(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラムおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240401BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240401BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240401BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240401BHJP
H04N 23/667 20230101ALI20240401BHJP
H04N 23/698 20230101ALI20240401BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G03B15/00 M
H04N23/55
H04N23/63
H04N23/667
H04N23/698
(21)【出願番号】P 2020009115
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 道紀
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037859(JP,A)
【文献】特開2018-006985(JP,A)
【文献】特開2001-359112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/63
H04N 23/55
H04N 23/667
H04N 23/698
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナモフィックレンズを用いて撮像された、デスクイーズされていない1フレーム分の画像を
、Nフレーム目の画像として取得する取得手段と、
前記Nフレーム目の画像を取得して記録する期間において、
前記Nフレーム目の画像をメモリに記録し、
前記メモリに記録されたNフレーム目よりも前のフレームの画像における所定のアスペクト比の領域を水平方向に拡大して表示する、
ように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定のアスペクト比の領域を水平方向に拡大して表示する処理において、前記Nフレーム目よりも前のフレームの画像における前記所定のアスペクト比の領域以外の領域は使用しないように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定のアスペクト比の領域を水平方向に拡大して表示する処理において、前記Nフレーム目よりも前のフレームの画像における前記所定のアスペクト比の領域を垂直方向には拡大しないように制御する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記Nフレーム目よりも前のフレームの画像は、N-1フレーム目の画像である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記メモリは、DRAMである、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記Nフレーム目の画像を取得して記録する期間において、前記Nフレーム目の画像をメモリに記録するとともに、前記Nフレーム目の画像を動画ファイルに記録するように制御する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記Nフレーム目の画像を取得する期間は、前記Nフレーム目の1フレーム分の画像を取得する期間である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記Nフレーム目の画像を取得して記録する期間において、
表示モードが撮像から表示までの遅延を抑制する第1のモードである場合に、前記Nフレーム目よりも前のフレームの画像における所定のアスペクト比の領域を水平方向に拡大する代わりに、前記Nフレーム目の画像を垂直方向に縮小して表示し、
表示モードが前記遅延を抑制する前記第1のモードと異なる第2のモードの場合に、前記Nフレーム目よりも前のフレームの画像における所定のアスペクト比の領域を水平方向に拡大して表示する、
ように制御する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1のモードである場合に、縮小された画像における前記所定のアスペクト比の領域以外の領域をマスクするように制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、フレームレートが第1のフレームレートである場合に、前記Nフレーム目の画像を取得して記録する期間において、前記メモリに記録されたNフレーム目よりも前のフレームの画像における前記所定のアスペクト比の領域を水平方向に拡大して表示するように制御する、
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第1のフレームレートは、60fps、120fps、240fpsのいずれかである、
