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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20240401BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20240401BHJP
   F15B 11/042 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
E02F9/22 E
F15B11/08 A
F15B11/042
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020059313
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156082
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三崎 陽二
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-230108(JP,A)
【文献】特開平03-163202(JP,A)
【文献】特開2019-002512(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078077(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/022164(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
F15B 11/08
F15B 11/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプと、
前記油圧ポンプが吐出する作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプが吐出する作動油を前記油圧アクチュエータに供給可能な油路と、
前記油路に設けられ、前記油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を制御する制御弁と、
前記油路に設けられ、前記油圧アクチュエータを経由せずに作動油タンクに流れる作動油の流量を制御するブリード弁と、
前記油圧アクチュエータの操作のために用いられる操作装置と、
前記ブリード弁の開口面積を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記油圧アクチュエータが加速状態であるかまたは減速状態であるかの加減速状態を判定し、
判定された前記加減速状態に基づいて、前記操作装置の操作量と前記ブリード弁の開口面積との対応関係を示す前記ブリード弁の開口特性を選択し、
選択された前記開口特性と前記操作装置の操作量とに基づいて、前記ブリード弁の開口面積を制御し、
前記油圧アクチュエータが加速状態と判定された場合に選択される前記開口特性と、前記油圧アクチュエータが減速状態と判定された場合に選択される前記開口特性とは、異なる、
ショベル。
【請求項2】
前記油圧アクチュエータの加減速状態は、
前記操作装置から前記制御弁に供給されるパイロット圧、前記操作装置の操作量、前記油圧アクチュエータによって駆動されるアタッチメントの動作量のうち少なくとも1つに基づいて判断される、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
同一の前記操作装置の操作量において、前記油圧アクチュエータが減速状態と判定された場合に選択される前記開口特性における前記ブリード弁の開口面積は、前記油圧アクチュエータが加速状態と判定された場合に選択される前記開口特性における前記ブリード弁の開口面積よりも大きい、
請求項1または請求項2に記載のショベル。
【請求項4】
前記制御部は、
判定された前記加減速状態及び前記油圧アクチュエータの加減速度に基づいて、前記ブリード弁の前記開口特性を選択する、
請求項1または請求項2に記載のショベル。
【請求項5】
同一の前記操作装置の操作量において、前記油圧アクチュエータが加速状態と判定され、加速度が第1閾値以上の場合に選択される前記開口特性における前記ブリード弁の開口面積は、前記油圧アクチュエータが加速状態と判定され、加速度が前記第1閾値未満の場合に選択される前記開口特性における前記ブリード弁の開口面積よりも小さく、
同一の前記操作装置の操作量において、前記油圧アクチュエータが減速状態と判定され、減速度が第2閾値以上の場合に選択される前記開口特性における前記ブリード弁の開口面積は、前記油圧アクチュエータが加速状態と判定され、減速度が前記第2閾値未満の場合に選択される前記開口特性における前記ブリード弁の開口面積よりも大きい、
請求項4に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者による操作レバーの操作に応じて、油圧ポンプが吐出する作動油を油圧アクチュエータに供給して、油圧アクチュエータを動作させるショベルが知られている。また、ショベルには、油圧ポンプが吐出する作動油のうち、油圧アクチュエータを経由せずに作動油タンクに流れる作動油の流量を制御するブリード弁が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、操作レバーの操作量(ストローク)に対してブリード弁の開口面積が一対一に対応するスプール開口特性を有する油圧ショベルの油圧回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-47983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたショベルでは、油圧アクチュエータが加速時であるか減速時であるかに係らず、操作レバーの操作量に対してブリード弁の開口面積が一対一に対応している。このため、油圧アクチュエータの動作状況に応じて、好適な操作性が得られるショベルが求められている。