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  • 特許-粘着テープロール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】粘着テープロール
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240401BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20240401BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20240401BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20240401BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/00
C09J7/40
C09J7/20
B32B27/00 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020047377
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2020152910
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2019049505
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 大平
(72)【発明者】
【氏名】川添 雅史
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-111158(JP,A)
【文献】特開2013-014723(JP,A)
【文献】特開2021-95547(JP,A)
【文献】特許第6870775(JP,B1)
【文献】特許第6467551(JP,B1)
【文献】特許第5663701(JP,B1)
【文献】特許第6467548(JP,B1)
【文献】特開2020-52221(JP,A)
【文献】特開2015-98123(JP,A)
【文献】特開2019-59203(JP,A)
【文献】特開2018-082131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、粘着ポリマー層及びカバーフィルムを含み、且つこれらがこの順で配置された積層構造体を有する、長尺状の粘着テープであって、
前記粘着テープの一方の表面と他方の表面との幅方向(TD方向)の動摩擦力係数が0.1以上であり
記粘着テープを主面方向から2kPaで10分間加圧した場合に、前記基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さが5μm以上であり、
前記粘着ポリマー層の23℃における貯蔵弾性率G’が5.0×10 Pa以上且つ5.0×10 Pa以下であり、
前記粘着ポリマー層の厚みが10~250μmであり、且つ
前記粘着ポリマーがアクリル系粘着ポリマーである、
粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着テープの一方の表面と他方の表面との長手方向(MD方向)の動摩擦力係数が、前記幅方向(TD方向)の動摩擦力係数よりも大きい値である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着ポリマー層の23℃における貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以上且つ1.0×10Pa以下である、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着ポリマー層のゲル分率が30%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の粘着テープから構成される粘着テープロール。
【請求項6】
ロール側面に保護フィルムを有する、請求項5に記載の粘着テープロール。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載の粘着テープをロール状に捲回する工程を含む、
求項5又は6に記載の粘着テープロールを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープロール等に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは簡便に接合が可能なことから各種産業分野に用いられている。建築分野では養生シートの仮固定、内装材の貼り合わせ等に、自動車分野ではシート、センサー等の内装部品の固定、サイドモール、サイドバイザー等の外装部品の固定等に、電気電子分野ではモジュール組み立て、モジュールの筐体への貼り合わせ等に粘着テープが用いられている。より具体的には例えば、光学デバイス、金属板、塗装した金属板、樹脂板、ガラス板等の部材の表面を一時的に保護するための表面保護テープとしても粘着テープが広く用いられている。また、半導体デバイス等の電子デバイスの製造工程においては、加工時に取扱いを容易にし、破損したりしないようにするために、粘着テープに被着体を貼付して保護又は仮固定することが行われる(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-32946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘着テープは、通常はロール状に捲回された粘着テープロールの状態で出荷される。本発明者は、研究を進める中で、粘着テープロールから粘着テープを繰り出す際に、粘着テープにシワが発生してしまい、被着体への貼付固定性が低下するという問題を見出した。そして、シワ発生の問題について研究を進める中で、シワ発生を抑制しようとすると、粘着テープロールを運搬する際の振動等により巻きずれが発生し易いという問題が生じることを見出した。
【0005】
そこで、本発明は、シワ発生が抑制されながらも、巻きずれもが抑制された粘着テープ及び粘着テープロールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を進めた結果、基材、粘着ポリマー層及びカバーフィルムを含み、且つこれらがこの順で配置された積層構造体を有する、長尺状の粘着テープであって、前記粘着テープの一方の表面と他方の表面との幅方向(TD方向)の動摩擦力係数が0.1以上であり、且つ前記粘着テープを主面方向から2kPaで10分間加圧した場合に、前記基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さが5μm以上である、粘着テープ、及び該粘着テープから構成される粘着テープロール、であれば、上記課題を解決できることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
【0008】
