(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造およびガイドレールの連結方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
E06B9/58 A
(21)【出願番号】P 2020038648
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】奈良 淳平
(72)【発明者】
【氏名】張 俊偉
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-097864(JP,A)
【文献】実開昭63-167594(JP,U)
【文献】特開2007-120282(JP,A)
【文献】特開平10-174725(JP,A)
【文献】特開2018-123472(JP,A)
【文献】特開2005-296991(JP,A)
【文献】特開2009-24390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00,9/02,9/06-9/18,
9/40-9/50,9/56-9/92
B23K 26/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体
の開口部を前後に仕切るシャッターカーテンと、該開口部の左右両側に設けられ、前記シャッターカーテンを内嵌して昇降案内するガイド溝が形成されたガイドレールとを備えて構成される建築用シャッター装置において、
前記ガイドレールを、上下に隣接するレール部材の端縁部同士を一連状に連結して長尺状に形成された構成にするにあたり、
前記各レール部材は、鋼材を押出成形することで一体形成される型材であって、左右方向外側の溝底片部と、該溝底片部から左右方向内側に向けて延出する前後両側の第一、第二の溝側片部とにより左右方向内側が開口した凹溝状のガイド溝が形成されたものであり、
前記隣接するレール部材同士は、該各レール部材端縁部の外側面間に架け渡し状に設けた連結材を該各外側面に溶着することで連結されていることを特徴とする建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造。
【請求項2】
各レール部材の端縁部同士は、互いに対向する端面同士の少なくとも一部が離間している状態で連結材を介して連結されることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造。
【請求項3】
連結材は平板材であることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造。
【請求項4】
連結材は、溝底片部同士、第一溝側片部同士、第二溝側片部同士のうちの少なくとも二つの片部同士の外側面に溶着されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造。
【請求項5】
ガイド溝は、第一溝側片部の溝奥側半部が開口側半部よりも前後方向外側に位置していることで、溝幅が幅狭な開口側溝側片部と幅広な溝
奥側溝側片部とを備えたものであり、連結材が第一溝側片部に設けられる場合に、該連結材は、開口側溝側片部、溝
奥側溝側片部の少なくとも一方の側片部の外周面に溶着されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造。
【請求項6】
レール部材同士の連結位置は、ガイドレールの長さ方向中央位置に対して上下方向何れか一方に偏倚していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造。
【請求項7】
ガイドレールは、第一、第二溝側片部の外部から視認される表面部、並びにガイド溝の少なくとも開口部側の溝内面部が化粧板で被覆されたものであり、該化粧板は、複数のものを上下に連結した
構成とされ、これら複数のものがレール部材同士の連結部から上下方向に偏倚した位置で連結され
ていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造。
【請求項8】
躯体
の開口部を前後に仕切るシャッターカーテンと、該開口部の左右両側に設けられ、前記シャッターカーテンを内嵌して昇降案内するガイド溝が形成されたガイドレールとを備えて構成される建築用シャッター装置において、
前記ガイドレールを、上下に隣接するレール部材にて構成し、
前記各レール部材は、鋼材を押出成形することで一体形成される型材であり、左右方向外側の溝底片部と、該溝底片部から左右方向内側に向けて延出する前後両側の第一、第二の溝側片部とにより左右方向内側が開口した凹溝状のガイド溝が形成されたものであり、
前記ガイドレールを、上下に隣接するレール部材の溝底片部同士、第一溝側片部同士、第二溝側片部同士の各端縁部外側面間に架け渡し状に設けた連結材を、該各外側面に溶着することでレール部材同士を連結して長尺状にするための連結方法であって、該連結方法は、
隣接するレール部材同士を、該レール部材の端縁部同士が互いに対向すると共にレール部材同士が直線状になった位置決め姿勢で台座に載置する工程、
該載置されたレール部材の台座に対向する外側面を除いた外側面間に連結材を当てがい溶着する工程、
該溶着されたレール部材を、前記台座に対向していた外側面が露出するよう回転させる工程、
該露出した外側面に連結部材を当てがい溶着する工程、
が順次実行されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造およびガイドレールの連結方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、ビル等、建造物の出入口等の開口部に、該開口部の左右両側に設けたガイドレールにシャッターカーテンを上下開閉移動させることで開口部の開閉をするようにした建築用シャッター装置を建て付けることが広く採用されている。そして一般に、このような建築用シャッター装置がビル等の大型の建造物の開口部に建て付けられる場合、該開口部は、左右幅、上下高さ共に大きい(広い)ものになることがあり、このような場合、大型で強度的に強い建築用シャッター装置(所謂重量シャッター装置)が設けられることになる。
