(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240401BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G03G21/18 142
G03G21/16 171
(21)【出願番号】P 2020094128
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】松尾 真
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-272035(JP,A)
【文献】特開2010-091969(JP,A)
【文献】特開2016-138946(JP,A)
【文献】特開2017-107016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0181681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に支持された複数のドラム軸と、
感光体ドラムを含み、前記複数のドラム軸に挿抜可能な複数のドラムカートリッジと、
前記複数のドラム軸の前記装置本体に支持された端部と反対の端部を支持する複数の軸受を有する規制側板と、
第一の接触面および第二の接触面を有するカムと、
前記規制側板に回動可能に保持され、操作部および前記カムが固定された軸と、
前記装置本体に設けられ、前記カムの前記第一の接触面および前記第二の接触面に接触可能な接触部と、
前記規制側板に設けられた第一の位置決め部と、
前記装置本体に設けられ前記第一の位置決め部に嵌合する第二の位置決め部と、
前記複数の軸受の配列方向における前記規制側板の両端部のそれぞれに設けられ、ユーザによって前記操作部が回動されて前記第二の接触面が前記接触部に接触する状態で前記規制側板を前記装置本体に向かって付勢する付勢力を前記規制側板へ付与する付勢力付与部と、
を備え、
前記付勢力付与部の少なくとも一部は、前記配列方向に直交する方向において前記第一の位置決め部に対して、前記規制側板を前記装置本体に固定する際に前記規制側板が前記装置本体から反力を受ける側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記装置本体に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接触部は、前記複数のドラム軸の軸方向に移動しないように前記装置本体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に支持された複数のドラム軸と、
感光体ドラムを含み、前記複数のドラム軸に挿抜可能な複数のドラムカートリッジと、
前記複数のドラム軸の前記装置本体に支持された端部と反対の端部を支持する複数の軸受を有する規制側板と、
第一の接触面および第二の接触面を有するカムと、
前記装置本体に回動可能に保持され、操作部および前記カムが固定された軸と、
前記規制側板に設けられ、前記カムの前記第一の接触面および前記第二の接触面に接触可能な接触部と、
前記規制側板に設けられた第一の位置決め部と、
前記装置本体に設けられ前記第一の位置決め部に嵌合する第二の位置決め部と、
前記複数の軸受の配列方向における前記規制側板の両端部のそれぞれに設けられ、ユーザによって前記操作部が回動されて前記第二の接触面が前記接触部に接触する状態で前記規制側板を前記装置本体に向かって付勢する付勢力を前記規制側板へ付与する付勢力付与部と、
を備え、
前記付勢力付与部の少なくとも一部は、前記配列方向に直交する方向において前記第一の位置決め部に対して、前記規制側板を前記装置本体に固定する際に前記規制側板が前記装置本体から反力を受ける側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記接触部は、前記規制側板に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記接触部は、前記複数のドラム軸の軸方向に移動しないように前記規制側板に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作部の一部に前記ユーザによって前記装置本体に向かって押圧される押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作部は、レバーであり、
前記レバーの回動域は、前記装置本体の内向き側に設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第二の接触面が前記接触部に接触する前記状態で前記規制側板を前記装置本体に向かってに付勢する弾性部材を更に備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カムは、前記第一の接触面よりも前記カムの回動中心の側に前記接触部と接触しない面を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記カムは、接触逃げ部を有し、
前記ユーザによって前記操作部が回動されて前記接触逃げ部が前記接触部に対応する位置にある状態で、前記規制側板は、前記装置本体から取り外し可能であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムカートリッジが挿抜可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにてカラー画像を形成するためには、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等複数の色のトナーを用いたタンデム型の画像形成装置が従来から数々提案されている。電子写真方式の画像形成装置は、使用する色の数だけ感光体ドラムを並行に配置し、各色で形成したトナー像を記録媒体(以下、シートという)上に重ね合わせて転写し、カラー画像を形成する。各色で形成されたトナー像の色ずれを抑えるために各感光体ドラムを高精度に位置決めすることが求められる。各感光体ドラムを高精度に位置決めするためには、各感光体ドラムの軸受が高精度の軸受間距離で設けられた規制側板と装置本体の側板とで各感光体ドラムを挟み込んで各感光体ドラムを位置決めすることが簡易で効果的である。
