(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240401BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240401BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240401BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/09 F
G08G1/09 H
G01C21/26 A
H04N7/18 U
(21)【出願番号】P 2020017507
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大築 ともえ
(72)【発明者】
【氏名】塩津 真一
(72)【発明者】
【氏名】小島 幹
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106097(JP,A)
【文献】特開2015-088005(JP,A)
【文献】特開2003-050131(JP,A)
【文献】特開2018-005704(JP,A)
【文献】特開2018-205041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信車両から配信されるカメラ画像を受信する受信車両の走行予定経路上の渋滞区間
であって、複数の低速車両間の距離が所定値以下である低速車両群が示す範囲である渋滞区間に存在する車両を、前記カメラ画像の配信候補となる候補車両として抽出し、
前記カメラ画像に比べて低容量の画像である低容量画像を、前記候補車両から前記受信車両へ配信させて前記受信車両においてバックグラウンド再生させておき、
前記受信車両において表示条件が成立した場合、前記候補車両から前記配信車両を選択し、前記カメラ画像を、前記配信車両から前記受信車両へ配信させて前記受信車両において表示させる、
情報処理装置。
【請求項2】
先行車両との車間距離が所定値よりも大きい前記候補車両を前記配信車両として選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記渋滞区間が存在する場合に、前記受信車両から最も近い前記渋滞区間に存在する車両群を前記候補車両として抽出し、
前記車両群の先頭車両である前記候補車両を前記配信車両として選択する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信車両から前記車両群までの距離が閾値未満となった時に、当該車両群に含まれる前記候補車両との事前接続を指示
し、前記低容量画像の送受信を開始させる、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受信車両の走行速度に基づいて、前記候補車両の抽出範囲を設定し、
前記抽出範囲内の前記渋滞区間に存在する車両を前記候補車両として抽出する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記配信車両を所定周期で選択し、
前記表示条件の成立以降において、最新の前記配信車両から配信される前記カメラ画像を前記受信車両において表示させる、
請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一つに記載の情報処理装置と、
前記受信車両および前記配信車両それぞれに搭載され、前記カメラ画像を送受信する車載装置と
を備える配信システム。
【請求項8】
配信車両から配信されるカメラ画像を受信する受信車両の走行予定経路上の渋滞区間
であって、複数の低速車両間の距離が所定値以下である低速車両群が示す範囲である渋滞区間に存在する車両を、前記カメラ画像の配信候補となる候補車両として抽出し、
前記カメラ画像に比べて低容量の画像である低容量画像を、前記候補車両から前記受信車両へ配信させて前記受信車両においてバックグラウンド再生させておき、
前記受信車両において表示条件が成立した場合、前記候補車両から前記配信車両を選択し、前記カメラ画像を、前記配信車両から前記受信車両へ配信させて前記受信車両において表示させる、
情報処理装置が行う情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渋滞区間を走行中の車両で撮影された映像を他の車両へ送信する車載装置がある。かかる車載装置では、交通情報センターなどといった外部から受信した交通情報に基づいて、渋滞区間を判別する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、信号待ちなどといった交通情報センターで観測されない程度の短い渋滞が発生した場合については考慮されておらず、運転者が所望する地点のカメラ画像を提供することができない場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者が所望する他地点のカメラ画像を適切に提供することができる情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る情報処理装置は、抽出部と、第1指示部と、選択部と、第2指示部とを備える。