(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】作業管理システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240401BHJP
G01C 15/06 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
E02F9/26 B
G01C15/06 T
(21)【出願番号】P 2020056717
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】因藤 雅人
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159565(JP,A)
【文献】特開2019-133441(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170651(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0274920(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109074612(CN,A)
【文献】国際公開第2019/026169(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0239031(US,A1)
【文献】特開2018-205264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
G01C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械と、
飛行体を利用することで前記作業機械の作業を管理する管理装置とを含む
作業管理システムであって、
前記作業機械は、
上空を飛行する飛行体から撮像可能な位置に設けられた対空標識と、
前記作業機械の稼働データを取得する制御部と、
前記稼働データに基づき前記作業機械の動作が停止した状態であるか否かを判定する稼働状態判定部と、
前記作業機械の位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、
前記稼働状態判定部は、
前記作業機械の動作が停止した状態であると判定された場合に、前記対空標識の使用が可能であると判定し、
前記管理装置は、
前記作業機械の位置情報と、前記作業機械の上空を飛行する飛行体によって撮像された、前記対空標識の画像を含む画像を示す撮像データと、を受信する受信部と、
前記作業機械の位置情報と、前記撮像データとに基づき、地形データを生成する地形データ生成部とを有する、作業管理システム。
【請求項2】
作業機械と、飛行体を利用することで前記作業機械の作業を管理する管理装置とを含む作業管理システムであって、
前記作業機械は、
上空を飛行する飛行体から撮像可能な位置に設けられた対空標識と、
前記作業機械の稼働データを取得する制御部と、
前記稼働データに基づき前記作業機械の動作が停止した状態であるか否かを判定する稼働状態判定部と、を有し、
前記作業機械の動作が停止した状態であると判定された場合に、前記作業機械の位置情報と、前記対空標識の使用が可能であることを示す情報とを、前記管理装置へ送信する、作業管理システム。
【請求項3】
前記作業機械は、
走行動作を行う下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられ、アタッチメントに含まれるブームと、
前記ブームに取り付けられ、前記アタッチメントに含まれるアームと、
前記上部旋回体に搭載され、一定回転数で制御される内燃機関と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記運転室内に設置される表示装置と、を有し、
前記対空標識は、前記内燃機関のカバーの上面又は前記運転室の上面に設けられる、請求項1
又は2記載の
作業管理システム。
【請求項4】
前記
作業機械は、
前記作業機械の動作中の状態であると判定された場合に、前記作業機械の位置情報と、前記対空標識が使用不可であることを示す情報
とを、前記管理装置へ送信する、請求項
2又は3記載の
作業管理システム。
【請求項5】
前記作業機械は、
前記作業機械の動作が停止した状態において、前記飛行体が前記作業機械の上空を飛行しているか否かを判定する飛行状態判定部と、
前記作業機械の動作が停止した状態において、前記飛行体が前記上空を飛行している場合に、前記作業機械
が有する上部旋回体に搭載される運転室内に設置される表示装置に、前記対空標識が使用されていることを示すメッセージを表示させる表示制御部と、を有する請求項
1乃至4の何れか一項に記載の
作業管理システム。
【請求項6】
前記作業機械は、
前記作業機械の動作が停止した状態において、前記飛行体が前記上空を飛行している場合に、前記作業機械の有する油圧アクチュエータを動作不能状態にする、請求項5記載の作業管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、
前記作業機械から、前記作業機械の位置情報と、前記対空標識の使用が可能であることを示す情報とを対応付けた情報を受信した後に、
前記飛行体から前回受信した撮像データに付された位置情報と、前記飛行体から今回受信した撮像データに付された位置情報と、において高度が不一致の場合に、前記前回受信した撮像データ又は前記今回受信した撮像データの少なくとも一方の縮尺を調整し、
前記飛行体から前回受信した撮像データに付された位置情報と、前記飛行体から今回受信した撮像データに付された位置情報と、において向きが不一致の場合に、前記前回受信した撮像データ又は前記今回受信した撮像データの少なくとも一方の向きを調整する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ドローン(Drone)等の飛行体から地表を空撮した画像を用いて測量を行うことが知られている。この測量では、画像に映っている対空標識と対応付けられた目標点の位置を基準として、画像を三次元座標で示される点群に変換する。目標点の位置は、三次元座標(緯度、経度、高度)で示され、空撮を行う前に、GNSS(Global Navigation Satellite System)や、トータルステーション、反射鏡を装着する三脚や二脚等を用いて計測され、対空標識に対応付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の測量では、対空標識は必須であり、測量範囲が変わる度に、対空標識の設置と撤収が必要となる。このため、従来では、測量範囲が変わる度に、目標点の三次元座標を計測して対空標識と対応付けなければならず、計測に必要な機材の運搬と設置や計測作業が発生する。このように、従来の対空標識を用いた測量には手間がかかる。
【0005】