項1. 基材、粘着ポリマー層及びカバーフィルムを含み、且つこれらがこの順で配置された積層構造体を有する、長尺状の粘着テープであって、
前記粘着テープの一方の表面と他方の表面との幅方向(TD方向)の動摩擦力係数が0.1以上であり、且つ
前記粘着テープを主面方向から2kPaで10分間加圧した場合に、前記基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さが5μm以上である、
粘着テープ。
【0009】
項2. 前記粘着テープの一方の表面と他方の表面との長手方向(MD方向)の動摩擦力係数が、前記幅方向(TD方向)の動摩擦力係数よりも大きい値である、項1に記載の粘着テープ。
【0010】
項3. 前記粘着ポリマー層の23℃における貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以上且つ1.0×10Pa以下である、項1又は2に記載の粘着テープ。
【0011】
項4. 前記粘着ポリマー層のゲル分率が30%以上である、項1~3のいずれかに記載の粘着テープ。
【0012】
項5. 項1~4のいずれかに記載の粘着テープから構成される粘着テープロール。
【0013】
項6. ロール側面に保護フィルムを有する、項5に記載の粘着テープロール。
【0014】
項7. 粘着テープをロール状に捲回する工程を含み、
基材、粘着ポリマー層及びカバーフィルムを含み、且つこれらがこの順で配置された積層構造体を有する、長尺状の粘着テープであって、
前記粘着テープの一方の表面と他方の表面との幅方向(TD方向)の動摩擦力係数が0.1以上であり、且つ
前記粘着テープを主面方向から2kPaで10分間加圧した場合に、前記基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さが5μm以上である、
項5又は6に記載の粘着テープロールを製造する方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シワ発生が抑制されながらも、巻きずれもが抑制された粘着テープ及び粘着テープロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】粘着テープを主面方向から2kPa加圧した場合に、前記基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さを表す、模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0018】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」を指す。従って、例えば(メタ)アクリル酸には、アクリル酸とメタクリル酸が含まれ、(メタ)アクリル酸エステルにはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルが含まれる。その他の「(メタ)アクリル」が用いられている化合物についても同様である。
【0019】
本発明は、その一態様において、基材、粘着ポリマー層及びカバーフィルムを含み、且つこれらがこの順で配置された積層構造体を有する、長尺状の粘着テープであって、前記粘着テープの一方の表面と他方の表面との幅方向(TD方向)の動摩擦力係数が0.1以上であり、且つ前記粘着テープを主面方向から2kPaで10分間加圧した場合に、前記基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さが5μm以上である、粘着テープ(本明細書において、「本発明の粘着テープ」と示すこともある。)、及び該粘着テープから構成される粘着テープロール(本明細書において、「本発明の粘着テープロール
」と示すこともある。)に関する。以下に、これらについて説明する。
【0020】
(A)基材
基材は、樹脂を素材として含むものである限り、特に制限されない。基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その場合、基材中の樹脂の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
【0021】
基材を構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、変性オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。上記ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。上記変性オレフィン系樹脂としては、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル系樹脂が挙げられ、より好ましくはポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0022】
基材を構成する樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0023】
基材の層構成は特に制限されない。基材は、1種単独の基材から構成されるものであってもよいし、2種以上の基材が複数組み合わされたものであってもよい。
【0024】
基材の厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上250μm以下である。該厚みは、シワ発生抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、粘着特性の向上の観点等から、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上、更により好ましくは25μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更により好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下である。
【0025】
基材は、各種表面処理が施されたものであってもよい。表面処理としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理等が挙げられる。基材の表面処理は、粘着ポリマー層に面する側に行われてもよく、その反対側に行われてよい。
【0026】
(B)粘着ポリマー層
粘着ポリマー層は、粘着ポリマーを含み、且つ後述のゲル分率を満たす層である限り、特に制限されない。
【0027】
粘着ポリマーとしては、特に制限されず、例えばアクリル系粘着ポリマー、ウレタン系粘着ポリマー、ポリオレフィン系粘着ポリマー、ポリエステル系粘着ポリマー、ビニルアルキルエーテル系粘着ポリマー、ポリアミド系粘着ポリマー、ゴム系粘着ポリマー、シリコーン系粘着ポリマー、フッ素系粘着ポリマー等が挙げられる。これらの中でも、粘着ポリマー層形成後に、その粘着性を調整し易いという観点から、アクリル系粘着ポリマーが好ましい。
【0028】
アクリル系粘着ポリマーは、(モノ)アクリル酸エステルを主成分モノマーとして含有する粘着ポリマー組成物中のモノマーを重合させて(メタ)アクリル共重合体とすることにより得られる。
