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  • 特許-ピストン密閉装置のための関節型連結部 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ピストン密閉装置のための関節型連結部
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/24 20060101AFI20240401BHJP
   F03C 1/24 20060101ALI20240401BHJP
   F04B 1/124 20200101ALI20240401BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20240401BHJP
   F16J 15/18 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F04B1/24
F03C1/24
F04B1/124
F04B39/00 104D
F16J15/18 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019543367
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 FR2018050331
(87)【国際公開番号】W WO2018154213
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】1751559
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501211925
【氏名又は名称】ラビー,ヴィアニー
【氏名又は名称原語表記】RABHI Vianney
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ラビー,ヴィアニー
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】窪田 治彦
【審判官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530438(JP,A)
【文献】特開平11-117856(JP,A)
【文献】特開平3-164576(JP,A)
【文献】実開昭52-111903(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン密閉装置(2)のための関節型連結部(1)であって、前記ピストン密閉装置(2)は流体チャンバ(5)を構築するためにシリンダ(4)内で動作するピストン(3)のために提供され、前記ピストン(3)はピストンヘッド(6)を含み、摺動スカート部(12)が、前記ピストンヘッド(6)の軸において圧縮表面(10)の側の前記ピストンヘッド(6)の延長において、小さい隙間が存在する状態で前記シリンダ(4)内に収容される一方で、前記ピストンヘッド(6)は固定スカート部(7)を含み、また前記ピストンヘッド(6)は一方では、伝達手段(9)に対して力を作用させるためのピストン当接表面(8)と、他方では、流体(11)の圧力を受容するために前記流体チャンバ(5)に開口する圧縮表面(10)と、を有し、圧力伝達流路(14)が、前記摺動スカート部(12)の内部に配置され、前記摺動スカート部(12)を軸方向に通り抜けるよう横断する一方で、前記摺動スカート部(12)はスカート部間機械的接続部(13)により前記ピストンヘッド(6)に接続され、それにより、前記摺動スカート部(12)は前記ピストンヘッド(6)に対して長手方向に並進移動することが可能であり、前記ピストン密閉装置(2)は前記固定スカート部(7)と前記摺動スカート部(12)との間に置かれた連続伸張性区域(15)も含み、摺動スカート部バネ(20)が前記摺動スカート部(12)を前記固定スカート部(7)に対して近接させ、前記連続伸張性区域(15)を軸方向に圧縮する傾向を有するにも関わらず、前記連続伸張性区域(15)は、前記圧力伝達流路(14)を通して前記流体(11)の圧力にさらされる区域内側円筒形表面(16)、前記シリンダ(4)に対して接触可能である区域外側円筒形表面(17)、前記固定スカート部(7)に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される固定スカート部側区域軸方向表面(18)、および、前記摺動スカート部(12)に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される摺動スカート部側区域軸方向表面(19)を含み、前記関節型連結部(1)は、
・前記スカート部間機械的接続部(13)により軸方向に横断され、かつ、前記連続伸張性区域(15)と前記ピストンヘッド(6)との間に置かれた、固定スカート部(7)として機能する玉継手スカート部(22)であって、前記摺動スカート部バネ(20)が、前記玉継手スカート部(22)および前記連続伸張性区域(15)により形成された積み重ね体を、前記摺動スカート部(12)と前記ピストンヘッド(6)との間でクランプされた状態で保持する一方で、前記玉継手スカート部(22)は、一方では、前記ピストンヘッド(6)に対して密閉接触状態に保たれるピストンヘッド側スイベル回転スカート部の軸方向表面(23)と、他方では、前記連続伸張性区域(15)に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される摺動スカート部側スイベル回転スカート部の軸方向表面(25)と、を含む、玉継手スカート部(22)と、
・前記圧縮表面(10)上に配置された切断球形ピストン端部(21)であって、前記切断球形ピストン端部(21)がその一部を構成する球体の中心が前記ピストン(3)の長手方向軸の近傍に配置される、切断球形ピストン端部(21)と、
・前記ピストンヘッド側スイベル回転スカート部の軸方向表面(23)上に配置された切断球形スカート部当接表面(24)であって、その形状が前記切断球形ピストン端部(21)の形状に対して相補的であり、かつ、前記切断球形スカート部当接表面(24)と前記切断球形ピストン端部(21)との間の接触部が玉継手を形成し、前記玉継手スカート部(22)は前記ピストン(3)に対して前記玉継手スカート部(22)を指向させるために前記玉継手の周りで回転可能である、切断球形スカート部当接表面(24)と、
・前記スカート部間機械的接続部(13)と前記ピストン(3)との間に、および/または、前記スカート部間機械的接続部(13)と前記摺動スカート部(12)との間に、直接的または間接的に置かれる関節手段(40)と
を含むことを特徴とする、関節型連結部。
