(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】エリアマーカー用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20240401BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20240401BHJP
B60Q 1/38 20060101ALI20240401BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240401BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20240401BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20240401BHJP
B62J 6/26 20200101ALI20240401BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20240401BHJP
F21W 107/17 20180101ALN20240401BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240401BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/34 Z
B60Q1/38 B
F21S43/14
F21S43/15
F21S43/20
B62J6/26
F21W103:60
F21W107:17
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020035834
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 壮宜
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/159220(WO,A1)
【文献】特開2019-215958(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60Q 1/34
B60Q 1/38
F21S 43/14
F21S 43/15
F21S 43/20
B62J 6/26
F21W 103/60
F21W 107/17
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を傾けることで旋回走行可能な車両に備えられ、
光が入射する入射面及び前記入射面に入射した光が出射する出射面の少なくとも一方に、前記出射面から出射する光によって所定のマーカーが車両の周囲の路面に投影されるように前記入射面に照射される光を屈折させる描画寄与領域を含む描画レンズと、
前記描画レンズの光軸と垂直な方向に互いにずれて配置され前記入射面に光を照射する複数の光源を含む光源ユニットと、
を備え、
前記描画レンズは、それぞれの前記光源からの光によってそれぞれの前記光源に対応する前記マーカーを路面に投影
し、
それぞれの前記光源から出射する光の全光束量は、当該光によって前記路面に投影される前記マーカーが大きい前記光源ほど大きい
ことを特徴とするエリアマーカー用灯具。
【請求項2】
車体を傾けることで旋回走行可能な車両に備えられ、
光が入射する入射面及び前記入射面に入射した光が出射する出射面の少なくとも一方に、前記出射面から出射する光によって所定のマーカーが車両の周囲の路面に投影されるように前記入射面に照射される光を屈折させる描画寄与領域を含む描画レンズと、
前記描画レンズの光軸と垂直な方向に互いにずれて配置され前記入射面に光を照射する複数の光源を含む光源ユニットと、
を備え、
前記描画レンズは、それぞれの前記光源からの光によってそれぞれの前記光源に対応する前記マーカーを路面に投影
し、
それぞれの前記光源に対応する前記マーカーは、前記車両の側方において前記車両から遠ざかる方向に並列される
ことを特徴とするエリアマーカー用灯具。
【請求項3】
それぞれの前記光源に対応する前記マーカーは、前記車両から遠ざかるほど大きい
ことを特徴とする請求項2に記載のエリアマーカー用灯具。
【請求項4】
制御部を更に備え、
前記制御部は、前記車両の右側のターンシグナルランプまたは左側のターンシグナルランプが点滅するときに、前記複数の光源に光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載のエリアマーカー用灯具。
【請求項5】
車体を傾けることで旋回走行可能な車両に備えられ、
光が入射する入射面及び前記入射面に入射した光が出射する出射面の少なくとも一方に、前記出射面から出射する光によって所定のマーカーが車両の周囲の路面に投影されるように前記入射面に照射される光を屈折させる描画寄与領域を含む描画レンズと、
前記描画レンズの光軸と垂直な方向に互いにずれて配置され前記入射面に光を照射する複数の光源を含む光源ユニットと、
制御部と、
を備え、
前記描画レンズは、それぞれの前記光源からの光によってそれぞれの前記光源に対応する前記マーカーを路面に投影
し、
前記複数の光源は、前記描画レンズの光軸と非平行な第1方向に並び、
前記制御部は、前記車両の右側のターンシグナルランプまたは左側のターンシグナルランプが点滅するときに、前記複数の光源の並び順に光を出射させる
ことを特徴とするエリアマーカー用灯具。
【請求項6】
車体を傾けることで旋回走行可能な車両に備えられ、
光が入射する入射面及び前記入射面に入射した光が出射する出射面の少なくとも一方に、前記出射面から出射する光によって所定のマーカーが車両の周囲の路面に投影されるように前記入射面に照射される光を屈折させる描画寄与領域を含む描画レンズと、
前記描画レンズの光軸と垂直な方向に互いにずれて配置され前記入射面に光を照射する複数の光源を含む光源ユニットと、
制御部と、
を備え、
前記描画レンズは、それぞれの前記光源からの光によってそれぞれの前記光源に対応する前記マーカーを路面に投影
し、
前記制御部は、前記車両の右側のターンシグナルランプ及び左側のターンシグナルランプが点滅するときに、前記複数の光源に光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる
ことを特徴とするエリアマーカー用灯具。
【請求項7】
車体を傾けることで旋回走行可能な車両に備えられ、
光が入射する入射面及び前記入射面に入射した光が出射する出射面の少なくとも一方に、前記出射面から出射する光によって所定のマーカーが車両の周囲の路面に投影されるように前記入射面に照射される光を屈折させる描画寄与領域を含む描画レンズと、
前記描画レンズの光軸と垂直な方向に互いにずれて配置され前記入射面に光を照射する複数の光源を含む光源ユニットと、
制御部と、
を備え、
前記描画レンズは、それぞれの前記光源からの光によってそれぞれの前記光源に対応する前記マーカーを路面に投影
し、
前記複数の光源は、前記描画レンズの光軸及び水平方向と非平行な第1方向に並び、
前記制御部は、前記車体のバンク角に応じて光を出射させる前記光源を変化させる
ことを特徴とするエリアマーカー用灯具。
【請求項8】
前記描画寄与領域は前記出射面に位置する
ことを特徴とする請求項1
から7のいずれか1項に記載のエリアマーカー用灯具。
【請求項9】
それぞれの前記光源に対応する前記マーカーが投影される領域は、互いに重ならない
ことを特徴とする請求項1
から8のいずれか1項に記載のエリアマーカー用灯具。
【請求項10】
前記複数の光源は、前記描画レンズの光軸と非平行な第1方向に並ぶ
ことを特徴とする請求項1から
4、及び6のいずれか1項に記載のエリアマーカー用灯具。
【請求項11】
前記光源ユニットを複数備え、
複数の前記光源ユニットは、前記描画レンズの光軸及び前記第1方向と非平行な第2方向に並ぶ
ことを特徴とする請求項
10に記載のエリアマーカー用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲の路面にマーカーを投影するエリアマーカー用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等のように車体を傾けることで旋回走行可能な車両は、自動四輪車等と比べて他車や歩行者等からの当該車両の被視認性が低い傾向にある。下記特許文献1には、このような車両に備えられ、車両の周囲の路面にマーカーを投影する投影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の車両では、車両の前部、左右両側部、及び後部の4箇所に投影装置が配置される。そして、車両の前部に配置される投影装置は当該車両の前方の路面にマーカーを投影し、車両の左側部に配置される投影装置は当該車両の左側の路面にマーカーを投影し、車両の右側部に配置される投影装置は当該車両の右側の路面にマーカーを投影し、車両の後部に配置される投影装置は当該車両の後方の路面にマーカーを投影する。つまり、それぞれの投影装置は1つのマーカーを路面に投影している。このため、上記特許文献1に記載の車両は、投影するマーカーの数に応じた投影装置が必要になる。ところで、車両では、生産性の向上等の観点から部品点数を減少させたいの要望がある。この要請に対しては、1つの投影装置によって複数のマーカーを投影させて部品点数を減少させることが考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、複数のマーカーを投影し得るエリアマーカー用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の達成のため、本発明のエリアマーカー用灯具は、車体を傾けることで旋回走行可能な車両に備えられ、光が入射する入射面及び前記入射面に入射した光が出射する出射面の少なくとも一方に、前記出射面から出射する光によって所定のマーカーが車両の周囲の路面に投影されるように前記入射面に照射される光を屈折させる描画寄与領域を含む描画レンズと、前記描画レンズの光軸と垂直な方向に互いにずれて配置され前記入射面に光を照射する複数の光源を含む光源ユニットと、を備え、前記描画レンズは、それぞれの前記光源からの光によってそれぞれの前記光源に対応する前記マーカーを路面に投影することを特徴する。
【0007】
このエリアマーカー用灯具では、上記のように、複数の光源は、描画レンズの光軸と垂直な方向に互いにずれて配置され、描画レンズは、それぞれの光源からの光によってそれぞれの光源に対応するマーカーを路面に投影する。このため、それぞれの光源から出射する光の描画寄与領域への入射角を互いに異ならせることができ、それぞれの光源に対応するマーカーが投影される位置をずらし得る。従って、このエリアマーカー用灯具は、複数のマーカーを路面に投影し得る。
【0008】
前記描画寄与領域は前記出射面に位置することとしてもよい。
【0009】
この場合、光が描画レンズから出射する段階で当該光をマーカーの形状に成形することができる。このため、描画寄与領域が上記入射面に位置する場合と比べて、描画寄与領域の形状の設計が容易になり得る。
【0010】
それぞれの前記光源に対応する前記マーカーが投影される領域は、互いに重ならないこととしてもよい。
【0011】
このような構成にすることで、光源の数だけマーカーを路面に投影できる。
【0012】
前記複数の光源は、前記描画レンズの光軸と非平行な第1方向に並ぶこととしてもよい。
【0013】
このような構成にすることで、所定の方向に並ぶ複数のマーカーを路面に投影し得る。
【0014】
複数の光源が描画レンズの光軸と非平行な第1方向に並ぶ場合、前記光源ユニットを複数備え、複数の前記光源ユニットは、前記描画レンズの光軸及び前記第1方向と非平行な第2方向に並ぶこととしてもよい。
【0015】
このような構成にすることで、所定の方向及び当該所定の方向と異なる特定の方向に並ぶ複数のマーカーを路面に投影し得る。
【0016】
上記のエリアマーカー用灯具は、制御部を更に備え、前記制御部は、前記車両の右側のターンシグナルランプまたは左側のターンシグナルランプが点滅するときに、前記複数の光源に光の出射と光の非出射とを繰り返えさせることとしてもよい。
【0017】
このような構成にすることで、右側のターンシグナルランプまたは左側のターンシグナルランプが点滅するときに、路面に投影されるマーカーを点滅させることができる。従って、このエリアマーカー用灯具は、車両の存在とともに、車両の右左折等の動作を当該車両の周囲に報知し得る。
【0018】
或いは、上記のエリアマーカー用灯具は、制御部を更に備え、前記複数の光源は、前記描画レンズの光軸と非平行な第1方向に並び、前記制御部は、前記車両の右側のターンシグナルランプまたは左側のターンシグナルランプが点滅するときに、前記複数の光源の並び順に光を出射させることとしてもよい。
【0019】
このような構成にすることで、マーカーが所定の方向に移動するように見える動画像を路面に描画し得る。従って、このエリアマーカー用灯具は、車両の存在とともに、車両の右左折等の動作を当該車両の周囲に報知し得る。
【0020】
或いは、上記のエリアマーカー用灯具は、制御部を更に備え、前記制御部は、前記車両の右側のターンシグナルランプ及び左側のターンシグナルランプが点滅するときに、前記複数の光源に光の出射と光の非出射とを繰り返えさせることとしてもよい。
【0021】
このような構成にすることで、右側のターンシグナルランプ及び左側のターンシグナルランプが点滅するときに、路面に投影されるマーカーを点滅させることができる。従って、このエリアマーカー用灯具は、車両の存在とともに、車両が異常状態であることなどを当該車両の周囲に報知し得る。
【0022】
或いは、上記のエリアマーカー用灯具は、制御部を更に備え、前記複数の光源は、前記描画レンズの光軸及び水平方向と非平行な第1方向に並び、前記制御部は、前記車体のバンク角に応じて光を出射させる前記光源を変化させることとしてもよい。
【0023】
