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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】トルクコンバータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 41/04 20060101AFI20240401BHJP
   F16H 45/02 20060101ALI20240401BHJP
   F16F 15/123 20060101ALI20240401BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20240401BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20240401BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20240401BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20240401BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20240401BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F16H41/04
F16H45/02 X
F16H45/02 Y
F16F15/123 A
B60K6/48 ZHV
B60K6/54
B60K6/40
B60K6/36
H02K7/18 B
H02K7/10 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020077562
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021173337
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松岡 佳宏
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-030605(JP,A)
【文献】特開2018-009680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 41/04
F16H 45/02
F16F 15/123
B60K 6/48
B60K 6/54
B60K 6/40
B60K 6/36
H02K 7/18
H02K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー、インペラ、タービン、及び第1ステータを有するトルクコンバータ本体と、
ロータ及び第2ステータを有し、前記トルクコンバータ本体内に配置される回転電機と、
を備え、
前記第1ステータ及び前記第2ステータは、固定シャフトに支持される、
トルクコンバータ。
【請求項2】
前記ロータ及び前記第2ステータは、前記カバーと前記タービンとの間に配置される、
請求項に記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
前記タービン及び前記ロータから伝達されたトルクを出力する出力部材をさらに備える、
請求項1又は2に記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
前記ロータは、前記出力部材と一体的に回転する、
請求項に記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
前記ロータ及びタービンの少なくとも一方と前記出力部材とを弾性的に連結する弾性部材をさらに備える、
請求項に記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
前記ロータと前記出力部材との間でトルクを伝達及びトルク伝達を解除するクラッチ部をさらに備える、
請求項からのいずれかに記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
前記タービンは、前記出力部材又は前記ロータと相対回転不能である、
請求項からのいずれかに記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
軸方向移動可能に配置されるロックアップピストンをさらに備える、
請求項1から7のいずれかに記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
前記ロックアップピストンと前記出力部材とを弾性的に接続するダンパ機構をさらに備える、
請求項に記載のトルクコンバータ。
【請求項10】
前記ダンパ機構は、径方向において、前記回転電機の内側に配置される、
請求項に記載のトルクコンバータ。
【請求項11】
前記ロータは、径方向において、前記第2ステータの外側に配置される、
請求項1から10のいずれかに記載のトルクコンバータ。
【請求項12】
前記トルクコンバータ本体は、内部に作動油を収容する、
請求項1から11のいずれかに記載のトルクコンバータ。
【請求項13】
