾向を決定することによって、その人物を監視するための構想が提案されている。
【0073】
一般に、或る人物の「通常の」日常挙動の傾向を観察することを可能にするために、その人物のADLを監視してもよい。また、確立された傾向から、予想外の動作、異常、又は、予想される値若しくはパターンからの逸脱を見つけ出してもよい。異常又は不規則性のタイプは、事例ごとに異なり得る。
【0074】
大きいクラスの身体的能力又は知的能力は、その人物のADLルーチンに関連し得る。例えば、身体的能力は、人がドア(又は、戸棚、衣装ダンス、冷蔵庫、電子レンジ、若しくは他の備品)若しくは引き出しを開閉する速度、及び/又は、その開閉プロセスの間にドア若しくは引き出しに加えられる力から、推測されてもよい。別の例は、読書、又は、眼の劣化による色ずれのために選択される、照明の輝度である。
【0075】
それゆえ、本発明の実施形態は、人の身体的能力又は知的能力についての情報が取得され、かつ潜在的に監視されることを、可能にすることを対象にしてもよい。それゆえ、そのような情報は、人の健康又はウェルビーイングを監視するために有用であり得る。
【0076】
一部の実施形態は、或る人物の現在推測又は判定されているADLと、その人物の以前に検出された1つ以上のADLに関する履歴データとから、その人物の(身体的若しくは知的)能力又は動作の傾向を決定する構想を、採用することができる。換言すれば、或る人物の能力又は動作の傾向の決定は、その人物の現在のADL及び以前に検出されたADLに基づいてもよい。
【0077】
それゆえ、人の(身体的若しくは知的)能力又は動作の傾向は、監視対象の環境内にセンサが設置されることを必要とせずに決定されてもよく、それにより、一実施形態によるシステムのコスト及び/又は複雑性を低減してもよい。また、その傾向は、異常が正確に検出されることを確実にするために役立ち得るため、ADLの監視結果の精度も向上させる。それゆえ、人の身体的能力若しくは知的能力又は動作を監視するための、そのような提案される構想は、環境内の人物のADLを監視するためのシステムにおいて採用されてもよい。
【0078】
そのような長期監視及び/又は傾向識別の目的のために、判定されたADLイベント(及び、関連する値)は、以前に検出された1つ以上のADLに関する履歴データを記憶するよう構成されるデータベース内に記憶されてもよい。そのように記憶する際に、各ADLイベントは、そのADLイベントがいつ測定されたかを識別するタイムスタンプで、ラベル付けされてもよい。傾向の決定又は分析では、次いで、それらの検出値は、傾向が推定される前に、単位時間当たりで、例えば1日当たりで平均化されてもよい。また、(既知の)背景事情を考慮して、特定の日を除外してもよい。例えば、金曜日には、孫たち又は掃除婦が家の中にいるため、検出されるデータは、監視対象の人物を表すものではない場合がある。
【0079】
別の手法は、検出された各ADLイベントを、時間及び値のペアとして提供することであってもよく、それにより、傾向分析は、例えば回帰法を使用して、値が検出される際の変動率(例えば、到着の不規則性)を考慮に入れてもよい。
【0080】
以前に検出されたADLを記憶することによって、ADLの傾向の推定値が決定されてもよく、その人物が介助又は支援を必要とし得る将来の日付/時間が(例えば、その傾向を外挿して、いつ閾値を上回る/下回るかを特定することによって)特定されてもよい。更には、現在検出されているADLは、以前に決定された傾向(例えば、データベース内に記憶されているもの)を再計算又は精緻化するために使用されてもよい。更には、実施形態は、以前に検出されたADLを使用することによって、(例えば、機械学習アルゴリズムを使用して)自己学習してもよい。例えば、一実施形態は、特定のデータ/イベント条件の後に特定の条件/イベント(例えば、事故)が発生することを検出してもよく、このことから、他のユーザに関する同じ又は同様のイベントの発生を予測する(またそれゆえ、発生を防止しようとする警告信号の発行を、潜在的に引き起こす)ように学習してもよい。
【0081】
説明される図1の実施形態は、監視対象の人物によって使用される照明制御システムからの、照明使用データを採用しているが、代替的実施形態では、制御システムから得られる多くの他の異なるタイプの使用データが、取得及び分析されてもよい点が理解されるであろう。例えば、他の実施形態は、暖房制御/使用データ、電化製品制御/使用データ、及び/又はドア入口制御/使用データを、取得及び分析するように構成されてもよい。
【0082】
その人物が相互作用する対象物に関する使用/制御データに基づいて、ADLを検出することによって、検出されたADLの経時的な傾向が特定されてもよく、そのような傾向から、人の能力又は動作が監視されてもよい。例えば、デバイスを制御する人物の(制御システムの制御信号から直接検出されるような)反応時間の緩徐化/増大の傾向は、その人物の認知能力の傾向を特定及び監視するために使用されてもよい。
【0083】
ここで図2を参照すると、監視対象の環境内に存在する複数のデバイス及び/又は電化製品を制御するよう構成される制御システム210を備える、本発明によるシステムの別の実施形態が示されている。この場合、制御システム210は、監視対象の環境内に設けられ、監視される人物によって制御されるよう構成される、スマートホーム制御システムを含む。制御システム210は、監視対象の人物の指示及び/又は要件に基づいて、監視対象の環境のデバイス/電化製品を制御するよう構成される、1つ以上の制御信号を出力するよう構成される。
【0084】
