(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】潜在性硬化剤及び硬化性ポリウレタン組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/32 20060101AFI20240401BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240401BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20240401BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C08G18/32 096
C09D175/04
C09J175/04
C09K3/10 D
(21)【出願番号】P 2019569949
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2018066177
(87)【国際公開番号】W WO2018234267
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-21
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504274505
【氏名又は名称】シーカ・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト ウルズ
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー アンドレアス
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/179915(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0152394(US,A1)
【文献】特開2004-107370(JP,A)
【文献】特開平10-226720(JP,A)
【文献】特開昭64-026571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/32
C09D 175/04
C09J 175/04
C09K 3/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
nは、1、2又は3であり、
Zは、式(II)
【化2】
(式中、Rが、8~16個の炭素原子を有する分岐型アルキル又は分岐型アルコキシ残基である)のアリール残基であり、
Aは、15~10000g/molの範囲内の分子量を有するn価有機残基であり、 Xは、O若しくはS又はNR
0(ここで、R
0は1~18個の炭素原子を有する一価有機残基である)であり、及び
Yは、置換されていてもよい1,2-エチレン又は1,3-プロピレン残基であり、 ここで、A及びYは、n=1である場合、4~10個の炭素原子を有する三価残基に結合していてもよい)
の化合物。
【請求項2】
Aが、酸素又は窒素又はケイ素原子を有していてもよく、及び、15~6,000g/molの範囲内の分子量を有していてもよい、n価の脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族ヒドロカルビル残基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、分岐型の、4-デシル、4-ウンデシル、4-ドデシル、4-トリデシル及び4-テトラデシル残基から選択される、請求項1又は2に記載の化合物の混合物。
【請求項4】
nが1であり、Yが1,2-エチレンであり、XがOであり、及び、AがA
1(ここで、A
1は、水酸基を有し、及び、1~8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアラルキル残基である)であり、それ故、式(Ia)
【化3】
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
nが1であり、XがOであり、及び、AがA
2(ここで、A
2は、シラン基を有し、及び、1~6個の炭素原子を有するアルキル残基である)であり、それ故、式(Ib)
【化4】
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
nが1であり、XがOであり、及び、AがZ-CH=N-A
3---(ここで、A
3は、1~8個の炭素原子を有するアルキレン、シクロアルキレン又はアリールアルキレン残基であり、点線は、置換基と対応する分子残基との間の結合を表す)であり、それ故、式(Ic)
【化5】
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
nが2であり、及び、AがA
4(ここで、A
4は、1つ以上のエーテル、エステル、カーボネート又はウレタン基を有していてもよく、及び、2~50個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレン又はアリールアルキレン残基である)であり、それ故、式(Id)
【化6】
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
イソシアネート基を含有する組成物のための潜在性硬化剤としての、請求項1~
7のいずれか一項に記載の化合物の少なくとも1種の使用。
【請求項9】
-請求項1~
7のいずれか一項に記載の化合物の少なくとも1種、並びに
-少なくとも1つのポリイソシアネート及び/又はイソシアネート基を含有する少なくとも1種のポリウレタンポリマー
を含む組成物。
【請求項10】
接着剤又はシーラント又はコーティングであることを特徴とする、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
窒素原子及び酸素原子が、2又は3個の炭素原子によって互いに離間されているアミノアルコールのためのブロッキング剤としての、式(IV)
【化9】
(式中、Zは、
式(II)
【化10】
(式中、Rが、8~16個の炭素原子を有する分岐型のアルキル又は分岐型のアルコキシ残基である)のアリール残基である)
の少なくとも1種のアルデヒドの使用。
【請求項12】
用いられる前記式(IV)のアルデヒドが、4-デシルベンズアルデヒド、4-ウンデシルベンズアルデヒド、4-ドデシルベンズアルデヒド、4-トリデシルベンズアルデヒド及び4-テトラデシルベンズアルデヒドであって、そのアルキル残基が分岐型であるものを含む混合物である、ことを特徴とする、請求項1
1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜在性硬化剤、及び、これらを含む硬化性ポリウレタン組成物に関し、並びに、接着剤、シーラント及びコーティングにも関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート基と、水酸基及び/又は水分若しくは水との反応によって架橋する硬化性ポリウレタン組成物が、多くの工業用途において、例えば建設業及び製造業において接着剤、シーラント又はコーティングとして使用されている。この種の組成物が高湿度及び/又は高温で使用される場合、その硬化は、多くの場合、十分に迅速に消失又は消散されない放出される二酸化炭素ガスが原因となって破壊的な気泡を生じさせる。気泡形成を回避するために、水分との接触でアミノ基を放出し、且つ、二酸化炭素を形成することなくイソシアネート基と迅速に架橋する、潜在性硬化剤と呼ばれる、化学的にブロックされたアミンを組成物に添加することが可能である。使用される潜在性硬化剤は通常、アルジミン、ケチミン又はオキサゾリジン基を有する化合物である。しかしながら、公知の潜在性硬化剤は不利益をもたらす。例えば、それらは、早期の架橋反応を開始させ、従って組成物の貯蔵安定性を低下させ、及び/又は、余りにも短い風乾時間、従って余りにも短い作業枠をもたらすような程度にその硬化を加速し得る。しかも、公知の潜在性硬化剤の多くは、硬化時、潜在性硬化剤中においてブロッキング剤として機能し、加水分解によって放出される、きわめて揮発性で臭気が強いアルデヒド又はケトンによって引き起こされる厄介な臭気の侵入をもたらす。
【0003】
オキサゾリジン基を有する潜在性硬化剤はアルジミン又はケチミン基を有するものとは異なり、加水分解によって、アミノ基だけではなく、同様にイソシアネート反応性である水酸基を追加でもたらす。そのため、これらは使用が特に経済的であり、硬化時に放出されるブロッキング剤の量がより少量となり、及び、架橋密度が高まり、これは特にコーティングに有利である。しかしながら、これらはまた欠点も有するものであり、使用が大きく限定されている。最も商業的に周知であるオキサゾリジン硬化剤であるIncozol 4は、室温又は室温より少し低い温度で固体であり、従って、溶融させるか、又は、溶剤中に溶解させる必要がある。しかも、多数のイソシアネートについて非常に限定的な貯蔵性しか有さず、また、硬化に際して非常に揮発性で臭気性のイソブチルアルデヒドを放出する。
【0004】
米国特許第5,189,176号明細書には、2-エチルヘキサナール系の対応するオキサゾリジン硬化剤が記載されている。これらは室温で液体であるが、同様にイソシアネートについて非常に限定的な貯蔵性しか有さず、また、非常に強い臭気の侵入をもたらす。しかも、2-エチルヘキサナールは有毒である。
【0005】
例えば日本特許第08-034776号公報又は日本特許第2002-194048号公報により、芳香族アルデヒドから誘導されたオキサゾリジン硬化剤も公知である。これらは室温で固体であり、強い臭気の侵入をもたらし、いくつかの場合においては変色をもたらす。
【0006】
国際公開第2004/013088号パンフレットには、無臭の第三級脂肪族長鎖及びエステル含有アルデヒドによりブロックされた無臭アルジミン硬化剤が開示されている。これらのアルデヒド系のオキサゾリジン硬化剤は、国際公開第2010/068736号パンフレットにおいて、ホットメルト接着剤における使用が提案されている。これらはすべてのイソシアネートについて貯蔵-安定性であり、いかなる臭気の侵入も引き起こさないが、非常に遅い速度でしか加水分解されず、従って、硬化に際して不完全にしか組み込まれず、これにより、気泡形成が生じ、及び、機械的に脆弱なポリマーがもたらされてしまう。しかも、硬化したポリウレタンとの親和性が不十分であることにより放出される長鎖アルデヒドは、にじみ、基材の変色又は基材における応力亀裂によって明白である可能性がある可塑剤移行の傾向を有する。この書面では同様に、ユリアルデヒドから誘導されたオキサゾリジンが開示されている。しかしながら、これらの芳香脂肪族オキサゾリジンは、イソシアネートを一緒に伴う貯蔵安定性がきわめて限定的でしかなく、潜在的にアレルゲンでもあるユリアルデヒドが放出される結果、強く及び長期におよぶ臭気の侵入が引き起こされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、ポリウレタンの潜在性硬化剤として好適であると共に、従来技術における欠点が克服されたオキサゾリジンを提供することを目的とする。
【0008】
驚くべきことに、本目的は、請求項1に記載されている式(I)の化合物によって達成されることが見出された。式(I)の化合物は、少なくとも1つの任意選択により置換されるオキサゾリジノ基、又は、5員ではなく6員環構造を有するか、若しくは、環中の酸素の代わりに硫黄若しくは第三級アミンを有する構造的に関連する基を含有する。
【0009】
式(I)の化合物は、典型的な使用に係る温度範囲にわたって液体であり、数ヶ月~1年又はそれを超える長期の貯蔵期間にわたって結晶化せず、及び、同時に驚くべきことに粘度が低く、すべての種類のイソシアネートを伴って貯蔵可能であり、並びに、加水分解に際して、無臭、非揮発性であり、且つ、無色のブロッキング剤を放出するオキサゾリジン硬化剤を提供する。これらは、それ故、容易に取り扱いが可能であり、並びに、屋内においても、及び、淡色の製品においても制限なく用いられることが可能である。
【0010】
イソシアネート基を含有する組成物、及び、このようなオキサゾリジン硬化剤を含む組成物は、きわめて反応性である芳香族イソシアネートを伴っていても良好な貯蔵安定性が注目に値するものであり、並びに、十分な風乾時間を確保しつつも完全に、且つ、気泡形成を伴うことなく水分と急速に硬化して、高品質のポリウレタンポリマーをもたらすものである。ここで、放出されるアルデヒドは臭気の侵入をまったく引き起こさず、これは、このようなポリウレタン組成物は、屋内での使用及び大面積用途のための使用にも好適であることを意味する。硬化は、高い機械的強度及び伸長性、適度な弾性率、並びに、良好な熱安定性を有する高品質のポリマーをもたらす。
【0011】
驚くべきことに、硬化したポリマーは、ポリウレタンマトリックス中に化学的に組み込まれることがなく、且つ、硬化の最中に放出される式(IV)のアルデヒドにもかかわらず、高い可塑剤移行が原因である粘着性の表面又は基材の損傷に対するいかなる傾向もまったく示さない。これは特に意外である。なぜなら、このアルデヒドは比較的高い分子量を有すると共に相応して比較的高い重量割合でポリマー中に存在し、且つ、長鎖を有するために置換基としてきわめて疎水性の残基であり、これは、どちらかというと、水素結合を有するポリウレタンの親水性ポリマー骨格に対する低い親和性、それ故、可塑剤移行に対する強い傾向を示唆するためである。
【0012】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、式(I)
【化1】
(式中、
nは、1、2又は3であり、
Zは、アルキル又はアルコキシ基で置換され、且つ、合計で12~26個の炭素原子を有するアリール残基であり、
Aは、15~10000g/molの範囲内の分子量を有するn価有機残基であり、
Xは、O若しくはS又はNR
0(ここで、R
0は1~18個の炭素原子を有する一価有機残基である)であり、並びに
Yは、任意選択により置換されている1,2-エチレン又は1,3-プロピレン残基であり、
ここで、A及びYは、n=1である場合、4~10個の炭素原子を有する三価残基に結合していてもよい)
の化合物を提供する。
【0014】
「シラン基」とは、有機残基に結合すると共に、ケイ素原子上に1~3個、特に2又は3個のアルコキシ残基を有するシリル基を指す。
【0015】
「分子量」とは、分子又は分子残基のモル質量(g/mol)を指す。「平均分子量」とは、オリゴマー又はポリマー分子又は分子残基の多分散混合物の数平均分子量(Mn)を指す。典型的には、標準としてのポリスチレンに対するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって決定される。
【0016】
各事例における式中の点線は、置換基と対応する分子残基との間の結合を表す。
【0017】
「第一級アミノ基」は、単一の有機残基に結合し、2個の水素原子を有するアミノ基を指し;「第二級アミノ基」は、一緒に環の部分であり得る2つの有機残基に結合し、1個の水素原子を有するアミノ基も指し;「第三級アミノ基」は、その2つ又は3つが1つ以上の環の部分でもあり得る3つの有機残基に結合し、いかなる水素原子も有さないアミノ基を指す。
【0018】
「第一級ジアミン」とは、2つの第一級アミノ基を有する化合物を指す。
【0019】
「芳香族イソシアネート」とは、イソシアネート基が芳香族炭素原子に直接結合しているイソシアネートを指す。従って、この種のイソシアネート基は「芳香族イソシアネート基」と称される。
【0020】
「脂肪族イソシアネート」とは、イソシアネート基が脂肪族炭素原子に直接結合しているイソシアネートを指す。従って、この種のイソシアネート基は「脂肪族イソシアネート基」と称される。
【0021】
ポリアミン、ポリオール又はポリイソシアネートなどの「ポリ」で始まる物質名は、形式上、その名称中の官能基を1つの分子当たり2つ以上含有する物質を指す。
【0022】
物質又は組成物は、それが、貯蔵の結果としてその使用にとって適切な程度にその用途又は使用特性の点でいかなる変化もなしに、長期間にわたり、典型的には少なくとも3カ月~最大で6カ月又はそれを超えて好適な容器中室温で貯蔵できる場合に「貯蔵安定性のある」又は「貯蔵できる」と呼ばれる。
【0023】
「室温」は、23℃の温度を指す。
【0024】