前記抽出部は、カメラ画像を受信する受信車両の走行予定経路上に存在する低速車両について、前記カメラ画像の配信候補となる候補車両として抽出する。前記第1指示部は、前記抽出部によって抽出された前記候補車両から前記受信車両へのカメラ画像の配信の事前接続を指示する。前記選択部は、前記候補車両から前記配信されるカメラ画像を表示させる配信車両を選択する。前記第2指示部は、前記受信車両において表示条件が成立した場合に、前記選択部によって選択された前記配信車両から配信される前記カメラ画像を前記受信車両において表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者が所望する他地点のカメラ画像を適切に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図3は、車両情報データベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、選択部による選択処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、管理サーバが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る制御装置および制御方法について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1A~
図1Dを用いて、実施形態に係る配信システムおよび情報処理方法の概要について説明する。
図1A~
図1Dは、配信システムの概要を示す図である。また、実施形態に係る情報処理方法は、
図1Aに示す管理サーバ100と、複数の車載装置1とが互いにデータを送受信することで実行される。また、以下では、情報処理装置が管理サーバ100である場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1Aに示すように、実施形態に係る配信システムSは、各車両にそれぞれ搭載された車載装置1と、管理サーバ100とを備える。なお、
図1Aに示す例では、車載装置1は、通信機能を備えたドライブレコーダである場合を示す。車載装置1は、車両情報を所定周期で管理サーバ100へ送信する。例えば、車両情報には、車両の位置情報、走行状態に関する情報などが含まれる。
【0012】
管理サーバ100は、各車載装置1から送信された車両情報を車両情報データベースで管理するサーバ装置である。実施形態に係る配信システムSでは、管理サーバ100による指示に基づいて、車載装置1間でカメラ画像の配信および受信を行う。
【0013】
なお、以下では、カメラ画像を受信する車載装置1や、かかる車載装置1を搭載した車両について「受信車両」、実際に受信車両で表示させるカメラ画像を配信する車載装置1や、かかる車載装置1を搭載した車両について「配信車両」と記載する場合がある。なお、各車両は、配信車両および受信車両の双方になり得る。また、1つの受信車両に対して、複数の配信車両が存在する場合や、1つの配信車両に対して複数の受信車両が存在する場合もある。
【0014】
ここで、受信車両の運転者が他地点の現在の状況を確認したいシチュエーションとして、受信車両が渋滞に進入する場合に、渋滞の原因、すなわち、渋滞の先頭の状況を確認したい場合が挙げられる。
【0015】
従来の配信システムでは、交通情報センターから配信される交通情報に基づいて渋滞を把握していたため、交通情報センターで観測されないほどの短い渋滞が発生した場合には、その渋滞を把握することができなかった。
【0016】
そこで、実施形態に係る配信システムSでは、車両情報データベースに基づいて、上記のような短い渋滞を検出するとともに、さらに、渋滞の先頭の状況を撮影可能な渋滞の先頭に位置する候補車両を配信車両として選択することとした。
【0017】
具体的には、
図1Bに示すように、まず、管理サーバ100は、車両情報データベースに基づいて、配信車両の候補となる候補車両を抽出する(ステップS1)。ここで、管理サーバ100は、受信車両の走行予定経路上に存在する低速車両を候補車両として抽出する。
【0018】
ここで、低速車両とは、例えば、法定速度よりも遅い車両や減速中の車両、停車中の車両などを含む。すなわち、低速車両には、渋滞区間を走行中の低速車両に加え、信号待ちの車両、一時停止中の車両などが含まれることになる。
【0019】
また、管理サーバ100は、受信車両の走行予定経路を例えば、受信車両のナビゲーション装置にて設定された経路から把握することができ、また、受信車両の現在の走行する向きなどに基づいて推定することもできる。なお、
図1Bに示す例では、車両C3が受信車両であり、車両C1および車両C2が候補車両である場合を示す。
【0020】
続いて、管理サーバ100は、ステップS1にて抽出した候補車両に関する情報を受信車両へ通知するとともに、受信車両に対して候補車両との事前接続を指示する(ステップS2)。受信車両は、事前接続の指示を受信すると、候補車両との事前接続を開始する(ステップS3)。
【0021】