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、操作性のよいショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るショベルは、油圧ポンプと、前記油圧ポンプが吐出する作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプが吐出する作動油を前記油圧アクチュエータに供給可能な油路と、前記油路に設けられ、前記油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を制御する制御弁と、前記油路に設けられ、前記油圧アクチュエータを経由せずに作動油タンクに流れる作動油の流量を制御するブリード弁と、前記油圧アクチュエータの操作のために用いられる操作装置と、前記ブリード弁の開口面積を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記油圧アクチュエータが加速状態であるかまたは減速状態であるかの加減速状態を判定し、判定された前記加減速状態に基づいて、前記操作装置の操作量と前記ブリード弁の開口面積との対応関係を示す前記ブリード弁の開口特性を選択し、選択された前記開口特性と前記操作装置の操作量とに基づいて、前記ブリード弁の開口面積を制御し、前記油圧アクチュエータが加速状態と判定された場合に選択される前記開口特性と、前記油圧アクチュエータが減速状態と判定された場合に選択される前記開口特性とは、異なる
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、操作性のよいショベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るショベルの側面図
図2図1のショベルの駆動系の構成例を示すブロック図
図3図1のショベルに搭載される油圧回路の構成例を示す概略図
図4】レバー操作量とブリード弁開口面積との関係を示す図
図5】比例弁電流値とブリード弁開口面積との関係を示す図
図6】ブリード弁の制御を示すフローチャート
図7】レバー操作量とアクチュエータ速度との時間的推移を示すタイムチャート
図8】電気式操作装置を含む操作システムの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
最初に、図1を参照して、本発明の実施形態に係るショベルの全体構成について説明する。図1は本発明の実施形態に係るショベル(掘削機)の側面図である。
【0012】
図1に示されるように、ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、エンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、運転室であるキャビン10が設けられ、且つエンジン11等の動力源が搭載される。
【0013】
キャビン10内には、コントローラ30が設置されている。コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM、ROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0014】
次に、図2を参照して、図1のショベルの駆動系の構成について説明する。図2は、図1のショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。図2中、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気制御系をそれぞれ二重線、太実線、破線、及び一点鎖線で示している。
【0015】
図2に示されるように、ショベルの駆動系は、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作圧センサ29、コントローラ30、比例弁31等を含む。
【0016】
エンジン11は、ショベルの駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に連結されている。
【0017】
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給する。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0018】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
【0019】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26及び比例弁31を含む各種油圧制御機器に作動油を供給する。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。
【0020】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、制御弁171~176、及びブリード弁177を含む。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できる。制御弁171~176は、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1A、右側走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aを含む。ブリード弁177は、メインポンプ14が吐出する作動油のうち、油圧アクチュエータを経由せずに作動油タンクに流れる作動油の流量(以下、「ブリード流量」とする。)を制御する。ブリード弁177は、コントロールバルブ17の外部に設置されていてもよい。
【0021】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施形態では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダル(図示せず。)の操作方向及び操作量に応じた圧力である。
【0022】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出する。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0023】