【請求項2】
前記関節手段(40)は、前記ピストン(3)に最も近接した前記スカート部間機械的接続部(13)の端部を終端させるピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)から構成され、前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)は前記ピストン(3)に対する前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)の位置を略保持する一方で、前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)は、前記スカート部間機械的接続部(13)が前記ピストン(3)に対して枢動することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の関節型連結部。
【請求項3】
前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)の前記ピストン(3)に対する回転中心と、前記玉継手スカート部(22)の前記ピストン(3)に対する回転中心とは、前記ピストン(3)に対して同一場所を共有することを特徴とする、請求項2に記載の関節型連結部。
【請求項4】
前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)は、前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)の形状に対して相補的形状のスイベル回転ワッシャ(41)において関節接続され、前記スイベル回転ワッシャ(41)は前記ピストン(3)内に収容されることを特徴とする、請求項2に記載の関節型連結部。
【請求項5】
前記関節手段(40)は、前記摺動スカート部(12)に最も近接した前記スカート部間機械的接続部(13)の端部を終端させる少なくとも1つの摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部(28)からなり、前記摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部(28)が、前記摺動スカート部(12)に対するその径方向位置を略保持するが、前記摺動スカート部(12)に対して軸方向に実質的に移動可能である一方で、前記摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部(28)は、前記スカート部間機械的接続部(13)が前記摺動スカート部(12)に対して枢動することを可能することを特徴とする、請求項1に記載の関節型連結部。
【請求項6】
前記ピストン(3)はスカート部間接続トンネル(31)により一方の側面から他方の側面まで長さ方向に横断され、前記スカート部間機械的接続部(13)が前記ピストン(3)に対して前記スカート部間機械的接続部(13)を指向させることを可能にするために、前記スカート部間機械的接続部(13)は充分な隙間が存在する状態で前記スカート部間接続トンネル(31)内に収容されることを特徴とする、請求項1に記載の関節型連結部。
【請求項7】
前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)は、前記流体(11)が、前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)とそのハウジングとの間で、または前記ピストン側スイベル回転接続ヘッド部(27)の一方の側面から他方の側面まで、流れることを可能にする流体通路伝送路(29)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の関節型連結部。
【請求項8】
前記摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部(28)は、前記流体(11)が、前記摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部(28)とそのハウジングとの間で、または前記摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部(28)の一方の表面から他方の表面まで、流れることを可能にする流体通路伝送路(29)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の関節型連結部。
【請求項9】
前記玉継手スカート部(22)の外側円筒形表面は円形減圧溝部(32)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の関節型連結部。
【請求項10】
前記摺動スカート部バネ(20)は前記摺動スカート部(12)と一体化されたバネカップ(39)内に収容され、前記摺動スカート部バネ(20)自体は、一方では、直接的または間接的に前記バネカップ(39)内で当接し、他方では、直接的または間接的に前記スカート部間機械的接続部(13)に対して当接することを特徴とする、請求項1に記載の関節型連結部。
【請求項11】
前記摺動スカート部バネ(20)は前記摺動スカート部(12)に対して直接的または間接的に当接する追加バネカップ(30)内に収容され、前記摺動スカート部バネ(20)自体は、一方では、直接的または間接的に前記追加バネカップ(30)内で当接し、他方では、直接的または間接的に前記スカート部間機械的接続部(13)に対して当接することを特徴とする、請求項1に記載の関節型連結部。
【請求項12】
前記摺動スカート部バネ(20)は、前記追加バネカップ(30)内で、および/または、バネ当接ワッシャ(43)を通して前記スカート部間機械的接続部(13)に対して、当接することを特徴とする、請求項11に記載の関節型連結部。
【請求項13】
前記バネ当接ワッシャ(43)は前記摺動スカート部バネ(20)の最小長さを決定する軸方向停止当接部(44)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の関節型連結部。
【請求項14】
前記ピストン(3)は、前記切断球形スカート部当接表面(24)と前記切断球形ピストン端部(21)との間の接触部が完全にまたは部分的に破壊された場合に、前記シリンダ(4)に対して接触することができる転位当接部(46)を、前記ピストン(3)の周辺部に、前記切断球形ピストン端部(21)の近傍において、含むことを特徴とする、請求項1に記載の関節型連結部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピストン密閉装置のための関節型結合装置に関する。本発明は、2015年1月29日に公開され、かつ、出願者に所属する特許WO2015/011358A1のピストン体のための密閉装置の改善である。なお上記装置は、高圧下で動作する任意のピストンに対して特に好適である。
