(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】建築用電動シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240401BHJP
E06B 9/88 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
E06B9/17 T
E06B9/88
(21)【出願番号】P 2020051146
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】横井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 裕樹
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実公平2-11585(JP,Y2)
【文献】特開2010-229710(JP,A)
【文献】実開平4-132195(JP,U)
【文献】特開2008-82012(JP,A)
【文献】実開昭61-36088(JP,U)
【文献】実開昭64-27397(JP,U)
【文献】実開平5-75395(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0067285(US,A1)
【文献】米国特許第5657805(US,A)
【文献】特開2005-179897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の出入り口等の開口部の開閉をするシャッターカーテンと、
該シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、
シャッターカーテンが巻装される巻装体と、
該巻装体の回転駆動をしてシャッターカーテンの繰出し、巻取りをする電動開閉機と、
該電動開閉機の駆動制御をする制御部とを備えて構成される建築用電動シャッター装置において、
前記シャッターカーテンが全閉姿勢になったとき該シャッターカーテン最下端に設けた座板が突き当たる床面に、シャッターカーテンが前記全閉姿勢を越えて下降したとき座板が嵌入する凹溝を形成すると共に、
制御部には、シャッターカーテンが
前記全閉姿勢を越えて下降して座板が凹溝底面に当接した状態からさらに下降させて、少なくとも下側部位のシャッターカーテンの自重を座板が受ける過下降状態になるまで電動開閉機の駆動を行う非常時下降手段が設けられ、
凹溝は、該凹溝に嵌入した座板が前後方向に移動できるよう溝幅が幅広になっており、
凹溝には、座板が前後方向に移動していない通常状態では座板の凹溝への出入りを許容するが、座板が前後方向に移動した状態では、座板に係止して座板が凹溝から抜け出るのを規制する規制部が設けられていることを特徴とする建築用電動シャッター装置。
【請求項2】
シャッターカーテンが過下降状態に下降したときの該シャッターカーテンの下降量は、シャッターカーテンが強風を受けることで過下降状態を解消する方向に撓み変形しても座板は上動しないか、上動しても座板が
前記規制部に係止する状態までの上動になるよう設定されることを特徴とする請求項
1記載の建築用電動シャッター装置。
【請求項3】
建造物の出入り口等の開口部の開閉をするシャッターカーテンと、
該シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、
シャッターカーテンが巻装される巻装体と、
該巻装体の回転駆動をしてシャッターカーテンの繰出し、巻取りをする電動開閉機と、
該電動開閉機の駆動制御をする制御部とを備えて構成される建築用電動シャッター装置において、
前記シャッターカーテンが全閉姿勢になったとき該シャッターカーテン最下端に設けた座板が突き当たる床面に、シャッターカーテンが前記全閉姿勢を越えて下降したとき座板が嵌入する凹溝を形成すると共に、
制御部には、シャッターカーテンが前記全閉姿勢を越えて下降して座板が凹溝底面に当接した状態からさらに下降させて、少なくとも下側部位のシャッターカーテンの自重を座板が受ける過下降状態になるまで電動開閉機の駆動を行う非常時下降手段が設けられ、
凹溝は、該凹溝に嵌入した座板が前後方向に移動できるよう溝幅が幅広になっており、
シャッターカーテンは左右両端縁部に耐風部材が設けられ、ガイドレールは、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだとき、前記耐風部材が係止してシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止め係止をする係止部が設けられたものであり、前記凹溝に嵌入した座板の前後方向の移動幅は、シャッターカーテンが強風を受けることで耐風部材が係止部に係止する状態で撓むことに追随して撓むときの座板の最大撓み量と同幅以下に設定されていることを特徴とする建築用電動シャッター装置。
【請求項4】
制御部は、通常の昇降制御モード状態において予め設定されるモード変更信号の入力があった場合、通常の昇降制御モードから過下降制御モードに移行し、該過下降制御モード状態で予め設定される操作信号が入力した場合、開閉機を、座板が凹溝底面に当接してもさらに下降駆動の継続をした後、停止させる制御をすることでシャッターカーテンを過下降状態にすることを特徴とする請求項1乃至
3の何れか1記載の建築用電動シャッター装置。
【請求項5】
制御部には、シャッターカーテンが逆巻き状態になることの検知をする逆巻き検知手段が接続され、逆巻き検知手段からの検知信号の入力があったときには開閉機の過下降作動の停止をすることを特徴とする請求項1乃至