「可塑剤」は、硬化したポリマーに化学的に組み入れられず、典型的には、可塑化効果をポリマーにもたらす液体又は溶解した物質を指す。
【0025】
好ましくは、nは1又は2である。これらの式(I)の化合物は特に入手が容易であり、また、特に貯蔵安定性の単成分ポリウレタン組成物が実現可能となる。
【0026】
好ましくは、Aは、任意選択により酸素又は窒素又はケイ素原子を有し、及び、15~6,000g/molの範囲内の分子量を有する、n価の脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族ヒドロカルビル残基である。
【0027】
より好ましくは、Aは、15~6,000g/molの範囲内の分子量を有し、並びに、任意選択により、エーテル、エステル、アミノ、アルジミノ、ヒドロキシル、アミド、カーボネート、ウレタン、尿素、ニトリル及びシラン基から選択される1つ以上の基を有する、n価の脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族ヒドロカルビル残基である。
【0028】
Aは、15~2,000g/molの範囲内の分子量を有することが好ましい。
【0029】
特に、Aは、15~2,000g/molの範囲内の分子量を有し、及び、任意選択により、エーテル、エステル、アルジミノ、ヒドロキシル、カーボネート、ウレタン又はシラン基のうち1つ以上を有する、n価の脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族ヒドロカルビル残基である。
【0030】
Xは、O又はNR0であることが好ましい。
【0031】
より好ましくは、XはOである。
【0032】
R0は、1~18個の炭素原子を有し、並びに、任意選択により、カルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン及びスルホン酸エステル基から選択される1又は2つの基を有する、アルキル、シクロアルキル又はアリールアルキル残基であることが好ましい。
【0033】
より好ましくは、R0は、1~12個の炭素原子を有し、並びに、任意選択により、1又は2つのカルボン酸エステル又はニトリル基を有する、アルキル、シクロアルキル又はアリールアルキル残基である。
【0034】
Yは、1,2-エチレン若しくは1,3-プロピレン若しくは1,2-プロピレン残基であることが好ましく、又は、任意選択により、シラン基を任意選択により有する置換3-アルキルオキシ-1,2-プロピレン若しくは3-アリールオキシ-1,2-プロピレン残基であり、又は、n=1及びX=Oである場合、式
【化2】
(式中、Eは、6~20個の炭素原子を有し、及び、任意選択により、1つ以上のエーテル、エステル又はグリシドキシ基を有する、二価ヒドロカルビル残基である)
の残基でもあり得る。
【0035】
Eは、好ましくは、2つのグリシドキシ基を除去した後のグリシジルエーテルの残基、特に、96~1,000g/molの範囲内の平均分子量を有する、4,4’-メチレンジフェニル、4,4’-(2,2-プロピレン)ジフェニル、1,2-若しくは1,3-若しくは1,4-フェニル、1,4-ブチレン、1,6-ヘキシレン又はα,ω-ポリオキシプロピレンである。
【0036】
Yは、好ましくは、シラン基を有する、1,2-エチレン又は1,2-プロピレン又は3-アルキルオキシ-1,2-プロピレン又は3-アリールオキシ-1,2-プロピレン残基又は3-アルキルオキシ-1,2-プロピレン残基である。
【0037】
より好ましくは、Yは、1,2-エチレン又は3-アルキルオキシ-1,2-プロピレン又は3-アリールオキシ-1,2-プロピレンである。
【0038】
XがOであり、及び、Yが残基(ここで、N及びOは2個の炭素原子によって分離されている)である式(I)の化合物は、オキサゾリジンである。オキサゾリジンは、潜在性硬化剤として用いられた場合に、特に迅速に硬化する組成物を実現する。
【0039】
XがOであり、及び、Yが残基(ここで、N及びOは3個の炭素原子によって分離されている)である式(I)の化合物は、オキサジンアンである。オキサジンアンは、潜在性硬化剤として用いられた場合に、特に良好な貯蔵安定性を有する組成物を実現する。
【0040】
Zは、式(II)
【化3】
(式中、Rは、6~20、好ましくは8~16個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ残基である)
の残基であることが好ましい。
【0041】
Rは、分岐型残基であることが好ましい。このような式(I)の化合物は、特に低粘度のものである。
【0042】
Rは、より好ましくは、10~14個の炭素原子を有する分岐型アルキル残基、又は、8~12個の炭素原子を有する分岐型アルコキシ残基である。
【0043】
Rは、特に、10~14個の炭素原子を有する分岐型アルキル残基である。
【0044】
最も好ましくは、Rは、式
【化4】
(式中、R
1及びR
2は各々、アルキル残基であり、及び、一緒になって、9~13個の炭素原子を有する)
の残基である。
【0045】
Rは、好ましくは、メタ又はパラ位にあり、特にパラ位にある。このようなZ残基は、特に容易に入手可能である。
【0046】
最も好ましくは、Zは、それ故、式(IIa)
【化5】
(式中、R
1及びR
2は所与の定義を有する)
の残基である。
【0047】
好ましいZ残基は、特に容易に入手可能であり、並びに、典型的には室温で液体であり、及び、特に低粘度である式(I)の化合物を実現する。
【0048】
本発明の好ましい実施形態は、nが1であり、Yが1,2-エチレンであり、XがOであり、及び、AがA1(ここで、A1は、1~8個の炭素原子を有し、及び、任意選択により、水酸基を有するアルキル、シクロアルキル又はアラルキル残基であって、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、2-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、2-エチルヘキシル又は2-ヒドロキシエチルである)である式(I)の化合物である。
【0049】
このような化合物は式(Ia)を有する。これは、潜在性硬化剤として、及び/又は、ポリウレタン組成物の乾燥剤として特に好適である。A
1残基が水酸基を有する場合、式(Ia)の化合物はまた、これらから形成される、エステル、ウレタン又はカーボネート基を有する式(I)の化合物を調製するための反応体として好適である。
【化6】
【0050】
式(Ia)において、A1及びZは既述の定義を有する。
【0051】
より好ましくは、A1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はn-ブチルである。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施形態は、nが1であり、XがOであり、及び、AがA2(ここで、A2は、シラン基を有し、及び、1~6個の炭素原子を有するアルキル残基であって、特に、3-トリメトキシシリルプロピル、3-トリエトキシシリルプロピル又は3-ジメトキシメチルシリルプロピルである)である式(I)の化合物である。
【0053】
このような化合物は式(Ib)を有する。これは、ポリウレタン組成物の粘着促進剤として特に好適である。
【化7】
【0054】
式(Ib)において、A2、Y及びZは既述の定義を有する。
【0055】
好ましい式(Ib)の化合物は
【化8】
及び、ケイ素原子上のメトキシ基の代わりにエトキシ基を有する対応する化合物である。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施形態は、nが1であり、XがOであり、及び、AがZ-CH=N-A3---(式中、A3は1~8個の炭素原子を有するアルキレン、シクロアルキレン又はアリールアルキレン残基である)である式(I)の化合物である。
【0057】
このような化合物は式(Ic)を有する。これは、特に、アルジミノ-オキサゾリジンであり、及び、ポリウレタン組成物の潜在性硬化剤として特に好適である。
【化9】
【0058】
式(Ic)において、A3、Y及びZは既述の定義を有する。
【0059】
好ましくは、ここで、Yは、エチレン又は3-アルキルオキシ-1,2-プロピレン又は3-アリールオキシ-1,2-プロピレン残基である。
【0060】
特に好ましい式(Ic)の化合物は
【化10】
である。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施形態は、nが2であり、及び、AがA4(ここで、A4は、任意選択により、1つ以上のエーテル、エステル、カーボネート又はウレタン基を有し、及び、2~50個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレン又はアリールアルキレン残基である)である式(I)の化合物である。
【0062】
このような化合物は式(Id)を有する。好ましくは、各事例において、XはOである。それ故、これは、特にビスオキサゾリジンであり、及び、ポリウレタン組成物の潜在性硬化剤として特に好適である。
【化11】
【0063】
式(Id)において、A4、X、Y及びZは既述の定義を有する。
【0064】
好ましくは、XはOである。
【0065】
好ましくは、Yは、1,2-エチレン、1,2-プロピレン又は1,3-プロピレンであり、特に1,2-エチレンである。
【0066】
好ましくは、A4は、2つのウレタン基を有し、及び、10~20個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレン又はアリールアルキレン残基である。
【0067】
さらに好ましくは、A4は、カーボネート基を有し、5~7個の炭素原子を有するアルキレン残基である。
【0068】
さらに好ましくは、A4は、任意選択により、1つ以上のエーテル基を有し、及び、2~15個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレン又はアリールアルキレン残基である。
【0069】
さらに好ましくは、A4は、2つのエステル基を有し、及び、10~20個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレン又はアリールアルキレン残基である。
【0070】
特に好ましい式(Id)の化合物は
【化12】
(式中、D
1は、6~15個の炭素原子を有する二価ヒドロカルビル残基、特に1,6-ヘキシレン又は(1,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-イル)メタン-1,3又は4(2)-メチル-1,3-フェニレンである)、
【化13】
(式中、a=2又は3である)、
【化14】
(式中、Bは、任意選択により、エーテル酸素を有し、及び、2~15個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレン又はアリールアルキレン残基であり、並びに、Gは、任意選択により、エーテル酸素を有し、及び、2~25個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基、特にフェニル、置換フェニル又は2-エチルヘキシルである)、
【化15】
(式中、D
2は、任意選択により、エーテル酸素を有し、及び、2~15個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレン又はアリールアルキレン残基である)である。
【0071】
最も好ましい式(Id)の化合物は、式
【化16】
のジウレタンである。
【0072】
本発明のさらに好ましい実施形態は、nが1であり、XがOであり、AがA
5であり、及び、Yが式
【化17】
の残基であり、ここで、A
5が、任意選択により、1つ以上のエーテル基を有し、及び、1~35個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアラルキル残基、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、2-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、2-エチルヘキシル、ドデシル、又は、オキシエチレンコンポーネントを含有していてもよいメトキシ-末端ポリオキシプロピレン残基である、式(I)の化合物である。
【0073】
このような化合物は式(Ie)を有する。これは、ビスオキサゾリジンであり、及び、ポリウレタン組成物の潜在性硬化剤として特に好適である。
【化18】
【0074】
式(Ie)において、A5、E及びZは既述の定義を有する。
【0075】
本発明のさらに好ましい実施形態は、nが1であり、A及びYが結合して、追加のX及び追加のZを有し、並びに、4~10個の炭素原子を有し、並びに、XがOである三価脂肪族炭化水素残基を形成している、式(I)の化合物である。
【0076】
このような化合物は特に、式(If)
【化19】
(式中、R
3は、1~4個の炭素原子を有するアルキル残基であり、特にメチル又はエチルであり、及び、Zは既述の定義を有する)
を有する。
【0077】
これは、縮合ビスオキサゾリジンであり、及び、ポリウレタン組成物の潜在性硬化剤として特に好適である。
【0078】
式(I)の化合物は、好ましくは、少なくとも1つの式(III)のアミンと、式(IV)の少なくとも1つのアルデヒドとの、水の除去を伴う縮合反応における反応から得られる。
【化20】
式中、A、X、n及びZは既述の定義を有する。
【0079】
式(I)中のAがアルジミノ基を有する場合、式(III)中におけるAに対応する部位に第一級アミノ基が特に存在している。
【0080】
ここで、式(IV)のアルデヒドは、化学量論的に用いられ、又は、特にXH基に関して化学量論的過剰量で用いられる。
【0081】
この反応は、好ましくは、
- 式(III)のアミンが、化学量論的に用いられるか、又は、特にXH基に関して化学量論的過剰量で用いられる式(IV)のアルデヒドと組み合わされて、反応混合物がもたらされ、
- 並びに、存在する縮合水及びいずれかの溶剤が、上記の組み合わせるステップの最中又はその後に、任意選択により、その加熱及び/又は減圧の適用といった好適な方法により、反応混合物から除去される
ように実施される。
【0082】
縮合水は、加熱された反応混合物から、溶剤を用いることなく減圧を適用することで除去されることが好ましい。
【0083】
Aが1つ以上のエステル、カーボネート又はウレタン基を有する式(I)の化合物は特に、水酸基を有する式(I)の化合物と、単官能又は多官能カルボン酸エステル又はカーボネート又はイソシアネートとを反応させることによっても入手可能である。
【0084】
ここで用いられる水酸基を有する式(I)の化合物は特に、A
1が水酸基を有する式(Ia)の化合物である。最も好ましくは、Zが既述の定義を有する、式
【化21】
の化合物がここでは用いられる。
【0085】
カーボネート、又は、市販されている単量体ジイソシアネート(特に、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、又は、トリレン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート、又は、これらの異性体のいずれかの混合物(TDI)など)を伴う反応が特に好ましい。
【0086】
Aが1つ以上のエステル、アミド又はニトリル基を有する式(I)の化合物はまた、式
【化22】
(式中、Y
1は、1,2-エチレン又は1,3-プロピレン又は1,2-プロピレン残基であり、並びに、X及びZは既述の定義を有する)の化合物を、マイケルアクセプタ、特に、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステル又はフマル酸エステル、シトラコン酸エステル又はイタコン酸エステル、又は、これらのエステルのアミド、又は、アクリロニトリルと反応させることで入手可能である。
【0087】
式
【化23】
の化合物はそれ自体、式H
2N-Y
1-XHのアミンと式(IV)のアルデヒドとの反応から入手可能である。
【0088】
式(I)の化合物の調製のための式(IV)のアルデヒドとの反応に好適であるいくつかの式(III)のアミンは、市販されているか、又は、これらは、市販されている出発材料から単純な方法で調製可能である。