【背景技術】
【0002】
特許WO2015/011358A1に係るピストン密閉装置は、その一方端が流体チャンバにより閉じられるシリンダ内で動作するピストンのために提供される。上記ピストンは、少なくとも1つの固定スカート部を含む少なくとも1つのピストンヘッドを含む。上記ヘッドは、一方では、任意の機械的、液圧式、または空圧式の伝達手段に対して力を作用させるためのピストン当接表面を有し、他方では、流体チャンバに開口し、かつ、流体の圧力を受容することが可能である、圧縮表面を有する。
【0003】
依然として特許WO2015/011358A1によれば、ピストン密閉装置は、小さい隙間が存在する状態でシリンダ内に収容された円筒形状の摺動スカート部を含む。上記スカート部は、圧縮表面の側のピストンヘッドの延長に、上記ヘッドの軸において、も配置される。
【0004】
摺動スカート部内に配置された圧力伝達流路が軸方向において一方の端部から他方の端部まで摺動スカート部を横切る一方で、上記摺動スカート部は機械的スカート部間接続部により上記ヘッドに接続され、それにより摺動スカート部は上記ヘッドに対して長手方向に並進移動することが可能であることに留意されたい。
【0005】
特許WO2015/011358A1に関する本発明は、固定スカート部と摺動スカート部との間に置かれる連続的環状形状の伸張性連続区域によっても特徴付けられる。上記区域は、圧力伝達流路を介して流体の圧力にさらされる区域内側円筒形表面、シリンダに対して接触可能である区域外側円筒形表面、固定スカート部に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される固定スカート部側区域軸方向表面、および、摺動スカート部に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される摺動スカート部側区域軸方向表面を含む。
【0006】
最後に、特許WO2015/011358A1に関する本発明は、摺動スカート部を固定スカート部に対して近接させ、かつ、連続伸張性区域を軸方向に圧縮する傾向を有するか、または、上記摺動スカート部を固定スカート部から離間する方向に移動させることを防止することにより少なくとも当接部として作用する、摺動スカート部バネによっても特徴付けられる。
【0007】
特許WO2015/011358A1を読むと、動作するためには、ピストンヘッド、その固定スカート部、および摺動スカート部が常時整列された状態にあることを、ピストン密閉装置が要求することが理解される。この構成は、そのピストンが、ピストンが協働するシリンダにより軸方向に指向される、液圧ポンプおよびモータに対して理想的である。
【0008】
対照的に、特許WO2015/011358A1に係るピストン密閉装置は、そのピストンが、ピストンが協働するシリンダに対して必ずしも常時平行であるとはかぎらない、液圧ポンプおよびモータに対しては好適ではない。このことは、例えば、球形ピストンを有する斜軸液圧モータの場合に成り立つ。係る斜軸液圧モータは、それにも関わらず、特許WO2015/011358A1に係るピストン密閉装置により、体積およびエネルギー効率が顕著に改善される。
【発明の概要】
【0009】
本発明に係るピストン密閉装置のための関節型連結部の目的は、特許WO2015/011358A1に係るピストン密閉装置を、そのピストン(単数または複数)が、係るピストンが協働するシリンダに対して必ずしも常時平行であるとはかぎらない、任意のポンプまたは液圧モータに適用することを可能にすることにより、この問題を解決することである。その実施形態によれば、上記連結部は、
・ピストンが、ピストンが協働するシリンダに対して、自由に動くことと、
・ピストンの指向がシリンダに対して周期的に変化するにも関わらず特許WO2015/011358A1に係るピストン密閉装置のエネルギー性能および耐久性が維持されることと、
・特許WO2015/011358A1に係るピストン密閉装置を受容するポンプまたは液圧式モータのピストンの製造コストがわずかしか増加しないことと
を可能にする。
【0010】
軸方向または径方向のピストンを有する液圧ポンプまたは液圧モータに適用されることに加えて、本発明に係るピストン密閉装置のための関節型連結部は、任意の他のポンプ、モータ、モータポンプ、または、その構成が上記連結部の利用を有利に可能にする液圧式または空圧式のシリンダに適用され得ることが理解される。
【0011】
本発明の他の特徴については、記載において、または、主要な請求項に直接的または間接的に従属する従属請求項において、説明した。
【0012】
関節型連結部はピストン密閉装置のために提供される。このピストン密閉装置自体は、流体チャンバを構築するためにシリンダ内で動作するピストンのために提供されたものである。摺動スカート部が、圧縮表面の側のピストンヘッドの延長に、上記ヘッドの軸において、小さい間隙が存在する状態でシリンダ内に収容される一方で、上記ピストンは固定スカート部を有するピストンヘッドを含み、またヘッドは一方では、伝達手段に対して力を作用させるためのピストン当接表面と、他方では、流体の圧力を受容するために流体チャンバに開口する圧縮表面と、を有し、圧力伝達流路が、摺動スカート部内に配置され、軸方向において一方の端部から他方の端部まで摺動スカート部を横切る一方で、上記摺動スカート部はスカート部間機械的接続部により上記ヘッドに接続され、それにより、摺動スカート部は上記ヘッドに対して長手方向に並進移動することが可能であり、ピストン密閉装置は固定スカート部と摺動スカート部との間に置かれた連続伸張性区域も含み、摺動スカート部バネが、摺動スカート部を固定スカート部に対して近接させ、かつ、連続伸張性区域を軸方向に圧縮させる傾向を有する場合でさえも、上記区域は、圧力伝達流路を介して流体の圧力にさらされる区域内側円筒形表面、シリンダに対して接触可能である区域外側円筒形表面、固定スカート部に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される固定スカート部側区域軸方向表面、および、摺動スカート部に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される摺動スカート部側区域軸方向表面を含み、上記連結部は、