【0003】
感光体ドラムは、画像形成を長期間続けると摩耗等により特性が変化する。感光体ドラムの特性変化による画質の低下を防ぐために、ユーザは、感光体ドラムを含むドラムカートリッジを定期的に交換する必要がある。そのため、規制側板を本体に対して着脱可能な構成にして、ドラムカートリッジを簡易に交換できる構成が求められている。特許文献1は、各感光体ドラムの軸受が設けられた規制側板を装置本体の側板に対して移動可動に構成し、ドラムカートリッジへのアクセスを容易にしつつドラム軸と軸受のこじりを低減する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、規制側板を装置本体から外すと、装置本体の後側の側板によって一端部が支持されたドラム軸は、自重により及びドラム軸に取り付けられたドラムカートリッジの重さにより、他端部が下方に傾く。また、各ドラム軸は、公差の範囲内で寸法が違うので、傾く量に差がある。規制側板を装置本体に取り付けるときに、規制側板に設けられた各軸受によって各ドラム軸の他端部の位置を矯正しながら規制側板に設けられた位置決め部と装置本体の嵌合部との位置合わせを行う。このとき、こじりにより大きな抵抗力が生じる。
【0006】
特許文献1によれば、ドラム軸と軸受との嵌合し始めのこじりは軽減できるが、規制側板に設けられた位置決め部と装置本体の嵌合部との位置合わせを行うときの抵抗力は軽減できない。ユーザは、位置決め部を嵌合部に位置合わせするときの抵抗力及びドラムカートリッジの軸方向位置を決めるための付勢力よりも強い力で規制側板を装置本体に押し付けてフックを装置本体の係合部に係合させるための高い操作力を要する。ユーザに要求される操作力を低下させるためには、フックの回動軸を操作するレバーを長くすることが有効である。しかし、フックの回動軸はドラム軸に直交して配置されるので、回動軸を操作するレバーを長くするとレバーが装置本体の前方や側方に突出して装置本体の大型化に繋がる。
【0007】
また、フックを装置本体の係合部に係合させるために、ユーザは、規制側板をドラム軸の軸線方向に沿って装置本体に押し込む必要がある。しかし、レバーの回動軸が規制側板を押し込む方向に対して直交して配置されているので、ユーザは、レバーを把持した状態で規制側板を装置本体に押し込む方向に規制側板に力をかけにくい。そのため、規制側板を装置本体に取り付ける作業が難しいという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、感光体ドラムのドラム軸を位置決めする規制側板を装置本体に容易に固定することができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例による記録媒体に画像を形成する画像形成装置は、
装置本体と、
前記装置本体に支持された複数のドラム軸と、
感光体ドラムを含み、前記複数のドラム軸に挿抜可能な複数のドラムカートリッジと、
前記複数のドラム軸の前記装置本体に支持された端部と反対の端部を支持する複数の軸受を有する規制側板と、
第一の接触面および第二の接触面を有するカムと、
前記規制側板に回動可能に保持され、操作部および前記カムが固定された軸と、
前記装置本体に設けられ、前記カムの前記第一の接触面および前記第二の接触面に接触可能な接触部と、
前記規制側板に設けられた第一の位置決め部と、
前記装置本体に設けられ前記第一の位置決め部に嵌合する第二の位置決め部と、
前記複数の軸受の配列方向における前記規制側板の両端部のそれぞれに設けられ、ユーザによって前記操作部が回動されて前記第二の接触面が前記接触部に接触する状態で前記規制側板を前記装置本体に向かって付勢する付勢力を前記規制側板へ付与する付勢力付与部と、
を備え、
前記付勢力付与部の少なくとも一部は、前記配列方向に直交する方向において前記第一の位置決め部に対して、前記規制側板を前記装置本体に固定する際に前記規制側板が前記装置本体から反力を受ける側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感光体ドラムのドラム軸を位置決めする規制側板を装置本体に容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】プリンタ本体に固定された規制側板ユニットを示す図。
【
図4】プリンタ本体に固定された支持台部を示す図。
【
図7】レバーの操作によるレバー部及び支持台部の動作の説明図。
【
図8】レバーの操作によるレバー部及び支持台部の動作の説明図。
【
図9】レバーの操作によるレバー部及び支持台部の動作の説明図。
【
図10】レバーの回動角度に対するレバー操作力および規制側板ユニットの位置を示す図。
【
図11】規制側板へ付与される付勢力と反力の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(画像形成装置)
図1は、画像形成装置(以下、プリンタという)1を示す図である。プリンタ1は、画像形成手段100、転写部101、シート搬送部102及び定着部103を有する。画像形成手段100は、イエロー画像形成手段100Y、マゼンタ画像形成手段100M、シアン画像形成手段100C及びブラック画像形成手段100Kを有する。イエロー画像形成手段100Yは、イエローのトナー像を形成する。マゼンタ画像形成手段100Mは、マゼンタのトナー像を形成する。シアン画像形成手段100Cは、シアンのトナー像を形成する。ブラック画像形成手段100Kは、ブラックのトナー像を形成する。
【0013】
転写部101は、イエロー画像形成手段100Y、マゼンタ画像形成手段100M、シアン画像形成手段100C及びブラック画像形成手段100Kによって形成された各色のトナー像をシート(記録媒体)Sに転写する。シート搬送部102は、シート収納庫13に収納されたシートSを転写部101へ搬送する。定着部103は、シートSにトナー像を定着させる。
【0014】
