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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】熱変色性筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 7/02 20060101AFI20240401BHJP
   B43K 5/02 20060101ALI20240401BHJP
   C09B 67/08 20060101ALN20240401BHJP
   C09B 57/00 20060101ALN20240401BHJP
【FI】
B43K7/02
B43K5/02
C09B67/08 A
C09B57/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020055947
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154560
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】桝重 直登
(72)【発明者】
【氏名】梅本 寛
(72)【発明者】
【氏名】森垣 結衣
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-262034(JP,A)
【文献】特開2020-002292(JP,A)
【文献】特開2017-095696(JP,A)
【文献】特開平04-193583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 7/02
B43K 5/02
C09B 67/08
C09B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)電子供与性呈色性有機化合物として式(I)で示されるフルオラン誘導体と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
ビヒクルと
を含んでなり、有色から無色に色変化する筆記具用インキを収容してなる熱変色性筆記具であって、
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、前記筆記具用インキ全量中に、5~40質量%の範囲で配合されてなり、20℃において、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際の熱変色性筆記具のインキ消費量が60~280mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上である熱変色性筆記具。
【化1】
〔式中、
n1は、0、1又は2であり、
n2は、0又は1であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数6~12の式(i)で示される基:
【化2】
(式中、
niは、0又は1であり、
は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である)
であり、
ただし、n2が0である場合に、2つのXのうちの1つが式(i)で示される基であり、他方が水素原子、又は炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、且つ2つのXの炭素数の合計が10~22であり、ここでXが水素原子の場合、Xの示す炭素数は0であり、
n2が1である場合に、2つのXは、ともに水素原子ではなく、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基であり、且つ
n2が1である場合、Zは、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基であり、ただし、Zの置換位置は、パラ位である〕
【請求項2】
前記フルオラン誘導体が、式(Ia)で示される、請求項1に記載の熱変色性筆記具。
【化3】
〔式中、
naは、0、1又は2であり、
は、それぞれ独立に、炭素数1~8の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数6~12の式(ia)で示される基:
【化4】
(式中、
niaは、0又は1であり、
iaは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である)
であり、
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、且つ
は、ハロゲン原子であり、ただし、Z の置換位置は、パラ位である〕
【請求項3】
前記フルオラン誘導体が、式(Ib)で示される、請求項1に記載の熱変色性筆記具。
【化5】
(式中、
nbは、0、1又は2であり、
b1は、水素原子、又は炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、
b2は、水素原子、炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基であり、
ただし、Xb1とXb2の炭素数の合計は、5~11であり、ここでXb1又はXb2が水素原子の場合、Xb1又はXb2の示す炭素数は0であり、且つ
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基である)
【請求項4】
前記ビヒクルが水性ビヒクルである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱変色性筆記具。
【請求項5】
前記熱変色性筆記具がボールペンである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱変色性筆記具。
【請求項6】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、前記筆記具用インキ全量中に、10~35質量%の範囲で配合されてなり、20℃において、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際の筆記具のインキ消費量が70~210mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上である請求項5に記載の熱変色性筆記具。
【請求項7】
前記ボールペンの筆記先端部に備えられるボールの直径が0.3~0.5mmである請求項5又は6に記載の熱変色性筆記具。
【請求項8】
前記ボールペンの筆記先端部に備えられるボールの直径が0.5~1.0mmである請求項5又は6に記載の熱変色性筆記具。
【請求項9】
前記熱変色性筆記具がマーキングペンである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱変色性筆記具。
【請求項10】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、前記筆記具用インキ全量中に、10~30質量%の範囲で配合されてなり、20℃において、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際の筆記具のインキ消費量が100~260mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上である請求項9に記載の熱変色性筆記具。
【請求項11】
前記熱変色性筆記具による筆跡を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなる請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱変色性筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱変色性筆記具に関する。さらに詳細には、発色時に黒色を呈し、消色時に無色に色変化する可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる筆記具用インキを収容してなる熱変色性筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含有する熱変色性インキ組成物(インキ)を収容した熱変色性筆記具が知られ、この筆記具を用いて形成した筆跡は、加熱することにより消色させることができるため、様々な用途で広く利用されている。
一般的に、筆記具は、筆跡の視認性を向上させるために、筆跡濃度が高いことが好ましいが、マイクロカプセル顔料を含有する熱変色性インキ組成物においては、色材である可逆熱変色性組成物がマイクロカプセルに内包されているため、色材がマイクロカプセルに内包されていない他の筆記具に比べ、高い筆跡濃度が得られ難い傾向にある。そこで、熱変色性筆記具により形成した筆跡の濃度を向上させる検討が行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、特定のロイコ色素、顕色剤、及び変色温度調整剤を少なくとも含むことを特徴とするマイクロカプセル顔料を含有する筆記具用インキ組成物が開示されている。上記のインキ組成物は特定のロイコ色素を用いることにより発色性に優れる筆跡を形成できるものであるが、筆跡濃度に改善の余地があった。
筆跡濃度を向上させるために、インキ中のマイクロカプセル顔料の配合割合を増やすこと、筆記具のインキ消費量を増やすこと等が考えられるが、マイクロカプセル顔料の配合割合や筆記具のインキ消費量を高くし過ぎると、筆跡濃度は高くなるものの、消色状態における筆跡の残色が視認され易い傾向にあり、熱変色性筆記具としての実用性を損なうものであった。また、紙面上にマイクロカプセル顔料が多く堆積するため、筆跡を完全に消去するためにより多くの熱が必要となり、擦る回数が増加し、手への負担を伴い易いことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-5422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、筆跡濃度に優れ、且つ、消色状態における筆跡の残色が視認され難く、筆跡の発色状態と消色状態のコントラストを良好とする共に、筆跡の消去又は変色を容易に行うことができる熱変色性筆記具を提供しようとするものである
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による熱変色性筆記具は、
(イ)電子供与性呈色性有機化合物として式(I)で示されるフルオラン誘導体と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
ビヒクルと
を含んでなる筆記具用インキを収容してなる熱変色性筆記具であって、
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、前記筆記具用インキ全量中に、5~40質量%の範囲で配合されてなり、20℃において、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際の熱変色性筆記具のインキ消費量が60~280mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上である。
【化1】
〔式中、
n1は、0、1又は2であり、
n2は、0又は1であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数6~12の式(i)で示される基:
【化2】
(式中、
niは、0又は1であり、
Riは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である)
であり、
ただし、n2が0である場合に、2つのXのうちの1つが式(i)で示される基であり、他方が水素原子、又は炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、且つ2つのXの炭素数の合計が10~22であり、ここでXが水素原子の場合、Xの示す炭素数は0であり、
n2が1である場合に、2つのXは、ともに水素原子ではなく、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基であり、且つ
Zは、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である〕
【発明の効果】
【0006】
本発明による熱変色性筆記具は、インキ中のマイクロカプセル顔料の配合割合と、筆記具のインキ消費量を高くし過ぎることなく、筆跡濃度に優れ、且つ、消色状態における残色が視認され難く、発色状態と消色状態のコントラストに優れた筆跡を形成できると共に、被筆記面における筆跡中のマイクロカプセル顔料の堆積量が適度に調整されているため、筆跡の消去又は変色を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図3】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の可逆熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が挙げられる。
上記の可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を用いることができる。(図1参照)。
【0009】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されているヒステリシス幅が大きい特性(ΔH=8~70℃)を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t以下の温度域での発色状態、または完全消色温度t以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t~消色開始温度tの間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を用いることもできる。(図2参照)。
【0010】
以下に各(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
【0011】
本発明に用いられるフルオラン誘導体は、式(I)で示される。
【化3】
〔式中、
n1は、0、1又は2であり、
n2は、0又は1であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数6~12の式(i)で示される基:
【化4】
(式中、
niは、0又は1であり、
は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である)
であり、
ただし、n2が0である場合に、2つのXのうちの1つが式(i)で示される基(好ましくは、niは0又は1であり、且つRは炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である)であり、他方が水素原子、又は炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、且つ2つのXの炭素数の合計が10~22であり、ここでXが水素原子の場合、Xの示す炭素数は0であり、
n2が1である場合に、2つのXは、ともに水素原子ではなく、好ましくは2つのXはいずれも水素原子ではなく、
Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基であり、且つ
Zは、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である。〕
【0012】
式(I)で示されるフルオラン誘導体は、好ましくは、以下で説明する、式(Ia)又は式(Ib)で示される。
【0013】
式(Ia)で示されるフルオラン誘導体について説明する。
【化5】
{式中、
naは、0、1又は2であり、
は、それぞれ独立に、炭素数1~8の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数6~12の式(ia)で示される基:
【化6】
〔式中、
niaは、0又は1であり、
iaは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数1~6(好ましくは炭素数1~4)の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5(好ましくは炭素数1~3)の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である〕
であり、
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、且つ
は、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基である}
【0014】
式(Ia)で示されるフルオラン誘導体を適用した本発明に用いられる可逆熱変色性組成物は、発色状態の濃度と消色状態の濃度差が大きい、即ち、発色状態と消色状態のコントラストに優れるものである。さらに、可逆熱変色性組成物は、繰り返し温度変化させても、高温側変色点(完全消色温度)以上の温度域で消色状態となり、低温側変色点(完全発色温度)以下の温度域で発色状態となる可逆熱変色機能を損ない難く、また、繰り返し使用しても発色状態の濃度と消色状態の濃度が変化し難いものである。
【0015】
に関して、
炭素数1~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等を例示できる。
としては、発色状態で高い濃度を示し易くなることから、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等の炭素数2~6の、直鎖又は分岐の、アルキル基が好ましい。
【0016】
式(ia)で示される基中のRiaに関して、
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を、
炭素数1~6の、直鎖又は分岐の、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等を、
炭素数1~5の、直鎖又は分岐の、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基等を、それぞれ例示できる。
iaとしては、溶解性に優れることから、炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基が好ましい。
【0017】
に関して、
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を、
炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を、それぞれ例示できる。
に関して、発色状態と消色状態のコントラストに優れることから、naが0であること(つまり、非置換である)、又は、naが1であり、且つYが、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であることが好ましく、naが0であること、又は、naが1であり、且つYがハロゲン原子であることがより好ましい。
【0018】
に関して、