操作圧センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出する。本実施形態では、操作圧センサ29は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量を圧力(操作圧)の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作内容は、操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
【0024】
比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する電流指令に応じてパイロットポンプ15からコントロールバルブ17内のブリード弁177のパイロットポートに導入される二次圧を調整する電磁弁である。比例弁31は、例えば、電流指令が大きいほど、ブリード弁177のパイロットポートに導入される二次圧が大きくなるように動作する。
【0025】
次に、図3を参照して、ショベルに搭載される油圧回路の構成例について説明する。図3は、図1のショベルに搭載される油圧回路の構成例を示す概略図である。図3は、図2と同様に、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気制御系を、それぞれ二重線、太実線、破線、及び一点鎖線で示している。
【0026】
図3の油圧回路は、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14L、14Rから、管路42L、42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させている。メインポンプ14L、14Rは、図2のメインポンプ14に対応する。
【0027】
管路42Lは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lのそれぞれをメインポンプ14Lと作動油タンクとの間で並列に接続する高圧油圧ラインである。管路42Rは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rのそれぞれをメインポンプ14Rと作動油タンクとの間で並列に接続する高圧油圧ラインである。
【0028】
制御弁171は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を左側走行用油圧モータ1Aへ供給し、且つ、左側走行用油圧モータ1Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0029】
制御弁172は、メインポンプ14Rが吐出する作動油を右側走行用油圧モータ1Bへ供給し、且つ、右側走行用油圧モータ1Bが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0030】
制御弁173は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回用油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0031】
制御弁174は、メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
【0032】
制御弁175L、175Rは、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0033】
制御弁176L、176Rは、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0034】
ブリード弁177Lは、メインポンプ14Lが吐出する作動油に関するブリード流量を制御するスプール弁である。ブリード弁177Rは、メインポンプ14Rが吐出する作動油に関するブリード流量を制御するスプール弁である。ブリード弁177L、177Rは図2のブリード弁177に対応する。
【0035】
ブリード弁177L、177Rは、例えば、最小開口面積(開度0%)の第1弁位置と最大開口面積(開度100%)の第2弁位置とを有する。ブリード弁177L、177Rは、第1弁位置と第2弁位置との間で無段階に移動可能である。
【0036】
レギュレータ13L、13Rは、メインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。レギュレータ13L、13Rは、図2のレギュレータ13に対応する。コントローラ30は、例えば、メインポンプ14L、14Rの吐出圧の増大に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角をレギュレータ13L、13Rで調節して吐出量を減少させる。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないようにするためである。
【0037】
アーム操作レバー26Aは、操作装置26の一例であり、アーム5を操作するために用いられる。アーム操作レバー26Aは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176L、176Rのパイロットポートに導入させる。具体的には、アーム操作レバー26Aは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、アーム操作レバー26Aは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0038】
ブーム操作レバー26Bは、操作装置26の一例であり、ブーム4を操作するために用いられる。ブーム操作レバー26Bは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175L、175Rのパイロットポートに導入させる。具体的には、ブーム操作レバー26Bは、ブーム上げ方向に操作された場合に、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、ブーム操作レバー26Bは、ブーム下げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0039】
