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特許7463138情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240401BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240401BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G06F3/12 359
B41J29/393 105
G06F3/12 308
G06F3/12 304
G06F3/12 346
G06F3/12 353
G06F3/12 375
G06F3/12 382
G06F3/12 386
H04N1/00 350
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020040216
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021140679
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】阿武 純
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206691(JP,A)
【文献】特開2013-246722(JP,A)
【文献】特開2019-098613(JP,A)
【文献】特開2009-137150(JP,A)
【文献】特開2019-133348(JP,A)
【文献】特開2013-186828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
B41J 2/01
B41J 2/165- 2/20
B41J 2/21 - 2/215
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 -21/18
B41J 29/00 -29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00 -21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
G06Q 10/00 -10/10
G06Q 30/00 -30/08
G06Q 50/00 -50/20
G06Q 50/26 -99/00
G16Z 99/00
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/50
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置及びジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置であって、
前記外部装置からジョブと、前記ジョブ処理装置が前記ジョブを実行することによって出力される出力物の品質を要求する品質要求データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した前記品質要求データを解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果に基づいて、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知する通知手段と、
前記受信手段によって受信した前記ジョブと前記品質要求データを前記ジョブ処理装置に送信するジョブ送信手段と、
前記ジョブ処理装置とは異なる検査装置による前記出力物の検査結果をユーザから受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けた検査結果に基づいてレポートを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成されたレポートを前記外部装置に送信するレポート送信手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ送信手段は、ネットワークを介して前記ジョブを前記ジョブ処理装置に送信し、
前記検査装置は、前記ネットワークに接続されていない検査装置であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検査装置が、前記ネットワークに接続されている検査装置であるか、前記ネットワークに接続されていない検査装置であるかを判定する判定手段をさらに有し、
前記ネットワークに接続されていない検査装置であると前記判定手段によって判定した場合、前記通知手段は、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる前記検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知し、
前記ネットワークに接続されていない検査装置ではないと前記判定手段によって判定した場合、前記通知手段は、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる前記検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知しないことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる前記検査装置によって検査される必要があることを示す情報を印刷することによってユーザに通知することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知手段は、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる前記検査装置によって検査される必要があることを示す情報を表示することによってユーザに通知することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知手段は、前記ジョブの識別情報とともに、前記識別情報によって識別されるジョブを実行することによって出力される前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる前記検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知手段は、前記ジョブ処理装置の装置情報とともに、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる前記検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置
【請求項8】
前記検査装置は、バーコードを検査する装置であり、
前記通知手段は、前記受信手段によって受信した品質要求データに基づいて、前記出力物に印刷されたバーコードの前記検査装置による検査が必要であることをユーザに通知することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置
【請求項9】
前記品質要求データのフォーマットはPRXであり、前記レポートのフォーマットはPQXであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置
【請求項10】
前記ジョブは印刷ジョブであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置
【請求項11】
外部装置及びジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記外部装置からジョブと、前記ジョブ処理装置が前記ジョブを実行することによって出力される出力物の品質を要求する品質要求データを受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した前記品質要求データを解析する解析工程と、
前記解析工程における解析結果に基づいて、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知する通知工程と、
前記受信工程で受信した前記ジョブと前記品質要求データを前記ジョブ処理装置に送信するジョブ送信工程と、
前記ジョブ処理装置とは異なる検査装置による前記出力物の検査結果をユーザから受け付ける受付工程と、
前記受付工程で受け付けた検査結果に基づいてレポートを生成する生成工程と、
前記生成工程で生成されたレポートを前記外部装置に送信するレポート送信工程と、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載された情報処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリントオンデマンド(POD)やプロダクションプリンティング、商業印刷と呼ばれる印刷サービス形態がある。このようなサービス形態では、印刷を注文・依頼する顧客(エンドユーザとも呼ぶ)と、印刷成果物を提供する印刷会社とが存在し、顧客は印刷会社に対して依頼する印刷成果物の仕様と、必要に応じて印刷に用いる画像データの提供を行い印刷物の注文を行う。印刷成果物の仕様とは、例えば使用する用紙種類、製本やステイプルといった仕上げ設定、印刷枚数や部数といった、印刷成果物の内容を決定する要素である。印刷会社は依頼された内容と画像データを用いて印刷成果物を作成して顧客に対して納品する。
【0003】