この実施形態は、監視対象の環境内に、制御システム210を統合するものとして説明されているが、代替的実施形態では、制御システム210は、リモートにプロビジョニングされて、監視対象の環境に(例えば、インターネット又は無線通信リンクを介して)制御信号を通信するように、監視対象の環境とは別個に設けられてもよい点が理解されるであろう。
【0085】
制御システム210は、生成された制御信号についての制御情報(例えば、その制御信号のコピー、又は、その制御信号のパラメータ値に関する情報を含む制御データ)を、(例えば、有線又は無線接続を使用して)インターネット220を介して、リモートに配置されているデータ処理システム230(サーバなど)に通信するよう構成される。
【0086】
データ処理システム230は、制御システム210から制御情報を受信して、その人物のADLの傾向を推測/決定するために、その受信された情報を、推測/検出アルゴリズムに従って処理するよう構成される。より具体的には、このアルゴリズムは、受信された制御システム210からの情報を、その人物の以前に検出された1つ以上のADLに関する履歴データと組み合わせて処理して、経時的なADLの傾向を決定する。この傾向は、(例えば、線形回帰を使用して)直線として見出されることができるが、また、より高次の適合技術を使用して、曲線状とされてもよい。
【0087】
データ処理システム230は、推測又は算出されたADL傾向を表す出力信号を生成するように、更に構成されている。それゆえ、データ処理システム230は、制御システム210から情報を受信して、受信された情報を、その人物のADLの傾向の説明に変換するために、1つ以上のアルゴリズムを実行することが可能な、集中アクセス可能な処理リソースを提供する。
【0088】
それゆえ、以前に判定されたADL(又は、ADLの特性の値)は、例えば履歴データベース内に記憶され、次いで、その後の計算に使用されてもよい。更には、現在検出されているADL又は値は、以前に決定された傾向を再計算又は精緻化するために使用されてもよい。それゆえ、その人物の動作の挙動パターンが記憶されてもよい。このパターンの変移は、その人物が介助を必要としていることを示し得る。例えば、人は、定期的なシャワーを浴びることを忘れ始める場合があり、このことは、その家の制御システムによって監視対象の家のシャワー室に発行される、コマンド信号の頻度の傾向から推測されてもよい。
【0089】
更には、データ処理システム230は、履歴データベースにおける不規則性を検出するよう構成される。例えば、判定されたADLに時間情報を追加することによって、それらの動作の合間に費やされた時間が決定されてもよい。この時間情報を使用して、その動作の頻度が決定されてもよい。例えば、判定された動作「温かい食事を用意すること」の頻度は、「1日に1回」又は「週に5回」であってもよい。その場合、履歴データベースにおける不規則性は、例えば、判定された「温かい食事を用意すること」の動作の合間に費やされた時間が、増大していることであってもよい。
【0090】
検出若しくは推測されたADL傾向及び/又は不規則性についての、そのような情報の提供は、(例えば、インターネット220を介した)要求の受信に応答して実施されてもよく、及び/又は、要求なしで(すなわち、「プッシュ配信されて」)実施されてもよい。
【0091】
検出又は推測されたADL傾向についての情報を、データ処理システムから受信する目的のために、またそれゆえ、その人物が監視されることを可能にするために、本システムは、第1のモバイルコンピューティングデバイス240及び第2のモバイルコンピューティングデバイス250を更に備える。
【0092】
この場合、第1のモバイルコンピューティングデバイス240は、人の身体的又は精神的なウェルビーイングを表すグラフィック要素を表示するためのディスプレイを有する、モバイル電話デバイス(スマートフォンなど)である。第2のモバイルコンピューティングデバイス250は、人のADLを表すグラフィック要素を表示するためのディスプレイを有する、ラップトップ又はタブレットコンピュータなどのモバイルコンピュータである。
【0093】
データ処理システム230は、インターネット220を介して(例えば、有線又は無線接続を使用して)、第1のモバイルコンピューティングデバイス240及び第2のモバイルコンピューティングデバイス250に、出力信号を通信するよう構成される。上述のように、このことは、第1のモバイルコンピューティングデバイス240又は第2のモバイルコンピューティングデバイス250からの要求を受信することに応答して実施されてもよい。
【0094】
受信された出力信号に基づいて、第1のモバイルコンピューティングデバイス240及び第2のモバイルコンピューティングデバイス250は、それらの対応のディスプレイによって提供されている表示領域内に、1つ以上のグラフィック要素を表示するよう構成される。この目的のために、第1のモバイルコンピューティングデバイス240及び第2のモバイルコンピューティングデバイス250は、それぞれ、どのようにグラフィック要素を表示するべきかを決定するために、受信された出力信号を処理、復号、及び/又は解釈するための、ソフトウェアアプリケーションを含む。それゆえ、第1のモバイルコンピューティングデバイス240及び第2のモバイルコンピューティングデバイス250は、それぞれ、傾向を表す1つ以上の値に適合されている処理構成であって、それらの傾向を表す1つ以上の値に基づいて、グラフィック要素のサイズ、形状、位置、向き、脈動、又は色のうちの少なくとも1つを修正するための表示制御信号を生成するよう構成される、処理構成を含む。
【0095】