なお、事前接続中においては、候補車両から受信車両へカメラ画像の配信を行うことにしてもよいし、単に通信を確立させた状態で待機しておくことにしてもよい。また、候補車両のうち、後述する配信車両のみが受信車両へカメラ画像の配信を行うことにしてもよい。
【0022】
その後、
図1Cに示すように、管理サーバ100は、候補車両の中から配信車両を選択する(ステップS4)。例えば、受信車両から最も近い渋滞の先頭に位置する候補車両を配信車両として選択する。なお、渋滞は、複数台の車両の集合であるが、1台の車両から成るものであってもよい。
【0023】
すなわち、管理サーバ100は、ステップS4の処理では、受信車両が最も早く合流する渋滞の先頭に位置する候補車両を配信車両として選択することになる。例えば、管理サーバ100は、ステップS4の処理において、
図1Dに示すように、受信車両の走行予定経路を走行中の各車両の車間距離に基づいて、配信車両を選択することができる。
【0024】
具体的には、管理サーバ100は、車両情報データベースに基づいて、各車両の位置情報から各車両の車間距離を算出する。このとき、例えば、渋滞区間を走行する車両は、低速車両となり、渋滞を抜けた車両は、低速車両よりも早い走行速度で走行すると想定される。
【0025】
このため、
図1Dに示すように、渋滞の先頭に位置する候補車両と、候補車両の前を走行する先行車両との車間距離d1は、候補車両の後ろに位置する別の後続車両との車間距離d2よりも大きくなる。したがって、管理サーバ100は、先行車両との車間距離が大きい候補車両について渋滞の先頭に位置すると判断し、配信車両C1として選択する。
【0026】
そして、
図1Cに示すように、管理サーバ100は、受信車両において所定の表示条件が成立した場合に、ステップS4にて選択した配信車両から配信されるカメラ画像を受信車両にて表示させる表示指示を受信車両に対して通知する(ステップS5)。なお、
図1Cの例では、候補車両である車両C1、車両C2のうち、車両C1が配信車両として選択された場合を示す。
【0027】
ここでの表示条件とは、例えば、受信車両が渋滞に加わった場合、もしくは、事前接続後に渋滞の手前(例えば、迂回路の手前)で停車した場合などが挙げられる。したがって、この場合には、受信車両が渋滞に加わった場合や、渋滞に加わる前に、渋滞の先頭の現在の状況が撮影されたカメラ画像が受信車両にて表示されることになる。
【0028】
このように、実施形態に係る配信システムSでは、表示条件の成立を先読みし、受信車両と配信車両とを事前に接続しておく。そして、実施形態に係る配信システムSでは、表示条件が成立した場合に、配信車両のカメラ画像を受信車両にて表示させる。
【0029】
したがって、実施形態に係る配信システムSによれば、運転者が所望する他地点のカメラ画像を適切に提供することができる。
【0030】
また、実施形態に係る配信システムSでは、車間距離に基づいて渋滞の先頭に位置する候補車両を配信車両として選択することで、一時停止や信号待ちなどといった極めて短い渋滞の先頭に位置する候補車両を適切に検出することが可能となり、渋滞の先頭に位置する候補車両のカメラ画像を受信車両にて表示させることが可能となる。
【0031】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る管理サーバ100の構成例について説明する。
図2は、管理サーバ100のブロック図である。
図2に示すように、管理サーバ100は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。
【0032】
通信部2は、例えばNIC等によって実現される。通信部2は、所定のネットワークと無線で接続され、ネットワークを介して、他の車載装置1との間で情報の送受信を行う。
【0033】
記憶部3は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、車両情報データベース31を備える。
【0034】
車両情報データベース31は、各車載装置1から送信される車両情報を格納するデータベースである。
図3は、車両情報データベース31の一例を示す図である。
図3に示すように、車両情報データベース31は、「車両ID」、「IPアドレス」、「現在地」、「走行速度」および「走行予定経路」などを互いに関連付けて記憶する。
【0035】
「車両ID」は、各車両を識別する識別子であり、「現在地」は、対応する車両の現在地である。また、「走行速度」は、対応する車両の現在の走行速度であり、「走行予定経路」は、対応する車両の走行予定の経路を示す。上述のように、走行予定経路は、各車両のナビゲーション装置にて設定された経路であるが、ナビゲーション装置にて経路が設定されていない場合には、ブランクとなる。
【0036】
図2の説明に戻り、制御部4について説明する。制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0037】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部4の取得部41、設定部42、抽出部43、第1指示部44、選択部45および第2指示部46として機能する。
【0038】