そこで、上記事情に鑑み、測量の手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る作業管理システムは、作業機械と、飛行体を利用することで前記作業機械の作業を管理する管理装置とを含む作業管理システムであって、前記作業機械は、上空を飛行する飛行体から撮像可能な位置に設けられた対空標識と、前記作業機械の稼働データを取得する制御部と、前記稼働データに基づき前記作業機械の動作が停止した状態であるか否かを判定する稼働状態判定部と、前記作業機械の位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、前記稼働状態判定部は、前記作業機械の動作が停止した状態であると判定された場合に、前記対空標識の使用が可能であると判定し、前記管理装置は、前記作業機械の位置情報と、前記作業機械の上空を飛行する飛行体によって撮像された、前記対空標識の画像を含む画像を示す撮像データと、を受信する受信部と、前記作業機械の位置情報と、前記撮像データとに基づき、地形データを生成する地形データ生成部とを有する、作業管理システムである。
【発明の効果】
【0008】
測量の手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】作業管理システムSYSの構成例を示す概略図である。
【
図2】作業管理システムSYSのシステム構成図である。
【
図3】作業管理システムSYSの動作の概略を説明する図である。
【
図4】ショベルに設けられた対空標識について説明する図である。
【
図5】作業管理システムSYSの機能について説明する図である。
【
図6】ショベルで生成される基準データの一例を示す図である。
【
図7】ショベルのコントローラの処理を説明するフローチャートである。
【
図8】表示装置に表示される表示画面の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、
図1及び
図2を参照し、本発明の実施例に係る作業機械としてのショベル(掘削機)100及び飛行体200を含む作業管理システムSYSについて説明する。
図1は、作業管理システムSYSの構成例を示す概略図である。
図2は、作業管理システムSYSのシステム構成図である。
【0011】
作業管理システムSYSは、飛行体を利用することでショベルによる作業を管理するシステムであり、主に、ショベル100、飛行体200、及び管理装置300で構成されている。
【0012】
より具体的には、作業管理システムSYSは、飛行体200によってショベル100の作業現場等の画像を空撮し、管理装置300により、空撮された画像を用いて作業現場の地形データを生成する。
【0013】
作業管理システムSYSにおいて、ショベル100及び飛行体200はそれぞれ1台であってもよく、複数台であってもよい。
図1及び
図2の例は、1台のショベル100と1機の飛行体200を含む。
【0014】
飛行体200は、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができる自律式飛行体であり、例えば、マルチコプタ(ドローン)、飛行船等を含む。本実施例では、空間認識装置として、カメラを搭載したクワッドコプタである。
【0015】
また。空間認識装置として、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR、赤外線センサ等の他の物体検知装置が設けられてもよい。空間認識装置として、ミリ波レーダ、超音波センサ、又はレーザレーダ等を利用する場合には、多数の信号(レーザ光等)を物体に発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を検出してもよい。
【0016】
管理装置300は、ショベルの作業を管理する装置であり、例えば、作業現場外の管理センタ等に設置されるコンピュータである。管理装置300は、使用者が持ち運び可能な可搬性のコンピュータであってもよい。また、管理装置300は、飛行体200から送信される画像データに基づき、ショベル100が作業を行った作業現場の地形データを生成する。
【0017】
ショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。作業要素としてのブーム4、アーム5、及びバケット6はアタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成する。ブーム4、アーム5、バケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3にはキャビン10が設けられ、エンジン11等の動力源が搭載され、カバー3aにより覆われている。
【0018】
また、本実施形態のショベル100は、カバー3aの上面等に設けられた対空標識400を有する。したがって、飛行体200によって空撮された作業現場等の画像は、対空標識400の画像を含む画像となる。このため、本実施形態では、作業現場の地表等に対空標識を設置する必要がない。
【0019】
また、ショベル100は、後述するように、自機の位置情報を取得し、管理装置300へ送信する。したがって、本実施形態では、ショベル100の動作が停止した状態において取得された位置情報を、対空標識400と対応付けることで、ショベル100の位置を目標点とすることができる。
【0020】
言い換えれば、本実施形態では、自機の位置情報を保持しているショベル100自体を対空標識として利用する。このため、本実施形態では、目標点の座標の計測を行う必要がない。
【0021】
また、本実施形態では、ショベル100による作業が進み、測量範囲が変更される場合でも、ショベル100が対空標識となるため、対空標識の設置と撤収を繰り返す必要がなく、測量に係る手間を低減できる。
【0022】
ショベル100は、
図2に示すように、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、コントローラ30、エンジン制御装置74等で構成されている。
【0023】
エンジン11はショベル100の駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続されている。
【0024】
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ14は、斜板傾転角の変化に応じて1回転当たりの吐出流量が変化する。斜板傾転角はレギュレータ14aにより制御される。レギュレータ14aはコントローラ30からの制御電流の変化に応じて斜板傾転角を変化させる。
【0025】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26等の各種油圧制御機器に作動油を供給する固定容量型油圧ポンプである。
【0026】
コントロールバルブ17は油圧アクチュエータに関する作動油の流れを制御する流量制御弁のセットである。コントロールバルブ17は、操作装置26の操作方向及び操作量に対応するパイロット圧の変化に応じ、メインポンプ14から作動油ライン16を通じて受け入れた作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できる。油圧アクチュエータは、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、旋回用油圧モータ2A等を含む。