・スカート部間機械的接続部により軸方向に横断され、かつ、伸張性連続区域とピストンヘッドとの間に置かれる、固定スカート部として機能する玉継手を有するスカート部であって、摺動スカート部バネが、玉継手スカート部および連続伸張性区域により形成された積み重ね体を、摺動スカート部とピストンヘッドとの間でクランプされた状態で保持する一方で、上記スカート部は、一方では、ピストンヘッドに対して密閉接触状態に保たれるピストンヘッド側のスイベル回転スカート部の軸方向表面と、他方では、連続伸張性区域に対して密閉接触状態に直接的または間接的に保持される摺動スカート部側のスイベル回転スカート部と、を含む、スカート部と、
・圧縮表面上に配置されたピストンの切断球形端部であって、上記端部がその一部を構成する球体の中心がピストンの長手方向軸の近傍に配置される、切断球形端部と、
・ピストンヘッド側のスイベル回転スカート部の軸方向表面上に配置されたスカート部切断球形当接表面であって、その形状がピストン切断球形端部の形状に対して相補的であり、かつ、上記当接表面と上記端部との間の接触部が玉継手接続部を形成し、玉継手スカート部はピストンに対して玉継手スカート部を指向させるために玉継手接続部の周りで回転可能である、スカート部切断球形当接表面と、
・スカート部間機械的接続部とピストンとの間に、および/または、接続部と摺動スカート部との間に、直接的または間接的に置かれる関節手段と
を含む。
【0013】
本発明に係る関節型連結部は、ピストンに最も近接したスカート部間機械的接続部の端部を終端させるピストン側スイベル回転接続ヘッド部から構成された関節手段を含む。なお、上記ヘッド部がピストンに対してその位置を略保持する一方で、上記ヘッド部は上記接続部がピストンに対して枢動することを可能にする。
【0014】
本発明に係る関節型連結部は、上記ピストンに対して同一場所を共有する、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部のピストンに対する回転中心と、玉継手スカート部のピストンに対する回転中心と、を含む。
【0015】
本発明に係る関節型連結部は、上記ヘッド部の形状に対して相補的形状のスイベル回転ワッシャにおいて関節接続されるピストン側スイベル回転接続ヘッド部を含み、上記ワッシャはピストン内に収容される。
【0016】
本発明に係る関節型連結部は、摺動スカート部に最も近接したスカート部間機械的接続部の端部を終端させる少なくとも1つの摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部からなる関節手段を含み、上記ヘッド部が上記スカート部に対してその径方向位置を略保持するが、上記スカート部に対して軸方向に実質的に移動可能である一方で、上記ヘッド部は、上記接続部が上記スカート部に対して枢動することを可能にする。
【0017】
本発明に係る関節型連結部は、スカート部間接続トンネルにより一方の端部から他方の端部まで長さ方向に横断されるピストンを含み、スカート部間機械的接続部がピストンに対してスカート部間機械的接続部自体を指向させることを可能にするために、スカート部間機械的接続部は充分な隙間が存在する状態でスカート部間接続トンネル内に収容される。
【0018】
本発明に係る関節型連結部は、流体が、ヘッド部とそのハウジングとの間で、またはヘッド部の一方の表面から他方の表面まで、流れることを可能にする流体通路伝送路を含むピストン側スイベル回転接続ヘッド部を含む。
【0019】
本発明に係る関節型連結部は、流体が、ヘッド部とそのハウジングとの間で、またはヘッド部の一方の表面から他方の表面まで、流れることを可能にする流体通路伝送路を含む摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部を含む。
【0020】
本発明に係る関節型連結部は、円形減圧溝部を有する玉継手スカート部の外側円筒形表面を含む。
【0021】
本発明に係る関節型連結部は摺動スカート部と一体化されたバネカップ内に収容された摺動スカート部バネを含み、上記バネ自体は、一方では、直接的または間接的に上記カップ内で当接し、他方では、直接的または間接的にスカート部間機械的接続部に対して当接する。
【0022】
本発明に係る関節型連結部は、摺動スカート部に対して直接的または間接的に当接する追加バネカップ内に収容される摺動スカート部バネを含み、上記バネ自体は、一方では、直接的または間接的に上記カップ内で当接し、他方では、直接的または間接的にスカート部間機械的接続部に対して当接する。
【0023】
本発明に係る関節型連結部は、追加バネカップ内で、および/または、バネ当接ワッシャを介してスカート部間機械的接続部に対して、当接する摺動スカート部バネを含む。
【0024】
本発明に係る関節型連結部は、摺動スカート部バネの最小長さを決定する軸方向停止当接部を有するバネ当接ワッシャを含む。
【0025】
本発明に係る関節型連結部は、スカート部切断球形当接表面と切断球形ピストン端部との間の接触部が完全にまたは部分的に破壊された場合に、シリンダに対して接触する転位当接部を、その周辺部に、ピストン切断球形端部の近傍において、有するピストンを含む。
【0026】
以下の説明は、非限定的な事例として与えられた添付の図面を参照すると、本発明、本発明が提供する特徴および本発明が提供し得る利点に関するより良好な理解を提供するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】そのピストンが、本発明に係るピストン密閉装置のための関節型連結部を受容する、可変変位軸方向ピストン液圧モータの概略断面図である。
図2】摺動スカート部が追加バネカップを受容し、玉継手スカート部が円形減圧溝部および軸方向減圧溝部を有する一方で、上記連結部は、スカート部間機械的接続部とピストンとの間に、および、上記接続部と摺動スカート部との間に置かれた関節手段を受容する、本発明に係る関節型連結部を受容するピストンの概略断面図である。
図3】特にピストンが、ピストンが協働する玉継手スカート部に対して回転するときの、本発明に係る関節型連結部の動作を示す概略断面図である。
図4】特にピストンが、ピストンが協働する玉継手スカート部に対して回転するときの、本発明に係る関節型連結部の動作を示す概略断面図である。
図5】特にピストンが、ピストンが協働する玉継手スカート部に対して回転するときの、本発明に係る関節型連結部の動作を示す概略断面図である。
図6】上記連結部が、スカート部間機械的接続部とピストンとの間に、および、上記接続部と摺動スカート部との間に、置かれた関節手段を受容する、本発明に係る関節型連結部を受容する組み立てられたピストンの3次元図である。
図7】上記連結部自体が、スカート部間機械的接続部とピストンとの間に、および、上記接続部と摺動スカート部との間に、置かれた関節手段を受容する、本発明に係る関節型連結部を受容するピストンの分解3次元図である。
