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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】薄葉紙収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20240401BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20240401BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K10/42 A
A47K10/20 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020064636
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160786
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 剛一
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-043184(JP,A)
【文献】実開昭61-059572(JP,U)
【文献】特開2009-040481(JP,A)
【文献】登録実用新案第3035377(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/42
A47K 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄葉紙の束を収納する薄葉紙収納箱であって、
前記薄葉紙収納箱の形状は、上面部、下面部、および四つの側面部からなる六面体であり、
前記上面部に衛生薄葉紙の取出口が設けられ、
前記取出口は使用者が手を差し入れることが可能な大きさの開口であり、
前記薄葉紙収納箱の内部に、複数の薄葉紙を包装フィルムによって包装し、前記包装フィルムの上面に取出口形成用ミシン目が形成された包装体が設けられ、
前記薄葉紙収納箱の内部であって前記包装体の上面側に対面して、全体が上下方向に移動可能で、自重により下方に落下する中板が配置され、前記薄葉紙収納箱と別体に設けられ、
この中板に薄葉紙が通過可能な第二取出口が設けられ、
前記四つの側面部のうちの一つ以上の側面部に、薄葉紙収納箱内方に折り込まれることにより薄葉紙収納箱内部に突出して、前記中板の上方への移動を規制する係止片を形成する係止部が設けられている、
ことを特徴とする薄葉紙収納箱。
【請求項2】
前記薄葉紙収納箱は、段ボール紙で形成されている請求項1に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項3】
前記係止部は、上方側を側面部との連結部として下方側が収納箱内方に折り込まれるように形成されている、請求項1又は2記載の薄葉紙収納箱。
【請求項4】
前記係止部が、上下方向の複数個所に設けられている請求項1~3の何れか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイプ、ペーパータオル、ティシュペーパー、トイレットペーパー、またはキッチンペーパーなどの薄葉紙は、一般に、薄葉紙収納箱に収納して使用されている。
【0003】
薄葉紙を取り出す取出口は、例えば、薄葉紙収納箱の上面部に設けられており、使用前の段階では、取出口には破断用切目線に沿った蓋部によって覆われている。薄葉紙収納箱内の薄葉紙は、一般に、複数回折り畳まれた状態で収納されており、薄葉紙の折り返し片の縁が上下に隣接する薄葉紙の折り返し片の内面に位置するようにして、複数の薄葉紙は互い違いに重なり合いながら積層されている。
【0004】
そして、使用時には、蓋部を破断用切目線に沿って切り離すことで取出口が形成され、取出口から薄葉紙収納箱内の薄葉紙が順次取出されて使用されている(例えば、特許文献1参照)。このとき、次に引き出される薄葉紙は、取り出される薄葉紙に引きずられて、取出口から一部露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-175684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