それゆえ、本システムは、推測又は検出されたADL傾向についての情報を、第1のモバイルコンピューティングデバイス240及び第2のモバイルコンピューティングデバイス250の、ユーザに通信することができる。例えば、第1のモバイルコンピューティングデバイス240及び第2のモバイルコンピューティングデバイス250のそれぞれは、医師、介護者、家族、又は近親者に、グラフィック要素を表示するために使用されてもよい。また、本システムは、検出された不規則性に応答して、警告信号を生成することができる。この不規則性は、例えば、その人物が介助を必要としていることを示してもよく、それゆえ、生成されるアラート又は警告信号は、その人物、医師、及び介護者のうちの、少なくとも1人に提供されてもよい。
【0096】
図2のシステムの実装形態は、(i)データ処理システム230が、表示可能なADL傾向データを通信する状況であって、そのデータが、例えば、従来の画像表示又は(ウェブベースのブラウザなどであり得る)ウェブページ表示を使用して、モバイルコンピューティングデバイスのユーザに対して単純に表示される、(例えば、JPEG又は他の画像フォーマットの)グラフィック要素を含めた、表示データを含んでもよい状況と、(ii)データ処理システム230が、生のデータセット情報を通信する状況であって、次いで、その情報を、受信モバイルコンピューティングデバイスが、ADLの傾向を決定するために処理し、次いで、その決定された傾向に基づいて、(例えば、そのモバイルコンピューティングデバイス上で実行されるローカルソフトウェアを使用して)グラフィック要素を表示する状況とで、異なっていてもよい。当然ながら、他の実装形態では、この処理は、データ処理システム230で生成されたデータの一部が、モバイルコンピューティングデバイスのローカルの専用ソフトウェアによる更なる処理のために、そのモバイルコンピューティングデバイスに送信されるように、データ処理システム230と受信モバイルコンピューティングデバイスとの間で共有されてもよい。それゆえ、実施形態は、サーバ側の処理、クライアント側の処理、又はそれらの任意の組み合わせを採用してもよい。
【0097】
更には、データ処理システム230が、情報(例えば、出力信号)を「プッシュ配信」するのではなく、要求を受信することに応答して情報を通信する場合、そのような要求を実施するデバイスのユーザは、その情報が通信されるために、そのユーザのアイデンティティ及び/又はセキュリティ証明書を、確認若しくは認証することが必要とされてもよい。
【0098】
ここで図3を参照すると、環境内の人物のADLを監視するための、例示的方法300のフロー図が示されている。この場合、環境は、集中制御システムを介して制御されてもよい、複数のデバイスを含む。
【0099】
この方法は、その人物のADLイベントが検出される、ステップ310で開始する。具体的には、ADLイベントを検出するステップ310は、制御システムから制御データを取得するサブステップ312であって、その制御データが、デバイスを制御するために制御システムによって生成された1つ以上の制御信号に基づく、サブステップ312と、取得された制御データに基づいて、その人物のADLイベントを判定するサブステップ314とを含む。
【0100】
次に、ステップ320で、その人物の能力又は動作の傾向が、ステップ314で検出された検出ADLと、(監視対象の人物によって引き起こされた)以前に検出された1つ以上のADLに関する履歴データとに基づいて決定される。
【0101】
次いで、ステップ330で、決定された傾向が、所定の閾値と比較される。この閾値は、予めプログラムされるか、固定されるか、又は、以前に取得された1つ以上のADLに基づく計算に応答して(例えば、傾向分析を使用して)動的に設定されることができるが、好ましくはまた、ユーザ選好によって設定されることも可能である。それゆえ、この閾値は、その人物の身体的能力又は知的能力を表す、以前に決定された値に基づいてもよい。換言すれば、この閾値は、外れ値又は異常を識別するために使用されることができるように、その人物の履歴を考慮すること、及び/又は、以前の計算を考慮することによって、定義されてもよい。
【0102】
ステップ330で、その傾向が第1の閾値を超えていると判定された場合には、本方法はステップ340に進み、警告信号が生成され、その傾向及び/又は検出されたADL/値を説明する情報と共に出力される。ステップ330で、その傾向が第1の閾値を超えていないと判定された場合には、本方法はステップ350に進み、冷蔵庫のドアの回転速度の傾向及び/又は検出値を説明する情報が、いずれの警告信号も伴うことなく出力される。
【0103】
図3によって示される方法の上記の説明から、提案される実施形態は、決定された傾向における不規則性を検出するように構成されてもよい点が理解されるであろう。例えば、図3の実施形態では、330~350のステップは、監視ユニットによって実施されてもよく、決定された傾向と閾値との比較に基づいて、不規則性を検出するように実施されてもよい。このことは、不規則性又は異常が検出される場合に、(例えば、その人物が、熱いシャワーが流れている状態の浴室内に過度に長く滞在している場合には、その人物が浴室内で具合が悪くなっている恐れがあることを示す)警報若しくはアラート信号が、生成及び通信されてもよいという利点をもたらし得る。この実施例では、不規則性を検出するために、監視ユニットは、決定された傾向と閾値との比較的単純な比較を実施する。閾値は、予めプログラムされ、固定されてもよいが、ユーザ選好によって閾値が設定されることを可能にすることが、好ましい場合もある。このことは、例えば、将来いつ閾値が超えられ得るかを、特定し得る。
【0104】