このような商業印刷サービスにおいて、印刷会社は印刷成果物の受注から納品までを行うために多様な機器やソフトウェアを用いる。用紙への印刷を行うための印刷装置や製本・ステイプルを行うためのフィニッシャ、印刷物の検査・検品を行うための検品装置の他に、顧客から印刷成果物の受注を受け付けるためのWebサーバも用いられる。また、印刷成果物の生産を管理するための端末やソフトウェアも用いられる。また、これらの機器やソフトウェアの使用者も複数存在する。例えば、受注案件の管理や顧客との連絡を行う受注担当者、印刷成果物を完成させるまでの作業工程を設計する工程設計者、印刷装置や検品装置の操作を行うオペレータ、最終印刷成果物の品質確認を行う品質確認者である。複数の生産拠点を備える印刷会社も存在し、このような場合、印刷会社は受注内容をもとに、どの生産拠点で印刷成果物の生産を行うか決定する。
【0004】
商業印刷サービスにおいては、印刷会社は顧客から印刷成果物に対して品質条件を指定されることが多い。品質条件とは、印刷成果物の仕様とは異なり、用紙の表裏における画像の位置ずれ量や、複数部数あるいは複数ページ間での画像の色値の変動量といった、印刷成果物の品質に関する条件を指す。印刷成果物はチラシやパンフレットのような配布物、写真集や書籍、名刺、展示パネルなど多岐にわたり、それらの用途や価格も様々であるため、品質条件もまた、求められる条件や水準は多種多様である。後述するように品質条件に対して、印刷会社ではそれらを満たすための作業工程と、印刷成果物の品質確認工程が必要となるため、品質条件の水準が高いほど印刷成果物のコストも増加することが一般的である。印刷会社は、これらの品質条件を満たすような各種調整作業を行いながら、印刷成果物の作成を行う。例えば、顧客と合意を得たサンプル印刷の結果に基づいて、印刷装置の特定の用紙における特定の色に合わせるための各種調整や、印刷後の検品により品質条件を満たさない印刷成果物を不良品として除外することが行われる。印刷会社はこれらの作業により達成された印刷成果物の品質が顧客の求める品質条件に達しているかを確認する。
【0005】
特に、多くの顧客から様々な仕様・品質条件の印刷成果物を受注する場合、各印刷成果物に対して顧客の品質条件を満たすための作業もまた多種類となり、かかる時間も長時間となる。例えば、印刷成果物Aでは表裏の印刷ずれが、印刷成果物Bでは顧客から提示された色見本との整合性が、それぞれ品質条件として求められているとする。この場合、受注担当者は工程設計者にそれぞれの印刷成果物の品質条件を、印刷会社で用いるデータフォーマットを用いて伝送する必要がある。工程設計者は印刷会社で用いることができる印刷装置及びソフトウェアの種類、状態をもとに、それぞれの印刷成果物の生産において、品質条件を満足するための作業工程を決定する。例えば、印刷成果物Aでは後処理装置の機器調整、印刷成果物Bでは印刷装置の色校正、のように作業を決定し、さらに色較正後の測色作業など、各作業における結果確認作業を決定する。また、例えば表裏の印刷ずれの確認箇所と許容されるずれ量の最大値のように、生産された印刷成果物が品質条件を満足していることをどのように確認すればよいかを示す検査方法を決定する。印刷会社では複数の印刷装置が用いられていることが一般的であり、工程設計者は、それら複数の印刷装置から受注した印刷成果物の品質条件を満足するために最適な装置を選ぶ必要がある。このように、品質条件を満たす印刷成果物の生産と、生産された印刷成果物の品質確認をそれぞれ行うためのワークフローの定義が印刷会社においては必要である。オペレータはこのようにして決定された作業工程を受け取り、印刷装置及びソフトウェアの操作を行う。品質確認者は生産された印刷成果物と検査方法をもとに印刷成果物が品質条件を満足していることを検査する。このように、印刷会社は品質条件とそれを満足するための作業工程に多くの作業工数を費やしている。
【0006】
従来、顧客と印刷会社とがこれらの品質条件の受け渡しを行う際に、統一された情報フォーマットは定義されておらず、用いられてこなかった。そのため、印刷会社は複数の顧客から異なる情報フォーマットで品質条件を受領することになり、品質条件から、それらを満たすための作業工程を設計する際に不便が生じていた。顧客側から見ても、複数の印刷会社に対して印刷成果物の発注を行う際に、品質条件の受け渡しを異なる情報フォーマットで行う煩雑さが存在していた。
【0007】
そこで、品質条件を伝送するための情報フォーマットの統一手段として、標準化技術として非特許文献1に記載のPRXが検討されている。PRXとは、Print Requirement eXchange formatの略であり、印刷に要求する品質条件の標準データフォーマットを指す。PRXを用いることで、異なる顧客あるいは異なる受注に対する品質条件を統一的な標準データフォーマットで記述できるようになる。このようにPRXを用いて従来統一されていなかった品質条件を統一された情報フォーマットで伝送できるようになる。
【0008】
顧客が求める品質条件を記述したPRXを用いることで、品質条件を満足するために印刷成果物の生産時に行う作業工程と、印刷成果物の品質確認の作業工程とを作業者を介さずに印刷システムで策定することができる。そして、印刷装置やソフトウェアの事前設定を自動で行うことができる。
【0009】
また、前述のように品質確認者は生産された印刷成果物が品質条件を満足していることを確認するために印刷成果物の品質を検査し、その結果を記録する。例えば、用紙の表裏における画像の位置ずれ量や、複数部数あるいは複数ページ間での画像の色値の変動量を測定しその値を記録する。また、印刷成果物の中に印刷されたバーコードやQRコード(登録商標)の印刷品質を検査装置で検査を行い、その品質のグレードを記録する。また、印刷成果物に所謂白抜けやポチと言った画像欠陥がないことを人が目視で検査し、その結果を記録する。
【0010】
その検査結果を伝送するための情報フォーマットの統一手段として、標準化技術として非特許文献2に記載のPQXが検討されている。PQXとは、Print Quality eXchange formatの略であり、印刷成果物の品質の検査結果の標準データフォーマットを指す。PQXを用いることで、印刷成果物の品質の検査結果を統一的な標準データフォーマットで記述できるようになる。このようにPQXを用いて従来統一されていなかった印刷成果物の品質の検査結果を統一された情報フォーマットで伝送できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2014-235678
【非特許文献】
【0012】
【文献】ISO/AWI 20616-1, Graphic technology -- File format for quality control and metadata --。 Part 1: Print Requirements eXchange (PRX) https://www.iso.org/standard/68565.html
【文献】ISO/AWI 20616-1, Graphic technology -- File format for quality control and metadata --。 Part 2: Print Quality eXchange (PQX) https://www.iso.org/standard/68565.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
PRX、PQXによれば、位置ずれや色値の変動の範囲などの品質要求をデジタルで指示することができる。PRXの内容によっては、バーコード検査など一部の検査について、オペレータによる検査作業が必要な場合がある。
【0014】
しかし、オペレータがPRXのデータを見て、オペレータがマニュアルで実施することが必要な検査項目があることを判断し、特定するのは容易ではない。
【0015】
例えば、印刷成果物に所謂白抜けやポチと言った画像欠陥がないことを人が目視で検査する所謂目視検査が必要な場合は、目視検査を実施する品質確認者に通知する必要がある。また、バーコードやQRコードの印刷品質を検査するには、印刷装置で印刷された印刷物を印刷装置とは紙搬送経路上でつながっていない所謂バーコード検査装置に移動させてバーコード検査装置で検査を行う。その為には、バーコード検査装置で検査を実施する品質確認者に通知する必要がある。
【0016】
特許文献1は、印刷指示情報を分析して印刷属性としての試し印刷が必要かどうかを判断するものである。しかしながら、この指示情報は印刷時の属性、例えば片面或いは両面で印刷する、ステイプルを施すと言った印刷属性を指示する印刷指示情報であって、PRXなどで記述された印刷ジョブの要求品質条件ではない。よって、要求品質条件から必要な検査を特定することができるものではない。
【0017】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、ジョブ処理装置とは異なる検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知し、検査装置による検査結果をユーザから受け付け、受け付けた検査結果に基づいてレポートを送信することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