【0027】
操作装置26は、ショベル100の操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26はパイロットライン25を介してパイロットポンプ15から作動油の供給を受けてパイロット圧を生成する。そして、パイロットライン25aを通じ、対応する流量制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させる。パイロット圧は操作装置26の操作方向及び操作量に応じて変化する。パイロット圧センサ15aはパイロット圧を検出し、その検出値をコントローラ30に対して出力する。
【0028】
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置である。本実施例では、コントローラ30はCPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。コントローラ30のCPUは、各種機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードして実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現できる。
【0029】
エンジン制御装置74はエンジン11を制御できる。エンジン制御装置74は、例えば、入力装置を介して設定されたエンジン回転数が実現されるように燃料噴射量等を制御する。
【0030】
上部旋回体3に取り付けられた送信装置S1、受信装置S2、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5、空間認識装置としてのカメラS6、表示装置40のそれぞれはコントローラ30に接続されている。コントローラ30は、受信装置S2、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5、及びカメラS6のそれぞれが出力する情報に基づいて各種演算を実行できる。そして、演算結果に基づいて生成した情報を送信装置S1から外部に発信し、或いは、表示装置40で表示できる。
【0031】
また、空間認識装置としてのカメラ(撮像装置)S6は、物体検知装置として機能してもよい。この場合、カメラS6は、ショベル100の周囲に存在する物体を検知してよい。検知対象の物体には、例えば、人、動物、車両、建設機械、建造物、穴等が含まれうる。また、カメラS6は、カメラS6又はショベル100から認識された物体の種類と物体までの距離を算出してもよい。物体検知装置としてのカメラS6には、例えば、ステレオカメラ、距離画像センサ等が含まれうる。そして、空間認識装置は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。また、空間認識装置は、空間認識装置又はショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。また、カメラS6に加えて、空間認識装置として、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR、赤外線センサ等の他の物体検知装置が設けられてもよい。空間認識装置としてミリ波レーダ、超音波センサ、又はレーザレーダ等を利用する場合には、多数の信号(レーザ光等)を物体に発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を検出してもよい。
【0032】
送信装置S1はショベル100の外部に向けて情報を発信できる。送信装置S1は、例えば、飛行体200及び管理装置300の少なくとも一方が受信可能な情報を発信する。本実施例では、送信装置S1は、管理装置300の要求に応じて管理装置300が受信可能な情報を管理装置300に向けて発信する。
【0033】
受信装置S2はショベル100の外部からの情報を受信できる。受信装置S2は、例えば、飛行体200及び管理装置300の少なくとも一方が発信する情報を受信する。本実施例では、受信装置S2は管理装置300が発信する情報を受信する。
【0034】
測位装置S3はショベル100の位置情報を取得できる。本実施例では、測位装置S3はGNSS(GPS)受信機であり、ショベル100の存在位置の緯度、経度、高度を測定する。つまり、ショベル100の位置情報とは、測位装置S3によって測定される、ショベル100の存在位置の緯度、経度、高度であり、測位装置S3は、位置情報取得部の一例である。
【0035】
姿勢検出装置S4はショベル100の姿勢を検出できる。ショベル100の姿勢は、例えば、掘削アタッチメントの姿勢である。本実施例では、姿勢検出装置S4は、ブーム角度センサ、アーム角度センサ、バケット角度センサ、及び機体傾斜センサを含む。ブーム角度センサは、ブーム角度を取得するセンサである。
【0036】
ブーム角度センサは、例えば、ブームフートピンの回転角度を検出する回転角度センサ、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサ、ブーム4の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。加速度センサとジャイロセンサの組み合わせであってもよい。アーム角度センサ及びバケット角度センサについても同様である。
【0037】
機体傾斜センサは機体傾斜角度を取得するセンサであり、例えば、水平面に対する上部旋回体3の傾斜角度を検出する。本実施例では、機体傾斜センサは上部旋回体3の前後軸及び左右軸回りの傾斜角を検出する2軸加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。機体傾斜センサは3軸加速度センサであってもよい。
【0038】
向き検出装置S5は、ショベル100の向きを検出できる。向き検出装置S5は、地磁気センサ、旋回機構2の旋回軸に関するレゾルバ又はエンコーダ、ジャイロセンサ等で構成される。本実施例では、向き検出装置S5は、3軸地磁気センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されている。
【0039】
コントローラ30は、測位装置S3、姿勢検出装置S4、及び向き検出装置S5の出力に基づいてバケット6の爪先の軌跡情報を取得できる。
【0040】
また、コントローラ30は、ショベル100に関する各種情報を取得し、管理装置300にアップロードする。ショベル100に関する各種情報は、例えば、管理装置300による作業現場等の測量に用いられる。具体的には、ショベル100に関する各種情報は、ショベル100の動作を示す稼働データと、ショベル100の位置情報と、を含む。つまり、コントローラ30は、ショベル100の稼働データを取得する制御部の一例である。
【0041】