このような建築用シャッター装置に設けられるガイドレールとしては、L字形や凵字形をした二つ(複数)の型材同士を溶着することで強度のあるガイドレールを一体形成することが試みられている(特許文献1参照。)。
一方、飛行機の格納庫や造船所等の大型建造物の開口部のなかには、間口高さがビル等の通常の建造物の場合に比して高い(例えば間口高さが10m以上)ものがあり、このような間口高さが高い開口部に建築用シャッター装置を建て付ける場合、ガイドレールも間口高さに対応して長いものにする必要があるが、このような長いガイドレールを一体物として最初から形成することは事実上難しく、そこで、上下に隣接するレール部材の端縁部同士を一連状に連結して長尺状のガイドレールを形成することが考えられる。このようにレール部材同士を一連状に連結するものとして、レール部材の互いに対向する端縁部間を覆い部材で外嵌した状態で、該覆い部材とレール部材とをビス固定することでレール部材同士を連結してガイドレールを形成するようにしたものが提唱されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-158765号公報
【文献】特開2007-120282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記型材同士を溶着により一体化してガイドレールを形成するようにしたものでは、型材同士の溶着をする作業が必要になるだけでなく、溶着時の熱によりガイドレール自体に歪みが生じ、これを矯正するための作業がさらに必要になる等して作業性が劣るという問題がある。
しかもこのように溶着により複数のレール部材を形成し、これらレール部材の互いに対向する端縁部同士を溶着により連結して長尺状のガイドレールを形成するようにした場合に、連結部位が溶着熱によってガイドレールが反らない(変形しない)こと、溶接ダレ(ビード)によってガイド溝の連結部位内面に段差部(ガイド面の凹凸、突起)が生じないこと、建付け現場等においてガイドレールを横向き状態の姿勢で吊りあげた際に、連結部に応力が集中して変形したり折れ曲がったりしないこと、連結部が外観上目立たないようにすること、という要求を少なくとも満たす必要があるが、前記突き合せ端縁部同士を単純に溶着しただけでは、前記要求を満たすことは事実上難しいという問題がある。
一方、前記連結部位に設けた覆い部材を介してガイド部同士を連結するものは、溶着でなくビスによる連結であるため、溶接歪みや溶接ダレの発生がない状態での連結ができることにはなるが、単にビス止めによる連結であるため強度的に弱いだけでなく、ビス孔に遊びがあることから連結したものを直線状に維持管理することが難しく、ガイドレールを吊り上げたりする際に連結部位が折曲しやすい等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、躯体の開口部を前後に仕切るシャッターカーテンと、該開口部の左右両側に設けられ、前記シャッターカーテンを内嵌して昇降案内するガイド溝が形成されたガイドレールとを備えて構成される建築用シャッター装置において、前記ガイドレールを、上下に隣接するレール部材の端縁部同士を一連状に連結して長尺状に形成された構成にするにあたり、前記各レール部材は、鋼材を押出成形することで一体形成される型材であって、左右方向外側の溝底片部と、該溝底片部から左右方向内側に向けて延出する前後両側の第一、第二の溝側片部とにより左右方向内側が開口した凹溝状のガイド溝が形成されたものであり、前記隣接するレール部材同士は、該各レール部材端縁部の外側面間に架け渡し状に設けた連結材を該各外側面に溶着することで連結されていることを特徴とする建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造である。
請求項2の発明は、各レール部材の端縁部同士は、互いに対向する端面同士の少なくとも一部が離間している状態で連結材を介して連結されることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造である。
請求項3の発明とすることにより、連結材は平板材であることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造である。
請求項4の発明とすることにより、連結材は、溝底片部同士、第一溝側片部同士、第二溝側片部同士のうちの少なくとも二つの片部同士の外側面に溶着されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造である。
請求項5の発明は、ガイド溝は、第一溝側片部の溝奥側半部が開口側半部よりも前後方向外側に位置していることで、溝幅が幅狭な開口側溝側片部と幅広な溝奥側溝側片部とを備えたものであり、連結材が第一溝側片部に設けられる場合に、該連結材は、開口側溝側片部、溝奥側溝側片部の少なくとも一方の側片部の外周面に溶着されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造である。
請求項6の発明は、レール部材同士の連結位置は、ガイドレールの長さ方向中央位置に対して上下方向何れか一方に偏倚していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造である。