4何れか1記載の建築用電動シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用電動シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、ビル等、建造物の出入口等の開口部に、該開口部の左右両側に設けたガイドレールにシャッターカーテンを、電動式の開閉機の駆動に基づいて上下開閉移動させることで開口部の開閉をするようにした建築用電動シャッター装置を建て付けることが広く採用されている。そして一般に、このような建築用電動シャッター装置におけるシャッターカーテンが、台風等の荒天候の際に発生する強風を受けることにより撓んでガイドレールから外れることがあり、これを避けるため、シャッターカーテンの左右両端縁部に耐風フック(耐風部材)を設け、シャッターカーテンが撓んだ場合に、前記耐風フックがガイドレールに設けた係止部に係止することでシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めをするように対処している。
ところでシャッターカーテンが前記強風を受けて撓んだ場合に、シャッターカーテン最下端に設けられる座板(座板スラット)もこれに追随して撓むことになるが、前記座板は、シャッターカーテンの最下端であって下側に連結するスラットがないこともあってガイドレールから外れる可能性があるという問題がある。
そこで、座板のガイドレールからの外れ防止をするため、床面に座板が嵌入できる凹溝を形成し、台風襲来等の荒天候が予測される非常予測時において、シャッターカーテンを全閉姿勢よりも下降した状態にして座板を凹溝に嵌入させると共に、さらに該嵌入した座板が凹溝から抜け出ないよう係止するための係止部材を凹溝に設け、これによって凹溝に嵌入した座板の持ち上がり防止をして座板がガイドレールから外れないようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平2-11585号公報
【文献】実公平2-40237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして前記従来のものにすることで、座板の凹溝からの持ち上がりを係止部材により防止し、これによりシャッターカーテンのガイドレールからの外れ防止に寄与できるようになったが、これらのものは、係止部材により座板の上動規制を行うには、シャッターカーテンを下降させて座板を凹溝内に嵌入させた後、係止部材を係止姿勢にセットする作業が必要があり、また荒天候が去った後、シャッターカーテンを上昇させる際に、係止部材による係止解除作業が必要になって作業性が損なわれ、これら作業をし忘れた場合には座板のガイドレールからの抜け止め効果が低減し、またシャッターカーテンを上昇させる際に座板が係止部材に係止した状態のまま上昇してしまう等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建造物の出入り口等の開口部の開閉をするシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、シャッターカーテンが巻装される巻装体と、該巻装体の回転駆動をしてシャッターカーテンの繰出し、巻取りをする電動開閉機と、該電動開閉機の駆動制御をする制御部とを備えて構成される建築用電動シャッター装置において、前記シャッターカーテンが全閉姿勢になったとき該シャッターカーテン最下端に設けた座板が突き当たる床面に、シャッターカーテンが前記全閉姿勢を越えて下降したとき座板が嵌入する凹溝を形成すると共に、制御部には、シャッターカーテンが前記全閉姿勢を越えて下降して座板が凹溝底面に当接した状態からさらに下降させて、少なくとも下側部位のシャッターカーテンの自重を座板が受ける過下降状態になるまで電動開閉機の駆動を行う非常時下降手段が設けられ、凹溝は、該凹溝に嵌入した座板が前後方向に移動できるよう溝幅が幅広になっており、凹溝には、座板が前後方向に移動していない通常状態では座板の凹溝への出入りを許容するが、座板が前後方向に移動した状態では、座板に係止して座板が凹溝から抜け出るのを規制する規制部が設けられていることを特徴とする建築用電動シャッター装置である。
請求項2の発明は、シャッターカーテンが過下降状態に下降したときの該シャッターカーテンの下降量は、シャッターカーテンが強風を受けることで過下降状態を解消する方向に撓み変形しても座板は上動しないか、上動しても座板が前記規制部に係止する状態までの上動になるよう設定されることを特徴とする請求項1記載の建築用電動シャッター装置である。
請求項3の発明は、建造物の出入り口等の開口部の開閉をするシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、シャッターカーテンが巻装される巻装体と、該巻装体の回転駆動をしてシャッターカーテンの繰出し、巻取りをする電動開閉機と、該電動開閉機の駆動制御をする制御部とを備えて構成される建築用電動シャッター装置において、前記シャッターカーテンが全閉姿勢になったとき該シャッターカーテン最下端に設けた座板が突き当たる床面に、シャッターカーテンが前記全閉姿勢を越えて下降したとき座板が嵌入する凹溝を形成すると共に、制御部には、シャッターカーテンが前記全閉姿勢を越えて下降して座板が凹溝底面に当接した状態からさらに下降させて、少なくとも下側部位のシャッターカーテンの自重を座板が受ける過下降状態になるまで電動開閉機の駆動を行う非常時下降手段が設けられ、凹溝は、該凹溝に嵌入した座板が前後方向に移動できるよう溝幅が幅広になっており、シャッターカーテンは左右両端縁部に耐風部材が設けられ、ガイドレールは、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだとき、前記耐風部材が係止してシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止め係止をする係止部が設けられたものであり、前記凹溝に嵌入した座板の前後方向の移動幅は、シャッターカーテンが強風を受けることで耐風部材が係止部に係止する状態で撓むことに追随して撓むときの座板の最大撓み量と同幅以下に設定されていることを特徴とする建築用電動シャッター装置である。