稼働データは、ショベル100に対するレバー入力の有無を示す情報や、エンジン11が停止しているか否かを示す情報等を含む。
【0042】
また、ショベル100に関する各種情報は、ショベル100に設けられた対空標識400を特定するため識別情報を含んでも良い。対空標識400の識別情報は、例えば、対空標識400がショベル100に設けられる際にコントローラ30に入力されて、記憶されてもよい。
【0043】
対空標識400の識別情報とショベル機番等のショベル固有情報と、は対応付けられる。これにより、ショベル100の位置情報と、対空標識400の識別情報との対応付けが可能になる。また、複数のショベル100に対して対空標識400を設置する場合、それぞれのショベル100に対して、それぞれ異なる模様の対空標識400が設置される。これにより、複数のショベル100が存在しても、それぞれのショベル100の位置を対空標識400により把握することができる。尚、対空標識400は、
図4に示す如く模様により識別するのではなく、凹凸の変化により識別するようにしてもよい。
【0044】
コントローラ30、表示装置40、エンジン制御装置74等は蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70はエンジン11によって駆動される発電機11aによって充電される。蓄電池70の電力はエンジン11のスタータ11b等にも供給される。スタータ11bは蓄電池70からの電力で駆動されてエンジン11を始動させる。
【0045】
カメラS6は、上部旋回体3に取り付けられてショベル100の周囲を撮像できる。本実施例では、カメラS6は、ショベル100の後方の空間を撮像する後方カメラ、ショベル100の右側方の空間を撮像する右側方カメラ、及び、ショベル100の左側方の空間を撮像する左側方カメラを含む。
【0046】
表示装置40は、各種情報を表示する装置であり、キャビン10内の運転席の近傍に配置されている。本実施例では、表示装置40は、カメラS6が撮像した画像、及び、飛行体200が撮像した画像を表示可能である。カメラS6が撮像した画像は、複数台のカメラの撮像画像を合成して得られる合成画像を含む。合成画像は、視点変換処理等の各種画像処理が施されていてもよい。
【0047】
また、表示装置40は、ショベル100を操作している運転者に対する各種の情報が表示されてもよい。より具体的には、表示装置40は、ショベル100が対空標識として利用されているか否かを示す情報等が表示されてもよい。
【0048】
飛行体200は、制御装置201、送信装置202、受信装置203、自律航行装置204、カメラ205、スピーカ206、マイク207等で構成されている。
【0049】
制御装置201は、飛行体200を制御するための装置である。本実施例では、制御装置201は、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。制御装置201のCPUは、各種機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードして実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現できる。
【0050】
送信装置202は、飛行体200の外部に向けて情報を発信できる。送信装置202は、例えば、ショベル100及び管理装置300の少なくとも一方が受信可能な情報を発信する。本実施例では、送信装置202は、ショベル100及び管理装置300が受信可能な情報を所定周期で繰り返し発信する。ショベル100及び管理装置300が受信可能な情報は、例えば、カメラ205が撮像した撮像画像を含む。
【0051】
受信装置203は、飛行体200の外部からの情報を受信できる。受信装置203は、例えば、ショベル100及び管理装置300のそれぞれが発信する情報を受信する。したがって、受信装置203は、ショベル100が取得した位置情報と、飛行体200が撮像した画像データとを受信する受信部の一例である。
【0052】
自律航行装置204は、飛行体200の自律航行を実現するための装置である。本実施例では、自律航行装置204は、飛行制御装置、電動モータ、及びバッテリを含む。飛行制御装置は、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ(方位センサ)、気圧センサ、測位センサ、超音波センサ等の各種センサを含み、姿勢維持機能、高度維持機能等を実現できる。
【0053】
電動モータは、バッテリから電力の供給を受けてプロペラを回転させる。自律航行装置204は、例えば、制御装置201から飛行経路に関する情報を受けると4つのプロペラの回転速度を別々に制御し、飛行体200の姿勢及び高度を維持しながら飛行体200をその飛行経路に沿って移動させる。
【0054】
飛行経路に関する情報は、例えば、飛行位置の緯度、経度、及び高度で構成される。制御装置201は、例えば、受信装置203を通じて飛行経路に関する情報を外部から取得する。自律航行装置204は、制御装置201から向きに関する情報を受けて飛行体200の向きを変化させてもよい。
【0055】
カメラ205は画像を取得するための装置である。本実施例では、カメラ205は飛行体200の鉛直下方を撮像できるように飛行体200に取り付けられている。カメラ205が撮像した撮像データは、例えば、飛行体200の飛行位置である撮像位置に関する情報を含み、3次元地形データを生成するために利用される。カメラ205は、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0056】
スピーカ206は、外部に向けて音声を出力する装置である。本実施例では、スピーカ206は、例えば、作業現場内にいる人に向けて音声情報を伝えるために用いられる。
【0057】
マイク207は、外部からの音声を受ける装置である。本実施例では、マイク207は、例えば、作業現場内にいる人が発した音声を取得するために用いられる。
【0058】
管理装置300は、制御装置301、送信装置302、受信装置303、表示装置304、操作入力装置305等で構成されている。
【0059】
制御装置301は、管理装置300を制御するための装置である。本実施例では、制御装置301は、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。制御装置301のCPUは、各種機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードして実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現できる。
【0060】
送信装置302は、管理装置300の外部に向けて情報を発信できる。送信装置302は、例えば、飛行体200が受信可能な情報を所定周期で繰り返し発信する。ショベル100が受信可能な情報を発信してもよい。本実施例では、送信装置302は、飛行体200が受信可能な情報を所定周期で繰り返し発信する。飛行体200が受信可能な情報は、例えば、飛行体200の飛行経路に関する情報を含む。