請求項7の発明は、ガイドレールは、第一、第二溝側片部の外部から視認される表面部、並びにガイド溝の少なくとも開口部側の溝内面部が化粧板で被覆されたものであり、該化粧板は、複数のものを上下に連結した構成とされ、これら複数のものがレール部材同士の連結部から上下方向に偏倚した位置で連結されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載の建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結構造である。
請求項8の発明は、躯体の開口部を前後に仕切るシャッターカーテンと、該開口部の左右両側に設けられ、前記シャッターカーテンを内嵌して昇降案内するガイド溝が形成されたガイドレールとを備えて構成される建築用シャッター装置において、前記ガイドレールを、上下に隣接するレール部材にて構成し、前記各レール部材は、鋼材を押出成形することで一体形成される型材であり、左右方向外側の溝底片部と、該溝底片部から左右方向内側に向けて延出する前後両側の第一、第二の溝側片部とにより左右方向内側が開口した凹溝状のガイド溝が形成されたものであり、前記ガイドレールを、上下に隣接するレール部材の溝底片部同士、第一溝側片部同士、第二溝側片部同士の各端縁部外側面間に架け渡し状に設けた連結材を、該各外側面に溶着することでレール部材同士を連結して長尺状にするための連結方法であって、該連結方法は、隣接するレール部材同士を、該レール部材の端縁部同士が互いに対向すると共にレール部材同士が直線状になった位置決め姿勢で台座に載置する工程、該載置されたレール部材の台座に対向する外側面を除いた外側面間に連結材を当てがい溶着する工程、該溶着されたレール部材を、前記台座に対向していた外側面が露出するよう回転させる工程、該露出した外側面に連結部材を当てがい溶着する工程、が順次実行されることを特徴とする建築用シャッター装置におけるガイドレールの連結方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、レール部材が、鋼材の押出成形により溝底片部と第一、第二の溝側片部とを備えた一体ものとして形成されて、溶着による熱歪みがなく強度のあるものにできながら、レール部材同士を一連状に連結して長尺状のガイドレールを形成する際に、各レール部材端縁部の外側面間に架け渡し状に設けた連結材を該各外側面に溶着することになる結果、連結部が溶着による熱歪みがないため直線性を維持できると共に、ガイド面に溶接ダレ(ビード)の発生がないためガイド面の平滑性を損なうこともなく、強度的に優れた連結を、シャッターカーテンの移動に影響を与えることがない状態で外観性が優れたものとしてできることになる。
請求項2の発明とすることにより、各レール部材の端縁部同士の互いに対向する端面同士が離間している状態であっても、連結材を介して確実に連結してガイドレールを形成できることになって、レール部材の連結端縁部を正確に水平面状に加工(切断)する必要がなく、互いに対向する端面同士のあいだに隙間があっても問題なく接続できることになって、作業性が向上する。
請求項3の発明とすることにより、連結材が平板材であるため、幅方向に間隙を存する状態での溶着が確実にできることになって強度のある連結が簡単にできることになる。
請求項4の発明とすることにより、連結材によるレール部材の連結が、溝底片部同士、第一溝側片部同士、第二溝側片部同士のうちの少なくとも二つの片部同士の外側面への溶着でできることになって強度のある連結が簡単にできることになる。
請求項5の発明とすることにより、ガイド溝を、溝幅が幅狭な開口側溝側片部と幅広な溝奥側溝側片部とを備えたものとして、両溝側片部のあいだに形成されるコーナー部を、シャッターカーテンに設けた耐風部材が係止してシャッターカーテンの抜け止めができるものでありながら、連結材を第一溝側片部に設けたものとする場合に、該連結材を、開口側溝側片部、溝奥側溝側片部の少なくとも一方の側片部の外周面に溶着したものにでき、構造の簡略化が図れることになる。
請求項6の発明とすることにより、レール部材同士の連結位置が、ガイドレールの長さ方向中央位置に対して上下方向何れか一方に偏倚したものになるため、ガイドレールを横向き状態で吊上げた場合に最も負荷が働く(応力が高くなる)中央部位が連結部位である場合のように、連結部位が不用意に変形したり折れ曲がったりしてしまうようなことを回避できることになって、強度維持に大いに寄与することになる。
請求項7の発明とすることにより、レール部材を連結形成したガイドレールは、第一、第二溝側片部の外部から視認される表面部、並びにガイド溝の少なくとも開口部側の溝内面部が化粧板で被覆されることになるが、該化粧板が、複数のものを上下に連結した構成とされ、これら複数のものがレール部材同士の連結部から上下方向に偏倚した位置で連結されているため、レール部材同士の連結部に隙間があったような場合であっても化粧板で被覆されることになって外観性が損なわれることがない。
請求項8の発明とすることにより、上下に隣接するレール部材について、溝底片部同士、第一溝側片部同士、第二溝側片部同士の各端縁部外側面間に架け渡し状に設けた連結材を介して溶着により直線状に連結して強度のある長尺状のガイドレールの製造をすることが簡単かつ確実にできることになって作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】建築用シャッター装置の概略縦断面図である。
【
図3】(A)(B)はスラットの連結状態を示す側面図、スラットの要部平面図である。
【
図4】(A)(B)は工場出荷される状態のガイドレール部位の正面図、側面図である。
【
図5】工場出荷される状態のガイドレール部位の水平断面図である。
【
図6】(A)(B)(C)(D)はガイドレールの連結部位の正面図、右側面図、背面図、左側面図である。
【
図9】ガイドレールを支柱に取り付けた状態を示すガイドレール部位の水平断面図である。
【
図10】(A)(B)はガイドレールを連結する前半の工程を示す作用説明図である。
【
図11】(A)(B)はガイドレールを連結する中盤の工程を示す作用説明図である。
【