請求項4の発明は、制御部は、通常の昇降制御モード状態において予め設定されるモード変更信号の入力があった場合、通常の昇降制御モードから過下降制御モードに移行し、該過下降制御モード状態で予め設定される操作信号が入力した場合、開閉機を、座板が凹溝底面に当接してもさらに下降駆動の継続をした後、停止させる制御をすることでシャッターカーテンを過下降状態にすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用電動シャッター装置である。
請求項5の発明は、制御部には、シャッターカーテンが逆巻き状態になることの検知をする逆巻き検知手段が接続され、逆巻き検知手段からの検知信号の入力があったときには開閉機の過下降作動の停止をすることを特徴とする請求項1乃至4何れか1記載の建築用電動シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、台風襲来等の荒天候が予測される非常予測時に、床面に形成した凹溝底面に座板が当接するようシャッターカーテンを下降させることになるが、この場合に、さらにシャッターカーテンを下降させて座板が上側に配されるスラットの自重を受ける過下降状態にすることで、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだとしても座板自体が持ち上がって凹溝から抜け出てしまうことを、スラットの自重を利用して防止できることになり、これによって従来のように係止部材のセットおよびその解除作業をいちいちしないでもシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めができることになる。
そのうえシャッターカーテンが強風を受けて撓んだ場合に、これに追随して座板が凹溝内において前後方向に移動できることになって、座板が凹溝から不用意に抜け出てしまうことを防止できることになる。
しかも、座板が前後方向に移動していない通常の状態では該座板の凹溝への出入りが自由にできながら、座板が前後方向に移動した場合、該移動した座板は規制部に係止することになって座板の凹部からの抜け止めがより確実にできることになる。
請求項2の発明とすることにより、凹溝内の座板は、スラットが過下降状態になっていることで、シャッターカーテンがスラットの過下降状態を解消する方向に撓み変形しても、上動しないか、上動しても規制部に係止するまでの上動となる結果、シャッターカーテンが撓んだとしても、座板が凹溝から抜け出てしまうことをより確実に防止できることになって、シャッターカーテンがガイドレールから抜け出ることの防止にさらに寄与できることになる。
請求項3の発明とすることにより、台風襲来等の荒天候が予測される非常予測時に、床面に形成した凹溝底面に座板が当接するようシャッターカーテンを下降させることになるが、この場合に、さらにシャッターカーテンを下降させて座板が上側に配されるスラットの自重を受ける過下降状態にすることで、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだとしても座板自体が持ち上がって凹溝から抜け出てしまうことを、スラットの自重を利用して防止できることになり、これによって従来のように係止部材のセットおよびその解除作業をいちいちしないでもシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めができることになる。
そのうえシャッターカーテンが強風を受けて撓んだ場合に、これに追随して座板が凹溝内において前後方向に移動できることになって、座板が凹溝から不用意に抜け出てしまうことを防止できることになる。
しかも、シャッターカーテンは、強風を受けて撓んだ際に、耐風部材がガイドレールに設けた係止部に係止してガイドレールからの抜け止めがなされるが、座板の凹溝内における前後方向の移動幅が、シャッターカーテンが強風を受けることで耐風部材が係止部に係止する状態で撓むことに追随して撓むときの座板の最大撓み量と同幅以下に設定されているため、座板が、シャッターカーテンの撓みに対応した無理のない前後移動ができることになってシャッターカーテンがガイドレールから抜け出ることの防止にさらに寄与できることになる。
請求項4の発明とすることにより、シャッターカーテンを過下降状態に下降させることが、過下降制御モードにモード変更させるための操作と、該過下降制御モードになった状態で行う所定の操作とを行うことで簡単にできることとなり、この結果、非常予測時等においてめったにしか行われない不慣れな操作をする必要がなく、誤操作も回避して確実にシャッターカーテンを過下降状態にすることができる。