車体を傾けることで旋回走行可能な車両では、バンク角に応じて路面に投影されるマーカーの位置が当該車両に近づいたり、当該車両から離れたりする。このエリアマーカー用灯具では、上記のように、複数の光源が描画レンズの光軸及び水平方向と非平行な第1方向に並ぶ。このため、それぞれの光源から出射する光における上下方向の描画寄与領域への入射角を互いに異ならせることができ、それぞれの光源に対応するマーカーが投影される位置を車両から離れる方向にずらし得る。また、このエリアマーカー用灯具では、上記のように、車体のバンク角に応じて光を出射させる光源を変化させる。従って、このエリアマーカー用灯具は、バンク角に応じてマーカーの位置が当該車両に近づいたり、当該車両から離れたりすることを抑制し得る。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、複数のマーカーを投影し得るエリアマーカー用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるエリアマーカー用灯具を備える車両を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示す左エリアマーカー用灯具を概念的に示す図である。
【
図3】
図2に示す光源部を概略的に示す正面図である。
【
図4】描画レンズを出射面側から見た正面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態におけるマーカーを説明するための図である。
【
図6】本発明の第1実施形態におけるエリアマーカーランプを含むブロック図である。
【
図7】本発明の第1実施形態における制御部の制御フローチャートの一例を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態における左エリアマーカー用灯具を概念的に示す側面図である。
【
図9】
図8に示す光源部を概略的に示す正面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態におけるマーカーを説明するための図である。
【
図11】本発明の第4実施形態における左エリアマーカー用灯具の光源部を概略的に示す正面図である。
【
図12】本発明の第4実施形態におけるマーカーを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るエリアマーカー用灯具を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示したり、参照符号を省略したりする場合がある。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるエリアマーカー用灯具を備える車両を概略的に示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の車両100は自動二輪車とされる。この車両100は、車体10、ハンドル11、前輪12、後輪13、右側のターンシグナルランプ14、左側のターンシグナルランプ15、ブレーキランプ16、エリアマーカーランプ1等を備える。自動二輪車である車両100は、車体10を傾けることで旋回走行可能である。右側のターンシグナルランプ14は、車体10の右側の前部及び後部にそれぞれ配置される。左側のターンシグナルランプ15は、車体10の左側の前部及び後部にそれぞれ配置される。右側のターンシグナルランプ14と左側のターンシグナルランプ15とは、互いに左右方向に概ね対称な形状とされる。ブレーキランプ16は、車体10の後部に配置される右側のターンシグナルランプ14と車体10の後部に配置される左側のターンシグナルランプ15との間に配置される。なお、左右とは車両100から前方を見る際の左右である。
【0028】
エリアマーカーランプ1は、車両100の周囲の路面に所定のマーカーを投影するランプである。本実施形態のエリアマーカーランプ1は、複数のエリアマーカー用灯具1R,1Lから構成される。具体的には、エリアマーカーランプ1は、右エリアマーカー用灯具1R及び左エリアマーカー用灯具1Lから構成される。右エリアマーカー用灯具1Rは、車体10の右側に配置され、車両100の右側の路面上に複数のマーカーを投影し、左エリアマーカー用灯具1Lは、車体10の左側に配置され、車両100の左側の路面上に複数のマーカーを投影する。なお、これらマーカーの投影については後述する。
【0029】
本実施形態では、右エリアマーカー用灯具1Rと左エリアマーカー用灯具1Lとは、互いに左右方向に概ね対称な構成とされる。このため、以下では左エリアマーカー用灯具1Lについて説明し、右エリアマーカー用灯具1Rについてはその説明を適宜省略する。
【0030】
図2は、
図1に示す左エリアマーカー用灯具1Lを概念的に示す図であり、上方斜め左側方から左エリアマーカー用灯具1Lを見る図である。なお、
図2において、左側が車両100の左側方側であり、上方側が車両100の前方側であり、下方側が車両100の後方側である。
図2に示すように、左エリアマーカー用灯具1Lは、光源部70Lと、描画レンズ80と、制御部COと、を主な構成として備え、不図示の構成によって車両100の車体10に固定されている。
【0031】
図3は、
図2に示す光源部70Lを概略的に示す正面図であり、後述する基板の実装面側から見る図である。なお、
図3において、左側が車両100の前方側であり、右側が車両100の後方側であり、上方側が車両100の上方側であり、下方側が車両100の下方側である。
図3に示すように、本実施形態の光源部70Lは、第1光源ユニット71、及び基板75を有する。第1光源ユニット71は、互いに異なる位置に配置される複数の光源71a,71b,71cを含む。本実施形態では、第1光源ユニット71は、互いに異なる位置に配置される3つの光源71a,71b,71cから構成される。これら光源71a,71b,71cは、前後方向及び上方斜め左側方に延在するように配置される基板75に実装され、左側方斜め下方に向かって光を出射する。このように基板75に実装されるこれら光源71a,71b,71cは、水平方向及び前後方向に概ね平行な第1方向に所定の間隔をあけて並び、光源71aは光源71bより前方に位置し、光源71cは光源71bより後方に位置し、光源71bは光源71aと光源71cとの間に位置している。また、これら光源71a,71b,71cの光軸は、基板75の実装面と概ね垂直であり、互いに概ね平行である。また、これら光源71a,71b,71cは、白色の光を出射するLED(Light Emitting Diode)とされ、基板75に設けられる不図示の電源回路に接続されている。また、これら光源71a,71b,71cから出射する光の全光束量は、概ね同じとされる。詳細については後述するが、上記の電源回路に制御部COが接続され、制御部COによって光源71a,71b,71cからの光の出射が制御される。
【0032】
なお、光源の数は複数であればよく、特に限定されるものではない。また、これら光源から出射する光の色は特に限定されるものではない。また、複数の光源のうち少なくとも2つの光源から出射する光の色が互いに異なっていてもよく、それぞれの光源から出射する光の色が互いに異なっていてもよい。
【0033】
図2に示すように、描画レンズ80は、光源部70Lより左側方に配置される。描画レンズ80は、光源部70Lに対向する入射面81と、入射面81を基準にして光源部70L側と反対側に位置し入射面81に入射した光が出射する出射面82とを有している。そして、描画レンズ80は、出射面82から出射する光によって所定のマーカーを路面RFに投影するように構成される。
【0034】
本実施形態では、入射面81は概ね平面状の形状を有し、出射面82は光源部70L側と反対側に向かって凸となる形状を有している。そして、描画レンズ80は、第1光源ユニット71の複数の光源71a,71b,71cから出射するそれぞれの光が入射面81に照射されるように配置されている。具体的には、描画レンズ80の光軸80aは、左側方に向かって路面RFに近づくように傾斜しており、基板75の実装面と概ね垂直であり、複数の光源71a,71b,71cの並列方向である上記の第1方向と概ね垂直である。つまり、複数の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に互いにずれており、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に並列されている。なお、
図2は、描画レンズ80を光軸80a及び上記の第1方向と垂直な方向から見る図である。また、本実施形態では、光源71bは、描画レンズ80における光源部70L側の焦点上に位置し、他の光源71a,71cは、描画レンズ80の光軸80a上に位置していない。また、複数の光源71a,71b,71cの並列方向である上記の第1方向と平行な方向において、光源71aは光軸80aを基準とした前方側に位置し、光源71cは光軸80aを基準とした後方側に位置している。
【0035】
なお、入射面81におけるそれぞれの光源71a,71b,71cから出射する光が照射される領域は、互いに重なっており、本実施形態ではこれら領域は概ね同じとされている。つまり、光源71a,71b,71cから出射する光は、入射面81における概ね同じ領域から描画レンズ80に入射する。なお、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光は、入射面81の全体に照射されてもよい。
【0036】
図4は、描画レンズ80を出射面82側から見た正面図である。
図2、
図4に示すように、出射面82は、出射面82の外縁側に位置する描画非寄与領域84と、当該描画非寄与領域84の内側に位置する描画寄与領域83とを含んでいる。描画非寄与領域84は、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光が殆ど出射しない領域、或いは、当該領域から光が出射する場合でもこの光の拡散角が大きくなり、路面RFへの投影像として殆ど現れない領域であり、路面描画に寄与しない領域である。一方、描画寄与領域83は、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光の大部分が出射する領域であり、路面描画に寄与する領域である。そして、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光の大部分は、この描画寄与領域83の全体から出射する。つまり、それぞれの光源71a,71b,71cから出射して描画レンズ80に入射した光の大部分は、出射面82における概ね同じ領域から出射する。
【0037】
なお、出射面82の全体が描画寄与領域83となるように描画レンズ80を形成してもよい。
【0038】
図2に示すように、本実施形態の描画寄与領域83は、光源71bから出射する光のうち入射面81に入射し出射面82における描画寄与領域83から出射する光L1bによって、車両100から左側方に所定の距離離れた路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lbが投影されるように、この光L1bを屈折する。より具体的には、描画寄与領域83は、上下方向及び前後方向に区分けされる不図示の格子領域から構成される。それぞれの格子領域は、当該格子領域から出射する光によってマーカー91Lbにおける互いに異なる一部が投影されるように、当該格子領域に入射する光を屈折して出射する。そして、これら格子領域から出射する光、つまり描画寄与領域83の全体から出射する光によってマーカー91Lbが路面RFに投影される。
【0039】
なお、いくつかの格子領域は、当該格子領域から出射する光によってマーカー91Lbにおける互いに同じ一部が投影されるように、当該格子領域に入射する光を屈折して出射してもよい。また、それぞれの格子領域は、平面であってもよく、曲面であってもよい。また、光軸80aに沿った方向から見る場合の描画寄与領域83の外形と路面RFに投影されるマーカー91Lbの外形とは異なり、本実施形態では、光軸80aに沿った方向から見る場合の描画寄与領域83の外形は概ね円形とされている。また、上記所定の距離は、車体10が左右方向に傾いていない状態での距離であり、平面視における車体10の中心を通り前後方向と平行な直線との距離である。この所定の距離は、例えば、車体10から0.3m以上3m以下の距離であってもよい。
【0040】
このような構成を有する左エリアマーカー用灯具1Lでは、第1光源ユニット71の光源71bのみから光が出射すると、上記のように、光源71bから出射する光のうち入射面81に入射し出射面82における描画寄与領域83から出射する光L1bによって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lbが投影される。また、第1光源ユニット71の光源71aのみから光が出射すると、光源71bのみから光が出射する場合と同様に、光源71aから出射する光のうち入射面81に入射し出射面82における描画寄与領域83から出射する光L1aによって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Laが投影される。上記のように、光源71aは光源71bより前方に位置し、光源71bは描画レンズ80における光源部70L側の焦点上に配置されている。このため、光源71aから出射する光は、光源71bから出射する光より前方側から描画寄与領域83に向かって伝搬し、描画寄与領域83から出射する光L1aは、描画寄与領域83から出射する光L1bより後方側に向かって伝搬する。そして、光L1aによって路面RFに投影される前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Laは、光L1bによって路面RFに投影されるマーカー91Lbより後方側に投影される。また、第1光源ユニット71の光源71cのみから光が出射すると、光源71bのみから光が出射する場合と同様に、光源71cから出射する光のうち入射面81に入射し出射面82における描画寄与領域83から出射する光L1cによって、前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lcが投影される。上記のように、光源71cは光源71bより後方に位置し、光源71bは描画レンズ80における光源部70L側の焦点上に配置されている。このため、光源71cから出射する光は、光源71bから出射する光より後方側から描画寄与領域83に向かって伝搬し、描画寄与領域83から出射する光L1cは、描画寄与領域83から出射する光L1bより前方側に向かって伝搬する。そして、光L1cによって路面RFに投影される前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lcは、光L1bによって路面RFに投影されるマーカー91Lbより前方側に投影される。このように、描画レンズ80は、それぞれの光源71a,71b,71cからの光によってそれぞれの光源71a,71b,71cに対応するマーカー91La,91Lb,91Lcを路面RFに投影する。なお、