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を、
炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を、
炭素数1~3の、直鎖又は分岐の、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等を、それぞれ例示できる。
としては、発色状態で高い濃度を示し易くなることから、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
の置換位置としては特に限定されるものではないが、発色状態で高い濃度を示し易くなることから、パラ位が好ましい。
【0019】
式(Ia)において、Xは、それぞれ独立に、炭素数1~8の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数6~12の式(ia)で示される基であり、naは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、Zは、ハロゲン原子、炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~3の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基であるフルオラン誘導体を適用した本発明の可逆熱変色性組成物は、発色状態で高い濃度を示し易く、且つ、消色状態での残色が低くなり易くなるものであり、さらに、Xが互いに異なる官能基である場合には、可逆熱変色性組成物は、消色状態での残色がより低くなり易くなるため、好適である。
が互いに異なる官能基である式(Ia)で示されるフルオラン誘導体としては、式(Ia)のXの一方が、炭素数1~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、他方が式(ia)で示される基であることが好ましく、Xの一方が、炭素数1~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、他方が式(ia)で示される基であり、且つ非置換(niaが0である)か、Riaが炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基であることがより好ましく、Xの一方が、炭素数2~6の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、他方が、式(ia)で示される基であり、且つRiaが、炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基であることがさらに好ましい。
上記構造のフルオラン誘導体を適用することにより、発色状態と消色状態のコントラストにより優れた、実用性の高い可逆熱変色性組成物が得られ易くなる。
【0020】
式(Ia)で示されるフルオラン誘導体として、発色状態と消色状態のコントラストに優れた可逆熱変色性組成物を得られ易くなることから、Xは、それぞれ独立に、炭素数1~8の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は式(ia)で示される基であり、naは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、Zはハロゲン原子であるフルオラン誘導体が好ましい。
さらに、発色状態と消色状態のコントラストに優れると共に、消色状態での残色が低くなり易いことから、式(Ia)において、Xは、それぞれ独立に、炭素数1~8の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は式(ia)で示される基であり、且つ、Xは互いに異なる官能基であり、naは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、Zはハロゲン原子であるフルオラン誘導体がより好ましく、式(Ia)のXの一方が、炭素数1~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、他方が式(ia)で示される基であり、naは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、Zはハロゲン原子であるフルオラン誘導体がさらに好ましく、式(Ia)のXの一方が、炭素数1~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、他方が式(ia)で示される基であり、且つ非置換(niaが0である)か、Riaが炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、naは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、Zはハロゲン原子であるフルオラン誘導体がよりさらに好ましく、Xの一方が、炭素数2~6の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、他方が、式(ia)で示される基であり、且つRiaが、炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、naは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、Zはハロゲン原子であるフルオラン誘導体が特に好ましい。
【0021】
本発明に適用される式(Ia)で示されるフルオラン誘導体としては、例えば、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジエチルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジフェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-フェニルアミノ)フルオラン、
2-(3-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(2-クロロフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-ブロモフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(2-メトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(2-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(3-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-イソプロポキシフェニルアミノ)〕フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(3-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-n-ヘプチルアミノ)フルオラン、
2-(2-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-フェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(2-ブロモフェニル)-N-n-ブチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(3-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-ヘキシルフェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ヘキシル-N-n-オクチルフェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-フェニル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ヘキシル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(2-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-tert-ブチル-N-n-ヘキシルフェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-エチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-オクチル-N-n-プロピルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ヘプチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-オクチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(3-フルオロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジメチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジエチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-プロピルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジイソプロピルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジイソブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-sec-ブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-tert-ブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジイソペンチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジネオペンチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ヘプチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジフェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N,N-ジ-(2-クロロフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N,N-ジ-(4-ブロモフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N,N-ジ-(2-メトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N,N-ジ-(3-エトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N,N-ジ-(4-n-プロポキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N,N-ジ-(4-イソプロポキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N,N-ジ-(4-n-ブチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(3-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ヘキシル-N-メチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-tert-ブチル-N-エチル-アミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-フェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-クロロフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-ブロモフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-ニトロフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-メトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-エトキシフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(3-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-n-プロポキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-イソプロポキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(3-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-n-プロピルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-イソプロピルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(3-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-イソブチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-sec-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-オクチル-N-n-プロピルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-n-ヘプチルアミノ)フルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-フェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(2-ブロモフェニル)-N-n-ブチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-n-ブチル-N-(4-シアノフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-tert-ブチル-N-n-ペンチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-tert-ブチル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-tert-ブチル-N-n-ヘプチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-tert-ブチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-クロロフェニル)-N-tert-ブチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-tert-ブチル-N-(4-カルボキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-tert-ブチル-N-(2-n-プロポキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-tert-ブチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-tert-ブチル-N-(4-tert-ブチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-n-ヘキシルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-n-ヘキシル-N-(4-n-オクチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-フェニル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ヘキシル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-n-ヘキシルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ヘプチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(3-ブロモフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-ヒドロキシフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-オクチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-エチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-(3-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブトキシフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジエチルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジフェニルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-クロロフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-ブロモフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-メチルアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-n-ブチルアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジエチルアミノ)フルオラン、
2-(4-n-ブチルアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-n-ブチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-(4-n-ブチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-n-ブチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-n-ブチルアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-n-ブチルアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-(4-メトキシアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジエチルアミノ)フルオラン、
