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特許7463118ドア装置、判定装置、判定方法、及び判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ドア装置、判定装置、判定方法、及び判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20240401BHJP
   E05F 15/40 20150101ALI20240401BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20240401BHJP
   E05F 17/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B61B1/02
E05F15/40
E05F15/643
E05F17/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020015487
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123130
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
(72)【発明者】
【氏名】森本 康之
(72)【発明者】
【氏名】中元 慎介
(72)【発明者】
【氏名】福井 有朋
(72)【発明者】
【氏名】一柳 活子
(72)【発明者】
【氏名】井上 覚太
(72)【発明者】
【氏名】柚鳥 勝
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-38855(JP,A)
【文献】特開2001-328531(JP,A)
【文献】特開2016-64821(JP,A)
【文献】特開2000-203418(JP,A)
【文献】新井洋平,曽我文彦,“可動柵集中監視システムの導入”,鉄道サイバネ・シンポジウム論文集,日本,日本鉄道サイバネティクス協議会,2015年11月01日,第52回,pp.1-4,ISSN 1884-2224
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02,
E05F 15/40,15/643,17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置によって開閉駆動される親扉と子扉とを含む多重扉のうち前記子扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知部と、
前記所定部が前記第1位置と、前記多重扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する判定部とを備える
ドア装置。
【請求項2】
駆動装置によって開閉駆動される親扉と子扉とを含む多重扉のうち前記子扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知部と、
前記所定部が前記第1位置と、前記多重扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の前記駆動装置の所要駆動量が特定条件から外れるか否かを判定する判定部とを備える
ドア装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記駆動装置の駆動開始指令を受信した時刻から前記所定部が前記第1位置を通過したことを前記検知部が検知するまでの所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する
請求項1に記載のドア装置。
【請求項4】
前記第2位置は、前記扉の全閉位置又は全開位置である
請求項1~3のいずれか一項に記載のドア装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記駆動装置を収容した戸袋に固定されている
請求項1~4のいずれか一項に記載のドア装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記戸袋の内部に位置する
請求項5に記載のドア装置。
【請求項7】
前記判定部が特定条件から外れたと判定したときに外部に報知する報知部を備える
請求項1~6のいずれか一項に記載のドア装置。
【請求項8】
前記子扉は、前記親扉を駆動する駆動力を伝達する伝達部によって前記親扉と連結される
請求項1~7のいずれか一項に記載のドア装置。
【請求項9】
前記伝達部は、ベルトである
請求項に記載のドア装置。
【請求項10】
前記第1位置は、前記第2位置が前記子扉の全閉位置である場合には、前記子扉の全開位置又は前記親扉の全閉位置であって、
前記第1位置は、前記第2位置が前記子扉の全開位置である場合には、前記親扉の全閉位置であ
請求項のいずれか一項に記載のドア装置。
【請求項11】
前記所定部は、前記子扉における戸尻側の端部に位置する
請求項のいずれか一項に記載のドア装置。
【請求項12】
駆動装置によって開閉駆動される親扉と子扉とを含む多重扉のうち前記子扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知した検知部から取得する取得部と、
前記所定部が前記第1位置と、前記多重扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する判定部とを備える
判定装置。
【請求項13】
駆動装置によって開閉駆動される親扉と子扉とを含む多重扉のうち前記子扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知ステップと、
前記所定部が前記第1位置と、前記多重扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否か判定する判定ステップとを備える
判定方法。
【請求項14】
コンピュータに、
駆動装置によって開閉駆動される親扉と子扉とを含む多重扉のうち前記子扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知ステップと、
前記所定部が前記第1位置と、前記多重扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する判定ステップとを実行させる
判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア装置、判定装置、判定方法、及び判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラットホームに設置されて、プラットホームと軌道とを区画するホームドア装置が知られている。ホームドア装置は、プラットホームの延在方向に沿って位置し、扉がプラットホームの延在方向に沿って移動することで、プラットホームと軌道との区画を開閉する。特許文献1に記載のホームドア装置は、第1段扉と第2段扉とを有する多重扉式のホームドア装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-64821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したホームドア装置は、第2段扉が全開位置にあることを検知するセンサが戸袋に位置し、第2段扉が全閉位置にあることを検知するセンサが第1段扉に位置し、各センサの検知結果によって第2段扉の動作が正常か否かを判定する。