取出口が上面部に設けられている薄葉紙収納箱では、薄葉紙収納箱内の薄葉紙が少なくなると、取出口と内包される薄葉紙の束の上面との距離が遠くなり、薄葉紙を取出口から取り出しても、次に引き出される薄葉紙は、薄葉紙収納箱内に残っている薄葉紙の束の上面により、その自重の一部が支えられなくなって、自重により薄葉紙収納箱内の底面部の方に落ち込んでしまうことがある。複数の薄葉紙が互い違いに重なり合わせずに積層して収納されている場合でも同様である。よって、薄葉紙収納箱内の薄葉紙が少なくなるほど、薄葉紙収納箱から薄葉紙が取り出し難くなる傾向がある。
【0007】
特に、掃除などに使用されるワイプは、業務用として使用される場合が多い。こうした用途に使用される薄葉紙収納箱は、多数(例えば、150枚程度)のワイプを収納できるように、高さが、例えば、200~350mm程度の大型のものが多い。そのため、薄葉紙収納箱内のワイプが少なくなると、さらに薄葉紙収納箱内のワイプは取り出し難くなる。
【0008】
さらに、業務用として使用されるワイプでは、詰め替え用又はそのまま使用される形態として、多数を樹脂製の包装フィルムによって包装した形態で提供されることがある。このような樹脂製の包装フィルムで包装されたワイプは、包装フィルムの上面部分にスリット口を形成して内部のワイプを引き出すようになっている。しかしながら、このような包装形態のものも薄葉紙収納箱内の薄葉紙が少なくなるほど、薄葉紙収納箱から薄葉紙が取り出し難くなる傾向がある。
【0009】
そこで、 本発明の主たる課題は、最後まで薄葉紙を取り出し易くすることができる薄葉紙収納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決した第一の手段は、
複数の薄葉紙の束を収納する薄葉紙収納箱であって、
前記薄葉紙収納箱の形状は、上面部、下面部、および四つの側面部からなる六面体であり、
前記上面部に衛生薄葉紙の取出口が設けられ、
前記取出口は使用者が手を差し入れることが可能な大きさの開口であり、
前記薄葉紙収納箱の内部に、複数の薄葉紙を包装フィルムによって包装し、前記包装フィルムの上面に取出口形成用ミシン目が形成された包装体が設けられ、
前記薄葉紙収納箱の内部であって前記包装体の上面側に対面して、全体が上下方向に移動可能で、自重により下方に落下する中板が配置され、前記薄葉紙収納箱と別体に設けられ、
この中板に薄葉紙が通過可能な第二取出口が設けられ、
前記四つの側面部のうちの一つ以上の側面部に、薄葉紙収納箱内方に折り込まれることにより薄葉紙収納箱内部に突出して、前記中板の上方への移動を規制する係止片を形成する係止部が設けられている、
ことを特徴とする薄葉紙収納箱である。
【0011】
第二の手段は、
前記薄葉紙収納箱は、段ボール紙で形成されている上記第一の手段に係る薄葉紙収納箱である。
【0012】
第三の手段は、
前記係止部は、上方側を側面部との連結部として下方側が収納箱内方に折り込まれるように形成されている、上記第一又は第二の手段に係る薄葉紙収納箱である。
【0013】
第四の手段は、
前記係止部が、上下方向の複数個所に設けられている上記第一~第三の手段に係る薄葉紙収納箱である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、最後まで薄葉紙を取り出し易くすることができる薄葉紙収納箱が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る実施形態の薄葉紙収納箱の斜視図である。
図2】係止片を形成した図である。
図3】薄葉紙収納箱の構造例を示す斜視図である。
図4】中板を示す平面図である。
図5】薄葉紙収納箱にワイプを収納している形態を説明する図である。
図6】薄葉紙収納箱の使用形態を説明するための側面図である。
図7】薄葉紙収納箱の使用形態を説明するための内部を上方から見た図である。
図8】本発明に係る他の実施形態の薄葉紙収納箱を説明するための図である。
図9】本発明に係る他の実施形態の薄葉紙収納箱を説明するための斜視図である。
図10】ワイプの束を説明するための図である。
図11】ワイプの包装形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、理解を容易にするため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において、薄葉紙収納箱の上面部側を上または上方といい、薄葉紙収納箱の高さ方向の下面部側を下または下方という場合がある。