2-(4-エトキシアニリノ)-3-メチル-6-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン、
2-(4-エトキシアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-(4-エトキシアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-(4-エトキシアニリノ)-3-メチル-6-(N-エチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(4-エトキシアニリノ)-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-(4-エトキシアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
6-メチル-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
7-メチル-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
6-クロロ-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
7-クロロ-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
6-エトキシ-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
7-エトキシ-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
6,7-ジクロロ-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
6,7-ジメチル-2′-(4′-クロロアニリノ)-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン
等を例示できる。
【0022】
式(Ib)で示されるフルオラン誘導体について説明する。
【化7】
(式中、
nbは、0、1又は2であり、
b1は、水素原子、又は炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、
b2は、水素原子、炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基、又は炭素数1~5の、直鎖若しくは分岐の、アルコキシ基であり、
ただし、Xb1とXb2の炭素数の合計は、4~16であり、ここでXb1又はXb2が水素原子の場合、Xb1又はXb2の示す炭素数は0であり、且つ
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基である。)
【0023】
式(Ib)で示されるフルオラン誘導体を適用した本発に用いられる明可逆熱変色性組成物は、発色状態の濃度と消色状態の濃度差が大きい、即ち、発色状態と消色状態のコントラストに優れるものである。さらに、可逆熱変色性組成物は、繰り返し温度変化させても、高温側変色点(完全消色温度)以上の温度域で消色状態となり、低温側変色点(完全発色温度)以下の温度域で発色状態となる可逆熱変色機能を損ない難く、また、繰り返し使用しても発色状態の濃度と消色状態の濃度が変化し難いものである。
【0024】
b1に関して、
炭素数1~10の、直鎖又は分岐の、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等を例示できる。
b1としては、発色状態で高い濃度を示し易くなることから、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等の炭素数2~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基が好ましい。
【0025】
b2に関して、
炭素数1~6の、直鎖又は分岐の、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等を、
炭素数1~5の、直鎖又は分岐の、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基等を、それぞれ例示できる。
b2としては、発色状態で高い濃度を示し易くなることから、水素原子、又は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等の炭素数1~6の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基が好ましい。
【0026】
に関して、
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を、
炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を、それぞれ例示できる。
に関して、発色状態と消色状態のコントラストに優れることから、nbが0であること(つまり、非置換である)、又は、nbが1であり、且つYが、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であることが好ましく、nbが0であること、又は、nbが1であり、且つYがハロゲン原子であることがより好ましい。
【0027】
式(Ib)で示されるフルオラン誘導体として、発色状態と消色状態のコントラストに優れた可逆熱変色性組成物を得られ易くなることから、Xb1は、水素原子、又は炭素数1~10の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であり、Xb2は、炭素数1~6の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、Xb1とXb2の炭素数の合計が4~16であり、nbは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であるフルオラン誘導体が好ましく、上記構造のフルオラン誘導体において、消色状態での残色が低くなり易いことから、Xb1とXb2の炭素数の合計は4~12であることが好ましく、5~11であることがより好ましい。
さらに、Xb1は、炭素数1~10の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、Xb2は、炭素数1~6の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、Xb1とXb2炭素数の合計が4~16であり、nbは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であるフルオラン誘導体がより好ましく、上記構造のフルオラン誘導体において、Xb1とXb2の炭素数の合計は4~12であることが好ましく、5~11であることがより好ましい。
さらに、Xb1は、炭素数2~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、Xb2は、炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、Xb1とXb2の炭素数の合計が4~12であり、nbは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であるフルオラン誘導体がさらに好ましく、上記構造のフルオラン誘導体において、Xb1とXb2の炭素数の合計は5~11であることが好ましく、6~9であることがより好ましい。
【0028】
本発明に適用されるフルオラン誘導体として、式(Ib)において、Xb1は、炭素数2~8の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、Xb2は、炭素数1~4の、直鎖又は分岐の、アルキル基であり、Xb1とXb2の炭素数の合計が6~9であり、nbは、0、1又は2であり、Yは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~4の、直鎖若しくは分岐の、アルキル基であるフルオラン誘導体が最も好適に用いられる。
【0029】
本発明に適用される式(Ib)で示されるフルオラン誘導体としては、例えば、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-フェニルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-フェニル-N-n-ヘキシルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-フェニル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-デシル-N-フェニルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-ブチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-ヘキシル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-オクチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-デシル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-エチルフェニル)-N-n-ブチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-エチルフェニル)-N-n-ヘキシルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-エチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-デシル-N-(4-エチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(4-n-ブチルフェニルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(4-tert-ブチルフェニルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-ブチル-N-(4-n-ブチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-ブチル-N-(4-tert-ブチルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-n-ヘキシルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-n-ヘキシルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-n-デシルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-n-デシルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(4-n-ヘキシルフェニルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-ブチル-N-(4-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-ヘキシル-N-(4-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ヘキシルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-デシル-N-(4-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-ブチル-N-(4-メトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-ヘキシル-N-(4-メトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-メトキシフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-デシル-N-(4-メトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-エトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-ブチル-N-(4-エトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-エトキシフェニル)-N-n-ヘキシルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-エトキシフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-n-デシル-N-(4-エトキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-エチル-N-(4-イソプロポキシフェニル)アミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(4-n-ブトキシフェニルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブトキシフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブトキシフェニル)-N-n-ブチルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブトキシフェニル)-N-n-ヘキシルアミノ〕フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブトキシフェニル)-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブトキシフェニル)-N-n-デシルアミノ〕フルオラン、
6-メチル-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
7-メチル-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
6-n-ブチル-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
7-n-ブチル-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
6-クロロ-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
7-クロロ-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン、
6-メチル-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-n-ブチル-N-(4′-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フルオラン、
7-メチル-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-n-ブチル-N-(4′-n-ヘキシルフェニル)アミノ〕フルオラン、
6,7-ジクロロ-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-エチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン、
6,7-ジメチル-2′-アニリノ-3′-メチル-6′-〔N-(4′-エチルフェニル)-N-n-オクチルアミノ〕フルオラン
等を例示できる。
【0030】
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、及び電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。上記の(ロ)成分の中でも、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0031】
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、無機酸類等が挙げられる。カルボン酸及びその誘導体としては、芳香族カルボン酸及びその誘導体、又は、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びその誘導体が好ましい。
【0032】
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、ハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
【0033】
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、無機塩類等が挙げられる。
【0034】
上記の(ロ)成分の中でも、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
【0035】
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物及びトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0036】
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等を例示できる。
【0037】
以下に(ロ)成分の化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、
チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等を例示できる。
【0038】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物としては、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、
カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等を例示できる。
【0039】
さらにビスフェノール化合物としては、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロぺニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等を例示できる。
【0040】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物としては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等を例示できる。
【0041】
さらにトリスフェノール化合物としては、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等を例示できる。