【0005】
上述したホームドア装置は、多重扉の開閉動作が正常であると判定するのは、多重扉が全開位置にあるとき及び全閉位置にあるときである。このため、親扉と子扉とを含む多重扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに、多重扉の先端寄りに位置する子扉の開閉動作の異常を判定することが難しい。なお、多重扉のホームドア装置に限らず、単扉のホームドア装置であっても同様の課題がある。また、ホームドア装置だけでなく自動ドア等のドア装置であっても同様の課題がある。
【0006】
本発明の目的は、扉が全閉位置と全開位置との間に位置するときに扉の開閉動作の異常を判定可能としたドア装置、判定装置、判定方法、及び判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのドア装置は、駆動装置によって開閉駆動される扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知部と、前記所定部が前記第1位置と、前記扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する判定部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、扉の所定部が第1位置と第2位置との間を駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する。このため、扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに扉の開閉動作の異常を判定することができる。
【0009】
上記課題を解決するためのドア装置は、駆動装置によって開閉駆動される扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知部と、前記所定部が前記第1位置と、前記扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の前記駆動装置の所要駆動量が特定条件から外れるか否かを判定する判定部とを備える。
【0010】
上記構成によれば、扉の所定部が第1位置と第2位置との間を駆動装置に駆動されて移動する際の所要駆動量が特定条件から外れるか否かを判定する。このため、扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに扉の開閉動作の異常を判定することができる。
【0011】
上記ドア装置について、前記判定部は、前記駆動装置の駆動開始指令を受信した時刻から前記所定部が前記第1位置を通過したことを前記検知部が検知するまでの所要時間が特定条件から外れるか否かを判定することが好ましい。
【0012】
上記ドア装置について、前記第2位置は、前記扉の全閉位置又は全開位置であることが好ましい。
上記ドア装置について、前記検知部は、前記駆動装置を収容した戸袋に固定されていることが好ましい。
【0013】
上記ドア装置について、前記検知部は、前記戸袋の内部に位置することが好ましい。
上記ドア装置について、前記判定部が特定条件から外れたと判定したときに外部に報知する報知部を備えてもよい。
【0014】
上記ドア装置について、前記扉は、前記扉の先端側に位置する子扉と、前記扉の基端側に位置する親扉とを含む多重扉であり、前記検知部は、前記子扉の所定部が前記第1位置を通過することを検知することが好ましい。
【0015】
上記ドア装置について、前記子扉は、前記親扉を駆動する駆動力を伝達する伝達部によって前記親扉と連結されることが好ましい。
上記ドア装置について、前記伝達部は、ベルトであることが好ましい。
【0016】
上記ドア装置について、前記第1位置は、前記子扉の全開位置又は前記親扉の全閉位置であることが好ましい。
上記ドア装置について、前記所定部は、前記子扉における戸尻側の端部に位置することが好ましい。
【0017】
上記課題を解決するための判定装置は、駆動装置によって開閉駆動される親扉と子扉とを含む多重扉のうち前記子扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知部と、前記所定部が、前記第1位置と、前記多重扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する判定部とを備える。
【0018】
上記構成によれば、子扉の所定部が第1位置と第2位置との間を駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する。このため、扉が全開位置と全閉位置との間に位置する時に扉の開閉動作の異常を判定することができる。
【0019】
上記課題を解決するための判定装置は、駆動装置によって開閉駆動される扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知した検知部から取得する取得部と、前記所定部が前記第1位置と、前記扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する判定部とを備える。
【0020】
上記構成によれば、扉の所定部が第1位置と第2位置との間を駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する。このため、扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに扉の開閉動作の異常を判定することができる。
【0021】
上記課題を解決するための判定方法は、駆動装置によって開閉駆動される扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知ステップと、前記所定部が前記第1位置と、前記扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否か判定する判定ステップとを備える。
【0022】
上記方法によれば、扉の所定部が第1位置と第2位置との間を駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する。このため、扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに扉の開閉動作の異常を判定することができる。
【0023】
上記課題を解決するための判定プログラムは、コンピュータに、駆動装置によって開閉駆動される扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知する検知ステップと、前記所定部が前記第1位置と、前記扉が移動する経路上において前記第1位置とは異なる位置である第2位置との間を前記駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する判定ステップとを実行させる。
【0024】
上記プログラムによれば、扉の所定部が第1位置と第2位置との間を駆動装置に駆動されて移動する際の所要時間が特定条件から外れるか否かを判定する。このため、扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに扉の開閉動作の異常を判定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに扉の開閉動作の異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ホームドア装置の第1実施形態の構成を示す全閉時の正面図。
