(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2020036919
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 太志
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-012001(JP,A)
【文献】特開2018-186191(JP,A)
【文献】特開2002-232200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給装置によって供給された電子部品を、実装ヘッドの部品保持具が保持して、回路基板の予め定められた位置に装着する実装機であって、
前記実装ヘッドを保持するスライダと、そのスライダを移動させるスライダ移動装置とを備えたヘッド移動装置と、
前記スライダに、自身の下端が前記スライダの下端より下方に位置しない状態で設けられたイオナイザと
を含
み、
前記イオナイザが、前記スライダに、前記スライダの前記実装ヘッド側の端面より前記実装ヘッド側に突出しないように設けられた実装機。
【請求項2】
前記スライダに、撮像装置が設けられ、
前記イオナイザが前記スライダに、前記イオナイザの下端が前記撮像装置の下端より下方に位置しない状態で設けられた請求項1に記載の実装機。
【請求項3】
前記イオナイザが、前記スライダの、前記撮像装置より前記実装ヘッド側の部分に設けられた請求項2に記載の実装機。
【請求項4】
当該実装機が、少なくとも前記イオナイザを制御することによりイオンの照射を制御するイオン照射制御装置を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の実装機。
【請求項5】
前記イオン照射制御装置が、前記実装ヘッドにより前記電子部品が前記回路基板に装着された後に、前記イオナイザに、前記電子部品と前記回路基板との少なくとも一方に向かって前記イオンを照射させるものである請求項4に記載の実装機。
【請求項6】
当該実装機が、前記回路基板を搬送する基板搬送装置と、前記基板搬送装置によって搬送され、予め定められた位置である基板保持位置に達した前記回路基板を保持する基板保持装置とを含み、
前記イオン照射制御装置が、前記回路基板の搬入位置において、前記イオナイザに、前記基板搬送装置によって搬送される前記回路基板に向かって前記イオンを照射させるものである請求項4または5に記載の実装機。
【請求項7】
前記イオナイザが、前記イオンの照射角度を変更可能な照射角度変更部を備え、
前記イオン照射制御装置が、前記照射角度変更部を制御することにより、前記イオナイ
ザに前記部品保持具に保持された前記電子部品に向かって前記イオンを照射させるもので
ある請求項4ないし6のいずれか1つに記載の実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物にイオンを照射するイオナイザを備えた実装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、イオナイザを備えた実装機が記載されている。
特許文献1に記載の実装機において、実装ヘッドが備えた部品保持具としてのチャックにイオナイザが保持される。また、実装ヘッドを保持する保持部に、実装ヘッドに代わってイオナイザが保持される。
特許文献2に記載の実装機において、実装ヘッドを保持する可動部(スライダ)の下端に、下方に向かって伸びた概してL字形の支持部材が水平方向に移動可能に設けられる。支持部材の水平方向に伸びた部分は、スライダから実装ヘッドに向かって突出し、先端部が実装ヘッドが備える部品保持具の下方に達する。イオナイザが、支持部材の水平方向に伸びた部分の先端部に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-156433号公報
【文献】特開2001-60794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、イオナイザを備えた実装機の改良であり、例えば、実装機における作業効率を向上させたり、コストアップを抑制したりすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る実装機において、イオナイザが、実装ヘッドを保持するスライダに、イオナイザの下端が、スライダの下端より下方に位置しない状態で設けられる。そのため、イオンを照射する際のイオナイザの保持作業が不要となるため、その分、作業効率を向上させることができる。また、イオナイザをスライダに移動可能に設ける必要がないため、コストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態である実装機を示す斜視図である。