請求項5の発明とすることにより、シャッターカーテンの逆巻き検知をするため設けられる逆巻き検知手段が、シャッターカーテンを過下降状態にする際の作動停止手段に兼用できることになると共に、シャッターカーテンを過下降状態とする際に誤ってシャッターカーテンが逆巻き状態にまでしてしまうことも防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(A)(B)はシャッターカーテンの要部側面図、スラットの要部平面図である。
【
図4】通常時において全閉状態になった状態を示すシャッターカーテンの要部側面断面図である。
【
図5】スラットが過下降状態になった状態を示すシャッターカーテンの要部側面断面図である。
【
図6】(A)(B)(C)はスラットが吊下げ状態のときの側面断面図、スラットが移動スペース分、下降した状態のときの側面断面図、スラットが過下降状態になったときの側面断面図である。
【
図7】モード変更手順を示すフローチャート図である。
【
図8】シャッターカーテンを過下降状態にする手順を示すフローチャート図である>
【
図9】(A)(B)(C)はスラットが撓みのない通常状態のときの平面断面図、スラットが屋内側に撓んだ状態のときの平面断面図、スラットが屋外側に撓んだ状態のときの平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル等建造物の出入り口等の開口部Eに建て付けられる建築用の電動シャッター装置であって、該電動シャッター装置1は、開口部Eの左右両端部に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に昇降案内されて開口部Eの開閉をするシャッターカーテン3、開口部の上方に設けられ、前記シャッターカーテン3が巻装される巻取りシャフト(巻取りドラム、巻取り体)4、巻取りシャフト4の回転駆動をする電動式の開閉機5、該開閉機の正逆駆動制御をする制御部6、該制御部6に対して昇降制御指令を出力すべく開口部Eの側方に配される昇降スイッチSW等の各種の部材装置を用いられて構成されていることは何れも従来通りである。
【0009】
前記シャッターカーテン3は、左右両端縁部がガイドレール2のガイド溝Gに遊嵌(間隙を存する)する状態で上下方向移動自在に嵌入し、そして左右方向に長いスラット3aの上下両端縁部に設けたインターロック結合部3b、3cを、上下に隣接するスラット3aのインターロック結合部3c、3bと連結することで一連状に連結形成されることで形成されているが、シャッターカーテン3は、該シャッターカーテン3が吊下げ状態である場合には、隣接するスラット3a同士が相互に連結するインターロック結合部3b、3cにより前後方向に相対揺動自在であると共に、カーテン芯(シャッター芯)Xに沿う状態で鉛直状に垂下する吊下げ姿勢になっており、この状態では、スラット3aは、隣接する下側スラット3a以下のスラット3aの自重を受ける状態になっている。
【0010】
さらに前記シャッターカーテン3の最下端には座板(座板スラット)3dが設けられるが、該座板3dは、本実施の形態では上側半部3eに対して下側半部3fが上下移動自在に設けられると共に、上下側半部3e、3fのあいだに形成される空間部には、上側半部3eに取付けられる状態で障害物検知センサ(障害物検知スイッチ)7が設けられている。そしてこの障害物検知センサ7は、シャッターカーテン3の下降工程において座板3dが障害物(図示せず)に当接して下側半部3fが上動することに基づき検知作動をし、この検知信号を制御部6に送信することになり、これによって制御部6は、開閉機5を緊急停止させることを含めた必要な障害物検知制御を実行するようになっているが、この制御についての詳細については通常知られたものが採用されるため説明は省略する。そして本実施の形態では、座板3dが床面Fに当接することに伴い障害物検知センサ7が検知作動をすることになるが、制御部6は、この場合の検知作動については障害物検知ではなく全閉検知と判断して開閉機5の駆動停止をするよう制御するように設定され、これにより本実施の形態では障害物検知センサ7が全閉検知センサを兼ねたものとなっており、このため以降、障害物検知センサを便宜上「全閉検知センサ」と称することにする。
因みに、障害物検知センサ7からの検知信号が障害物検知によるものか全閉したことによるものかの制御部6における判断は、例えば全開状態からの作動時間、作動距離、さらには全閉状態になる少し前位置を検知した以降であるか否かの判断等、通常知られた判断手段を採用して判断できるように設定されている。
【0011】
また床面Fには、前記シャッターカーテン3が全閉姿勢になったとき座板3dが突き当たる(当接する)部位に凹溝Yが形成されており、該凹溝Yには、後述するようにシャッターカーテン3が前記全閉姿勢を越えて下降したとき座板3dが遊嵌状に嵌入することになる。そして凹溝Yには凵字形の溝板部8が設けられるが、本実施の形態では、該溝板部8に、凹溝Yの開口端部の前後方向の開口幅を狭くするよう逆L字形になった規制部8aが設けられている。そして前記凹溝Yには、蓋体9が床面Fと略同一面状になるよう着脱自在に設けられていて、常時は凹溝Yは封鎖された状態になっている。
【0012】
一方、前記制御部6は、通常状態(平常状態)においては通常の昇降制御モードに設定されていて、昇降スイッチSWに設けた上昇用押し釦スイッチUP、下降用押し釦スイッチDN、停止用押し釦スイッチSTを押し操作することで、制御部6は開閉機5の開閉停止の通常の駆動制御を実行することになる。例えば、シャッターカーテン3が全開した状態において、下降用押し釦スイッチDNを押し操作すると、制御部6は、開閉機5に対して下降駆動指令を出力してシャッターカーテン3を下降させ、そして座板3dが前記蓋体9に当接することに伴い出力される全閉検知センサ7からの全閉検知信号を入力することで、開閉機5を停止するよう設定されている。