図12】(A)(B)はガイドレールを連結する後半の工程を示す作用説明図である。
【
図13】ガイドレールの連結部と化粧板の連結部との関係を示すガイドレール部の正面図である。
【
図14】(A)(B)はそれぞれレール部材の連結部位の状態を示すガイドレールの正面図である。
【
図15】第二の実施の形態のガイドレールの水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル等の建造物の出入り口等の開口部(大開口部)Eに建付けられる重量式の建築用シャッター装置であって、該建築用シャッター装置1は、例えば1mm以上の板厚がある肉厚のスラット2aを用いて上下方向平板状(一連状)に連綴(連結)されたシャッターカーテン2と、開口部Eの左右両端部に位置する状態で躯体側に取付け固定され、前記シャッターカーテン2の昇降ガイドをするガイド溝Xが形成された左右のガイドレール3と、天井面部Hの上方に収容され、シャッターカーテン2が巻装される巻取りシャフト(巻取り体、巻装体)4と、該巻取りシャフト4の回転駆動をする電動式の開閉機5等の各種の部材装置を用いて構成され、昇降操作スイッチSWから入力される操作信号等の信号を受けた制御部5aからの開閉制御指令に基づいて開閉機5が正逆駆動することによってシャッターカーテン2の開閉昇降制御が実行され、これによって、開口部Eの開閉制御を行うようになっていること等は何れも従来通りである。
【0009】
またスラット2aは、上下両端縁部に、隣接するスラット2a同士を内外方向に折曲できる状態で上下方向に一連状に連結するため上下のインターロック結合部2c、2dと、該インターロック結合部2c、2dのあいだに形成されるカーテン面部2eとを備えたもので形成される。
そして建築用シャッター装置1としては、シャッターカーテン2が閉鎖姿勢になった場合に、カーテン面部2eの正面2fが屋外側(室外側)に位置する状態となるよう組み付けられる。
尚、上下方向に連綴するスラット2aから選択された(例えば、全てあるいは一枚置き等の所定毎おきの)スラット2aの左右両端縁部には、該左右両端縁部から左右方向外方に延出(突出)していて、シャッターカーテン2が強風を受けたことにより湾曲した(撓んだ)際に後述するようにガイドレール3側に設けた耐風受け部に係止して抜止めをするための耐風フック(耐風部材)2bが平面視で先端側が屋外側に向けてへ字形に折曲する状態で設けられている。
【0010】
前記ガイドレール3は、鋼材(スチール、鉄材)を押出成形(熱間押出成形)により一体形成された型材を採用しているが、該ガイドレール3には、ガイド溝Xの溝奥端となる溝底片部3aと、該溝底片部3aから左右方向内側に向けて延出していてガイド溝Xの溝開口側部に至る屋内外方向(前後方向)一対の第一、第二溝側片部3b、3cとを備えることで凹溝状に構成されている。
因みに本実施の形態では、第一溝側片部3b側を屋内側(室内側)、第二溝側片部3c側を屋外側(室外側)の溝側片部として説明する。
一方、建築用シャッター装置1としては、例えばシャッターカーテン2の巻装方式としてインターロック結合部2cが軸心側に向くよう巻装する正巻き仕様と外径側に向くよう巻装する逆巻き仕様とがあるが、本実施の形態では正巻き仕様のものについて説明をするが、逆巻き仕様であっても本発明を実施することができる。そして建築用シャッター装置1としては、前述した耐風フック2bが折曲する側を屋外側にするのが一般的であり、そこで本実施の形態の「屋内外」の定義としては、ガイドレール3において、前述した耐風フック2bが係止する第二溝側片部3c側を屋外側として説明する。
【0011】
前記ガイドレール3は、本実施の形態では上下方向に隣接する一対(複数)のレール部材3A、3Bを一連状に連結して形成されたものであり、これらレール部材3A、3Bは何れも同じ前記型材が用いられている。
そしてまず、ガイドレール(レール部材3A、3B)3の形状について具体的に説明する(
図7参照)。前記溝底片部3aは、左右方向外側に位置するよう開口部Eに設けられるが、同肉厚(例えば8mmや10mm等)となった平板状に形成されていることで、溝内側面3auと溝外側面3ayとを備えたものとなっている。
また前記屋内側の第一溝側片部3bは、左右方向内側端縁となる先端縁部(内端縁部)3rから溝底片部3aに至るまでが溝底片部3aと同様、同肉厚となった平板状に形成されることで、溝内側面3buと溝外側面3byとを備え、そして溝底片部3aとのあいだのコーナー部3abは、溝外側コーナー面部3abpが小径の円弧形状をし、溝内側コーナー面部3abjが大径の円弧形状をしていることで、溝底片部3a、第一溝側片部3bよりも肉厚となった構造になっている。
【0012】
これに対し第二溝側片部3cは、屋外側に配されるものであるが、左右方向内側端縁となる先端縁部(内端縁部)3hから溝奥方向中間位置にまで至る開口側溝側片部3dと、該開口側溝側片部3dの溝奥側端から屋外側(前後方向外方)に向けて延出する中間側延出片部3eと、該中間側延出片部3eの先端縁部(屋外側端縁部)から溝底片部3aに至る溝奥側溝側片部3fとを備えることで、ガイド溝Xは、開口側溝側片部3d部位の溝幅に対し、溝奥側側片部3f部位の溝幅が前後方向屋外側に幅広になるよう拡開したもの、換言すれば、中間側延出片部3eから溝底片部3aに至る溝奥側部Xb側の溝幅が、第二溝側片部3cの先端縁部3hから中間側延出片部3eに至る溝開口側部Xa側の溝幅よりも屋外側に向けて幅広になったガイド溝形状(溝奥側が広い蟻溝形状)になっている。
さらに前記開口側溝側片部(第二溝側片部3c)3dの先端縁部3hからは、溝奥側溝側片部3fに対して左右方向に間隙Yを存する状態で屋外側に向けて延出した開口側延出片部3gが形成されている。
【0013】