【0029】
粘着ポリマー組成物は、(メタ)アクリル酸エステル(A)及び官能基含有モノマー(B)をモノマー成分として含有する。
【0030】
(メタ)アクリル酸エステル(A)は、アクリル系粘着ポリマーにおけるベースポリマーを構成するモノマー主成分であり、1種のみを使用することもできるし、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルを組み合わせて使用することもできる。(メタ)アクリル酸エステルを組み合わせた場合の各々の(メタ)アクリル酸エステルの割合は任意に選択し得る。(メタ)アクリル酸エステルは、好ましくは炭素数1~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
【0031】
(メタ)アクリル酸エステル(A)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレートなどのアルキルエステル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;などが挙げられる。
【0032】
(メタ)アクリル酸エステル(A)の中でも、半導体仮固定材の粘着特性を発現できる観点からアルキルエステル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基(好ましくは分岐鎖状アルキル基)の炭素数が2~12(好ましくは4~10、より好ましくは6~10)のアルキルエステル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0033】
(メタ)アクリル酸エステル(A)の含有量は、(メタ)アクリル共重合体のモノマー成分全量100質量%に対して、好ましくは70~99質量%であり、より好ましくは75~95質量%、さらに好ましくは80~90質量%である。
【0034】
官能基含有モノマー(B)としては、例えば(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート; ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート; アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー; アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー; アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。これらの中でも、粘着性を安定して発現できる観点から、アクリル酸、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0035】
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。粘着性を安定して発現できる観点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキルの炭素数は2~6であることが好ましく、2~3であることがより好ましい。
【0036】
官能基含有モノマー(B)は、1種のみを使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0037】
官能基含有モノマー(B)の含有量は、粘着力の制御の観点から、(メタ)アクリル共重合体のモノマー成分全量100質量%に対し、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~25質量%、さらに好ましくは10~20質量%である。
【0038】
官能基含有モノマー(B)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートが含まれる場合、粘着力の制御の観点から、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、(メタ)アクリル共重合体のモノマー成分全量100質量%に対し、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~10質量%、さらに好ましくは3~8質量%である。
【0039】
官能基含有モノマー(B)としてヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが含まれる場合、凝集力の制御の観点から、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの含有量は、(メタ)アクリル共重合体のモノマー成分全量100質量%に対し、好ましくは1~25質量%、より好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは3~15質量%である。
【0040】
上記モノマーを含むモノマー混合物を共重合して(メタ)アクリル共重合体を得るには、モノマー混合物に必要に応じて重合調整剤等の添加剤を加えて、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
粘着ポリマー層は、粘着ポリマーのみからなるものであってもよいが、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、特に制限されないが、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、気体発生剤、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマー、シリコーン化合物、無機フィラー、粘着付与剤等が挙げられる。
【0042】
光重合開始剤は、例えば、250~800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられる。このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物や、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物や、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物や、フォスフィンオキシド誘導体化合物が挙げられる。また、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン等も挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
熱重合開始剤としては、熱により分解し、重合硬化を開始する活性ラジカルを発生するものが挙げられる。具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエール、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等が挙げられる。これらの熱重合開始剤のうち市販されているものとしては特に限定されないが、例えば、パーブチルD、パーブチルH、パーブチルP、パーペンタH(以上いずれも日油社製)等が好適である。これら熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