この場合に、シャッターカーテン3が下降し、座板3dの下側半部3fが、蓋体9に当接することに伴い上側半部3eに対して相対上動することになり、これを検知した全閉検知スイッチ7からの検知信号が制御部6に入力すると、制御部6は開閉機5の駆動停止をし、これによってシャッターカーテン3は、座板3dの下側半部3fが上側半部3e対して相対上動した状態で全閉姿勢となって下降停止することになるが、この場合にシャッターカーテン3はカーテン芯Xに沿う吊下げ状態、換言すれば、スラット3aが隣接する下側スラット3a以下のスラット3aの自重を受ける全閉姿勢となって停止するように設定されている(
図4、
図6(A)参照)。
因みに全閉検知がなされてから開閉機5の駆動停止までの時間的なタイムラグにより、下側の一部スラット3aが後述するように過下降状態になる場合もあるが、このような過下降状態になると、全閉姿勢となったシャッターカーテンの平滑性が損なわれて外観上好ましくなく、このため、スラット3aが過下降姿勢にならないよう停止制御するのが一般的である。
【0013】
そしてこのように構成されるスラット3a同士は、上下に隣接するものが上下インターロック結合部3b、3c同士を相互に結合(インターロック結合)することで一連状に連結されることになるが、前記通常の状態でシャッターカーテン3が下降して全閉姿勢になった状態では、上下に隣接するスラット3a同士は吊下げ状態になっていて、上側スラット3aが下側スラット3a以下の自重(重量、荷重)を受ける状態になっているが、この状態ついて、本実施の形態の場合を例にして具体的に説明をすると、
図6(A)に示すように、下側インターロック結合部3cの先端縁部3gが、上側インターロック結合部3bの円弧状となった上端部3iの内面に当接した状態となっている。
この場合に、上下に連結されるインターロック結合部3b、3c同士のあいだには、上側インターロック結合部3bの基部3hと、下側インターロック結合部3cの下端部(先端部)3kとのあいだに遊びがあり、これによって上下に隣接するスラット3a同士のあいだには、上下方向に相対移動可能な移動スペースZが設けられたものとなっている。そして前述したようにシャッターカーテン3が吊下げ状態となっていて、前述した下側インターロック結合部3cの下端部3gが上側インターロック結合部3bの上端部3iに当接した吊下げ状態では、隣接するスラット3a同士は、カーテン芯Xに沿う状態で前記移動スペースZ分だけ上下方向に離間した構成になっている。
【0014】
因みに本実施の形態のものは、隣接するスラット3a同士の移動スペースZを、前述したように下側インターロック結合部3cの下端部3kと上側インターロック結合部3cの基部3hとのあいだに形成される遊びとして確保されるものとしているが、これに限定されず、上側インターロック結合部3bの先端部3iと、下側インターロック結合部3cの基部3jとのあいだに形成される遊びを移動スペースとしたものとしても実施できることはいうまでもなく、このような移動スペースの設定はインターロック結合部の形状等により如何様にも設定できるものである。
【0015】
そして前記吊下げ状態で隣接するスラット3a同士において、上側スラット3aを移動スペースZ分だけ下降せしめると、カーテン芯Xに沿う状態で上下インターロック結合部3b、3c同士が当接する状態(
図6(B)参照)、具体的には、上側インターロック結合部3bの基部3hと下側インターロック結合部3cの下端部3kとが当接する状態となり、この状態を越えてさらに上側スラット3aを下降させると、スラット3aは、前記基部3h、下端部3k同士の当接が維持(実際には殆どのものが前後方向に位置ずれする)する状態で、レール2のガイド溝Gの溝内側面2bに対する遊び(隙間)分だけ前後方向に傾斜(この前後方向の傾斜は、規則正しいジグザグ状の傾斜になることは稀で、各スラット3aがランダムな方向に傾斜することになるのが一般的である。)して該溝内側面2bに当接して受け止め支持される過下降状態の姿勢になる(
図5、
図6(C)参照)。そしてこの過下降状態なったスラット3aは、同じく過下降状態となっている上側スラット3aの自重を受けることになり、最下端の座板3dについてみると、このように過下降状態となっている上側スラット3aの自重を受ける状態になっている。
しかもこのようにシャッターカーテン3が過下降状態になっているものでは、強風を受けることで過下降状態になっているカーテン部位に前後方向の撓み負荷を受けた場合に、スラット3aは上側スラットの自重(重量)を受けた過重量状態になっていると共にガイド溝G内に嵌入して受け止め支持された状態になっていて前後方向に動きづらいものになっているため、前記通常の吊下げ状態になっている場合のように簡単に前後方向に撓むことはなく、これによってシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け防止機能の向上を図ることができるようになっている。そしてこのことは、シャッターカーテン3の最下端の座板3dについても同様のことが言える。
【0016】
因みにスラット3aの過下降状態への変化は、前記吊下げ状態となって隣接しているスラット3a同士において、上側スラット3aを下側スラット3aに対して移動スペースZを越えて下降させることに伴い変化するものであって、この変化は、前記吊下げ状態になった下側スラット3aから順次過下降状態に変化するものであって、全ての隣接するスラット3a同士がそれぞれ移動スペースZ分だけ降下してインターロック結合部3b、3c同士が当接する状態(