ことを特徴とする請求項
10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御手段は、フレームレートが前記第1のフレームレートと異なる第2のフレームレートである場合に、前記Nフレーム目の画像を取得して記録する期間において、前記Nフレーム目よりも前のフレームの画像ではなく、前記Nフレーム目の画像における前記所定のアスペクト比の領域を水平方向に拡大して表示するように制御する、
ことを特徴とする請求項
10または
11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記第2のフレームレートは、24fps、30fpsのいずれかである、
ことを特徴とする請求項
12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
アナモフィックレンズを用いて撮像された、デスクイーズされていない1フレーム分の画像をNフレーム目の画像として取得するステップと、
前記Nフレーム目の画像を取得して記録する期間において、
前記Nフレーム目の画像をメモリに記録するステップと、
前記メモリに記録されたNフレーム目よりも前のフレームの画像における所定のアスペクト比の領域を、水平方向に拡大して表示するステップと、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から
13のいずれか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から
13のいずれか一項に記載された画像処理装置の各手段
として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務用カメラに、アナモフィックレンズによって撮影された画像を電子的に横方向の圧縮を戻して(デスクイーズして)表示する機能を搭載したものがある。ここで、アナモフィックレンズとは、撮影時に被写体像を横方向に光学的に圧縮して結像させる特殊なレンズである。アナモフィックレンズで結像された画像を撮像し、ポストプロセス時などにデスクイーズすることで横長の画像(例えば、アスペクト比が2.39:1のシネマスコープ(登録商標)映像)を得ることができる。
【0003】
アナモフィックレンズは、レンズの特性上、デスクイーズする前の撮像画像の左右端には歪曲収差が生じる。これに対して、横方向に圧縮された画像の一部を切り出し、水平伸張した後にサイドカットしたデスクイーズ画像を表示媒体に出力する技術が知られている(特許文献1)。アナモフィックレンズの歪みが中央付近と左右端付近で大きく異なり、左右端は単純な水平伸張では被写体を正しく表現できないため、特許文献1では、サイドカットすることによって伸張した際に歪みの影響の少ない中央付近の映像のみを切り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述のとおり、入力される画像データの一部を使用してデスクイーズ画像を生成するため、切り出し範囲に応じてデスクイーズ画像の生成に使える時間が短くなる。例えば、入力される画像データ全体の半分の領域を切り出して横方向に2倍に伸長するデスクイーズ処理を行う場合、1フレームの画像を入力する時間の半分の時間でデスクイーズ画像を生成する必要がある。このとき、フレームレートが高い等の要因でデスクイーズ処理に使える時間が短くなると、1フレームの画像を入力する時間の半分の時間内にデスクイーズ画像の生成が完了できない虞がある。この場合、アナモフィックレンズを使用した撮影においてデスクイーズ機能が実現できなくなるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、フレームレートが高い場合でも、デスクイーズ画像の生成を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
アナモフィックレンズを用いて撮像された、デスクイーズされていない1フレーム分の画像を、Nフレーム目の画像として取得する取得手段と、
前記Nフレーム目の画像を取得して記録する期間において、
前記Nフレーム目の画像をメモリに記録し、
前記メモリに記録されたNフレーム目よりも前のフレームの画像における所定のアスペクト比の領域を、水平方向に拡大して表示する、
ように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フレームレートが高い場合でも、デスクイーズ画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態に係る画像データの生成過程の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るデスクイーズ処理の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る画像データの生成過程の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るデスクイーズ処理の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るデスクイーズ処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