イエロー画像形成手段100Y、マゼンタ画像形成手段100M、シアン画像形成手段100C及びブラック画像形成手段100Kは、トナーの色を除いてほぼ同様の構造を有する。イエロー画像形成手段100Y、マゼンタ画像形成手段100M、シアン画像形成手段100C及びブラック画像形成手段100Kのそれぞれは、レーザスキャナーユニット2a、帯電器3及びドラムカートリッジ104を有する。ドラムカートリッジ104は、感光体ドラム4とドラムクリーニング部5を有する。ドラムカートリッジ104は、感光体ドラム4と、ドラムクリーニング部5と、感光体ドラム4及びドラムクリーニング部5を保持するドラム容器47とを一体的にカートリッジ化して、プリンタ本体(装置本体)110に取り外し可能に装着される。
【0015】
なお、ドラムカートリッジ104は、少なくとも感光体ドラム4と、感光体ドラム4を保持するドラム容器47とを一体的にカートリッジ化して、プリンタ本体110に取り外し可能に装着されるものであればよい。また、ドラムカートリッジ104は、感光体ドラム4と、帯電器3と、感光体ドラム4及び帯電器3を保持するドラム容器47とを一体的にカートリッジ化して、プリンタ本体110に取り外し可能に装着されるものでもよい。また、ドラムカートリッジ104は、感光体ドラム4と、帯電器3と、ドラムクリーニング部5と、ドラム容器47とを一体的にカートリッジ化して、プリンタ本体110に取り外し可能に装着されるものでもよい。
【0016】
イエロー画像形成手段100Y、マゼンタ画像形成手段100M、シアン画像形成手段100C及びブラック画像形成手段100Kのそれぞれは、更に、現像カートリッジ105及び補給部106を有する。現像カートリッジ105は、現像ローラ6を有する。補給部106は、現像カートリッジ105へトナーを供給する。転写部101は、中間転写体としての中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、二次転写内ローラ7、張架ローラ8及び駆動ローラ9によって張架され、回転方向cに回転する。中間転写ベルト10の表面にクリーニング部材11を当接させる転写クリーニング部12が設けられている。シート搬送部102には、シートSを収容してプリンタ1に着脱自在なシート収納庫13、及びシート収納庫13に収納されたシートSを送り出すシート給送手段であるピックアップローラ14が設けられている。定着部103よりプリント工程下流にはシートSを排出する排出ローラ対15や、プリンタ本体110外や後続の後処理ユニット(不図示)に設けられるシートSを積載する積載部16がある。
【0017】
次に、プリンタ1の画像形成動作について説明する。プリンタ1に画像データが送られると、制御部(不図示)からの制御信号により画像に対応したレーザ光2bが回転方向aに回転する感光体ドラム4上に照射される。このとき感光体ドラム4は、予め帯電器3により帯電されており、光が照射されることによって静電潜像が形成される。補給部106は、トナーボトル17及び攪拌部18を有する。トナーは、トナーボトル17から攪拌部18を介して現像カートリッジ105内へ搬送される。トナーが回転方向bに回転する現像ローラ6の表面に保持されながら感光体ドラム4上の静電潜像を現像することにより、感光体ドラム4上にトナー像が形成される。
【0018】
このように形成したトナー像を、中間転写ベルト10の内側に感光体ドラム4と対向するように配置された一次転写ローラ19の加圧により中間転写ベルト10の外周上に一次転写することで中間転写ベルト10上にトナー像が形成される。制御部(不図示)から給送信号がシート搬送部102へ出力されると、シート収納部であるシート収納庫13からシートSがピックアップローラ14によって送り出される。分離ローラ対20は、送り出されたシートSの最上位の一枚のシートSを分離する。分離されたシートSは、搬送経路21を搬送ローラ対22によってレジストレーションローラ対23へ搬送される。シートSは、斜行補正部としてのレジストレーションローラ対23によって斜行が補正される。レジストレーションローラ対23は、中間転写ベルト10上のトナー像の先端とシートSの先端が一致するようにシートSの搬送を開始し、シートSを転写部101の二次転写内ローラ7と二次転写外ローラ24との間のニップ部へ搬送する。
【0019】
中間転写ベルト10上のトナー像は、駆動ローラ9によって回転方向cに回転する中間転写ベルト10によって二次転写内ローラ7と二次転写外ローラ24との間のニップ部へ搬送される。二次転写内ローラ7と二次転写外ローラ24との間のニップ部において、中間転写ベルト10上のトナー像は、レジストレーションローラ対23によって搬送されるシートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、定着部103へ搬送される。定着部103において、シートSは、定着ローラ対25によって加熱及び加圧され、トナー像がシートSに定着され、シートSに画像が形成される。画像が形成されたシートSは、排出ローラ対15によって積載部16へ排出される。
【0020】
一次転写後に感光体ドラム4上に残ったトナーは、クリーニング部材26により掻きとられてドラムクリーニング部5に回収される。二次転写後に中間転写ベルト10上に残ったトナーは、クリーニング部材11により掻きとられて転写クリーニング部12に回収される。ドラムクリーニング部5及び転写クリーニング部12に回収された残トナーは、トナー搬送経路(不図示)を通り残トナー回収容器(不図示)に回収される。
【0021】
(規制側板ユニット)
図2は、プリンタ本体110に固定された規制側板ユニット107を示す図である。規制側板ユニット107は、プリンタ本体110に固定されたときに、複数のドラムカートリッジ104をプリンタ本体110に対して位置決めする。
図2(a)は、プリンタ本体110に固定された規制側板ユニット107の正面図である。
図2(b)は、
図2(a)の線IIB-IIBに沿って取ったブラック画像形成手段100Kのドラムカートリッジ104の断面図である。以下の説明において、プリンタ本体110に関して、前側又は正面側とはプリンタ本体110の開閉用ドア(不図示)を配設した側である。後側とは前側又は正面側の反対の側である。前後方向とは、後から前に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは画像形成装置を前側から見て左又は右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。