図6(B)参照)になった後、過下降状態に変化するものでないことは当然に理解される。
【0017】
尚、本実施の形態のものは、座板3dに全閉検知センサ7を設けて全閉検知をする構成にしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、シャッターカーテン3が全閉したことの検知については、例えばシャッターカーテン3が全閉したことに伴い変化する開閉機5の負荷検知、開閉機5の駆動量の検知(例えば開閉機5の出力軸の回転量(回転数)をエンコーダーによる検知、開閉機5がサーボモータのようにパルス制御により駆動するものである場合にはパルス検知等)、シャッターカーテン3が全閉状態になる少し前位置(直前位置)になったことの検知をし、該検知後、予め設定された移動量(時間的や距離的の移動量)だけ移動したことの検知等、種々のものが知られており、本発明は、これらの何れを採用してもよいことは勿論である。
【0018】
前記制御部6は、前述したように常時は前記通常の昇降制御モードを実行しているが、台風が接近すると予測されるような非常予測時においてには、該通常の昇降制御モードを過下降制御モードに移行操作できるように設定されている。そしてこのモード移行をするには、例えば前記停止用押し釦スイッチSTを二度押し操作するような予め設定される所定のモード移行操作信号が入力することで通常の昇降制御モードから過下降制御モードに移行するように設定されている(
図7参照)。
【0019】
制御部6は、前記過下降制御モードにモード移行された場合、シャッターカーテン3が過下降状態になるよう開閉機5の駆動制御をすることになるが、その場合の本実施の形態の制御手順例を
図8に示す。
このものでは、過下降制御モードへのモード移行操作された時点、つまり前記設定される所定のモード移行操作信号が入力した時点を起点として予め設定されるタイマ時間T1のあいだ(S1)に、下降用押し釦スイッチDNが押し操作される等の予め設定される下降操作信号の入力があったか否かの判断(S2)をし、該タイマ時間T1のあいだに下降操作信号の入力があったと判断された場合には、開閉機5に対して下降駆動指令を出力し(S3)、これによって開閉機5が駆動し、シャッターカーテン3が下降することになる。
尚、前述した過下降制御モードへのモード移行の操作、該過下降制御モードに移行した場合において開閉機5を下降駆動するための操作は、予め設定された操作であれば良く、例えば制御部6が管理室からの作動信号に基づいて作動制御するものである場合には、該管理室において予め設定された操作信号が出力されることによってモード移行、開閉機5の下降駆動を行うことができるものであって、昇降操作スイッチSWからの押し操作に限定されないことは勿論であり、またこれら二種類の設定信号としては、管理上の観点からは異なっていることが好適であるが、同じであっても実施できることは言うまでもない。
【0020】
そして前記過下降制御ルーチンでの制御下、開閉機5が下降駆動している状態において、制御部6は、全閉検知センサ7から全閉検知信号の入力があったか否かの判断(S4)をし、全閉検知信号の入力があったと判断された場合に、該全閉検知信号の入力があってから予め設定されるタイマ時間T2のあいださらに開閉機5の駆動制御をし(S5)、タイマ時間T2を経過したと判断された場合には、開閉機5の停止をして(S6)リターンする。
本実施の形態においては、前記開閉機5が駆動停止するまでの時間として設定されるタイマ時間T2は、座板3dが溝板部8の底板面8bに当接することに伴い出力された全閉検知センサ7からの全閉検知信号を入力した時点から、例えば間口高さのおおよそ半分の高さまでのスラット3aが前記過下降状態になるまでの時間として設定(この時間は、開閉機5の駆動速度から算出される時間、あるいは実動実験で確認した時間や開閉機5の駆動量等で設定され、例えば全閉検知信号の入力があってから2秒間に設定)することができるが、これに限定されるものではなく、座板3dが底板面8bに当接した以降、さらにシャッターカーテン3の下降駆動を、下側に配されるスラット3aが過下降状態になる状態まで継続した後、停止制御するように設定したものであれば、本発明を実施することができることは言うまでもない。
【0021】
次に、シャッターカーテン3が前記過下降状態となって下降した場合に、シャッターカーテン3、座板3d、凹溝Y等がどのように設定されているかについての説明をする。
前記凹溝Yは、蓋体9を取り外した状態では前後規制部8aが床面Fと面一状態で露出するが、該規制部8aの前後方向の対向間隔は、シャッターカーテン3がカーテン芯Xに沿う通常の吊下げ状態では、該座板3dの凹溝Yへの自由な上下出入りを許容するものに設定されている。そして前述したように、シャッターカーテン3を、前記全閉姿勢を越えて過下降状態に下降させた場合に、座板3dは、凹溝Yに嵌入し、下側半部3fが上側半部3eに対して相対上動した状態で底板部8の底板面8bに当接し、これを受けて全閉検知センサ7が全閉検知をするようになっている。
そして前記凹溝Yに嵌入し、底板面8bに当接している状態の座板3dは、規制部8aに遊嵌している分、前後方向に移動可能となっており、これによってシャッターカーテン3が撓むことに追随して座板3dが前後方向に移動(この前後方向の移動幅(量)は左右方向中央部位側ほど大きいものになる。)することになるが、該前後方向に移動した座板3d(あるいは座板3dの一部)が規制部8aの下側まで移動することに連動して座板3dが持上がろうとした場合に、該座板3dは規制部8aに係止して持上げ規制(抜け出し規制)されるようになっている。