外れ値を検出するための、又は時系列における変化を検出するための他の方法が、当該技術分野において既知である。例として、一実施形態では、監視ユニットは、決定された傾向に基づいて、推定される将来の特性の値を算出するよう更に構成されてもよく、監視ユニットは、その推定された将来の特性の値と閾値との比較に基づいて不規則性を検出し、検出された不規則性に応答してアラート出力信号を生成するように更に構成されてもよい。それゆえ、閾値は、将来の値に関連してもよく、決定された傾向は、その将来の閾値と外挿値との比較のために外挿されてもよい。外挿された傾向を使用して、その傾向が閾値と交差するまでの時間を推定してもよく、その数を、例えば、介入又は支援がいつ必要とされ得るかの識別として提供してもよい。
【0105】
単なる例として、人の身体的能力又は知的能力を監視するための方法300の1つ以上のステップは、ディスプレイ上のグラフィック要素の表示を制御するために、ポータブルコンピューティングデバイス(図2に示されるスマートフォン又はポータブルコンピュータなど)において実施されてもよい。当然ながら、ADLを監視するための提案される実施形態は、他の方法及び/又はシステムにおいて実施されてもよい点が理解されるであろう。
【0106】
実施形態は、判定されたADLイベントに基づいて、制御システムに対する1つ以上の制御信号を生成するよう構成される、制御ユニットを更に備えてもよい。このようにして、実施形態は、制御/使用データが取得された制御システムによって使用されるために好適な、制御信号を提供するよう構成されてもよい。それゆえ、そのような実施形態は、制御システム(またそれゆえ、その制御システムによって制御される対象物)の動作を、修正又は制御してもよい。このようにして、制御システムの動作は、その人物の検出されたADLに応答する(又は、依存する)ように構成されてもよい。
【0107】
したがって、単に制御システムの使用を監視するばかりではなく、一部の実施形態は、人物を処置/感化して、その人物のウェルビーイングを向上させるために、制御システムを動作させるよう構成されてもよい。例えば、読書の動作が検出される場合には、及び、その動作が低照度で連続的に起こる場合には、一実施形態は、照明条件を制御システムに変更又は改善させる制御信号を、制御システムに通信してもよい。
【0108】
また、実施形態はセンサを採用する必要がないと上述されているが、一部の実施形態は、環境、対象物の制御/動作、及び対象物のうちの少なくとも1つの、特性の値を検出して、その検出された値を表すセンサ出力信号を生成するよう構成される、センサを更に備えてもよい点にも留意されたい。そのようなセンサ構成は、例えば、ADL判定の精度を向上させるために役立ち得る。センサ読み取り値は、例えば、データ分析ユニットによって実施されたデータ分析を、認定又は精緻化してもよい。
【0109】
センサは、そのセンサを人が意図的又は意識的に起動/操作することを必要とせずに、適切な値を検出するように、戦略的な場所/位置に構成されてもよい。このようにして、人は、自身の通常の動作を実施することのみが必要とされてもよい。そのような戦略的位置決めは、その人物又は環境の特性の値が自動的かつ正確に取得されることができる点を確実にしてもよく、このことは、センサによって値が検出されるために、いずれかの特別な動作又は追加的な動作を、その人物が忘れずに実施することを必要としなくてもよい。このことは、例えば、その人物が(例えば、ボタンを押すことによって)センサを起動することを忘れるリスクを取り除き得る。
【0110】
実施形態によって採用されることが可能な、多くのセンサが存在する。センサは、例えば、対象物の制御を感知するよう構成されてもよい。他のセンサは、例えば、人を感知するよう構成されてもよい。
【0111】
典型的なセンサとしては、PIR(Passive Infra-Red;受動型赤外線;移動及び存在を測定する)、OC(open-close;開閉;ドア、特に玄関ドア、窓、及び、冷蔵庫を含めた戸棚の状態を測定する)、電力センサ(電子レンジ、湯沸しポッド、TVなどの電化製品の消費電流を測定する)、及び圧力マット(椅子に座っているユーザ、ベッドに横たわっているユーザ、玄関ドアの前のドアマット上に立っているユーザの占有を測定する)が挙げられる。光スイッチ状態を感知するセンサ、又は、湿度、CO2レベル(あるいは、CO及び煙)などの環境条件を測定するセンサなどの、多くの他のものが存在し、かつ想定可能である。更なるセンサの範囲は、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、及び空気圧センサなどの、物理量に基づくものである。加速度計はまた、例えば、ドアの状態、及び、それらの開閉移動も測定することができる。更に別のセンサの範囲は、GPS及び位置感知IRもまた属する、マイクロフォン及び(赤外線(IR)部分、ましてはUV及びそれを超える部分の、スペクトルを含む)カメラから成る。RFIDタグ追跡を含めた、超音波又はRFベースのセンサは、追加入力を提供する。モノのインターネット(internet-of-things)として既知の、自身のIPアドレスを有する電化製品は、スマートホーム制御システムによって取得されることが可能な、更なるセンサ入力信号を提供する。
【0112】
これらのセンサは、環境(例えば、その人物の家)内に取り付けられてもよいが、それらはまた、ユーザユーティリティ(キーリングなど)に取り付けられてもよく、あるいは、衣服内に、ポケット若しくはバッグ内に、又はインソール若しくは下着などとして導入されてもよい。それらのセンサはまた、腕時計又はペンダントのように、明示的に着用されるように作製されてもよい。更には、これらのセンサは、それらの出力信号を、有線若しくは無線接続、又はそれらの組み合わせを介して通信してもよい。
【0113】
これらのセンサはまた、例えば、必要とされる送信帯域幅及び/又は送信持続時間を低減するために、信号のフィルタリング、サンプリング、調整などの、検出値の一次処理を実施するよう構成されてもよい。