<撮像装置100の構成図>
図1は、本実施形態に係る撮像装置100(画像処理装置)の構成図である。
【0011】
レンズユニット101は、集光のための固定レンズ群、変倍レンズ群、絞り、および補正レンズ群(変倍レンズ群の動きで移動した結像位置を補正する機能と焦点調節を行う機能とを兼ね備えたレンズ群)等より構成される光学系である。レンズユニット101によって、後述のイメージセンサ102の結像面上に被写体像が結像される。
【0012】
イメージセンサ102は、光を電荷に変換して撮像信号を生成する撮像素子であって、例えば、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサである。生成された撮像信号は画像処理部103へ出力される。なお、撮像素子として、撮像面上のすべての画素がそれぞれ一対の受光素子により構成され、各画素においてマイクロレンズにより形成された対の光学像を該一対の受光素子により光電変換できる、いわゆるデュアルピクセルタイプのものを用いてもよい。
【0013】
画像処理部103は、イメージセンサ102より出力された撮像信号をRAWデータ(RAW画像)に変換する。画像処理部103は、変換後のRAWデータに対して補間処理や画質調整処理等のRAW現像処理を行うことにより、RAWデータに対応したYUV形式の画像データを生成する。画像処理部103は、生成したYUV形式の画像データを表示用リサイズ回路104および記録用リサイズ回路105に出力する。また、画像処理部103は、生成したYUV形式の画像データをノイズリダクション用の画像データ(巡回NR用の画像データ)としてRAM111に格納する。ここで、ノイズリダクション用の画像データは、画像処理部103が次のフレームにおけるノイズリダクション処理に用いる画像データである。
【0014】
表示用リサイズ回路104は、画像処理部103から出力されたYUV形式の画像データに対して、リサイズ処理や後述するデスクイーズ処理を行い、表示用画像データを生成する。表示用リサイズ回路104は、生成した表示用画像データをRAM111に格納する。
【0015】
記録用リサイズ回路105は、画像処理部103から出力されたYUV形式の画像データに対して、リサイズ処理を行い、記録用画像データを生成する。記録用リサイズ回路105は、生成した記録用画像データをRAM111に格納する。
【0016】
OSD生成回路106は、オンスクリーンディスプレイ(OSD)を生成する回路であ
る。具体的には、OSD生成回路106は、各種設定メニューやタイトル、時間などのOSDデータを生成する。OSD生成回路106は、生成したOSDデータをRAM111に格納する。OSDデータは、RAM111に格納された表示用画像データと合成され、表示部である液晶パネル107に表示されたり、後述の外部出力部115を介して外部装置に出力されたりする。
【0017】
液晶パネル107は、表示用画像データやOSDを表示させるための表示部である。なお、表示部は液晶パネルに限定されず、有機ELパネルなどの他の方式の表示部でもよい。
【0018】
システム制御部108は、撮像装置100の全体を制御する制御部であって、例えば、マイクロコンピュータである。システム制御部108は、撮像装置100または外部装置に画像を表示する制御を行う表示制御部であると捉えることもできる。
【0019】
操作スイッチ群109は、ユーザの操作を受け付けるスイッチ群である。また、操作スイッチ群109には、カメラ撮影を行うためのカメラモードと、画像を再生するための再生モードと、電源をOFFにするパワーオフモードとのいずれかを選択するためのスイッチが含まれるものとする。
【0020】
ROM110は、フラッシュROMであり、システム制御部108が実行するプログラムなどが格納されている。また、ROM110の一部領域は、バックアップ用として、システムの状態などを保持するために使用される。
【0021】
RAM111は、システム制御部108、画像処理部103および映像圧縮回路114等がワークメモリとして使用するための揮発性メモリである。
【0022】
メモリカードコントローラ112は、FATファイルシステム等のコンピュータと互換のあるフォーマットに従って、動画像データ等をメモリカード113に記録する。メモリカード113は、撮像装置100と着脱可能な記録媒体であって、撮像装置100以外にもPC等に装着することができる。
【0023】
映像圧縮回路114は、RAM111に格納された画像データをエンコード(例えば、MPEG圧縮)して動画像データ等を生成し、RAM111に出力する。
【0024】
外部出力部115は、表示用画像データを外部に出力するためのインターフェース(HDMI(登録商標)、SDI等の出力部)である。外部出力部115は、4K60Pや2
K60P等の規格の信号(表示用画像データ)を出力することができる。
【0025】
バス116は、撮像装置100の各部の間におけるデータのやり取りを行うためのバスである。
【0026】
<画像データの生成過程(第1のデスクイーズ処理)>