また、制御部4の取得部41、設定部42、抽出部43、第1指示部44、選択部45および第2指示部46の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0039】
取得部41は、各車載装置1から車両情報を取得し、取得した車両情報に基づいて、車両情報データベース31を更新する。なお、取得部41は、各車載装置1からカメラ画像を取得し、記憶部3に格納しておくことにしてもよい。例えば、記憶部3に記憶されたカメラ画像は、該当する配信車両が存在しない場合に、受信車両へ提供される。
【0040】
設定部42は、受信車両の走行速度に基づいて、抽出部43による候補車両の抽出範囲を設定する。設定部42は、受信車両の走行予定経路が決まっている場合には、受信車両を基準とし、走行予定経路上に抽出範囲を設定する。
【0041】
図4は、抽出範囲の模式図である。
図4に示す例では、例えば、抽出範囲Rが受信車両Crの進行方向に存在する半円状の範囲である場合を示す。設定部42は、車両情報データベース31を参照し、受信車両Crの走行速度に基づいて、抽出範囲Rを設定する。具体的には、設定部42は、受信車両Crの走行速度が速い場合の抽出範囲R1を走行速度が遅い場合の抽出範囲R2に比べて大きくする。
【0042】
すなわち、設定部42は、受信車両の走行速度が速い場合には、抽出範囲Rを拡張し、走行速度が遅い場合には、抽出範囲Rを縮小することになる。この場合、設定部42は、走行速度に比例した係数を抽出範囲Rに乗算することで、走行速度に応じた抽出範囲Rを設定する。
【0043】
したがって、この場合には、受信車両が所定時間内に走行可能な範囲を抽出範囲Rとして設定することになる。なお、抽出範囲Rの設定に用いる走行速度は、瞬間的な値であってもよいが、平準化した値を用いるとよい。
【0044】
このように、設定部42は、受信車両の走行速度に基づいて、抽出範囲Rを設定することで、抽出範囲Rを適切な範囲に設定することができる。また、受信車両の走行予定経路が決まっている場合には、走行予定経路のみに抽出範囲Rを設定することで、抽出範囲Rを適切に限定することができる。なお、ここでは、抽出範囲Rが半円状の範囲であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、任意の形状とすることにしてもよい。
【0045】
図2の説明に戻り、抽出部43について説明する。抽出部43は、カメラ画像を受信する受信車両の走行予定経路上に存在する低速車両について、カメラ画像の配信候補となる候補車両として抽出する。
【0046】
具体的には、抽出部43は、車両情報データベース31を参照し、設定部42によって設定された抽出範囲R内に受信車両の進行方向に沿って走行する低速車両を抽出する。この際、抽出部43は、受信車両の走行予定経路が決定されていれば、かかる走行予定経路に設定された抽出範囲内に存在する低速車両を抽出することになる。また、抽出部43は、受信車両の走行予定経路が決まっていない場合には、
図4に示した抽出範囲R内に存在する低速車両を抽出することになる。その後、抽出部43は、抽出した低速車両を候補車両として抽出する。
【0047】
さらに、抽出部43は、上記の候補車両を含み、複数の低速車両が連続する低速車両群。
図5は、低速車両群の一例を示す図である。
図5に示すように、抽出部43は、受信車両Crの進行方向に位置する低速車両Csを抽出していく。
【0048】
そして、抽出部43は、抽出した複数の低速車両Cs間の距離が所定値以下である場合、複数の低速車両Csを低速車両群Gとして抽出する。ここで、
図5に示すように、低速車両群Gの先頭に位置する低速車両Csは、渋滞の発生地点fを撮影可能な車両となり得る。なお、発生地点fは、例えば、事故現場であったり、赤信号や一時停止などであったりする。
【0049】
また、抽出部43によって抽出される低速車両群Gが示す範囲が渋滞区間となる。すなわち、抽出部43は、低速車両群Gを抽出することで、渋滞区間を検出することが可能となる。なお、抽出部43は、低速車両群Gが所定の規模以上(例えば5台以上)である低速車両群Gのみを抽出することにしてもよい。
【0050】
また、抽出部43は、抽出範囲R内に存在する全ての低速車両群Gを抽出することにしてもよいが、受信車両から最も近くに存在する低速車両群Gのみを抽出することにしてもよい。すなわち、抽出部43は、受信車両に近い方から順に低速車両群Gの抽出を開始し、低速車両群Gを抽出した段階で、低速車両群Gの抽出処理を終了することにしてもよい。
【0051】
また、抽出部43は、低速車両全てを候補車両として抽出しなくてもよい。例えばカメラの不具合があるユーザや、配信は行いたくないユーザの車載装置1の場合は、抽出部43は低速車両であっても候補車両として抽出しない。
【0052】
図2の説明に戻り、第1指示部44について説明する。第1指示部44は、抽出部43によって抽出された候補車両から受信車両への、カメラ画像の配信の事前接続を指示する。例えば、第1指示部44は、抽出部43によって抽出された候補車両に関する情報(例えば、IPアドレス)を車両情報データベース31から抽出する。
【0053】
そして、第1指示部44は、抽出した情報とともに事前接続指示を受信車両に対して送信する。受信車両では、かかる事前接続指示に基づき、候補車両との事前接続を開始することになる。