【0042】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物としては、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
α,α′,4α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
3,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)カテコール、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
ビス〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕、
〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔α-メチル-(4-ヒドロキシフェニル)ベンジル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチルカテコール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス〔3-(α,α-ビス(2,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5ーシクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等を例示できる。
【0043】
カルボン酸及びその誘導体としては、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
4-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等を例示できる。
【0044】
酸性リン酸エステル化合物としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等を例示できる。
【0045】
(ロ)成分として、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、又は1,2,3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0046】
上記の電子受容性化合物は、本発明の、電子供与性呈色性有機化合物として特定構造のフルオラン誘導体を適用した可逆熱変色性組成物だけでなく、従来公知のフタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等の電子供与性呈色性有機化合物を適用した可逆熱変色性組成物にも適用できる。
フタリド化合物としては、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
上記のフタリド化合物の中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物及びその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0047】
従来公知の電子供与性呈色性有機化合物としては、例えば、
3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-N-メチルアニリノ-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を例示できる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共に、ラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、塩素原子等のハロゲン原子)を有する青色又は黒色を呈する化合物等であってもよい。
【0048】
(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
本発明の可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0049】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0050】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
【0051】
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝若しくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
上記のエステル化合物としては、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
【0052】
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等を例示できる。
【0053】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
上記の脂肪酸エステル化合物としては、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
【0054】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
【0055】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
【0056】
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
【0057】
また、(ハ)成分として下記式(1)で示される化合物であってもよい。
【化8】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X及びXのいずれか一方は-(CHOCOR又は-(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、r及びpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す。〕
式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好ましい。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物である。
【化9】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。)
式(2)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
【0058】
さらに、(ハ)成分として下記式(3)で示される化合物であってもよい。
【化10】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(3)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等を例示できる。
【0059】
さらに、(ハ)成分として下記式(4)で示される化合物であってもよい。
【化11】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(4)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
【0060】
さらに、(ハ)成分として下記式(5)で示される化合物であってもよい。
【化12】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(5)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0061】
さらに、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
【化13】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(6)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
【0062】
さらに、(ハ)成分として下記式(7)で示される化合物であってもよい。
【化14】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
式(7)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等を例示できる。
【0063】
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
【化15】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基又は炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(8)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
【0064】
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
【化16】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
式(9)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
【0065】
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
【化17】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(10)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
【0066】
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
【化18】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基又は炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(11)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
【0067】
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
【化19】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す。)
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0068】
また、電子受容性化合物として没食子酸エステル(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)等を用いた加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を適用することもできる(図3参照)。
【0069】
本発明の可逆熱変色性組成物は、上記の(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
【0070】
さらに、可逆熱変色性組成物には、必要により各種光安定剤を配合しても良い。
光安定剤は、(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3~24質量%、好ましくは0.3~16質量%の割合で配合される。また、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。また、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
光安定剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0071】
光安定剤のうち紫外吸収収剤としては、例えば、
2,4-ヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′-テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、
2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、
ビス-(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)-メタン、
2-(3′,5′-ジ-tert-アミル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン、
4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-オクタデシルオキシベンゾフェノン、
2,2′-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、
2-(3′,5′-ジ-tert-アミル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン
等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
サリチル酸フェニル、
サリチル酸4-tert-ブチルフェニル、
サリチル酸4-オクチルフェニル、
2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-4-ヒドロキシベンゾエート、
1-ヒドロキシベンゾエート、
3-tert-ブチル-1-ヒドロキシベンゾエート、
1-ヒドロキシ-3-tert-オクチルベンゾエート、
レゾルシノールモノベンゾエート
等のサリチル酸系紫外線吸収剤、
2-エチル-2-シアノ-3,3′-ジフェニルアクリレート、
2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3′-ジフェニルアクリレート、
2-エチルヘキシル-2-シアノ-3-フェニルシンナート
等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、
2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-〔3,5-ビス(a,a-ジメチルベンジル)-2-ヒドロキシフェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
β-〔3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸-ポリエチレングリコール300エステル、
2-(3-ドデシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
ビス{β-〔3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル〕}プロピオン酸-ポリエチレングリコール300エステル、
2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル-5-プロピルオクチレート)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-〔2-ヒドロキシフェニル-3,5-ジ-(1,1′-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、
2-(3-tert-ブチル-5-オクチルオキシカルボニルエチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-5-テトラオクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-4-オクトオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-〔2′-ヒドロキシ-3′-(3″,4″,5″,6″-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5′-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、
2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
エタンジアミド-N-(2-エトキシフェニル)-N′-(4-イソドデシルフェニル)、
2,2,4,4-テトラメチル-20-(β-ラウリル-オキシカルボニル)-エチル-7-オキサ-3,20-ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸-21-オン
等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ペントキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-〔2-ヒドロキシ-4-(2-ブトキシエトキシ)フェニル〕-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ペントキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-〔2-ヒドロキシ-4-(2-ヘキシルオキシエトキシ)フェニル〕-1,3,5-トリアジン、
2-{4-〔(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ〕-2-ヒドロキシフェニル}-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-{4-〔(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ〕-2-ヒドロキシフェニル}-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-[4-{〔2-ヒドロキシ-3-(2′-エチル)ヘキシル〕オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-〔2,4-ビス(ブチルオキシフェニル)〕-1,3,5-トリアジン、
2-{2-ヒドロキシ-4-〔(1-オクチルオキシカルボニルエトキシ)フェニル〕}-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン
等のトリアジン系紫外線吸収剤等を例示できる。
【0072】
酸化防止剤(老化防止剤)としては、例えば、
コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、
ポリ{〔6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2-4-ジイル〕〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕}ヘキサメチレン、
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタペチル-4-ピペリジル)、