前記第2ステータは、前記第1ステータに取り付けられる、
請求項1から12のいずれかに記載のトルクコンバータ。
【請求項14】
駆動源から出力されたトルクを前記インペラに伝達する入力部材をさらに備え、
前記カバーは、駆動輪へとトルクを出力し、
前記タービンは、前記カバーに固定され、
前記インペラは、軸方向において、前記カバーと前記タービンとの間に配置される、
請求項1に記載のトルクコンバータ。
【請求項15】
カバー、インペラ、タービン、及び第1ステータを有するトルクコンバータ本体と、
ロータ及び第2ステータを有し、前記トルクコンバータ本体内に配置される回転電機と、
前記タービン及び前記ロータから伝達されたトルクを出力する出力部材と、
前記ロータと前記出力部材との間でトルクを伝達及びトルク伝達を解除するクラッチ部と、
を備える、トルクコンバータ。
【請求項16】
カバー、インペラ、タービン、及び第1ステータを有するトルクコンバータ本体と、
ロータ及び第2ステータを有し、前記トルクコンバータ本体内に配置される回転電機と、
を備え、
前記ロータは、径方向において、前記第2ステータの外側に配置される、
トルクコンバータ。
【請求項17】
カバー、インペラ、タービン、及び第1ステータを有するトルクコンバータ本体と、
ロータ及び第2ステータを有し、前記トルクコンバータ本体内に配置される回転電機と、
を備え、
前記第2ステータは、前記第1ステータに取り付けられる、
トルクコンバータ。
【請求項18】
カバー、インペラ、タービン、及び第1ステータを有するトルクコンバータ本体と、
ロータ及び第2ステータを有し、前記トルクコンバータ本体内に配置される回転電機と、
駆動源から出力されたトルクを前記インペラに伝達する入力部材と、
を備え、
前記カバーは、駆動輪へとトルクを出力し、
前記タービンは、前記カバーに固定され、
前記インペラは、軸方向において、前記カバーと前記タービンとの間に配置される、
トルクコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータ及びトルクコンバータを有する駆動システムが提案されている。モータ及びトルクコンバータは、ケーシング内に配置されている。モータのロータは、トルクコンバータのカバーに取り付けられており、ロータとカバーとが一体的に回転する。また、モータのステータは、ケーシングに支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2004-528800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した駆動システムは、ケーシング内に、冷却媒体通路装置を有している。この冷却媒体通路装置によってモータが冷却される。このように、上述した駆動システムは、モータを冷却するために、別途、冷却媒体通路装置を設けている。
【0005】
本発明の課題は、専用の冷却システムを設けることなく回転電機を冷却することができるトルクコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある側面に係るトルクコンバータは、トルクコンバータ本体と、回転電機とを備える。トルクコンバータ本体は、カバー、インペラ、タービン、及び第1ステータを有する。回転電機は、ロータ及び第2ステータを有する。回転電機は、トルクコンバータ本体内に配置される。
【0007】
この構成によれば、回転電機がトルクコンバータ本体内に配置されているため、トルクコンバータ本体内を循環する作動油によって回転電機を冷却することができる。このため、専用の冷却システムを設けることなく、回転電機を冷却することができる。
【0008】
好ましくは、第1ステータ及び第2ステータは、固定シャフトに支持される。
【0009】
好ましくは、ロータ及び第2ステータは、カバーとタービンとの間に配置される。
【0010】
好ましくは、トルクコンバータは、出力部材をさらに備える。出力部材は、タービン及びロータから伝達されたトルクを出力する。
【0011】
好ましくは、ロータは、出力部材と一体的に回転する。
【0012】
好ましくは、トルクコンバータは、弾性部材をさらに備える。弾性部材は、ロータ及びタービンの少なくとも一方と、出力部材とを弾性的に連結する。
【0013】
好ましくは、トルクコンバータは、クラッチ部をさらに備える。クラッチ部は、ロータと出力部材との間でトルクを伝達及びトルク伝達を解除するように構成されている。
【0014】
好ましくは、タービンは、出力部材又はロータと相対回転不能である。
【0015】
好ましくは、トルクコンバータは、ロックアップピストンをさらに備える。ロックアップピストンは、軸方向移動可能に配置される
【0016】
好ましくは、トルクコンバータは、ダンパ機構をさらに備える。ダンパ機構は、ロックアップピストンと出力部材とを弾性的に接続する。
【0017】
好ましくは、ダンパ機構は、径方向において、回転電機の内側に配置される。
【0018】
好ましくは、ロータは、径方向において、第2ステータの外側に配置される。なお、ロータは、径方向において、第2ステータの内側に配置されてもよい。
【0019】
好ましくは、トルクコンバータ本体は、内部に作動油を収容する。
【0020】