外部装置及びジョブ処理装置と通信可能な情報処理装置であって、前記外部装置からジョブと、前記ジョブ処理装置が前記ジョブを実行することによって出力される出力物の品質を要求する品質要求データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した前記品質要求データを解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果に基づいて、前記出力物が前記ジョブ処理装置とは異なる検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知する通知手段と、前記受信手段によって受信した前記ジョブと前記品質要求データを前記ジョブ処理装置に送信するジョブ送信手段と、前記ジョブ処理装置とは異なる検査装置による前記出力物の検査結果をユーザから受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けた検査結果に基づいてレポートを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成されたレポートを前記外部装置に送信するレポート送信手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ジョブ処理装置とは異なる検査装置によって検査される必要があることをユーザに通知し、検査装置による査結果をユーザから受け付け、受け付けた検査結果に基づいてレポートを送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】実施形態に係るシステム構成図
図2】実施形態に係るハードウェア構成図
図3】実施形態に係るソフトウェア構成図
図4】実施形態に係るPRX解析結果の品質要求パラメータ図
図5】実施形態に係るPRX解析結果の品質要求パラメータ図
図6】実施形態に係るPRX解析結果の品質要求パラメータ図
図7】実施形態に係るPRX解析結果の品質要求パラメータ図
図8】実施形態に係るPRX解析結果の品質要求パラメータ図
図9】実施形態に係るPQX解析結果の品質要求パラメータ図
図10】実施形態に係るワークフロー管理端末の画面表示図
図11】実施形態に係る検査指示書を示す図
図12】実施形態に係るフローチャート図
図13】実施形態に係る検査対象となるジョブの1ページの画像の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。特に、印刷ジョブの印刷品質要求基準を規定するファイルのフォーマットとしてPRX、印刷成果物の品質レベルを規定するファイルのフォーマットとしてPQXを前提に説明する。しかしながら、本発明はPRXやPQXに限定されるものではなく、印刷ジョブの品質条件を規定するフォーマットであるならば、その形式は何でも良い。なお、PRXは、Print Requirement eXchange formatの略である。PRXは品質要求データである。一方、PQXは、Print Quality eXchange formatの略である。
【0022】
図1は、本実施形態に係るジョブ処理システムの一例である商業印刷システムの構成を説明する図である。
【0023】
ワークフロー管理サーバ100は、印刷ジョブの処理に関してワークフロー全体を管理する装置である。
【0024】
ワークフロー管理端末101は、ワークフロー管理者が操作する端末であって、ワークフロー管理サーバ100にネットワークを介して接続し、各種機能の実行や、ワークフロー管理サーバからの情報を受信し、表示する。具体的には、ワークフロー管理機能の設定変更や、生産システム120のデバイスの状態確認や、印刷データとPRXの矛盾に関する情報表示などである。なお、図1では生産システム120は1つしか図示していないが、ワークフロー管理サーバ100は複数の生産システム120を管理しても良い。その場合は、例えばカラー印刷可能かどうかや印刷スピードなどの生産システム120の能力やその時のジョブの処理の過密度などの状態を鑑みて、印刷ジョブの内容に適切な生産システム120を選択し、その生産システム120に対して印刷ジョブを処理させる。
【0025】
受注システムサーバ110は、商業印刷の印刷成果物に関して、エンドユーザから注文を受けるためのシステムを管理する装置である。
【0026】
受注システム管理端末111は、受注システム管理者が操作する端末であって、ネットワークを介して受注システムサーバ110に接続し、受注システムサーバ110の各機能を実行する。
【0027】
エンドユーザ端末112は、エンドユーザが操作する端末であり、この端末から受注システムにジョブを発注する。
【0028】
生産システム120は、商業印刷における印刷成果物を、生産するためのシステムである。詳細には、印刷装置121、印刷装置121を制御するプリントサーバ122などの装置により構成される。印刷装置121にはインライン検査装置126が組み込まれている。インライン検査装置126は、印刷装置121にインラインで接続されたアクセサリユニットの一種である。インライン検査装置126は、そのユニット内のセンサーで印刷画像をスキャンし、印刷物の画像が用紙に対して縦横方向及び用紙の表裏でずれている長さを測定したり、画像のある部分の色味を測定したりする機能を有する。インライン検査装置126は印刷装置121にインラインで接続されているので、この機能によって後述する位置ずれや色味の検査を印刷しながら実施することができる。
【0029】
プリントサーバ122は、ワークフロー管理サーバ100からのデータと指示に基づき、印刷処理を行い、印刷装置121に対して印刷指示を行う。
【0030】
印刷装置121は、プリントサーバ122からのデータと指示に基づき、印刷を実行する。印刷方式は特に限定されることはなく、電子写真方式、インクジェット方式、その他の方式のいずれでもよい。印刷装置121で印刷される時、用紙に画像が形成された後にインライン検査装置126に用紙が搬送され画像が検査され、その後に用紙が搬送されるアクセサリと呼ぶ装置でステイプルやパンチなどの加工が行われる。
【0031】
生産オペレータ端末125は、生産システム120の各種デバイスを操作するオペレータが操作する端末であって、生産システム120にネットワークを介して接続し、デバイスの稼働状況の確認、異常発生時のエラー情報の確認などの機能を有する。別の形態として、外部の端末ではなく、各デバイスが具備する操作部等のUI(User Interface)が、これらの機能を担う構成でもよい。
【0032】
オフライン検査装置130は、生産システム120で印刷された印刷成果物を検査する装置である。インライン検査装置126は印刷装置121の中に組み込まれるのに対し、オフライン検査装置130は印刷装置121とは紙搬送経路がつながっていない。よって、印刷装置121で印刷された印刷成果物をオフライン検査装置130まで運ぶ必要がある。なお、インライン検査装置126とオフライン検査装置130とは、印刷装置121と紙搬送経路でつながっているかどうかで区別しており、本商業印刷システムとネットワークで接続しているかどうかは関係ない。図1ではオフライン検査装置130はネットワークで接続しない形態で表現しているが、接続していても良い。どちらの場合も実現できるように説明する。
【0033】
目視検査結果入力シート140は、生産システム120で印刷された印刷成果物を品質確認者が目視検査を行い、その結果を入力するシートである。例えば、目視検査結果入力シート140は紙でできていて、品質確認者はペンなどで紙に記入し、記入後に紙をスキャナーで読み取ってその入力結果はネットワークを介してワークフロー管理サーバ100に蓄積される。また、タブレット端末上に目視検査の結果を入力できるようにし、その入力結果はネットワークを介してワークフロー管理サーバ100に蓄積される。図1では目視検査結果入力シート140はネットワークで接続しない形態で表現しているが、接続していても良い。どちらの場合も実現できるように説明する。
【0034】
次に、本商業印刷システムが印刷ジョブを受注してから印刷するまでの流れを説明する。
【0035】
初めに、エンドユーザはエンドユーザ端末112からネットワークを介して受注システムサーバ110に接続する。そして、エンドユーザは、ウェブブラウザなどのUIから、印刷成果物の選択、原稿データの送信、発注などを受注システムサーバ110に対して指示することで印刷ジョブの発注を行う。1以上のエンドユーザが1以上の印刷ジョブの発注を行うので、受注システムサーバ110は1以上の印刷ジョブの受注データを保持することになる。
【0036】
次に、受注システム管理者は受注システム管理端末111から、1以上の印刷ジョブの受注データを保持する受注システムサーバ110に接続し、ウェブブラウザなどのUIから、受注システムサーバ110が持つ各機能を実行する。具体的には、印刷成果物別の要求品質設定、受注ジョブごとのステータス確認、受注ジョブごとの印刷成果物の品位情報の閲覧などがある。
【0037】
次に、ワークフロー管理者はワークフロー管理端末101から、ワークフロー管理サーバ100に接続し、ウェブブラウザなどのUIから、ワークフロー管理サーバ100が持つ各機能を実行する。具体的には、受注システムサーバ110に接続し保持されている複数の印刷ジョブからその日に実行すべき印刷ジョブを選択して受注データを取得しワークフロー管理サーバ100に保持する。また、ワークフロー管理サーバ100は、受注システムサーバ110から、印刷データや品質条件情報であるPRXを受信する。そして、受注システムサーバ110から受信したPRXを解釈して、受注ジョブ毎に生産システム120の決定や、印刷データのプリプレス処理などを実行する。なお、本実施形態では、印刷装置121が印刷出力を行う前に印刷データに対し、印刷データに使われているフォントや特色などを検査し印刷を問題なく行うための準備の処理をプリプレス処理と呼ぶ。この処理を行うことで、取得した受注データを解析し、印刷ができる条件が整っているかを判断し、印刷できると判断できたものを生産システム120に対し印刷するように指示する。更に、ワークフロー管理サーバ100は生産システム120に対し印刷出力を行うように指示をすると、プリントサーバ122が印刷データを受信する。そして、プリントサーバ122は、一般的にRIPと呼ぶ印刷データを印刷機で印刷できるようにデータ処理を行い、印刷装置121に対して処理したデータを送信する。印刷装置121はデータを受信し印刷出力を行う。