【0022】
図2(b)に示すように、感光体ドラム4は、ドラム素管42、ドラム素管42の前端部に取り付けられた前フランジ45及びドラム素管42の後端部に取り付けられた後フランジ43からなる。ドラムカートリッジ104は、プリンタ本体110に対してドラム軸方向Xに挿抜可能である。
図2(a)に示すように、プリンタ本体110は、右支柱33、左支柱34及び右支柱33と左支柱34とを接続する前側板59を有する。右支柱33、左支柱34及び前側板59は、プリンタ本体110の本体枠体の一部を構成する。
【0023】
規制側板ユニット107は、規制側板27、二つの突起部(第一の位置決め部)28、二つのレバー部30及び四つの前ドラム軸受32を有する。二つの突起部28は、規制側板27の左側端部及び右側端部にそれぞれ固定されている。二つのレバー部30は、規制側板27の左側端部及び右側端部にそれぞれ設けられている。二つのレバー部30のそれぞれは、ハンドル(把持部)としてのレバー29を回動可能に保持する。四つの前ドラム軸受32は、二つのレバー部30の間に配置されている。四つの前ドラム軸受32は、プリンタ本体110に設けられた四つのドラム軸31の前端部(プリンタ本体110に支持された端部と反対の端部)をそれぞれ支持する。
【0024】
右支柱33には、位置決め穴(第二の位置決め部)35が設けられている。前側板59には、左支柱34の近傍に位置決め穴(第二の位置決め部)35が設けられている(
図4(a))。前側板59には、右支柱33の位置決め穴35に対応する位置に突起部28を通す穴59aが設けられている。規制側板27に固定された二つの突起部28は、右支柱33に設けられた嵌合部としての位置決め穴35及び前側板59に設けられた位置決め穴35にそれぞれ嵌合してプリンタ本体110の上下方向及び左右方向に対する規制側板27の位置を決める。右支柱33及び左支柱34のそれぞれには、支持台部(支持部)36が固定されている。レバー部30は、支持台部36に係合して規制側板ユニット107をプリンタ本体110の後側に付勢し、規制側板27を前側板59に接触させ、プリンタ本体110に対する規制側板27の前後方向における位置を決める。
【0025】
本実施例では、突起部28が規制側板ユニット107の規制側板27に設けられ、位置決め穴35が本体枠体に設けられている。しかし、突起部(第二の位置決め部)28が本体枠体に設けられ、位置決め穴(第一の位置決め部)35が規制側板27に設けられていてもよい。突起部28が嵌合部としての位置決め穴35に嵌合することによって、同様に、規制側板27は、プリンタ本体110に対して上下方向及び左右方向に位置決めされる。
【0026】
プリンタ本体110の後側には、後側板37が設けられている。後側板37には、複数の後ドラム軸受(本体支持部)38が設けられている。複数のドラム軸31の後端部は、複数の後ドラム軸受38によってそれぞれ回転可能に支持されている。規制側板ユニット107がプリンタ本体110に取り付けられると、複数の前ドラム軸受(複数の軸受)32は、複数の後ドラム軸受38によって支持される複数のドラム軸31の後端部とは反対側の複数のドラム軸31の前端部をそれぞれ支持する。
【0027】
プリンタ本体110に対して規制側板27が位置決めされると、規制側板27の複数の所定の位置に固定された複数の前ドラム軸受32が位置決めされる。複数のドラム軸31の後端部は、後側板37に等間隔に保持された後ドラム軸受38によって支持され、プリンタ本体110の後側で位置決めされる。ドラム軸31の後端部には、ドラムギア40が固定されている。ドラムギア40は、駆動モータ39のギア39aに噛合している。駆動モータ39は、ドラム軸31を所定の方向に回転させる。ドラム軸31には、ドラム軸31と共に回転可能なカップリング41が取り付けられている。カップリング41は、ドラム軸方向Xに移動可能である。
【0028】
付勢部材としてのカップリングバネ(弾性部材)44は、後ドラム軸受38とカップリング41との間に設けられている。カップリングバネ44は、カップリング41をドラム素管42の後端部に固定された後フランジ43に対して付勢する。カップリング41が後フランジ43に連結することによって、駆動モータ39の駆動力がドラム素管42へ伝達され、ドラム素管42が回転する。
【0029】
ドラム軸31は、ドラム素管42の前端部に固定された前フランジ45とドラム素管42の後端部に固定された後フランジ43とに嵌合し、感光体ドラム4を位置決めする。ドラムカートリッジ104の筐体であるドラム容器47は、前端部と後端部とにそれぞれフランジ軸受46が設けられている。フランジ軸受46は、前フランジ45と後フランジ43とにそれぞれ嵌合している。これによって、ドラム容器47は、感光体ドラム4を回転可能に支持する。
【0030】
ドラム容器47は、ドラム容器47の長手方向の両端部に回転止め軸48が設けられている。感光体ドラム4にドラム軸31を通し、回転止め軸48を後側板37及び規制側板27に設けられた位置決め穴49にそれぞれ嵌合することによって、プリンタ本体110に対してドラムカートリッジ104が位置決めされる。カップリングバネ44によってドラム容器47が前側へ付勢されてドラム容器47の突き当て部(不図示)が規制側板ユニット107に突き当たることによって、ドラム軸方向Xにおいてドラムカートリッジ104が位置決めされる。
【0031】
図3は、規制側板ユニット107を示す図である。
図3(a)は、規制側板ユニット107の斜視図である。
図3(b)は、
図3(a)の一点鎖線で囲った部分IIIBの拡大図である。
図3(b)は、右側のレバー部30を示す。左側のレバー部30は、右側のレバー部30と略左右対称の構造を有するので、左側のレバー部30の拡大図は省略する。規制側板ユニット107の規制側板27には、前ドラム軸受32が画像形成で使用する色の数(本実施例では4)だけ配列されている。複数の前ドラム軸受32の配列方向(ドラム配列方向)において、規制側板27の両端部にレバー部30がそれぞれ設けられている。
【0032】