【
図2】上記実装機のヘッド移動装置を示す斜視図である。
【
図3】上記実装機の実装ヘッドとスライダとの一部である要部を示す側面図である。
【
図4】上記実装機の制御装置を概念的に示すブロック図である。
【
図5】上記制御装置に記憶されたイオナイザ制御プログラムを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係る実装機について図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0008】
実装機は、
図1に示すように、実装機本体2、部品供給装置4、基板搬送保持装置6、装着装置8、制御装置10等を含む。
部品供給装置4は、例えば、複数のテープフィーダ14を含む。テープフィーダ14は、それぞれ、テープを利用して電子部品(以下、部品と略称する)sを供給するものである。
基板搬送保持装置6は、回路基板P(以下、基板Pと略称する)をX方向に搬送して保持するものであり、例えば、一対のコンベアである基板搬送装置22と、予め定められた位置である基板保持位置に搬送された基板Pを保持する基板保持装置24とを含む。
【0009】
装着装置8は、テープフィーダ14によって供給された部品sをピックアップして、基板Pに装着(実装と称することもできる。以下、同様とする)するものであり、
図2に示すように、装着ヘッド(実装ヘッドと称することもできる)30と、実装ヘッド30を移動させるヘッド移動装置32とを含む。ヘッド移動装置32は、実装ヘッド30を保持するスライダ34を移動させることにより、実装ヘッド30を移動させるものである。ヘッド移動装置32は、Yスライダ40をY方向に移動させるY方向移動装置42と、Yスライダ40に設けられ、スライダ34であるXスライダをX方向に移動させるX方向移動装置44とを含む。Y方向移動装置42は、駆動源としてのY軸モータ50の駆動により、ボールねじ機構52を介して、Yスライダ40をガイド54に沿ってY方向へ移動させるものである。X方向移動装置44は、駆動源としてのX軸モータ56の駆動により、ボールねじ機構58を介して、Xスライダ34をガイドに沿ってX方向に移動させるものである。
【0010】
以上、本実施例において、基板Pの搬送方向をX方向とし、実装機の前後方向をY方向とし、実装機の上下方向をZ方向とする。X方向,Y方向,Z方向は互いに直交する。
【0011】
Xスライダ34には、
図3に示すように、マークカメラ60と照明装置62とを含む撮像装置63が取り付けられ、Xスライダ34の、撮像装置63より実装ヘッド側の部分にイオナイザ64が取り付けられる。イオナイザ64は、Xスライダ34の実装ヘッド30側の端部付近に、Xスライダ34のXZ面と平行な端面Afより実装ヘッド側に突出することなく設けられる。また、マークカメラ60と照明装置62とは、Xスライダ34に、並んで、照明装置62がマークカメラ60より実装ヘッド側に位置して設けられ、イオナイザ64は、照明装置62よりも実装ヘッド側の部分に設けられる。
なお、マークカメラ60が照明装置62より実装ヘッド側に位置する場合には、イオナイザ64はXスライダ34のマークカメラ60よりも実装ヘッド側に設けることができる。
【0012】
マークカメラ60は、複数の撮像素子を備え、主として、基板Pに形成された位置決め用マークMを撮像するものである。マークカメラ60による撮像画像に基づいてマークMの位置が取得され、基板Pの位置が取得され、部品sの装着位置が取得される。それにより、ヘッド移動装置32が制御される。
照明装置62は、光源、ミラー等の光学装置等を備え、予め定められた領域、本実施例において、マークカメラ60の撮像対象を含む領域等に光源の光を当てる。また、光が当たった領域から上方に向かって反射した光は、照明装置62の光学装置において向きが変えられ、マークカメラ60の撮像素子に入射させられる。例えば、基板Pに形成されたマークMは、照明装置62が撮像対象であるマークのほぼ鉛直方向の上方に位置する状態で撮像されることが多い。
【0013】
イオナイザ64は、イオンを照射するものであり、