【0114】
それゆえ、非侵入的な監視は、環境の特定の周囲条件若しくは特性/パラメータ(例えば、温度又は湿度など)又は人物の特性(例えば、移動など)についてのデータを提供する、比較的単純なセンサで実現されてもよい。環境の周囲条件又は特性/パラメータを測定するための、そのようなセンサは、単純、小型、及び/又は安価であってもよい。また、人物の移動は、例えば、安価な構成要素である、受動型赤外線(PIR)センサで検出されてもよい。照明をオンに切り替えるために、移動センサが使用されてもよく、それゆえ人々は、典型的には、それらの使用に慣れ親しんでいる。それゆえ、実施形態は、非侵入的であると見なされて、より容易に監視対象の人物によって受け入れられる、センサを採用してもよい。更に、これらのセンサによって提供されるデータを使用して、ADLは、より正確に判定され、監視されている人物についての、より多くの情報を提供してもよい。
【0115】
例えば、浴室内の湿度センサ及び移動センサを使用して、その人物がシャワーを浴びていることが推測されてもよい。更なる実施例では、台所内の温度センサ及び移動センサを使用して、その人物が温かい食事を用意していることが判定されてもよい。更なる利点は、それらのセンサが、例えば浴室内及び台所内に配置されている、固定式センサであってもよく、それゆえ、その人物がデバイスを着用することを不必要にさせる点である。
【0116】
それゆえ、本発明の一部の実施形態は、従来のセンサ及び/又は既存のセンサ構成を採用してもよい。また、実施形態は、非侵入的であると見なされて、より容易に監視対象の人物によって受け入れられる、センサを採用してもよい。
【0117】
そのようなセンサは、監視されるADLの数及び/又は精度を増大させるために、実施形態によって、又は実施形態と共に採用されてもよい。それらのセンサはまた、制御システムから取得された使用データに対して実施された分析を、確認又は認定するために使用されてもよく、それにより、虚偽又は想定外の、判定/推測が回避される。例えば、監視対象の人物によって着用されている位置センサからの信号は、例えば、照明システムコマンドが、その監視対象の人物又は何らかの他の人物に実際に起因しているか否かを、確認するために使用されてもよい。コネクテッド照明システム及びスマートホームシステムは既に、純粋にシステム自体の機能性の強化のために、センサを備えることが多くなっている点に留意されたい。これらのセンサは、本発明の目的のために使用されることができる(例えば、既存/従来の運動センサ)。
【0118】
図4は、一実施形態の1つ以上の部分が使用されてもよい、コンピュータ400の一実施例を示す。上述の様々な動作は、コンピュータ400の能力を利用してもよい。例えば、人を監視するよう構成されるADL監視システムの1つ以上の部分は、本明細書で論じられる任意の要素、モジュール、アプリケーション、及び/又は構成要素に組み込まれてもよい。
【0119】
コンピュータ400としては、限定するものではないが、PC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パームデバイス、サーバ、記憶装置などが挙げられる。一般に、ハードウェアアーキテクチャの観点から、コンピュータ400は、ローカルインタフェース(図示せず)を介して通信可能に結合されている、1つ以上のプロセッサ410、メモリ420、及び1つ以上のI/Oデバイス470を含んでもよい。ローカルインタフェースは、例えば、限定するものではないが、当該技術分野において既知であるような、1つ以上のバス、又は他の有線若しくは無線接続とすることができる。ローカルインタフェースは、通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び受信機などの、追加的要素を有してもよい。更には、ローカルインタフェースは、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、及び/又はデータ接続を含んでもよい。
【0120】
プロセッサ410は、メモリ420内に記憶されることが可能なソフトウェアを実行するための、ハードウェアデバイスである。プロセッサ410は、実質的に任意の特注又は市販のプロセッサ、中央処理ユニット(central processing unit;CPU)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor;DSP)、又は、コンピュータ400に関連付けられているいくつかのプロセッサ間の補助プロセッサとすることができ、プロセッサ410は、半導体ベースの(マイクロチップの形態の)マイクロプロセッサ、又はマイクロプロセッサであってもよい。
【0121】
メモリ420としては、揮発性メモリ要素(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory;DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory;SRAM)などの、ランダムアクセスメモリ(random access memory;RAM)など)、及び不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read only memory;EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(electronically erasable programmable read only memory;EEPROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(programmable read only memory;PROM)、テープ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact disc read only memory;CD-ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセットなど)のうちの、任意の1つ又は組み合わせを挙げることができる。