【0089】
好適な式(III)のアミンは、特に、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-プロピルエタノールアミン、N-イソプロピルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン、N-イソブチルエタノールアミン、N-2-ブチルエタノールアミン、N-tert-ブチルエタノールアミン、N-n-ヘキシルエタノールアミン、N-イソヘキシルエタノールアミン又はN-(2-エチルヘキシル)エタノールアミンなどの市販されている脂肪族ヒドロキシルアミンである。
【0090】
このような式(III)のアミンは、水酸基を含まない式(Ia)の化合物の調製に特に好適である。
【0091】
さらに好適な式(III)のアミンは、特にジエタノールアミン又はジイソプロパノールアミンなどの市販されている脂肪族ジヒドロキシルアミンである。
【0092】
このような式(III)のアミンは、水酸基を有する式(Ia)の化合物の調製に特に好適であり、次いで、これは、好ましくは、カーボネート又はジイソシアネート又はエステルと反応されて式(Id)の化合物がもたらされる。
【0093】
さらに好適な式(III)のアミンは、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル又はアルキルグリシジルエーテルなどのエポキシドとの反応に供された、特に、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン又は3-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノシランである。ここでは、エポキシドとの反応において形成される水酸基とシラン基との反応が最低限となることが保証されなければならない。それ故、迅速な式(IV)のアルデヒドとのさらなる反応が有利である。アルデヒドとの反応においては、同様に、遊離される水によるシラン基の加水分解が最低限となることが保証されなければならない。水を直ちに除去することが好ましく、任意選択により、例えば分子ふるいといった乾燥剤の追加的な使用が好ましい。
【0094】
このような式(III)のアミンは、式(Ib)の化合物の調製に特に好適である。
【0095】
さらに好適な式(III)のアミンは、nが1であり、及び、Aが第一級アミノ基を有する式(III)のアミンであって、特に、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、又は、1:1のモル比での第一級ジアミンとモノエポキシドとの反応生成物などの式(III)のアミンである。超化学量論的量のプロパン-1,2-ジアミン又は2-メチルペンタン-1,5-ジアミンと、クレジルグリシジルエーテルとの反応生成物、及び、その後の転換されていないプロパン-1,2-ジアミン又は2-メチルペンタン-1,5-ジアミンの除去によるものが特に好ましい。
【0096】
このような式(III)のアミンは、アルジミノ-オキサゾリジンである式(Ic)の化合物の調製に特に好適である。
【0097】
さらに好適な式(III)のアミンは、いずれかの末端に2-ヒドロキシエチルアミノ又は2-ヒドロキシプロピルアミノ基を有する二官能性化合物である。
【0098】
このようなアミンは特に、市販されている第一級アミンと、2molのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとを反応させることにより入手可能である。
【0099】
このようなアミンはまた、市販されている第一級アミンと、特に、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、カルダノールグリシジルエーテル又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテルなどの、2molの市販されているモノグリシジルエーテルとの反応により入手可能である。
【0100】
このようなアミンはまた、2molのエタノールアミン又はイソプロパノールアミン又は3-アミノ-1-プロパナールと、特に、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、メチルペンタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート又はヘキサンジオールジメタクリレートなどの市販されているジアクリレート又はジメタクリレートとの反応により入手可能である。
【0101】
これらの式(III)のアミンは、式(Id)の化合物の調製に特に好適である。
【0102】
特にトリメチロールプロパントリアクリレートなどの多官能アクリレートと、エタノールアミン又はイソプロパノールアミン又は3-アミノ-1-プロパノールとによる、n=3の式(I)の化合物がもたらされる反応も同様に可能である。
【0103】
さらに好適な式(III)のアミンは、特にメチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、2-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、ベンジルアミン又はメトキシ-末端ポリオキシアルキレンアミン(特にJeffamine(登録商標)M-600(Huntsman製)など)などのモノアミンと、特にブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル又はビスフェノールFジグリシジルエーテルなどの特に市販されているジグリシジルエーテルといったジエポキシドとの反応による反応生成物である。
【0104】
このような式(III)のアミンは式(Ie)の化合物の調製に特に好適である。
【0105】
好適な式(III)のアミンはまた、特に、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオールなどの2つの水酸基を有する第一級アミンである。このアミンは、縮合ビスオキサゾリジンである式(If)の化合物の調製に特に好適である。
【0106】
好適な市販されている第一級ジアミンは特に、ヘキサン-1,6-ジアミン、2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、2,2(4),4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、4(2)-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、シクロヘキサン-1,2-ジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、200~2,000g/mol、特に200~500g/molの範囲内の平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン、又は、380~500g/molの範囲内の平均分子量を有するトリメチロールプロパン-若しくはグリセロール-から開始したポリオキシプロピレントリアミンである。
【0107】
好ましい式(IV)のアルデヒドは、Rが既述の定義を有する、式(IVa)のアルデヒドである。
【化24】
【0108】
特に好ましい式(IV)のアルデヒドは、R
1及びR
2が既述の定義を有する、式(IVb)のアルデヒドである。
【化25】
【0109】
好ましい式(IV)のアルデヒドは、3又は4位、特に4位に、6~20個、特に8~16個の炭素原子を有する分岐型アルキル又はアルコキシ残基を有するベンズアルデヒドであって、特に、4-オクチルベンズアルデヒド、4-ノニルベンズアルデヒド、4-デシルベンズアルデヒド、4-ウンデシルベンズアルデヒド、4-ドデシルベンズアルデヒド、4-トリデシルベンズアルデヒド、4-テトラデシルベンズアルデヒド、4-ペンタデシルベンズアルデヒド、4-ヘキサデシルベンズアルデヒド、4-ヘキシルオキシベンズアルデヒド、4-ヘプチルオキシベンズアルデヒド、4-オクチルオキシベンズアルデヒド、4-ノニルオキシベンズアルデヒド、4-デシルオキシベンズアルデヒド、4-ウンデシルオキシベンズアルデヒド、4-ドデシルオキシベンズアルデヒド、4-トリデシルオキシベンズアルデヒド又は4-テトラデシルオキシベンズアルデヒドであり、ここで、4-アルキル及びアルコキシ残基は各々分岐型である。
【0110】
特に好ましい式(IV)のアルデヒドは、分岐型C10~14-アルキル残基を3又は4位、特に4位に有するベンズアルデヒドであって、特に、4-デシルベンズアルデヒド、4-ウンデシルベンズアルデヒド、4-ドデシルベンズアルデヒド、4-トリデシルベンズアルデヒド又は4-テトラデシルベンズアルデヒドである。
【0111】
4-デシルベンズアルデヒド、4-ウンデシルベンズアルデヒド、4-ドデシルベンズアルデヒド、4-トリデシルベンズアルデヒド又は4-テトラデシルベンズアルデヒドであって、そのアルキル残基が主に分岐型であるものを含む混合物が、式(IV)のアルデヒドとして最も好ましい。
【0112】
式(IV)のアルデヒドは特に、酸触媒の作用下における一酸化炭素を伴う、少なくとも1つのアルキル-及び/又はアルコキシ-置換芳香族炭化水素のホルミル化から入手可能である。好適な酸触媒の一例は、HCl-AlCl3系(ガッターマン-コッホ反応)である。
【0113】
好ましい調製プロセスにおいて、ホルミル化は、酸触媒としてのHF-BF3を伴って実施される。これは、このプロセスは特に選択的に進行し、式(IV)のアルデヒドを加水分解ステップを伴うことなく反応混合物から分離可能であり、触媒を再利用することが可能であり、これは、費用がかかり、且つ、不便な生成物の後処理及び廃棄物の廃棄が不要となることを意味しているために有利である。
【0114】
好ましくは、式(I)の化合物は、各Zが式(II)の残基であり、並びに、Rが、主に分岐型である6~20個の炭素原子を有するアルキル残基から選択される式(I)の化合物の混合物である。Rは、より好ましくは、主に分岐型であるデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル及びテトラデシル残基から選択される。
【0115】
本発明はそれ故、各Zが式(II)の残基であり、並びに、Rが、主に分岐型である4-デシル、4-ウンデシル、4-ドデシル、4-トリデシル及び4-テトラデシル残基から選択される式(I)の化合物の混合物をさらに提供する。
【0116】
この種の混合物は、特に工業的に容易に入手可能である。
【0117】
式(I)の化合物は、非揮発性であり、且つ、そのままでも加水分解された形態でも完全に無臭であり、従って、臭気侵入をまったくもたらさず、屋内においても、且つ、大面積用途についても、保護対策をまったく必要とせずに、加工者及び使用者に害をもたらすことなく使用が可能であるという特性を有する。さらに、式(I)の化合物は無色であり、それ故、淡色の製品においても使用が可能である。最後に、式(I)の化合物は、典型的には室温及び冬の温度の両方で液体であり、それ故、加温を伴わない貯蔵及び輸送の場合においても容易に、溶剤を用いることなく処理が可能である。
【0118】
本発明はさらに、イソシアネート基を含有する組成物のための潜在性硬化剤としての少なくとも1つの式(I)の化合物の使用を提供する。
【0119】
式(I)の化合物は、既述の使用について有利な特性を有する。式(I)の化合物は、イソシアネート基を含有する組成物に優れた混和性を有し、また、分離に対する傾向をほとんど示さない。水又は水分の不在下においてはイソシアネート基のいかなる架橋反応もほとんど開始されることがなく、それ故、良好な貯蔵安定性が実現されている。水分が進入した場合には、水分は加水分解下に存在するイソシアネート基と直ちに反応するが、これは、イソシアネートの加水分解とほとんど競合することなく進行し、従って、気泡形成を伴わない。最後に、硬化中に遊離されたアルデヒドは、非揮発性であると共に加水分解に対して安定であり、いかなる臭気による害も生じさせず、硬化したポリマーに対して驚くべきことに優れた親和性を有し、ブリーディングをほとんど生じず、及び、ほとんど基材に移行しない。
【0120】
本発明の一実施形態において、式(I)の化合物は、水分で硬化する組成物、特にイソシアネート基を含有する組成物のための乾燥剤として用いられる。この目的のために、式(I)の化合物は、組成物の生成において追加的に用いられて、生成の過程において存在する水分と反応する。乾燥剤としての使用に好適な化合物は、特に式(Ia)の化合物、特に、A1残基が水酸基を含まないものである。
【0121】
本発明のさらなる実施形態において、式(I)の化合物は、水分で硬化する組成物、特にイソシアネート基を含有する組成物のための粘着促進剤として用いられる。この使用のための特に好適な化合物は、少なくとも1つのシラン基を有する式(Ib)のものである。特に好適な式(Ib)の化合物は、Y残基がさらなるシラン基を有するものである。このような式(Ib)の化合物は特に、アミノシランと式(IV)のエポキシシラン及びアルデヒドとの反応で得られる。
【0122】
本発明はさらに、
- 少なくとも1つの式(I)の化合物、並びに
- 少なくとも1つのポリイソシアネート及び/又はイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリウレタンポリマー
を含む組成物を提供する。
【0123】
好適な式(I)の化合物は、上記のものである。
【0124】
特に好適な化合物は、式(Ic)、(Id)、(Ie)又は(If)のものである。
【0125】
式(Ic)又は(Id)の化合物が最も好適である。
【0126】
好適なポリイソシアネートは、とりわけ商業的に入手可能なポリイソシアネート、とりわけ次のものである。
- 芳香族ジ又はトリイソシアネート、好ましくはジフェニルメタン4,4’-若しくは2,4’-若しくは2,2’-ジイソシアネート又はこれらの異性体の任意の混合物(MDI)、トリレン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート又はこれらの異性体の任意の混合物(TDI)、MDIとMDI同族体(ポリマーMDI又はPMDI)との混合物、フェニレン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタンまたトリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェート;好ましくはMDI又はTDI;
- 脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族ジ又はトリイソシアネート、好ましくはテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、2,2,4-及び/若しくは2,4,4-トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(TMDI)、デカメチレン1,10-ジイソシアネート、ドデカメチレン1,12-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート若しくはリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/若しくは2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン(H6TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、ペルヒドロジフェニルメタン2,4’-及び/若しくは4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-若しくはp-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、1,3,5-トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、特に3,6-ビス(9-イソシアナトノニル)-4,5-ジ(1-ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメリルジイソシアネート)などのダイマー若しくはトリマー脂肪酸イソシアネート;好ましくはH12MDI又はHDI又はIPDI;