図2】同実施形態の構成を示す全開時の正面図。
図3】同実施形態のホームドア装置の電気的構成を示すブロック図。
図4】同実施形態の判定装置の判定処理を示すフローチャート。
図5】(a)(b)(c)は同実施形態のホームドア装置が正常に閉じる様子を表す模式図。
図6】(a)(b)(c)は同実施形態のホームドア装置に異常が発生した状態において閉じる様子を表す模式図。
図7】(a)(b)(c)は同実施形態のホームドア装置が正常に開く様子を表す模式図。
図8】(a)(b)(c)(d)は同実施形態のホームドア装置に異常が発生した状態において開く様子を表す模式図。
図9】ホームドア装置の第2実施形態の電気的構成を示すブロック図。
図10】同実施形態の判定装置の判定処理を示すフローチャート。
図11】ホームドア装置の第3実施形態の判定装置の判定処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、図1図8を参照して、ドア装置及び判定装置の第1実施形態について説明する。このドア装置は、鉄道のプラットホームに設置されるホームドア装置である。
【0028】
図1及び図2に示すように、ホームドア装置10は、プラットホーム1の軌道側の縁部に沿って複数設置される。ホームドア装置10は、プラットホーム1と軌道とを区画することで、プラットホーム1上の乗客の軌道への落下や、走行中の鉄道車両との接触を防止する。ホームドア装置10の扉の開閉によって、鉄道車両との乗降通路が開閉される。
【0029】
ホームドア装置10は、戸袋20と、多重扉11と、多重扉11を駆動する駆動装置22とを備える。また、ホームドア装置10は、駆動装置22を制御する図示しない制御装置を備える。直方体状の戸袋20は、プラットホーム1に固定される。戸袋20は、多重扉11を収納可能に構成される。多重扉11が戸袋20に収納されることで、ホームドア装置10は開く。また、戸袋20は、多重扉11が戸袋20から進出可能に多重扉11を支持する。多重扉11が戸袋20から進出することで、ホームドア装置10は閉じる。
【0030】
多重扉11は、親扉30と子扉40とを含む。親扉30は、親扉30の移動方向に延出する2本の第1レール31を備える。2本の第1レール31は、鉛直方向において並んで位置する。また、親扉30は、鉛直方向に延出する第1支持部材36を備える。
【0031】
戸袋20は、第1ガイドブロック21を備える。第1ガイドブロック21は、第1ガイドブロック21に対して第1レール31が移動可能に第1レール31を保持する転動体を備える。戸袋20は、1本の第1レール31を2個の第1ガイドブロック21によって下から支持する。すなわち、親扉30は、4個の第1ガイドブロック21によって支持されている。
【0032】
戸袋20は、駆動装置22によって回転する第1ローラ23と、親扉30の移動方向において第1ローラ23と離れて位置する第2ローラ25と、第1ローラ23と第2ローラ25とに掛かる第1無端ベルト24とを備える。第1無端ベルト24と、親扉30が備える第1支持部材36とは、第1取付部材37によって連結されている。
【0033】
駆動装置22によって第1ローラ23が回転したとき、第1ローラ23と第2ローラ25との間に掛けられた第1無端ベルト24が回転し、第1無端ベルト24の回転に伴って第1取付部材37が移動する。第1取付部材37の移動によって、第1取付部材37に連結された第1支持部材36が移動することで、親扉30が移動する。
【0034】
親扉30は、親扉30の移動方向に延出する2本の第2レール32を備える。2本の第2レール32は、鉛直方向において並んで位置する。
子扉40は、第2ガイドブロック41を備える。第2ガイドブロック41は、第2レール32に対して第2ガイドブロック41を移動可能に保持する転動体を備える。子扉40は、1本の第2レール32を2個の第2ガイドブロック41が保持する。すなわち、子扉40は、4個の第2ガイドブロック41によって支持されている。
【0035】
親扉30は、親扉30の移動方向において離れて位置する第3ローラ33及び第4ローラ34と、第3ローラ33と第4ローラ34とに掛かる第2無端ベルト35とを備える。第2無端ベルト35と戸袋20とは、第2取付部材26によって連結されている。すなわち、第2取付部材26は、戸袋20に固定される。また、第2無端ベルト35と子扉40とは、第3取付部材42によって連結されている。
【0036】
駆動装置22によって親扉30が移動した時、親扉30に設けられる第3ローラ33及び第4ローラ34も移動する。このとき、第2取付部材26は戸袋20に固定されているため、第3ローラ33と第4ローラ34との移動に伴って第2無端ベルト35が回転し、第3取付部材42によって第2無端ベルト35と連結された子扉40が移動する。
【0037】
ホームドア装置10は、子扉40を検知する子扉検知部27と全閉検知部38とを備える。子扉検知部27は、戸袋20に固定され、戸袋20の内部における第1位置に位置する。第1位置は、全開位置にある子扉40、及び全閉位置にある親扉30を検知可能な位置である。また、全閉検知部38は、親扉30の戸先側の下部に位置する。
【0038】
子扉40は、子扉検知部27によって検知される2個の子扉全開被検知部43A及び子扉速度被検知部43Bと、全閉検知部38によって検知される子扉全閉被検知部43Cとを備える。子扉全開被検知部43Aは、子扉40の戸先に位置する。子扉速度被検知部43B及び子扉全閉被検知部43Cは、子扉40の戸尻に位置する。
【0039】
多重扉11が全開位置にあるとき、子扉検知部27は子扉全開被検知部43Aを検知する。多重扉11が全開位置と全閉位置との間を移動する途中、子扉検知部27が位置する第1位置を子扉速度被検知部43Bが通過したとき、子扉検知部27は子扉速度被検知部43Bを検知する。多重扉11が全閉位置にあるとき、全閉検知部38は子扉全閉被検知部43Cを検知する。
【0040】
図3に示すように、子扉検知部27は、子扉全開被検知部43A及び子扉速度被検知部43Bをそれぞれ検知したとき、制御装置50に検知信号を出力する。また、全閉検知部38は、子扉全閉被検知部43Cを検知したとき、制御装置50に検知信号を出力する。制御装置50は、子扉速度被検知部43Bを検知した時刻を基にして子扉40の移動速度を算出することで、子扉40の開閉速度が異常か否かを判定する。
【0041】
図1及び図2に示すように、ホームドア装置10は、親扉30を検知する親扉全開検知部28と親扉全開被検知部39とを備える。親扉全開被検知部39は、親扉30の戸尻に位置する。親扉全開検知部28は、親扉30が全開位置にある親扉全開被検知部39を検知する位置に設けられる。多重扉11が全開位置にあるとき、親扉全開検知部28は親扉全開被検知部39を検知する。親扉全開検知部28は、親扉全開被検知部39を検知したとき、制御装置50に検知信号を出力する。
【0042】