【0017】
なお、本発明に係る衛生薄葉紙とは、NBKP、LBKP、NUKP等のパルプ原料を湿式抄紙した狭議の紙に限定されず、不織布、織布等の繊維シートをも含む。また、エンボス加工等が施されていてもよい。以下の本実施形態では、衛生薄葉紙として、ワイプを用いる場合について説明する。ワイプは、一般には衛生薄葉紙のなかでもティシュペーパーやトイレットペーパーよりもソフトネスが高く、コシがある。
【0018】
図1は、実施形態に係る薄葉紙収納箱の一例を示す図であり、図2は、その係止部を係止片とした一例を示す斜視図であり、図3は、実施形態に係る薄葉紙収納箱の構造の一例を示す斜視図であり、図4は、中板を示す図であり、図5は、収納箱本体内にワイプを収納している状態を側面部を透して見た図である。図1図5に示すように、本実施形態に係る薄葉紙収納箱10は、収納箱本体11、および中板12を有し、収納箱本体11の内部にワイプWが収納される。なお、図面は、直方体形状の薄葉紙収納箱であるが、本実施形態では、直方体形状に限らず、立方体形状を含む六面体形状を対象とする。
【0019】
収納箱本体11は、上面部11aと、下面部11bと、上面部11aおよび下面部11bを連結する四つの側面部とからなる略直方体(立方体を含む)状に形成された箱体である。四つの側面部は、前面部11c、後面部11d、左側面部11e、および右側面部11fで構成されている。収納箱本体11は、上面部に取出口13を有しているとともに、その内部にワイプWが収納される。
【0020】
また、収納箱本体11の左側面部11e、および右側面部11fには、好ましい形態として、切り抜きによって形成された持ち運び用の指かけ孔15,15が形成されている。指かけ孔15を形成することで、薄葉紙収納箱10の持ち運び性が向上し、利便性が高まる。
【0021】
なお、本実施形態において、上面部11a、下面部11b、前面部11c、後面部11d、左側面部11e、および右側面部11fの用語は、図1に示す状態の収納箱本体11を便宜的に表わす用語である。薄葉紙収納箱10の使用と関係なく、薄葉紙収納箱10の載置状態によって、これらの面の位置は変わる。
【0022】
収納箱本体11の外形寸法は、収納されるワイプWの量や寸法などにより決定されるが、例えば、長手方向の長さは、100~500mm程度、好ましくは180~450mm程度とする。短手方向の長さは、100~250mm程度、好ましくは100~130mm程度とする。高さは、100~400mm程度、好ましくは200~350mm程度とする。
【0023】
収納箱本体11の基材としては、例えば、段ボール、プラスチック段ボール、コートボール紙などを用いることができる。特に、人の手によって折り曲げ可能な素材であるのが望ましい。なお、段ボールは、バージンパルプ、古紙パルプなどのパルプを主原料とする公知の紙素材を用いて形成される。プラスチック段ボールは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレンテレフタレートなどの公知のプラスチック素材を用いて形成される。特に、好ましくは、安価である段ボールである。
【0024】
中板12は、収納箱本体11の内部に設けられている。中板12の材料としては、上記の収納箱本体11の素材と同様の素材から選択でき、特に好ましくは、段ボールである。
【0025】
中板12は、図4に示すように、平板状に形成され、その中央にワイプWが通過できる第二取出口14が形成されている。中板12は、図1及び図2に示すように、その四側縁12c,12d,12e,13fが、収納箱本体の前面部11c、後面部11d、左側面部11e、および右側面部11fに対して接する又は隙間を空けて対面するようにして、収納箱本体11の上面部11a及び下面部11bと略平行に設けられる。これにより、中板12は、収納箱本体11の側面部により規制され、意図せず反転することなく、上下方向のみに移動可能とされる。特に好ましくは、中板12は、収納箱本体内を自重によって下方に落下できるように設ける。
【0026】
また、中板12は、図5に示すように、収納箱本体11に収納されるワイプWの束3の上面側に配置される。
【0027】