図8】摺動スカート部バネが追加バネカップ内に収容される一方で、上記連結部自体が、上記接続部と摺動スカート部との間にではなく、スカート部間機械的接続部とピストンとの間に、置かれた関節手段を受容し、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部のピストンに対する回転中心と、玉継手スカート部のピストンに対する回転中心とは、ピストンに対して同一場所を共有する、本発明に係る関節型連結部を受容するピストンの概略断面図である。
図9】上記ピストンが本発明に係る連結部を受容する、図8において示されるピストンの組み立てられた3次元図である。
図10】上記ピストンが本発明に係る関節型連結部を受容する、図8において示されるピストンの組み立てられた3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1図10には、本発明に係るピストン密閉装置2のための関節型連結部1、その構成要素、変形体、および附属品が示されている。
【0029】
ピストン密閉装置2のための関節型連結部1が提供される。ピストン密閉装置2は、それ自体が、流体チャンバ(5)を構築するためにシリンダ4内で動作するピストン3のために提供されたものである。上記ピストン3は固定スカート部7を有するピストンヘッド6を含み、上記ヘッドは、一方では、伝達手段9に対して力を作用させるためのピストン当接表面8と、他方では、流体11の圧力を受容するために流体チャンバ5に開口する圧縮表面10と、を有する。
【0030】
加えて、図1図5および図8において明らかに示されているように、圧力伝達流路14が摺動スカート部12内に配置され、軸方向において一方の端部から他方の端部まで摺動スカート部12を横切る一方で、本発明に係る関節型連結部1がそのために提供されているピストン密閉装置2は、圧縮表面10の側のピストンヘッド6の延長に、上記ヘッド6の軸において、小さい隙間が存在する状態でシリンダ4内に収容されたスカート部12を含み、上記摺動スカート部12はスカート部間機械的接続部13により上記ヘッド6に接続され、それにより、摺動スカート部12は上記ヘッド6に対して長手方向に並進移動することが可能である。
【0031】
図1図10では、本発明に係る関節型連結部1がそのための提供されるピストン密閉装置2は、固定スカート部7と摺動スカート部12との間に置かれた連続伸張性区域15も含むことが示されている。
【0032】
図7図10では、上記区域15は、圧力伝達流路14を介して流体11の圧力にさらされる区域内側円筒形表面16を、シリンダ4に対して接触可能である区域外側円筒形表面17を、固定スカート部7に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される固定スカート部側区域軸方向表面18を、および、摺動スカート部12に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される摺動スカート部側区域軸方向表面19を、を含むことが注目される。
【0033】
図1図5および図7図8、ならびに図10では、上記ピストン密閉装置2は、摺動スカート部12を固定スカート部7に対して近接させ、かつ、連続伸張性区域15を軸方向に圧縮する傾向を有する、摺動スカート部バネ20も含むことも示されている。
【0034】
したがって、図1図10において示されるピストン密閉装置2の特定的な状況では、本発明に係る関節型連結部1は、スカート部間機械的接続部13により軸方向に横断され、かつ、連続伸張性区域15とピストンヘッド6との間に置かれる、固定スカート部7として機能する玉継手スカート部22を含む。
【0035】
図2図5および図8において明らかに見られ得るように、本発明に係る関節型連結部1では、摺動スカート部バネ20は、玉継手スカート部22および連続伸張性区域15により形成された積み重ね体を、摺動スカート部12とピストンヘッド6との間でクランプされた状態で維持する一方で、玉継手スカート部22は、一方では、ピストンヘッド6に対して密閉接触状態に保たれるピストンヘッド側スイベル回転スカート部25の軸方向表面23と、他方では、連続伸張性区域15に対して密閉接触状態で直接的または間接的に保持される摺動スカート部側スイベル回転スカート部の軸方向表面と、を含む。
【0036】
本発明に係る関節型連結部1は、圧縮表面10上に配置された切断球形ピストン端部21であって、上記端部21がその一部を構成する球体の中心がピストン3の長手方向軸の近傍に配置される、切断球形ピストン端部21も含む。
【0037】
図2図5図8、および図10では、本発明に係る関節型連結部1は、ピストンヘッド側スイベル回転スカート部の軸方向表面23上に配置され、かつ、その形状が切断球形ピストン端部21の形状に対して相補的である、スカート部切断球形当接表面24も含むことが示されている。
【0038】
上記当接表面24と上記端部21との間の接触部は玉継手を形成し、玉継手スカート部22はピストン3に対して玉継手スカート部22自体を指向させるために上記玉継手の周りで回転可能であり、上記接触部は、シリンダ4内におけるピストン3の指向のいかんに関わらず、密閉状態に維持されることが注目される。
【0039】
図1図8および図10では、本発明に係る関節型連結部1は、直接的または間接的に、スカート部間機械的接続部13とピストン3との間に、および/または、上記接続部13と摺動スカート部12との間に、置かれた関節手段40を含み、上記接続部13は、ピストン3に対して、または摺動スカート部12に対して、またはピストン3および摺動スカート部12の両方に対して、1つ、2つ、または3つの自由軸を有する、枢動および/または摺動する接合部を形成するために、上記手段40の周りに枢動可能であり、および/または、上記手段40に対して並進可能であることに留意されるであろう。
【0040】
本発明に係る関節型連結部1の特定の適用状況では、摺動スカート部バネ20が不要となり、排除可能であることが、強調されるべきである。
【0041】
図1図10において示される本発明に係る関節型連結部1の代替的な実施形態によれば、関節手段40は、ピストン3に最も近接したスカート部間機械的接続部13の端部を終端させるピストン側スイベル回転接続ヘッド部27から構成され得、ヘッド部27がピストン3に対するその位置を略保持する一方で、ヘッド部27は、接続部13がピストン3に対して枢動することを可能にする。
【0042】
図1図7において示される本発明に係る関節型連結部1の特定の実施形態によれば、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27が、ピストン当接表面8を含むピストン3の端部の近傍に配置され得ることに留意するべきである。