図4に示すように、イオン照射部66、スイッチ67、照射角度変更部68、図示しないエア供給部等を含む。イオン照射部66は、電極66P、高電圧発生回路66h等を含む。スイッチ67がONにされると、図示しない電源から電力が高電圧発生回路66hに供給され、発生した高電圧が電極66Pに印加され、コロナ放電が生じ、イオンがエアとともに照射される。また、イオン照射部66は、イオンが概して下方に向かって照射可能な姿勢で設けられるが、照射角度変更部68によりイオンの照射方向(鉛直線に対する照射角度で表すことができる)が制御可能とされている。照射角度変更部68は、電動モータ68m等を含む。
【0014】
実装ヘッド30は、ヘッド本体70においてXスライダ34にZ方向に移動可能に保持されるとともに、ヘッド本体70には、部品保持具72としての吸着ノズルを保持するノズル保持部74が保持される。ノズル保持部74は、ヘッド本体70に対して昇降可能に保持されるとともに、部品保持具72は、ノズル保持部74に対して昇降可能に保持される。部品保持具72において部品sが保持され、基板Pに装着される。部品保持具72は、テープフィーダ14から供給された部品をピックアップする場合、部品sを基板Pに装着する場合等に下方へ移動させられ、Xスライダ34(実装ヘッド30)の移動時に上昇端まで移動させられることが多い。
【0015】
図3に示すように、Xスライダ34の下端は、本実施例においては、撮像装置63の下端、換言すると、照明装置62の下端62fによって決まる。換言すると、Xスライダ34において、照明装置62の下端62fが最も下方に位置する。
そして、Xスライダ34の下端の、基板保持装置24に保持された基板Pの表面Pfからの高さhは設定値Hp以上高い(h>Hp)。設定値Hpは基板Pの表面に装着される部品の大きさ等に基づいて決まる高さであり、Xスライダ34の下端が、基板Pに装着される部品と干渉しないようにされる。そのため、Xスライダ34の下面に設けられるイオナイザ64の下端64sは、照明装置62の下端62fより上方(本実施例においては、ha上方)に位置する。なお、実装ヘッド30において部品保持具72の上昇端位置における吸着ノズル72の下端も、照明装置62の下端62fより上方(本実施例においては、hb上方)に位置する。それにより、実装ヘッド30の移動時に、吸着ノズル72の下端が基板Pに装着された部品sと干渉することが良好に回避される。
【0016】
なお、本実施例においては、
図3に示すように、イオナイザ64の下端は、照明装置62の下端62fより上方、かつ、マークカメラ60の下端より上方に位置するが、イオナイザ64の下端は、照明装置62の下端62fより上方、マークカメラ60の下端より下方に位置するようにすることもできる。
また、Xスライダ34の下端が、マークカメラ60の下端で決まる場合には、イオナイザ64は、イオナイザ64の下端がマークカメラ60の下端より上方に位置し、照明装置62の下端より下方に位置するように、設けることもできる。
【0017】
図4に示すように、制御装置10は、コンピュータを主体とするものであり、実行部、記憶部、入出力部等を含む。入出力部には、駆動回路82を介して部品供給装置4、基板搬送装置22、基板保持装置24、ヘッド移動装置32等が接続されるとともに、イオナイザ64が接続される。イオナイザ64は、記憶部に記憶されたイオナイザ制御プログラムに従って制御される。
【0018】
以上のように構成された実装機において、
図5のフローチャートで表されるイオナイザ制御プログラムは設定時間毎に実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)~S3において、イオンの照射タイミングであるか否かが判定される。具体的には、S1において、基板Pが予め定められた基板保持位置に搬入されるか否かが判定され、S2において、装着タイミングであるか否か、すなわち、吸着ノズル72に保持された部品sが基板Pに装着されるタイミングであるか否かが判定され、S3において、部品sの基板Pへの装着が終了したか否かが判定される。本実施例において、S1~S3のうちの1つの判定がYESである場合に、イオンが照射される。
【0019】