図2では、光源71aからの光L1aは破線で示され、光源71bからの光L1bは実線で示され、光源71cからの光L1cは二点鎖線で示されている。
【0041】
図5は、本実施形態におけるマーカーを説明するための図であり、上方から路面を見る図である。
図5には、マーカーの一例とともに車両100が記載されている。また、
図5のマーカーは、車体10が左右に傾倒しない状態で左エリアマーカー用灯具1Lの全ての光源71a,71b,71c及び後述する右エリアマーカー用灯具1Rの全ての光源から光が出射するときに路面RFに投影されるマーカーである。
図5に示すように、左エリアマーカー用灯具1Lの3つの光源71a,71b,71cから光が出射するとき、車両100の左側の路面RFには3つのマーカー91La,91Lb,91Lcが投影される。本実施形態では、光源71aからの光である光L1aによるマーカー91Laが投影される領域と、光源71bからの光である光L1bによるマーカー91Lbが投影される領域と、光源71cからの光である光L1cによるマーカー91Lcが投影される領域とは互いに重ならない。つまり、これらマーカー91La,91Lb,91Lcが投影される領域が互いに重ならないように、光源71a,71b,71cの描画レンズ80に対する位置、描画レンズ80の路面RFに対する傾き等が調節されている。また、上記のように、マーカー91Laはマーカー91Lbより後方に投影され、マーカー91Lcはマーカー91Lbより前方に投影される。つまり、これらマーカー91La,91Lb,91Lcは、前後方向に並んでいる。また、これらマーカー91La,91Lb,91Lcと描画レンズ80との距離は概ね同じであり、これらマーカー91La,91Lb,91Lcの大きさは概ね同じとされている。
【0042】
なお、このようなマーカー91La,91Lb,91Lcを形成する描画寄与領域83の形状は、例えば、描画レンズの材料、描画レンズの大きさ、描画レンズの出射面の曲率、描画レンズの出射面又は入射面に施される微細加工、あるいはその他の条件によって変わり得る。また、マーカー91La,91Lb,91Lcの形状及び寸法は、
図4に示すものに限定されるものではない。例えば、これらマーカーの形状は、前後方向に長尺な楕円形であってもよく、円形であってもよい。
【0043】
右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の車体10に対する向きが左エリアマーカー用灯具1Lと異なる点を除いて、左エリアマーカー用灯具1Lと同様の構成とされる。なお、本実施形態では、右エリアマーカー用灯具1Rと左エリアマーカー用灯具1Lとは、制御部COを共有する。しかし、右エリアマーカー用灯具1R及び左エリアマーカー用灯具1Lのそれぞれが、制御部COを備えていてもよい。右エリアマーカー用灯具1Rは、左エリアマーカー用灯具1Lと左右対称となるように車体10の右側に固定され、右エリアマーカー用灯具1Rでは、描画レンズ80の光軸80aは、右側方に向かって路面RFに近づくように傾斜する。このため、右エリアマーカー用灯具1Rは、右側斜め下方に向けて光を出射する。そして、右エリアマーカー用灯具1Rは、
図5に示すように、3つの光源71a,71b,71cから光が出射するとき、前後方向に長尺な略矩形の3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを車両100の右側の路面RFに投影する。これらマーカー91Ra,91Rb,91Rcは、左エリアマーカー用灯具1Lによって投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcと同様に、前後方向に並んでおり、これらマーカー91Ra,91Rb,91Rcと描画レンズ80との距離は概ね同じであり、これらマーカー91Ra,91Rb,91Rcの大きさは概ね同じとされている。
【0044】
図6は、本実施形態におけるエリアマーカーランプ1を含むブロック図である。
図6に示すように、本実施形態では、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70R、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70L、マーカースイッチ41、ターンスイッチ42、ハザードスイッチ43、バンク角センサ46等が制御部COに電気的に接続される。この制御部COは、車両100の電子制御装置の一部とされてもよい。また、マーカースイッチ41、ターンスイッチ42、ハザードスイッチ43、及びバンク角センサ46は、車両100の電子制御装置を介して制御部COに電気的に接続されてもよい。
【0045】
制御部COは、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、制御部COは、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。本実施形態では、制御部COは、車体10に配置される。そして、以下に説明するように、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70R及び左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lが制御部COにより制御される。
【0046】
マーカースイッチ41は、運転者がエリアマーカーランプ1によってマーカーを投影するか否か指示するスイッチである。例えば、マーカースイッチ41がオンされる場合、マーカースイッチ41はマーカーの投影を指示する信号を出力する。
【0047】
ターンスイッチ42は、運転者が車両100の左右のターンシグナルランプ14,15の状態の選択をするスイッチである。例えば、ターンスイッチ42は、右側のターンシグナルランプ14が点滅する状態が選択された場合、この状態を指示する信号を出力し、左側のターンシグナルランプ15が点滅する状態が選択された場合、この状態を指示する信号を出力し、左右のターンシグナルランプ14,15が非点灯とされる状態が選択された場合、信号を出力しない。
【0048】
ハザードスイッチ43は、運転者が右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の両方を点滅させるか否かを指示するスイッチである。例えば、ハザードスイッチ43がオンされる場合、ハザードスイッチ43は右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の両方の点滅を指示する信号を出力する。
【0049】
バンク角センサ46は、車体10の左右のバンク角を検出するセンサである。なお、左右のバンク角は、鉛直方向を基準とした車体10の左右の傾き角である。このバンク角センサ46は、右への傾き角と左への傾き角とを異なる傾き角と識別しつつこれらの傾き角を検出し、検出した傾き角に応じた信号を出力する。バンク角センサ46として、例えば、ジャイロセンサ等が挙げられる。
【0050】
次に、本実施形態のエリアマーカーランプ1の動作について説明する。具体的には、左右のターンシグナルランプ14,15の状態に応じて投影するマーカーを変化させる動作について説明する。
図7は、本実施形態における制御部COの制御フローチャートの一例を示す図である。
【0051】
(ステップSP1)
本実施形態では、まず、マーカースイッチ41がオンされ、マーカースイッチ41からマーカーの投影を指示する信号が制御部COに入力されると、制御部COの制御フローはステップSP2に進む。一方、本ステップにおいて、この信号が制御部COに入力されない場合、制御部COの制御フローはステップSP4に進む。
【0052】
(ステップSP2)
本ステップでは、制御部COは、車両の状態を検出する。具体的には、制御部COは、ターンスイッチ42からの信号に基づいて、左右のターンシグナルランプ14,15の状態を検出する。本実施形態では、制御部COは、当該制御部COにターンスイッチ42から信号が入力しない場合に、左右のターンシグナルランプ14,15の状態が非点灯の状態であると検出する。また、制御部COは、当該制御部COにターンスイッチ42から右側のターンシグナルランプ14が点滅する状態を指示する信号が入力する場合に、左右のターンシグナルランプ14,15の状態が右側のターンシグナルランプ14が点滅する状態であると検出する。また、制御部COは、当該制御部COにターンスイッチ42から左側のターンシグナルランプ15が点滅する状態を指示する信号が入力する場合に、左右のターンシグナルランプ14,15の状態が左側のターンシグナルランプ15が点滅する状態であると検出する。そして、制御部COの制御フローはステップSP3に進む。
【0053】
(ステップSP3)
本ステップでは、制御部COは、ステップSP2において検出した車両の状態に応じたマーカーが投影されるように、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70R及び左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lを制御する。具体的には、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態が非点灯の状態である場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、左右のターンシグナルランプ14,15が非点灯のとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。従って、車両100の周囲に存在する人は、左右のマーカー91Ra,91Rb,91Rc,91La,91Lb,91Lcの投影によって車両100の存在を認識し得る。
【0054】
また、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態が左側のターンシグナルランプ15が点滅する状態である場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、所定の時間間隔で光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、左のターンシグナルランプ15が点滅するとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを所定の時間間隔で繰り返し投影し、左側の路面RFに投影されるこれら3つのマーカー91La,91Lb,91Lcが点滅する。従って、車両100の周囲に存在する人は、左右のマーカー91Ra,91Rb,91Rc,91La,91Lb,91Lcの投影によって車両100の存在を認識し得るとともに、左のこれらマーカー91La,91Lb,91Lcの点滅によって例えば車両100の左折の動作を認識し得る。
【0055】
また、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態が右側のターンシグナルランプ14が点滅する状態である場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、所定の時間間隔で光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、右のターンシグナルランプ14が点滅するとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを所定の時間間隔で繰り返し投影し、右側の路面RFに投影されるこれら3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcが点滅する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。従って、車両100の周囲に存在する人は、左右のマーカー91Ra,91Rb,91Rc,91La,91Lb,91Lcの投影によって車両100の存在を認識し得るとともに、右のマーカー91Ra,91Rb,91Rcの点滅によって例えば車両100の右折の動作を認識し得る。
【0056】
このような制御部COは、車両100の右側のターンシグナルランプ14または左側のターンシグナルランプ15が点滅するときに、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rまたは左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、光の出射と光の非出射とを繰り返えさせていると理解できる。
【0057】
(ステップSP4)
本ステップでは、制御部COは、マーカーが非投影とされるように、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70R及び左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lを制御する。具体的には、上記のようにステップSP1においてマーカースイッチ41からマーカーの投影を指示する信号が制御部COに入力されずに制御部COの制御フローがステップSP4に進んだ場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rを制御して、当該光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cからの光を非出射にする。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lを制御して、当該光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cからの光を非出射にする。つまり、エリアマーカーランプ1は、マーカーを非投影とする。そして、制御部COの制御フローはステップSP1に進む。
【0058】