中板12が収納箱本体11内に設けられることで、収納箱本体11内の空間は上下方向に二つの空間S1、S2に区画されるとともに、中板12が下方へ移動することで、特に、収納箱本体11の下方側の空間S2の上下方向の高さが低くなるようになる。よって、図6及び図7に示すように、収納箱本体11内に収納されているワイプWが少なくなり、ワイプWの束3の高さが低くなっても、収納箱本体11内の中板12が下方に移動することによって、ワイプWの束3の上面と第二取出口14の位置を近くすることができ、第二取出口14から露出するワイプWが中板12より下方に落ち込むことを防ぐことができる。
【0028】
なお、中板12の四側縁12c,12d,12e,13fが、収納箱本体の前面部11c、後面部11d、左側面部11e、および右側面部11fに対して接するように配置すると、中板の四側縁と収納箱の四側面とに摩擦が生じるが、そのような場合でも手で押し込むなどの下方への押し込み操作によって中板を下方に移動させることができる。また、中板12の四縁12c,12d,12e,13fが、収納箱本体の前面部11c、後面部11d、左側面部11e、および右側面部11fに対して隙間があるように配置すると、ワイプWを使用してワイプWの束3の上面の高さが低くなるにつれて、中板12が自重によって下方に移動する。もちろん、隙間を空けて配置した場合にも押し込み操作で下方に移動させることができる。
【0029】
中板12に設けられる第二取出口14の形状及び大きさは適宜に設計することができる。図示の形態では、楕円形となっているが長方形でも正方形でもよい。また、図示はしないが、中板自体を凹型状に形成するようにして、その凹部を第二取出口14としてもよい。
【0030】
収納箱本体11は、上面部11aにワイプWを取り出すための取出口13を有する。
【0031】
取出口13は、使用前の段階では、収納箱本体11の上面部に破断用切目線(ミシン目)を介して収納箱本体11と一体となった蓋部としておき、使用時に、この蓋部を破断用切目線に沿って切り離すことで、形成されるようにしてもよい。
【0032】
収納箱本体11に収納されたワイプは、中板12の第二取出口14及び上面部11aの取出口13を介して外部に引き出される。取出口13の位置は、上面部の中央部にあり、その大きさは、適宜定めれることができる。収納箱本体11内に使用者の手を差し入れることが可能な程度の大きさとするのがよい。これにより、例えば、収納箱本体11内のワイプWが少なくなって、束3の最上位のワイプWが中板12の第二取出口14から中板12より上方の空間S1に露出はするものの、上面部11aの取出口13よりも下方にある場合、つまり、取出口13からは露出しない場合に、上面部11aの取出口13から使用者が手を差し入れて引き出すことができるようになる。
【0033】
また、収納箱本体11の前面部11cと後面部11dには、上下方向の同位置に、上面部側に上面部11aと平行な部分を残して略コ字状に切込むことによって、収納箱本体11の内方に折り込み可能とされた係止部16が設けられている。但し、係止部16の形状や大きさは限定されず、収納箱本体11の大きさや中板12の大きさを考慮して適宜に定めることができる。この係止部16を収納箱本体11の内方に折り込むことにより、薄葉紙収納箱内部において、上面部11aと下面部11bと略平行に突出するように板状の係止片16aが形成される。よって、中板12の位置がこの係止部16よりも下方に位置する場合に、係止片16aを形成することで、中板12が上方へ移動することが規制される。このように中板12の上方への移動が規制されることで、第二取出口14を介してワイプWを引き出す際に、中板12が持ち上げられても係止片16aよりも上方に移動せず、収納箱本体11の中板12より下方の空間S2の高さが制限され、ワイプWが第二取出口14より下方に落ち込むことが防止される。
【0034】
この係止部16の折り込み性と、係止片16aとされた際の収納箱本体11内方への突出が維持されるという点から、収納箱本体11の素材は、可撓性を有する素材が適し、特に、上記坪量の段ボール又はプラスチック段ボールが適する。
【0035】
また、係止部16を、図示の形態のように、上面部側に上面部11aと平行な部分16aを残して折り込まれる形状とすると、ワイプWの引き出しによって上方に持ち上げられた中板12が、係止片16aを収納箱本体11の内方へ広げるよう作用するため中板12が係止片16aを超えて上方に移動することがより規制される。加えて、収納箱本体11を段ボール等の可撓性の素材とすると、ワイプWの引き出しによって上方に持ち上げられた中板12を、係止片16aが押し返すように作用するようになるためより望ましい。