- 述べられたジ又はトリイソシアネートの、とりわけHDI、IPDI、MDI又はTDIに由来するオリゴマー又は誘導体、とりわけウレトジオン、若しくはイソシアヌレート、若しくはイミノオキサジアジンジオン基又はこれらの中の様々な基を含有するオリゴマー;又はエステル、若しくはウレア、若しくはウレタン、若しくはビウレット、若しくはアロファネート、若しくはカルボジイミド、若しくはウレトンイミン、若しくはオキサジアジントリオン基又はこれらの中の様々な基を含有する二官能性又は多官能性誘導体。実際には、この種のポリイソシアネートは、典型的には、異なる程度のオリゴマー化及び/又は化学構造を有する物質の混合物である。それらは、とりわけ2.1~4.0の平均NCO官能性を有する。
【0127】
好ましいポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式又は芳香族ジイソシアネート、特に、HDI、TMDI、シクロヘキサン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、IPDI、H12MDI、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、XDI、TDI、MDI、フェニレン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート又はナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)である。
【0128】
特に好ましいポリイソシアネートは、HDI、IPDI、H12MDI、TDI、MDI、又は、室温で液体であるMDIの一形態、特にHDI、IPDI、TDI又はMDIである。
【0129】
室温で液体であるMDIの一形態は、部分的な化学変性により液化された4,4’-MDI(特に、カルボジイミド化又はウレトンイミン形成又はポリオールとの付加物形成)であるか、又は、ブレンドにより選択的にもたらされるか若しくは生成プロセスからもたらされる、4,4’-MDIと、他のMDI異性体(2,4’-MDI及び/又は2,2’-MDI)及び/又はMDIオリゴマー及び/又はMDI同族体(PMDI)との混合物である。
【0130】
IPDI、TDI又はMDIが最も好ましい。
【0131】
イソシアネート基を含有する好適なポリウレタンポリマーは、とりわけ、少なくとも1つのポリオールと超化学量論量の少なくとも1つのポリイソシアネートとの反応から得られる。この反応は、好ましくは、任意選択的に好適な触媒の存在下において50~160℃の範囲の温度で水分を排除して行われる。NCO/OH比は、好ましくは、1.3/1~5/1、好ましくは1.5/1~4/1、とりわけ1.8/1~3/1の範囲である。OH基の転化後に反応混合物中に残っているポリイソシアネート、とりわけモノマージイソシアネートは、高いNCO/OH比の場合に好ましい、とりわけ蒸留によって除去することができる。得られたポリウレタンポリマーは、好ましくは、1重量%~10重量%、とりわけ1.5重量%~6重量%の範囲の遊離イソシアネート基の含有量を有する。ポリウレタンポリマーは、任意選択的に、可塑剤又は溶媒をさらに使用して調製することができ、その場合、使用される可塑剤又は溶媒はイソシアネートに対して反応性の高いいかなる基も含有しない。
【0132】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーの調製のための好ましいポリイソシアネートは、既に述べられたポリイソシアネート、とりわけジイソシアネートであり、好ましくはMDI、TDI、IPDI、HDI又はH12MDI、とりわけMDI、TDI、IPDI又はHDIである。
【0133】
好適なポリオールは、市販のポリオール又はそれらの混合物、とりわけ次のものである。
- ポリエーテルポリオール、とりわけポリオキシアルキレンジオール及び/若しくはポリオキシアルキレントリオール、とりわけエチレンオキシド、又は1,2-プロピレンオキシド、又は1,2-若しくは2,3-ブチレンオキシド、又はオキセタン、又はテトラヒドロフラン、又はそれらの混合物の重合生成物。ここで、これらは、2個以上の活性水素原子を有するスターター分子、とりわけ水、アンモニア又は多数のOH若しくはNH基を有する化合物、例えばエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-若しくは-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体ジプロピレングリコール若しくはトリプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、シクロヘキサン-1,3-若しくは-1,4-ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール又はアニリン又は前述の化合物の混合物などのスターター分子を用いて重合され得る。同様に、ポリマー粒子がその中に分散したポリエーテルポリオール、とりわけスチレン/アクリロニトリル(SAN)粒子、又はポリウレア、又はポリヒドラゾジカルボンアミド(PHD)粒子が分散したものが好適である。
【0134】
好ましいポリエーテルポリオールは、ポリオキシプロピレンジオール若しくはポリオキシプロピレントリオール又はエチレンオキシド末端(EO-エンドキャップされた)ポリオキシプロピレンジオール若しくはトリオールと呼ばれるものである。後者は、ポリオキシプロピレンジオール又はトリオールが、ポリプロポキシル化反応の終了時にエチレンオキシドでさらにアルコキシル化されることでとりわけ得られ、それにより最終的に第一級ヒドロキシル基を有する混合ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンポリオールである。
【0135】
好ましいポリエーテルポリオールは、0.02ミリ当量未満/g、とりわけ0.01ミリ当量未満/gの不飽和度を有する。
- 公知の方法、とりわけヒドロキシカルボン酸若しくはラクトンの重縮合又は脂肪族及び/若しくは芳香族ポリカルボン酸と二価若しくは多価アルコールとの重縮合によって調製され、オリゴエステロールとも呼ばれるポリエステルポリオール。特に1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン又は前述のアルコール混合物などの二価アルコールと、特にコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸若しくはヘキサヒドロフタル酸又は前述の酸の混合物との反応からのポリエステルジオール又は特にε-カプロラクトンなどのラクトンからのポリエステルポリオールが好ましい。アジピン酸又はセバシン酸又はドデカンジカルボン酸と、ヘキサンジオール又はネオペンチルグリコールとからのポリエステルポリオールが特に好ましい。
- 例えば、- ポリエステルポリオールを形成するために使用される - 上述のアルコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート又はホスゲンとの反応によって得られるようなポリカーボネートポリオール。
- 少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、且つ上記のタイプのポリエーテル、ポリエステル及び/又はポリカーボネート構造を有する少なくとも2つの異なるブロック、とりわけポリエーテルポリエステルポリオールを有するブロックコポリマー。
- ポリアクリレートポリオール及びポリメタクリレートポリオール。
- ポリヒドロキシ官能性脂肪及び油、例えば天然脂肪及び油、とりわけヒマシ油;又は天然脂肪及び油の化学修飾によって得られるポリオール - 油脂化学ポリオールと呼ばれる -、例えば不飽和油のエポキシ化及びその後のカルボン酸若しくはアルコールでの開環によって得られるエポキシポリエステル又はエポキシポリエーテル又は不飽和油のヒドロホルミル化及び水素化によって得られるポリオール;又はアルコール分解若しくはオゾン分解などの分解プロセス及びこのようにして得られたその分解生成物若しくは誘導体の、例えばエステル交換若しくは二量化による、その後の化学結合によって天然脂肪及び油から得られるポリオール。天然脂肪及び油の好適な分解生成物は、とりわけ、脂肪酸及び脂肪アルコール並びにまた脂肪酸エステル、とりわけメチルエステル(FAME)であり、それらは、例えば、ヒドロホルミル化及び水素化によってヒドロキシ脂肪酸エステルに誘導体化することができる。
- オリゴヒドロカーボンオールとも呼ばれる、ポリ炭化水素ポリオール、例えばポリヒドロキシ官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン;例えば、Kraton Polymerによって製造されるようなポリヒドロキシ官能性エチレン/プロピレン、エチレン/ブチレン又はエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー;アニオン重合からとりわけまた調製することができる、ジエン、とりわけ1,3-ブタジエンのポリヒドロキシ官能性ポリマー;1,3-ブタジエンなどのジエン若しくはジエン混合物と、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレン及びイソプレンなどのビニルモノマーとのポリヒドロキシ官能性コポリマー、例えばエポキシド若しくはアミノアルコールと、カルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーとから、例えば調製可能なようなポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Emerald Performance Materialsから、例えばHypro(登録商標)CTBN若しくはCTBNX若しくはETBN名で商業的に入手可能な);並びにジエンの水素化ポリヒドロキシ官能性ポリマー若しくはコポリマー。
【0136】
ポリオールの混合物もとりわけ好適である。
【0137】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール又はポリブタジエンポリオールが好ましい。
【0138】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、とりわけ脂肪族ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオール、とりわけ脂肪族ポリカーボネートポリオールが特に好ましい。
【0139】
ポリエーテルポリオール、とりわけポリオキシプロピレンジ若しくはトリオール又はエチレンオキシド-末端ポリオキシプロピレンジ若しくはトリオールが最も好ましい。
【0140】
400~20000g/モル、好ましくは1000~10000g/モルの範囲の平均分子量を有するポリオールが好ましい。
【0141】
1.6~3の範囲の平均OH官能性を有するポリオールが好ましい。
【0142】
室温で液体であるポリオールが好ましい。
【0143】
室温で固体であるポリウレタンポリマーの調製には、室温で固体であるポリオールが好ましい。
【0144】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーの調製において、二官能性又は多官能性アルコール、とりわけ1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-若しくは1,4-シクロヘキサンジメタノール、エトキシル化ビスフェノールA、プロポキシル化ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ダイマー脂肪酸アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、特にキシリトール、ソルビトール若しくはマンニトールなどの糖アルコール、又は特にサッカロースなどの糖、又は述べられたアルコールのアルコキシル化誘導体若しくは述べられたアルコールの混合物の画分を使用することも可能である。
【0145】
特に高濃度が所望される用途については、ブタン-1,4-ジオールの追加の使用が好ましい。
【0146】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーは、好ましくは、1,000~20,000g/モル、とりわけ1,500~10,000g/モルの平均分子量を有する。
【0147】
それは、好ましくは、室温で液体である。
【0148】
ホットメルト接着剤における使用のために、室温で固体であるポリウレタンポリマーが好ましく、このポリマーは、室温で固体である少なくとも1つのポリオールを処理して調製されている。室温で固体である好適なポリオールは、室温で結晶性、部分結晶性又はアモルファスである。その融点は、50~180℃、とりわけ70~150℃の範囲であることが好ましい。ポリエステルポリオール、とりわけヘキサンジオール及びアジピン酸、又はドデカンジカルボン酸、又はアクリレートポリオールから誘導されるものが好ましい。ポリウレタンポリマーは、とりわけ、室温で固体であるポリマーの融点を超える温度で調製される。
【0149】
組成物は、イソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーを含むことが好ましい。
【0150】
イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーに追加して、この組成物は、少なくとも1つのジイソシアネート及び/又はジイソシアネートの1つのオリゴマー若しくはポリマー、とりわけIPDIイソシアヌレート又はTDIオリゴマー又はTDI/HDI系混合イソシアヌレート又はHDIオリゴマー又は室温で液体であるMDIの一形態をさらに含有することが可能である。
【0151】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物及び少なくとも1つのポリイソシアネート及び/又はイソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーを含むと共に、特に触媒、充填材、可塑剤及び溶剤から選択される1つ以上のさらなる構成成分を追加的に含む。
【0152】
好適な触媒は、とりわけオキサゾリジノ基の加水分解のための触媒、とりわけ有機酸、とりわけ2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、安息香酸、サリチル酸又は2-ニトロ安息香酸などのカルボン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物又はメチルヘキサヒドロフタル酸無水物などの有機カルボン酸無水物、カルボン酸のシリルエステル、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸、スルホン酸エステル、他の有機若しくは無機酸又は前述の酸と酸エステルとの混合物である。カルボン酸、とりわけ安息香酸、2-ニトロ安息香酸又はとりわけサリチル酸などの芳香族カルボン酸が特に好ましい。
【0153】
好適な触媒は、さらに、イソシアネート基の反応を加速するための触媒、とりわけ特にジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジメチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート又はジオクチルスズジアセチルアセトナートなどの有機スズ(IV)化合物、とりわけアルコキシド、カルボキシレ-ト、1,3-ジケトネート、オキシネート、1,3-ケトエステレート及び1,3-ケトアミデートから選択される配位子との、ビスマス(III)若しくはジルコニウム(IV)の錯体又は特に2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)などの第三級アミノ基を含有する化合物である。
【0154】
異なる触媒の組み合わせもとりわけ好適である。
【0155】