このように、本実施形態のエリアマーカーランプ1は、マーカースイッチ41がオンの状態において左右のターンシグナルランプ14,15が非点灯の場合、右のエリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影し、左のエリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。また、エリアマーカーランプ1は、マーカースイッチ41がオンの状態において左側のターンシグナルランプ15が点滅する場合、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影し、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを所定の時間間隔で点滅するように投影する。また、エリアマーカーランプ1は、マーカースイッチ41がオンの状態において右側のターンシグナルランプ14が点滅する場合、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを所定の時間間隔で点滅するように投影し、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。このため、エリアマーカーランプ1は、左右のエリアマーカー用灯具1R,1Lによって投影されるマーカーによって、車両100の存在とともに、車両100の右左折等の動作を当該車両100の周囲に報知し得る。
【0059】
以上説明したように、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lのそれぞれは、車体10を傾けることで旋回走行可能な車両100に備えられ、描画レンズ80と、第1光源ユニット71と、を備える。描画レンズ80は、出射面82から出射する光によって所定のマーカーが車両の周囲の路面RFに投影されるように入射面81に照射される光を屈折させる描画寄与領域83を含む。第1光源ユニット71は、描画レンズ80の光軸80aと垂直な方向に互いにずれて配置され入射面81に光を照射する複数の光源71a,71b,71cを含む。描画レンズ80は、それぞれの光源71a,71b,71cからの光によってそれぞれの光源71a,71b,71cに対応するマーカーを路面RFに投影する。
【0060】
このため、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光の描画寄与領域83への入射角を互いに異ならせることができ、それぞれの光源71a,71b,71cに対応するマーカーが投影される位置をずらすことができる。従って、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、複数のマーカーを路面RFに投影し得る。
【0061】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lでは、描画寄与領域83は描画レンズ80の出射面82に位置する。このため、光が描画レンズ80から出射する段階で当該光をマーカーの形状に成形することができる。このため、描画寄与領域83が入射面81に位置する場合と比べて、描画寄与領域83の形状の設計が容易になり得る。ただし、描画寄与領域83は入射面81に位置してもよいし、入射面81及び出射面82の双方に位置してもよい。
【0062】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lでは、それぞれの光源71a,71b,71cに対応するマーカーが投影される領域は、互いに重ならない。このため、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、光源の数だけマーカーを路面RFに投影できる。なお、エリアマーカー用灯具1R,1Lは、複数のマーカーを投影できればよい。例えば、それぞれの光源に対応するマーカーのうち少なくとも2つのマーカーが投影される領域が互いに重なっていてもよい。この場合、投影される領域が互いに重なるマーカーによって当該マーカーよりも大きいマーカーを路面RFに投影できる。
【0063】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lでは、複数の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な第1方向に並ぶ。このため、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、所定の方向に並ぶ複数のマーカーを路面RFに投影し得る。なお、所定の方向に並ぶ複数のマーカーを路面RFに投影する観点では、複数の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80aと非平行な方向に並んでいればよく、上記の第1方向は光軸80aと垂直でなくてもよい。
【0064】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、制御部COを備える。この制御部COは、車両100の右側のターンシグナルランプ14または左側のターンシグナルランプ15が点滅するときに、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rまたは左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける複数の光源71a,71b,71cに光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる。このため、右側のターンシグナルランプ14または左側のターンシグナルランプ15が点滅するときに、路面RFに投影されるマーカーを点滅させることができる。従って、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、車両100の存在とともに、車両100の右左折等の動作を当該車両100の周囲に報知し得る。
【0065】
なお、制御部COは、右側のターンシグナルランプ14または左側のターンシグナルランプ15の点滅に応じて、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rまたは左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける複数の光源71a,71b,71cに光の出射と光の非出射とを繰り返えさせることが好ましい。このような構成にすることで、右側のターンシグナルランプ14または左側のターンシグナルランプ15の点滅に応じてマーカーを点滅させることができ、視認者がマーカーの点滅に違和感を覚えることを抑制し得る。
【0066】
なお、本実施形態では、ハザードスイッチ43、及びバンク角センサ46は、制御部COに電気的に接続されていなくてもよい。
【0067】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0068】
図8は、本実施形態における左エリアマーカー用灯具1Lを概念的に示す側面図である。
図9は、
図8に示す光源部70Lを概略的に示す正面図であり、基板75の実装面側から見る図である。なお、
図9において、左側が車両100の前方側であり、右側が車両100の後方側であり、上方側が車両100の上方側であり、下方側が車両100の下方側である。
図8、
図9に示すように、本実施形態の左エリアマーカー用灯具1Lは、光源部70Lにおける複数の光源71a,71b,71cが上方斜め左側方に向かう方向に所定の間隔をあけて並ぶ点において、第1実施形態の左エリアマーカー用灯具1Lと主に異なる。
【0069】
本実施形態では、基板75に実装される3つの光源71a,71b,71cは、上記のように、上方斜め左側方に向かう方向に所定の間隔をあけて並ぶ。つまり、複数の光源71a,71b,71cの並列方向である第1方向は、上方斜め左側方に向かう方向である。また、光源71aは光源71bより上方かつ左側方に位置し、光源71cは光源71bより下方かつ右側方に位置し、光源71bは光源71aと光源71cとの間に位置している。また、これら光源71a,71b,71cの光軸は、基板75の実装面と概ね垂直であり、互いに概ね平行である。これら光源71a,71b,71cは、左側方斜め下方に向かって白色の光を出射する。なお、本実施形態では、光源71cから出射する光の全光束量は光源71bから出射する光の全光束量より大きく、光源71bから出射する光の全光束量は光源71aから出射する光の全光束量より大きい。
【0070】
描画レンズ80は、第1実施形態と同様に、第1光源ユニット71の複数の光源71a,71b,71cから出射するそれぞれの光が入射面81に照射されるように、光源部70Lより左側方に配置される。また、描画レンズ80の光軸80aは、左側方に向かって路面RFに近づくように傾斜しており、基板75の実装面と概ね垂直であり、複数の光源71a,71b,71cの並列方向である上記の第1方向と概ね垂直である。つまり、複数の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に互いにずれており、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に並列されている。また、光源71bは、描画レンズ80における光源部70L側の焦点上に位置し、他の光源71a,71cは、描画レンズ80の光軸80a上に位置していない。また、複数の光源71a,71b,71cの並列方向である上記の第1方向と平行な方向において、光源71aは光軸80aを基準とした上方側に位置し、光源71cは光軸80aを基準とした下方側に位置している。
【0071】
また、入射面81におけるそれぞれの光源71a,71b,71cから出射する光が照射される領域は、互いに重なっており、本実施形態ではこれら領域は概ね同じとされている。つまり、光源71a,71b,71cから出射する光は、入射面81における概ね同じ領域から描画レンズ80に入射する。
【0072】
図8に示すように、本実施形態の左エリアマーカー用灯具1Lでは、光源71bのみから光が出射すると、光源71bから出射する光のうち入射面81に入射し出射面82における描画寄与領域83から出射する光L1bによって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lbが投影される。また、光源71aのみから光が出射すると、光源71bのみから光が出射する場合と同様に、光源71aから出射する光のうち入射面81に入射し出射面82における描画寄与領域83から出射する光L1aによって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Laが投影される。上記のように、光源71aは光源71bより上方に位置し、光源71bは描画レンズ80における光源部70L側の焦点上に配置されている。このため、光源71aから出射する光は、光源71bから出射する光より上方側から描画寄与領域83に向かって伝搬し、描画寄与領域83から出射する光L1aは、描画寄与領域83から出射する光L1bより下方側に向かって伝搬する。そして、光L1aによって路面RFに投影される前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Laは、光L1bによって路面RFに投影されるマーカー91Lbより車両100側に投影される。また、光源71cのみから光が出射すると、光源71bのみから光が出射する場合と同様に、光源71cから出射する光のうち入射面81に入射し出射面82における描画寄与領域83から出射する光L1cによって、前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lcが投影される。上記のように、光源71cは光源71bより下方に位置し、光源71bは描画レンズ80における光源部70L側の焦点上に配置されている。このため、光源71cから出射する光は、光源71bから出射する光より下方側から描画寄与領域83に向かって伝搬し、描画寄与領域83から出射する光L1cは、描画寄与領域83から出射する光L1bより下方側に向かって伝搬する。そして、光L1cによって路面RFに投影される前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lcは、光L1bによって路面RFに投影されるマーカー91Lbより車両100側と反対側に投影される。このように、描画レンズ80は、それぞれの光源71a,71b,71cからの光によってそれぞれの光源71a,71b,71cに対応するマーカー91La,91Lb,91Lcを路面RFに投影する。なお、本実施形態における光軸80aに沿った方向から見る場合の描画寄与領域83の外形は、第1実施形態と同様に、概ね円形とされている。このため、光軸80aに沿った方向から見る場合の描画寄与領域83の外形と路面RFに投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcの外形とは異なる。
【0073】
図10は、本実施形態におけるマーカーを説明するための図であり、上方から路面を見る図である。
図10には、
図5と同様に、マーカーの一例とともに車両100が記載されている。また、
図10のマーカーは、車体10が左右に傾倒しない状態で左エリアマーカー用灯具1Lの全ての光源71a,71b,71c及び後述する右エリアマーカー用灯具1Rの全ての光源から光が出射するときに路面RFに投影されるマーカーである。
図10に示すように、3つの光源71a,71b,71cから光が出射するとき、路面RFには3つのマーカー91La,91Lb,91Lcが投影される。本実施形態では、光源71aからの光である光L1aによるマーカー91Laが投影される領域と、光源71bからの光である光L1bによるマーカー91Lbが投影される領域と、光源71cからの光である光L1cによるマーカー91Lcが投影される領域とは互いに重ならない。つまり、これらマーカー91La,91Lb,91Lcが投影される領域が互いに重ならないように、光源71a,71b,71cの描画レンズ80に対する位置、描画レンズ80の路面RFに対する傾き等が調節されている。また、上記のように、マーカー91Laはマーカー91Lbより車両100側に投影され、マーカー91Lcはマーカー91Lbより車両100側と反対側に投影される。つまり、これらマーカー91La,91Lb,91Lcは、マーカー91La、マーカー91Lb、マーカー91Lcの順で描画レンズ80から遠ざかっており、この順で大きくなる。そして、これらマーカー91La,91Lb,91Lcは、車両100の左側方に向かって並んでいる。なお、本実施形態では、上記のように、光源71cから出射する光の全光束量は光源71bから出射する光の全光束量より大きく、光源71bから出射する光の全光束量は光源71aから出射する光の全光束量より大きい。従って、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光の全光束量は、当該光によって路面RFに投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcが大きい光源ほど大きい。また、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光の全光束量は、当該光によって路面RFに投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcが車両100から遠ざかる光源ほど大きい。