【0038】
また、ワークフロー管理サーバ100はPRXを解釈して印刷された印刷成果物の印刷品質を確認する検査指示を行う。例えば、インライン検査装置126に対し前述のように用紙の表裏における画像の位置ずれ量や、複数部数あるいは複数ページ間での画像の色味を測定するなどの検査の実施を指示する。インライン検査装置126における検査は、生産システム120において印刷される時に同時に検査が行われる。ワークフロー管理サーバ100がネットワークを介して生産システム120に対し、インライン検査装置126で行う検査内容を指示することで実施される。
【0039】
これに対し、オフラインで実施する検査は、そのオフライン検査装置130を操作したり、検査そのものを実施する品質確認者に対して検査を指示し、品質確認者がその指示を受けて検査を実施したりする必要がある。例えば、前述のようにバーコード検査を実施する場合、品質確認者はオフライン検査装置130であるバーコード検査装置に印刷成果物をセットして検査を開始する。このように、オフライン検査では品質確認者が実施する必要がある検査を適切に知る必要がある。そのために、印刷システムでは、作業指示書を使って必要な検査などの工程を進めていくことが多い。そのために検査指示書が使われる。
【0040】
次に、ワークフロー管理サーバ100は蓄積した1以上の検査結果をジョブ毎に集計し、PQXのフォーマットで印刷成果物の印刷品質を記述する。更に、顧客が指定した印刷成果物に対する品質要求を記述したPRXとこのPQXを比較し要求品質が満足されているかを判定する。満足されていることを確認したら、作成したPQXを受注システムサーバ110に送付する。
【0041】
受注システムサーバ110は印刷成果物の印刷品質は顧客が指定した印刷成果物に対する品質要求を満足していることを報告し、必要に応じてPRXやPQXを提供できるように蓄積し、顧客が指定した場所に印刷成果物を送付し、印刷受注を完了する。
【0042】
以上、本商業印刷システムが印刷ジョブを受注してから印刷する流れである。
【0043】
なお、本実施形態は、ワークフロー管理サーバ100がワークフロー管理を行う拠点に設置されるオンプレミスサーバであるものとして説明するが、その限りではない。別の実施形態として、ワークフロー管理サーバ100をクラウドサーバとして構築し、後述のワークフロー管理端末101からは、インターネットを介して接続する構成としてもよい。後述の受注システムサーバ110も同様である。
【0044】
なお、本実施形態は、ワークフロー管理サーバ100がPRXの解釈及び印刷データのプリプレス処理を実行するものとして説明するが、その限りではない。別の実施形態として、後述の受注システムサーバ110がこれらの処理を実行してもよいし、後述の生産システム120のプリントサーバ122がこれらの処理を実行してもよい。また、PRXの解釈と印刷データのプリプレス処理を別のサーバで実行してもよい。例えば、受注システムサーバ110がPRXの解釈を、ワークフロー管理サーバ100がプリプレス処理を実行してもよい。
【0045】
次に、本実施形態に係る各種装置のハードウェア構成を説明する。
【0046】
図2は、本実施形態に係るワークフロー管理サーバ100、ワークフロー管理端末101とプリントサーバ122を含む、商業印刷システムのハードウェア構成を説明するブロック図である。
【0047】
まず、ワークフロー管理サーバ100のハードウェア構成を説明する。
【0048】
CPU201は、ROM202又はハードディスク(HDD)204に記憶された制御プログラムをRAM203に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス206に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM202は、CPU201が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM203は、主としてCPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAM203によりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)204は、CPU201によって実行可能な制御プログラム、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。尚、本実施形態1ではHDD204を用いたが、HDDの他にSDカードや、フラッシュメモリなどを外部記憶装置として利用してもよい。これは、以降に説明するHDDを有する装置も同様である。ネットワークI/F205は、ネットワークを経由して、各種装置とデータ通信を行う。
【0049】
なお、受注システムサーバ110の場合も、そのハードウェア構成はワークフロー管理サーバ100と同様であるため、その説明は省略する。
【0050】
次に、ワークフロー管理端末101のハードウェア構成を説明する。
【0051】
CPU211は、ROM212又はハードディスク(HDD)214に記憶された制御プログラムをRAM213に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス216に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM212は、CPU211が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM213は、主としてCPU211の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAM213によりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)214は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。ネットワークI/F215は、ネットワークを経由して、その他の装置とデータ通信を行う。
【0052】
なお、受注システム管理端末111、エンドユーザ端末112、そして、生産オペレータ端末123などの、その他の端末装置も、そのハードウェア構成はワークフロー管理端末101と同様であるため、その説明は省略する。
【0053】
次に、プリントサーバ122のハードウェア構成を説明する。
【0054】
CPU221は、ROM222またはハードディスク(HDD)224に記憶された制御プログラムをRAM223に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス226に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM222は、主としてCPU221が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM223は、主としてCPU221の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)224は、実行可能な制御プログラム、ブートプログラム、各種のアプリケーションを記憶する。また、HDD224は、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する、ネットワークI/F225は、ネットワークを経由して、その他の装置とのデータ通信を行う。プリンタI/F227は、印刷装置121の画像形成部228への画像出力を制御する。
【0055】
次に、印刷装置121のハードウェア構成を説明する。
【0056】
画像形成部228は、印刷用データを用紙に出力し、そのハードウェア構成は、一般的な印刷装置121と同じである。印刷装置121には画像形成部228以外のハードウェアも含んでいるが、本発明には直接関係なく、また一般的な印刷装置と変わらないので割愛する。
【0057】
本実施形態に係るワークフロー管理サーバ100のソフトウェア構成を説明する。
【0058】
これらのソフトウェアモジュールは、ROM202またはHDD204に格納されたプログラムをCPU201が読み出しRAM203に展開して実行することにより実現される。データ管理部301は、受注システムサーバ110から印刷データ及びPRXを受信し、管理する。統括制御部302は、データ管理部301からPRXや印刷データを読み出し、PRXと印刷データを解析し、後述するフローチャートに従ってPRXと印刷データとに矛盾がないかを解析したり、その結果をログファイルに記録したりする。なお、ログファイルはデータ管理部301が管理する。PRX解釈部303は、受注システムサーバ110から受信したPRXを解析し、印刷品質条件を特定する。プリプレス処理部304は、受注システムサーバ110から受信した印刷データを解析する。
【0059】