吐出圧センサ28L、28Rは、吐出圧センサ28の一例であり、メインポンプ14L、14Rの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0040】
操作圧センサ29A、29Bは、操作圧センサ29の一例であり、アーム操作レバー26A、ブーム操作レバー26Bに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0041】
左右走行レバー(又はペダル)、バケット操作レバー、及び旋回操作レバー(何れも図示せず。)はそれぞれ、下部走行体1の走行、バケット6の開閉、及び、上部旋回体3の旋回を操作するための操作装置である。これらの操作装置は、アーム操作レバー26A、ブーム操作レバー26Bと同様に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量(又はペダル操作量)に応じた制御圧を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する制御弁の左右何れかのパイロットポートに導入させる。これらの操作装置のそれぞれに対する操作者の操作内容は、操作圧センサ29A、29Bと同様に、対応する操作圧センサによって圧力の形で検出され、検出値がコントローラ30に対して出力される。
【0042】
コントローラ30は、操作圧センサ29A、29B等の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13L、13Rに対して制御指令を出力し、メインポンプ14L、14Rの吐出量を変化させる。また、必要に応じて比例弁31L1、31R1に対して電流指令を出力し、ブリード弁177L、177Rの開口面積を変化させる。
【0043】
比例弁31L1、31R1は、コントローラ30が出力する電流指令に応じてパイロットポンプ15からブリード弁177L、177Rのパイロットポートに導入される二次圧を調整する。比例弁31L1、31R1は、図2の比例弁31に対応する。
【0044】
比例弁31L1は、ブリード弁177Lを第1弁位置と第2弁位置の間の任意の位置で停止できるように二次圧を調整可能である。比例弁31R1は、ブリード弁177Rを第1弁位置と第2弁位置の間の任意の位置で停止できるように二次圧を調整可能である。
【0045】
次に、図3の油圧回路で採用されるネガティブコントロール制御(以下、「ネガコン制御」とする。)について説明する。
【0046】
管路42L、42Rには、最も下流にあるブリード弁177L、177Rのそれぞれと作動油タンクとの間にネガコン絞り18L、18Rが配置されている。ブリード弁177L、177Rを通過して作動油タンクに至る作動油の流れは、ネガコン絞り18L、18Rで制限される。そして、ネガコン絞り18L、18Rは、レギュレータ13L、13Rを制御するための制御圧(以下、「ネガコン圧」とする。)を発生させる。ネガコン圧センサ19L、19Rは、ネガコン圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0047】
本実施形態では、ネガコン絞り18L、18Rは、開口面積が変化する可変絞りである。ネガコン絞り18L、18Rは、但し、ネガコン絞り18L、18Rは、固定絞りであってもよい。
【0048】
コントローラ30は、ネガコン圧に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。以下では、ネガコン圧とメインポンプ14L、14Rの吐出量との関係を「ネガコン特性」という。ネガコン特性は、例えば、参照テーブルとしてROM等に記憶されていてもよく、所定の計算式で表現されていてもよい。コントローラ30は、例えば、所定のネガコン特性を表すテーブルを参照し、ネガコン圧が大きいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を減少させ、ネガコン圧が小さいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させる。
【0049】
具体的には、図3で示されるように油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、ブリード弁177L、177Rを通ってネガコン絞り18L、18Rに至る。そして、ブリード弁177L、177Rを通過する作動油の流れは、ネガコン絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L、14Rの吐出量を所定の許容最小吐出量まで減少させ、吐出された作動油が管路42L、42Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。待機状態におけるこの所定の許容最小吐出量は、ブリード流量の一例であり、以下では、「スタンバイ流量」という。
【0050】
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を通って操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そのため、ブリード弁177L、177Rを通ってネガコン絞り18L、18Rに至るブリード流量は減少し、ネガコン絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧は低下する。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を供給し、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。なお、以下では、油圧アクチュエータに流れ込む作動油の流量を「アクチュエータ流量」という。この場合、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流量は、アクチュエータ流量とブリード流量の合計に相当する。
【0051】
上述のような構成により、図3の油圧回路は、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14L、14Rから必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。また、待機状態においては、油圧エネルギの無駄な消費を抑制できる。ブリード流量をスタンバイ流量まで低減させることができるためである。