【0074】
本実施形態の右エリアマーカー用灯具1Rは、第1実施形態と同様に、車両100の車体10に対する向きが左エリアマーカー用灯具1Lと異なる点を除いて、左エリアマーカー用灯具1Lと同様の構成とされる。右エリアマーカー用灯具1Rは、左エリアマーカー用灯具1Lと左右対称となるように車体10の右側に固定され、右エリアマーカー用灯具1Rでは、描画レンズ80の光軸80aは、右側方に向かって路面RFに近づくように傾斜する。そして、
図10に示すように、右エリアマーカー用灯具1Rは、3つの光源71a,71b,71cから光が出射するとき、前後方向に長尺な略矩形の3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを車両100の右側の路面RFに投影する。これらマーカー91Ra,91Rb,91Rcは、マーカー91Ra、マーカー91Rb、マーカー91Rcの順で右側方に向かって並んでいる。また、これらマーカー91Ra,91Rb,91Rcは、マーカー91Ra、マーカー91Rb、マーカー91Rcの順で描画レンズ80から遠ざかっており、この順で大きくなっている。
【0075】
次に、本実施形態のエリアマーカーランプ1の動作について説明する。具体的には、左右のターンシグナルランプ14,15の状態に応じて投影するマーカーを変化させる動作について説明する。本実施形態の制御部COの制御フローチャートは、第1実施形態における制御部COの制御フローチャートと同じとされる。しかし、本実施形態のステップSP3における制御部COのエリアマーカー用灯具1R,1Lにおける光源部70R,70Lの制御は、第1実施形態の制御部COの光源部70R,70Lの制御と異なる。このため、
図7を参照して本実施形態のエリアマーカーランプ1の動作について説明する。
【0076】
(ステップSP3)
本実施形態のステップSP3では、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態が非点灯の状態である場合、制御部COは、第1実施形態と同様に、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、左右のターンシグナルランプ14,15が非点灯のとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。
【0077】
また、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態が左側のターンシグナルランプ15が点滅する状態である場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。このため、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcが投影される。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、これら光源71a,71b,71cの並び順に光を出射させる。具体的には、制御部COは、光源部70Lに、光源71aから所定の時間だけ光を出射させた後、光源71bから所定の時間だけ光を出射させ、さらにその後に光源71cから所定の時間だけ光を出射させることを繰り返させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。このため、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに、マーカー91La、マーカー91Lb、マーカー91Lcがこの順で投影される。従って、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに、マーカーが左側方に向かって移動するように見える動画像を描画する。
【0078】
また、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態が右側のターンシグナルランプ14が点滅する状態である場合、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、これら光源71a,71b,71cの並び順に光を出射させる。具体的には、制御部COは、光源部70Rに、光源71aから所定の時間だけ光を出射させた後、光源71bから所定の時間だけ光を出射させ、さらにその後に光源71cから所定の時間だけ光を出射させることを繰り返させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。このため、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに、マーカー91Ra、マーカー91Rb、マーカー91Rcがこの順で投影される。従って、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに、マーカーが右側方に向かって移動するように見える動画像を描画する。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。このため、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcが投影される。
【0079】
このように、本実施形態のエリアマーカーランプ1は、マーカースイッチ41がオンの状態において左右のターンシグナルランプ14,15が非点灯の場合、右のエリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影し、左のエリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。また、マーカースイッチ41がオンの状態において左側のターンシグナルランプ15が点滅する場合、エリアマーカーランプ1は、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面に3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影し、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFにマーカーが左側方に向かって移動するように見える動画像を描画する。また、マーカースイッチ41がオンの状態において右側のターンシグナルランプ14が点滅する場合、エリアマーカーランプ1は、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFにマーカーが左側方に向かって移動するように見える動画像を描画し、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。このため、エリアマーカーランプ1は、左右のエリアマーカー用灯具1R,1Lによって投影されるマーカーによって、車両100の存在とともに、車両100の右左折等の動作を当該車両100の周囲に報知し得る。
【0080】
このように、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lのそれぞれは、第1実施形態と同様にして、複数のマーカーを路面RFに投影し得る。また、本実施形態の制御部COは、車両100の右側のターンシグナルランプ14または左側のターンシグナルランプ15が点滅するときに、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rまたは左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける複数の光源71a,71b,71cの並び順に光を出射させる。このため、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、上記のように、マーカーが所定の方向に移動するように見える動画像を路面RFに描画し得、車両100の存在とともに、車両100の右左折等の動作を当該車両100の周囲に報知し得る。
【0081】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lでは、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光の全光束量は、当該光によって路面RFに投影されるマーカーが大きい光源ほど大きい。このため、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光に対応するマーカーにおける輝度のばらつきを抑制し得る。このため、視認者が路面RFに投影されるマーカーや当該マーカーに基づく描画像に違和感を覚えることを抑制し得る。ただし、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光の全光束量は、特に限定されるものではなく、例えば、互いに同じとされてもよい。
【0082】
なお、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態が非点灯の状態である場合、制御部COは、ステップSP3において、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rと左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lとを下記のように制御してもよい。すなわち、制御部COは、光源部70Rにおける少なくとも1つの光源71a,71b,71cに光を出射させるとともに、光源部70Lにおける少なくとも1つの光源71a,71b,71cに光を出射させてもよい。この場合、左右のターンシグナルランプ14,15が非点灯のとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに少なくとも1つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影し、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに少なくとも1つのマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。従って、このような場合であっても、車両100の周囲に存在する人は、左右のこれらマーカー91La,91Lb,91Lcの投影によって車両100の存在を認識し得る。
【0083】
また、制御部COは、ステップSP3において、光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cにこれら光源71a,71b,71cの並び順に光を出射させるとき、下記のように光源部70Lを制御してもよい。制御部COは、光源部70Lにおいて、光源71aから光を出射させてから所定の時間経過後に、光源71bから光を出射させる。なお、光源71aからの光の出射は維持されるため、2つのマーカー91La,91Lbが路面RFに投影される。次に、制御部COは、光源71bから光を出射させてから所定の時間経過後に、光源71cから光を出射させる。なお、光源71a,71bからの光の出射は維持されるため、3つのマーカー91La,91Lb,91Lcが路面RFに投影される。次に、制御部COは、光源71cから光を出射させてから所定の時間経過後に、光源71a,71b,71cから光を非出射とする。このため、路面RFに投影されていた3つのマーカー91La,91Lb,91Lcが消える。そして、制御部COは、光源71a,71b,71cから光を非出射としてから所定の時間経過後に、光源71aから光を出射させ、マーカー91Laのみを路面RFに投影させる。制御部COは、光源71a,71b,71cに、このような光の出射を繰り返させる。この場合、左エリアマーカー用灯具1Lは、左側方に向かって光が流れるように見える動画像を路面RFに描画し得る。なお、ステップSP3において、制御部COが光源部70Rに対して同様の制御を行う場合、右エリアマーカー用灯具1Rは、右側方に向かって光が流れるように見える動画像を路面RFに描画し得る。
【0084】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lでは、光源ユニット71における複数の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な第1方向に並ぶ。また、エリアマーカー用灯具1Lにおける第1方向は、上方斜め左側方に向かう方向であり、エリアマーカー用灯具1Rにおける第1方向は、上方斜め右側方に向かう方向である。つまり、光源ユニット71における複数の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80aと垂直かつ水平方向と非平行な第1方向に並んでいる。このため、それぞれの光源71a,71b,71cから出射する光における上下方向の描画寄与領域83への入射角を互いに異ならせることができ、それぞれの光源71a,71b,71cに対応するマーカーが投影される位置を車両100から離れる方向にずらし得る。なお、それぞれの光源71a,71b,71cに対応するマーカーが投影される位置を車両100から離れる方向にずらす観点では、複数の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80a及び水平方向と非平行な第1方向に並んでいればよく、上記の第1方向は光軸80aと垂直でなくてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、ハザードスイッチ43、及びバンク角センサ46は、制御部COに電気的に接続されていなくてもよい。
【0086】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0087】