多官能オリゴマー又はモノマーはラジカル重合性のものであれば特に制限されない。これを配合することにより、光硬化性及び熱硬化性を向上させることができる。多官能オリゴマー又はモノマーは、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは加熱又は光の照射による粘着ポリマー層の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2~20個のものである。多官能オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4-ブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0045】
気体発生剤は、光照射又は加熱することにより気体を発生するものである限り特に制限されない。このような気体発生剤を含有する粘着ポリマー層に光照射又は加熱すると、粘着ポリマー成分が架橋硬化して粘着ポリマー全体の弾性率が上昇し、このような硬い粘着ポリマー中で発生した気体は粘着ポリマーから接着界面に放出され接着面の少なくとも一部を剥離することから、より剥離を容易にすることができる。加熱工程を含む電子デバイスの製造方法に上記粘着テープを用いる場合に粘着テープが耐熱性を発現できる観点から、気体発生剤としては、光照射することにより気体を発生するものが好ましい。上記気体発生剤は特に限定されないが、例えば、アジド化合物、アゾ化合物、ケトプロフェン、テトラゾール化合物等が挙げられる。なかでも、耐熱性に優れるケトプロフェン、テトラゾール化合物が好適である。
【0046】
シリコーン化合物は、耐熱性に優れることから、200℃以上の高温環境下に置かれても粘着ポリマーの焦げ付き等を防止し、剥離時には被着体界面にブリードアウトして、剥離を容易にすることができる。本発明の好適な実施態様において、シリコーン化合物が粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有することが好ましく、かかる場合、光照射又は加熱することにより粘着ポリマーと化学反応して粘着ポリマー中に取り込まれることから、被着体にシリコーン化合物が付着して汚染され難い。また、シリコーン化合物、特に粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物を粘着ポリマー層に配合することにより被着体への糊残りを防止する効果も発揮される。
【0047】
無機フィラーとしては、例えばヒュームドシリカ等が挙げられる。無機フィラーを配合することにより粘着ポリマー層の凝集力を高めることが可能である。
【0048】
粘着ポリマー層は、粘着ポリマーとしての凝集力の調節を図る目的で、所望によりイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着ポリマーに配合される各種の多官能性化合物を適宜含有してもよい。また、粘着ポリマー層は、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を含有してもよい。これらの成分は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
上記した粘着ポリマー以外の他の成分の含有量は、粘着ポリマー層100質量%に対して、例えば0~70質量%、特に0~50質量%、とりわけ0~30重量%、なお0~10重量%である。
【0050】
本発明の粘着テープにおいては、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、仮固定材としての粘着特性を発現できる観点等から、粘着ポリマー層のゲル分率が30%以上であることが好ましい。該ゲル分率は、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、仮固定材としての粘着特性を発現できる観点等から、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。同様の観点から、該ゲル分率は、好ましくは97%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは92%以下、よりさらに好ましくは90%以下である。同様の観点から、該ゲル分率は、好ましくは40~97%、より好ましくは60~97%、さらに好ましくは70~97%、よりさらに好ましくは80~95%である。
【0051】
ゲル分率の測定方法は次の通りである。得られた粘着テープから粘着ポリマー層のみを0.1gこそぎ取って酢酸エチル50mL中に浸漬し、振とう機で温度23度、200rpmの条件で24時間振とうする。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ)を用いて、酢酸エチルと酢酸エチルを吸収し膨潤した粘着ポリマー層を分離する。分離後の粘着ポリマー層を110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の金属メッシュを含む粘着ポリマー層の重量を測定し、下記式を用いてゲル分率を算出する。
【0052】
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/W
(W:初期粘着ポリマー層重量、W:乾燥後の金属メッシュを含む粘着ポリマー層重量、W:金属メッシュの初期重量)。
【0053】
本発明の粘着テープにおいては、粘着ポリマー層の23℃における貯蔵弾性率G’は、例えば5.0×10Pa以上且つ5.0×10Pa以下である。該貯蔵弾性率G’は、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、仮固定材としての粘着特性を発現できる観点、粘着ポリマーのせん断ズレを抑制することで送り出しをスムーズにできる観点等から、好ましくは1.0×10Pa以上且つ1.0×10Pa以下、より好ましくは5.0×10Pa以上且つ1.0×10Pa以下、さらに好ましくは2.0×10Pa以上且つ4.0×10Pa以下である。
【0054】
貯蔵弾性率の測定方法は次の通りである。動的粘弾性測定装置(アイティー社製、DVA-200)を用いてせん断変形で測定周波数10Hzの条件で粘着ポリマー層の動的粘弾性スペクトルを測定し、粘着ポリマー層の23℃での貯蔵弾性率G’を求める。
【0055】
粘着ポリマー層の層構成は特に制限されない。粘着ポリマー層は、1種単独の粘着ポリマー層から構成されるものであってもよいし、2種以上の粘着ポリマー層が複数組み合わされたものであってもよい。
【0056】