【0043】
この特定的な場合は、摺動スカート部バネ20が、ピストン当接表面8を含むピストン3の端部の内部および/または外部に収容される他の変化例の主題であり得る。この場合、上記ピストン3の他方の端部において、スカート部間機械的接続部13が、接続ヘッド部により、摺動スカート部12において直接的または間接的に関節接続する(スイベル回転のみで摺動しない)一方で、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27は摺動・スイベル回転し得る。
【0044】
全般的な意味では、螺入、圧着、接合、溶接、固定、または当業者に周知である任意の取り付け方法により、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27および/または摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28が、スカート部間機械的接続部13のいずれかの端部において追加され得ることに留意されるであろう。
【0045】
図8図10において示されているように、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27のピストン3に対する回転中心と、玉継手スカート部22のピストン3に対する回転中心とは、ピストン3に対して同一場所を共有し得る。この場合には、いかなる関節手段40も、スカート部間機械的接続部13と摺動スカート部12との間に置くことは、もはや不要である。
【0046】
依然として図8図10に関して、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27は、上記ヘッド部27の形状に対して相補的な形状のスイベル回転ワッシャ41において関節接続され、上記ワッシャ41はピストン3内に収容され、例えば、サークリップまたはスナップリングの形状を有する弾性リング42により上記ピストン3内で定位置に保持されると有利であり得ることに留意されるであろう。
【0047】
それらの部分に関する図1図7では、関節手段40は、摺動スカート部12に最も近接したスカート部間機械的接続部13の端部を終端させる少なくとも1つの摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28からなり、上記ヘッド部28が上記スカート部12に対するその径方向位置を略保持するが、上記スカート部12に対して軸方向に実質的に移動可能である一方で、上記ヘッド部28は、上記接続部13が上記スカート部12に対して枢動することを可能にすることが示されている。
【0048】
図1図7では、ピストン3はスカート部間接続トンネル31により一方の端部から他方の端部まで横断され、スカート部間機械的接続部13がピストン3に対してスカート部間機械的接続部13自体を指向させることを可能にするために、スカート部間機械的接続部13が充分な隙間が存在する状態でスカート部間接続トンネル31内に収容される得ることも示されている。
【0049】
ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27は、流体11が、上記ヘッド部27とそのハウジングとの間で、または上記ヘッド部27の一方の表面から他方の表面まで、流れることを可能にする流体通路伝送路29を含むことに留意されるべきである。特に図8および図10において見られる本発明に係る関節型連結部1の特定的な実施形態によれば、流体通路伝送路29は、スイベル回転ワッシャ41の厚さ全体を貫通するオリフィスによっても偶然に構築され得る。
【0050】
同様に図2図5において示されているように、摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28は、流体11が、上記ヘッド部28とそのハウジングとの間で、または上記ヘッド部28の一方の表面から他方の表面まで、流れることを可能にする、少なくとも1つの流体通路伝送路29を含み得る。
【0051】
本発明に係る関節型連結部1の代替的な実施形態によれば、玉継手スカート部22の外側円筒形表面は、上記スカート部22の密閉を制限する円形減圧溝部32を有し、それにより、連続伸張性区域15の動作が支援され得ることが、図2、および図8図10においても見られ得る。なお上記溝部32は、本発明に係る関節型連結部1の補足的な実施形態によれば、ピストンヘッド側スイベル回転スカート部の軸方向表面23に対して上記円形溝部32を接続する、少なくとも1つの軸方向減圧溝部33と協働し得る。
【0052】
図3図7では、摺動スカート部バネ20は摺動スカート部12と一体化されたバネカップ39内に収容され、上記バネ20自体は、一方では、直接的または間接的に上記カップ39内で当接し、他方では、直接的または間接的にスカート部間機械的接続部13に対して当接し得ることに留意されるであろう。
【0053】
本発明に係る関節型連結部1の特定的な実施形態によれば、流体11が、上記カップ39の内側から外側へ、または外側から内側へ、通過することが可能となるよう、バネカップ39の本体は1つまたは複数のオリフィスにより貫通され得ることに留意されるべきである。
【0054】
他の変化例として、摺動スカート部バネ20は、直接的または間接的に摺動スカート部12に対して当接する追加バネカップ30内に収容され、上記バネ20自体は、一方では、直接的または間接的に上記カップ(30)内で当接し、他方では、直接的または間接的にスカート部間機械的接続部13に対して当接し得る。この変化例は図2、および図8図10において示されている。
【0055】
本発明に係る関節型連結部1の特定的な実施形態によれば、流体11が、追加バネカップ30の内側から外側へ、または外側から内側へ、通過することが可能となるよう、上記バネカップ30の本体は1つまたは複数のオリフィスにより貫通され得ることに留意されるべきである。このことは図10において特に見られる。
【0056】
摺動スカート部12と一体化されたバネカップ39または追加バネカップ30のいずれの場合でも、図8および図10において明らかに示されているように、摺動スカート部バネ20は、カップ39、30のいずれか一方のカップ内で、および/または、バネ当接ワッシャ43を通してスカート部間機械的接続部13に対して、当接し得ることに留意されるであろう。
【0057】
この場合、バネ当接ワッシャ43は摺動スカート部バネ47をセンタリングするための手段を含み得ることに留意されるべきである。上記図8および図10において示されているように、バネ当接ワッシャ43は、軸方向停止ワッシャ45と協働する弾性リング42を通してスカート部間機械的接続部13に対して当接し得る。