【0022】
前記シャッターカーテン3には、予め設定されるスラット(適数枚置き(例えば一枚置き)や全てのスラット)3aの左右両端縁部に耐風フック(耐風部材)10が設けられている。そしてシャッターカーテン3が強風を受けて前後方向に撓んだ場合に、該耐風フック10がガイドレール2のガイド溝内に形成した係止部2aに係止してシャッターカーテン3のガイドレールからの抜け止めをするように設定されている(
図9参照)。尚、本実施の形態のガイドレール3は、鋼材を押し出し成形することで形成された一体ものを用いているが、これに限定されるものではない。
【0023】
前述したように、シャッターカーテン3が強風を受けて前後方向に撓んだ場合に、耐風フック10が係止部2aに係止することでシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止め機能が発揮されることになるが、このようにシャッターカーテン3が撓んだ場合、左右方向中央部位が最も大きく撓むことになる。
そして本実施の形態においては、前述したように凹溝Yに嵌入した座板3dは、該凹溝Y内を前後方向に移動可能となっているが、その場合の前後方向の最大の移動量(カーテン芯Xからの移動量、
図5参照)Vは、本実施の形態では座板3dが溝板部8の前後の側板面8cに当接するまでとなっている(
図5参照)。
【0024】
そして前記座板3dは、前述したようにシャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ際に座板3dもこれに追随して撓むことになるが、この場合の座板3dの最大の撓み量は、耐風フック10が係止部2aに係止して抜け止めされた状態になったときのシャッターカーテン3の最大の撓み量(
図9参照、シャッターカーテン3の左右方向中央部分の最大撓み量(撓み幅))と略同じであると仮定をし、そこで本実施の形態においては、座板3dの最大の撓み量W、つまり耐風フック10が係止部2aに係止して抜け止めされた状態になったときのシャッターカーテン3の最大の撓み量Wが、座板3dが凹溝Yに嵌入した状態での前後方向の最大の移動量(移動幅、撓み量、撓み幅)Vと略同じ(W≒V)になるか、これよりも小さい値となるよう設定してある。
そしてこのように構成することで、シャッターカーテン3が最大に撓んだことに連動して座板3dが撓んだ場合に、該撓んだ座板3dは、凹溝Y内において前後方向に無理のない範囲で撓むことができ、凹溝Yから持上げられて不用意に抜け出てしまうことを防止できることになるよう設定されている。
因みに御場合に、シャッターカーテン3(座板3d)の最大撓み量Wは、シャッターカーテン3が屋内側に撓んだ場合と屋外側に撓んだ場合とで異なることがあり、そこでこのような場合には、座板3dの凹溝Y内での前後方向のカーテン芯Xに対する前後方向の移動量Vを、シャッターカーテン3の前後方向の異なる撓み量Wに対応して異ならしめるものとすることが好ましい。
【0025】
一方、シャッターカーテン3が全閉状態になっている場合において、前述したようにシャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ場合に、該撓んだ部位のスラット3dが持上げられた状態となり、これに追随して座板3dも持上げられた状態になる。
これを本実施の形態においては、シャッターカーテン3が過下降状態になって座板3dが凹溝Yに嵌入している場合に、過下降状態となるスラット3aを、間口高さの凡そ半分の高さのものまでに設定しているが、これは、前述したようにシャッターカーテン3が強風を受けて中央部位が撓んでスラットが持上げられたとしても、座板3d近傍の下側スラット3aについては過下降状態が維持される状態になるよう設定されたものとなっており、これによって、座板3dが底板面8bから持ち上がって凹溝Yから抜け出てしまうことを回避できるようになっている。
【0026】
因みに、シャッターカーテン3を過下降状態とする範囲として、高位置に設定する場合にはシャッターカーテン3の開口部Eへの繰出し上端部であるマグサ11の高さまでとすることが好適であり、また低位置に設定する場合には、強風を受けて撓むことでシャッターカーテン3が持上げられた場合において、座板3dまでは持上げられない範囲とすることが好適であり、この場合に、座板3dには適数枚の過下降状態になっているスラット3aの荷重を受けるようになっていることがより好ましい。さらにシャッターカーテン3が持上げられることに連動して座板3dが持上げられるものである場合、該座板3dの持上げ量は、規制部8aに係止するまでの範囲とすることが好ましいと言える。
【0027】
叙述の如く構成された本実施の形態において、台風が襲来することが予測されるような非常予測状態になった場合、蓋体9を外して凹溝Yを開口した状態で、シャッターカーテン3を全閉状態を越えて下降させて、座板3dが凹溝Yの底板面8bに当接した状態からさらに下降させて、間口高さの半分程度までのスラット3aの自重を座板3dが受ける過下降状態になるまで開閉機5を駆動させることができ、これによって、シャッターカーテン3が強風を受けて撓んだとしても座板3d自体が持ち上がって凹溝Yから抜け出てしまうことを、過下降状態になったスラット3aの自重を有効に利用して防止できることになって従来のように係止部材のセットおよびその解除作業をいちいちしないでもシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めができることになり操作性が向上する。