好ましくは、第2ステータは、第1ステータに取り付けられる。第2ステータは、取付部材などを介して第1ステータに取り付けられていてもよい。
【0021】
好ましくは、トルクコンバータは、入力部材をさらに備える。入力部材は、駆動源から出力されたトルクをインペラに伝達する。カバーは、駆動輪へとトルクを出力する。タービンは、カバーに固定される。インペラは、軸方向において、カバーとタービンとの間に配置される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回転電機専用の冷却システムを設けることなく回転電機を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】トルクコンバータの概略図。
図2】トルクコンバータの断面図。
図3】変形例に係るトルクコンバータの概略図。
図4】変形例に係るトルクコンバータの概略図。
図5】変形例に係るトルクコンバータの概略図。
図6】変形例に係るトルクコンバータの概略図。
図7】変形例に係るトルクコンバータの概略図。
図8】変形例に係るトルクコンバータの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態に係るトルクコンバータについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、トルクコンバータの回転軸が延びる方向を意味する。また、径方向とは、トルクコンバータの回転軸を中心とした円の径方向を意味する。また、周方向とは、トルクコンバータの回転軸を中心とした円の周方向を意味する。
【0025】
[全体構成]
図1に示すように、トルクコンバータ100は、トルクコンバータ本体2と、回転電機3と、出力部材4と、ロックアップピストン5と、ダンパ機構6とを備えている。トルクコンバータ100は、回転軸Oを中心に回転する。トルクコンバータ100は、エンジンなどの駆動源から駆動輪(図示省略)までのトルク伝達経路に配置されている。具体的には、トルクコンバータ100は、エンジン120からトルクが入力され、トランスミッション130へとトルクを出力する。なお、エンジン120は、トルクコンバータ100の左側に配置され、トランスミッション130は、トルクコンバータ100の右側に配置される。
【0026】
[トルクコンバータ本体]
図2に示すように、トルクコンバータ本体2は、カバー21と、インペラ22と、タービン23と、第1ステータ24とを有している。トルクコンバータ本体2内には、作動油が収容されている。詳細には、カバー21とタービン23との間の空間、及びインペラ22とタービン23との間の空間内に作動油が満たされている。トルクコンバータ本体2内には作動油が供給される。トルクコンバータ本体2内の作動油は循環している。
【0027】
カバー21は、カバー本体部21aと、筒状部21bとを有している。カバー本体部21aは、円板状の部材である。筒状部21bは、カバー本体部21aの外周端部から、軸方向のトランスミッション側に延びている。
【0028】
インペラ22は、インペラシェル22aと、複数のインペラブレード22bと、インペラハブ22cとを有している。インペラシェル22aは、カバー21の筒状部21bに溶接されている。インペラブレード22bは、インペラシェル22aの内側に固定されている。インペラハブ22cは、インペラシェル22aの内周端部に固定されている。インペラハブ22cは、固定シャフト103の径方向外側に配置されている。すなわち、固定シャフト103は、インペラハブ22c内を延びている。
【0029】
タービン23は、軸方向において、インペラ22と対向している。タービン23は、タービンシェル23aと、複数のタービンブレード23bとを有している。タービンブレード23bは、タービンシェル23aのインペラ側の面に固定されている。
【0030】
第1ステータ24は、タービン23からインペラ22に戻る作動油の流れを整流するための機構である。第1ステータ24は、インペラ22の内周部とタービン23の内周部との間に配置されている。第1ステータ24は、環状のステータシェル24aと、複数のステータブレード24bと、ワンウェイクラッチ24cとを有している。第1ステータ24は、固定シャフト103に支持されている。
【0031】
ステータブレード24bは、ステータシェル24aの外周面に設けられている。ワンウェイクラッチ24cは、ステータシェル24aと固定シャフト103との間に配置されている。すなわち、ステータシェル24aは、ワンウェイクラッチ24cを介して固定シャフト103に支持されている。固定シャフト103は筒状である。固定シャフト103は、トランスミッションの入力シャフト104の外周面とインペラハブ22cの内周面との間を延びている。固定シャフト103は、回転不能である。
【0032】
カバー21の内周端部と出力部材4との間にはスラストワッシャ105が配置されている。また、タービン23と第1ステータ24の内周端部との間、及び第1ステータ24とインペラ22との軸方向間には、それぞれスラストベアリング106、107が配置されている。
【0033】
[回転電機]