【0058】
これらの同じ図8および図10において、バネ当接ワッシャ43は摺動スカート部バネ20の最小長さを決定する軸方向停止当接部44を含み得ることに留意されるであろう。上記スカート部12が、および/または、スカート部12が協働する連続伸張性区域15が、さらされる、過剰な応力の結果として摺動スカート部12が玉継手スカート部22から離間する方向に移動された場合にのみ、上記停止当接部44は動作可能であることがさらに理解される。
【0059】
図8図10において、ピストン3は、スカート部切断球形当接表面24と切断球形ピストン端部21との間の接触部が完全にまたは部分的に破壊された場合に、シリンダ4に対して接触する転位当接部46を、ピストン3の周辺部に、切断球形ピストン端部21の近傍において、含み得ることが示された。
【0060】
好適には、上記当接部46とシリンダ4との間で生じるいかなる接触もシリンダ4の内側表面を損傷させることがないよう、転位当接部46は、局所的に球形状または樽形状の、柔らかい形状を有することに留意されるであろう。
【0061】
本発明の運用方法
本発明に係るピストン密閉装置2のための関節型連結部1の運用方法は、図1図10から容易に理解される。
【0062】
図1では、本質的に知られている、可変変位軸方向ピストン液圧モータ34に適用された関節型連結部1および斜軸が示されている。上記モータ34のピストン3は、トランスミッションシャフト36に対して回転において一体化されたシリンダ35内に収容されている。これらの部材はモータ本体38内に収容されている。係る上記エンジン34は通常、ピストン3を有することに留意されるであろう。ピストン3は切断球形端部を露出し、この切断球形端部はシリンダ4に対して摺動玉継手接続を形成し、各ピストン3は上記接続部の周りで関節接続される。後に見られるように、この関節接続は、本発明に係る関節型連結部1により、関連するが異なる形態で、実装される。
【0063】
上記モータ34のピストン3が、上記モータ34に含まれるバルブプレート37の特定的な構成のために圧力および液圧流体流11を受けると、上記ピストン3は駆動トルクをトランスミッションシャフト36に与える。それによりトランスミッションシャフト36は駆動力を供給することが可能となる。
【0064】
シリンダ35とともに回転することにより、全ピストン3のうちの各ピストン3は、各ピストン3が協働するシリンダ4に対して出入りする。
【0065】
もし単一のピストン3が観察されるならば、シリンダ35が360度回転する間に上記ピストン3はピストン3が協働するシリンダ4に対しては平行を維持せず上記シリンダ4に対してその長手方向軸に対して垂直なその2つの軸の周りで回転することが見られ得る。
【0066】
最新技術水準によれば、この相対運動は、球体端部ピストンの採用により解決されるが、係るピストンは、特許WO2015/011358A1の発明主題であるピストン密閉装置2を受容するにあたっては好適ではない。
【0067】
これが、本発明に係るピストン密閉装置2のための関節型連結部1が、連続伸張性区域15とピストンヘッド6との間に置かれた玉継手スカート部22を提供する理由である。
【0068】
球形ピストンを有する斜軸液圧モータのピストン球形ヘッド部により通常は具体化される機能は、ここでは、一方では、圧縮表面10上に配置された切断球形ピストン端部21により、他方では、ピストンヘッド側スイベル回転スカート部23の軸方向表面上に配置されたスカート部切断球形当接表面24により、これらが互いに対して密閉接触状態にあるときに構築される玉継手により提供される。
【0069】
このように構築された本発明に係る関節型連結部1は、一方では、特許WO2015/011358A1に係るピストン密閉装置2が上記適用により提供される状況下で動作することを、および他方では、ピストン3が先行技術に係る斜軸モータの状況下で動作することを可能にし、これら上記2つの状況は、本発明に係る関節型連結部1により提供される玉継手スカート部22の特定的な動作により満足される。
【0070】
図2において示されているように、流体チャンバ5に拡がる流体11の圧力に起因する応力の大部分は、ピストンヘッド6により含まれる圧縮表面10に対して直接的に印加される。上記応力のわずかな一部のみが、一方では、切断球形ピストン端部21とスカート部切断球形当接表面24との間の接触円と、他方では、シリンダ4の内径と、の間で径方向に配置される、そのフランジ区域に対して、玉継手スカート部22に印加される。さらに、上記応力の上記わずかな一部分は、切断球形ピストン端部21とスカート部切断球形当接表面24との間で充分な接触圧力を維持することが必要であり、上記接触圧力が2つの部材21と24との間の良好な密閉の保証であることに留意されたい。
【0071】
図3図5では、一方では玉継手スカート部22により、他方ではスカート部間機械的接続部13により、可能にされる、シリンダ4に対するピストン3の傾斜が示されている。スカート部間機械的接続部13は充分な隙間が存在する状態でスカート部間接続トンネル31内に収容され、スカート部間接続トンネル31は、長さ方向において一方の端部から他方の端部までピストン3を貫通し、上記隙間は、上記接続部13が、上記トンネル31の内側壁部に接触することなく、接続部13自体をピストン3に対して指向させることを可能にするにあたり必要であることに留意されるべきである。
【0072】
さらに図3図5では、比較的大きい隙間がバネカップ39の底部に設けられたオリフィスとスカート部間機械的接続部13との間にも残されており、それにより、シリンダ4に対してピストン3がどのように指向したとしても、上記カップ39および上記接続部13が上記オリフィスのレベルにおいて互いに対して決して接触し得ないことが示されている。
【0073】
いずれの場合にせよ、状況は、図8において示される関節型連結部1の特定の構成において異なり、それにより、わずかな隙間のみが、追加バネカップ30の底部に提供されたオリフィスと、上記カップ30と常に同一の指向を取るスカート部間機械的接続部13と、の間で残される。
【0074】
図3図5では、摺動スカート部バネ20が螺旋状圧縮バネの形状を取るため、摺動スカート部バネ20は、上記バネ20が当接するその底部上のバネカップ39に対するスカート部間機械的接続部13の指向における周期的変動を容易に吸収することにも留意されるであろう。
【0075】
スカート部間機械的接続部13は、ピストン当接表面8において、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27を含み、それにより、シリンダ4に対する上記ピストン3の指向のいかんに関わらず、上記ヘッド部27が上記ピストン3に対しておおよそ同一の径方向および軸方向の位置を維持する一方で、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27がピストン3に対して枢動することを可能にすることも、図3図5において留意されるであろう。