そしてこのように第二溝側片部3cが、溝開口端から溝底片部3aに至るまでのあいだに、開口側延出片部3g、開口側溝側片部3d、中間側延長片部3e、溝奥側溝側片部3fが順次形成されたものとなっていることで所謂クランク形状に折曲されたものとなっている。そして、開口側延出片部3gと開口側溝側片部3dとのあいだのコーナー部3dgは、溝内側コーナー面部3dgjが小径の円弧形状をし、溝外側コーナー面部3dgpが大径の円弧形状をし、開口側溝側片部3dと中間側延長片部3eとのあいだのコーナー部3deは、溝内側コーナー面部3dejが小径の円弧形状をし、溝外側コーナー面部3dgpが大径の円弧形状をし、中間側延長片部3eと溝奥側溝側片部3fとのあいだのコーナー部3efは、溝内側コーナー面部3efjが大径の円弧形状をし、溝外側コーナー面部3efpが小径の円弧形状をし、そして溝奥側溝側片部3fと溝奥片部3aとのあいだのコーナー部3afは、溝内側コーナー面部3afjが大径の円弧形状をし、溝外側コーナー面部3afpが小径の円弧形状をしており、このように構成することで、前記各コーナー部3dg、3de、3ef、3af部位は、開口側延出片部3g、開口側溝側片部3d、中間側延長片部3e、溝奥側溝側片部3f、そして溝底片部3aよりも肉厚となった構造になっている。
しかもこのように第二溝側片部3cが形成されることで、開口側延出片部3gには左右方向内側面3guと左右方向外側面3gyとが形成され、開口側溝側片部3dには溝内側面3duと溝外側面3dyとが形成され、中間側延長片部3eには溝内側面3euと溝外側面3dyとが形成され、溝奥側溝側片部3fには溝内側面3fuと溝外側面3fyとが形成されたものとなっている。
そしてこの場合に、開口側延出片部3gの左右方向内側面3guは、第一溝側片部3bの先端縁部3rに対して溝開口側部Xaを存する状態で左右方向同一位置に位置するように設定され、溝奥側溝側片部3fの溝外側面3fyは、開口側延出片部3gの先端部3sに対して前記間隙Yを存する状態で前後方向同一位置に位置するように設定されている。
【0014】
ガイドレール3は前述したような溝形状をなした一体型の型材で構成されるが、該ガイドレール3は、第二溝側片部3cにおける溝奥側溝側片部3fの外側面3fyに溶着した取り付け金具7、溝奥片部3aの外側面3ayに溶着した連結金具16を介して躯体側に設けられる支柱10に連結される。
前記取り付け金具7は上下方向に間隙を存して複数がそれぞれ溶着されるものであり、連結金具16は長尺状のものが溶着されるが、さらに本実施の形態では、ガイドレール3の上端縁部には、巻取りシャフト4から繰出されるシャッターカーテン3のガイドをするためのガイド部12と、現場においてガイドレール3をクレーン等の吊上げ手段を用いて起立状に吊上げる際に該吊上げ手段に係止するための係止金具15がガイドレール3の上端部に設けたブラケット15aに着脱自在に設けられている。
そしてガイドレール3は、取り付け金具7、ブラケット15a、そして後述する第一、第二化粧板8、9がさらに設けられたものがセット物となって工場組み立てされたものが出荷され、現場搬入されることになり、そして現場において、取り付け金具7が、必要において補助取り付け金具7aを介する状態で支柱10に連結され、溝奥片部3aの外側面3ayが前記連結金具16を介して支柱10に溶着により連結されることで躯体側に組み立てられる構成になっている。
【0015】
前述したようにガイドレール3には、第一、第二化粧板8、9が設けられるが、第一化粧板8は第一溝側片部3b側に設けられ、第二化粧板9は第二溝側片部3c側に設けられるが、これら化粧板8、9は、ガイドレール3に対しては溶着、両面粘着テープ、接着剤等の適宜固着手段を介してガイドレール3に止着される構成になっている。
【0016】
前記第一溝側片部3b側を覆う第一化粧板8は、第一溝側片部3bの端縁部3rを覆う見込み面部8aと、該見込み面部8aの屋内側端部から左右方向外方に向けて折曲していて、第一溝側片部3bの溝外側面3byに対して間隙を存する状態で該溝外側面3byの先端側部位(左右方向内側部位)を覆う見付け面部8bと、該見付け面部8bの左右方向外端部から屋内側(内外方向外方側)に向けて折曲する支持面部8cと、第一溝側片部3bの溝内側面3buに沿う(当接する)よう見込み面部8aの屋外側端縁部から左右方向外方(ガイド溝Xの溝奥方側)に向けて折曲した溝内側面部8dと、第一溝側片部3bの溝該側面3byに止着され、前記支持面部8cが当接する支持片部8eとを備えて構成されているが、前記溝内側面部8dは、第一溝側片部3bの溝内側面3buを、第一溝側片部3bの先端縁部3rから開口側溝側片部3dと中間側延出片部3eとのあいだの溝内側コーナー面部3dej位置に略相当する位置までを覆うよう形成されている。
そして第一化粧板8は、ガイドレール3が支柱10に組み付けられる状態で、該支柱10に基端側が固定された第一補助化粧板19の先端縁部19aが前記支持面部8cと支持片部8eとの当接部位に当てがわれ、ビス19bを介して固定されるようになっている。
【0017】
一方、第二溝側片部3c側を覆う第二化粧板9は、第二溝側片部3cの先端縁部3hを含む状態で開口側延出片部3gの左右方向内側面3guを覆うと共に、さらに前記取付け金具7までを覆う見込み面部9aと、該見込み面部9aの屋外側端部から左右方向外方に向けて折曲形成された支持面部9bと、取り付け金具7の屋外側端縁部に固着され、前記支持面部9bが当接する支持片部9cと、前記見込み面部9aの屋内側端縁部から開口側溝側片部3dの溝内側面3duに沿う(面接触する)よう折曲された溝内側面部9dと、該溝内側面部9dの溝底側端縁部から中間側延出部3eの溝内側面3euに沿うようコーナー部3dejの対応部位がコーナー部9fとなって折曲された折曲面部9eとを備えて構成されている。
そして第二化粧板9は、ガイドレール3が支柱10に組み付けられる状態で、該支柱10に基端側が固定された第二補助化粧板20の先端縁部20aが前記支持面部9bと支持片部9cとの当接部位に当てがわれ、ビス20bを介して固定されるようになっている。尚、本実施の形態においては、第二化粧板9と第二補助化粧板20とのビス20bによる固定部位は凹溝状になっており、ここに塞ぎ部材20cが嵌入取り付けされている。