【0028】
しかもこのものにおいて、凹溝Yは、該凹溝Yに嵌入した座板3dが前後方向に移動できるよう溝幅が幅広になっているため、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだときに、座板3dは、これに追随して凹溝Y内において前後方向に移動できることになって、座板3dが凹溝Yから不用意に抜け出てしまうことを防止できることになる。
そしてこの場合に、凹溝Yに設けられる規制部8aは、座板3dが前後方向に移動していない通常状態では座板3dの凹溝Yへの自由な出入りを許容するが、座板3dが前後方向に移動した場合には、該座板3dが係止して凹溝Yから抜け出るのを規制することになり、この結果、座板の凹部からの抜け止めがより確実にできることになる。
【0029】
またこのものでは、シャッターカーテンの左右両端縁部に耐風フック10が設けられていて、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだとき、ガイドレール2に設けた係止部2aに前記耐風部材が係止してシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止め係止をすることになるが、前記凹溝Yに嵌入した座板3dの前後方向の最大の移動量Vが、シャッターカーテン3が強風を受けて撓んで耐風フック10が係止部2aに係止する際に追随して撓む座板3dの最大撓み量Wと略同じになるよう設定してあるため、凹溝Y内の座板3dは、シャッターカーテン3の撓みに対応した無理のない前後移動が凹溝Y内でできることになってシャッターカーテン3がガイドレール2から抜け出ることの防止にさらに寄与できることになる。
【0030】
しかもシャッターカーテン3が過下降状態に下降したときの該シャッターカーテン3の下降量は、前記全閉状態から座板3dが溝板部8の底板部8bに当接する状態を越えて、座板3dが上側のスラット3aの自重を受ける過下降状態になるまで下降することになるが、この場合の下降量として、シャッターカーテン3が強風を受けることで過下降状態を解消する方向に撓み変形しても、シャッターカーテン3の下降量が十分あって座板3dは上動しないか、上動しても座板3dが規制部8aに係止する状態までの上動になるよう設定されるため、シャッターカーテン3が強風を撓んだとしても、座板3dが凹溝Yから抜け出てしまうことをより確実に防止できることになって、シャッターカーテン3がガイドレール2から抜け出ることの防止にさらに寄与できることになる。
【0031】
一方、開閉機5の駆動制御をする制御部6は、通常は昇降制御モード状態になっていて、昇降操作スイッチSWの操作に基づいて開閉機5の駆動制御をすることになるが、前述したように非常予測状態になった場合には、昇降操作スイッチSWに設けられる停止用操作ボタンスイッチSTを二度押し操作するという過下降制御モードにモード変更させるための所定の操作をした後、さらに下降用押しボタンスイッチDNを押し操作するという所定の操作を行うことで、シャッターカーテン3が前記過下降状態になるよう制御部5の駆動制御をさせることができ、この結果、非常予測時等においてめったに行われない不慣れな操作をする必要がなく、誤操作も回避して確実にシャッターカーテン3を過下降状態にすることができる。
【0032】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではないことは勿論であるが、本実施の形態のものでは、開閉機5が通常の下降駆動をしているときに全閉検知センサ7に故障があって全閉検知信号が入力されないような異常時においては、開閉機5は全閉状態になっても駆動停止することがなく駆動し続けることになり、この結果、巻取りシャフト4は、全てのシャッターカーテン3が繰出された後、シャッターカーテン3が逆巻き状態で巻装されることになり、このようになると建築用シャッター装置1は甚大な損傷状態となる。
そこでこれを避けるため、前記マグサ11部位には逆巻き検知センサ12が設けられており、シャッターカーテン3の通常の下降制御状態において、シャッターカーテン3が逆巻き状態になる直前状態になったことを検知して制御部6に制御指令を出力して開閉機5の駆動停止をするようになっている。
この逆巻き検知センサ12の検知を、過下降制御時においても利用し、過下降制御状態において全閉検知センサ7が故障する等して過下降状態になっても開閉機5の駆動停止がなされず下降駆動が続く異常時の場合に、制御部6は、逆巻き検知センサ12からの検知信号の入力があったときには即座に開閉機5の過下降作動の停止をして逆巻き状態になることを防止して、シャッターカーテンを過下降状態とする際にシャッターカーテンが逆巻き状態になってしまう異常を防止できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、建造物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用電動シャッター装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 建築用電動シャッター装置
2 ガイドレール
2a 係止部
2b ガイド溝内側面
3 シャッターカーテン
3a スラット
3b、3c インターロック結合部
3d 座板
5 開閉機
6 制御部
7 全閉検知センサ
8 溝板部
8a 規制部
8b 底板面
9 蓋体
10 耐風フック
E 開口部
G ガイド溝
SW 昇降操作スイッチ
X シャッター芯
Y 凹溝
V 移動量(移動幅)