図2は、撮像装置100における画像データの生成過程の一例を示す図である。ここで、レンズユニット101は、縦横の圧縮比が1:2のアナモフィックレンズであるものとする。
【0027】
アナモフィックレンズで撮影された画像は、使用するレンズのスクイーズ倍率(画像を収縮する倍率)に応じて、横方向(水平方向)に1/1.33倍、または1/2倍にスクイーズ(収縮)された歪曲した画像である。このように光学的に画像を圧縮することにより、センサが取得可能な画像の画角よりも横長の画角の画像を得ることが可能となる。ア
ナモフィックレンズで撮影された画像から、使用したアナモフィックレンズのスクイーズ倍率に応じて横方向に1.33倍、または2倍(デスクイーズ倍率)にデスクイーズ(伸張)処理することにより、シネマスコープ画像を得ることができる。
【0028】
被写体像200は、撮像装置100が撮像する被写体像である。被写体像200は、レンズユニット101により縦横の圧縮比を1:2に圧縮された状態でイメージセンサ102によって結像および光電変換される(画像信号201)。光電変換された画像信号201は、画像処理部103によって様々な画像処理が行われた後、YUV形式の画像データ(画像データ202)として、表示用リサイズ回路104および記録用リサイズ回路105に出力される。また、この画像データは、ノイズリダクション用の画像データ(巡回NR用の画像データ;画像データ207)としてRAM111に格納される。上述したように、ノイズリダクション用の画像データは、画像処理部103が次のフレームにおけるノイズリダクション処理に用いる画像データである。
【0029】
画像処理部103によって出力されたYUV形式の画像データは、表示用リサイズ回路104によって、後述する第1のデスクイーズ処理が行われた後に、表示用画像データ(画像データ203)としてRAM111に格納される。格納された表示用画像データは、外部出力部115を介して外部(外部装置)に出力される(画像データ204)。なお、表示用画像データは、液晶パネル107に出力されてもよい。また、本実施形態では、ユーザ操作によって、出力先ごとにデスクイーズのON/OFFを切り替えることができる。
【0030】
また、画像処理部103によって出力されたYUV形式の画像データは、記録用リサイズ回路105によって、記録用のサイズにリサイズされ、記録用画像データ(画像データ205)としてRAM111に格納される。格納された記録用画像データは、映像圧縮回路114によって圧縮され、メモリカードコントローラ112を介してメモリカード113に記録される(画像データ206)。
【0031】
<第1のデスクイーズ処理>
図3は、本実施形態に係る第1のデスクイーズ処理の一例を示す図である。画像データ301は、表示用リサイズ回路104に入力されるYUV形式の画像データを示す。表示用リサイズ回路104は、画像データ301のうち左端から1/4~3/4の領域(領域302)を横方向に2倍に伸張することによって表示用画像データ(画像データ303)を生成する。すなわち、表示用リサイズ回路104は、デスクイーズ処理によって、レンズユニット101で圧縮され画像を、縦横の圧縮比1:1の画像にしている。なお、デスクイーズ処理は、画像のアスペクト比を変更する処理であると捉えることもできる。
【0032】
ここで、第1のデスクイーズ処理では、表示用リサイズ回路104は、YUV形式の画像データ(画像データ301)のうち半分の領域(領域302)のみを用いて、表示用画像データ(画像データ303)を生成している。また、YUV形式の画像データは、水平方向に走査されて1ラインごとに表示用リサイズ回路104に入力される。この1ラインの入力時間を時間Tとすると、1ラインの表示用画像データを時間T/2で生成する必要がある。
【0033】
しかし、表示用リサイズ回路104の性能には限界があるため、リサイズ処理に使える時間(時間T/2)が短くなると、表示用画像データの生成が間に合わなくなるおそれがある。例えば、フレームレートが60[fps]である場合は、時間T=1/60[s]、時間T/2=1/120[s]である。また、フレームレートが120[fps]である場合は、時間T=1/120[s]、時間T/2=1/240[s]である。そのため、フレームレートが高くなるとリサイズ処理に使える時間は短くなり、上述の第1のデス
クイーズ処理が行えなくなるおそれがある。
【0034】
そこで、本実施形態では、第1のデスクイーズ処理の代わりに、第2のデスクイーズ処理または第3のデスクイーズ処理を行う例について説明する。
【0035】
<画像データの生成過程(第2、第3のデスクイーズ処理)>
図4は、撮像装置100における画像データの生成過程の一例を示す図である。ここで、レンズユニット101は、縦横の圧縮比が1:2のアナモフィックレンズであるものとする。なお、
図4において、
図2と同じ処理を行う箇所については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0036】