N,N′-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス〔N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタペチル-4-ピペリジル)アミノ〕-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバシン酸)、
4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、
8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオン
等のヒンダードアミン系酸化防止剤、
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、
2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、
オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
2,2-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
4,4-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
2,2-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-〔β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}、
2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、
2,2-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、
ビス〔3,3-ビス-(4′-ヒドロキシ-3′-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕-グリコールエステル、
1,3,5-トリス(3′,5′-ジ-tert-ブチル-4′-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-[1H,3H,5H]-トリオン、
トコフェノール、
1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、
ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、
トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
1,6-ヘキサジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
2,2-チオエチレンビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
N,N′-ヘキサメチレンビス(3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、
トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
2,2,4-トリメチル-1,2-ハイドロキノン、
スチレートフェノール、
2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
等のフェノール系酸化防止剤、
ジラウリル-3,3′-チオジプロピオネート、
ジミリスチル-3,3′-チオジプロピオネート、
ジステアリル-3,3′-チオジプロピオネート、
ステアリルチオプロピルアミド
等の硫黄系酸化防止剤、
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、
ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスファネート-ジエチルエステル、
トリフェニルホスファイト、
ジフェニルイソデシルホスファイト、
フェニルイソデシルホスファイト、
4,4′-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、
オクタデシルホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、
9,10-ジヒドロキシ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、
10-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロキシ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、
10-デシロキシ-9,10-ジヒドロキシ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、
サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、
サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、
2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、
2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、
オクチル化ジフェニルアミン
等のリン酸系酸化防止剤
等を例示できる。
【0073】
一重項酸素消光剤としては、カロチン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等が挙げられ、例えば、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、β-カロチン、1,3-シクロヘキサジエン、2-ジエチルアミノメチルフラン、2-フェニルアミノメチルフラン、9-ジエチルアミノメチルアントラセン、5-ジエチルアミノメチル-6-フェニル-3,4-ジヒドロキシピラン、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニッケル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-O-エチルホスホナート、ニッケル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-O-ブチルホスホナート、ニッケル〔2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕n-ブチルアミン、ニッケル〔2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕2-エチルヘキシルアミン、ニッケルビス〔2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕、ニッケルビス〔2,2′-スルホンビス(4-オクチルフェノラート)〕、ニッケルビス(2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル-N-n-ブチルアルドイミン)、ニッケルビス(ジチオベンジル)、ニッケルビス(ジチオビアセチル)等を例示できる。
【0074】
スーパーオキシドアニオン消光剤としては、例えば、スーパーオキシドジスムターゼとコバルト、及びニッケルの錯体等を例示できる。
【0075】
オゾン消光剤としては、例えば、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、N-フェニル-β-ナフチルアミン、α-トコフェロール、4,4′-メチレン-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、P,P′-ジアミノジフェニルメタン、2,2′-メチレン-ビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、N,N′-ジフェニル-P-フェニレンジアミン、N,N′-ジフェニルエチレンジアミン、N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン等を例示できる。
【0076】
本発明の可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」又は「顔料」と表すことがある)を形成したり、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に分散させて可逆熱変色性樹脂粒子(以下、「樹脂粒子」と表すことがある)を形成することもできる。
可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料とすることが好ましい。これは、マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
なお、マイクロカプセル化は、従来公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、内包物:壁膜の質量比が7:1~1:1であることが好ましく、内包物と壁膜の質量比が上記の範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下が防止される。より好ましくは、内包物:壁膜の質量比が6:1~1:1である。
【0077】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01~50μm、より好ましくは0.1~30μm、さらに好ましくは0.5~20μmの範囲である。マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、インキ、塗料、或いは樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。一方、マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
なお、平均粒子径の測定は、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア〔(株)マウンテック製、製品名:マックビュー〕にて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製、製品名:Multisizer 4e〕にて、コールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、上記のソフトウェア又はコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にして、キャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製、製品名:LA-300〕にて、体積基準の粒子径及び平均粒子径を測定しても良い。
【0078】
可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤は、水及び/又は有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散させてインキ組成物(以下、「インキ」と表すことがある)とすることで、マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具用インキ等の可逆熱変色性液状組成物として利用できる。
本発明による熱変色性筆記具(以下、「筆記具」と表すことがある)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる筆記具用インキを収容してなる。
【0079】
可逆熱変色性液状組成物には各種添加剤を配合することができる。
添加剤としては、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
【0080】
筆記具用インキに用いられる筆記具用ビヒクルとしては、有機溶剤を含む油性ビヒクル、或いは、水と、必要により有機溶剤を含む水性ビヒクルが挙げられる。好ましくは、本発明に用いられる筆記具用ビヒクルは、水性ビヒクルである。
有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等を例示できる。
【0081】
筆記具用インキとしては、ビヒクル中に剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、ビヒクル中に高分子凝集剤を含み、マイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキが挙げられる。
【0082】
ビヒクル中に剪断減粘性付与剤を含むインキ(剪断減粘性インキ)は、マイクロカプセル顔料の凝集や沈降を抑制できると共に、筆跡の滲みを抑制できるため、良好な筆跡を形成することができる。
さらに、剪断減粘性インキをボールペン形態の筆記具に収容する場合、筆記具の不使用時における、ボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
【0083】
剪断減粘性付与剤としては、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万~800万)、アルカガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノニンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類、N-アルキル-2-ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物等を例示できる。
【0084】
ビヒクル中に高分子凝集剤を含むインキ(凝集性インキ)は、マイクロカプセル顔料が高分子凝集剤を介して緩やかな凝集体を形成し、マイクロカプセル顔料同士が接触して凝集することが抑制されるため、顔料の分散性を向上させることができる。
【0085】
高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられる。
水溶性多糖類としては、例えば、トラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等を例示できる。
さらに、水溶性セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を例示できる。
上記の高分子凝集剤の中でも、分散性に優れることから、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0086】
高分子凝集剤として具体的には、住友精化(株)製、製品名:HEC Aグレード、同Sグレード、同CFグレード、ダイセルファイケム(株)製、製品名:HECダイセル SPタイプ、同SEタイプ、同EEタイプ、ダウケミカル日本(株)製、製品名:CELLOSIZE WPタイプ、同QPタイプ、同EPタイプ、三晶(株)製、製品名:SANHEC等を例示できる。
高分子凝集剤はインキ全量に対して、好ましくは0.1~1質量%、より好ましくは0.3~0.5質量%の範囲で配合される。上記の範囲にあることにより、マイクロカプセル顔料が緩やかな凝集体を形成し、顔料の分散性を向上させる効果を十分に発現させることができる。
【0087】
さらに、インキには、分散剤を配合することによりマイクロカプセル顔料の分散性を高めることができる。
また、高分子凝集剤と分散剤を併用することもでき、両者を併用する場合、マイクロカプセル顔料の分散性を向上させることができると共に、高分子凝集剤を介して形成されるマイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性をよりいっそう向上させることができる。
【0088】
分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン-マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース及びその誘導体、スチレン-アクリル酸共重合体等の合成樹脂、アクリル系高分子、PO・EO付加物、ポリエステルのアミン系オリゴマー等を例示できる。
上記の分散剤の中でも、マイクロカプセル顔料の分散性に優れることから、アクリル系高分子分散剤が好ましく、カルボキシル基を有するアクリル系高分子分散剤がより好ましく、側鎖にカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤がさらに好ましい。
分散剤として特に好ましくは、側鎖に複数のカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤であり、具体的には、日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000を例示できる。
分散剤は、インキ全量に対して、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.1~1.5質量%の範囲で配合される。分散剤の配合割合が2質量%を超えると、外部から振動等が加わった際にマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上し易くなる。一方、分散剤の配合割合が0.01質量%未満では、分散性向上の効果が発現され難くなる。
【0089】
また、高分子凝集剤と共に、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤と有機窒素硫黄化合物を併用することにより、高分子凝集剤を介して形成されるマイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性を向上させることができる。
有機窒素硫黄化合物は、マイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体を、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤によって分散させる分散性をより向上させるため、インキを筆記具に収容して実用に供する際、振動によるマイクロカプセル顔料の沈降をよりいっそう抑制することができる。
【0090】
有機窒素硫黄化合物としては、チアゾール系化合物、イソチアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイソチアゾール系化合物から選ばれる化合物が挙げられ、例えば、2-(4-チアゾイル)-ベンズイミダゾール(TBZ)、2-(チオシアネートメチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール(TCMTB)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等から選ばれる一種又は二種以上の化合物を例示できる。
上記の有機窒素硫黄化合物の中でも、2-(4-チアゾイル)-ベンズイミダゾール(TBZ)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンから選ばれる一種又は二種以上の化合物が好ましい。