【0061】
受信装置303は、管理装置300の外部からの情報を受信できる。受信装置303は、例えば、ショベル100及び飛行体200の少なくとも一方が発信する情報を受信する。本実施例では、受信装置303は飛行体200が発信した情報を受信する。飛行体200が発信した情報は、例えば、飛行体200のカメラ205が撮像した撮像画像を含む。
【0062】
表示装置304は、各種情報を表示するための装置である。本実施例では、表示装置304は液晶ディスプレイであり、ショベル100による作業に関する情報、地形データに関する情報、飛行体200の操縦に関する情報等を表示する。飛行体200のカメラ205が撮像した撮像画像を表示してもよい。
【0063】
操作入力装置305は、操作入力を受けるための装置である。本実施例では、操作入力装置305は、液晶ディスプレイの上に配置されるタッチパネルである。
【0064】
次に、
図3を参照して、本実施形態の作業管理システムSYSの動作の概略について説明する。
図3は、作業管理システムSYSの動作の概略を説明する図である。
【0065】
本実施形態の作業管理システムSYSでは、ショベル100の有する対空標識400を用いて測量を行う。
【0066】
本実施形態の作業管理システムSYSにおいて、ショベル100は、自機の位置情報と稼働データとを含む基準データ500を管理装置300へ送信する(ステップS1)。尚、基準データ500は、ショベル100から一定の間隔で管理装置300に送信されていてもよい。基準データ500の詳細は後述する。
【0067】
また、作業管理システムSYSにおいて、飛行体200は、例えば、作業現場の上空を飛行して撮像データ600を取得し、管理装置300へ送信する(ステップS2)。撮像データ600は、カメラ205で撮像した撮像データ群と、各撮像データを撮像したときの飛行体200の位置情報と、各撮像データを撮像したときの撮像日時を示す日時情報とを含む。
【0068】
言い換えれば、撮像データ600は、カメラ205で撮像した動画データと、動画データに含まれるフレーム画像毎の、フレーム画像を撮像したときの飛行体200の位置情報と日時情報と、を含む。
【0069】
管理装置300は、基準データ500に含まれる稼働データに基づき、基準データ500に含まれる位置情報が示す位置を、測量における目標点とするか否かを判定する。そして、管理装置300は、基準データ500に含まれる位置情報が示す位置を目標点とする場合に、この位置情報と、撮像データ600とを用いて地形データを生成する(ステップS3)。つまり、管理装置300は、飛行体200から取得した撮像データに含まれる画像データと、ショベル100から取得する基準データ500に含まれる位置情報とを適合させることで、広域の地形データを作成することができる。
【0070】
具体的には、このとき、管理装置300は、稼働データが示すショベル100の状態が、「エンジン停止」であるか、又は、「レバー入力なし」である場合に、この基準データ500に含まれる位置情報が示す位置を目標点とする。
【0071】
次に、
図4を参照して、ショベル100に設けられる対空標識400について説明する。
図4は、ショベルに設けられた対空標識について説明する図である。
図4(A)は、ショベル100における対空標識400の位置の一例を示す図であり、
図4(B)は、ショベル100における対空標識400の位置の他の例を示す図である。
【0072】
図4(A)の例では、対空標識400がショベル100のカバー3aの上面に設けられており、
図4(B)の例では、対空標識400がショベル100のキャビン10の上面に設けられている。本実施形態では、対空標識400の中心点401が、測位装置S3が取得した位置情報が示す位置(目標点)となる。
【0073】
カバー3aの上面の面積は、キャビン10の上面の面積とよりも広い。したがって、
図4(A)に示すように、対空標識400を設ける位置を、カバー3aの上面とした場合には、キャビン10の上面に対空標識400を設ける場合と比較して、面積の大きい対空標識400を設けることができる。
【0074】
また、キャビン10の上面の高度は、カバー3aの上面の高度より高い。したがって、
図4(B)に示すように、対空標識400を設ける位置を、キャビン10の上面とした場合には、カバー3aの上面に対空標識400を設ける場合と比較して、高い位置に対空標識400を設けることができる。
【0075】
本実施形態では、対空標識400を設ける位置は、例えば、ショベル100の作業現場の環境等に応じて決められて良い。例えば、対空標識400の面積が大きい方が、飛行体200から対空標識400を撮像しやすい環境であれば、対空標識400をカバー3aの上面に設ければ良い。また、例えば、対空標識400の高度が高い方が、飛行体200から対空標識400を撮像しやすい環境であれば、対空標識400をキャビン10の上面に設ければ良い。
【0076】
尚、
図4では、対空標識400がカバー3aの上面又はキャビン10の上面に設けられる例を説明したが、対空標識400が設けられる位置は、この二箇所に限定されない。対空標識400は、飛行体200から撮像される画像データが示す画像において、対空標識400の認識が可能な位置であれば、ショベル100のどの部分に設けられてもよい。
【0077】
また、
図4に示す対空標識400は、一例であり、対空標識400の柄は、
図4に示す例に限定されない。
【0078】
尚、対空標識400と対応付けられる目標点の座標は、測位装置S3によって取得される位置情報であり、ショベル100における対空標識400の設置位置に依存しない。
【0079】
次に、
図5を参照して、本実施形態の作業管理システムSYSの機能について説明する。
図5は、作業管理システムSYSの機能について説明する図である。
【0080】
コントローラ30は、稼働状態判定部31、基準データ生成部32、飛行状態判定部33、表示制御部34を有する。
【0081】
稼働状態判定部31は、稼働データに基づき、ショベル100の動作が停止しているか否かを判定する。より具体的には、稼働状態判定部31は、稼働データに基づき、レバー入力が無くなったことが検知されてから一定時間が経過した場合に、ショベル100の動作が停止したものと判定する。また、稼働状態判定部31は、稼働データに基づき、エンジンの停止が検知されてから一定時間が経過した場合に、ショベル100の動作が停止したものと判定する。
【0082】
本実施形態の稼働状態判定部31では、このように、ショベル100の動作が停止した状態であることが検知されてから一定時間が経過した後に、判定の結果を確定させる。このため、本実施形態では、ショベル100の状態が、誤って判定されることを回避できる。
【0083】
基準データ生成部32は、位置情報と稼働データとを用いて、基準データ500を生成する。基準データ生成部32は、例えば、測位装置S3が位置情報を取得するタイミングで、稼働状態判定部31の判定結果を取得し、位置情報と判定結果を示す情報とを対応付けて基準データ500を生成してもよい。
【0084】