S1の判定がYESである場合には、S4において、Xスライダ34が基板Pの搬入位置へ移動させられ、S5において、その搬入位置において、イオナイザ64のスイッチ67がONにされ、イオン照射部66から基板Pに向かってイオンが照射される。S6において、基板Pが基板保持装置24により保持されたか否かが判定される。判定がNOである間、換言すると、基板Pが基板搬送装置22により搬送されている間、イオンが照射されるが、判定がYESになると、S7において、スイッチ67がOFFにされ、イオンの照射が終了される。イオナイザ64と基板Pとの相対移動により基板Pのほぼ全体にイオンを照射することができる。なお、基板Pの搬入位置とは、基板Pが基板保持装置24により保持された場合の、基板Pの上流側の端部付近の位置をいう。
【0020】
なお、基板Pが搬入される際に、Xスライダ34は、位置決め用マークMの撮像位置に待機されるのが普通である。この場合において、位置決め用マークMが基板Pの上流側の端部付近に形成されている場合には、基板Pが搬入される場合に、既にXスライダ34は搬入位置の近傍に待機している場合がある。その場合には、S4のステップは不要となる場合がある。
【0021】
このように、本実施例においては、本工程(本装着工程)に搬送される際に、基板Pのほぼ全体にイオンを照射することができる。前工程までにおける基板Pの帯電を除電することが可能となり、装着作業の基板Pの帯電に起因する弊害を軽減することができる。
また、イオナイザ64が実装機に固定的に設けられる場合に比較して、イオナイザ64を照射対象物である基板Pに近づけて、イオンを照射することが可能となる。その結果、イオンを遠くまで照射する必要性が低くなり、その分、除電効果を向上させることができる。さらに、イオンとともに供給されるエアの量を減らすことができ、作動音の低減を図ること等ができる。
【0022】
S2の判定がYESである場合には、S8において、照射角度変更部68の制御により、イオンの照射方向が制御される。本実施例においては、部品sが基板Pに装着される場合に、部品保持具72に保持された部品sにイオンが照射されるように照射方向が制御されるのである。そして、S9において、スイッチ67がONにされ、S10において、設定時間が経過するか否かが判定される。設定時間が経過するまでの間、イオンが照射されるが、設定時間が経過すると、S11において、スイッチ67がOFFにされる。設定時間は、イオンの照射により部品等における帯電を良好に除去可能な時間に設定される。
【0023】
なお、イオンは、部品sを保持する部品保持具72が下方へ移動させられている間、照射されるようにしたり、部品sを保持する部品保持具72が基板Pに近づいた時点に、照射されるようにしたりすること等ができる。
このように、本実施例においては、部品保持具72に部品sが保持された状態で良好に部品sにイオンを照射することができる。また、装着直前に、部品sにイオンを照射することができる。その結果、基板Pに装着される部品sの除電を良好に行うことが可能となる。
【0024】
S3の判定がYESになった場合には、S9~S11が同様に実行される。
部品sが基板Pに装着された後に、イオナイザ64の保持作業を行うことなく、イオンを照射することができる。その結果、作業効率を向上させることができる。
また、部品sが基板Pに装着された後に、設定時間の間、イオンが基板Pに装着された部品s等に向かって照射される。そのため、装着作動時に生じた帯電を良好に除電することが可能となり、次工程に帯電が少ない基板Pを引き渡すことができる。さらに、イオナイザ64がXスライダ34の実装ヘッド30側の端部に設けられるため、イオン照射部66の照射方向を変更したり、Xスライダ34を移動させたりしなくても、または、照射方向をわずかに変更したりXスライダ34をわずかに移動させたりすることにより、基板Pに装着された部品sと基板Pの部品sの周辺の部分とに良好にイオンを照射することができる。
【0025】
なお、イオンが照射される設定時間は、S2の判定がYESである場合とS3の判定がYESである場合とで、異なる長さとしても同じ長さとしてもよい。
また、部品sが装着される毎に、イオンが照射されるようにすることは不可欠ではなく、高い精度を有する部品sが装着された場合にイオンが照射され、標準的な部品sが装着された場合にはイオンが照射されないようにすることもできる。
さらに、S1の判定がYESである場合、Xスライダ34を移動させつつ基板Pに向かってイオンを照射させることもできる。
【0026】