有機窒素硫黄化合物として具体的には、(株)パーマケム・アジア製、製品名:トップサイド88、同133、同170、同220、同288、同300、同400、同500、同600、同700Z、同800、同950、北興産業(株)製、製品名:ホクスターHP、同E50A、ホクサイドP200、同6500、同7400、同MC、同369、同R-150等を例示できる。
なお、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤:有機窒素硫黄化合物の質量比は、好ましくは1:1~1:10、より好ましくは1:1~1:5である。上記の範囲にあることにより、マイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性、及び、振動によるマイクロカプセル顔料の沈降を抑制する効果を十分に発現させることができる。
【0091】
さらに、インキ中には、水溶性樹脂を配合することにより筆跡の紙面への固着性や粘性を付与できると共に、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤と有機窒素硫黄化合物を含むインキ中での、マイクロカプセル顔料の分散性を高める機能をいっそう向上させることができる。
【0092】
水溶性樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等を例示できる。
上記の水溶性樹脂の中でも、ポリビニルアルコールが好ましく、さらに、インキが酸性域でも可溶性に富むことから、けん化度が70~89モル%の部分けん化度型ポリビニルアルコールがより好ましい。
水溶性樹脂は、インキ全量に対して、好ましくは0.3~3.0質量%、より好ましくは0.5~1.5質量%の範囲で配合される。
【0093】
さらに、インキ中には、比重調整剤を配合することによりビヒクルの粘度が低い場合に、インキが外部から振動等の刺激を受けた際にインキ中でマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上して、局在化することを抑制することができる。
【0094】
マイクロカプセル顔料の比重は、マイクロカプセル顔料の粒子径、マイクロカプセルに内包される成分やその含有量、カプセル壁膜の成分や膜厚、及びマイクロカプセル顔料の着色状態、温度によって左右されるが、その比重は、マイクロカプセル顔料が完全着色状態であり、20℃の環境下で水を基準物質とした場合、好ましくは1.05~1.20、より好ましくは1.10~1.20、さらに好ましくは1.12~1.15の範囲である。また、ヒステリシス幅(ΔH)が大きいマイクロカプセル顔料は、分子内に芳香環を2つ以上有する(ハ)成分を用いることが多く、上記のような大きい比重を有しているが、このような顔料は、比重調整剤を配合したインキ中において、ビヒクルの粘度が低い場合でも、輸送等によって外部から振動などの影響を受けた際にインキ中でマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上することが抑制される。
なお、マイクロカプセル顔料の比重は、下記の方法により測定することができる。
【0095】
(マイクロカプセル顔料の比重測定方法)
1.スクリュー管瓶にグリセリン水溶液30mlと完全発色状態のマイクロカプセル顔料1gを投入、混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得る。
2.マイクロカプセル顔料分散液30mlを20℃に調温し、回転数1000rpm、30秒間の遠心条件で遠心分離機にかける。なお、遠心分離機としては、冷却・卓上遠心機〔(株)コクサン製、製品名:H103N〕を用いることができる。
3.マイクロカプセル顔料分散液を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半がビーカー底部に沈殿している場合、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を上げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半が液面で浮遊した状態を確認した場合は、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を下げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
上記の一連の操作は、マイクロカプセル顔料の大半が液面に浮上している、又は沈殿している状態ではなく、グリセリン水溶液の液面やスクリュー管瓶底部付近以外の部分が均一に着色している状態が目視で確認されるまで繰り返す。この状態が観察された際のグリセリン水溶液の比重を測定し、マイクロカプセル顔料の比重とする。なお、グリセリン水溶液の比重は、20℃に調温した水溶液を、JIS K0061 7.1項記載の浮ひょう法により測定することができる。
【0096】
顔料の沈降、浮上安定性は、ビヒクルと顔料との比重差が極小のときに最大となり、上記の比重調整剤は、ビヒクルの比重をマイクロカプセル顔料の比重に近づけるものである。ビヒクルの比重は、ビヒクル中に溶解させた水溶性物質の比重とその添加量に左右されるため、ビヒクル中に比重の大きい比重調整剤をより多く添加し、溶解させると、ビヒクルの比重をより大きくすることができる。
【0097】
比重調整剤としては、ビヒクルに溶解し、ビヒクルの比重がマイクロカプセル顔料の比重に近づくように調整できるものが挙げられ、例えば、原子量90~185の範囲に含まれる6族元素の酸素酸及びその塩を例示できる。
【0098】
上記の酸素酸及びその塩は、遷移金属元素の酸素酸及びその塩からなる群から選択されるものであり、その酸素酸イオンは金属原子などに酸素原子が通常4若しくは6配位した四面体又は八面体を形成してなるものといわれている。
四面体又は八面体ユニットとしては、単独のものでもよいし、それらが稜、頂点を介して結合した構造を持つポリ酸及びその塩であるポリ酸塩であってもよい。ポリ酸は金属元素の酸素酸が縮合生成した多重酸であるが、ただ一種類の金属によって構成され、縮合する陰イオンが全て同じ型のポリ酸をイソポリ酸といい、二種類以上の陰イオンが縮合したポリ酸をヘテロポリ酸という。そして、それぞれの塩をイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩という。上記ポリ酸にはイソポリ酸、ヘテロポリ酸等が、上記ポリ酸塩にはイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩等が含まれる。
【0099】
比重調整剤としては、単独の酸素酸及びその塩、イソポリ酸及びその塩、ヘテロポリ酸及びその塩等が挙げられる。
単独の酸素酸としては、例えば、モリブデン酸、タングステン酸等を例示でき、さらに単独の酸素酸の塩としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチウム、タングステン酸マグネシウム等を例示できる。
イソポリ酸としては、例えば、メタモリブデン酸、パラモリブデン酸、メタタングステン酸、パラタングステン酸、イソタングステン酸等を例示でき、さらに、イソポリ酸塩としては、メタモリブデン酸ナトリウム、メタモリブデン酸カリウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸ナトリウム、パラモリブデン酸カリウム、パラモリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム等を例示できる。
ヘテロポリ酸としては、例えば、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、タングストリン酸、タングストケイ酸等を例示でき、さらに、ヘテロポリ酸塩としては、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウム等を例示できる。
上記の酸素酸及びその塩は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0100】
上記の比重調整剤の中でも、メタタングステン酸、パラタングステン酸、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム、タングストリン酸、タングストケイ酸、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウムが好ましく、イソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウムがより好ましい。
上記のイソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、及びパラタングステン酸ナトリウムは安全性が高いだけでなくそれ自体が高比重のため、添加量に応じて高比重の液体を調整することが容易であり、好適である。
【0101】
比重調整剤は、インキ全量に対して、好ましくは2~20質量%、より好ましくは5~15質量%の範囲で配合される。比重調整剤の配合割合が20質量%を超えると、マイクロカプセル顔料が凝集し易くなる。一方、比重調整剤の配合割合が2質量%未満では、ビヒクルの比重調整効果が乏しくなる。
また、マイクロカプセル顔料:比重調整剤の質量比は、好ましくは0.05~4.0、より好ましくは0.075~2.0、さらに好ましくは0.1~1.5である。
【0102】
筆記具用ビヒクルが水性ビヒクルである場合に、ビヒクルには、少なくとも水が含まれるが、水はインキ全量に対して、好ましくは30~80質量%、より好ましくは40~70質量%の範囲で配合される。
【0103】
さらに、インキには、水溶性有機溶剤を配合することによりインキの水分蒸発を抑制し、ビヒクルの比重変動を防いでマイクロカプセル顔料の良好な分散安定性を維持すると共に、高分子凝集剤、又は、高分子凝集剤と分散剤とが形成する緩やかな凝集体の構造を安定化することができる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等を例示できる。
インキに配合するマイクロカプセル顔料のヒステリシス幅(ΔH)が大きい場合、マイクロカプセル顔料の比重は1より大きく、ビヒクルの比重を調整する際に、水より比重が大きい水溶性有機溶剤を用いると比重の調整を容易とし易いことから、水溶性有機溶剤としては、比重が1.1を超えるグリセリン等が好ましい。
【0104】
水溶性有機溶剤はインキ全量に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~25質量%の範囲で配合される。水溶性有機溶剤の配合割合が40質量%を超えると、比重調整剤の溶解安定性が低下し易くなる。一方、水溶性有機溶剤の配合割合が1質量%未満では、水分蒸発抑制効果が乏しくなる。
【0105】
また、筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、インキ中にオレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加して、ボール受け座の摩耗を防止することが好ましい。
【0106】
その他、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤或いは防黴剤等の各種添加剤を配合することもできる。
pH調整剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等を例示できる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等を例示できる。
防腐剤或いは防黴剤としては、例えば、石炭酸、1,2-ベンズチアゾリン-3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等を例示できる。
その他の添加剤としては、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0107】
上記のインキ中には、インキ全量に対して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%の範囲で配合される。マイクロカプセル顔料の配合割合が上記の範囲にあることにより、所望の発色濃度が得られると共にインキ流出性の低下を防止することができる。
【0108】
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、上記した各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、又はホモミキサー等の各種撹拌機やビーズミル等の各種分散機などにて混合し、製造することができる。
【0109】
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転数3.84sec-1の条件で測定した場合、マイクロカプセル顔料の沈降又は凝集を抑制できることから、好ましくは1~2000mPa・s、より好ましくは3~1500mPa・s、さらに好ましくは500~1000mPa・sの範囲である。また、20℃の環境下において、回転数384sec-1の条件で測定した場合、ボールペンのペン先からのインキ吐出性を良好とすることができることから、粘度は、好ましくは1~200mPa・s、より好ましくは10~100mPa・s、さらに好ましくは20~50mPa・sの範囲である。
粘度が上記の範囲にあることにより、マイクロカプセル顔料の分散安定性や、ボールペンの機構内におけるインキの易流動性を高いレベルで維持することができる。
なお、粘度は、デジタル粘度計〔ブルックフィールド社製、製品名:DV-II、コーン型ローター(CPE-42)〕にて、インキを20℃の環境下に置いて、剪断速度3.84sec-1(1rpm)、又は、剪断速度384sec-1(100rpm)の条件で測定することができる。
【0110】
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、好ましくは20~50mN/m、より好ましくは25~45mN/mの範囲である。表面張力が上記の範囲にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキの紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器〔協和界面科学(株)製、製品名:DY-300〕にて、インキを20℃の環境下に置いて、白金プレートを用いて垂直平板法により測定することができる。
【0111】
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、そのpHは、好ましくは3~10、より好ましくは4~9の範囲である。pHが上記の範囲にあることにより、インキ中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集又は沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S型〕にて、インキを20℃の環境下に置いて測定することができる。
【0112】
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転数6rpmの条件で測定した場合、好ましくは3~25mPa・s、より好ましくは4~20mPa・s、さらに好ましくは5~15mPa・sの範囲である。また、回転数12rpmの条件で測定した場合、好ましくは2~20mPa・s、より好ましくは3~15mPa・s、さらに好ましくは4~15mPa・sの範囲である。回転数30rpmの条件で測定した場合、好ましくは1~20mPa・s、より好ましくは2~15mPa・s、さらに好ましくは3~10mPa・sの範囲である。粘度が上記の範囲にあることにより、インキの流動性とマイクロカプセル顔料の分散安定性を向上させることができる。
なお、粘度は、BL型回転粘度計〔東機産業(株)製、製品名:TVB-M型粘度計、B型ローター〕にて、インキを20℃の環境下に置いて、測定することができる。
【0113】
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、好ましくは25~50mN/m、より好ましくは25~45mN、さらに好ましくは35~45mN/mの範囲である。表面張力が上記の範囲内にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキの紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器〔協和界面科学(株)製、製品名:DY-300〕にて、インキを20℃環境下に置いて、ガラスプレートを用いて垂直平板法により測定することができる。
【0114】
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、そのpHは、好ましくは3~8、より好ましくは4~7、さらに好ましくは5~6の範囲である。pHが上記の範囲にあることにより、インキ中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集又は沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S型〕にて、インキを20℃の環境下に置いて測定することができる。
【0115】
本発明による筆記具用インキを収容した筆記具は、筆記具用インキ全量中に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が5~40質量%の範囲で配合されてなり、20℃において、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際の筆記具のインキ消費量が60~280mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上であることが好ましい。
【0116】
マイクロカプセル顔料の配合割合が40質量%を超えると、インキ流出性が低下し易く、また、紙面上のマイクロカプセル顔料の堆積量が過度となり、発色状態の筆跡を消去又は変色させるためにより多くの熱が必要となるため、筆跡を擦過して消去又は変色させる際に手への負担を伴い易くなる。一方、マイクロカプセル顔料の配合割合が5質量%未満では、所望の発色濃度が得られ難くなる。
【0117】
また、50m筆記した際の筆記具のインキ消費量、即ち、「単位長さ当たりの筆記具のインキ消費量」は、筆記前の筆記具の質量(W1)と、一定距離筆記した後の筆記具の質量(W2)の差(W1-W2)によって求められる。
50m筆記した際の筆記具のインキ消費量が280mgを超えると、紙面上のマイクロカプセル顔料の堆積量が過度となり、発色状態の筆跡を消去又は変色させるためにより多くの熱が必要となるため、筆跡を擦過して消去又は変色させる際に手への負担を伴い易くなり、また、筆跡に滲みなどの筆跡不良を生じ易くなる。一方、インキ消費量が60mg未満では、筆記具の筆跡濃度が低くなり易く、また、筆跡にカスレなどの筆跡不良を生じ易くなる。
【0118】
本発明による筆記具の「単位長さ当たりの筆記具のインキ消費量」は、JIS S6054又はJIS S6037に準拠した自動筆記試験機にて、20℃の環境下において、下記の条件で、旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aに筆記することにより測定することができる。
筆記速度:4m/min
筆記角度:70°