【0036】
係止部16の上下方向の高さ位置は収納箱本体内に納めるワイプWの枚数によって定めることができる。上下方向に直交する方向については、前面部11c及び後面部11dの中央部とするのが望ましい。また、収納箱内に収納するワイプWの枚数が多く、収納箱本体11の上面部11aと下面部11bとの間の距離が長い場合には、図8及び図9に示すように、上下方向の複数位置に係止部を設けることができる。図8及び図9では、各側面部につき上下方向に二か所の係止部16を設けている。
【0037】
また、図示の形態の係止部16は、上面部11aに平行な部分16cを残して略コ字状に切込んでいるが、上下方向に平行な部分を残して略コ字状の切り込む形態としてもよい。この場合、左側面部11eと右側面部11fに略平行な係止片が形成される。
【0038】
係止部16は、前面部11a及び後面部11bではなく、左側面部11e及び右側面部11fにも設けるようにしてもよい。この場合、前面部11c及び後面部11dに設ける係止部16の上下方向の高さ位置と、左側面部11e及び右側面部11fに設ける係止部の上下方向の高さ位置とを異なるようにしてもよい。さらに、係止部16は、前面部11c、後面部11d、左側面部11e、右側面部11fの何れかの一面、何れかの二面、何れかの三面又は全ての面に設けるようにすることができる。
【0039】
収納箱本体11の構造としては、図3に示すように、左側面部11eの上部側に延在する左側面部フラップ11gと、右側面部11fの上部側に延在する右側面部フラップ11hとが設けられている。また、上面部11aは、後側面部11dとの間の稜線17により折り曲げ可能に連結されているとともに、折り曲げ時に前面部11cに連接する止片11iが設けられている。
【0040】
左側面部フラップ11g及び右側面部フラップ11hを収納箱本体11の内方に向かって折曲げ、それに重ねて上面部11aを折り曲げ、折り曲げられた左側面部フラップ11g及び右側面部フラップ11hと前側面部11cとの間の隙間に、止片11iを差し入れるようにして、上面部11aを構成する。このようにすると、上面部11aが開閉自在な蓋となる。このように収納箱本体11の上面部13を開閉自在な蓋とすることで、ワイプWの詰めかえが行えるようになり、薄葉紙収納箱10を繰り返し利用できるようになる。
【0041】
収納箱本体11に収容される複数のワイプWは、図10に示すように、方形のワイプWが二つ折りされ、その折り返し片2Bの縁が上下に隣接するワイプWの折り返し片2Bの内面2Aに位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されて束3となっている。使用時に、最上面側に位置するワイプWが上方に引っ張られると、隣接する他の一枚のワイプWの折り返し片2Bが引きずられ、第二取出口14から次に取り出されるワイプWの一部が露出するとともに、取出口13からその次に取り出されるワイプWの一部が露出するか、取出口13の内側の近くにあるようになる。これにより、次に取り出されるワイプWは、取出口13から容易に取り出すことができる。なお、ワイプWは収納箱本体11に二つ折り(所謂V折り)して収容されているが、ワイプWの折り畳み方は、二つ折り以外に、Z字状に折り畳んだ外三つ折り(所謂Z折り)やW字状に折り畳んだ外四つ折り(所謂W折り)などでもよい。
【0042】
収納箱本体11に収容される複数のワイプWは、そのまま収納箱本体に収納してもよいが、図示の形態では、複数のワイプWを柔軟性のある樹脂製の包装フィルム4によって包装された形態で収納している。この場合、包装フィルム4によるワイプWの包装形態は、既知の包装種から選択される。例えば、三方閉じ包装、四方閉じ包装、ガセット包装、ピロー包装、キャラメル包装が例示できる。ガセット包装、ピロー包装が適する。特に、図示のガセット付きピロー包装である。特に、ワイプの束3におけるワイプの折り返し縁2Cが並ばない短手側面3Aに対面する位置に、包装フィルム4の重ね合わせ部分が熱融着されてなる熱融着部30が位置するガセット付きピロー包装である。
【0043】