それに対して、特許文献1に記載の実装機においては、イオナイザが、保持部に実装ヘッドに代わって保持されたり、実装ヘッドの部品保持具に保持されたりする。そのため、例えば、部品保持具の作業の次にイオンの照射を行う場合には、保持部に保持された実装ヘッドを外してイオナイザを保持させたり、実装ヘッドが移動して部品保持具にイオナイザを保持させたりする等のイオナイザの保持作業が必要となる。それに対して、本実施例に係る実装機においては、イオナイザ64がXスライダ34に設けられるため、部品保持具72の作動の次に、イオナイザ64の保持作業を行うことなく、イオンの照射を行うことができる。その結果、実装機における作業効率を向上させることができる。
また、特許文献1に記載の実装機においては、部品保持具自体や、部品保持具に保持された部品にイオンを照射することはできない。それに対して、本実施例に係る実装機においては、部品保持具自体や、部品保持具に保持された部品にイオンを照射することが可能となる。
【0027】
特許文献2に記載の実装機においては、スライダの下端から下方に伸び出したL字形の支持部材の、スライダから実装ヘッド側に突出した水平部分の先端部の、部品保持具の下方に、イオナイザが設けられる。そのため、部品保持具により部品が基板へ装着される場合には、イオナイザは部品保持具の下方から退避させられる。それに対して、本実施例に係る実装機においては、イオナイザ64が実装ヘッド30の作業に邪魔にならないように設けられる。例えば、イオナイザ64の下端がXスライダ34の下端より下方に位置せず、かつ、イオナイザ64がXスライダ34の端面Afより実装ヘッド側に突出しない状態で設けられる。そのため、イオナイザ64をXスライダ34に移動可能に設ける必要がなく、その分、部品点数の増加を抑制し、コストダウンを図ることができる。
また、特許文献2に記載の実装機において、イオンは概して上方に向かって照射される。そのため、基板Pの表面Pfや、基板Pに装着された部品sにイオンを照射することは困難である。それに対して、本実施例に係る実装機においては、イオンが概して下方に向かって照射可能とされる。そのため、基板Pの表面Pfにイオンを照射したり、基板Pに装着された部品sにイオンを照射したりすること等ができる。
【0028】
以上の実施例において、制御装置10の
図5のフローチャートで表されるイオナイザ制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりイオン照射制御装置が構成される。
【0029】
なお、イオナイザ制御プログラムの[S1,4~7]、[S2,8~11]、[S3,9~11]のすべてが実行されることは不可欠ではなく、これらのうちの1つ以上が実行されればよく、さらに、別の態様で実行されるようにすることもできる。
また、Xスライダ34におけるイオナイザ64の取付位置は、上記実施例のそれに限らない。さらに、イオナイザ64の下端は、Xスライダ34の下端より多少下方に突出しても、基板Pに装着された部品sとの干渉が生じなければ、差し支えない。
【0030】
その他、本発明は、上記実施形態の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
10:制御装置 30:実装ヘッド 32:ヘッド移動装置 34:スライダ 60:マークカメラ 62:照射装置 63:撮像装置 64:イオナイザ 66:イオン照射部 70:ヘッド本体 72:部品保持具
【特許請求可能な発明】
【0032】
(1)部品供給装置によって供給された電子部品を、実装ヘッドの部品保持具が保持して、回路基板の予め定められた位置に装着する実装機であって、
前記実装ヘッドを保持するスライダと、そのスライダを移動させるスライダ移動装置とを備えたヘッド移動装置と、
前記スライダに、自身の下端が前記スライダの下端より下方に位置しない状態で設けられたイオナイザと
を含む実装機。
イオナイザの下端はスライダの下端と同じ高さまたはスライダの下端より上方に位置する。
また、スライダの下端は、スライダ本体の下端によって決まる場合と、スライダ本体に設けられたイオナイザ以外の部材(例えば、撮像装置)の下端によって決まる場合とがある。さらに、下端は、スライダまたは部材の下端面によって決まる場合があるが、それに限らない。
【0033】
(2)前記スライダに、撮像装置が設けられ、
前記イオナイザが、前記イオナイザの下端が前記撮像装置の下端より下方に位置しない状態で設けられた(1)項に記載の実装機。