なお、本実施形態は、ワークフロー管理サーバ100がPRX解釈部303及び印刷データのプリプレスを実行するプリプレス処理部304を有するものとして説明するが、その限りではない。別の実施形態として、受注システムサーバ110が有していてもよいし、生産システム120のプリントサーバ122が有していてもよい。
【0060】
図4から図8はPRXの具体的な記述例である。
【0061】
図4はPRXの全体構成である。タグPRX(411)には、タグQualitySpecification(412)、タグCustomerJob(413)、タグQualityGoals(414)の構成の下に、以下の4つのタグがある。これらの4つの観点での印刷品質要求が記載される構成である。その4つのタグとは、タグColor(415)、タグRegistration(416)、タグDefects(417)、タグBarcode(418)であり、以下で詳細に説明する。
【0062】
図5はタグColorの構成である。このタグColorでは色味の差異に関する印刷品質要求基準を定義する。これは、印刷物の画像の中のある部分の色味を測色器などで測定し、基準の色味との差異を計算しその差異が品質要求基準内に収まっていることを要求するものである。この差異として、一般的にdE(デルタE)が用いられる。タグColor(415)には、タグComplianceGoal(421)が目標とするカラー規格を定義する。ここでは一例として「G7」が示されている。タグColorScore(422)、タグScoringInfo(423)の構成の下に、タグMinimumAcceptableRank(424)とタグDesiredRank(425)がある。これらはそれぞれ最低限守らなければならないランクと守るのが望ましいランクを定義する。ここでは一例としてそれぞれ、3と4が示されている。これらのランクの値を以下のタグを用いて定義する。タグColorScoringScale(426)の下にタグUoM(427)とタグParameterScore(428)がある。タグParameterScore(428)の下にタグLogicalOperator(429)とタグCalculatedValue(42a)がある。Colorのランクを定義するものであり、ここでは一例としてタグColorScoringScale(426)がランク「4」である。また、タグUoM(427)は単位がdE(デルタE)であり、タグParameterScore(428)がLTE即ち「less than or equal to」であり、タグCalculatedValue(42a)が値「5」である。これらから、ランク「4」はdEが5以下であることを定義している。同様に、タグParameterScore(42b)はランク「3」はdEが10以下であることを定義している。
【0063】
以上より、タグColor(415)を定義するPRXには、「G7」のカラー規格を基準に、最低限としてランク「3」即ちdEが10以下、できれば「4」即ちdEは5以下が望ましいという要求印刷品質が定義されている。
【0064】
図6はタグRegistrationの構成である。このタグRegistrationでは用紙における印刷位置のずれに関する印刷品質要求基準を定義する。これは、印刷物の画像が用紙に対して縦横方向及び用紙の表裏でずれている長さを測定し、その差異が品質要求基準内に収まっていることを要求するものである。タグRegistration(416)には、タグRegistrationScore(431)、タグScoringInfo(432)の下に、タグMinimumAcceptableRank(433)とタグDesiredRank(434)がある。これらはそれぞれ最低限守らなければならないランクと守るのが望ましいランクを定義する。ここでは一例としてそれぞれ、7と8が示されている。これらのランクの値を以下のタグを用いて定義する。タグRegistrationScoringScale(435)の下にタグUoM(436)とタグParameterScore(437)があり、更にタグValueRange(438)の下に以下のタグで構成される。タグParameterScore(437)はExcellentと呼ぶランク8の定義である。タグLogicalOperator(43a)、タグCalculatedValue(43b)、タグLogicalConnector(43c)で構成されている。さらに、タグLogicalOperator(43d)、タグCalculatedValue(43e)で構成されている。タグUoM(436)のumはマイクロメートル即ち1000分の1ミリメートルを示す。タグ43aから43eには例として、それぞれLT即ち「less than」、2、AND即ち「且つ」、GTE即ち「greater than or equal to」、1が示される。この例では、ランク8の定義は1マイクロメートル以上で2マイクロメートルよりも小さいことが分かる。タグParameterScore(43f)はGoodと呼ぶランク7の定義であり、同様に2マイクロメートル以上で4マイクロメートル以下であることが分かる。
【0065】
図7はタグDefectsの構成である。このタグDefectsでは印刷にある画像欠陥に関する印刷品質要求基準を定義する。これは、印刷物の画像の中に画像欠陥が無いか、あればその大きさを測定し、その画像欠陥の大きさが品質要求基準内に収まっていることを要求するものである。タグDefects(417)には、タグScoringInfo(441)の下に、タグMinimumAcceptableRank(442)とタグDesiredRank(443)がある。これらはそれぞれ最低限守らなければならないランクと守るのが望ましいランクを定義する。ここでは一例としてそれぞれ、7と8が示されている。これらのランクの値を以下のタグ44a以降を用いて定義する。タグDefectTypeDefinition(444)には、タグDefectName(445)としてhickey即ちポチ、タグDefinition(446)にその定義がある。ここではポチとは、破片による印刷画像の欠陥と定義している。同様にタグDefectName(447)ではline即ちスジ、その定義として細い水平線として表示される印刷イメージの欠陥としている。更に、タグDefectParameter(448)、タグDefectParameterScale(449)の下にタグUoM(44a)とタグParameterScore(44b)がある。更にタグValueRange(44c)の下に以下のタグで構成される。タグParameterScore(44b)はExcellentと呼ぶランク8の定義である。タグLogicalOperator(44d)、タグCalculatedValue(44e)、で構成されている。さらに、タグLogicalConnector(44f)、タグLogicalOperator(44g)、タグCalculatedValue(44h)で構成されている。タグUoM(44a)のumはマイクロメートル即ち1000分の1ミリメートルを示す。タグ44dから44hには例として、それぞれLT即ち「less than」、3、AND即ち「且つ」、GTE即ち「greater than or equal to」、1が示される。この例では、ランク8の定義は1マイクロメートル以上で3マイクロメートルよりも小さいことが分かる。タグParameterScore(44i)はGoodと呼ぶランク7の定義であり、同様に3マイクロメートル以上で4マイクロメートル以下であることが分かる。
【0066】
図8はタグBarcodeの構成である。このタグBarcodeでは1次元バーコードや2次元コード(以下バーコードと呼ぶ)の印刷品質に関する印刷品質要求基準を定義する。これは、印刷物の画像の中に印刷されているバーコードの印刷品質、例えばバーコードのコントラストや輝度など、を測定し、そのバーコードの印刷品質が品質要求基準を満足していることを要求するものである。タグBarcode(418)には、タグComplianceGoal(451)には目標とするバーコード規格を定義する。ここではISO 15426-1と言う1次元バーコードに対する国際規格に準拠することが示される。また、タグBarcodeScore(452)、タグScoringInfo(453)の下に、タグMinimumAcceptableRank(454)とタグDesiredRank(455)がある。これらはそれぞれ最低限守らなければならないランクと守るのが望ましいランクを定義する。ここでは一例としてそれぞれ、1と1が示されている。タグBarcodeScoringScale(456)の下のタグScore(457)でPass即ち合格と表示するのはランクが1であると定義されている。また、タグBarcodeParameter(458)の下のタグBarcodeSymbology(459)はバーコードの種類を示しており、ここではCode128という種類のバーコードであることが示される。
【0067】
図9(a)、図9(b)はPQXの具体的な記述例である。
【0068】
図9はPQXの全体構成である。タグSampleCollection(512)、タグSample(513)の下に、以下の4つのタグがあり、図4で説明した4つの観点での印刷品質要求基準に対する検査結果を格納する。タグColorReport(514)は、図5で説明した色味の差異に関する印刷品質要求基準に対する検査結果を格納する。タグRegistrationReport(515)は、図6で説明した印刷位置のずれに関する印刷品質要求基準に対する検査結果を格納する。タグDefectReport(516)は、図7で説明した印刷にある欠陥に関する印刷品質要求基準に対する検査結果を格納する。タグBarcodeReport(517)は、図8で説明したバーコードの印刷品質に関する印刷品質要求基準に対する検査結果を格納する。