本実施形態のエリアマーカーランプ1の構成は、第1実施形態のエリアマーカーランプ1の構成と同じである。つまり、右エリアマーカー用灯具1Rの構成は、第1実施形態の右エリアマーカー用灯具1Rの構成と同じであり、左エリアマーカー用灯具1Lの構成は、第1実施形態の左エリアマーカー用灯具1Lの構成と同じである。しかし、本実施形態のエリアマーカーランプ1の動作は、第1実施形態のエリアマーカーランプ1の動作と異なる。具体的には、本実施形態のエリアマーカーランプ1は、左右のターンシグナルランプ14,15のハザード点滅に応じて投影するマーカーを変化させる。
【0088】
本実施形態の制御部COの制御フローチャートは、第1実施形態における制御部COの制御フローチャートと同じとされる。しかし、本実施形態のステップSP2における制御部COの車両の状態の検出は、第1実施形態における制御部COの車両の状態の検知と異なる。また、本実施形態のステップSP3における制御部COのエリアマーカーランプ1の制御は、第1実施形態の制御部COのエリアマーカーランプ1の制御と異なる。このため、
図7を参照して本実施形態のエリアマーカーランプ1の動作について説明する。
【0089】
(ステップSP2)
本実施形態のステップSP2では、制御部COは、ハザードスイッチ43からの信号に基づいて、左右のターンシグナルランプ14,15の状態が右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の両方が点滅するハザード点滅の状態であるか、ハザード点滅の状態でないかを検出する。制御部COは、当該制御部COにハザードスイッチ43から右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の両方の点滅を指示する信号が入力する場合に、左右のターンシグナルランプ14,15の状態がハザード点滅の状態であると検出する。一方、制御部COは、当該制御部COにハザードスイッチ43から信号が入力しない場合に、左右のターンシグナルランプ14,15の状態がハザード点滅の状態でないと検出する。そして、制御部COの制御フローはステップSP3に進む。
【0090】
(ステップSP3)
本実施形態のステップSP3では、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態がハザード点滅の状態でない場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、光を出射させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の両方が点滅しないとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを投影する。
【0091】
また、制御部COは、ステップSP2において検出した左右のターンシグナルランプ14,15の状態がハザード点滅の状態である場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける3つの光源71a,71b,71cに、所定の時間間隔で光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける3つの光源71a,71b,71cに、所定の時間間隔で光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の両方が点滅するとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcを所定の時間間隔で繰り返し投影し、右側の路面RFに投影されるこれら3つのマーカー91Ra,91Rb,91Rcが点滅する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,91Lb,91Lcを所定の時間間隔で繰り返し投影し、左側の路面RFに投影されるこれら3つのマーカー91La,91Lb,91Lcが点滅する。このため、エリアマーカーランプ1は、左右のエリアマーカー用灯具1R,1Lによって投影されるマーカーによって、車両100の存在とともに、車両100が異常状態であることなどを当該車両100の周囲に報知し得る。
【0092】
このように、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lのそれぞれは、第1実施形態と同様にして、複数のマーカーを路面RFに投影し得る。また、本実施形態の制御部COは、車両100の右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15が点滅するときに、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70R及び左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける複数の光源71a,71b,71c光の出射と光の非出射とを繰り返えさせる。このため、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、上記のように、右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15が点滅するときに、路面RFに投影されるマーカー91Ra,91Rb,91Rc,91La,91Lb,91Lcを点滅させることができる。従って、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、車両100の存在とともに、車両100が異常状態であることを当該車両100の周囲に報知し得る。
【0093】
なお、制御部COは、右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の点滅に応じて、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70R及び左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける複数の光源71a,71b,71cに光の出射と光の非出射とを繰り返えさせることが好ましい。このような構成にすることで、右側のターンシグナルランプ14及び左側のターンシグナルランプ15の点滅に応じてマーカー91Ra,91Rb,91Rc,91La,91Lb,91Lcを点滅させることができ、視認者がマーカー91Ra,91Rb,91Rc,91La,91Lb,91Lcの点滅に違和感を覚えることを抑制し得る。
【0094】
また、本実施形態では、ターンスイッチ42、及びバンク角センサ46は、制御部COに電気的に接続されていなくてもよい。
【0095】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について詳細に説明する。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0096】
本実施形態の左エリアマーカー用灯具1Lは、光源部70Lが第2光源ユニット及び第3光源ユニットを備える点において、第2実施形態の左エリアマーカー用灯具1Lと主に異なる。
【0097】
図11は、本実施形態における左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lを概略的に示す正面図であり、基板75の実装面側から見る図である。なお、
図11において、左側が車両100の前方側であり、右側が車両100の後方側であり、上方側が車両100の上方側であり、下方側が車両100の下方側である。
図11に示すように、本実施形態の光源部70Lは、第1光源ユニット71、第2光源ユニット72、第3光源ユニット73、及び基板75を有する。第1光源ユニット71は、互いに異なる位置に配置される複数の光源71a,71b,71cを含む。第2光源ユニット72は、互いに異なる位置に配置される複数の光源72a,72b,72cを含む。第3光源ユニット73は、互いに異なる位置に配置される複数の光源73a,73b,73cを含む。これら光源71a,71b,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cは、前後方向及び上方斜め左側方に延在するように配置される基板75に実装される。
【0098】
本実施形態の第1光源ユニット71は、第2実施形態における第1光源ユニット71と同様の構成とされる。このため、第1光源ユニット71は、3つの光源71a,71b,71cから構成され、これら光源71a,71b,71cは、上方斜め左側方に向かう方向に所定の間隔をあけて並ぶ。そして、第1光源ユニット71の光源71a,71b,71cの並列方向である第1方向は、上方斜め左側方に向かう方向である。また、光源71aは光源71bより上方かつ左側方に位置し、光源71cは光源71bより下方かつ右側方に位置し、光源71bは光源71aと光源71cとの間に位置している。また、これら光源71a,71b,71cの光軸は、基板75の実装面と概ね垂直であり、互いに概ね平行であり、これら光源71a,71b,71cは、左側方斜め下方に向かって白色の光を出射する。また、光源71cから出射する光の全光束量は光源71bから出射する光の全光束量より大きく、光源71bから出射する光の全光束量は光源71aから出射する光の全光束量より大きい。
【0099】
本実施形態の第2光源ユニット72は、第1光源ユニット71より前方に位置する点を除いて、第1光源ユニット71と同様の構成とされる。このため、第2光源ユニット72は、3つの光源72a,72b,72cから構成され、上記の第1方向と概ね平行な方向に所定の間隔をあけて並ぶ。また、光源72aは光源72bより上方かつ左側方に位置し、光源72cは光源72bより下方かつ右側方に位置し、光源72bは光源72aと光源72cとの間に位置している。また、これら光源72a,72b,72cの光軸は、基板75の実装面と概ね垂直であり、互いに概ね平行であり、これら光源72a,72b,72cは、左側方斜め下方に向かって白色の光を出射する。また、光源72cから出射する光の全光束量は光源72bから出射する光の全光束量より大きく、光源72bから出射する光の全光束量は光源72aから出射する光の全光束量より大きい。また、光源72aから出射する光の全光束量は第1光源ユニット71の光源71aから出射する光の全光束量と概ね同じであり、光源72bから出射する光の全光束量は第1光源ユニット71の光源71bから出射する光の全光束量と概ね同じであり、光源72cから出射する光の全光束量は第1光源ユニット71の光源71cから出射する光の全光束量と概ね同じである。
【0100】
本実施形態の第2光源ユニット72は、第1光源ユニット71より後方に位置する点を除いて、第1光源ユニット71と同様の構成とされる。このため、第2光源ユニット72は、3つの光源73a,73b,73cから構成され、これら光源73a,73b,73cは、上記の第1方向と概ね平行な方向に所定の間隔をあけて並ぶ。また、光源73aは光源73bより上方かつ左側方に位置し、光源73cは光源73bより下方かつ右側方に位置し、光源73bは光源73aと光源73cとの間に位置している。また、これら光源73a,73b,73cの光軸は、基板75の実装面と概ね垂直であり、互いに概ね平行であり、これら光源73a,73b,73cは、左側方斜め下方に向かって白色の光を出射する。また、光源73cから出射する光の全光束量は光源73bから出射する光の全光束量より大きく、光源73bから出射する光の全光束量は光源73aから出射する光の全光束量より大きい。また、光源73aから出射する光の全光束量は第1光源ユニット71の光源71aから出射する光の全光束量と概ね同じであり、光源73bから出射する光の全光束量は第1光源ユニット71の光源71bから出射する光の全光束量と概ね同じであり、光源73cから出射する光の全光束量は第1光源ユニット71の光源71cから出射する光の全光束量と概ね同じである。
【0101】
上記のように、第2光源ユニット72は、第1光源ユニット71より前方に位置し、第3光源ユニット73は、第1光源ユニット71より後方に位置する。本実施形態では、これら光源ユニット71,72,73は、水平方向及び前後方向に概ね平行な方向に並んでいる。また、第1光源ユニット71の光源71aと第2光源ユニット72の光源72aと第3光源ユニット73の光源73aは、水平方向及び前後方向に概ね平行な方向に並んでいる。また、第1光源ユニット71の光源71bと第2光源ユニット72の光源72bと第3光源ユニット73の光源73bは、水平方向及び前後方向に概ね平行な方向に並んでおり、第1光源ユニット71の光源71cと第2光源ユニット72の光源72cと第3光源ユニット73の光源73cは、水平方向及び前後方向に概ね平行な方向に並んでいる。
【0102】
描画レンズ80は、第1光源ユニット71の光源71a,71b,71c、第2光源ユニット72の光源72a,72b,72c、及び第3光源ユニット73の光源73a,73b,73cから出射するそれぞれの光が入射面81に照射されるように、光源部70Lより左側方に配置される。描画レンズ80の光軸80aは、左側方に向かって路面RFに近づくように傾斜しており、基板75の実装面と概ね垂直であり、上記の第1方向と概ね垂直である。つまり、第1光源ユニット71の光源71a,71b,71cは、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に互いにずれており、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に並列されている。また、第2光源ユニット72の光源72a,72b,72cは、第1光源ユニット71と同様に、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に互いにずれており、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に並列されている。また、第3光源ユニット73の光源73a,73b,73cは、第1光源ユニット71と同様に、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に互いにずれており、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な方向に並列されている。
【0103】