粘着ポリマー層の厚みは、特に限定されないが、例えば10~250μmである。該厚みは、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、仮固定材としての粘着特性を発現できる観点等から、好ましくは10~200μm、より好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~100μmである。
【0057】
(C)カバーフィルム
カバーフィルムは、樹脂を素材として含み、かつ、後述の動摩擦力係数を満たすものである限り、特に制限されない。カバーフィルムは、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その場合、カバーフィルム中の樹脂の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
【0058】
カバーフィルムを構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、変性オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。上記ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。上記変性オレフィン系樹脂としては、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル系樹脂が挙げられ、より好ましくはポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0059】
カバーフィルムを構成する樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0060】
カバーフィルムの層構成は特に制限されない。カバーフィルムは、1種単独のカバーフィルムから構成されるものであってもよいし、2種以上のカバーフィルムが複数組み合わされたものであってもよい。
【0061】
カバーフィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上250μm以下である。該厚みは、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、工程中の取り扱いの観点等から、好ましくは12μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上、よりさらに好ましくは25μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは175μm以下、さらに好ましくは150μm以下、よりさらに好ましくは125μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
【0062】
カバーフィルムは、各種表面処理が施されたものであってもよい。表面処理としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理等が挙げられる。また、カバーフィルムは、必要に応じて離型処理され得る。
【0063】
(D)粘着テープの構成
本発明の粘着テープは、上記した基材、粘着ポリマー層及びカバーフィルムを含み、且つこれらがこの順で配置された積層構造体(層構成:基材/粘着ポリマー層/カバーフィルム)を有する。
【0064】
積層構造体には、他の層が含まれ得る。他の層としては、本発明の効果が著しく損なわれない限り特に制限されないが、例えばアンカー層等が挙げられる。アンカー層は、層間(例えば基材と粘着ポリマー層との間)の密着性を高める効果を発揮し得る。
【0065】
本発明の粘着テープは、積層構造体のみからなるもの(片面粘着ポリマー層構造)であってもよいし、積層構造体以外にも、他の積層構造を含み得る。後者の場合の典型例としては、本発明の粘着テープは、両面粘着ポリマー層構造、すなわち(任意にカバーフィルム/)粘着ポリマー層/基材/粘着ポリマー層/カバーフィルムなる層構成を含む。
【0066】
本発明の粘着テープは、長尺状の粘着テープである。ここで、長尺状とは、ロール状体とできる程度に長辺が長い形状又はロール状体から巻き戻した形状のことを指す。本発明の粘着テープにおける短辺は、粘着テープの「幅」である。
【0067】
本発明の粘着テープの幅は、工程中の取り扱いを容易にする観点等から、好ましくは50mm以上、より好ましくは70mm以上、さらに好ましくは100mm以上、よりさらに好ましくは200mm以上、特に好ましくは250mm以上、とりわけ好ましくは300mm以上であり、好ましくは1000mm以下、より好ましくは800mm以下、さらに好ましくは700mm以下、よりさらに好ましくは600mm以下、特に好ましくは500mm以下、とりわけ好ましくは400mm以下である。
【0068】
本発明の粘着テープにおいては、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、仮固定材としての粘着特性を発現できる観点等から、基材とカバーフィルムとの合計厚みに対する粘着ポリマー層の厚みが1.0以下、好ましくは0.1以上1.0以下、より好ましくは0.2以上0.8以下、さらに好ましくは0.3以上0.6以下、よりさらに好ましくは0.3以上0.5以下である。基材とカバーフィルムとの合計厚みに対する粘着剤層の厚みが上記比であることで、ロール状とした際に、粘着剤層同士の距離が生じるはみだしに対し十分離れ、ブロッキングをより抑制することができる。
【0069】
(E)粘着テープの特性
本発明の粘着テープは、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、工程中のラインへの糊付着の観点等から、次の特性:粘着テープを主面方向から2kPaで10分間加圧した場合に、前記基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さが5μm以上である、という特性を備える。はみ出し部長さは、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点等から、好ましくは5μm以上100μm以下、より好ましくは5μm以上60μm以下、さらに好ましくは5μm以上40μm以下、よりさらに好ましくは10μm以上40μm以下、特に好ましくは10μm以上35μm以下である。
【0070】
はみ出し部長さの測定方法は次の通りである。粘着テープをカットして10cm角のサンプルを作製する。該サンプルを2枚の10cm×10cm×1cmのSUS304板の間に、粘着テープがSUS304板の中央部に位置するように挟み込む。そして、SUS304板と粘着テープとの積層体の中央部に、ニュートン分銅20N(例えば新光電子社製増おもり型ニュートン分銅 (M1SB-20N))の錘を置き、これにより23℃50%RH条件下、該サンプルに主面方向から2kPaで10分間加圧する。加圧状態のまま、光学顕微鏡で観察して、基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さ(図1参照)を測定する。測定は、各辺(4つの辺それぞれ)の中央部で行い、最大値を、粘着ポリマー層のはみ出し部長さとする。粘着テープロールとした場合に、少なくとも一方の端部で上記はみ出し部長さであれば、巻きずれの抑制効果に優れる。