【0054】
なお、第1指示部44は、事前接続の指示を抽出部43による候補車両の抽出毎に行うことにしてもよいし、例えば、受信車両に基づく所定のトリガを検知した場合に、事前接続を指示することにしてもよい。
【0055】
例えば、第1指示部44は、受信車両から低速車両群G(
図5参照)までの距離が閾値(例えば、1km)未満となったことをトリガとして事前接続を指示することにしてもよい。すなわち、第1指示部44は、受信車両から最も近い渋滞までの距離が所定距離未満となった場合、事前接続を指示することにしてもよい。
【0056】
これにより、受信車両が渋滞に合流するまでの間に低速車両群Gを構成する低速車両群Gとの事前接続を行うことができ、その後の表示条件が成立した段階で、受信車両において速やかに配信車両のカメラ画像を表示させることが可能となる。
【0057】
なお、上記の閾値は、例えば、受信車両の走行速度や、走行予定経路の迂回路の有無に応じて変更することにしてもよい。例えば、受信車両の走行速度が速いほど、閾値を長くし、迂回路がある場合には、迂回路への分岐点よりも手前を閾値とすることにしてもよい。
【0058】
選択部45は、抽出部43によって抽出された候補車両の中から配信されるカメラ画像を実際に受信車両で表示させる配信車両を選択する。本実施例では、渋滞して低速で走行している車両の一団において、先頭に位置する候補車両を配信車両として選択する。具体的には、抽出部43は、候補車両と、候補車両の先行車両との車間距離に基づいて、候補車両が渋滞の先頭に位置するか否かを判定し、配信車両を選択する。
【0059】
図6は、選択部45による選択処理の一例を示す図である。
図6の縦軸の車間距離は、候補車両と先行車両との車間距離を示し、横軸の受信車両からの数は、受信車両から見て何番目に存在する候補車両かを示す。
【0060】
選択部45は、各候補車両の車間距離が閾値Thdよりも大きく、かつ、最も受信車両に近い候補車両を配信車両として選択する。
図6に示す例では、「1」および「6」の候補車両の車間距離が閾値を超える場合を示す。
【0061】
「1」および「6」の候補車両は、「1」の候補車両の方が受信車両に近い。したがって、この場合において、選択部45は、「1」の候補車両が渋滞の先頭に位置すると判定し、配信車両として選択する。
【0062】
つまり、選択部45は、受信車両が最初に通過予定の発生地点f(
図5参照)を撮像可能な候補車両を配信車両として選択する。したがって、受信車両が次に通過する発生地点fのカメラ画像を受信車両にて表示させることが可能となる。
【0063】
なお、ここでは、前方車両との車間距離に基づいて、先行車両を選択する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、選択部45は、先行車両との走行速度の差に基づいて渋滞の先頭に位置する候補車両を選択することにしてもよい。
【0064】
また、上記処理は抽出部43で抽出した低速車両群Gごとに行ってもよい。具体的には、抽出部43で抽出した低速車両群Gが複数ある場合は、選択部45は、受信車両との距離が最も近い低速車両群Gから、配信車両を選択する。
【0065】
選択部45は、抽出部43が抽出した低速車両群Gそれぞれと受信車両との距離を算出する。距離は、受信車両と各低速車両群Gの最後尾の車両との距離とする。このとき距離は走行経路に沿った道のりとして算出するとよい。ここで、算出した距離が最も小さい低速車両群Gを選択対象車両群とする。選択部45は、選択対象車両群に対して上記の処理を行い、選択対象車両群、すなわち受信車両に最も近い低速車両群G、の先頭に位置する候補車両を配信車両として選択する。
【0066】
またこのとき、低速車両群Gの先頭車両が候補車両ではない可能性がある。この場合は、配信車両が選択できないとして処理を終了してもよいし、後述のように渋滞を抜けることを期待して後続に位置する候補車両を配信車両として選択してもよい。
【0067】
また、車両が渋滞から抜けていくことで、渋滞の先頭に位置する候補車両はリアルタイムに変化する。したがって、選択部45は、所定周期で候補車両を再選択し、配信車両を更新する。これにより、常に最新の渋滞の先頭に位置する候補車両を配信車両として選択することが可能となる。なお、例えば、受信車両と配信車両との通信は、選択部45によって新たな配信車両が選択された時点で解除するとよい。
【0068】
図2の説明に戻り、第2指示部46について説明する。第2指示部46は、受信車両において表示条件が成立した場合に、選択部45によって選択された配信車両から配信されるカメラ映像を受信車両において表示させる。
【0069】
ここでの表示条件は、受信車両が信号待ちなどで停車した場合、受信車両が配信車両の後方で停車(もしくは低速走行)した場合、受信車両から配信車両までの距離が所定値以下となった場合、受信車両の車載装置1に対して乗員が所定の操作(カメラ画像に対する表示操作)を行った場合などが含まれる。
【0070】
第2指示部46は、車両情報データベース31を参照し、受信車両の位置や走行状態を監視したり、受信車両から送信される操作信号を受信したりすることで、表示条件が成立したか否かを判定する。