子扉検知部27、親扉全開検知部28、及び全閉検知部38は、例えば、光センサであり、子扉全開被検知部43A、子扉速度被検知部43B、子扉全閉被検知部43C、及び親扉全開被検知部39は光反射板である。子扉検知部27、親扉全開検知部28、及び全閉検知部38は、対応する子扉全開被検知部43A、子扉速度被検知部43B、子扉全閉被検知部43C、及び親扉全開被検知部39を検知するための光を出射し、子扉全開被検知部43A、子扉速度被検知部43B、子扉全閉被検知部43C、及び親扉全開被検知部39において反射された光を検知する。子扉検知部27、親扉全開検知部28、及び全閉検知部38と子扉全開被検知部43A、子扉速度被検知部43B、子扉全閉被検知部43C、及び親扉全開被検知部39とは、磁力の変化を検知する方式や、超音波の反射を検知する方式であってもよい。また、子扉検知部27、親扉全開検知部28、及び全閉検知部38は渦電流センサを備え、子扉全開被検知部43A、子扉速度被検知部43B、子扉全閉被検知部43C、及び親扉全開被検知部39は金属板を備え、金属板の変位に伴って生じる渦電流センサのインピーダンスの変化を検知する方式であってもよい。
【0043】
親扉30は、多重扉11が全閉位置にあることを検知する全閉検知部38を備える。全閉検知部38は、多重扉11が全閉位置にあるとき、子扉40が備える子扉全閉被検知部43Cを検知する。全閉検知部38は、多重扉11が全閉位置にないとき、子扉全閉被検知部43Cを検知しない。全閉検知部38は、子扉全閉被検知部43Cを検知したとき、制御装置50に検知信号を出力する。制御装置50は、全閉検知部38の検知信号から、多重扉11が全閉位置にあるか否かを判定する。
【0044】
次に、図3を参照して、ホームドア装置10の電気的構成について説明する。
ホームドア装置10の制御装置50は、判定部51、駆動制御部52、及び取得部53を備える。制御装置50は、子扉検知部27及び全閉検知部38から検知信号が入力される。なお、子扉40と制御装置50との間には電気的な接続はない。
【0045】
制御装置50は、総合制御盤60からの開指令及び閉指令に従って多重扉11の開閉制御を行う。総合制御盤60は、同じプラットホーム1上に設置されたホームドア装置10に対して同じ指令を送信する。開指令は、多重扉11を全閉位置から全開位置へ移動させる指令である。閉指令は、多重扉11を全開位置から全閉位置へ移動させる指令である。
【0046】
駆動制御部52は、駆動装置22の駆動を制御することで、親扉30と子扉40とを移動させる。駆動制御部52は、総合制御盤60から送信された駆動開始指令を受信した時、多重扉を駆動し、多重扉を全開位置と全閉位置との間で移動させる。駆動開始指令は、多重扉を全閉位置から全開位置へ移動させる開指令、または、多重扉を全開位置から全閉位置へ移動させる閉指令である。また、駆動制御部52は、総合制御盤60から開指令又は閉指令が入力された時刻を判定部51に出力する。
【0047】
判定部51は、子扉検知部27、全閉検知部38、及び駆動制御部52から出力された情報を基にホームドア装置10の開閉動作が異常であるか否かを判定する。なお、子扉検知部27、判定部51、及び全閉検知部38が、ホームドア装置10の開閉動作の異常を判定する判定装置として機能する。判定部51は、判定方法及び判定プログラムに基づいて判定処理を実行する。
【0048】
ホームドア装置10の開閉動作の異常は、駆動装置22と親扉30とを接続する第1無端ベルト24の破断や、親扉30と子扉40とを接続する第2無端ベルト35の破断、又は第1レール31や第2レールに対する付着物の固渋によって発生する。
【0049】
判定部51は、駆動制御部52に駆動開始指令が入力された時刻から子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知した時刻までの所要時間が正常条件の範囲内であったときに子扉40の開閉動作が正常であると判定し、所要時間が正常条件の範囲外であったときに異常であると判定する。また、判定部51は、所要時間が異常条件の範囲内であるか否かを判定し、所要時間が異常条件の範囲内であったとき、子扉40の開閉動作が異常であると判定し、所要時間が異常条件の範囲外であったとき、子扉40の開閉動作が正常であると判定してもよい。なお、正常条件が特定条件に相当する。
【0050】
図4図8を参照して、制御装置50の作用について説明する。なお、図5図8は、簡略化のため、戸袋20、親扉30、子扉40、子扉検知部27、及び被検知部43のみ表示している。制御装置50は、総合制御盤60から開指令又は閉指令が入力されると、駆動装置22を駆動制御するとともに、ホームドア装置10の開閉動作が異常であるか否かを判定する判定処理を行う。
【0051】
まず、ホームドア装置10の多重扉11が全閉位置から全開位置まで移動する開動作を行うときの判定処理について説明する。
図4に示すように、制御装置50は、総合制御盤60から開指令が入力されると(ステップS11)、駆動装置22の開駆動を開始するとともに、判定処理を開始する。制御装置50は、駆動開始時刻を取得する(ステップS12)。すなわち、駆動制御部52は、開指令が入力された時刻を駆動開始時刻として取得して、判定部51に駆動開始時刻を送信する。
【0052】
制御装置50は、子扉速度被検知部43Bを第1位置にて検知したか否かを判定する(ステップS13)。すなわち、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知しているか否かを判定する。そして、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したと判定した場合には(ステップS13:YES)、所要時間を算出する(ステップS14)。すなわち、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知した時刻を検知時刻として取得し、駆動開始時刻と検知時刻との差を所要時間として算出する。所要時間は、子扉検知部27が位置する第1位置と、第2位置との間を子扉速度被検知部43Bが移動する際に、駆動開始から経過した時間である。このとき、第2位置は、子扉40が全閉状態であるときの子扉速度被検知部43Bの位置である。
【0053】
続いて、判定部51は、算出した所要時間が正常条件の範囲内であるか否かを判定する(ステップS15)。正常条件は、子扉40の開閉動作が正常であるとき、子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を移動する際に要すると推定される時間である。そして、判定部51は、所要時間が正常条件の範囲内であると判定した場合には(ステップS15:YES)、子扉40の開動作が正常であると判定して(ステップS16)、処理を終了する。また、判定部51は、所要時間が正常条件の範囲外であると判定した場合には(ステップS15:NO)、異常であると判定して(ステップS18)、処理を終了する。
【0054】
一方、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知していないと判定した場合には(ステップS13:NO)、駆動開始時刻から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS17)。すなわち、判定部51は、総合制御盤60から開指令が入力されてからの経過時間が正常な動作時に掛かる所定時間を経過したか否かを判定する。そして、判定部51は、駆動開始時刻から所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS17:NO)、ステップS13に移行する。
【0055】
一方、判定部51は、駆動開始時刻から所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS17:YES)、駆動装置22が駆動しながら、子扉検知部27が検知していない状態であるため、異常と判定して(ステップS18)、処理を終了する。
【0056】