好適な充填材は、とりわけ、任意選択的に脂肪酸、とりわけステアレートでコートされた、細かくした又は沈澱炭酸カルシウム又はバライト、石英粉、石英砂、ドロマイト、ウォラストナイト、カオリン、か焼カオリン、雲母若しくはタルクなどの層状シリケート、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、熱分解法からの細分シリカなどのシリカ、セメント、石膏、フライアッシュ、工業的に生産されるカーボンブラック、黒鉛、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀若しくはスチールの金属粉、PVC粉末又は中空ビーズである。
【0156】
好適な可塑剤は、とりわけ、フタレート、とりわけジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)若しくはジ(2-プロピルヘプチル)フタレート(DPHP)、水素化フタレート、とりわけ水素化ジイソノニルフタレート若しくはジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸エステル(DINCH)、テレフタレート、とりわけジオクチルテレフタレート、トリメリテート、アジペート、とりわけジオクチルアジペート、アゼレート、セバケート、ベンゾエートなどのカルボン酸エステル、グリコールエーテル、グリコールエステル、有機リン酸若しくはスルホン酸エステル、ポリブテン、ポリイソブテン又は天然脂肪若しくは油から誘導される可塑剤、とりわけエポキシ化大豆油若しくはアマニ油である。
【0157】
好適な溶剤は特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、アセチルアセトン、メシチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、n-ブチルプロピオネート、マロン酸ジエチル、1-メトキシ-2-酢酸プロピル、エチル3-エトキシプロピオネート、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、特に、メチラール、エチラール、プロピラール、ブチラール、2-エチルヘキシラール、ジオキソラン、グリセロールホルマール又は2,5,7,10-テトラオキサウンデカン(TOU)などのアセタール、及び、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、ナフサ油、ホワイトスピリット、石油エーテル又は石油スピリット、特にSolvesso(商標)製品(Exxon製)、及び、さらに、塩化メチレン、炭酸プロピレン、ブチロラクトン、N-メチルピロリドン又はN-エチルピロリドンである。
【0158】
組成物は、ポリウレタン組成物のために一般に使用されるさらなる添加剤を含み得る。より具体的には、以下の補助剤及び添加剤が存在し得る:
- 無機若しくは有機顔料、とりわけ二酸化チタン、酸化クロム又は酸化鉄;
- 繊維、とりわけガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維又は羊毛、セルロース、大麻若しくはサイザル麻などの天然繊維;
- 染料;
- 乾燥剤、とりわけモレキュラーシーブ粉末、酸化カルシウム、p-トシルイソシアネート、モノマージイソシアネートなどの高反応性イソシアネート又はオルトギ酸エステル;
- 接着促進剤、とりわけオルガノアルコキシシラン、とりわけ特に3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン若しくは3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン、(メタ)アクリロシラン、アンヒドリドシラン、カルバマトシラン、アルキルシラン若しくはイミノシラン又はこれらのシランのオリゴマー形態或いはチタネート;
- 潜在性硬化剤又は架橋剤、とりわけ式(I)に従わないアルジミン、ケチミン、エナミン又はオキサゾリジン;
- イソシアネート基の反応を加速するさらなる触媒、とりわけスズ、亜鉛、ビスマス、鉄、アルミニウム、モリブデン、ジオキソモリブデン、チタン、ジルコニウム若しくはカリウムの塩、石鹸若しくは錯体、とりわけスズ(II)2-エチルヘキサノエート、スズ(II)ネオデカノエート、亜鉛(II)アセテート、亜鉛(II)2-エチルヘキサノエート、亜鉛(II)ラウレート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、アルミニウムラクテート、アルミニウムオレエート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)若しくはカリウムアセテート;第三級アミノ基を含有する化合物、とりわけN-エチルジイソプロピルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルアルキレンジアミン、ペンタメチルアルキレントリアミン及びその高級同族体、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、N-アルキルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン;4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール若しくは1,2-ジメチルイミダゾールなどの芳香族窒素化合物;水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの有機アンモニウム化合物又はアルコキシル化第三級アミン;公知の金属若しくはアミン触媒の改質である、「遅延作用」触媒と呼ばれるもの;
- レオロジー調整剤、とりわけ増粘剤、とりわけベントナイトなどの層状シリケート、ヒマシ油の誘導体、水素化ヒマシ油、ポリアミド、ポリアミドワックス、ポリウレタン、ウレア化合物、ヒュームドシリカ、セルロースエーテル又は疎水的に改質されたポリオキシエチレン;
- 天然樹脂、ロジン、セラック、アマニ油、ヒマシ油又は大豆油などの脂肪又は油;
- 非反応性ポリマー、とりわけエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル若しくはアルキル(メタ)アクリレートからの、とりわけ不飽和モノマーのホモポリマー若しくはコポリマー、とりわけポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)又はアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO);
- 難燃性物質、とりわけ既に述べられた水酸化アルミニウム若しくは水酸化マグネシウム及びまた特に有機リン酸エステル、例えば特にトリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(クロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、イソプロピル化トリフェニルホスフェート、異なる程度のイソプロピル化のモノ、ビス若しくはトリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)などの有機リン酸エステル又はアンモニウムポリホスフェート;
- 添加剤、とりわけ湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、脱気剤、酸化、熱、光若しくはUV放射線に対する安定剤又は殺生物剤;
又は水分硬化組成物に習慣的に使用されるさらなる物質。
【0159】
ある種の物質を、それらを組成物に混ぜ入れる前に化学的に又は物理的に乾燥させることが合理的であり得る。
【0160】
より具体的には、本組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物と共に、潜在性硬化剤、特に、式(I)に従わないオキサゾリジン、又は、ポリアルジミンをさらに含んでいてもよい。
【0161】
本発明の好ましい実施形態において、本組成物は、式(I)の化合物と少なくとも1つのポリアルジミンとの組み合わせを含む。
【0162】
ここで、ポリアルジミンは、特に無臭ポリアルジミンである。
【0163】
ポリアルジミンは、式(V)又は(VI)
【化26】
(式中、
bは2又は3であり、
Gは、任意選択によりエーテル酸素を含有し、及び、28~6,000g/molの範囲内の分子量を有する、b価の脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族ヒドロカルビル残基であり、
R
4は、7~17個の炭素原子を有するアルキル残基、特に、11個の炭素原子を有する直鎖アルキル残基であり、
並びに、Zは既述の定義を有する)
を有することが好ましい。
【0164】
このような組成物は特に良好な貯蔵安定性を有し、及び、種々の用途に係る機械的な要求に対して最適化されることが可能である。本組成物は上記のとおり無臭であり、及び、水分との接触で硬化する。
【0165】
式(V)のポリアルジミンが使用される場合においては、本組成物は、可塑剤移行に対する特に低い傾向を示す。
【0166】
式(I)の化合物に追加して式(VI)のポリアルジミンが使用される場合においては、本組成物は、式(I)の化合物を伴わず、その分だけ多い量の式(VI)のポリアルジミンを伴って硬化された場合よりも、可塑剤移行に対して低い傾向を示す。
【0167】
好ましくは、Gは、45~500g/molの範囲内の分子量を有するb価の脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族炭化水素残基である。
【0168】
より好ましくは、Gは、1,6-ヘキシレン、(1,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-イル)メタン-1,3、4(2)-メチル-1,3-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレンビス(メチレン)、1,4-シクロヘキシレンビス(メチレン)、1,3-フェニレンビス(メチレン)、1,2-シクロヘキシレン、メチレンジシクロヘキサン-4-イル、170~470g/molの範囲内の平均分子量を有するα,ω-ポリオキシプロピレン、及び、330~450g/molの範囲内の平均分子量を有するトリメチロールプロパン-又はグリセロール-開始トリス(ω-ポリオキシプロピレン)からなる群から選択される。
【0169】
組成物において、存在する潜在性硬化剤から遊離可能である反応性基、すなわち、特に第一級及び第二級アミノ基、水酸基及びメルカプト基と、イソシアネート基との比は、0.1~1.9の範囲内、より好ましくは0.2~1.8の範囲内であることが好ましい。
【0170】
アルジミノ基を含まない組成物について、比は、0.5~1.8、特に0.8~1.6の範囲内であることが好ましい。
【0171】
同様に、アルジミノ基を含有する組成物について、比は、0.2~1.5、特に0.5~1.3の範囲内であることが好ましい。
【0172】
組成物は、好ましくは、5重量%~90重量%、とりわけ10重量%~80重量%の範囲の含有量のポリイソシアネート及びイソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーを含有する。
【0173】
組成物は、とりわけ、水分を排除して製造され、防水容器中周囲温度で貯蔵される。好適な防水容器は、とりわけ、任意選択的にコートされた金属及び/又はプラスチックからなり、とりわけドラム、輸送箱、ホブボック、バケツ、キャニスター、缶、バッグ、チューブラーバッグ、カートリッジ又はチューブである。
【0174】
組成物は、一成分組成物又は多成分、とりわけ二成分組成物の形態であり得る。
【0175】
「一成分」組成物と呼ばれる組成物は、組成物のすべての構成成分が同じ容器中にあり、それ自体貯蔵安定性があるものである。
【0176】
「二成分」組成物と呼ばれる組成物は、組成物の構成成分が2つの異なる成分中にあり、別個の容器中で貯蔵され、組成物の塗布の直前又は塗布中まで互いに混合されないものである。
【0177】
組成物は、好ましくは、一成分組成物である。好適なパッケージング及び貯蔵を仮定すると、それは、典型的には数カ月、最大で1年又はそれを超えて貯蔵安定性がある。
【0178】
組成物を塗布すると硬化のプロセスが始まる。これは硬化組成物をもたらす。
【0179】
一成分組成物の場合、それは、そのようなものとして塗布され、次に水分又は水の影響下で硬化し始める。硬化の加速のために、水を含有するか若しくは放出する加速剤成分及び/若しくは触媒を塗布時に組成物に混ぜ込むことができるか、又は組成物をその塗布後にそのような加速剤成分と接触させることができる。
【0180】
二成分組成物の場合、それは、2つの成分の混合後に塗布され、内部反応によって硬化し始め、硬化は、外部水分の作用によって完了し得る。二成分は、動的ミキサー又は静的ミキサーを用いて連続的又は回分式に混合することができる。
【0181】
硬化に際して、イソシアネート基は、水分の影響下で、式(I)の化合物から遊離されたアミノ及びヒドロキシル又はメルカプト基と、及び、存在するいずれかの他のブロックされたアミノ基と反応する。いくつかのイソシアネート基、特に、遊離される反応性基に対して過剰量のイソシアネート基は、水分の影響下で、互いに、及び/又は、組成物中に存在するいずれかのさらなる反応性基と反応する。組成物の硬化をもたらすイソシアネート基のこれらの反応の全体もまた、架橋と称される。
【0182】
一成分組成物の硬化に必要とされる水分は、空気中(大気湿度)からの拡散を介して組成物に達することが好ましい。このプロセスにおいて、硬化組成物の固体層は、空気と接する組成物の表面上に形成される(「スキン」)。硬化は、外側から内側に向けた拡散方向に進行し、スキンが次第に厚くなり、最終的に塗布された組成物全体が包含される。水分は、組成物が適用された1つ以上の基材から追加的に又は全体的に組成物に到達することも可能であり、及び/或いは水分は、適用時に組成物に混合されるか、又は例えば塗布若しくは吹付けによって適用後に接触される加速剤成分に由来することが可能である。
【0183】
二成分組成物の硬化が完了するために必要とされる外部からの水分は、いずれも空気及び/又は基材に由来するものであることが好ましい。
【0184】
組成物は、好ましくは、周囲温度、とりわけ約0~50℃の範囲、好ましくは5~40℃の範囲で適用される。
【0185】
組成物は、好ましくは、同様に周囲温度で硬化される。
【0186】
本組成物は、比較的長いオープンタイムを有する。
【0187】
「オープンタイム」は、硬化プロセスが始まった後に組成物を加工又は再加工することができる期間を指す。
【0188】
スキンの形成までの時間(「スキン時間」)又は粘着性が存在しなくなるまでの時間(「不粘着時間」)は、オープンタイムの尺度である。
【0189】
架橋では、式(IV)のアルデヒドが遊離される。これは、実質的に非揮発性であり、無臭であり、大部分が硬化された組成物中に残る。それは、含まれる可塑剤のように挙動するか又は振る舞う。従って、それは、原則としてそれ自体移行し、且つ/又は可塑剤の移行に影響を及ぼす可能性がある。式(IV)のアルデヒドは硬化された組成物に対してきわめて良好な親和性を有し、それ自体ほとんど移行せず、またさらなる可塑剤の移行のいかなる増大も引き起こさない。
【0190】
組成物は、好ましくは、接着剤又はシーラント又はコーティングである。
【0191】
接着剤又はシーラント又はコーティングは、好ましくは、弾性がある。
【0192】
組成物は、とりわけ建設業及び製造業において、又は動力車建造における、とりわけ寄せ木細工接合、実装可能な構成要素の接合、空洞シーリング、アセンブリ、モジュール接合、車体接合、窓ペイン接合又は接合部シーリングのための、接合及びシーリング用途のための接着剤及び/又はシーラントとしてとりわけ好適である。
【0193】
動力車建造における弾性接合は、例えば、プラスチックカバー、装飾ストリップ、フランジ、泥よけ、運転室若しくは他の実装可能な構成要素などの部品の動力車の塗装された本体への接合による取り付け又は車体へのガラス製のペインの接合であり、ここで、動力車は、とりわけ自動車、トラック、バス、鉄道車両又は船である。
【0194】
組成物は、特に、とりわけ拡張接合部又は構造構成要素間の連結接合部などの建築における接合部に係るすべての種類の接合部、継ぎ目又は空洞の弾性シーリングのためのシーラントとして好適である。可撓性特性を有するシーラントは、とりわけ、構築構造物における拡張接合部のシーリングのために特に好適である。
【0195】