ドラムカートリッジ104及び現像カートリッジ105をプリンタ1へ挿入するときに、ドラムカートリッジ104及び現像カートリッジ105は、プリンタ本体110から付勢力を受ける。付勢力を受けるドラムカートリッジ104及び現像カートリッジ105は、規制側板27をプリンタ本体110から遠ざける方向に規制側板27に抵抗力を付与する。また、規制側板27の突起部28がプリンタ本体110の位置決め穴35に嵌合されるときに生じるこじりによって、規制側板27をプリンタ本体110から遠ざける方向に規制側板27に抵抗力が付与される。これらの抵抗力に抗して規制側板27をプリンタ本体110へ押し付けるために、規制側板27の両端部に設けられたレバー部30によって規制側板ユニット107を片側浮き無くプリンタ本体110に押し付けて位置決めする。
【0033】
(レバー部)
レバー部30は、支板50、レバー軸受51、レバー軸52、レバーカム53、圧縮バネ(弾性部材)54及びレバー29を有する。支板50は、少なくとも一つの支板固定部73を有する。本実施例においては、二つの支板固定部73がネジ74によって規制側板27に固定される。これによって、支板50は、規制側板27に固定される。レバー軸受51は、支板50に取り付けられている。レバー軸52は、支板50に取り付けられたレバー軸受51と規制側板27に設けられた穴75によって回転可能に且つレバー軸52の長手方向に移動可能に保持される。レバー29及びレバーカム53は、レバー軸52に固定されている。
【0034】
付勢部材としての圧縮バネ54は、レバー29とレバー軸受51の間でレバー軸52と同軸に保持されている。圧縮バネ54は、レバー29をプリンタ本体110の前方向に付勢することによってレバー軸52をプリンタ本体110の前方向に付勢する。レバー軸52の後端部には、緊締具としての抜け止め部材55が取り付けられている。圧縮バネ54の付勢力によってレバー軸52が前方向に移動したときに、抜け止め部材55が規制側板27に突き当たり、レバー軸52が規制側板27の穴75から脱落することを防ぐ。
【0035】
レバー29は、レバー軸52を中心に規制側板27に対して回動可能である。レバーカム53には、第一の突き当て部56a及び第二の突き当て部56bが設けられている。支板50に対して第一の突き当て部56a及び第二の突き当て部56bが突き当たることによって、レバー29の回動角度(回転角度)の範囲が規制される。本実施例では、レバー29の回動角度の範囲を規制する角度規制部としての第一の突き当て部56a及び第二の突き当て部56bがレバーカム53に設けられている。しかし、角度規制部は、レバー軸52又はレバー29に設けられていてもよい。例えば、レバー軸52に設けられた角度規制部が支板50又は規制側板27に突き当たるようにしてもよい。また、レバー29に設けられた角度規制部が支板50に突き当たるようにしてもよい。
【0036】
規制側板27には、レバー部30の近傍にガイド部57が設けられている。ガイド部57には保持軸58が設けられている。ガイド部57及び保持軸58は、ユーザが規制側板ユニット107をプリンタ本体110に着脱する際に、プリンタ本体110に対する規制側板ユニット107の位置を大まかに規制し、ユーザの操作を補助する。
【0037】
(支持台部)
図4は、プリンタ本体110に固定された支持台部36を示す図である。
図4(a)は、プリンタ本体110の本体枠体に固定された支持台部36を示す斜視図である。
図4(b)は、
図4(a)の一点鎖線で囲った部分IVBの拡大図である。
図4(b)は、右側の支持台部36を示す。左側の支持台部36は、右側の支持台部36と略左右対称の構造を有するので、左側の支持台部36の拡大図は省略する。本体枠体の前側は、右支柱33、左支柱34及び右支柱33と左支柱34とを接続する前側板59により構成されている。本実施例では、規制側板ユニット107の位置決め穴35は、プリンタ本体110の右側では右支柱33に設けられ、プリンタ本体110の左側では前側板59に設けられている。
【0038】
支持台部36は、支持台63、接触部64及びガイド溝60を有する。接触部64は、レバー部30のレバーカム53に接触可能である。接触部64は、支持台63に回動可能に保持されている。接触部64は、プリンタ本体110の前後方向及び左右方向に直交する上下方向の回転軸線を中心に回動可能である。しかし、接触部64は、支持台63の一部またはブロック形状の別部材で設けられていてもよい。その場合、支持台63の一部またはブロック形状の別部材は、プリンタ本体110の前後方向及び左右方向に直交する上下方向に突出しているとよい。
【0039】
ガイド溝60は、プリンタ本体110に挿抜される規制側板ユニット107をガイドする。二つの支持台部36のガイド溝60が互いに向き合うように、支持台部36は、右支柱33及び左支柱34のそれぞれに固定されている。ガイド溝60は、プリンタ本体110の前後方向に延在している。プリンタ本体110には、転写部101を着脱するための開口部を覆う転写部内側カバー61が開閉可能に設けられている。プリンタ本体110には、トナーボトル17を着脱するための開口部を覆うトナーボトル内側カバー62が開閉可能に設けられている。支持台部36は、転写部内側カバー61の開閉領域、トナーボトル内側カバー62の開閉領域及び規制側板ユニット107の挿抜領域の外側に設けられている。
【0040】
(レバーカム)
図5は、レバーカム53を示す図である。
図5(a)は、プリンタ本体110の右側のレバー部30に用いられるレバーカム53の斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)の矢印VBに沿って見た図である。レバーカム53の中央部にはレバー軸52と結合するための結合部65が設けられている。レバーカム53は、結合部65の周りの前面に、第一の接触面66、かかり面67及び第二の接触面68が設けられている。第一の接触面66は、右回りに後側から前側へ傾斜する螺旋面であり、接触部64と当接可能である。かかり面67は、接続部(交点)72によって第一の接触面66に接続されており、第一の接触面66と逆方向の傾斜を有する。かかり面67は、第二の接触面68に接続されている。第二の接触面68は、ユーザによるレバー29の回転動作によって規制側板ユニット107がプリンタ本体110に固定されたときに接触部64に接触する。