【0052】
ところで、ショベルにおいては、油圧アクチュエータ(ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1A、右側走行用油圧モータ1B、旋回用油圧モータ2A)の加速時には、メインポンプ14(14L、14R)から制御弁(171~175)を介して油圧アクチュエータに供給する作動油の圧力を高くすることが好ましい。油圧アクチュエータに供給する作動油の圧力を高くすることで、油圧アクチュエータに供給する作動油量を増やし、好適に油圧アクチュエータを加速させることができる。一方、ショベルにおいては、油圧アクチュエータの減速時には、メインポンプ14(14L、14R)から制御弁(171~175)を介して油圧アクチュエータに供給する作動油の圧力を低くすることが好ましい。油圧アクチュエータに供給する作動油の圧力を低くすることで、油圧アクチュエータに供給する作動油量を減らし、好適に油圧アクチュエータを減速させることができる。
【0053】
そこで、本実施形態では、油圧アクチュエータの加減速状態に基づいてブリード弁177(177L、177R)の開口面積を制御することにより、油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力を調整する。
【0054】
コントローラ30は、加減速状態判定部301と、電流値生成部302と、記憶部303と、を備えている。
【0055】
加減速状態判定部301は、油圧アクチュエータ(ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1A、右側走行用油圧モータ1B、旋回用油圧モータ2A)の加減速状態を判定する。ここで、油圧アクチュエータの加速状態とは、油圧アクチュエータに供給する作動油量を増やす状態をいう。油圧アクチュエータの減速状態とは、油圧アクチュエータに供給する作動油量を減らす状態をいう。換言すれば、操作装置26の操作レバー(アーム操作レバー26A、ブーム操作レバー26B等)を中立位置から離れる方向に操作している状態を加速状態とする。また、操作レバーを中立位置に戻す方向に操作している状態を減速状態とする。加減速状態判定部301は、操作圧センサ29の検出値に基づいて、操作装置26の操作レバーの操作状態を判定することで、油圧アクチュエータの加減速状態を判定する。
【0056】
例えば、加減速状態判定部301は、所定の検出周期で、検出値(ここでは、操作圧センサ29で検出するパイロット圧)を検出している。加減速状態判定部301は、検出値の現在値及び過去の検出値に基づいて、加減速状態を判定する。例えば、加減速状態判定部301は、検出値の現在値が、前回値よりも上昇していた場合には加速状態と判定し、前回値よりも減少していた場合には減速状態と判定してもよい。また、加減速状態判定部301は、現在値から過去所定回数分までの検出値に基づいて、検出値が上昇傾向(例えば、一次関数をフィッティングして傾きが正。)である場合には加速状態と判定し、減少傾向(例えば、一次関数をフィッティングして傾きが負。)である場合には減速状態と判定してもよい。
【0057】
なお、加減速状態判定部301は、操作圧センサ29の検出値に基づいて、油圧アクチュエータの加減速状態を判定するものとして説明したが、これに限られるものではない。加減速状態判定部301は、操作装置26に設けられた操作レバーの操作量を検出する位置センサ(図示せず)や角度センサ(図示せず)の検出値に基づいて、油圧アクチュエータの加減速状態を判定する構成であってもよい。また、加減速状態判定部301は、油圧アクチュエータの作動油の圧力を検出する圧力センサ(例えば、ロッド圧センサ、ボトム圧センサ等)の検出値に基づいて、油圧アクチュエータの加減速状態を判定する構成であってもよい。また、加減速状態判定部301は、制御弁(171~175)のスプールの位置を検出する位置センサを有している場合、スプールの位置変化(スプールの移動方向)に基づいて、油圧アクチュエータの加減速状態を判定する構成であってもよい。
【0058】
電流値生成部302は、比例弁31(比例弁31L1、31R1)に出力する電流指令を生成する。比例弁31は、コントローラ30が出力する電流指令に応じてブリード弁177のパイロットポートに導入される二次圧を調整する。ブリード弁177は、パイロットポートに導入される二次圧に基づいて、スプールが移動し、開口面積を変化させる。
【0059】
記憶部303には、制御に用いるテーブル等が記憶されている。なお、記憶部303に記憶されるテーブルについて、図4から図5を用いて更に説明する。
【0060】
図4は、レバー操作量とブリード弁開口面積との関係を示す図である。図5は、比例弁電流値とブリード弁開口面積との関係を示す図である。レバー操作量とブリード弁開口面積との関係(以下「ブリード弁開口特性」という。)、及び比例弁電流値とブリード弁開口面積との関係(以下「比例弁特性」という。)は、例えば、参照テーブルとして記憶部303に記憶されていてもよく、所定の計算式で表現され記憶部303に記憶されていてもよい。
【0061】
図4(a)において、油圧アクチュエータの加速状態におけるブリード弁開口特性を実線で示し、油圧アクチュエータの減速状態におけるブリード弁開口特性を破線で示す。
【0062】
加速時のブリード弁開口特性410(実線)と減速時のブリード弁開口特性420(破線)とを対比して示すように、レバー操作量が同じである場合、油圧アクチュエータの減速状態でのブリード弁177の開口面積を、油圧アクチュエータの加速状態でのブリード弁177の開口面積よりも大きくする。即ち、油圧アクチュエータの減速状態では、ブリード流量を増大させてアクチュエータ流量を低減する。また、油圧アクチュエータの加速状態では、ブリード流量を減少させてアクチュエータ流量を増大する。
【0063】