コーティングとして、本組成物は、とりわけバルコニー、テラス、オープンスペース、橋、駐車面のコーティングとして、床若しくは壁の保護のために、又はとりわけ平屋根若しくはわずかに傾斜した屋根領域若しくは屋上庭園として、屋根のシーリングのために、又は建物の屋内における防水シーリングのために(例えば、給排水ユニット又はキッチンにおけるタイル若しくは敷石の下)、若しくはキッチンにおける床仕上げ材、工業建築物若しくは製造空間として、若しくは収集タンク、チャネル、シャフト又は廃水処理場におけるシールとして、又は表面の保護のために、例えばワニス若しくはシールとして、若しくは空洞シーリングのための流延コンパウンドとして、継ぎ目シールとして、若しくはパイプの保護コーティングとして好適である。
【0196】
本組成物はまた、例えば、もはや目的に適っていない雨漏りをしている屋根のシート若しくは床仕上げ材のシール若しくはコーティングとして修理を目的として用いられ得、又はとりわけ高反応性のスプレーシールのための修復コンパウンドとして用いられ得る。
【0197】
組成物は、それが構造粘性特性によるペースト稠度を有するように調合することができる。この種の組成物は、実質的に丸形又は三角形の断面を有し得る例えばビーズの形態において、例えば市販のカートリッジ又はケグ又はホブボックから好適なデバイスを用いて塗布される。
【0198】
組成物は、それが流体であり且つ「セルフレベリング」であるか又はごくわずかにチキソトロピックであるようにも調合することができ、塗布のために注ぎ出すことができる。コーティングとして、それは、例えば、その後、例えばローラ、滑り棒、櫛目のアプリケータ又はこてを用いて、所望の層厚となるまで平坦に延展させることが可能である。一操作において、典型的には、0.5~3mm、とりわけ1.0~2.5mmの範囲の層厚で塗布される。
【0199】
本発明の一実施形態において、本組成物は反応性ホットメルト接着剤である。この目的のためには、室温で固体であるポリウレタンポリマーが好ましい。ホットメルト接着剤は、80~180℃の範囲内の温度において溶融状態で適用されることが好ましい。
【0200】
ホットメルト接着組成物中における好適な式(I)の化合物は、特に、水酸基を有する式(Ia)の化合物であって、これは、OH基と存在するイソシアネート基との比が0.05~0.5の範囲内であるような量で用いられる。このように、OH基とイソシアネート基との反応の後には、式(I)の化合物の加水分解で遊離される第二級アミノ基と反応するために、また、架橋下で遊離される少なくともいくつかのOH基とも反応するために、未だ十分な遊離イソシアネート基が存在している。
【0201】
加えて、式(Id)の化合物は、ホットメルト接着組成物、特にジウレタン中において特に好適である。
【0202】
反応性ホットメルト接着剤における水酸基を含有する式(I)の化合物の使用は種々の利点を有する。典型的には80~180℃の範囲内の温度において溶融状態で接着剤を適用する場合には、気泡形成は抑制され、これらの高温で放出されるアルデヒドの非揮発性及び無臭性は非常に大きな利点となり、水酸基を有する式(Ia)の化合物の使用で、OH基との反応を通して用いられるポリウレタンポリマーのモノマー含有量が低減される。
【0203】
本発明の一実施形態において、本組成物はプライマーである。式(I)の化合物は一般に、特に、硬化後に、典型的には組成物が、基材と相互に作用することが可能である遊離水酸基を含有しているために、良好な接着促進効果をもたらす。より好ましくは、プライマー組成物は、そのシラン基を介して特に良好な接着促進効果をもたらす少なくとも1つの式(Ib)の化合物を含有する。
【0204】
プライマーは、少なくとも1つの溶剤を含有することが好ましい。プライマーは、任意選択により、特に触媒、さらなるシラン、チタン酸塩若しくはジルコン酸塩、又は、任意選択により、顔料、充填材、湿潤剤、シラン基を含有するポリウレタンポリマー、又は、エポキシ樹脂といったさらなる構成成分を含有する。
【0205】
プライマーは典型的には、溶剤が蒸発した後に、基材上に数マイクロメートル~数百マイクロメートルの範囲内の層厚の密接したフィルムが残るように適用される。プライマーは典型的には、プライマーフィルムにより、基材とプライマーフィルムに塗布される硬化性組成物との両方に対する接着性を生じさせることによって、基材及び接着剤及び/又はシーラント又はコーティング間の接着性を向上させるために用いられる。
【0206】
プライマーは典型的には、基材表面に対してブラシ又はローラを用いて薄層に塗布される。溶剤が部分的又は完全に蒸発する好適な待ち時間の後、このように前処理されて典型的には向上した接着性を有するこの表面に、接着剤又はシーラント又はコーティングが塗布される。
【0207】
このようなプライマーは長い風乾時間を有していることが好ましく、これは、塗布後に長い期間にわたってその接着促進効果がもたらされることを意味している。これにより、例えば、プライマーが事前に塗布された(「事前にプライマー処理された」形態の)、接着用の構成要素を販売し、及び、これを、いずれかの後の接合で、接着性を失うことなく、結合又は接合させることが可能になる。この方法では、プライマーを塗布する必要性がなく、従って、接合プロセスにおいて蒸気吸引及び防護服などの安全デバイスが必要とされる典型的な溶剤系製品を取り扱う必要性がなく、これは、多くの使用者に対する多大な利点となる。
【0208】
組成物で接合又はシール又はコートすることができる好適な基材は、とりわけ、
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、繊維セメント、とりわけ繊維セメント板、煉瓦、タイル、石膏、とりわけ石膏板又は花崗岩若しくは大理石などの天然石;
- PCC(ポリマー改質セメントモルタル)又はECC(エポキシ樹脂改質セメントモルタル)をベースとする修理又はレベリングコンパウンド;
- 表面仕上げ金属を含む、アルミニウム、銅、鉄、スチール、非鉄金属又は亜鉛めっき若しくはクロムめっき金属などの合金などの金属又は合金;
- アスファルト又はビチューメン;
- 皮革、織物、紙、木材、フェノール樹脂、メラミン樹脂若しくはエポキシ樹脂などの樹脂で接合された木質系材料、樹脂/織物複合材料又はポリマー複合材料と呼ばれるさらなる材料;
- 各場合に未処理の若しくは例えばプラズマ、コロナ若しくは火炎によって表面処理された、硬質及び軟質PVC、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、PMMA、ABS、SAN、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PUR、POM、TPO、PE、PP、EPM若しくはEPDMなどのプラスチック;
- 炭素繊維強化プラスチック(CFP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFP)及びシート成形コンパウンド(SMC)などの繊維強化プラスチック;
- EPS、XPS、PUR、PIR、ロックウール、ガラスウール若しくは発泡ガラスでとりわけできた絶縁発泡体;
- 被覆若しくは塗装基材、とりわけ塗装タイル、被覆コンクリート、粉体塗装した金属若しくは合金又は塗装金属シート;
- ペイント又はワニス、とりわけ自動車トップコート
である。
【0209】
必要に応じて、基材は、とりわけ、物理的及び/若しくは化学的クリーニング法又は活性化剤若しくはプライマーの適用により、塗布前に前処理することができる。
【0210】
2つの同一の又は2つの異なる基材を接合及び/又はシールすることが可能である。
【0211】
組成物の塗布及び硬化は、組成物で接合又はシール又はコートされた物品を提供する。この物品は、構築構造物若しくはその一部、とりわけ地上若しくは地下の土木、橋、屋根、階段若しくはファサードにおける構築構造物であり得、又はそれは工業商品若しくは消費者商品、とりわけ窓、パイプ、風力タービンの回転翼の羽根、家庭用電化製品若しくは特に自動車、バス、トラック、鉄道車両、船、航空機若しくはヘリコプターなどの輸送手段又はそれらの実装可能な構成要素であり得る。
【0212】
本発明の組成物は、有利な特性を有する。この組成物は、芳香族イソシアネート基における場合でさえも防湿状態で保管安定性である。この組成物は、十分に長い風乾時間を有し、材料をシームレスに延展させることが可能であり、又は塗布後一定の期間にわたって一緒に接合された物体の配置若しくは再調節が可能であり、これは、例えば、大面積若しくは長尺のシーリングストリップをコーティングする場合又は大型若しくは複雑な物体を接合する場合に重要である。硬化は、迅速に、確実に、気泡形成を伴わずに、且つ、厄介な臭気の侵入を伴わずに進行し、従って、本組成物は、高い空気湿度及び/若しくは高温などの気候上好ましくない条件下、又は、水性促進剤成分の使用を伴う場合においても、制限を伴わずに用いられることが可能である。硬化に際して、本組成物は、急速に強度を高め、表面上に形成されるスキンは、非常に早期に驚くべきことに非粘着性となると共に乾燥するものであり、これは、これにより例えば粉塵による汚染が防止されるため、とりわけ建築現場での用途に非常に価値がある。硬化は完了するまで進行し、高い機械的強度及び適度な弾性率を伴う伸長性を併せ持つ高品質の材料がもたらされ、従って可撓性製品にも好適である。硬化された組成物は長寿命のものであり、特に熱的にきわめて安定である。遊離された式(IV)のアルデヒドを含有するにもかかわらず、硬化された組成物は、にじみ、変色、染みの形成、軟化又は基材の脱離などの可塑剤移行により引き起こされる欠陥のいずれもほとんど示すことがなく、従って応力亀裂を形成する多孔性の基材又はプラスチックでも且つ外層との組み合わせでも特に制限されることなく用いられ得る。
【0213】
本発明はさらに、窒素原子及び酸素原子が、2又は3個の炭素原子によって互いに離間されているアミノアルコールのためのブロッキング剤としての、式(IV)
【化27】
(式中、Zは既述の定義を有する)
の少なくとも1つのアルデヒドの使用を提供する。
【0214】
ここで、式(IV)のアルデヒドとしては、4-デシルベンズアルデヒド、4-ウンデシルベンズアルデヒド、4-ドデシルベンズアルデヒド、4-トリデシルベンズアルデヒド及び4-テトラデシルベンズアルデヒドであって、そのアルキル残基が主に分岐型であるものを含む混合物の使用が好ましい。
【0215】
好ましくは、既述のアミノアルコールはブロックされたものである。
【0216】
この使用で、既述の有利な特性を有するオキサゾリジン又はオキサジンアンがもたらされる。
【実施例】
【0217】
本明細書中下記においては、記載されている本発明のさらなる解説を意図する実施例が提示されている。当然のように、本発明は、これらに記載されている実施例によっては限定されない。
【0218】
実施例中において別途定められている試薬は、Sigma-Aldrich又はMerck(purum又はpuriss品質)から購入し、入手したまま用いた。
【0219】
「標準気候条件」(「SCC」)とは、23±1℃の温度及び50±5%の相対空気湿度を指す。
【0220】
用いたアルデヒド:
アルデヒド-1: HF-BF3、主に分岐型である4-(C10~14-アルキル)ベンズアルデヒドを含有するC10~14-アルキルベンゼンにより触媒されたホルミル化から得られた分割したアルデヒド混合物。(平均アルデヒド換算重量290g/eq)
ベンズアルデヒド(106.1g/mol)
イソブチルアルデヒド(72.1g/mol)
2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール(284.4g/mol)
アルデヒド-1は、式(IV)のアルデヒドの混合物である。
ベンズアルデヒド及び2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールは、式(IV)に従うものではない。
【0221】
潜在性硬化剤の生成:
アミン価(ブロックされたアミノ基を含む)は、滴定(クリスタルバイオレットに対して酢酸中の0.1N HClO4を使用)により測定した。
【0222】
粘度は、恒温Rheotec RC30コーン-プレート粘度計(コーン直径50mm、コーン角1°、コーン先端-プレート距離0.05mm、粘度<150Pa・sについては10秒-1のせん断速度、粘度>150Pa・sについては1秒-1のせん断速度)で計測した。
【0223】
赤外スペクトル(FT-IR)を、ダイアモンド結晶を有する水平ATR計測ユニットを備えたThermo Scientific製のNicolet iS5 FT-IR機器において、無希釈のフィルムとして計測した。吸収バンドは波数(cm-1)で報告されている。
【0224】
オキサゾリジンA-1:
丸底フラスコ中における63.09gのジエタノールアミンの初期仕込み物に、178.09gのアルデヒド-1及び0.50gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、80℃、減圧下に、すべての水が除去されるまで撹拌した。141.6mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
FT-IR:2954,2923,2871,2857,1704,1607,1509,1465,1425,1378,1343,1298,1213,1174,1045,1018,937,884,825,722.
【0225】
オキサゾリジンA-1はモノオキサゾリジンであり、式(Ia)に従うものである。
【0226】
オキサゾリジンA-2:
窒素雰囲気下に、丸底フラスコ中における、上記のとおり調製した37.80gのオキサゾリジンA-1の初期仕込み物を加熱した。80℃で、8.33gのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを滴下し、次いで、混合物を、80℃で、IR分光分析によりこれ以上イソシアネート基が検出されなくなるまで撹拌した。室温で液体であり、60℃で16.9Pa・sの粘度、及び、116.4mg KOH/gのアミン価を有する高粘度の黄色の油を得た。蓋をした容器の中で18カ月の貯蔵期間の後、粘稠度及び粘度は変化していなかった。
FT-IR:2955,2923,2853,1704,1634,1532,1463,1376,1352,1242,1213,1178,1105,1057,1019,825,772,722.
【0227】
オキサゾリジンA-2はビスオキサゾリジンであり、式(Id)に従うものである。
【0228】
オキサゾリジンA-3:
各端部に末端2-ヒドロキシプロピルアミノ基を有し、及び、約350g/molの平均分子量を有する44.50gのポリオキシプロピレン(Huntsman製のJeffamine(登録商標)C-346)の初期仕込み物に、丸底フラスコ中において、80.00gのアルデヒド-1及び0.50gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、80℃、減圧下に、すべての水が除去されるまで撹拌した。20℃で1.1Pa・sの粘度、及び、111.8mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
FT-IR:2957,2923,2870,2853,1726,1704,1645,1606,1575,1456,1375,1304,1212,1194,1168,1094,1062,1017,826,722.
【0229】
オキサゾリジンA-3はビスオキサゾリジンであり、式(Id)に従うものである。
【0230】
オキサゾリジンA-4:
丸底フラスコ中における、本明細書に後述のとおり調製した29.79gのN-(3-(2-メチルフェニルオキシ)-2-ヒドロキシ-1-プロピル)プロパン-1,2-ジアミンの初期仕込み物に、80.00gのアルデヒド-1及び0.50gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、80℃、減圧下に、すべての水が除去されるまで撹拌した。20℃で3.0Pa・sの粘度、及び、116.5mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
FT-IR:2955,2923,2870,2853,1704,1645,1605,1495,1461,1378,1304,1245,1213,1168,1122,1051,1018,826,748,722.