回転電機3は、トルクコンバータ本体2内に配置されている。回転電機3は、軸方向において、カバー21とタービン23との間に配置されている。詳細には、回転電機3は、軸方向において、ロックアップピストン5とタービン23との間に配置されている。回転電機3は、モータ及びジェネレータの機能を有する。回転電機3は、トルクコンバータ100の回転軸Oを中心に回転する。すなわち、

回転電機3は、第2ステータ31及びロータ32を有する。
【0034】
第2ステータ31は、回転不能に配置されている。第2ステータ31は、固定シャフト103に支持されている。詳細には、第2ステータ31は、ステータ支持部材31c及び第1ステータ24を介して、固定シャフト103に支持されている。さらに詳細には、第2ステータ31は、ステータ支持部材31cを介して、第1ステータ24のワンウェイクラッチ24cの内輪に取り付けられている。
【0035】
第2ステータ31は、略円筒形状である。第2ステータ31は、ステータコア31a、及びステータコイル31bを有している。
【0036】
ステータコア31aは、例えば、複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して構成されている。ステータコア31aは、周方向に間隔をあけて配置される複数のティースを有している。
【0037】
ステータコイル31bは、ステータコア31aに巻かれている。詳細には、ステータコイル31bは、各ティースに巻かれている。ステータコア31a及びステータコイル31bは、軸方向視において、インペラコア22d及びタービンコア23dと重複している。
【0038】
ステータ支持部材31cは、第2ステータ31を支持している。詳細には、ステータ支持部材31cは、ステータコア31aを支持している。ステータ支持部材31cは、円板状である。ステータ支持部材31cは、タービンシェル23aに沿って径方向に延びている。ステータ支持部材31cの外周端部に、第2ステータ31が取り付けられている。
【0039】
ステータ支持部材31cは、内周端部が固定シャフト103に取り付けられている。詳細には、ステータ支持部材31cは、第1ステータ24を介して、固定シャフト103に取り付けられている。より詳細には、ステータ支持部材31cは、第1ステータ24のワンウェイクラッチ24cの内輪に取り付けられている。
【0040】
ステータ支持部材31cは、径方向に延びる溝部を有している。そして、ステータコイル31bは、このステータ支持部材31cの溝部内を通り、トルクコンバータ100の外部に設置されたインバータ110に接続されている。なお、ステータコイル31bは、ワンウェイクラッチ24cの内輪、及び固定シャフト103内を延びて、トルクコンバータ100の外部に取り出されている。
【0041】
ロータ32は、トルクコンバータ100の回転軸Oを中心に回転するように配置されている。ロータ32は、出力部材4と一体的に回転する。ロータ32は、ロータ支持部材32cを介して、出力部材4に連結されている。ロータ32は、径方向において第2ステータ31の外側に配置されている。すなわち、回転電機3は、アウターロータ型である。
【0042】
ロータ32は、ロータコア32a、及び複数の永久磁石32bを有している。ロータコア32aは、略円筒形状である。ロータコア32aは、複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって構成されている。ロータコア32aは、径方向において、ステータコア31aの外側に配置されている。ロータコア32aは、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。
【0043】
永久磁石32bは、ロータコア32a内に埋め込まれている。すなわち、回転電機3は、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。永久磁石32bは、例えばネオジム磁石である。
【0044】
ロータ32は、ロータ支持部材32cを介して、出力部材4に連結している。ロータ32は、ロータ支持部材32cに固定されている。ロータ支持部材32cは、ロータコア32aを支持している。ロータ支持部材32cは、円板状である。ロータ支持部材32cは、径方向に延びている。ロータ支持部材32cの外周端部に、ロータコア32aが固定されている。
【0045】
ロータ支持部材32cは、内周端部が出力部材4に取り付けられている。詳細には、ロータ支持部材32cの内周端部が、リベット108によって、出力部材4に締結されている。
【0046】
ロータ32は、タービン23と一体的に回転する。ロータ32は、ロータ支持部材32cを介してタービン23に連結されている。ロータ支持部材32cは、タービンシェル23aに固定された爪部23cと係合している。このため、タービン23は、ロータ32及び出力部材4と相対回転不能である。すなわち、タービン23は、ロータ32及び出力部材4と一体的に回転する。
【0047】
回転電機3は、回転角センサ33を有している。回転角センサ33は、ロータ32の回転角を検出するように構成されている。回転角センサ33は、ステータ支持部材31cに取り付けられている。本実施形態では、回転角センサ33は、ロータ32と一体的に回転する出力部材4の回転角を検出することによって、ロータ32の回転角を間接的に検出している。
【0048】
[出力部材]