なお、ブリード弁開口特性は、加速状態と減速状態に分かれるものとして説明したが、これに限られるものではない。図4(b)に示すように、加速状態において、加速度に応じてブリード弁開口特性を変化させてもよい。例えば、加速度が第1閾値以上の場合、ブリード弁開口特性411を用い、加速度が第1閾値未満第2閾値以上の場合、ブリード弁開口特性412を用い、加速度が第2閾値未満の場合、ブリード弁開口特性413を用いるようにしてもよい。また、例えば、減速度が第3閾値以上の場合、ブリード弁開口特性421を用い、減速度が第3閾値未満第4閾値以上の場合、ブリード弁開口特性422を用い、減速度が第4閾値未満の場合、ブリード弁開口特性423を用いるようにしてもよい。
【0064】
ここで、比例弁31の特性により、比例弁31の電流指令値(比例弁電流値)と比例弁31の開口面積との対応が定まる。また、ブリード弁177のパイロット圧は、パイロットポンプ15と比例弁31の開口面積との対応が定まる。また、ブリード弁177の特性により、パイロット圧とブリード弁177の開口面積との対応が定まる。このため、図5に示すように、比例弁31の電流指令値(比例弁電流値)とブリード弁177の開口面積との対応が定まる。このように、比例弁31の電流指令値(比例弁電流値)とブリード弁177の開口面積との対応(例えば、図5)に基づいて、要求するブリード弁177の開口面積に対応する比例弁31の電流指令値(比例弁電流値)を求めることができる。
【0065】
次に、ブリード弁177の制御について、図6を用いて説明する。図6は、ブリード弁177の制御を示すフローチャートである。なお、コントローラ30は、ショベルの稼働中に所定の制御周期で繰り返しこの処理を実行する。
【0066】
ステップS101において、加減速状態判定部301は、アクチュエータの加減速状態を判定する。
【0067】
ステップS102において、電流値生成部302は、ステップS101において判定したアクチュエータの加減速状態の判定結果に基づいて、図4(a)に示す加速時のブリード弁開口特性410と減速時のブリード弁開口特性420のいずれを用いるかを選択する。なお、図4(b)に示すように、加減速状態と加減速度に基づいてブリード弁開口特性を切り替える構成では、加減速状態と加減速度に基づいてブリード弁開口特性411~413,421~423からいずれのブリード弁開口特性を用いるかを選択する。
【0068】
ステップS103において、電流値生成部302は、ステップS102において選択したブリード弁開口特性と操作レバーの操作量に基づいて、ブリード弁177の開口面積を決定する。
【0069】
ステップS104において、電流値生成部302は、ステップS103において決定したブリード弁177の開口面積と比例弁特性(図5参照)に基づいて、比例弁31の電流指令値を決定する。
【0070】
ステップS105において、電流値生成部302は、ステップS104において決定した電流指令値を比例弁31に出力する。
【0071】
図7は、レバー操作量とアタッチメント速度との時間的推移を示すタイムチャートである。ここでは、操作装置26を操作して油圧アクチュエータを動作させることにより、アタッチメントを移動させる。図7において、上段にアタッチメント速度、下段にレバー操作量を示し、横軸は時間tを示す。
【0072】
図7の例において、プロファイル701に示すように、時刻T0から時刻T1の間で中立位置から倒し込み、時刻T1から時刻T2の間で倒し込んだ操作レバーを中立位置まで戻す操作を行ったものとする。
【0073】
一点鎖線で示すプロファイル710は、操作レバーの操作に完全に追随する理想的なアタッチメント速度のプロファイルを示す。ここでは、時刻T0から時刻T1の間でアタッチメント速度が上昇し、時刻T1から時刻T2の間でアタッチメント速度が減少する。
【0074】
ここで、参考例におけるアタッチメント速度のプロファイル712を破線で示す。参考例では、アタッチメントの加速減速に係らず、1つのブリード弁開口特性を用いた制御である。この場合、アタッチメントの加速時には、ポンプ圧が立ち上がるまでに遅延が生じることで遅れが生じる。一方、アタッチメントの減速時には、ポンプ圧が下がるまでに遅延が生じることで遅れが生じている。このため、操作者による操作レバーの操作量と、実際のアタッチメントの動作との間に時間的ずれが生じることで、操作性の改善が求められている。
【0075】
これに対し、本実施例におけるアタッチメント速度のプロファイル711を実線で示す。本実施例では、アタッチメントの加速時には、ブリード弁177の開口面積を小さくしてポンプ圧を速やかに立ち上げる。これにより、アタッチメントは、速やかに加速する。また、アタッチメントの減速時には、ブリード弁177の開口面積を大きくすることでポンプ圧を速やかに下げる。これにより、アタッチメントは、速やかに減速する。このため、操作者による操作レバーの操作量と、実際のアタッチメントの動作との間の時間的ずれを減少して、良好な操作性が得られる。
【0076】
なお、本実施例におけるアタッチメント速度のプロファイル711と参考例におけるアタッチメント速度のプロファイル712とは、加速度及び減速度がほぼ同一である。ここで、参考例におけるアタッチメント速度のプロファイル712において、加速度が減速度よりも小さくなることも起こりえる。この場合、参考例におけるアタッチメント速度のプロファイル712は、理想的なアタッチメント速度のプロファイルに対して、より大きな遅れが生じてしまう。これに対して、本実施例では、参考例よりも加速度が大きく、減速度は小さくなる。このため、操作者による操作レバーの操作量と、実際のアタッチメントの動作との間の時間的ずれをより減少させることができるため、良好な操作性が得られる。
【0077】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0078】
例えば、図3では、メインポンプ14Lから油圧アクチュエータに向かう作動油の流れを制御する制御弁171、173、175L及び176Lのそれぞれは、メインポンプ14Lと作動油タンクとの間で互いに並列に接続されている。しかしながら、制御弁171、173、175L及び176Lのそれぞれは、メインポンプ14Lと作動油タンクとの間で直列に接続されていてもよい。この場合、各制御弁を構成するスプールが何れの弁位置に切り換えられていたとしても、管路42Lは、スプールで遮断されることなく、下流側に配置された隣接する制御弁に作動油を供給できる。
【0079】