次に、ホームドア装置10の多重扉11が全開位置から全閉位置まで移動する閉動作を行うときの判定処理について説明する。
多重扉11が閉動作を行う場合は、ステップS12において駆動制御部52が閉指令を入力された時刻を駆動開始時刻として取得する。また、判定部51は、ステップS13において多重扉11が全開位置から全閉位置への経路上を移動する途中で子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したか否かの判定を行って、ステップS14において所要時間を算出する。このとき、所要時間は、子扉40が備える子扉速度被検知部43Bが、子扉検知部27が位置する第1位置と、第2位置との間を移動する際に駆動開始から経過した時間である。また、第2位置は、子扉40が全開状態であるときの子扉速度被検知部43Bの位置である。すなわち、所要時間の算出に用いる第2位置は、多重扉11が開動作を行う場合と閉動作を行う場合とで異なる。
【0057】
図5(a)に示すように、ホームドア装置10が正常に開くときには、全閉位置にある多重扉11は、総合制御盤60から開指令が入力されると、全開位置への移動を開始する。続いて、図5(b)に示すように、多重扉11の全閉位置から全開位置への経路上の移動の途中、第1位置に位置する子扉検知部27は、子扉40の戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知する。続いて、図5(c)に示すように、多重扉11が全開位置まで移動すると、子扉検知部27は、子扉40の戸先側の子扉全開被検知部43Aを検知する。
【0058】
図5(b)に示すように、判定部51は、駆動制御部52に開指令が入力された時刻から子扉検知部27が戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知した時刻までの所要時間が正常条件の範囲内であるとき子扉40の開閉動作が正常であると判定する。
【0059】
図6(a)~(c)に示すホームドア装置10は、子扉40を移動させる第2無端ベルト35が切れて、親扉30に対して子扉40が全閉状態の位置で止まった状態である。図6(a)に示すように、全閉位置にある多重扉11は、総合制御盤60から開指令が入力されると、全開位置への移動を開始する。続いて、図6(b)に示すように、多重扉11が全閉位置から全開位置への経路上を移動するとき、第2無端ベルト35が切れているため、親扉30に対する子扉40の位置は変化しない。このため、図5(b)において子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したときと同じだけ駆動開始時刻から時間が経過した場合であっても、子扉検知部27は、子扉40の戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知しない。続いて、図6(c)に示すように、親扉30が全開位置まで移動した時、子扉検知部27は子扉速度被検知部43Bを検知する。第2無端ベルト35が切れているため、子扉40は全開位置まで移動せず、子扉検知部27は子扉全開被検知部43Aを検知しない。
【0060】
判定部51は、総合制御盤60から開指令が入力された駆動開始時刻から子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知した時刻までの所要時間正常条件から外れるため、子扉40の開閉動作が異常であると判定する。
【0061】
また、戸袋20が備える子扉検知部27と子扉40が備える戸尻側の子扉速度被検知部43Bとの位置関係によっては、親扉30が全開位置に移動した時であっても、子扉検知部27が戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知しなくてもよい。
【0062】
図7(a)に示すように、多重扉11が全開位置にあるとき、子扉検知部27は子扉40の戸先側の子扉全開被検知部43Aを検知している。全開位置にある多重扉11は、総合制御盤60から閉指令が入力されると、全閉位置への移動を開始する。続いて、図7(b)に示すように、多重扉11の全開位置から全閉位置への経路上の移動の途中、第1位置に位置する子扉検知部27は、子扉40の戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知する。続いて、図7(c)に示すように、多重扉11が全閉位置まで移動すると、全閉検知部38は、親扉30の戸尻の子扉全閉被検知部43Cを検知する。
【0063】
図7(b)に示すように、判定部51は、駆動制御部52に開指令が入力された駆動開始時刻から子扉検知部27が戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知した時刻までの所要時間が正常条件の範囲内であるとき子扉40の閉動作が正常であると判定する。
【0064】
図8(a)~(d)に示すホームドア装置10は、子扉40を移動させる第2無端ベルト35が切れて、親扉30に対して子扉40が全開位置から変化しない状態である。図8(a)に示すように、全開位置にある多重扉11は、総合制御盤60から閉指令が入力されると、全閉位置への移動を開始する。続いて、図8(b)に示すように、多重扉11が全開位置から全閉位置への経路上を移動するとき、第2無端ベルト35が切れているため、親扉30に対する子扉40の位置が変化しない。このため、図7(b)において子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したときと同じだけ駆動開始時刻から時間が経過した場合であっても、子扉検知部27は、子扉40の戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知しない。続いて、図8(c)に示すように、親扉30の全閉位置への移動がさらに進んだ時、子扉検知部27は子扉40の戸尻側の子扉速度被検知部43Bを検知する。続いて、図8(d)に示すように、親扉30が全閉位置へ移動した時、第2無端ベルト35が切れているため、子扉40は全閉位置まで移動せず、全閉検知部38は、子扉全閉被検知部43Cを検知しない。
【0065】
判定部51は、総合制御盤60から閉指令が入力された駆動開始時刻から、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知した時刻までの所要時間が正常条件から外れるため、多重扉11の開閉動作が異常であると判定する。
【0066】
また、多重扉11が全閉位置と全開位置との間を移動する途中で第2無端ベルト35が切れた場合であっても、駆動開始時刻から全開位置と全閉位置との間の第1位置に位置する子扉速度被検知部43Bを子扉検知部27が検知する時刻までの所要時間が正常条件から外れるため、子扉40の開閉動作の異常を判定することが可能となる。
【0067】
なお、多重扉11が全閉位置と全開位置との間を移動する途中で第2無端ベルト35ではなく第1無端ベルト24が切れた場合、駆動装置22が駆動しても親扉30及び子扉40は動かない。このため、子扉検知部27は、子扉速度被検知部43Bを検知することがない。判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知していないと判定した場合に、駆動開始時刻から所定時間が経過したか否かを判定することで、第1無端ベルト24が切れたことを検出することができる。