【0018】
前記ガイドレール3は、上下レール部材3A、3Bを平板状の連結材6を用い、溶着により一連状に連結することで形成されることになるが、その場合の連結構造は次のようになっている。
前記連結材6は、レール部材3A、3Bの互いに対向する端縁部3Aa、3Ba部位の外側片(外側面)面間に架け渡し状に設けられ、該各外側面に溶着により一連状に連結される。
具体的には、レール部材3A、3Bの端縁部3Aa、3Ba同士を互いに対向する状態で突き合わせることになるが、この場合に、各端縁部3Aa、3Baは、各レール部材3A、3Bの長さ方向の心線(中心線)に対して直角面に形成する必要はなく、傾斜していたり、凹凸があるものであってもよく、このような端縁部3Aa、3Ba同士を突き合せた場合、一部に離間した部位があることになるが、このような突き合わせ状態、さらには突き合せ状態として当接部位がない状態(完全に離間状態)であっても本発明を実施することができ、
図6では当接がない状態(2mmほど離間した状態)で突き合せられたものを例示している。
【0019】
前記レール部材3A、3Bの端縁部3Aa、3Ba同士を突き合わせた状態で、溝奥片部3a同士の溝外側面3ay間、第一溝側片部3b同士の溝外側面3by間、第二溝側片部3cにおける開口側溝側片部3d同士の溝外面3dy間および溝奥側溝側片部3f同士の溝外側面3fy間に連結材6、つまり溝底側連結材6a、第一側連結材6b、開口側連結材6d、溝底側連結材6eをそれぞれ架け渡し状に当てがい、これら連結材6の幅方向両端縁部を各対向する外側面に溶着することでレール部材3A、3Bが一連状に連結されることになって、長尺中のガイドレール3が形成される。
【0020】
この場合に、連結材6のレール部材3A、3Bに対して溶着される部位Zは、前記突き合わされた端縁部3Aa、3Ba位置ではなく、該端縁部3Aa、3Ba位置から長さ方向(上下方向)に離間した部位Zとなるよう設定され、また連結材6としては、前記溶着部位Zよりも上下方向に長く延長する延長部6gが設けられる設定になっている。そしてこの延長部6gが設けられていることにより、例えばガイドレール3を横向きの姿勢(例えば水平姿勢)で吊上げたことにより撓んだ場合に、その応力を延長部6gでも受けることになってガイドレール3の直線性の維持ができることになる。
そしてこのようにレール部材3A、3Bを連結材6を介して溶着により連結形成されたガイドレール3は、屋内外の両外側面、溝底側の外側面の三外面が溶着により固定されるため、前後方向(屋内外方向)、左右方向の強度アップが図られることになり、前記横向きの姿勢で吊上げた場合に連結部Cに応力集中があったとしても、該連結部Cが変形したり折れ曲がったりすることを有効に回避できることになる。
尤も本発明を実施するにあたり、レール部材3A、3Bを連結材6を介して溶着により連結してガイドレール3を形成する場合に、前後方向(屋内外方向)、左右方向の強度アップを図る必要があり、そのためには溝底片部3a同士、第一溝側片部3b同士、第二溝側片部3c同士のうちの何れか一か所の片部同士の連結では強度的に弱いものになる惧れがあり、このため、これらのうちの少なくとも二か所の片部同士の連結とすることが好ましく、該二か所の連結とする場合、溝底片部3a同士の連結と、第一溝側片部3b同士、第二溝側片部3c同士のうちのいずれか一方の連結、第一溝側片部3b同士、第二溝側片部3c同士の連結の何れかになるが、ガイドレール3はシャッターカーテン3を円滑にガイドする必要がある、という本来の目的から判断して、レール部材同士の連結をした場合であっても、シャッターカーテン3のガイド面となる第一溝側片部3b同士、第二溝側片部3c同士の各連結部位(具体的には開口側溝側片部3dの溝内側面3duと第一溝側片部3bの溝内側面3bu)の平滑性を確保することが重要であり、この意味から、溝底片部3a同士の連結を含めて二か所の連結をする場合よりも、第一溝側片部3b同士、第二溝側片部3c同士の二か所の連結をすることの方が好ましいといえる。
そして本実施の形態のように三か所の片部同士の連結とした場合には、大いなる強度アップが図れることになり好適である。
またさらに本実施の形態の第二溝側片部3cは、開口側溝側片部3dと溝奥側溝側片部3fとが段差状に形成されたものであり、この各片部3d、3f同士をそれぞれ連結しているため、強度アップにさらに寄与することになるが、該第二溝側片部3cを連結する場合に、開口側溝側片部3d、溝奥側溝側片部3fのうちの何れか一方の連結であってもよく、この場合に、実質的にシャッターカーテン3のガイド面を構成することになる開口側溝側片部3d同士の連結をする場合の方が、溝奥側溝側片部3f同士を連結する場合よりも好ましいといえ、またこのようにした場合には、連結部位がガイド溝Xの開口端側に位置するため、強度面についても好ましいといえる。
【0021】
このようなレール部材3A、3B同士の連結作業は、建築用シャッター装置1を建て付ける現場で行ってもよいが、精度よく直線性を確保するため工場において行うことが好適である。
この場合に、座面21aが平面状になった台座21を用いて連結作業を行うことになり、その手順例について、
図10~12を参照しながら次に説明する。
まず台座21に、レール部材3A、3Bを載置することになるが、例えば第一溝側片部3bが下向きとなった状態で座面21aにレール部材3A、3Bを左右方向直線状に隣接する状態で載置する。そして該載置されたレール部材3A、3Bの溝底片部3aの互いに突き当てられた端縁部部位の外側面3ay(開口側延出片部3gの左右方向内側面3guあるいは第一溝側片部3bの先端縁部3rであってもよい。)間に直線状(平面状)の当て部材21bを当接せしめてレール部材3A、3Bが直線状態になるよう位置決めする。
【0022】