本実施形態では、第2のデスクイーズ処理を行う場合に、表示用リサイズ回路104は、RAM111から取得される1フレーム前の画像データを用いて、デスクイーズ処理を行う。具体的には、表示用リサイズ回路104は、RAM111から取得される1フレーム前の巡回NR用の画像データ(画像データ207)のうち、表示に用いる領域のみを読み出して、デスクイーズ処理を行い、表示用画像データ(画像データ401)を生成する。そして、表示用リサイズ回路104は、生成した表示用画像データをRAM111に格納する。格納された表示用画像データは、外部出力部115を介して外部(外部装置)に出力される(画像データ411)。なお、表示用画像データは、液晶パネル107に出力されてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、第3のデスクイーズ処理を行う場合に、表示用リサイズ回路104は、画像処理部103によって出力された現在のフレームのYUV形式の画像データを用いて、デスクイーズ処理を行う。具体的には、表示用リサイズ回路104は、画像処理部103によって出力された現在のフレームのYUV形式の画像データ(画像データ202)に対して縦方向(垂直方向)に圧縮する処理(第3のデスクイーズ処理)を行う。第3のデスクイーズ処理が行われた画像データは、表示用画像データ(画像データ402)としてRAM111に格納される。格納された表示用画像データは、外部出力部115を介して、第2のデスクイーズ処理で生成された表示用画像データ(画像データ401)と同じ画角となるように上下左右の端部に黒縁が付加された後に外部(外部装置)に出力される(画像データ412)。なお、表示用画像データは、液晶パネル107に出力されてもよい。
【0038】
なお、デスクイーズ処理を行わない場合には、表示用リサイズ回路104は、画像処理部103によって出力された現在のフレームのYUV形式の画像データ(画像データ202)を用いて表示用画像データを生成する。生成された表示用画像データ(画像データ403)はRAM111に格納される。格納された表示用画像データは、外部出力部115を介して外部(外部装置)に出力される(画像データ413)。なお、表示用画像データは、液晶パネル107に出力されてもよい。
【0039】
<第2のデスクイーズ処理>
図5Aは、表示用リサイズ回路104によって行われる第2のデスクイーズ処理の一例を示す図である。表示用リサイズ回路104は、RAM111から取得される1フレーム前の巡回NR用の画像データ(画像データ501)を取得する。そして、表示用リサイズ回路104は、1フレーム前の巡回NR用の画像データのうち、表示に用いる領域(領域502)のみを切り出して、横方向に伸張(拡大)することで、表示用画像データ(画像データ503)を生成する。第2のデスクイーズ処理の際に、1フレーム前の巡回NR用の画像データのすべてがRAM111に格納済みであるため、表示用リサイズ回路104は、当該画像データの一部(領域502)をRAM111から直ちに読み出すことができる。このため、時間Tの間にデスクイーズ処理を行えばよく、第1のデスクイーズ処理に
掛かる時間(時間T/2)の2倍の時間をかけて表示用画像データを生成すればよいことになる。なお、第2のデスクイーズ処理は、メモリに記録されたNフレーム目よりも前のフレームの画像における所定のアスペクト比の領域を、水平方向に拡大する処理であると捉えることもできる。
【0040】
<第3のデスクイーズ処理>
図5Bは、表示用リサイズ回路104によって行われる第3のデスクイーズ処理の一例を示す図である。表示用リサイズ回路104は、画像処理部103によって出力されたYUV形式の画像データ(画像データ511)の全ての領域を用いて、縦方向に1/2に圧縮することで、表示用画像データ(画像データ512)を生成する。なお、表示用リサイズ回路104は、レンズユニット101で圧縮され画像の縦横比を1:1に戻した表示用画像データを生成していると捉えることもできる。第3のデスクイーズ処理では、画像データ511の全体を使って表示用画像データを生成している。そのため、第3のデスクイーズ処理では、第1のデスクイーズ処理に掛かる時間(時間T/2)の2倍の時間(時間T)をかけて表示用画像データを生成すればよいことになる。なお、第3のデスクイーズ処理は、Nフレーム目の画像を垂直方向に縮小する処理であると捉えることもできる。
【0041】
<処理内容>
次に、
図6に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る表示処理の例を説明する。このフローチャートにおける各処理は、システム制御部108が、ROM110に格納されたプログラムをRAM111に展開して実行することにより実現される。また撮像装置100では、動画の記録フレームレートを24[fps(Frames Per Second)]、30[fps]、60[fps]、120[fps]、240[fps]のいずれかに設定できるものとする。そして、
図6の処理は、24[fps]、30[fps]、60[fps]、120[fps]、240[fps]のいずれで動画の記録を行っている場合にも実行可能であるものとする。
【0042】