【0071】
そして、第2指示部46は、表示条件が成立したと判定した場合に、受信車両に対して、配信車両のカメラ画像を表示させる表示指示を通知する。これにより、受信車両では、配信車両で撮影されたカメラ画像がリアルタイムで表示されることになる。
【0072】
ところで、上述のように配信車両は、随時変化する。そのため、第2指示部46は、表示条件の成立以降においては、最新の配信車両の情報を受信車両に随時通知する。これにより、受信車両は、表示条件の成立後も、発生地点fの最新の状況が撮影されたカメラ画像を受信および表示することが可能となる。
【0073】
したがって、この場合には、受信車両の乗員に対して、発生地点fの現在の状況を適切に把握させることが可能となる。
【0074】
なお、第2指示部46は、例えば、第1指示部44が事前接続の指示を行う際に、表示条件をあわせて受信車両へ送信することにしてもよい。この場合、受信車両において、かかる表示条件が成立したか否かの判定を行うことにしてもよい。
【0075】
また、この場合においては、車載装置1側で、各車両の現在地を把握する必要が生じる。したがって、管理サーバ100は、受信車両に対して、各配信車両や各配信車両の周囲に存在する他車両の現在地などいった情報を随時送信する、あるいは、受信車両に対して、関連する車両のIPアドレスを通知し、車載装置1間で現在地を互いに通知し合うことにしてもよい。
【0076】
次に、
図7を用いて、車載装置1の構成例について説明する。
図7は、車載装置1のブロック図である。
図7に示すように、実施形態に係る車載装置1には、カメラ101、車載センサ102、GPS(Global Positioning System)装置103およびナビゲーション装置104が接続される。
【0077】
カメラ101は、車両Cの周囲を撮像するカメラであり、所定のフレームレートでカメラ画像を生成する。なお、カメラ101は、車内を撮像するカメラを含むようにしてもよい。
【0078】
車載センサ102は、車両Cの走行状態を検出する各種センサであり、例えば、速度センサ、ブレーキセンサ、舵角センサ、Gセンサ等を含む。
【0079】
GPS装置103は、GPS衛星(不図示)から送信される測位信号に基づいて、車両の現在地を測位する。ナビゲーション装置104は、乗員によって設定された車両Cの目的地までの走行経路を設定する装置である。
【0080】
また、
図7に示すように、車載装置1は、車載装置1が出力したカメラ画像などの画像を表示する表示装置50に接続される。表示装置50は、表示部51および操作部52を備える。
【0081】
表示部51は、例えば、有機EL(Electr Luminescence)や、液晶ディスプレイで構成されたタッチパネルディスプレイであり、車載装置1から出力される映像信号を表示する。操作部52は、表示部51を構成するタッチパネルや、各所に配置されたボタンなどで構成され、表示部51に表示された画像に基づき、乗員からの所定操作を受け付ける。
【0082】
操作部52は、カメラ画像の再生、停止、巻き戻し等の各種操作を受け付けることも可能である。また、ユーザは、操作部52を介して、過去に撮像されたカメラ画像の配信を要求することも可能である。
【0083】
すなわち、実施形態に係る配信システムSでは、カメラ画像のリアルタイム配信に加え、過去に撮像されたカメラ画像の録画配信を行うこともできる。なお、操作部52を例えば、表示装置50とは別に設けることにしてもよい。
【0084】
図7に示すように、車載装置1は、通信部5と、記憶部6と、制御部7とを備える。通信部5は、例えばNIC等によって実現される。通信部5は、所定のネットワークと無線で接続され、ネットワークを介して、他の車載装置1や、管理サーバ100との間で情報の送受信を行う。
【0085】
記憶部6は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図7の例では、カメラ画像情報61を記憶する。
【0086】
カメラ画像情報61は、カメラ101によって撮影されたカメラ画像に関する情報であり、カメラ画像のデータ本体、撮影日時、撮影位置などが含まれる。また、カメラ画像情報61は、他の車両で撮影されたカメラ画像を含む。
【0087】
続いて、制御部7について説明する。制御部7は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0088】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部7の送信部71、受信部72、再生部73、生成部74および表示制御部75として機能する。
【0089】
また、制御部7の送信部71、受信部72、再生部73、生成部74および表示制御部75の少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0090】
送信部71は、車両に関する車両情報を所定周期で管理サーバ100へ送信する。具体的には、送信部71は、車載センサ102によって検出された走行状態に関する情報、GPS装置103によって検出された位置情報を含む車両情報を生成し、管理サーバ100へ送信する。
【0091】