ついで該位置決めされたレール部材3A、3Bを、必要においてクランプ等の止め具22を用いて仮止めすると共に、さらに突き当てられた端縁部3Aa、3Ba同士をスポット溶接により点溶接する等して仮固定しておくことができる。またこの段階で当て部材21bは取り除くことができる。
前記台座21上に直線状に位置決めセットされたレール部材3A、3Bにおいて、台座面21aに対向していて目視できない第一溝側片部3bを除いた目視可能な溝底片部3aの外側面3ay同士、第二溝底片部3cにおける開口側溝側片部3dの外側面3dy同士、溝奥側溝側片部3fの外側面3fy同士のあいだに連結板6a、6d、6eを架け渡し状に当てがい溶着をすると共に、取り付け金具7を第二溝側片部3cに溶着する。止め具22はこれらの溶着の過程で適宜取り外すことになる。
【0023】
しかる後、レール部材3A、3Bを、台座21上にてガイド溝Xの開口端側が上方を向くよう回転させて、前記座面21aに対向していて溶着できなかった第一溝側片部3bの溝外面3byを露出させ、該第一溝側片部3bの溝外面3by同士のあいだに第一側連結材6bを架け渡し状に当てがい前記同様に溶着することで、レール部材3A、3Bが一連状に連結されたガイドレール3を形成することができる。尚、この場合、必要において止め具22を再取り付けして作業することができる。
【0024】
このように長尺状のガイドレール3が形成された後、上方を向いているガイド溝Xの開口端縁から嵌入するようにして該ガイドレール3に第一、第二化粧板8、9を組み込めばよく、このようにして必要部品が組み込まれた長尺状のガイドレール3が形成される。
【0025】
前記ガイドレール3は、一対のレール部材3A、3Bを連結して形成したが、3個以上のレール部材を一連状に連結して形成してもよく、またこのようにレール部材を一連状に連結する場合に、連結部Cがガイドレール3の長さ方向中央部位に位置しないようにすることが好ましく、そのため一対のレール部材3A、3Bを連結する場合、該レール部材3A、3Bを長短異なるものとして、これらを連結した場合に連結部Cが上下方向何れか一方に偏倚した(位置ずれした)ものにすることが好ましく、このようにした場合、ガイドレール3を横向き姿勢で吊上げたときに、ガイドレール3の中央部位が受ける最も大きな曲げ応力から回避できることになる。そしてこの場合に、長い側のレール部材3Aが下側に位置するように構成することが好ましい(
図14(A)参照)。
またガイドレールが3本以上のレール部材3A、3B、3Cを一連状に連結して形成されるものである場合には、ガイドレール3の中央部位に位置するレール部材3Cを最も長いものに設定する(
図14(B)参照)ことで、連結部Cが前記最も大きな曲げ応力を受ける中央部位からより離間する構成にできてガイドレール3の強度アップが図れることになる。
【0026】
また前述したようにガイドレール3には化粧板8、9が設けられるが、該化粧板8、9についても複数のものを一連状に連結した構成にすることができ、この場合に、化粧板8、9の連結部位Dを、レール部材3A、3B同士の連結部Cに対して上下方向に位置ずれさせたものにすること(
図13参照)が好ましく、このようにすることで、レール部材3A、3B同士の連結部Cに隙間があったとしても、該連結部Cを隠すことができて視認性が損なわれることがないうえ、レール部材3A、3B間に段差(勿論、ガイドレール3の案内には支障がない段差)があった場合であっても、該段差に影響されることなく化粧板8、9を連結状態で取り付けることができることになって、外観性に優れた精度の高いものとすることができる。因みに、化粧板8、9の連結部位Dと、レール部材3A、3B同士の連結部Cとは、例えば50cmほど離間さることが提唱される。
【0027】
叙述の如く構成された本実施の形態において、ガイドレール3は、鋼材を押出成形することで一体形成される型材からなるレール部材3A、3Bを一連状に連結した長尺物となっているが、これらレール部材3A、3Bは、左右方向外側の溝底片部3aと、該溝底片部3aから左右方向内側に向けて延出する屋内外側の第一、第二の溝側片部3b、3cとを備えたガイド溝Xを存する構造となっており、この結果、レール部材3A、3B自体が一体ものとなっていて、これらを複数の型材を溶着して形成した場合のように、溶接歪みが発生することがなく、強度的にも強いものにできる。
そしてこのように強度的に強いレール部材3A、3Bを、連結材6を介して連結してガイドレール3を形成することになるが、この場合に、隣接するレール部材3A、3B同士は、これらの外側面間に架け渡し状に設けた連結材を該各外側面に溶着することで連結されるものになる結果、レール部材3A、3B自体の連結部Cが溶着による熱歪みがないことになって直線性を維持できると共に、溶接ダレの発生がないためガイド面の平滑性を損なうこともなく、強度的に優れた連結を、外観性が優れたものとしてできることになる。
【0028】
そしてこの場合に、各レール部材3A、3B同士は、端縁部3Aa、3Baを溶着して連結するものでないため、これら端縁部3Aa、3Ba同士が、離間しているものであっても連結材6を介しての連結ができることになって、レール部材3A、3Bの端縁部3Aa、3Baを互いに面接触状に突き当てるため長さ方向に対して正確に直角面状に加工(切断)するような必要がなく、互いに対向する端面同士のあいだに隙間があっても問題なく接続できることになって、作業性が向上する。
しかも連結材6は平板材で構成されているため、幅方向に間隙を存する状態での溶着が確実にできることになって強度のある連結が簡単にできることになる。
【0029】
またこのものでは、レール部材3A、3Bを連結材6を介して連結する場合に、溝底片部3a同士、第一溝側片部3b同士、第二溝側片部3c同士の三外側面の溶着となっているため、前後左右方向の曲げ応力に対して十分に対応することができて強度アップが図れることになるが、このような強度アップを図る溶着としては、溝底片部3a同士、第一溝側片部3b同士、第二溝側片部3cのうちの一か所の連結では強度的に劣る場合が多いが、要求される強度が一か所の溶着で十分である場合には、勿論採用することができる。そして二か所以上の溶着である場合には、殆どの場合、要求強度を確保できることになって採用できるが、高い強度確保のため、前記三か所の溶着をすることが好ましいといえる。