【0041】
レバーカム53には、レバー軸52の回動中心から放射方向に第一の接触面66より内側で第一の接触面66から後側へ一段落ち込んで接触部64に接触しない退避面69が設けられている。また、レバーカム53には、第一の接触面66に関して第二の接触面68と反対の側で第一の接触面66から左回り方向に第一の接触面66に隣接し、結合部65の軸線方向に第一の接触面66から退避した接触逃げ部70が設けられている。レバーカム53の外周には、レバー29の回動角度の範囲を規制するために、第一の突き当て部56a及び第二の突き当て部56bが設けられている。
【0042】
本実施例において、接触部64に接触する第一の接触面66は、螺旋面に形成されている。しかし、第一の接触面66が接触部64になめらかに接触できれば、第一の接触面66は、直線状の平面であっても円弧形状の面であってもよい。プリンタ本体110の左側のレバー部30に用いられるレバーカム53は、
図5に示すプリンタ本体110の右側のレバー部30と左右対称の形状を有するので、説明を省略する。
【0043】
(ドラムカートリッジの交換動作)
図6は、ドラムカートリッジ104の交換動作の説明図である。
図6は、
図2(b)と同様に
図2(a)の線IIB-IIBに沿って取ったドラムカートリッジ104の断面図である。
図6を用いて、ドラムカートリッジ104をプリンタ本体110に装着する動作を説明する。規制側板ユニット107の両端部に設けられている保持軸58は、プリンタ本体110の本体枠体の左右に固定された支持台部36に設けられているガイド溝60にそれぞれ挿入されている。保持軸58は、ガイド溝60によって、プリンタ本体110の前後方向FRに移動可能に且つプリンタ本体110に対して回動方向Aに回動可能に保持されている。
【0044】
規制側板ユニット107は、レバー部30と支持台部36との係合が解消された状態で、保持軸58がガイド溝60によってガイドされながらドラム軸方向Xの前側へ移動可能である。規制側板ユニット107は、保持軸58がガイド溝60の前端部又はその近傍に位置するときに保持軸58を回動中心として回動方向Aの前側へ回動され、
図6(a)に示す位置に保持される。ユーザは、使用済みのドラムカートリッジ104をプリンタ本体110から抜き取ることができる。
【0045】
使用済みのドラムカートリッジ104がプリンタ本体110から抜き取られると、ドラム軸31は、プリンタ本体110の後側板37に保持された後ドラム軸受38によって片持ち状態で支持される。規制側板ユニット107が
図6(a)に示す位置に保持された状態で、ユーザは、新品のドラムカートリッジ104の後フランジ43及び前フランジ45をドラム軸31に嵌合させ、ドラムカートリッジ104をプリンタ本体110の後側へ向けて挿入する。
【0046】
ドラムカートリッジ104がプリンタ本体110の後側へ挿入されていくと、
図6(b)に示すように、ドラム軸31に保持されたカップリング41と後フランジ43とが噛み合う。カップリング41は、付勢部材としてのカップリングバネ(圧縮バネ)44によってプリンタ本体110の前方へ付勢されている。ドラムカートリッジ104をプリンタ本体110の後側へ挿入していくと、ドラムカートリッジ104は、カップリングバネ44の付勢力によってカップリング41から反力を受ける。ユーザは、回転止め軸48が後側板37の位置決め穴49に嵌合する位置まで又は位置決め穴49に接近する位置までドラムカートリッジ104をカップリングバネ44の付勢力に抗して押し込むことができる。
【0047】
その後、ユーザは、保持軸58を中心に規制側板ユニット107を回動して起こす。規制側板ユニット107に設けられたレバー29の一部には、ユーザがドラム軸方向Xに後側へレバー29を押圧できる押圧部が設けられている。本実施例においては、後述する
図7(a)に示すように押圧部として押圧面71がレバー29に設けられている。ユーザは、レバー29を握って押し又はレバー29の前側に規制側板27と略平行な面を有する押圧面71を押し込み、規制側板ユニット107をプリンタ本体110の後側へ向けて押し込む(
図6(b))。
【0048】
規制側板ユニット107が更にプリンタ本体110の後側へ押し込まれると、
図6(c)に示すように、規制側板27の前ドラム軸受32がドラム軸31に嵌合し、規制側板27の位置決め穴49が回転止め軸48に嵌合する。また、カップリングバネ44による付勢力は、ドラムカートリッジ104の突き当て部(不図示)が規制側板ユニット107に当接することによって規制側板ユニット107によって受けられる。自重により重力方向に傾いているドラム軸31及びドラムカートリッジ104の位置は、ユーザがドラムカートリッジ104からの付勢力に抗して規制側板ユニット107の突起部28を位置決め穴35に嵌合させることによって上方へ矯正される。
【0049】
これらの動作は、ユーザによる大きな操作負荷を必要とする。そこで、突起部28が位置決め穴35に嵌合する前から嵌合し始めるまでの段階で、ユーザは、レバー部30のレバー(操作部)29を操作してレバーカム(係合部)53と接触部(被係合部)64を係合させる。圧縮バネ54による付勢力をアシストとして利用しながら、ユーザは、規制側板ユニット107を所定の位置まで押し込み、ドラムカートリッジ104の位置を決める(
図6(c))。
【0050】
図7、
図8及び
図9は、レバー29の操作によるレバー部30及び支持台部36の動作の説明図である。
図7、
図8及び
図9を用いて、規制側板ユニット107を位置決めするためのプリンタ1の右側のレバー29の操作によるレバー部30及び支持台部36の動作を説明する。プリンタ1の左側のレバー29の操作によるレバー部30及び支持台部36の動作は、右側の動作と左右対称であるので説明を省略する。
【0051】
図7(a)は、レバー29が第一のレバー角度にあるときのレバー部30及び支持台部36の正面図である。第一のレバー角度においてレバー29の長手方向はほぼ水平であり、レバー29の先端部は、プリンタ本体110の内側に向いている。
図7(b)は、
図7(a)の矢印VIIBに沿って見たレバー部30及び支持台部36の側面図である。