また、基準データ生成部32は、送信装置S1によって、基準データ500を生成する度に、基準データ500を管理装置300へ送信する。基準データ500の詳細は後述する。
【0085】
飛行状態判定部33は、管理装置300との通信によって、ショベル100の上空において飛行体200が飛行しているか否かを判定する。具体的には、飛行状態判定部33は、送信装置S1によって、管理装置300に対して飛行体200の位置情報を問い合わせる。そして、飛行状態判定部33は、受信装置S2によって、管理装置300から飛行体200の位置情報を取得すると、飛行体200の位置情報と、測位装置S3によって取得した位置情報とから、飛行体200がショベル100の上空を飛行しているか否かを判定する。
【0086】
また、本実施形態の飛行状態判定部33は、稼働状態判定部31により、ショベル100の動作が停止したものと判定された場合に、管理装置300に対して飛行体200の位置情報の問い合わせを行ってもよい。
【0087】
表示制御部34は、飛行体200がショベル100の上空を飛行している場合に、その旨を表示装置40に表示させる。
【0088】
管理装置300の制御装置301は、撮像データ取得部310、基準データ取得部311、飛行状態通知部312、地形データ生成部313を有する。
【0089】
撮像データ取得部310は、受信装置303が飛行体200から受信した撮像データ600を取得する。基準データ取得部311は、受信装置303がショベル100から受信した基準データ500を取得する。
【0090】
地形データ生成部313は、撮像データ600に含まれる動画データと、動画データに含まれるフレーム画像毎の位置情報と、日時情報と、基準データ500に含まれる位置情報とに基づき、地形データを生成する。
【0091】
次に、
図6を参照して、本実施形態の基準データ500について説明する。
図6は、ショベルで生成される基準データの一例を示す図である。
【0092】
図6の例では、基準データ500は、情報の項目として、機器IDと、位置情報と、状態フラグとを有する。
【0093】
項目「機器ID」の値は、ショベル100を特定するための識別情報である。項目「位置情報」の値は、測位装置S3によって取得された座標(緯度、経度、高度)である。項目「フラグ」の値は、稼働状態判定部31による判定の結果を示す。
【0094】
具体的には、例えば、項目「フラグ」の値が「有効」の場合、稼働状態判定部31により、ショベル100の動作が停止したと判定されたことを示す。言い換えれば、項目「フラグ」の値が、「有効」である場合、この基準データ500に含まれる位置情報は、ショベル100の動作が停止した状態で取得された位置情報となる。
【0095】
本実施形態では、ショベル100の動作が停止している状態で取得された位置情報を目標点の座標として使用する。つまり、項目「フラグ」の値が「有効」である場合、この基準データ500に含まれる位置情報は、目標点の座標として使用可能であることを示す。
【0096】
項目「フラグ」の値が「無効」の場合、稼働状態判定部31により、ショベル100の動作が停止したと判定されていないことを示す。つまり、項目「フラグ」の値が「無効」である場合、この基準データ500に含まれる位置情報は、ショベル100が動作をしている状態で取得された位置情報であり、目標点の座標としては使用されないことを示す。
【0097】
このように、項目「フラグ」の値は、基準データ500に含まれる位置情報が示す位置が、目標点となり得るか否かを示す情報と言える。言い換えれば、稼働状態判定部31は、ショベル100に設けられた対空標識400が、測量における対空標識400として使用可能な状態であるか否かを判定する判定部の一例と言える。
【0098】
尚、
図6の例では、基準データ500に機器IDが含まれるものとしたが、これに限定されない。基準データ500は、ショベル100の位置情報と、フラグとを含んでいれば良く、その他の情報は含まれなくてもよい。また、基準データ500には、対空標識400を特定するための識別情報や、位置情報を取得した日時を示す日時情報等が含まれてもよい。
【0099】
次に、
図7を参照して、本実施形態のショベル100のコントローラ30の処理について説明する。
図7は、ショベルのコントローラの処理を説明するフローチャートである。
【0100】
尚、
図7の処理は、例えば、キャビン10に運転者が搭乗し、作業を行ってする最中において実行される処理であってもよい。
【0101】
ショベル100において、コントローラ30は、位置情報と稼働データとを取得すると(ステップS701)、稼働状態判定部31は、ショベル100に設けられた対空標識400が、測量における対空標識400として使用可能な状態であるか否かを判定する(ステップS702)。具体的には、稼働状態判定部31は、ショベル100の動作が停止している状態であるか否かを判定している。
【0102】
ステップS702において、対空標識400が使用可能であると判定された場合、つまり、ショベル100の動作が停止している状態と判定された場合、基準データ生成部32は、位置情報に、フラグの値「有効」を対応付けた基準データ500を生成し(ステップS703)、後述するステップS705へ進む。
【0103】
ステップS702において、対空標識400が使用不可能であると判定された場合、つまり、ショベル100が動作中である状態と判定された場合、基準データ生成部32は、位置情報に、フラグの値「無効」を対応付けた基準データ500を生成し(ステップS704)、後述するステップS707へ進む。
【0104】
ステップS703において、基準データ500に含まれるフラグの値が「有効」である場合、コントローラ30は、飛行状態判定部33により、ショベル100の上空を飛行体200が飛行しているか否かを判定する(ステップS705)。ステップS705において、飛行体200が飛行中でない場合、コントローラ30は、後述するステップS707へ進む。
【0105】
ステップS705において、飛行体200が飛行中である場合、コントローラ30は、表示制御部34により、表示装置40に、ショベル100の対空標識400が測量に使用されていることを示すメッセージを表示させる(ステップS706)。
【0106】
続いて、コントローラ30は、基準データ生成部32により、ステップS703又はステップS704で生成した基準データ500を管理装置300に送信し(ステップS707)、処理を終了する。
【0107】
尚、本実施形態では、その後、管理装置300において、前回の受信データと今回の受信データとをそれぞれのデータに付された位置情報に基づいて対応付けの処理を行う。それぞれのデータに付された位置情報中、高度が不一致の場合には、受信データの縮尺を調整し、向きが不一致の場合には受信データの角度を調整する。
【0108】
このような対応付け処理の後に、それぞれのデータの比較処理を行うことで、管理者は前回のデータから施工の進捗を把握できる。更に、現在のデータ(最新のデータ)と仕上がりデータとの比較により、管理者は全体工程における進捗も把握することができる。また、施工前に取得したデータと現在のデータ(最新のデータ)とを比較することにより、搬出、若しくは、搬入した土量も推定ができる。