この際、送信部71は、全ての走行状態に関する車両情報を生成する必要はなく、データを選別して送信データを生成することにしてもよい。例えば、送信部71は、急ブレーキや急舵角を検出した場合のみ、走行状態に関する情報を送信することにしてもよい。また、送信部71は、自装置が配信車両として選択された場合には、事前接続を行った後にカメラ画像を受信車両に対して送信する。
【0092】
受信部72は、配信車両および候補車両からカメラ画像を受信する。具体的には、受信部72は、管理サーバ100から事前接続指示を受信すると、事前接続指示に基づいて、候補車両との通信接続の接続要求を送信部71に対して指示する。
【0093】
その後、受信部72は、候補車両からカメラ画像の受信を開始すると、カメラ画像を再生するビュワーアプリ(後述の再生部73に対応)を起動させる。そして、再生部73にて、バックグランド再生を開始させる。
【0094】
なお、バックグラウンド再生時に再生するカメラ画像は、表示装置50に基本的に表示されない。そのため、受信部72は、バックグラウンド再生時のカメラ画像として、低容量画像を受信することにしてもよい。
【0095】
なお、低容量画像とは、実際に表示装置50に表示されるカメラ画像に比べて、フレームレートが低いカメラ画像、解像度が低いカメラ画像、ビットレートが低いカメラ画像のいずれか一つを含むカメラ画像である。これにより、通信負荷を抑えつつ、カメラ画像を受信することが可能となる。
【0096】
生成部74は、ナビゲーション装置104から通知されるナビゲーション画像を加工することで、表示装置50に表示する表示画像を生成する。
図8は、表示画像の一例を示す図である。
【0097】
図8に示すように、カメラ画像の表示画面においては、カメラ画像Lcとともに、カメラ画像Lcの撮影位置を示す地図画像Lmが表示される。地図画像Lmにおいては、自車両の位置を示す自車両アイコンA1と、配信車両によるカメラ画像Lcの撮像位置を示す他車両アイコンA2とが重畳される。
【0098】
また、他車両アイコンA2には、リアルタイム配信であることを示す「LIVE」の吹き出しが表示される。このように、他車両アイコンA2を地図画像Lmとともに表示することで、カメラ画像Lcの撮像位置を容易に認識することが可能となる。またリアルタイム配信であることはアイコンを点滅させることで示してもよい。
【0099】
図7の説明に戻り、表示制御部75について説明する。表示制御部75は、所定の表示条件が成立した場合に、受信部72によって先頭車両から受信されたカメラ画像を表示する。
【0100】
具体的には、表示制御部75は、管理サーバ100から送信される表示指示を受信部72が受信した場合に、配信車両から受信したカメラ画像を表示する。ここで、カメラ画像を表示するとは、再生部73によってバックグラウンド再生中のカメラ画像の画面階層を最前面とすることを指す。
【0101】
より詳しくは、生成部74によって生成された表示画像の画面階層を最前面に切り替えることで、配信車両から配信されるカメラ画像が表示装置50に表示されることになる。
【0102】
このように、表示制御部75は、画面階層を切り替えるだけでよいので、表示条件の成立後、渋滞の先頭に位置する候補車両で撮影されたカメラ画像を速やかに乗員へ提供することが可能となる。
【0103】
次に、
図9を用いて、実施形態に係る管理サーバ100が実行する処理手順について説明する。
図9は、管理サーバ100が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、各車両に対して繰り返し実行される。
【0104】
図9に示すように、管理サーバ100は、まず、各車両に対して抽出範囲Rを設定すると(ステップS101)、抽出範囲R内に存在する低速車両を候補車両として抽出する(ステップS102)。
【0105】
続いて、管理サーバ100は、抽出範囲R内に候補車両があるか否かを判定し(ステップS103)、候補車両が存在した場合(ステップS103,Yes)、受信車両に対して事前接続を指示する第1指示を行う(ステップS104)。
【0106】
続いて、管理サーバ100は、候補車両から配信車両を選択し(ステップS105)、受信車両にて表示条件が成立したか否かを判定する(ステップS106)。
【0107】
管理サーバ100は、ステップS106の判定において、表示条件が成立したと判定した場合(ステップS106,Yes)、受信車両に対して配信車両の映像を表示させる第2指示を行い(ステップS107)、処理を終了する。
【0108】
また、管理サーバ100は、ステップS103の判定において、候補車両が存在しない場合(ステップS103,No)、処理を終了する。また、管理サーバ100は、ステップS106の判定において、表示条件が成立していない場合(ステップS106,No)、ステップS105の処理へ移行する。
【0109】
続いて、
図10を用いて、受信車両の車載装置1が実行する処理手順について説明する。
図10は、車載装置1が実行する処理手順を示すフロチャートである。なお、以下に示す処理手順は、第1指示の取得毎に繰り返し実行される。
【0110】