図7(c)は、
図7(b)の線VIIC-VIICに沿って取ったレバー部30及び支持台部36の断面図である。
【0052】
ユーザは、規制側板ユニット107のガイド部57をプリンタ本体110の支持台部36によってガイドをしつつ、レバー29の押圧面71を押して規制側板ユニット107をプリンタ本体110へ押し込んでいく。その際に、
図7(a)に示すようにレバー29が水平になるように回動されると、
図7(c)に示すようにレバーカム53の第一の突き当て部56aが支板50に突き当たり、レバーカム53の回動位置が規制される。このときのレバー29の回動角度を第一のレバー角度とする。
【0053】
第一のレバー角度において、レバーカム53の接触逃げ部70は、支持台部36の接触部64に対応する位置にある。
図7(c)に示すように、プリンタ本体110の正面から見ると、接触逃げ部70の空間は、接触部64に重なる。これにより、レバーカム53は、接触部64と非接触状態になる。ユーザは、規制側板ユニット107の突起部28が本体枠体に設けられた位置決め穴35に嵌合する位置まで規制側板ユニット107を移動させることができる。この際、レバー29は圧縮バネ54によってプリンタ本体110の前方向に付勢され、レバー29に固定されたレバー軸52は、レバー軸52の後端部に固定された抜け止め部材55が規制側板27に突き当たる位置までプリンタ本体110の前側へ移動している。
【0054】
図8(a)は、規制側板ユニット107が支持台部36によって保持される状態までレバー29を回動させたときのレバー部30及び支持台部36の正面図である。
図8(b)は、
図8(a)の矢印VIIIBに沿って見たレバー部30及び支持台部36の側面図である。
図8(c)は、
図8(b)の線VIIIC-VIIICに沿って取ったレバー部30及び支持台部36の断面図である。規制側板ユニット107がプリンタ本体110の後側へ押し込まれ、レバーカム53が接触部64よりプリンタ本体110の後側に位置すると、ユーザは、レバー29を下方へ回動させることができる。
【0055】
レバー29が
図7(a)に示す水平位置から
図8(a)に示す下方位置へ回動されると、
図8(c)に示すようにレバーカム53の第一の接触面66が接触部64に接触する。接触部64は、プリンタ本体110の前側へ移動できないように支持台部36の支持台63に保持されているので、レバーカム53が接触部64によってプリンタ本体110の後側へ押し動かされ、圧縮バネ54が圧縮される。これにより、圧縮バネ54は、レバー軸受51を介して支板50をプリンタ本体110の後側へ付勢し、規制側板ユニット107をプリンタ本体110の後側へ付勢する。レバー29が下方へ回動されるにつれて、レバーカム53は、プリンタ本体110の後側へ押し込まれて圧縮バネ54の付勢力を増大させる。圧縮バネ54は、突起部28が位置決め穴35に嵌合するときの抵抗力およびドラムカートリッジ104を前側へ付勢するカップリングバネ44の付勢力より大きい付勢力で規制側板ユニット107をプリンタ本体110の後側へ押し込む。
【0056】
接触部64が当接するレバーカム53の第一の接触面66は、螺旋形状面で形成されている。第一の接触面66の角度は、螺旋形状面の中心側に行くほど傾斜がきつくなる。接触部64は、円柱形状で形成されている。接触部64の円柱の曲率よりも第一の接触面66の螺旋形状面の傾斜が大きくなると、接触部64と第一の接触面66とが意図しない箇所同士で接触して摩耗による耐久低下や応力集中による破損につながることがある。したがって、第一の接触面66の中心側に退避面69が設けられている。レバーカム53に退避面69が設けられているので、接触部64は、第一の接触面66に確実に当接することができる。
【0057】
図9(a)は、レバー29が第二のレバー角度にあるときのレバー部30及び支持台部36の正面図である。第二のレバー角度においてレバー29の長手方向はほぼ鉛直であり、レバー29の先端部は、プリンタ本体110の下側に向いている。
図9(b)は、
図9(a)の矢印IXBに沿って見たレバー部30及び支持台部36の側面図である。
図9(c)は、
図9(b)の線IXC-IXCに沿って取ったレバー部30及び支持台部36の断面図である。
【0058】
図9(a)に示すようにレバー29が鉛直になるように回動されると、
図9(c)に示すようにレバーカム53の第二の突き当て部56bが支板50に突き当たり、レバーカム53の回動位置が規制される。このときのレバー29の回動角度を第二のレバー角度とする。
【0059】
第二のレバー角度において、レバーカム53の第二の接触面68は、
図9(c)に示すように接触部64に当接する。レバーカム53の第二の接触面68が接触部64に当接することによって、レバーカム53は、プリンタ本体110の本体枠体に対して位置決めされる。圧縮バネ54は、規制側板ユニット107の位置決め時に突起部28が位置決め穴35に嵌合するときの抵抗力およびカップリングバネ44の付勢力より強い付勢力で規制側板ユニット107をプリンタ本体110の後側に付勢する。圧縮バネ54の付勢力によって規制側板27が前側板59に密着され、規制側板27の位置が規制される。
【0060】
本実施例では、第一の接触面66に接続された接続部72(
図5(a))が設けられている。
図9(b)に示すように接続部72が第二の接触面68よりもプリンタ本体110の前側になるように、接続部72と第二の接触面68との間に第一の接触面66と逆勾配を有するかかり面67(
図5(a))が設けられている。ユーザがレバー29を第二のレバー角度へ回動させるときに接続部72が接触部64に乗り上げてクリック感が生じ、ユーザは、ロック動作が完了したことを認識することができる。また、ユーザがレバー29を操作していないときにレバー29が回動して規制側板ユニット107の位置決めが解消されるのを防ぐように、かかり面67が接触部64に引っ掛かり、レバー29の回動を規制することができる。
【0061】