更には、メモリ420は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプの記憶媒体を組み込んでもよい。メモリ420は、様々な構成要素が、互いにリモートに位置しているが、プロセッサ410によってアクセスされることができる、分散アーキテクチャを有し得る点に留意されたい。
【0122】
メモリ420内のソフトウェアは、1つ以上の別個のプログラムを含んでもよく、それらのプログラムそれぞれは、論理関数を実施するための実行可能命令の、順序付きリストを含む。メモリ420内のソフトウェアは、例示的実施形態による、好適なオペレーティングシステム(O/S)450、コンパイラ440、ソースコード430、及び1つ以上のアプリケーション460を含む。図示されるように、アプリケーション460は、例示的実施形態の特徴及び動作を実施するための、多数の機能的構成要素を含む。コンピュータ400のアプリケーション460は、例示的実施形態による、様々なアプリケーション、計算ユニット、論理、機能ユニット、プロセス、動作、仮想エンティティ、及び/又はモジュールを表し得るが、アプリケーション460は、限定を意図するものではない。
【0123】
オペレーティングシステム450は、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。例示的実施形態を実施するためのアプリケーション460は、全ての市販のオペレーティングシステムに適用可能であってもよい点が、本発明者らによって想到されている。
【0124】
アプリケーション460は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は、実行される命令のセットを含む任意の他のエンティティであってもよい。ソースプログラムの場合、通常、そのプログラムは、O/S 450に関連して適切に動作するように、メモリ420内に含まれる場合も、又は含まれない場合もある、コンパイラ(コンパイラ440など)、アセンブラ、インタプリタなどを介して翻訳される。更には、アプリケーション460は、データ及び方法のクラスを有する、オブジェクト指向プログラミング言語、あるいは、ルーチン、サブルーチン、及び/又は関数を有する、手続きプログラミング言語、例えば、限定するものではないが、C、C++、C#、Pascal、BASIC、APIコール、HTML、XHTML、XML、ASPスクリプト、FORTRAN、COBOL、Perl、Java(登録商標)、ADA、NETなどとして書き込まれることができる。
【0125】
I/Oデバイス470は、例えば、限定するものではないが、マウス、キーボード、スキャナ、マイクロフォン、カメラなどの、入力デバイスを含んでもよい。更には、I/Oデバイス470はまた、出力デバイス、例えば、限定するものではないが、プリンタ、ディスプレイなどを含んでもよい。最終的に、I/Oデバイス470は、入力及び出力の双方を通信するデバイス、例えば、限定するものではないが、NIC又は変調器/復調器(リモートデバイス、他のファイル、デバイス、システム、又はネットワークにアクセスするためのもの)、無線周波数(radio frequency;RF)送受信機又は他の送受信機、電話インタフェース、ブリッジ、ルータなどを更に含んでもよい。I/Oデバイス470はまた、インターネット又はイントラネットなどの様々なネットワークを介して通信するための、構成要素も含む。
【0126】
コンピュータ400が、PC、ワークステーション、インテリジェントデバイスなどである場合には、メモリ420内のソフトウェアは、基本入出力システム(basic input output system;BIOS)(簡略化のために省略)を更に含んでもよい。BIOSは、起動時にハードウェアを初期化及び試験して、O/S450を開始し、ハードウェアデバイス間のデータの転送をサポートする、必須ソフトウェアルーチンのセットである。BIOSは、ROM、PROM、EPROM、EEPROMなどの、何らかのタイプの読み取り専用メモリ内に記憶されており、それにより、BIOSは、コンピュータ400が起動される際に実行されることができる。
【0127】
コンピュータ400が動作中である場合、プロセッサ410は、メモリ420内に記憶されているソフトウェアを実行して、メモリ420との間でデータを通信し、ソフトウェアに従ってコンピュータ400の動作を全般的に制御するようにコンフィギュレーションされている。アプリケーション460及びO/S450は、プロセッサ410によって、全体的又は部分的に読み取られ、恐らくはプロセッサ410内にバッファリングされてから、実行される。
【0128】
アプリケーション460が、ソフトウェアとして実装される場合、アプリケーション460は、任意のコンピュータ関連システム若しくは方法によって、又は、それらのシステム若しくは方法に関連して使用されるために、実質的に任意のコンピュータ可読媒体上に記憶されることができる点に留意されたい。本文書の文脈では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連システム若しくは方法によって、又は、それらのシステム若しくは方法に関連して使用されるための、コンピュータプログラムを含むか又は記憶することが可能な、電子、磁気、光学、又は他の物理的デバイス若しくは手段であってもよい。