同様に、メインポンプ14Rから油圧アクチュエータに向かう作動油の流れを制御する制御弁172、174、175R及び176Rのそれぞれは、メインポンプ14Rと作動油タンクとの間で互いに並列に接続されている。しかしながら、制御弁172、174、175R及び176Rのそれぞれは、メインポンプ14Rと作動油タンクとの間で直列に接続されていてもよい。この場合、各制御弁を構成するスプールが何れの弁位置に切り換えられていたとしても、管路42Rは、スプールで遮断されることなく、下流側に配置された隣接する制御弁に作動油を供給できる。
【0080】
また、制御弁171、173、175L及び176Lのそれぞれがメインポンプ14Lと作動油タンクとの間で直列に接続され、制御弁172、174、175R及び176Rのそれぞれがメインポンプ14Rと作動油タンクとの間で直列に接続される場合、センターバイパス管路40L、40R及びパラレル管路42L、42Rを有する構成であってもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、操作装置26として油圧式操作装置が採用されているが、電気式操作装置が採用されてもよい。図8は、電気式操作装置を含む操作システムの構成例を示す。具体的には、図8の操作システムは、ブーム操作システムの一例であり、主に、パイロット圧作動型のコントロールバルブ17と、電気式操作レバーとしてのブーム操作レバー26Bと、コントローラ30と、ブーム上げ操作用の電磁弁60と、ブーム下げ操作用の電磁弁62とで構成されている。図8の操作システムは、アーム操作システム、バケット操作システム等にも同様に適用され得る。
【0082】
パイロット圧作動型のコントロールバルブ17は、図3に示すように、ブームシリンダ7に関する制御弁175L、175Rを含む。電磁弁60は、パイロットポンプ15と制御弁175Lの右側(上げ側)パイロットポート及び制御弁175Rの左側(上げ側)パイロットポートのそれぞれとを繋ぐ油路の流路面積を調整できるように構成されている。電磁弁62は、パイロットポンプ15と制御弁175Rの右側(下げ側)パイロットポートとを繋ぐ油路の流路面積を調整できるように構成されている。
【0083】
手動操作が行われる場合、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Bの操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に応じてブーム上げ操作信号(電気信号)又はブーム下げ操作信号(電気信号)を生成する。ブーム操作レバー26Bの操作信号生成部が出力する操作信号は、ブーム操作レバー26Bの操作量及び操作方向に応じて変化する電気信号である。
【0084】
具体的には、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Bがブーム上げ方向に操作された場合、レバー操作量に応じたブーム上げ操作信号(電気信号)を電磁弁60に対して出力する。電磁弁60は、ブーム上げ操作信号(電気信号)に応じて流路面積を調整し、制御弁175Lの右側(上げ側)パイロットポートと制御弁175Rの左側(上げ側)パイロットポートとに作用するパイロット圧を制御する。同様に、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Bがブーム下げ方向に操作された場合、レバー操作量に応じたブーム下げ操作信号(電気信号)を電磁弁62に対して出力する。電磁弁62は、ブーム下げ操作信号(電気信号)に応じて流路面積を調整し、制御弁175Rの右側(下げ側)パイロットポートに作用するパイロット圧を制御する。
【0085】
自動制御を実行する場合、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Bの操作信号生成部が出力する操作信号の代わりに、補正操作信号(電気信号)に応じてブーム上げ操作信号(電気信号)又はブーム下げ操作信号(電気信号)を生成する。補正操作信号は、コントローラ30が生成する電気信号であってもよく、コントローラ30以外の外部の制御装置等が生成する電気信号であってもよい。
【0086】
また、操作装置26として、電気式操作装置が用いられる構成において、加減速状態判定部301は、所定の検出周期で、検出値(例えば、ブーム操作レバー26Bの操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号))を検出している。加減速状態判定部301は、検出値の現在値及び過去の検出値に基づいて、加減速状態を判定する。例えば、加減速状態判定部301は、検出値の現在値が、前回値よりも上昇していた場合には加速状態と判定し、前回値よりも減少していた場合には減速状態と判定してもよい。また、加減速状態判定部301は、現在値から過去所定回数分までの検出値に基づいて、検出値が上昇傾向(例えば、一次関数をフィッティングして傾きが正。)である場合には加速状態と判定し、減少傾向(例えば、一次関数をフィッティングして傾きが負。)である場合には減速状態と判定してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1A 左側走行用油圧モータ(油圧アクチュエータ)
1B 右側走行用油圧モータ(油圧アクチュエータ)
2A 旋回用油圧モータ(油圧アクチュエータ)
7 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
8 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
9 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
14 メインポンプ
15 パイロットポンプ
17 コントロールバルブ
26 操作装置
26A アーム操作レバー
26B ブーム操作レバー
29 操作圧センサ
29A、29B 操作圧センサ
30 コントローラ
31 比例弁
42L、42R 管路(油路)
171~176 制御弁
177 ブリード弁
301 加減速状態判定部
302 電流値生成部
303 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8