筆記荷重:100gf
なお、チゼル型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンは、ペン体の幅広面を紙面に密着させて筆記角度を70°に保持させることにより測定する。
【0119】
また、発色状態の筆跡の濃度値を消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cは、蛍光分光濃度計にて、各状態の筆跡のK値を測定することによって求められる。
一般的に、筆記具は、筆跡の視認性を向上させるために筆跡濃度が高いことが好ましく、さらに、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有する筆記具用インキを収容した筆記具においては、擦過などの熱により消去した後の筆跡の残色(色残り)が視認され難いことが実用性を満たす。
Cは、消色状態の筆跡に対する発色状態の筆跡の濃度の程度、即ち、発色状態と消色状態のコントラストを表すものであり、消色状態の筆跡の濃度値が低いほどCの値は増大する。
Cが20以上の場合、発色状態の筆跡の濃度が高いと共に、消色状態の筆跡の濃度が低く、発色状態と消色状態のコントラストが良好であるため、筆跡が発色状態において発色良好であり、筆跡を消去した後の消色状態における残色が視認され難い、実用性を満たす筆記具とすることができる。一方、Cが20未満の筆記具は、消色状態の筆跡の濃度が高く、発色状態と消色状態のコントラストに乏しく、筆跡を消去した後の筆跡の残色が視認され易いものであり、筆記具としての実用性を損ない易い。
なお、筆跡の濃度値(K値)は、蛍光分光濃度計〔コニカミノルタ(株)製、製品名:FD-7型〕を用いて測定することができる。
【0120】
上記の筆記具用インキを収容するボールペン、マーキングペン等の筆記具について説明する。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に剪断減粘性インキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したボールペンチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
ボールペンチップとしては、例えば、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、上記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を例示できる。
なお、ボールペンチップ及びボールの材質としては特に限定されるものではなく、例えば、超硬合金(超硬)、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等を例示できる。
ボールの直径は、好ましくは0.3~2.0mm、より好ましくは0.3~1.5mm、さらに好ましくは0.3~1.0mm径程度のものが適用できる。
一般的に、直径の小さいボールを備えたボールペンはインキ消費量が少なく、筆跡濃度が低くなり易く、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有する筆記具用インキを収容したボールペンでは、高い筆跡濃度が得られ難い傾向にある。さらに、ボール表面のインキ量が少ないため、ボール表面が乾燥(ドライアップ)して、カスレなどの筆跡不良を生じ易く、特に、筆跡濃度を向上させる目的でインキ中のマイクロカプセル顔料の配合割合を増やしインキ中の固形分率を高くすると、耐ドライアップ性能が低下し易い傾向にある。しかしながら、本発明による筆記具用インキは、直径が0.3~0.5mmであるボールを備えたボールペンに用いた場合に、顔料の固形分率を増やすことなく筆跡濃度を高くすることができ、耐ドライアップ性能を損なうことなく筆跡濃度を向上させると共に、発色状態と消色状態のコントラストに優れた筆記具とすることができる。
また、一般的に、直径の大きいボールペンはインキ消費量が多く、筆跡濃度は高くなり易く、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有する筆記具用インキを収容したボールペンでは、高い筆跡濃度が得られるものの、筆跡を消色させた際の残色が視認され易い傾向にある。しかしながら、本発明による筆記具用インキは、直径が0.5~1.0mmであるボールを備えたボールペンに用いた場合に、筆跡の消色状態における残色を視認され難くすることができ、発色状態と消色状態のコントラストに優れた筆記具とすることができる。
【0121】
インキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体、金属製管状体が用いられる。
インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介してインキ収容管とチップを連結してもよい。
なお、インキ収容管はレフィルの形態として、レフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0122】
また、インキを出没式のボールペンに収容する場合、出没式ボールペンの構造、形状は特に限定されるものではなく、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。
出没機構としては、例えば、(1)軸筒の後部側壁より前後方向に移動可能な操作部(クリップ)を径方向外方に突設させ、操作部を前方にスライド操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドスライド式の出没機構、(2)軸筒後端に設けた操作部を前方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる後端ノック式の出没機構、(3)軸筒側壁外面より突出する操作部を径方向内方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドノック式の出没機構、(4)軸筒後部の操作部を回転操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる回転式の出没機構等を例示できる。
出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
【0123】
インキ収容管に充填したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。
インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなり、例えば、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等を例示できる。
インキ逆流防止体組成物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0124】
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を例示できる。
さらに、上記の液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体組成物を併用して用いてもよい。
【0125】
本発明による筆記具用インキを収容したボールペンは、発色状態の筆跡濃度が高く、消色状態の筆跡濃度が低く、発色状態と消色状態のコントラストが良好であると共に、発色状態の筆跡の消去又は変色をいっそう容易に行うことができることから、筆記具用インキ全量中に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が10~35質量%の範囲で配合され、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際のインキ消費量が70~210mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上であることが好ましい。さらに、消色状態の筆跡濃度がより低く、発色状態と消色状態のコントラストがよりいっそう良好であることから、筆記具用インキ全量中に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が10~35質量%の範囲で配合され、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際のインキ消費量が80~190mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが25以上であることがより好ましく、筆記具用インキ全量中に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が10~35質量%の範囲で配合され、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際のインキ消費量が90~170mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが25以上であることがさらに好ましい。
【0126】
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるマーキングペンチップを直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、インキ吸蔵体とチップが連結されてなるマーキングペンのインキ吸蔵体に凝集性インキを含浸させたマーキングペンや、チップの押圧により開放する弁体を介してチップとインキ収容管とを配置し、該インキ収容管内にインキを直接収容させたマーキングペン等を例示できる。
【0127】
マーキングペンチップとしては、例えば、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材を例示でき、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
【0128】
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
【0129】
また、弁体は、従来より汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0130】
本発明による筆記具用インキを収容したマーキングペンは、発色状態の筆跡濃度が高く、消色状態の筆跡濃度が低く、発色状態と消色状態のコントラストが良好であると共に、発色状態の筆跡の消去又は変色をいっそう容易に行うことができることから、筆記具用インキ全量中に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が10~30質量%の範囲で配合され、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際のインキ消費量が100~260mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上であることが好ましい。さらに、消色状態の筆跡濃度がより低く、発色状態と消色状態のコントラストがよりいっそう良好であることから、筆記具用インキ全量中に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が10~30質量%の範囲で配合され、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際のインキ消費量が120~250mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが21.5以上であることがより好ましい。
【0131】
さらに、上記のボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のチップを装着させたり、相異なる色のインキを導出させるペン先を装着させた複合式筆記具(両頭式やペン先操出式等)であってもよい。
【0132】
上記の筆記具用インキを収容した筆記具を用いて、被筆記面に筆記して得られる筆跡は、指による擦過や、加熱具又は冷却具により変色させることができる。
加熱具としては、PTC素子等の抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等の媒体を充填した加熱変色具、スチームやレーザー光を用いた加熱変色具、ヘアドライヤーの適用等が挙げられる。簡便な方法により変色させることができることから、好ましくは摩擦部材が用いられる。
冷却具としては、ペルチエ素子を利用した通電冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、畜冷剤、冷蔵庫や冷凍庫の適用等が挙げられる。
【0133】
摩擦部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
なお、鉛筆による筆跡を消去するための一般的な消しゴムを使用して、筆跡を擦過してもよいが、擦過時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない上記の摩擦部材が好適に用いられる。
摩擦部材の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂等を例示できる。
【0134】
また、筆記具と、筆記具とは別体の任意形状の摩擦部材(摩擦体)とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできるが、上記の摩擦部材を筆記具に設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。
キャップを備える筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けることができる。
出没式の筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部に摩擦部材を設けることができる。
【実施例
【0135】
以下に実施例を示す。なお、実施例中の部は質量部を示す。
【0136】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aの調製
(イ)成分として2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-(N-n-ヘキシル-N-p-トリルアミノ)フルオラン6部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン6部と、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10部と、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とからなる可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。マイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が1.9μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを得た。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aは完全発色温度tが-18℃、完全消色温度tが64℃であり、温度変化により黒色から無色に可逆的に変化した。
【0137】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bの調製
(イ)成分として2-(4-クロロアニリノ)-3-メチル-6-〔N-(4-n-ブチルフェニル)-N-エチルアミノ〕フルオラン6部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン6部と、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10部と、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とからなる可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。マイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が2.1μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを得た。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bは完全発色温度tが-18℃、完全消色温度tが63℃であり、温度変化により黒色から無色に可逆的に変化した。
【0138】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cの調製
(イ)成分として2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-ヘキシル-N-p-トリルアミノ)フルオラン6部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン6部と、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10部と、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とからなる可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。マイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が2.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを得た。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cは完全発色温度tが-18℃、完全消色温度tが64℃であり、温度変化により黒色から無色に可逆的に変化した。
【0139】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dの調製
(イ)成分として2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-オクチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン6部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン6部と、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10部と、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とからなる可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。マイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が1.9μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを得た。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dは完全発色温度tが-18℃、完全消色温度tが64℃であり、温度変化により黒色から無色に可逆的に変化した。