【0231】
オキサゾリジンA-4はイミノオキサゾリジンであり、式(Ic)に従うものである。
【0232】
N-(3-(2-メチルフェニルオキシ)-2-ヒドロキシ-1-プロピル)プロパン-1,2-ジアミンを、4.74kgのプロパン-1,2-ジアミンの初期仕込み物を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、次いで、よく撹拌しながら、2.93kgのo-クレジルグリシジルエーテル(Huntsman製のAraldite(登録商標)DY-K)(この過程において、反応混合物の温度は70~80℃であった)をゆっくりと添加することにより調製した。80℃で1時間後、反応混合物を冷却し、プロパン-1,2-ジアミン及びさらなる揮発性成分を、薄膜蒸発装置(0.5~1mbar、ジャケット温度115℃)による蒸留によって除去した。得られたものは、478.7mg KOH/gのアミン価、及び、20℃で3.3Pa・sの粘度を有する清透な黄褐色の液体であった。
【0233】
オキサゾリジンA-5:
丸底フラスコ中における、本明細書に後述のとおり調製した35.05gのN-(3-(2-メチルフェニルオキシ)-2-ヒドロキシ-1-プロピル)-2(4)-メチルペンタン-1,5-ジアミンの初期仕込み物に、80.00gのアルデヒド-1及び0.50gのサリチル酸を添加し、反応混合物を80℃、減圧下にロータリーエバポレータで、すべての水が除去されるまで撹拌した。20℃で3.1Pa・sの粘度、及び、112.0mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
FT-IR:2955,2923,2870,2853,1704,1647,1605,1495,1461,1377,1304,1245,1168,1122,1051,1038,1018,827,748,712.
【0234】
オキサゾリジンA-5はイミノオキサゾリジンであり、式(Ic)に従うものである。
【0235】
N-(3-(2-メチルフェニルオキシ)-2-ヒドロキシ-1-プロピル)-2(4)-メチルペンタン-1,5-ジアミンを、4.65kgの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(Invista製のDytek(登録商標)A)の初期仕込み物を、窒素雰囲気下で70℃に加熱し、次いで、よく撹拌しながら、1.83kgのo-クレジルグリシジルエーテル(Huntsman製のAraldite(登録商標)DY-K)(この過程において、反応混合物の温度は70~80℃であった)をゆっくりと添加することにより調製した。80℃で1時間後、反応混合物を冷却し、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン及びさらなる揮発性成分を、薄膜蒸発装置(0.5~1mbar、ジャケット温度160℃)による蒸留によって除去した。得られたものは、367.1mg KOH/gのアミン価、及び、20℃で6.5Pa・sの粘度を有する清透な黄褐色の液体であった。
【0236】
オキサゾリジンA-6:
丸底フラスコ中における、約240g/molの平均分子量を有する30.16gのポリオキシプロピレンジアミン(Huntsman製のJeffamine(登録商標)D-230)の初期仕込み物を、70℃に加熱した。撹拌しながら、37.55gのフェニルグリシジルエーテルをゆっくりと添加し、次いで、混合物を80℃で2時間、窒素雰囲気下に撹拌して、ビス(α,β-ヒドロキシルアミン)を形成した。この反応生成物に、80.00gのアルデヒド-1及び0.50gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、80℃、減圧下に、すべての水が除去されるまで撹拌した。20℃で3.5Pa・sの粘度、及び、100.9mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
FT-IR:2956,2923,2870,2853,1704,1645,1600,1587,1496,1456,1376,1301,1244,1170,1101,1077,1042,1018,827,752,690.
【0237】
オキサゾリジンA-6はビスオキサゾリジンであり、式(Id)に従うものである。
【0238】
オキサゾリジンA-7:
手法はオキサゾリジンA-6に記載したものであったが、ただし、約2,000g/molの平均分子量を有する250.00gのポリオキシプロピレンジアミン(Huntsman製のJeffamine(登録商標)D-2000)を、約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミンの代わりに用いた。20℃で1.8Pa・sの粘度、及び、31.3mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
FT-IR:2968,2926,2897,2858,1704,1601,1497,1456,1372,1343,1245,1098,1015,925,828,753,691.
【0239】
オキサゾリジンA-7はビスオキサゾリジンであり、式(Id)に従うものである。
【0240】
オキサゾリジンA-8:
丸底フラスコ中における、16.97gのメチルペンタンジオールジアクリレート(Sartomer製のSR341)の初期仕込み物に、9.16gのエタノールアミンを添加し、反応混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌して、ビス(α,β-ヒドロキシルアミン)を形成した。この反応生成物に、45.83gのアルデヒド-1及び0.50gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、80℃、減圧下に、すべての水が除去されるまで撹拌した。20℃で1.6Pa・sの粘度、及び、121.0mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
FT-IR:2955,2923,2871,2853,1734,1704,1647,1607,1458,1378,1301,1212,1179,1109,1054,1018,826,722.
【0241】
オキサゾリジンA-8はビスオキサゾリジンであり、式(Id)に従うものである。
【0242】
オキサジンアンA-9:
手法はオキサゾリジンA-8に記載したものであったが、ただし、11.27gの3-アミノ-1-プロパノールをエタノールアミンの代わりに用いた。20℃で2.9Pa・sの粘度、及び、118.6mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
FT-IR:2954,2923,2853,1734,1705,1461,1378,1305,1177,1157,1117,1079,1051,977,924,826,781,722.
【0243】
オキサジンアンA-9はビスオキサジンアンであり、式(Id)に従うものである。
【0244】
オキサゾリジンA-10:
水分離装置(ディーンスターク装置)を備える丸底フラスコ中における5.21gのN-(2-アミノエチル)エタノールアミンの初期仕込み物に、30.56gのアルデヒド-1、50mlのシクロヘキサン及び0.10gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、還流下に120℃で、すべての水が分離されるまで沸騰させた。その後、反応混合物を冷却及びろ過し、揮発性成分を減圧下にロータリーエバポレータで、80℃で除去した。20℃で1.1Pa・sの粘度、及び、160.2mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
FT-IR:2955,2920,2852,1705,1647,1608,1572,1457,1377,1343,1301,1220,1174,1138,1060,1018,986,962,826,722.
【0245】
オキサゾリジンA-10はイミノオキサゾリジンであり、式(Ic)に従うものである。
【0246】
アミナールA-11:
丸底フラスコ中における、11.62gのN,N’-ジエチルエチレンジアミンの初期仕込み物に、撹拌しながら、32.01gのアルデヒド-1を添加した。その後、反応混合物から、80℃、減圧下にロータリーエバポレータで反応水を除去した。20℃で0.09Pa・sの粘度、及び、265.7mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
FT-IR:2957,2924,2871,2853,2792,2525,1706,1607,1508,1465,1423,1377,1340,1280,1226,1164,1055,1019,995,958,861,824,805,722.
【0247】
アミナールA-11は式(I)に従うものであり、ここで、nは1であり、XはNR0であり、R0及びAは各々エチルであり、並びに、Yはエチレンである。
【0248】
アミナールA-12:
丸底フラスコ中における、24.04gのN,N’-ジベンジルエチレンジアミンの初期仕込み物に、撹拌しながら、32.01gのアルデヒド-1を添加した。その後、反応混合物から、80℃、減圧下にロータリーエバポレータで、反応水を除去した。20℃で1.41Pa・sの粘度、及び、210.4mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
FT-IR:3085,3062,2954,2923,2870,2852,2792,2722,2520,1804,1705,1605,1507,1453,1423,1377,1338,1295,1248,1212,1153,1120,1072,1028,975,911,861,827,735,690,667.
【0249】
アミナールA-12は式(I)に従うものであり、ここで、nは1であり、XはNR0であり、R0及びAは各々ベンジルであり、Yはエチレンである。
【0250】
オキサゾリジンA-13:
水分離装置(ディーンスターク装置)を備える丸底フラスコ中における11.72gのN-ブチルエタノールアミンの初期仕込み物に、29.68gのアルデヒド-1.75mlのシクロヘキサン及び0.10gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、還流下に120℃で、すべての水が分離されるまで沸騰させた。その後、反応混合物を冷却及びろ過し、揮発性成分を減圧下にロータリーエバポレータで、80℃で除去した。20℃で0.07Pa・sの粘度、及び、142.1mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
FT-IR:2955,2921,2854,2800,1706,1614,1576,1464,1426,1377,1341,1296,1217,1178,1152,1067,1019,957,925,826,741,722.
【0251】
オキサゾリジンA-13は式(Ia)に従うものであり、ここで、A1はn-ブチルである。これは乾燥剤として特に好適である。
【0252】
オキサゾリジンA-14:
丸底フラスコ中における、13.92g(50mmol)の3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(Evonik製のDynasylan(登録商標)GLYEO)の初期仕込み物に、22.14g(100mmol)の3-アミノプロピルトリエトキシシラン(Evonik製のDynasylan(登録商標)AMEO)を添加し、混合物を70℃で、エポキシ基が転換されるまで撹拌した。その後、30.56gのアルデヒド-1を添加し、反応混合物から、80℃、減圧下にロータリーエバポレータで反応水を除去した。20℃で0.35Pa・sの粘度、及び、87.6mg KOH/gのアミン価を有する薄いオレンジ色の液体を得た。
FT-IR:2957,2924,2854,1705,1647,1607,1573,1508,1456,1389,1343,1297,1166,1102,1076,1017,954,827,774.
【0253】
オキサゾリジンA-14は、オキサゾリジノシラン及びアルジミノシランの混合物を含有する。オキサゾリジノシランは式(Ib)に従うものであり、ここで、A2は3-トリエトキシシリルプロピルであり、及び、Yは、オキサゾリジン酸素に対してα位で5-トリエトキシシリル-2-オキサペンチル-置換されたエチレン残基である。これは粘着促進剤として特に好適である。
【0254】
オキサゾリジンB-1:
手法はオキサゾリジンA-1に記載したものであったが、ただし、64.95gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。288.2mg KOH/gのアミン価を有する薄い茶色の液体を得た。
【0255】
オキサゾリジンB-2:
窒素雰囲気下に、丸底フラスコ中における、上記のとおり調製した37.80gのオキサゾリジンB-1の初期仕込み物を加熱した。80℃で、8.33gのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを滴下し、次いで、混合物を、80℃で、IR分光分析によりこれ以上イソシアネート基が検出されなくなるまで撹拌した。得られたものは、室温で固体であり、及び、181.4mg KOH/gのアミン価を有し、60℃で583.5Pa・sの粘度を有する黄色の物質であった。
【0256】
オキサゾリジンB-3:
手法はオキサゾリジンA-3に記載したものであったが、ただし、29.18gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。20℃で1.9Pa・sの粘度、及び、219.4mg KOH/gのアミン価を有する薄い茶色の液体を得た。
【0257】
オキサゾリジンB-4:
手法はオキサゾリジンA-4に記載したものであったが、ただし、29.18gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。得られたものは、20℃で1,945Pa・sの粘度、及び、249.0mg KOH/gのアミン価を有する粘性の濃いオレンジ色の油であり、これは、室温で静置したところ、数週間の間にゆっくりと固化した。
【0258】
オキサゾリジンB-5:
手法はオキサゾリジンA-5に記載したものであったが、ただし、29.18gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。20℃で93.5Pa・sの粘度、及び、226.0mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の油を得た。
【0259】
オキサゾリジンB-6:
手法はオキサゾリジンA-6に記載したものであったが、ただし、29.18gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。20℃で84.5Pa・sの粘度、及び、161.0mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の油を得た。
【0260】
オキサゾリジンB-7:
手法はオキサゾリジンA-7に記載したものであったが、ただし、29.18gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。20℃で2.0Pa・sの粘度、及び、40.9mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
【0261】
オキサゾリジンB-8:
手法はオキサゾリジンA-8に記載したものであったが、ただし、16.72gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。20℃で2.0Pa・sの粘度、及び、216.6mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
【0262】
オキサジンアンB-9:
手法はオキサゾリジンA-9に記載したものであったが、ただし、16.72gのベンズアルデヒドをアルデヒド-1の代わりに用いた。20℃で10.5Pa・sの粘度、及び、205.1mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
【0263】
オキサゾリジンB-10:
水分離装置(ディーンスターク装置)を備える丸底フラスコ中における15.00gのN-(2-アミノエチル)エタノールアミンの初期仕込み物に、32.10gのベンズアルデヒド、50mlのシクロヘキサン及び0.10gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、還流下に120℃で、すべての水が分離されるまで沸騰させた。その後、反応混合物を冷却及びろ過し、揮発性成分を減圧下にロータリーエバポレータで、80℃で除去した。20℃で0.83Pa・sの粘度、及び、385.1mg KOH/gのアミン価を有するオレンジ色の液体を得た。
【0264】
オキサゾリジンL-1:
手法はオキサゾリジンA-1に記載したものであったが、ただし、174.65gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールをアルデヒド-1の代わりに用いた。141.2mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
【0265】
オキサゾリジンL-2:
窒素雰囲気下に、丸底フラスコ中における、上記のとおり調製した39.73gのオキサゾリジンL-1の初期仕込み物を加熱した。80℃で、8.33gのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを滴下し、次いで、混合物を、80℃で、IR分光分析によりこれ以上イソシアネート基が検出されなくなるまで撹拌した。20℃で6Pa・sの粘度、及び、115.2mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
【0266】
オキサゾリジンIB-2:(Incorez製のIncozol 4に対応する)
窒素雰囲気下に、丸底フラスコ中における15.92gのN-(2-ヒドロキシエチル)-2-イソプロピルオキサゾリジン(Incorez製のIncozol 3)の初期仕込み物を加熱した。80℃で、8.33gのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを滴下し、次いで、混合物を、80℃で、IR分光分析によりこれ以上イソシアネート基が検出されなくなるまで撹拌した。得られたものは、20℃で36Pa・sの粘度、及び、220.0mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体であり、これは、数週間の内に結晶化し、さらなる使用のためには溶融させる必要があった。
【0267】
オキサゾリジンIB-10:
水分離装置(ディーンスタークトラップ)を備える丸底フラスコ中における15.00gのN-(2-アミノエチル)エタノールアミンの初期仕込み物に、21.81gのイソブチルアルデヒド、50mlのシクロヘキサン及び0.10gのサリチル酸を添加し、反応混合物を、還流下に120℃で、すべての水が分離されるまで沸騰させた。その後、反応混合物を冷却及びろ過し、揮発性成分を減圧下にロータリーエバポレータで、80℃で除去した。20℃で0.01Pa・sの粘度、及び、521.7mg KOH/gのアミン価を有する黄褐色の液体を得た。
【0268】
Incozol 2:
Incorez製のN-ブチルエタノールアミン及び2-エチルヘキサナール系のモノオキサゾリジン。
【0269】
オキサゾリジンA-1~A-8、A-10、A-13及びA-14、オキサジンアンA-9、並びに、アミナールA-11及びA-12は、式(I)の化合物である。
【0270】
オキサゾリジンB-1~B-8及びB-10、オキサジンアンB-9及びオキサゾリジンL-1、L-2、IB-2、IB-10、並びに、Incozol 2は式(I)に従うものではなく、比較とされる。
【0271】
アルジミンC-1:
最初に、50.00gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを丸底フラスコ中に窒素雰囲気下で仕込んだ。撹拌しながら、13.93gの3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミンを添加し、次いで、揮発性成分を、80℃及び10mbarの減圧下で除去した。20℃で0.2Pa・sの粘度、及び、153.0mg KOH/gのアミン価を有する薄い黄色の無臭の液体を得た。
【0272】
アルジミンA-1はジアルジミンであり、式(VI)に従うものである。
【0273】
イソシアネート基を含有するポリマーの調製
ポリマーP1:
400gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200、Covestro製;OH価28.5mg KOH/g)及び52gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44 MC L、Covestro製の)を80℃で公知の方法によって反応させて、室温で液体であり、1.85重量%の遊離イソシアネート基の含有量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0274】
ポリマーP2:
590gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200、Covestro製;OH価28.5mg KOH/g)、1180gのポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレントリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shell製;OH価35.0mg KOH/g)及び230gのイソホロンジイソシアネート(Vestanat(登録商標)IPDI、Evonik製)を80℃で公知の方法によって反応させて、室温で液体であり、2.10重量%の遊離イソシアネート基の含有量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0275】
ポリマーP3:
356gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200、Covestro製;OH価28.5mg KOH/g)、100gのポリオキシプロピレントリオール(Acclaim(登録商標)6300、Covestro製;OH価28.0mg KOH/g)、並びに、80/20の比率でのトリレン2,4-及び2,6-ジイソシアネートの混合物40g(Desmodur(登録商標)T80、Covestro製)を、公知の方法により80℃で反応させて、室温で液体であり、及び、1.80重量%の遊離イソシアネート基含有量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0276】
ポリマーP4:
300.0gのポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンジオール(Desmophen(登録商標)L300、Covestro製;OH価190.0mg KOH/g)及び228.8gのイソホロンジイソシアネート(Vestanat(登録商標)IPDI、Evonik製)を60℃で公知の方法によって反応させて、室温で液体であり、7.91重量%の遊離イソシアネート基の含有量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0277】
ポリマーP5:
1300gのポリオキシプロピレンジオール(Covestro製のAcclaim(登録商標)4200N;OH価28.5mg KOH/g)、2600gのポリオキシプロピレントリオール(Shell製のCaradol(登録商標)MD34-02;OH価35.0mg KOH/g)、600gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Covestro製のDesmodur(登録商標)44MC L)及び500gのフタル酸ジイソデシル(Palatinol(登録商標)Z、BASF)を、80℃で反応させて、2.05重量%の遊離イソシアネート基含有量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0278】
ポリウレタン組成物(一成分)
組成物Z1~Z27:
各組成物について、表1~表2に明記される原料を、1分間3000rpmで水分を排除した遠心ミキサー(SpeedMixerTM DAC 150、FlackTek Inc.)を用いて(重量部単位で)明記される量で混合した。各組成物を次のとおり試験した。
【0279】
貯蔵安定性の尺度として、粘度(1d RT)を製造の翌日に測定し、及び粘度(7d 60℃)を上記のように60℃での密閉容器中における7日間にわたる貯蔵後に測定した。
【0280】
オープンタイムの尺度として不粘着時間を測定した。この目的のために、数グラムの組成物を約2mmの層厚さで及び標準気候条件下でボール紙に塗布し、組成物の表面がLDPEピペットによって穏やかに軽くたたかれたとき、残渣がはじめてピペット上にもはや残らなくなるまでの時間を測定した。
【0281】
機械的特性を測定するために、各組成物をPTFE被覆フィルム上へ注いで厚さ2mmのフィルムを得、標準気候条件下で7日間貯蔵し、30mmの棒長さ及び4mmの棒幅である、75mmの長さを有する数個のダンベルをフィルムからパンチで切り取り、これらを引張強度(破断荷重)、破断点伸び、弾性率5%(0.5%~5%の伸びでの)及び弾性率50%(0.5%~50%伸びでの)について200mm/分の引張速度でDIN EN 53504に従って試験した。
【0282】
外観は、製造されたフィルムについて目視で評価した。「良い」は、気泡を伴わない非粘着性の表面を有する無色透明なフィルムを記載するために用いた。
【0283】
臭気は、新規に製造したフィルムから2cmの距離で鼻により嗅ぐことにより評価した。「あり」は、臭気が明らかに感じられたことを意味する。「なし」は、臭気が感じられなかったことを意味する。
【0284】
結果は、表1~表2に報告されている。
【0285】
(Ref)と付した組成物は、比較例である。
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
組成物Z28~Z32
各組成物について、表3に明記されている原料を、明記されている量(重量部)で、防湿しながら3000rpmで1分間、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.)を用いて混合し、防湿して保管した。
【0292】
用いた前混合物-1は、24.0重量部のポリマーP3、2.5重量部のフタル酸ジイソデシル、40.8重量部のチョーク、28重量部の増粘剤、4.5重量部の二酸化チタン及び0.2重量部のp-トシルイソシアネートを、防湿しながら、遠心ミキサーを用いて混合することにより生成し、防湿して貯蔵した。
【0293】
増粘剤は、真空ミキサー中における、300gのフタル酸ジイソデシル及び48gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Covestro製のDesmodur(登録商標)44 MC L)の初期仕込み物を穏やかに加熱し、次いで、激しく撹拌しながら27gのモノブチルアミンをゆっくりと滴下することにより、あらかじめ生成しておいた。得られたペーストを、冷却しながら、減圧下にさらに1時間撹拌した。
【0294】
各組成物を組成物Z1に記載のとおりテストした。
【0295】
結果が表3に報告されている。
【0296】
(Ref)と付した組成物は比較例である。
【0297】
【0298】
組成物Z33~Z36:
各組成物について、表4に明記されている原料を、明記されている量(重量部)で、防湿しながら3000rpmで1分間、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150,FlackTek Inc.)を用いて混合し、防湿して貯蔵した。
【0299】
各組成物は、以下のとおりテストした。
可塑剤の移行の尺度として、厚紙における斑点の形成を判定した。この目的のために、各組成物を、15mmの直径及び4mmの高さの丸いベース領域を有するように厚紙片に塗布し、7日間標準気候条件下で保管した。その後、厚紙上の各組成物の周囲に濃い卵形の染みが形成された。その寸法(高さ及び幅)を計測し、表4において移行として報告した。
【0300】
(Ref)と付した組成物は比較例である。
【0301】
【0302】
乾燥剤及び/又は硬化剤としてのオキサゾリジンA-13の使用:
組成物Z37~Z40:
各組成物について、105.0重量部のポリマーP5、組成物Z28について記載した増粘剤60.0重量部、30.0重量部のフタル酸ジイソデシル、100.0重量部のチョーク、7.0重量部のシリカ(Evonik製のAerosil(登録商標)R972)、表5中に記載の重量部のオキサゾリジンA-13又はIncozol 2(Incorez製)、及び、2.0重量部のサリチル酸溶液(ジオクチルアジペート中に5重量%)及び1.0重量部のDBTDL溶液(フタル酸ジイソデシル中の5重量%のジブチル錫ジラウレート)を防湿しながら遠心ミキサーを用いて混合し、防湿して貯蔵した。
【0303】
組成物は以下のとおりテストした:
貯蔵安定性の尺度として、粘度(1日 室温)は生成の次の日に測定し、粘度(7日 室温)は室温で蓋をした容器中において7日間貯蔵した後に測定し、及び、粘度(7日 60℃)は、上記のとおり60℃の循環オーブン中における蓋をした容器において7日間貯蔵した後に測定した。
【0304】
風乾時間の尺度として、不粘着時間は、上記のとおり測定した。
【0305】
引張強度(破断強度)、破断伸び及び5%弾性率(0.5~5%の伸度で計測)及び25%弾性率(0.5~25%の伸度で計測)の機械特性を上記のとおり測定した。
【0306】
ショアーA硬度は、DIN53505に従って、標準条件下で7日間硬化させた試験片で測定した。
【0307】
結果が表5に報告されている。
【0308】
(Ref)と付した組成物は比較例である。
【0309】
【0310】
粘着促進剤としてのオキサゾリジンA-14の使用:
活性化剤-1:
2.5gのオキサゾリジンA-14を250gの乾燥酢酸エチル中に溶解し、防湿して貯蔵した。
【0311】
組成物Z-41:
1.5gのオキサゾリジンA-14を、窒素雰囲気下に、150gのポリマーP1と混合し、防湿して貯蔵した。
【0312】
粘着促進剤としての作用の尺度として、10×15cmの寸法を有するガラスプレート(フロートガラス;Rocholl,Schoenbrunn,Germany製)の空気側に、各々2×8cmのガラスストリップが3本得られるように、スペーサテープを縦に貼った。第1及び第2のストリップの各々を、酢酸エチルを浸み込ませた衛生ワイプで1回拭いた。第3のストリップを、活性化剤-1で湿らせた衛生ワイプで1回拭いた。その後、このように処理したガラスプレートを、フラッシュオフのために2時間、標準気候条件下で保管した。次いで、6gのポリマーP1を、第1及び第3のストリップの各々に約3mmの層厚で適用した。6gの組成物Z-41を、第2のストリップに約3mmの層厚で適用した。
【0313】
このようにコーティングしたガラスプレートを標準気候条件下に7日間保管し、次いで、硬化したポリマーフィルムをガラスプレートから剥がそうと試みた。結合は、硬化したポリマーをガラス基材から除去できなかった場合には「きわめて良好」と表記した(ポリマーがガラスから切り取られる程度に、ストリップ方向に交差する数本の切れ込みをガラス基材に入れ、ポリマーストリップを垂直に引っ張った場合においても、ポリマーをガラス基材から取り外すことができなかった)。結合は、硬化したポリマーをガラス基材から完全に取り外すことができた場合に「なし」と表記した。
【0314】
結果を表6に示す。
【0315】
【0316】
プライマー組成物Z-42:
125.0gのSika(登録商標)Primer-209 N(イソシアネート基を含有する着色されたプライマー、Sika Schweiz AG製)を、21.2gのオキサゾリジンA-14と混合し、防湿して貯蔵した。
【0317】
プライマー組成物Z42をガラス上の粘着促進剤として用いて:24時間又は7日間の長期のフラッシュオフ時間の後、Sikaflex(登録商標)-250 DM-5(単成分水分-硬化性ポリウレタン接着剤、Sika Switzerland AG製)を適用し、これを硬化し、次いで、その結合をテストした。用いた参照物はSika(登録商標)Primer-209 Nであった。
【0318】
各テストについて、ガラスプレートをイソプロパノールで洗浄し、Sika(登録商標)Aktivator-100(Sika Schweiz AG製の接着促進性クリーナ)を浸み込ませた衛生ワイプで拭き、10分間のフラッシュオフ時間の後、プライマー組成物をスポンジを用いて薄層に適用した。標準気候条件下における24時間又は7日間のフラッシュオフ時間の後、60℃に予熱したSikaflex(登録商標)-250 DM-5を、幅10mm及び長さ100mmの三角形のビード形状でプライマー層に適用し、ガラスプレートを標準気候条件下で7日間保管したところ、その間に適用した接着剤が硬化した。その後、接着剤ビードのガラスプレートに対する結合を、結合面のすぐ上の端でビードに切り込みを入れ、ビードの切り込んだ端部を先の丸いピンセットで保持し、ビードを基材から剥がすように引っ張る試みをすることにより、テストした。次いで、基材に向かってビードに再度切り込みを入れ、ビードの切り取られた部分を先の丸いピンセットで巻き上げ、再度、ビードを基材から剥がすように引っ張る試みを行った。このように、ビードは、80mmの長さにわたって引っ張ることにより基材から切り取った。その後、結合の評価を以下の尺度を用いる破壊プロファイルを参照して行った:
1(=きわめて良好)は、95%超の凝集破壊を表す
2(=良好)は75%~95%の凝集破壊を表す
【0319】
結果が表7に報告されている。
【0320】