スライダにおいて、撮像装置の下端が最も下方に位置する。そのため、スライダの下端が撮像装置の下端によって決まり、イオナイザの下端が撮像装置の下端より下方に位置しないように、イオナイザがスライダに設けられる。例えば、撮像装置がマークカメラと照明装置とを含む場合には、撮像装置の下端は、照明装置の下端とマークカメラの下端とのうちの下方に位置するもので決まり、イオナイザは、イオナイザの下端が、下方に位置する照明装置とマークカメラとの一方の下端より下方に位置しないように、スライダに設けられる。
【0034】
(3)前記イオナイザが、前記スライダの、前記撮像装置より前記実装ヘッド側の部分に設けられた(2)項に記載の実装機。
【0035】
(4)前記イオナイザが、前記スライダに、前記スライダの前記実装ヘッド側の端面より前記実装ヘッド側に突出しないように設けられた(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の実装機。
実際には、イオナイザの一部が、スライダの端面よりわずかに実装ヘッド側に突出しても、実装ヘッドの上下方向の移動に邪魔にならなければ、差し支えない。
【0036】
(5)当該実装機が、少なくとも前記イオナイザを制御することによりイオンの照射を制御するイオン照射制御装置を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の実装機。
イオンの照射を制御することにより、例えば、イオンの照射方向を制御したり、照射時期を制御したりすること等ができる。
【0037】
(6)前記イオン照射制御装置が、前記スライダ移動装置を制御するものである(5)項に記載の実装機。
イオナイザはスライダに設けられるため、スライダを移動させることにより、イオナイザを実装機内の所望の位置に移動させることができるのであり、目標対象物に近づいてイオンを照射することができる。
【0038】
(7)前記イオン照射制御装置が、前記イオナイザに、前記実装ヘッドにより前記電子部品が前記回路基板に装着された後に、前記電子部品と前記回路基板との少なくとも一方に向かって前記イオンを照射させるものである(5)項または(6)項に記載の実装機。
電子部品が回路基板に装着される毎にイオンが照射されるようにしたり、予め選択された電子部品が回路基板に装着された場合にイオンが照射されるように(それ以外の電子部品が回路基板に装着された場合にはイオンが照射されないように)したりすること等もできる。
【0039】
(8)当該実装機が、前記回路基板を搬送する基板搬送装置と、前記基板搬送装置によって搬送され、予め定められた位置である基板保持位置において前記回路基板を保持する基板保持装置とを含み、
前記イオン照射制御装置が、前記イオナイザに、前記基板搬送装置によって搬送される前記回路基板に向かってイオンを照射させるものである(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の実装機。
【0040】
(9)前記イオナイザが、前記イオンの照射角度を変更可能な照射角度変更部を備え、
前記イオン照射制御装置が、前記照射角度変更部を制御することにより、前記部品保持具に保持された前記電子部品に向かって前記イオンが照射されるように、前記照射角度を制御するものである(5)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の実装機。
【0041】
(10)部品供給装置によって供給された電子部品を、実装ヘッドの部品保持具が保持して、回路基板の予め定められた位置に装着する実装機であって、
前記実装ヘッドを保持するスライダと、そのスライダを移動させるスライダ移動装置とを備えたヘッド移動装置と、
前記スライダの下端より上方に設けられたイオナイザと
を含む実装機。
本項に記載の実装機には、(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。本項に記載の実装機において、イオナイザの下端はスライダの下端より下方に位置する場合もある。
【0042】
(11)部品供給装置によって供給された電子部品を、実装ヘッドの部品保持具が保持して、回路基板の予め定められた位置に装着する実装機であって、
前記実装ヘッドを保持するスライダと、そのスライダを移動させるスライダ移動装置とを備えたヘッド移動装置と、
前記スライダに、前記スライダの前記実装ヘッド側の端面より前記実装ヘッド側に突出しないように設けられたイオナイザと
を含む実装機。
本項に記載の実装機には、(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。