【0071】
本発明の粘着テープは、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、テープの繰り出し易さの観点等から、次の特性:粘着テープの一方の表面と他方の表面との幅方向(TD方向)の動摩擦力係数が0.1以上である、という特性を備える。「一方の表面と他方の表面」とは、例えば本発明の粘着テープが片面粘着ポリマー層構造である場合は、基材表面とカバーフィルム表面であり、両面粘着ポリマー層構造である場合は、2つのカバーフィルム表面同士である。幅方向(TD方向)の動摩擦力係数は、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、テープの繰り出し易さの観点等から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.2以上1.0以下、さらに好ましくは0.3以上0.7以下、よりさらに好ましくは0.35以上0.6以下である。動摩擦力係数は、基材及びカバーフィルムを構成する樹脂、表面処理等によって調整することができる。
【0072】
動摩擦力係数の測定方法は次の通りである。精密万能試験機オートグラフAG-ISSHIMADZUを用いて、試験速度100mm/minにて、JIS7125に準じ、動摩擦係試験を行うことができる。
【0073】
本発明の粘着テープは、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、巻きずれを抑制しつつも保管時の巻きの緩みを抑制する観点等から、好ましくは、次の特性:粘着テープの一方の表面と他方の表面との長手方向(MD方向)の動摩擦力係数が、前記幅方向(TD方向)の動摩擦力係数よりも大きい値である、という特性を備える。長手方向(MD方向)の動摩擦力係数は、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、巻きずれを抑制しつつも保管時の巻きの緩みを抑制する観点等から、好ましくは0.12以上、より好ましくは0.2以上1.0以下、さらに好ましくは0.3以上0.7以下、よりさらに好ましくは0.4以上0.65以下である。長手方向(MD方向)の動摩擦力係数と幅方向(TD方向)の動摩擦力係数との差は、シワ発生の抑制の観点、巻きずれの抑制の観点、ブロッキング抑制の観点、巻きずれを抑制しつつも保管時の巻きの緩みを抑制する観点等から、好ましくは0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.1、さらに好ましくは0.02~0.07である。
【0074】
(F)粘着テープの製造方法
本発明の粘着テープの製造方法は、特に制限されない。本発明の粘着テープは、例えば、粘着ポリマー層の粘着ポリマー(或いはモノマー成分)等の各成分、及び必要に応じて添加される希釈剤の混合物(粘着ポリマー組成物)を、カバーフィルム上に塗布して、得られた積層シートを、その粘着ポリマー層を介して、基材を含む他のシートの片面又は両面に貼り付ける工程を含む方法によって、製造することができる。
【0075】
希釈剤としては、特に制限されないが、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。希釈剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0076】
希釈剤を添加する場合、その配合割合は特に制限されない。該配合割合は、塗工性等の観点から、粘着ポリマー組成物の固形分濃度が、例えば15~40質量%、好ましくは25~35質量%となるような配合割合である。
【0077】
粘着ポリマー組成物を塗布する方法は、特に制限されない。例えば、慣用のコーター(グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いて塗布することができる。
【0078】
塗布後は、乾燥させることが好ましい。乾燥温度は、例えば30~200℃、好ましくは60~160℃、より好ましく80~120℃である。乾燥時間は、乾燥温度によっても異なり得るが、例えば30秒間~15分間、好ましくは1分間~10分間、より好ましくは3分間~7分間である。
【0079】
(G)粘着テープロール
本発明の粘着テープロールは、本発明の粘着テープをロール状に捲回する工程により、得ることができる。
【0080】
本発明の粘着テープロールの幅は、例えば50mm以上1000mm以下である。該幅は、一般的な半導体仮固定材として用いられるウェハサイズや基板サイズの観点等から、好ましくは100mm以上、より好ましくは200mm以上、さらに好ましくは300mm以上であり、好ましくは700mm以下、より好ましくは500mm以下、さらに好ましくは400mm以下である。
【0081】
本発明の粘着テープロールは、ロール側面に保護フィルムを有することが好ましい。これにより、ブロッキングをより抑制すると共に、ロール状態でのロールの変形を抑制する
ことが可能である。
【0082】
保護フィルムは、樹脂を素材として含むものである限り、特に制限されない。保護フィルムは、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その場合、保護フィルム中の樹脂の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
【0083】
保護フィルムを構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、変性オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。上記ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。上記変性オレフィン系樹脂としては、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル系樹脂が挙げられ、より好ましくはポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0084】
保護フィルムを構成する樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0085】
保護フィルムの層構成は特に制限されない。保護フィルムは、1種単独の保護フィルムから構成されるものであってもよいし、2種以上の保護フィルムが複数組み合わされたものであってもよい。
【0086】
保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上200μm以下である。該厚みは、工程中の取扱性の向上の観点等から、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0087】
(H)用途