【0030】
さらに本実施の形態において、第二溝側片部3cは、溝幅が幅狭な開口側溝側片部3dと幅広な溝奥側溝側片部3fとを備えて段差状に形成されたものであり、そして第二溝側片部3c同士を連結するため設けられる連結材6としては、開口側溝側片部3d同士、溝奥側溝側片部3f同士のそれぞれを連結するため開口側連結材6d、溝底側連結材6eが設けられたものとなっているため、より優れた強度アップが図れることになるが、このような段差状のある第二溝側片部3cを連結材6を介して連結する場合に、開口側溝側片部3d同士、溝奥側溝側片部3f同士のうちの何れか一方を連結材6を介して溶着により連結するようにしても勿論よい。
【0031】
さらにガイドレール3は、搬送する際等においては横向き姿勢で吊上げられ、また現場にて建て付けられる際に起立状に持上げる際には係止金具15に吊上げ手段を係止して持上げることになるが、このような場合に、ガイドレール3は、長さ方向中央部位に大きな応力が働くことになり、該中央部位がレール部材3A、3B同士の連結部Cであった場合に、該連結部Cに応力が集中することになって強度的に不利なものになる。
そこでこのようなことを避けるため、連結部Cが中央部位に位置しないよう上下に位置ずれさせたものとすることが好ましく、このものにおいて、上下一対のレール部材3A、3Bを連結するものである場合、連結部Cを中央部位よりも上側に配したものとすることが強度的に有利に働くことになって好ましいといえる。
またガイドレール3を、三本のレール部材3A、3B、3Cを連結して形成する場合に、長さが同じものであれば連結部Cは中央部位に位置することなく好ましいといえるが、長さが異なったものである場合、中側(中央側)のものが最も長いものとすることが強度的な観点から好ましいといえる。
【0032】
また本実施の形態では、ガイドレール3は、第一、第二化粧板8、9が設けられたものとなっている。そしてこれら第一、第二化粧板8、9について、前記ガイドレール3の長さに相当するする長いものを提供できる場合には、該長いものをそのまま用いることができるが、長いものが提供することが難しい場合には、第一、第二化粧板8、9についても複数に分割したものを連結するようにしてもよく、この場合、連結部位Dをレール部材同士の連結部Cに対して位置ずれさせることが外観上の観点からも好ましいといえる。
【0033】
このように、長尺状の長いガイドレール3は、レール部材3A、3Bを連結材6を溶着Zすることで形成されることになるが、該溶着Zは、レール部材3A、3Bが直線状になった状態で溶着Zすることが要求され、そこでこのものでは、前述したように、隣接するレール部材3A、3B同士を、台座21上において、該レール部材3A、3Bの端縁部3Aa、Ba同士が互いに対向する状態で当て部材21aを当てがって直線状になった位置決め姿勢にした後、該レール部材3A、3Bの台座21に対向していて隠れた状態の第一溝側片部3bの外側面3byを除いた各外側面3ay、3dy、3fy同士間に連結材6(6a、6d、6e)を当てがった状態でそれぞれ溶着をし、しかる後、該部分的に溶着されたレール部材3A、3Bを、前記台座21に対向していた第一溝側片部3bの外側面3byが露出するようレール部材3A、3Bを回転させ、該露出した外側面byに連結材6(6b)を当てがって溶着Zすることで、レール部材3A、3B同士が一連状に連結されて長尺状のガイドレール3が形成されることになる。
このように長尺状のガイドレール3を、隣接するレール部材3A、3B同士を連結材6を溶着Zすることで一連状に連結して直線状でしかも強度のある状態で形成することが、簡単にできることになって作業性が向上する。
【0034】
本発明は、前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、ガイドレール3としては、該ガイドレール3に防煙用のシール材23が設けられたものとしても実施することができる。このものを
図15に示す第二の実施の形態として説明するが、この場合のガイドレール3は、第二溝側片部3cが、前記第一の実施の形態のように溝幅を狭くしている開口側溝側片部3dのないものであって、前記溝奥側溝側片部3
fに相当するものがそのまま溝開口側に向けて延長され、その先端縁部3kが、第一溝側片部3bの先端縁部3rまでには至らない中間部位までのものとし、第二化粧板9と一体化される状態で先端縁部3kに固定される支持ブラケット24に前記シール材23が設けられたものとなっている。尚、このものでは、第二溝側片部3cの左右方向中間部位に、耐風フック2bが係止するための係止片部3mが形成されている。
そしてこのものでは、前記同様、隣接するレール部材同士を連結材6を介して一連状に連結するものであるが、第二溝側片部3cについては、その外側面3cy同士に連結材6fを前記同様に架け渡し状に設けて該外側面3cyに溶着Zすることで長尺状のガイドレール3を一連状に連結形成したものであり、このようにしても本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ビル等の建造物の出入り口等の開口部に建付けられる建築用シャッター装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 建築用シャッター装置
2 シャッターカーテン
3 ガイドレール
3a 溝底片部
3b 第一溝側片部
3c 第二溝側片部
3d 開口側溝側片部
3A、3B レール部材
6 連結材
6a 溝底側連結材
6b 第一側連結材
6d 開口側連結材
6f 溝底側連結材
8 第一化粧板
9 第二化粧板
C 連結部
X ガイド溝
Z 溶着