【0140】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eの調製
(イ)成分として2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン6部と、(ロ)成分として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン6部と、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10部と、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部とからなる可逆熱変色性組成物を、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー35部と、助溶剤40部とからなる混合溶液に投入した後、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、さらに攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。マイクロカプセル分散液から遠心分離法により、平均粒子径が2.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eを得た。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eは完全発色温度tが-17℃、完全消色温度tが64℃であり、温度変化により黒色から無色に可逆的に変化した。
【0141】
実施例1
筆記具用水性インキの調製
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-18℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)25部と、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.3部と、尿素10部と、グリセリン10部と、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)製、製品名:ノプコSW-WET-366〕0.5部と、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、製品名:ノプコ8034〕0.1部と、リン酸エステル系界面活性剤〔第一工業製薬工業(株)製、製品名:プライサーフAL〕0.5部と、pH調整剤(トリエタノールアミン)0.5部と、防黴剤〔ロンザジャパン(株)製、製品名:プロキセルXL-2〕0.2部と、水52.9部とを混合して、筆記具用水性インキを調製した。
【0142】
ボールペンの作製
上記の水性インキをポリプロピレン製パイプからなるインキ収容管に吸引充填した後、樹脂製ホルダーを介して、直径0.3mmの超硬製のボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。次いで、インキ収容管の後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、さらに尾栓をパイプの後部に嵌合させ、遠心分離により脱気処理を行い、ボールペンレフィルを得た。
次いで、上記のレフィルを軸筒内に組み込み、ボールペン(出没式ボールペン)を作製した。
上記のボールペンは、ボールペンレフィルに設けられたチップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒の後部側壁に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部からチップが突出する構造である。なお、軸筒後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0143】
以下の表1~5に、実施例1~20、及び、比較例1~10の各水性インキの組成、及び、ボールペンのボールの直径を示した。
なお、実施例2~20、及び、比較例1~10の各水性インキは、実施例1に対して、配合する材料の種類や配合量を表1~5の通り変更して調製した。また、ボールペンは、実施例1に対して使用するボールの直径を表1~5の通り変更して作製した。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
【0148】
【表5】
【0149】
表1~5中の材料の内容を注番号に沿って説明する。
(1)剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)
(2)ノニオン系浸透性付与剤
〔サンノプコ(株)製、製品名:ノプコSW-WET-366〕
(3)変性シリコーン系消泡剤
〔サンノプコ(株)製、製品名:ノプコ8034〕
(4)リン酸エステル系界面活性剤
〔第一工業製薬工業(株)製、製品名:プライサーフAL〕
(5)pH調整剤(トリエタノールアミン)
(6)防黴剤
〔ロンザジャパン(株)製、製品名:プロキセルXL-2〕
【0150】
実施例21
筆記具用水性インキの調製
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-18℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)23部と、高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース)〔ダウケミカル日本(株)製、製品名:CELLOSIZE WP-09〕0.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.2部と、有機窒素硫黄化合物(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物)〔北興化学工業(株)製、製品名:ホクサイドR-150〕1部と、ポリビニルアルコール0.5部と、グリセリン25部と、消泡剤0.02部と、水49.78部とを混合して、筆記具用水性インキを調製した。
【0151】
マーキングペンの作製
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に上記の水性インキを含侵させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、樹脂製ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維からなる樹脂加工ペン体(砲弾型)を接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを作製した。なお、キャップの頂部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0152】
実施例22
筆記具用水性インキの調製
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-18℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)20部と、高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース)〔ダウケミカル日本(株)製、製品名:CELLOSIZE WP-09〕0.4部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.4部と、防腐剤A(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕0.2部と、防腐剤B(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕0.2部と、グリセリン18部と、消泡剤0.2部と、pH調整剤(10%希釈リン酸溶液)0.05部と、水53.55部とを混合した後、比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)(SOMETU社製、製品名:SPT-1)7部を加えて混合して、筆記具用水性インキを調製した。
【0153】
マーキングペンの作製
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に上記の水性インキを含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(砲弾型)を、樹脂製のホルダーを介して接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを作製した。なお、軸筒後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0154】
実施例23
筆記具用水性インキの調製
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A(予め-18℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)25部と、高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース)〔ダウケミカル日本(株)製、製品名:CELLOSIZE WP-09〕0.5部と、アクリル系高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕0.2部と、有機窒素硫黄化合物(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物)〔北興化学工業(株)製、製品名:ホクサイドR-150〕1部と、ポリビニルアルコール0.5部と、グリセリン25部と、消泡剤0.02部と、水47.78部とを混合して、筆記具用水性インキを調製した。
【0155】
マーキングペンの作製
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に上記の水性インキを含侵させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、樹脂製ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維からなる樹脂加工ペン体(チゼル型)を接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを作製した。なお、軸筒後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0156】
以下の表6~10に、実施例21~40、及び、比較例11~23の各水性インキの組成、及び、マーキングペンの樹脂加工ペン体の形状を示した。
なお、実施例24~40、及び、比較例11~23の各水性インキは、実施例21~23に対して、配合する材料の種類や配合量を表6~10の通り変更して調製した。また、マーキングペンは、実施例21~23に対して使用する樹脂加工ペン体の形状を表6~10の通り変更して作製した。
【0157】
【表6】
【0158】
【表7】
【0159】
【表8】
【0160】
【表9】
【0161】
【表10】
【0162】
表6~10中の材料の内容を注番号に沿って説明する。
(1)高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース)
〔ダウケミカル日本(株)製、製品名:CELLOSIZE WP-09〕
(2)アクリル系高分子分散剤
〔日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000〕
(3)有機窒素硫黄化合物(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物)
〔北興化学工業(株)製、製品名:ホクサイドR-150〕
(4)防腐剤A(2-ピリジンチオール1-オキシドナトリウム)
〔ロンザジャパン(株)製、製品名:ソジウムオマジン〕
(5)防腐剤B(3-ヨード-2-プロピニルN-ブチルカルバマート)
〔ロンザジャパン(株)製、製品名:グライカシル2000〕
(6)比重調整剤(ポリタングステン酸ナトリウム)
(SOMETU社製、製品名:SPT-1)
【0163】
消去具の作製
SEBS樹脂(SEBS共重合エラストマー)〔アロン化成(株)製、製品名:AR-885C〕を150℃で溶融混錬し、先端(擦過部)の曲率半径Rが2.5mmとなるようにドーム状に成形し、摩擦部材を得た。JIS K6253に記載された測定方法に準拠して、デュロメータ〔(株)テクロック製、製品名:GS-719G〕にて測定した摩擦部材のショアA硬度は83であった。
次いで、軸筒の後部側壁に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部からボールペンレフィルに設けられたボールペンチップ(筆記先端部)が突出する構造を備えるボールペンの軸筒後端部に、上記の摩擦部材を装着し、消去具を作製した。
【0164】
インキ消費量測定
実施例1~40、及び、比較例1~23で作製した筆記具(ボールペン又はマーキングペン)の質量(W1)を測定後、JIS S6054又はJIS S6037に準拠した自動筆記試験機にセットし、室温(20℃)環境下で、下記の条件にて、旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aに50m筆記する筆記試験を行い、50m筆記した後の筆記具の質量(W2)を測定した。次いで、筆記前の筆記具の質量(W1)と、50m筆記後の筆記具の質量(W2)の差(W1-W2)から、筆記具のインキ消費量(50m筆記した際の筆記具のインキ消費量)を求めた。
筆記速度:4m/min
筆記角度:70°
筆記荷重:100gf
なお、チゼル型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンは、ペン体の幅広面を紙面に密着させて筆記角度を70°に保持させた。また、筆記試験は、筆記具がボールペン又は砲弾型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンである場合は、筆記用紙に、直径3cmの丸を螺旋状に50m連続筆記し、筆記具がチゼル型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンである場合は、ペン体の幅広面で筆記用紙に50m連続直線筆記することにより行った。
【0165】
発色状態及び消色状態の筆跡評価
実施例1~40、及び、比較例1~23で作製した筆記具のうち、ボールペン又は砲弾型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンについて、室温(20℃)環境下で、A4サイズの試験用紙(縦向き)の短手方向と平行方向に、長径15mm、短径8mm程度の楕円形状の丸を、丸が互いに接するように螺旋状に12個、手書きで連続筆記した。
また、実施例1~40、及び、比較例1~23で作製した筆記具のうち、チゼル型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンについて、室温(20℃)環境下で、A4サイズの試験用紙(縦向き)の短手方向と平行方向に、ペン体の幅広面を紙面に密着させて、手書きで15cm直線筆記した。得られた筆跡を目視にて確認し、下記基準で発色状態の筆跡を評価した。なお、試験用紙には旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aを用いた。
A:筆跡の発色濃度が高く、発色良好な筆跡が得られた。
B:筆跡の発色濃度がやや低いが、実用上問題のないレベルであった。
C:筆跡の発色濃度が低く、発色良好な筆跡が得られなかった。
次いで、試験用紙に得られた発色状態の各筆跡を、上記の消去具を用いて擦過して消去し、消去した箇所を目視にて確認し、下記基準で消色状態の筆跡を評価した。
A:筆跡の消色濃度が低く、消色状態における残色は視認されなかった。
B:筆跡の消色濃度がやや高く、消色状態における残色は僅かに視認されたが、実用上問題のないレベルであった。
C:筆跡の消色濃度が高く、消色状態において残色が視認された。
【0166】
濃度測定用試料、及び、筆跡消去性評価用試料の作製
実施例1~40、及び、比較例1~23で作製した筆記具のうち、ボールペン又は砲弾型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンについて、レコード式画線機〔デイシー(株)製、製品名:PL-1000〕にセットし、室温(20℃)環境下で、下記の条件にて、旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aに10m円書き筆記して、試料を作製した。
筆記速度:4m/min
筆記角度:70°
筆記荷重:100gf
また、実施例1~40、及び、比較例1~23で作製した筆記具のうち、チゼル型の樹脂加工ペン体を備えるマーキングペンについて、JIS S6037に準拠した自動筆記試験機に、ペン体の幅広面が紙面に密着するようにセットし、室温(20℃)環境下で、下記条件にて旧JIS P3201に準拠した筆記用紙Aに10cm直線筆記して、試料を作製した。
筆記速度:4m/min
筆記角度:70°
筆記荷重:100gf
【0167】
筆跡の濃度測定
上記で作製した試料の描線部分を、蛍光分光濃度計〔コニカミノルタ(株)製、製品名:FD-7型〕の測定部分にセットし、蛍光分光濃度計のK値から発色状態の濃度値を測定した。次いで、各試料の描線部分を、上記の消去具を用いて擦過して消去し、消去した箇所を上記の蛍光分光濃度計の測定部分にセットし、蛍光分光濃度計のK値から消色状態の濃度値を測定した。
さらに、測定した発色状態の濃度値及び消色状態の濃度値から、発色状態の濃度値を消色状態の濃度値で除することにより、Cを求めた。
【0168】
筆跡消去性の評価
上記で作製した各試料の描線部分に、上記の消去具を、紙面に対して70°の角度で押し当て、速度10m/min、荷重500gfの条件で、紙面上を5往復させて擦過し、擦過後の描線部分の消去具合を目視にて確認し、下記基準で筆跡消去性を評価した。
A:擦過した箇所の描線は、完全に消去していた。
B:擦過した箇所の描線は、大部分が消去しており、実用上問題のないレベルであった。
C:擦過しても描線は消去されていない箇所が多数あった。
【0169】
以下の表11~20に、実施例1~40、及び、比較例1~23の各水性インキの、50m筆記した際の筆記具のインキ消費量、発色状態及び消色状態の筆跡評価、濃度測定の結果、濃度測定より得られたCの値、筆跡消去性の結果を示す。
【0170】
【表11】
【0171】
【表12】
【0172】
【表13】
【0173】
【表14】
【0174】
【表15】
【0175】
【表16】
【0176】
【表17】
【0177】
【表18】
【0178】
【表19】
【0179】
【表20】
【符号の説明】
【0180】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
完全消色温度
消色開始温度
発色開始温度
完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
図1
図2
図3