【0069】
図9(b)はタグBarcodeReport(517)の全体構成である。
【0070】
タグVerificationSet(551)の下のタグBarcode1DEntry(552)は1次元バーコードであることを示す。この下のタグISO1DVerification(554)の下は、タグOverallSymbolGrade(555)、タグMinimumReflectance(556)、タグSymbolContrast(557)のタグから構成される。さらに、タグISO1DVerification(554)の下は、タグMinimumEdgeContrast(558)、タグModulation(559)のタグがある。さらに、タグBarcodeDefects(55a)、タグDecodability(55b)、タグDecode(55c)のタグがある。これらのタグはISO 15426-1と言う1次元バーコードに対する国際規格に準拠した検査項目を格納することができるようになっている。
【0071】
図13は検査対象となるジョブの1ページの画像の例として示したものである。
【0072】
用紙801は1ページの用紙である。この用紙801の中に以下で説明するパーツが印字されている。表裏のレジストレーション803aから803cは、表裏の印字位置がずれていないかを検査するためのマークの一例である。これを表面と裏面で突き合わせて、表裏の印字位置がずれていないかを検査する。この例では用紙の3隅にマークを印字しているが、マークの種類によってはその位置と数は各種ある。パーツ804は、色味検査の対象となるパーツの一例である。企業ロゴなどは色が厳格に定められており、例えばPANTONE○○番やDIC○○番として定義されている。これらの定義色に合致するかを検査する。また、生産システム120の出力の色味がる印刷色の標準であるJapanColorなどの規格に準拠しているかを検査するために、そのチャートを実際に印刷することがある。チャート806は、その一例である。パーツ805は、画像欠陥の検査対象となるパーツの一例である。写真画像、特に人物の顔や皮膚などには画像欠陥がないことが求められることがよくある。パーツ807は、バーコード検査の対象となるパーツの一例である。ここではQRコードを示しているが、バーコードには色々な種類があり、他の種類のものであってもよい。
【0073】
この画像に対し、バーコード、画像欠陥、色味、位置ずれの一部或いは全ての検査を行う。なお、このジョブを納品する前に802の外側は切り取られる。なお、切り取るための所謂トンボマークは、本検査には関係ないので、表示が省略されている。
【0074】
図10はワークフロー管理サーバ100が生成する検査一覧画面の一例である。
【0075】
ワークフロー管理サーバ100が処理する複数の印刷ジョブを一覧で表示し、オペレータが印刷ジョブ毎に何の検査が必要かどうかを一瞥できるように表形式になっている。1行目(611)はジョブの識別情報であるジョブIDを、2行目(612)はそのジョブを処理するプリンタを示す装置情報、即ち生産システム120の名称を示す。以下の行はそのジョブでそれぞれの検査が必要かどうかを示す。3行目(613)はバーコード検査が必要かどうかを、4行目(614)は画像欠陥検査が必要かどうかを、5行目(615)は色味検査が必要かどうかを、6行目(616)は位置ずれ検査が必要かどうかを示す。613から616において、検査がオフラインで実施が必要なら「要実施」、インラインで実施が必要なら「インライン実施」、検査が必要ないなら「不要」と表示される。611から616に示される値は、後述する図12のフローチャートにおいて具体的に説明する判断を行った結果がデータ管理部301に保存されるので、それを統括制御部302が読みだして表示する。
【0076】
なお、画像欠陥614は、後述する図12のフローチャートにおいて具体的に説明する判断を行った結果、欠陥の種類、例えばポチやスジなどがデータ管理部301に保存されているなら、それを統括制御部302が読みだして表示してもより。これを表示するかどうかはオペレータの作業の仕方によって決めて良い。例えば、ワークフロー管理端末101の表示画面が巨大であり、その巨大モニターに表示される図10の画面を品質確認者が検査する場所から見て必要な検査を確認する作業の仕方ならば、欠陥の種類まで表示する。或いは、品質確認者がタブレット端末に代表される携帯型情報端末を所持し、それで図10の画面を品質確認者が確認しながら検査する作業の仕方ならば、欠陥の種類まで表示する。また、図11(a)で説明する検査指示書を品質確認者が確認しながら検査する作業の仕方ならば、図10の画面を品質確認者は確認しないので、欠陥の種類まで表示しない。
【0077】
図11(a)はワークフロー管理サーバ100が生成する検査指示書の一例である。
【0078】
検査指示書(620)には、2行目にジョブID(622)と1行目にそのジョブIDの値をバーコード表記したもの(621)が表示される。以下、623にはプリンタ、即ち生産システム120の名称、624にはバーコード検査が必要かどうか、625には画像欠陥検査が必要かどうか、が表示される。図10と同様に検査がオフラインで実施が必要なら「要実施」、インラインで実施が必要なら「インライン実施」、検査が必要ないなら「不要」と表示される。値624から値627は、後述する図12のフローチャートにおいて具体的に説明する判断を行った結果がデータ管理部301に保存されるので、それを統括制御部302が読みだして表示する。
【0079】
更に、画像欠陥625は、後述する図12のフローチャートにおいて具体的に説明する判断を行った結果、欠陥の種類、例えばポチやスジなどがデータ管理部301に保存されているなら、それを統括制御部302が読み出す。そして、ポチは文字列626のように表示される。また、スジは文字列627のように表示される。この時、図11の検査指示書の例では、検査がオフラインで実施が必要な「要実施」のみを表示する形式で作成されている。これは、品質確認者がオフラインで検査を行う時にこの検査指示書を参照するので、オフラインで検査する検査項目以外は表示されていない形式である。
【0080】
なお、621のジョブIDの値をバーコード表記したものは、品質確認者がオフラインの検査を実施する時に、ジョブIDと検査結果とを関連付けるためにこのバーコードをスキャンしてIDを手入力しなくて済むようにするためのものである。
【0081】
図11(b)はワークフロー管理サーバ100が生成する検査指示書の別の例である。
【0082】
検査指示書(630)には、ジョブIDの値をバーコード表記したもの(621)からスジ(627)まで図11(a)と共通の項目が表示される。それに追加して、628には色味検査が必要かどうか、629には位置ずれ検査が必要かどうか、が表示される。図6aと同様に検査がオフラインで実施が必要なら「要実施」、インラインで実施が必要なら「インライン実施」、検査が必要ないなら「不要」と表示される。624から629に示される値は、後述する図7のフローチャートにおいて具体的に説明する判断を行った結果がデータ管理部301に保存されるので、それを統括制御部302が読みだして表示する。
【0083】
この時、図11(b)の検査指示書の例では、検査がオフラインで実施が必要な「要実施」のみならず、インラインで実施が必要な「インライン実施」と検査が必要ない「不要」の検査項目も表示する形式で作成されている。これは、オペレータがオフライン検査だけでなくインライン検査や工程全体を監視する必要がある場合、検査全体を認識する必要があるので、どの検査が必要か不要かを一瞥できるような形式で作成されている。
【0084】
図12はワークフロー管理サーバ100の動作の流れを説明するフローチャート図である。これらのフローチャートは、ROM202またはHDD204に格納されたプログラムをCPU201が読み出しRAM203に展開して実行することにより実現される。
【0085】
ワークフロー管理サーバ100が受注システムサーバ110からPRX及び印刷データを受信すると、本フローチャートが開始する(S700)。
【0086】
統括制御部302は、受信したPRX及び印刷データから構成される印刷ジョブをデータ管理部301に保存し、そこから印刷データをプリプレス処理部304へ、PRXをPRX解釈部303へ送信する。統括制御部302は、印刷ジョブのIDを取得する(S701)。図1で説明したように、統括制御部302は、印刷ジョブを処理する適切な生産システム120を特定する(S702)。取得した印刷ジョブのIDと特定した生産システム120の名称をデータ管理部301に保存する。次に、PRX解釈部303は受信したPRXを解析する(S710)。
【0087】
まず、CPU201は、バーコードの検査が必要かどうかを判断する。ワークフロー管理サーバ100はS720でPRXにバーコードの要求印刷品質があるかどうか判断する。存在する(Yes)ならS721へ、存在しない(No)ならS730に遷移し、検査は「不要」と決定し、データ管理部301に検査は「不要」と保存する。S720の判断は、PRXのタグをキーにして検索を行い判断する。具体的には、タグBarcode(418)を探す。そして、それがあれば更にタグBarcodeScore(452)、タグScoringInfo(453)の中にタグMinimumAcceptableRank(454)とタグDesiredRank(455)を探す。それらがあればバーコードの要求印刷品質があると判断する。そしてそれぞれのランク値を取得する。更に、タグBarcodeParameter(458)の下のタグBarcodeSymbology(459)を探しバーコードの種類を取得する。そして、ワークフロー管理サーバ100の統括制御部302は、要求印刷品質があるかどうか判断の結果とここで取得した値をデータ管理部301に保存する。