【0068】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)ホームドア装置10は、子扉40の全開位置と全閉位置との間の第1位置に位置する子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知し、子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を駆動装置22に駆動されて移動する際の所要時間が正常条件から外れるか否かを判定部51が判定する。このため、子扉40が全開位置と全閉位置との間に位置するときに子扉40の開閉動作の異常を判定することができる。
【0069】
(2)判定部51は、総合制御盤60から開指令又は閉指令が入力された駆動開始時刻から第1位置に位置する子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知した時刻までの所要時間が正常条件から外れたときに子扉40の開閉動作が異常であると判定する。このため、第2位置を検知するものを利用することなく、所要時間を開始する時刻を決定することができる。
【0070】
(3)第2位置は、子扉40が全開状態であるときの子扉速度被検知部43Bの位置であり、子扉40が全閉状態であるときの子扉速度被検知部43Bの位置である。このため、第1位置と第2位置との距離を長くとれるため、判定精度を高めることができる。
【0071】
(4)子扉検知部27が移動しない戸袋20に固定されている。このため、子扉検知部が多重扉と共に移動する構成と比べて、電源線をロボットケーブル等にすることで電源線を保護する必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0072】
(5)子扉検知部27が戸袋20の内部に位置する。このため、天候などの外乱による子扉検知部27への影響を抑え、子扉40の開閉動作の異常を確実に判定することができる。
【0073】
(6)第1位置は、子扉40の全開位置及び親扉30の全閉位置に位置する。このため、1つの検知部によって子扉40の開閉動作の異常を判定するとともに、多重扉11が全開状態であるか否か、又は多重扉11が全閉状態であるか否かを判定することができる。
【0074】
(第2実施形態)
以下、図9及び図10を参照して、ドア装置及び判定装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態と比較して、制御装置が駆動装置22の駆動量を取得する点と、判定部51による判定処理とが異なる。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図9に示すように、制御装置50は、判定部51と駆動制御部52とに加えて、取得部53を備える。駆動装置22は、エンコーダを備えたモータである。取得部53は、エンコーダから入力された信号から駆動装置22の駆動量を取得する。取得部53は、取得した駆動量を判定部51に出力する。
【0076】
まず、ホームドア装置10の多重扉11が全閉位置から全開位置まで移動する開動作を行うときの判定処理について説明する。
図10は、制御装置50は、総合制御盤60から開指令が入力されると(ステップS21)、駆動装置22の開駆動を開始するとともに、判定処理を開始する。制御装置50は、駆動装置22の駆動量の初期値を取得する(ステップS22)。すなわち、駆動制御部52は、開指令が入力されたときの駆動装置22の駆動量の初期値を取得して、判定部51に初期値を送信する。
【0077】
制御装置50は、子扉速度被検知部43Bを検知したか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したと判定した場合には(ステップS23:YES)、所要駆動量を算出する(ステップS24)。すなわち、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したときの駆動装置22の駆動量を取得し、駆動開始時から検知時までに駆動装置22が駆動した所要駆動量を算出する。所要駆動量は、子扉検知部27が位置する第1位置と第2位置との間を子扉速度被検知部43Bが移動する際に駆動装置22が駆動した量である。このとき、第2位置は、子扉40が全閉状態であるときの子扉速度被検知部43Bの位置である。
【0078】
続いて、判定部51は、算出した所要駆動量が正常条件の範囲内であるか否かを判定する(ステップS25)。正常条件は、子扉40の開閉動作が正常であるとき、子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を移動する際に要すると推定される駆動装置22の駆動量である。そして、判定部51は、所要駆動量が正常条件の範囲内であると判定した場合には(ステップS25:YES)、子扉40の開閉動作が正常であると判定して(ステップS26)、処理を終了する。また、判定部51は、所要駆動量が正常条件の範囲外であると判定した場合には(ステップS25:NO)、異常であると判定して(ステップS28)、処理を終了する。なお、正常条件が特定条件に相当する。
【0079】
一方、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知していないと判定した場合には(ステップS23:NO)、駆動開始時から駆動装置22の駆動量が所定駆動量に達したか否かを判定する(ステップS27)。すなわち、判定部51は、総合制御盤60から開指令が入力されてから正常な動作時に掛かる所定駆動量に達したか否かを判定する。そして、判定部51は、駆動開始時から駆動装置22の駆動量が所定駆動量に達していない場合には(ステップS27:NO)、ステップS23に移行する。
【0080】
一方、判定部51は、駆動開始時から駆動装置22の駆動量が所定駆動量に達したと判定した場合には(ステップS27:YES)、駆動装置22が駆動しながら、子扉検知部27が検知していない状態であるため、異常と判定して(ステップS28)、処理を終了する。
【0081】
次に、ホームドア装置10の多重扉11が全開位置から全閉位置まで移動する閉動作を行うときの判定処理について説明する。
多重扉11が閉動作を行う場合は、ステップS22において駆動制御部52が閉指令を入力されたときの駆動装置22の駆動量の初期値を取得する。また、判定部51は、ステップS23において多重扉11が全開位置から全閉位置への経路上を移動する途中で子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したか否かの判定を行って、ステップS24において所要駆動量を算出する。このとき、所要駆動量は、子扉40が備える子扉速度被検知部43Bが、子扉検知部27が位置する第1位置と、第2位置との間を移動する際に駆動開始から駆動した量である。また、第2位置は、子扉40が全開状態であるときの子扉速度被検知部43Bの位置である。すなわち、所要駆動量の算出に用いる第2位置は、多重扉11が開動作を行う場合と閉動作を行う場合とで異なる。
【0082】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(7)子扉40の子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を駆動装置22に駆動されて移動する際の所要駆動量が正常条件から外れたか否かを判定する。このため、子扉40が全開位置と全閉位置の間に位置するときに子扉40の開閉動作の異常を判定することができる。
【0083】