出力部材4は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。出力部材4は、入力シャフト104と一体的に回転するように構成されている。詳細には、出力部材4は、円筒状であって、内周面にスプライン溝を有している。そして、入力シャフト104は、出力部材4にスプライン嵌合している。
【0049】
出力部材4は、径方向に延びるフランジ部41を有している。ロータ支持部材32cは、このフランジ部41に固定されている。このため、出力部材4は、ロータ32及びタービン23からトルクが伝達される。そして、出力部材4は、このトルクを入力シャフト104へ伝達する。
【0050】
[ロックアップピストン]
ロックアップピストン5は、軸方向移動可能に配置されている。ロックアップピストン5は、軸方向において、カバー21と回転電機3との間に配置されている。ロックアップピストン5は、円板状である。ロックアップピストン5は、出力部材4上を軸方向に摺動する。また、ロックアップピストン5は、出力部材4に対して、所定の角度範囲内で相対回転可能である。
【0051】
ロックアップピストン5は、カバー21との間でトルクを伝達したり遮断したりする。ロックアップピストン5は、クラッチ機構を有している。本実施形態では、ロックアップピストン5は、クラッチ機構として、摩擦フェーシング51を有している。摩擦フェージング51は、ロックアップピストン5の外周端部に配置されている。摩擦フェージング51は、カバー21と対向している。
【0052】
ロックアップピストン5がカバー21側に移動することによって、摩擦フェージング51がカバー21と摩擦係合し、ロックアップオン状態となる。一方、ロックアップピストン5がカバー21から離れる方向に移動することによって、摩擦フェージング51とカバー21との摩擦係合が解除され、ロックアップオフ状態となる。
【0053】
[ダンパ機構]
ダンパ機構6は、ロックアップピストン5と出力部材4とを弾性的に接続している。ダンパ機構6は、径方向において、回転電機3の内側に配置されている。詳細には、ダンパ機構6は、径方向において、ステータコア31a及びロータコア32aの内側に配置されている。径方向視において、ダンパ機構6は、回転電機3と重複している。
【0054】
ダンパ機構6は、第1係合部材61、第2係合部材62、及び複数のスプリング63を有している。
【0055】
第1係合部材61は、ロックアップピストン5に固定されている。詳細には、第1係合部材61は、リベット109によって、ロックアップピストン5に締結されている。
【0056】
第2係合部材62は、出力部材4に固定されている。詳細には、第2係合部材62は、リベット108によって、ロータ支持部材32cとともに、出力部材4に締結されている。
【0057】
複数のスプリング63は、周方向において、互いに間隔をあけて配置されている。スプリング63は、周方向において第1係合部材61と第2係合部材62との間に配置されている。スプリング63は、第1係合部材61からのトルクを第2係合部材62へと伝達する。スプリング63は、例えばコイルスプリングである。
【0058】
[その他の構成]
トルクコンバータ100には、インバータ110、及びバッテリ111などが接続されている。
【0059】
インバータ110は、第2ステータ31のステータコイル31bに電気的に接続されている。インバータ110は、回転電機3がジェネレータとして機能するとき、第2ステータ31に発生した交流を直流に変換する。そして、インバータ110に電気的に接続されたバッテリ111は、インバータ110からの電流を充電する。また、インバータ110は、回転電機3がモータとして機能するとき、バッテリ111からの電流を直流から交流に変換して第2ステータ31に供給する。
【0060】
[作動油路]
トルクコンバータ100は、第1油路P1、第2油路P2を有している。第1油路P1は、入力シャフト104内の空間によって構成されている。第1油路P1は、カバー21とロックアップピストン5との間の空間と連通している。
【0061】
第2油路P2は、インペラハブ22cと固定シャフト103との間の空間によって構成されている。第2油路P2は、インペラ22とタービン23との間の空間と連通している。
【0062】
第1油路P1からトルクコンバータ100内に作動油が供給される場合、ロックアップクラッチはオフ状態となる。そして、作動油はカバー21とロックアップピストン5との間より供給され、インペラ22とタービン23との間を通り、第2油路P2から排出される。
【0063】
逆に、第2油路P2より作動油が供給される場合は、ロックアップクラッチはオン状態となる。そして、ロックアップピストン5の内周部に設けた油孔を介して、第1油路P1から排出される。
【0064】
以上のようにトルクコンバータ本体2内に供給された作動油によって、回転電機3を冷却することができる。
【0065】
[トルクコンバータの動作]
上述したように構成されたトルクコンバータ100は、例えば、以下のように動作する。
【0066】
ロックアップピストン5がカバー21に係合していない場合、すなわちロックアップオフ状態のとき、エンジンなどの駆動源から出力されたトルクは、カバー21及びインペラ22に伝達される。そして、トルクは、インペラ22から作動油を介してタービン23に伝達され、ロータ支持部材32cを介して、出力部材4に伝達される。