図10に示すように、受信車両の車載装置1(以下、単に受信車両と記載)は、第1指示を受信したか否かを判定し(ステップS201)、第1指示を受信した場合(ステップS201,Yes)、第1指示に基づいて候補車両に対して接続要求を行う(ステップS202)。
【0111】
続いて、受信車両は、ビュワー(再生部73)を起動し(ステップS203)、候補車両から送信されるカメラ画像のバックグランド再生を開始する(ステップS204)。続いて、受信車両は、第2指示を受信したか否かを判定し(ステップS205,No)、第2指示を受信した場合(ステップS205,Yes)、配信車両のカメラ画像を表示し(ステップS206)、処理を終了する。
【0112】
また、受信車両は、ステップS201の判定において、第1指示を受信していない場合(ステップS201,No)、処理を終了し、ステップS205の判定において、第2指示を受信していない場合(ステップS205,No)、ステップS205の処理を継続して行う。
【0113】
上述したように、実施形態に係る管理サーバ100(情報処理装置の一例)は、抽出部43と、第1指示部44と、選択部45と、第2指示部46とを備える。抽出部43は、カメラ画像を受信する受信車両の走行予定経路上に存在する低速車両について、カメラ画像の配信候補となる候補車両として抽出する。第1指示部44は、抽出部43によって抽出された候補車両から受信車両へのカメラ画像の配信の事前接続を指示する。
【0114】
選択部45は、候補車両から配信されるカメラ画像を表示させる配信車両を選択する。第2指示部46は、受信車両において表示条件が成立した場合に、選択部45によって選択された配信車両から配信されるカメラ画像を受信車両において表示させる。したがって、実施形態に係る情報処理装置によれば、運転者が所望する他地点のカメラ画像を適切に提供することができる。
【0115】
ところで、上述した実施形態では、渋滞の先頭に位置する候補車両を配信車両として選択する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明を適用することで、受信車両の前方の車両を配信車両とすることもできる。
【0116】
図11は、前方車両を配信車両として選択する場合の適用例を示す図である。なお、
図11では、車両C1が受信車両であり、受信車両の前方を走行する車両C2が例えば、低速車両である場合を示す。
【0117】
配信システムSでは、車両C2を候補車両として抽出するとともに、車両C1と車両C2との事前接続を開始することになる。そして、車両C2が信号待ちや一時停止などで停車すると、車両C2と、車両C2の先行車両との車間距離が閾値を超えた段階で、車両C2が渋滞の先頭に位置すると判断して配信車両として選択する。その後、車両C2で撮影されたカメラ画像が車両C1において表示されることになる。
【0118】
このように、配信システムSでは、先行車両との車間距離が閾値を超える候補車両のうち、受信車両に最も近い候補車両を配信車両として選択する。これにより、受信車両の前を走行する車両が停車した場合においても、かかる車両のカメラ画像を受信車両にて表示させることが可能となる。
【0119】
ところで、上述した実施形態では、情報処理装置が管理サーバ100である場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、情報処理装置の機能構成を車載装置1に持たせることにしてもよい。
【0120】
この場合、車載装置1は、管理サーバ100から例えば、自車両を基準として所定範囲に存在する車両に関する車両情報を管理サーバ100から取得し、取得した車両情報に基づいて、低速車両の判定および候補車両の抽出処理等を行う。
【0121】
この場合においては、管理サーバ100は、各車両から車両情報を取得するとともに、各車両に対してそれぞれ車両情報を抽出したうえで随時配信する。なお、管理サーバ100および車載装置1の各機能構成は、処理負荷等に応じて、適宜分散させることにしてもよい。すなわち、管理サーバ100の機能のうち、一部を車載装置1に持たせることにしてもよいし、車載装置1の機能のうち、一部を管理サーバ100に持たせることにしてもよい。
【0122】
また、上述した実施形態では、車載装置1間でカメラ画像の送受信を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、管理サーバ100を介してカメラ画像の送受信を行うことにしてもよい。
【0123】
また、上述した実施形態では、車両から撮影されたカメラ画像を他の車両へ配信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、定点カメラで撮影されたカメラ画像を配信することにしてもよい。
【0124】
この場合、例えば、定点カメラに比べて配信車両のカメラ画像を優先的に配信し、該当する配信車両がいない場合に、定点カメラのカメラ画像を配信することにしてもよい。
【0125】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 車載装置
41 取得部
42 設定部
43 抽出部
44 第1指示部
45 選択部
46 第2指示部
71 送信部
72 受信部
73 再生部
74 生成部
100 管理サーバ
S 配信システム