(第3実施形態)
以下、図11を参照して、ドア装置及び判定装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態は第2実施形態と比較して、制御装置が駆動装置22の駆動時間に加えて駆動量を取得する点と、判定部51による判定処理とが異なる。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明し第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0084】
制御装置50は、判定部51と駆動制御部52とに加えて、駆動装置22の駆動量を取得する取得部53を備える。判定部51は、駆動開始時刻から経過した時間と駆動装置22の駆動量とを組み合わせて判定処理を行う。判定部51は、子扉40が備える子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を移動する際の所要時間と駆動装置22の所要駆動量との両方を取得し、所要時間と所要駆動量とのそれぞれに対して正常条件を備え、所要時間と所要駆動量とのいずれか一方が正常条件から外れたときに、子扉40の開閉速度が異常であると判定する。
【0085】
次に、ホームドア装置10の多重扉11が全閉位置から全開位置まで移動する開動作を行うときの判定処理について説明する。
図11に示すように、制御装置50は、総合制御盤60から開指令が入力されると(ステップS31)、駆動装置22の開駆動を開始するとともに、判定処理を開始する。制御装置50は、開指令が入力されたときの時刻である駆動開始時刻と駆動装置22の駆動量の初期値とを取得する(ステップS32)。すなわち、駆動制御部52は、開指令が入力されたときの駆動装置22の駆動開始時刻及び駆動量の初期値を取得して、判定部51に送信する。
【0086】
制御装置50は、子扉速度被検知部43Bを検知したか否かを判定する(ステップS33)。すなわち、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したと判定した場合には(ステップS33:YES)、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したときの駆動装置22の駆動量を取得し、駆動開始時から検知時まで駆動装置22が駆動した所要駆動量を算出する(ステップS34)。
【0087】
続いて、判定部51は、算出した所要駆動量が正常条件の範囲内であるか否かを判定する(ステップS35)。正常条件は、子扉40の開閉動作が正常であるとき、子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を移動する際に要すると推定される駆動装置22の駆動量である。そして、判定部51は、所要駆動量が正常条件の範囲内であると判定した場合には(ステップS35:YES)、子扉40の開閉速度が正常であると判定して(ステップS36)、処理を終了する。また、判定部51は、所要駆動量が正常条件の範囲外であると判定した場合には(ステップS35:NO)、異常であると判定して(ステップS38)、処理を終了する。
【0088】
一方、判定部51は、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知していないと判定した場合には(ステップS33:NO)、駆動開始時から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS37)。そして、判定部51は、駆動開始時から所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS37:YES)、異常であると判定して(ステップS38)、処理を終了する。また、判定部51は、駆動開始時刻から所定時間が経過していない場合には(ステップS37:NO)、ステップS33に移行する。
【0089】
次に、ホームドア装置10の多重扉11が全開位置から全閉位置まで移動する閉動作を行うときの判定処理について説明する。
多重扉11が閉動作を行う場合は、ステップS32において駆動制御部52が閉指令を入力されたときの時刻及び駆動装置22の駆動量の初期値を取得する。また、判定部51は、ステップS33において多重扉11が全開位置から全閉位置への経路上を移動する途中で子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知したか否かの判定を行って、ステップS34において所要駆動量を算出する。このとき、所要駆動量は、子扉40が備える子扉速度被検知部43Bが、子扉検知部27が位置する第1位置と、第2位置との間を移動する際に駆動開始から駆動した量である。また、第2位置は、子扉40が全開状態であるときの子扉速度被検知部43Bの位置である。すなわち、所要駆動量の算出に用いる第2位置は、多重扉11が開動作を行う場合と閉動作を行う場合とで異なる。
【0090】
次に、第3実施形態の効果について説明する。
(8)子扉40の子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を駆動装置22に駆動されて移動する際の所要駆動量と所要時間とのいずれか一方が正常条件から外れたか否かを判定する。このため、子扉40が全開位置と全閉位置の間に位置するときに子扉40の開閉動作の異常を更に正確に判定することができる。
【0091】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0092】
・上記各実施形態において、判定部51は、所要時間又は所要駆動量を算出するとき、駆動制御部52が駆動開始指令を入力された時を基準とした。しかしながら、判定部51は、子扉全開被検知部43Aを検知していた子扉検知部27が子扉全開被検知部43Aを検知しなくなった時を基準としてもよい。要するに、予め設定された基準の時刻に対して、子扉検知部27が子扉40を検知した時刻までの所要時間が所定時間に収まればよい。
【0093】
・上記各実施形態において、子扉速度被検知部43Bが子扉40の戸尻に位置しない構成であってもよい。ただし、多重扉11の開動作時及び閉動作時において子扉40の開閉動作の異常を正確に判定するには、子扉検知部27が子扉速度被検知部43Bを検知するまでの所要時間又は所要駆動量を十分確保することが好ましい。
【0094】
・上記各実施形態において、子扉全開被検知部43A及び子扉速度被検知部43Bは、親扉30の移動方向に沿って並び、子扉検知部27は、多重扉11の移動に伴って子扉全開被検知部43Aと子扉速度被検知部43Bとを検知する構成とした。しかしながら、子扉検知部27は、多重扉11の移動に伴って子扉40の移動方向に沿って延びる被検知部を連続的に読み取ることで、子扉40の所定部が第1位置から第2位置への経路上を移動したことを検知して、所要時間又は所要駆動量を算出してもよい。また、子扉40は、子扉40の移動方向に沿って延び、子扉40の移動方向における長さに関する情報を有する被検知部を少なくとも1つ備える構成であってもよい。当該被検知部は、例えば、一定間隔で並ぶ目盛りを備えてもよく、また、子扉40の端からの距離の絶対値が機械読み取り可能な形態で記録されていてもよい。
【0095】
・上記各実施形態において、親扉30に第1レール31を設け、戸袋20に第1レール31を保持する第1ガイドブロック21を設ける構成とした。しかしながら、戸袋20に第1レール31を設け、親扉30に第1レール31を保持する第1ガイドブロック21を設ける構成であってもよい。