【0109】
コントローラ30は、
図7の処理を、例えば、自機の位置情報を取得する度に実行してもよい。
【0110】
以下に、
図8を参照して、表示装置40の表示例について説明する。
図8は、表示装置に表示される表示画面の一例を説明する図である。
【0111】
図8に示す表示画面41Vは、表示装置40の画像表示部41に表示される画面の一例である。表示画面41Vは、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、エンドアタッチメント表示領域41c、エンジン制御状態表示領域41eのそれぞれは、ショベル100の設定状態を表示する設定状態表示領域の例である。
【0112】
エンジン作動時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、作動油温表示領域41kのそれぞれは、ショベル100の運転状態を表示する運転状態表示領域の例である。また、更に、カメラ画像表示領域41m、アラーム表示領域41p、メッセージ表示領域41r及び向き表示アイコン41xを含む。
【0113】
日時表示領域41aは、現在の日時を画像表示する領域である。
図8に示す例では、デジタル表示が採用され、日付が2013年2月19日であり、時刻が23時59分であることを示している。
【0114】
走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを画像表示する領域である。走行モードは、可変容量ポンプを用いた走行用油圧モータの設定状態を表す。具体的には、走行モードは、低速モード及び高速モードを有する。低速モードは、「亀」を象ったマークで表示され、高速モードは「兎」を象ったマークで表示される。
図8に示す例では、「亀」を象ったマークが表示されており、運転者は低速モードが設定されていることを認識できる。
【0115】
エンドアタッチメント表示領域41cは、現在装着されているエンドアタッチメントを表す画像を画像表示する領域である。ショベルに装着されるエンドアタッチメントは、バケット、削岩機、グラップル、リフティングマグネットなど様々なエンドアタッチメントを含む。エンドアタッチメント表示領域41cは、例えば、これらのエンドアタッチメントを象ったマークを表示する。
図8に示す例では、削岩機を象ったマークが表示されている。
【0116】
エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を画像表示する領域である。
図8に示す例では、運転者は、エンジン11の制御状態として「自動減速・自動停止モード」が選択されていることを認識できる。尚、「自動減速・自動停止モード」は、エンジン負荷が小さい状態の継続時間に応じて、エンジン回転数を自動的に低減し、さらにはエンジン11を自動的に停止させる制御状態を意味する。その他、エンジン11の制御状態には、「自動減速モード」、「自動停止モード」、「手動減速モード」等がある。
【0117】
エンジン作動時間表示領域41fは、エンジン11の累積作動時間を画像表示する領域である。
図8に示すでは、単位「hr(時)」を用いた値が表示される。
【0118】
冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を画像表示する領域である。
図8に示す例では、エンジン冷却水の温度状態を表すバーグラフが表示されている。尚、エンジン冷却水の温度は、エンジン11に取り付けられる水温センサ11cが出力するデータに基づく。
【0119】
具体的には、冷却水温表示領域41gは、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3、セグメント表示41g4、及びアイコン表示41g5を含む。
【0120】
異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3はそれぞれ、エンジン冷却水の温度が異常高温状態、注意を要する状態、正常状態にあることを運転者に知らせるための表示である。また、セグメント表示41g4は、エンジン冷却水の温度の高低を運転者に知らせるための表示である。また、アイコン表示41g5は、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3、及びセグメント表示41g4がエンジン冷却水の温度に関する表示であることを表すシンボル図形等のアイコンである。尚、アイコン表示41g5は、エンジン冷却水の温度に関する表示であることを表す文字情報であってもよい。
【0121】
図8に示す例では、セグメント表示41g4は、点灯・消灯状態が個別に制御される8つのセグメントで構成され、冷却水温が高くなるほど点灯状態のセグメントの数が増加する。尚、
図8の例では、4つのセグメントが点灯状態となっている。また、セグメント表示41g4は、所定円の一部(円弧)を構成し、エンジン冷却水の温度の上下動に応じてその円弧の長さが伸縮するように表示される。また、
図8の例では、各セグメントが表す温度の幅は同じであるが、セグメント毎に温度の幅を変えてもよい。
【0122】
また、
図8に示す例では、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、正常範囲表示41g3はそれぞれ、セグメント表示41g4の伸縮方向(所定円の円周方向)に沿うように並べて配置される円弧状の図形であり、赤色、黄色、緑色で表示される。また、セグメント表示41g4は、1番目(最下位)から6番目のセグメントが正常範囲に属し、7番目のセグメントが注意範囲に属し、8番目(最上位)のセグメントが異常範囲に属する。
【0123】
尚、冷却水温表示領域41gは、異常範囲表示41g1、注意範囲表示41g2、及び正常範囲表示41g3を円弧状の図形として表示する代わりに、異常レベル、注意レベル、正常レベルを表す文字、記号等をそれぞれの境界のところに表示してもよい。
【0124】
尚、異常範囲表示、注意範囲表示、正常範囲表示、セグメント表示、及びアイコン表示を含む上述の構成は、燃料残量表示領域41h及び作動油温表示領域41kにおいても同様に採用される。また、燃料残量表示領域41hでは、異常範囲、注意範囲、及び正常範囲を表す円弧状の図形を表示する代わりに、「Full(満タン状態)」を表す文字「F」又は黒丸(塗りつぶされた丸印)、「Empty(空状態)」を表す文字「E」又は白丸(塗りつぶされていない丸印)等をそれぞれの境界のところに表示してもよい。
【0125】
燃料残量表示領域41hは、燃料タンク55に貯蔵されている燃料の残量状態を画像表示する領域である。
図8に示す例では、現在の燃料の残量状態を表すバーグラフが表示されている。尚、燃料の残量は、燃料残量センサ55aが出力するデータに基づく。
【0126】
回転数モード表示領域41iは、現在の回転数モードを画像表示する領域である。回転数モードは、例えば、上述のSPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4つを含む。