【0088】
S721では、統括制御部302はバーコードの検査を実施することを決定し(S721)、S722に遷移する。S722では、統括制御部302は生産システム120に対しバーコードの検査装置が接続されているかSNMPなどの通信プロトコルを用いて確認する。確認の結果、生産システム120にバーコードの検査装置が接続されていない、即ちオフライン検査である(Yes)ならS723へ、オフラインでない(No)ならS724に遷移する。S723では、統括制御部302はオフラインのバーコード検査装置を用いてバーコード検査を実施することを印刷ジョブ指示書に記載することを決定する(S723)。S724では、統括制御部302はインラインのバーコード検査装置を用いてバーコード検査の実施を印刷ジョブ指示書に記載しないことを決定する(S724)。ここでは、インラインのバーコード検査装置を用いてバーコード検査の実施を行わないと指示するのではない。バーコード検査の実施は行うが生産システム120にインラインで接続されているので人手によって実施する必要が無いので、印刷ジョブ指示書に記載することは行わない、と言う処理であることに注意したい。インラインで検査すると判断したら検査は「インライン実施」と決定しデータ管理部301に検査は「インライン実施」と保存し、オフラインで検査すると判断したら検査は「要実施」と決定しデータ管理部301に検査は「要実施」と保存する。S723およびS724を処理するとS730に遷移する。
【0089】
次に、画像欠陥の検査が必要かどうかを判断する。ワークフロー管理サーバ100はS730でPRXに画像欠陥の要求印刷品質があるかどうか判断する。存在する(Yes)ならS731へ、存在しない(No)ならS740に遷移し、検査は「不要」と決定し、データ管理部301に検査は「不要」と保存する。S730の判断は、PRXのタグをキーにして検索を行い判断する。具体的には、タグDefects(417)を探す。そして、それがあれば更にタグScoringInfo(441)の下に、タグMinimumAcceptableRank(442)とタグDesiredRank(443)があれば画像欠陥の要求印刷品質があると判断する。そしてそれぞれのランク値を取得する。更に、タグDefectTypeDefinition(444)の下にタグDefectName(445)として定義されている画像欠陥の種類を全て探し取得する。図4dの例ではhickey即ちポチとline即ちスジに対する要求印刷品質があることが分かる。これは後で説明するS760やS770において画像欠陥検査において検査すべき欠陥の種類として表示される。そして、ワークフロー管理サーバ100の統括制御部302は、要求印刷品質があるかどうか判断の結果とここで取得した値をデータ管理部301に保存する。
【0090】
S731では、統括制御部302は画像欠陥の検査を実施することを決定し(S731)、S732に遷移する。S732では、統括制御部302は生産システム120に対し画像欠陥の検査装置が接続されているかSNMPなどの通信プロトコルを用いて確認する。例えば画像欠陥の検査は品質確認者が目視で行うなら、生産システム120は統括制御部302に対して接続されていないと回答する。結果、生産システム120に画像欠陥の検査装置が接続されていない即ちオフライン検査である(Yes)ならS733へ、オフラインでない(No)ならS734に遷移する。S733では、統括制御部302はオフラインで画像欠陥の検査を実施(即ち品質確認者が目視で実施)することを印刷ジョブ指示書に記載することを決定する(S733)。S734では、統括制御部302はインラインの画像欠陥検査装置を用いて画像欠陥検査の実施を印刷ジョブ指示書に記載しないことを決定する(S734)。ここでは、インラインの画像欠陥検査装置を用いて画像欠陥検査の実施を行わないと指示するのではない。ここでは、画像欠陥検査の実施は行うが生産システム120にインラインで接続されているので人手によって実施する必要が無いので、印刷ジョブ指示書に記載することは行わない、と言う処理であることに注意したい。インラインで検査すると判断したら検査は「インライン実施」と決定しデータ管理部301に検査は「インライン実施」と保存し、オフラインで検査すると判断したら検査は「要実施」と決定しデータ管理部301に検査は「要実施」と保存する。S733およびS734を処理するとS740に遷移する。
【0091】
次に、色味の検査が必要かどうかを判断する。ワークフロー管理サーバ100はS740でPRXに色味の要求印刷品質があるかどうか判断する。存在する(Yes)ならS741へ、存在しない(No)ならS750に遷移し、検査は「不要」と決定し、データ管理部301に検査は「不要」と保存する。S740の判断は、PRXのタグをキーにして検索を行い判断する。具体的には、タグColor(415)を探す。そして、それがあれば更にタグColorScore(422)、タグScoringInfo(423)の構成の下に、タグMinimumAcceptableRank(424)とタグDesiredRank(425)があるか探す。そして、それがあれば色味の要求印刷品質があると判断する。そしてそれぞれのランク値を取得する。更に、タグComplianceGoal(421)で定義されている目標とするカラー規格を取得する。ここでは「G7」が取得される。そして、ワークフロー管理サーバ100の統括制御部302は、要求印刷品質があるかどうか判断の結果とここで取得した値をデータ管理部301に保存する。
【0092】
S741では、統括制御部302は色味の検査を実施することを決定し(S741)、S742に遷移する。S742では、統括制御部302は生産システム120に対し色味の検査装置が接続されているかSNMPなどの通信プロトコルを用いて確認する。例えばインライン検査装置126が生産システム120に接続されている構成なら、生産システム120は統括制御部302に対して接続されていると回答する。或いは、インライン検査装置126は接続されず、生産システム120に接続されていないエックスライト社のi1(アイワン)に代表される測色器を用いて色味を検査するなら、生産システム120は統括制御部302に対して接続されていないと回答する。結果、生産システム120に色味の検査装置が接続されていない即ちオフライン検査である(Yes)ならS743へ、オフラインでない(No)ならS744に遷移する。S743では、統括制御部302はオフラインで色味の検査を実施(即ち品質確認者がi1で実施)することを印刷ジョブ指示書に記載することを決定する(S743)。S744では、統括制御部302はインライン検査装置126を用いて色味検査の実施を印刷ジョブ指示書に記載しないことを決定する(S744)。ここでは、インライン検査装置126を用いて色味検査の実施を行わないと指示するのではない。ここでは、色味検査の実施は行うが生産システム120にインラインでインライン検査装置126が接続されているので人手によって実施する必要が無いので、印刷ジョブ指示書に記載することは行わない、と言う処理であることに注意したい。インラインで検査すると判断したら検査は「インライン実施」と決定しデータ管理部301に検査は「インライン実施」と保存し、オフラインで検査すると判断したら検査は「要実施」と決定しデータ管理部301に検査は「要実施」と保存する。S743およびS744を処理するとS750に遷移する。
【0093】
次に、位置ずれの検査が必要かどうかを判断する。ワークフロー管理サーバ100はS750でPRXに位置ずれの要求印刷品質があるかどうか判断する。存在する(Yes)ならS751へ、存在しない(No)ならS760に遷移し、検査は「不要」と決定し、データ管理部301に検査は「不要」と保存する。S750の判断は、PRXのタグをキーにして検索を行い判断する。具体的には、タグRegistration(416)を探す。それがあれば更にタグRegistrationScore(431)、タグScoringInfo(432)の下に、タグMinimumAcceptableRank(433)とタグDesiredRank(434)があるか探す。そして、それらがあれば位置ずれの要求印刷品質があると判断する。そしてそれぞれのランク値を取得する。更に、タグParameterScore(437)やタグParameterScore(43f)のようにランク毎のズレの長さの定義を取得する。そして、ワークフロー管理サーバ100の統括制御部302は、要求印刷品質があるかどうか判断の結果とここで取得した値をデータ管理部301に保存する。
【0094】