【0096】
・上記各実施形態において、親扉30に第2レール32を設け、子扉40に第2レール32を保持する第2ガイドブロック41を設ける構成とした。しかしながら、子扉40に第2レール32を設け、親扉30に第2レール32を保持する第2ガイドブロック41を設ける構成であってもよい。
【0097】
・上記各実施形態において、親扉30に設けられた全閉検知部38が子扉40に設けられた子扉全閉被検知部43Cを検知する構成とした。しかしながら、子扉40に設けられた全閉検知部が親扉30に設けられた子扉全閉検知部を検知する構成であってもよい。
【0098】
・上記各実施形態において、ホームドア装置10が備える取得部53が、ホームドア装置10が備える駆動装置22の駆動量を取得した。しかしながら、取得部は、プラットホーム1に設置された他のホームドア装置10が備える駆動装置22の駆動量を取得してもよい。このような構成によれば、他のホームドア装置10において必要とされる取得部の数を減らすことができる。
【0099】
・上記各実施形態において、取得部53は駆動装置22の駆動量を取得したが、駆動装置22に掛かる負荷トルクを取得してもよい。
・上記各実施形態において、制御装置50は、ホームドア装置10が内部に備える構成に限らず、ホームドア装置10の外部に備える構成であってもよい。制御装置50は、1つのホームドア装置10を制御する構成に限らず、プラットホーム1に設置される複数のホームドア装置10を制御してもよい。
【0100】
・上記各実施形態において、子扉40は、第2無端ベルト35によって親扉30と連れ動く構成とした。しかしながら、親扉30を駆動する第1駆動装置と、子扉40を駆動する第2駆動装置とを備える構成であってもよい。
【0101】
・上記各実施形態における判定装置は、プラットホーム1に設置するホームドア装置10に限らず、多重扉式の自動ドア等のドア装置に適用することは可能である。
・上記各実施形態における判定装置は、ホーム柵タイプのホームドア装置10に限らず、フルハイトタイプの多重扉を有するホームドア装置に具体化してもよい。すなわち、無目に設置された第1レールに吊設金具を介して親扉が吊設され、また、無目に設置された第2レールに吊設金具を介して子扉が吊設される。そして、無目に駆動装置と第1無端ベルト、第2無端ベルト、親扉及び子扉の全開位置及び全閉位置をそれぞれ検知する検知部を設けて子扉の開閉動作の異常を判定する。
【0102】
・上記各実施形態において、ホームドア装置10は、子扉検知部27、親扉全開検知部28、及び全閉検知部38を備えた。また、ホームドア装置10は、子扉全開被検知部43A、子扉速度被検知部43B、子扉全閉被検知部43C、及び親扉全開被検知部39を備えた。しかしながら、親扉全開検知部28、全閉検知部38、子扉全開被検知部43A、子扉全閉被検知部43C、及び親扉全開被検知部39を省略してもよい。子扉速度被検知部43Bが第1位置を通過したことを子扉検知部27が検知し、子扉速度被検知部43Bが第1位置と第2位置との間を移動する際の所要時間が正常条件から外れるか否かを判定することで子扉の開閉動作の異常を判定すれば、多重扉11が正常に全開位置と全閉位置との間を移動したと推定することが可能である。
【0103】
図3に示すように、判定部51は、異常と判定した時に外部に報知する報知部29を備えてもよい。報知部29は、異常が生じた旨を伝える異常信号を総合制御盤60に送信することで外部に報知してもよく、戸袋20が備える警報ランプを点灯させることで外部に報知してもよい。このような構成であれば、ホームドア装置10の異常を報知することができる。
【0104】
・上記各実施形態において、多重扉11は、親扉30と子扉40とを備える二重扉に限らず、三重以上の多重扉を備えるドア装置としてもよい。三重以上の多重扉であっても、3つ以上の扉のうち、全閉位置において最も戸先に位置する扉が全開位置と全閉位置との間に位置するときに子扉検知部27が検知することで、上記効果(1)を得ることは可能である。
【0105】
・上記各実施形態において、多重扉11は、第1無端ベルトを通じて駆動装置から親扉に駆動力を伝達し、かつ、第2無端ベルトを通じて親扉から子扉に駆動力を伝達することで親扉と子扉とが連れ動く構成とした。しかしながら、親扉と子扉とは駆動装置から各別に駆動力が伝達されることで動作を行ってもよい。また、親扉又は子扉へ駆動力を伝達する方法は、モータと無端ベルトとによるものに限らず、リニアモータや油圧シリンジ等のアクチュエータであってもよい。
【0106】
・上記各実施形態において、ホームドア装置10が備える扉は多重扉でなく単扉でもよい。検知部が扉の所定部が全開位置と全閉位置との間の第1位置を通過することを検知し、所定部が第1位置と第2位置との間を移動する際の所要時間が正常条件から外れるか否かを判定することで、ホームドア装置は扉の開閉時の移動から扉の開閉速度が異常と判定することができる。
【0107】
・上記各実施形態において、戸袋20が第1位置に備える子扉検知部27が、子扉40が備える子扉速度被検知部43Bを検知する構成とした。しかしながら、子扉40が備える検知部が、戸袋が第1位置に備える被検知部を検知する構成であってもよい。また、子扉が備える被検知部を、プラットホーム1がホームドア装置10の外部に備える検知部によって検知する構成であってもよい。
【0108】
・上記第1実施形態において、判定部51が、駆動開始時刻を基準として子扉速度被検知部43Bが第1位置で検知されるまでの所要時間を算出した。しかしながら、判定部51は、子扉速度被検知部43Bが第1位置で検知された時刻を基準として、多重扉11の駆動が終了するまでの時間を所要時間として算出してもよい。
【0109】
・上記第2実施形態において、判定部51が、駆動開始時の駆動量を基準として子扉速度被検知部43Bが第1位置で検知されるまでの所要駆動量を算出した。しかしながら、判定部51は、子扉速度被検知部43Bが第1位置で検知されたときの駆動装置22の駆動量を初期値として、多重扉11が駆動を終了するまでに駆動装置22が駆動した駆動量を所要駆動量として算出してもよい。多重扉11の駆動の終了は、例えば、開動作時に子扉検知部27が子扉全開被検知部43Aを検知すること、又は閉動作時に全閉検知部38が子扉全閉被検知部43Cを検知することで検出される。すなわち、判定部51は、子扉の任意の所定部が、第1位置と、第1位置とは異なる第2位置との間を移動する際の所要時間又は所要駆動量が正常条件から外れるか否かを判定する構成であれば、上記(1)の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0110】
1…プラットホーム、10…ホームドア装置、11…多重扉、20…戸袋、21…第1ガイドブロック、22…駆動装置、23…第1ローラ、24…第1無端ベルト、25…第2ローラ、26…第2取付部材、27…子扉検知部、28…親扉全開検知部、29…報知部、30…親扉、31…第1レール、32…第2レール、33…第3ローラ、34…第4ローラ、35…第2無端ベルト、36…第1支持部材、37…第1取付部材、38…全閉検知部、39…親扉全開被検知部、40…子扉、41…第2ガイドブロック、42…第3取付部材、43A…子扉全開被検知部、43B…子扉速度被検知部、43C…子扉全閉被検知部、50…制御装置、51…判定部、52…駆動制御部、53…取得部、60…総合制御盤。
図1
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図11