S601では、システム制御部108は、Nフレーム目のYUV形式の画像データを取得する。具体的には、システム制御部108は、イメージセンサ102上に結像した像(レンズユニット101により縦横比が1:2に圧縮された像)を、光電変換してNフレーム目の撮像信号を生成する。そして、システム制御部108は、画像処理部103を制御して、撮像信号をRAWデータ(RAW画像)に変換する。その後、システム制御部108は、RAWデータに対して補間処理や画質調整処理等のRAW現像処理を行ってRAWデータに対応したYUV形式の画像データを生成(取得)し、表示用リサイズ回路104および映像圧縮回路114に出力する。
【0043】
S602では、システム制御部108は、記録用リサイズ回路105を制御して、Nフレーム目のYUV形式の画像データに対してリサイズ処理を行い、記録用画像データ生成を作成してRAM111に格納する。RAM111に格納された記録用画像データは映像圧縮回路114でエンコードされ動画像データをして、メモリカードコントローラ112を介してメモリカード113に書き込まれる。
【0044】
S603では、システム制御部108は、画像処理部103を制御して、Nフレーム目の巡回NR用の画像データ(画像データ207)をRAM111(例えば、DRAM)に格納する。
【0045】
S604では、システム制御部108は、撮像装置100のデスクイーズ設定がONであるか否かを判断する。デスクイーズ設定とは、上述の第2のデスクイーズ処理または第3のデスクイーズ処理を行うための設定である。デスクイーズ設定は、液晶パネル107に表示されたメニュー情報をもとに、ユーザが操作スイッチ群109を操作することによ
り設定したものである。デスクイーズ設定がONである場合はS605に進み、そうでない場合(OFFの場合)はS610に進む。
【0046】
S605では、システム制御部108は、撮像装置100の表示モードが表示遅延最短モードであるか否かを判断する。表示遅延最短モードとは、上述の第3のデスクイーズ処理を行うためのモードであって、被写体がイメージセンサ102に結像してから外部装置に出力されるまでの期間が最短となるように(遅延を抑制するように)、撮像装置100を制御するモードである。モードの設定は、液晶パネル107に表示されたメニュー情報をもとに、ユーザが操作スイッチ群109を操作することにより設定したものである。表示遅延最短モードである場合はS608に進み、そうでない場合はS606に進む。
【0047】
S606では、システム制御部108は、第2のデスクイーズ処理を行う。具体的には、システム制御部108は、表示用リサイズ回路104を制御して、N-1フレーム目における巡回NR用の画像データの一部を読み込み、横方向に伸張(拡大)して表示用画像データを生成する。N-1フレーム目における巡回NR用の画像データは、N-1フレームに対するS603の処理でRAM111に保存された画像データである。拡大処理は、
図5Aで説明したとおりである。なお、S602、S603およびS604~S610の処理は、並列に行われてもよい。
【0048】
S607では、システム制御部108は、S606で生成した表示用画像データを、外部出力部115を介して外部装置に出力する。
【0049】
S608では、システム制御部108は、第3のデスクイーズ処理を行う。具体的には、システム制御部108は、表示用リサイズ回路104を制御して、画像処理部103から出力されたNフレーム目の画像データに対して、縦方向に縮小(圧縮)して表示用画像データを生成する。例えば、縦方向に1/2縮小されることで、表示用画像データは、縦横の圧縮比1:1の画像データを得ることができる。
【0050】
S609では、システム制御部108は、表示用リサイズ回路104を制御して、S608で生成された表示用画像データに対して、上下左右の端部に黒縁を付加して(サイドブラック処理を行って)、外部装置に出力する。サイドブラック処理は、第2のデスクイーズ処理を行った表示用画像データ(画像データ401)と画角を合わせるための処理であり、第2のデスクイーズ処理で表示される領域以外の領域に黒マスクをかける処理である。なお、システム制御部108は、表示モードが表示遅延最短モードである場合に第3のデスクイーズ処理を行い、表示モードが表示遅延最短モード以外の場合に第2のデスクイーズ処理を行っていると捉えることもできる。
【0051】
S610では、システム制御部108は、表示用画像データを生成し、Nフレーム目の画像として外部装置に出力する。具体的には、システム制御部108は、表示用リサイズ回路104を制御して、画像処理部103から入力されたNフレーム目のYUV形式の画像データに対してリサイズ処理等を行って表示用画像データを生成する。そして、システム制御部108は、生成した表示用画像データをNフレーム目の画像として外部装置に出力する。
【0052】
S611では、システム制御部108は、Nフレーム目の画像データに対する処理がすべて終了したか否かを判断する。例えば、システム制御部108は、1フレームの周期が経過する時間である時間Tが経過したか否かを判断する。処理がすべて終了した場合はS612に進み、そうでない場合はS611の判断を繰り返す。
【0053】
S612では、システム制御部108は、本処理フローの対象をNフレーム目の画像デ
ータから、N+1フレーム目の画像データに切り替える。その後、S601に進み、N+1フレーム目の画像データに対する処理が行われる。
【0054】