また、第1光源ユニット71の光源71bは、描画レンズ80における光源部70L側の焦点上に位置し、他の光源71a,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cは、描画レンズ80における光源部70L側の焦点を通り光軸80aに垂直な焦点面上に位置している。また、上記の第1方向と平行な方向において、光源71a,72a,73aは光軸80aを基準とした上方側に位置し、光源71c,72c,73cは光軸80aを基準とした下方側に位置している。また、前後方向において、第2光源ユニット72は光軸80aを基準とした前方側に位置し、第2光源ユニット72は光軸80aを基準とした後方に位置している。
【0104】
また、上記のように、第1光源ユニット71と第2光源ユニット72と第3光源ユニット73は水平方向及び前後方向に概ね平行な方向に並んでいる。このため、これら光源ユニット71,72,73は、描画レンズ80の光軸80a及び上記の第1方向と概ね垂直な第2方向に並んでいると理解できる。なお、第2方向は、描画レンズ80の光軸80a及び上記の第1方向と非平行であればよく、例えば、光軸80aが基板75の実装面と非垂直となるように描画レンズ80が配置されてもよい。
【0105】
また、入射面81におけるそれぞれの光源71a,71b,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cから出射する光が照射される領域は、互いに重なっており、本実施形態ではこれら領域は概ね同じとされている。つまり、光源71a,71b,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cから出射する光は、入射面81における概ね同じ領域から描画レンズ80に入射する。
【0106】
図12は、本実施形態におけるマーカーを説明するための図であり、上方から路面を見る図である。
図12には、
図5と同様に、マーカーの一例とともに車両100が記載されている。また、
図12のマーカーは、車体10が左右に傾倒せずに左エリアマーカー用灯具1Lの全ての光源及び後述する右エリアマーカー用灯具1Rの全ての光源から光が出射するときに路面RFに投影されるマーカーである。
【0107】
図12に示すように、本実施形態の左エリアマーカー用灯具1Lでは、第2実施形態と同様にして、第1光源ユニットの光源71bから出射する光によって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lbが投影される。また、第1光源ユニットの光源71aから出射する光によって、マーカー91Lbより車両100側に前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Laが投影され、第1光源ユニットの光源71cから出射する光によって、マーカー91Lbより車両100側と反対側に前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Lcが投影される。また、これらマーカー91La,91Lb,91Lcが投影される領域は互いに重ならず、これらマーカー91La,91Lb,91Lcは、マーカー91La、マーカー91Lb、マーカー91Lcの順で大きくなっている。そして、これらマーカー91La,91Lb,91Lcは、車両100の左側方に向かって並んでいる。
【0108】
また、第2光源ユニット72の光源72aから出射する光によって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー92Laが投影され、第2光源ユニットの光源72bから出射する光によって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー92Lbが投影され、第2光源ユニットの光源72cから出射する光によって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー92Lcが投影される。上記のように、第2光源ユニット72は第1光源ユニット71よりも前方に位置し、第2光源ユニット72の光源72a,72b,72cは焦点面上に位置している。このため、第2光源ユニット72の光源72a,72b,72cから出射する光は、第1光源ユニット71の光源71a,71b,71cから出射する光より前方側から描画寄与領域83に向かって伝搬する。そして、光源72a,72b,72cから出射する光のうち描画寄与領域83から出射する光は、光源71a,71b,71cから出射する光のうち描画寄与領域83から出射する光より後方側に向かって伝搬する。そして、光源72a,72b,72cから出射する光によって投影されるマーカー92La,92Lb,92Lcは、光源71a,71b,71cから出射する光によって投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcより後方側に投影される。また、第2光源ユニット72では、光源72aは光源72bより上方に位置し、光源72cは光源72bより下方に位置する。このため、光源71a,71b,71cから出射する光によって投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcと同様に、マーカー92Lbより車両100側にマーカー92Laが投影され、マーカー92Lbより車両100側と反対側にマーカー92Lcが投影され、これらマーカー92La,92Lb,92Lcは、車両100の左側方に向かって並んでいる。また、マーカー92La,92Lb,92Lcは、マーカー92La、マーカー92Lb、マーカー92Lcの順で描画レンズ80から遠ざかっており、この順で大きくなる。
【0109】
また、第3光源ユニット73の光源73aから出射する光によって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー93Laが投影され、第3光源ユニットの光源73bから出射する光によって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー93Lbが投影され、第3光源ユニットの光源73cから出射する光によって、路面RFに前後方向に長尺な略矩形のマーカー93Lcが投影される。上記のように、第3光源ユニット73は第1光源ユニット71よりも後方に位置し、第3光源ユニット73の光源73a,73b,73cは焦点面上に位置している。このため、第3光源ユニット73の光源73a,73b,73cから出射する光は、第1光源ユニット71の光源71a,71b,71cから出射する光より後方側から描画寄与領域83に向かって伝搬する。そして、光源73a,73b,73cから出射する光のうち描画寄与領域83から出射する光は、光源71a,71b,71cから出射する光のうち描画寄与領域83から出射する光より前方側に向かって伝搬する。そして、光源73a,73b,73cから出射する光によって投影されるマーカー93La,93Lb,93Lcは、光源71a,71b,71cから出射する光によって投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcより前方側に投影される。また、第3光源ユニット73では、光源73aは光源73bより上方に位置し、光源73cは光源73bより下方に位置する。このため、光源71a,71b,71cから出射する光によって投影されるマーカー91La,91Lb,91Lcと同様に、マーカー93Lbより車両100側にマーカー93Laが投影され、マーカー93Lbより車両100側と反対側にマーカー93Lcが投影され、これらマーカー93La,93Lb,93Lcは、車両100の左側方に向かって並んでいる。また、マーカー93La,93Lb,93Lcは、マーカー92La、マーカー92Lb、マーカー92Lcの順で描画レンズ80から遠ざかっており、この順で大きくなる。本実施形態では、これらマーカー91La,91Lb,91Lc,92La,92Lb,92Lc,93La,93Lb,93Lcが投影される領域が互いに重ならない。また、マーカー91La,92La,93Laは、車両100の前後方向に並んでおり、概ね同じ大きさである。また、マーカー91Lb,92Lb,93Lbは、車両100の前後方向に並んでおり、互いに概ね同じ大きさである。また、マーカー91Lc,92Lc,93Lcは、車両100の前後方向に並んでおり、互いに概ね同じ大きさである。つまり、このようにマーカー91La,91Lb,91Lc,92La,92Lb,92Lc,93La,93Lb,93Lcが投影されるように、光源71a,71b,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cの描画レンズ80に対する位置、描画レンズ80の路面RFに対する傾き等が調節されている。また、本実施形態における光軸80aに沿った方向から見る場合の描画寄与領域83の外形は、第1実施形態と同様に、概ね円形とされている。このため、光軸80aに沿った方向から見る場合の描画寄与領域83の外形と路面RFに投影されるこれらマーカー91La,91Lb,91Lc,92La,92Lb,92Lc,93La,93Lb,93Lcの外形とは異なる。
【0110】
本実施形態の右エリアマーカー用灯具1Rは、第2実施形態と同様に、車両100の車体10に対する向きが左エリアマーカー用灯具1Lと異なる点を除いて、左エリアマーカー用灯具1Lと同様の構成とされる。右エリアマーカー用灯具1Rは、左エリアマーカー用灯具1Lと左右対称となるように車体10の右側に固定され、右エリアマーカー用灯具1Rでは、描画レンズ80の光軸80aは、右側方に向かって路面RFに近づくように傾斜する。そして、
図12に示すように、右エリアマーカー用灯具1Rは、光源71a,71b,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cから光が出射するとき、前後方向に長尺な略矩形のマーカー91Ra,91Rb,91Rc,92Ra,92Rb,92Rc,93Ra,93Rb,93Rcを車両100の右側の路面RFに投影する。これらマーカーは、左エリアマーカー用灯具1Lによるマーカーと概ね同じとされる。しかし、右エリアマーカー用灯具1Rによるマーカーが投影される位置は、左エリアマーカー用灯具1Lによるマーカーが投影される位置と概ね左右対称である。
【0111】
次に、本実施形態のエリアマーカーランプ1の動作について説明する。具体的には、車体10のバンク角に応じて投影するマーカーを変化させる動作について説明する。本実施形態の制御部COの制御フローチャートは、第1実施形態における制御部COの制御フローチャートと同じとされる。しかし、本実施形態のステップSP2における制御部COの車両の状態の検出は、第1実施形態における制御部COの車両の状態の検知と異なる。また、本実施形態のステップSP3及びSP4における制御部COのエリアマーカーランプ1の制御は、第1実施形態の制御部COのエリアマーカーランプ1の制御と異なる。このため、
図7を参照して本実施形態のエリアマーカーランプ1の動作について説明する。
【0112】
(ステップSP2)
本実施形態のステップSP2では、制御部COは、バンク角センサ46からの信号に基づいて、車体10の右へのバンク角が所定の角度以上であるか、車体10の左へのバンク角が所定の角度以上であるかを検出する。制御部COは、当該制御部COにバンク角センサ46から右へのバンク角が所定の角度以上である旨の信号が入力する場合に、車体10の右へのバンク角が所定の角度以上であると検出する。また、制御部COは、当該制御部COにバンク角センサ46から左へのバンク角が所定の角度以上である旨の信号が入力する場合に、車体10の左へのバンク角が所定の角度以上であると検出する。また、制御部COは、当該制御部COにバンク角センサ46から右へのバンク角が所定の角度以上である旨の信号またはバンク角センサ46から左へのバンク角が所定の角度以上である旨の信号が入力しない場合に、車体10の左右へのバンク角が所定の角度未満であると検出する。
【0113】
(ステップSP3)
本実施形態のステップSP3では、ステップSP2において車体10の左右へのバンク角が所定の角度未満であると検出する場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける第1光源ユニット71の光源71b、第2光源ユニット72の光源72b、及び第3光源ユニット73の光源73bに、光を出射させる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける第1光源ユニット71の光源71b、第2光源ユニット72の光源72b、及び第3光源ユニット73の光源73bに、光を出射させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、車体10の左右へのバンク角が所定の角度未満であるとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Rb,92Rb,93Rbを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91Lb,92Lb,93Lbを投影する。
【0114】
また、制御部COは、ステップSP2において車体10の右へのバンク角が所定の角度以上であると検出する場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける第1光源ユニット71の光源71c、第2光源ユニット72の光源72c、及び第3光源ユニット73の光源73cに、光を出射させる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける第1光源ユニット71の光源71a、第2光源ユニット72の光源72a、及び第3光源ユニット73の光源73aに、光を出射させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、車体10の右へのバンク角が所定の角度以上であるとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Rc,92Rc,93Rcを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,92La,93Laを投影する。
【0115】