【0067】
ロックアップピストン5がカバー21と係合している場合、すなわちロックアップオン状態のとき、エンジンなどの駆動源から出力されたトルクは、カバー21からロックアップピストン5に伝達される。そして、トルクは、ロックアップピストン5からダンパ機構6を介して出力部材4に伝達される。
【0068】
回転電機3が駆動している場合、回転電機3のロータ32からのトルクは、ロータ支持部材32cを介して、出力部材4に伝達される。
【0069】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0070】
変形例1
図3に示すように、トルクコンバータ100は、弾性部材7をさらに備えていてもよい。弾性部材7は、ロータ32と出力部材4とを弾性的に連結している。すなわち、ロータ32は、弾性部材7を介して出力部材4に連結されている。詳細には、ロータ32は、弾性部材7を介してロータ支持部材32cに取り付けられている。なお、タービン23は、弾性部材7を介さずに出力部材4に連結されている。
【0071】
この構成によれば、回転電機3が回転駆動していないとき、ロータ32及び弾性部材7が動吸振器として機能することができる。すなわち、ロータ32が、動吸振器のイナーシャとして機能することができる。なお、弾性部材7は、例えばコイルスプリングである。
【0072】
なお、図4に示すように、弾性部材7は、ロータ32と出力部材4とを弾性的に連結するだけではなく、タービン23と出力部材4とを弾性的に連結していてもよい。すなわち、ロータ32だけではなく、タービン23も、弾性部材7を介して出力部材4に連結されていてもよい。この構成によれば、ロータ32だけでなくタービン23も動吸振器のイナーシャとして機能することができる。
【0073】
変形例2
図5に示すように、トルクコンバータ100は、クラッチ部8を有していてもよい。クラッチ部8は、ロータ32と出力部材4との間でトルクを伝達したりトルク伝達を解除したりするように構成されている。具体的には、ロータ32は、クラッチ部8を介してロータ支持部材32cに取り付けられている。この構成によれば、回転電機3を使用しないときにクラッチ部8をクラッチオフ状態にすることによって、ロータ32を出力部材4から切り離すことができる。この結果、ロータ32が出力部材4とともに回転することを防止できるため、回転電機3による逆起電力の発生を防止することができる。
【0074】
変形例3
図6に示すように、ダンパ機構6は、径方向において、回転電機3の外側に配置されていてもよい。この構成によれば、ダンパ機構6による減衰性能を向上させることができる。
【0075】
変形例4
図7に示すように、回転電機3は、インナーロータ型であってもよい。すなわち、ロータ32が、径方向において、第2ステータ31の内側に配置されていてもよい。
【0076】
変形例5
上記実施形態に係るトルクコンバータ100では、エンジンなどの駆動源からのトルクがカバー21に伝達され、出力部材4からトランスミッションの入力シャフト104にトルクを伝達しているが、トルクコンバータ100のトルク伝達経路はこれに限定されない。
【0077】
例えば、図8に示すように、エンジン120などの駆動源からのトルクが入力部材40に伝達され、カバー21からトランスミッション130の入力シャフト104へとトルクが伝達されてもよい。この場合、インペラ22とタービン23との配置が入れ替わる。すなわち、タービン23はカバー21に固定される。このカバー21とタービン23とによってトルクコンバータ本体2の外殻が構成される。インペラ22は、軸方向において、カバー21とタービン23との間に配置される。詳細には、インペラ22は、タービン23と回転電機3との間に配置される。
【0078】
入力部材40は、エンジン120などの駆動源からのトルクをインペラ22に伝達する。詳細には、入力部材40は、ロータ支持部材32cを介して、インペラ22にトルクを伝達する。また、ロックアップピストン5がロックアップオン状態のとき、入力部材40は、ダンパ機構6を介してロックアップピストン5にトルクを伝達する。カバー21に伝達されたトルクは、トランスミッションの入力シャフト104に伝達される。なお、入力部材40は、上記実施形態の出力部材4と同じ構成である。
【0079】
変形例6
ロータ支持部材32cは、出力部材4の一部であってもよい。すなわち、ロータ支持部材32cは、出力部材4と一つの部材によって構成されていてもよい。
【0080】
変形例7
上記実施形態では、回転電機3は、IPMモータであったが、SPMモータであってもよい。すなわち、永久磁石32bは、ロータコア32aの表面上に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
2 トルクコンバータ本体
21 カバー
22 インペラ
23 タービン
24 第1ステータ
3 回転電機
31 第2ステータ
32 ロータ
4 出力部材
40 入力部材
5 ロックアップピストン
6 ダンパ機構
7 弾性部材
100 トルクコンバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8