<本実施形態の有利な効果>
上述のように、第2のデスクイーズ処理によって、デスクイーズ処理に用いることができる時間が短い場合(例えば、フレームレートが高い場合)に、1ラインの入力時間である時間Tで、表示画像データを生成することができる。
【0055】
上述のように、第3のデスクイーズ処理によって、レンズユニットで横方向に圧縮された画像を縦方向に圧縮(元の縦横比に戻す)ことで、1ラインの入力時間である時間Tで、表示画像データを生成することができる。第2のデスクイーズ処理では、外部装置等に出力される画像データ(S607で出力される画像データ)はデスクイーズ処理を行わないで出力される画像データ(S610で出力される画像データ)に対して1フレーム多く表示遅延が生じていた。これに対して、第3のデスクイーズ処理では、表示遅延を発生させずにデスクイーズ処理を行うことができる。
【0056】
<変形例>
上述の実施形態では、第2のデスクイーズ処理を行う場合に、N-1フレーム目の巡回NR用の画像データを用いる例について説明したが、用いるフレームは上記に限定されない。例えば、N-2フレーム目以前のフレームの画像データを巡回NR用の画像データとして用いてもよい。
【0057】
上述の実施形態では、モードの設定に応じて、第2のデスクイーズ処理または第3のデスクイーズ処理を行う例について説明したが、当該モードの判断を行わずに、第2のデスクイーズ処理を行ってもよい。例えば、上述の
図6において、デスクイーズ設定がONである場合(S604-Yes)に、S605,S608,S609の処理を行わず、S606,S607の処理を行ってもよい。同様に、上記モードの判断を行わずに、第3のデスクイーズ処理を行ってもよい。例えば、上述の
図6において、デスクイーズ設定がONである場合(S604-Yes)に、S605~S607の処理を行わずに、S608,S609の処理を行ってもよい。
【0058】
上述の実施形態では、第1のデスクイーズ処理の代わりに、第2のデスクイーズ処理または第3のデスクイーズ処理を行う例について説明したが、所定の条件に応じて、第1~第3のデスクイーズ処理のうちどの処理を行うかを判断してもよい。例えば、フレームレートが所定の値より高い場合(例えば、60[fps]、120[fps]の場合)に第2のデスクイーズ処理または第3のデスクイーズ処理を行う。また、フレームレートが所定の値より低い場合(例えば、24[fps]から60[fps]未満の場合)に第1のデスクイーズ処理を行ってもよい。なお、フレームレートが所定の値である場合のデスクイーズ処理は特に限定されないが、例えば、第1のデスクイーズ処理を行うとよい。なお、上述の実施形態では、フレームレートの例として、24fps、30fps、60fps、120fps、240fpsを用いたが、フレームレートはこれらに限定されない。
【0059】
上述の撮像装置は、撮像された1フレーム分の画像をNフレーム目として取得する取得部と、表示制御部と、を有する画像処理装置であると捉えることもできる。ここで、表示制御部は、1フレーム分の画像を取得して記録する期間において、Nフレーム目の画像を動画ファイルに記録するように制御すると共に、Nフレーム目の画像をDRAM(メモリ)に記録する。そして、表示制御部は、DRAMに記録されたN-1フレーム目の画像のうち水平方向の第1の画素数の範囲を、水平方向に第1の画素数ようも大きい第2の画素数に拡大して表示するように制御する。
【0060】
なお、システム制御部108が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0061】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0062】
また、上述した実施形態においては、本発明を撮像装置に適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、撮像部によって撮像された画像の表示を制御する画像処理装置であれば適用可能である。すなわち、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。また、撮像装置で撮像された画像を取得して表示および記録するように制御する外部レコーダー、外部モニターに適用可能である。
【0063】
また、撮像装置本体に限らず、有線または無線通信を介して撮像装置(ネットワークカメラを含む)と通信し、撮像装置を遠隔で制御する制御装置にも本発明を適用可能である。撮像装置を遠隔で制御する装置としては、例えば、スマートフォンやタブレットPC、デスクトップPCなどの装置がある。制御装置側で行われた操作や制御装置側で行われた処理に基づいて、制御装置側から撮像装置に各種動作や設定を行わせるコマンドを通知することにより、撮像装置を遠隔から制御可能である。また、撮像装置で撮影したライブビュー画像を有線または無線通信を介して受信して制御装置側で表示できるようにしてもよい。
【0064】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0065】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0066】
108:システム制御部