S751では、統括制御部302は位置ずれの検査を実施することを決定し(S751)、S752に遷移する。S752では、統括制御部302は生産システム120に対し位置ずれの検査装置が接続されているかSNMPなどの通信プロトコルを用いて確認する。例えばインライン検査装置126が生産システム120に接続されている構成なら、生産システム120は統括制御部302に対して接続されていると回答する。或いは、印刷後に品質確認者がトンボなどの位置マークを基準にマイクロメータなどの測定器でズレの長さを測定するなら、生産システム120は統括制御部302に対して接続されていないと回答する。結果、生産システム120に位置ずれの検査装置が接続されていない即ちオフライン検査である(Yes)ならS753へ、オフラインでない(No)ならS754に遷移する。S753では、統括制御部302はオフラインで位置ずれの検査を実施(即ち品質確認者が測定)することを印刷ジョブ指示書に記載することを決定する(S753)。S754では、統括制御部302はインライン検査装置126を用いて位置ずれ検査の実施を印刷ジョブ指示書に記載しないことを決定する(S754)。ここでは、インライン検査装置126を用いて位置ずれ検査の実施を行わないと指示するのではない。ここでは、位置ずれ検査の実施は行うが生産システム120にインラインでインライン検査装置126が接続されているので人手によって実施する必要が無いので、印刷ジョブ指示書に記載することは行わない、と言う処理であることに注意したい。インラインで検査すると判断したら検査は「インライン実施」と決定しデータ管理部301に検査は「インライン実施」と保存し、オフラインで検査すると判断したら検査は「要実施」と決定しデータ管理部301に検査は「要実施」と保存する。S753およびS754を処理するとS760に遷移する。
【0095】
以上の4つの検査の要否を判断したら、オペレータや品質確認者がその結果が分かるように通知する。
【0096】
S760ではワークフロー管理サーバ100は、統括制御部302がデータ管理部301に保存されている値を用いて、図6aに図示する検査一覧画面を生成する。S701で保存したジョブIDとS702で保存した生産システム120の名称をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の611と612に表示する。更に、S720からS724で保存したバーコードの検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の613に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。S730からS734で保存した画像欠陥の検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の614に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。S740からS744で保存した色味の検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の615に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。S750からS754で保存した位置ずれの検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の616に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。このようにして、ワークフロー管理サーバ100は検査一覧画面を生成する。
【0097】
また、図10では図示しないが、必要に応じて、画像欠陥においてデータ管理部301に保存されているポチやスジなどを統括制御部302が読みだして、614の詳細情報として表示しても良い。
【0098】
S770ではワークフロー管理サーバ100は、統括制御部302がデータ管理部301に保存されている値を用いて、図11(a)或いは図11(b)に図示する検査指示書を生成する。S701で保存したジョブIDとS702で保存した生産システム120の名称をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の622と623に表示する。また、統括制御部302はそのジョブID622の値をバーコード画像に変換しバーコード621として表示する。更に、S720からS724で保存したバーコードの検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の624に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。S730からS734で保存した画像欠陥の検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の625に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。そして、データ管理部301に保存されているポチやスジなどを統括制御部302が読みだして、検査一覧画面の626や627に表示する。S740からS744で保存した色味の検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の628に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。S750からS754で保存した位置ずれの検査の判断結果をPRX解釈部303から取得し、検査一覧画面の629に「要実施」、「インライン実施」、「不要」のどれかを表示する。この時、図11(a)の形式で検査指示書を生成する場合は、「要実施」の検査項目のみを表示する。図11(b)の形式で検査指示書を生成する場合は、「要実施」のみならず、「インライン実施」、「不要」の検査項目も表示する。このようにして、ワークフロー管理サーバ100は検査指示書を生成する。
【0099】
また、検査指示書が生成されたら、その後の適切な時期に検査指示書を印刷する。例えば、印刷後にオフライン検査が必要な印刷出力物を生産システム120の出力トレイから品質確認者がピックアップして検査場に運搬し検査を実施するような印刷作業の流れがある。その場合、印刷出力物を見て検査が必要かどうかを即座に判断できるようになっていると作業効率が良い。その為には、印刷出力物の最初の出力ページに所謂バナーページとして本検査指示書を印刷すれば、検査指示書が一番上にあるので一瞥してオフライン検査が必要かどうかを判断できる。このような印刷作業の流れである場合、ワークフロー管理サーバ100は生成した検査指示書の電子データを生産システム120に送付しバナーページとして印刷するように指示する。
【0100】
或いは、1つの印刷ジョブに対する検査指示書をまず印刷し、それを工程毎に回して印刷作業を進めていく場合も考えられる。この場合、まずS770で検査指示書を印刷する。その検査指示書を生産システム120において読み取らせると、その検査指示書のジョブID622から該当するジョブが印刷され、同時にインライン検査がインライン検査装置126で実施される。次に、生産システム120において出力された印刷出力物にその検査指示書を同梱し、オフライン検査の検査場に印刷出力物を運搬する。検査場では品質確認者が本検査指示書に従ってオフラインの検査を実施する。このように、印刷作業の流れに応じて検査指示書を適切な時期に印刷する。
【0101】
S770で検査指示書を生成したら、本フローを終了する(S799)。
【0102】
なお、図12の処理フローにおいて、S720、S730、S740、S750の順番はこれに限らなくても良い。また、図10図11(a)、図11(b)においけるバーコード、画像欠陥、色味、位置ずれの各種検査の表示順もこれに限らなくても良い。オペレータや品質確認者が作業しやすい順番にすることが重要である。
【0103】
次に、上記で説明した各種検査を実施し、その結果をPQX形式で報告する方法について、簡単に説明する。PQXのフォーマットは、図5で説明した形式になっている。バーコードの検査がバーコード検査装置で実施されると、ユーザがその検査結果を見て、検査結果データをワークフロー管理サーバ100に入力する。ワークフロー管理サーバ100はジョブID622と関連付けてデータ管理部301に保存する。統括制御部302が保存したバーコード検査装置は検査結果データをPQX形式に生成する。なお、他の画像欠陥、色味や位置ずれなども検査結果をデータ管理部301に保存し、統括制御部302が保存した検査結果データをPQX形式に生成する。
【0104】
このようにして、検査結果をPQX形式に生成することができる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態に係る商業印刷システムにおいて、PRX形式などで示される印刷品質要求基準を解析して、どの検査が必要であるかを判断する。特に生産システム120内では検査できないオフラインの検査としてはどの検査が必要であるかを判断することができる。そして、それらの検査をワークフロー管理サーバ100の画面や検査指示書などに表示することで、オフラインの検査を行う品質確認者が容易に検査を行うことができるようになる。
【0106】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、印刷装置120による印刷出力をジョブ処理の一例として説明した。しかしながら、ジョブ処理はこれに限らず、後処理装置による後処理であってもよい。後処理装置の例としてはオフラインの製本装置や断裁装置である。オフラインの製本装置は後処理として、オペレータによってセットされた本文を給紙し、本文の背表紙部に糊を付けて、表紙でくるむ処理を実行する。
【0107】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0108】
201 CPU
202 ROM
203 RAM
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