図10は、レバーの回動角度に対するレバー操作力および規制側板ユニット107の位置を示す図である。レバー操作力は、ユーザがレバー29にかけるトルクである。規制側板ユニット107の位置は、規制側板27から前側板59までの距離である。レバー回動角度α1は、レバー29が水平である第一のレバー角度であり、レバー回動角度α1を0°とする。レバー回動角度α1では、レバーカム53は、接触部64に当接していないので、レバー操作力が発生しない。レバー回動角度α2では、レバーカム53の第一の接触面66が接触部64に当接し始めて圧縮バネ54による付勢力が生じ始めるため、規制側板ユニット107のプリンタ本体110の後側への押し込み力及びレバー操作力が生じ始める。
【0062】
レバー回動角度α3では、接続部72が接触部64に接触し、レバー操作力は、最大値F2になる。レバー29の回動によって接続部72が接触部64を通過してかかり面67が接触部64に接触すると、レバー操作力が低下し、レバー操作時のクリック感を生じる。接続部72が接触部64に当接する前に規制側板ユニット107の位置が決まるのに必要な値F0よりも大きい値F1のレバー操作力がレバー29に加わるので、規制側板27が前側板59に接して規制側板ユニット107の位置が決まる(0mm)。
【0063】
レバー回動角度α4では、第二の接触面68が接触部64に接触し、レバー操作力は値F1になる。第二の接触面68は平面なので、第二のレバー角度α5でもレバー操作力は値F1のまま変わらない。遊び領域を設けることで部品公差が振れても、第二の接触面68は、確実に接触部64に当接することができる。第二の接触面68が接触部64に接触した状態で、圧縮バネ54は、規制側板27をプリンタ本体110の後側へ付勢する。
【0064】
もし、設定したレバー操作力がユーザに対して負担が重い場合、レバー29の長さを延長することによりユーザがレバー29に掛ける力を低く調整することができる。しかし、レバー29が長くなるとレバー29の回動軌跡(回動域)が大きくなる。レバー29の回動軌跡がプリンタ1の外側に設けられる場合、プリンタ1を壁に隣接する場所に設置できないという設置環境の制約になる。そのため、レバー29の回動軌跡は、プリンタ本体110の内向き側に設けることが望ましい。
【0065】
また、本実施例では、規制側板ユニット107の突起部28と位置決め穴35とが不完全に嵌合している状態で規制側板ユニット107にプリンタ本体110の後側に向けた付勢力を付与する。本実施例では、圧縮バネ54の付勢力は、ネジ74によって規制側板27に固定された支板固定部73を有する支板50によって受けられ、支板固定部73を介して規制側板27へ付与される。
【0066】
図11は、規制側板27へ付与される付勢力F4と反力F3の説明図である。
図11(c)に示すように、支板固定部73は、第二の接触面68が接触部64に当接しているときに、規制側板27をドラム軸方向Xでプリンタ本体110の後側へ付勢力F4を付与する。複数の感光体ドラム4の配列方向(以下、ドラム配列方向という)Yにおける規制側板27の両端部のそれぞれに、少なくとも一つの支板固定部(付勢力付与部)73が設けられている。本実施例では、規制側板27の両端部のそれぞれに、二つの支板固定部73が設けられている。二つの支板固定部73の少なくとも一つ(少なくとも一部)は、ドラム配列方向Yに直交する方向Zで突起部28よりもプリンタ本体110から規制側板27が受ける反力F3の側に設けられている。
【0067】
例えば、
図11(a)に示すように、突起部28及び位置決め穴35に対して、ドラムカートリッジ104による反力F3を受けている側と反対側で規制側板27に付勢力F4を付与する場合を考える。
図11(a)に示す場合、突起部28及び位置決め穴35を中心にして規制側板ユニット107の倒れによるこじりが生じて位置決め不良を起こす可能性がある。そこで、
図11(b)及び
図11(c)に示すように、ドラム配列方向Yに直交する方向Zにおいて、突起部28に対してドラム軸31による反力F3を受ける側に少なくとも一つの支板固定部73を設ける。
【0068】
本実施例によれば、感光体ドラム4の位置を規制する規制側板ユニット107を着脱可能に支持してユーザによるドラムカートリッジ104の交換を簡易にしつつ、省スペースでもユーザの操作負担が少なくなる位置決め構成を提供できる。
【0069】
本実施例では、規制側板ユニット107にレバー29及びレバーカム53が設けられ、プリンタ本体110の本体枠体に接触部64が設けられている。しかし、規制側板ユニット107に接触部64が設けられ、プリンタ本体110の本体枠体にレバー29及びレバーカム53が設けられていてもよい。また、本実施例では、レバー軸52上に圧縮バネ54が設けられ、プリンタ本体110の本体枠体に前後方向に動かないように接触部64が設けられている。しかし、レバー部30をプリンタ本体110の前後方向に動かないように規制側板ユニット107にスラスト位置規制し、接触部64を弾性部材でプリンタ本体110の後側へ付勢してもよい。接触部64がレバーカム53をプリンタ本体110の後側へ付勢することによって規制側板ユニット107をプリンタ本体110の後側へ付勢してもよい。
【0070】
本実施例では、規制側板27をプリンタ本体110に固定するために操作されるレバー29のレバー軸(係合部回動軸)52をドラム軸31に平行に配置されている。レバー(操作部)29の回動軌跡(回動域)をプリンタ本体110の内向き側の所定の範囲に配置することによって、プリンタ本体110の寸法(サイズ)を抑えつつドラムカートリッジ104の交換作業時のユーザ負担を軽減することができる。
【0071】
本実施例によれば、規制側板27をプリンタ本体110に固定するレバーカム53を操作するレバー29の回動軌跡に必要な空間を抑えつつ、規制側板27を位置決めする際の反力及びこじりに対するユーザの操作力を削減することができる。本実施例によれば、感光体ドラム4のドラム軸31を位置決めする規制側板27をプリンタ本体110に容易に固定することができる。
【符号の説明】
【0072】
1・・・プリンタ
4・・・感光体ドラム
27・・・規制側板
28・・・突起部
29・・・レバー
31・・・ドラム軸
32・・・前ドラム軸受
35・・・位置決め穴
52・・・レバー軸
53・・・レバーカム
64・・・接触部
66・・・第一の接触面
68・・・第二の接触面
73・・・支板固定部
104・・・ドラムカートリッジ
110・・・プリンタ本体