本発明の粘着テープロールを構成する本発明の粘着テープは、その用途は特に制限されず、各種分野において利用することができる。特に、半導体ウエハ等の電子部品を(好ましくは、バンプ等の凹凸を有する面を)保護するための電子部品用保護テープとして好適に用いることができる。
【0088】
本発明の粘着テープは、TSVの製造工程においてウエハを支持板に固定する、ウエハやチップをリフロー炉に通す際に支持板等に仮固定する等の、高温処理を行う用途にも用いることができる。
【0089】
本発明の粘着テープは、高温処理時の支持板固定用テープ、高温処理及びバックグラインドに兼用する固定用テープ、高温処理及びダイシングに兼用する固定用テープ、個片化した半導体チップを更に高温処理する際に用いる半導体チップ仮固定用テープ等に好適である。
【0090】
本発明の粘着テープは、高温加工プロセスを含むウエハの加工時において、ウエハの取扱いを容易にし、破損したりしないようにするためにウエハを支持板に固定するための粘着テープとして好適である。本発明の粘着テープを介してウエハを支持板に固定する支持板固定工程と、上記支持板に固定されたウエハの表面に200℃以上の加熱を伴う処理を施すウエハ処理工程と、上記処理後のウエハに光照射を行い、粘着ポリマー層を硬化させて、支持板をウエハから剥離する支持板剥離工程とを有するウエハの処理方法もまた、本発明の1つである。
【0091】
上記支持板は特に限定されず、例えば、ガラス板、石英ガラス板、ステンレス板等が挙げられる。上記支持板に固定されたウエハの表面に200℃以上の加熱を伴う処理は特に限定されず、例えば、化学気相成長法(CVD)、リフロー、リアクティブイオンエッチング(RIE)等が挙げられる。
【実施例
【0092】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0093】
(1)粘着テープの作製
(1-1)実施例1
(樹脂の調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして2-エチルヘキシルアクリレート85重量部、官能基含有モノマーとしてメタクリル酸ヒドロキシエチル10重量部、アクリル酸5重量部、ラウリルメルカプタン0.01重量部と、酢酸エチル80重量部を加えた。この反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt-ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、固形分30重量%、重量平均分子量90万の官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。
【0094】
(粘着テープの作製)
得られた樹脂の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(日本シイベルヘグナー社製、エサキュアワン)0.2重量部、架橋剤(東ソー社製、コロネートL-45)0.6重量部、多官能アクリレート(根上工業社製、UN5500)10重量部、シリコーン化合物(ダイセル・オルネクス社製、EBECRYL350)20重量部及び無機フィラー(トクヤマ社製、MT-10)5重量部を加え、充分に混合して、粘着ポリマー組成物を得た。得られた粘着ポリマー組成物の酢酸エチル溶液を、50μm厚さの両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(カバーフィルム、厚み50μm)の離型処理面上に、乾燥皮膜の厚さが40μmとなるようにコンマコーターで塗布し、110℃で5分乾燥させて、粘着ポリマー層を形成した。次いで、50μm厚さの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)と粘着ポリマー層とを貼り合わせた。その後、40℃、2日間静置養生を行い、基材/粘着ポリマー層/カバーフィルムからなる粘着テープを得た。
【0095】
なお、両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムとしては、中本パックス社製のNS-50-C(片面離型処理、厚み:50μm)の離型処理されていない面に、もう一方の面と同じ離型処理を施したものを用いた。
【0096】
(1-2)実施例2~4
粘着ポリマー層のはみ出し部長さが表1に記載の数値となるように塗工幅を調整した以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0097】
(1-3)実施例5
カバーフィルムとして中本パックス社製のNS-50-Cを用いたこと以外は実施例2と同様にして、粘着テープを得た。
【0098】
(1-4)実施例6~8
テープ幅bまたは粘着ポリマー層の厚みcを表1に記載の数値に変更したこと以外は実施例5と同様にして、粘着テープを得た。
【0099】
(1-5)実施例9
基材の粘着剤層と反対面にコーティング処理(NK350:日本触媒社製)を施したこと以外は実施例2と同様にして、粘着テープを得た。
【0100】
(1-6)実施例10
両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムとして、中本パックス社製のNS-50-MA(片面離型処理、厚み:50μm)の離型処理されていない面にもう一方の面と同じ離型処理を施したものを用いたこと以外は実施例2と同様にして、粘着テープを得た。
【0101】
(1-7)実施例11
カバーフィルムとして、以下の両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いたこと以外は実施例2と同様にして、粘着テープを得た。・両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム:中本パックス社製のNS-25-C(片面離型処理、厚み:25μm)の離型処理されていない面に、もう一方の面と同じ離型処理を施したものを用いた。
【0102】
(1-8)実施例12
カバーフィルムとして、以下の両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いたこと、及び基材として、以下の透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は実施例2と同様にして、粘着テープを得た。
・両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム:中本パックス社製のNS-50-C(片面離型処理、厚み:50μm)の離型処理されていない面に、もう一方の面と同じ離型処理を施したものを用いた。
・透明なポリエチレンテレフタレートフィルム:東レ株式会社社製のルミラーS10(厚み:100μm)。
【0103】
(1-9)実施例13~15
架橋剤の使用量を2重量部としたこと、及び粘着ポリマー層のはみ出し部長さが表1に記載の数値となるように塗工幅を調整したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0104】