この包装フィルム4の束3の最上位のワイプWに対面する位置には、取出口形成用ミシン目5が形成される。この取出口形成用ミシン目5を裂開することで、包装フィルム4の上面にスリット口6が形成される。スリット口6の形成により束3の最上位のワイプWを引き出すと、その直近下方に位置する次のワイプWの一部がスリット口6より露出される。なお、取出口形成用ミシン目5の形状は、直線状ではなく、ダイカット等により環状に形成してもよい。この場合、広口の開口が形成される。
【0044】
したがって、この取出口形成用ミシン目5を開口して形成されるスリット口等を、収納箱本体11内において、上面部11a側を向くように収納すれば、ワイプWは、スリット口6、第二取出口14、取出口13の順に通って引き出される。このように、複数のワイプWを包装フィルム4によって包装された形態で収納しても、包装フィルム4に柔軟性があるため、中板12を下方に移動させた際に、包装フィルム4が容易に変形し、収納箱本体11内における中板12より下方の空間S2の上下方向の高さを低くすることができる。
【0045】
複数のワイプを柔軟性のある樹脂製の包装フィルム4によって包装された形態で収納する場合、図8に示すように、複数のワイプWを包装フィルム4によって包装した包装体7を複数段、積み重ねるようにして収納することができる。図8は、フィルム包装した包装体7を3個、三段に積み重ねた形態を示す。この場合、包装体7の上面位置に応じた位置に係止部16を形成するようにしてもよい。
【0046】
また、包装体7を複数、収納する場合、予め全ての包装体7の取出口形成用ミシン目5を裂開させてスリット口等を形成しておけば、上段に位置する包装体7内のワイプWを全て使用し終えた後、第二取出口14及び取出口13から残った包装フィルム4を取り出せば、中板12を取り外すことなく、手間なく下段に位置する包装体7内のワイプを引き出すことができるようになる。
【0047】
本実施形態に係る薄葉紙収納箱10によれば、収納箱内のワイプWの枚数が少なくなっても、それに伴って中板12を下方に移動させることができるため、中板12に設けられた第二取出口14と束3の上面との距離が近くなるように変更することができる。そして、収納箱本体11に中板12の上方への移動を規制する係止片16aを形成可能にしたため、下方に移動させた中板12と束上面との間の距離が過度に遠くなることがない。このため、ワイプWが落ち込み難く、最後までワイプが取り出し易くなる。
【0048】
また、特に、複数のワイプWを柔軟性のある樹脂製の包装フィルム4によって包装された形態で収納する場合には、包装フィルム4が潰れずに中板12が自重で下方に移動し難かったり、束3を構成するワイプWの枚数が少なくなってきた場合に、ワイプWを引き出す際の抵抗によって包装フィルム4ごと持ち上がり、収納箱本体11内において中板12を持ち上げようとすることがある。本発明に係る収納箱本体では、係止片を形成することができるため、特に、このような包装フィルムによって包装した形態のまま収納する場合においても、ワイプWが落ち込み難く、最後までワイプが取り出し易くなる。
【0049】
なお、上記各実施形態では、衛生薄葉紙としてワイプを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、ペーパータオル、ティシュペーパー、トイレットペーパー、またはキッチンペーパーなど他の薄葉紙、およびオシボリやクッキングペーパーなどのパルプ不織布も用いることができる。ただし、ワイプ等の衛生薄葉紙の中でも比較的硬さがあり引き出し時の抵抗によって中板12が持ち上がりやすいものであれば、特に係止片による効果が発揮される。
【0050】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記各実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0051】