【0129】
アプリケーション460は、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステムなどの、命令実行システム、装置、若しくはデバイス、又は、それら命令実行システム、装置、若しくはデバイスから命令をフェッチして、その命令を実行することが可能な他のシステムによって、又はそれらに関連して使用するための、任意のコンピュータ可読媒体として具現化されることができる。本文書の文脈では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを、記憶、通信、伝搬、若しくは伝送することが可能な、任意の手段とすることができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、限定するものではないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体の、システム、装置、デバイス、若しくは伝播媒体とすることができる。
【0130】
本発明は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。このコンピュータプログラム製品は、本発明の諸態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する、コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0131】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用されるための命令を保持及び記憶することが可能な、有形のデバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定するものではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は上述の任意の好適な組み合わせであってもよい。より具体的なコンピュータ可読記憶媒体の例の非網羅的なリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk;DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、機械的にコード化されているデバイス(その上に命令が記録されている、パンチカード、又は溝内の隆起構造体など)、及び上述の任意の好適な組み合わせを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用されるとき、電波若しくは他の自由に伝搬する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又はワイヤを通って伝送される電気信号などの、一時的信号自体であるとして解釈されるべきではない。
【0132】
本明細書で説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から、対応のコンピューティングデバイス/処理デバイスに、あるいは、ネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して、外部コンピュータ若しくは外部記憶デバイスに、ダウンロードされることができる。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含んでもよい。各コンピューティングデバイス/処理デバイス内の、ネットワークアダプタカード又はネットワークインタフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信して、そのコンピュータ可読プログラム命令を、対応のコンピューティングデバイス/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するために転送する。
【0133】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(instruction-set-architecture;ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、あるいは、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語若しくは同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含めた、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書き込まれている、ソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであってもよい。このコンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロン型ソフトウェアパッケージとして、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(local area network;LAN)若しくは広域ネットワーク(wide area network;WAN)を含めた任意のタイプのネットワークを通じて、ユーザのコンピュータに接続されてもよく、又は、この接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)実施されてもよい。一部の実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array;FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(programmable logic array;PLA)を含めた電子回路は、本発明の諸態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、その電子回路をパーソナライズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。