(1-10)実施例16
架橋剤の使用量を0.2重量部としたこと、及び粘着ポリマー層のはみ出し部長さが表1に記載の数値となるように塗工幅を調整したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0105】
(1-11)比較例1及び3
粘着ポリマー層のはみ出し部長さが表1に記載の数値となるように塗工幅を調整したこと、及びカバーフィルムとして、以下の両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いたこと、及び基材として、以下の透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
・両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム:東洋クロス株式会社製のSP4016(片面離型処理、厚み:50μm)の離型処理されていない面に、もう一方の面と同じ離型処理を施したものを用いた。
・透明なポリエチレンテレフタレートフィルム:帝人フィルムソリューション株式会社社製のテイジンテトロンフィルムG2(厚み:50μm)。
【0106】
(1-12)比較例2
粘着ポリマー層のはみ出し部長さが表1に記載の数値となるように塗工幅を調整したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0107】
(1-13)比較例4
架橋剤の使用量を0.2重量部としたこと、及び粘着ポリマー層のはみ出し部長さが表1に記載の数値となるように塗工幅を調整したこと、及び以下の両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いたこと、及び基材として、以下の透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープ(粘着ポリマー層厚み40μm、基材とカバーフィルムの合計厚み100μm)を得た。
・両面離型処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム:東洋クロス株式会社製のSP4016(片面離型処理、厚み:50μm)の離型処理されていない面に、もう一方の面と同じ離型処理を施したものを用いた。
・透明なポリエチレンテレフタレートフィルム:帝人フィルムソリューション株式会社社製のテイジンテトロンフィルムG2(厚み:50μm)。
【0108】
(2)評価
(2-1)動摩擦力係数測定
精密万能試験機オートグラフAG-IS(SHIMADZU)にて、試験速度100mm/min、すべり片全質量は200g(1.96N)、試験片寸法は80×200mm、すべり片と試験片の接触面積は40cmとし、23℃環境下で測定した。接触面間の相対ずれ運動を開始した後から60mmまでの平均荷重を動摩擦力とした。
動摩擦力係数μ = (F)/F
(μ:動摩擦力係数、F:動摩擦力(N)、F:すべり片の質量によって生じる法線力(=1.96N))。
【0109】
(2-2)はみ出し部長さの測定
粘着テープをカットして10cm角のサンプルを作製した。該サンプルを2枚の10cm×10cm×1cmのSUS304板の間に、粘着テープがSUS304板の中央部に位置するように挟み込んだ。そして、SUS304板と粘着テープとの積層体の中央部に、ニュートン分銅20N(新光電子社製増おもり型ニュートン分銅 (M1SB-20N))の錘を置いた。これにより、23℃50%RH条件下、該サンプルに主面方向から2kPaで10分間加圧した。加圧状態のまま、光学顕微鏡で観察して、基材の端からはみ出す前記粘着ポリマー層のはみ出し部長さ(図1参照)を測定した。測定は、各辺(4つの辺それぞれ)の中央部で行い、最大値を、粘着ポリマー層のはみ出し部長さとした。
【0110】
(2-3)貯蔵弾性率測定
動的粘弾性測定装置(アイティー社製、DVA-200)を用いてせん断変形で測定周波数10Hzの条件で粘着ポリマー層の動的粘弾性スペクトルを測定し、粘着ポリマー層の23℃での貯蔵弾性率G’を求めた。
【0111】
(2-4)ゲル分率測定
得られた粘着テープから粘着ポリマー層のみを0.1gこそぎ取って酢酸エチル50mL中に浸漬し、振とう機で温度23度、200rpmの条件で24時間振とうした。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ)を用いて、酢酸エチルと酢酸エチルを吸収し膨潤した粘着ポリマー層を分離した。分離後の粘着ポリマー層を110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の金属メッシュを含む粘着ポリマー層の重量を測定し、下記式を用いてゲル分率を算出した。
【0112】
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/W
(W:初期粘着ポリマー層重量、W:乾燥後の金属メッシュを含む粘着ポリマー層重量、W:金属メッシュの初期重量)。
【0113】
(2-5)巻きずれの評価
粘着テープをカットして、10cm幅×50cmのサンプルを作製した。該サンプルを3インチABSコアに巻きズレが0.5mm未満で巻きつけて、粘着テープのロールを得た。該ロールを側面が横に来るようにして、30cmの高さから落した。落とした後のロールについて、巻き位置のずれを測定し、以下の基準に従って巻きずれを評価した。
A:ずれの長さが1mm未満である。
B:ずれの長さが1.0mm以上1.5mm未満である。
C:ずれの長さが1.5以上2.0mm未満である。
D:ずれの長さが2mm以上である。
【0114】
(2-6)シワ発生の評価
上記実施例および比較例で得られた粘着剤をライン速度1m/分で110℃、炉長5mの乾燥炉をもつコーター機で、幅0.3m、長さ50mの粘着ロールテープを作成した。これら粘着テープロールを繰り出した際(繰り出し速度:20m/分)のシワが発生した
長さを測定した。シワ発生長さの評価基準は以下の通りとした。
A:シワ発生長さが0m以上0.5m未満
B:シワ発生長さが0.5m以上2m未満
C:シワ発生長さが2m以上
【0115】
(2-7)ブロッキングの評価
粘着テープをカットして10cm角のサンプルを作製した。剛直な板上で、該サンプル2枚を、一方のサンプルのカバーフィルムと他方のサンプルの基材とが向い合うように重ね合わせた。その上にもう一枚の剛直な板を重ね、ニュートン分銅20N(新光電子社製増おもり型ニュートン分銅 (M1SB-20N))の錘を載せて(20Nの加圧)、23℃50%RHで24時間放置した。放置後、2枚のサンプルを剥がす際の糸引きの有無及び程度等を目視で観察し、以下の基準に従ってブロッキングを評価した。
A:カットサンプルにいと引きなく綺麗に剥がれる。
B:カットサンプルをはぐ時にわずかにいと引きが発生する(糊は転写しない)。
C:サンプルにいと引きが発生し、糊がテープ側面に付着する(糊の転写)。
【0116】
結果を表1及び表2に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
図1