また、制御部COは、ステップSP2において車体10の左へのバンク角が所定の角度以上であると検出する場合、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rにおける第1光源ユニット71の光源71a、第2光源ユニット72の光源72a、及び第3光源ユニット73の光源73aに、光を出射させる。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lにおける第1光源ユニット71の光源71b、第2光源ユニット72の光源72b、及び第3光源ユニット73の光源73bに、光を出射させる。そして、制御部COは、制御フローをステップSP1に戻す。こうして、車体10の左へのバンク角が所定の角度以上であるとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,92Ra,93Raを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91Lc,92Lc,93Lcを投影する。
【0116】
(ステップSP4)
本実施形態のステップSP4では、制御部COは、右エリアマーカー用灯具1Rの光源部70Rを制御して、当該光源部70Rにおける全ての光源71a,71b,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cからの光を非出射にする。また、制御部COは、左エリアマーカー用灯具1Lの光源部70Lを制御して、当該光源部70Lにおける全ての光源71a,71b,71c,72a,72b,72c,73a,73b,73cからの光を非出射にする。つまり、エリアマーカーランプ1は、マーカーを非投影とする。そして、制御部COの制御フローはステップSP1に進む。
【0117】
このように、本実施形態のエリアマーカーランプ1は、車体10の左右へのバンク角が所定の角度未満である場合、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Rb,92Rb,93Rbを投影し、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91Lb,92Lb,93Lbを投影する。また、エリアマーカーランプ1は、車体10の右へのバンク角が所定の角度以上である場合、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Rc,92Rc,93Rcを投影し、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91La,92La,93Laを投影する。また、エリアマーカーランプ1は、車体10の左へのバンク角が所定の角度以上である場合、右エリアマーカー用灯具1Rによって車両100の右側の路面RFに3つのマーカー91Ra,92Ra,93Raを投影し、左エリアマーカー用灯具1Lによって車両100の左側の路面RFに3つのマーカー91Lc,92Lc,93Lcを投影する。
【0118】
ここで、車体10が右に傾倒する場合、右エリアマーカー用灯具1Rにおける描画レンズ80の光軸80aの鉛直方向に対する角度は、車体10が左右に傾倒していない場合と比べて小さくなる。また、左エリアマーカー用灯具1Lにおける描画レンズ80の光軸80aの鉛直方向に対する角度は、車体10が左右に傾倒していない場合と比べて大きくなる。このため、車体10が左右に傾倒していない場合と比べて、右エリアマーカー用灯具1Rによって投影されるマーカーは、車両100に近づき、左エリアマーカー用灯具1Lによって投影されるマーカーは、車両100から離れる。一方、車体10が左に傾倒する場合、右エリアマーカー用灯具1Rにおける描画レンズ80の光軸80aの鉛直方向に対する角度は、車体10が左右に傾倒していない場合と比べて大きくなる。また、左エリアマーカー用灯具1Lにおける描画レンズ80の光軸80aの鉛直方向に対する角度は、車体10が左右に傾倒していない場合と比べて小さくなる。このため、車体10が左右に傾倒していない場合と比べて、右エリアマーカー用灯具1Rによって投影されるマーカーは、車両100から離れ、左エリアマーカー用灯具1Lによって投影されるマーカーは、車両100に近づく。
【0119】
本実施形態では、上記のように、車体10の右へのバンク角が所定の角度以上であるとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、投影される領域がマーカー91Rb,92Rb,93Rbより車体10側と反対側に位置するマーカー91Rc,92Rc,93Rcを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、投影される領域がマーカー91Lb,92Lb,93Lbより車体10側に位置するマーカー91La,92La,93Laを投影する。このため、エリアマーカーランプ1は、車体10が右に傾倒する場合に、マーカーが車体に近づいたり、当該車体から離れたりすることを抑制し得る。また、車体10の左へのバンク角が所定の角度以上であるとき、右エリアマーカー用灯具1Rは、投影される領域がマーカー91Rb,92Rb,93Rbより車体10側に位置するマーカー91Ra,92Ra,93Raを投影する。また、左エリアマーカー用灯具1Lは、投影される領域がマーカー91Lb,92Lb,93Lbより車体10側と反対側に位置するマーカー91Lc,92Lc,93Lcを投影する。このため、エリアマーカーランプ1は、車体10が左に傾倒する場合に、マーカーが車体に近づいたり、当該車体から離れたりすることを抑制し得る。
【0120】
このように、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lのそれぞれは、第1実施形態と同様にして、複数のマーカーを路面RFに投影し得る。
【0121】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、3つの光源ユニット71,72,73を備える。また、それぞれの光源ユニット71,72,73における複数の光源は、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な第1方向に並ぶ。また、これら光源ユニット71,72,73は、描画レンズ80の光軸80a及びこの第1方向と概ね垂直な第2方向に並ぶ。このため、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、所定の方向及び当該所定の方向と異なる特定の方向に並ぶ複数のマーカーを路面RFに投影し得る。なお、所定の方向及び当該所定の方向と異なる特定の方向に並ぶ複数のマーカーを路面RFに投影する観点では、それぞれの光源ユニット71,72,73における複数の光源が描画レンズ80の光軸80aと非平行な第1方向に並ぶとともに、複数の光源ユニット71,72,73が描画レンズ80の光軸80a及び上記の第1方向と非平行な第2方向に並べばよい。また、エリアマーカー用灯具1R,1Lが備える光源ユニットの数は、特に限定されるものではなく、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0122】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lでは、それぞれの光源ユニット71,72,73における複数の光源は、描画レンズ80の光軸80aと概ね垂直な第1方向に並び、この第1方向は上方斜め左側方に向かう方向である。つまり、それぞれの光源ユニット71,72,73における複数の光源は、描画レンズ80の光軸80aと垂直かつ水平方向と非平行な第1方向に並んでいる。このため、それぞれの光源ユニット71,72,73では、それぞれの光源から出射する光における上下方向の描画寄与領域83への入射角を互いに異ならせることができ、それぞれの光源に対応するマーカーが投影される位置を車両100から離れる方向にずらし得る。また、制御部COは、車体10のバンク角に応じてそれぞれの光源ユニット71,72,73における光を出射させる光源を変化させる。従って、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lは、バンク角に応じてマーカーの位置が車両100に近づいたり、当該車両100から離れたりすることを抑制し得る。なお、それぞれの光源に対応するマーカーが投影される位置を車両100から離れる方向にずらす観点では、それぞれの光源ユニット71,72,73における複数の光源は、描画レンズ80の光軸80a及び水平方向と非平行な第1方向に並んでいればよく、上記の第1方向は光軸80aと垂直でなくてもよい。
【0123】
また、本実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lでは、それぞれの光源ユニット71,72,73におけるそれぞれの光源から出射する光の全光束量は、当該光によって路面RFに投影されるマーカーが大きい光源ほど大きい。このため、それぞれの光源から出射する光に対応するマーカーにおける輝度のばらつきを抑制し得る。このため、視認者が路面RFに投影されるマーカーや当該マーカーに基づく描画像に違和感を覚えることを抑制し得る。ただし、それぞれの光源から出射する光の全光束量は、特に限定されるものではなく、例えば、互いに同じとされてもよい。
【0124】
なお、バンク角に応じてマーカーの位置が車両100に近づいたり、当該車両100から離れたりすることを抑制する観点では、エリアマーカー用灯具1R,1Lが備える光源ユニットの数は、特に限定されるものでなく、1つであってもよく、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、特定の光源ユニットからの光によって形成されるマーカーが投影される領域は、他の光源ユニットからの光によって形成されるマーカーが投影される領域と互いに重なっていてもよい。例えば、左エリアマーカー用灯具1Lにおいて、第1光源ユニット71の光源71aによって形成されるマーカー91Laが投影される領域は、第2光源ユニット72における光源72aによって形成されるマーカー92Laが投影される領域および第3光源ユニット73における光源73aによって形成されるマーカー93Laが投影される領域と互いに重なっていてもよい。また、マーカー91Lbが投影される領域は、マーカー92Lbが投影される領域およびマーカー93Lbが投影される領域と互いに重なっていてもよく、マーカー91Lcが投影される領域は、マーカー92Lcが投影される領域およびマーカー93Lcが投影される領域と互いに重なっていてもよい。この場合、マーカー91Laとマーカー92Laとマーカー93Laとによって前後方向に長尺な1つのマーカーを形成し得、マーカー91Lbとマーカー92Lbとマーカー93Lbとによって前後方向に長尺な1つのマーカーを形成し得、マーカー91Lcとマーカー92Lcとマーカー93Lcとによって前後方向に長尺な1つのマーカーを形成し得る。
【0125】
また、本実施形態では、ターンスイッチ42、及びハザードスイッチ43は、制御部COに電気的に接続されていなくてもよい。
【0126】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】
例えば、上記実施形態では、自動二輪車に備えられるエリアマーカーランプ1を例に説明した。しかし、エリアマーカーランプは、車体を傾けることで旋回走行可能な車両に備えられればよく、例えば、自動三輪車に備えられてもよい。また、エリアマーカーランプ1が備えるエリアマーカー用灯具1R,1Lの配置や数は、特に限定されるものではない。例えば、エリアマーカーランプ1は、車両100の前方の路面RFにマーカーを投影する前エリアマーカー用灯具や車両100の後方の路面RFにマーカーを投影する後エリアマーカー用灯具を備えてもよい。この前エリアマーカー用灯具や後エリアマーカー用灯具の構成は、例えば、第1実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lと同様の構成とすることができる。
【0128】
また、上述の実施形態では、右側のターンシグナルランプまたは左側のターンシグナルランプが点滅するとき、右側のターンシグナルランプ及び左側のターンシグナルランプが点滅するとき、及び車体10が左右に傾倒するときに投影するマーカーを変化させるエリアマーカーランプ1を例に説明した。しかし、エリアマーカーランプ1がマーカーを変化させるタイミングは上記に限定されるものではない。例えば、第1実施形態のエリアマーカー用灯具1R,1Lにおいて、制御部COは、車両100のブレーキランプ16が点灯するとき、車両100が所定の加速度以上の加速度で減速するとき、及び車両100が所定の加速度以上の加速度で加速するときなどに、第1光源ユニット71における複数の光源71a,71b,71cに光の出射と光の非出射とを繰り返えさせてもよい。
【0129】
また、上述の実施形態では、描画レンズ80の光軸80aと垂直な方向に並列される複数の光源を含む光源ユニット71,72,73を例に説明した。しかし、それぞれの光源ユニット71,72,73における複数の光源は、描画レンズ80の光軸80aと垂直な方向に互いにずれていればよい。例えば、それぞれの光源ユニットにおける複数の光源は、所定の方向に並んでいなくてもよく、描画レンズ80の光軸80aと平行な方向にずれていてもよい。また、複数の光源は、描画レンズ80の光軸80a上に配置されなくてもよく、描画レンズ80の焦点上に配置されなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明によれば、複数のマーカーを投影し得るエリアマーカー用灯具が提供され、自動二輪車等の車体を傾けることで旋回走行可能な車両などの分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0131】
1・・・エリアマーカーランプ
1R・・・右エリアマーカー用灯具
1L・・・左エリアマーカー用灯具
10・・・車体
14・・・右側のターンシグナルランプ
15・・・左側のターンシグナルランプ
42・・・ターンスイッチ
43・・・ハザードスイッチ
46・・・バンク角センサ
71・・・第1光源ユニット
71a,71b,71c・・・光源
72・・・第2光源ユニット
72a,72b,72c・・・光源
73・・・第3光源ユニット
73a,73b,73c・・・光源
80・・・描画レンズ
80a・・・光軸
83・・・描画寄与領域
81・・・入射面
82・・・出射面
84・・・描画非寄与領域
91Ra,91Rb,91Rc,91La,91Lb,91Lc・・・マーカー
92Ra,92Rb,92Rc,92La,92Lb,92Lc・・・マーカー
93Ra,93Rb,93Rc,93La,93Lb,93Lc・・・マーカー
100・・・車両
CO・・・制御部