【0134】
本発明の諸態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品の、フローチャート図及び/又はブロック図を参照して、本明細書で説明されている。それらフローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、それらフローチャート図及び/又はブロック図内のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施されることができる点が理解されるであろう。
【0135】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、マシンを作り出すために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置の、プロセッサに提供されてもよく、それにより、それらのコンピュータ若しくは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック内で指定されている機能/行為を実施するための手段を作り出す。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスに、特定の方式で機能するように指示することが可能な、コンピュータ可読媒体内に記憶されてもよく、それにより、その命令が記憶されているコンピュータ可読媒体は、フローチャート及び/又はブロック図のブロック内で指定されている機能/行為の諸態様を実施する命令を含む、製品を含む。
【0136】
これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ実施プロセスを作り出すために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上にロードされて、それらのコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させてもよく、それにより、それらのコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイス上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック内で指定されている機能/行為を実施する。
【0137】
これらの図におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装の、アーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。この点に関して、それらフローチャート又はブロック図内の各ブロックは、指定されている論理関数を実施するための1つ以上の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメント、又は部分を表してもよい。一部の代替的実装形態では、ブロック内に記されている機能は、それらの図に記されている順序とは異なる順序で実施されてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又は、それらのブロックは、関与している機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい場合がある。また、それらブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びに、それらブロック図及び/又はフローチャート図内のブロックの組み合わせは、指定されている機能若しくは行為を実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実施されるか、又は、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実行されることができる点にも留意されたい。
【0138】
上記の説明から、実施形態は、或る人物のADLを検出及び監視する目的のために、環境制御システム(例えば、照明システムなど)を使用することを提案している点が理解されるであろう。それゆえ、実施形態は、自立した生活をサポートするための、高齢者、障碍者、又は体調不良の個人の監視のために有用であり得る。制御システムからの使用データは、リアルタイムのADL検出及びアラートに関して、並びに、通常のパターン又は傾向からの漸進的な逸脱を検出するためにも、使用されることができる。
【0139】
実施形態は、現在及び将来の、スマートホーム若しくはコネクテッド照明に向けた傾向によって、サポートされてもよい。
【0140】
この明細書本文は、例示及び説明を目的として提示されてきたが、網羅的であること、又は開示された形態の発明に限定されることを意図するものではない。多くの修正形態及び変形形態が、当業者には明らかとなるであろう。実施形態は、提案される実施形態の原理を最良に説明するために、及び、様々な修正を伴う様々な実施形態が想到されることを、他の当業者が理解することを可能にするために、選択及び説明されてきた。
図1
図2
図3
図4