特に、実施形態では、衛生薄葉紙としてワイプを例にしたが、本発明に係る衛生薄葉紙としては、これに限らず、ペーパータオル、ティシュペーパー、トイレットペーパー、またはキッチンペーパーなどでもよい。但し、本発明に係る衛生薄葉紙収納箱は、上記のワイプのような、特に、比較的剛性の高い衛生薄葉紙に対して効果的である。具体的な物性でいえば、JIS L 1096(2010)E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定される1プライでのソフトネスが3.6cN以上、特には4.0cN以上の衛生薄葉紙において効果的である。上限値は、中板の質量との関係で必ずしも限定されないが、衛生薄葉紙であることからすれば20cNが上限となる。さらに、ティシューソフトネス測定装置TSA(eMtec社製)で測定したD値(剛性)が2.50以下、特には2.2以下である衛生薄葉紙において効果的である。なお、このD値(剛性)は、値が低いほど堅いと評価される。さらに、ティシューソフトネス測定装置TSA(eMtec社製)で測定したTS7値が14.0以上、特には19.0以上である衛生薄葉紙において効果的である。なお、このTS7値は、値が高いほど硬いと評価される。また、D値、TS7値は、複数プライの場合は、複数プライのまま測定する。上記の好ましい衛生薄葉紙である場合、中板の質量は、10~30g/枚、特には15~20g/枚とするのがよい。
【実施例
【0052】
以下、実施例および比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0053】
<薄葉紙収納箱の作製>
[実施例1~3]
図1に示す収納箱本体11(三層構造の段ケース(表層:坪量170g/m2、材質C5;中芯:坪量115g/m2、材質中芯115;裏層:坪量160g/m2、材質C5))を準備し、収納箱本体11の中に、ワイプWの束3を収納し、その束3の上面に中板12を載置した。
【0054】
中板12は、四側縁12c~12fが、収納箱の側面11c~11fとの間にやや隙間があり、収納箱本体11内を自由落下により下方に移動可能な大きさとした。
【0055】
収納箱の使い方は、上面部11aが上方に向くように設置して使用する。収納箱本体11である段ケースの大きさ(外寸)と、収納箱本体11に収納するシートの素材、坪量、シートのプライ数(積層数)、シートの寸法(折り畳み前)、シート寸法(折り畳み後)、および収納したシート入数は、下記表1に示す。なお、表1中のシートの寸法およびシートの折りたたみ後の寸法の流れ方向(MD)は、シートの縦方向の寸法を表わし、幅方向(CD)は、MDに垂直なシートの横方向の寸法を表わす。
【0056】
[比較例1~4]
比較例1~3は、実施例1~3において、収納箱本体11の中に中板を入れないものを作製した。比較例4は、中板を有さない従来の直六面体形状の市販のものである。
【0057】
<取り出し時に落ち込んだ回数>
各実施例の、収納箱本体11にシートが収納された薄葉紙収納箱を用いて、収納箱本体11内のシートを上面部11aの取出口13及び中板12の第二取出口を介して取り出す操作を行い、シートを取出口13から取り出した際、取り出されたシートの下面に位置する次のシートが収納箱本体11内のシートの束3の上に落ち込んだ回数を測定した。その回数は表1に示すとおりである。
【0058】
【表1】
【0059】
比較例1~2では、落ち込んだ回数100回以上であり、また、比較例3は38回、比較例4では、31回であった。これに対して、実施例1~3では、落ち込んだ回数は、3回以下であり、シートの落ち込みが各段に改善している。
【0060】
よって、各実施例および比較例の結果から、本実施形態に係る薄葉紙収納箱を用いれば、収納箱本体11内に収納されたシートの落ち込みが各段に改善され、最後まで取り出しやすい状態を維持しながら使用することができる。そのため、本実施形態に係る薄葉紙収納箱は、シートの収納数が多い業務用などのような大型の薄葉紙収納箱に有効に用いることができるといえる。
【符号の説明】
【0061】
2A…ワイプ折り返し内面、2B…ワイプの折り返し片、2C…ワイプの折り返し縁、3A…束の短手側面、4…包装フィルム、5…取出口形成用ミシン目、6…スリット口、7…包装体、30…熱融着部、3…ワイプの束、10…薄葉紙収納箱、W…ワイプ、11…収納箱本体、11a…上面部、11b…下面部、11c…前面部、11d…後面部、11e…左側面部、11f…右側面部、11g…左側面部縁フラップ、11f…右側面部縁フラップ、11i…止片、13…取出口、 12…中板、12c~12f…中板の四側縁、14…第二取出口、15…指かけ孔、S1…中板より上方空間、S2…中板より下方空間、16…係止部、16c係止部の上部、16a…係止片、17…稜線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11