【0076】
さらに、図1図7において提示される本発明に係る関節型連結部1の特定の実施形態によれば、摺動スカート部12に最も近接するスカート部間機械的接続部13の端部は摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28を含み、この摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28は、上記ヘッド部28が、上記スカート部12に対してはその径方向位置を維持するが、軸方向においては上記スカート部12に対して実質的に移動し得る一方で、上記接続部13が上記スカート部12に対して枢動することを可能にする。
【0077】
図3図5において特に示されているように、摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28は、摺動スカート部12において配置され、かつ、摺動スカート部バネ20がその中に収容された、バネカップ39により含まれる円筒形ハウジングと協働する切断球形ノズルからなる。
【0078】
さらに、上記バネカップ39が、摺動スカート部12に対して当接する追加バネカップ30により取って代わられた場合も、それは同一であることが図2において留意されるべきである。
【0079】
両方の場合においても、摺動スカート部バネ20がそれぞれ、一方では、バネカップ39の底部もしくは追加バネカップ30の底部に対して、他方では、摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28の下方に対して、押圧することに留意されるべきである。
【0080】
ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27が流体通路伝送路29を含み、この流体通路伝送路29は、上記ヘッド部27とそのハウジングとの間で流体11が通過することを可能にすることが、特に図2において留意されるべきである。この構成は、特に、ピストン当接表面8を、伝達手段9とピストン当接表面8との接点において、潤滑することを可能にする。
【0081】
依然として図2において、摺動スカート部側摺動・スイベル回転接続ヘッド部28が流体通路伝送路29を含み、この流体通路伝送路29は、流体11が、上記ヘッド部28の一方の表面から他方の表面へと通過することを可能にすることが見られ得る。この構成は、一方では、流体チャンバ5内で拡がる圧力を、区域内側円筒形表面16に対して、ならびに圧縮表面10に対して、反射させること、および他方では、ピストン当接表面8を潤滑するために、流体流11を、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27により含まれる流体通路伝送路29において確立させることを可能にする。
【0082】
伝達手段9に対するピストン3の枢動軸Aの位置、および、玉継手スカート部22に対するピストン3の枢動軸Bの位置が、図3図5において示されている。
【0083】
上記図3図5において示される本発明に係る関節型連結部1の特定的な実施形態によれば、枢動軸Bの位置は、切断球形ピストン端部21とスカート部切断球形当接表面24との間の大きい球形接触半径を伴う。上記大きい半径は、その半径を大きくする傾向を有する玉継手スカート部22により経験されるコーナー効果を制限する。加えて、上記大きい半径は、玉継手スカート部22、連続伸張性区域15、および摺動スカート部12からなる組立体の軸方向サイズを減少させることとなる。
【0084】
しかし、ピストン3がその長手方向軸に対して垂直な2つの軸の周りに上記シリンダ4に対して枢動するとき、枢動軸Bの位置は、シリンダ4に対する切断球形ピストン端部21の軽微な偏心を伴うことに留意されるべきである。
【0085】
本発明に係る関節型連結部1の代替的な実施形態が、図8図10において示されている。この実施形態では、玉継手スカート部22に対するピストン3の枢動軸Bが上記ピストン3に対する玉継手スカート部22の回転中心と一致する。
【0086】
上記代替的な実施形態によれば、スカート部間機械的接続部13と摺動スカート部12との間に直接的または間接的に置かれる関節手段40を提供することはもはや不要である。
【0087】
しかし、上記代替的な実施形態によれば、ピストン側スイベル回転接続ヘッド部27が、ヘッド部27の形状に対して相補的形状であるスイベル回転ワッシャ41において上記ヘッド部27に関節接続されると有利である。なお上記ワッシャ41はピストン3内に収容される。ピストン3内において上記ワッシャ41は弾性リング42により保持される。
【0088】
図1図10から容易に推測され得るように、どのような変化例が考慮されたとしても、本発明に係る関節型連結部1の特定的な動作により、特許WO2015/011358A1の発明主題であるピストン密閉装置2は、図1において示される斜軸を有する可変変位軸方向ピストン液圧モータ34に対して完全な互換性を実際に有する。
【0089】
上記液圧モータに対する本発明のこの適用は、本開示において、非限定的な事例によってのみ偶然に開示されたものであり、本発明に係るピストン密閉装置2のための関節型連結部1の可能性は上述した適用に限定されない。実際に、上記連結部1は特許WO2015/011358A1の発明主題であるピストン密閉装置2を受容する任意の機械または装置に適用されることが、上記機械または装置が少なくとも1つのピストン3を含み、係るピストン3が、上記装置2を受容し、かつ、その動作時に、ピストン3が協働するシリンダに対して平行な状態を維持しないかぎり、可能である。
【0090】
例えば本発明に係る関節型連結部1は、本出願者に属する2016年9月27日の特許出願FR1659071の発明主題であるアクチュエータシリンダピストンおよび/または液圧式慣性バルブ・アクチュエータのリターン式シリンダピストンに、上記ピストンに対して特許WO2015/011358A1の発明主題であるピストン密閉装置2が実際に装備されているかぎり、適用されることが可能である。
【0091】
前述の説明の全部が単に例示としてのみ与えられたものであること、および、このことが、本開示で説明した詳細に対する任意の他の均等物を依然として含み得る本発明の範囲をいかなる方法においても制限しないこと、も理解されなければならない。
図1
図2
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