図8に示す例では、SPモードを表す記号「SP」が表示されている。
【0127】
作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を画像表示する領域である。
図8に示す例では、作動油の温度状態を表すバーグラフが表示されている。尚、作動油の温度は、油温センサ14cが出力するデータに基づく。
【0128】
尚、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、作動油温表示領域41kでは、バーグラフ表示の代わりに針表示が採用されてもよい。
【0129】
カメラ画像表示領域41mは、カメラ画像を画像表示する領域である。本実施形態では、ショベルは、運転者の視界以外の部分を撮像するためのカメラS6(
図1、2参照。)を備える。具体的には、カメラS6は、アタッチメントが向いている方向とは反対の方向(後方)を撮像する後方監視カメラを含む。そして、カメラS6は、撮像したカメラ画像を表示装置40に送る。これにより、運転者はカメラS6が撮像したカメラ画像を表示装置40の画像表示部41で視認することができる。
【0130】
本実施形態では、カメラ画像表示領域41mは、ショベルが稼働している間は常にカメラS6が撮像したカメラ画像(以下、「後方カメラ画像」とする。)を表示する。尚、後方カメラ画像は、望ましくは、鏡像で表示される。
【0131】
また、撮像画像を撮像したカメラS6の向きと上部旋回体3のアタッチメントの向きとの関係は、操作装置26の傾倒方向と下部走行体1の走行方向との関係とは切り離されている。このため、カメラ画像表示領域41mに表示された画像が後方カメラ画像であっても、下部走行体1の前方の画像を表示している場合も起こり得る。
【0132】
また、本実施形態では、カメラ画像表示領域41mは、表示画面41Vの右側の3分の2程度の領域を占める。表示装置40が運転席の右側前方に設置される環境において、運転席(運転者)に近い側に燃料残量表示領域41h等が表示され、運転席(運転者)から遠い側にカメラ画像表示領域41mが表示されるようにして、全体的な視認性を高めるためである。但し、表示画面41Vにおける各表示領域のサイズ及び配置は必要に応じて変更されてもよい。
【0133】
アラーム表示領域41pは、アラームを表示する領域である。
図8に示す例では、表示すべきアラームが存在しないため、アラーム表示領域41pには、カメラ画像が表示される。また、アラーム表示領域41pには、表示すべきアラームが存在する場合には、アラームがカメラ画像上に重畳され表示される。また、本実施形態では、アラーム表示領域41pには、カメラS6が撮像したカメラ画像がカメラ画像表示領域41mに表示されないままレバー操作が行われた場合に、その旨を警告するアラームが表示される。
【0134】
メッセージ表示領域41rは、
図7のステップS706においてメッセージが表示される領域である。つまり、メッセージ表示領域41rは、ショベル100に設けられた対空標識400が、測量に使用するために空撮されていることを示すメッセージが表示される。
【0135】
本実施形態では、このように、対空標識400が空撮されていることを示すメッセージを表示させることで、ショベル100の運転者に対して、ショベル100の動作を停止させた状態を維持するように、通知することができる。また、ポンプとコントロールバルブとの間に電磁弁を設け、管理装置300、若しくは、飛行体からの通信により、電磁弁により遮断することで油圧アクチュエータを動作不能状態にしてもよい。この場合、電磁弁はゲートロック弁であってもよい。
【0136】
尚、本実施形態のショベル100は、飛行体200がショベル100の上空の所定の領域の外へ移動したことを検出すると、メッセージ表示領域41rの表示を消去してもよい。
【0137】
ショベル100の上空の所定の領域は、コントローラ30によって、測位装置S3から取得した位置情報に基づき算出されてもよい。また、ショベル100は、管理装置300から取得した飛行体200の位置情報に基づき、飛行体200がショベル100の上空の所定の領域外へ移動したことを検出してもよい。
【0138】
さらに、ショベル100の表示制御部34は、飛行体200がショベル100の上空の所定の領域外へ移動したことを検出すると、メッセージ表示領域41rに、動作を開始してもよい旨を示すメッセージを表示させてもよい。
【0139】
向き表示アイコン41xは、表示画面に表示される撮像画像を撮像した撮像装置の向きとショベル(上部旋回体3のアタッチメント)の向きとの相対的関係を表すアイコンである。
図6に示す実施例では、カメラ画像表示領域41mに表示されるカメラ画像を撮像したカメラが後方監視カメラ80Bであることを表す向き表示アイコン41xがカメラ画像表示領域41mの右下隅に表示されている。尚、向き表示アイコン41xは、カメラ画像表示領域41mの下部中央、左下隅、右上隅、左上隅等、右下隅以外の位置に表示されてもよく、カメラ画像表示領域41mの外部に表示されてもよい。
【0140】
以上のように、本実施形態によれば、飛行体から地表を空撮した画像を用いて測量を行う際に、対空標識を、ショベル100に設けられた対空標識400とする。このため、本実施形態によれば、ショベル100を移動させることで、対空標識400を移動させることができ、且つ、他の機器を必要とせずに、目標点の座標を取得できる。
【0141】
したがって、例えば、対空標識が設置されていない地域や、トータルステーション等の機器の運搬が困難である山岳地帯等においても、容易に空撮した画像を用いた測量を行うことができる。
【0142】
また、本実施形態によれば、測量の範囲が変更されても、目標点の座標を容易に取得できる。また、本実施形態では、同一の目標点を含む複数の画像を撮影することで、同一の目標点を含む広域の画像を取得することができる。
【0143】
尚、本実施形態では、ショベルを対空標識400が設置される作業機械の一例としたが、対空標識400が設置される作業機械はショベルに限定されない。対空標識400が設置される作業機械は、自機の位置情報を取得する機能を有するものであれば、どのようなものであってもよい。特に、3次元マシンガイダンス等の機能を有する作業機械であれば、より好ましい。
【0144】
さらに、対空標識が設けられる対象は、作業機械に限定されなくても良く、目標点の位置情報を管理装置300に提供することができる移動体であれば良い。したがって、対空標識が設けられる対象は、例えば、自動車や二輪車等であってもよい。また、対空標識が設けられる対象は、人の操縦によって移動する移動体であってもよいし、自動で移動(走行)する移動体であってもよい。
【0145】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0146】
30 コントローラ
31 稼働状態判定部
32 基準データ生成部
33 飛行状態判定部
34 表示制御部
40 表示装置
41 画像表示部
100 ショベル
200 飛行体
300 管理装置
500 基準データ
600 撮像データ